説明

曲管ガラスバルブの製造装置

【課題】 消費電力を省力化すると共に、長寿命化を図れるようにする。
【解決手段】 直管状のガラスバルブ1の一端部を保持する第一保持部2と、ガラスバルブ1の他側に設けられた基台7、及び該基台7に回転軸8aが連結されたモータ8を有する駆動部6と、基台7上に配設されてガラスバルブ1の他端部を保持する第二保持部9と、ガラスバルブ1が挿通されるコイル状に捲回されたシーズヒータ14、及びシーズヒータ14をガラスバルブ1のに沿って往復移動させる移動手段12を有する加熱部11とを備え、シーズヒータ14のコイル状に捲回された円弧状部の外側を、一部が切断された円環状のヒータカバー15によって覆う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、直管状のガラスバルブを曲成形する際に、シーズヒータでガラスバルブを加熱しながら曲げ加工する曲管ガラスバルブの製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種の曲管ガラスバルブの製造装置は、例えば直管状のガラスバルブ1の一端部を保持する第一保持部2と、ガラスバルブ1の他側に設置された駆動部6と、後述する駆動部6の基台7の一側に配設された第二保持部9と、第一保持部2と第二保持部9との間に位置するよう上記基台7の他側に設けられた加熱部11と、第一保持部2、駆動部6、加熱部11を制御すると共に、ガラスバルブ1が曲成形可能であるか否かを判定する制御部(図示せず)とから構成されているものが公知になっている(特許文献1参照)。
【0003】
第一保持部2は、往復移動可能な摺動部3と、該摺動部3に立設された支持部材4と、該支持部材4に支持されたチャック5とを有している。
【0004】
駆動部6は、正面視矩形状の基台7が備えられており、該基台7の角部には、モータ8の回転軸8aが連結されて、この連結部を支点として基台7がモータ8によって回動するようになっている。
【0005】
第二保持部9は、支持台10に前後一対のローラ10aが上下に配設されており、各ローラ10aによってガラスバルブ1の他側の周面が上下方向から挟持されている。
【0006】
加熱部11は、往復移動可能な摺動部12と、該摺動部12に立設された支持部材13と、該支持部材13に支持され、且つガラスバルブ1に対し略同心状に捲回されている。
【0007】
制御部は、第一保持部2、駆動部6、加熱部11の制御内容、及びガラスバルブ1の曲成形の判定条件などがプログラムされている。
【0008】
このように構成された曲管ガラスバルブの製造装置は、まず、直管状のガラスバルブ1を、各ローラ10を経てヒータ14に挿通する一方、ガラスバルブ1の一端部をチャック5に挿通して装着する。
【0009】
そして、ヒータ14に給電した状態で、チャック5及びヒータ14の各摺動部3,12をガラスバルブ1の軸方向に沿って往復移動させ、ガラスバルブ1を徐々に加熱して軟化させる。その後、制御部において、ガラスバルブ1が曲成形可能な状態になったと判定されると、モータ8が駆動して、基台7が連結部を支点にして回動し、ガラスバルブ1が曲管形状に加工される。
【特許文献1】特許第2750989号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上記特許文献1の曲管ガラスバルブの製造装置の場合、ガラスバルブ1を軟化させるために、ヒータ14に大きな電流を流して高温にする必要がある。このため、ヒータ14の寿命が短いという問題がある。
【0011】
そこで、本発明は上記問題点に鑑み、ヒータの通電電流を低減すると共に、長寿命化を図ることができる曲管ガラスバルブの製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、本発明に係る曲管ガラスバルブの製造装置は、直管状のガラスバルブの一端部を保持する第一保持部と、ガラスバルブの他側に設けられた基台、及び該基台に回転軸が連結されたモータを有する駆動部と、該基台の他側に配設されたガラスバルブの他端部を保持する第二保持部と、ガラスバルブが挿通されるコイル状に捲回されたシーズヒータ、及び該シーズヒータをガラスバルブに沿って往復移動させる移動手段を有する加熱部とを備えた曲管ガラスバルブの製造装置において、上記シーズヒータのコイル状に捲回された円弧状部の外側が、ヒータカバーによって覆われてなることを特徴とする。
【0013】
この場合、ヒータカバーによってシーズヒータの外側を覆うことができるので、シーズヒータからの放熱が、シーズヒータとヒータカバーとの内部空間に蓄えられて、シーズヒータの表面温度が短時間に上昇することになる。したがって、シーズヒータに流す電流値を低減でき、電流値が下がることで、シーズヒータの長寿命化が図れる。
【0014】
また、本発明の曲管ガラスバルブの製造装置は、シーズヒータの両端部を、コイル状に捲回された円弧状部から下方に導出し、ヒータカバーを、シーズヒータの円弧状部に対して略同心状に設けられるよう、該円弧状部と略同一長さの円環状のものを使用し、その一部を長手方向に切り欠いて、ヒータカバーの切断端部を、シーズヒータの各導出端部に当接させるような構成を採用することもできる。
【0015】
この場合、ヒータカバーの切断端部がシーズヒータの導出端部に当接するので、ヒータカバーによって、シーズヒータの円弧状部が被覆される状態が維持される。
【0016】
また、本発明の曲管ガラスバルブの製造装置は、セラミック製のヒータカバーを使用する構成を採用することもできる。
【発明の効果】
【0017】
以上説明したように、本発明の曲管ガラスバルブの製造装置によれば、シーズヒータの寿命を長くすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態について添付図面を参照して説明する。
【0019】
本実施形態に係る曲管ガラスバルブの製造装置は、加熱部11を除いて、ガラスバルブ1の第一保持部2、第二保持部9、及び制御部は図2の装置と同一もしくは相当する構成であるので、これらの説明は省略し、図2と異なる加熱部11のみについて図1を参照して説明する。(尚、本説明ではヒータ14はシーズヒータを使用する。)
該加熱部11は、シーズヒータ14の外側に、セラミック製のヒータカバー15が略同心状に設けられている。
【0020】
シーズヒータ14は、幅寸法1cm未満で3〜5ターン密にコイル状に捲回されている。さらに、シーズヒータ14は、外部の通電端子に接続されるために、その両端部が、コイル状に捲回された円弧状部から斜め下方に向けて湾曲されて、さらに下側に向けて導出されている。
【0021】
ヒータカバー15は、マイカ係セラミック、例えば日本特殊陶業社製のマイカセラミックTMC−110を使用しており、耐熱温度が273℃〜1100℃の範囲で、幅寸法が1cm未満(シーズヒータの円弧状部と略同一長さ)で、厚さ寸法が5mm程度の円環状を呈している。
【0022】
そして、ヒータカバー15は、図1(イ)に示すように、その一部が径方向に対して直交方向に、且つ長手方向に切り欠かれ、その切り欠かれた隙間を略水平にして、シーズヒータ14の両側の湾曲部を挿通し、その後、ヒータカバー15を、ヒータカバー15の隙間が下側に位置するよう回動し、図1(ロ)に示すように、ヒータカバー15の両側の円弧状部から湾曲部にかけての導出端部に、ヒータカバー15の切断端部を当接させる。
【0023】
これによって、ヒータカバー15がシーズヒータ14の円弧状部に対して略同心状に設けられた状態で容易には外れないようになり、ヒータカバー15で覆われた状態が維持される。
【0024】
このように、シーズヒータ14の外側がヒータカバー15によって覆われることで、シーズヒータ14の放熱が少なくなり、シーズヒータ14の加熱温度を従来よりも低くしても、ガラスバルブ1を曲成形できるようになる。したがって、シーズヒータ14への電流を少なくでき、シーズヒータ14の寿命を伸ばすことができる。
【0025】
実際に、シーズヒータ14の温度を50度低くしてガラスバルブ1を曲げ加工しても、その曲げ性に変化がなく、歩留まりが下がることはなかった。しかも、シーズヒータ14の温度を50度下げることで寿命が1.5倍伸ばすことができた。
【0026】
なお、前記実施形態の場合、一部が切り欠かれた円環状のヒータカバー15を使用したが、角環状であってもよい。但し、シーズヒータ14の円弧状部に沿うように設けることが好ましい。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明に係る曲管ガラスバルブの製造装置は、携帯電話、パーソナルコンピュータなどの液晶画面、液晶テレビなどに適用するのに有効である。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】(イ)、(ロ)は、本発明の一実施形態に係る曲管ガラスバルブの製造装置のヒーター部を示す側面断面図
【図2】(イ)〜(ハ)は、従来例の曲管ガラスバルブの製造装置を示す側面断面図
【符号の説明】
【0029】
1 ガラスバルブ
2 第一保持部
6 駆動部
7 基台
8 モータ
9 第二保持部
11 加熱部
14 ヒータ(シーズヒータ)
15 ヒータカバー



【特許請求の範囲】
【請求項1】
直管状のガラスバルブの一端部を保持する第一保持部と、ガラスバルブの他側に設けられた基台、及び該基台に回転軸が連結されたモータを有する駆動部と、該基台上に配設されてガラスバルブの他端部を保持する第二保持部と、ガラスバルブが挿通されるコイル状に捲回されたシーズヒータ、及び該シーズヒータをガラスバルブに沿って往復移動させる移動手段を有する加熱部とを備えた曲管ガラスバルブの製造装置において、
上記シーズヒータのコイル状に捲回された円弧状部の外側が、ヒータカバーによって覆われてなることを特徴とする曲管ガラスバルブの製造装置。
【請求項2】
上記ヒータカバーは、シーズヒータの円弧状部に対して略同心状に設けられるよう、該円弧状部と略同一長さの円環状のものが使用され、その一部が長手方向に切り欠かれ、その切欠端部が、シーズヒータの各導出端部に当接されてなることを特徴とする請求項1に記載の曲管ガラスバルブの製造装置。
【請求項3】
上記ヒータカバーは、セラミック製であることを特徴とする請求項1又は2に記載の曲管ガラスバルブの製造装置。



【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−234506(P2007−234506A)
【公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−57437(P2006−57437)
【出願日】平成18年3月3日(2006.3.3)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】