景品払出ユニット、景品払出装置および景品払出システム
【課題】景品の収納枚数を自動的に管理でき、景品の払い出しに掛かる時間の短縮化を図ることができる景品払出ユニット、この景品払出ユニットを備える景品払出装置、および、この景品払出装置を含む景品払出システムを提供すること。
【解決手段】景品払出ユニット5には、カセット4に収納された景品2を1枚ずつ計数する機能を有する計数部60が含まれているので、景品払出ユニット5を収容する景品払出装置1では、カセット4に何枚の景品2が収納されているのかを把握することができる。景品払出ユニット5に含まれる分離搬送部70は、カセット4に収納された景品2において、計数部60を利用して所定の払出枚数に相当する景品群を特定し、特定した景品群をカセット4における他の景品2から分離して搬送する。これにより、所定の払出枚数の景品を払い出す場合には、当該払出枚数分の景品2を、まとめて迅速に搬送できる。
【解決手段】景品払出ユニット5には、カセット4に収納された景品2を1枚ずつ計数する機能を有する計数部60が含まれているので、景品払出ユニット5を収容する景品払出装置1では、カセット4に何枚の景品2が収納されているのかを把握することができる。景品払出ユニット5に含まれる分離搬送部70は、カセット4に収納された景品2において、計数部60を利用して所定の払出枚数に相当する景品群を特定し、特定した景品群をカセット4における他の景品2から分離して搬送する。これにより、所定の払出枚数の景品を払い出す場合には、当該払出枚数分の景品2を、まとめて迅速に搬送できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、パチンコ玉等の遊技媒体と交換される景品を払い出すための景品払出装置、景品払出装置に備えられる景品払出ユニット、および、景品払出装置を含む景品払出システムに関する。
【背景技術】
【0002】
パチンコ店等の遊技施設では、遊技客が獲得したパチンコ玉等の遊技媒体の個数に応じて遊技客に景品を払い出すための景品払出装置が設置されている。下記特許文献1では、遊技施設のフロアに直接据え置かれる景品払出装置が提案されており、下記特許文献2では、遊技施設のカウンタ等に載せられる卓上タイプの景品払出装置が提案されている。これらの景品払出装置では、カード状の景品が払い出される。
【0003】
特許文献1および2の景品払出装置では、複数枚の景品を積層状態で収納するカセットが複数内蔵されており、必要な枚数の景品が各カセットから繰り出されて遊技客に払い出される。
ここで、複数のカセットは、いくつかのカセット毎にまとまって景品払出ユニットを構成している。景品払出ユニットには、カセットの他に、カセットに収納された景品を1枚ずつ分離する機構や、分離された景品を搬送する機構が備えられている。景品払出ユニットでは、各カセットに収納された景品のうち、必要な枚数の景品が、1枚ずつ分離搬送されて一時保留部等に集められた後に、まとめて払い出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3722878号公報
【特許文献2】特開2008−73169号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
遊技施設では、景品の管理のために、開店時や従業員の交代時や景品補充時や閉店時等に、景品払出装置内の景品の数を数える作業が行われる。
この作業を行う場合、特許文献1および2の景品払出装置では、従業員がカセットを装置から引き出してカセット内の景品の数を手作業でいちいち数えている。景品払出装置には、100枚以上の景品が収納されたカセットが複数内蔵されているのが一般的で、カセットに収納された景品の全数を手作業で数える作業は、従業員に大きな負担を強いている。
【0006】
また、特許文献1および2の景品払出装置では、所定枚数の景品を払い出すときには、景品払出ユニットにおいて、カセットに収納された景品を1枚ずつ分離搬送する動作が、当該所定枚数分、繰返し行われており、払い出しに長い時間が掛かっている。
この発明は、かかる背景のもとでなされたもので、景品の収納枚数を自動的に管理でき、景品の払い出しに掛かる時間の短縮化を図ることができる景品払出ユニット、この景品払出ユニットを備える景品払出装置、および、この景品払出装置を含む景品払出システムを提供することを主たる目的とする。
【0007】
この発明は、また、景品を分離搬送する機構に起因する装置の大型化を抑制することができる景品払出ユニット、この景品払出ユニットを備える景品払出装置、および、この景品払出装置を含む景品払出システムを提供することを他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1記載の発明は、装置内に収納された景品を払出口から払い出す景品払出装置に収容される景品払出ユニットであって、複数枚の景品を積層状態で収納するための収納部と、前記収納部に積層状態で収納された景品を1枚ずつ計数する機能を有する計数手段と、前記収納部に収納された景品において、前記計数手段を利用して所定の払出枚数に相当する景品群を特定し、特定した前記景品群を前記収納部における他の景品から分離して所定方向に搬送する分離搬送手段と、を含むことを特徴とする、景品払出ユニットである。
【0009】
請求項2記載の発明は、前記計数手段を利用して、前記収納部に収納されている全ての景品の枚数を計数する手段を備えていることを特徴とする、請求項1記載の景品払出ユニットである。
請求項3記載の発明は、前記計数手段と前記分離搬送手段とが一体化されていることを特徴とする、請求項1または2記載の景品払出ユニットである。
【0010】
請求項4記載の発明は、一体化された1組の前記計数手段および前記分離搬送手段が、並んで配置された複数の前記収納部のそれぞれに収納された景品に対して対応可能であることを特徴とする、請求項3記載の景品払出ユニットである。
請求項5記載の発明は、前記収納部に対して前記所定方向における隣に配置され、前記分離搬送手段が搬送してきた景品を受け入れる受入部と、前記受入部に受け入れられた景品を所定位置に搬送する搬送手段と、を含むことを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の景品払出ユニットである。
【0011】
請求項6記載の発明は、前記搬送手段によって前記所定位置に搬送された景品を、前記景品払出装置の前記払出口へ持ち上げるエレベータを含むことを特徴とする、請求項5記載の景品払出ユニットである。
請求項7記載の発明は、請求項1〜6のいずれかに記載の景品払出ユニットが複数並んだ状態で収容されることを特徴とする、景品払出装置である。
【0012】
請求項8記載の発明は、外部機器との間で通信することができることを特徴とする、請求項7記載の景品払出装置である。
請求項9記載の発明は、請求項8に記載の景品払出装置と、前記景品払出装置と通信可能な景品管理機と、を含み、前記景品管理機は、景品払出指示を、前記景品払出装置に送信し、前記景品払出装置は、前記景品払出指示に基づいて景品を払い出すとともに、前記計数手段による前記収納部の景品の計数結果を、前記景品管理機に送信することを特徴とする、景品払出システムである。
【発明の効果】
【0013】
請求項1記載の発明によれば、この景品払出ユニットには、収納部に積層状態で収納された景品を1枚ずつ計数する機能を有する計数手段が含まれている。そのため、この景品払出ユニットを収容する景品払出装置では、収納部に何枚の景品が収納されているのかを把握することができる。つまり、景品払出装置は、景品の計数機能を備えることから、景品の収納枚数を自動的に管理できるので、景品の枚数管理の自動化に寄与できる。
【0014】
また、この景品払出ユニットに含まれる分離搬送手段は、収納部に収納された景品において、計数手段を利用して所定の払出枚数に相当する景品群を特定し、特定した景品群を収納部における他の景品から分離して所定方向に搬送する。これにより、所定の払出枚数の景品を払い出す場合には、当該払出枚数分の景品を、1枚ずつ分離搬送することなく、まとめて迅速に搬送できる。
【0015】
これらの結果、この景品払出ユニットを収容する景品払出装置では、景品の収納枚数を自動的に管理でき、景品の払い出しに掛かる時間の短縮化を図ることができる。
請求項2記載の発明によれば、景品払出ユニットには、計数手段を利用して、収納部に収納されている全ての景品の枚数を計数する手段が備えられているので、この景品払出ユニットを収容する景品払出装置では、収納部に収納されている全ての景品の枚数を正確に管理できる。
【0016】
請求項3記載の発明によれば、計数手段と分離搬送手段とが一体化されているので、分離搬送手段が単独で存在する場合に比べて、景品払出ユニットにおいて、景品を分離搬送する機構に起因する装置の大型化を抑制することができる。
請求項4記載の発明によれば、一体化された1組の計数手段および分離搬送手段は、並んで配置された複数の収納部のそれぞれに収納された景品に対して対応可能である。つまり、計数手段および分離搬送手段を収納部と同じ数だけ設けなくても、1組の計数手段および分離搬送手段だけで、複数の収納部のそれぞれに収納された景品を計数および分離搬送することができるので、景品払出ユニットの簡略化および小型化を図ることができる。
【0017】
請求項5記載の発明によれば、収納部に対して所定方向(分離搬送手段による景品の搬送方向)における隣に配置された受入部が、分離搬送手段が搬送してきた景品を受け入れ、搬送手段が、受入部に受け入れられた景品を所定位置に搬送する。これにより、分離搬送手段が収納部から搬送した景品を、景品払出装置における景品の払出口へ向けて確実に搬送することができる。
【0018】
請求項6記載の発明によれば、エレベータが、搬送手段によって所定位置に搬送された景品を、景品払出装置の払出口へ持ち上げるので、分離搬送手段が収納部から搬送した景品を、景品払出装置の払出口へ向けて確実に搬送することができる。
請求項7記載の発明によれば、景品払出装置では、景品払出ユニットが複数並んだ状態で収容されるので、全体で、多種類の景品を多量に収納することができ、そして、多種類の景品を一度に払い出すことができる。
【0019】
請求項8記載の発明によれば、景品払出装置は、外部機器との間で通信することができる。そのため、景品払出装置は、直接操作されなくても、景品払出装置から離れたところにある外部機器から指示を受けることで景品の計数や払い出しを実行することができ、また、計数結果等を外部機器に直ちに送信することができる。
請求項9記載の発明によれば、景品払出システムでは、景品払出装置と景品管理機とが互いに通信可能である。そのため、景品払出装置と景品管理機とが互いに離れていても、景品払出装置を直接操作することなく、景品管理機から景品払出指示を景品払出装置に送信することで景品払出を実行できる。また、計数手段による収納部の景品の計数結果を、景品払出装置から景品管理機に直ちに送信することができる。つまり、景品払出装置を遠隔で管理できるので使い勝手がよい。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】遊技施設内に設けられた景品払出システムの全体構成を示すブロック図である。
【図2】景品払出装置1を前側(従業員が操作する側)から見た斜視図である。
【図3】右壁が取り外されて内部が露出された状態にある景品払出ユニット5の斜視図である。
【図4】右壁が取り外されて内部が露出された状態にある景品払出ユニット5の分解斜視図である。
【図5】カセット4を斜め上側から見た斜視図であって、(a)は、景品2が1枚も収納されていない状態を示し、(b)は、複数枚の景品2が収納された状態を示している。
【図6】搬送機構24を斜め上側から見た斜視図であって、(a)は、搬送ユニット32が下限位置にある状態を示し、(b)は、搬送ユニット32が上昇途中にある状態を示している。
【図7A】搬送ユニット32がカセット4の景品2を搬送する場合の手順を説明するための模式図である。
【図7B】搬送ユニット32がカセット4の景品2を搬送する場合の手順を説明するための模式図である。
【図7C】搬送ユニット32がカセット4の景品2を搬送する場合の手順を説明するための模式図である。
【図7D】搬送ユニット32がカセット4の景品2を搬送する場合の手順を説明するための模式図である。
【図7E】搬送ユニット32がカセット4の景品2を搬送する場合の手順を説明するための模式図である。
【図7F】搬送ユニット32がカセット4の景品2を搬送する場合の手順を説明するための模式図である。
【図8】景品払出ユニット5の模式的な正断面図である。
【図9】内部が露出された状態にある上ユニット21を斜め上側から見た斜視図であって、搬送機構24も一緒に示している。
【図10】内部が露出された状態にある上ユニット21の斜視図であって、エレベータ82を示している。
【図11】図10において、エレベータ82の伸縮機構87が伸長状態に姿勢を変えた様子を示している。
【図12】景品払出装置1の模式的な側断面図である。
【図13】図12に変形例を適用した図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下には、図面を参照して、この発明の実施形態について具体的に説明する。なお、以下では、左右方向と幅方向とは同じであり、上下方向と垂直方向とは同じである。そして、前後方向および左右方向(幅方向)は、水平方向に含まれている。
<景品払出装置の概要>
図1は、遊技施設内に設けられた景品払出システムの全体構成を示すブロック図である。
【0022】
図1に示すように、本発明に係る景品払出装置1は、景品管理機(POS端末)100に接続されており、景品管理機100と一体となって、景品払出システムを構成している。景品払出装置1と景品管理機100とは、互いに通信可能である。
景品払出装置1は、景品の払い出しを行うものであり、たとえば、遊技施設のフロアに直接据え置かれて使用される。景品払出装置1は、景品を払い出す機能だけでなく、後述するように、収納部としてのカセット4(後述する図5参照)に収納された景品数を計数する計数機能を備えている。
【0023】
景品管理機100は、景品払出装置1に対する外部機器として景品払出装置1を制御するものであり、遊技施設内に設置されている。景品管理機100は、景品払出装置1における景品の在庫管理を行う機能や、景品払出装置1における景品の在庫管理データを表示したり、印字したりする機能を備えている。
景品払出装置1で取り扱われる景品(後述する図5(b)の符号2を参照)は、遊技施設において遊技客が獲得したパチンコ玉等の遊技媒体の数に応じて交換される有価カード体で特殊景品とも呼ばれる。この景品は、一般的に、1〜3mm程度の厚みを有する樹脂製のカードである。景品には、所定の金銭価値を有する物体が内蔵されており、たとえば、100円、500円、1000円、5000円といった金銭価値に応じた4つの種類が存在する。また、景品には、その種類を識別するために、種類を示す情報が表面に目視可能に印字されていたり、RFIDタグ等が内蔵されていたりする。また、景品には、偽造等の不正を防止するための処理が施されていることもある。
【0024】
遊技客が獲得したパチンコ玉等の遊技媒体を、遊技施設内に設置された図示しない計数機に投入すると、投入された遊技媒体の計数が行われ、計数結果を示すバーコードが印字されたレシートが、この計数機から発行される。なお、このようなレシートの代わりに、計数結果が磁気記録された磁気カードや、計数結果が記録されたICチップを備えたICカードが計数機から発行されるようにしてもよい。
【0025】
上述した計数機によって発行されたレシートを客が遊技店の従業員に手渡すと、従業員は、そのレシートにバーコード記録されている計数結果を景品管理機100に読み取らせる。景品管理機100は、読み取った計数結果に基づいて払い出すべき景品の種類および枚数を決定し、決定した内容に応じて、景品払出装置1に対して、景品を払い出す旨の指示(景品払出指示)を送信する。この命令に応じて、景品払出装置1が該当する種類の景品を必要枚数分払い出し、客は、払い出された景品を受け取る。
【0026】
ここで、上述したように、景品払出装置1と景品管理機100とが、互いに通信可能であることから、景品払出装置1と景品管理機100とが互いに離れていても、景品払出装置1を直接操作することなく、景品管理機100から景品払出指示を景品払出装置1に送信することで景品の計数や払出を実行できる。また、景品の計数結果や払出結果を、景品払出装置1から景品管理機100に直ちに送信することができる。つまり、景品払出装置1を遠隔で管理できるので使い勝手がよい。
【0027】
図2は、景品払出装置1を前側(従業員が操作する側)から見た斜視図である。
図2を参照して、景品払出装置1から景品の払い出しを受ける客は、景品払出装置1の後側(図2における奥側)に位置し、従業員は、景品払出装置1の前側に位置して接客を行う。
景品払出装置1は、その外郭をなす略直方体形状のキャビネット3と、キャビネット3に収容される複数(この例では、4つ)の景品払出ユニット5(後述する図3参照)とを備えている。各景品払出ユニット5には、複数のカセット4(後述する図5参照)が収納される。各カセット4には、複数の景品2が上下に積み重ねられた状態で収納される。
【0028】
複数の景品払出ユニット5は、幅方向に並んだ状態でキャビネット3内に収容される。各景品払出ユニット5内には、横方向2列に4個ずつ、合計で8個のカセット4が配置されている。従って、キャビネット3内には、横方向8列に4個ずつカセット4が配置される。横方向に並ぶ第1列〜第8列までの8つの列を、左から順に第1レーン〜第8レーンと呼ぶ。このような景品払出装置1では、全体で、多種類の景品2を多量に収納することができ、そして、多種類の景品2を一度に払い出すことができる。
【0029】
キャビネット3の前壁において、各景品払出ユニット5と幅方向において一致する各部分は、扉6を構成している。つまり、扉6は、景品払出ユニット5と同様、4つ設けられている。扉6を開くことで、対応する景品払出ユニット5をキャビネット3から引き出すことができる。
キャビネット3の上面には、表示部7が設けられている。表示部7は、客用の第1表示部7Aと、従業員用の第2表示部7Bとを含んでおり、それぞれの表示部には、必要な情報が表示される。また、表示部7には、景品払出装置1の動作を制御するために操作される操作キー(図示せず)が設けられている。
【0030】
キャビネット3の上面における表示部7より後側において、各景品払出ユニット5の上方位置には、上記第1レーン〜第8レーンに対応して、8個の払出口8が形成されている。8つの払出口8は、幅方向に並んでいる。各払出口8は、キャビネット3の内部に上から連通している。また、各払出口8には、シャッタ9が設けられている。シャッタ9は、前後にスライドすることによって、払出口8を開閉する。図2では、シャッタ9が払出口8を閉じた状態が示されている。
【0031】
また、図2には一部しか示されていないが、景品払出装置1には、カセット4(図5参照)に収納された景品2を払い出すために、第1搬送部10と、第2搬送部11と、保留部12と、リフト部13と、送出部14とが備えられている。
景品払出装置1における景品2の大まかな払い出し手順として、まず、第1搬送部10が、カセット4(図5参照)に収納された景品2から、所定の払出枚数に相当する景品群を分離して、上方へ搬送する。次いで、第2搬送部11が、上方に搬送された景品2(景品群)を払出口8側へ向けて略水平に搬送する。そして、保留部12が、搬送された景品2を払出口8の下方で保留する。その後、リフト部13が、保留された景品2を払出口8へ向けて持ち上げる。最後に、送出部14が、払出口8まで持ち上げられた景品2をキャビネット3の上面に押し出す。ここで、シャッタ9と、シャッタ9をスライドさせる構成とが、上述した送出部14に含まれる。このようにして、景品払出装置1内に収納された景品2が払出口8から払い出される。
【0032】
これらの構成(第1搬送部10、第2搬送部11、保留部12、リフト部13および送出部14)は、以下で景品払出ユニット5を説明する際に、個別に説明される。
<景品払出ユニット>
図3は、右壁が取り外されて内部が露出された状態にある景品払出ユニット5の斜視図である。
【0033】
図3に示すように、各景品払出ユニット5は、左右方向においてやや薄い中空のボックス形状である。景品払出ユニット5は、その上下方向における略6分の5の部分をなす下ユニット20と、下ユニット20の上側に配置される上ユニット21とを含んでいる。
また、景品払出ユニット5(詳しくは、下ユニット20)の前面(図3における手前側の面)には、ハンドル26が設けられている。ハンドル26は、上述したように景品払出ユニット5をキャビネット3(図2参照)から引き出す際に、把持される。
【0034】
図4は、右壁が取り外されて内部が露出された状態にある景品払出ユニット5の分解斜視図である。
図4に示すように、下ユニット20と上ユニット21とは、分離可能である。具体的には、上ユニット21は、キャビネット3(図2参照)側に固定されており、景品払出ユニット5では、ハンドル26を把持することで、下ユニット20だけをキャビネット3から引き出すことができる。
【0035】
以下では、下ユニット20と上ユニット21とを個別に説明する。
(1)下ユニット
下ユニット20は、その外郭をなす下ケーシング22と、8つのカセットホルダ23(図4では右側4つのカセットホルダ23が現れている。)と、8つのカセット4(図4では8つのカセット4のうちの1つが下ユニット20の上方に配置された状態で示されている。)と、4つの搬送機構24(図4では図示されず、図3を参照)とを含んでいる。カセットホルダ23、カセット4および搬送機構24は、常態では、下ケーシング22内に配置されている。ここで、搬送機構24が、上述した第1搬送部10を構成している。
【0036】
上述したように下ユニット20がキャビネット3(図2参照)から引き出されることで下ユニット20と上ユニット21とが分離された状態(図4に示す状態)では、下ケーシング22の上面が開放されている。
(1−1)カセットホルダ
8つのカセットホルダ23は、前後(図4における手前側と奥側とを結ぶ方向)に4つ、左右に2つ並ぶように配置されている。各カセットホルダ23は、垂直方向に延びる4本の保持レール25を含んでいる。4本の保持レール25は、上方から見て四角形の4つの角をなすように、配置されている(右側手前のカセットホルダ23を参照)。
(1−2)カセット
図5は、カセット4を斜め上側から見た斜視図であって、(a)は、景品2が1枚も収納されていない状態を示し、(b)は、複数枚の景品2が収納された状態を示している。
【0037】
図5に示すように、各カセット4は、上下方向に長手であり、その平断面は、図5では、右側が切り欠かれた略コ字形状をなしている。カセット4において、上面は、景品2をカセット4内に収容するために開放されている一方で、底面は、カセット4に収容された景品2がカセット4から落下しないように、塞がれている。
図5におけるカセット4の右面は、上述した略コ字形状の平断面をなすべく、上下方向における全ての範囲に亘って連続して開放されており、このように開放された部分を開放部28という。開放部28は、カセット4において開放された上面に対して連続している。
【0038】
カセット4の前面および後面には、カセット4の内側へ凹みつつ、上下に延びる溝29が1つずつ形成されている。また、図5におけるカセット4の左面には、溝29が、前後に間隔を隔てて2つ形成されている(図5では図示されておらず、図4において単独で示されたカセット4の右面を参照)。これらの溝29は、後述するようにカセット4が下ケーシング22に装填される際に、カセット4の装填をガイドするためのものである。
【0039】
カセット4の上端には、ハンドル30が取付けられている。ハンドル30は、前後に間隔を隔てる2つの遊端部を有する略U字形状である。ハンドル30において、前側の遊端部30Aは、カセット4の前面において溝29より上側の部分によって支持されており、後側の遊端部(図示されていない)は、カセット4の後面において溝29より上側の部分によって支持されている。これにより、ハンドル30全体は、カセット4の上端によって回動自在に支持されている。そのため、ハンドル30を適宜回動させることでハンドル30を良好に掴み、カセット4をぶら下げた状態で移動させることができる。
【0040】
カセット4は、図5(b)に示すように、所定の種類の複数枚の景品2を、上下方向に沿って積み重ねた積層状態で、最大でたとえば100枚程度収納することができる。この状態で、積層状態にある景品2は、カセット4の底壁4Aに載置されている。
景品2が収納されたカセット4は、図4に示すように、開放された下ケーシング22の上面を介して、下ケーシング22に対して上から装填され、対応するカセットホルダ23によって保持される。詳しくは、カセット4の装填に伴い、各カセット4の4つの溝29(図5も参照)に、対応するカセットホルダ23の4本の保持レール25が外側から嵌り込み、カセット4は、4本の保持レール25によって外側から囲まれることで位置決めされる。このように、カセット4は、対応するカセットホルダ23によって保持される。
【0041】
ここで、下ケーシング22において、カセットホルダ23は、左右に2つ並ぶように配置されているので、左右に並ぶカセットホルダ23のそれぞれに保持されたカセット4は、左右に並んで配置される。このとき、左右に並んで配置された2つのカセット4のうち、左側のカセット4の開放部28と、右側のカセット4の開放部28とが水平方向において対向している。つまり、各カセット4は、その開放部28が下ケーシング22の幅方向中央を向くように、下ケーシング22に装填されている。
(1−3)搬送機構
図3を参照して、上述した4つの搬送機構24は、下ケーシング22内において、前後に並んで配置されている(図3では1つの搬送機構24が図示されている。)。各搬送機構24は、下ケーシング22内において左右に並ぶカセットホルダ23(換言すれば左右に並ぶカセット4)の間に配置されている(後述する図8参照)。
【0042】
図6は、搬送機構24を斜め上側から見た斜視図であって、(a)は、搬送ユニット32が下限位置にある状態を示し、(b)は、搬送ユニット32が上昇途中にある状態を示している。
図6(a)に示すように、各搬送機構24は、垂直方向に延びる支持レール31と、搬送ユニット32と、モータ33とを含んでいる。
【0043】
搬送ユニット32は、支持レール31によって上下方向へスライド自在に支持されている。この状態で、搬送ユニット32は、搬送機構24の左右両側にあるカセットホルダ23のいずれか一方に装填されたカセット4の開放部28(図5参照)に対して水平方向から対向している(図8参照)。
モータ33は、支持レール31の下端に固定されている。モータ33が駆動されると、モータ33の駆動力が、ベルトやチェーンなどの伝達部材を介して搬送ユニット32に伝達され、搬送ユニット32が、支持レール31に支持された状態で、上下方向へスライドする。これにより、図6(b)に示すように、搬送ユニット32は、カセット4に収納された景品2を、カセット4の開放部28(図5参照)から取り出し、上方へ搬送することができる。ここで、上限近傍にあるときの搬送ユニット32の位置を待機位置という。
【0044】
また、搬送機構24は、垂直方向に延びる支持レール31を中心として、回動することができる。これにより、図6の姿勢を基準として、右前に向いていた搬送ユニット32が、搬送機構24が180°回動することによって、左後へ向く(図示されていない)。搬送機構24の回動については、以降で再度説明する。
図7A〜図7Fは、搬送ユニット32がカセット4の景品2を搬送する場合の手順を説明するための模式図である。
【0045】
ここで、搬送ユニット32がカセット4の景品2を搬送する手順を説明する前に、図7A〜図7Fを参照して、搬送ユニット32の計数機能および搬送機能について説明する。
なお、図7A〜図7Fを参照するにあたって、搬送ユニット32は、搬送機構24に対して左側に位置するカセット4の開放部28に対して、右から対向しているものとし(後述する図8(d)参照)、このときの搬送ユニット32の姿勢を基準として、搬送ユニット32における左右の向きを特定する。そのため、図7A〜図7Fに示す状態とは異なり、搬送ユニット32が、搬送機構24に対して右側に位置するカセット4の開放部28に対して左から対向している場合には(後述する図8(a)〜(c)参照)、搬送ユニット32における左右の向きは、図7A〜図7Fを参照したときとは逆になる。
【0046】
搬送ユニット32の機能には、上述した景品2を搬送する機能(搬送機能)だけでなく、各カセット4内の景品2の枚数を計数する機能(計数機能)も含まれている。さらに、この搬送機能によれば、単にカセット4内の景品2を1枚ずつ搬送するのではなく、景品2を必要枚数分まとめて搬送することができる。
(1−3−1)計数機能
搬送ユニット32は、図7Aに示すように、略ボックス形状のフレーム35(図6(a)も参照)を備え、さらに、計数機能に関連して、揃え部36とセンサ37とを備えている。揃え部36およびセンサ37は、カセット4に積層状態で収納された景品2を1枚ずつ計数する機能を有する計数部60(計数手段)を構成する。
【0047】
また、上述したように搬送ユニット32が上下方向(カセット4における景品2の積層方向)へスライド自在であることから、搬送ユニット32に備えられた揃え部36およびセンサ37(計数部60)は、上下方向に相対変位可能である。
揃え部36は、フレーム35に一体的に設けられた略台形状のリブであり、フレーム35の幅方向外側(図7Aでは左側)へ向けて上下に狭くなるように突出している。揃え部36の左端部は、図7Aにおけるフレーム35の左面(搬送機構24に対して左側に位置するカセット4の開放部28(図5参照)に対向する面であり、対向面35Aという。)よりも左側(カセット4側)へはみ出ている。
【0048】
センサ37は、揃え部36と上下方向において一致する位置において、フレーム35の対向面35Aに取り付けられている。センサ37は、いわゆる反射型の光学センサであり、赤外線LED等から構成される発光素子(図示せず)と、発光素子(図示せず)から発光された光のうち、検知物に当たって反射した光を受ける受光素子(図示せず)とを備えている。
【0049】
搬送ユニット32は、揃え部36およびセンサ37(計数部60)を備えることで、カセット4内に収納された景品2の枚数を数えることができる。景品2の計数は、上述した表示部7(図2参照)の操作キー(図示せず)が操作されたり、景品管理機100(図1参照)から指示が送信されたりするのに応じて、景品払出装置1または景品払出ユニット5に備えられた制御部(図示せず)から搬送ユニット32(計数部60)に命令が下ることで、実行される。
【0050】
計数が実行されるのにあたって、まず、搬送ユニット32の対向面35Aが、カセット4に積層状態で収納された景品2の側面(図7Aでは右面)2Aに対してカセット4の開放部28を介して右側から対向した状態で、搬送ユニット32が、上述した待機位置から下方へスライドする。ここで、カセット4に積層状態で収納された全ての景品2の(右)側面2Aをまとめて積層側面2Bという。搬送ユニット32が下方へスライドする際、揃え部36が、カセット4に積み重ねられた景品2に対して、上側の景品2から順に、カセット4の開放部28を介して右側から接触する。これにより、景品2は、上側の景品2から順に、カセット4の左壁の内面へ押し付けられていく。このとき、センサ37は、積層側面2Bに対して、所定の間隔を隔てて右側から対向している。
【0051】
そして、揃え部36が全ての景品2に接触し終え、さらに、センサ37が最下位にある景品2より低い位置に到達するまで搬送ユニット32が下方へスライドすると、カセット4において上下に隣り合う景品2の右縁は、揃え部36によって、上下方向に沿って直線状に並ぶように揃えられる。なお、揃え部36と似た形状を有する揃え部38が、図7Aにおけるフレーム35の右面(搬送機構24に対して右側に位置するカセット4の開放部28に対向する面)に設けられている。そのため、搬送ユニット32が上下にスライドする際には、搬送機構24に対して左右の両側に位置する2つのカセット4のそれぞれにおける景品2の幅方向における縁が、対応する揃え部36また38によって一度に揃えられる。ここで、揃え部36および38が景品2の縁を揃える動作は、対応するカセット4が下ケーシング22に装填されたときに行われてもよい。
【0052】
景品2の縁が揃えられた後、搬送ユニット32は、待機位置へ向けて上方ヘスライドする。搬送ユニット32の上方へのスライドに伴い、計数部60のセンサ37が、上述した景品2の積層側面2Bに対して所定の間隔を隔てて右側から対向した状態で上昇する。
センサ37が上昇している最中において、センサ37では、発光素子(図示せず)が、下側の景品2から順に、景品2の(右)側面2Aに向けて投光し、この景品2の側面2Aで反射される反射光が受光素子(図示せず)に受光される。ここで、上下に隣り合う景品2の側面2Aの境界Xに発光素子(図示せず)からの光が当てられた場合、景品2の側面2Aに光が当てられる場合と比べて、受光素子(図示せず)が受光する反射光の量(受光量)が変化する。
【0053】
そのため、センサ37において、受光素子(図示せず)での受光量が変化する毎に、搬送ユニット32は、景品2が1枚あるとカウントする。そして、同様の手順により、搬送ユニット32は、下側の景品2から順に1枚ずつ景品2をカウントして景品2の枚数を数え、待機位置に戻ったときには、全ての景品2の計数を完了する。
このように、この景品払出ユニット5には、カセット4に収納された景品2を1枚ずつ計数する機能を有する計数部60が含まれている。そのため、この景品払出ユニット5を収容する景品払出装置1(図2参照)では、カセット4に何枚の景品2が収納されているのかを把握することができる。つまり、景品払出装置1は、景品2の計数機能を備えることから、景品2の収納枚数を自動的に管理できるので、景品2の枚数管理の自動化に寄与できる。
【0054】
そして、上述した制御部(図示せず)は、搬送ユニット32(計数部60)に対して計数実行の命令を下すことから、搬送ユニット32の計数部60を利用して、カセット4に収納されている全ての景品2の枚数を計数している。これにより、景品払出ユニット5(景品払出装置1)では、カセット4に収納されている全ての景品2の枚数を正確に管理できる。
【0055】
以上のように、搬送ユニット32は、計数部60において、センサ37の受光素子(図示せず)の受光量の変化に応じて、非接触で景品2の枚数を数える。計数結果は、上述した制御部(図示せず)の指示により、各カセット4における景品2の在庫情報として、表示部7(図2参照)に表示されたり、景品払出装置1から景品管理機100(図1参照)に送信されたりする。
【0056】
ここで、各カセット4において上下に積層された景品2の計数結果は、各カセット4に収納された各景品2の上下方向における位置情報(つまり、上からN番目の景品2は上下方向においてどの位置にあるかという情報)を含んでいると言える。
(1−3−2)搬送機能
搬送ユニット32は、搬送機能に関連して、フレーム35に、爪40(図6(a)も参照)と、支持レバー41と、めくりローラ42と、押えレバー43と、カム44と、リンクレバー45と、モータ46とをさらに備えている。爪40、支持レバー41、めくりローラ42、押えレバー43、カム44、リンクレバー45およびモータ46は、分離搬送部70(分離搬送手段)を構成している。
【0057】
爪40は、前後方向(図7Aの紙面に垂直な方向)において間隔を隔てて一対設けられている(図6(a)も参照)。各爪40は、カセット4の景品2側(左側)へ略水平に突出する突出部40Aと、突出部40Aの突出方向上流側(右側)の端部から下向きに延びて下端部が右側に折り曲げられた延設部40Bとを一体的に備えている。
支持レバー41は、2本で1組をなしており、一対の爪40と同様に、前後方向において間隔を隔てて一対(2組)設けられている。各組における2本の支持レバー41は、左右に並ぶように配置されており、図7Aの状態では、ともに、右上側へ向けて傾斜して延びている。各支持レバー41の下端部は、フレーム35によって支持されている。これにより、各支持レバー41は、それぞれの下端部を中心として回動自在である。支持レバー41の回動軸は、前後方向に沿って延びている。そして、各支持レバー41の上端部は、前後方向で同じ側にある爪40の延設部40Bの下端部に接続されている。この状態で、各支持レバー41の上端部は、対応する爪40の延設部40Bに対して回動可能である。
【0058】
支持レバー41が下端部を中心に回動することで、一対の爪40は、カセット4の景品2の積層側面2Bから右側へ離れてフレーム35の対向面35Aより右側にある退避位置(図7Aおよび図7B参照)と、突出部40Aのほとんどが対向面35Aより左側にあり、景品2の積層側面2Bよりも左側へ進出した進出位置(図7F参照)との間で、略水平方向に沿って進退することができる。
【0059】
詳しくは、支持レバー41が、下端部を中心として図7Aにおける時計回りの方向における限界まで回動したときに、爪40は、退避位置にあり、支持レバー41が、下端部を中心として反時計回りの方向における限界まで回動したときに、爪40は、進出位置にある。爪40は、図示しない付勢部材によって、進出位置へ向かう方向へ付勢されており、これに応じて、支持レバー41は、下端部を中心とする反時計回りの方向へ付勢されている。
【0060】
めくりローラ42は、フレーム35の対向面35Aの上端に配置されており、フレーム35によって支持されている。めくりローラ42は、前後方向に延びる軸を中心として回転自在である。めくりローラ42の外周面の一部(左端部)は、フレーム35の対向面35Aよりも左側(カセット4側)へはみ出ている。めくりローラ42の回転軸は、爪40の突出部40Aに対して僅かに高い位置にある。
【0061】
押えレバー43は、上向きに延びており、上側へ向かうのに従って細くなっている。押えレバー43は、上側へ向かうのに従って、フレーム35の対向面35Aから左側へ露出され、カセット4の景品2の積層側面2B側(左側)へ若干傾いている。押えレバー43の上下方向途中には、前後方向に延びる支持軸43Aが挿通されている。支持軸43Aは、フレーム35によって支持されている。これにより、押えレバー43は、支持軸43Aを中心として、支持軸43Aに対して揺動自在である。押えレバー43は、その上端部が景品2の積層側面2Bへ接近するように(左側へ向かうように)、図示しない付勢部材によって付勢されている。
【0062】
押えレバー43で景品2の積層側面2Bに対向しない右縁において、支持軸43Aより下側の部分には、左側へ略V字状に窪む切欠き43Bが形成されている。
カム44は、押えレバー43の切欠き43Bの近傍(詳しくは切欠き43Bの右側)に配置されている。カム44は、前後方向に延びてフレーム35によって回転自在に支持された筒部44Aと、筒部44Aの外周面の周上1箇所において、筒部44Aの径方向外側へ突出する凸部44Bとを一体的に備えている。
【0063】
図7Aでは、カム44の凸部44Bが、左側を向いており、押えレバー43の右縁における切欠き43Bより下側の部分に対して右側から接触している。これにより、押えレバー43の上端部が景品2の積層側面2Bへ接近する方向へ押えレバー43が揺動しようとすることが規制されている。そして、この状態では、押えレバー43は、景品2の積層側面2Bに対して所定距離だけ右側に位置している。
【0064】
リンクレバー45は、前後方向において間隔を隔てて一対設けられている。リンクレバー45は、カム44の下方かつ、前後方向で同じ側にある支持レバー41よりも景品2に近い側(左側)に配置されている。リンクレバー45の長手方向一端部には、前後方向に延びる支持軸45Aが挿通されている。支持軸45Aは、フレーム35によって回転自在に支持されている。これにより、リンクレバー45は、支持軸45Aを中心として、支持軸45Aとともに回転自在である。そして、リンクレバー45の長手方向他端には、前後方向に突出するボス45Bが一体的に設けられている。
【0065】
図7Aでは、ボス45Bが、支持軸45Aより右側にあり、前後方向で同じ側にある1組の支持レバー41(詳しくは左側の支持レバー41)に対して、左側(カセット4の景品2側)から当接して支持レバー41を位置決めしており、これにより、爪40が退避位置に位置決めされている。
モータ46は、たとえば、リンクレバー45より高い位置に配置されている。モータ46の出力軸46Aは、前後方向に延びている。
【0066】
そして、モータ46の出力軸46Aと、リンクレバー45の回転軸(支持軸45A)との間には、無端状の第1ベルト47が巻回されている。リンクレバー45の回転軸と、カム44の回転軸(筒部44A)との間には、無端状の第2ベルト48が巻回されている。カム44の回転軸と、押えレバー43の揺動軸(支持軸43A)との間には、無端状の第3ベルト49が巻回されている。押えレバー43の揺動軸と、めくりローラ42の回転軸との間には、無端状の第4ベルト50が巻回されている。
【0067】
モータ46が駆動されると、モータ46が発生した駆動力が、第1ベルト47、第2ベルト48、第3ベルト49、第4ベルト50を介して、リンクレバー45、カム44、めくりローラ42に対して、この順で伝達される。これにより、リンクレバー45、カム44、めくりローラ42は、図7Aにおける時計回りの方向へ回転する。一方、押えレバー43には、モータ46が発生した駆動力は伝達されない。
【0068】
なお、フレーム35には、第1センサ51と第2センサ52とが設けられている。第1センサ51は、支持レバー41の位置を検知する。第2センサ52は、リンクレバー45の位置を検知する。
次に、搬送ユニット32がカセット4の景品2を搬送する手順を説明する。
まず、搬送ユニット32が待機位置(上限近傍)にあり、爪40が退避位置にある状態において、景品2を所定の払出枚数分(ここでは1枚とする。)だけ払い出すとの命令が、上述した制御部(図示せず)から搬送ユニット32に下る。これにより、搬送ユニット32は、フレーム35の対向面35Aがカセット4に収納された景品2に対して右から対向した状態で、下降する(太線矢印参照)。下降に伴い、搬送ユニット32は、計数部60のセンサ37によって上述したように、積層された景品2を、上の景品2から順に計数する。
【0069】
そして、搬送ユニット32は、払出枚数分(ここでは1枚)まで景品2を計数すると、図7Bに示すように、払い出す景品2と払い出さない景品2との境界Xに爪40の突出部40Aが上下方向で一致するまで、さらに下降する(太線矢印参照)。
図7Cに示すように、払い出す景品2と払い出さない景品2との境界Xに爪40の突出部40Aが上下方向で一致すると、搬送ユニット32は下降をやめて停止する。
【0070】
この際、モータ46が駆動され、これにより、分離搬送部70におけるめくりローラ42、カム44およびリンクレバー45が時計回りに回転(回動)し始める。
ここで、めくりローラ42では、その外周面の一部(左端部)が、払い出す景品2のうち最も下側にある景品2の側面(右面)2Aに接触している。そのため、めくりローラ42が時計回りに回転することによって、この景品2がめくりローラ42によってめくり上げられる。これにより、払い出す景品2と払い出さない景品2との間に、隙間Yが形成される。なお、ここでは、払い出す景品2の枚数が1枚なので、1枚の景品2がめくり上げられているが、複数枚の景品2を払い出すときには、払い出す景品2のうち最も下側にある景品2がめくりローラ42によってめくり上げられることで、複数枚の景品2全てが一塊(景品群)となってめくり上げられる。
【0071】
また、このときには、カム44の回転に伴って、カム44の凸部44Bが、押えレバー43の切欠き43Bに一致する。その結果、上述したカム44の凸部44Bによる押えレバー43の揺動の規制(図7Aおよび図7B参照)が解除され、押えレバー43は、切欠き43Bがカム44の凸部44Bに近付く方向(換言すれば押えレバー43の上端部が景品2の積層側面2Bへ接近する方向)へ、揺動する。これに伴い、押えレバー43の上端部が、払い出す景品2の真下にある払い出さない景品2を、斜め上側(右上側)から押える。これにより、めくりローラ42が、払い出す景品2をめくり上げても、その景品2の真下にある払い出さない景品2までもがめくり上げられることはない。
【0072】
そして、図7Dに示すように、引き続きモータ46が駆動されることで、めくりローラ42がさらに時計回りに回動すると、払い出す景品2がさらにめくり上げられ、払い出す景品2と払い出さない景品2との隙間Yが上下に大きくなる。なお、このときも、押えレバー43は、その上端部において、払い出す景品2の真下にある払い出さない景品2を、斜め上側から押えている。
【0073】
また、上述したようにリンクレバー45が時計回りの方向へ回転(回動)することによって、支持レバー41に対して左側(カセット4の景品2側)から当接していたボス45Bは、支持レバー41に当接した状態を保ちつつ、時計回りの方向へ回動しながら、カセット4の景品2側(左側)へ移動する。なお、支持レバー41においてボス45Bに当接される部分(左縁)は、ボス45Bが円滑に回動できるように、ボス45Bの回動軌跡に沿って湾曲している。
【0074】
そして、支持レバー41は、上述したように下端部を中心とする反時計回りの方向へ付勢されているので、リンクレバー45のボス45Bが左側へ移動するのに伴い、反時計回りの方向(左側)へ移動する。
これに伴い、リンクレバー45に連結された爪40も左側へ移動する。ここで、爪40の突出部40Aは、払い出す景品2と払い出さない景品2との境界Xに上下方向で一致しているので(図7Cも参照)、爪40が左側へ移動するのに伴い、境界Xから、上述した隙間Yに進入し、払い出す景品2と払い出さない景品2とを分離し始める。
【0075】
その後、引き続きモータ46が駆動されることで、リンクレバー45がさらに時計回りに回動すると、リンクレバー45のボス45Bが、一瞬、支持レバー41に対して左側へ外れる。これにより、支持レバー41は、反時計回りの方向(左側)へ一気に回動し、これに伴い、爪40の突出部40Aが、上述した隙間Y内を左側へ一気に移動する。
その後、一瞬支持レバー41から外れたリンクレバー45のボス45Bが、図7Eに示すように、支持レバー41に対して、再び左側から当接し、これにより、支持レバー41の回動および爪40の移動が停止する。このとき、爪40は、上述した進出位置にある。
【0076】
つまり、リンクレバー45のボス45Bが、一瞬、支持レバー41に対して左側へ外れたときに、爪40は、一瞬で進出位置に到達する。なお、爪40が進出位置にないときには支持レバー41が第1センサ51に一致している一方で(図7A〜図7D参照)、爪40が進出位置にあるときには支持レバー41が第1センサ51から離れるので(図7Eおよび図7F参照)、第1センサ51は、支持レバー41が離れるのに応じて、爪40が進出位置に到達したことを検知する。
【0077】
進出位置に到達した爪40は、払い出す景品2をすくい上げることで、払い出す景品2と払い出さない景品2とを完全に分離し、払い出す全て(ここでは1枚だけ)の景品2は、爪40の突出部40Aに載置される。
なお、このときも、押えレバー43は、その上端部において、払い出す景品2の真下にある払い出さない景品2を、斜め上側から押えている。また、払い出す全ての景品2が爪40の突出部40Aに載置されるときには、モータ46の駆動が停止している。
【0078】
このように払い出す景品2と払い出さない景品2とが完全に分離された後、図7Fに示すように、搬送ユニット32は、待機位置に向かって上昇する(太い実線矢印参照)。これにより、搬送ユニット32の爪40の突出部40Aに載置された全ての景品2は、搬送ユニット32とともに上昇する(図6(b)も参照)。つまり、搬送ユニット32(詳しくは分離搬送部70)は、払い出す枚数の景品2を上方へ搬送する。
【0079】
なお、爪40の突出部40Aに載置された景品2が、客に払出されると(詳しくは、後述する図9に示すように上ユニット21側に受け渡されると)、モータ46が再び駆動される。
これにより、カム44が時計回りに回動し(このとき、カム44は1回転を終えたことになる。)、カム44の凸部44Bが、図7Aに示すように、再び左側を向き、押えレバー43の右縁における切欠き43Bより下側の部分に対して右側から接触する。これにより、押えレバー43は、景品2の積層側面2Bに対して所定距離だけ右側に位置した状態(景品2に接触しない状態)で位置決めされる。
【0080】
また、リンクレバー45が、図7Fに示す状態から時計回りの方向へ回動することにより、ボス45Bが、支持レバー41に左側から当接した状態で、景品2の積層側面2Bから離れる方向(右側)へ移動する。この際、支持レバー41は、ボス45Bに押されることで時計回りの方向(右側)へ回動し、これに伴い、爪40は、右側へ移動して、リンクレバー45の回動が停止したとき(このとき、リンクレバー45は1回転を終えたことになる。)には、図7Aに示す退避位置に戻る。
【0081】
以上で説明した場合(第1の場合という。)では、搬送ユニット32は、計数部60によって、払い出す分(払出枚数分)だけ景品2を計数してから、払い出す景品2を、分離搬送部70によって、カセット4における残りの景品2から分離して搬送している。
しかし、搬送ユニット32が、上述したようにカセット4の全ての景品2の枚数を予め計数することで計数結果から各景品2の位置を予め把握し、その後、搬送ユニット32が、計数動作を伴わずに、単に景品2を搬送してもよい。この場合(第2の場合という。)、搬送ユニット32は、景品2を搬送するのに先立って、上述したように把握した景品2の位置情報に基づいて、払い出す景品2のところまで移動し(図7C参照)、分離搬送部70によって、景品2を分離搬送する。
【0082】
ここで、いずれの場合(上述した第1の場合および第2の場合)にも、搬送ユニット32の分離搬送部70は、カセット4に収納された景品2において、計数部60(詳しくは、計数部60の計数により得られる各景品2の位置情報)を利用して、所定の払出枚数に相当する景品群を特定し(図7C参照)、特定した景品群を他の景品2から分離して上方(所定方向)に搬送している(図6(b)および図7F参照)。これにより、所定の払出枚数の景品2を払い出す場合には、当該払出枚数分の景品2を、1枚ずつ分離搬送することなく、まとめて迅速に搬送できるので(図6(b)参照)、景品2の払い出しに掛かる時間の短縮化を図ることができる。
【0083】
また、上述した計数部60が搬送ユニット32に備えられているのに対し、分離搬送部70も搬送ユニット32に備えられているので、計数部60と分離搬送部70とは一体化されている。これにより、計数部60と分離搬送部70とそれぞれが単独で存在する場合に比べて、景品払出ユニット5において、景品2を分離搬送する機構に起因する装置の大型化を抑制し、景品払出ユニット5の構成を簡略化することができる。
【0084】
図8は、景品払出ユニット5の模式的な正断面図である。
各搬送機構24は、下ケーシング22内において、左右に並ぶカセットホルダ23(左右に並ぶカセット4)の間に配置されている。
そして、搬送機構24の搬送ユニット32のフレーム35の対向面35Aは、たとえば、図8(a)に示すように、まず、右側のカセットホルダ23に装填された右側のカセット4に左から対向する。そして、上述した手順によって、右側のカセット4に収納された景品2を、払出枚数分だけ、上側の景品2から順に、上方の上ユニット21に搬送する(図8(b)参照)。
【0085】
この結果、図8(c)に示すように、右側のカセット4の全ての景品2が搬送されて右側のカセット4が空になると、図8(d)に示すように、搬送機構24は、上述したように、垂直方向に延びる支持レール31を中心として180°回動する(図8(d)の太線矢印参照)。
これにより、搬送ユニット32のフレーム35の対向面35Aは、左側のカセットホルダ23に装填された左側のカセット4に右から対向し、今度は、左側のカセット4に収納された景品2を、上側の景品2から順に、上述した手順によって、分離し、上方へ搬送することができる。
【0086】
このように、1つの搬送機構24は、左右のカセット4の間に配置されて、これら2つのカセット4におけるそれぞれの景品2を計数および分離搬送している。つまり、搬送機構24(一体化された1組の計数部60および分離搬送部70)とカセット4とが、1対2の関係になっており、1つの搬送機構24は、左右に並んで配置された2つのカセット4のそれぞれに収納された景品2に対して対応可能である。これにより、計数部60および分離搬送部70をカセット4と同じ数だけ設けなくても、1組の計数部60および分離搬送部70だけで、複数のカセット4のそれぞれに収納された景品2を計数および分離搬送することができるので、景品払出ユニット5の簡略化および小型化を図ることができる。なお、搬送機構24とカセット4とが、1対3の関係、1対4の関係、1対5の関係・・・となるように、1つの搬送機構24が、より多くのカセット4に対応していても構わない。
(2)上ユニット
図9は、内部が露出された状態にある上ユニット21を斜め上側から見た斜視図であって、搬送機構24も一緒に示している。
【0087】
次に、上ユニット21について説明する。
図9に示すように、上ユニット21は、その外郭をなす上ケーシング80と、上ケーシング80内に配置される保留ボックス81およびエレベータ82(図9には図示されず、後述する図10を参照)とを含んでいる。保留ボックス81は、受入部および搬送手段として機能する。
【0088】
上ケーシング80は、前後方向に長手で上下に扁平なボックス形状である。なお、図9において、上ケーシング80の前壁および右壁は省略されている。上ケーシング80では、上面が開放されている。
また、上ケーシング80の底面には、上ケーシング80内に連通する6つの開口83が形成されている。6つの開口83は、前後に3つ、左右に2つ並ぶように形成されている。各開口83は、前後に長手の矩形状であり、特に、前後に3つ並ぶ開口83において、真ん中にある開口83は、残りの開口83よりも前後方向に2倍程度大きい。
【0089】
下ユニット20がキャビネット3(図2参照)内にある状態(下ユニット20と上ユニット21とが一体化された状態であり、図3参照)では、各開口83は、対応するカセット4(図4参照)の開放された上面に対して真上から臨んでいる。
つまり、左側で前後に並ぶ3つの開口83において、最も前側の開口83は、下ユニット20において左側で前後に並ぶ4つのカセット4のうち、最も前側のカセット4の上面に対して上から臨んでいる(図4も参照)。また、左側で前後に並ぶ3つの開口83において、最も後側の開口83は、下ユニット20において左側で前後に並ぶ4つのカセット4のうち、最も後側のカセット4の上面に対して上から臨んでいる(図4も参照)。一方、前後方向で真ん中にある開口83は、前後に並ぶ4つのカセット4のうち、前から2番目および3番目のカセット4の上面に対して上から臨んでいる(図4も参照)。右側で前後に並ぶ3つの開口83についても同様である。
【0090】
保留ボックス81は、左右に2つ設けられている(図9では、保留ボックス81が1つだけ図示されている。)。保留ボックス81は、左右にやや薄いボックス形状であり、その上面および底面は、開放されている。
保留ボックス81の平断面は、カセット4と同様に、略コ字形状をなしている(図5参照)。図9に示す左側の保留ボックス81では、右面が上下方向における全域において開放されており、図示されていない右側の保留ボックス81では、左面が上下方向における全域において開放されている。各保留ボックス81において、このように開放された部分を、開放部84という。開放部84は、保留ボックス81の開放された上面および底面の両方に対して連続している。
【0091】
左側の保留ボックス81は、上ケーシング80の左壁によって前後方向へスライド自在に支持されており、右側の保留ボックス81(図示せず)は、上ケーシング80の右壁によって前後方向へスライド自在に支持されている。左右の保留ボックス81は、互いに連動することなく、単独でスライドすることができる。
そして、各保留ボックス81は、前後にスライドする際に、左右方向において同じ側で前後に並ぶ3つの開口83の上方を通過する。
【0092】
ここで、左側における最も前側の開口83を参照して、上述したように搬送ユニット32(分離搬送部70)が、この開口83の下方にあるカセット4(図4参照)の景品2を上方へ搬送する際、左右方向で同じ側にある保留ボックス81(ここでは左側の保留ボックス81)は、搬送される景品2の真上に位置するように移動してから、この位置で待機する。
【0093】
そして、搬送ユニット32の分離搬送部70によって上方へ搬送されてきた景品2は、この景品2を収納していたカセット4の上方にある開口83(ここでは、左側における最も前側の開口83)、待機している保留ボックス81の開放された底面を順に通過し、保留ボックス81内に収容される。つまり、保留ボックス81は、カセット4に対して上方(上下方向における隣)に配置され、分離搬送部70が搬送してきた景品2を受け入れる。この後、搬送ユニット32は、元の位置(上述した待機位置)へ戻る。
【0094】
なお、保留ボックス81内に景品2が収容されると、保留ボックス81に設けられた爪(図示せず)が、保留ボックス81内に突出し、保留ボックス81内で最も下側にある景品2に対して下から係合する。これにより、保留ボックス81内に収容された景品2が保留ボックス81の底面から落下することはない。
図10は、内部が露出された状態にある上ユニット21の斜視図であって、エレベータ82を示している。図11は、図10において、エレベータ82の伸縮機構87が伸長状態に姿勢を変えた様子を示している。
【0095】
図10に示すように、エレベータ82は、上ケーシング80の底壁の前後方向略中央位置にあり、上ケーシング80の底壁において左右に隣り合う開口83の間で前後に延びる部分(リブ85という。)に上から取り付けられている。この状態で、エレベータ82は、リブ85上で前後に移動することができる。エレベータ82は、左右に間隔を隔てて配置される2枚の水平な板状のステージ86と、伸縮機構87とを含んでいる。
【0096】
2枚のステージ86のうち、左側のステージ86は、左側で前後に3つ並ぶ開口83における真ん中の開口83に対して上から臨んでおり、右側のステージ86は、右側で前後に3つ並ぶ開口83における真ん中の開口83に対して上から臨んでいる。この状態で、2枚のステージ86は、連結部材88によって連結され、一体化されている。
伸縮機構87は、いわゆるパンタグラフ構造であり、図10に示すように上下に扁平な収縮状態と、上側へ伸び出た伸長状態(図11参照)とに姿勢を変えることができる。伸縮機構87では、その前後方向略中央部分(上昇部分89という。)が、伸縮機構87が収縮状態から伸長状態へ姿勢を変えるときに最も上昇する。伸縮機構87が収縮状態と伸長状態との間で姿勢を変える際、上昇部分89は、垂直方向に沿って直線的に上下する。2枚のステージ86を連結する連結部材88は、伸縮機構87の上昇部分89に上から取り付けられている。
【0097】
図10に示すように伸縮機構87が収縮状態にあるときには、各ステージ86は、左右方向で同じ側にある保留ボックス81の底面よりも低い位置にある。図11に示すように伸縮機構87が伸長状態にあるときには、各ステージ86は、左右で同じ側にある保留ボックス81(図10では、左側の保留ボックス81だけが図示されている。)よりも高い位置にあり、キャビネット3の上面において左右方向で同じ位置にある払出口8(図2参照)に一致する。
【0098】
ここで、上述したように保留ボックス81内に景品2が収容されると、保留ボックス81は、前後方向にスライドし、図10に示すように、左右方向で同じ側にあるステージ86の真上(換言すれば払出口8の真下)で停止する。つまり、保留ボックス81は、受け入れた景品2を所定位置(ステージ86の真上かつ払出口8の真下)に搬送する。このとき、伸縮機構87は、収縮状態にある。
【0099】
このように、保留ボックス81は、搬送ユニット32(図9参照)によって搬送された景品2を払出口8側へ搬送した後、搬送された景品2を払出口8の下方で保留することから、上述した第2搬送部11および保留部12として機能している。保留ボックス81により、カセット4から搬送された景品2を、払出口8へ向けて確実に搬送することができる。
【0100】
なお、ステージ86の真下に位置するカセット4の景品2を払い出す場合には、ステージ86を含むエレベータ82全体が、このカセット4に対して前後のどちらかへずれる。そして、このカセット4から搬送された景品2が保留ボックス81内に収容されると、払出口8の真下にステージ86が配置されるように、エレベータ82が元の位置に戻る。
そして、このように保留ボックス81が景品2を所定位置(ステージ86の真上かつ払出口8の真下)に搬送すると、収縮状態にあった伸縮機構87が、図11に示すように、伸長状態へと姿勢を変える。これにより、保留ボックス81の真下にあったステージ86が、垂直方向に沿って上昇する。この際、このステージ86は、保留ボックス81の開放された底面を通過し、その後、保留ボックス81に収容された景品2のうち最も下側に位置する景品2の底面を下から押し上げる。これにより、保留ボックス81に収容された全ての景品2は、ステージ86に載置された状態で上昇する。
【0101】
そして、伸縮機構87が伸長状態になったときには、保留ボックス81に収容されていた全ての景品2は、ステージ86によって持ち上げられ、保留ボックス81の開放された上面よりも上方へ移動する。このとき、キャビネット3の上面において左右方向で同じ位置にある払出口8(図2参照)が開放されており、保留ボックス81の開放された上面よりも上方へ移動した景品2は、開放された払出口8からキャビネット3の上面に露出される。つまり、エレベータ82は、保留ボックス81によって所定位置(ステージ86の真上かつ払出口8の真下)に搬送された景品2を払出口8へ持ち上げていることから、上述したリフト部13として機能している。エレベータ82により、搬送ユニット32の分離搬送部70(図9参照)がカセット4から搬送した景品2を、景品払出装置1の払出口8へ向けて確実に搬送することができる。
【0102】
ここで、図2を参照して、払出口8を開閉するシャッタ9は、払出口8を開放したときには、払出口8に対して前側(従業員側)にずれている(この状態は図示せず)。上述したように景品2が払出口8から露出されると、シャッタ9は、後側(客側)へスライドし、景品2を後側の客へ向けて押し出しつつ、払出口8を閉じる。この後、伸縮機構87は、収縮状態に戻る(図10参照)。
【0103】
図12は、景品払出装置1の模式的な側断面図である。
図12を参照して、以上で説明した本発明の景品払出装置1の各景品払出ユニット5における景品2の払い出し動作をまとめる。なお、図12の太線矢印は、払い出される景品2(図5(b)参照)の流れを示している。
各景品払出ユニット5において、下ユニット20の各カセット4に収納された景品2は、必要な枚数(払出枚数)だけ分離された後、上向きへ搬送されて上ユニット21内に受け渡される。その後、上ユニット21内に受け渡された景品2は、中央位置(払出口8の真下)へ搬送される。次に、払出口8のシャッタ9が開放されるとともに、景品2が、エレベータ82によって払出口8まで持ち上げられ、最後に、払出口8を閉じようとするシャッタ9によって後側(図12における左側であり、後述する図13においても同様)に押し出され、客に払い出される。
【0104】
図13は、図12に変形例を適用した図である。
なお、図12で示した景品2の流れとは異なる流れで、景品2を客に払い出すことができる。なお、図13の太線矢印は、払い出される景品2(図5(b)参照)の流れを示している。
図13に示すように、キャビネット3の後端の上端部には、キャビネット3の上面から下向きに窪む凹部95が区画されている。凹部95は、その上方に設けられたシャッタ96によって開閉自在に覆われている。また、凹部95は、上ユニット21に対して後側から隣接している。
【0105】
図13の景品払出装置1では、各景品払出ユニット5において、下ユニット20の各カセット4に収納された景品2は、必要な数だけ分離された後、上向きへ搬送されて上ユニット21内に受け渡される。その後、上ユニット21内に受け渡された景品2は、図12の場合とは異なり、上ユニット21内を後方へ搬送され、凹部95に溜められる。その後、凹部95の上方のシャッタ96が開き、客は、凹部95に溜められた景品2を受け取る。この場合、上述したエレベータ82(図12参照)を省略することができる。
【0106】
この発明は、以上の実施形態の内容に限定されるものではなく、請求項記載の範囲内において種々の変更が可能である。
たとえば、搬送ユニット32(図7A参照)が景品2を正確に計数するための処置(搬送ユニット32を精度良く移動させる機構の適用や搬送ユニット32(特にセンサ37)の最適配置等)は、必要に応じて適宜実施される。なお、センサ37には、上述した非接触の光学式に限らず、景品2の側面2A(図7A参照)に直接接触して上述した境界Xを検知する接触式も適用可能である。
【0107】
また、上記の実施形態では、遊技施設のフロアに直接据え置かれる景品払出装置1を例示したが、本発明は、遊技施設のカウンタ等に載せられる卓上タイプの景品払出装置(上記特許文献2参照)にも適用可能である。
【符号の説明】
【0108】
1 景品払出装置
2 景品
4 カセット
5 景品払出ユニット
8 払出口
60 計数部
70 分離搬送部
81 保留ボックス
82 エレベータ
100 景品管理機
【技術分野】
【0001】
この発明は、パチンコ玉等の遊技媒体と交換される景品を払い出すための景品払出装置、景品払出装置に備えられる景品払出ユニット、および、景品払出装置を含む景品払出システムに関する。
【背景技術】
【0002】
パチンコ店等の遊技施設では、遊技客が獲得したパチンコ玉等の遊技媒体の個数に応じて遊技客に景品を払い出すための景品払出装置が設置されている。下記特許文献1では、遊技施設のフロアに直接据え置かれる景品払出装置が提案されており、下記特許文献2では、遊技施設のカウンタ等に載せられる卓上タイプの景品払出装置が提案されている。これらの景品払出装置では、カード状の景品が払い出される。
【0003】
特許文献1および2の景品払出装置では、複数枚の景品を積層状態で収納するカセットが複数内蔵されており、必要な枚数の景品が各カセットから繰り出されて遊技客に払い出される。
ここで、複数のカセットは、いくつかのカセット毎にまとまって景品払出ユニットを構成している。景品払出ユニットには、カセットの他に、カセットに収納された景品を1枚ずつ分離する機構や、分離された景品を搬送する機構が備えられている。景品払出ユニットでは、各カセットに収納された景品のうち、必要な枚数の景品が、1枚ずつ分離搬送されて一時保留部等に集められた後に、まとめて払い出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3722878号公報
【特許文献2】特開2008−73169号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
遊技施設では、景品の管理のために、開店時や従業員の交代時や景品補充時や閉店時等に、景品払出装置内の景品の数を数える作業が行われる。
この作業を行う場合、特許文献1および2の景品払出装置では、従業員がカセットを装置から引き出してカセット内の景品の数を手作業でいちいち数えている。景品払出装置には、100枚以上の景品が収納されたカセットが複数内蔵されているのが一般的で、カセットに収納された景品の全数を手作業で数える作業は、従業員に大きな負担を強いている。
【0006】
また、特許文献1および2の景品払出装置では、所定枚数の景品を払い出すときには、景品払出ユニットにおいて、カセットに収納された景品を1枚ずつ分離搬送する動作が、当該所定枚数分、繰返し行われており、払い出しに長い時間が掛かっている。
この発明は、かかる背景のもとでなされたもので、景品の収納枚数を自動的に管理でき、景品の払い出しに掛かる時間の短縮化を図ることができる景品払出ユニット、この景品払出ユニットを備える景品払出装置、および、この景品払出装置を含む景品払出システムを提供することを主たる目的とする。
【0007】
この発明は、また、景品を分離搬送する機構に起因する装置の大型化を抑制することができる景品払出ユニット、この景品払出ユニットを備える景品払出装置、および、この景品払出装置を含む景品払出システムを提供することを他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1記載の発明は、装置内に収納された景品を払出口から払い出す景品払出装置に収容される景品払出ユニットであって、複数枚の景品を積層状態で収納するための収納部と、前記収納部に積層状態で収納された景品を1枚ずつ計数する機能を有する計数手段と、前記収納部に収納された景品において、前記計数手段を利用して所定の払出枚数に相当する景品群を特定し、特定した前記景品群を前記収納部における他の景品から分離して所定方向に搬送する分離搬送手段と、を含むことを特徴とする、景品払出ユニットである。
【0009】
請求項2記載の発明は、前記計数手段を利用して、前記収納部に収納されている全ての景品の枚数を計数する手段を備えていることを特徴とする、請求項1記載の景品払出ユニットである。
請求項3記載の発明は、前記計数手段と前記分離搬送手段とが一体化されていることを特徴とする、請求項1または2記載の景品払出ユニットである。
【0010】
請求項4記載の発明は、一体化された1組の前記計数手段および前記分離搬送手段が、並んで配置された複数の前記収納部のそれぞれに収納された景品に対して対応可能であることを特徴とする、請求項3記載の景品払出ユニットである。
請求項5記載の発明は、前記収納部に対して前記所定方向における隣に配置され、前記分離搬送手段が搬送してきた景品を受け入れる受入部と、前記受入部に受け入れられた景品を所定位置に搬送する搬送手段と、を含むことを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の景品払出ユニットである。
【0011】
請求項6記載の発明は、前記搬送手段によって前記所定位置に搬送された景品を、前記景品払出装置の前記払出口へ持ち上げるエレベータを含むことを特徴とする、請求項5記載の景品払出ユニットである。
請求項7記載の発明は、請求項1〜6のいずれかに記載の景品払出ユニットが複数並んだ状態で収容されることを特徴とする、景品払出装置である。
【0012】
請求項8記載の発明は、外部機器との間で通信することができることを特徴とする、請求項7記載の景品払出装置である。
請求項9記載の発明は、請求項8に記載の景品払出装置と、前記景品払出装置と通信可能な景品管理機と、を含み、前記景品管理機は、景品払出指示を、前記景品払出装置に送信し、前記景品払出装置は、前記景品払出指示に基づいて景品を払い出すとともに、前記計数手段による前記収納部の景品の計数結果を、前記景品管理機に送信することを特徴とする、景品払出システムである。
【発明の効果】
【0013】
請求項1記載の発明によれば、この景品払出ユニットには、収納部に積層状態で収納された景品を1枚ずつ計数する機能を有する計数手段が含まれている。そのため、この景品払出ユニットを収容する景品払出装置では、収納部に何枚の景品が収納されているのかを把握することができる。つまり、景品払出装置は、景品の計数機能を備えることから、景品の収納枚数を自動的に管理できるので、景品の枚数管理の自動化に寄与できる。
【0014】
また、この景品払出ユニットに含まれる分離搬送手段は、収納部に収納された景品において、計数手段を利用して所定の払出枚数に相当する景品群を特定し、特定した景品群を収納部における他の景品から分離して所定方向に搬送する。これにより、所定の払出枚数の景品を払い出す場合には、当該払出枚数分の景品を、1枚ずつ分離搬送することなく、まとめて迅速に搬送できる。
【0015】
これらの結果、この景品払出ユニットを収容する景品払出装置では、景品の収納枚数を自動的に管理でき、景品の払い出しに掛かる時間の短縮化を図ることができる。
請求項2記載の発明によれば、景品払出ユニットには、計数手段を利用して、収納部に収納されている全ての景品の枚数を計数する手段が備えられているので、この景品払出ユニットを収容する景品払出装置では、収納部に収納されている全ての景品の枚数を正確に管理できる。
【0016】
請求項3記載の発明によれば、計数手段と分離搬送手段とが一体化されているので、分離搬送手段が単独で存在する場合に比べて、景品払出ユニットにおいて、景品を分離搬送する機構に起因する装置の大型化を抑制することができる。
請求項4記載の発明によれば、一体化された1組の計数手段および分離搬送手段は、並んで配置された複数の収納部のそれぞれに収納された景品に対して対応可能である。つまり、計数手段および分離搬送手段を収納部と同じ数だけ設けなくても、1組の計数手段および分離搬送手段だけで、複数の収納部のそれぞれに収納された景品を計数および分離搬送することができるので、景品払出ユニットの簡略化および小型化を図ることができる。
【0017】
請求項5記載の発明によれば、収納部に対して所定方向(分離搬送手段による景品の搬送方向)における隣に配置された受入部が、分離搬送手段が搬送してきた景品を受け入れ、搬送手段が、受入部に受け入れられた景品を所定位置に搬送する。これにより、分離搬送手段が収納部から搬送した景品を、景品払出装置における景品の払出口へ向けて確実に搬送することができる。
【0018】
請求項6記載の発明によれば、エレベータが、搬送手段によって所定位置に搬送された景品を、景品払出装置の払出口へ持ち上げるので、分離搬送手段が収納部から搬送した景品を、景品払出装置の払出口へ向けて確実に搬送することができる。
請求項7記載の発明によれば、景品払出装置では、景品払出ユニットが複数並んだ状態で収容されるので、全体で、多種類の景品を多量に収納することができ、そして、多種類の景品を一度に払い出すことができる。
【0019】
請求項8記載の発明によれば、景品払出装置は、外部機器との間で通信することができる。そのため、景品払出装置は、直接操作されなくても、景品払出装置から離れたところにある外部機器から指示を受けることで景品の計数や払い出しを実行することができ、また、計数結果等を外部機器に直ちに送信することができる。
請求項9記載の発明によれば、景品払出システムでは、景品払出装置と景品管理機とが互いに通信可能である。そのため、景品払出装置と景品管理機とが互いに離れていても、景品払出装置を直接操作することなく、景品管理機から景品払出指示を景品払出装置に送信することで景品払出を実行できる。また、計数手段による収納部の景品の計数結果を、景品払出装置から景品管理機に直ちに送信することができる。つまり、景品払出装置を遠隔で管理できるので使い勝手がよい。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】遊技施設内に設けられた景品払出システムの全体構成を示すブロック図である。
【図2】景品払出装置1を前側(従業員が操作する側)から見た斜視図である。
【図3】右壁が取り外されて内部が露出された状態にある景品払出ユニット5の斜視図である。
【図4】右壁が取り外されて内部が露出された状態にある景品払出ユニット5の分解斜視図である。
【図5】カセット4を斜め上側から見た斜視図であって、(a)は、景品2が1枚も収納されていない状態を示し、(b)は、複数枚の景品2が収納された状態を示している。
【図6】搬送機構24を斜め上側から見た斜視図であって、(a)は、搬送ユニット32が下限位置にある状態を示し、(b)は、搬送ユニット32が上昇途中にある状態を示している。
【図7A】搬送ユニット32がカセット4の景品2を搬送する場合の手順を説明するための模式図である。
【図7B】搬送ユニット32がカセット4の景品2を搬送する場合の手順を説明するための模式図である。
【図7C】搬送ユニット32がカセット4の景品2を搬送する場合の手順を説明するための模式図である。
【図7D】搬送ユニット32がカセット4の景品2を搬送する場合の手順を説明するための模式図である。
【図7E】搬送ユニット32がカセット4の景品2を搬送する場合の手順を説明するための模式図である。
【図7F】搬送ユニット32がカセット4の景品2を搬送する場合の手順を説明するための模式図である。
【図8】景品払出ユニット5の模式的な正断面図である。
【図9】内部が露出された状態にある上ユニット21を斜め上側から見た斜視図であって、搬送機構24も一緒に示している。
【図10】内部が露出された状態にある上ユニット21の斜視図であって、エレベータ82を示している。
【図11】図10において、エレベータ82の伸縮機構87が伸長状態に姿勢を変えた様子を示している。
【図12】景品払出装置1の模式的な側断面図である。
【図13】図12に変形例を適用した図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下には、図面を参照して、この発明の実施形態について具体的に説明する。なお、以下では、左右方向と幅方向とは同じであり、上下方向と垂直方向とは同じである。そして、前後方向および左右方向(幅方向)は、水平方向に含まれている。
<景品払出装置の概要>
図1は、遊技施設内に設けられた景品払出システムの全体構成を示すブロック図である。
【0022】
図1に示すように、本発明に係る景品払出装置1は、景品管理機(POS端末)100に接続されており、景品管理機100と一体となって、景品払出システムを構成している。景品払出装置1と景品管理機100とは、互いに通信可能である。
景品払出装置1は、景品の払い出しを行うものであり、たとえば、遊技施設のフロアに直接据え置かれて使用される。景品払出装置1は、景品を払い出す機能だけでなく、後述するように、収納部としてのカセット4(後述する図5参照)に収納された景品数を計数する計数機能を備えている。
【0023】
景品管理機100は、景品払出装置1に対する外部機器として景品払出装置1を制御するものであり、遊技施設内に設置されている。景品管理機100は、景品払出装置1における景品の在庫管理を行う機能や、景品払出装置1における景品の在庫管理データを表示したり、印字したりする機能を備えている。
景品払出装置1で取り扱われる景品(後述する図5(b)の符号2を参照)は、遊技施設において遊技客が獲得したパチンコ玉等の遊技媒体の数に応じて交換される有価カード体で特殊景品とも呼ばれる。この景品は、一般的に、1〜3mm程度の厚みを有する樹脂製のカードである。景品には、所定の金銭価値を有する物体が内蔵されており、たとえば、100円、500円、1000円、5000円といった金銭価値に応じた4つの種類が存在する。また、景品には、その種類を識別するために、種類を示す情報が表面に目視可能に印字されていたり、RFIDタグ等が内蔵されていたりする。また、景品には、偽造等の不正を防止するための処理が施されていることもある。
【0024】
遊技客が獲得したパチンコ玉等の遊技媒体を、遊技施設内に設置された図示しない計数機に投入すると、投入された遊技媒体の計数が行われ、計数結果を示すバーコードが印字されたレシートが、この計数機から発行される。なお、このようなレシートの代わりに、計数結果が磁気記録された磁気カードや、計数結果が記録されたICチップを備えたICカードが計数機から発行されるようにしてもよい。
【0025】
上述した計数機によって発行されたレシートを客が遊技店の従業員に手渡すと、従業員は、そのレシートにバーコード記録されている計数結果を景品管理機100に読み取らせる。景品管理機100は、読み取った計数結果に基づいて払い出すべき景品の種類および枚数を決定し、決定した内容に応じて、景品払出装置1に対して、景品を払い出す旨の指示(景品払出指示)を送信する。この命令に応じて、景品払出装置1が該当する種類の景品を必要枚数分払い出し、客は、払い出された景品を受け取る。
【0026】
ここで、上述したように、景品払出装置1と景品管理機100とが、互いに通信可能であることから、景品払出装置1と景品管理機100とが互いに離れていても、景品払出装置1を直接操作することなく、景品管理機100から景品払出指示を景品払出装置1に送信することで景品の計数や払出を実行できる。また、景品の計数結果や払出結果を、景品払出装置1から景品管理機100に直ちに送信することができる。つまり、景品払出装置1を遠隔で管理できるので使い勝手がよい。
【0027】
図2は、景品払出装置1を前側(従業員が操作する側)から見た斜視図である。
図2を参照して、景品払出装置1から景品の払い出しを受ける客は、景品払出装置1の後側(図2における奥側)に位置し、従業員は、景品払出装置1の前側に位置して接客を行う。
景品払出装置1は、その外郭をなす略直方体形状のキャビネット3と、キャビネット3に収容される複数(この例では、4つ)の景品払出ユニット5(後述する図3参照)とを備えている。各景品払出ユニット5には、複数のカセット4(後述する図5参照)が収納される。各カセット4には、複数の景品2が上下に積み重ねられた状態で収納される。
【0028】
複数の景品払出ユニット5は、幅方向に並んだ状態でキャビネット3内に収容される。各景品払出ユニット5内には、横方向2列に4個ずつ、合計で8個のカセット4が配置されている。従って、キャビネット3内には、横方向8列に4個ずつカセット4が配置される。横方向に並ぶ第1列〜第8列までの8つの列を、左から順に第1レーン〜第8レーンと呼ぶ。このような景品払出装置1では、全体で、多種類の景品2を多量に収納することができ、そして、多種類の景品2を一度に払い出すことができる。
【0029】
キャビネット3の前壁において、各景品払出ユニット5と幅方向において一致する各部分は、扉6を構成している。つまり、扉6は、景品払出ユニット5と同様、4つ設けられている。扉6を開くことで、対応する景品払出ユニット5をキャビネット3から引き出すことができる。
キャビネット3の上面には、表示部7が設けられている。表示部7は、客用の第1表示部7Aと、従業員用の第2表示部7Bとを含んでおり、それぞれの表示部には、必要な情報が表示される。また、表示部7には、景品払出装置1の動作を制御するために操作される操作キー(図示せず)が設けられている。
【0030】
キャビネット3の上面における表示部7より後側において、各景品払出ユニット5の上方位置には、上記第1レーン〜第8レーンに対応して、8個の払出口8が形成されている。8つの払出口8は、幅方向に並んでいる。各払出口8は、キャビネット3の内部に上から連通している。また、各払出口8には、シャッタ9が設けられている。シャッタ9は、前後にスライドすることによって、払出口8を開閉する。図2では、シャッタ9が払出口8を閉じた状態が示されている。
【0031】
また、図2には一部しか示されていないが、景品払出装置1には、カセット4(図5参照)に収納された景品2を払い出すために、第1搬送部10と、第2搬送部11と、保留部12と、リフト部13と、送出部14とが備えられている。
景品払出装置1における景品2の大まかな払い出し手順として、まず、第1搬送部10が、カセット4(図5参照)に収納された景品2から、所定の払出枚数に相当する景品群を分離して、上方へ搬送する。次いで、第2搬送部11が、上方に搬送された景品2(景品群)を払出口8側へ向けて略水平に搬送する。そして、保留部12が、搬送された景品2を払出口8の下方で保留する。その後、リフト部13が、保留された景品2を払出口8へ向けて持ち上げる。最後に、送出部14が、払出口8まで持ち上げられた景品2をキャビネット3の上面に押し出す。ここで、シャッタ9と、シャッタ9をスライドさせる構成とが、上述した送出部14に含まれる。このようにして、景品払出装置1内に収納された景品2が払出口8から払い出される。
【0032】
これらの構成(第1搬送部10、第2搬送部11、保留部12、リフト部13および送出部14)は、以下で景品払出ユニット5を説明する際に、個別に説明される。
<景品払出ユニット>
図3は、右壁が取り外されて内部が露出された状態にある景品払出ユニット5の斜視図である。
【0033】
図3に示すように、各景品払出ユニット5は、左右方向においてやや薄い中空のボックス形状である。景品払出ユニット5は、その上下方向における略6分の5の部分をなす下ユニット20と、下ユニット20の上側に配置される上ユニット21とを含んでいる。
また、景品払出ユニット5(詳しくは、下ユニット20)の前面(図3における手前側の面)には、ハンドル26が設けられている。ハンドル26は、上述したように景品払出ユニット5をキャビネット3(図2参照)から引き出す際に、把持される。
【0034】
図4は、右壁が取り外されて内部が露出された状態にある景品払出ユニット5の分解斜視図である。
図4に示すように、下ユニット20と上ユニット21とは、分離可能である。具体的には、上ユニット21は、キャビネット3(図2参照)側に固定されており、景品払出ユニット5では、ハンドル26を把持することで、下ユニット20だけをキャビネット3から引き出すことができる。
【0035】
以下では、下ユニット20と上ユニット21とを個別に説明する。
(1)下ユニット
下ユニット20は、その外郭をなす下ケーシング22と、8つのカセットホルダ23(図4では右側4つのカセットホルダ23が現れている。)と、8つのカセット4(図4では8つのカセット4のうちの1つが下ユニット20の上方に配置された状態で示されている。)と、4つの搬送機構24(図4では図示されず、図3を参照)とを含んでいる。カセットホルダ23、カセット4および搬送機構24は、常態では、下ケーシング22内に配置されている。ここで、搬送機構24が、上述した第1搬送部10を構成している。
【0036】
上述したように下ユニット20がキャビネット3(図2参照)から引き出されることで下ユニット20と上ユニット21とが分離された状態(図4に示す状態)では、下ケーシング22の上面が開放されている。
(1−1)カセットホルダ
8つのカセットホルダ23は、前後(図4における手前側と奥側とを結ぶ方向)に4つ、左右に2つ並ぶように配置されている。各カセットホルダ23は、垂直方向に延びる4本の保持レール25を含んでいる。4本の保持レール25は、上方から見て四角形の4つの角をなすように、配置されている(右側手前のカセットホルダ23を参照)。
(1−2)カセット
図5は、カセット4を斜め上側から見た斜視図であって、(a)は、景品2が1枚も収納されていない状態を示し、(b)は、複数枚の景品2が収納された状態を示している。
【0037】
図5に示すように、各カセット4は、上下方向に長手であり、その平断面は、図5では、右側が切り欠かれた略コ字形状をなしている。カセット4において、上面は、景品2をカセット4内に収容するために開放されている一方で、底面は、カセット4に収容された景品2がカセット4から落下しないように、塞がれている。
図5におけるカセット4の右面は、上述した略コ字形状の平断面をなすべく、上下方向における全ての範囲に亘って連続して開放されており、このように開放された部分を開放部28という。開放部28は、カセット4において開放された上面に対して連続している。
【0038】
カセット4の前面および後面には、カセット4の内側へ凹みつつ、上下に延びる溝29が1つずつ形成されている。また、図5におけるカセット4の左面には、溝29が、前後に間隔を隔てて2つ形成されている(図5では図示されておらず、図4において単独で示されたカセット4の右面を参照)。これらの溝29は、後述するようにカセット4が下ケーシング22に装填される際に、カセット4の装填をガイドするためのものである。
【0039】
カセット4の上端には、ハンドル30が取付けられている。ハンドル30は、前後に間隔を隔てる2つの遊端部を有する略U字形状である。ハンドル30において、前側の遊端部30Aは、カセット4の前面において溝29より上側の部分によって支持されており、後側の遊端部(図示されていない)は、カセット4の後面において溝29より上側の部分によって支持されている。これにより、ハンドル30全体は、カセット4の上端によって回動自在に支持されている。そのため、ハンドル30を適宜回動させることでハンドル30を良好に掴み、カセット4をぶら下げた状態で移動させることができる。
【0040】
カセット4は、図5(b)に示すように、所定の種類の複数枚の景品2を、上下方向に沿って積み重ねた積層状態で、最大でたとえば100枚程度収納することができる。この状態で、積層状態にある景品2は、カセット4の底壁4Aに載置されている。
景品2が収納されたカセット4は、図4に示すように、開放された下ケーシング22の上面を介して、下ケーシング22に対して上から装填され、対応するカセットホルダ23によって保持される。詳しくは、カセット4の装填に伴い、各カセット4の4つの溝29(図5も参照)に、対応するカセットホルダ23の4本の保持レール25が外側から嵌り込み、カセット4は、4本の保持レール25によって外側から囲まれることで位置決めされる。このように、カセット4は、対応するカセットホルダ23によって保持される。
【0041】
ここで、下ケーシング22において、カセットホルダ23は、左右に2つ並ぶように配置されているので、左右に並ぶカセットホルダ23のそれぞれに保持されたカセット4は、左右に並んで配置される。このとき、左右に並んで配置された2つのカセット4のうち、左側のカセット4の開放部28と、右側のカセット4の開放部28とが水平方向において対向している。つまり、各カセット4は、その開放部28が下ケーシング22の幅方向中央を向くように、下ケーシング22に装填されている。
(1−3)搬送機構
図3を参照して、上述した4つの搬送機構24は、下ケーシング22内において、前後に並んで配置されている(図3では1つの搬送機構24が図示されている。)。各搬送機構24は、下ケーシング22内において左右に並ぶカセットホルダ23(換言すれば左右に並ぶカセット4)の間に配置されている(後述する図8参照)。
【0042】
図6は、搬送機構24を斜め上側から見た斜視図であって、(a)は、搬送ユニット32が下限位置にある状態を示し、(b)は、搬送ユニット32が上昇途中にある状態を示している。
図6(a)に示すように、各搬送機構24は、垂直方向に延びる支持レール31と、搬送ユニット32と、モータ33とを含んでいる。
【0043】
搬送ユニット32は、支持レール31によって上下方向へスライド自在に支持されている。この状態で、搬送ユニット32は、搬送機構24の左右両側にあるカセットホルダ23のいずれか一方に装填されたカセット4の開放部28(図5参照)に対して水平方向から対向している(図8参照)。
モータ33は、支持レール31の下端に固定されている。モータ33が駆動されると、モータ33の駆動力が、ベルトやチェーンなどの伝達部材を介して搬送ユニット32に伝達され、搬送ユニット32が、支持レール31に支持された状態で、上下方向へスライドする。これにより、図6(b)に示すように、搬送ユニット32は、カセット4に収納された景品2を、カセット4の開放部28(図5参照)から取り出し、上方へ搬送することができる。ここで、上限近傍にあるときの搬送ユニット32の位置を待機位置という。
【0044】
また、搬送機構24は、垂直方向に延びる支持レール31を中心として、回動することができる。これにより、図6の姿勢を基準として、右前に向いていた搬送ユニット32が、搬送機構24が180°回動することによって、左後へ向く(図示されていない)。搬送機構24の回動については、以降で再度説明する。
図7A〜図7Fは、搬送ユニット32がカセット4の景品2を搬送する場合の手順を説明するための模式図である。
【0045】
ここで、搬送ユニット32がカセット4の景品2を搬送する手順を説明する前に、図7A〜図7Fを参照して、搬送ユニット32の計数機能および搬送機能について説明する。
なお、図7A〜図7Fを参照するにあたって、搬送ユニット32は、搬送機構24に対して左側に位置するカセット4の開放部28に対して、右から対向しているものとし(後述する図8(d)参照)、このときの搬送ユニット32の姿勢を基準として、搬送ユニット32における左右の向きを特定する。そのため、図7A〜図7Fに示す状態とは異なり、搬送ユニット32が、搬送機構24に対して右側に位置するカセット4の開放部28に対して左から対向している場合には(後述する図8(a)〜(c)参照)、搬送ユニット32における左右の向きは、図7A〜図7Fを参照したときとは逆になる。
【0046】
搬送ユニット32の機能には、上述した景品2を搬送する機能(搬送機能)だけでなく、各カセット4内の景品2の枚数を計数する機能(計数機能)も含まれている。さらに、この搬送機能によれば、単にカセット4内の景品2を1枚ずつ搬送するのではなく、景品2を必要枚数分まとめて搬送することができる。
(1−3−1)計数機能
搬送ユニット32は、図7Aに示すように、略ボックス形状のフレーム35(図6(a)も参照)を備え、さらに、計数機能に関連して、揃え部36とセンサ37とを備えている。揃え部36およびセンサ37は、カセット4に積層状態で収納された景品2を1枚ずつ計数する機能を有する計数部60(計数手段)を構成する。
【0047】
また、上述したように搬送ユニット32が上下方向(カセット4における景品2の積層方向)へスライド自在であることから、搬送ユニット32に備えられた揃え部36およびセンサ37(計数部60)は、上下方向に相対変位可能である。
揃え部36は、フレーム35に一体的に設けられた略台形状のリブであり、フレーム35の幅方向外側(図7Aでは左側)へ向けて上下に狭くなるように突出している。揃え部36の左端部は、図7Aにおけるフレーム35の左面(搬送機構24に対して左側に位置するカセット4の開放部28(図5参照)に対向する面であり、対向面35Aという。)よりも左側(カセット4側)へはみ出ている。
【0048】
センサ37は、揃え部36と上下方向において一致する位置において、フレーム35の対向面35Aに取り付けられている。センサ37は、いわゆる反射型の光学センサであり、赤外線LED等から構成される発光素子(図示せず)と、発光素子(図示せず)から発光された光のうち、検知物に当たって反射した光を受ける受光素子(図示せず)とを備えている。
【0049】
搬送ユニット32は、揃え部36およびセンサ37(計数部60)を備えることで、カセット4内に収納された景品2の枚数を数えることができる。景品2の計数は、上述した表示部7(図2参照)の操作キー(図示せず)が操作されたり、景品管理機100(図1参照)から指示が送信されたりするのに応じて、景品払出装置1または景品払出ユニット5に備えられた制御部(図示せず)から搬送ユニット32(計数部60)に命令が下ることで、実行される。
【0050】
計数が実行されるのにあたって、まず、搬送ユニット32の対向面35Aが、カセット4に積層状態で収納された景品2の側面(図7Aでは右面)2Aに対してカセット4の開放部28を介して右側から対向した状態で、搬送ユニット32が、上述した待機位置から下方へスライドする。ここで、カセット4に積層状態で収納された全ての景品2の(右)側面2Aをまとめて積層側面2Bという。搬送ユニット32が下方へスライドする際、揃え部36が、カセット4に積み重ねられた景品2に対して、上側の景品2から順に、カセット4の開放部28を介して右側から接触する。これにより、景品2は、上側の景品2から順に、カセット4の左壁の内面へ押し付けられていく。このとき、センサ37は、積層側面2Bに対して、所定の間隔を隔てて右側から対向している。
【0051】
そして、揃え部36が全ての景品2に接触し終え、さらに、センサ37が最下位にある景品2より低い位置に到達するまで搬送ユニット32が下方へスライドすると、カセット4において上下に隣り合う景品2の右縁は、揃え部36によって、上下方向に沿って直線状に並ぶように揃えられる。なお、揃え部36と似た形状を有する揃え部38が、図7Aにおけるフレーム35の右面(搬送機構24に対して右側に位置するカセット4の開放部28に対向する面)に設けられている。そのため、搬送ユニット32が上下にスライドする際には、搬送機構24に対して左右の両側に位置する2つのカセット4のそれぞれにおける景品2の幅方向における縁が、対応する揃え部36また38によって一度に揃えられる。ここで、揃え部36および38が景品2の縁を揃える動作は、対応するカセット4が下ケーシング22に装填されたときに行われてもよい。
【0052】
景品2の縁が揃えられた後、搬送ユニット32は、待機位置へ向けて上方ヘスライドする。搬送ユニット32の上方へのスライドに伴い、計数部60のセンサ37が、上述した景品2の積層側面2Bに対して所定の間隔を隔てて右側から対向した状態で上昇する。
センサ37が上昇している最中において、センサ37では、発光素子(図示せず)が、下側の景品2から順に、景品2の(右)側面2Aに向けて投光し、この景品2の側面2Aで反射される反射光が受光素子(図示せず)に受光される。ここで、上下に隣り合う景品2の側面2Aの境界Xに発光素子(図示せず)からの光が当てられた場合、景品2の側面2Aに光が当てられる場合と比べて、受光素子(図示せず)が受光する反射光の量(受光量)が変化する。
【0053】
そのため、センサ37において、受光素子(図示せず)での受光量が変化する毎に、搬送ユニット32は、景品2が1枚あるとカウントする。そして、同様の手順により、搬送ユニット32は、下側の景品2から順に1枚ずつ景品2をカウントして景品2の枚数を数え、待機位置に戻ったときには、全ての景品2の計数を完了する。
このように、この景品払出ユニット5には、カセット4に収納された景品2を1枚ずつ計数する機能を有する計数部60が含まれている。そのため、この景品払出ユニット5を収容する景品払出装置1(図2参照)では、カセット4に何枚の景品2が収納されているのかを把握することができる。つまり、景品払出装置1は、景品2の計数機能を備えることから、景品2の収納枚数を自動的に管理できるので、景品2の枚数管理の自動化に寄与できる。
【0054】
そして、上述した制御部(図示せず)は、搬送ユニット32(計数部60)に対して計数実行の命令を下すことから、搬送ユニット32の計数部60を利用して、カセット4に収納されている全ての景品2の枚数を計数している。これにより、景品払出ユニット5(景品払出装置1)では、カセット4に収納されている全ての景品2の枚数を正確に管理できる。
【0055】
以上のように、搬送ユニット32は、計数部60において、センサ37の受光素子(図示せず)の受光量の変化に応じて、非接触で景品2の枚数を数える。計数結果は、上述した制御部(図示せず)の指示により、各カセット4における景品2の在庫情報として、表示部7(図2参照)に表示されたり、景品払出装置1から景品管理機100(図1参照)に送信されたりする。
【0056】
ここで、各カセット4において上下に積層された景品2の計数結果は、各カセット4に収納された各景品2の上下方向における位置情報(つまり、上からN番目の景品2は上下方向においてどの位置にあるかという情報)を含んでいると言える。
(1−3−2)搬送機能
搬送ユニット32は、搬送機能に関連して、フレーム35に、爪40(図6(a)も参照)と、支持レバー41と、めくりローラ42と、押えレバー43と、カム44と、リンクレバー45と、モータ46とをさらに備えている。爪40、支持レバー41、めくりローラ42、押えレバー43、カム44、リンクレバー45およびモータ46は、分離搬送部70(分離搬送手段)を構成している。
【0057】
爪40は、前後方向(図7Aの紙面に垂直な方向)において間隔を隔てて一対設けられている(図6(a)も参照)。各爪40は、カセット4の景品2側(左側)へ略水平に突出する突出部40Aと、突出部40Aの突出方向上流側(右側)の端部から下向きに延びて下端部が右側に折り曲げられた延設部40Bとを一体的に備えている。
支持レバー41は、2本で1組をなしており、一対の爪40と同様に、前後方向において間隔を隔てて一対(2組)設けられている。各組における2本の支持レバー41は、左右に並ぶように配置されており、図7Aの状態では、ともに、右上側へ向けて傾斜して延びている。各支持レバー41の下端部は、フレーム35によって支持されている。これにより、各支持レバー41は、それぞれの下端部を中心として回動自在である。支持レバー41の回動軸は、前後方向に沿って延びている。そして、各支持レバー41の上端部は、前後方向で同じ側にある爪40の延設部40Bの下端部に接続されている。この状態で、各支持レバー41の上端部は、対応する爪40の延設部40Bに対して回動可能である。
【0058】
支持レバー41が下端部を中心に回動することで、一対の爪40は、カセット4の景品2の積層側面2Bから右側へ離れてフレーム35の対向面35Aより右側にある退避位置(図7Aおよび図7B参照)と、突出部40Aのほとんどが対向面35Aより左側にあり、景品2の積層側面2Bよりも左側へ進出した進出位置(図7F参照)との間で、略水平方向に沿って進退することができる。
【0059】
詳しくは、支持レバー41が、下端部を中心として図7Aにおける時計回りの方向における限界まで回動したときに、爪40は、退避位置にあり、支持レバー41が、下端部を中心として反時計回りの方向における限界まで回動したときに、爪40は、進出位置にある。爪40は、図示しない付勢部材によって、進出位置へ向かう方向へ付勢されており、これに応じて、支持レバー41は、下端部を中心とする反時計回りの方向へ付勢されている。
【0060】
めくりローラ42は、フレーム35の対向面35Aの上端に配置されており、フレーム35によって支持されている。めくりローラ42は、前後方向に延びる軸を中心として回転自在である。めくりローラ42の外周面の一部(左端部)は、フレーム35の対向面35Aよりも左側(カセット4側)へはみ出ている。めくりローラ42の回転軸は、爪40の突出部40Aに対して僅かに高い位置にある。
【0061】
押えレバー43は、上向きに延びており、上側へ向かうのに従って細くなっている。押えレバー43は、上側へ向かうのに従って、フレーム35の対向面35Aから左側へ露出され、カセット4の景品2の積層側面2B側(左側)へ若干傾いている。押えレバー43の上下方向途中には、前後方向に延びる支持軸43Aが挿通されている。支持軸43Aは、フレーム35によって支持されている。これにより、押えレバー43は、支持軸43Aを中心として、支持軸43Aに対して揺動自在である。押えレバー43は、その上端部が景品2の積層側面2Bへ接近するように(左側へ向かうように)、図示しない付勢部材によって付勢されている。
【0062】
押えレバー43で景品2の積層側面2Bに対向しない右縁において、支持軸43Aより下側の部分には、左側へ略V字状に窪む切欠き43Bが形成されている。
カム44は、押えレバー43の切欠き43Bの近傍(詳しくは切欠き43Bの右側)に配置されている。カム44は、前後方向に延びてフレーム35によって回転自在に支持された筒部44Aと、筒部44Aの外周面の周上1箇所において、筒部44Aの径方向外側へ突出する凸部44Bとを一体的に備えている。
【0063】
図7Aでは、カム44の凸部44Bが、左側を向いており、押えレバー43の右縁における切欠き43Bより下側の部分に対して右側から接触している。これにより、押えレバー43の上端部が景品2の積層側面2Bへ接近する方向へ押えレバー43が揺動しようとすることが規制されている。そして、この状態では、押えレバー43は、景品2の積層側面2Bに対して所定距離だけ右側に位置している。
【0064】
リンクレバー45は、前後方向において間隔を隔てて一対設けられている。リンクレバー45は、カム44の下方かつ、前後方向で同じ側にある支持レバー41よりも景品2に近い側(左側)に配置されている。リンクレバー45の長手方向一端部には、前後方向に延びる支持軸45Aが挿通されている。支持軸45Aは、フレーム35によって回転自在に支持されている。これにより、リンクレバー45は、支持軸45Aを中心として、支持軸45Aとともに回転自在である。そして、リンクレバー45の長手方向他端には、前後方向に突出するボス45Bが一体的に設けられている。
【0065】
図7Aでは、ボス45Bが、支持軸45Aより右側にあり、前後方向で同じ側にある1組の支持レバー41(詳しくは左側の支持レバー41)に対して、左側(カセット4の景品2側)から当接して支持レバー41を位置決めしており、これにより、爪40が退避位置に位置決めされている。
モータ46は、たとえば、リンクレバー45より高い位置に配置されている。モータ46の出力軸46Aは、前後方向に延びている。
【0066】
そして、モータ46の出力軸46Aと、リンクレバー45の回転軸(支持軸45A)との間には、無端状の第1ベルト47が巻回されている。リンクレバー45の回転軸と、カム44の回転軸(筒部44A)との間には、無端状の第2ベルト48が巻回されている。カム44の回転軸と、押えレバー43の揺動軸(支持軸43A)との間には、無端状の第3ベルト49が巻回されている。押えレバー43の揺動軸と、めくりローラ42の回転軸との間には、無端状の第4ベルト50が巻回されている。
【0067】
モータ46が駆動されると、モータ46が発生した駆動力が、第1ベルト47、第2ベルト48、第3ベルト49、第4ベルト50を介して、リンクレバー45、カム44、めくりローラ42に対して、この順で伝達される。これにより、リンクレバー45、カム44、めくりローラ42は、図7Aにおける時計回りの方向へ回転する。一方、押えレバー43には、モータ46が発生した駆動力は伝達されない。
【0068】
なお、フレーム35には、第1センサ51と第2センサ52とが設けられている。第1センサ51は、支持レバー41の位置を検知する。第2センサ52は、リンクレバー45の位置を検知する。
次に、搬送ユニット32がカセット4の景品2を搬送する手順を説明する。
まず、搬送ユニット32が待機位置(上限近傍)にあり、爪40が退避位置にある状態において、景品2を所定の払出枚数分(ここでは1枚とする。)だけ払い出すとの命令が、上述した制御部(図示せず)から搬送ユニット32に下る。これにより、搬送ユニット32は、フレーム35の対向面35Aがカセット4に収納された景品2に対して右から対向した状態で、下降する(太線矢印参照)。下降に伴い、搬送ユニット32は、計数部60のセンサ37によって上述したように、積層された景品2を、上の景品2から順に計数する。
【0069】
そして、搬送ユニット32は、払出枚数分(ここでは1枚)まで景品2を計数すると、図7Bに示すように、払い出す景品2と払い出さない景品2との境界Xに爪40の突出部40Aが上下方向で一致するまで、さらに下降する(太線矢印参照)。
図7Cに示すように、払い出す景品2と払い出さない景品2との境界Xに爪40の突出部40Aが上下方向で一致すると、搬送ユニット32は下降をやめて停止する。
【0070】
この際、モータ46が駆動され、これにより、分離搬送部70におけるめくりローラ42、カム44およびリンクレバー45が時計回りに回転(回動)し始める。
ここで、めくりローラ42では、その外周面の一部(左端部)が、払い出す景品2のうち最も下側にある景品2の側面(右面)2Aに接触している。そのため、めくりローラ42が時計回りに回転することによって、この景品2がめくりローラ42によってめくり上げられる。これにより、払い出す景品2と払い出さない景品2との間に、隙間Yが形成される。なお、ここでは、払い出す景品2の枚数が1枚なので、1枚の景品2がめくり上げられているが、複数枚の景品2を払い出すときには、払い出す景品2のうち最も下側にある景品2がめくりローラ42によってめくり上げられることで、複数枚の景品2全てが一塊(景品群)となってめくり上げられる。
【0071】
また、このときには、カム44の回転に伴って、カム44の凸部44Bが、押えレバー43の切欠き43Bに一致する。その結果、上述したカム44の凸部44Bによる押えレバー43の揺動の規制(図7Aおよび図7B参照)が解除され、押えレバー43は、切欠き43Bがカム44の凸部44Bに近付く方向(換言すれば押えレバー43の上端部が景品2の積層側面2Bへ接近する方向)へ、揺動する。これに伴い、押えレバー43の上端部が、払い出す景品2の真下にある払い出さない景品2を、斜め上側(右上側)から押える。これにより、めくりローラ42が、払い出す景品2をめくり上げても、その景品2の真下にある払い出さない景品2までもがめくり上げられることはない。
【0072】
そして、図7Dに示すように、引き続きモータ46が駆動されることで、めくりローラ42がさらに時計回りに回動すると、払い出す景品2がさらにめくり上げられ、払い出す景品2と払い出さない景品2との隙間Yが上下に大きくなる。なお、このときも、押えレバー43は、その上端部において、払い出す景品2の真下にある払い出さない景品2を、斜め上側から押えている。
【0073】
また、上述したようにリンクレバー45が時計回りの方向へ回転(回動)することによって、支持レバー41に対して左側(カセット4の景品2側)から当接していたボス45Bは、支持レバー41に当接した状態を保ちつつ、時計回りの方向へ回動しながら、カセット4の景品2側(左側)へ移動する。なお、支持レバー41においてボス45Bに当接される部分(左縁)は、ボス45Bが円滑に回動できるように、ボス45Bの回動軌跡に沿って湾曲している。
【0074】
そして、支持レバー41は、上述したように下端部を中心とする反時計回りの方向へ付勢されているので、リンクレバー45のボス45Bが左側へ移動するのに伴い、反時計回りの方向(左側)へ移動する。
これに伴い、リンクレバー45に連結された爪40も左側へ移動する。ここで、爪40の突出部40Aは、払い出す景品2と払い出さない景品2との境界Xに上下方向で一致しているので(図7Cも参照)、爪40が左側へ移動するのに伴い、境界Xから、上述した隙間Yに進入し、払い出す景品2と払い出さない景品2とを分離し始める。
【0075】
その後、引き続きモータ46が駆動されることで、リンクレバー45がさらに時計回りに回動すると、リンクレバー45のボス45Bが、一瞬、支持レバー41に対して左側へ外れる。これにより、支持レバー41は、反時計回りの方向(左側)へ一気に回動し、これに伴い、爪40の突出部40Aが、上述した隙間Y内を左側へ一気に移動する。
その後、一瞬支持レバー41から外れたリンクレバー45のボス45Bが、図7Eに示すように、支持レバー41に対して、再び左側から当接し、これにより、支持レバー41の回動および爪40の移動が停止する。このとき、爪40は、上述した進出位置にある。
【0076】
つまり、リンクレバー45のボス45Bが、一瞬、支持レバー41に対して左側へ外れたときに、爪40は、一瞬で進出位置に到達する。なお、爪40が進出位置にないときには支持レバー41が第1センサ51に一致している一方で(図7A〜図7D参照)、爪40が進出位置にあるときには支持レバー41が第1センサ51から離れるので(図7Eおよび図7F参照)、第1センサ51は、支持レバー41が離れるのに応じて、爪40が進出位置に到達したことを検知する。
【0077】
進出位置に到達した爪40は、払い出す景品2をすくい上げることで、払い出す景品2と払い出さない景品2とを完全に分離し、払い出す全て(ここでは1枚だけ)の景品2は、爪40の突出部40Aに載置される。
なお、このときも、押えレバー43は、その上端部において、払い出す景品2の真下にある払い出さない景品2を、斜め上側から押えている。また、払い出す全ての景品2が爪40の突出部40Aに載置されるときには、モータ46の駆動が停止している。
【0078】
このように払い出す景品2と払い出さない景品2とが完全に分離された後、図7Fに示すように、搬送ユニット32は、待機位置に向かって上昇する(太い実線矢印参照)。これにより、搬送ユニット32の爪40の突出部40Aに載置された全ての景品2は、搬送ユニット32とともに上昇する(図6(b)も参照)。つまり、搬送ユニット32(詳しくは分離搬送部70)は、払い出す枚数の景品2を上方へ搬送する。
【0079】
なお、爪40の突出部40Aに載置された景品2が、客に払出されると(詳しくは、後述する図9に示すように上ユニット21側に受け渡されると)、モータ46が再び駆動される。
これにより、カム44が時計回りに回動し(このとき、カム44は1回転を終えたことになる。)、カム44の凸部44Bが、図7Aに示すように、再び左側を向き、押えレバー43の右縁における切欠き43Bより下側の部分に対して右側から接触する。これにより、押えレバー43は、景品2の積層側面2Bに対して所定距離だけ右側に位置した状態(景品2に接触しない状態)で位置決めされる。
【0080】
また、リンクレバー45が、図7Fに示す状態から時計回りの方向へ回動することにより、ボス45Bが、支持レバー41に左側から当接した状態で、景品2の積層側面2Bから離れる方向(右側)へ移動する。この際、支持レバー41は、ボス45Bに押されることで時計回りの方向(右側)へ回動し、これに伴い、爪40は、右側へ移動して、リンクレバー45の回動が停止したとき(このとき、リンクレバー45は1回転を終えたことになる。)には、図7Aに示す退避位置に戻る。
【0081】
以上で説明した場合(第1の場合という。)では、搬送ユニット32は、計数部60によって、払い出す分(払出枚数分)だけ景品2を計数してから、払い出す景品2を、分離搬送部70によって、カセット4における残りの景品2から分離して搬送している。
しかし、搬送ユニット32が、上述したようにカセット4の全ての景品2の枚数を予め計数することで計数結果から各景品2の位置を予め把握し、その後、搬送ユニット32が、計数動作を伴わずに、単に景品2を搬送してもよい。この場合(第2の場合という。)、搬送ユニット32は、景品2を搬送するのに先立って、上述したように把握した景品2の位置情報に基づいて、払い出す景品2のところまで移動し(図7C参照)、分離搬送部70によって、景品2を分離搬送する。
【0082】
ここで、いずれの場合(上述した第1の場合および第2の場合)にも、搬送ユニット32の分離搬送部70は、カセット4に収納された景品2において、計数部60(詳しくは、計数部60の計数により得られる各景品2の位置情報)を利用して、所定の払出枚数に相当する景品群を特定し(図7C参照)、特定した景品群を他の景品2から分離して上方(所定方向)に搬送している(図6(b)および図7F参照)。これにより、所定の払出枚数の景品2を払い出す場合には、当該払出枚数分の景品2を、1枚ずつ分離搬送することなく、まとめて迅速に搬送できるので(図6(b)参照)、景品2の払い出しに掛かる時間の短縮化を図ることができる。
【0083】
また、上述した計数部60が搬送ユニット32に備えられているのに対し、分離搬送部70も搬送ユニット32に備えられているので、計数部60と分離搬送部70とは一体化されている。これにより、計数部60と分離搬送部70とそれぞれが単独で存在する場合に比べて、景品払出ユニット5において、景品2を分離搬送する機構に起因する装置の大型化を抑制し、景品払出ユニット5の構成を簡略化することができる。
【0084】
図8は、景品払出ユニット5の模式的な正断面図である。
各搬送機構24は、下ケーシング22内において、左右に並ぶカセットホルダ23(左右に並ぶカセット4)の間に配置されている。
そして、搬送機構24の搬送ユニット32のフレーム35の対向面35Aは、たとえば、図8(a)に示すように、まず、右側のカセットホルダ23に装填された右側のカセット4に左から対向する。そして、上述した手順によって、右側のカセット4に収納された景品2を、払出枚数分だけ、上側の景品2から順に、上方の上ユニット21に搬送する(図8(b)参照)。
【0085】
この結果、図8(c)に示すように、右側のカセット4の全ての景品2が搬送されて右側のカセット4が空になると、図8(d)に示すように、搬送機構24は、上述したように、垂直方向に延びる支持レール31を中心として180°回動する(図8(d)の太線矢印参照)。
これにより、搬送ユニット32のフレーム35の対向面35Aは、左側のカセットホルダ23に装填された左側のカセット4に右から対向し、今度は、左側のカセット4に収納された景品2を、上側の景品2から順に、上述した手順によって、分離し、上方へ搬送することができる。
【0086】
このように、1つの搬送機構24は、左右のカセット4の間に配置されて、これら2つのカセット4におけるそれぞれの景品2を計数および分離搬送している。つまり、搬送機構24(一体化された1組の計数部60および分離搬送部70)とカセット4とが、1対2の関係になっており、1つの搬送機構24は、左右に並んで配置された2つのカセット4のそれぞれに収納された景品2に対して対応可能である。これにより、計数部60および分離搬送部70をカセット4と同じ数だけ設けなくても、1組の計数部60および分離搬送部70だけで、複数のカセット4のそれぞれに収納された景品2を計数および分離搬送することができるので、景品払出ユニット5の簡略化および小型化を図ることができる。なお、搬送機構24とカセット4とが、1対3の関係、1対4の関係、1対5の関係・・・となるように、1つの搬送機構24が、より多くのカセット4に対応していても構わない。
(2)上ユニット
図9は、内部が露出された状態にある上ユニット21を斜め上側から見た斜視図であって、搬送機構24も一緒に示している。
【0087】
次に、上ユニット21について説明する。
図9に示すように、上ユニット21は、その外郭をなす上ケーシング80と、上ケーシング80内に配置される保留ボックス81およびエレベータ82(図9には図示されず、後述する図10を参照)とを含んでいる。保留ボックス81は、受入部および搬送手段として機能する。
【0088】
上ケーシング80は、前後方向に長手で上下に扁平なボックス形状である。なお、図9において、上ケーシング80の前壁および右壁は省略されている。上ケーシング80では、上面が開放されている。
また、上ケーシング80の底面には、上ケーシング80内に連通する6つの開口83が形成されている。6つの開口83は、前後に3つ、左右に2つ並ぶように形成されている。各開口83は、前後に長手の矩形状であり、特に、前後に3つ並ぶ開口83において、真ん中にある開口83は、残りの開口83よりも前後方向に2倍程度大きい。
【0089】
下ユニット20がキャビネット3(図2参照)内にある状態(下ユニット20と上ユニット21とが一体化された状態であり、図3参照)では、各開口83は、対応するカセット4(図4参照)の開放された上面に対して真上から臨んでいる。
つまり、左側で前後に並ぶ3つの開口83において、最も前側の開口83は、下ユニット20において左側で前後に並ぶ4つのカセット4のうち、最も前側のカセット4の上面に対して上から臨んでいる(図4も参照)。また、左側で前後に並ぶ3つの開口83において、最も後側の開口83は、下ユニット20において左側で前後に並ぶ4つのカセット4のうち、最も後側のカセット4の上面に対して上から臨んでいる(図4も参照)。一方、前後方向で真ん中にある開口83は、前後に並ぶ4つのカセット4のうち、前から2番目および3番目のカセット4の上面に対して上から臨んでいる(図4も参照)。右側で前後に並ぶ3つの開口83についても同様である。
【0090】
保留ボックス81は、左右に2つ設けられている(図9では、保留ボックス81が1つだけ図示されている。)。保留ボックス81は、左右にやや薄いボックス形状であり、その上面および底面は、開放されている。
保留ボックス81の平断面は、カセット4と同様に、略コ字形状をなしている(図5参照)。図9に示す左側の保留ボックス81では、右面が上下方向における全域において開放されており、図示されていない右側の保留ボックス81では、左面が上下方向における全域において開放されている。各保留ボックス81において、このように開放された部分を、開放部84という。開放部84は、保留ボックス81の開放された上面および底面の両方に対して連続している。
【0091】
左側の保留ボックス81は、上ケーシング80の左壁によって前後方向へスライド自在に支持されており、右側の保留ボックス81(図示せず)は、上ケーシング80の右壁によって前後方向へスライド自在に支持されている。左右の保留ボックス81は、互いに連動することなく、単独でスライドすることができる。
そして、各保留ボックス81は、前後にスライドする際に、左右方向において同じ側で前後に並ぶ3つの開口83の上方を通過する。
【0092】
ここで、左側における最も前側の開口83を参照して、上述したように搬送ユニット32(分離搬送部70)が、この開口83の下方にあるカセット4(図4参照)の景品2を上方へ搬送する際、左右方向で同じ側にある保留ボックス81(ここでは左側の保留ボックス81)は、搬送される景品2の真上に位置するように移動してから、この位置で待機する。
【0093】
そして、搬送ユニット32の分離搬送部70によって上方へ搬送されてきた景品2は、この景品2を収納していたカセット4の上方にある開口83(ここでは、左側における最も前側の開口83)、待機している保留ボックス81の開放された底面を順に通過し、保留ボックス81内に収容される。つまり、保留ボックス81は、カセット4に対して上方(上下方向における隣)に配置され、分離搬送部70が搬送してきた景品2を受け入れる。この後、搬送ユニット32は、元の位置(上述した待機位置)へ戻る。
【0094】
なお、保留ボックス81内に景品2が収容されると、保留ボックス81に設けられた爪(図示せず)が、保留ボックス81内に突出し、保留ボックス81内で最も下側にある景品2に対して下から係合する。これにより、保留ボックス81内に収容された景品2が保留ボックス81の底面から落下することはない。
図10は、内部が露出された状態にある上ユニット21の斜視図であって、エレベータ82を示している。図11は、図10において、エレベータ82の伸縮機構87が伸長状態に姿勢を変えた様子を示している。
【0095】
図10に示すように、エレベータ82は、上ケーシング80の底壁の前後方向略中央位置にあり、上ケーシング80の底壁において左右に隣り合う開口83の間で前後に延びる部分(リブ85という。)に上から取り付けられている。この状態で、エレベータ82は、リブ85上で前後に移動することができる。エレベータ82は、左右に間隔を隔てて配置される2枚の水平な板状のステージ86と、伸縮機構87とを含んでいる。
【0096】
2枚のステージ86のうち、左側のステージ86は、左側で前後に3つ並ぶ開口83における真ん中の開口83に対して上から臨んでおり、右側のステージ86は、右側で前後に3つ並ぶ開口83における真ん中の開口83に対して上から臨んでいる。この状態で、2枚のステージ86は、連結部材88によって連結され、一体化されている。
伸縮機構87は、いわゆるパンタグラフ構造であり、図10に示すように上下に扁平な収縮状態と、上側へ伸び出た伸長状態(図11参照)とに姿勢を変えることができる。伸縮機構87では、その前後方向略中央部分(上昇部分89という。)が、伸縮機構87が収縮状態から伸長状態へ姿勢を変えるときに最も上昇する。伸縮機構87が収縮状態と伸長状態との間で姿勢を変える際、上昇部分89は、垂直方向に沿って直線的に上下する。2枚のステージ86を連結する連結部材88は、伸縮機構87の上昇部分89に上から取り付けられている。
【0097】
図10に示すように伸縮機構87が収縮状態にあるときには、各ステージ86は、左右方向で同じ側にある保留ボックス81の底面よりも低い位置にある。図11に示すように伸縮機構87が伸長状態にあるときには、各ステージ86は、左右で同じ側にある保留ボックス81(図10では、左側の保留ボックス81だけが図示されている。)よりも高い位置にあり、キャビネット3の上面において左右方向で同じ位置にある払出口8(図2参照)に一致する。
【0098】
ここで、上述したように保留ボックス81内に景品2が収容されると、保留ボックス81は、前後方向にスライドし、図10に示すように、左右方向で同じ側にあるステージ86の真上(換言すれば払出口8の真下)で停止する。つまり、保留ボックス81は、受け入れた景品2を所定位置(ステージ86の真上かつ払出口8の真下)に搬送する。このとき、伸縮機構87は、収縮状態にある。
【0099】
このように、保留ボックス81は、搬送ユニット32(図9参照)によって搬送された景品2を払出口8側へ搬送した後、搬送された景品2を払出口8の下方で保留することから、上述した第2搬送部11および保留部12として機能している。保留ボックス81により、カセット4から搬送された景品2を、払出口8へ向けて確実に搬送することができる。
【0100】
なお、ステージ86の真下に位置するカセット4の景品2を払い出す場合には、ステージ86を含むエレベータ82全体が、このカセット4に対して前後のどちらかへずれる。そして、このカセット4から搬送された景品2が保留ボックス81内に収容されると、払出口8の真下にステージ86が配置されるように、エレベータ82が元の位置に戻る。
そして、このように保留ボックス81が景品2を所定位置(ステージ86の真上かつ払出口8の真下)に搬送すると、収縮状態にあった伸縮機構87が、図11に示すように、伸長状態へと姿勢を変える。これにより、保留ボックス81の真下にあったステージ86が、垂直方向に沿って上昇する。この際、このステージ86は、保留ボックス81の開放された底面を通過し、その後、保留ボックス81に収容された景品2のうち最も下側に位置する景品2の底面を下から押し上げる。これにより、保留ボックス81に収容された全ての景品2は、ステージ86に載置された状態で上昇する。
【0101】
そして、伸縮機構87が伸長状態になったときには、保留ボックス81に収容されていた全ての景品2は、ステージ86によって持ち上げられ、保留ボックス81の開放された上面よりも上方へ移動する。このとき、キャビネット3の上面において左右方向で同じ位置にある払出口8(図2参照)が開放されており、保留ボックス81の開放された上面よりも上方へ移動した景品2は、開放された払出口8からキャビネット3の上面に露出される。つまり、エレベータ82は、保留ボックス81によって所定位置(ステージ86の真上かつ払出口8の真下)に搬送された景品2を払出口8へ持ち上げていることから、上述したリフト部13として機能している。エレベータ82により、搬送ユニット32の分離搬送部70(図9参照)がカセット4から搬送した景品2を、景品払出装置1の払出口8へ向けて確実に搬送することができる。
【0102】
ここで、図2を参照して、払出口8を開閉するシャッタ9は、払出口8を開放したときには、払出口8に対して前側(従業員側)にずれている(この状態は図示せず)。上述したように景品2が払出口8から露出されると、シャッタ9は、後側(客側)へスライドし、景品2を後側の客へ向けて押し出しつつ、払出口8を閉じる。この後、伸縮機構87は、収縮状態に戻る(図10参照)。
【0103】
図12は、景品払出装置1の模式的な側断面図である。
図12を参照して、以上で説明した本発明の景品払出装置1の各景品払出ユニット5における景品2の払い出し動作をまとめる。なお、図12の太線矢印は、払い出される景品2(図5(b)参照)の流れを示している。
各景品払出ユニット5において、下ユニット20の各カセット4に収納された景品2は、必要な枚数(払出枚数)だけ分離された後、上向きへ搬送されて上ユニット21内に受け渡される。その後、上ユニット21内に受け渡された景品2は、中央位置(払出口8の真下)へ搬送される。次に、払出口8のシャッタ9が開放されるとともに、景品2が、エレベータ82によって払出口8まで持ち上げられ、最後に、払出口8を閉じようとするシャッタ9によって後側(図12における左側であり、後述する図13においても同様)に押し出され、客に払い出される。
【0104】
図13は、図12に変形例を適用した図である。
なお、図12で示した景品2の流れとは異なる流れで、景品2を客に払い出すことができる。なお、図13の太線矢印は、払い出される景品2(図5(b)参照)の流れを示している。
図13に示すように、キャビネット3の後端の上端部には、キャビネット3の上面から下向きに窪む凹部95が区画されている。凹部95は、その上方に設けられたシャッタ96によって開閉自在に覆われている。また、凹部95は、上ユニット21に対して後側から隣接している。
【0105】
図13の景品払出装置1では、各景品払出ユニット5において、下ユニット20の各カセット4に収納された景品2は、必要な数だけ分離された後、上向きへ搬送されて上ユニット21内に受け渡される。その後、上ユニット21内に受け渡された景品2は、図12の場合とは異なり、上ユニット21内を後方へ搬送され、凹部95に溜められる。その後、凹部95の上方のシャッタ96が開き、客は、凹部95に溜められた景品2を受け取る。この場合、上述したエレベータ82(図12参照)を省略することができる。
【0106】
この発明は、以上の実施形態の内容に限定されるものではなく、請求項記載の範囲内において種々の変更が可能である。
たとえば、搬送ユニット32(図7A参照)が景品2を正確に計数するための処置(搬送ユニット32を精度良く移動させる機構の適用や搬送ユニット32(特にセンサ37)の最適配置等)は、必要に応じて適宜実施される。なお、センサ37には、上述した非接触の光学式に限らず、景品2の側面2A(図7A参照)に直接接触して上述した境界Xを検知する接触式も適用可能である。
【0107】
また、上記の実施形態では、遊技施設のフロアに直接据え置かれる景品払出装置1を例示したが、本発明は、遊技施設のカウンタ等に載せられる卓上タイプの景品払出装置(上記特許文献2参照)にも適用可能である。
【符号の説明】
【0108】
1 景品払出装置
2 景品
4 カセット
5 景品払出ユニット
8 払出口
60 計数部
70 分離搬送部
81 保留ボックス
82 エレベータ
100 景品管理機
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置内に収納された景品を払出口から払い出す景品払出装置に収容される景品払出ユニットであって、
複数枚の景品を積層状態で収納するための収納部と、
前記収納部に積層状態で収納された景品を1枚ずつ計数する機能を有する計数手段と、
前記収納部に収納された景品において、前記計数手段を利用して所定の払出枚数に相当する景品群を特定し、特定した前記景品群を前記収納部における他の景品から分離して所定方向に搬送する分離搬送手段と、
を含むことを特徴とする、景品払出ユニット。
【請求項2】
前記計数手段を利用して、前記収納部に収納されている全ての景品の枚数を計数する手段を備えていることを特徴とする、請求項1記載の景品払出ユニット。
【請求項3】
前記計数手段と前記分離搬送手段とが一体化されていることを特徴とする、請求項1または2記載の景品払出ユニット。
【請求項4】
一体化された1組の前記計数手段および前記分離搬送手段が、並んで配置された複数の前記収納部のそれぞれに収納された景品に対して対応可能であることを特徴とする、請求項3記載の景品払出ユニット。
【請求項5】
前記収納部に対して前記所定方向における隣に配置され、前記分離搬送手段が搬送してきた景品を受け入れる受入部と、
前記受入部に受け入れられた景品を所定位置に搬送する搬送手段と、
を含むことを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の景品払出ユニット。
【請求項6】
前記搬送手段によって前記所定位置に搬送された景品を、前記景品払出装置の前記払出口へ持ち上げるエレベータを含むことを特徴とする、請求項5記載の景品払出ユニット。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載の景品払出ユニットが複数並んだ状態で収容されることを特徴とする、景品払出装置。
【請求項8】
外部機器との間で通信することができることを特徴とする、請求項7記載の景品払出装置。
【請求項9】
請求項8に記載の景品払出装置と、
前記景品払出装置と通信可能な景品管理機と、
を含み、
前記景品管理機は、景品払出指示を、前記景品払出装置に送信し、
前記景品払出装置は、前記景品払出指示に基づいて景品を払い出すとともに、前記計数手段による前記収納部の景品の計数結果を、前記景品管理機に送信することを特徴とする、景品払出システム。
【請求項1】
装置内に収納された景品を払出口から払い出す景品払出装置に収容される景品払出ユニットであって、
複数枚の景品を積層状態で収納するための収納部と、
前記収納部に積層状態で収納された景品を1枚ずつ計数する機能を有する計数手段と、
前記収納部に収納された景品において、前記計数手段を利用して所定の払出枚数に相当する景品群を特定し、特定した前記景品群を前記収納部における他の景品から分離して所定方向に搬送する分離搬送手段と、
を含むことを特徴とする、景品払出ユニット。
【請求項2】
前記計数手段を利用して、前記収納部に収納されている全ての景品の枚数を計数する手段を備えていることを特徴とする、請求項1記載の景品払出ユニット。
【請求項3】
前記計数手段と前記分離搬送手段とが一体化されていることを特徴とする、請求項1または2記載の景品払出ユニット。
【請求項4】
一体化された1組の前記計数手段および前記分離搬送手段が、並んで配置された複数の前記収納部のそれぞれに収納された景品に対して対応可能であることを特徴とする、請求項3記載の景品払出ユニット。
【請求項5】
前記収納部に対して前記所定方向における隣に配置され、前記分離搬送手段が搬送してきた景品を受け入れる受入部と、
前記受入部に受け入れられた景品を所定位置に搬送する搬送手段と、
を含むことを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の景品払出ユニット。
【請求項6】
前記搬送手段によって前記所定位置に搬送された景品を、前記景品払出装置の前記払出口へ持ち上げるエレベータを含むことを特徴とする、請求項5記載の景品払出ユニット。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載の景品払出ユニットが複数並んだ状態で収容されることを特徴とする、景品払出装置。
【請求項8】
外部機器との間で通信することができることを特徴とする、請求項7記載の景品払出装置。
【請求項9】
請求項8に記載の景品払出装置と、
前記景品払出装置と通信可能な景品管理機と、
を含み、
前記景品管理機は、景品払出指示を、前記景品払出装置に送信し、
前記景品払出装置は、前記景品払出指示に基づいて景品を払い出すとともに、前記計数手段による前記収納部の景品の計数結果を、前記景品管理機に送信することを特徴とする、景品払出システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図7D】
【図7E】
【図7F】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図7D】
【図7E】
【図7F】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2010−166946(P2010−166946A)
【公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−9601(P2009−9601)
【出願日】平成21年1月20日(2009.1.20)
【出願人】(000001432)グローリー株式会社 (1,344)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年1月20日(2009.1.20)
【出願人】(000001432)グローリー株式会社 (1,344)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]