説明

景品取得ゲーム機

【課題】景品収容部に収容される様々な景品を効果的に照らすこと。
【解決手段】景品取得ゲーム機1の、景品を収容する景品収容部3内に景品とともにLED管30を少なくとも1つ収容し、景品収容部3内に散在させたネジ穴40に着脱自在なブラケット31を、景品を効果的に照らす位置にLED管30を配置できるように選択したネジ穴40に取り付け、該ブラケット31によってLED管30を保持させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、景品収容部に収容されている景品を取得する景品取得ゲーム機に関する。
【背景技術】
【0002】
筐体内部に設けられた景品収容部に収容されている景品の取得を目的とする、クレーンゲーム機と称されるゲーム機等の景品取得ゲーム機において、遊戯者に対して筐体の外部から景品が良く見えるようにすることで景品の訴求力を高められることが知られている。
【0003】
そのため、景品収容部の周囲の壁を透明なガラスや樹脂パネルとすることで、収容されている景品の視認性を高めている景品取得ゲーム機(特許文献1)や、更には、遊戯時に遊戯者の近接面となる筐体前面に、小型の長型蛍光灯を備えた視認空間を設けて視覚的訴求力を高めようとする景品取得ゲーム機(特許文献2)が考案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−164662号公報
【特許文献2】特開2004−105470号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の景品取得ゲーム機では、景品収容部の周囲の壁を透明なガラスや樹脂パネルとして景品の視認性を高めたり、光源を増やすことで景品収容部内の景品を明るく照らすなどしているが、いずれも光源の位置が固定されてしまっているため、景品収容部内に収容される様々な形状及び大きさの景品や、収容されている位置や個数も様々である景品を、その都度に効果的に照らすことできず、遊戯者に対して景品の訴求力を十分に高めることは困難であった。
【0006】
そこで、この発明は、景品収容部に収容される様々な景品を効果的に照らすことができる景品取得ゲーム機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の景品取得ゲーム機は、景品を収容する景品収容部と、景品収容部内に景品と共に収容される少なくとも1つの光源部と、光源部を保持する保持部材と、保持部材を支持する支持部とを備え、支持部は、景品収容部内に保持部材よりも多く散在しており、且つ、保持部材を着脱自在であることを特徴とする。
【0008】
また、光源部は柱状であり、保持部材は、光源部の一部を該光源部の長軸と交わる方向に締め付けることで、光源部を保持することが好適である。
【0009】
また、支持部は、景品収容部内に設けられた穴であり、保持部材は、該保持部材を介して穴に挿し込まれる留め具によって支持部に取り付けられることが好適である。
【0010】
また、留め具は、ローレット付ネジであり、穴は前記ローレット付ネジに対応するネジ穴であることが好適である。
【0011】
また、景品収容部内に、景品を載置する載置部を備え、支持部は、少なくとも載置部の端部に設けられていることが好適である。または,景品収容部内に、垂直方向に延びる柱部を備え、支持部は、垂直方向に沿って柱部に複数設けられていることが好適である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、景品収容部内の支持部を選んで保持部材を取り付け、該保持部材で光源部を保持することで、景品を照らすための光源部を、景品収容部内において配置変更が可能となる態様で設けることができ、景品収容部内の景品を適切な位置から効果的に照らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施形態に係る景品取得ゲーム機の外観の構成を示す斜視図である。
【図2】落とし口の縁に設けられた支持部に保持部材を取り付けた際の外観を示す斜視図である。
【図3】保持部材の構成を示す斜視図である。
【図4】図3の保持部材を下側から見た外観を示す斜視図である。
【図5】載置部の端部に設けられた支持部に保持部材を取り付けた際の外観を示す斜視図である。
【図6】景品収容部の前側の柱に設けられた支持部に保持部材を取り付けた際の外観を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面に基づいて本発明の好適な実施形態を説明する。まず、本発明の景品取得ゲーム機の例として、クレーンゲーム機と称される景品取得ゲーム機1の概略的な構成及びその動作について説明する。
【0015】
なお、本願明細書でいう「景品」とは、ゲームによって遊戯者が直接的に取得しうる品物(例えばヌイグルミ等)だけを意味するわけではない。例えば、ゲームでの取得対象として収容されている物品であって取得後に他の景品と交換可能な物品、さらには当該物品(景品)自体の提供は行わず得点や順位を競うために用いるもの等も「景品」に含めて考える。即ち、ゲーム後に遊戯者の所有物になるかどうかに関わらず、遊戯において取得対象となる物品はすべて「景品」に包含される。
【0016】
景品取得ゲーム機1は、図1に示すように、直方体形状の基台2の上に、景品を収容するための箱型の景品収容部3を備えた構造となっている。
【0017】
景品収容部3は、その内部に景品を載置するための板状の載置部4を収容しており、載置部4に載置された景品を遊戯者が目視することができるように前面5A及び側面5B、5Cが透明な樹脂又はガラスの板状部材から形成されている。また、景品収容部3の背面5Dは、例えば鏡面状の板状部材や内面に装飾が施された板状部材により形成されており、さらに、景品収容部3の前面5Aは、例えば引戸又は観音開き構造にて開閉可能となっている。
【0018】
景品取得ゲーム機1の管理者(ゲーム場の運営者等)は、この前面5Aから、ぬいぐるみや雑貨等といった景品を景品収容部3内の載置部4に載置し、取り出し、さらには載置部4上のディスプレイ状態を変える(配置や傾き等といった状態を適宜変更する)ことができるようになっている。
【0019】
景品収容部3内には、遊戯者の操作に応じて水平方向に移動し、また、昇降する景品取得部6が設けられている。景品取得部6には、開閉して景品を把持する把持部6aが設けられている。
【0020】
景品取得部6を移動させる機構は、従来技術を適宜用いれば良く、例えば、景品収容部3の内部上方に横方向(側面5Bと側面5Cとを結ぶ方向)及び縦方向(前面5Aと背面5Dを結ぶ方向)のそれぞれに配されたレールと、レールにスライド自在に取り付けられた基台と、基台の鉛直方向(重力方向)下側に取り付けられた伸縮自在の連結棒とから構成するなどすれば良い。
【0021】
基台2の前側には、操作用卓であるコントロールパネル14が設けられている。コントロールパネル14には、ゲームを行う際にコインを投入するためのコイン投入口15と、ゲーム時に遊戯者が景品取得部6を景品収容部3内の所望位置に移動させる操作を入力するための操作ボタン16が設けられている。操作ボタン16は、遊戯者の操作入力が可能であれば、ジョイスティック等、適宜の形態とすれば良い。
【0022】
基台2の前面5A側には、景品収容部3内の下方に設けられた落とし口17に落下した景品を景品取得ゲーム機1の外部に取り出すための取出口18が設けられている。
【0023】
景品収容部3には、図2に示すように、LED管(光源部)30が収容されている。LED管30は、円柱状の管30a内に少なくとも1つのLED素子を収めたもので、管30aの一端に接続された直流電源によって管30aの側面が発光する。LED管30は、2つのブラケット(保持部材)31によって両端を保持されており、ブラケット31は、後述するように、景品収容部3内の様々な場所に取り付けることができる。例えば、図示されないが、ブラケット31を景品収容部3内の天井部分に取り付け、LED管30を当該天井部分に配置することで、景品収容部3全体を照らすことができる。
【0024】
図2では、景品収容部3下方の落とし口17の縁であって、コントロールパネル14の背後となる位置の部材33、ブラケット31が取り付けられており、これに保持されるLED管30によって、載置部4に載置されている景品を、コントロールパネル14側(遊戯者側)の下方から照らすことができる。
【0025】
ブラケット31の構成を図3に示す。ブラケット31は、保持具35、留め具36、ベース37から構成されている。保持具35は、ベース37にネジ39で固定されており、留め具36は、ベース37の留め穴38に挿し込まれた状態で回動自在となっている。なお、留め具36は、留め穴38に挿し込まれた状態で回動自在であれば、留め穴38から抜き差しが自在であっても良く、また、適宜の抜け止めを施すことで留め穴38から外れない態様であっても良い。
【0026】
保持具35は、一部が開放されたリング状であり、弾性力によって保持具35の内側に向かって締め付けられるようになっている。LED管30を保持具35に取り付ける際は、保持具35の開放されている部分を押し広げながらLED管30を保持具35の内側に入れ込むと、保持具35は、LED管30の一部をLED管30の長軸と交わる方向に締め付けることによってLED管30を保持する。なお、保持具35の形態は、LED管30を保持できるものであれば、例えば半円形状の弾性部材(板バネ等)によってLED管30の一部をベース37に押し付けることでLED管30を保持するなど、適宜の形態とすれば良い。
【0027】
留め具36は、ネジの頭部36aにローレットが施され、工具を用いずに手で締め付けや取り外しが可能なローレット付ネジとなっている。留め穴38に挿し込まれた状態の留め具36を、景品収容部3内に設けられたネジ穴(支持部)40にベース37を介して螺着することで、ブラケット31は景品収容部3内に取り付けられる。なお、留め具及び支持部の形態は、上記の螺着に限られず、ブラケットを着脱自在とするものであれば、例えば、留め具を棒状のピンとし、支持部をピンに対してしまりばめとなる穴とし、ベース37を介してピンを穴に挿し込むなど、適宜の形態とすれば良い。
【0028】
図4に示すように、ベース37の、ブラケット31を景品収容部3内に取り付けた際にネジ穴40側となる部分には、回転止め45が突設されている。回転止め45は、ベース38を介して留め具36をネジ穴40に螺着する際、ベース38が留め具36とともに回転してしまうことを防ぐための突起で、これにより、ブラケット31を景品収容部3内に取り付ける際に、ブラケット31の向きが回転しないように手などで押さえることをしなくとも、回転止め45を景品収容部3内の適宜の部材に引っ掛けながら、留め具36によって簡便に螺着することができる。
【0029】
ネジ穴40は、景品収容部3内に、LED管30の保持に必要な数のブラケット31より多く散在しており、ネジ穴40を選んでブラケット31を取り付け、そのブラケット31でLED管30を保持させることで、LED管30を景品収容部3内の様々な位置に配置することができるようになっている。LED管30に接続する配線を延ばすことで,景品収容部3内の様々な位置に配置されたブラケット31に,LED管30を取り付けることができる。
【0030】
図2では、景品収容部3下方の落とし口17の縁であって、コントロールパネル14の背後となる位置にブラケット31が取り付けられているが、これは、図2で図示を省略したネジ穴40が、落とし口17の縁に、コントロールパネル14側から見て左右に1つずつ設けられており、そこにブラケット31がそれぞれ1つずつ取り付けられた状態となっている。
【0031】
図5では、載置部4の端部に設けられた複数のネジ穴40から2箇所が選択され、そこにブラケット31を取り付けている状態を示している。図中でブラケット31が取り付けられている端部を含めて、載置部4の前後左右の端部のそれぞれには、ネジ穴40が複数設けられている。
【0032】
また、ネジ穴40は、載置部4を形成するパネル4a、4bごとにそれぞれの周囲の端部に複数箇所が設けられており、載置部4を形成する際のパネル4a、4bの組み合わせ方や向きに合わせて、載置部4の端部にブラケット31を取り付けることができるようになっている。図示するように、載置部4の前面側の端部にLED管30を取り付けることによって、載置部4に載置されている景品に対して、ごく近い位置の下方から景品を照らすことができるようになる。
【0033】
図6では、景品収容部3内の前側の隅部上方に設けられている柱50と、同じく隅部下方に設けられている柱51と、同じく中央部下方に設けられている柱52とのそれぞれにネジ穴40が垂直方向に沿って複数設けられており、それらから選択された箇所のネジ穴40にブラケット31が取り付けられている状態を示している。
【0034】
ブラケット31の、柱50、51、52のそれぞれへの取り付け方によって、例えば2個のブラケット31を取り付けた1つの柱に単独でLED管30を取り付けることもできるし、また、2つの柱50、51のそれぞれに1個のブラケット31を取り付け、2つのブラケット31でLED管30を保持することで、2つの柱50、51に跨るようにLED管を取り付けることもできるようになっている。垂直方向に延びる柱50、51、52に沿ってLED管30を縦向きに取り付けることが可能となり、側方から景品を照らすことができるようになる。
【0035】
なお、上記実施形態では、光源部としてLED管を用いた構成例について説明した。LED管は、蛍光管と比較して電源電圧が低く、また、発熱量が著しく小さいため、管理者による取り付け位置の変更作業が容易であり且つその危険性が低く、光源部として好適である。ただし、これに限られず、例えば交流電源で発光する蛍光管を用いても良い。電源が低電圧なLED管に比べて、電源が高電圧な蛍光管を用いる場合は、感電や破損の危険を予め考慮した形態とする必要がある。また、光源部の形態も円柱状に限られず、景品を照らせるものであれば、例えば角柱とするなど適宜の形態としても良い。光源部の形態が円柱状と異なる場合には、ブラケットの形状を、光源部を保持できる適宜の形態とすれば良い。また、光源部が保持部材に保持された状態で、光源部と保持部材が一体となっていても良い。さらには、保持部材と支持部のいずれか一方に磁石を設け、他方に磁石に引き付けられる金属を設けるなどして、磁力によって保持部材が支持部に支持されるようにしても良い。
【0036】
また、現状においては、LED管は、同一サイズの蛍光管に比べてその光量が少ないものが多く、例えば従来の蛍光管と同じ本数及び配置のまま、蛍光管をLED管に置き換えた場合、一般的には,蛍光管の場合と比較して、電力使用量は大幅に削減できるものの、景品取得部内の明るさは低くなる場合がある。本発明によれば、光源部であるLED管の位置が固定されることなく、景品取得部内において、光源部の配置位置を適宜変更することができるため、相対的に少ない光量であっても、景品を効果的に照らす位置に配置することで、必要十分な景品取得部内の明るさによって、遊戯者に対して高いアピール効果を得ることができる。さらには、LED管のLED素子をRGBカラーなどとすることで、演出や景品に合わせて発光色を変えるようにしても良い。また、LED管の電源をLED管の内部に設けた電池とすることで、LED管の配置変更がより簡便になる。該電池を筐体内で充電可能な充電池としても良い。
【0037】
上記実施形態では、把持部を有する景品取得部を景品収容部内で移動させることで景品を取得する景品取得ゲーム機であったが、景品収容部内の景品を取得するものであれば、例えば、抽選の結果に応じて景品を払い出すものなど、適宜の形態として良い。
【符号の説明】
【0038】
1…景品取得ゲーム機
3…景品収容部
4…載置部
30…LED管(光源部)
31…ブラケット(保持部材)
36…留め具
40…ネジ穴(支持部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
景品を収容する景品収容部と、
前記景品収容部内に景品と共に収容される少なくとも1つの光源部と、
前記光源部を保持する保持部材と、
前記保持部材を支持する支持部とを備え、
前記支持部は、前記景品収容部内に前記保持部材よりも多く散在しており、且つ、前記保持部材を着脱自在であることを特徴とする景品取得ゲーム機。
【請求項2】
前記光源部は柱状であり、前記保持部材は、前記光源部の一部を該光源部の長軸と交わる方向に締め付けることで、前記光源部を保持することを特徴とする請求項1記載の景品取得ゲーム機。
【請求項3】
前記支持部は、前記景品収容部内に設けられた穴であり、前記保持部材は、該保持部材を介して前記穴に挿し込まれる留め具によって前記支持部に取り付けられることを特徴とする請求項1または2記載の景品取得ゲーム機。
【請求項4】
前記留め具はローレット付ネジであり、前記穴は前記ローレット付ネジに対応するネジ穴であることを特徴とする請求項3記載の景品取得ゲーム機。
【請求項5】
前記景品収容部内に、景品を載置する載置部を備え、前記支持部は、少なくとも前記載置部の端部に設けられていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の景品取得ゲーム機。
【請求項6】
前記景品収容部内に、垂直方向に延びる柱部を備え、前記支持部は、垂直方向に沿って前記柱部に複数設けられていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の景品取得ゲーム機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−254223(P2012−254223A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−129564(P2011−129564)
【出願日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【出願人】(000132471)株式会社セガ (811)