説明

時計の照明装置

【目的】 本発明の目的は、長時間照明時における消費電力の削減と、アラーム音発生時等における視覚効果の向上にある。
【構成】アラームセット時または暗時において低い照度の発光ダイオード1を用い文字板3を照明し、アラーム音発生時またはデモンストレーションスイッチSW3をONとした時に高い照度の白熱電球2を用い文字板3を照明するものである。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は時計の照明装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】現在、EL(エレクトロ・ルミネッセンス)素子等の照明素子を時刻表示部に設け、暗時またはアラーム音発生時に発光させ、時刻表示部の照明またはアラーム時刻告示を行なう時計が一般的に知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】以上のものでは、暗時において時刻表示部を照明する場合には低い照度で照明することで十分であるにかかわらず、アラーム時刻告示を行なう場合は高い照度を必要とされるため、両方の間をとった照度のEL素子等の照明素子を用いていた。このため、暗時の照明としては明るすぎるとともに消費電力の増加をまねき、アラーム時刻告示としてはインパクトに欠けるものである。これらを避けるには暗時の照明とアラーム時刻告示のどちらかに力点をおき、どちらかを犠牲とせざるをえない。
【0004】本発明の目的は、長時間照明時における消費電力の削減と、アラーム音発生時等における視覚効果の向上にある。
【0005】
【課題を解決するための手段】アラームセット時または暗時において低い照度の第1の照明素子を用い時刻表示部を照明し、アラーム音発生時または操作スイッチの手動操作を行なった時に高い照度の第2の照明素子を用い時刻表示部を照明することにより上記目的を達成する。
【0006】
【実施例】本発明の一実施例の時計の照明装置を図を参照しながら説明する。図1は本例の構成を示す電気回路図であり、同図において1は照度の低い照明素子としての発光ダイオードである。2は高い照度の照明素子としての白熱電球である。
【0007】3は時刻表示部としての文字板であり、指針(図示せず。)および時刻の指標(図示せず。)を配置してある。4は導光板であり、発光ダイオード1および白熱電球2の光を文字板3に導光する。本例では、文字板3を半透明の材質にて形成し、この文字板3の背面にアクリル材よりなる導光板4を設け、この側面より発光ダイオード1および白熱電球2の光を受けこれらの光を面一なものとし、これにより文字板3を照明するようにしてある。これによらず、導光板の配置を変えるか、あるいは導光板を使用せず直接文字板等の時刻表示部を照明してもよい。
【0008】5はCds(カドミュウム・サルファ)であり、暗時において抵抗値が高くなることでトランジスタTr1をONとし、発光ダイオード1を点灯する。SW1はアラームセットスイッチであり、これをONとすることで発光ダイオード1が点灯する。SW2はアラームスイッチであり、設定したアラーム時刻に開成し、白熱電球2を点灯する。SW3は操作スイッチとしてのデモンストレーションスイッチであり、手動操作によりONとされた時に白熱電球2を点灯する。
【0009】次に動作について説明する。
【0010】本装置の設置場所が外部照明の消灯等により暗時となり、Cds5の抵抗値が高くなり、これによりTr1がONとなると、発光ダイオード1〜1が点灯し、導光板4を側面より照射する。導光板4は光を面一なものとして文字板3を背面より照明する。
【0011】またアラームセットスイッチSW1がONとなってアラームがセットされた場合も、発光ダイオード1が点灯し、導光板4を介して文字板3を照明し、アラーム時刻となるまでアラームセット表示を行なう。
【0012】以上のように、暗時およびアラームセット表示等の長時間文字板を照明する場合は、照度が低く、かつ消費電力の少ない発光ダイオード1を点灯させ文字板3を照明することにより、消費電力の削減が可能となる。
【0013】アラームセット後、アラーム時刻となると、アラームスイッチSW2がONとなり、アラーム音が発生するとともに、照度の高い白熱電球2が点灯され、導光板4を介して文字板3を照明する。これによってアラームスイッチSW2がOFFとされるまで文字板3を照明しアラーム時刻告示を行なう。
【0014】また、使用者がアラーム時刻告示を試したい場合はデモンストレーションスイッチSW3をONとすることにより、照度の高い白熱電球2が点灯され、導光板4を介して文字板3を照明する。このようにアラーム時刻での動作と同様のデモンストレーション動作を行なう。
【0015】以上のように、アラーム時刻およびデモンストレーション動作時では照度の高い白熱電球2を点灯し文字板3を照明することにより、視覚効果を向上するものである。
【0016】本発明では照度の低い照明素子として発光ダイオードをを使用し、照度の高い照明素子として白熱電球2を使用したが、これに限るものではない。例えば、照度の低い照明素子としてはEL素子を用いてもよく、また照度の高い照明素子としては蛍光灯等も考えられる。
【0017】また、上記の実施例ではアナログ時計の表示部を照明する例を示したが、本発明はこれに限るものではなく、デジタル表示部を有する時計のデジタル表示部の照明として用いてもよい。例えば、液晶を用いたデジタル表示部のバックライトとして本発明を用いる等が考えられる。
【0018】
【発明の効果】本発明は、アラームセット時または暗時において低い照度の第1の照明素子を用い時刻表示部を照明し、アラーム音発生時または操作スイッチの手動操作を行なった時に高い照度の第2の照明素子を用い時刻表示部を照明するため、各照明素子の特徴をいかし、アラームセット時、暗時等での消費電力の削減と、アラーム音発生時等での視覚効果の向上とが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の時計の照明装置の構成を示した電気回路図である。
【符号の説明】
1 第1の照明素子
2 第2の照明素子
3 時刻表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】 アラームセット時または暗時に時刻表示部を照明する照度の低い第1の照明素子と、操作スイッチの手動操作を行なった時またはアラーム音発生時に上記時刻表示部を照明する照度の高い第2の照明素子とを具備する時計の照明装置。

【図1】
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【公開番号】特開平6−138262
【公開日】平成6年(1994)5月20日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平4−291340
【出願日】平成4年(1992)10月29日
【出願人】(000002381)株式会社精工舎 (8)