説明

映像記録装置

【課題】映像記録装置で、例えば、HDDにとって記録欠損が発生し易い温度条件下においても、記録欠損を防止するとともに、長時間記録を行い、更にHDDの信頼性向上を図る。
【解決手段】制御手段21は、映像記録装置1の電源がオンにされたときに、HDD23の電源がオフとなり、SSD24の電源がオンとなり、HDDが記録不可に設定されるように制御する処理と、所定のタイミングでHDDが記録可能に設定されていればSSDからHDDへ転送記録する処理と、所定の時間間隔毎に、温度検出手段13、14の検出温度が所定の範囲外である場合には、HDDを記録不可に設定し、温度調整手段15〜19により温度を調整する一方、検出温度が所定の範囲内である場合には、HDDの電源がオフであればオンとし、HDDを記録可能に設定する処理を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、映像データを記録する映像記録装置に関し、特に、例えば、データ記録媒体であるハードディスクドライブ(HDD:Hard Disk Drive)にとって記録欠損が発生し易い温度条件下において、記録欠損を防止するとともに、長時間記録を行い、更にHDDの信頼性向上を図る映像記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、鉄道車両、バス車両、又は屋外等にて監視カメラ及び映像記録装置を備え、車両内又は屋外等の状況を映像監視するとともに映像データをHDD等の記録媒体に保存し、犯罪及び事故等の異常事態発生時の状況を記録された映像データを用いて確認することが行われている。
これらの映像記録装置では、複数の監視カメラの映像データを記録や読み出しする媒体として機械的な可動部を用いたHDDを内蔵して長時間記録を行う方式や、若しくは、半導体で構成されたフラッシュメモリを内蔵して短時間記録を行う方式や、若しくは、これら両方を内蔵して記録を行う方式がとられている。
【0003】
図4には、従来例に係る映像記録装置101の一例、及び映像送出装置102、映像表示装置103を示してある。
本例の映像記録装置101は、映像入力部111、映像出力部112、制御部113、RAM(Random Access Memory)114、HDD115、これらを接続するバス116を備えている。
本例の映像記録装置101では、記録媒体としてHDD115を用いており、映像データの記録、読み出しの方法を示す。
【0004】
映像送出装置102から送出された映像データは、映像記録装置101の制御部113からの指示にて、映像入力部111を介してRAM114に一次蓄積される。その後、RAM114に溜められた映像データを、制御部113からの指示にて、定めた容量単位毎にRAM114からHDD115へ転送記録する。また、映像データの読み出しを行う時には、制御部113からの読み出し指示にて、HDD115から読み出しを行い、映像出力部112から映像表示装置103へ送出する。
【0005】
図5には、従来例に係る映像記録装置121の一例、及び映像送出装置122、映像表示装置123を示してある。
本例の映像記録装置121は、映像入力部131、映像出力部132、制御部133、RAM134、フラッシュメモリ135、これらを接続するバス136を備えている。
ここで、半導体で構成されたフラッシュメモリ135としては、CF(Compact Flash)(登録商標)やSD(Secure Digital)(登録商標)等が適用されている。
本例の映像記録装置121では、記録媒体として半導体で構成されたフラッシュメモリ135を用いており、映像データの記録、読み出しの方法を示す。
【0006】
映像送出装置122から送出された映像データは、映像記録装置121の制御部133からの指示にて、映像入力部131を介してRAM134に一次蓄積される。その後、RAM134に溜められた映像データを、制御部133からの指示にて、定めた容量単位毎にRAM134からフラッシュメモリ135へ転送記録する。また、映像データの読み出しを行う時には、制御部133からの読み出し指示にて、フラッシュメモリ135から読み出しを行い、映像出力部132から映像表示装置123へ送出する。
【0007】
図6には、従来例に係る映像記録装置141の一例、及び映像送出装置142、映像表示装置143を示してある。
本例の映像記録装置141は、映像入力部151、映像出力部152、振動検出部153、制御部154、RAM155、HDD156、フラッシュメモリ157、これらを接続するバス158を備えている。
ここで、半導体で構成されたフラッシュメモリ157としては、CF(Compact Flash)(登録商標)やSD(Secure Digital)(登録商標)等が適用されている。
本例の映像記録装置141では、記録媒体としてHDD156と半導体で構成されたフラッシュメモリ157の両方を用いており、映像データの記録、読み出しの方法を示す。
【0008】
映像送出装置142から送出された映像データは、映像記録装置141の制御部154からの指示にて、映像入力部151を介してRAM155に一次蓄積される。その後、RAM155に溜められた映像データを、制御部154からの指示にて、定めた容量単位毎にRAM155からHDD156へ転送記録する。この際、HDD156では振動や衝撃を受けた場合には記録が正常に行われないことがあるため、振動検出部153において振動検出を行い、その結果、HDD156に記録を行う条件に適さない場合には、RAM155に溜められた映像データを、制御部154からの指示にて、半導体で構成されたフラッシュメモリ157へ転送記録する。
その後、振動検出部153において振動検出を行い、その結果、HDD156に記録を行う条件に適するようになった時点で、半導体で構成されたフラッシュメモリ157からHDD156へ映像データを転送記録する。また、映像データの読み出しを行う時には、制御部154からの読み出し指示にて、HDD156から読み出しを行い、映像出力部152から映像表示装置143へ送出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2004−289307号公報
【特許文献2】特開2001−298691号公報
【特許文献3】特開2007−116594号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上述のような従来の映像記録装置では、次のような問題があった。
まず、図4に示される映像記録装置101では、記憶媒体として機械的な可動部を有するHDD115を用いているため、振動及び衝撃の影響を受けて、正常にデータ記録を行えない場合やディスクそのものにダメージを受けて記録を行えない場合などが発生し、映像データの記録欠損が生じ得るといった問題があった。
【0011】
次に、図5に示される映像記録装置121では、記録媒体として半導体で構成されたフラッシュメモリ135を用いているため、HDDを用いる場合のような振動、衝撃及び温度環境の影響を受けない方法であるが、次のような問題があった。
すなわち、半導体で構成されたフラッシュメモリ135としては、CF(Compact Flash)(登録商標)やSD(Secure Digital)(登録商標)等が適用されている。しかしながら、記憶媒体への書き込み速度としては、HDDにおいては100MB/sec以上の速度にて書き込みが行えるのに対して、16ビットPCカードスロットを介したCF(Compact Flash)(登録商標)では5.3MB/sec、SD(Secure Digital)(登録商標)では22.5MB/secと、HDDに対して書き込み速度が遅い。このため、接続する映像送出装置122の台数を増やしていった場合に、RAM134に一時蓄積する映像データを半導体で構成されたフラッシュメモリ135へ記録転送する前に容量不足に陥り、映像データの記録欠損が生じ得るといった問題があった。
また、長時間記録を行えるHDDの記憶容量に対して極めて少ない記憶容量となってしまい、HDDと同等の記憶容量を確保するにはコストが増加するといった問題もあった。
【0012】
次に、図6に示される映像記録装置141では、記憶媒体として機械的な可動部を有するHDD156と半導体で構成されたフラッシュメモリ157の両方を用いており、振動検出部153から取得する振動値に対する判定を行うことにより、HDD156に記録可能と判断した場合にはHDD156に記録を行い、HDD156に記録不可能と判断した場合には、CF(Compact Flash)(登録商標)やSD(Secure Digital)(登録商標)等の半導体で構成されたフラッシュメモリ157に記録を行う。このため、映像データの記録欠損は軽減されるが、上述したようにHDDに対して書き込み速度が遅いため、接続する映像送出装置142の台数を増やしていった場合に、振動検出部153から取得する振動値に対する判定結果としてHDD記録不可能と判断した状況が長く続くと、RAM155に一時蓄積する映像データを半導体で構成されたフラッシュメモリ157へ記録転送する前に容量不足に陥り、映像データの記録欠損が生じ得るといった問題があった。
【0013】
また、(図4)や(図6)に示される映像記録装置101、141では、記憶媒体であるHDD115、156は機械的な可動部を有しているが、温度環境によっては、金属部分の膨張や収縮が起こり、HDD内部のディスク表面に浮上している磁気ヘッドの浮上高が適切な高さを保てないために、記録性能が低下する可能性やディスクにダメージを受けて記録を行えないなど、映像データの記録欠損が生じ得るといった問題があった。これについては、例えば、装置起動中に温度センサを読み取るなどして判定を行い、判定結果として書き込み不可と判断した場合にはHDD115、156に記録を行わないという制御を行っている装置もあるが、装置電源投入直後には考慮されておらず、HDD電源を起動した後に判定制御を行っているため、HDD115、156に負荷を与えてしまい、信頼性の低下につながるといった問題があった。
【0014】
なお、動作保障温度範囲が広い(例えば、−30℃〜85℃)HDDも存在はするが、現時点では記憶容量が80GBであり、通常の動作保障温度範囲(5℃〜60℃)であるHDDの記憶容量(例えば、1TB以上)と比較すると、記憶容量が少なく長時間記録が行えないことになり、通常品と同等の記憶容量を確保するにはコストが増加するという問題が発生する。また、搭載するHDDの数が増加すると、装置としてのMTBF(Mean Time Between Failure:平均故障間隔)も下がることとなり問題となる。
【0015】
本発明は、上記のような従来の事情に鑑み為されたもので、例えば、データ記録媒体であるHDDにとって記録欠損が発生し易い温度条件下において、記録欠損を防止するとともに、長時間記録を行い、更にHDDの信頼性を向上させることができる映像記録装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的を達成するため、本発明では、映像データを記録する映像記録装置において、次のような構成とした。
すなわち、入力手段が記録対象となる映像データを入力し、ソリッドステートドライブ(SSD:Solid State Drive)が前記入力手段により入力された映像データを記録する。また、映像データを記録するハードディスクドライブ(HDD)、前記HDDに関して温度を検出する温度検出手段、前記HDDに関して温度を調整する温度調整手段を備える。
そして、制御手段が、当該映像記録装置の電源がオンにされたときに、前記HDDの電源がオフとなり、前記SSDの電源がオンとなり、前記HDDが記録不可に設定されるように制御する処理を実行し、また、所定のタイミングで、前記HDDが記録可能に設定されていれば前記SSDに記録された映像データを前記HDDへ転送記録する処理を実行し、また、所定の時間間隔毎に、前記温度検出手段により検出される温度が前記HDDの動作を可能とする所定の範囲内であるか否かを判定して、前記温度検出手段により検出される温度が前記所定の範囲外である場合には、前記HDDが記録可能に設定されていれば記録不可に設定し、前記温度検出手段により検出される温度が前記所定の範囲内となるように前記温度調整手段により温度を調整する一方、前記温度検出手段により検出される温度が前記所定の範囲内である場合には、前記HDDの電源がオフであればオンとし、前記HDDが記録不可に設定されていれば記録可能に設定する処理を実行する。
【0017】
従って、例えば、データ記録媒体であるHDDにとって記録欠損が発生し易い温度条件下においても、記録欠損を防止するとともに、長時間記録を行い、更にHDDの信頼性を向上させることができる。
【0018】
一構成例として、映像記録装置は、前記入力手段により入力された映像データを一時的に記録するRAMを備える。この場合、前記RAMに記録された映像データが前記SSDへ転送記録される。
一構成例として、映像記録装置は、表示対象などとなる映像データを出力する出力手段を備える。ここで、出力先としては、任意であってもよい。
一構成例として、映像記録装置は、各種のパラメータを設定などするパラメータ設定手段を備える。
一構成例として、温度調整手段は、1又は複数のヒータを有して各ヒータのオン/オフを制御するヒータ手段と、1又は複数のファン(FAN)を有して各ファンの回転/停止を制御するファン手段から構成される。
【0019】
ここで、映像データを入力する元としては、任意であってもよい。
また、映像データとしては、種々なものが用いられてもよく、一例として、監視カメラにより撮像(撮影)された映像のデータを用いることができる。
また、各記録媒体(例えば、RAM、HDD、SSD)としては、それぞれ、種々なものが用いられてもよい。
また、温度検出手段は、HDDに関して温度を検出する場合に、実用上で有効であれば、例えば、HDD自体の温度を検出してもよく、或いは、HDDの周辺の温度を検出してもよく、或いは、他の所の温度を検出してもよい。つまり、HDDの温度を、直接的に検出してもよく、或いは、間接的に検出してもよい。
また、温度調整手段は、HDDに関して温度を調整する場合に、実用上で有効であれば、例えば、HDD自体の温度を調整してもよく、或いは、HDDの周辺の温度を調整してもよく、或いは、他の所の温度を調整してもよい。つまり、HDDの温度を、直接的に調整してもよく、或いは、間接的に調整してもよい。
【0020】
また、HDDが記録不可に設定されているか或いは記録可能に設定されているかを識別する情報などとしては、例えば、フラグの情報を用いることができる。
また、SSDに記録された映像データをHDDへ転送記録するための所定のタイミングとしては、種々なタイミングが用いられてもよく、例えば、予め、そのタイミング自体或いはそのタイミングとするための条件が装置に設定される。
また、HDDの温度に関する判定を行うための所定の時間間隔としては、種々な時間間隔が用いられてもよく、例えば、予め、一定の時間などが装置に設定される。
また、HDDの温度に関して、HDDの動作を可能とする所定の範囲としては、例えば、使用されるHDDの性能などに基づいて任意に設定されてもよく、例えば、予め装置に設定される。
【発明の効果】
【0021】
以上説明したように、本発明に係る映像記録装置によると、例えば、データ記録媒体であるHDDにとって記録欠損が発生し易い温度条件下においても、記録欠損を防止するとともに、長時間記録を行い、更にHDDの信頼性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施例に係る映像記録装置の構成例を示す図である。
【図2】本発明の一実施例に係る映像記録装置において行われる処理の手順の一例を示す図である。
【図3】本発明の一実施例に係る映像記録装置において行われる処理の手順の一例を示す図である。
【図4】映像記録装置の一構成例を示す図である。
【図5】映像記録装置の一構成例を示す図である。
【図6】映像記録装置の一構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明に係る実施例を図面を参照して説明する。
図1には、本発明の一実施例に係る映像記録装置1の構成例、及び映像送出装置2、映像表示装置3を示してある。
本例の映像記録装置1は、映像入力部11、映像出力部12、温度センサ13、温度検出部14、ヒータ15、ヒータ制御部16、主となるファン(本例では、ファン(主)と言う)17、補助となるファン(本例では、ファン(補)と言う)18、ファン制御部19、パラメータ設定部20、データ制御部21、RAM22、HDD23、ソリッドステートドライブ(SSD)24、複数の処理部11、12、14、16、19〜24を接続するバス25を備えている。
【0024】
本例では、映像記録装置1は、少なくとも、半導体で構成されたメモリであるRAM22と、半導体で構成されたフラッシュメモリであるSSD24と、機械的な可動部を有する記録媒体であるHDD23と、HDD23が搭載されるところの周囲温度を検出することができる温度センサ13と、装置内部温度の上昇を目的としたヒータ15と、装置内部温度の低下を目的とした複数個のファン17、18を装備する。
本例では、これらの各処理プロセスの機能を実装している。
【0025】
ここで、半導体で構成されたフラッシュメモリであるSSD24及び機械的な可動部を有する記録媒体であるHDD23としては、例えば、本装置から取り外し可能なリームーバブル方式を取ることもできる。
また、複数個のファンとしては、本例では、本装置起動中の状態にてHDD23に記録可能な通常温度状態にある時に、装置内部の温度調整の為に稼動している主たるファン17と、装置内部温度が通常動作範囲よりも高温となった際の異常時に温度調整の為に稼動させる補助のファン18を用いている。
【0026】
映像入力部11は、映像送出装置2から出力される映像データの入力を行う。
データ制御部21は、映像入力部11が入力したデータをRAM22へ蓄積する処理及びSSD24へ記録する処理、HDD23への転送記録処理及びHDD23やSSD24に記録された映像データを読み出す処理などの制御を行う。
温度検出部14は、温度センサ13を用いて、HDD23が搭載されるところの周囲温度を検出する。
ヒータ制御部16は、ヒータ15を用いて、装置内部温度の上昇を制御する。
ファン制御部19は、ファン17、18を用いて、装置内部温度の低下などについて制御する。
映像出力部12は、HDD23やSSD24から呼び出した映像を映像表示装置3に対して出力する。
パラメータ設定部20は、HDD23の温度に関する判定閾値(本例では、上限閾値、下限閾値)及びHDD23の動作可否判定の間隔を定める値を設定や呼び出しする。
【0027】
図2に示されるフローチャートを参照して、本例の映像記録装置1において行われる、電源投入直後からSSD24及びHDD23への電源制御及び映像データの記録までの初期処理手順と、映像データを取得してSSD24やHDD23に記録する処理手順を説明する。
【0028】
本装置電源投入直後は(ステップS1)、データ記録・読み出し媒体であるHDD23への電源供給をオフ(OFF)状態に制御し、SSD24への電源供給をオン(ON)状態に制御する(ステップS2)。
また、HDD23の初期起動を判別するための判定フラグ(初期起動フラグ)をオン(ON)とする(ステップS3)。このとき、HDD23の記録可否フラグはオフ(OFF)である。
【0029】
その後、パラメータ設定部20より、事前に設定された、HDD23の動作温度判定閾値である、温度上限閾値及び温度下限閾値を読み出す。また、HDD23の動作温度判定間隔を定めた、定期確認時間値(判定間隔値)を読み出す(ステップS4)。
また、各プロセス(映像入力部11、データ制御部21、温度検出部14、ヒータ制御部16、ファン制御部19、映像出力部12、パラメータ設定部20)の初期化及び起動処理を行う(ステップS5)。
【0030】
その後、映像送出装置2から出力される映像データの入力を映像入力部11は処理終了となるまで繰り返し行う。本例では、終了シグナルが受信されたか否かを判定して(ステップS6)、終了シグナルが受信されるまで、ステップS7〜ステップS11の処理を繰り返して行う。
具体的には、映像入力部11が入力した映像データをRAM22に一次蓄積し(ステップS7)、SSD24へ転送すべき蓄積容量(転送容量)となったか否かの判断を行い(ステップS8)、転送容量となっていない場合には映像データの取得を継続する一方、転送容量となった場合にはRAM22からSSD24へ映像データを転送記録する(ステップS9)。
【0031】
その後、図3に示されるHDD23の動作可否温度判定処理にて、定期確認時間設定機能により定めた間隔で、温度センサ13による検出結果に基づいてHDD23にとっての記録・読み出し動作の可否を判断し、判定閾値設定機能により定めた温度範囲の外の環境条件であると判断した場合には、HDD23の記録可否フラグがオン(ON)であるか否かを判断すると(ステップS10)、HDD23の記録可否フラグがオフ(OFF)であると判断され、引き続きSSD24のみを使用して記録、読み出しを行う。
【0032】
一方、その後、定期確認時間設定機能により定めた間隔で、温度センサ13を用いてHDD23の動作可否判断を行っていった場合に、動作可能であると判断したときには、その後、HDD23への電源供給をオン(ON)状態に制御し、起動及び認識制御を行う。このとき、HDD23の記録可否フラグがオン(ON)であると判断され(ステップS10)、SSD24に記録された映像データを読み出してHDD23へ転送記録する制御を行う(ステップS11)。
ここで、この転送記録処理については、SSD24とHDD23の記録データの差異を判別できる仕組みを設けており、HDD23に存在せずSSD24のみに存在する映像データを転送記録する。
【0033】
また、処理終了判定にて終了と判断した場合(本例では、終了シグナルを受信した場合)には(ステップS6)、RAM22に蓄積されているSSD24への未転送データをSSD24へ転送記録する(ステップS12)。その後、各プロセスの終了処理を行った後に(ステップS13)、装置電源をオフ(OFF)とする(ステップS14)。
【0034】
図3に示されるフローチャートを参照して、本例の映像記録装置1において行われる、温度センサ13を用いてHDD23への記録可否判別を行う処理手順を説明する。
HDD23の動作可否温度判定処理として、定期確認時間設定機能により定めた間隔で、HDD23にとっての記録・読み出し動作の可否を温度センサ23から判断を行う。具体的には、定期確認時間となったときには(ステップS21)、温度センサ13の検出値を取得し(ステップS22)、判定閾値設定機能にて定めた温度範囲の環境条件であるか(本例では、温度の下限閾値<温度センサ13の値<温度の上限閾値であるか)否かを判断する(ステップS23)。
【0035】
この判断の結果、判定閾値設定機能にて定めた温度範囲の外の環境条件であると判断した場合には、引き続きSSD24のみを使用して記録、読み出しを行うように、HDD23の記録可否フラグをオフ(OFF)とする(ステップS30)。
その後、温度センサ13の値(温度センサ読取値)が温度の下限閾値よりも低い(温度センサ13の値<温度の下限閾値である)か否かを判断し(ステップS31)、そうである場合には、ヒータ制御部16にて装置内部温度が上昇されるようヒータ15をオン(ON)に制御し、同時に、ファン制御部19にて、装置内部温度が上昇されるように、装置内部の温度調整の為に稼動している主たるファン(主)17と、装置内部温度が通常動作範囲よりも高温となった際の異常時に温度調整の為に稼動させる補助のファン(補)18の両方をオフ(OFF)に制御する(ステップS32)。
【0036】
一方、反対に、温度センサ読取値が温度の上限閾値よりも高い場合には(ステップS33)、ヒータ制御部16にて装置内部温度が低下されるようにヒータ制御をオフ(OFF)のままを保つように制御し、同時に、ファン制御部19にて、装置内部温度が低下されるように、装置内部の温度調整の為に稼動している主たるファン(主)17と、装置内部温度が通常動作範囲よりも高温となった際の異常時に温度調整の為に稼動させる補助のファン(補)18の両方をオン(ON)に制御する(ステップS34)。
【0037】
このように、ヒータ15のオンオフ制御及びファン17、18の回転・停止制御を用いて、HDD23の動作範囲内の適正温度になるように、制御を行う。
その後、終了シグナルが受信されていないうちは(ステップS29)、定期確認時間設定機能により定めた間隔で温度センサ13を用いてHDD23の動作可否判断を行い(ステップS21〜ステップS23)、動作不可能であると判断した場合には適正温度になるまで繰り返して上記と同様な制御を行う(ステップS30〜ステップS34)。
【0038】
また、上記の処理において(ステップS23)、温度の下限閾値<温度センサ13の値<温度の上限閾値となって、HDD23が動作可能であると判断した場合には、HDD23の初期起動フラグがオン(ON)であるか否かの判別を行い(ステップS24)、HDD23の初期起動フラグがオン(ON)であり即ち本装置電源投入直後であると判断したときには、HDD23の初期起動フラグをオフ(OFF)とし(ステップS25)、HDD23への電源供給をオン(ON)状態に制御し、HDD23の起動及びOS(Operating System)の認識制御を行う(ステップS26)。
一方、HDD23の初期起動フラグがオフ(OFF)であった場合には(ステップS24)、ステップS25及びステップS26の処理は行われない。
【0039】
その後、SSD24からHDD23への転送記録が可能となるように、HDD24の記録可否フラグをオン(ON)とする(ステップS27)。また、ヒータ制御部16にてヒータ制御をオン(ON)に制御し、同時に、ファン制御部19にて、装置内部の温度調整の為に稼動している主たるファン(主)17をオン(ON)に制御するとともに、装置内部温度が通常動作範囲よりも高温となった際の異常時に温度調整の為に稼動させる補助のファン(補)18をオフ(OFF)に制御する(ステップS28)。
そして、終了シグナルが受信されたか否かを判断し(ステップS29)、終了シグナルが受信されないうちは以上の処理を繰り返して行い、終了シグナルが受信されたときには処理を終了する。
【0040】
以上のように、本例では、映像データを記録・読み出しする機能を備えた映像記録装置1において、本装置電源投入直後にデータの記録・読み出し媒体であるHDD23について記録・読み出し動作の可否を温度センサ13を用いて判断し、判定閾値設定機能にて定めた温度範囲の外の環境条件下においては、SSD24を用いて記録、読み出しを行うとともに、ヒータ15のオンオフ制御及びファン17、18の回転・停止制御を用いてHDD23の動作範囲内の温度になるように制御を行う。また、温度センサ13を用いてHDD23の動作可否判断を行った場合に、動作可能であると判断した後には、HDD23の起動及び認識制御を行い、SSD24に記録された映像データを読み出してHDD23へ転送記録する制御を行う。
【0041】
また、本例の映像記録装置1では、装置起動中は、常時、SSD24に記録を行った後にHDD23へ転送記録する制御を行い、定期確認時間設定機能にて定めた間隔にて、HDD23にとっての記録・読み出し動作の可否を温度センサ13を用いて判断し、判定閾値設定機能にて定めた温度範囲の外の環境条件下になった場合には、SSD24のみについて記録、読み出しを行うとともに、ヒータ15のオンオフ制御及びファン17、18の回転・停止制御を用いてHDD24の動作範囲内の温度になるように制御を行う。また、温度センサ13を用いてHDD23の動作可否判断を行った場合に、動作可能であると判断した後には、SSD24に記録された映像データを読み出してHDD23へ転送記録する制御を行うとともに、例えば定期確認時間設定機能にて定めた間隔にて、SSD24及びHDD23に記録された映像データの差分判定を行い、HDD23側に欠如している映像データがある場合には、SSD24に記録された映像データを読み出してHDD23へ転送記録する制御を行う。
【0042】
このように、本例の映像記録装置1では、本装置電源投入直後は、データ記録・読み出し媒体であるHDD23への電源供給をオフ(OFF)状態、SSD24への電源供給をオン(ON)状態に制御し、SSD24のみに記録、読み出しを行う。その後、定期確認時間設定機能にて定めた間隔にて、HDD23にとっての記録・読み出し動作の可否を温度センサ13から判断し、判定閾値設定機能にて定めた温度範囲の外の環境条件であると判断した場合には、引き続きSSD24のみを使用して記録、読み出しを行い、ヒータ15のオンオフ制御及びファン17、18の回転・停止制御を用いてHDD23の動作範囲内の適正温度になるように制御を行う。その後、定期確認時間設定機能にて定めた間隔にて、温度センサ13を用いてHDD23の動作可否判断を行い、動作不可能であると判断した場合には適正温度になるまで繰り返し制御を行う一方、動作可能であると判断した後には、HDD23への電源供給をオン(ON)状態に制御し、起動及び認識制御を行い、SSD24に記録された映像データを読み出してHDD23へ転送記録する制御を行う。これにより、データ記録媒体であるHDD23にとって記録欠損が発生し易い温度条件下において、HDD23の信頼性を向上しつつ記録欠損を防止するとともに、長時間記録を行うことができる。
【0043】
また、本例の映像記録装置1では、電源投入直後だけでなく、起動状態中は常時SSD24に記録を行った後にHDD24へ転送記録する制御を行い、定期確認時間設定機能にて定めた間隔にて、HDD23にとっての記録・読み出し動作の可否を温度センサ13を用いて判断し、判定閾値設定機能にて定めた温度範囲の外の環境条件であると判断した場合には、HDD23の電源供給をオン(ON)状態にしたまま記録動作を行わないように制御し、SSD24のみにおいて記録、読み出しを行う。
【0044】
ここで、本例において、HDD23への電源供給をオンオフ(ON/OFF)制御しないのは、ハードディスクにダメージを与える要素のひとつがスタート・ストップ回数(例えば、上限:60万回)であることから、映像記録装置1のオン/オフの回数に連動してHDD23のスタート・ストップ回数の制御を行う。その後、ヒータ15のオンオフ制御及びファン17、18の回転・停止制御を用いてHDD23の動作範囲内の温度になるように制御を行い、温度センサ13を用いてHDD23の動作可否判断を行い、動作不可能であると判断した場合には適正温度になるまで繰り返して制御を行う一方、動作可能であると判断した後には、SSD24に記録された映像データを読み出してHDD24へ転送記録する制御を行う。この際、例えば定期確認時間設定機能にて定めた間隔にて、SSD24及びHDD23に記録された映像データの差分判定を行っており、HDD23側に欠如している映像データがある場合に、SSD24に記録された映像データを読み出してHDD23へ転送記録する制御を行う。これにより、データ記録媒体であるHDD23にとって記録欠損が発生し易い温度条件下において、HDD23の信頼性を向上しつつ記録欠損を防止するとともに、長時間記録を行うことができる。
【0045】
以上のように、本例の映像記録装置1では、温度環境によっては、金属部分の膨張や収縮が起こり、HDD24内部のディスク表面に浮上している磁気ヘッドの浮上高が適切な高さを保てないために、記録性能の低下やディスクダメージを受けて記録を行えない可能性がある機械的な可動部を有するHDD24を記録媒体として内蔵した構成において、記録欠損を防止するとともに、長時間記録を行い、また、HDD23の信頼性向上を実現することができる。
【0046】
本例では、例えば、自動車、鉄道車両、又は屋外設備等のように、温度環境が厳しい条件下の映像監視システムなどにおいて、データ記録媒体であるHDDにとって記録欠損が発生し易い温度条件下である場合においても、記録欠損を無くし、更に、長時間記録が行えるハードウエアや、装置起動制御方法、記録可否判別制御方法、転送記録制御方法、又は、これらの制御プログラムなどを提供することができる。
【0047】
なお、本例の映像記録装置1では、映像入力部11の機能により入力手段が構成されており、映像出力部12の機能により出力手段が構成されており、温度センサ13及び温度検出部14の機能により温度検出手段が構成されており、ヒータ15及びヒータ制御部16の機能によりヒータ手段が構成されており、2つのファン17、18及びファン制御部19の機能によりファン手段が構成されており、ヒータ手段及びファン手段により温度調整手段が構成されており、パラメータ設定部20の機能によりパラメータ設定手段が構成されており、データ制御部21の機能により制御手段が構成されている。
【0048】
ここで、本発明に係るシステムや装置などの構成としては、必ずしも以上に示したものに限られず、種々な構成が用いられてもよい。また、本発明は、例えば、本発明に係る処理を実行する方法或いは方式や、このような方法や方式を実現するためのプログラムや当該プログラムを記録(記憶)する記録媒体(記憶媒体)などとして提供することも可能であり、また、種々なシステムや装置として提供することも可能である。
また、本発明の適用分野としては、必ずしも以上に示したものに限られず、本発明は、種々な分野に適用することが可能なものである。なお、本発明に係る技術思想は、例えば、映像データに限られずに、任意のデータ(映像データを含んでもよく或いは含まなくてもよい)を記録する装置に適用することも可能である。
また、本発明に係るシステムや装置などにおいて行われる各種の処理としては、例えばプロセッサやメモリ等を備えたハードウエア資源においてプロセッサがROM(Read Only Memory)に格納された制御プログラムを実行することにより制御される構成が用いられてもよく、また、例えば当該処理を実行するための各機能手段が独立したハードウエア回路として構成されてもよい。
また、本発明は上記の制御プログラムを格納したフロッピー(登録商標)ディスクやCD(Compact Disc)−ROM等のコンピュータにより読み取り可能な記録媒体や当該プログラム(自体)として把握することもでき、当該制御プログラムを当該記録媒体からコンピュータに入力してプロセッサに実行させることにより、本発明に係る処理を遂行させることができる。
【符号の説明】
【0049】
1、101、121、141・・映像記録装置、 2、102、122、142・・映像送出装置、 3、103、123、143・・映像表示装置、 11、111、131、151・・映像入力部、 12、112、132、152・・映像出力部、 13・・温度センサ、 14・・温度検出部、 15・・ヒータ、 16・・ヒータ制御部、 17・・ファン(FAN)(主)、 18・・ファン(FAN)(補)、 19・・ファン制御部(FAN制御部)、 20・・パラメータ設定部、 21・・データ制御部、 22、114、134、155・・RAM、 23、115、156・・HDD、 24・・SSD、 25、116、136、158・・バス、 113、133、154・・制御部、 135、157・・フラッシュメモリ、 153・・振動検出部、

【特許請求の範囲】
【請求項1】
映像データを記録する映像記録装置において、
記録対象となる映像データを入力する入力手段と、
前記入力手段により入力された映像データを記録するSSDと、
映像データを記録するHDDと、
前記HDDに関して温度を検出する温度検出手段と、
前記HDDに関して温度を調整する温度調整手段と、
当該映像記録装置の電源がオンにされたときに、前記HDDの電源がオフとなり、前記SSDの電源がオンとなり、前記HDDが記録不可に設定されるように制御する処理と、所定のタイミングで前記HDDが記録可能に設定されていれば前記SSDに記録された映像データを前記HDDへ転送記録する処理と、所定の時間間隔毎に、前記温度検出手段により検出される温度が前記HDDの動作を可能とする所定の範囲内であるか否かを判定して、前記温度検出手段により検出される温度が前記所定の範囲外である場合には、前記HDDが記録可能に設定されていれば記録不可に設定し、前記温度検出手段により検出される温度が前記所定の範囲内となるように前記温度調整手段により温度を調整する一方、前記温度検出手段により検出される温度が前記所定の範囲内である場合には、前記HDDの電源がオフであればオンとし、前記HDDが記録不可に設定されていれば記録可能に設定する処理を実行する制御手段と、
を備えたことを特徴とする映像記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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