説明

映像表示装置及び映像表示システム

【課題】記憶効果の特性を有する表示素子を使用して、画面全体として良好な表示特性が得られる表示パネルを備えた大型の映像表示装置を実現する。
【解決手段】映像表示装置は、表示タイル41と、複数の表示タイル42が接合されて構成される表示パネルとを備えた構成であり、表示タイル41、42は、記憶効果の特性を有する表示素子30の配列により構成される。表示タイル41は、表示素子30が一定間隔で配列されて、かつ他の表示タイル42と接合した場合に、他の表示タイル42の表示素子30との間隔も一定間隔になるように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、記憶効果の特性を有する表示素子から構成される映像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、例えば店舗内で広告などの情報提示用として映像表示装置が活用されている。また、展示場などの施設において、展示物などの情報提示用として特に大型の映像表示装置が活用されている。
【0003】
このような映像表示装置は、デジタルサイネージシステムと呼ばれる映像配信システムから配信される映像を表示するディスプレイとして使用されることが多い。映像表示装置は、情報提示の表示形態として動画像又は静止画像のいずれの場合にも適用されている。
【0004】
ところで、動画像を表示する場合には表示内容が連続的に変化するが、例えばポスター等の静止画像は表示内容が変化しない。この静止画像の表示の場合でも、映像表示装置は表示動作のための電力を消費することになる。
【0005】
そこで、電力消費を節約するために、いわゆる電子ペーパーなどに利用される表示素子を使用する映像表示装置の開発が提案されている。電子ペーパーは、記憶効果の特性を有する表示素子により、表示更新時にのみ電源を必要とし、電源が供給されていなくても表示内容を保持することができるデバイスである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−75863号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
記憶効果の特性を有する表示素子を使用する映像表示装置は、電力消費を節約できるため有用である。しかしながら、電子ペーパーとは異なり、デジタルサイネージシステムなどに利用される映像表示装置は、大型の表示パネルを有する。大型の表示パネルは、複数の表示部材を組み合わせて構成する。このため、組み合わせ部分で、良好な表示特性を得られないなどの課題がある。
【0008】
そこで、記憶効果の特性を有する表示素子を使用して、画面全体として良好な表示特性が得られる表示パネルを備えた大型の映像表示装置を実現することが求められる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本実施形態によれば、映像表示装置は、表示タイルと、複数の前記表示タイルが接合されて構成される表示パネルとを備えた構成である。表示タイルは、記憶効果の特性を有する表示素子の配列により構成される。前記表示タイルは、前記表示素子が一定間隔で配列されて、かつ他の表示タイルと接合した場合に、当該他の表示タイルの表示素子との間隔も前記一定間隔になるように構成されている。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】実施形態に関する映像配信システムの構成を説明するためのブロック図。
【図2】実施形態に関する映像表示装置の表示パネルの構成を説明するための図。
【図3】実施形態に関する表示タイルの構成を説明するための図。
【図4】実施形態に関する表示タイルの構成を説明するための図。
【図5】他の実施形態に関する表示パネルの効果を説明するための図。
【図6】他の実施形態に関する表示パネルの構成を説明するための図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下図面を参照して、実施形態を説明する。
【0012】
[システムの構成]
図1は、本実施形態の映像表示装置10を有する映像配信システムの構成を示すブロック図である。
【0013】
本実施形態の映像表示装置10は、後述するように、例えばセグメント方式と呼ばれる構造の大型表示画面11を備えた構成である。映像表示装置10は、ネットワーク12を介して、映像配信システムのサーバ13に接続されている。
【0014】
また、映像表示装置10は、LEDコントローラ14から配信されるデータに応じた映像(動画像又は静止画像)を表示する。
【0015】
また、映像表示装置10は、ネットワーク12を介してLEDコントローラ14から配信された映像データに応じて、表示画面11上に表示する映像(画像)の画角調整や各表示素子に対する表示制御を行なう表示制御部を有する。
【0016】
ネットワーク12は、無線又は有線のLANやインターネットなど通信ネットワークである。
【0017】
サーバ13は、広告用や展示用などの情報を生成する情報処理機能、及び映像表示装置10に配信する映像データを生成する画像処理機能を有する。サーバ13は、画像処理機能により、映像表示装置10の解像度(表示サイズ)に応じた映像データを生成する。さらに、映像表示装置10は、USBメモリー等の記憶媒体に接続するスロットを含み、記憶媒体から読み出されるデータに応じた映像を生成できる構成であってもよい。
【0018】
LEDコントローラ14は、サーバ13から受けたデータに基づいて、映像表示装置10へRGBなどのLED表示に関するデジタルデータ(映像信号)を送出して表示画面をコントロールする。
【0019】
このような映像配信システムにより、本実施形態の映像表示装置10を例えば競馬場、空港、店舗内に設置することにより、映像表示装置10の表示画面11にサーバ13から配信される広告情報などの映像を表示するデジタルサイネージシステムを構築することができる。
【0020】
[映像表示装置の構成]
図2から図4は、本実施形態の映像表示装置10の構成を説明するための図である。
【0021】
図2は、映像表示装置10の表示画面11を構成するための表示パネル20の構成を示す図である。表示パネル20は、例えば1辺が1m程度の大型パネルである。表示パネル20は、多数の表示タイル21をマトリックス状に配列した構成である。即ち、表示パネル20は、多数の表示タイル21が接合されて構成されている。
【0022】
1個の表示タイル21は、図3に示すように、多数の表示素子30が一定間隔(a)で配列されている構成である。表示タイル21は、例えば1辺が20〜30cm程度の正方形である。1個の表示素子30は、例えば電子ペーパー用の表示素子であり、記憶効果を有する特性、即ち電源の供給が停止されても表示内容を保持する機能を発揮する表示素子である。具体例としては、表示素子30は、例えばコレステリック(Cholesteric)液晶素子である。
【0023】
表示タイル21は、電源の印加で各表示素子30がオンになると、表面上に視認できる表示状態となる。ここで、表示内容の更新には電源の印加が必要となるが、電源の印加がオフになっても、それまでの表示内容を保持する。なお、当然ながら、表示タイル21は、黒色のみではなくカラー表示が可能なものや、色の濃淡を表現する階調表現が可能なものもある。
【0024】
図4は、2個の表示タイル(タイル1,2)41,42が接合されている状態を示す図である。図4に示すように、各表示タイル41,42では、各表示素子30は素子間が一定間隔(a)で配列されている。さらに、各表示タイル41,42では、接合部となる表端面部分43からは一定間隔(a)のほぼ1/2間隔(a/2)になるように、各表示素子30が配列されている。
【0025】
このような構成の表示タイル21を接合して、図2に示すように、表示パネル20を構成した場合に、各表示タイル21の接合部分での表示状態は、各表示タイル毎の表示状態と整合性が取れるように良好な表示特性となる。即ち、図4に示すように、1個の表示タイル41では多数の表示素子が一定間隔(a)で配列されると共に、他の表示タイル42と接合した場合に、当該他の表示タイル42の表示素子30との間隔も、「2×(a/2)=a」となり、一定間隔(a)となる。
【0026】
以上のようにして、例えば電子ペーパー用の表示素子であり、記憶効果を有する特性の多数の表示素子30を配列した表示タイル21を接合し、大型の1枚の表示パネル20を構成することができる。この場合、任意の数の表示タイル21を組み合わせることにより、任意の大きさの表示パネル20を構成することが可能である。
【0027】
このような大型の表示パネル20により表示画面11を構成する映像表示装置10であれば、例えば電子ペーパーと同様に、電源供給がオフになっても表示内容を保持できる表示機能を実現することができる。また、本実施形態の表示パネル20であれば、各表示タイル21を接合部分においても、表示素子が一定間隔(a)で配列されるため、視覚的に違和感のない表示状態を実現することができる。
【0028】
要するに、例えば電子ペーパーより大型で、画面全体として表示特性が良好な1枚の大型の表示パネル20を実現できる。このため、デジタルサイージシステムに適用する有用な映像表示装置を提供することができる。また、電子ペーパーと同様の表示機能を実現できるため、映像データに応じた表示内容を更新した後では、電源供給を停止しても表示内容を保持できる。従って、電力消費を節約できる映像表示装置を提供することができる。
【0029】
[他の実施形態]
図5及び図6は、他の実施形態に関する表示パネルの構成を説明するための図である。
【0030】
図5(A)は、例えば4個の表示タイル51〜54を組み合わせて構成した表示パネルを示す図である。図5(B)は、各表示タイル51〜54において、一定間隔で表示素子30が配列されている構成を示す図である。
【0031】
ここで、図5(A)に示すように、4個の表示タイル51〜54を組み合わせた場合に、その接合部55は、4つの接合部で形成されるため、強度が低く、かつ接合状態が不安定になる可能性が高い。
【0032】
これに対して、本実施形態の表示パネルは、図6(A)に示すように、例えば4個の表示タイル61〜64を組み合わせる場合に、1個の表示タイル61を1辺当たりのサイズを他の表示タイル62〜64より大きくなるように構成する。なお、図6(B)は、各表示タイル61〜64において、一定間隔で表示素子30が配列されている構成を示す図である。
【0033】
本実施形態の表示パネルであれば、図6(A)に示すように、4個の表示タイル61〜64を組み合わせた場合に、その接合部65は、3つの接合部で形成される。従って、相対的に強度が高く、かつ接合状態が安定になる。また、各表示タイル61〜64の接合線が目立ち難いという効果もある。
【0034】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0035】
10…映像表示装置、11…表示画面、12…ネットワーク、
13…サーバ、14…LEDコントローラ、20…表示パネル、
21,41,42…表示タイル、
43,55,65…接合部、30…表示素子。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記憶効果の特性を有する表示素子の配列により構成される表示タイルと、
複数の前記表示タイルが接合されて構成される表示パネルとを有し、
前記表示タイルは、
前記表示素子が一定間隔で配列されて、かつ他の表示タイルと接合した場合に、当該他の表示タイルの表示素子との間隔も前記一定間隔になるように構成されている映像表示装置。
【請求項2】
前記表示タイルは、
前記表示素子が相互に一定間隔で配列されて、他の表示タイルと接合する接合部からの間隔が前記一定間隔のほぼ1/2になるように構成されている請求項1に記載の映像表示装置。
【請求項3】
前記表示タイルは、
前記表示素子として電子ペーパー用表示素子が使用されることを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれか1項に記載の映像表示装置。
【請求項4】
データ送信装置とネットワークを介して接続する表示制御装置を含み、
前記表示制御装置は、
前記データ送信装置から送信されるデータに応じて前記表示素子に対する表示制御を実行し、前記表示パネルに前記データに応じた映像を表示するように構成されていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の映像表示装置。
【請求項5】
請求項4に記載の映像表示装置と、
前記映像を表示するためのデータを生成し、前記データ送信装置により前記データを送信するように制御するコンピュータと
を具備したことを特徴とする映像表示システム。
【請求項6】
前記表示タイルは、
前記表示素子として、電源供給が停止されても表示内容を保持する液晶表示が使用されることを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれか1項に記載の映像表示装置。
【請求項7】
前記表示パネルは、
複数の表示タイルが接合されて構成される場合に、当該各表示タイルが接合される接合部が表示タイル数より小さい数からなるように構成されることを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれか1項に記載の映像表示装置。
【請求項8】
前記複数の表示タイルの中で、任意の1個の表示タイルの1辺のサイズが他の表示タイルより大きく構成されることを特徴とする請求項7に記載の映像表示装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2012−189627(P2012−189627A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−50619(P2011−50619)
【出願日】平成23年3月8日(2011.3.8)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】