説明

映像処理装置及びその制御方法

【課題】任意視点映像の視聴可能領域を含むマップ情報を提示することで、ユーザの利便性を向上させること。
【解決手段】受信装置2は、映像情報とその付帯情報を受信する受信部20と、リモコン信号受信部27と、任意視点映像のデータを生成する任意視点映像生成部22を備える。システムコントローラ23は、リモコン29の操作によって指定される視点の位置や視野方向を制御するとともに、任意視点映像の視聴可能領域及び当該映像の視聴が可能でない領域を示すマップ情報を生成する。指定された視点への移動指示があった場合、視聴可能領域内に視点の初期位置が設定され、またマップ上に目的地マーカーを表示してこれを選択可能にすることで、ユーザは適切な視点移動を容易に行える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、任意に指定される視点での映像データを処理する映像処理装置とその制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、本格的なデジタル放送時代を迎え、様々な次世代放送システムの研究開発が行われている。その1つとして、ユーザがカメラ視点を自由に指定できる任意視点映像、あるいは自由視点映像と呼ばれる技術が注目されている。任意視点映像は、視聴者が指定した視点での映像データを複数のカメラにて生成し、この多視点映像のデータを元にして補間生成した映像である。任意視点映像の生成処理システムは、特許文献1に開示されている。
【0003】
任意視点映像処理を実現する場合、被写体の周囲に全ての視点を設定して当該被写体を撮影できるとは限らない。例えばカメラからみて何かの陰になる部分では、映像データのない箇所が存在するので、視線をそこに向けても正しい映像を表示することが出来ない。また、舞台セットの裏等、放送事業者にとっては視聴者に見せたくない領域が存在する。任意視点の配置に関して制限を与える例が特許文献2に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−37301号公報
【特許文献2】特開2007−195091号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、任意視点映像処理において視点の配置領域を制限すると、ユーザにとっては視点位置の操作が困難になる場合が生じる。例えば、街中や建物内の散策シーンにおいて、ユーザの視点配置が可能な領域を街中や建物内の形状の通りに設定した場合を想定する。ユーザはこの領域内において視点移動が可能となるが、当該領域の形状を知るための手段が講じられていない状況では視点をどちらに移動してよいのかが分からない。さらには視点移動が可能な領域の形状が複雑である場合、リモートコントローラ(以下、リモコンという)等を用いた視点移動操作が煩雑となり、ユーザは視点移動操作を思うように出来ない状況が発生する。
【0006】
また、マラソン中継放送等において先頭集団と後続集団のそれぞれに任意視点映像の視聴領域を設定する場合、独立した複数の視聴領域が存在することになる。ところが、分断した2つの領域の間で視点を移動する方法が無いと、ユーザは視点移動を思うように制御出来ない状況が発生する。この他、放送受信装置が任意視点映像の表示を開始するときに、視点の初期位置が任意視点映像の視聴が可能な領域外である場合、表示映像として本来表示すべきでない映像が表示されてしまう虞がある。
そこで本発明は、任意視点映像の視聴が可能な領域を含むマップ情報を提示することで、ユーザの利便性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために本発明に係る装置は、指定された視点での映像を処理する映像処理装置であって、前記視点での映像の視聴が可能な第1領域及び前記視点での映像の視聴が可能でない第2領域を示すマップ情報をユーザに提示する情報として生成し、前記第1領域の内部で視点移動を制御する制御手段と、前記制御手段が前記第1領域の内部に設定した視点での映像データを生成する映像生成手段と、を備える。前記制御手段は、被写体を異なる方向から撮影した複数のカメラの座標情報を少なくとも用いて、前記第1領域と前記第2領域との境界を判断して前記マップ情報を生成する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、マップ情報を参照しながら前記第1領域の内部で視点移動操作が容易に行えるので、ユーザの利便性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図2乃至7と併せて本発明の第1実施形態を説明するために、装置の概略構成を例示したブロック図である。
【図2】カメラの位置と視野を(A)に例示し、視聴可能領域と視点を(B)に例示した図である。
【図3】被写体検出の説明図である。
【図4】表示映像を例示した概略図である。
【図5】装置の動作例を説明するフローチャートである。
【図6】マップ生成処理例を説明するフローチャートである。
【図7】被写体位置の検出処理例を説明するフローチャートである。
【図8】図9と併せて本発明の第2実施形態を説明するために、装置の概略構成を例示したブロック図である。
【図9】装置の動作例を説明するフローチャートである。
【図10】図11及び12と併せて本発明の第3実施形態を説明するために、被写体が複数のグループに分かれている撮影状況を例示した図である。
【図11】装置の動作例を説明するフローチャートである。
【図12】マップ生成処理例を説明するフローチャートである。
【図13】図14及び15と併せて本発明の第4実施形態を説明するために、カメラ配置と視点位置、マップ、視点変更時の目的地マーカーを例示した図である。
【図14】装置の動作例を説明するフローチャートである。
【図15】図13とは異なる方法でマップ上に目的地マーカーを配置した例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[第1実施形態]
図1を用いて本発明の第1実施形態に係る装置の構成例を説明する。コンテンツ配信装置1は電波やインターネット通信網を利用してコンテンツデータを送信する。映像処理装置としての受信装置2はコンテンツデータを受信し、該データから映像や音声を再生する。伝送路3は電波やIP(Internet Protocol)網によってコンテンツデータを伝送する。
【0011】
先ず、コンテンツ配信装置1の構成を説明する。n台のカメラ10−1乃至nは、それぞれ異なる位置に配置され、撮像信号をコンテンツ生成部11に出力する。コンテンツ生成部11は、カメラ10−1乃至nからの撮像信号に基づいて多視点映像の信号を生成する。多視点映像とは、複数のカメラを用いて異なる方向から被写体を撮影した映像の集合である。一方、任意視点映像とは、ユーザが任意に指定又は選択した視点で表示する映像である。この映像は、実際には存在しない仮想的なカメラによる視点での映像を、多視点映像のデータを用いて補完処理により生成することで実現される。
【0012】
本実施形態に示すシステムでは、コンテンツ配信装置1が多視点映像の信号を生成して配信し、これを受信装置2が受信し、多視点映像を用いて任意視点映像を生成する。情報生成部12は、カメラ10−1乃至nの位置を示す座標、視野角、視野方向に関する情報を含む、カメラ情報を生成する。マルチプレクサ15は多視点映像の信号とカメラ情報の信号をマルチプレクス処理して後段のエンコード部13に送る。マルチプレクス処理後のデータをエンコード部13が圧縮処理し、さらにTS(トランスポートストリーム)信号を生成して送信部14に出力する。送信部14はTS信号を受信装置2に送信する。
【0013】
次に受信装置2の構成を説明する。受信部20は送信部14から信号を受信してTS信号を生成する。放送波による伝送路の場合、受信部20は放送波の選局及び復調を行ってTS信号を出力する。またIP放送の伝送路の場合、受信部20は伝送路3から受信したパケットを復号することでTS信号を生成する。デマルチプレクサ21はTS信号から多視点映像の信号とカメラ情報の信号を分離する。
【0014】
受信装置2の動作を制御するシステムコントローラ23は、任意視点映像の視聴が可能な第1領域(以下、視聴可能領域という)、及び該映像の視聴が可能でない第2領域を示すマップ情報の生成機能を有する。システムコントローラ23はさらに、視聴可能領域内で指定された視点に応じて視点位置や視野方向を制御する機能を有する。システムコントローラ23はデマルチプレクサ21から取得したカメラ情報を用いて、マップ情報をユーザへの提示情報として生成し、また多視点映像のデータを用いて被写体位置を検出し、被写体位置情報と視点位置情報を出力する。
【0015】
リモコン29はユーザが受信装置2に対して操作指示を行うコントローラである。リモコン信号受信部27は、リモコン29が送信した信号を受信して、指示信号をシステムコントローラ23に出力する。任意視点映像生成部22はシステムコントローラ23からの視点位置情報を用いて、該情報の示す視点で撮影された映像と等価な映像のデータを多視点映像データから生成して、ブレンド部24に出力する。描画部25は、システムコントローラ23が出力するマップ情報、被写体位置情報、視点位置情報を描画データとして含むグラフィック映像データを生成する。ブレンド部24は任意視点映像生成部22が出力する任意視点映像データと、描画部25が出力する前記グラフィック映像データを混合し、処理後の映像信号を表示部28に出力する。表示部28はブレンド部24が出力する映像信号に従って映像を表示する。
【0016】
次に図1のコンテンツ配信装置1の動作を説明する。コンテンツ配信装置1において、例えばカメラ10−1乃至16は図2(A)のように配置される。本図ではx軸及びy軸の2次元座標系が設定され、x1乃至7が各カメラのx座標値を表し、y1乃至8が各カメラのy座標値を表す。図にはカメラ10−1乃至16の位置を黒点で示しており、各カメラを起点とする2つの線分はカメラの視野境界を表し、θは視野角を表す。コンテンツ生成部11はカメラ10−1乃至16が出力する映像データを収集し、これを情報生成部12及びエンコード部13に出力する。
情報生成部12はカメラ10−1乃至16の座標情報、視野角と視野方向に関する情報を取得する。図2の配置例における各カメラの座標情報、視野角、視野方向を表1に示す。
【0017】
【表1】

【0018】
なお、表1中の視野方向については、「x」がx軸の正方向(図2の右方)、「−x」がx軸の負方向(図2の左方)を示し、「y」がy軸の正方向(図2の下方)、「−y」がy軸の負方向(図2の上方)を示す。
エンコード部13は多視点映像のデータを圧縮した後、圧縮した多視点映像のデータとカメラ情報を含むTS信号を生成し、これを送信部14が任意視点映像放送信号として送信する。
【0019】
次に受信装置2の動作について、図5のフローチャートを用いて説明する。以下の処理は、システムコントローラ23がプログラムを実行することで実現される任意視点映像の視聴処理例である。S100にてシステムコントローラ23は処理を開始し、S101にて受信装置2の各構成部の初期設定を行う。これにより受信部20が受信したデータは、デマルチプレクサ21により多視点映像のデータとカメラ情報に分離される。次のS102でシステムコントローラ23は任意視点映像の視聴可能領域を含むマップのデータ生成処理を行う。マップとは任意視点映像の視聴を行う領域の形状を示す情報であり、ユーザが視点移動操作を行う際に視点移動が可能な領域をシステムコントローラ23が判断するために用いる情報である。
【0020】
図6はマップ生成処理例を示すフローチャートである。システムコントローラ23はS1100にてマップ生成処理を開始し、S1101にてデマルチプレクサ21は各カメラの座標情報、視野角及び視野方向の情報を取得する。次のS1102でシステムコントローラ23は、前記S1101で取得した情報を用いてカメラの位置を平面又は立体空間にプロットする。図2の例ではカメラ位置を2次元直交座標系内の点で表しているが、3次元直交座標系内の点で表してもよい。次のS1103にて各カメラの視野角と視野境界を示すベクトルをプロットする。これにより受信装置2において図2(A)に相当するカメラ情報が再現される。
【0021】
次に、S1104でシステムコントローラ23は、視野境界を示すベクトル同士の交点の座標を求める。図2(A)にてカメラ位置を基点とする各線分の交点の算出処理が行われ、システムコントローラ23は各交点を結線する。この結線処理によって特定した領域を図2(B)に示す。斜線領域は任意視点映像の視聴可能領域300を表し、その領域内で任意に視点移動が可能である。また視聴可能領域300の外部領域は任意視点映像の視聴が可能でない領域である。受信情報に任意視点映像の視聴に係る禁止領域を示す情報が含まれる場合、システムコントローラ23はその領域を視聴可能領域から除外する。禁止領域が座標で示されている場合、システムコントローラ23はその座標を結ぶ線で囲んだ領域を特定し、これを視聴可能領域から削除する。
【0022】
システムコントローラ23は任意視点映像の視聴に係る初期視点位置を設定した後、S1105では、生成済みのマップにて任意視点映像の視聴可能領域を判断する。次のS1106でシステムコントローラ23は、ユーザが任意視点映像を視聴する際の視点を視聴可能領域内に設定する。例えば図2(B)に示す視聴可能領域300の場合、その内部に視点301が設定される。
【0023】
S1107にてシステムコントローラ23は、描画部25に対してマップ情報や視点位置情報を伝達すると共に、生成したマップや視点位置を示すアイコンの描画を指示する。描画部25はメモリ上にマップと視点位置の描画データを配置する。S1108にてマップ生成処理が終了し、システムコントローラ23は処理を図5のS103に進め、被写体の座標検出処理を行う。多視点映像の解析後に被写体の位置を示す座標データが生成される。
【0024】
図7は被写体位置の検出処理例を示すフローチャートである。S1200で処理が開始し、S1201にて被写体検出が行われる。図3は被写体座標の生成方法を説明する図である。視聴可能領域内に被写体400(図には丸印で位置を示す)が存在するものとし、カメラ10−2、10−3、10−15、10−16で被写体400の撮像が可能であるものとする。システムコントローラ23は各カメラの撮像信号を解析し、被写体の存在を認識する。図7のS1202でシステムコントローラ23は、カメラと被写体との位置関係を示すベクトルデータを生成する。図3の例ではまず、カメラ10−2で撮影した映像における被写体400の位置情報を用いて、カメラ10−2の位置を基準として被写体400の方向を示すベクトル401のデータが算出される。同様にカメラ10−3の位置情報と該カメラで撮影した映像における被写体400の位置情報からベクトル402のデータが算出される。以下、カメラ10−15に関するベクトル403のデータと、カメラ10−16に関するベクトル404のデータが求まる。図3の「θa」は、各ベクトルがx軸又はy軸に平行な直線に対してなす角度を表す。
【0025】
図7のS1203にてシステムコントローラ23は被写体の位置を判定する。図3に示すベクトル401乃至404の交点の座標が被写体400の位置座標となる。S1204にて被写体位置の検出処理が終了し、次にシステムコントローラ23は処理を図5のS104に進め、描画部25に対して被写体を示すアイコンの描画を指示する。描画部25はマップの座標系において被写体の位置座標に相当する位置に、被写体を表すアイコンを描画する。
【0026】
S105でシステムコントローラ23は任意視点映像の生成処理を開始させ、前記S1106では検出した視点位置情報を任意視点映像生成部22に送出する。任意視点映像生成部22はシステムコントローラ23によって指定された視点を用いて、この視点(図2(B)の301参照)における視野に相当する映像のデータ生成を行う。視点301での視野に対応する映像のデータについては、デマルチプレクサ21が出力する多視点映像データを用いて、空間の光線情報の内挿補間法により生成可能である(前記特許文献1参照)。
【0027】
生成後の映像データはブレンド部24に送られ、ここで任意視点映像生成部22が生成した任意視点映像データと描画部25が描画したマップ情報が合成される。表示部28は合成後の映像である任意視点映像及びマップを表示してユーザに提示する。こうして図4(A)に示すように、初期設定された視点での視野に対応する映像50にて、視聴可能領域51及びカメラの形で示す視点アイコン52を示すマップが表示される。図中の丸印が被写体の位置53を表している。図4(A)では検出した被写体の映像が表示されていない。そこでユーザはリモコン29の操作により受信装置2に対して視点位置の変更を指示する。視点の変更方法としては、視点を移動する方法と視野角を変更する方法があるが、ここでユーザは視野方向の変更を装置に指示し、被写体の映像を表示させるようにリモコン操作を行ったものとする。なお、視聴可能領域のみを画面に表示する方法と、視聴可能領域を、その周囲領域、つまり任意視点映像の視聴が可能でない領域とは区別し、又は両者の境界を明示して各領域を画面に表示する方法がある。
【0028】
リモコン信号受信部27は操作指示を受信し、これをシステムコントローラ23に伝える。システムコントローラ23は図5のS106にて、ユーザのリモコン操作が行われたか否かを判断する。システムコントローラ23はリモコン信号受信部27から受信した信号を解析し、ユーザ操作により視点位置や視野方向の変更が指示されたことを判断すると、S107に進み、視点位置や視野方向を示すデータを変更する。次のS108にてシステムコントローラ23は、描画部25に対して視点アイコンの表示消去を指示し、新たな視点情報を用いて視点アイコンの描画を指示する。その後、処理は再びS106に戻る。任意視点映像生成部22は、指示された視点位置及び方向における視野に対応する映像データを生成し、映像信号を出力する。ブレンド部24は任意視点映像のデータとマップ情報を合成し、表示部28は合成後の映像を表示する。これにより表示部28の画面には、例えば図4(B)に示すように、被写体の映像54とマップが表示されることになる。
【0029】
前記S106において、ユーザのリモコン操作により、受信装置2の電源オフやチャンネルの変更が指示された場合、S109に進んで前記一連の処理が終了する。
以上のように第1実施形態によれば、ユーザは視点位置の移動を指示する際にマップを参照することで視聴可能領域を認識できる。したがって、任意視点映像の視聴が許可されていない領域に該当する視点位置への変更操作が行われないようにすることで、ユーザは視点をスムーズに決定することができる。任意視点映像の視聴が許可された領域内に視点を配置した上で任意視点映像の表示が開始されるので、開始時に領域外の不適切な映像が表示されることはない。
【0030】
[第2実施形態]
次に本発明の第2実施形態を説明する。図8に示すコンテンツ配信装置2001が図1のコンテンツ配信装置1と相違する部分は、情報生成部2012、マルチプレクサ2015、システムコントローラ2016であり、システムコントローラ2016はマップ生成機能を有する。また受信装置2002と図1の受信装置2との相違点は、デマルチプレクサ2021と任意視点映像生成部22及びシステムコントローラ23との間の信号伝送及び描画部2025であり、システムコントローラ23はマップ取得機能を有する。よって、以下では相違点を中心に説明し、第1実施形態の場合と同様の構成部については第1実施形態における各構成部に用いた符号を付すことによってそれらの説明を省略する。
【0031】
情報生成部2012はコンテンツ生成部11の出力からカメラ情報を取得してシステムコントローラ2016に出力する。システムコントローラ2016は視聴可能領域を含むマップ情報を生成し、マルチプレクサ2015に出力する。マルチプレクサ2015はコンテンツ生成部11が生成した多視点映像データとシステムコントローラ2016が生成したマップ情報のマルチプレクス処理を行う。マップ情報は映像情報の付帯情報としてエンコード後に送信される。
【0032】
受信装置2002にて、受信部20は映像情報とその付帯情報を受信し、デマルチプレクサ2021に出力する。デマルチプレクサ2021は受信部20のTS信号を受けて、多視点映像データ、マップ情報及び被写体情報に分離する。システムコントローラ23はデマルチプレクサ2021からマップ情報を受信して処理し、マップの描画を描画部2025に対して指示する。描画部2025は視聴可能領域を含むマップを描画する。
【0033】
次に各装置の動作を説明する。コンテンツ配信装置2001にて、システムコントローラ2016は情報生成部2012からカメラ情報を取得し、これを用いてマップ生成処理を行う。生成後のマップ情報はマルチプレクサ2015にて多視点映像データと多重化される。多重化されたデータは、エンコード部13で符号化され、送信部14から送信される。
次に図9のフローチャートを用いて、受信装置2002の動作を説明する。以下、図5と相違するS202、S203乃至205の処理のみを説明する。
S202にてシステムコントローラ23はマップ情報を取得した後、S203にて視点位置(初期位置)を決定する。視点はマップにて任意視点映像の視聴可能領域内に設定される。さらにシステムコントローラ23は視点位置情報を任意視点映像生成部22に出力する。
【0034】
S103での被写体座標検出処理の後、システムコントローラ23はS204にて描画部25に指示を出し、マップと、視点位置や被写体位置を示す各アイコンの描画を制御する。S205にてシステムコントローラ23の制御下で、任意視点映像の表示が開始する。任意視点映像生成部22が生成した映像データはブレンド部24に送られ、ここで任意視点映像生成部22が生成した任意視点映像データと描画部25によるマップの描画データが合成される。表示部28は合成後の映像を表示し、S106に進む。
以上のように、第2実施形態に係る受信装置2002は、コンテンツ配信装置2001が配信するマップ情報を受信し、該情報とともに視点位置を表示する。よって、受信装置2002に対してマップ生成処理の負担をかけずに前記第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0035】
[第3実施形態]
次に本発明の第3実施形態を説明する。例えばマラソン中継放送のように、各被写体の位置が複数のグループに分かれている場合、任意視点映像の視聴を実現するには、任意視点映像の視聴可能領域を複数に分けて生成する処理が行われる。
図10(A)はマラソン中継放送におけるカメラと被写体の位置関係を例示する。本例では先頭の第1グループ500と後続の第2グループ501が存在し、第1グループ500では、丸印で示す走者526と527をカメラ510乃至525で撮影している。第2グループ501では、丸印で示す走者566と567をカメラ550乃至565で撮影している。このように任意視点映像の視聴可能領域が複数の領域に分かれて存在する場合、視点を一方の領域から他方の領域へと連続的に移動することが出来ない。何故なら視点の配置が許容される範囲は任意視点映像の視聴可能領域の内部に制限されるからである。第3実施形態に係る受信装置では、このような場合でも視点を容易に移動できる。なお、第3実施形態に係る装置の構成は第1実施形態の場合と同様であるため、その説明を省略し、装置の動作について図11を用いて説明する。以下、図5と相違するS302、S304、S307乃至309に示す処理を説明する。
【0036】
S101の初期設定後、S302に進み、システムコントローラ23はマップ生成処理を開始する。以下、マップ生成処理について図12のフローチャートを用いて説明する。なおS1101、S1102の処理は図6と同様であり、以下、相違点であるS3103以降の処理を説明する。S3103にてシステムコントローラ23は、生成した視聴可能領域がいくつあるか、その数を認識する。領域数の取得後、S3104では認識済みの各視聴可能領域に対して番号を割り付ける処理が行われる。例えば図10(A)に示すグループ500、501に関する各視聴可能領域に対して連続番号が順次に付与される(第1グループ500に「1」、第2グループ501に「2」が割り付けられる)。
【0037】
S3105にて変数nに領域数が代入され、S3106以後のループ処理に進む。S3106は変数nの値がゼロであるか否かの判定処理であり、n=0の場合S3110に進むが、そうでない場合、例えば図10では領域数が2であり、S3107に進む。ここでシステムコントローラ23は、第n番目の領域nを構成する各カメラの視野を示すベクトルをプロットし、さらにS3108にてベクトル同士の交点を算出して結線する。これにより領域nに関する任意視点映像の視聴可能領域が確定する。S3109にてn値が1だけ減算された後、S3106に戻り、n値がゼロになるまでS3107乃至3109の処理が繰り返される。
【0038】
ループ処理が終了すると、S3106からS3110に進み、システムコントローラ23は最初の領域1の内側範囲を認識し、S3111にてその領域内に視点位置を決定して視点を配置する。そして視点位置情報が任意視点映像生成部22に出力される。S3112にてシステムコントローラ23は、マップの描画と視点位置を示すアイコンの描画を描画部25に指示する。描画した各視聴可能領域に対して領域番号を描画する指示が描画部25に出され、描画処理が行われた後、前記一連の処理が終了する。
【0039】
マップ生成処理が終了すると、図11のS103に示す被写体座標検出の後、S304に進む。ここで被写体位置を示すアイコンの描画処理が行われ、S105を経てS106以降のループ処理に進む。S106にて視点位置や視野の変更についてユーザの操作指示があったと判断された場合、S307に進み、システムコントローラ23は操作判定を行う。その結果、ユーザの操作指示内容が視点位置の移動である場合、例えば、リモコンのカーソル操作が行われた場合、処理はS107に進む。また、ユーザの操作指示内容が視聴可能領域の変更である場合、S308に進む。ここでシステムコントローラ23はユーザ操作によって入力された値が示す番号に対応した視聴可能領域内に視点を移動させる。図10(B)はグループ500、501の各視聴可能領域と、該領域に付与した番号との対応関係を示す。丸枠内の「1」(符号502参照)が第1グループ500に付与された番号を示し、丸枠内の「2」(符号503参照)が第2グループ501に付与された番号を示している。例えばリモコン29に数字キーが設けられており、“1”ボタンが押された場合、カメラの形をしたアイコンで示す視点504が第1グループ500の視聴可能領域内に移動する。任意視点映像生成部22は指示された視点位置及び方向における視野に対応する映像データを生成して出力する。
【0040】
S309にてシステムコントローラ23はマップ上において、視点を示すアイコンを一旦消去し、今回新たに設定された視点位置に対して視点を示すアイコンを描画するように描画部25に指示を出す。そしてS106に戻る。
以上のように、第3実施形態によれば、任意視点映像の視聴可能領域が複数の領域に分断して存在する場合であっても、各領域に対応する番号をユーザが指定するだけで、所望の視聴可能領域に変更できる。
【0041】
[第4実施形態]
次に本発明の第4実施形態を説明する。本実施形態では、任意視点映像の視聴可能領域の形状が複雑な場合でもユーザが視点移動操作を容易に行える。例えば、観光番組や建物内の様子などを紹介する番組では、任意視点映像の視聴可能領域の形状が複雑な形をとる場合がある。図13(A)は、ある街の撮影において、複数台のカメラを配置して視聴範囲を設定した場合のマップ例を概略的に示す。街路601上に任意に設定可能な視点602(カメラの形をしたアイコンで示す)が存在し、撮影用に複数のカメラ603が街路601に沿って配置されている。この場合、ユーザがカーソル操作によって視点602を移動させる方法を採用すると、リモコン等の操作が煩雑となるため、この方法は面倒であり、手間がかかる。そこで、視点移動操作の負担を軽減する方法について以下に説明する。なお、第4実施形態に係る装置の構成は第1実施形態の場合と同様であるため、その説明を省略し、装置の動作について図14を用いて説明する。以下、図11と相違するS403、S404の処理を主に説明する。本実施形態に係るシステムコントローラは、視点の移動目標位置を示す目印をマップ上に生成する目標位置生成機能を有する。
【0042】
図14にてS102のマップ生成処理(図6参照)の後、S403に進み、システムコントローラ23はマップの形状を解析し、視聴可能領域の曲がり角、分岐点、及び端点を検出する。次のS404にて、システムコントローラ23は、前記S403で検出した曲がり角、分岐点、及び端点に目的地マーカーを配置し、この配置した目的地マーカーに番号を割り振る。図13(A)に示す例では、図13(B)に示すマップが生成され、その曲がり角、分岐点、及び端点に目的地マーカーが配置される。マップには図13(C)に示すように、丸枠内に1乃至8の数字を付して示す目的地マーカー611乃至618が配置され、この状態でマップがユーザに提示される。
【0043】
また、目的地マーカーの配置方法の別例としては、図15(A)に示すように、視点602を起点として所定の設定距離(Lと記す)を決定して所定の間隔でマーカーを配置する方法が挙げられる。本例において、設定距離Lを視点602から最初の分岐点までの距離とした場合、システムコントローラ23は、視点602からの距離がL、2×L、3×Lとなる位置を順次に算出し、各位置に目的地マーカーを配置する。これにより生成されるマップを図15(B)に示す。丸枠内に1乃至5の数字を付して示す目的地マーカー701乃至705は、設定距離Lの整数倍の距離に相当する間隔をもって街路601上に配置され、この状態でマップがユーザに提示される。
【0044】
その後、S307の操作判定において、ユーザ操作による領域変更指示が目的地マーカーに付与した番号で行われると、S308に進む。システムコントローラ23は入力値の示す番号に対応した目的地マーカーに視点を移動させる処理を行う。例えばリモコン29に数字キーが設けられており、“1”ボタンが押された場合、図13(C)の目的地マーカー611に相当する位置に視点が移動する。任意視点映像生成部22は指示された視点位置及び方向における視野に対応する映像データを生成して出力する。
以上のように、第4実施形態の受信装置によれば、任意視点映像の視聴可能領域の形状が複雑であっても、適切に配置された目的地マーカーに対応する番号を指定するだけで、ユーザは視点位置を容易に変更できる。
【0045】
[その他の実施形態]
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(又はCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。
【符号の説明】
【0046】
2 受信装置
20 受信部
22 任意視点映像生成部
23 システムコントローラ
25 描画部
2002 受信装置
2025 描画部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
指定された視点での映像を処理する映像処理装置であって、
前記視点での映像の視聴が可能な第1領域及び前記視点での映像の視聴が可能でない第2領域を示すマップ情報をユーザに提示する情報として生成し、前記第1領域の内部で視点移動を制御する制御手段と、
前記制御手段が前記第1領域の内部に設定した視点での映像データを生成する映像生成手段と、を備え、
前記制御手段は、被写体を異なる方向から撮影した複数のカメラの座標情報を少なくとも用いて、前記第1領域と前記第2領域との境界を判断して前記マップ情報を生成することを特徴とする映像処理装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記複数のカメラの座標情報と視野角及び視野方向の情報を用いて、前記複数のカメラに係る視野境界の交点を算出して該交点を結線することにより前記第1領域と前記第2領域との境界を特定して前記マップ情報を生成することを特徴とする、請求項1記載の映像処理装置。
【請求項3】
前記制御手段は視点の移動目標位置を示す目印を前記第1領域の内部に生成してマップ上に表示するように制御し、前記第1領域の内部で指定された移動目標位置に視点を移動させることを特徴とする、請求項1又は2記載の映像処理装置。
【請求項4】
前記制御手段は、複数の前記第1領域が存在する場合、領域ごとに前記移動目標位置を設定することを特徴とする、請求項3記載の映像処理装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記第1領域の内部の分岐点又は端点又は曲がり角に前記移動目標位置を設定することを特徴とする、請求項3記載の映像処理装置。
【請求項6】
前記制御手段は、予め設定された距離の整数倍の間隔をもって前記移動目標位置を設定することを特徴とする、請求項3記載の映像処理装置。
【請求項7】
指定された視点での映像を処理する映像処理装置であって、
映像情報及び付帯情報を受信する受信手段と、
前記受信手段が受信した付帯情報から前記映像の視聴が可能な第1領域と前記映像の視聴が可能でない第2領域を示すマップ情報を取得し、前記第1領域の内部で視点移動を制御する制御手段と、
前記制御手段が前記第1領域の内部に設定した視点での映像データを生成する映像生成手段と、を備えることを特徴とする映像処理装置。
【請求項8】
指定された視点での映像を処理する映像処理方法であって、
被写体を異なる方向から撮影した複数のカメラの座標情報を少なくとも用いて、前記視点での映像の視聴が可能な第1領域と前記視点での映像の視聴が可能でない第2領域を示すマップ情報をユーザに提示する情報として生成するマップ生成ステップと、
前記第1領域の内部で視点移動を制御する制御ステップと、
前記第1領域の内部に設定された視点での映像データを生成する映像生成ステップを有することを特徴とする映像処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2011−172169(P2011−172169A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−36296(P2010−36296)
【出願日】平成22年2月22日(2010.2.22)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】