説明

時計用軸受、ムーブメントおよび携帯用時計

【課題】計時精度を向上することができる時計用軸受、ムーブメントおよび携帯用時計を提供する。
【解決手段】軸中心Cに回転する軸体143の少なくとも一方の端部145に設けられ、軸体の軸方向および径方向の移動を規制する軸受体181と、軸受体に対して軸方向に付勢力を有する弾性体182と、軸受体を内包する枠体166と、を備えた時計用軸受180であって、弾性体が軸受体と枠体との間を連結するように設けられているとともに、枠体が支持部材167に支持固定されており、弾性体により軸体と軸受体とが当接された状態で、軸体が軸中心に回転可能に構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、時計用軸受、ムーブメントおよび携帯用時計に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、腕時計や懐中時計などの携帯用時計に用いられる歯車などの回転する機械部品は、その回転軸端を内包するように軸受が配され、該回転軸が軸受にガイドされて回転し、トルクを伝達することにより、時刻を刻むように構成されている。
【0003】
ここで、従来の時計用軸受の構成としては、図21に示すような構成が知られている(例えば、特許文献1参照)。なお、図21は、テンプの断面を示したものである。
図21に示すように、テンプ520は、テンプ受505および地板504に中心軸線Cに沿って形成された時計用軸受510により両端の細い小径軸部521,522において該中心軸線Cのまわりで回転自在に支持されたてん真523と、てん輪本体をなす環状のリム部524および該リム部524に両端でつながり該リム部524の直径方向に延びたアーム部525を備え該アーム部525の中間部526においててん真523の中央軸部527に固定されたてん輪528と、ひげ玉550と、振り石552を保持した振り座554と、を備えている。
【0004】
時計用軸受510は、テンプ受505の内周面によって保持される外側軸受枠512と、外側軸受枠512の内部に配設される内側軸受枠511と、該内側軸受枠511の中径凹部に配設され、てん真523の上端の小径軸部522のジャーナル軸受として働く穴石514と、内側軸受枠511の大径凹部に配設され、てん真523の小径軸部522のスラスト軸受として働く受石515と、外側軸受枠512の溝に係止され受石515を内側軸受枠511の大径凹部に保持する押えバネ516と、を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−294320号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上述した従来の時計用軸受510は、軸の回転を許容するために、軸(小径軸部522)と軸受(受石515)との間にアガキと呼ばれる隙間が必要である。このアガキがあることにより、時計の姿勢が変わったり、衝撃が加わったりすると、軸の位置が変動してしまう。すると、香箱からテンプに伝達されるトルクが変動し、振り角および歩度が変動してしまう。その結果、時計の計時精度が悪化するという問題がある。
【0007】
そこで、本発明は、上述の事情に鑑みてなされたものであり、計時精度を向上することができる時計用軸受、ムーブメントおよび携帯用時計を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明は以下の手段を提供する。
本発明に係る時計用軸受は、軸中心に回転する軸体の少なくとも一方の端部に設けられ、前記軸体の軸方向および径方向の移動を規制する軸受体と、該軸受体に対して軸方向に付勢力を有する弾性体と、前記軸受体を内包する枠体と、を備えた時計用軸受であって、前記弾性体が前記軸受体と前記枠体との間を連結するように設けられているとともに、前記枠体が支持部材に支持固定されており、前記弾性体により前記軸体と前記軸受体とが当接された状態で、前記軸体が軸中心に回転可能に構成されていることを特徴としている。
【0009】
このように構成することで、軸体と軸受体との間にアガキが形成されていない状態で軸体を軸中心に回転させることができる。したがって、時計用軸受の姿勢が変わったり、衝撃が加わったりしても、軸体の位置の変動を抑制することができる。その結果、トルクの変動を抑制することができるため、時計の計時精度を向上することができる。
【0010】
また、前記弾性体が、前記軸受体に圧入固定される内輪部と、該内輪部から径方向外方へ向かって放射状に複数形成されたバネ部と、を備え、該バネ部の先端が前記枠体に支持可能に構成されていることを特徴としている。
【0011】
このように構成することで、軸受体と枠体との間に弾性体を支持固定することができ、バネ部により軸受体と枠体との間に付勢力を持たせることができる。また、枠体は支持部材に支持固定されているため、枠体に対して軸受体が付勢される方向に移動しようとする。したがって、バネ部を軸体に向かって付勢させることにより、確実に軸受体を軸体方向に付勢させることができ、軸受体と軸体とを当接させることができる。その結果、軸体の位置の変動を抑制することができ、トルクの変動を抑制することができるため、時計の計時精度を向上することができる。
【0012】
また、前記弾性体が、前記枠体に圧入固定される外輪部と、該外輪部から径方向内方へ向かって放射状に複数形成されたバネ部と、を備え、該バネ部の先端が前記軸受体に支持可能に構成されていることを特徴としている。
【0013】
このように構成することで、軸受体と枠体との間に弾性体を支持固定することができ、バネ部により軸受体と枠体との間に付勢力を持たせることができる。また、枠体は支持部材に支持固定されているため、枠体に対して軸受体が付勢される方向に移動しようとする。したがって、バネ部を軸体に向かって付勢させることにより、確実に軸受体を軸体方向に付勢させることができ、軸受体と軸体とを当接させることができる。その結果、軸体の位置の変動を抑制することができ、トルクの変動を抑制することができるため、時計の計時精度を向上することができる。
【0014】
また、前記軸受体から前記軸体に向かって付勢する圧力を調整可能な与圧調整機構を有していることを特徴としている。
【0015】
このように構成することで、軸受体と軸体とを当接させつつ、軸体を軸中心に回転させることができる圧力に容易に設定することができる。
【0016】
また、前記与圧調整機構が、前記枠体の外周面と前記支持部材の内周面との間に形成されたネジ部で構成されていることを特徴としている。
【0017】
このように構成することで、支持部材に対して枠体の螺合する割合を調整することにより、軸受体から軸体に向かって付勢する圧力を容易に調整することができる。
【0018】
また、前記与圧調整機構が、前記枠体の内周面に軸方向にずれた位置に複数形成されたバネ支持凹部で構成されていることを特徴としている。
【0019】
このように構成することで、弾性体のバネ部を支持する位置を軸方向にずれた位置に複数形成されたバネ支持凹部からいずれかを選択することにより、軸受体から軸体に向かって付勢する圧力を容易に調整することができる。
【0020】
また、前記与圧調整機構が、前記枠体の内周面に螺旋状に形成されたバネ支持溝部で構成されていることを特徴としている。
【0021】
このように構成することで、弾性体のバネ部の先端をバネ支持溝部に沿って移動させることにより、軸受体から軸体に向かって付勢する圧力を容易に調整することができる。
【0022】
また、前記弾性体が前記枠体から着脱できる着脱機構を有していることを特徴としている。
【0023】
このように構成することで、時計用軸受をメンテナンスする際に、弾性体を枠体から容易に取り外すことができ、それぞれの部材ごとにメンテナンスを行うことができる。したがって、メンテナンス効率を向上することができる。
【0024】
また、前記着脱機構が、前記弾性体のバネ部の先端に形成された嵌合突起と、前記枠体の軸方向一端面に形成された嵌合凹部と、を備え、前記弾性体の嵌合突起が前記枠体の嵌合凹部を通過した後、前記枠体の内周面に周方向に沿って形成された係合溝部に沿って前記弾性体を回転することで前記弾性体が前記枠体に支持されることを特徴としている。
【0025】
このように構成することで、弾性体を枠体の係合溝部に沿って回転し、嵌合突起と嵌合凹部との位置を合わせて引き抜くことにより弾性体を枠体から容易に着脱することができる。したがって、メンテナンス効率を向上することができる。
【0026】
また、前記弾性体が前記軸受体から着脱できる着脱機構を有していることを特徴としている。
【0027】
このように構成することで、時計用軸受をメンテナンスする際に、弾性体を軸受体から容易に取り外すことができ、それぞれの部材ごとにメンテナンスを行うことができる。したがって、メンテナンス効率を向上することができる。
【0028】
また、前記着脱機構が、前記弾性体のバネ部の先端に形成された嵌合突起と、前記軸受体の軸方向一端面に形成された嵌合凹部と、を備え、前記弾性体の嵌合突起が前記軸受体の嵌合凹部を通過した後、前記軸受体の外周面に周方向に沿って形成された係合溝部に沿って前記弾性体を回転することで前記弾性体が前記軸受体に支持されることを特徴としている。
【0029】
このように構成することで、弾性体を軸受体の係合溝部に沿って回転し、嵌合突起と嵌合凹部との位置を合わせて引き抜くことにより弾性体を軸受体から容易に着脱することができる。したがって、メンテナンス効率を向上することができる。
【0030】
また、前記軸受体を介して前記軸体の反対側に、前記軸受体の軸方向の変位量を規制するストッパー部材が設けられていることを特徴としている。
【0031】
このように構成することで、時計の姿勢が変わったり、衝撃が加わったりしたときに、軸受体が軸方向に変位するのを抑制することができる。その結果、軸体の位置の変動を抑制することができ、トルクの変動を抑制することができるため、時計の計時精度を向上することができる。
【0032】
また、前記ストッパー部材が、前記枠体に固定されるとともに、前記軸受体と軸方向に隙間を形成して配されていることを特徴としている。
【0033】
このように構成することで、軸受体から軸体に向かって付勢する圧力に影響を与えることなくストッパー部材を配することができる。したがって、時計の計時精度を向上することができる。
【0034】
また、前記軸受体の可動方向を軸方向のみに規制するガイド部材が設けられていることを特徴としている。
【0035】
このように構成することで、軸体が軸方向に直交する径方向に変位するのを確実に防止することができる。したがって、時計の計時精度を向上することができる。
【0036】
また、前記ガイド部材が、前記枠体の内周面に固定されていることを特徴としている。
【0037】
このように構成することで、ガイド部材を枠体の内周面に固定するだけで、軸体が軸方向に直交する径方向に変位するのを確実に防止することができる。したがって、簡易な構成で、時計の計時精度を向上することができる。
【0038】
また、前記軸受体と前記弾性体とが一体形成されていることを特徴としている。
【0039】
このように構成することで、部品点数を少なくすることができ、製造時の製造効率やメンテナンス時のメンテナンス効率を向上することができる。
【0040】
また、前記弾性体と前記枠体とが一体形成されていることを特徴としている。
【0041】
このように構成することで、部品点数を少なくすることができ、製造時の製造効率やメンテナンス時のメンテナンス効率を向上することができる。
【0042】
また、前記枠体と前記ストッパー部材とが一体形成されていることを特徴としている。
【0043】
このように構成することで、部品点数を少なくすることができ、製造時の製造効率やメンテナンス時のメンテナンス効率を向上することができる。
【0044】
また、前記軸受体と前記ストッパー部材とが一体形成されていることを特徴としている。
【0045】
このように構成することで、部品点数を少なくすることができ、製造時の製造効率やメンテナンス時のメンテナンス効率を向上することができる。
【0046】
また、前記軸受体と前記ガイド部材とが一体形成されていることを特徴としている。
【0047】
このように構成することで、部品点数を少なくすることができ、製造時の製造効率やメンテナンス時のメンテナンス効率を向上することができる。
【0048】
また、前記枠体と前記ガイド部材とが一体形成されていることを特徴としている。
【0049】
このように構成することで、部品点数を少なくすることができ、製造時の製造効率やメンテナンス時のメンテナンス効率を向上することができる。
【0050】
さらに、本発明に係るムーブメントは、香箱、番車、がんぎ車、アンクルおよびテンプを備えた時計のムーブメントであって、少なくとも前記テンプの軸受に、上述したいずれかに記載の時計用軸受が用いられていることを特徴としている。
【0051】
このように構成することで、軸体と軸受体との間にアガキが形成されていない状態で軸体を軸中心に回転させることができるため、時計用軸受の姿勢が変わったり、衝撃が加わったりしても、軸体の位置の変動を抑制することができる。その結果、トルクの変動を抑制することができるため、時計の計時精度を向上することができるムーブメントを提供することができる。
【0052】
そして、本発明に係る携帯用時計は、上述したムーブメントと、該ムーブメントを内包するケーシングと、を備えていることを特徴としている。
【0053】
このように構成することで、軸体と軸受体との間にアガキが形成されていない状態で軸体を軸中心に回転させることができるため、時計用軸受の姿勢が変わったり、衝撃が加わったりしても、軸体の位置の変動を抑制することができる。その結果、トルクの変動を抑制することができるため、時計の計時精度を向上することができる携帯用時計を提供することができる。
【発明の効果】
【0054】
本発明に係る時計用軸受によれば、軸体と軸受体との間にアガキが形成されていない状態で軸体を軸中心に回転させることができるため、時計用軸受の姿勢が変わったり、衝撃が加わったりしても、軸体の位置の変動を抑制することができる。その結果、トルクの変動を抑制することができるため、時計の計時精度を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の実施形態における機械式時計のムーブメント表側の平面図である(一部の部品を省略し、受部材は仮想線で示している)。
【図2】本発明の実施形態における香箱からがんぎ車の部分を示す概略部分断面図である。
【図3】本発明の実施形態におけるがんぎ車からテンプの部分を示す概略部分断面図である。
【図4】本発明の実施形態におけるテンプおよび軸受を示す斜視図である。
【図5】本発明の実施形態における軸受の分解斜視図である。
【図6】本発明の実施形態におけるテンプおよび軸受を示す断面図である。
【図7】本発明の実施形態における軸受の別の態様(1)を示す分解斜視図である。
【図8】本発明の実施形態におけるテンプおよび軸受の別の態様(1)を示す断面図である。
【図9】本発明の実施形態におけるテンプおよび軸受の別の態様(2)を示す斜視図である。
【図10】本発明の実施形態における軸受の別の態様(2)を示す分解斜視図である。
【図11】本発明の実施形態におけるテンプおよび軸受の別の態様(2)を示す断面図である。
【図12】本発明の実施形態におけるテンプおよび軸受の別の態様(3)を示す斜視図である。
【図13】本発明の実施形態における軸受の別の態様(3)を示す分解斜視図である。
【図14】本発明の実施形態におけるテンプおよび軸受の別の態様(3)を示す断面図である。
【図15】本発明の実施形態におけるテンプおよび軸受の別の態様(4)を示す斜視図である。
【図16】本発明の実施形態におけるテンプおよび軸受の別の態様(4)を示す断面図である。
【図17】本発明の実施形態における枠体の別の態様(5)を示す斜視図である。
【図18】本発明の実施形態における枠体の別の態様(5)を示す分解斜視図である。
【図19】本発明の実施形態における枠体の別の態様(6)を示す斜視図である。
【図20】本発明の実施形態におけるテンプおよび軸受の別の態様(7)を示す断面図である。
【図21】従来のテンプの構成を示す概略部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0056】
次に、本発明に係る時計用軸受の実施形態を図1〜図20に基づいて説明する。なお、本実施形態では、時計用軸受が腕時計などの携帯用の機械式時計に用いられる場合について説明する。
【0057】
(機械式時計)
図1〜図3に示すように、機械式時計のムーブメント100は、ムーブメント100の基板を構成する地板102を有している。地板102の巻真案内穴102aには、巻真110が回転可能に組み込まれている。文字板104(図2参照)はムーブメント100に取り付けられる。一般に、地板102の両側のうち、文字板104が配される側をムーブメント100の裏側と称し、文字板104が配される側の反対側をムーブメント100の表側と称する。ムーブメント100の表側に組み込まれる輪列を表輪列と称し、ムーブメント100の裏側に組み込まれる輪列を裏輪列と称する。なお、ムーブメント100にケーシング(不図示)を設けることにより携帯用時計として構成される。
【0058】
おしどり190、かんぬき192、かんぬきばね194、裏押さえ196を含む切換装置により、巻真110の軸線方向の位置が決められている。きち車112は巻真110の案内軸部に回転可能に設けられている。巻真110が、回転軸線方向に沿ってムーブメント100の内側に一番近い方の第1の巻真位置(0段目)にある状態で巻真110を回転させると、つづみ車の回転を介してきち車112が回転する。丸穴車114は、きち車112の回転により回転する。また、角穴車116は、丸穴車114の回転により回転する。角穴車116が回転することにより、香箱車120に収容されたぜんまい122(図2参照)を巻き上げる。
【0059】
二番車124は、香箱車120の回転により回転する。がんぎ車130は、四番車128、三番車126、二番車124の回転を介して回転する。香箱車120、二番車124、三番車126、四番車128は表輪列を構成する。
【0060】
表輪列の回転を制御するための脱進・調速装置は、テンプ140と、がんぎ車130と、アンクル142とを含む。二番車124の回転に基づいて、筒かな150が同時に回転する。筒かな150に取り付けられた分針152が「分」を表示する。筒かな150には、二番車124に対するスリップ機構が設けられている。筒かな150の回転に基づいて、日の裏車の回転を介して、筒車154が回転する。筒車154に取り付けられた時針156が「時」を表示する。
【0061】
香箱車120は、香箱歯車120dと、香箱真120fと、ぜんまい122とを備えている。香箱真120fは、上軸部120aと、下軸部120bとを含む。香箱真120fは、炭素鋼などの金属で形成されている。香箱歯車120dは黄銅などの金属で形成されている。
【0062】
二番車124は、上軸部124aと、下軸部124bと、かな部124cと、歯車部124dと、そろばん玉部124hとを含む。二番車124のかな部124cは香箱歯車120dと噛み合うように構成されている。上軸部124a、下軸部124bおよびそろばん玉部124hは、炭素鋼などの金属で形成されている。歯車部124dはニッケルなどの金属で形成されている。
【0063】
三番車126は、上軸部126aと、下軸部126bと、かな部126cと、歯車部126dとを含む。三番車126のかな部126cは歯車部124dと噛み合うように構成されている。
【0064】
四番車128は、上軸部128aと、下軸部128bと、かな部128cと、歯車部128dとを含む。四番車128のかな部128cは歯車部126dと噛み合うように構成されている。上軸部128aと、下軸部128bは、炭素鋼などの金属で形成されている。歯車部128dはニッケルなどの金属で形成されている。
【0065】
がんぎ車130は、上軸部130aと、下軸部130bと、かな部130cと、歯車部130dとを含む。がんぎ車130のかな部130cは歯車部128dと噛み合うように構成されている。アンクル142は、アンクル体142dと、アンクル真142fと、を備えている。アンクル真142fは、上軸部142aと、下軸部142bとを含む。
【0066】
香箱車120は、地板102および香箱受160に対して回転可能に支持されている。すなわち、香箱真120fの上軸部120aは、香箱受160に対して回転可能に支持される。香箱真120fの下軸部120bは、地板102に対して、回転可能に支持される。二番車124、三番車126、四番車128、がんぎ車130は、地板102および輪列受162に対して回転可能に支持されている。すなわち、二番車124の上軸部124a、三番車126の上軸部126a、四番車128の上軸部128a、がんぎ車130の上軸部130aは、輪列受162に対して回転可能に支持される。また、二番車124の下軸部124b、三番車126の下軸部126b、四番車128の下軸部128b、がんぎ車130の下軸部130bは、地板102に対して、回転可能に支持される。
【0067】
アンクル142は、地板102およびアンクル受164に対して回転可能に支持されている。すなわち、アンクル142の上軸部142aは、アンクル受164に対して回転可能に支持される。アンクル142の下軸部142bは、地板102に対して、回転可能に支持される。
【0068】
香箱真120fの上軸部120aを回転可能に支持する香箱受160の軸受部と、二番車124の上軸部124aを回転可能に支持する輪列受162の軸受部と、三番車126の上軸部126aを回転可能に支持する輪列受162の軸受部と、四番車128の上軸部128aを回転可能に支持する輪列受162の軸受部と、がんぎ車130の上軸部130aを回転可能に支持する輪列受162の軸受部と、アンクル142の上軸部142aを回転可能に支持するアンクル受164の軸受部には、潤滑油が注油される。また、香箱真120fの下軸部120bを回転可能に支持する地板102の軸受部と、二番車124の下軸部124bを回転可能に支持する地板102の軸受部と、三番車126の下軸部126bを回転可能に支持する地板102の軸受部と、四番車128の下軸部128bを回転可能に支持する地板102の軸受部と、がんぎ車130の下軸部130bを回転可能に支持する地板102の軸受部と、アンクル142の下軸部142bを回転可能に支持する地板102の軸受部には、潤滑油が注油される。この潤滑油は、精密機械用油であるのが好ましく、いわゆる時計油であるのが特に好ましい。
【0069】
地板102のそれぞれの軸受部、香箱受160の軸受部、輪列受162のそれぞれの軸受部には、潤滑油の保持性能を高めるために、円錐状、円筒状、または円錐台状の油溜め部を設けるのが好ましい。油溜め部を設けると、潤滑油の表面張力により油が拡散するのを効果的に阻止することができる。地板102、香箱受160、輪列受162、アンクル受164は、黄銅などの金属で形成してもよいし、ポリカーボネートなどの樹脂で形成してもよい。
【0070】
(テンプの構造)
次に、本実施形態のテンプの構造について説明する。
図3に示すように、テンプ140は、てん真140aおよびひげぜんまい140cを備えている。
【0071】
ひげぜんまい140cは、複数の巻き数をもったうずまき状(螺旋状)の形態の薄板ばねである。ひげぜんまい140cの内端部は、てん真140aに固定されたひげ玉140dに固定され、ひげぜんまい140cの外端部は、テンプ受167に回転可能に取り付けられたひげ持受170に取り付けたひげ持170aを介してねじ締めにより固定されている。軸受180は枠体166の外周部でテンプ受167に固定されている。緩急針168は、テンプ受167に回転可能に取り付けられている。また、テンプ140は、地板102およびテンプ受167に対して回転可能に支持されている。
【0072】
ここで、テンプ140は、中心軸線Cを中心に回転可能に構成されており、軸体143の両端には細い軸部144,145が形成されている。下側の軸部144は地板102に対して回転可能に支持されており、上側の軸部145は、軸受180に対して回転可能に支持されている。
【0073】
軸受180は、中心軸線Cを中心に回転する軸体143の一方の端部である軸部145側に設けられ、軸体143の軸方向および径方向の移動を規制する軸受体181と、軸受体181に対して軸方向に付勢力Fを有する弾性体182と、軸受体181を内包する枠体166と、を備えている。
【0074】
図4〜図6に示すように、軸受体181は、略円柱状に形成されており、一方の面181aにおける軸部145を支持する箇所である中央部には、軸部145が挿入される挿入穴183が形成されている。挿入穴183の底部は先細り形状のテーパが形成されている。また、軸部145の先端は略球面状に形成されており、軸部145の先端が挿入穴183のテーパ部分に当接可能に構成されている。つまり、軸部145の先端と挿入穴183のテーパ部分とが周方向に沿って線接触するように構成されており、この状態で、軸部145は軸方向および径方向への移動が規制される。
【0075】
弾性体182は、例えば金属で形成された板バネ部材で構成されている。弾性体182は、軸受体181の外周面181bに圧入固定可能に構成された内輪部185と、内輪部185から径方向外方へ向かって放射状に複数形成されたバネ部186と、を備えている。本実施形態では、バネ部186が周方向に略等間隔に3箇所形成されている。なお、弾性体182は、図3に示すように、初期状態で湾曲するように配置されているが、これに限定されるものではなく、初期状態で平らとなるように配置されていてもよい。
【0076】
枠体166は、略円筒状に形成されており、軸受体181および弾性体182を内包可能な貫通孔187が形成されている。また、枠体166の一方の面166aには弾性体182のバネ部186の先端を挿通可能な切欠部188がバネ部186の形状に合わせて複数形成されている(本実施形態では3箇所)。さらに、枠体166の内周面166bには、周方向に沿ってバネ部186の先端が嵌合支持される溝部189が全周に亘って形成されている。そして、切欠部188と溝部189とは、繋がっている。つまり、バネ部186の先端を切欠部188の位置に合わせて挿通させることにより、バネ部186の先端を溝部189に配することができ、その状態で弾性体182を枠体166に対して周方向に回転させてバネ部186の先端を溝部189に支持固定することにより、弾性体182のバネ部186を枠体166に支持固定することができるようになっている。またさらに、枠体166の外周面166cが、テンプ受167の内周面に圧入固定されるように構成されている。
【0077】
ここで、弾性体182は軸受体181を軸部145(軸体143)の方向に向かって付勢する付勢力Fを有している。この付勢力Fは、軸受体181と軸部145とを当接させ、かつ、軸部145(軸体143)が中心軸線Cを中心に回転できるような付勢力を有している。この付勢力Fが大きすぎると軸受体181と軸部145とを当接させることはできるものの、軸部145の回転に伴うエネルギーロスが大きくなり、計時精度が低下してしまう。一方、この付勢力Fが小さすぎると、軸部145の回転に伴うエネルギーロスは小さくて済むが、軸受180に強い衝撃が加わったときの軸位置変動が大きくなってしまい、計時精度が低下してしまう。したがって、弾性体182は適正な付勢力Fを有するものを採用する。
【0078】
本実施形態によれば、軸受180が軸部145(軸体143)に対して適度な与圧をかけることができるため、軸部145と軸受体181との間にアガキが形成されていない状態で、軸部145(軸体143)を中心軸線Cを中心に回転させることができる。したがって、軸受180の姿勢が変わったり、衝撃が加わったりしても、軸体143の位置の変動を抑制することができる。その結果、香箱車120からテンプ140に伝達されるトルク変動を抑えることができ、テンプ140の振り角および歩度の変動を抑えることができ、腕時計や懐中時計などの携帯用時計の計時精度を向上することができる。
【0079】
また、上記のように軸受180を構成することにより、軸受体181と枠体166との間に弾性体182を容易に支持固定することができ、バネ部186により軸受体181と枠体166との間に付勢力Fを持たせることができる。また、枠体166はテンプ受167に支持固定されているため、枠体166に対して軸受体181が付勢される方向に移動しようとする。したがって、バネ部186を軸部145(軸体143)に向かって付勢させることにより、確実に軸受体181を軸体方向に付勢させることができ、軸受体181と軸部145とを当接させることができる。その結果、軸体143の位置の変動を抑制することができ、時計の計時精度を向上することができる。
【0080】
また、弾性体182が枠体166から着脱できるように構成したため、軸受180をメンテナンスする際に、弾性体182を枠体166から容易に取り外すことができ、それぞれの部材ごとにメンテナンスを行うことができる。したがって、メンテナンス効率を向上することができる。
【0081】
尚、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述した実施形態に種々の変更を加えたものを含む。すなわち、実施形態で挙げた具体的な形状や構成等は一例にすぎず、適宜変更が可能である。
【0082】
例えば、図7、図8に示すように、枠体166と軸受体181との間に形成された空間部に、略円筒状のガイド部材203を配してもよい。ガイド部材203は、例えば枠体166の内周面166bに圧入固定可能な大きさで形成されており、ガイド部材203の貫通孔204内に軸受体181を配することができるように形成されている。このように構成することにより、軸受体181が径方向に移動しようとしても、ガイド部材203により径方向の移動を規制することができるように構成されている。なお、このときガイド部材203の内周面と軸受体181の外周面との間には僅かに隙間が形成されていることが好ましい。一方、ガイド部材の内周面が軸受体181の外周面に固定され、ガイド部材の外周面と枠体166の内周面との間に隙間を形成するように構成し、軸受体181の移動方向を規制するように構成してもよい。
【0083】
また、図9〜図11に示すように、軸受体181を介して軸部145(軸体143)の反対側に、軸受体181の軸方向の変位量を規制するストッパー部材205を設けてもよい。ストッパー部材205を配することにより、時計の姿勢が変わったり、衝撃が加わったりしたときに、軸受体181がストッパー部材205にぶつかることにより、軸方向に変位するのを規制することができる。その結果、軸体143の軸方向の位置変動を抑制することができ、時計の計時精度を向上することができる。なお、このストッパー部材205は、例えば、軸受体181と軸方向に隙間を形成しつつ、枠体166に固定すればよい。枠体166に固定する方法としては、例えば、ストッパー部材205の両端に係止部206を形成し、該係止部206を枠体166の溝部189に係止するように構成すればよい。このように構成することで、軸受体181から軸体に向かって付勢する付勢力Fに影響を与えることなくストッパー部材205を配することができる。
【0084】
また、図12〜図14に示すように、弾性体282として枠体166の内周面166bに圧入固定される外輪部285と、外輪部285から径方向内方へ向かって放射状に複数形成されたバネ部286と、を備えたものを採用してもよい。この場合、軸受体281の一方の面281aには弾性体282のバネ部286の先端を挿通可能な切欠部288がバネ部286の形状に合わせて形成されている。さらに、軸受体281の外周面281bには、周方向に沿ってバネ部286の先端が嵌合支持される溝部289が全周に亘って形成されている。そして、切欠部288と溝部289とは、繋がっている。つまり、バネ部286の先端を切欠部288の位置に合わせて挿通させることにより、バネ部286の先端を溝部289に配することができ、その状態で弾性体282を軸受体281に対して周方向に回転させてバネ部286の先端を溝部289に支持固定することにより、弾性体282を軸受体281に支持固定することができるようになっている。なお、このように構成することで、軸受280をメンテナンスする際に、弾性体282を軸受体281から容易に取り外すことができ、それぞれの部材ごとにメンテナンスを行うことができる。したがって、メンテナンス効率を向上することができる。
【0085】
さらに、上記実施形態では、枠体166と軸受体181との間に弾性体182を配して、適正な付勢力Fで軸受体181から軸部145(軸体)へ付勢するように構成したが、この付勢力Fを調整可能な与圧調整機構を設けてもよい。与圧調整機構を設けることにより、個体差のある軸受および軸体であっても、個体ごとに与圧を調整することができ、常に、軸受体181と軸部145(軸体)とを当接させつつ、軸体を中心軸線Cを中心に回転させることができる適正な付勢力Fに容易に設定することができる。したがって、軸受でのエネルギーロスや摩耗量を略一定にすることができる。
【0086】
与圧調整機構の例として、例えば、図15、図16に示すように、枠体166の外周面166cとテンプ受167の内周面との間にネジ部201を形成すればよい。このようにネジ部201を形成することにより、テンプ受167に対して枠体166の螺合する割合を調整することにより、軸受体181から軸部145(軸体143)に向かって付勢する付勢力Fを容易に調整することができる。また、前述した枠体166の外周面166cと、テンプ受167の内周面とのネジ構造により、枠体166、弾性体182、軸受体181をまとめてテンプ受167から着脱することができるため、メンテナンス効率を維持したまま、枠体166、弾性体182、軸受体181を一体形成することが可能となる。
【0087】
また、与圧調整機構の別の例として、例えば、図17、図18に示すように、枠体266の内周面266bに軸方向にずれた位置に複数バネ支持凹部207を形成してもよい。このように構成することで、弾性体182のバネ部186を支持する位置を軸方向にずれた位置に複数形成されたバネ支持凹部207からいずれかを選択することにより、軸受体181から軸部145(軸体143)に向かって付勢する付勢力Fを容易に調整することができる。なお、図18に示すように、バネ支持凹部207を形成する際には、枠体266をバネ支持凹部207の位置で軸方向に分割できるようにする。つまり、枠体266を分割した状態で、所望の位置のバネ支持凹部207に弾性体182のバネ部186の先端を配し、その状態で枠体266を一体にすることにより、バネ部186の位置を容易に調整でき、バネ部186の付勢力Fを容易に調整することができる。
【0088】
さらに、与圧調整機構のさらに別の例として、例えば、図19に示すように、枠体266の内周面266bに螺旋状にバネ支持溝部209を形成してもよい。このように構成することで、弾性体182のバネ部186の先端をバネ支持溝部209に沿って移動させることにより、軸受体181から軸部145(軸体143)に向かって付勢する付勢力Fを容易に調整することができる。つまり、バネ支持溝部209を形成する際には、弾性体182をバネ支持溝部209に沿うように中心軸線Cを中心に回転することで、バネ部186の先端の位置を調整でき、つまり、バネ部186の付勢力Fを容易に調整することができる。
【0089】
また、上記実施形態では、軸受体181、弾性体182、枠体166、ガイド部材203およびストッパー部材205をそれぞれ個別の部品として構成しているが、これらの部材を一部一体形成してもよい。例えば、軸受体181と弾性体182とを一体形成したり、弾性体182と枠体166を一体形成したり、枠体166とストッパー部材205を一体形成したり、軸受体181とストッパー部材205を一体形成したり、軸受体181とガイド部材203とを一体形成したり、枠体166とガイド部材203とを一体形成したりしてもよい。このように構成することで、部品点数を少なくすることができ、製造時の製造効率やメンテナンス時のメンテナンス効率を向上することができる。
【0090】
また、上記したガイド部材203、ストッパー部材205および与圧調整機構を組み合わせて採用してもよい。
【0091】
また、上記実施形態では、弾性体として板バネ部材を採用した場合の説明をしたが、図20に示すように、軸受体181と枠体166との間にコイルバネ382を配する構成にしてもよい。
【0092】
さらに、上記実施形態では、軸部145側に軸受180を設けた場合の説明をしたが、軸部144側に軸受180を配する構成にしてもよい。
【0093】
そして、上記実施形態では、テンプ140に配する軸受として上記構成の軸受180を採用した場合の説明をしたが、テンプ140以外にも、香箱車120、二番車124、三番車126、四番車128、がんぎ車130およびアンクル142の軸受として上記構成の軸受180を採用してもよい。このような各所に軸受180を設けることで、軸体と軸受体との間にアガキが形成されていない状態で軸体を軸中心に回転させることができる。したがって、時計用軸受の姿勢が変わったり、衝撃が加わったりしても、軸体の位置の変動を抑制することができる。その結果、トルクの変動を抑制することができるため、時計の計時精度を向上することができる。また、各部品ごとに容易に分割することができるため、メンテナンスを部品ごとに容易に行うことができ、メンテナンス効率を向上することができる。
【符号の説明】
【0094】
100…ムーブメント 143…軸体 145…軸部(一方の端部) 166…枠体 166b…内周面 166c…外周面 167…テンプ受(支持部材) 180…軸受(時計用軸受) 181…軸受体 182…弾性体 185…内輪部 186…バネ部 188…切欠部(嵌合凹部) 189…溝部(係合溝部) 201…ネジ部(与圧調整機構) 203…ガイド部材 205…ストッパー部材 207…バネ支持凹部(与圧調整機構) 209…バネ支持溝部(与圧調整機構) 282…弾性体 285…外輪部 286…バネ部 288…切欠部(嵌合凹部) 289…溝部(係合溝部) C…中心軸線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸中心に回転する軸体の少なくとも一方の端部に設けられ、前記軸体の軸方向および径方向の移動を規制する軸受体と、
該軸受体に対して軸方向に付勢力を有する弾性体と、
前記軸受体を内包する枠体と、を備えた時計用軸受であって、
前記弾性体が前記軸受体と前記枠体との間を連結するように設けられているとともに、前記枠体が支持部材に支持固定されており、
前記弾性体により前記軸体と前記軸受体とが当接された状態で、前記軸体が軸中心に回転可能に構成されていることを特徴とする時計用軸受。
【請求項2】
前記弾性体が、
前記軸受体に圧入固定される内輪部と、
該内輪部から径方向外方へ向かって放射状に複数形成されたバネ部と、を備え、
該バネ部の先端が前記枠体に支持可能に構成されていることを特徴とする請求項1に記載の時計用軸受。
【請求項3】
前記弾性体が、
前記枠体に圧入固定される外輪部と、
該外輪部から径方向内方へ向かって放射状に複数形成されたバネ部と、を備え、
該バネ部の先端が前記軸受体に支持可能に構成されていることを特徴とする請求項1に記載の時計用軸受。
【請求項4】
前記軸受体から前記軸体に向かって付勢する圧力を調整可能な与圧調整機構を有していることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の時計用軸受。
【請求項5】
前記与圧調整機構が、前記枠体の外周面と前記支持部材の内周面との間に形成されたネジ部で構成されていることを特徴とする請求項4に記載の時計用軸受。
【請求項6】
前記与圧調整機構が、前記枠体の内周面に軸方向にずれた位置に複数形成されたバネ支持凹部で構成されていることを特徴とする請求項4に記載の時計用軸受。
【請求項7】
前記与圧調整機構が、前記枠体の内周面に螺旋状に形成されたバネ支持溝部で構成されていることを特徴とする請求項4に記載の時計用軸受。
【請求項8】
前記弾性体が前記枠体から着脱できる着脱機構を有していることを特徴とする請求項2、4〜7のいずれかに記載の時計用軸受。
【請求項9】
前記着脱機構が、前記弾性体のバネ部の先端に形成された嵌合突起と、前記枠体の軸方向一端面に形成された嵌合凹部と、を備え、
前記弾性体の嵌合突起が前記枠体の嵌合凹部を通過した後、前記枠体の内周面に周方向に沿って形成された係合溝部に沿って前記弾性体を回転することで前記弾性体が前記枠体に支持されることを特徴とする請求項8に記載の時計用軸受。
【請求項10】
前記弾性体が前記軸受体から着脱できる着脱機構を有していることを特徴とする請求項3〜7のいずれかに記載の時計用軸受。
【請求項11】
前記着脱機構が、前記弾性体のバネ部の先端に形成された嵌合突起と、前記軸受体の軸方向一端面に形成された嵌合凹部と、を備え、
前記弾性体の嵌合突起が前記軸受体の嵌合凹部を通過した後、前記軸受体の外周面に周方向に沿って形成された係合溝部に沿って前記弾性体を回転することで前記弾性体が前記軸受体に支持されることを特徴とする請求項10に記載の時計用軸受。
【請求項12】
前記軸受体を介して前記軸体の反対側に、前記軸受体の軸方向の変位量を規制するストッパー部材が設けられていることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の時計用軸受。
【請求項13】
前記ストッパー部材が、前記枠体に固定されるとともに、前記軸受体と軸方向に隙間を形成して配されていることを特徴とする請求項12に記載の時計用軸受。
【請求項14】
前記軸受体の可動方向を軸方向のみに規制するガイド部材が設けられていることを特徴とする請求項1〜13のいずれかに記載の時計用軸受。
【請求項15】
前記ガイド部材が、前記枠体の内周面に固定されていることを特徴とする請求項14に記載の時計用軸受。
【請求項16】
前記軸受体と前記弾性体とが一体形成されていることを特徴とする請求項1〜9、12〜15のいずれかに記載の時計用軸受。
【請求項17】
前記弾性体と前記枠体とが一体形成されていることを特徴とする請求項1〜7、10〜15のいずれかに記載の時計用軸受。
【請求項18】
前記枠体と前記ストッパー部材とが一体形成されていることを特徴とする請求項12〜17のいずれかに記載の時計用軸受。
【請求項19】
前記軸受体と前記ストッパー部材とが一体形成されていることを特徴とする請求項12〜17のいずれかに記載の時計用軸受。
【請求項20】
前記軸受体と前記ガイド部材とが一体形成されていることを特徴とする請求項14〜19のいずれかに記載の時計用軸受。
【請求項21】
前記枠体と前記ガイド部材とが一体形成されていることを特徴とする請求項14〜19のいずれかに記載の時計用軸受。
【請求項22】
香箱、番車、がんぎ車、アンクルおよびテンプを備えた時計のムーブメントであって、
少なくとも前記テンプの軸受に、請求項1〜21のいずれかに記載の時計用軸受が用いられていることを特徴とするムーブメント。
【請求項23】
請求項22に記載のムーブメントと、
該ムーブメントを内包するケーシングと、を備えていることを特徴とする携帯用時計。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2011−80880(P2011−80880A)
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−233805(P2009−233805)
【出願日】平成21年10月7日(2009.10.7)
【出願人】(000002325)セイコーインスツル株式会社 (3,629)