説明

曲線突出部が形成されるサイドウォールを備える車両用タイヤ

【課題】本発明は、タイヤサイドウォールのエアロダイナミック(Aero dynamic)性能を向上させつつ、タイヤの回転抵抗を下げ、燃費向上および、高速走行時のタイヤと路面の安定した接地を可能にすることで、走行安定性を向上させる曲線突出部が形成されるサイドウォールを備える車両用タイヤを提供する。
【解決手段】このため、トレッドの端部につながるショルダーとホイールに装着されるビード部との間に配置される車両用タイヤのサイドウォールにおいて、前記サイドウォールの平面的基準面の上側に、浮き彫りになっている稜線状の突出曲線部がサイドウォールに沿って時計回りに形成されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、曲線突出部が形成されるサイドウォールを備える車両用タイヤに関するものであり、より詳しくは、タイヤサイドウォールのエアロダイナミック(Aero dynamic)性能を向上させつつ、タイヤの回転抵抗を下げ、燃費向上および、高速走行時のタイヤと路面の安定した接地を可能にすることで、走行安定性を向上させる車両用タイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
車両用タイヤの外観は、図12に示すように、路面と直接接するトレッド(100、Tread)と、 タイヤ両サイド部で、スムーズな屈伸運動が行われるサイドウォール(101、Sidewall)、 トレッド(100)の端部につながるサイドウォール(101)の上部であるショルダー(102、Shoulder)、および、ホイール(104、Wheel)に装着されるビード(103、Bead)部とからなる。
【0003】
ここで、前記サイドウォール(101)は主にタイヤマーキング(Marking)事項などを刻み込む部分で、商品名、ブランド名、荷重、空気圧情報、警告メッセージ、その他の認証マークなど様々な情報を示す文句が刻まれており、性能的なタイヤサイドウォール(101)は路面と接地するトレッド(100)とホイール(104)との間で力を伝達し、屈伸運動により荷重を支えるスプリングとしての役目を持つ。
【0004】
しかしながら、最近、車の環境性能が強調されており、燃費が重要なイシューとして台頭しつつあることにより、タイヤサイドウォールに関わっても性能向上と低燃費のための様々な試みが行われている。そのうち、日本国特開平8−318717号公報および日本国特開2001-191745号公報には、タイヤサイドウォールの表面に生じる凹凸を目立たなくすることにより、タイヤの外観不良を抑制する多数の鋸歯状(Serration Type)のリッジを連続配列した構造が開示されている。
【0005】
また、従来もタイヤサイドウォールにディンプル(Dimple)状を刻み込むことにより走行中に乱流(Turbulence)を発生させ、空気抵抗を低減しようとする試みなどもあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平8−318717号公報
【特許文献2】特開2001-191745号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで本発明は、上記のような従来の構造とは異なる構造および目的を目指して発明されたものであり、サイドウォールの平面的基準面の上側に、浮き彫りになっている稜線状の突出曲線部を配置することにより、サイドウォールのエアロダイナミック性能を向上させつつ、走行安定性を向上させる曲線突出部が形成されるサイドウォールを備える車両用タイヤの提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するために、本発明は、トレッドの端部につながるショルダーとホイールに装着されるビード部との間にサイドウォール部が配置される車両用タイヤにおいて、前記サイドウォール部の平面的基準面の上側に、浮き彫りになっている稜線状の突出曲線部がサイドウォール部に沿って時計回りに形成され、該稜線状の突出曲線部の片側の始端部はビード部上層のリムフランジ(Rim Flange)部分から始まり、反対側の終端部はサイドウォール上端に位置するパーティング部の下端ラインまで連続的に延びており、このような稜線状の突出曲線部はサイドウォールの基準面に同じ構造で等角度で連続繰り返し形成されていることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の車両用タイヤの側面部分を示す図面である。
【図2】図1のI-I線の拡大断面図である。
【図3】本発明のタイヤサイドウォールにおいて、突出曲線による空気の流れを示す図面である。
【図4】本発明のタイヤサイドウォールにおいて、車のホイールハウス(Wheel house)下端でのダウンフォース(Down Force)効果を示す図面である。
【図5】本発明の他の実施例に係る車両用タイヤの側面部分を示す図面である。
【図6】本発明の他の実施例に係る車両用タイヤの側面部分を示す図面である。
【図7】本発明の他の実施例に係る車両用タイヤの側面部分を示す図面である。
【図8】本発明の他の実施例に係る車両用タイヤの側面部分を示す図面である。
【図9】本発明の他の実施例に係る車両用タイヤの側面部分を示す図面である。
【図10】本発明の他の実施例に係る車両用タイヤの側面部分を示す図面である。
【図11】本発明の他の実施例に係る車両用タイヤの側面部分を示す図面である。
【図12】従来の一般的なホイールに装着される車両用タイヤを撮影した写真である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を添付の図示例とともに詳しく説明する。
【0011】
本発明は、図1の実施例に示すように、トレッド(10)の端部につながるショルダー(12)とホイールに装着されるビード部(13)との間に配置される車両用タイヤのサイドウォールにおいて、前記サイドウォール(11)の平面的基準面(1)(タイヤサイドウォールに文字を浮き彫りまたは沈み彫りで彫る際、浮き彫りおよび沈み彫りの基準(0)となる面で、突出形状を説明するために「基準面」という用語を用いる:side mold base)の上側に、浮き彫りになっている稜線状の突出曲線部(2)がサイドウォールに沿って時計回りに対角線方向に伸びて形成されている。該稜線状の突出曲線部(2)の片側の始端部(3)はビード部(13)上層のリムフランジ部分から始まり、反対側の終端部(4)がサイドウォール(11)上端に位置するパーティング部の下端ライン(5)まで連続的に延びており、このような稜線状の突出曲線部(2)はサイドウォールの基準面に沿って同じ構造で等角度で連続繰り返し形成されている。
【0012】
なお、図2に示すように、サイドウォール(11)の稜線状の突出曲線部(2)の上側面(6)および下側面(7)は、それぞれ稜線でサイドウォールの基準面(1)まで緩やかな曲線になっており、断面が左右対称である突出曲線状に形成されている。
【0013】
このような稜線状の突出曲線部(2)は、サイドウォール(11)に沿って流れる空気の流れを変えるようになり、即ち、図3に示すように、サイドウォール(11)に入る空気(A)を稜線状の突出曲線部(2)がこの空気(A)の流れと異なる方向の流れ(B)に変えて出し、この 稜線状の突出曲線部(2)の下端部には低い空気の流れ(C)で少量の空気のみが流れるようになり、サイドウォール(11)全体に作用する空気圧が低くなり、前記稜線状の突出曲線部(2)の下端部が低い空気の流れにより圧力が上昇して横方向に押す力が発生し、これはタイヤの回転に有利に作用して燃費向上の効果をもたらす。
【0014】
また、図4に示すように、サイドウォール(11)に入る空気(A)の流れは、このサイドウォール(11)を自然に通らず、車のホイールハウス(15)の内側に移動し、タイヤのトレッド(10)上端を押し下げるダウンフォース(D、Down Force)を発生させる。このダウンフォース(D)は、高速走行時のタイヤと路面の安定した接地を可能にすることで、走行安定性を向上させ、これは車のリアスポイラー(Rear Spoiler)が乱流を発生させて車の後端を押し下げる効果と同じ原理である。その一方で、図5〜11は本発明の他の実施例を示すタイヤサイドウォールの図面であり、図5の実施例は稜線状の突出曲線部(2)の始端部(3)と終端部(4)とが直線状に延びていることを示しており、図6の実施例は該突出曲線部(2)の始端部(3)と終端部(4)とが図1の実施例よりも半径が小さな曲線状に延びていることを示しており、図7の実施例は稜線状の突出曲線部(2)が図1の実施例の逆の反時計回りに曲線状に形成されていることを示している。
【0015】
また、図8は本発明の他の実施例であり、前記稜線状の突出曲線部(2)の始端部(3)と終端部(4)とがジグザグに延びていることを示しており、図9は稜線状の突出曲線部(2)が2つの曲線でつながることを示しており、図10は前記稜線状の突出曲線部(2)の上側および下側に、多数のディンプル(9)が形成されて配置されており、該ディンプル(9)を円形、三角形、四角形、多角形など様々な形態で形成することができながら、その大きさは同じ、または異なるように形成しえる。
【0016】
最後に、図11は本発明の他の実施例であり、前記稜線状の突出曲線部(2)が1つの始端部(3)から分岐して異なる終端部(4)を有するように形成されている。
【0017】
このような発明に係る車両用タイヤサイドウォールは、稜線状の突出曲線部により走行時にタイヤのエアロダイナミック性能を向上させつつ、高速走行時のタイヤと路面の安定した接地を可能にすることで、走行安定性を向上させる機能を持つ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トレッドの端部につなかるショルダーと、ホイールに装着されるビード部との間に配置されるタイヤサイドウォールにおいて、
前記サイドウォールの平面的基準面の上側には、浮き彫りになっている稜線状の突出曲線部が時計回りに形成され、該稜線状の突出曲線部の片側の始端部がビード部上層のリムフランジ部分から始まり、反対側の終端部がサイドウォール上端に位置するパーティング部の下端ラインまで連続的に延びており、このような稜線状の突出曲線部はサイドウォールの基準面に同じ構造で等角度で連続繰り返し形成されて成ることを特徴とする、曲線突出部が形成されるサイドウォールを備える車両用タイヤ。
【請求項2】
前記稜線状の突出曲線部の上側面および下側面は、稜線でサイドウォールの基準面まで緩やかな曲線になっていることを特徴とする、請求項1に記載の曲線突出部が形成されるサイドウォールを備える車両用タイヤ。
【請求項3】
前記稜線状の突出曲線部は、断面が左右対称である突出曲線状に形成されることを特徴とする、請求項1に記載の曲線突出部が形成されるサイドウォールを備える車両用タイヤ。
【請求項4】
前記稜線状の突出曲線部の始端部と終端部とが直線状に延びていることを特徴とする、請求項1に記載の曲線突出部が形成されるサイドウォールを備える車両用タイヤ。
【請求項5】
前記稜線状の突出曲線部が、反時計回りに曲線状に形成されて成ることを特徴とする、請求項1に記載の曲線突出部が形成されるサイドウォールを備える車両用タイヤ。
【請求項6】
前記稜線状の突出曲線部の始端部と終端部とがジグザグに延びていることを特徴とする、請求項1に記載の曲線突出部が形成されるサイドウォールを備える車両用タイヤ。
【請求項7】
前記稜線状の突出曲線部が2つの曲線でつながることを特徴とする、請求項1に記載の曲線突出部が形成されるサイドウォールを備える車両用タイヤ。
【請求項8】
前記稜線状の突出曲線部の上側および下側に、多数のディンプルが形成されて配置されることを特徴とする、請求項1に記載の曲線突出部が形成されるサイドウォールを備える車両用タイヤ。
【請求項9】
請求項8に記載のディンプルを円形、三角形、四角形、多角形など様々な形態で形成することができながら、その大きさは同じ、または異なるように形成しえることを特徴とする、曲線突出部が形成されるサイドウォールを備える車両用タイヤ。
【請求項10】
前記稜線状の突出曲線部が1つの始端部から分岐して異なる終端部を有するように形成されることを特徴とする、請求項1に記載の曲線突出部が形成されるサイドウォールを備える車両用タイヤ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−18474(P2013−18474A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−254832(P2011−254832)
【出願日】平成23年11月22日(2011.11.22)
【出願人】(504037531)韓国タイヤ株式會社 (5)