説明

時計内蔵機器の時差自動補正装置

【目的】 全世界的な地点の移動により生じる時差を自動的に補正する。
【構成】 ビデオ録画装置302内にGPS受信器311を組み込み、GPS受信器311から算出される位置データを基に時差テーブル314を参照して時差算出手段313により時差データを算出し、この時差データとGPS受信器311から算出される絶対時刻データを基に補正時刻を算出して時計306の時刻を時刻補正手段により補正する。補正された時計306の時刻は撮像カメラ303により撮影された映像情報と共に映像記録装置305により映像記録媒体321に記録される。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、時計を内蔵するビデオカメラやスチルカメラ等の機器の全世界的な地点の移動により生じる時計の時差を補正することができる時計内蔵機器の時差自動補正装置に関する。
【0002】
【従来の技術】図2により時計を内蔵する従来の動画像記録再生用ビデオカメラ装置について説明する。
【0003】図2において、ビデオ録画装置102は、被写体101を撮影するCCD等の固体撮像カメラ103、撮像カメラ103から出力される映像情報104及び時計106からの時刻データ107を記録するための映像記録装置105、映像記録装置105により画像及び時刻データ108を記録する映像記録媒体109を備える。
【0004】また、ビデオ再生装置110は、画像及び時刻データを記録する映像記録媒体111、この映像記録媒体111の画像及び時刻データ112を再生する映像再生装置113、映像再生装置113で再生された画像及び時刻データを表示するモニタ114を備える。
【0005】上記のように構成された動画像記録再生用ビデオカメラ装置について、撮像カメラ103で撮像された被写体101の映像情報104は、時計106からの時刻データ107と共に映像記録装置105により映像記録媒体109に記録される。
【0006】一方、ビデオ再生装置110においては、映像記録媒体111に記録された画像及び時刻データ112は映像再生装置113により再生され、モニタ113の表示画面115には被写体116及び時刻117が表示される。
【0007】次に、図3により従来のGPSについて説明する。図3において、GPS受信器204は、GPS衛星201からの電波202をGPSアンテナ203を通して受信し、絶対時刻データ205及び位置データ206を算出する。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記のような従来の時刻記録機能を内蔵するビデオカメラ装置(またはスチルカメラ)では、ビデオカメラ装置とGPS受信器が独立しているため、全世界的に移動しながらビデオカメラ装置により撮影を行った場合、全世界的な移動地点の時刻はGPS受信器から得られる絶対時刻データから知ることができ、かつビデオカメラ装置による撮影時点の時刻は内蔵の時計により映像記録媒体に記録することができるが、全世界的な移動地点における時刻を映像記録媒体に記録することができない。従って、全世界的な移動地点の時刻を映像記録媒体に記録しようとすると、ビデオカメラ装置が内蔵する時計の時差をユーザが手動により補正する必要があった。
【0009】本発明は、上記のような従来の問題を解決するものであり、全世界的な地点の移動により生じる時差を自動的に補正することができる時計内蔵機器の時差自動補正装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために本発明は、時計を内蔵し、該時計の時刻を記録または表示する手段を備える機器において、絶対時刻データ及び位置データを算出するGPS受信手段と、前記位置データを基に時差を演算する時差演算手段と、前記絶対時刻と前記時差から補正時刻を算出して前記時計の時刻を補正する時刻補正手段とを設けたことを特徴とする。
【0011】また、本発明は、前記時差演算手段を、全世界的な各地点の時差データをテーブル化した時差テーブルと、前記位置データにより前記時差テーブルを参照して時差データを算出する時差算出手段とから構成したものである。
【0012】
【作用】従って、本発明においては、位置データを基に算出した時差データと絶対時刻データから補正時刻を算出し、この補正時刻データに基づいて時計の時刻を機器の全世界的な移動地点に応じて自動的に修正するから、ユーザによる時差補正が不要になる。
【0013】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
【0014】図1は、本発明にかかる時差自動補正装置を時刻記録機能付きの動画像記録再生用ビデオカメラ装置に適用した場合の構成を示すブロック図である。
【0015】図1において、ビデオ録画装置302は、被写体301を撮影するCCD等の固体撮像カメラ303、この撮像カメラ303から出力される映像情報304及び時計306からの時刻データ307を記録するための映像記録装置305、映像記録装置305により画像及び時刻データ320を記録する映像記録媒体321を備える。
【0016】さらに、ビデオカメラ装置302は、GPS衛星308から到来するGPS電波309を受けるGPSアンテナ310、このGPSアンテナ310で受けたGPS電波を受信し、位置データ321及び絶対時刻データ316を算出するGPS受信器311、GPS受信器311からの位置データ321により全世界的な各地点の時差をテーブル化した時差テーブル314を参照して時差を算出する時差算出手段313、GPS受信器311からの絶対時刻データ316と時差算出手段313からの時差データ315に基づいて時計306の時刻を補正する時刻補正手段317を備える。
【0017】また、ビデオ再生装置322は、画像及び時刻データを記録する映像記録媒体323、この映像記録媒体323の画像及び時刻データ324を再生する映像再生装置325、この映像再生装置325で再生された画像及び時刻データ324を表示するモニタ326を備える。
【0018】次に、上記のように構成された本実施例の動作について説明する。まず、GPS衛星308からの電波309をGPSアンテナ310を通してGPS受信器311で受信し、このGPS受信器311において位置データ(緯度経度データ)312及び絶対時刻データ316を算出する。
【0019】時差算出手段313では、位置データ312をアドレスポインタとして時差テーブル314を参照することにより時差データ315を算出する。さらに、時刻補正手段317では、絶対時刻データ316及び時差データ315に基づいて時計306から得られる未補正時刻データ318を補正し、この補正済み時刻データ319により時計306の現在時刻を全世界的な移動地点の時刻に自動的に修正する。
【0020】一方、ビデオ録画装置302の撮像カメラ303は被写体301を撮影し、この撮像カメラ303から出力される映像情報304は、時計306からの時刻データ307と共に映像記録装置305により映像記録媒体321に記録される。
【0021】また、ビデオ再生装置322では、映像記録媒体323に記録された画像及び時刻データ324は映像再生装置325により再生され、モニタ326の表示画面327には被写体327及び修正済みの時刻329が表示される。
【0022】このように本実施例によれば、全世界的な地点の移動により生じるビデオ録画装置302の撮影時刻の時差を自動的に補正して記録することができ、ユーザによる時計の時差補正が不要になる。
【0023】なお、上記実施例では、本発明の時差自動補正装置をビデオカメラに適用した場合について説明したが、本発明はこれに限らず、スチルカメラやその他の時計を内蔵し、その時刻を記録または表示する機器にも同様に適用できる。
【0024】また、本発明における時差データの算出方式は、上記実施例のように時差テーブルを利用する方式に限らず、演算により全世界的に移動地点の時差を求める方式でもよい。
【0025】
【発明の効果】本発明は上記実施例から明らかなように、時計を内蔵しその時刻を記録または表示する機器において、GPS受信器と、このGPS受信器から得られる位置データ及び絶対時刻データに基づいて時計の全世界的な地点の移動により生じる時差を自動的に修正する手段を組み込むことにより、時刻を記録または表示するときの時差を自動的に補正することができ、ユーザによる時差補正が不要になるという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の時差自動補正装置及びこれを適用したビデオカメラ装置の概略構成を示すブロック図
【図2】従来のビデオカメラ装置の概略構成を示すブロック図
【図3】従来のGPS受信器の概略構成を示すブロック図
【符号の説明】
301 被写体
302 ビデオ録画装置
303 撮像カメラ
305 映像記録装置
306 時計
308 GPS衛星
310 GPSアンテナ
311 GPS受信器
313 時差算出手段
314 時差テーブル
315 時刻補正手段
321 映像記録媒体
322 ビデオ再生装置
323 映像記録媒体
325 映像再生装置
326 モニタ
327 表示画面

【特許請求の範囲】
【請求項1】 時計を内蔵し、該時計の時刻を記録または表示する手段を備える機器において、絶対時刻データ及び位置データを算出するGPS受信手段と、前記位置データを基に時差を演算する時差演算手段と、前記絶対時刻と前記時差から補正時刻を算出して前記時計の時刻を補正する時刻補正手段とを設けたことを特徴とする時計内蔵機器の時差自動補正装置。
【請求項2】 前記時差演算手段は、全世界的な各地点の時差データをテーブル化した時差テーブルと、前記位置データにより前記時差テーブルを参照して時差データを算出する時差算出手段とから構成される請求項1記載の時計内蔵機器の時差自動補正装置。
【請求項3】 前記時刻を記録する手段が、撮像カメラにより撮影される動画もしくは静止画を記録する記録手段から構成される請求項1記載の時計内蔵機器の時差自動補正装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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