説明

映像出力装置

【課題】立体映像に含まれる映像解像度以上の解像度を持つ二次元映像を表示可能とすること。
【解決手段】立体映像に含まれる右眼用映像データと左眼用映像データとの相関を示す相関情報を抽出する左右相関抽出部206と、前記左眼用映像データ、前記右眼用映像データおよび前記相関情報に基づき、前記左眼用映像データおよび前記右眼用映像データより解像度の大きい非立体映像データを作成する解像度向上部205とを備え、解像度を向上させた映像を出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、映像再生機器の信号処理に関し、特に、立体映像再生可能な装置において、
映像出力の解像度向上に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、高精細なディスプレイで映像を表示するため、映像再生機器で映像信号の解像度向上を行う事が知られている。この解像度向上の技術には、線形フィルタを用いた一般的なフレーム内処理技術の他に、複数フレームを用いたフレーム間処理技術が知られている(例えば、特開2009−116421号公報に記載されている)。
【0003】
動画内の時間軸上に並んだ複数のフレームを取り出し、各フレーム間の動きベクトル情報を用いてフレーム間の微小な位置ずれを検知し複数フレームを正確に合成する事で、入力画像より高精細な1つのフレーム画像を実現する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−116421号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、立体映像の表示が可能な立体映像再生装置の場合、左眼用映像を観察者の左眼に、右眼用映像を観察者の右眼にそれぞれ提示する事で、従来の二次元映像表示に比べて臨場感のある映像を実現できる。ただし、立体映像を観察者に提示するためには立体映像対応のディスプレイが必要であるため、立体映像非対応のディスプレイを接続する場合、また立体映像対応のディスプレイで観察者が二次元映像表示に切り替えたい場合、立体映像専用コンテンツでも二次元映像で表示する必要がある。
【0006】
しかしながら、従来の立体映像再生装置では、二次元の映像を再生する場合には、左眼用映像もしくは右眼用映像のいずれか一方を用いて、二次元の映像を再生する。この場合に、再生する二次元の映像の解像度を更に高精細にする場合にも、左眼用映像もしくは右眼用映像のいずれか一方を用いて、高精細の二次元の映像を作成し、再生していた。そのため、データとしては左眼用映像と右眼用映像のデータを保持しているにも関わらず、片側の映像しか使用していないため、充分に高精細な映像を得ることが出来なかった。
【0007】
そこで、本発明は、立体映像用の映像信号を二次元映像で表示する際の解像度を向上する事を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決する為、本発明の映像出力装置は、立体映像に含まれる右眼用映像データと左眼用映像データとの相関を示す相関情報を抽出する左右相関抽出部206と、前記左眼用映像データ、前記右眼用映像データおよび前記相関情報に基づき、前記左眼用映像データおよび前記右眼用映像データより解像度の大きい非立体映像データを作成する解像度向上部205とを備える。
【発明の効果】
【0009】
上記の構成によれば、立体映像内に含まれている映像解像度以上の解像度を持つ二次元映像を表示可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】映像出力装置の構成図
【図2】信号処理部の構成図
【図3】左右相関抽出部の左右相関抽出の概念図
【図4】視差量をサブピクセル単位で算出する手法の概念図
【図5】解像度向上部の構成図
【図6】合成画素位置算出部における左眼用映像データと右眼用映像データの合成画素位置情報の算出方法の概念図
【発明を実施するための形態】
【0011】
(実施の形態1)
[1.映像再生装置の構成]
図1に映像出力装置100の構成図を示す。映像出力装置100は、ディスクドライブ部102と、信号処理部103と、HDMI出力部104と、リモコン信号受信部105とを備えた、立体映像および二次元映像の再生が可能な再生装置である。本装置より映像信号および音声信号がディスプレイに出力され、ディスプレイで映像を表示する。
【0012】
ディスク101は、立体映像コンテンツの記録された再生用メディアである。ディスク101は、例えば、ブルーレイディスクが該当する。
【0013】
ディスクドライブ部102は、ディスク101に含まれるストリームを読み出す装置である。ディスクドライブ部102は、信号処理部103から伝送される制御情報を元に動作する。ディスクドライブ部102が読み出すストリームとは、例えばMPEG MVC(Multiview Video Codec)を含む多重化ストリームである。
【0014】
リモコン信号受信部105は、観察者のリモコン操作情報を受信し、その操作情報を信号処理部103に伝達する。信号処理部103は、リモコン信号受信部105からの操作情報を元に、ディスクドライブ部102で読み出されたストリーム入力に対して信号処理を行い、映像信号および音声信号をHDMI出力部104に出力する装置である。また、信号処理部103は、リモコン信号受信部105からの操作情報を元に操作情報を解釈した後、ディスクドライブ部102とHDMI出力部104へ制御情報を送信し、各装置を制御する。信号処理部103は、例えばシステムLSIである。
【0015】
ここで、制御情報とは、ディスクドライブ部102や信号処理部103やHDMI出力部104の各装置を観察者の意図通りに動作するための情報であり、例えばユーザーからBD−ROM再生の指示があった場合にディスクドライブ部102に送信されるストリーム読み出し命令である。
【0016】
HDMI出力部104は、信号処理部103より受け取った映像信号及び音声信号を多重化し、HDMIフォーマット形式でディスプレイに信号を出力する。HDMI出力部104は、信号処理部103から伝送される制御情報を元に動作する。
[2.信号処理装置の構成]
図2に信号処理部103の構成図を示す。信号処理部103は、ストリーム分離部201と、音声デコーダ202と、グラフィックデコーダ203と、映像デコーダ204と、解像度向上部205とを備えた、立体映像および二次元映像の再生が可能な再生装置である。
【0017】
ストリーム分離部201は、ディスクドライブ部102より読み出された入力ストリームを、音声ストリーム、グラフィックストリーム、映像ストリームに分離し、音声ストリームを音声デコーダ202へ、グラフィックストリームをグラフィックデコーダ203へ、映像ストリームを映像デコーダ204へそれぞれ出力する。ここで、グラフィックスとは、例えば映画コンテンツ内のポップアップメニューのBD−Java(登録商標)、字幕等が該当する。ストリーム分離部201は、CPU207より伝送される制御情報を元に動作する。
【0018】
音声デコーダ202は、圧縮された音声ストリームを非圧縮のPCMデータにデコードする装置である。音声デコーダ202は、CPU207より伝送される制御情報を元に動作し、デコードされたベースバンド信号はHDMI出力部104に出力される。
【0019】
グラフィックデコーダ203は、グラフィックストリームを映像データにデコードする装置である。グラフィックデコーダ203は、CPU207より伝送される制御情報を元に動作する。立体映像コンテンツの場合、左眼用グラフィックスデータと右眼用グラフィックスデータが出力される。左眼用グラフィックスデータは映像デコーダ204より出力される左眼用映像データに合成される。右眼用グラフィックスデータは映像デコーダ204より出力される右眼用映像データに、合成される。
【0020】
ここで、左眼用映像データとは、立体映像コンテンツに含まれる左眼用の映像フレーム群である。右眼用映像データとは、立体映像コンテンツに含まれる右眼用の映像フレーム群である。
【0021】
映像デコーダ204は、圧縮された映像ストリームを非圧縮の映像フレーム群にデコードする装置である。映像デコーダ204は、CPU207より伝送される制御情報を元に動作する。立体用コンテンツの場合、映像デコーダ204より左眼用映像データと右眼用映像データが出力される。映像デコーダ204の後段で、左眼用映像データと左眼用グラフィックスデータを、右眼用映像データと右眼用グラフィックスデータを合成し解像度向上部205および左右相関抽出部206に伝達する。
【0022】
左右相関抽出部206は、映像デコーダ204から伝達される左眼用映像データと右眼用映像データより同時刻におけるフレームを抽出し、当該フレームにおける左右映像の視差量をブロック単位で算出し、左右相関情報信号として解像度向上部205に伝送する。
【0023】
ここで、左右相関情報信号とは、左眼用映像データに対する右眼用映像データの視差量を各画素に示した信号である。ここで視差量とは、左眼用映像データの画素の位置に対して右眼用映像データの画素のうち最も相関の高い画素の位置との差分量を示す。
左右相関情報信号は、右眼用映像フレームの各画素に1対1の関係で対応しており、各画素のおける視差量はサブピクセル単位で算出される。ここで、サブピクセル単位とは、1画素以下の小数点単位と定義する。
【0024】
左右相関抽出部206は、CPU207より伝送される制御情報を元に動作する。解像度向上部205は、左右相関抽出部206で算出された左右相関情報信号を元に、映像デコーダ204から伝達される左眼用映像データと右眼用映像データの合成画素位置情報を算出し、この合成画素位置情報を元に左眼用映像データと右眼用映像データを合成およびフィルタ演算する。ここで、合成画素位置情報とは、左眼用映像データと右眼用映像データを合成する際の合成順序を示した情報である。この処理により、左眼用映像データもしくは右眼用映像データと比較して高解像な二次元の映像信号をHDMI出力部104に出力する。解像度向上部205は、CPU207より伝送される制御情報を元に動作する。
【0025】
CPU207は、リモコン信号受信部105で受信したリモコン操作情報を受け取り、操作情報を解釈した後、ディスクドライブ部102、ストリーム分離部201、音声デコーダ202、グラフィックデコーダ203、映像デコーダ204、解像度向上部205、左右相関抽出部206、HDMI出力部104へ制御情報を送信し、各装置を制御する。
[3.左右相関抽出部]
左右相関抽出部206は、映像デコーダ204から伝達される左眼用映像データと右眼用映像データのフレーム群より同時刻におけるフレームを抽出し、当該フレームにおける左右映像の視差量をブロック単位で算出する装置である。
【0026】
図3において、左右相関抽出部206の左右相関抽出の概念を示す。ここで、左右相関抽出とは、右眼用映像データの各画素における視差量を算出する事である。同時刻における左眼用映像データと右眼用映像データをブロック単位に分割する。例えば、水平8画素、垂直8画素のブロック単位に分割する。
【0027】
ブロック301は右眼用映像データの映像ブロックの一例である。ここで、ブロック301に対する左右相関抽出の動作の説明をする。探索ウィンドウ302はブロック301と同サイズのウィンドウである。ブロック303は、ブロック301と同じ垂直位置で最も左側にあるブロック位置である。ブロック305は、ブロック301と同じ垂直位置および同じ水平位置のブロック位置である。ブロック306は、ブロック301と同じ垂直位置で最も右側にあるブロック位置である。
【0028】
まず、探索ウィンドウ302はブロック303に移動して、探索ウィンドウ302内とブロック301内の画素情報の差分値を算出する。ここで、画素情報の差分値とは、探索ウィンドウ302内の画素データと、対応するブロック301の画素データとの各差分を総和した値であり、評価関数を元に算出される。
【0029】
次に探索ウィンドウ302をブロック303から1画素右へ移動して、探索ウィンドウ302内の画素情報とブロック301内の画素情報の差分値を算出する。このように、探索ウィンドウ302を1画素右へ移動して画素情報の差分値を算出する試行を、探索ウィンドウ302がブロック306に到達するまで繰り返す。
【0030】
そして、探索ウィンドウ302内とブロック301内の画素情報の差分値が最小となる探索ウィンドウ302の位置を求める。ここで、探索ウィンドウ302の位置がブロック304の場合に、画素情報の差分値が最小となるならば、ブロック304とブロック305との水平位置の差がブロック301の視差量となる。
【0031】
図4において、視差量をサブピクセル単位で算出する手法の概念を示す。ブロック301の右眼用映像データの映像ブロックに対する視差量を取得する場合、ブロック305を基準とした探索ウィンドウ位置を横軸に、各探索ウィンドウ位置における探索ウィンドウ内とブロック301の画素情報の差分値を縦軸として、評価関数をプロットする。
【0032】
この結果、評価関数より関数401が得られるが、画素情報の差分値が最小となる探索ウィンドウ位置つまり視差量は最小点座標403となり、整数単位でのみ表現される。そこで、関数401の最小位相近傍を二次曲線で近似する事で関数402を得る。この結果、画素情報の差分値が最小となる探索ウィンドウ位置は最小点座標404となり、視差量をサブピクセル単位で算出できる。
【0033】
右眼用映像データの各ブロックに対して、探索ウィンドウを使った視差量の算出を繰り返し行い、これにより得られる右眼用映像データの全画素に対応した視差量を左右相関情報信号として、解像度向上部205に出力する。
[4.解像度向上部]
解像度向上部205は、左右相関抽出部206で算出された左右相関信号を元に、左眼用映像データと右眼用映像データを合成およびフィルタ演算し、左眼用映像データもしくは右眼用映像データと比較して高解像な二次元の映像信号をHDMI出力部104に出力する装置である。
【0034】
図5に、解像度向上部205の構成図を示す。合成画素位置算出部501は、左右相関抽出部206で算出された左右相関情報信号を元に、映像デコーダ204から伝達される左眼用映像データと右眼用映像データの合成画素位置情報を算出し、フィルタリング部502に送信する。
【0035】
フィルタリング部502は、合成画素位置算出部501より送信された合成画素位置情報を元に、映像デコーダ204から伝達される左眼用映像データと右眼用映像データを合成およびフィルタ演算して、片側の映像信号の解像度以上の水平解像度を持つ二次元映像を算出し、HDMI出力部104に伝送する。
【0036】
図6に、合成画素位置算出部501における左眼用映像データと右眼用映像データの合成画素位置情報の算出方法の概念を示す。図6は、ある時刻のあるラインの具体的なデータの一例である。図6(a)は配列601と配列602で構成された表である。配列601は左眼用映像の水平方向の画素配列である。ここで、画素配列とは、デコードされた映像データの1ライン内の各画素に対して、デコードされた順番に番号をつけた配列である。配列602は配列601の配列に対応する画素の水平方向の表示座標を示す。図6に示すように、配列601の各画素には、デコードされた順番に番号に付けられている。したがって、配列601は、左から順番にa_1,a_2,…,a_xで表されている。一方、配列602は、配列601の配列に対応する画素の水平方向の表示座標を示す。この場合、各画素はデコードされた映像データに対して、表示位置の変更なく出力されるため、左から順番に1,2,…,xが対応する。
【0037】
図6(b)は配列603と配列604と配列605と配列606で構成された表であり、配列603は右眼用映像データの水平方向の画素配列である。配列604は配列603の配列に対応する画素の水平方向の表示座標を示す。図6に示すように、配列601は、左から順番にb_1,b_2,…,b_xで表され、配列602は左から順番に1,2,…,xが対応する。
【0038】
配列605は、左右相関抽出部206で算出された視差量であり、配列603および配列604の各配列に対して1対1で対応する。配列606は、左眼用映像データを基準とした場合の配列603の表示座標を示した数列である。
【0039】
例えば、配列603がb_xで配列605がdである場合、配列606は(x+d)となる。つまり、右眼用映像データにおける画素b_xは、左眼用映像データを基準で考えた場合、(x+d)の表示座標に存在する事を示す。
【0040】
具体的に、図6(b)の配列603がb_2の場合で説明する。この場合、右眼用映像データにおける表示座標は配列604より2.0であるが、配列605より視差量が0.4であるため、左眼用映像データを基準で考えた場合のb_2の表示座標は2.0+0.4=2.4となる。
【0041】
図6(c)は配列607と配列608と配列609で構成された表である。配列607と配列608は、配列601と配列603を一つの配列とし、配列602と配列606の表示座標を用いてソートしたデータを示す表である。例えば、配列602と配列606の表示座標の中で最も小さな値はa_1の1.0であるため、配列608の一番左には1.0、配列607の一番左にはa_1が配置される。
【0042】
配列602と配列606の表示座標の中で、次に小さな値はb_1の1.4であるため、続いて配列608には1.4、配列607にはb_1が配置される。この試行を繰り返し、配列607を一つの配列に並び替える。配列607を一つの配列とした場合に、新たな文字で定義しなおした配列を配列609とする。配列608をxとした場合に、対応する配列607の配列をc_xとして配列609を定義する。合成画素位置算出部501では、左眼用映像データと右眼用映像データの合成画素位置情報として、配列607および配列608をフィルタリング部502に伝送する。
【0043】
次に、フィルタリング部502における左眼用映像データと右眼用映像データの合成およびフィルタ演算方法を示す。フィルタリング部502は、合成画素位置算出部501より送信される配列607および配列608の合成画素位置情報を元に、映像デコーダ204より送信される左眼用映像データおよび右眼用映像データに対してフィルタ演算を行う。
【0044】
例えば、水平1920画素×垂直1080画素のフルハイビジョン立体コンテンツから水平3840画素×垂直2160画素の二次元映像を出力する場合を想定する。この場合、配列608のxは0から1920までの実数で表現される。
【0045】
図6(c)のデータより水平3840の2倍拡大の出力映像を算出する事は、座標位置x = 0.5 , 1, 1.5, …, 1919.5 ,1920と、0.5刻みの座標位置の画素データをフィルタ演算で算出する事とみなせる。ここで、フィルタ演算は、左眼用映像データを基準とする。
【0046】
フィルタ演算で算出される画素をV_xと定義すると、x=n(整数)の場合、既に左眼用映像データが存在し、フィルタ演算による画素データ補間を行う必要がないため、V_n = [c_n] で表現できる。ここで、[c_n]とは、画素配列c_nにおけるデータ値である。
x=n(非整数)の場合、以下の式でフィルタ演算を行う。
【0047】
V_n =Σ_m M(n,(k1,k2, …,km),ki)* [c_ki] (ki= k1,k2,…,km)
ここで、Σ_mとは、後ろに続く数式における変数iの値を1,2,…,m と置き換えて得られる値の総和である。例えば、Σ_mの後ろに続く数式がf(i)の場合、
Σ_m f(i)= f(1)+f(2)+…+f(m)である。
mはフィルタ演算のTap数であり、k1,k2,…,kmは補間座標nの近傍にある配列609のうち、最も近傍となるm個の数列c_xの水平座標位置を示す。M(n,(k1,k2,…,km),ki)は重み関数であり、Σ_m M(n,(k1,k2,…,km),ki)=1の制約に基づいて設計し、|n−ki|の値が小さい程高い値を、|n−ki|の値が大きい程低い値を重み関数の出力値として割り当てる。
【0048】
一例として、図6(3)にて、2tapのフィルタを用いた場合の重み関数を、
ki = k1の場合、M(n,(k1,k2),ki) = |k2−n| / (|k1−n|+|k2−n|)
ki = k2の場合、M(n,(k1,k2),ki) = |k1−n| / (|k1−n|+|k2−n|)
と置く。
【0049】
例えば、n=2.5の座標の補間データV_2.5を算出する場合、配列608の表示座標のうち最も2.5に近い表示座標として、k1= 2.4 , k2 = 3.0となり、補間データV_2.5は以下の式で算出される。
V_2.5 = M(2.5,(2.4,3.0),2.4) * [c_2.4] + M(2.5, (2.4,3.0), 3.0) * [c_3.0]
= 5/6 × [c_2.4] + 1/6 × [c_3.0]
[5.まとめ]
つまり、本実施の形態の映像出力装置100は、立体映像に含まれる右眼用映像データと左眼用映像データとの相関を示す相関情報を抽出する左右相関抽出部206と、前記左眼用映像データ、前記右眼用映像データおよび前記相関情報に基づき、前記左眼用映像データおよび前記右眼用映像データより解像度の大きい非立体映像データを作成する解像度向上部205とを備える。
【0050】
これにより、立体映像内に含まれている映像解像度以上の解像度を持つ二次元映像を表示可能となる。
【0051】
また、本実施の形態の映像出力装置100は、左右相関抽出部206は、前記相関情報を、前記右眼用映像データもしくは前記左眼用映像データの画素間隔よりも小さい、サブピクセル単位で算出する。
【0052】
これにより、画素間隔よりも小さい、サブピクセル単位で右眼用映像データと左眼用映像データとの視差量を算出するので、拡大後の映像データに含まれる映像をより高品質にできる。
【0053】
また、本実施の形態の映像出力装置100は、左右相関抽出部206は、前記右眼用映像データ及び前記左眼用映像データのいずれか一方に含まれる第1の画素群と、他の一方に含まれ、前記第1の画素群と同一の大きさであり、その他の一方の映像データ内を移動する探索窓内に含まれる第2の画素群と比較することにより、前記相関情報を算出する。
(他の実施の形態)
本発明の実施の形態として、実施の形態1を例示した。しかし、本発明はこれには限らない。そこで、本発明の他の実施の形態を以下まとめて説明する。なお、本発明は、これらには限定されず、適宜修正された実施の形態に対しても適用可能である。
【0054】
実施の形態1において、映像出力装置100は立体映像および二次元映像の再生が可能な再生装置としたが、ここで映像とは、静止画もしくは動画を示す。
【0055】
実施の形態1において、ディスク101はブルーレイディスクとしたがこれには限らない。例えば、ハードディスク、SSD、半導体メモリなど立体映像を記録可能な媒体であればよい。
【0056】
実施の形態1において、HDMI出力部104から映像信号および音声信号を出力するものとしたがこれには限らない。例えば、HDMIではなくアナログ信号などで映像信号および音声信号を別々に出力しても良く、自装置の外部に対し、映像信号を出力できるものであればその形式は問わない。
【0057】
実施の形態1において、グラフィックデコーダ203から出力されるグラフィックスデータと映像デコーダ204から出力された映像データを合成するとしたがこれには限らない。例えば、映像デコーダ204から出力された映像データにグラフィックデコーダ203から出力されるグラフィックスデータを必ずしも合成しなくても良い。
【0058】
実施の形態1において、左右相関情報として左眼用映像データと右眼用映像データの各画素情報の差分値の最小点座標404を用いたが、これに限らない。例えば、映像ストリームに含まれるベクトル情報や視差情報を用いてもよい。言いかえれば、左眼用映像データもしくは右眼用映像データの画素に対して、もう一方の映像データの画素のうち相関の高い画素の位置が分かる情報であればよい。
【0059】
実施の形態1において、左右相関抽出部206は、映像デコーダ204から伝達される左眼用映像データと右眼用映像データより同時刻におけるフレームを抽出するとしたが、同時刻ではなく別時刻のフレームであってもよい。
【0060】
実施の形態1において、左右相関抽出部206で同じ垂直位置におけるブロック303からブロック306に対して画素情報の差分値を算出したが、これは同じ垂直位置のブロックに限定されない。異なる垂直位置のブロックに対しても画素情報の差分値を算出してよい。
【0061】
実施の形態1において、左右相関抽出部206でブロック単位に分割して探索ウィンドウを用いて左右相関情報の算出を行ったが、これはブロック単位に限定されるものではない。例えば、左眼用映像データもしくは右眼用映像データからオブジェクト抽出を行い、抽出されたオブジェクトを基準にして左右相関情報を算出してもよい。
【0062】
実施の形態1において、左右相関抽出部206でブロック単位に分割して探索ウィンドウを用いて左右相関情報の算出を行ったが、この方式に限らない。例えば、左眼用映像データに対して右眼用映像データ全体を水平方向にずらして相関の高い位置を算出する方法を用いてもよい。入れ方に限定されず、左右相関抽出部206を入れ替える事で、本発明と同等の効果を得られる。
【0063】
実施の形態1において、視差量をサブピクセル単位で算出する場合の評価関数として、各ピクセル間の差分総和を用いたが、これに限られない。要するに、任意の関数に対して対応可能であり、サブピクセル単位で算出可能ならば、本発明と同等の効果が得られる。
【0064】
実施の形態1において、サブピクセル単位で視差量算出のため、最小位相近傍を二次曲線で近似する手法を利用した。この手法はサブピクセル単位で視差量算出するための方式の一例であり、視差量算出可能な他の手法であっても良い。
【0065】
実施の形態1において、解像度向上部205は、左眼用映像データを基準として左眼用映像データと右眼用映像データを合成したが、左眼用映像データを基準にする事に限定しない。
【0066】
実施の形態1において、合成画素位置算出部501は、左右相関抽出部206で算出された左右相関情報信号を元に、映像デコーダ204から伝達される左眼用映像データと右眼用映像データの合成画素位置情報を算出するとしたがこれには限らない。例えば、映像デコーダ204からの入力情報である配列601、配列602、配列604、配列605を既値とする事で、左右相関抽出部206で算出された左右相関情報信号のみを用いて、左眼用映像データと右眼用映像データの合成画素位置情報を算出しても良い。
【0067】
実施の形態1において、2倍拡大の映像出力を一例としたが、これに限らず、任意の拡大率に対して適用可能である。
【0068】
実施の形態1において、解像度向上部205は、すべての画素群に対して、前記左眼用映像データおよび前記右眼用映像データを合成して前記画素に対応する前記非立体映像データを作成したが、これに限られるものではない。例えば、左眼用映像データと右眼用映像データの相関の高い一部の画素群に対してのみ、左眼用映像データおよび前記右眼用映像データを合成して、非立体映像データを作成する事も可能である。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明は、HDDプレーヤやBDプレーヤなど、立体映像を再生可能な再生装置に適用できる。
【符号の説明】
【0070】
100 映像出力装置
101 ディスク
102 ディスクドライブ部
103 信号処理部
104 HDMI出力部
105 リモコン信号受信部
201 ストリーム分離部
202 音声デコーダ
203 グラフィックデコーダ
204 映像デコーダ
205 解像度向上部
206 左右相関抽出部
207 CPU
301 ブロック
302 探索ウィンドウ
303 ブロック
304 ブロック
305 ブロック
306 ブロック
401 関数
402 関数
403 最小点座標
404 最小点座標
501 合成画素位置算出部
502 フィルタリング部
601 配列
602 配列
603 配列
604 配列
605 配列
606 配列
607 配列
608 配列
609 配列

【特許請求の範囲】
【請求項1】
立体映像に含まれる右眼用映像データと左眼用映像データとの相関を示す相関情報を抽出する抽出部と、
前記左眼用映像データ、前記右眼用映像データおよび前記相関情報に基づき、前記左眼用映像データおよび前記右眼用映像データより解像度の大きい非立体映像データを作成する解像度向上部と、
を備えた、映像変換装置。
【請求項2】
前記抽出部は、
前記相関情報を、前記右眼用映像データもしくは前記左眼用映像データの画素間隔よりも小さい、サブピクセル単位で算出する、請求項1に記載の映像変換装置。
【請求項3】
前記抽出部は、
前記右眼用映像データ及び前記左眼用映像データのいずれか一方に含まれる第1の画素群と、
他の一方に含まれ、前記第1の画素群と同一の大きさであり、その他の一方の映像データ内を移動する探索窓内に含まれる第2の画素群と比較することにより、前記相関情報を算出する、請求項1に記載の映像変換装置。
【請求項4】
前記解像度向上部は、
解像度向上処理を実行する画素が含まれる前記第1の画素群に対して算出された前記相関情報が示す相関の最大値が、第1の値の場合は、前記左眼用映像データおよび前記右眼用映像データを合成して前記画素に対応する前記非立体映像データを作成する一方、
解像度向上処理を実行する画素が含まれる前記第1の画素群に対して算出された前記相関情報が示す相関の最大値が、第1の値より小さい第2の値の場合は、前記左眼用映像データおよび前記右眼用映像データのいずれか一方から前記画素に対応する前記非立体映像データを作成する、請求項3に記載の映像変換装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−110446(P2013−110446A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−62331(P2010−62331)
【出願日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】