景品取得ゲーム装置
【課題】移動体を大型化することなく、大型の景品を掴み取ることができるとともに、小型の景品でも掴み取ることが可能で、汎用性が高い景品取得ゲーム装置を供する。
【解決手段】ステージの上方空間に第1移動体Aと第2移動体Bが設けられ、第1移動体Aと第2移動体Bがそれぞれ第1移動手段24a,…と第2移動手段24b,…により移動し、第1移動体Aと第2移動体Bがそれぞれ第1操作手段13,14と第2操作手段15,16のプレイヤの操作により移動操作され、第1移動手段24a,…と第2移動手段24b,…および第1移動体Aと第2移動体Bのそれぞれの第1掴持手段11aと第2掴持手段11bが景品Gの掴持と移動を協働して行うように制御手段40により制御される景品取得ゲーム装置。
【解決手段】ステージの上方空間に第1移動体Aと第2移動体Bが設けられ、第1移動体Aと第2移動体Bがそれぞれ第1移動手段24a,…と第2移動手段24b,…により移動し、第1移動体Aと第2移動体Bがそれぞれ第1操作手段13,14と第2操作手段15,16のプレイヤの操作により移動操作され、第1移動手段24a,…と第2移動手段24b,…および第1移動体Aと第2移動体Bのそれぞれの第1掴持手段11aと第2掴持手段11bが景品Gの掴持と移動を協働して行うように制御手段40により制御される景品取得ゲーム装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プレイヤが掴持手段を備える移動体を移動操作してステージ上に載置された景品を掴み取り取得する景品取得ゲーム装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の景品取得ゲーム装置は、所謂クレーンゲーム機として知られている。
通常、ステージの上方空間を3次元に移動する移動体が景品を掴持する一対の掴持アームを備え、プレイヤは操作ボタンを操作して移動体を水平移動して狙った景品の上方に位置させるようにする。
すると、移動体が下降して一対の掴持アームが真下の景品を掴み取ろうとし、成功すれば掴み取った景品を移動してステージの所定位置に設けられた景品投入口に落下して当該景品を取得することができる。
【0003】
一対の掴持アームが互いに閉じる動作により景品を掴むので、景品の形状によっては掴み難く、何度試みても掴み上げることができずゲームの興味を喪失させてしまうことがある。
【0004】
そこで、移動体に主となる掴持アーム(主クレーン)のほかに従となる掴持アーム(従クレーン)を備えて、主従2つの掴持アームにより景品を掴もうとする例が提案されている(特許文献1参照)。
主クレーンを吊設する移動体に、主クレーンに対して相対的に昇降可能に、または傾動可能に従クレーンが設けられたものである。
【0005】
【特許文献1】特開2007−275149号公報
【0006】
特許文献1の景品取得ゲーム装置は、主クレーンと従クレーンがそれぞれ景品の異なる部分を挟むように掴むので、景品が一対の掴持アームでは掴み難い形状をしていても、掴み上げる可能性が高くなり、ゲームの興味を持続させることができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1の景品取得ゲーム装置では、景品が大型化すると、主掴持アームと従掴持アームの互いの間隔を大きくする必要があるが、主クレーンと従クレーンは共通の移動体に設けられるので、主クレーンと従クレーンを備える移動体そのものが大型化することになる。
【0008】
景品が載置されるステージの上方空間に移動体が移動自在に存在するので、移動体を大型化するには限度があり、そのため景品の大型化にも限度が生じる。
また、大小取り混ぜた景品がステージに載置されている場合でも最大の景品に合せた大きな移動体を用意しなければならず、バランス的に不自然なものとなるとともに、壁面に寄った小さな景品は掴むことができなくなる。
【0009】
本発明は、かかる点に鑑みなされたもので、その目的とする処は、移動体を大型化することなく、大型の景品を掴み取ることができるとともに、小型の景品でも掴み取ることが可能で、汎用性が高い景品取得ゲーム装置を供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、ステージの上方空間を移動手段により移動する移動体が掴持手段を備え、プレイヤが操作手段を操作して前記移動体を移動操作して前記ステージ上に載置された景品を掴み取り、前記ステージの所定位置に設けられた景品投入口に落下させ景品を取得する景品取得ゲーム装置において、前記ステージの上方空間に第1移動体と第2移動体が設けられ、前記第1移動体と第2移動体がそれぞれ第1移動手段と第2移動手段により移動し、前記第1移動体と第2移動体がそれぞれ第1操作手段と第2操作手段のプレイヤの操作により移動操作され、前記第1移動手段と第2移動手段および前記第1移動体と第2移動体のそれぞれの第1掴持手段と第2掴持手段が景品の掴持と移動を協働して行うように制御手段により制御される景品取得ゲーム装置とした。
【0011】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の景品取得ゲーム装置において、前記第1掴持手段と第2掴持手段が、それぞれ少なくとも一対の掴持アームを備えていることを特徴とする。
【0012】
請求項3記載の発明は、請求項1記載の景品取得ゲーム装置において、前記第1掴持手段と第2掴持手段が、それぞれ互いに対向する掴持アームの一方を備えていることを特徴とする。
【0013】
請求項4記載の発明は、請求項1から請求項3までのいずれか1項記載の景品取得ゲーム装置において、前記第1操作手段の操作をした後に前記第2操作手段の操作をすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1記載の景品取得ゲーム装置によれば、第1移動手段と第2移動手段によりそれぞれ移動する第1移動体と第2移動体を備え、それぞれ第1操作手段と第2操作手段のプレイヤの操作により移動操作されるので、第1移動体と第2移動体を大型化することなく、互いに独立して移動して、各移動体に備えた第1掴持手段と第2掴持手段により大型の景品でも掴み取ることができるとともに、小型の景品でも掴み取ることが可能で、汎用性が高い。
【0015】
請求項2記載の景品取得ゲーム装置によれば、第1掴持手段と第2掴持手段が、それぞれ少なくとも一対の掴持アームを備えているので、景品が突出部が多い複雑な形状をしているときでも各一対の掴持アームが異なる部分をそれぞれ掴み、協働して持ち上げ移動することができ、確実に掴み取る可能性を高めることができる。
【0016】
請求項3記載の景品取得ゲーム装置によれば、第1掴持手段と第2掴持手段が、それぞれ互いに対向する掴持アームの一方を備えているので、景品が掴みどころのない単純な形状をしているときでも各掴持アームが協働して景品を掴み、協働して持ち上げ移動することができ、確実に掴み取る可能性を高めることができる。
【0017】
請求項4記載の景品取得ゲーム装置によれば、第1操作手段の操作をした後に第2操作手段の操作をするので、プレイヤは操作し易く、第1操作手段の操作をして移動した第1移動体の位置を見て、第2操作手段の操作で第2移動体の位置を調整することができ、景品獲得の可能性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施の形態に係るクレーンゲーム機の全体外観図である。
【図2】操作部の平面図である。
【図3】同クレーンゲーム機のクレーン移動機構を示す一部切り欠いた斜視図である。
【図4】同クレーンゲーム機の移動制御系の概略ブロック図である。
【図5】同駆動制御系における制御手順を示す概略メインルーチンを示すフローチャートである。
【図6】同メインルーチンの一部の操作制御サブルーチンを示すフローチャートである。
【図7】同メインルーチンの別の一部の操作制御サブルーチンを示すフローチャートである。
【図8】別の実施の形態の要部斜視図である。
【図9】別の実施の形態に係る1対の移動体が景品を掴み取った状態を示す正面図である。
【図10】掴持アームの斜視図である。
【図11】掴持アームの延長アーム部材の分解斜視図である。
【図12】掴持アームに延長アーム部材を装着した状態を示す斜視図である。
【図13】掴持アームに延長アーム部材を装着した1対の移動体が景品を掴み取った状態を示す正面図である。
【図14】また別の実施の形態の各移動体に1本の掴持アームを備える使用態様における左右移動体の斜視図である。
【図15】各移動体に2本の掴持アームを備える使用態様における左右移動体の斜視図である。
【図16】各移動体に1本の掴持アームを備える使用態様における移動体の一部省略した分解斜視図である。
【図17】各移動体に2本の掴持アームを備える使用態様におけるケースを取り外した移動体の一部省略した斜視図である。
【図18】上蓋フレーム部材近傍の分解斜視図である。
【図19】各移動体に1本の掴持アームを備える使用態様における支持フレーム体の要部側面図である。
【図20】同使用態様の上蓋フレーム部材近傍の斜視図である。
【図21】各移動体に1本の掴持アームを備える使用態様から移動体を上方に移動させた状態の支持フレーム体の要部側面図である。
【図22】同状態の上蓋フレーム部材近傍の斜視図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明に係る一実施の形態について図1ないし図7に基づいて説明する。
図1は、本実施例のクレーンゲーム機1の全体外観図である。
【0020】
基台2の上に筐体3が設置されており、筐体3は正面および側面の側板を透明板4で構成して内部が見えるようにし、背面には鏡板5が張設され、天井部7で覆われている。
筐体3の底面は景品を載せるステージ6となっており、各種の景品Gが多数重なるようにして載置されている。
【0021】
ステージ6の手前側の中央部に景品投入口8が開口しており、景品投入口8は基台2の正面中央に設けられた景品取出口9と連通していて、同景品投入口8に投入された景品Gは景品取出口9まで導かれる。
【0022】
筐体3の天井部からは伸縮自在の垂直シャフト10a,10bが垂下されて、垂直シャフト10a,10bの下端に移動体Aと移動体Bが吊設されている。
移動体A,Bは、それぞれ前後一対の互いに開閉する掴持アーム11a,11aと掴持アーム11b,11bを備え、内部にそれぞれ掴持アーム11a,11a、掴持アーム11b,11bを開閉する掴持機構と駆動源たるAaモータ31a,Abモータ31bを有している。
掴持アーム11a,11aと掴持アーム11b,11bは、それぞれ閉じることにより景品Gを掴むことができる。
【0023】
基台2の前側面には操作卓12が形成され、操作卓12の上部パネルには4個の操作ボタンであるXaボタン13,Yaボタン14,Xbボタン15,Ybボタン16が並んで配置され、左側の操作ボタンから右側に順に1,2,3,4の番号が付されており(図2参照)、この番号は操作の順番を示している。
【0024】
左側2つのXaボタン13,Yaボタン14は、垂直シャフト10aとともに移動体Aを移動操作するもので、右側2つのXbボタン15,Ybボタン16は、垂直シャフト10bとともに移動体Bを移動操作するものである。
なお、操作卓12の右側部位には、コイン投入口17が配設されている。
【0025】
以上のようなクレーンゲーム機1におけるクレーンの移動機構を図3に基づき簡単に説明する。
筐体3の天井部7において左右方向に指向して平行に延びる2本のI型状の固定レール20,20が前後に設けられ、同前後の固定レール20,20間に前後方向に指向した左右2本の移動レール21a, 21bがその前後端の懸架枠22a,22a、懸架枠22b,22bによって左右方向に移動自在に懸架されている。
【0026】
すなわち懸架枠22a,22bは上方を開口した断面コ字状をして前後上端部に内側に向け設けられたローラがI型固定レール20の下側水平部に載り左右に移動自在に支持され、奥側の固定レール20の内側の下側水平部には左右方向に指向したラックギア23が敷設され奥側懸架枠22a,22bに固定された左右方向駆動用モータであるXaモータ24a, Xbモータ24bの駆動軸に設けられたピニオンギア25a, 25bが前記ラックギア23に噛み合っている。
したがって、Xaモータ24a, Xbモータ24bの各々の正逆転駆動により2本の移動レール21a, 21bはそれぞれ独立に左右に移動する。
【0027】
各移動レール21a, 21bは、断面コ字状のレールを2本開口を向き合わせ間隔を開けて平行に並設したもので、その内側に断面コ字状を有する走行体26a, 26bがローラにより前後方向に移動自在に支持されており、同走行体26a, 26bから前記垂直シャフト10a,10bが一対のレール間を通って下方へ垂下されている。
【0028】
各走行体26a, 26bには、それぞれ前後方向駆動用モータであるYaモータ27a, Ybモータ27bと上下方向駆動用モータであるZaモータ28a, Zbモータ28bを搭載しており、Yaモータ27a, Ybモータ27bは上方に突出した駆動軸にピニオンギア29a, 29bが嵌着され、一方のレールの縁部に形成されたラックギア30a, 30bに同ピニオンギア29a, 29bが噛み合っており、同Yaモータ27a, Ybモータ27bの各々の正逆転駆動により走行体26a, 26bは垂直シャフト10a,10b、掴持アーム11a,11bとともに移動レール21a, 21bに沿って前後に移動する。
【0029】
また、垂直シャフト10a,10bは順次小径となるパイプが入子状に組み合わされたもので、Zaモータ28a, Zbモータ28bの各々の駆動はワイヤで吊設する移動体A,Bを巻き上げ、巻き下げして昇降させることに伴い垂直シャフト10a,10bを伸縮させる。
この垂直シャフト10a,10bは、吊設される移動体A,Bを回動させずに走行体21a, 21bからの鉛直姿勢を維持して移動体A,Bを昇降させる。
なお一対の掴持アーム11a,11a、掴持アーム11b,11bの基端部を支持する移動体Aと移動体B内にはそれぞれ掴持アーム11a,11a、掴持アーム11b,11bを開閉するAaモータ31a,Abモータ31b(図3には図示せず)が内蔵されている。
【0030】
本クレーンゲーム機1のクレーンの移動機構は以上のような構造をしており、景品を掴み取る掴持アーム11a,11bを備える移動体Aと移動体Bは、それぞれXaモータ24a, Xbモータ24bの駆動により左右に移動し、Yaモータ27a, Ybモータ27bの駆動により前後に移動し、Zaモータ28a, Zbモータ28bの駆動により上下に昇降する。
【0031】
移動体Aと移動体Bは、右前隅の最上位置にホームポジションHa, Hbを有し、右前上の方向のそれぞれの限界位置である。
いま、右側の移動体BのホームポジションHbを、原点として左方向をx軸、奥行き方向をy軸、鉛直下方をz軸とする3次元直角座標を想定する。
【0032】
移動体BのホームポジションHb(0,0,0)であり、移動体Bに左右方向で最も接近した距離ΔXを用いて移動体AのホームポジションHaは、Ha(ΔX,0,0)と3次元位置を表記される。
【0033】
移動体Aの現在位置Pa(xa, ya, za)とし、移動体Bの現在位置Pb(xb, yb, zb)とする。
そして、ステージ6の手前側の中央部に形成された景品投入口8の上方には、移動体Aと移動体Bのそれぞれ決められた落下位置Fa、Fbが、Fa(Fxa, 0,0),Fb(Fxb, 0, 0)として設定されている。
【0034】
移動体A,Bをx軸方向に移動するXaモータ24a, Xbモータ24b、y軸方向に移動するYaモータ27a, Ybモータ27b、z軸方向に移動するZaモータ28a, Zbモータ28bは、全てステッピングモータであり、回転数からその現在位置Pa(xa, ya, za)、現在位置Pb(xb, yb, zb)がリアルタイムで常時監視できるようになっている。
なお、Zaモータ28a, Zbモータ28bはDCモータでもよい。
通常、ゲーム開始前には移動体A,Bは、ホームポジションHa(ΔX,0,0)、Hb(0,0,0)に位置している。
【0035】
かかるクレーンゲーム機1はマイクロコンピュータ40により制御されており、マイクロコンピュータ40におけるクレーン駆動制御部41が随時記憶部42を使用しながら各種モータを制御している。
【0036】
クレーン駆動制御部41には、移動体Aを移動するために操作するXaボタン13、Yaボタン14からの操作信号および移動体Bを移動するために操作するXbボタン15、Ybボタン16からの操作信号が入力され、記憶部42の情報と合せて信号処理され、移動体Aを移動するXaモータ24a,Yaモータ27a,Zaモータ28aと掴持アーム11a,11aを開閉するAaモータ31aおよび移動体Bを移動するXbモータ24b,Ybモータ27b,Zbモータ28bと掴持アーム11b,11bを開閉するAbモータ31bに駆動制御信号を出力して駆動する。
【0037】
本実施例における制御手順を図5ないし図7の概略フローチャートに従って説明する。
図5の駆動制御メインルーチンにおいて、まずコイン投入口17へのコインの投入があると(ステップ1)、ゲームが開始し、ステップ2で移動体Aの操作制御がなされ、続けてステップ3で移動体Bの操作制御がなされる。
【0038】
ステップ2の移動体Aの操作制御は、図6に示すサブルーチンのフローチャートに示されており、以下図6の該フローチャートに従って説明する。
ゲーム開始直前には移動体Aは、ホームポジションHa(ΔX,0,0)に位置しており、プレイヤが操作卓12に並ぶ4個の操作ボタンのうち左端の1番の印があるXaボタン13を押す操作をすると(ステップ20)、移動体AのXaモータ24aが駆動されて移動体Aはx方向(左方向)に移動する(ステップ21)。
【0039】
次のステップ22で移動体Aのx座標xaが左限界位置LXaに達したか否かを判別し、達するまではステップ23に進み、Xaボタン13の解除(押し操作を終了)があるか否かを判別し、Xaボタン13の解除があるまではステップ21に戻り、Xaモータ24aの駆動が継続して移動体Aは左方向に移動し続け、プレイヤがXaボタン13を放す(解除する)と、ステップ23からステップ24に抜けて、移動体Aは停止する。
【0040】
すなわち、プレイヤがXaボタン13を押している間、移動体Aは左方向に移動し続け、Xaボタン13を放したところで移動体Aは停止する。
プレイヤがXaボタン13を押している間に、移動体Aが左限界位置に達したときは、ステップ22からステップ24に飛んで、移動体Aは左限界位置で停止する。
【0041】
次に、プレイヤが2番の印があるYaボタン14を押す操作をすると(ステップ25)、移動体AのYaモータ27aが駆動されて移動体Aはy方向(奥行き方向)に移動する(ステップ26)。
【0042】
次のステップ27で移動体Aのy座標yaが奥行き限界位置LYに達したか否かを判別し、達するまではステップ28に進み、Yaボタン14の解除(押し操作を終了)があるか否かを判別し、Yaボタン14の解除があるまではステップ26に戻り、Yaモータ27aの駆動が継続して移動体Aは奥行き方向に移動し続け、プレイヤがYaボタン14を放す(解除する)と、ステップ28からステップ29に抜けて、移動体Aは停止する。
【0043】
すなわち、プレイヤがYaボタン14を押している間、移動体Aは奥行き方向に移動し続け、Yaボタン14を放したところで移動体Aは停止する。
プレイヤがYaボタン14を押している間に、移動体Aが奥行き限界位置に達したときは、ステップ22からステップ24に飛んで、移動体Aは奥行き位置で停止する。
【0044】
以上のように、プレイヤによるXaボタン13の操作で、移動体Aは、ホームポジションHa(ΔX,0,0)から左方向に移動し、次のYaボタン14の操作で、移動体Aは、奥行き方向に移動して、プレイヤが操作した位置Pa(xa, ya, 0)に停止する。
【0045】
次に、図5の駆動制御メインルーチンにおけるステップ3で移動体Bの操作制御がなされる。
ステップ3の移動体Bの操作制御は、図7に示すサブルーチンのフローチャートに示されている。
【0046】
図7のフローチャートのステップ30からステップ39は、図6のフローチャートの上記ステップ20からステップ29と略同じ制御手順を示している。
したがって、プレイヤが3番の印があるXbボタン15を押すと(ステップ30)、移動体BのXbモータ24bが駆動されて移動体BはホームポジションHb(0,0,0)からx方向(左方向)に移動する(ステップ31)。
【0047】
ステップ32で、移動体Bのx座標xbが左限界位置xa−ΔXに達したか否かを判別する。
ここに、先の移動体Aのx方向に移動した位置xaに最も接近できる右に距離ΔX離れた位置すなわちxa−ΔXが、左限界位置xa−ΔXである。
【0048】
移動体Bのx座標xbが左限界位置xa−ΔXに達するまでは、ステップ33でXbボタン15の解除があるか否かを判別し、Xbボタン15の解除があるまではステップ31に戻り、Xbモータ24bの駆動が継続して移動体Aは左方向に移動し続け、プレイヤがXbボタン15を放すと、ステップ33からステップ34に抜けて、移動体Bは停止する。
プレイヤがXbボタン15を押している間に、移動体Bが左限界位置xa−ΔXに達したときは、ステップ32からステップ34に飛んで、移動体Bは左限界位置で停止する。
【0049】
次に、プレイヤが4番の印があるYbボタン16を押す操作をすると(ステップ35)、移動体BのYbモータ27bが駆動されて移動体Bはy方向(奥行き方向)に移動する(ステップ36)。
【0050】
次のステップ37で移動体Bのy座標ybが奥行き限界位置LYに達したか否かを判別し、達するまではステップ38に進み、Ybボタン16の解除(押し操作を終了)があるか否かを判別し、Ybボタン16の解除があるまではステップ36に戻り、Ybモータ27bの駆動が継続して移動体Bは奥行き方向に移動し続け、プレイヤがYbボタン16を放す(解除する)と、ステップ38からステップ39に抜けて、移動体Bは停止する。
【0051】
すなわち、プレイヤがYbボタン16を押している間、移動体Bは奥行き方向に移動し続け、Ybボタン16を放したところで移動体Bは停止する。
プレイヤがYbボタン16を押している間に、移動体Bが奥行き限界位置に達したときは、ステップ32からステップ34に飛んで、移動体Bは奥行き位置で停止する。
【0052】
以上のように、プレイヤによるXbボタン15の操作で、移動体Bは、ホームポジションHb(0,0,0)から左方向に移動し、次のYbボタン16の操作で、移動体Bは、奥行き方向に移動して、プレイヤが操作した位置Pb(xb, yb, 0)に停止する。
【0053】
このように、プレイヤの操作によって移動体Aと移動体Bは最上位置(z=0)にあってx方向、y方向に操作ボタンを押している間だけ移動して停止するので、プレイヤは所望の景品Gを掴み取れると思われる上方位置までXaボタン13,Yaボタン14,Xbボタン15,Ybボタン16をこの順に操作する。
【0054】
以後、駆動制御メインルーチン(図5参照)のステップ4からは、プレイヤの操作はなく、全て自動制御され、景品Gの掴み取りが成功しても失敗して以下の制御がなされる。
先に移動体Aが停止し(ステップ29)、後に移動体Bが停止した(ステップ39)後に、メインルーチンのステップ4に戻ると、Zaモータ28aとZbモータ28bが駆動されて移動体Aと移動体Bが同時にz方向(鉛直下方)に下降する。
移動体Aと移動体Bの下降は、次のステップ5でそれぞれが物に当接するまで続行される。
【0055】
移動体Aの掴持アーム11a,11aがステージ6またはその上に載置された景品Gに当接すると、Zaモータ28aにより巻き上げられるワイヤが緩み、Zaモータ28aに加わる負荷が急激に減少するので、この負荷の減少を検知して移動体Aの物への当接を検知するようにしており、移動体Bも同様である。
【0056】
移動体Aと移動体Bが、それぞれ物に当接したところで、各々が下降を停止する(ステップ6)。
双方が下降を停止すると、移動体AのAaモータ31aを駆動して前後一対の掴持アーム11a,11aを閉動作すると同時に、移動体Bの前後一対の掴持アーム11b,11bを閉動作し(ステップ7)、景品Gの各部分をそれぞれ掴もうとする。
【0057】
そして、ステップ8でZaモータ28aとZbモータ28bが駆動されて移動体Aと移動体Bが同時にz方向に上昇する。
移動体Aと移動体Bのz座標za,zbが0になるまで(ステップ9)、移動体Aと移動体Bは上昇し、最上位置で移動体Aと移動体Bは上昇を停止する(ステップ10)。
すなわち、移動体AのAaモータ31aの前後一対の掴持アーム11a,11aと移動体Bの前後一対の掴持アーム11b,11bとが協働して1個の景品Gを最上位置まで掴み上げようとする。
【0058】
次のステップ11では、移動体AのXaモータ24aと移動体BのXbモータ24bが、同時に駆動されて、移動体Aと移動体Bそれぞれが設定された落下x座標FxaとFxbに向かって移動する。
そして、移動体Aが落下x座標Fxaに達する(xa=Fxa)のと移動体Bが落下x座標Fxbに達する(xb=Fxb)のと、いずれか一方が落下x座標に達するまで(ステップ12)、移動体Aと移動体Bは同時に左右方向に移動し、一方が落下x座標に達すると、ステップ12からステップ13に抜ける。
【0059】
ステップ13では、移動体AのYaモータ27aと移動体BのYbモータ27bが、同時に駆動されて、移動体Aと移動体Bそれぞれが落下y座標0,0に向かって手前側に移動する。
そして、移動体Aが落下y座標0に達する(ya=0)のと移動体Bが落下y座標0に達する(yb=0)のと双方が落下y座標0に達するまで(ステップ14)、移動体Aと移動体Bは同時に手前方向に移動し、双方が落下y座標0に達すると、ステップ14からステップ15に抜け、景品投入口8の上方の位置である落下位置で停止する。
なお、移動体Aと移動体Bの景品投入口8の上方の落下位置までの移動制御は、上記x方向とy方向の移動を同時に制御してもよい。
【0060】
そして、ステップ16において、移動体AのAaモータ31aを駆動して前後一対の掴持アーム11a,11aを開動作すると同時に、移動体Bの前後一対の掴持アーム11b,11bを開動作し、景品Gを掴んでいれば、該景品Gを景品投入口8に落下投入する。
【0061】
その後、ステップ17では、移動体AのXaモータ24aと移動体BのXbモータ24bが駆動されて、移動体Aと移動体BそれぞれがホームポジションHa(ΔX,0,0)、Hb(0,0,0)に向かって右方向に移動する。
そして、移動体AがホームポジションHaに達し(xa=ΔX)、移動体BがホームポジションHbに達すると(xb=0)、ステップ18からステップ19に抜けて移動体Aと移動体BはそれぞれホームポジションHa(ΔX,0,0)、Hb(0,0,0)に停止し、ここで1ゲームが終了する。
【0062】
移動体Aの前後一対の掴持アーム11a,11aと移動体Bの前後一対の掴持アーム11b,11bとの協働による掴み取りが成功していれば、景品Gが景品投入口8に投入されているので、景品取出口9から景品Gを取出し景品Gを取得することができる。
【0063】
以上のように、本景品取得ゲーム装置1は、移動体Aと移動体Bがそれぞれの移動手段により別個に移動し、別個の操作ボタン(Xaボタン13,Yaボタン14とXbボタン15,Ybボタン16)により移動操作されるので、移動体Aと移動体Bを大型化することなく、互いに独立して移動して、移動体Aが備えた前後一対の掴持アーム11a,11aと移動体Bが備えた前後一対の掴持アーム11b,11bが景品Gの部分部分をそれぞれ掴むように協働して大型の景品でも掴み取ることができる。
【0064】
また、移動体Aと移動体Bが大型化していないので、両者の最も接近できる距離ΔX程度の小型の景品でも掴み取ることが可能で汎用性が高い。
なお、一方の移動体の掴持アームだけで景品を掴み取る可能性もあり、大小の景品Gに対して掴み取る確率を向上させることができる。
移動体ごとに別の景品を狙い別個に取得することが可能である。
【0065】
移動体Aと移動体Bが、それぞれ一対の掴持アーム11a,11aと掴持アーム11b,11bを備えているので、景品Gが突出部が多い複雑な形状をしているときでも各一対の掴持アームが異なる部分をそれぞれ掴み、協働して持ち上げ移動することができ、確実に掴み取る可能性を高めることができる。
【0066】
プレイヤは、Xaボタン13,Yaボタン14を操作して移動体Aを移動操作した後に、Xbボタン15,Ybボタン16を操作して移動体Bを移動操作するので、操作し易く、最初に移動した移動体Aの位置を見て、Xbボタン15,Ybボタン16の操作に際して移動体Bの移動位置を調整することができ、景品獲得の可能性を高めることができる。
【0067】
次に、別の実施の形態について図8に基づいて説明する。
本クレーンゲーム機は、前記クレーンゲーム機1と殆ど同じであり、掴持アーム51a,51bのみが異なる。
【0068】
すなわち、垂直シャフト10a,10bに対する移動体Aと移動体Bの吊設を、それぞれ90度回動して吊設し、それぞれ一対の掴持アーム11a,11aと掴持アーム11b,11bを取り外し、新たに移動体Aの一方の掴持アーム11aのあったところに新たに掴持アーム51aを1本取り付け、移動体Bの一方の掴持アーム11bのあったところに新たに掴持アーム51bを1本取り付けたものである。
【0069】
移動体Aの掴持アーム51aと移動体Bの掴持アーム51bは、互いに対向して接近・離反して開閉駆動できる構成とする。
したがって、図8に示すように、プレイヤの操作により移動体Aと移動体Bのx座標を互いに適当に近づけ、y座標を一致させるように移動操作して左右の掴持アーム51aと掴持アーム51bが協働して同時に景品Gを挟み、掴み取るようにする。
【0070】
本クレーンゲーム機は、部分を掴むのではなく、全体を左右から掴むようにするので、景品Gが掴みどころのない単純な形状(例えば球形等)をしているときでも容易に掴み取ることができ、また景品Gの大小に関係なく掴み取ることが可能で、汎用性が高い。
【0071】
次に、また別の実施の形態に係る移動体A´と移動体B´について図9ないし図13に基づいて説明する。
移動体A´と移動体B´は、それぞれ掴持アーム71aと掴持アーム71bを1本ずつ揺動可能に取り付けられている。
【0072】
掴持アーム71a,71bは、くの字に屈曲して、屈曲した肘部より先端側は、角錐状に先細になっており、その先端部に薄板状の爪片72a,72bが取り付けられている。
爪片72a,72bは、掴持アーム71a,71bの先端の取付面に基端側がねじ73により締結され、基端側に対して先端側が屈曲して延びている。
【0073】
図9に示すように、移動体A´と移動体B´が左右に適当な間隔を存して位置し、掴持アーム71a,71bが協働して互いに近づき景品Gの下面に爪片72a,72bを滑り込ませ、景品Gを下面左右で保持して掴み取る。
【0074】
図9に示す景品Gの場合、掴持アーム71a,71bが景品Gを保持したとき、景品Gの上方真近に移動体A´,B´の本体が位置する。
結局、掴持アーム71a,71bが短いため、爪片72a,72bと移動体A´,B´の本体底面との間が狭い。
したがって、上下幅が大きい景品Gは掴み取ることができない。
また、図9に仮想線で示すような横幅の狭い景品G´であると、掴み難くなり、横幅がある程度広い景品Gに限定される。
【0075】
そこで、大型の景品用に、移動体A´,B´の掴持アーム71a,71bには、延長アーム部材75a,75bが装着できるようになっている。
延長アーム部材75a,75bは、全く同じ構造のものであり、図11に一方の延長アーム部材75bについて図示し説明する。
【0076】
延長アーム部材75bは、四角錐状の筒体をなし、掴持アーム71bの肘部より先端側の四角錐状をなす部分に延長アーム部材75bが継ぎ足されるように装着される。
掴持アーム71bの先端の爪片72bは取り外され、延長アーム部材75bの筒内に嵌入され、掴持アーム71bの肘部より先端側も延長アーム部材75bの筒内も同形の四角錐状をなすので、同じ断面形状が一致するところまで嵌入して確固として嵌合する。
【0077】
そして、延長アーム部材75bと掴持アーム71bの嵌合して重なり合ったところをボルト80で締め付け、掴持アーム71bから延長アーム部材75bが抜け落ちないように固定する。
こうして、図12に示すように、掴持アーム71bに延長アーム部材75bが継ぎ足される。
他方の掴持アーム71aにも同様にして延長アーム部材75aが継ぎ足される。
【0078】
延長アーム部材75a,75bの先端部には、爪片76a,76bが取り付けられている。
爪片76a,76bは、延長アーム部材75a,75bの先端の取付面に基端側がねじ78により締結され、基端側に対して先端側が屈曲して延びていて、前記爪片72a,72bより一回り大きい。
さらに、爪片76a,76bの屈曲部より先端側の上面に摩擦抵抗の大きい滑り止めシート77,77が貼着されている。
【0079】
このようにして、延長アーム部材75a,75bにより長くなった掴持アームを使って景品Gを保持した状態を図13に図示する。
移動体A´と移動体B´は、図9に示す状態よりも大きい間隔を存して、延長アーム部材75a,75bが互いに近づき、爪片76a,76bが景品Gの下面左右で下から保持して掴み取っており、より大型の景品Gを掴み取ることができる。
【0080】
掴持アーム71a,71bは、延長アーム部材75a,75bにより長くなっているために、図13に示す状態では、掴持アーム71a(71b)と延長アーム部材75a(75b)とが一体になったものの重心は、掴持アーム71a(71b)の揺動中心Cを通る鉛直線Lの近傍または内側(景品G側)となり、延長アーム部材75a(75b)の鉛直線Lより大きく内側に入り込んだ先端の爪片76a(76b)に景品Gの重力が加わると、掴持アーム71a(71b)の揺動中心部にかかる負荷は相当大きくなり、掴持アーム71a(71b)を揺動して閉じようとするアクチュエータの負担は極めて大きく、移動体A´と移動体B´に搭載されるモータなどのアクチュエータの駆動力では、景品Gの保持状態を維持するだけでも容易ではない。
【0081】
一度爪片76a(76b)による景品Gの支持に滑りが生じると、1対の掴持アーム71a,71bが開く。
掴持アーム71a,71bが開くと、爪片76a(76b)は景品Gが落ちやすい傾斜角となり、益々景品Gが滑って1対の掴持アーム71a,71bが開いていき、景品Gが落下する事態が生じる可能性が高くなる。
【0082】
そこで、景品Gを支持する本爪片76a(76b)には上面に滑り止めシート77が貼着されており、滑り止めシート77が景品Gの下面に接して支持する簡単な構造で、滑り止めシート77の大きな摩擦抵抗により滑りが防止され、掴持アーム71a,71bが開くのを阻止でき、仮に多少開いても保持でき、小型のアクチュエータでも景品Gを安定して保持することができる。
【0083】
このように、掴持アーム71a,71bに延長アーム部材75a,75bを装着して延長することで、大型の景品Gも掴み取ることができるようになるとともに、延長することによりアクチュエータに加わる負担増を爪片76a(76b)に滑り止めシート77を貼着する簡単な構造により解決して景品Gを掴み取ると安定して保持することができる。
【0084】
滑り止めシート77としては、景品との接触面積が増えるものか、または摩擦係数が増えるものであればよく、例えばゴム材や粘着剤、やすり、スポンジなどを使用してもよい。
なお、以上の実施の形態では、移動体の掴持アームが景品Gを掴み取り、景品投入口8まで移動して投入する動きのみを説明したが、景品投入口に景品Gを入れるのに必ずしも掴持アームが景品Gを掴み取らなくても、掴持アームの開閉作動で景品Gを景品投入口8に掻き入れることも可能である。
【0085】
また、ステージ6に載置された景品Gが一部景品投入口8に一部突出しているようなときは、掴持アームがその突出部を上から押すようにして景品投入口8に押し込むことで景品Gが投入されて取得することもできる。
【0086】
以上の実施の形態における移動体は、垂直シャフトに対して90度回動して吊設できるものである。
すなわち、1対の移動体がそれぞれ1本の掴持アームを持って協働して景品を掴み取る場合は、各掴持アームは左右に対向して互いに接近・離反して開閉する必要があるのに対して、各移動体がそれぞれ2本ずつ掴持アームを持って協働して景品を掴み取る場合は、各移動体の1対の掴持アームは前後に対向して開閉する方が効果的である。
【0087】
そのため、移動体が90度回動して取り付け可能であれば、掴持アームを左右に開閉する使用態様と掴持アームを前後に開閉する使用態様のどちらの使用態様でも、同じ移動体を用いることができ、汎用性があり便利である。
しかし、使用態様を変更する場合、従来は垂直シャフトから移動体を取り外して、あるいは垂直シャフトとともに移動体を取り外して、90度回動した状態で再び取り付けていたので、変更作業が容易でなかった。
【0088】
そこで、移動体を90度回動することが簡単にできる実施の形態を、図14ないし図22に示し説明する。
なお、図面中、筐体の前方を矢印Frで示している。
図14は、各移動体に1本の掴持アーム102を備える使用態様における左右移動体Z,Zを示しており、図15は、各移動体に2本の掴持アーム101a,101bを備える使用態様における左右移動体Zを示す。
なお、掴持アーム102、掴持アーム101a,101bは、移動体Zに対して着脱自在に取り付けられる。
【0089】
図14と図15は、同じ方向から視た斜視図であり、両図を対比してみると、移動体Zが互いに90度回動した姿勢となっている。
以下、使用態様の変更に際して、移動体Zを90度回動する機構を説明する。
【0090】
まず、移動体Zは、掴持アーム101a,101b,102を揺動可能に支持する支持フレーム体120が直方体状のケース110に覆われている。
移動体の分解斜視図である図16を参照して、ケース110は、水平方向に半割りにされたものを内部に支持フレーム体120を収めて合体し、ねじピン111,111で支持フレーム体120に固定したもので、直方体状をなし、対向する1対の側壁に形成された欠損部110sから掴持アーム101a,101b,102が突出する。
【0091】
また、ケース110の上壁の中央に穿設された円孔110cから支持フレーム体120を吊設する吊持シャフト115が上方に突出しており、同吊持シャフト115の突出した上部に上方の走行体から垂下された垂直シャフト116の下端部が嵌合され一体に固着される。
垂直シャフト116の伸縮により吊持シャフト115は上下に昇降するが、姿勢は変化せず固定し回動しない。
【0092】
図16ないし図22を参照して、吊持シャフト115に支持される支持フレーム体120は、支持基板121の上を上蓋フレーム部材122が覆う構造をしている。
なお、図16および図17では、上蓋フレーム部材122の半分が省略されて図示されている。
【0093】
支持基板121は、上面にアクチュエータ123等が搭載され、対向する端縁部には掴持アームの基端を着脱自在に嵌着する揺動基部124,124が設けられ、下面には揺動基部124,124の揺動機構125等が配設されている。
【0094】
上蓋フレーム部材122は、概ね上板122uと互いに対向する側板122s,122sとからなり、水平な上板122uの両側縁から下方に垂下した側板122s,122sの下部が支持基板121の両側縁に固着されて、支持基板121の上に搭載されたアクチュエータ123等の上を上板122uが、側方を側板122s,122sが覆う。
【0095】
上蓋フレーム部材122の上板122uの中央に形成された円孔に円筒フランジ部材130の円筒部130sが下方から嵌入しフランジ部130fが上板122uの下面に当接して一体に固着されている。
円筒フランジ部材130のフランジ部130fの下面には中心から放射方向に4本の溝条130va,130va,130vb,130vbが十字状に穿設されている(図18参照)。
【0096】
十字状の溝条の一方の同軸1対の溝条130va,130vaが、支持フレーム体120に設けられる前記1対の揺動基部124,124が互いに対向する方向に指向し、他方の同軸1対の溝条130vb,130vbはこれと直交する方向に指向するように、円筒フランジ部材130は上蓋フレーム部材122の上板122uに取り付けられる。
溝条130va,130va,130vb,130vbは半円弧状の断面形状を有する。
【0097】
図18に示すように、吊持シャフト115は、下端部を直径方向に支持ピン115pが貫通して両端を突出させており、同吊持シャフト115を円筒フランジ部材130に下方から挿入し、下端部の支持ピン115pの突出した両端部を円筒フランジ部材130のフランジ部130fの下面に当接すると、吊持シャフト115の上端は、円筒フランジ部材130の円筒部130sから上方に突出するので、この突出した上部に前記したように垂直シャフト116の下端部が嵌合され、回り止めのピンが圧入されて一体に固着される。
【0098】
吊持シャフト115は、支持ピン115pが左右水平方向に指向した姿勢で垂直シャフト116に固着されるので、支持ピン115pは常に左右方向を指向した状態にある。
この左右方向に指向した支持ピン115pが円筒フランジ部材130のフランジ部130fの同軸1対の溝条130va,130vaまたは溝条130vb,130vbに嵌合し位置決めして支持フレーム体120を吊持することができる。
支持ピン115pは、円柱状をなし、円筒フランジ部材130のフランジ部130fの外径より長尺であるので、同軸1対の溝条130va,130vaまたは溝条130vb,130vbに嵌合した場合に、両端がフランジ部130fより外側に突出する。
【0099】
フランジ部130fの一方の同軸1対の溝条130va,130vaに左右方向に指向した支持ピン115pが嵌合し位置決めしたときは、支持フレーム体120は掴持アームの基端が着脱自在に嵌着される揺動基部124,124を左右に位置させることができ、フランジ部130fの他方の同軸1対の溝条130vb,130vbに支持ピン115pが嵌合し位置決めしたときは、支持フレーム体120は揺動基部124,124(掴持アーム)を前後に位置させることができる。
【0100】
円筒フランジ部材130が取り付けられる上蓋フレーム部材122の上板122uの下面には、円筒フランジ部材130を挟んだ両側に下部にねじ穴が形成されたガイド棒140,140が下方に向けて突設されており、同ガイド棒140,140に両端部を貫通されてばね受けブラケット141が下方から円筒フランジ部材130を覆うように当てがわれる。
【0101】
ばね受けブラケット141は、帯状の金属板の中央部がコ字状凹んだ形状に屈曲されて、水平中央部141cの両側に水平端部141s,141sが対称に形成されており、両水平端部141s,141sにガイド棒140,140が貫通する円孔141h,141hが形成されている。
【0102】
この両水平端部141s,141sの円孔141h,141hに上蓋フレーム部材122の上板122uから垂設されたガイド棒140,140が挿入されるように、ばね受けブラケット141を下方から上板122uの下面に当てがうと、円筒フランジ部材130から下方に突出した吊持シャフト115の下端面に水平中央部141cの上面が当接し、円筒フランジ部材130を跨いだ水平端部141s,141sは上蓋フレーム部材122の上板122uに近接する。
【0103】
この状態で、ガイド棒140,140にコイルばね142,142を外装し、ガイド棒140,140の下端のねじ穴にフランジ付きねじ143,143を螺着して、ばね受けブラケット141の水平端部141s,141sとフランジ付きねじ143,143のフランジとの間にコイルばね142,142が圧縮されて介装される。
【0104】
したがって、吊持シャフト115の下端面に接して高さ位置が固定されたばね受けブラケット141に対してコイルばね142,142がフランジ付きねじ143,143を下方に付勢する。
フランジ付きねじ143,143はガイド棒140,140に螺着されているので、結局コイルばね142,142によりガイド棒140,140を介して上蓋フレーム部材122すなわち支持フレーム体120が下方に付勢される。
【0105】
図19および図20は、支持フレーム体120が揺動基部124,124を左右に位置させる姿勢で、下方に付勢された円筒フランジ部材130のフランジ部130fの左右水平方向に指向した同軸1対の溝条130va,130vaが吊持シャフト115の下端の左右水平方向に指向した支持ピン115pに嵌合して支持フレーム体120が下方位置で回動を規制されて位置決めされて支持ピン115pにより吊持される。
この状態で、左右の揺動基部124の一方に掴持アーム102を装着すれば図14および図16に示す各移動体に1本の掴持アームを備える使用態様となる。
【0106】
この状態から、コイルばね142,142のばね力に抗して支持フレーム体120を上方に移動させることができ、このときは、図21および図22に示すように、支持フレーム体120とともに円筒フランジ部材130が吊持シャフト115に沿って摺動して上昇し、コイルばね142,142が圧縮されて上蓋フレーム部材122がばね受けブラケット141から上方に離れるとともに、円筒フランジ部材130が上方に移動して支持ピン115pから離れ溝条130va,130vaとの嵌合が解除されることになる。
【0107】
したがって、この支持フレーム体120を上方に移動した状態で、支持フレーム体120を回動することができ、90度回動して揺動基部124,124が前後に位置した姿勢で支持フレーム体120をコイルばね142,142のばね力および自重に任せて下方に移動すると、円筒フランジ部材130のフランジ部130fの左右水平方向に指向することになった同軸1対の溝条130vb,130vbが吊持シャフト115の下端の左右水平方向に指向した支持ピン115pに嵌合して支持フレーム体120が下方位置で回動を規制されて位置決めされて支持ピン115pにより吊持される。
この状態で、前後の揺動基部124,124に掴持アーム101a,101bを装着すれば図15および図17に示す各移動体Zに2本の掴持アームを備える使用態様となる。
【0108】
以上のように、本実施の形態の移動体Zは、各移動体に1本の掴持アーム102を互いに左右に備える使用態様と各移動体にそれぞれ2本の掴持アーム101a,101bを前後に備える使用態様の相互の変更のために移動体Zを90度回動させる場合、移動体Zを上方に若干持ち上げて90度回動してばね力および自重により下降させるだけで、円筒フランジ部材130の溝条130va,130vaまたは溝条130vb,130vbが支持ピン115pに嵌合して移動体Zは回動を規制されて位置決めされるので、使用態様の変更が極めて簡単にできる。
【0109】
なお、本実施の形態の移動体Zには、どちらの使用態様にあるか、すなわち支持フレーム体120の回動姿勢を検知する光センサ150が上蓋フレーム部材122に取り付けられている。
図18を参照して、上蓋フレーム部材122の上板122uの一方の側縁から延出して屈曲して下方に延びて支持ブラケット部122bが長方形状に形成されており、同支持ブラケット部122bに光センサ150が取り付けられる。
【0110】
光センサ150は、透過型でセンサ本体部150Hから平行に突出した1対のアームに発光部150aと受光部150bが相対向して設けられており、支持ブラケット部122bに形成された矩形孔に1対のアームを外側から貫通させてセンサ本体部150Hを支持ブラケット部122bにねじ151により固着すると、光センサ150は円筒フランジ部材130のフランジ部130fの側方に略同じ高さ位置に取り付けられる(図20,図22参照)。
【0111】
したがって、各移動体に1本の掴持アーム102を互いに左右に備える使用態様にあるときは、図20に示すように、円筒フランジ部材130のフランジ部130fの同軸1対の溝条130va,130vaに嵌合した支持ピン115pは、両端がフランジ部130fより外側に突出しており、その一端が光センサ150の発光部150aと受光部150bの間に挿入されているので、発光部150aからの光線が支持ピン115pにより遮断されて受光部150bに至らず支持ピン115pの存在を検知することができ、よって各移動体に1本の掴持アーム102を互いに左右に備える使用態様にあることを検知できる。
【0112】
この状態から移動体Zを上方に持ち上げると、図22に示すように、円筒フランジ部材130とともに光センサ150も上方に移動して支持ピン115pが発光部150aと受光部150bの間から抜けるので、支持ピン115pと光センサ150が干渉することはなく移動体Zを90度回動することができる。
【0113】
なお、90度回動して移動体Zをばね力および自重により下降し、各移動体に2本の掴持アーム101a,101bを前後に備える使用態様としたときは、光センサ150は支持ピン115pが指向する方向とは90度回動した位置にあって発光部150aと受光部150bの間には何もなく、発光部150aからの光線が支持ピン115pにより遮断されることなく受光部150bに至り、支持ピン115pが存在しないことを検知することができ、よって各移動体に2本の掴持アーム101a,101bを前後に備える使用態様にあることを検知できる。
すなわち、光センサ150が支持ピン115pの有無を検知することで、どちらの使用態様にあるかを判別することができる。
【0114】
各移動体に1本の掴持アーム102を互いに左右に備える使用態様の場合、掴持アーム102は移動体Zの本体よりも左右にはみ出しているので、クレーンゲーム機の筐体内で左右の透明板に干渉させないために左右方向の移動範囲が幾らか狭く規制されることになる。
なお、前後方向の移動範囲は狭く規制する必要がない。
他方、各移動体に2本の掴持アーム101a,101bを前後に備える使用態様の場合は、掴持アーム101a,101bは移動体Zの本体よりも前後にはみ出しているので、クレーンゲーム機の筐体内で前方の透明板と後方の背板に干渉させないために前後方向の移動範囲が幾らか狭く規制されることになるが、左右方向の移動範囲は狭く規制する必要がない。
【0115】
光センサ150が、各移動体に1本の掴持アーム102を互いに左右に備える使用態様と各移動体に2本の掴持アーム101a,101bを前後に備える使用態様のいずれの使用態様かを判別することができるので、移動体Zを回動して使用態様を変更したときは、光センサ150がその使用態様を判別して移動体Zの移動を制御する制御装置に検知信号を出力することで、当該使用態様に適応した移動範囲に自動的に設定することができる。
【0116】
本実施の形態では、各移動体に1本の掴持アーム102を互いに左右に備える使用態様の場合に、図14および図16に示すように、特殊な掴持アーム102を使用している。
該掴持アーム102は、前記図11に図示された実施の形態と同様に、基部となる掴持アーム部103と、これに継ぎ足されるように装着される延長アーム部104と、延長アーム部104の先端に取り付けられる爪片105からなる。
【0117】
延長アーム部104は掴持アーム部103に嵌合してねじ止めされて装着されるので、ねじを外せば交換可能である。
本延長アーム部104は、樹脂製で装着される基端部から先端にかけて幅が徐々に広く形成され、内側の面には幅方向に指向した突条104tが長手方向に複数間隔をおいて形成されている。
【0118】
図14を参照して、左右の移動体Zが、対向する互いの掴持アーム102,102を閉じるようにして、景品を掴み上げるときに、掴持アーム102の延長アーム部104が傾斜すると、複数の突条104tは階段状をなし、縫いぐるみなどの不定形な景品を掴む場合に、景品が複数の突条104tに引っ掛かって支持される可能性が高いので、落下させずに景品を掴み上げることに成功する確率が高くなる。
【0119】
また、景品の形状によっては、延長アーム部104の複数の突条104tのうち景品の掴み上げに最も適した突条104tが掴み上げの過程で自然と選択されて使用されることもあり、景品の形状に関係なく、確実に景品を掴み上げる可能性が高い。
【符号の説明】
【0120】
1…クレーンゲーム機、2…基台、3…筐体、4…透明板、5…鏡板、6…ステージ、7…天井部、8…景品投入口、9…景品取出口、10a,10b…垂直シャフト、11a,11b…掴持アーム、12…操作卓、13…Xaボタン、14…Yaボタン、15…Xbボタン、16…Ybボタン、17…コイン投入口、
A…移動体、B…移動体、G…景品、
20…固定レール、21a, 21b…移動レール、22a,22b…懸架枠、23…ラックギア、24a…Xaモータ、24b…Xbモータ、25a, 25b…ピニオンギア、26a, 26b…走行体、27a…Yaモータ、27b…Ybモータ、28a…Zaモータ、28b…Zbモータ、29a, 29b…ピニオンギア、30a, 30b…ラックギア、31a…Aaモータ、31b…Abモータ、
40…マイクロコンピュータ、41…クレーン駆動制御部、42…記憶部、
51a,51b…掴持アーム、
A´…移動体、B´…移動体、
71a,71b…掴持アーム、72a,72b…爪片、75a,75b…延長アーム部材、76a,76b…爪片、77…滑り止めシート、78…ねじ、80…ボルト、81…ナット、
Z…移動体、101a,101b,102…掴持アーム、103…掴持アーム部、104…延長アーム部、104t…突条、105…爪片、
110…ケース、111…ねじピン、115…吊持シャフト、115p…支持ピン、116…垂直シャフト、
120…支持フレーム体、121…支持基板、122…上蓋フレーム部材、122u…上板、122s…側板、123…アクチュエータ、124…揺動基部、125…揺動機構、
130…円筒フランジ部材、130s…円筒部、130f…フランジ部、130va,130va,130vb,130vb…溝条、
140…ガイド棒、141…ばね受けブラケット、142…コイルばね、143…フランジ付きねじ。
【技術分野】
【0001】
本発明は、プレイヤが掴持手段を備える移動体を移動操作してステージ上に載置された景品を掴み取り取得する景品取得ゲーム装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の景品取得ゲーム装置は、所謂クレーンゲーム機として知られている。
通常、ステージの上方空間を3次元に移動する移動体が景品を掴持する一対の掴持アームを備え、プレイヤは操作ボタンを操作して移動体を水平移動して狙った景品の上方に位置させるようにする。
すると、移動体が下降して一対の掴持アームが真下の景品を掴み取ろうとし、成功すれば掴み取った景品を移動してステージの所定位置に設けられた景品投入口に落下して当該景品を取得することができる。
【0003】
一対の掴持アームが互いに閉じる動作により景品を掴むので、景品の形状によっては掴み難く、何度試みても掴み上げることができずゲームの興味を喪失させてしまうことがある。
【0004】
そこで、移動体に主となる掴持アーム(主クレーン)のほかに従となる掴持アーム(従クレーン)を備えて、主従2つの掴持アームにより景品を掴もうとする例が提案されている(特許文献1参照)。
主クレーンを吊設する移動体に、主クレーンに対して相対的に昇降可能に、または傾動可能に従クレーンが設けられたものである。
【0005】
【特許文献1】特開2007−275149号公報
【0006】
特許文献1の景品取得ゲーム装置は、主クレーンと従クレーンがそれぞれ景品の異なる部分を挟むように掴むので、景品が一対の掴持アームでは掴み難い形状をしていても、掴み上げる可能性が高くなり、ゲームの興味を持続させることができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1の景品取得ゲーム装置では、景品が大型化すると、主掴持アームと従掴持アームの互いの間隔を大きくする必要があるが、主クレーンと従クレーンは共通の移動体に設けられるので、主クレーンと従クレーンを備える移動体そのものが大型化することになる。
【0008】
景品が載置されるステージの上方空間に移動体が移動自在に存在するので、移動体を大型化するには限度があり、そのため景品の大型化にも限度が生じる。
また、大小取り混ぜた景品がステージに載置されている場合でも最大の景品に合せた大きな移動体を用意しなければならず、バランス的に不自然なものとなるとともに、壁面に寄った小さな景品は掴むことができなくなる。
【0009】
本発明は、かかる点に鑑みなされたもので、その目的とする処は、移動体を大型化することなく、大型の景品を掴み取ることができるとともに、小型の景品でも掴み取ることが可能で、汎用性が高い景品取得ゲーム装置を供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、ステージの上方空間を移動手段により移動する移動体が掴持手段を備え、プレイヤが操作手段を操作して前記移動体を移動操作して前記ステージ上に載置された景品を掴み取り、前記ステージの所定位置に設けられた景品投入口に落下させ景品を取得する景品取得ゲーム装置において、前記ステージの上方空間に第1移動体と第2移動体が設けられ、前記第1移動体と第2移動体がそれぞれ第1移動手段と第2移動手段により移動し、前記第1移動体と第2移動体がそれぞれ第1操作手段と第2操作手段のプレイヤの操作により移動操作され、前記第1移動手段と第2移動手段および前記第1移動体と第2移動体のそれぞれの第1掴持手段と第2掴持手段が景品の掴持と移動を協働して行うように制御手段により制御される景品取得ゲーム装置とした。
【0011】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の景品取得ゲーム装置において、前記第1掴持手段と第2掴持手段が、それぞれ少なくとも一対の掴持アームを備えていることを特徴とする。
【0012】
請求項3記載の発明は、請求項1記載の景品取得ゲーム装置において、前記第1掴持手段と第2掴持手段が、それぞれ互いに対向する掴持アームの一方を備えていることを特徴とする。
【0013】
請求項4記載の発明は、請求項1から請求項3までのいずれか1項記載の景品取得ゲーム装置において、前記第1操作手段の操作をした後に前記第2操作手段の操作をすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1記載の景品取得ゲーム装置によれば、第1移動手段と第2移動手段によりそれぞれ移動する第1移動体と第2移動体を備え、それぞれ第1操作手段と第2操作手段のプレイヤの操作により移動操作されるので、第1移動体と第2移動体を大型化することなく、互いに独立して移動して、各移動体に備えた第1掴持手段と第2掴持手段により大型の景品でも掴み取ることができるとともに、小型の景品でも掴み取ることが可能で、汎用性が高い。
【0015】
請求項2記載の景品取得ゲーム装置によれば、第1掴持手段と第2掴持手段が、それぞれ少なくとも一対の掴持アームを備えているので、景品が突出部が多い複雑な形状をしているときでも各一対の掴持アームが異なる部分をそれぞれ掴み、協働して持ち上げ移動することができ、確実に掴み取る可能性を高めることができる。
【0016】
請求項3記載の景品取得ゲーム装置によれば、第1掴持手段と第2掴持手段が、それぞれ互いに対向する掴持アームの一方を備えているので、景品が掴みどころのない単純な形状をしているときでも各掴持アームが協働して景品を掴み、協働して持ち上げ移動することができ、確実に掴み取る可能性を高めることができる。
【0017】
請求項4記載の景品取得ゲーム装置によれば、第1操作手段の操作をした後に第2操作手段の操作をするので、プレイヤは操作し易く、第1操作手段の操作をして移動した第1移動体の位置を見て、第2操作手段の操作で第2移動体の位置を調整することができ、景品獲得の可能性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施の形態に係るクレーンゲーム機の全体外観図である。
【図2】操作部の平面図である。
【図3】同クレーンゲーム機のクレーン移動機構を示す一部切り欠いた斜視図である。
【図4】同クレーンゲーム機の移動制御系の概略ブロック図である。
【図5】同駆動制御系における制御手順を示す概略メインルーチンを示すフローチャートである。
【図6】同メインルーチンの一部の操作制御サブルーチンを示すフローチャートである。
【図7】同メインルーチンの別の一部の操作制御サブルーチンを示すフローチャートである。
【図8】別の実施の形態の要部斜視図である。
【図9】別の実施の形態に係る1対の移動体が景品を掴み取った状態を示す正面図である。
【図10】掴持アームの斜視図である。
【図11】掴持アームの延長アーム部材の分解斜視図である。
【図12】掴持アームに延長アーム部材を装着した状態を示す斜視図である。
【図13】掴持アームに延長アーム部材を装着した1対の移動体が景品を掴み取った状態を示す正面図である。
【図14】また別の実施の形態の各移動体に1本の掴持アームを備える使用態様における左右移動体の斜視図である。
【図15】各移動体に2本の掴持アームを備える使用態様における左右移動体の斜視図である。
【図16】各移動体に1本の掴持アームを備える使用態様における移動体の一部省略した分解斜視図である。
【図17】各移動体に2本の掴持アームを備える使用態様におけるケースを取り外した移動体の一部省略した斜視図である。
【図18】上蓋フレーム部材近傍の分解斜視図である。
【図19】各移動体に1本の掴持アームを備える使用態様における支持フレーム体の要部側面図である。
【図20】同使用態様の上蓋フレーム部材近傍の斜視図である。
【図21】各移動体に1本の掴持アームを備える使用態様から移動体を上方に移動させた状態の支持フレーム体の要部側面図である。
【図22】同状態の上蓋フレーム部材近傍の斜視図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明に係る一実施の形態について図1ないし図7に基づいて説明する。
図1は、本実施例のクレーンゲーム機1の全体外観図である。
【0020】
基台2の上に筐体3が設置されており、筐体3は正面および側面の側板を透明板4で構成して内部が見えるようにし、背面には鏡板5が張設され、天井部7で覆われている。
筐体3の底面は景品を載せるステージ6となっており、各種の景品Gが多数重なるようにして載置されている。
【0021】
ステージ6の手前側の中央部に景品投入口8が開口しており、景品投入口8は基台2の正面中央に設けられた景品取出口9と連通していて、同景品投入口8に投入された景品Gは景品取出口9まで導かれる。
【0022】
筐体3の天井部からは伸縮自在の垂直シャフト10a,10bが垂下されて、垂直シャフト10a,10bの下端に移動体Aと移動体Bが吊設されている。
移動体A,Bは、それぞれ前後一対の互いに開閉する掴持アーム11a,11aと掴持アーム11b,11bを備え、内部にそれぞれ掴持アーム11a,11a、掴持アーム11b,11bを開閉する掴持機構と駆動源たるAaモータ31a,Abモータ31bを有している。
掴持アーム11a,11aと掴持アーム11b,11bは、それぞれ閉じることにより景品Gを掴むことができる。
【0023】
基台2の前側面には操作卓12が形成され、操作卓12の上部パネルには4個の操作ボタンであるXaボタン13,Yaボタン14,Xbボタン15,Ybボタン16が並んで配置され、左側の操作ボタンから右側に順に1,2,3,4の番号が付されており(図2参照)、この番号は操作の順番を示している。
【0024】
左側2つのXaボタン13,Yaボタン14は、垂直シャフト10aとともに移動体Aを移動操作するもので、右側2つのXbボタン15,Ybボタン16は、垂直シャフト10bとともに移動体Bを移動操作するものである。
なお、操作卓12の右側部位には、コイン投入口17が配設されている。
【0025】
以上のようなクレーンゲーム機1におけるクレーンの移動機構を図3に基づき簡単に説明する。
筐体3の天井部7において左右方向に指向して平行に延びる2本のI型状の固定レール20,20が前後に設けられ、同前後の固定レール20,20間に前後方向に指向した左右2本の移動レール21a, 21bがその前後端の懸架枠22a,22a、懸架枠22b,22bによって左右方向に移動自在に懸架されている。
【0026】
すなわち懸架枠22a,22bは上方を開口した断面コ字状をして前後上端部に内側に向け設けられたローラがI型固定レール20の下側水平部に載り左右に移動自在に支持され、奥側の固定レール20の内側の下側水平部には左右方向に指向したラックギア23が敷設され奥側懸架枠22a,22bに固定された左右方向駆動用モータであるXaモータ24a, Xbモータ24bの駆動軸に設けられたピニオンギア25a, 25bが前記ラックギア23に噛み合っている。
したがって、Xaモータ24a, Xbモータ24bの各々の正逆転駆動により2本の移動レール21a, 21bはそれぞれ独立に左右に移動する。
【0027】
各移動レール21a, 21bは、断面コ字状のレールを2本開口を向き合わせ間隔を開けて平行に並設したもので、その内側に断面コ字状を有する走行体26a, 26bがローラにより前後方向に移動自在に支持されており、同走行体26a, 26bから前記垂直シャフト10a,10bが一対のレール間を通って下方へ垂下されている。
【0028】
各走行体26a, 26bには、それぞれ前後方向駆動用モータであるYaモータ27a, Ybモータ27bと上下方向駆動用モータであるZaモータ28a, Zbモータ28bを搭載しており、Yaモータ27a, Ybモータ27bは上方に突出した駆動軸にピニオンギア29a, 29bが嵌着され、一方のレールの縁部に形成されたラックギア30a, 30bに同ピニオンギア29a, 29bが噛み合っており、同Yaモータ27a, Ybモータ27bの各々の正逆転駆動により走行体26a, 26bは垂直シャフト10a,10b、掴持アーム11a,11bとともに移動レール21a, 21bに沿って前後に移動する。
【0029】
また、垂直シャフト10a,10bは順次小径となるパイプが入子状に組み合わされたもので、Zaモータ28a, Zbモータ28bの各々の駆動はワイヤで吊設する移動体A,Bを巻き上げ、巻き下げして昇降させることに伴い垂直シャフト10a,10bを伸縮させる。
この垂直シャフト10a,10bは、吊設される移動体A,Bを回動させずに走行体21a, 21bからの鉛直姿勢を維持して移動体A,Bを昇降させる。
なお一対の掴持アーム11a,11a、掴持アーム11b,11bの基端部を支持する移動体Aと移動体B内にはそれぞれ掴持アーム11a,11a、掴持アーム11b,11bを開閉するAaモータ31a,Abモータ31b(図3には図示せず)が内蔵されている。
【0030】
本クレーンゲーム機1のクレーンの移動機構は以上のような構造をしており、景品を掴み取る掴持アーム11a,11bを備える移動体Aと移動体Bは、それぞれXaモータ24a, Xbモータ24bの駆動により左右に移動し、Yaモータ27a, Ybモータ27bの駆動により前後に移動し、Zaモータ28a, Zbモータ28bの駆動により上下に昇降する。
【0031】
移動体Aと移動体Bは、右前隅の最上位置にホームポジションHa, Hbを有し、右前上の方向のそれぞれの限界位置である。
いま、右側の移動体BのホームポジションHbを、原点として左方向をx軸、奥行き方向をy軸、鉛直下方をz軸とする3次元直角座標を想定する。
【0032】
移動体BのホームポジションHb(0,0,0)であり、移動体Bに左右方向で最も接近した距離ΔXを用いて移動体AのホームポジションHaは、Ha(ΔX,0,0)と3次元位置を表記される。
【0033】
移動体Aの現在位置Pa(xa, ya, za)とし、移動体Bの現在位置Pb(xb, yb, zb)とする。
そして、ステージ6の手前側の中央部に形成された景品投入口8の上方には、移動体Aと移動体Bのそれぞれ決められた落下位置Fa、Fbが、Fa(Fxa, 0,0),Fb(Fxb, 0, 0)として設定されている。
【0034】
移動体A,Bをx軸方向に移動するXaモータ24a, Xbモータ24b、y軸方向に移動するYaモータ27a, Ybモータ27b、z軸方向に移動するZaモータ28a, Zbモータ28bは、全てステッピングモータであり、回転数からその現在位置Pa(xa, ya, za)、現在位置Pb(xb, yb, zb)がリアルタイムで常時監視できるようになっている。
なお、Zaモータ28a, Zbモータ28bはDCモータでもよい。
通常、ゲーム開始前には移動体A,Bは、ホームポジションHa(ΔX,0,0)、Hb(0,0,0)に位置している。
【0035】
かかるクレーンゲーム機1はマイクロコンピュータ40により制御されており、マイクロコンピュータ40におけるクレーン駆動制御部41が随時記憶部42を使用しながら各種モータを制御している。
【0036】
クレーン駆動制御部41には、移動体Aを移動するために操作するXaボタン13、Yaボタン14からの操作信号および移動体Bを移動するために操作するXbボタン15、Ybボタン16からの操作信号が入力され、記憶部42の情報と合せて信号処理され、移動体Aを移動するXaモータ24a,Yaモータ27a,Zaモータ28aと掴持アーム11a,11aを開閉するAaモータ31aおよび移動体Bを移動するXbモータ24b,Ybモータ27b,Zbモータ28bと掴持アーム11b,11bを開閉するAbモータ31bに駆動制御信号を出力して駆動する。
【0037】
本実施例における制御手順を図5ないし図7の概略フローチャートに従って説明する。
図5の駆動制御メインルーチンにおいて、まずコイン投入口17へのコインの投入があると(ステップ1)、ゲームが開始し、ステップ2で移動体Aの操作制御がなされ、続けてステップ3で移動体Bの操作制御がなされる。
【0038】
ステップ2の移動体Aの操作制御は、図6に示すサブルーチンのフローチャートに示されており、以下図6の該フローチャートに従って説明する。
ゲーム開始直前には移動体Aは、ホームポジションHa(ΔX,0,0)に位置しており、プレイヤが操作卓12に並ぶ4個の操作ボタンのうち左端の1番の印があるXaボタン13を押す操作をすると(ステップ20)、移動体AのXaモータ24aが駆動されて移動体Aはx方向(左方向)に移動する(ステップ21)。
【0039】
次のステップ22で移動体Aのx座標xaが左限界位置LXaに達したか否かを判別し、達するまではステップ23に進み、Xaボタン13の解除(押し操作を終了)があるか否かを判別し、Xaボタン13の解除があるまではステップ21に戻り、Xaモータ24aの駆動が継続して移動体Aは左方向に移動し続け、プレイヤがXaボタン13を放す(解除する)と、ステップ23からステップ24に抜けて、移動体Aは停止する。
【0040】
すなわち、プレイヤがXaボタン13を押している間、移動体Aは左方向に移動し続け、Xaボタン13を放したところで移動体Aは停止する。
プレイヤがXaボタン13を押している間に、移動体Aが左限界位置に達したときは、ステップ22からステップ24に飛んで、移動体Aは左限界位置で停止する。
【0041】
次に、プレイヤが2番の印があるYaボタン14を押す操作をすると(ステップ25)、移動体AのYaモータ27aが駆動されて移動体Aはy方向(奥行き方向)に移動する(ステップ26)。
【0042】
次のステップ27で移動体Aのy座標yaが奥行き限界位置LYに達したか否かを判別し、達するまではステップ28に進み、Yaボタン14の解除(押し操作を終了)があるか否かを判別し、Yaボタン14の解除があるまではステップ26に戻り、Yaモータ27aの駆動が継続して移動体Aは奥行き方向に移動し続け、プレイヤがYaボタン14を放す(解除する)と、ステップ28からステップ29に抜けて、移動体Aは停止する。
【0043】
すなわち、プレイヤがYaボタン14を押している間、移動体Aは奥行き方向に移動し続け、Yaボタン14を放したところで移動体Aは停止する。
プレイヤがYaボタン14を押している間に、移動体Aが奥行き限界位置に達したときは、ステップ22からステップ24に飛んで、移動体Aは奥行き位置で停止する。
【0044】
以上のように、プレイヤによるXaボタン13の操作で、移動体Aは、ホームポジションHa(ΔX,0,0)から左方向に移動し、次のYaボタン14の操作で、移動体Aは、奥行き方向に移動して、プレイヤが操作した位置Pa(xa, ya, 0)に停止する。
【0045】
次に、図5の駆動制御メインルーチンにおけるステップ3で移動体Bの操作制御がなされる。
ステップ3の移動体Bの操作制御は、図7に示すサブルーチンのフローチャートに示されている。
【0046】
図7のフローチャートのステップ30からステップ39は、図6のフローチャートの上記ステップ20からステップ29と略同じ制御手順を示している。
したがって、プレイヤが3番の印があるXbボタン15を押すと(ステップ30)、移動体BのXbモータ24bが駆動されて移動体BはホームポジションHb(0,0,0)からx方向(左方向)に移動する(ステップ31)。
【0047】
ステップ32で、移動体Bのx座標xbが左限界位置xa−ΔXに達したか否かを判別する。
ここに、先の移動体Aのx方向に移動した位置xaに最も接近できる右に距離ΔX離れた位置すなわちxa−ΔXが、左限界位置xa−ΔXである。
【0048】
移動体Bのx座標xbが左限界位置xa−ΔXに達するまでは、ステップ33でXbボタン15の解除があるか否かを判別し、Xbボタン15の解除があるまではステップ31に戻り、Xbモータ24bの駆動が継続して移動体Aは左方向に移動し続け、プレイヤがXbボタン15を放すと、ステップ33からステップ34に抜けて、移動体Bは停止する。
プレイヤがXbボタン15を押している間に、移動体Bが左限界位置xa−ΔXに達したときは、ステップ32からステップ34に飛んで、移動体Bは左限界位置で停止する。
【0049】
次に、プレイヤが4番の印があるYbボタン16を押す操作をすると(ステップ35)、移動体BのYbモータ27bが駆動されて移動体Bはy方向(奥行き方向)に移動する(ステップ36)。
【0050】
次のステップ37で移動体Bのy座標ybが奥行き限界位置LYに達したか否かを判別し、達するまではステップ38に進み、Ybボタン16の解除(押し操作を終了)があるか否かを判別し、Ybボタン16の解除があるまではステップ36に戻り、Ybモータ27bの駆動が継続して移動体Bは奥行き方向に移動し続け、プレイヤがYbボタン16を放す(解除する)と、ステップ38からステップ39に抜けて、移動体Bは停止する。
【0051】
すなわち、プレイヤがYbボタン16を押している間、移動体Bは奥行き方向に移動し続け、Ybボタン16を放したところで移動体Bは停止する。
プレイヤがYbボタン16を押している間に、移動体Bが奥行き限界位置に達したときは、ステップ32からステップ34に飛んで、移動体Bは奥行き位置で停止する。
【0052】
以上のように、プレイヤによるXbボタン15の操作で、移動体Bは、ホームポジションHb(0,0,0)から左方向に移動し、次のYbボタン16の操作で、移動体Bは、奥行き方向に移動して、プレイヤが操作した位置Pb(xb, yb, 0)に停止する。
【0053】
このように、プレイヤの操作によって移動体Aと移動体Bは最上位置(z=0)にあってx方向、y方向に操作ボタンを押している間だけ移動して停止するので、プレイヤは所望の景品Gを掴み取れると思われる上方位置までXaボタン13,Yaボタン14,Xbボタン15,Ybボタン16をこの順に操作する。
【0054】
以後、駆動制御メインルーチン(図5参照)のステップ4からは、プレイヤの操作はなく、全て自動制御され、景品Gの掴み取りが成功しても失敗して以下の制御がなされる。
先に移動体Aが停止し(ステップ29)、後に移動体Bが停止した(ステップ39)後に、メインルーチンのステップ4に戻ると、Zaモータ28aとZbモータ28bが駆動されて移動体Aと移動体Bが同時にz方向(鉛直下方)に下降する。
移動体Aと移動体Bの下降は、次のステップ5でそれぞれが物に当接するまで続行される。
【0055】
移動体Aの掴持アーム11a,11aがステージ6またはその上に載置された景品Gに当接すると、Zaモータ28aにより巻き上げられるワイヤが緩み、Zaモータ28aに加わる負荷が急激に減少するので、この負荷の減少を検知して移動体Aの物への当接を検知するようにしており、移動体Bも同様である。
【0056】
移動体Aと移動体Bが、それぞれ物に当接したところで、各々が下降を停止する(ステップ6)。
双方が下降を停止すると、移動体AのAaモータ31aを駆動して前後一対の掴持アーム11a,11aを閉動作すると同時に、移動体Bの前後一対の掴持アーム11b,11bを閉動作し(ステップ7)、景品Gの各部分をそれぞれ掴もうとする。
【0057】
そして、ステップ8でZaモータ28aとZbモータ28bが駆動されて移動体Aと移動体Bが同時にz方向に上昇する。
移動体Aと移動体Bのz座標za,zbが0になるまで(ステップ9)、移動体Aと移動体Bは上昇し、最上位置で移動体Aと移動体Bは上昇を停止する(ステップ10)。
すなわち、移動体AのAaモータ31aの前後一対の掴持アーム11a,11aと移動体Bの前後一対の掴持アーム11b,11bとが協働して1個の景品Gを最上位置まで掴み上げようとする。
【0058】
次のステップ11では、移動体AのXaモータ24aと移動体BのXbモータ24bが、同時に駆動されて、移動体Aと移動体Bそれぞれが設定された落下x座標FxaとFxbに向かって移動する。
そして、移動体Aが落下x座標Fxaに達する(xa=Fxa)のと移動体Bが落下x座標Fxbに達する(xb=Fxb)のと、いずれか一方が落下x座標に達するまで(ステップ12)、移動体Aと移動体Bは同時に左右方向に移動し、一方が落下x座標に達すると、ステップ12からステップ13に抜ける。
【0059】
ステップ13では、移動体AのYaモータ27aと移動体BのYbモータ27bが、同時に駆動されて、移動体Aと移動体Bそれぞれが落下y座標0,0に向かって手前側に移動する。
そして、移動体Aが落下y座標0に達する(ya=0)のと移動体Bが落下y座標0に達する(yb=0)のと双方が落下y座標0に達するまで(ステップ14)、移動体Aと移動体Bは同時に手前方向に移動し、双方が落下y座標0に達すると、ステップ14からステップ15に抜け、景品投入口8の上方の位置である落下位置で停止する。
なお、移動体Aと移動体Bの景品投入口8の上方の落下位置までの移動制御は、上記x方向とy方向の移動を同時に制御してもよい。
【0060】
そして、ステップ16において、移動体AのAaモータ31aを駆動して前後一対の掴持アーム11a,11aを開動作すると同時に、移動体Bの前後一対の掴持アーム11b,11bを開動作し、景品Gを掴んでいれば、該景品Gを景品投入口8に落下投入する。
【0061】
その後、ステップ17では、移動体AのXaモータ24aと移動体BのXbモータ24bが駆動されて、移動体Aと移動体BそれぞれがホームポジションHa(ΔX,0,0)、Hb(0,0,0)に向かって右方向に移動する。
そして、移動体AがホームポジションHaに達し(xa=ΔX)、移動体BがホームポジションHbに達すると(xb=0)、ステップ18からステップ19に抜けて移動体Aと移動体BはそれぞれホームポジションHa(ΔX,0,0)、Hb(0,0,0)に停止し、ここで1ゲームが終了する。
【0062】
移動体Aの前後一対の掴持アーム11a,11aと移動体Bの前後一対の掴持アーム11b,11bとの協働による掴み取りが成功していれば、景品Gが景品投入口8に投入されているので、景品取出口9から景品Gを取出し景品Gを取得することができる。
【0063】
以上のように、本景品取得ゲーム装置1は、移動体Aと移動体Bがそれぞれの移動手段により別個に移動し、別個の操作ボタン(Xaボタン13,Yaボタン14とXbボタン15,Ybボタン16)により移動操作されるので、移動体Aと移動体Bを大型化することなく、互いに独立して移動して、移動体Aが備えた前後一対の掴持アーム11a,11aと移動体Bが備えた前後一対の掴持アーム11b,11bが景品Gの部分部分をそれぞれ掴むように協働して大型の景品でも掴み取ることができる。
【0064】
また、移動体Aと移動体Bが大型化していないので、両者の最も接近できる距離ΔX程度の小型の景品でも掴み取ることが可能で汎用性が高い。
なお、一方の移動体の掴持アームだけで景品を掴み取る可能性もあり、大小の景品Gに対して掴み取る確率を向上させることができる。
移動体ごとに別の景品を狙い別個に取得することが可能である。
【0065】
移動体Aと移動体Bが、それぞれ一対の掴持アーム11a,11aと掴持アーム11b,11bを備えているので、景品Gが突出部が多い複雑な形状をしているときでも各一対の掴持アームが異なる部分をそれぞれ掴み、協働して持ち上げ移動することができ、確実に掴み取る可能性を高めることができる。
【0066】
プレイヤは、Xaボタン13,Yaボタン14を操作して移動体Aを移動操作した後に、Xbボタン15,Ybボタン16を操作して移動体Bを移動操作するので、操作し易く、最初に移動した移動体Aの位置を見て、Xbボタン15,Ybボタン16の操作に際して移動体Bの移動位置を調整することができ、景品獲得の可能性を高めることができる。
【0067】
次に、別の実施の形態について図8に基づいて説明する。
本クレーンゲーム機は、前記クレーンゲーム機1と殆ど同じであり、掴持アーム51a,51bのみが異なる。
【0068】
すなわち、垂直シャフト10a,10bに対する移動体Aと移動体Bの吊設を、それぞれ90度回動して吊設し、それぞれ一対の掴持アーム11a,11aと掴持アーム11b,11bを取り外し、新たに移動体Aの一方の掴持アーム11aのあったところに新たに掴持アーム51aを1本取り付け、移動体Bの一方の掴持アーム11bのあったところに新たに掴持アーム51bを1本取り付けたものである。
【0069】
移動体Aの掴持アーム51aと移動体Bの掴持アーム51bは、互いに対向して接近・離反して開閉駆動できる構成とする。
したがって、図8に示すように、プレイヤの操作により移動体Aと移動体Bのx座標を互いに適当に近づけ、y座標を一致させるように移動操作して左右の掴持アーム51aと掴持アーム51bが協働して同時に景品Gを挟み、掴み取るようにする。
【0070】
本クレーンゲーム機は、部分を掴むのではなく、全体を左右から掴むようにするので、景品Gが掴みどころのない単純な形状(例えば球形等)をしているときでも容易に掴み取ることができ、また景品Gの大小に関係なく掴み取ることが可能で、汎用性が高い。
【0071】
次に、また別の実施の形態に係る移動体A´と移動体B´について図9ないし図13に基づいて説明する。
移動体A´と移動体B´は、それぞれ掴持アーム71aと掴持アーム71bを1本ずつ揺動可能に取り付けられている。
【0072】
掴持アーム71a,71bは、くの字に屈曲して、屈曲した肘部より先端側は、角錐状に先細になっており、その先端部に薄板状の爪片72a,72bが取り付けられている。
爪片72a,72bは、掴持アーム71a,71bの先端の取付面に基端側がねじ73により締結され、基端側に対して先端側が屈曲して延びている。
【0073】
図9に示すように、移動体A´と移動体B´が左右に適当な間隔を存して位置し、掴持アーム71a,71bが協働して互いに近づき景品Gの下面に爪片72a,72bを滑り込ませ、景品Gを下面左右で保持して掴み取る。
【0074】
図9に示す景品Gの場合、掴持アーム71a,71bが景品Gを保持したとき、景品Gの上方真近に移動体A´,B´の本体が位置する。
結局、掴持アーム71a,71bが短いため、爪片72a,72bと移動体A´,B´の本体底面との間が狭い。
したがって、上下幅が大きい景品Gは掴み取ることができない。
また、図9に仮想線で示すような横幅の狭い景品G´であると、掴み難くなり、横幅がある程度広い景品Gに限定される。
【0075】
そこで、大型の景品用に、移動体A´,B´の掴持アーム71a,71bには、延長アーム部材75a,75bが装着できるようになっている。
延長アーム部材75a,75bは、全く同じ構造のものであり、図11に一方の延長アーム部材75bについて図示し説明する。
【0076】
延長アーム部材75bは、四角錐状の筒体をなし、掴持アーム71bの肘部より先端側の四角錐状をなす部分に延長アーム部材75bが継ぎ足されるように装着される。
掴持アーム71bの先端の爪片72bは取り外され、延長アーム部材75bの筒内に嵌入され、掴持アーム71bの肘部より先端側も延長アーム部材75bの筒内も同形の四角錐状をなすので、同じ断面形状が一致するところまで嵌入して確固として嵌合する。
【0077】
そして、延長アーム部材75bと掴持アーム71bの嵌合して重なり合ったところをボルト80で締め付け、掴持アーム71bから延長アーム部材75bが抜け落ちないように固定する。
こうして、図12に示すように、掴持アーム71bに延長アーム部材75bが継ぎ足される。
他方の掴持アーム71aにも同様にして延長アーム部材75aが継ぎ足される。
【0078】
延長アーム部材75a,75bの先端部には、爪片76a,76bが取り付けられている。
爪片76a,76bは、延長アーム部材75a,75bの先端の取付面に基端側がねじ78により締結され、基端側に対して先端側が屈曲して延びていて、前記爪片72a,72bより一回り大きい。
さらに、爪片76a,76bの屈曲部より先端側の上面に摩擦抵抗の大きい滑り止めシート77,77が貼着されている。
【0079】
このようにして、延長アーム部材75a,75bにより長くなった掴持アームを使って景品Gを保持した状態を図13に図示する。
移動体A´と移動体B´は、図9に示す状態よりも大きい間隔を存して、延長アーム部材75a,75bが互いに近づき、爪片76a,76bが景品Gの下面左右で下から保持して掴み取っており、より大型の景品Gを掴み取ることができる。
【0080】
掴持アーム71a,71bは、延長アーム部材75a,75bにより長くなっているために、図13に示す状態では、掴持アーム71a(71b)と延長アーム部材75a(75b)とが一体になったものの重心は、掴持アーム71a(71b)の揺動中心Cを通る鉛直線Lの近傍または内側(景品G側)となり、延長アーム部材75a(75b)の鉛直線Lより大きく内側に入り込んだ先端の爪片76a(76b)に景品Gの重力が加わると、掴持アーム71a(71b)の揺動中心部にかかる負荷は相当大きくなり、掴持アーム71a(71b)を揺動して閉じようとするアクチュエータの負担は極めて大きく、移動体A´と移動体B´に搭載されるモータなどのアクチュエータの駆動力では、景品Gの保持状態を維持するだけでも容易ではない。
【0081】
一度爪片76a(76b)による景品Gの支持に滑りが生じると、1対の掴持アーム71a,71bが開く。
掴持アーム71a,71bが開くと、爪片76a(76b)は景品Gが落ちやすい傾斜角となり、益々景品Gが滑って1対の掴持アーム71a,71bが開いていき、景品Gが落下する事態が生じる可能性が高くなる。
【0082】
そこで、景品Gを支持する本爪片76a(76b)には上面に滑り止めシート77が貼着されており、滑り止めシート77が景品Gの下面に接して支持する簡単な構造で、滑り止めシート77の大きな摩擦抵抗により滑りが防止され、掴持アーム71a,71bが開くのを阻止でき、仮に多少開いても保持でき、小型のアクチュエータでも景品Gを安定して保持することができる。
【0083】
このように、掴持アーム71a,71bに延長アーム部材75a,75bを装着して延長することで、大型の景品Gも掴み取ることができるようになるとともに、延長することによりアクチュエータに加わる負担増を爪片76a(76b)に滑り止めシート77を貼着する簡単な構造により解決して景品Gを掴み取ると安定して保持することができる。
【0084】
滑り止めシート77としては、景品との接触面積が増えるものか、または摩擦係数が増えるものであればよく、例えばゴム材や粘着剤、やすり、スポンジなどを使用してもよい。
なお、以上の実施の形態では、移動体の掴持アームが景品Gを掴み取り、景品投入口8まで移動して投入する動きのみを説明したが、景品投入口に景品Gを入れるのに必ずしも掴持アームが景品Gを掴み取らなくても、掴持アームの開閉作動で景品Gを景品投入口8に掻き入れることも可能である。
【0085】
また、ステージ6に載置された景品Gが一部景品投入口8に一部突出しているようなときは、掴持アームがその突出部を上から押すようにして景品投入口8に押し込むことで景品Gが投入されて取得することもできる。
【0086】
以上の実施の形態における移動体は、垂直シャフトに対して90度回動して吊設できるものである。
すなわち、1対の移動体がそれぞれ1本の掴持アームを持って協働して景品を掴み取る場合は、各掴持アームは左右に対向して互いに接近・離反して開閉する必要があるのに対して、各移動体がそれぞれ2本ずつ掴持アームを持って協働して景品を掴み取る場合は、各移動体の1対の掴持アームは前後に対向して開閉する方が効果的である。
【0087】
そのため、移動体が90度回動して取り付け可能であれば、掴持アームを左右に開閉する使用態様と掴持アームを前後に開閉する使用態様のどちらの使用態様でも、同じ移動体を用いることができ、汎用性があり便利である。
しかし、使用態様を変更する場合、従来は垂直シャフトから移動体を取り外して、あるいは垂直シャフトとともに移動体を取り外して、90度回動した状態で再び取り付けていたので、変更作業が容易でなかった。
【0088】
そこで、移動体を90度回動することが簡単にできる実施の形態を、図14ないし図22に示し説明する。
なお、図面中、筐体の前方を矢印Frで示している。
図14は、各移動体に1本の掴持アーム102を備える使用態様における左右移動体Z,Zを示しており、図15は、各移動体に2本の掴持アーム101a,101bを備える使用態様における左右移動体Zを示す。
なお、掴持アーム102、掴持アーム101a,101bは、移動体Zに対して着脱自在に取り付けられる。
【0089】
図14と図15は、同じ方向から視た斜視図であり、両図を対比してみると、移動体Zが互いに90度回動した姿勢となっている。
以下、使用態様の変更に際して、移動体Zを90度回動する機構を説明する。
【0090】
まず、移動体Zは、掴持アーム101a,101b,102を揺動可能に支持する支持フレーム体120が直方体状のケース110に覆われている。
移動体の分解斜視図である図16を参照して、ケース110は、水平方向に半割りにされたものを内部に支持フレーム体120を収めて合体し、ねじピン111,111で支持フレーム体120に固定したもので、直方体状をなし、対向する1対の側壁に形成された欠損部110sから掴持アーム101a,101b,102が突出する。
【0091】
また、ケース110の上壁の中央に穿設された円孔110cから支持フレーム体120を吊設する吊持シャフト115が上方に突出しており、同吊持シャフト115の突出した上部に上方の走行体から垂下された垂直シャフト116の下端部が嵌合され一体に固着される。
垂直シャフト116の伸縮により吊持シャフト115は上下に昇降するが、姿勢は変化せず固定し回動しない。
【0092】
図16ないし図22を参照して、吊持シャフト115に支持される支持フレーム体120は、支持基板121の上を上蓋フレーム部材122が覆う構造をしている。
なお、図16および図17では、上蓋フレーム部材122の半分が省略されて図示されている。
【0093】
支持基板121は、上面にアクチュエータ123等が搭載され、対向する端縁部には掴持アームの基端を着脱自在に嵌着する揺動基部124,124が設けられ、下面には揺動基部124,124の揺動機構125等が配設されている。
【0094】
上蓋フレーム部材122は、概ね上板122uと互いに対向する側板122s,122sとからなり、水平な上板122uの両側縁から下方に垂下した側板122s,122sの下部が支持基板121の両側縁に固着されて、支持基板121の上に搭載されたアクチュエータ123等の上を上板122uが、側方を側板122s,122sが覆う。
【0095】
上蓋フレーム部材122の上板122uの中央に形成された円孔に円筒フランジ部材130の円筒部130sが下方から嵌入しフランジ部130fが上板122uの下面に当接して一体に固着されている。
円筒フランジ部材130のフランジ部130fの下面には中心から放射方向に4本の溝条130va,130va,130vb,130vbが十字状に穿設されている(図18参照)。
【0096】
十字状の溝条の一方の同軸1対の溝条130va,130vaが、支持フレーム体120に設けられる前記1対の揺動基部124,124が互いに対向する方向に指向し、他方の同軸1対の溝条130vb,130vbはこれと直交する方向に指向するように、円筒フランジ部材130は上蓋フレーム部材122の上板122uに取り付けられる。
溝条130va,130va,130vb,130vbは半円弧状の断面形状を有する。
【0097】
図18に示すように、吊持シャフト115は、下端部を直径方向に支持ピン115pが貫通して両端を突出させており、同吊持シャフト115を円筒フランジ部材130に下方から挿入し、下端部の支持ピン115pの突出した両端部を円筒フランジ部材130のフランジ部130fの下面に当接すると、吊持シャフト115の上端は、円筒フランジ部材130の円筒部130sから上方に突出するので、この突出した上部に前記したように垂直シャフト116の下端部が嵌合され、回り止めのピンが圧入されて一体に固着される。
【0098】
吊持シャフト115は、支持ピン115pが左右水平方向に指向した姿勢で垂直シャフト116に固着されるので、支持ピン115pは常に左右方向を指向した状態にある。
この左右方向に指向した支持ピン115pが円筒フランジ部材130のフランジ部130fの同軸1対の溝条130va,130vaまたは溝条130vb,130vbに嵌合し位置決めして支持フレーム体120を吊持することができる。
支持ピン115pは、円柱状をなし、円筒フランジ部材130のフランジ部130fの外径より長尺であるので、同軸1対の溝条130va,130vaまたは溝条130vb,130vbに嵌合した場合に、両端がフランジ部130fより外側に突出する。
【0099】
フランジ部130fの一方の同軸1対の溝条130va,130vaに左右方向に指向した支持ピン115pが嵌合し位置決めしたときは、支持フレーム体120は掴持アームの基端が着脱自在に嵌着される揺動基部124,124を左右に位置させることができ、フランジ部130fの他方の同軸1対の溝条130vb,130vbに支持ピン115pが嵌合し位置決めしたときは、支持フレーム体120は揺動基部124,124(掴持アーム)を前後に位置させることができる。
【0100】
円筒フランジ部材130が取り付けられる上蓋フレーム部材122の上板122uの下面には、円筒フランジ部材130を挟んだ両側に下部にねじ穴が形成されたガイド棒140,140が下方に向けて突設されており、同ガイド棒140,140に両端部を貫通されてばね受けブラケット141が下方から円筒フランジ部材130を覆うように当てがわれる。
【0101】
ばね受けブラケット141は、帯状の金属板の中央部がコ字状凹んだ形状に屈曲されて、水平中央部141cの両側に水平端部141s,141sが対称に形成されており、両水平端部141s,141sにガイド棒140,140が貫通する円孔141h,141hが形成されている。
【0102】
この両水平端部141s,141sの円孔141h,141hに上蓋フレーム部材122の上板122uから垂設されたガイド棒140,140が挿入されるように、ばね受けブラケット141を下方から上板122uの下面に当てがうと、円筒フランジ部材130から下方に突出した吊持シャフト115の下端面に水平中央部141cの上面が当接し、円筒フランジ部材130を跨いだ水平端部141s,141sは上蓋フレーム部材122の上板122uに近接する。
【0103】
この状態で、ガイド棒140,140にコイルばね142,142を外装し、ガイド棒140,140の下端のねじ穴にフランジ付きねじ143,143を螺着して、ばね受けブラケット141の水平端部141s,141sとフランジ付きねじ143,143のフランジとの間にコイルばね142,142が圧縮されて介装される。
【0104】
したがって、吊持シャフト115の下端面に接して高さ位置が固定されたばね受けブラケット141に対してコイルばね142,142がフランジ付きねじ143,143を下方に付勢する。
フランジ付きねじ143,143はガイド棒140,140に螺着されているので、結局コイルばね142,142によりガイド棒140,140を介して上蓋フレーム部材122すなわち支持フレーム体120が下方に付勢される。
【0105】
図19および図20は、支持フレーム体120が揺動基部124,124を左右に位置させる姿勢で、下方に付勢された円筒フランジ部材130のフランジ部130fの左右水平方向に指向した同軸1対の溝条130va,130vaが吊持シャフト115の下端の左右水平方向に指向した支持ピン115pに嵌合して支持フレーム体120が下方位置で回動を規制されて位置決めされて支持ピン115pにより吊持される。
この状態で、左右の揺動基部124の一方に掴持アーム102を装着すれば図14および図16に示す各移動体に1本の掴持アームを備える使用態様となる。
【0106】
この状態から、コイルばね142,142のばね力に抗して支持フレーム体120を上方に移動させることができ、このときは、図21および図22に示すように、支持フレーム体120とともに円筒フランジ部材130が吊持シャフト115に沿って摺動して上昇し、コイルばね142,142が圧縮されて上蓋フレーム部材122がばね受けブラケット141から上方に離れるとともに、円筒フランジ部材130が上方に移動して支持ピン115pから離れ溝条130va,130vaとの嵌合が解除されることになる。
【0107】
したがって、この支持フレーム体120を上方に移動した状態で、支持フレーム体120を回動することができ、90度回動して揺動基部124,124が前後に位置した姿勢で支持フレーム体120をコイルばね142,142のばね力および自重に任せて下方に移動すると、円筒フランジ部材130のフランジ部130fの左右水平方向に指向することになった同軸1対の溝条130vb,130vbが吊持シャフト115の下端の左右水平方向に指向した支持ピン115pに嵌合して支持フレーム体120が下方位置で回動を規制されて位置決めされて支持ピン115pにより吊持される。
この状態で、前後の揺動基部124,124に掴持アーム101a,101bを装着すれば図15および図17に示す各移動体Zに2本の掴持アームを備える使用態様となる。
【0108】
以上のように、本実施の形態の移動体Zは、各移動体に1本の掴持アーム102を互いに左右に備える使用態様と各移動体にそれぞれ2本の掴持アーム101a,101bを前後に備える使用態様の相互の変更のために移動体Zを90度回動させる場合、移動体Zを上方に若干持ち上げて90度回動してばね力および自重により下降させるだけで、円筒フランジ部材130の溝条130va,130vaまたは溝条130vb,130vbが支持ピン115pに嵌合して移動体Zは回動を規制されて位置決めされるので、使用態様の変更が極めて簡単にできる。
【0109】
なお、本実施の形態の移動体Zには、どちらの使用態様にあるか、すなわち支持フレーム体120の回動姿勢を検知する光センサ150が上蓋フレーム部材122に取り付けられている。
図18を参照して、上蓋フレーム部材122の上板122uの一方の側縁から延出して屈曲して下方に延びて支持ブラケット部122bが長方形状に形成されており、同支持ブラケット部122bに光センサ150が取り付けられる。
【0110】
光センサ150は、透過型でセンサ本体部150Hから平行に突出した1対のアームに発光部150aと受光部150bが相対向して設けられており、支持ブラケット部122bに形成された矩形孔に1対のアームを外側から貫通させてセンサ本体部150Hを支持ブラケット部122bにねじ151により固着すると、光センサ150は円筒フランジ部材130のフランジ部130fの側方に略同じ高さ位置に取り付けられる(図20,図22参照)。
【0111】
したがって、各移動体に1本の掴持アーム102を互いに左右に備える使用態様にあるときは、図20に示すように、円筒フランジ部材130のフランジ部130fの同軸1対の溝条130va,130vaに嵌合した支持ピン115pは、両端がフランジ部130fより外側に突出しており、その一端が光センサ150の発光部150aと受光部150bの間に挿入されているので、発光部150aからの光線が支持ピン115pにより遮断されて受光部150bに至らず支持ピン115pの存在を検知することができ、よって各移動体に1本の掴持アーム102を互いに左右に備える使用態様にあることを検知できる。
【0112】
この状態から移動体Zを上方に持ち上げると、図22に示すように、円筒フランジ部材130とともに光センサ150も上方に移動して支持ピン115pが発光部150aと受光部150bの間から抜けるので、支持ピン115pと光センサ150が干渉することはなく移動体Zを90度回動することができる。
【0113】
なお、90度回動して移動体Zをばね力および自重により下降し、各移動体に2本の掴持アーム101a,101bを前後に備える使用態様としたときは、光センサ150は支持ピン115pが指向する方向とは90度回動した位置にあって発光部150aと受光部150bの間には何もなく、発光部150aからの光線が支持ピン115pにより遮断されることなく受光部150bに至り、支持ピン115pが存在しないことを検知することができ、よって各移動体に2本の掴持アーム101a,101bを前後に備える使用態様にあることを検知できる。
すなわち、光センサ150が支持ピン115pの有無を検知することで、どちらの使用態様にあるかを判別することができる。
【0114】
各移動体に1本の掴持アーム102を互いに左右に備える使用態様の場合、掴持アーム102は移動体Zの本体よりも左右にはみ出しているので、クレーンゲーム機の筐体内で左右の透明板に干渉させないために左右方向の移動範囲が幾らか狭く規制されることになる。
なお、前後方向の移動範囲は狭く規制する必要がない。
他方、各移動体に2本の掴持アーム101a,101bを前後に備える使用態様の場合は、掴持アーム101a,101bは移動体Zの本体よりも前後にはみ出しているので、クレーンゲーム機の筐体内で前方の透明板と後方の背板に干渉させないために前後方向の移動範囲が幾らか狭く規制されることになるが、左右方向の移動範囲は狭く規制する必要がない。
【0115】
光センサ150が、各移動体に1本の掴持アーム102を互いに左右に備える使用態様と各移動体に2本の掴持アーム101a,101bを前後に備える使用態様のいずれの使用態様かを判別することができるので、移動体Zを回動して使用態様を変更したときは、光センサ150がその使用態様を判別して移動体Zの移動を制御する制御装置に検知信号を出力することで、当該使用態様に適応した移動範囲に自動的に設定することができる。
【0116】
本実施の形態では、各移動体に1本の掴持アーム102を互いに左右に備える使用態様の場合に、図14および図16に示すように、特殊な掴持アーム102を使用している。
該掴持アーム102は、前記図11に図示された実施の形態と同様に、基部となる掴持アーム部103と、これに継ぎ足されるように装着される延長アーム部104と、延長アーム部104の先端に取り付けられる爪片105からなる。
【0117】
延長アーム部104は掴持アーム部103に嵌合してねじ止めされて装着されるので、ねじを外せば交換可能である。
本延長アーム部104は、樹脂製で装着される基端部から先端にかけて幅が徐々に広く形成され、内側の面には幅方向に指向した突条104tが長手方向に複数間隔をおいて形成されている。
【0118】
図14を参照して、左右の移動体Zが、対向する互いの掴持アーム102,102を閉じるようにして、景品を掴み上げるときに、掴持アーム102の延長アーム部104が傾斜すると、複数の突条104tは階段状をなし、縫いぐるみなどの不定形な景品を掴む場合に、景品が複数の突条104tに引っ掛かって支持される可能性が高いので、落下させずに景品を掴み上げることに成功する確率が高くなる。
【0119】
また、景品の形状によっては、延長アーム部104の複数の突条104tのうち景品の掴み上げに最も適した突条104tが掴み上げの過程で自然と選択されて使用されることもあり、景品の形状に関係なく、確実に景品を掴み上げる可能性が高い。
【符号の説明】
【0120】
1…クレーンゲーム機、2…基台、3…筐体、4…透明板、5…鏡板、6…ステージ、7…天井部、8…景品投入口、9…景品取出口、10a,10b…垂直シャフト、11a,11b…掴持アーム、12…操作卓、13…Xaボタン、14…Yaボタン、15…Xbボタン、16…Ybボタン、17…コイン投入口、
A…移動体、B…移動体、G…景品、
20…固定レール、21a, 21b…移動レール、22a,22b…懸架枠、23…ラックギア、24a…Xaモータ、24b…Xbモータ、25a, 25b…ピニオンギア、26a, 26b…走行体、27a…Yaモータ、27b…Ybモータ、28a…Zaモータ、28b…Zbモータ、29a, 29b…ピニオンギア、30a, 30b…ラックギア、31a…Aaモータ、31b…Abモータ、
40…マイクロコンピュータ、41…クレーン駆動制御部、42…記憶部、
51a,51b…掴持アーム、
A´…移動体、B´…移動体、
71a,71b…掴持アーム、72a,72b…爪片、75a,75b…延長アーム部材、76a,76b…爪片、77…滑り止めシート、78…ねじ、80…ボルト、81…ナット、
Z…移動体、101a,101b,102…掴持アーム、103…掴持アーム部、104…延長アーム部、104t…突条、105…爪片、
110…ケース、111…ねじピン、115…吊持シャフト、115p…支持ピン、116…垂直シャフト、
120…支持フレーム体、121…支持基板、122…上蓋フレーム部材、122u…上板、122s…側板、123…アクチュエータ、124…揺動基部、125…揺動機構、
130…円筒フランジ部材、130s…円筒部、130f…フランジ部、130va,130va,130vb,130vb…溝条、
140…ガイド棒、141…ばね受けブラケット、142…コイルばね、143…フランジ付きねじ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステージの上方空間を移動手段により移動する移動体が掴持手段を備え、プレイヤが操作手段を操作して前記移動体を移動操作して前記ステージ上に載置された景品を掴み取り、前記ステージの所定位置に設けられた景品投入口に落下させ景品を取得する景品取得ゲーム装置において、
前記ステージの上方空間に第1移動体と第2移動体が設けられ、
前記第1移動体と第2移動体がそれぞれ第1移動手段と第2移動手段により移動し、
前記第1移動体と第2移動体がそれぞれ第1操作手段と第2操作手段のプレイヤの操作により移動操作され、
前記第1移動手段と第2移動手段および前記第1移動体と第2移動体のそれぞれの第1掴持手段と第2掴持手段が景品の掴持と移動を協働して行うように制御手段により制御されることを特徴とする景品取得ゲーム装置。
【請求項2】
前記第1掴持手段と第2掴持手段が、それぞれ少なくとも一対の掴持アームを備えていることを特徴とする請求項1記載の景品取得ゲーム装置。
【請求項3】
前記第1掴持手段と第2掴持手段が、それぞれ互いに対向する掴持アームの一方を備えていることを特徴とする請求項1記載の景品取得ゲーム装置。
【請求項4】
前記第1操作手段の操作をした後に前記第2操作手段の操作をすることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか1項記載の景品取得ゲーム装置。
【請求項1】
ステージの上方空間を移動手段により移動する移動体が掴持手段を備え、プレイヤが操作手段を操作して前記移動体を移動操作して前記ステージ上に載置された景品を掴み取り、前記ステージの所定位置に設けられた景品投入口に落下させ景品を取得する景品取得ゲーム装置において、
前記ステージの上方空間に第1移動体と第2移動体が設けられ、
前記第1移動体と第2移動体がそれぞれ第1移動手段と第2移動手段により移動し、
前記第1移動体と第2移動体がそれぞれ第1操作手段と第2操作手段のプレイヤの操作により移動操作され、
前記第1移動手段と第2移動手段および前記第1移動体と第2移動体のそれぞれの第1掴持手段と第2掴持手段が景品の掴持と移動を協働して行うように制御手段により制御されることを特徴とする景品取得ゲーム装置。
【請求項2】
前記第1掴持手段と第2掴持手段が、それぞれ少なくとも一対の掴持アームを備えていることを特徴とする請求項1記載の景品取得ゲーム装置。
【請求項3】
前記第1掴持手段と第2掴持手段が、それぞれ互いに対向する掴持アームの一方を備えていることを特徴とする請求項1記載の景品取得ゲーム装置。
【請求項4】
前記第1操作手段の操作をした後に前記第2操作手段の操作をすることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか1項記載の景品取得ゲーム装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
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【図11】
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【図20】
【図21】
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【公開番号】特開2011−15946(P2011−15946A)
【公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−213726(P2009−213726)
【出願日】平成21年9月15日(2009.9.15)
【出願人】(000132471)株式会社セガ (811)
【公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年9月15日(2009.9.15)
【出願人】(000132471)株式会社セガ (811)
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