説明

映像録画再生装置と複数装置の制御方法

【課題】多数の映像録画再生装置をコンピュータから同時に制御する場合、各装置を順次制御する為に制御時刻のずれが生じ、同時処理が保障されないという問題がある。
【解決手段】多数の映像録画再生装置を同時に制御する為に1つの映像装置から出力されるシリアルデジタル映像信号のアンシラリデータに他の録画再生装置の動作
を変更させる為の制御情報を多重化し、1つの映像装置の制御をもって他の全ておよび任意の映像装置を同時に制御できるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はシリアルデジタル信号を用いた映像録画再生装置で特に複数の装置を同時に制御する場合に有効なものである。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の映像録画再生装置を使用する場合、各装置をイーサネット(登録商標)等のネットワークに接続し、制御用のコンピューターからネットワークを通して録画、再生状態の変更を制御している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−252422
【特許文献2】特開2005−274937
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】

従来、複数の映像録画再生装置を使用する場合、各装置をイーサネット(登録商標)等のネットワークに接続し、制御用のコンピューターからネットワークを通
して時刻情報を各映像再生装置で共有することで再生映像の時刻制御を行ったり、ネットワークを介して複数の映像装置を直接制御するなどの手段を用いてい
る。しかしながら時刻情報を使用する特許文献1のような例では高精度の時刻管理サーバーが必要であり又時刻情報をネットワーク経由で伝達する為にネット
ワークのパケット伝送に依存する遅延時間の誤差が発生する。また特許文献2のようにネットワークを通して直接制御する場合でも、ネットワークのパケット伝
送に依存する遅延時間などにより、制御時刻にずれが生じ、フレーム(もしくはフィールド)単位で制御が必要なな場合に、同時に制御できない場合が発生する
という問題が発生する。この問題は装置の数が増えるに従い、より深刻になるという課題があった。本発明はこの欠点を解決するために装置の台数によらず、多
数の映像録画再生装置を同時に制御する手段を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の映像録
画再生装置では映像送信部に再生内容を変更する手段を備えており、通常は制御コンピューターからの命令で表示内容を変更できるようになっている。また、録
画する場合も同じように制御コンピューターからの命令で録画の開始、停止などの録画内容の変更ができる仕組みが備えられている。さらに映像送信部には録
画、再生内容の変更命令をアンシラリデータに変換して多重化する装置が備えれており、送信装置からのシリアルデジタル信号にアンシラリデータとして制御命
令が多重化されるようになっている。この多重化は水平ブランキング期間に実施されるので制御命令は原理的に1水平周期の時間以内にシリアルデジタル信号か
ら出力することが可能である。
本映像録画再生装置を複数使用する場合は、1つの映像録画再生装置の送信信号が分配器を経由して他の映像録画再生装置の入力端子に接続されている。録画再
生装置の受信部には上記アンシラリデータを検出し、制御命令に従って機器の状態を変更させる仕組みが備えられている。この仕組みにより、制御コンピュー
ターは1つの録画再生装置の状態を変更するだけで他の多数の録画再生装置を同時に同じように制御する事が可能であり、制御時刻のずれによる問題が生じな
い。
また、本発明では同時に使用する複数台の装置を識別する仕組みを備えており、その情報もアンシラリデータに多重する事により、1つの装置に対する制御で、
他の全ての装置を同時に制御したり、特定の装置のみを制御したりする機能を実現できる。
【発明の効果】
【0006】
以上説明したように本発明によれば、特定の1台の装置のみをコンピューターから制御するだけで他の複数の装置を任意にかつ同時に制御する事が可能で、従来のようにネットワーク等をにより順次制御していた場合に生じる制御時刻のずれといった問題が発生しない。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】実施形態1に係る映像記録再生装置を説明するために示す図。
【図2】実施形態1に係る映像記録再生装置を複数使用する場合の構成をするために示す図。
【図3】実施形態1に係るアンシラリデータの多重状態を説明するために示す図。
【発明を実施するための形態】
【0008】

以下に、本発明の一実施形態を図面を参照して詳細に説明する。本実施形態による映像録画再生装置の要部構成を、図1に示す。
図1において従来の再生装置では画像メモリ等の映像信号データ1から読みだしたデータには同期信号付加部3によって水平同期信号、垂直同期信号などの必要
な同期信号が付加され、シリアルデジタル送信部7よりシリアルデジタル信号として出力される。映像の表示内容は映像データ送信制御部により、変更可能であ
り、動画の開始、停止、黒画面等の必要な制御が行われる。この制御命令は制御コンピューターからネットワークなどにより本装置に伝達されるものであり、制
御コンピューターインタフェース部4がその命令を解釈して送信制御部へ制御情報が送られる。ここで本発明による映像録画再生装置では制御命令変換部5とア
ンシラリデータ多重部6を備えており、制御命令はアンシラリデータに変換してシリアルデジタル信号に多重化されて同時に送信される仕組みになっている。
【0009】

従来のシリアルデジタル信号を使用した録画再生装置ではアンシラリデータ部には主に音声情報が多重化されているが本発明に係る録画再生装置では未使用部分
の水平ブランキング領域に制御命令が多重化される。図3は多重化の様子を示した図である。図で31は映像表示期間を表し、32は水平ブランキング期間を示
している。
図3では制御コンピューターからの命令は33の時刻すなわちライン番号が3の期間に録画再生装置に送られらたものとしている。この場合、制御命令変換部6
はライン番号3の映像表示期間31の間に制御命令をアンシラリデータに変換し、図3の34の時刻で変換したアンシラリデータを多重化する。
アンシラリデータに変換される制御命令の情報としては表示映像のアドレスもしくは当該設定レジスタのアドレスと書きこむデータである。
【0010】

本装置を複数使用する場合の構成図を図2に示すが制御コンピュータに接続されている1つの録画再生装置#1(13)の出力信号がシリアルデジタル信号分配
器14を通して他の録画再生装置#2〜#N
に接続されるような構成になっている。これにより制御情報が多重化されたシリアルデジタル信号は他の装置の受信部に同時に伝送される。受信された信号はシ
リアルデジタル受信部9で変換されてからアンシラリデータ分離部に送られ、制御情報を含むアンシラリデータのみが制御命令逆変換部10へ伝達される。制御
命令逆変換部10では、送信時の逆の処理を実施し、映像データ送信制御部2に接続できるように設計されている。すなわちアンシラリデータに含まれる表示映
像アドレスをデコードし、制御コンピュータインタフェース部4と同じ形態の制御命令を出力する。これにより制御コンピューターで直接制御しなくても同時に
複数台の装置を同じように制御する事が可能である。
このデコードに要する時間は通常数十クロックで実施できるものであり、図3のタイミング図においてはライン番号4の期間内で実行される。現在使われている
テレビ信号では水平周期が約15マイクロ秒から60マイクロ秒であり、本装置においては少なくとも60マイクロ秒の遅延時間で全ての再生装置に制御命令が
伝達されることになる。
【0011】
本装置では更に識別番号レジスタ8と装置識別デコーダー11を備えている。識別番号レジスタ8に
は予め異なる番号が設定されており、例えば図2の装置#1には「1」、装置#2には「2」といった番号である。これらの識別番号は制御命令変換部5で制御
命令と一緒にアンシラリデータに変換されて多重化される。このシリアルデジタル信号を受信した他の装置では識別番号デコーター11により、予め設定された
装置番号と、アンシラリデータにより伝送された装置番号が一致するかどうか判定し、一致した場合にのみ制御命令逆変換部10の動作を有効にするように設計
されている。これにより、複数台の装置のうち、特定の1台のみを制御する事ができる。複数ある装置全体を制御するには予め特定の番号(例えば0など)を決
めておき、その番号であれば装置番号に関わらず制御命令逆変換部10の動作を有効するようにしておけばよい。同様の手法で複数台の装置をグループ化して特
定のグループに属する装置だけをまとめて制御する事も可能である。
【符号の説明】
【0012】
1 映像信号データ
2 映像データ送信制御部
3 同期信号付加部
4 制御コンピューターインタフェース部
5 制御命令変換部
6 アンシラリデータ多重部
7 シリアルデジタル送信部
8 識別信号レジスタ
9 シリアルデジタル受信部
10 アンシラリデータ分離部
11 識別番号デコーダー
12 制御コンピューター
13 録画再生装置#1
14 シリアルデジタル分配器
15 録画再生装置#2
16 録画再生装置#3
17 録画再生装置#N
31 映像表示期間
32 水平ブランキング期間
33 制御命令受信時刻
34 アンシラリデータ多重化時刻

【特許請求の範囲】
【請求項1】

像データをシリアルデジタル信号として出力する手段とシリアルデジタル信号を入力する手段と録画再生の状態を変更する手段を備えた映像録画再生装置におい
て、録画再生の状態を変更する手段をアンシラリデータとして多重化する手段と、その多重化されたアンシラリデータを受信し、制御情報に従って状態を変更さ
せる手段を備えたことを特徴とする映像録画再生装置。
【請求項2】
上記映像録画再生装置において多重化するアンシラリデータを水平ブランキングの未使用期間に多重化する事を特徴とする映像録画再生装置。
【請求項3】
上記映像録画再生装置を複数台使用する場合において各々の映像録画再生装置を特定する為の番号を設定する手段と特定の映像録画再生装置を選択的に制御する手段をシリアルデジタル映像信号のアンシラリデータに多重化する手段を備えた映像録画再生装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate