説明

映像提供装置、映像利用装置、映像提供システム、映像提供方法、および、コンピュータ・プログラム

【課題】監視カメラ等によって撮影された映像に含まれるプライバシー情報に配慮しながら、このような映像を様々な利用者に提供することができる映像提供装置を提供すること。
【解決手段】人物の属性の視覚的な特徴を表す属性特徴情報を、属性特徴情報蓄積装置2から取得する属性特徴情報取得部11と、撮像装置によって撮影された映像データを取得する映像データ取得部12と、映像データから人物領域を抽出する人物領域抽出部13と、人物領域に、属性特徴情報に合致する領域が含まれるか否かを判定する属性判定部14と、人物領域に属性特徴情報に合致する領域が含まれると判定された場合に、人物領域の少なくとも一部の領域の映像を含む人物映像情報を、その属性を有する人物の映像に関連する処理を行う映像利用装置3に送信する人物映像情報送信部15と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、監視カメラ等によって撮影された映像を他の装置に提供する映像提供装置、そのような映像提供装置から提供される映像を利用する映像利用装置、映像提供システム、映像提供方法、および、コンピュータ・プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、セキュリティの観点から、監視カメラ等によって撮影された映像に関する処理を行う装置が知られている。このような装置としては、例えば、屋内に侵入する人物を検出するものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、複数の監視カメラ等により取得された複数の画像から抽出される色情報に基づいて、複数の画像に存在する同一人物を識別するものもある(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
このような装置は、店舗内、駅構内、または、街中などのように、不特定多数の人物が行き交う場所が映された映像を監視する映像監視システムに採用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−41589号公報
【特許文献2】特開2009−231921号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、監視カメラ等によって撮影された映像には、一般的にプライバシー情報が含まれるとみなされる。したがって、特許文献1および特許文献2に記載されたものは、このようなプライバシー情報を利用可能な権限を持つ利用者(例えば、監視カメラのオーナーや、プライバシー情報を利用する権利を持つ公共機関など)しか利用できないという問題があった。
【0007】
本発明は、上述の課題を解決するためになされたもので、監視カメラ等によって撮影された映像に含まれるプライバシー情報に配慮しながら、このような映像を様々な利用者に提供することができる映像提供装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の映像提供装置は、人物の属性の視覚的な特徴を表す属性特徴情報を、属性特徴情報蓄積装置から取得する属性特徴情報取得部と、撮像装置によって撮影された映像データを取得する映像データ取得部と、前記映像データから人物領域を抽出する人物領域抽出部と、前記人物領域に、前記属性特徴情報に合致する領域が含まれるか否かを判定する属性判定部と、前記人物領域に前記属性特徴情報に合致する領域が含まれると判定された場合に、前記人物領域の少なくとも一部の領域の映像を含む人物映像情報を、前記属性を有する人物の映像に関連する処理を行う映像利用装置に送信する人物映像情報送信部と、を備える。
【0009】
また、本発明の映像利用装置は、上述の映像提供装置から所定の属性を有する人物に関する前記人物映像情報を取得する人物映像情報取得部と、前記人物映像情報に関連する処理を行う人物映像情報処理部と、を備える。
【0010】
また、本発明の映像提供システムは、上述の映像提供装置と、上述の映像利用装置と、前記属性特徴情報蓄積装置と、を備える。
【0011】
また、本発明の映像提供方法は、人物の属性の視覚的な特徴を表す属性特徴情報を属性特徴情報蓄積装置から取得し、撮像装置によって撮影された映像データを取得し、前記映像データから人物領域を抽出し、前記人物領域に、前記属性特徴情報に合致する領域が含まれるか否かを判定し、前記人物領域に前記属性特徴情報に合致する領域が含まれると判定された場合に、前記人物領域の少なくとも一部の領域の映像を含む人物映像情報を、前記属性を有する人物の映像に関連する処理を行う映像利用装置に送信する。
【0012】
また、本発明のコンピュータ・プログラムは、人物の属性の視覚的な特徴を表す属性特徴情報を属性特徴情報蓄積装置から取得する属性特徴情報取得ステップと、撮像装置によって撮影された映像データを取得する映像データ取得ステップと、前記映像データから人物領域を抽出する人物領域抽出ステップと、前記人物領域に、前記属性特徴情報に合致する領域が含まれるか否かを判定する属性判定ステップと、前記人物領域に前記属性特徴情報に合致する領域が含まれると判定された場合に、前記人物領域の少なくとも一部の領域の映像を含む人物映像情報を、前記属性を有する人物の映像に関連する処理を行う映像利用装置に送信する人物映像情報送信ステップと、をコンピュータ装置に実行させる。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、監視カメラ等によって撮影された映像に含まれるプライバシー情報に配慮しながら、このような映像を様々な利用者に提供することができる映像提供装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1実施の形態としての映像提供システムの構成を示す図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態としての映像提供システムを構成する各装置の機能ブロック図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態としての映像提供システムの動作を説明するフローチャートである。
【図4】本発明の第2実施の形態としての映像提供システムの構成を示す図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態としての映像提供システムを構成する各装置の機能ブロック図である。
【図6】本発明の第2の実施の形態としての映像提供システムが服装特徴情報を蓄積する動作を説明するフローチャートである。
【図7】本発明の第2の実施の形態としての映像提供システムが照合用情報を提供する動作を説明するフローチャートである。
【図8】本発明の第2の実施の形態としての映像提供システムが照合を行う動作を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0016】
(第1の実施の形態)
本発明の第1の実施の形態としての映像提供システム100の構成を図1に示す。
【0017】
図1において、映像提供システム100は、映像提供装置1と、属性特徴情報蓄積装置2と、映像利用装置3とを備える。また、映像提供装置1は、属性特徴情報蓄積装置2および映像利用装置3と、インターネット、LAN(Local Area Network)、公衆回線網、無線通信網またはこれらの組合せ等によって構成されるネットワークによってそれぞれ通信可能に接続されている。なお、図1では、映像提供装置1と、属性特徴情報蓄積装置2と、映像利用装置3とが同一のネットワークに接続されているが、映像提供装置1が属性特徴情報蓄積装置2と通信するネットワークは、映像提供装置1が映像利用装置3と通信するネットワークとは異なるものであってもよい。また、属性特徴情報蓄積装置2と、映像利用装置3とは、互いに通信可能でなくても構わない。
【0018】
次に、映像提供システム100を構成する各装置の機能ブロック構成を図2に示す。
【0019】
まず、映像提供装置1の機能ブロック構成について説明する。
【0020】
図2において、映像提供装置1は、属性特徴情報取得部11と、映像データ取得部12と、人物領域抽出部13と、属性判定部14と、人物映像情報送信部15と、を備えている。
【0021】
ここで、映像提供装置1は、CPU(Central Processing Unit)と、RAM(Random Access Memory)と、ROM(Read Only Memory)と、ハードディスク等の記憶装置と、ネットワークインタフェースと、周辺機器接続インタフェースとを備えたコンピュータ装置、および、撮像装置によって構成されている。撮像装置は、周囲を撮像することにより映像データを取得する装置であればよい。なお、このような撮像装置は、コンピュータ装置に内蔵されていてもよいし、ネットワークインタフェースや周辺機器接続インタフェースを介してコンピュータ装置の外部に接続されたものであってもよい。また、撮像装置は、一般的な監視カメラによって構成されていてもよい。
【0022】
属性特徴情報取得部11および人物映像情報送信部15は、ネットワークインタフェース、および、ROMまたは記憶装置に記憶されたコンピュータ・プログラムをRAMに読み込んで実行するCPUによって構成される。また、映像データ取得部12は、撮像装置、および、ROMまたは記憶装置に記憶されたコンピュータ・プログラムをRAMに読み込んで実行するCPUによって構成される。また、人物領域抽出部13および属性判定部14は、ROMまたは記憶装置に記憶されたコンピュータ・プログラムをRAMに読み込んで実行するCPUによって構成される。なお、映像提供装置1の各機能ブロックを構成するハードウェア構成は上述の構成に限定されない。
【0023】
属性特徴情報取得部11は、人物の属性の視覚的な特徴を表す属性特徴情報を、属性特徴情報蓄積装置2から取得する。ここで、属性特徴情報とは、その人物の属性を特徴づける情報であり、視覚的な特徴を表す情報をいう。例えば、属性は、その人物が所属する特定の学校、会社、組織のうちのいずれか1つ、あるいは2つ以上であってもよい。この場合、属性特徴情報は、たとえば、学校の校章、会社あるいは組織の紋章を表す画像、学校あるいは会社の制服の色情報、服装の形状を表す情報である。また、属性特徴情報は、画像データであってもよいし、そのような画像データの特徴を表す情報であってもよい。
【0024】
映像データ取得部12は、撮像装置によって撮影された映像データを取得する。映像データは、撮影場所及び撮影時刻の情報を含んでも良い。
【0025】
人物領域抽出部13は、映像データから人物領域を抽出する。人物領域の抽出処理には、公知の技術を適用すればよい。人物領域抽出部13が抽出する人物領域は、例えば、顔画像の部分と服装を着た身体部分を含む領域である。
【0026】
属性判定部14は、人物領域に、属性特徴情報に合致する領域が含まれるか否かを判定する。例えば、属性特徴情報が画像データである場合、属性判定部14は、人物領域に含まれる、属性特徴情報の画像と同サイズの領域と、属性特徴情報との類似度を求めてもよい。この場合、属性判定部14は、類似度が閾値以上であれば、人物領域に、属性特徴情報に合致する領域が含まれると判定してもよい。なお、この場合、画像同士の類似度を求める処理には、公知の技術を適用すればよい。
【0027】
人物映像情報送信部15は、人物領域に属性特徴情報に合致する領域が含まれると判定された場合に、人物映像情報を、映像利用装置3に送信する。ここで、映像利用装置3は、その属性を有する人物の映像に関する処理を行う装置である。また、人物映像情報は、人物領域の少なくとも一部の領域の映像を含むものであればよい。例えば、人物映像情報は、人物領域からさらに検出される顔部分の領域や、上半身の領域の映像を含むものであってもよい。また、人物映像情報には、そのような映像を表す情報の他、その映像が取得された時間や場所を表す情報等が含まれていてもよい。
【0028】
なお、もし、属性特徴情報蓄積装置2から、複数種類の属性に対応する複数の属性特徴情報を取得する場合、属性特徴情報取得部11は、各種類の属性に対応する属性特徴情報と共に、その属性を有する人物に関する映像を利用する映像利用装置3を識別する情報をさらに取得してもよい。また、この場合、属性判定部14は、各種類の属性特徴情報について、合致する領域が人物領域に含まれるか否かを判定してもよい。そして、その場合、人物映像情報送信部15は、1つの種類の属性に対して合致する領域が含まれると判定された属性特徴情報に対応付けられた映像利用装置3の識別情報を検出する。さらに、人物映像情報送信部15は、その識別情報に対応する映像利用装置3に対して、人物映像情報を送信するようにすればよい。
【0029】
次に、属性特徴情報蓄積装置2の機能について説明する。属性特徴情報蓄積装置2は、上述のような属性特徴情報を蓄積している。また、属性特徴情報蓄積装置2は、映像提供装置1からの要求に応じて、属性特徴情報を映像提供装置1に対して送信する。また、属性特徴情報蓄積装置2は、属性特徴情報に対応付けて、その属性を有する人物に関する映像を利用する映像利用装置3を識別する情報を蓄積するようにしてもよい。
【0030】
次に、映像利用装置3の機能ブロック構成について説明する。図2において、映像利用装置3は、人物映像情報取得部31と、人物映像情報処理部32とを備える。
【0031】
人物映像情報取得部31は、映像提供装置1から送信される上述の人物映像情報を受信する。
【0032】
人物映像情報処理部32は、受信した人物映像情報に対する所定の処理を行う。例えば、人物映像情報処理部32は、受信した人物映像情報に含まれる人物映像のデータと、あらかじめ記憶しておいた個人特徴情報とを照合することにより、人物の識別処理を行ってもよい。なお、人物映像情報処理部32が行う所定の処理は、人物の識別処理に限るものではない。例えば、人物映像情報処理部32が行う所定の処理は、人物映像情報に含まれる撮影場所や撮影時刻を集計する処理等であってもよい。
【0033】
以上のように構成された映像提供システム100の動作について、図3を参照して説明する。
【0034】
まず、映像提供装置1の属性特徴情報取得部11は、属性特徴情報蓄積装置2に対し、属性特徴情報を取得するための要求情報を送信し、その応答として属性特徴情報蓄積装置2から属性特徴情報を取得する(ステップS1)。この場合、属性特徴情報取得部11は、映像利用装置3の利用者にとって必要な属性に対応する属性特徴情報を取得することが好ましい。
【0035】
次に、映像データ取得部12は、撮像装置によって撮像された映像データを取得する(ステップS2)。
【0036】
次に、人物領域抽出部13は、ステップS2で取得された映像データから、人物領域を抽出する(ステップS3)。
【0037】
次に、属性判定部14は、ステップS3で抽出された人物領域に、ステップS1で取得された属性特徴情報に合致する領域が含まれるか否かを判定する(ステップS4)。
【0038】
ここで、人物領域に、属性特徴情報に合致する領域が含まれると判定された場合、人物映像情報送信部15は、人物領域の少なくとも一部の映像を含む人物映像情報を、映像利用装置3に対して送信し(ステップS5)、処理を終了する。
【0039】
一方、ステップS4で、人物領域に、属性特徴情報に合致する領域が含まれないと判定された場合は、映像提供装置1は、処理を終了する。
【0040】
ステップS5で人物映像情報を受信した映像利用装置3は、受信した人物映像情報に対する所定の処理を実行する。
【0041】
以上で、映像提供システム100の動作の説明を終了する。
【0042】
次に、本発明の第1の実施の形態の効果について述べる。
【0043】
本発明の第1の実施の形態としての映像提供装置は、監視カメラ等によって撮影された映像に含まれるプライバシー情報に配慮しながら、このような映像を様々な利用者に提供することができる。
【0044】
その理由は、属性判定部が、映像に含まれる人物領域に属性特徴情報に合致する領域が含まれる場合に、その人物領域の少なくとも一部の映像を含む人物映像情報を、その属性を有する人物の映像に関する処理を行う映像利用装置に提供するからである。これにより、本発明の第1の実施の形態としての映像提供装置は、監視カメラ等によって撮影された映像のうち、所定の属性を有する人物が映された人物領域の情報を、その属性を有する人物に関する処理を行うことが可能な映像利用装置に提供することになる。したがって、本発明の第1の実施の形態としての映像提供装置は、監視カメラ等によって撮影された映像のうち、情報提供先の映像利用装置が利用することができない属性を有する人物が映された領域については提供することがない。その結果、本発明の第1の実施の形態としての映像提供装置は、監視カメラのオーナーや公的機関ではない利用者によって利用される映像利用装置に対しても、不特定多数の人物のプライバシー情報を提供することなく、その映像利用装置においてプライバシー情報を閲覧してもよいとされる属性の人物が映された部分の映像を提供することができることになる。
【0045】
(第2の実施の形態)
次に、本発明の第2の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、本実施の形態の説明において参照する各図面において、本発明の第1の実施の形態と同一の構成および同様に動作するステップには同一の符号を付して本実施の形態における詳細な説明を省略する。
【0046】
まず、本発明の第2の実施の形態としての映像提供システム200の構成を図4に示す。図4において、映像提供システム200は、映像提供装置10と、服装特徴情報データベース(以降、服装特徴DBとも記載する)20と、照合装置30と、監視カメラ40と、服装特徴登録装置50とを備える。なお、監視カメラ40および服装特徴登録装置50は、映像提供システム200の外部に接続されていてもよい。映像提供装置10は、インターネット、LAN、公衆回線網、無線通信網またはこれらの組合せ等によって構成されるネットワークを介して、服装特徴DB20および照合装置30とそれぞれ通信可能に接続されている。また、映像提供装置10は、これらの各装置と、それぞれ異なるネットワークを介して接続されていてもよい。監視カメラ40は、映像提供装置10に直接、または、ネットワークを介して通信可能に接続される。また、服装特徴登録装置50は、服装特徴DB20にネットワークを介して通信可能に接続されている。服装特徴DB20は、本発明の属性特徴情報蓄積装置の一実施形態を構成し、照合装置30は、本発明の映像利用装置の一実施形態を構成する。
【0047】
次に、映像提供システム200を構成する各装置の機能ブロックについて、図5を参照して説明する。
【0048】
まず、映像提供装置10の機能ロックについて説明する。
【0049】
映像提供装置10は、服装特徴情報取得部101と、映像データ取得部102と、人物領域抽出部103と、服装特徴判定部109と、照合用情報生成部110と、照合用情報送信部111とを含む。さらに、映像提供装置10は、人物追跡部104と、顔画像抽出部105と、顔画像蓄積部106と、身体方向判別部107と、身体部位抽出部108とを含んでいてもよい。
【0050】
ここで、映像提供装置10は、本発明の第1の実施の形態としての映像提供装置1と同様な各要素を備えたコンピュータ装置によって構成される。また、服装特徴情報取得部101および照合用情報送信部111は、ネットワークインタフェース、および、ROMおよび記憶装置に記憶されたコンピュータ・プログラムモジュールをRAMに読み込んで実行するCPUによって構成される。また、人物領域抽出部103と、服装特徴判定部109と、照合用情報生成部110と、人物追跡部104と、顔画像抽出部105と、身体方向判別部107と、身体部位抽出部108とは、ROMおよび記憶装置に記憶されたコンピュータ・プログラムモジュールをRAMに読み込んで実行するCPUによって構成される。また、顔画像蓄積部106は、記憶装置によって構成される。なお、映像提供装置10を構成する各機能ブロックのハードウェア構成は、上述の構成に限定されない。
【0051】
また、映像提供装置10は、必ずしも1台のコンピュータ装置によって構成される必要はない。例えば、映像提供装置10は、映像解析処理を行うコンピュータ装置と、解析後の情報に対する各種処理を行うコンピュータ装置によって構成されていてもよい。この場合、映像解析処理を行うコンピュータ装置によって、服装特徴情報取得部101と、映像データ取得部102と、人物領域抽出部103と、服装特徴判定部109と、人物追跡部104と、顔画像抽出部105と、身体方向判別部107と、身体部位抽出部108とを構成してもよい。また、解析後の情報に対する各種処理を行うコンピュータ装置によって、顔画像蓄積部106と、照合用情報生成部110と、照合用情報送信部111とを構成してもよい。
【0052】
服装特徴情報取得部101は、属性特徴情報として、人物の属性に関連する服装の特徴を表す服装特徴情報を、服装特徴DB20から取得する。ここで、服装特徴情報とは、例えば、ある組織に所属する人物が着用する制服の左胸に縫い付けられた校章のマークが撮像された画像データであってもよい。また、服装特徴情報とは、このような画像データに基づく合致判定処理を容易にするよう、例えば、不要な周囲の画像を除外するなどの加工がなされたものであってもよい。あるいは、服装特徴情報とは、このような服装の特徴部分の色や形状などを表す情報であってもよい。
【0053】
また、服装特徴情報取得部101は、服装特徴情報と共に、その服装の特徴が現れる身体部位を示す情報を取得してもよい。例えば、服装特徴情報が上述のような制服の左胸に縫い付けられた校章のマークの画像データである場合、服装特徴情報取得部101は、服装特徴情報と共に「左胸」を表す情報を取得してもよい。
【0054】
また、服装特徴情報取得部101は、服装特徴情報と共に、その服装の特徴によって特定される属性を有する人物の照合を行う照合装置30を識別する情報を取得してもよい。照合装置30を識別する情報は、例えば、ネットワークを介した通信先として該装置を特定可能なアドレス等であってもよい。
【0055】
なお、服装特徴情報取得部101は、本発明の属性特徴情報取得部の一実施形態を構成する。
【0056】
映像データ取得部102は、監視カメラ40から送信される映像データを構成する各フレームを、時系列にしたがって取得する。
【0057】
人物領域抽出部103は、映像データ取得部102によって取得されたフレームから、人物が映されている人物領域を抽出する。
【0058】
人物追跡部104は、今回のフレームで抽出した人物領域と、他のフレームから抽出した人物領域とを比較して、同一人物であるか否かを判定する。複数の領域に映されている人物が同一人物であるか否かを判定する処理には、公知の技術を適用可能である。なお、人物追跡部104は、直前のフレームから抽出した人物領域と比較することにより同一人物であるか否かを判定してもよいし、過去の所定数のフレームから抽出した人物領域を表す情報を記憶しておくことにより、それらのフレームとの間で、同一人物であるか否かを判定してもよい。そして、同一人物でないと判定した場合、人物追跡部104は、今回のフレームで抽出した人物領域に新しい人物ID(識別情報)を付与する。一方、同一人物であると判定した場合、人物追跡部104は、同一人物が映されている他のフレームの人物領域に付与された人物IDを、今回のフレームから抽出した人物領域にも付与する。
【0059】
顔画像抽出部105は、人物領域抽出部103によって抽出された人物領域から顔の領域を検出する。顔の領域の検出処理には、公知の技術を適用可能である。そして、顔画像抽出部105は、顔の領域を検出できた場合、その領域に含まれる顔画像を、その人物領域に付与された人物IDに対応付けて、顔画像蓄積部106に蓄積する。
【0060】
なお、人物領域抽出部103、人物追跡部104、顔画像抽出部105、および、顔画像蓄積部106は、本発明の人物領域抽出部の一実施形態を構成する。
【0061】
身体方向判別部107は、人物領域を解析することにより、映されている人物の身体の方向を判別する。たとえば、身体方向判別部107は、人物領域抽出部103で抽出された人物の向いている方向が、監視カメラ40に対して正面から何度の角度の方向に向いているかを判別する。そして、身体方向判別部107は、その角度の情報を方向情報として、服装特徴判定部109に出力する。
【0062】
身体部位抽出部108は、服装特徴情報取得部101によってその服装特徴が現れる身体部位を表す情報が取得されている場合、人物領域抽出部103で抽出された人物領域からその身体部位を含む領域を抽出する。例えば、「左胸」という身体部位を表す情報が取得されている場合、人物領域から、左胸を含む上半身を表す領域を抽出してもよい。
【0063】
服装特徴判定部109は、人物領域に、服装特徴情報に合致する領域が含まれるか否かを判定する。この合致判定処理には、本発明の第1の実施の形態と同様に公知の技術を適用可能である。具体的には、服装特徴判定部109は、身体部位抽出部108によって該当の身体部位が抽出された領域において、服装特徴情報に合致する領域が含まれるか否かを判定してもよい。
【0064】
また、服装特徴判定部109は、身体方向判別部107によって身体方向が判別されている場合、人物領域を所定の身体方向になるよう正規化してから、服装特徴情報の合致判定処理を行ってもよい。例えば、身体方向が監視カメラ40に対して斜め右前を向いていると判定されていた場合、服装特徴判定部109は、身体が監視カメラ40に対して正面を向くように人物領域を正規化する画像処理を行う。そして、服装特徴判定部109は、正規化後の人物領域に、服装特徴情報に合致する領域が含まれるか否かを判定してもよい。また、服装特徴判定部109は、このような正規化処理を、身体部位抽出部108によって抽出された身体部位の領域に対して行ってもよい。
【0065】
なお、身体方向判別部107、身体部位抽出部108、および、服装特徴判定部109は、本発明の属性判定部の一実施形態を構成する。
【0066】
照合用情報生成部110は、服装特徴判定部109によって、服装特徴情報に合致する領域が含まれると判定された場合に、その人物領域に含まれる顔画像を含む人物映像情報を生成する。具体的には、照合用情報生成部110は、その人物領域に付与されている人物IDに対応付けられた顔画像を顔画像蓄積部106から取得する。そして、照合用情報生成部110は、取得した顔画像と、関連情報とを含む照合用情報を生成する。関連情報とは、例えば、今回のフレームの取得日時、撮影場所、監視カメラ識別情報、人物ID等であってもよい。
【0067】
照合用情報送信部111は、照合用情報を、照合装置30に対して送信する。なお、本発明の第1の実施の形態と同様に、服装特徴情報取得部101によって複数の服装特徴情報が取得されている場合、照合用情報送信部111は、服装特徴判定部109によって合致する領域が含まれると判定された服装特徴情報に対応付けられた照合装置30に対して、照合用情報を送信するようにする。
【0068】
なお、照合用情報生成部110および照合用情報送信部111は、本発明の人物映像情報送信部の一実施形態を構成する。
【0069】
次に、服装特徴DB20の機能ブロックについて説明する。
【0070】
図5において、服装特徴DB20は、服装特徴情報処理部201と、服装特徴情報蓄積部202とを備える。
【0071】
ここで、服装特徴DB20は、CPUと、RAMと、ROMと、記憶装置と、ネットワークインタフェースとを少なくとも備えた汎用的なコンピュータ装置によって構成される。服装特徴情報処理部201は、ネットワークインタフェースと、ROMまたは記憶装置に記憶されたコンピュータ・プログラムをRAMに読み込んで実行するCPUによって構成される。服装特徴情報蓄積部202は、記憶装置202によって構成される。なお、服装特徴DB20を構成する各機能ブロックのハードウェア構成は、上述の構成に限定されない。
【0072】
服装特徴情報処理部201は、服装特徴登録装置50等の外部装置から服装特徴情報を受信して、服装特徴情報蓄積部202に格納する。このとき、服装特徴情報処理部201は、受信した服装特徴情報に対して加工処理を行ってから服装特徴情報蓄積部202に格納するようにしてもよい。加工処理とは、例えば、服装特徴情報として校章が映された画像を受信した場合、その校章が映された画像に対する輪郭を鮮明にする画像処理や、陰影を除去する画像処理等であってもよい。また、服装特徴情報処理部201は、服装特徴情報と共にその特徴が現れる身体部位を表す情報を取得した場合、服装特徴情報と身体部位を表す情報とを対応付けて、服装特徴情報蓄積部202に格納してもよい。また、服装特徴情報処理部201は、服装特徴情報と共にその服装の特徴によって特定される属性を有する人物の照合を行う照合装置30の識別情報を受信した場合、服装特徴情報と照合装置30の識別情報とを対応付けて、服装特徴情報蓄積部202に格納してもよい。
【0073】
また、服装特徴情報処理部201は、映像提供装置10から服装特徴情報を要求されると、服装特徴情報蓄積部202に蓄積されている服装特徴情報を映像提供装置10に対して送信する。このとき、服装特徴情報処理部201は、服装特徴情報に対応付けられた情報があれば、それらの情報も送信する。
【0074】
服装特徴情報蓄積部202は、少なくとも服装特徴情報を格納している。また、服装特徴情報蓄積部202は、服装特徴情報に対応付けて、身体部位を表す情報や、その服装の特徴によって特定される属性を有する人物の照合を行う照合装置30の識別情報を格納していてもよい。
【0075】
次に、服装特徴登録装置50の機能ブロックについて説明する。
【0076】
図5において、服装特徴登録装置50は、服装特徴情報入力部501と、服装特徴情報送信部502とを備える。
【0077】
ここで、服装特徴登録装置50は、CPUと、RAMと、ROMと、記憶装置と、入力装置と、表示装置と、ネットワークインタフェースと、カメラとを備えた汎用的なコンピュータ装置によって構成される。服装特徴情報入力部501は、カメラと、入力装置と、表示装置とによって構成される。服装特徴情報送信部502は、ネットワークインタフェースと、ROMまたは記憶装置に記憶されたコンピュータ・プログラムをRAMに読み込んで実行するCPUによって構成される。なお、服装特徴登録装置50を構成する各機能ブロックのハードウェア構成は、上述の構成に限定されない。
【0078】
服装特徴情報入力部501は、服装の特徴を表す服装特徴情報を取得する。例えば、服装特徴情報入力部501は、制服の左胸に縫い付けられた校章の部分がカメラによって撮影された画像を、服装特徴情報として取得してもよい。あるいは、服装特徴情報入力部501は、あらかじめ記憶装置に記憶された画像ファイルを、服装特徴情報をとして取得してもよい。また、服装特徴情報入力部501は、その服装の特徴によって特定される属性を有する人物の照合を行う照合装置30を識別する情報をさらに取得してもよい。また、服装特徴情報入力部501は、その服装の特徴が現れる身体部位を表す情報をさらに取得してもよい。
【0079】
服装特徴情報送信部502は、服装特徴情報入力部501によって取得された服装特徴情報を、服装特徴DB20に送信する。もし、服装特徴情報入力部501によって、関連する照合装置30を識別する情報や、身体部位を表す情報が取得されている場合、服装特徴情報送信部502は、それらの情報も併せて、服装特徴DB20に送信する。
【0080】
次に、照合装置30の機能ブロックについて説明する。
【0081】
図5において、照合装置30は、照合用情報受信部301と、照合部302と、個人特徴情報蓄積部303とを備える。ここで、照合装置30は、CPUと、RAMと、ROMと、記憶装置と、ネットワークインタフェースとを備えた汎用的なコンピュータ装置によって構成される。照合用情報受信部301は、ネットワークインタフェースと、ROMまたは記憶装置に記憶されたコンピュータ・プログラムをRAMに読み込んで実行するCPUによって構成される。照合部302は、ROMまたは記憶装置に記憶されたコンピュータ・プログラムをRAMに読み込んで実行するCPUによって構成される。個人特徴情報蓄積部303は、記憶装置によって構成される。なお、照合装置30を構成する各機能ブロックのハードウェア構成は、上述の構成に限定されない。
【0082】
照合用情報受信部301は、映像提供装置10から、照合用情報を受信する。なお、照合用情報受信部301は、本発明の人物映像情報取得部の一実施形態を構成する。
【0083】
個人特徴情報蓄積部303は、映像に映された人物を個人識別するための個人特徴情報を記憶している。本実施形態では、個人特徴情報は、顔画像の特徴を表す情報であるものとする。また、個人特徴情報蓄積部303が蓄積する個人特徴情報は、照合装置30が照合することが可能な属性を有する人物の個人特徴情報である。
【0084】
照合部302は、受信された照合用情報に含まれる顔画像と、個人特徴情報蓄積部303に記憶された個人特徴情報とを照合することにより、照合用情報に含まれる顔画像を個人識別する処理を行う。照合部302は、本発明の人物映像情報処理部の一実施形態を構成する。
【0085】
以上のように構成された映像提供システム200の動作について、図面を参照して説明する。
【0086】
まず、映像提供システム200が、服装特徴情報を蓄積する動作について、図6を参照して説明する。なお、図6において、左側のフローは、服装特徴登録装置50の動作を表し、右側のフローは、服装特徴DB20の動作を表すものとする。
【0087】
ここでは、まず、服装特徴登録装置50の服装特徴情報入力部501は、服装特徴情報を取得する(ステップS31)。例えば、上述のように、服装特徴情報入力部501は、カメラを介して服装特徴情報を取得してもよいし、記憶装置から服装特徴情報を取得してもよい。また、上述のように、服装特徴情報入力部501は、服装特徴情報と共に、照合装置30を識別する情報や、身体部位を表す情報を取得してもよい。
【0088】
次に、服装特徴情報送信部502は、ステップS31で取得された服装特徴情報を、服装特徴DB20に送信する(ステップS32)。このとき、上述のように、ステップS31で服装特徴情報に関連する照合装置30を識別する情報や身体部位を表す情報が取得されていれば、服装特徴情報送信部502は、それらの情報も併せて、服装特徴DB20に送信する。
【0089】
次に、服装特徴情報を受信した服装特徴DB20の服装特徴情報処理部201は、受信した服装特徴情報を、服装特徴情報蓄積部202に格納する(ステップS33)。このとき、上述のように、服装特徴情報処理部201は、受信した服装特徴情報に対して加工処理を行ってから、服装特徴情報蓄積部202に格納するようにしてもよい。また、もし、上述のように、服装特徴情報と共にその特徴が現れる身体部位を表す情報や、関連する照合装置30の識別情報を受信した場合、服装特徴情報処理部201は、服装特徴情報とそれらの情報とを対応付けて、服装特徴情報蓄積部202に格納すればよい。
【0090】
以上で、映像提供システム200の服装特徴情報蓄積動作の説明を終了する。
【0091】
次に、映像提供装置10が、監視カメラ40から取得した映像を照合装置30に提供する動作について、図7を参照して説明する。
【0092】
ここでは、まず、映像提供装置10の映像データ取得部102は、監視カメラ40から撮影された映像データの1フレームを取得する(ステップS11)。
【0093】
次に、人物領域抽出部103は、ステップS11で取得されたフレームの画像から、人物領域を抽出する(ステップS12)。
【0094】
次に、人物追跡部104は、前回のステップS11で取得されたフレームにおいて前回のステップS12で抽出された人物領域と、今回のステップS12で抽出された人物領域とを比較することにより、これらの人物領域に映された人物が同一人物であるか否かを判断する(ステップS13)。
【0095】
ここで、同一人物であると判断すれば、人物追跡部104は、前フレームと同一の人物IDを、今回のステップS12で抽出された人物領域に対して割り振る(ステップS14)。
【0096】
一方、ステップS13において同一人物ではないと判断した場合、人物追跡部104は、ステップS12で抽出された人物領域に対して、新しい人物IDを割り振る(ステップS15)。なお、前回のステップS12において人物領域が抽出されなかった場合も、人物追跡部104は、今回抽出された人物領域に対して、新しい人物IDを割り振る。
【0097】
次に、身体方向判別部107は、抽出された人物領域に映された人物の身体の向きを判定する(ステップS16)。
【0098】
次に、身体部位抽出部108は、抽出された人物領域から、身体の各部位を表す領域を抽出する。例えば、身体部位抽出部108は、人物領域から、頭部、上半身、および、下半身のそれぞれの部位を表す領域を抽出してもよい(ステップS17)。
【0099】
次に、顔画像抽出部105は、頭部を表す領域から、顔画像を検出可能か否かを判断する(ステップS18)。
【0100】
ここで、顔画像が検出可能である場合、顔画像抽出部105は、検出した顔画像と、人物IDとを対応付けて、顔画像蓄積部106に保存する(ステップS19)。
【0101】
次に、服装特徴情報取得部101は、服装特徴DB20に登録されている服装特徴情報を入手する(ステップS20)。なお、服装特徴情報取得部101は、このステップを、ステップS11〜S19と並行して実行してもよいし、ステップS11の前にあらかじめ実行しておいてもよい。
【0102】
次に、服装特徴判定部109は、ステップS17で抽出された各身体部位を表す領域と、服装特徴DB20から取得した服装特徴情報とを照合する。具体的には、服装特徴判定部109は、服装特徴DB20から取得した服装特徴情報に対応付けられた身体部位を表す情報に基づいて、該身体部位を含む領域に、該服装特徴情報に合致する領域が含まれるか否かを判定する(ステップS21)。このとき、服装特徴判定部109は、身体方向判別部107で判別された身体方向に基づいて、該当する領域を所定の身体方向(例えば、正面方向)に正規化してから、判定を行うようにしてもよい。例えば、服装特徴情報に「左胸」を表す情報が対応付けられており、ステップS16で右向きと判別されている場合、服装特徴判定部109は、上半身を表す領域を正面方向に正規化してから、その領域に、その服装特徴情報に合致する領域が含まれるか否かを判定すればよい。また、服装特徴DB20から複数の服装特徴情報が取得されている場合、服装特徴判定部109は、各服装特徴情報についてステップS21の処理を行い、いずれかの服装特徴情報に合致する領域が含まれると判定した時点で、ステップS21の処理を終了するようにしてもよい。
【0103】
ここで、服装特徴DB20に登録されている服装特徴情報に合致する領域が人物領域に含まれていた場合(ステップS21でYes)、照合用情報生成部110は、この人物領域に割り振られた人物IDに対応付けられた顔画像を、顔画像蓄積部106から取得する(ステップS22でYes)。もし、その人物IDの顔画像が顔画像蓄積部106に登録されていない場合(ステップS22でNo)、照合用情報生成部110は、監視カメラ40から取得される後続のフレームにおけるステップS11からの処理で、その人物IDに対応する顔画像が登録されるまで待機する。
【0104】
次に、照合用情報生成部110は、ステップS22で取得された顔画像と、関連情報(今回のフレームの撮影時刻および撮影場所等の情報)とを含む照合用情報を生成する(ステップS23)。
【0105】
次に、照合用情報送信部111は、生成された照合用情報を照合装置30に対して送信する(ステップS24)。
【0106】
以上で、映像提供装置10は、照合装置30に映像を提供する動作を終了する。
【0107】
次に、照合用情報を受信した照合装置30の動作の説明を、図8を参照して説明する。
【0108】
図8において、照合装置30の照合用情報受信部301は、照合用情報を受信する(ステップS25)。
【0109】
次に、照合部302は、照合用情報に含まれる顔画像の特徴を解析する(ステップS26)。
【0110】
次に、照合部302は、照合用情報に含まれる顔画像の特徴と、個人特徴情報蓄積部303に記憶された個人特徴情報との照合を行う(ステップS27)。これにより、照合部302は、照合用情報に含まれる顔画像の特徴に合致する個人特徴情報が個人特徴情報蓄積部303にあれば、この顔画像の人物識別情報を特定することになる。
【0111】
以上で、映像提供システム200の人物照合動作の説明を終了する。
【0112】
次に、本発明の第2の実施の形態の効果について述べる。
【0113】
本発明の第2の実施の形態としての映像提供システムは、監視カメラで撮影された人物のプライバシー情報を閲覧可能な照合装置に対して、本人照合用の情報を提供することができる。
【0114】
その理由は、服装特徴DBが、人物の属性を特定可能な服装の特徴を表す服装特徴情報をあらかじめ登録しておき、映像提供装置が、監視カメラで撮影された映像における人物領域に、登録された服装特徴情報に合致する領域が含まれるか否かを判定し、含まれる場合に、その人物領域に含まれる顔画像を含む照合用情報を、その服装特徴情報により特定される属性を有する人物を照合可能な照合装置に提供するからである。
【0115】
これにより、本発明の第2の実施の形態としての映像提供システムは、街頭や店舗などの不特定多数の人物が行き交う場所に設置した監視カメラの映像を、プライバシー情報に配慮しながら様々な照合装置において利用可能とする。つまり、本発明の第2の実施の形態としての映像提供システムにおいて、監視カメラの映像を利用したい利用者は、該利用者がプライバシー情報を閲覧しても問題ないとみなされる人物の属性の視覚的な特徴を表す属性特徴情報を、あらかじめ属性特徴情報登録装置から属性特徴DBに登録しておく。これにより、このような利用者は、その属性特徴情報に合致する人物の顔画像および関連情報を照合装置に受信して、個人識別に利用することができることになる。一方で、このような利用者は、監視カメラの映像に映されている人物のうちその属性特徴情報に合致しない人物の映像(プライバシー情報)については照合装置に受信しない。したがって、本発明の第2の実施の形態としての映像提供システムは、プライバシー情報に配慮しながら、監視カメラの映像を様々な照合装置に提供可能となる。
【0116】
なお、本実施の形態では、照合用情報に、人物映像情報から検出される顔画像を含む例について説明したが、照合用情報に含む情報は、顔画像だけに限らない。例えば、照合用情報には、人物領域全体の画像が含まれていてもよいし、上半身の画像が含まれていてもよい。
【0117】
また、本実施の形態では、服装特徴情報は、服装の特徴であるものとして説明したが、人物の属性の視覚的な特徴を表す情報であれば、必ずしも服装の特徴でなくてもよい。例えば、服装特徴情報は、所属団体で規定される鞄の画像や、首から提げたロゴマーク入りIDカードの画像等であってもよい。
【0118】
また、上述した本発明の各実施の形態において、各フローチャートを参照して説明した映像提供装置の動作を、本発明のコンピュータ・プログラムとしてコンピュータ装置の記憶装置(記憶媒体)に格納しておき、係るコンピュータ・プログラムを当該CPUが読み出して実行するようにしてもよい。そして、このような場合において、本発明は、係るコンピュータ・プログラムのコード或いは記憶媒体によって構成される。
【0119】
また、上述した各実施の形態は、適宜組み合わせて実施されることが可能である。
【0120】
また、本発明は、上述した各実施の形態に限定されず、様々な態様で実施されることが可能である。
【0121】
また、上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
(付記1)
人物の属性の視覚的な特徴を表す属性特徴情報を、属性特徴情報蓄積装置から取得する属性特徴情報取得部と、
撮像装置によって撮影された映像データを取得する映像データ取得部と、
前記映像データから人物領域を抽出する人物領域抽出部と、
前記人物領域に、前記属性特徴情報に合致する領域が含まれるか否かを判定する属性判定部と、
前記人物領域に前記属性特徴情報に合致する領域が含まれると判定された場合に、前記人物領域の少なくとも一部の領域の映像を含む人物映像情報を、前記属性を有する人物の映像に関連する処理を行う映像利用装置に送信する人物映像情報送信部と、
を備えた映像提供装置。
(付記2)
前記属性特徴情報取得部は、前記属性特徴情報として、前記人物の属性に関連する服装の特徴を表す服装特徴情報を取得することを特徴とする付記1に記載の映像提供装置。
(付記3)
前記人物映像情報送信部は、前記人物領域に含まれる顔画像を前記人物映像情報に少なくとも含めて送信することを特徴とする付記1または付記2に記載の映像提供装置。
(付記4)
前記属性判定部は、前記人物領域における身体の向きを判別することにより、身体の向きが所定方向となるよう正規化した前記人物領域に、前記属性特徴情報に合致する領域が含まれるか否かを判定することを特徴とする付記1から付記3のいずれか1つに記載の映像提供装置。
(付記5)
前記属性特徴情報取得部は、前記属性特徴情報に関連する身体部位を表す情報を、前記属性特徴情報に加えてさらに取得し、
前記属性判定部は、前記人物領域から前記身体部位の領域を抽出し、抽出した領域に前記属性特徴情報に合致する領域が含まれるか否かを判定することを特徴とする付記1から付記4のいずれか1つに記載の映像提供装置。
(付記6)
前記映像データ取得部が、前記映像データを構成する複数のフレームを時系列にしたがって取得するとき、
前記人物領域抽出部は、当該フレームから抽出した人物領域が、他のフレームから抽出した人物領域と同一の人物を表すか否かを判定することにより、人物領域に人物IDを付与し、
前記人物映像情報送信部は、前記人物領域に前記属性特徴情報に合致する領域が含まれると判定された場合、当該フレームの人物領域および同一の人物IDが付与された他のフレームの人物領域の少なくとも1つに基づいて、前記人物映像情報を前記映像利用装置に送信することを特徴とする付記1から付記5のいずれか1つに記載の映像提供装置。
(付記7)
前記人物映像情報送信部は、前記人物領域に前記属性特徴情報に合致する領域が含まれると判定され、当該フレームの人物領域から顔画像を検出できない場合、同一の人物IDが付与された他のフレームの人物領域から検出される顔画像を少なくとも含めた前記人物映像情報を前記映像利用装置に送信することを特徴とする付記6に記載の映像提供装置。
(付記8)
付記1から付記7のいずれか1つに記載の映像提供装置から、所定の属性を有する人物に関する前記人物映像情報を取得する人物映像情報取得部と、
前記人物映像情報に関連する処理を行う人物映像情報処理部と、
を備えた映像利用装置。
(付記9)
前記所定の属性を有する人物を個人識別するための該人物の視覚的な特徴を表す個人特徴情報を蓄積する個人特徴情報蓄積部をさらに備え、
前記人物映像情報処理部は、前記人物映像情報と前記個人特徴情報とを照合することを特徴とする付記8に記載の映像利用装置。
(付記10)
付記1から付記7のいずれか1つに記載の映像提供装置と、
付記8または付記9に記載の映像利用装置と、
前記属性特徴情報蓄積装置と、
を備えた映像提供システム。
(付記11)
人物の属性の視覚的な特徴を表す属性特徴情報を属性特徴情報蓄積装置から取得し、
撮像装置によって撮影された映像データを取得し、
前記映像データから人物領域を抽出し、
前記人物領域に、前記属性特徴情報に合致する領域が含まれるか否かを判定し、
前記人物領域に前記属性特徴情報に合致する領域が含まれると判定された場合に、前記人物領域の少なくとも一部の領域の映像を含む人物映像情報を、前記属性を有する人物の映像に関連する処理を行う映像利用装置に送信する、映像提供方法。
(付記12)
人物の属性の視覚的な特徴を表す属性特徴情報を属性特徴情報蓄積装置から取得する属性特徴情報取得ステップと、
撮像装置によって撮影された映像データを取得する映像データ取得ステップと、
前記映像データから人物領域を抽出する人物領域抽出ステップと、
前記人物領域に、前記属性特徴情報に合致する領域が含まれるか否かを判定する属性判定ステップと、
前記人物領域に前記属性特徴情報に合致する領域が含まれると判定された場合に、前記人物領域の少なくとも一部の領域の映像を含む人物映像情報を、前記属性を有する人物の映像に関連する処理を行う映像利用装置に送信する人物映像情報送信ステップと、
をコンピュータ装置に実行させるコンピュータ・プログラム。
【符号の説明】
【0122】
1、10 映像提供装置
100、200 映像提供システム
2 属性特徴情報蓄積装置
3 映像利用装置
11 属性特徴情報取得部
12 映像データ取得部
13 人物領域抽出部
14 属性判定部
15 人物映像情報送信部
31 人物映像情報取得部
32 人物映像情報処理部
20 服装特徴DB
30 照合装置
40 監視カメラ
50 服装特徴登録装置
101 服装特徴情報取得部
102 映像データ取得部
103 人物領域抽出部
104 人物追跡部
105 顔画像抽出部
106 顔画像蓄積部
107 身体方向判別部
108 身体部位抽出部
109 服装特徴判定部
110 照合用情報生成部
111 照合用情報送信部
201 服装特徴情報処理部
202 服装特徴情報蓄積部
301 照合用情報受信部
302 照合部
303 個人特徴情報蓄積部
501 服装特徴情報入力部
502 服装特徴情報送信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
人物の属性の視覚的な特徴を表す属性特徴情報を、属性特徴情報蓄積装置から取得する属性特徴情報取得部と、
撮像装置によって撮影された映像データを取得する映像データ取得部と、
前記映像データから人物領域を抽出する人物領域抽出部と、
前記人物領域に、前記属性特徴情報に合致する領域が含まれるか否かを判定する属性判定部と、
前記人物領域に前記属性特徴情報に合致する領域が含まれると判定された場合に、前記人物領域の少なくとも一部の領域の映像を含む人物映像情報を、前記属性を有する人物の映像に関連する処理を行う映像利用装置に送信する人物映像情報送信部と、
を備えた映像提供装置。
【請求項2】
前記属性特徴情報取得部は、前記属性特徴情報として、前記人物の属性に関連する服装の特徴を表す服装特徴情報を取得することを特徴とする請求項1に記載の映像提供装置。
【請求項3】
前記人物映像情報送信部は、前記人物領域に含まれる顔画像を前記人物映像情報に少なくとも含めて送信することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の映像提供装置。
【請求項4】
前記属性特徴情報取得部は、前記属性特徴情報に関連する身体部位を表す情報を、前記属性特徴情報に加えてさらに取得し、
前記属性判定部は、前記人物領域から前記身体部位の領域を抽出し、抽出した領域に前記属性特徴情報に合致する領域が含まれるか否かを判定することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の映像提供装置。
【請求項5】
前記映像データ取得部が、前記映像データを構成する複数のフレームを時系列にしたがって取得するとき、
前記人物領域抽出部は、当該フレームから抽出した人物領域が、他のフレームから抽出した人物領域と同一の人物を表すか否かを判定することにより、人物領域に人物IDを付与し、
前記人物映像情報送信部は、前記人物領域に前記属性特徴情報に合致する領域が含まれると判定された場合、当該フレームの人物領域および同一の人物IDが付与された他のフレームの人物領域の少なくとも1つに基づいて、前記人物映像情報を前記映像利用装置に送信することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の映像提供装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の映像提供装置から、所定の属性を有する人物に関する前記人物映像情報を取得する人物映像情報取得部と、
前記人物映像情報に関連する処理を行う人物映像情報処理部と、
を備えた映像利用装置。
【請求項7】
前記所定の属性を有する人物を個人識別するための該人物の視覚的な特徴を表す個人特徴情報を蓄積する個人特徴情報蓄積部をさらに備え、
前記人物映像情報処理部は、前記人物映像情報と前記個人特徴情報とを照合することを特徴とする請求項6に記載の映像利用装置。
【請求項8】
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の映像提供装置と、
請求項6または請求項7に記載の映像利用装置と、
前記属性特徴情報蓄積装置と、
を備えた映像提供システム。
【請求項9】
人物の属性の視覚的な特徴を表す属性特徴情報を属性特徴情報蓄積装置から取得し、
撮像装置によって撮影された映像データを取得し、
前記映像データから人物領域を抽出し、
前記人物領域に、前記属性特徴情報に合致する領域が含まれるか否かを判定し、
前記人物領域に前記属性特徴情報に合致する領域が含まれると判定された場合に、前記人物領域の少なくとも一部の領域の映像を含む人物映像情報を、前記属性を有する人物の映像に関連する処理を行う映像利用装置に送信する、映像提供方法。
【請求項10】
人物の属性の視覚的な特徴を表す属性特徴情報を属性特徴情報蓄積装置から取得する属性特徴情報取得ステップと、
撮像装置によって撮影された映像データを取得する映像データ取得ステップと、
前記映像データから人物領域を抽出する人物領域抽出ステップと、
前記人物領域に、前記属性特徴情報に合致する領域が含まれるか否かを判定する属性判定ステップと、
前記人物領域に前記属性特徴情報に合致する領域が含まれると判定された場合に、前記人物領域の少なくとも一部の領域の映像を含む人物映像情報を、前記属性を有する人物の映像に関連する処理を行う映像利用装置に送信する人物映像情報送信ステップと、
をコンピュータ装置に実行させるコンピュータ・プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−46135(P2013−46135A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−181373(P2011−181373)
【出願日】平成23年8月23日(2011.8.23)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】