説明

景品落下式ゲーム機

【課題】ユーザには技量を試すように操作させつつ、かつゲーム機の提供者によって予め設定されたプレイ回数以上で景品を落下させる景品落下式ゲームを提供する。
【解決手段】被射出体を射出し景品載置台に載置された景品に当てることで、当該景品を前記景品載置台から落下させ排出する景品落下式ゲーム機であって、前記被射出体を前記景品に向かって射出する射出装置と、前記被射出体の先端に設けられ前記被射出体が前記景品と接触したことを検知する接触センサと、前記接触センサの検出結果に基づき前記被射出体の移動距離を制限する制御手段とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は被射出体を射出し景品載置台に載置された景品に当てることで、その景品を落下させる景品落下式ゲーム機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、景品載置台に載置された景品をユーザの操作により落下させ、当該落下された景品をユーザに獲得させる景品落下式ゲーム機が普及している。これらのゲーム機は、一般的に、特許文献1のように、ユーザに直接的に操作をさせることで、ユーザの技量により景品を落下させるタイプと、特許文献2のように、ルーレットなどを利用することで、ユーザの技量にかかわらず、予め設定された確率に基づいて景品を落下させるタイプとに分かれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−43425号公報
【特許文献2】特開平2000−79273号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記特許文献1に係る発明は、景品が落下されるか否かはユーザの技量次第である。すなわち、ゲーム機を提供する側にとっては、技量の高いユーザによって少ないプレイ回数で簡単に景品を排出されている場合にも施す術がない。その結果、ゲーム機を提供する側にとっては、投入された金額に対しての景品排出率が高くなり、期待したインカムを得ることができない。
【0005】
一方、前記特許文献2に係る発明は、上述したように、予め設定された確率に基づいて景品を落下させるものである。この特許文献2に係る発明は、上記特許文献1に係る発明とは異なり、ゲーム機を提供する側にとっては、予め設定した景品排出率により安定したインカムを期待できるものの、ユーザにとっては、景品を獲得できるか否かは運次第であり自己の技量を試すことができない。そのため、次第にユーザがプレイに対する興味をなくしてしまうという、ゲーム機としては好ましくない結果になる。
【0006】
このように、従来の景品落下式ゲーム機では、予め景品排出率を設定しておくことで安定したインカムを期待するゲーム機の提供者側と、予め設定された景品排出率ではなく自己の技量により景品を排出することを期待するユーザ側との間に食い違いが生じているものの、何れか一方の期待にしか答えられないという問題があった。
【0007】
本発明は、このような点に鑑み、ユーザには技量を試すように操作させつつ、かつゲーム機の提供者によって予め設定されたプレイ回数以上で景品を落下させる景品落下式ゲームを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明の主要な観点によれば、被射出体を射出し景品載置台に載置された景品に当てることで、当該景品を前記景品載置台から落下させ排出する景品落下式ゲーム機であって、前記被射出体を前記景品に向かって射出する射出装置と、前記被射出体の先端に設けられ前記被射出体が前記景品と接触したことを検知する接触センサと、前記接触センサの検出結果に基づき前記被射出体の移動距離を制限する制御手段とを有することを特徴とする景品落下式ゲーム機が提供される。
【0009】
また、この場合、前記射出装置は、前記被射出体と連結し伸縮自在に設けられた伸縮部材を有し、前記制御手段は、前記景品に前記被射出体が接触したことが前記接触センサによって検知されると、前記伸縮部材の伸長距離を制限することが望ましい。
【0010】
また、この発明の別の実施例によれば、一の景品若しくは一の景品グループに対しての所定の射的回数のうち、前記伸縮部材の伸長距離を制限しない回数目を算出するためのぺイ率を予め設定するペイ率設定手段を有し、前記制御手段は、前記射的回数をカウントすると共に、このカウントされた射的回数と前記ペイ率設定手段によって予め設定されたペイ率に基づいて、前記伸縮部材の伸長距離を制限する若しくは制限しないことを特徴とする景品落下式ゲーム機が提供される。
【0011】
また、この場合、前記ペイ率設定手段は、前記被射出体の射出範囲を複数に分割した範囲にそれぞれ対応する複数のペイ率を設定し、前記制御手段は、前記被射出体の射出範囲を複数に分割した範囲ごとに射的回数をそれぞれカウントすると共に、このカウントされた射的回数と前記予め設定された複数のペイ率のうち一のペイ率に基づいて、前記伸縮部材の伸長距離を制限する若しくは制限しないことが望ましい。
【0012】
さらに、この発明の別の実施形態によれば、前記被射出体の射出方向を検出する射出方向検出手段を有し、前記制御手段は、前記被射出体の射出範囲を複数に分割した範囲のうち、前記射出方向検出手段によって検出された前記被射出体の射出方向に対応する範囲における、射的回数とペイ率とに基づいて、前記伸縮部材の伸長距離を制限する若しくは制限しないことを特徴とする景品落下式ゲーム機が提供される。
【0013】
また、この発明の別の実施形態によれば、画像認識により前記被射出体の射出方向にある景品の種類を個別に認識する景品認識手段を有し、前記制御手段は、景品認識手段の認識結果と、予め個々の景品に対応して個別に設定された前記ペイ率とに基づいて前記伸縮部材の伸長距離を制限することを特徴とする景品落下式ゲーム機が提供される。
【0014】
また、この発明の別の実施形態によれば、被射出体を射出し景品載置台に載置された景品に当てることで、当該景品を前記景品載置台から落下させ排出する景品落下式ゲーム機における景品落下方法であって、前記被射出体を前記景品に向かって射出する射出行程と、前記被射出体の先端に設けられ前記被射出体が前記景品と接触したことを検知する接触検知行程と、前記接触センサの検出結果に基づき前記被射出体の移動距離を制限する制御行程とを有することを特徴とする景品落下方法が提供される。
【0015】
上述した本発明の特徴以外の特徴及びこの発明の顕著な効果については、次の発明の実施の形態および図面を参照することで当業者が容易に理解することができる。
【発明の効果】
【0016】
本願発明は、上記のような構成を有することで、ユーザには技量を試すように操作させつつ、かつゲーム機の提供者によって予め設定されたプレイ回数以上で景品を落下させる景品落下式ゲームを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は、外観図である。
【図2】図2は、射出装置の外観図及び概略断面図である。
【図3】図3は、ペイ率設定画面を示すものである。
【図4】図4は、制御ブロック図である。
【図5】図5は、フローチャートである。
【図6】図6は、景品が落下に至る様子を示したものである。
【図7】図7は、別の実施形態としてトレー上に景品を載置した様子を示したものである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、この発明に係る景品落下式ゲーム機1の外観を示したものである。
【0019】
この景品落下式ゲーム機1は、上部と下部とで区分けされた筐体2を有している。そして、前記筐体2の上部においては、天板11及び底板12を有しかつ側壁に透明なアクリル板などを採用し外部から視認可能に設けられた遊技スペース13を有している。
【0020】
前記遊技スペース13の底板12には、平面視で正面の側壁よりに設けられた射出装置4と、この射出装置4を中心として略円弧状に左右の側壁に亘って上下2段に設けられた景品載置台3とが設けられている。そして、前記底板12は、前記景品載置台3の下段と一体として形成されている。また、前記底板12と一体形成された前記景品載置台3下段の後端から先は、図示しないが、前記景品22を落下させるための空間(以下「落下ゾーン」という)を有している(図2(a)参照)。
【0021】
また、前記景品載置台3には、前記上段及び下段の2段にそれぞれ複数の景品22が載置されている。なお、以下、説明の便宜上、単に「景品載置台」というときは、上段及び下段のそれぞれを示すものとする。
【0022】
前記筐体2の下部においては、前記遊技スペース13の前記底板12及び前記景品落下ゾーンによって外部からは視認できないようになっており、この下部には、制御部5と、ペイ率(後述する)を設定するためのペイ率設定手段23とが設置されている。
【0023】
また、前記筐体2の前面には、コイン投入口21からのコイン投入を検出するコイン投入検出手段(図示せず)と、ユーザに各種操作をさせるための操作手段6と、図示しない音声報知手段により音声案内や効果音などを報知するためスピーカ7と、前記景品載置台3から落下した前記景品22を排出するための景品排出口8とを有している。なお、前記操作手段6は、適宜設計可能であるが、本実施形態では、開始ボタン及び停止ボタンの2つを有している。
【0024】
図2(a)は、前記射出装置4の斜視図である。この図2(a)に示すように、前記射出装置4は、前記遊技スペース13の底板12上に露出させ鉛直方向に移動可能かつ鉛直軸回りに360度回転可能に設けられた円盤状の台座10と、この台座10上に立設された本体9と、この本体9の正面に一端を固定し伸縮可能に設けられた伸縮部材20と、この伸縮部材20の他端に設けられた被射出体25と、前記遊技スペース13の底板12の下方に外部からは認識されないように設けられた上下/回転駆動装置26と、この上下/回転駆動装置26内に設けられた高さ/角度センサ27とを有している。
【0025】
前記本体9は、前記台座10の回転中心軸と同軸で立設され前記上下/回転駆動装置26によって、前記台座10と共に鉛直方向に移動し、かつ鉛直軸まわりに360度回転するようになっている。また、前記高さ/角度センサ27は、前記被射出体25の先端部分の高さ及び平面視での被射出体25の射出角度を、前記被射出体25の射出方向として検出するようになっている。
【0026】
図2(b)は、前記本体9の概略断面図である。この図2(b)に示すように、前記本体9内には、前記被射出体25を射出するための射出駆動装置28が設けられている。具体的には、前記射出駆動装置28は、内径の異なる複数の中空シャフト30が同軸でそれぞれ重なるように伸縮自在に連結して前記伸縮部材20として構成され、内径の最も小さい中空シャフト30の一端が前記被射出体25に固定されている。また、前記内径の最も小さい中空シャフト30内には、ドライブコード31が通されこのドライブコード31の一端が前記内径の最も小さい中空シャフト30に固定されている(図示せず)。そして、このドライブコード31がラックアンドピニオン機構32により電動モータ33で駆動されることで前記伸縮部材20が伸長し、前記被射出体25が射出されるようになっている。また、前記伸縮部材20は、最大伸長時で、少なくとも前記被射出体25の先端が前記景品載置台3の後端(図2(a)参照)の上方付近まで伸長するようになっている。なお、本実施形態では、前記被射出体25は、水平方向に射出されるようになっている。
【0027】
前記被射出体25は、例えばゴム又は合成樹脂など、反発力の少ない部材が採用されている。なお、この被射出体25の大きさや形状は適宜設計が可能である。また、前記被射出体25の先端には、物体に接触したことを検出する接触センサ35が設けられている。ここで、この接触センサ35の検出範囲は、少なくとも前記被射出体25の先端部分のうち前記景品と接触しうる範囲を全てカバーするものであることが望ましい。なお、前記接触センサ35は複数個で構成されるものであっても良い。
【0028】
ここで、前記伸縮部材20の伸長距離は、前記接触センサ35の検出結果と連動して前記制御部5によって所定距離に制限されるようになっている。具体的には、射出された前記被射出体25が前記景品22に接触したことを前記接触センサ35によって検知されると、当該検知されたときからの前記伸縮部材20の伸長距離(以下「接触距離」という)が前記制御部5によって所定距離(例えば、5mm)に制限される。なお、前記接触距離を制限するか否かは、後述するペイ率に基づいて決定されるようになっている。
【0029】
図3(a)は、前記被射出体25の射出範囲を所定の位置及び範囲A〜Hに分割した様子を示したものである。この分割された所定の位置及び範囲(以下「グループゾーン」という)A〜Hのうち、グループゾーンA〜Dは、前記景品載置台3の上段に対応したものであり、一方、グループゾーンE〜Hは、前記景品載置台3の下段に対応したものである。
【0030】
また、これらグループゾーンA〜Hは、前記被射出体25の射出方向に予め対応づけられて設定されている。例えば、グループゾーンAでは、図1に示した、携帯電話機を耳に当てたゾウのぬいぐるみが一つ載置されているとする。この場合、図3(a)に示すように、グループゾーンAの位置及び範囲を設定するためには、前記本体9の回転中心軸の最下点を基準点Pとし、この基準点Pから前記被射出体25の先端中心点の高さ範囲(Y)、及び平面視での射出角度範囲(θ)を前記ゾウのぬいぐるみの形状と大きさとに対応づけてグループゾーンAとして設定する。
【0031】
なお、各グループゾーンの設定は、上述した、前記景品22の形状や大きさによって決定する場合とは逆に、例えば、予め各グループゾーンの範囲をまず設定しておき、この設定された範囲に基づいて前記景品載置台3上の各グループゾーンの境界線上に予めラインを付したり仕切りパネルを設けても良い。すなわち、このラインや仕切りパネル内に前記景品22を載置することで、各グループゾーンごとに前記景品22が区別されて載置されるようになる。なお、複数の景品を一のグループゾーンに載置する場合は、必ずしも同種類の景品を載置する必要はない。例えば、大きい景品と小さい景品、若しくは、高額の景品と定額の景品とを一のグループゾーンに載置してもよい。
【0032】
図3(b)は、前記ペイ率の設定画面について示した図である。このペイ率設定画面では、前記グループゾーンA〜Hに対応した位置でペイ率が設定されるようになっている。すなわち、図3(a)に示したループゾーンA、B、C、D、E、F、G、Hには、その位置に対応してペイ率が3%、10%、10%、3%、20%、20%、20%、20%とそれぞれ設定されている。
【0033】
ここで、ペイ率とは、各グループゾーンに対しての所定の射的回数のうち、前記伸縮部材の伸長距離を制限しない回数目を算出するためものである。例えば、図3(a)において、グループゾーンBはペイ率が10%であるが、これは、このグループゾーンBに対する射的回数が10回のうち、最初の9回目までは、前記伸縮部材20の前記接触距離を、例えば5mmに制限するが、次の10回目からは、前記伸縮部材20の前記接触距離を制限せず、前記伸縮部材20の伸長を最長とするものである。すなわち、伸長距離を制限させない回数目=100/ペイ率(%)として算出される。なお、小数点が出る場合には切り捨てるなど適宜設定が可能である。
【0034】
なお、前記ペイ率設定画面は、例えば、図1の波線でペイ率設定手段23として示したように、前記筐体2のメンテナンスカバー(図示せず)の内側などに設置されたディスプレイなどに表示される。そして、図示しないペイ率操作手段などにより管理者などによって適宜設定されるようになっている。
【0035】
図4は、本願発明の機能ブロック図を示すものである。前記制御部5は、図示しないCPUにシステムバスを介してRAM、ROM及びHDDなどの外部記憶装置に入出力インタフェース(I/F)が接続されてなる。そして、前記入力インターフェース(I/F)には、前記高さ/角度センサ27と、前記接触センサ35と、前記操作手段6と、前記コイン投入口(コイン投入検出手段)11と、前記景品認識手段43とが接続されている。また、前記出力インターフェース(I/F)には、前記上下/回転駆動装置26と、前記射出駆動装置28と、前記スピーカ(音声報知手段)7とが接続されている。なお、前記制御部5は、実際には、外部記憶装置にインストールされたソフトウェアプログラムがCPUによってRAM上に呼び出されて実行されることで、この発明の機能を奏するようになっている。
【0036】
ここで、前記制御部5は、前記高さ/角度センサ27によって前記被射出体25の射出方向が検出されると、被射出体25の射出方向が前記グループゾーンA〜Hの何れに向いているかを検出すると共に、各グループゾーン毎に射的回数をカウントし記憶するようになっている。また、前記制御部5は、前記ペイ率設定手段25によってペイ率が設定されると、その都度、上述した、伸長距離を制限しない回数目を算出し記憶するようになっている。
【0037】
以下、上記構成の作用を図1〜7を参照しつつ詳しく説明する。
【0038】
図5は、本実施形態のフローチャートである。以下、このフローチャートに沿って説明する。なお、このフローチャートにおいて符号1〜13は、以下の説明における行程S1〜13にそれぞれ対応するものである。
【0039】
まず、前記コイン投入口21にコインを投入されたことが前記コイン投入検出手段によって検知されると(S1)、前記制御部5は、ゲーム開始合図及び音声案内として前記開始ボタンを押すように前記スピーカ7から報知する。そして、ユーザによって一定期間内に開始ボタンが押されると、前記制御部5は、前記上下/回転駆動装置26に前記本体9の上昇を開始させる(S2)。一方、前記制御部5は、一定期間内に開始ボタンが押されたことを検出しなかった場合には、開始ボタンを押す操作がユーザによってキャンセルされたものと見なして前記本体9を上昇させずに次の行程に進む。
【0040】
次に、前記制御部5は、前記本体9の上昇が開始されると、音声案内として停止ボタンを押すように、前記スピーカ7から報知する。そして、ユーザによって停止ボタンが押されると、前記制御部5は、前記上下/回転駆動装置26に前記本体9の上昇を停止させる(S3)。
【0041】
そして、前記本体9の上昇が停止すると、次に前記制御部5は、音声案内として前記開始ボタンを再び押すように前記スピーカ7から報知する。そして、ユーザによって再び開始ボタンが押されると、前記制御部5は、前記上下/回転駆動装置26に前記本体9の回転を開始させる(S4)。
【0042】
次に、前記制御部5は、前記本体9の回転を開始すると、音声案内として停止ボタンを押すように前記スピーカ7から報知する。そして、ユーザによって停止ボタンが押されると、前記制御部5は、前記上下/回転駆動装置26に前記本体9の回転を停止させる(S5)。
【0043】
ここで、前記本体9の回転が停止したとき、前記高さ/角度センサ27は、前記被射出体25の射出方向を検出する。このとき、前記制御部5は、この検出結果から前記被射出体25の射出方向が適正か否かを判断する(S6)。ここで、前記被射出体25の射出方向が適正な場合か否かの判断は、例えば、前記被射出体25の射出方向が前記グループゾーンA〜Hのうちの何れかの範囲内に向いている場合には適正とし、一方、前記被射出体25の射出方向がプレイヤ側に向いた場合など、前記被射出体25の射出方向が前記グループゾーンA〜Hのうちの何れの範囲にも向いていない場合には不適正として判断する。
【0044】
そして、前記制御部5は、前記被射出体25の射出方向が適正であると判断した場合(S6のYES)、当該射出方向に予め対応づけられた前記グループゾーンを特定すると共に、このグループゾーンCでの射出回数をカウントして記憶する(S7)。
【0045】
例えば、前記被射出体25の射出方向がグループゾーンCであることが前記高さ/角度センサ27によって検出されると、前記制御部5は、当該射出方向が適正であること及び当該射出方向に対応づけられたグループゾーンがグループゾーンCであることを特定すると共に、このグループゾーンCでの過去の射出回数に1を加えた数字を今回の射的回数として算出し記憶する。また、この場合、前記制御部5は、グループゾーンCでのペイ率(10%)に基づいて予め算出された、前記伸縮部材の伸長距離を制限しない回数目(10回目)を読み出す。
【0046】
一方、前記制御部5は、射出方向が不適正であると判断した場合(S6のNO)、前記スピーカ7から「ファール、もう一度やり直し!」などと報知すると共に、再び前記本体9の回転を前記上下/回転駆動装置26に開始させる(S4に戻る)。
【0047】
次に、前記制御部5は、前記射出駆動装置28に前記伸縮部材15の伸長を開始させる(S8)。このとき、前記制御部5は、常に前記接触センサ35の検出結果を監視し(S9)、前記接触センサ35が前記景品22に接触したことを検出するまで前記伸縮部材20の伸長を継続する(S9のNO)。
【0048】
そして、前記接触センサ35が前記景品22に接触したことを検出すると、前記制御部5は、今回の射的回数と、前記特定された(射出方向にある)グループゾーンに予め対応づけられたペイ率とに基づいて以下に説明するように前記接触距離を制限する。
【0049】
すなわち、例えば、上述したように、グループゾーンCでのペイ率は、10%である(図3(b)。そして、前記制御部5は、前記算出したこのグループゾーンCへの射出回数が1〜9回目まで(S10のNO)は、前記伸縮部材20の前記接触距離を所定距離(例えば、5mm)だけ伸長させたところで停止させる(S11)。すなわち、この場合、図6(a)に示したように、前記景品22は、前記被射出体25によって接触距離である5mmだけ後方に押されることになるが、波線で示したようにその場で揺れるだけで落下はしない。なお、景品22の種類によって落下には至らない接触距離は様々であるので、グループゾーンごとに適宜設定しても良い。
【0050】
一方、射的回数が10回目以上の場合(S10のYES)には、前記制御部5は、前記伸縮部材20の前記接触距離を最長にする(S12)。すなわち、前記制御部5は、前記被射出体25の先端部分が前記景品載置台3の後端上方付近に達するまで前記伸縮部材20を伸長させる。すると、前記景品22は、図6(b)に示したように、前記景品載置台3の後端から押し出されて、前記落下ゾーンに落下する。そして、前記落下ゾーンに落下した前記景品22が前記景品排出口8より排出される(S13)。
【0051】
また、前記接触センサ35が接触を検出しない場合(被射出体25が前記景品22から外れて伸長している場合)にも、前記制御部5は、伸縮部材20を制限せず最長距離まで伸長させる。
【0052】
なお、一旦伸長した前記伸縮部材15は、伸長が停止した後、一定時間後に前記制御部5によって、元の位置まで戻される。また、前記射的回数は、各グループゾーンにおいて、載置された景品が全て落下したことにより新たに景品が補充された場合などに当該ゲーム機の管理者などによって適宜リセットされる。
【0053】
なお、この発明は、前記一実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を変更しない範囲で種々変形可能である。
【0054】
例えば、上記実施形態では、ペイ率に基づいて、各グループゾーンに対しての所定の射的回数のうち、前記伸縮部材の伸長距離を制限しない回数目を算出したが、前記ペイ率を、単に前記伸縮部材の伸長距離を制限しない確率として用いても良い。例えば、ペイ率が10%である場合、前記制御部5は、10回のうちランダムに1回のみ前記伸縮部材の伸長距離を制限しないようにしてもよい。
【0055】
別の実施形態として、例えば、図7(a)に示すように、射出された被射出体25を受けるためのボード(以下「アシストボード」という)30と、水平軸回りに回転自在な回転部材41とを有したトレー42に前記景品22を一若しくは複数個載置する。この場合、前記アシストボード40に被射出体25が当たる毎に、前記回転部材41が回転(図の矢印Q方向)することで、前記トレー42の傾きが徐々に大きくなっていく。すると、複数回、前記被射出体25が前記アシストボード40に当たることによって、図7(b)に示すように、最終的に前記景品22が落下する。
【0056】
また、この場合、前記制御部5は、上述したように前記接触距離を制限するものであっても良いが、伸長速度を制限するものであっても良い。すなわち、前記制御部5は、前記被射出体25が前記アシストボード40に接触したことを検出すると、ペイ率に基づき予め設定された伸長速度になるように前記伸縮部材15を制限し、前記トレー42の傾き加減を調節する。そして、ペイ率に基づき予め設定された射的回数以上の場合に伸長速度を最大にすることで前記トレー42の傾きを最大にさせ前記景品22を落下させても良い。なお、この場合は、前記被射出体25には反発力の強い部材が採用されてもよい。
【0057】
更なる別の実施例として、図2(b)に示したように、前記被射出体25の射出方向にある一の景品22に照準が合うように景品認識手段43として、例えばCCDカメラを前記本体9の正面側に装着しておく。この場合は、上述したグループゾーンではなく、予め個々の景品22の画像をペイ率に対応づけて前記制御部5の記憶領域(図示せず)にそれぞれ格納しておく。そして、前記制御部5は、前記本体9の回転が停止し前記被射出体25の射出方向が当該一の景品22に向いたときに、前記景品認識手段43によって撮影された画像及び前記高さ/角度センサ27によって検出された前記被射出体25の射出方向から、当該一の景品22を、載置された位置と共に個別に認識する。そして、この個別に認識された当該一の景品22に対応づけられたペイ率及び当該一の景品22に対する射出回数に基づき前記伸縮部材20の前記接触距離を制限する。
【0058】
さらにこの場合、前記制御部5は、前記景品認識手段43によって撮影された、当該一の景品22が前記被射出体25により前記景品載置台3から押し出されて落下した様子を示す動画像に基づき、当該一の景品22が落下したことを、その載置された位置に対応づけて記憶する。そして、ゲーム機の管理者などによって新たに前記景品22が補充された後、再び前記被射出体25の射出方向が補充後の景品22に向いたときに、前記制御部15は、前記景品認識手段43によって撮影された補充後の景品22の画像及び射出方向に基づき、前記景品22が新たに補充された景品22であることを認識して当該補充後の景品22に対する射的回数をリセットし、再び一からカウントを開始するようにしても良い。
【符号の説明】
【0059】
1…景品落下式ゲーム機
2…筐体
3…景品載置台
4…射出装置
5…制御部
6…操作手段
7…スピーカ
8…景品排出口
9…本体
10…台座
11…天板
12…底板
13…遊技スペース
20…伸縮部材
21…コイン投入口
22…景品
23…ペイ率設定手段
25…被射出体
26…上下/回転駆動装置
27…高さ/角度センサ
28…射出駆動装置
30…中空シャフト
31…ドライブコード
32…ラックアンドピニオン機構
33…電動モータ
35…接触センサ
40…アシストボード
41…回転部材
42…トレー
43…景品認識手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被射出体を射出し景品載置台に載置された景品に当てることで、当該景品を前記景品載置台から落下させ排出する景品落下式ゲーム機であって、
前記被射出体を前記景品に向かって射出する射出装置と、
前記被射出体の先端に設けられ前記被射出体が前記景品と接触したことを検知する接触センサと、
前記接触センサの検出結果に基づき前記被射出体の移動距離を制限する制御手段とを有する
ことを特徴とする景品落下式ゲーム機。
【請求項2】
請求項1記載の景品落下式ゲーム機において、
前記射出装置は、前記被射出体と連結し伸縮自在に設けられた伸縮部材を有し、
前記制御手段は、前記景品に前記被射出体が接触したことが前記接触センサによって検知されると、前記伸縮部材の伸長距離を制限する
ことを特徴とする景品落下式ゲーム機。
【請求項3】
請求項2記載の景品落下式ゲーム機において、
一の景品若しくは一の景品グループに対しての所定の射的回数のうち、前記伸縮部材の伸長距離を制限しない回数目を算出するためのぺイ率を予め設定するペイ率設定手段を有し、
前記制御手段は、前記射的回数をカウントすると共に、このカウントされた射的回数と前記ペイ率設定手段によって予め設定されたペイ率に基づいて、前記伸縮部材の伸長距離を制限する若しくは制限しない
ことを特徴とする景品落下式ゲーム機。
【請求項4】
請求項3記載の景品落下式ゲーム機において、
前記ペイ率設定手段は、前記被射出体の射出範囲を複数に分割した範囲にそれぞれ対応する複数のペイ率を設定し、
前記制御手段は、前記被射出体の射出範囲を複数に分割した範囲ごとに射的回数をそれぞれカウントすると共に、このカウントされた射的回数と前記予め設定された複数のペイ率のうち一のペイ率に基づいて、前記伸縮部材の伸長距離を制限する若しくは制限しない
ことを特徴とする景品落下式ゲーム機。
【請求項5】
請求項4記載の景品落下式ゲーム機において、
前記被射出体の射出方向を検出する射出方向検出手段を有し、
前記制御手段は、前記被射出体の射出範囲を複数に分割した範囲のうち、前記射出方向検出手段によって検出された前記被射出体の射出方向に対応する範囲における、射的回数とペイ率とに基づいて、前記伸縮部材の伸長距離を制限する若しくは制限しない
ことを特徴とする景品落下式ゲーム機。
【請求項6】
請求項3記載の景品落下式ゲーム機において、
画像認識により前記被射出体の射出方向にある景品の種類を個別に認識する景品認識手段を有し、
前記制御手段は、景品認識手段の認識結果と、予め個々の景品に対応して個別に設定されたペイ率とに基づいて前記伸縮部材の伸長距離を制限する
ことを特徴とする景品落下式ゲーム機。
【請求項7】
被射出体を射出し景品載置台に載置された景品に当てることで、当該景品を前記景品載置台から落下させ排出する景品落下式ゲーム機における景品落下方法であって、
前記被射出体を前記景品に向かって射出する射出行程と、
前記被射出体の先端に設けられ前記被射出体が前記景品と接触したことを検知する接触検知行程と、
前記接触センサの検出結果に基づき前記被射出体の移動距離を制限する制御行程とを有する
ことを特徴とする景品落下方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−15804(P2011−15804A)
【公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−162113(P2009−162113)
【出願日】平成21年7月8日(2009.7.8)
【出願人】(310009993)株式会社タイトー (207)