説明

時間表示方法および時間表示装置

【課題】アナログ式の時計の文字盤上に、ユーザが設定した開始時刻から終了時刻までの
時間の経過を表示し、終了時刻に対する緊急度合いを一目で視覚的に認識させるための表
示を行うこと。
【解決手段】時計1は、透明な有機ELパネル12の前面側をカバーガラス13で覆った
前面パネル3を備えている。ユーザが時計1の端子6から作業時間や試験時間などの開始
時刻および終了時刻を含む制御信号を入力すると、時計1の制御部20は、入力した時間
の間に時計1の指針9が動く文字盤7上の回転領域Rを3分割して、開始時間から終了時
間に向かって並ぶ分割領域R1〜R3を決定する。そして、分割領域R1〜R3に重なる
有機ELパネル12の部分を、それぞれ、青色、黄色、赤色に発光させることにより、分
割領域R1〜R3を青色、黄色、赤色に色付け表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、文字盤上で指針を回転させて時間を表示するアナログ時計式の表示部に、ユ
ーザが設定した開始時刻から終了時刻までの間の時間の経過を認識させる表示を行う時間
表示方法および時間表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、試験や発表会、スポーツの試合などの終了時刻や割り当て時間が決まったイ
ベントを行う際には、終了時刻までの経過時間や割り当て時間に対する残り時間をデジタ
ル表示やアナログ表示により表示したり、残り時間が一定の長さになった時や終了時刻に
なった時にチャイムやブザーなどを鳴らして、試験や試合などの参加者に時間の経過を知
らせている。
【0003】
特許文献1の残り時間表示装置は、LCDなどのディスプレイ装置にアナログ時計式の
文字盤を表示し、この文字盤上で時針や分針などの時刻表示用指針を動かす時計表示を行
う。この装置では、ユーザがキーボードなどの入力装置から開始時刻と終了時刻を入力す
ると、文字盤上の開始時刻から終了時刻までの部分を円弧状に発光させた割り当て時間パ
ターンと、割り当て時間パターンの内周側に配置された円弧状の残り時間パターンを表示
する。残り時間パターンの部分は、開始時刻前にはその全体が発光表示されているが、開
始時刻になってから終了時刻になるまでの間は、開始時刻側から終了時刻側に向かって時
間の経過に対応して徐々に消灯されてゆく。ユーザは、発光部分が徐々に少なくなるのを
見ることにより、残り時間を視覚的に認識できる。
【特許文献1】実開昭62−170592号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の装置では、発光部分の面積を視覚的に認識することで、残り時間や、残り
時間の割り当て時間パターンに対する比率が少なくなってゆくのを視覚的に認識できるも
のの、残り時間の長さを発光部分の面積(長さ)から判断しなければならず、終了時刻に
対する緊急度合いを一目で直感的に認識することはできなかった。
【0005】
本発明の課題は、このような点に鑑みて、アナログ式の時計の文字盤上に、ユーザが設
定した開始時刻から終了時刻までの時間の経過を表示でき、終了時刻に対する緊急度合い
を一目で視覚的に認識させるための表示を行うことができる時間表示方法および時間表示
装置を提案することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は、アナログ式の時計の文字盤上で時間の経過に対
応させて指針を回転させる時間表示方法であって、
開始時刻および終了時刻を設定し、
前記開始時刻から前記終了時刻までの時間の長さに対応して、前記文字盤上の一回転内
に納まる所定の回転領域を決定し、
前記所定の回転領域を、前記開始時刻から前記終了時刻に向かって並ぶ複数の分割領域
に分割し、
当該複数の分割領域を互いに異なる色で色付け表示し、
前記開始時刻から前記終了時刻までの間に、前記複数の分割領域を順次通過するように
前記指針を回転させることを特徴とする。
【0007】
本発明は、このように、ユーザが作業時間や試験時間、発表時間などの所定の割り当て
時間の開始時刻と終了時刻を設定すると、設定した時間の長さに対応して、文字盤上の所
定の回転領域を決定し、決定した回転領域を開始時刻から前記終了時刻に向かって並ぶ複
数の分割領域に分割し、互いに異なる色に色付け表示する。このようにすると、開始時刻
から終了時刻までの間に回転領域の一端から他端まで指針を移動させ、その際に、時間の
経過に伴って異なる色の領域の上を指針が通過してゆく。よって、ユーザは、現在指針が
通過している領域の色を確認するだけで、現時点での終了時刻までの緊急度合いを直感的
に把握できるので、終了時刻までの緊急度合いに対する誤判断が発生しにくい。また、現
在の時刻から終了時刻までの残り時間の長さを文字盤上の目盛りなどから読み取ったり、
指標の長さや面積を判定するなどして緊急度合いを判断する必要がなくなるので、目盛り
の読み取りミスや、長さあるいは面積の判断ミスなどによる誤判断が発生しにくい。
【0008】
本発明において、前記複数の分割領域は3つの分割領域であり、当該3つの分割領域を
、前記開始時刻から前記終了時刻に向かって青、黄、赤の順で並ぶように色付け表示する
とよい。このようにすると、指針が終了時刻に最も近い領域に入っているときには、赤色
表示により緊急度が高いことを直感的に認識できる。また、指針が開始時刻と終了時刻と
の間の中間の領域にあり、緊急度がまだそれほど高くないときには、そのことを黄色表示
により直感的に認識でき、指針が終了時刻から最も遠い領域にあり緊急度が最も低いとき
には、そのことを青色表示により直感的に認識できる。
【0009】
本発明において、前記指針には、時針、分針、秒針のうち2つ以上の指針が含まれ、当
該2つ以上の指針の中から、前記開始時刻から前記終了時刻の間に前記文字盤上の一回転
内に納まる回転領域を動く所定の指針を選択し、当該指針が前記開始時刻から前記終了時
刻までの間に動く回転領域を前記所定の回転領域に決定し、前記開始時刻から前記終了時
刻までの間に、前記複数の分割領域を順次通過するように前記所定の指針を回転させると
よい。このようにすると、設定した時間の単位や長さに合わせて適切な指針および回転範
囲を選択できるので、誤判断が発生しにくい。
【0010】
また、本発明の時間表示装置は、上記各時間表示方法を行う時間表示装置であって、
前記文字盤と、
前記指針と、
前記文字盤上で前記指針を時間の経過に対応させて回転させる回転手段と、
当該文字盤の前面側に設けられた表示パネルと、
当該表示パネルの表示内容を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記開始時刻および前記終了時刻を含む表示指令が入力されると、当該
表示指令に基づいて前記複数の分割領域を決定し、前記表示パネルにおける前記分割領域
に重なる位置の表示素子を所定の色で表示させることにより、前記複数の分割領域を互い
に異なる色で色付け表示することを特徴とする。
【0011】
また、本発明の時間表示装置の前記表示素子は、少なくとも有機EL、液晶、LEDの
いずれかから構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ユーザが作業時間や試験時間、発表時間などの所定の割り当て時間の
開始時刻と終了時刻を設定すると、開始時刻から終了時刻までの間に、文字盤上の一回転
内に納まる回転領域の一端から他端まで指針を移動させ、その際に、時間の経過に伴って
指針が通過している領域の色が変わるような色付け表示を行っている。よって、ユーザは
、現在指針が通過中の領域の色を確認するだけで、終了時刻までの緊急度合いを直感的に
把握できるので、残り時間の緊急度合いに対する誤判断が発生しにくい。また、現在の時
刻から終了時刻までの残り時間の長さを文字盤上の目盛りなどから読み取る必要がなくな
るので、目盛りの読み取りミスなどによる誤判断が発生しにくい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下に、図面を参照して、本発明の時間表示装置の実施の形態を説明する。
【0014】
(全体構成)
図1は本発明を適用したアナログ時計(時間表示装置)の斜視図、図2はアナログ時計
の部分断面図、図3はアナログ時計の制御系を示す概略ブロック図である。アナログ時計
1(以下、時計1という)は、円形の表示部2の前面側を透明な前面パネル3により覆い
、表示部2およびその裏面側に設けられた時計1の内部機構の側面側および裏面側を、前
面パネル3の外周から時計1の裏面側に向かって延びている円筒状のケース体4およびケ
ース体4の後端部を封鎖する裏蓋5により覆っている。ケース体4の外周面には、USB
端子あるいはLAN端子などの制御信号入力用の端子6が設けられている。時計1は、壁
面などに設置したり、スタンドなどにより設置台の上に置いて使用できる寸法および構成
になっている。なお、時計1を腕時計型やストップウォッチ型に形成してもよい。
【0015】
表示部2の中央部分にある円形の文字盤7の表面には、その外周に沿って目盛り8が表
示されている。目盛り8は、360度を12分割した各方向を示す12個の大目盛りと、
各大目盛り間をさらに5分割した小目盛りなどを備えている。また、文字盤7の上には、
時針9A、分針9B、および秒針9Cからなる3本の指針9が配置されている。3本の指
針9の基端部は、文字盤7の中心部に回転自在に取り付けられている。時計1は、指針9
を文字盤7上で時計回り方向に旋回運動させることにより、時刻表示を行う。
【0016】
表示部2の裏面側には、文字盤7および指針9を含むアナログ時計モジュール10の駆
動制御部11(回転手段)が設けられている。駆動制御部11は、水晶振動子を使用した
発振回路、発振回路から得られるクロック信号を分周して計時の基準となる計時信号を発
生する分周回路、指針9を時計回り方向に回転させるための駆動力を与えるステップモー
タ、分周回路による計時信号に基づいてステップモータに駆動パルスを与えるモータドラ
イバなどを有している。
【0017】
前面パネル3は、透明な有機ELパネル12の前面側をカバーガラス13で覆って形成
されている。図4は有機ELパネル12の部分断面図である。有機ELパネル12は、ガ
ラス板あるいは透明樹脂板などからなる透明基板層14の上に、赤色(R)、緑色(G)
、青色(B)の各色のカラーフィルタ層15を有機ELパネル12における画素配置に対
応させて配置し、その上に、白色に発光する有機EL素子16を積層し、さらに、エポキ
シ系熱硬化性樹脂や光硬化性樹脂などの封止材により透明な封止用基板17を貼り合わせ
た構成である。有機EL素子16は、透明陽極と透明陰極との間に白色に発光する発光性
有機層などを挟んだ公知の構成である。なお、カラーフィルタを用いずに、発光性有機層
として赤色、緑色、青色の各色により発光するものを用いることにより、各画素の発光色
を制御できるようにしてもよい。
【0018】
有機EL素子16は、多数の帯状の透明陽極の列と多数の帯状の透明陰極の列を互いに
直交する方向に形成してその交差部に発光性有機層を配置し、発光画素位置の透明陽極お
よび透明陰極に電流を流して発光させるパッシブ駆動方式、あるいは、各有機EL素子1
6にTFT素子を重ねて配置し、発光画素位置の電流をTFT素子により制御するアクテ
ィブ駆動方式などの駆動方法により駆動制御される。有機ELパネル12は、有機EL素
子16を各画素ごとに所定の色で発光させるための表示用駆動信号を供給する有機ELパ
ネル駆動回路18(図3参照)を備えている。
【0019】
アナログ時計モジュール10の裏面側には基板19が配置されており、この基板19上
には、時計1の各部を制御するためのICチップなどからなる制御部20(図3参照)が
設けられている。制御部20には、基板19上に設けられた通信回路21(図3参照)を
介して、端子6からの制御信号が入力される。制御部20は、内蔵するタイマにより、端
子6から入力された制御信号に含まれる時間を計測できる。また、制御部20は、端子6
から入力された制御信号に基づき、駆動制御部11および有機ELパネル駆動回路18に
制御信号を出力する。
【0020】
(アナログ時計による時間表示方法)
時計1は、アナログ時計モジュール10により通常のアナログ式時計と同様に動作する
。また、時計1は、ユーザが表示したい作業時間や試験時間、発表時間などの所定の時間
範囲の開始時刻と終了時刻を指定することにより、有機ELパネル12を表示制御して文
字盤7上の開始時刻から終了時刻までの領域を色付け表示し、色付け表示された領域上で
指針9を動かすことができる。以下、その方法について説明する。
【0021】
図5(a)〜(c)は文字盤7の色付け表示の説明図である。なお、図5では目盛り8
の大目盛りだけを表示し、小目盛りは表示を省略している。ユーザが、端子6に接続され
た端末22(図3参照)などから開始時刻と終了時刻を含む制御信号を時計1に入力する
と、制御部20は、指定された開始時刻と終了時刻の間に指針9が動く文字盤7上の回転
領域Rを決定する。その際、制御部20は、回転領域Rを、文字盤7上の1回転内に納ま
る領域になるように決定する。例えば、指定された開始時刻が13時、終了時刻が16時
であった場合には、制御部20は、図5(a)に示すように、回転領域Rとして、13時
から16時までの間に時針9Aが動く大目盛り3つ分の扇形の領域を設定する。
【0022】
続いて、制御部20は、この回転領域Rを均等に3分割して、開始時刻から終了時刻に
向かって並ぶ3つの扇形の分割領域R1〜R3を設定する。例えば、図5(a)の場合に
は、13時〜14時の大目盛り1つ分の扇形の領域をR1とし、14時〜15時の大目盛
り1つ分の扇形の領域をR2とし、15時〜16時の大目盛り1つ分の扇形の領域をR3
とする。
【0023】
また、制御部20は、指定された開始時刻が13時、終了時刻が13時45分だった場
合には、この時間内に分針9Bが動く回転範囲が1回転分よりも小さいことにより、時針
9Aではなく分針9Bを時間表示用の指標として選択し、分針9Bが動く範囲を回転領域
Rとして設定する。すなわち、図5(b)に示すように、12時から9時までの大目盛り
9つ分の扇形の領域を回転領域Rとして設定する。そして、この回転領域Rを均等に3分
割することにより、大目盛り3つ分ずつの3つの扇形の分割領域R1〜R3を設定する。
同様に、指定された開始時刻が60秒以内(例えば、30秒)だった場合には、秒針9C
を時間表示用の指標として選択し、図5(c)に示すように、30秒の間に秒針9Cが動
く範囲を回転領域Rとして設定する。
【0024】
なお、図5(a)〜(c)では、回転領域Rおよび分割領域R1〜R3の径方向の寸法
を、時間表示用の指標として選択した指針9(時針9A、分針9B、あるいは秒針9C)
の長さに対応する寸法(指針9の長さとほぼ同一の寸法)にしてあるが、指針9の長さに
対応させなくてもよい。また、回転領域Rおよび分割領域R1〜R3を、扇形の中心付近
の部分を含まない形状、すなわち、円弧状にしてもよい。
【0025】
制御部20は、指定された開始時刻になる前に、設定した各分割領域R1〜R3の有機
ELパネル12上における座標位置と、各分割領域R1〜R3の表示色を含む制御信号を
有機ELパネル駆動回路18に供給する。有機ELパネル駆動回路18は、指定された座
標位置の画素を指定された表示色で発光させるための駆動信号を生成し、各画素位置の有
機EL素子16に所定の電流を流す。これにより、各分割領域R1〜R3に重なる領域の
画素を構成する有機EL素子16が、それぞれ青色、黄色、赤色に発光する。有機ELパ
ネル12は発光状態でも光透過性があるので、発光時に時計1の表示部2を前面パネル3
側から見ると、文字盤7上の分割領域R1〜R3が、各領域の前面側にある有機ELパネ
ル12の発光部分により色付けされて見える。すなわち、文字盤7上の分割領域R1〜R
3が青色、黄色、赤色に色付け表示される。
【0026】
制御部20は、アナログ時計モジュール10により時針9A、分針9B、秒針9Cを通
常のアナログ時計と同様に文字盤7上で旋回させて、時間表示を行う。一方で、制御部2
0は、アナログ時計モジュール10内で発生する計時信号あるいは指針9の旋回位置を検
出して現在時刻を検出し、内蔵するタイマにより、有機ELパネル12を発光開始させる
タイミングおよび発光を停止させるタイミング、言い換えれば、分割領域R1〜R3を青
色、黄色、赤色に色付け表示するタイミングおよび色付け表示を停止するタイミングを制
御する。そして、指標として選択した指針が回転領域Rを通過してゆく間は、分割領域R
1〜R3をそれぞれ青色、黄色、赤色に色付け表示する。
【0027】
色付け表示を開始するタイミングは、開始時刻と同時にするか、あるいは、開始時刻よ
りも前の所定のタイミングにすることができる。例えば、開始時刻の1分前や5分前など
に色付け表示を開始したり、ユーザが制御信号を時計1に入力した直後に色付け表示を開
始することができる。また、色付け表示を停止させるタイミングも同様に、終了時刻と同
時にするか、あるいは、終了時刻よりも後の所定のタイミングにすることができる。これ
らのタイミングは予め決定しておいてもよいし、ユーザの指定により変えるようにしても
よい。例えば、ユーザが端末22に開始時刻と終了時刻を入力する際に、色付け表示の開
始タイミングおよび終了タイミングを入力する。これにより、開始時刻と終了時刻を含む
制御信号に、色付け表示の開始タイミングおよび終了タイミングを含めて時計1に送信す
ることができる。なお、終了時刻を過ぎたときには、時間超過を示す所定の表示を行い、
ユーザによる解除操作があったら時間超過表示を止めて通常の時計表示に戻るようにして
もよい。
【0028】
(本実施形態の効果)
以上のように、本実施形態の時計1は、ユーザが端子6から開始時刻と終了時刻を含む
制御信号を入力すると、設定した開始時刻と終了時刻に対応させて、文字盤7上の回転領
域Rを決定し、この回転領域Rを3分割して分割領域R1〜R3を決定する。そして、設
定した開始時刻から終了時刻までの間は有機ELパネル12を発光させて、分割領域R1
〜R3をそれぞれ青色、黄色、赤色に色付け表示する。これにより、開始時刻から終了時
刻までの間に、時針9A、分針9B、あるいは秒針9Cのいずれかが回転領域Rを通過す
るが、その際、時間の経過に伴って、青色に色付け表示された領域、黄色に色付け表示さ
れた領域、赤色に色付け表示された領域を順次通過する。よって、ユーザは、時針9A、
分針9B、あるいは秒針9Cが現在通過している領域の色を確認するだけで、終了時刻ま
での緊急度合いを直感的に把握できるので、終了時刻までの緊急度合いに対する誤判断が
発生しにくい。また、現在の時刻から終了時刻までの残り時間の長さを文字盤上の目盛り
や指標の面積あるいは長さなどから読み取って緊急度合いを判断する必要がなくなるので
、目盛りの読み取りミスや面積、長さの判断ミスなどによる誤判断が発生しにくい。
【0029】
(改変例)
(1)上記実施形態では、前面パネル3の内面側に有機ELパネル12を設けて指針9の
前面側から文字盤7上の領域を色付け表示していたが、文字盤7の表面に有機ELパネル
12を積層し、指針9の後方で文字盤7の色付け表示を行う構成であってもよい。
【0030】
(2)上記実施形態では、USBケーブルやLANケーブルなどの通信ケーブルにより端
末22を端子6に接続していたが、端子6の代わりに、赤外線リモコンの受光部や、無線
LANアダプタ、近距離無線通信用のアンテナチップなどの受信部を設けて、これらの受
信部に対応する送信部を有するリモコンや端末により、制御信号の入力を行っても良い。
また、制御信号の中に開始時刻および終了時刻の組み合わせを2つ以上含めてもよい。す
なわち、複数回の色付け表示のための設定を1回の制御信号の送信により行ってもよい。
また、設定内容を色付け表示が終了した後も制御部20に記憶させておき、毎日同じ時刻
になったら同じ色付け表示を行ってもよい。また、色付け表示を行う日付や曜日を制御信
号に含めて、設定した日付や曜日のときだけ色付け表示を行うようにしてもよい。
【0031】
(3)上記実施形態では、ステップモータなどにより駆動される指針9および文字盤7上
に描かれた目盛り8を備えたアナログ時計モジュール10により時間を表示していたが、
制御部20が内蔵する発振回路および分周回路により得られた計時信号に基づいて有機E
Lパネル12上に指針9が旋回する動画や連続画像を表示することにより、時間を表示し
てもよい。また、指針9だけでなく目盛り8の画像を有機ELパネル12上に表示しても
よい。また、指針9のような針型の指標を表示する代わりに、現在時刻に対応する位置の
目盛り8を発光させたり色を変えたりするなどの表示方法により時刻を表示してもよい。
【0032】
(4)上記実施形態では、目盛り8の表示態様および指針9の回転速度は通常の時計と同
様であったが、開始時刻と終了時刻の設定内容に合わせてこれらを異ならせてもよい。例
えば、開始時刻が13時、終了時刻が13時3分である場合に、開始時刻から終了時刻ま
での3分間で秒針9Cが文字盤7を1回転するように、秒針9Cの回転速度を通常の3分
の1にする。そして、3分間に秒針9Cが回転する360度の回転領域Rを3分割して1
20度ずつの分割領域R1〜R3を設定し、これらを、それぞれ、青色、黄色、赤色によ
り色付け表示する。このとき、目盛り8の表示位置を変更した回転速度に合わせて変更す
るとよい。また、回転領域Rの開始位置は、時計1の12時の位置に限らず、文字盤7上
のどの位置に設定してもよい。このように、開始時刻から終了時刻までの時間の長さに対
応させて回転領域Rを適度に広い領域に設定し、設定した領域内を丁度通過するように指
針9を動かせば、開始時刻から終了時刻までの時間の経過をユーザに直感的に認識させや
すくなり、誤判断が発生しにくくなる。
【0033】
(5)上記実施形態では、回転領域Rを3分割していたが、分割数は3に限定されず、2
あるいは4以上であってもよい。多数の領域に分割した場合には、開始時刻側から終了時
刻側に向かって青色⇒黄色⇒赤色の順で色が変化するようなグラデーションになるように
色付け表示するとよい。また、色付け表示の色は青色、黄色、赤色の三色に限定されず、
例えば、青の代わりに緑を用いてもよい。また、最も終了時刻に近い分割領域を赤色、そ
の次に終了時刻に近い領域を黄色とし、それ以外の領域は全て青色にしたり、色付け表示
を行わないようにしてもよい。また、分割領域ごとにその広さを変えてもよい。
【0034】
(6)上記実施形態では、開始時刻から終了時刻までの間は、分割領域R1〜R3を青色
、黄色、赤色により同一の態様で色付け表示していたが、指針9の回転に連動して、回転
領域R内の色付け表示領域を拡大させていってもよい。例えば、指針9が分割領域R1の
範囲内にある間は青色の色付け領域が徐々に拡大されてゆき、指針9が分割領域R2の範
囲内にある間は黄色の色付け領域が徐々に拡大されてゆき、指針9が分割領域R3の範囲
内にある間は赤色の色付け領域が徐々に拡大されてゆくようにする。このようにすれば、
色付け領域の拡大によって時間の経過が一目で認識しやすくなり、さらに、緊急度合いが
高い時間帯に入ったことを赤色表示によって一目で認識できる。
【0035】
(7)上記実施形態では、時計1を壁掛け型、腕時計型などの独立した時計として構成し
ていたが、携帯機器などの一部として組み込んでもよい。例えば、携帯機器の表示画面の
隣に、別個の表示部として上記表示部2を設けてもよい。また、携帯機器の表示画面を表
示部2と兼用して、表示画面上の一角に文字盤7、目盛り8、指針9を含む時計の画像を
表示してもよい。これらの場合には、携帯機器の入力部から直接開始時刻および終了時刻
などを入力することができる。
【0036】
(8)上記実施形態では、色付け表示のために有機ELを用いていたが、消費電力や発光
量、色合い、耐久性などの適性を考慮し、文字盤7の表面をカラー液晶や複数色のLED
等の発光素子を並べたもので構成してもよく、或いはそれらの組み合わせで構成すること
により、色づけ表示を行ってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明を適用した時計の斜視図である。
【図2】時計の部分断面図である。
【図3】時計の制御系を示す概略ブロック図である。
【図4】有機ELパネルの部分断面図である。
【図5】文字盤の色付け表示の説明図である。
【符号の説明】
【0038】
1…アナログ時計(時計:時間表示装置)、2…表示部、3…前面パネル、4…ケース体
、5…裏蓋、6…端子、7…文字盤、8…目盛り、9…指針、9A…時針、9B…分針、
9C…秒針、10…アナログ時計モジュール、11…駆動制御部(回転手段)、12…有
機ELパネル、13…カバーガラス、14…透明基板層、15…カラーフィルタ層、16
…有機EL素子、17…封止用基板、18…有機ELパネル駆動回路、19…基板、20
…制御部、21…通信回路、22…端末、R…回転領域、R1〜R3…分割領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アナログ式の時計の文字盤上で時間の経過に対応させて指針を回転させる時間表示方法
であって、
開始時刻および終了時刻を設定し、
前記開始時刻から前記終了時刻までの時間の長さに対応して、前記文字盤上の一回転内
に納まる所定の回転領域を決定し、
前記所定の回転領域を、前記開始時刻から前記終了時刻に向かって並ぶ複数の分割領域
に分割し、
当該複数の分割領域を互いに異なる色で色付け表示し、
前記開始時刻から前記終了時刻までの間に、前記複数の分割領域を順次通過するように
前記指針を回転させることを特徴とする時間表示方法。
【請求項2】
請求項1に記載の時間表示方法であって、
前記複数の分割領域は3つの分割領域であり、
当該3つの分割領域を、前記開始時刻から前記終了時刻に向かって青、黄、赤の順で並
ぶように色付け表示することを特徴とするアナログ時計の時間表示方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の時間表示方法であって、
前記指針には、時針、分針、秒針のうち2つ以上の指針が含まれ、
当該2つ以上の指針の中から、前記開始時刻から前記終了時刻の間に前記文字盤上の一
回転内に納まる回転領域を動く所定の指針を選択し、当該所定の指針が前記開始時刻から
前記終了時刻までの間に動く回転領域を前記所定の回転領域に決定し、
前記開始時刻から前記終了時刻までの間に、前記複数の分割領域を順次通過するように
前記所定の指針を回転させることを特徴とする時間表示方法。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載の時間表示方法により時間を表示する時間表示装置
であって、
前記文字盤と、
前記指針と、
前記文字盤上で前記指針を時間の経過に対応させて回転させる回転手段と、
当該文字盤の前面側に設けられた表示パネルと、
当該表示パネルの表示内容を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記開始時刻および前記終了時刻を含む表示指令が入力されると、当該
表示指令に基づいて前記複数の分割領域を決定し、前記表示パネルにおける前記分割領域
に重なる位置の表示素子を所定の色で表示させることにより、前記複数の分割領域を互い
に異なる色で色付け表示することを特徴とする時間表示装置。
【請求項5】
前記表示素子は、少なくとも有機EL、液晶、LEDのいずれかから構成されているこ
とを特徴とする請求項4に記載の時間表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−244043(P2009−244043A)
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−89969(P2008−89969)
【出願日】平成20年3月31日(2008.3.31)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】