最適化された使用可能な容積を有する航空機及び、航空機の使用可能な容積を最適化するための方法
本発明の主な主題は、人及び/又は貨物を収容するためのキャビン(4)と、推進システムと、を備えている胴体(2)を含んでいる航空機であって、前記推進システムは、少なくとも1つのタンク(6)及び/又は少なくとも1つの燃焼チャンバーを備え、前記推進システムの一部が人及び/又は貨物を収容するために、前記キャビン(4)の延在部として使用されることができ、前記推進システムの前記一部が前記キャビン(4)に隣接して位置し、且つ隔壁(10)によってキャビンから分離される航空機である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、最適化されることができる効率的な内部容積を有する航空機、特に飛行機又は宇宙機に関し、且つ乗客又は貨物のための使用可能な空間を最適化するために燃焼システムの一部の使用に関し、且つ航空機の使用可能な空間を最適化するための方法に関する。
【0002】
航空機、特に飛行機及び宇宙機は、シェルを形成する胴体を備えており、該シェルは、乗客、及び/又は貨物区画のためのキャビン及び燃料タンクを含む。
【0003】
キャビンの容積は、制限される。それにもかかわらず、経済的な理由のために、航空機の重量、その製造コスト、及びその燃料の消費を増加することなく、この容積を増加しようとされる。
【0004】
航空機の燃料タンクは、航空機が長距離を移動することを可能にするように設計される。さらに、航空機はまた、短距離、または中距離のために単に使用されることができる。この場合において、燃料タンクは完全に満たされていない。このボイドスペース(void space)は、それらの短い飛行範囲、又は長い飛行範囲の飛行中に使用されないので、デッドスペースである一方、このボイドスペースは、追加の乗客または貨物を運ぶために使用されることができ、それによって航空機の収益性を増加するであろう。
【0005】
現在の航空機において、ケロシンタイプの燃料は、一般的に、翼又は胴体内に格納される。この燃料は、全てのその操作温度及び操作圧力で液状の形態である。
【0006】
未来の航空機及び現在の宇宙機のために、燃料は、水素ベース又はメタンベースであり、それらの密度が炭化水素の密度より低いので、大きなタンク内に格納されなければならない。宇宙機のために使用される酸素供給剤(oxidizer)は、従来、大きなタンクを必要とする液体酸素である。また、使用されるタンクは、燃料又は極低温の酸素供給剤(液体水素、液体メタン、または液体酸素)の圧力を維持するために、球形状または円柱形状である。周知の種類のロケットにおいて、燃料及び酸素供給剤を含有するタンクは、ロケットの一のステージを形成し、タンクが空になった場合に、タンクは投棄される。小さなタンクだけは、軌道に位置されるように意図されるロケットの一部のために、軌道におけるロケットを維持する目的及びロケットの案内を指令する目的のために、設けられる。
【0007】
宇宙機は、特許文献1及び特許文献2から周知である。特許文献1及び特許文献2には、タンクが宇宙機の胴体の外側に位置し、燃料が消費された後で、宇宙機が軌道にある場合に、宇宙機の初期のキャビン空間を延在するように使用されることが開示されている。この目的のために、貫通トンネルは、初期のキャビンと外部のタンクの内部との間に設けられる。しかしながら、このタンクは、燃料以外のアイテムを格納するための追加の居住空間または格納空間として、すぐに利用可能ではなく、装備される必要がある。また、宇宙機は、軌道に存在しなければならない。さらに、これは、燃料タンクが胴体内に含まれる旅客機又は貨物輸送機に適用されることができない。
【0008】
航空機はまた、中距離用の航空機又は長距離用の航空機としてのその使用のために、航空機の飛行範囲を修正するために、タンクを取り除く、又はタンクを追加することができることが知られている。それ故に、短距離の飛行又は中距離の飛行のために、航空機に使用するべきタンクを取り除くことは、航空機の内側の利用可能な空間が増加させることを可能にする。しかしながら、この修正は、乗客用容積ではなく、貨物用容積にのみ適用する。また、利用可能な容積における増加は、飛行中に得られることができず、それ故に、空間の節約は、長距離飛行中に動作不能である。
【0009】
それ故に、本発明の目的は、地上で、又は飛行中に、乗客及び/貨物に利用可能で使用可能な容積が、特に、旅客機及び輸送機のために、迅速に増加されることができる航空機を提案することであり、推進燃焼フェーズが完了するとすぐに、乗客及び/貨物に利用できる使用可能な容積が迅速に増加されることができる宇宙機を提案することである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許第5 350 138 号明細書
【特許文献2】米国特許第6 206 328 号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上記の目的は、燃料タンクが使用中ではない場合に、燃料タンクの一部にアクセスすることが可能にする航空機とともに、到達され、それによって、航空機の利用可能で使用可能な容積を増加するとともに、同一の外部構造を維持する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
容積におけるこの増加は、タンク内に含有された燃料が使用された場合に、飛行中に行われることができ、また、乗客数及び/又は積み込まれた貨物の容積を増加するために、タンクが、十分に使用されない場合に、地上で行われることができ、それらによって、乗客の快適性及び利用可能な空間を改善する。
【0013】
宇宙機に関して、本発明は、追加の空間が船員、乗客、貨物、動物、植物、及び特定の実験のために設けられることを可能にし、一方、同一のサイズの宇宙機を使用することを可能にする。それ故に、宇宙機の重量は、その使用可能な容積に対して減少され、それ故に飛行のためにより少ない燃料を消費する。その製造コストはまた、より低くなり、比較できる使用可能な容積のより大きいサイズの宇宙機と比べて、より少ない機器が必要とされる。
【0014】
飛行機に関して、使用可能な容積における増加が地上でなされる場合に、本発明は、乗客数又は積み込まれる貨物の容積が増加されることを可能にし、又は、利用可能な容積における増加が長距離の飛行中になされる場合に、乗客の快適性は増加されることができる。
【0015】
さらに、乗客の快適性を増加することが可能であるので、チケットの価格を高くすることが可能になり、それゆえ、事業用航空機の生産性をさらに増加することが可能になる。
【0016】
液体水素又は液体メタンによって推進される航空機に対して、燃料タンクは、航空機の長手方向において、キャビンの両側に配置されることができる。さらに、「クリーンな」燃料及び酸素供給剤(水素、亜酸化窒素、及び酸素)によって推進される航空機に対して、タンクは、その壁を乗客から遮断する必要性がなく、乗客によって直接的に使用されることができる。
【0017】
炭化水素ベースの燃料のために、変形可能な薄膜は、燃料を含有し、燃料からタンクの壁を遮断するために設けられる。それ故に、必要とされる全てのものは、追加の収容空間又は格納空間としてタンクを使用することができるために、空の薄膜を折り畳むことである。
【0018】
その結果として、今まで非常に狭いキャビンのみが提案された宇宙機において、本発明とともに、この空間は、燃料が使い尽くされるとすぐに実質的に増加されることができ、且つタンクの内側は、それに応じて適合される。
【0019】
本発明は、特に、固体タイプの燃料又は液体タイプの燃料又は酸素供給剤(酸素、水素、亜酸化窒素、ケロシン、メタン、HTPB、又はプイラスチック)のためのタンクに適用する。
【0020】
本発明は、低減した重力の影響を完全に利用して、乗客に十分な空間を提供するように、軌道に乗らない宇宙飛行(suborbital spaceflight)の状態でロケット内に使用されることができる。軌道飛行又は惑星間飛行のために、離陸後にタンク内に含有された燃料が消費されるとすぐに、船員は、より大きい作業空間又は休息収容空間の利益を得るであろう。
【0021】
言い換えれば、アクセス手段は、キャビンからタンクの内側にアクセスするように設けられ、外側に向けて乗客又は貨物の排出を可能にする外側アクセス手段と、タンクを排出させるための手段と、乗客のための空間又は貨物の格納空間としてのその使用のために、タンクの内側に供給するための手段と、が設けられる。
【0022】
それらの供給手段は、離陸前にそのような供給手段が実施された場合に、例えば、追加の座席を固着するための手段を含むことができ、タンクの支持壁を覆うように並べられている、スリーパーシート(sleeper seats)を形成するための膨脹可能な手段を含むことができる。
【0023】
本発明の主題は、それ故に、乗客及び/又は貨物を受容するためのキャビンと、推進システムと、を有する胴体を備える航空機であって、前記推進システムは、少なくとも1つのタンク又は燃焼チャンバーを備え、前記推進システムの一部が人及び/又は貨物を収容するために前記キャビンの延在部として使用されることができ、前記推進システムの前記一部が前記キャビンに隣接して位置し、隔壁によってキャビンから分離されている航空機である。
【0024】
推進システムは、有利には、少なくとも2つのタンク、すなわち変換可能なタンク及び普通のタンク(plain tank)を備え、前記キャビンの延在部が前記変換可能なタンクに関係している。
【0025】
フィルターは、有利には、タンクの内部に格納された乗客及び/又は貨物から取り出された汚染物質をろ過するために、前記変換可能なタンクの出口に設けられ、それによって任意のエンジンの劣化を避ける。
【0026】
他の実施形態において、変換可能なタンクは、燃料又は酸素供給剤を受容するために、可撓性を有するパウチと、パウチを含有するコンテナと、を有し、パウチが折り畳まれると、キャビンの延在部を形成する。この方法において、キャビンは、例えば、ケロシンによって推進される航空機における、燃料又は酸素供給剤によって汚染されることはない。さらに、乗客又は運ばれた貨物からの汚染は、推進力発生領域内に入ることができない。
【0027】
隔壁は、有利には、パウチ内の燃料に作用される圧力に耐えるように補強される。
【0028】
可撓性を有し、パウチを囲んでいる蜘蛛の巣状の補強材がまた、設けられることができる。
【0029】
本発明によれば、変換可能なタンクは、乗客の搭乗又は降機のために、胴体に形成され、及び/又は貨物がそれを通じて積み込まれることができる、少なくとも1つのハッチと、少なくとも1つの非常脱出口と、キャビンとの連通ハッチと、残留燃料のための排出手段と、を備えることができる。それ故に、キャビンの延在部は、それ自体で、本来のキャビンと同じくらい安全なキャビンを形成する。
【0030】
変換可能なタンクがパウチを備える場合には、タンクとキャビンと間で連通するハッチはまた、その外側外殻にショルダーを備え、該ショルダーは、薄膜内に含有される燃料又は酸素供給剤によって作用された負荷の下で、タンクからキャビンの方向において隔壁に対して支持するように意図される。
【0031】
有利には、変換可能なタンクは、床を備え、該床の上に、乗客が歩くことができる、又は床の上に貨物が積み込まれることができる。この床は、変換可能なタンクの迅速且つ容易な装備がなされて事前設置される。
【0032】
変換可能なタンクは、供給部、及び/又は、変換可能なタンクがキャビンの延在部に変換される場合に膨脹されるべき膨脹可能な取付部、及び/又は変換可能なタンクの壁に隠された取付要素、を固定する固着手段を備えることができる。
【0033】
好ましくは、膨張可能な取付部は、変換可能なタンクの壁に並べられて備えられる。
本発明の航空機は、キャビンとキャビン延在部との間に排気循環システムを備えることができる。例えば、前記排気循環システムは、キャビン延在部の側に膨張可能なダクトを備える。
【0034】
航空機は、旅客機又は貨物輸送機である場合がある。
【0035】
変換可能なタンク及び普通のタンクは、航空機の長手方向における、キャビンの両側に位置することができる。航空機のタンクは、液体水素、液体酸素、またはケロシンを含むように意図される場合がある。それらのタンクがケロシンを含む場合、変換可能なタンク及び普通のタンクは、航空機の翼及び航空機の側壁に部分的に位置することができ、変換可能なタンクは、航空機の側壁に配置される。
【0036】
航空機は、宇宙機である場合もある。
【0037】
この場合における燃焼チャンバーは、スロートの閉鎖によって、宇宙機の打ち上げ方向における、コックピットの船尾に配置された推進システムの使用可能な部分であることができる。
【0038】
有利には、薄膜は、キャビンの延在部として変換される場合に、燃焼チャンバーの壁を覆うように意図されて設けられ、それによって、乗客は、燃焼チャンバーの壁及び残留燃料から隔離される。薄膜は、空気式ソース(pneumatic source)を使用して展開されることができる。
【0039】
本発明の宇宙機は、液体亜酸化窒素及び末端水酸基ポリブタジエン(HTPB燃料)を使用して推進されることができる。本発明のさらなる主題は、人及び/又は貨物を収容するためのキャビン延在部として、航空機の胴体の内側に配置された、航空機の燃焼システムの一部の使用である。
【0040】
本発明のさらなる主題は、少なくとも2つのタンクを備える航空機のキャビンを延在するための方法であって、該方法は、前記航空機の離陸前に、地上で、少なくとも2つのタンクのうちの1つのタンクを居住に適した領域に変換するステップを備えている。このステップ中に、座席が設けられたプラットホームは、タンクの内側に固定されることができる。
【0041】
本発明のさらなる主題は、航空機のキャビンを前記航空機の推進システムの一部に延在するための方法であって、飛行中に推進システムの前記一部の変換ステップを備えている。
【0042】
航空機の推進システムが少なくとも2つのタンクを備えている場合、前記方法は、
a) ほとんど空になったタンクのうちの1つを排出するステップと、
b) 供給要素を設置するステップと、
を備えている。
【0043】
一の実施形態において、ステップa)とステップb)との間には、以前に燃料を含有されるパウチを折り畳むステップが存在する。
【0044】
本発明のさらなる主題は、航空機のキャビンを延在するための方法であって、推進システムは、燃焼チャンバーを備え、前記方法は、
a’)航空機の外部環境から燃焼チャンバーを隔離するために、スロートを閉鎖するステップと、
b’)燃焼チャンバー内の環境を設定するステップと、
を備えている。
【0045】
ステップa’)とステップb’)との間に、有利には、燃焼チャンバーの内側を覆うように薄膜の展開がなされ、環境がこの薄膜の内側に設定していることが規定されている。
【0046】
本発明は、以下の説明及び添付された図面の助けで、より良好に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明による飛行機の一部の斜視図である。
【図2A】供給されていない状態又は供給された状態で、本発明による変換可能なタンクの断面図である。
【図2B】供給されていない状態又は供給された状態で本発明による変換可能なタンクの断面図である。
【図3】本発明による飛行機の実施形態の変形の斜視図である。
【図4A】居住容積がコックピットに制限された場合に、且つ居住容積がタンク内に延在された場合に本発明による宇宙機の内側の略図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、最適化されることができる効率的な内部容積を有する航空機、特に飛行機又は宇宙機に関し、且つ乗客又は貨物のための使用可能な空間を最適化するために燃焼システムの一部の使用に関し、且つ航空機の使用可能な空間を最適化するための方法に関する。
【0002】
航空機、特に飛行機及び宇宙機は、シェルを形成する胴体を備えており、該シェルは、乗客、及び/又は貨物区画のためのキャビン及び燃料タンクを含む。
【0003】
キャビンの容積は、制限される。それにもかかわらず、経済的な理由のために、航空機の重量、その製造コスト、及びその燃料の消費を増加することなく、この容積を増加しようとされる。
【0004】
航空機の燃料タンクは、航空機が長距離を移動することを可能にするように設計される。さらに、航空機はまた、短距離、または中距離のために単に使用されることができる。この場合において、燃料タンクは完全に満たされていない。このボイドスペース(void space)は、それらの短い飛行範囲、又は長い飛行範囲の飛行中に使用されないので、デッドスペースである一方、このボイドスペースは、追加の乗客または貨物を運ぶために使用されることができ、それによって航空機の収益性を増加するであろう。
【0005】
現在の航空機において、ケロシンタイプの燃料は、一般的に、翼又は胴体内に格納される。この燃料は、全てのその操作温度及び操作圧力で液状の形態である。
【0006】
未来の航空機及び現在の宇宙機のために、燃料は、水素ベース又はメタンベースであり、それらの密度が炭化水素の密度より低いので、大きなタンク内に格納されなければならない。宇宙機のために使用される酸素供給剤(oxidizer)は、従来、大きなタンクを必要とする液体酸素である。また、使用されるタンクは、燃料又は極低温の酸素供給剤(液体水素、液体メタン、または液体酸素)の圧力を維持するために、球形状または円柱形状である。周知の種類のロケットにおいて、燃料及び酸素供給剤を含有するタンクは、ロケットの一のステージを形成し、タンクが空になった場合に、タンクは投棄される。小さなタンクだけは、軌道に位置されるように意図されるロケットの一部のために、軌道におけるロケットを維持する目的及びロケットの案内を指令する目的のために、設けられる。
【0007】
宇宙機は、特許文献1及び特許文献2から周知である。特許文献1及び特許文献2には、タンクが宇宙機の胴体の外側に位置し、燃料が消費された後で、宇宙機が軌道にある場合に、宇宙機の初期のキャビン空間を延在するように使用されることが開示されている。この目的のために、貫通トンネルは、初期のキャビンと外部のタンクの内部との間に設けられる。しかしながら、このタンクは、燃料以外のアイテムを格納するための追加の居住空間または格納空間として、すぐに利用可能ではなく、装備される必要がある。また、宇宙機は、軌道に存在しなければならない。さらに、これは、燃料タンクが胴体内に含まれる旅客機又は貨物輸送機に適用されることができない。
【0008】
航空機はまた、中距離用の航空機又は長距離用の航空機としてのその使用のために、航空機の飛行範囲を修正するために、タンクを取り除く、又はタンクを追加することができることが知られている。それ故に、短距離の飛行又は中距離の飛行のために、航空機に使用するべきタンクを取り除くことは、航空機の内側の利用可能な空間が増加させることを可能にする。しかしながら、この修正は、乗客用容積ではなく、貨物用容積にのみ適用する。また、利用可能な容積における増加は、飛行中に得られることができず、それ故に、空間の節約は、長距離飛行中に動作不能である。
【0009】
それ故に、本発明の目的は、地上で、又は飛行中に、乗客及び/貨物に利用可能で使用可能な容積が、特に、旅客機及び輸送機のために、迅速に増加されることができる航空機を提案することであり、推進燃焼フェーズが完了するとすぐに、乗客及び/貨物に利用できる使用可能な容積が迅速に増加されることができる宇宙機を提案することである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許第5 350 138 号明細書
【特許文献2】米国特許第6 206 328 号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上記の目的は、燃料タンクが使用中ではない場合に、燃料タンクの一部にアクセスすることが可能にする航空機とともに、到達され、それによって、航空機の利用可能で使用可能な容積を増加するとともに、同一の外部構造を維持する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
容積におけるこの増加は、タンク内に含有された燃料が使用された場合に、飛行中に行われることができ、また、乗客数及び/又は積み込まれた貨物の容積を増加するために、タンクが、十分に使用されない場合に、地上で行われることができ、それらによって、乗客の快適性及び利用可能な空間を改善する。
【0013】
宇宙機に関して、本発明は、追加の空間が船員、乗客、貨物、動物、植物、及び特定の実験のために設けられることを可能にし、一方、同一のサイズの宇宙機を使用することを可能にする。それ故に、宇宙機の重量は、その使用可能な容積に対して減少され、それ故に飛行のためにより少ない燃料を消費する。その製造コストはまた、より低くなり、比較できる使用可能な容積のより大きいサイズの宇宙機と比べて、より少ない機器が必要とされる。
【0014】
飛行機に関して、使用可能な容積における増加が地上でなされる場合に、本発明は、乗客数又は積み込まれる貨物の容積が増加されることを可能にし、又は、利用可能な容積における増加が長距離の飛行中になされる場合に、乗客の快適性は増加されることができる。
【0015】
さらに、乗客の快適性を増加することが可能であるので、チケットの価格を高くすることが可能になり、それゆえ、事業用航空機の生産性をさらに増加することが可能になる。
【0016】
液体水素又は液体メタンによって推進される航空機に対して、燃料タンクは、航空機の長手方向において、キャビンの両側に配置されることができる。さらに、「クリーンな」燃料及び酸素供給剤(水素、亜酸化窒素、及び酸素)によって推進される航空機に対して、タンクは、その壁を乗客から遮断する必要性がなく、乗客によって直接的に使用されることができる。
【0017】
炭化水素ベースの燃料のために、変形可能な薄膜は、燃料を含有し、燃料からタンクの壁を遮断するために設けられる。それ故に、必要とされる全てのものは、追加の収容空間又は格納空間としてタンクを使用することができるために、空の薄膜を折り畳むことである。
【0018】
その結果として、今まで非常に狭いキャビンのみが提案された宇宙機において、本発明とともに、この空間は、燃料が使い尽くされるとすぐに実質的に増加されることができ、且つタンクの内側は、それに応じて適合される。
【0019】
本発明は、特に、固体タイプの燃料又は液体タイプの燃料又は酸素供給剤(酸素、水素、亜酸化窒素、ケロシン、メタン、HTPB、又はプイラスチック)のためのタンクに適用する。
【0020】
本発明は、低減した重力の影響を完全に利用して、乗客に十分な空間を提供するように、軌道に乗らない宇宙飛行(suborbital spaceflight)の状態でロケット内に使用されることができる。軌道飛行又は惑星間飛行のために、離陸後にタンク内に含有された燃料が消費されるとすぐに、船員は、より大きい作業空間又は休息収容空間の利益を得るであろう。
【0021】
言い換えれば、アクセス手段は、キャビンからタンクの内側にアクセスするように設けられ、外側に向けて乗客又は貨物の排出を可能にする外側アクセス手段と、タンクを排出させるための手段と、乗客のための空間又は貨物の格納空間としてのその使用のために、タンクの内側に供給するための手段と、が設けられる。
【0022】
それらの供給手段は、離陸前にそのような供給手段が実施された場合に、例えば、追加の座席を固着するための手段を含むことができ、タンクの支持壁を覆うように並べられている、スリーパーシート(sleeper seats)を形成するための膨脹可能な手段を含むことができる。
【0023】
本発明の主題は、それ故に、乗客及び/又は貨物を受容するためのキャビンと、推進システムと、を有する胴体を備える航空機であって、前記推進システムは、少なくとも1つのタンク又は燃焼チャンバーを備え、前記推進システムの一部が人及び/又は貨物を収容するために前記キャビンの延在部として使用されることができ、前記推進システムの前記一部が前記キャビンに隣接して位置し、隔壁によってキャビンから分離されている航空機である。
【0024】
推進システムは、有利には、少なくとも2つのタンク、すなわち変換可能なタンク及び普通のタンク(plain tank)を備え、前記キャビンの延在部が前記変換可能なタンクに関係している。
【0025】
フィルターは、有利には、タンクの内部に格納された乗客及び/又は貨物から取り出された汚染物質をろ過するために、前記変換可能なタンクの出口に設けられ、それによって任意のエンジンの劣化を避ける。
【0026】
他の実施形態において、変換可能なタンクは、燃料又は酸素供給剤を受容するために、可撓性を有するパウチと、パウチを含有するコンテナと、を有し、パウチが折り畳まれると、キャビンの延在部を形成する。この方法において、キャビンは、例えば、ケロシンによって推進される航空機における、燃料又は酸素供給剤によって汚染されることはない。さらに、乗客又は運ばれた貨物からの汚染は、推進力発生領域内に入ることができない。
【0027】
隔壁は、有利には、パウチ内の燃料に作用される圧力に耐えるように補強される。
【0028】
可撓性を有し、パウチを囲んでいる蜘蛛の巣状の補強材がまた、設けられることができる。
【0029】
本発明によれば、変換可能なタンクは、乗客の搭乗又は降機のために、胴体に形成され、及び/又は貨物がそれを通じて積み込まれることができる、少なくとも1つのハッチと、少なくとも1つの非常脱出口と、キャビンとの連通ハッチと、残留燃料のための排出手段と、を備えることができる。それ故に、キャビンの延在部は、それ自体で、本来のキャビンと同じくらい安全なキャビンを形成する。
【0030】
変換可能なタンクがパウチを備える場合には、タンクとキャビンと間で連通するハッチはまた、その外側外殻にショルダーを備え、該ショルダーは、薄膜内に含有される燃料又は酸素供給剤によって作用された負荷の下で、タンクからキャビンの方向において隔壁に対して支持するように意図される。
【0031】
有利には、変換可能なタンクは、床を備え、該床の上に、乗客が歩くことができる、又は床の上に貨物が積み込まれることができる。この床は、変換可能なタンクの迅速且つ容易な装備がなされて事前設置される。
【0032】
変換可能なタンクは、供給部、及び/又は、変換可能なタンクがキャビンの延在部に変換される場合に膨脹されるべき膨脹可能な取付部、及び/又は変換可能なタンクの壁に隠された取付要素、を固定する固着手段を備えることができる。
【0033】
好ましくは、膨張可能な取付部は、変換可能なタンクの壁に並べられて備えられる。
本発明の航空機は、キャビンとキャビン延在部との間に排気循環システムを備えることができる。例えば、前記排気循環システムは、キャビン延在部の側に膨張可能なダクトを備える。
【0034】
航空機は、旅客機又は貨物輸送機である場合がある。
【0035】
変換可能なタンク及び普通のタンクは、航空機の長手方向における、キャビンの両側に位置することができる。航空機のタンクは、液体水素、液体酸素、またはケロシンを含むように意図される場合がある。それらのタンクがケロシンを含む場合、変換可能なタンク及び普通のタンクは、航空機の翼及び航空機の側壁に部分的に位置することができ、変換可能なタンクは、航空機の側壁に配置される。
【0036】
航空機は、宇宙機である場合もある。
【0037】
この場合における燃焼チャンバーは、スロートの閉鎖によって、宇宙機の打ち上げ方向における、コックピットの船尾に配置された推進システムの使用可能な部分であることができる。
【0038】
有利には、薄膜は、キャビンの延在部として変換される場合に、燃焼チャンバーの壁を覆うように意図されて設けられ、それによって、乗客は、燃焼チャンバーの壁及び残留燃料から隔離される。薄膜は、空気式ソース(pneumatic source)を使用して展開されることができる。
【0039】
本発明の宇宙機は、液体亜酸化窒素及び末端水酸基ポリブタジエン(HTPB燃料)を使用して推進されることができる。本発明のさらなる主題は、人及び/又は貨物を収容するためのキャビン延在部として、航空機の胴体の内側に配置された、航空機の燃焼システムの一部の使用である。
【0040】
本発明のさらなる主題は、少なくとも2つのタンクを備える航空機のキャビンを延在するための方法であって、該方法は、前記航空機の離陸前に、地上で、少なくとも2つのタンクのうちの1つのタンクを居住に適した領域に変換するステップを備えている。このステップ中に、座席が設けられたプラットホームは、タンクの内側に固定されることができる。
【0041】
本発明のさらなる主題は、航空機のキャビンを前記航空機の推進システムの一部に延在するための方法であって、飛行中に推進システムの前記一部の変換ステップを備えている。
【0042】
航空機の推進システムが少なくとも2つのタンクを備えている場合、前記方法は、
a) ほとんど空になったタンクのうちの1つを排出するステップと、
b) 供給要素を設置するステップと、
を備えている。
【0043】
一の実施形態において、ステップa)とステップb)との間には、以前に燃料を含有されるパウチを折り畳むステップが存在する。
【0044】
本発明のさらなる主題は、航空機のキャビンを延在するための方法であって、推進システムは、燃焼チャンバーを備え、前記方法は、
a’)航空機の外部環境から燃焼チャンバーを隔離するために、スロートを閉鎖するステップと、
b’)燃焼チャンバー内の環境を設定するステップと、
を備えている。
【0045】
ステップa’)とステップb’)との間に、有利には、燃焼チャンバーの内側を覆うように薄膜の展開がなされ、環境がこの薄膜の内側に設定していることが規定されている。
【0046】
本発明は、以下の説明及び添付された図面の助けで、より良好に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明による飛行機の一部の斜視図である。
【図2A】供給されていない状態又は供給された状態で、本発明による変換可能なタンクの断面図である。
【図2B】供給されていない状態又は供給された状態で本発明による変換可能なタンクの断面図である。
【図3】本発明による飛行機の実施形態の変形の斜視図である。
【図4A】居住容積がコックピットに制限された場合に、且つ居住容積がタンク内に延在された場合に本発明による宇宙機の内側の略図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗客及び/又は貨物を収容するためのキャビン(4)と、推進システムと、を含んでいる胴体(2)を備えている航空機であって、
前記推進システムは、少なくとも1つのタンク(6)及び/又は燃焼チャンバー(42)を備え、
前記推進システムの一部が、乗客及び/又は貨物を収容するための前記キャビン(4)の延在部として使用されることができ、
前記推進システムの前記一部が、前記キャビン(4)に隣接して位置し、隔壁(10)によって前記キャビンから分離されていることを特徴とする航空機。
【請求項2】
請求項1に記載の航空機であって、
前記推進システムは、少なくとも2つのタンク(6、8、6.1、6.2、8.1、8.2)、変換可能なタンク(6,6.1,6.2)及び普通のタンク(8、8.1,8.2)を備え、前記キャビン(4)の延在部が前記変換可能なタンク(6,6.1,6.2)を含んでいることを特徴とする航空機。
【請求項3】
請求項2に記載の航空機であって、
前記変換可能なタンク(6,6.1,6.2)内の乗客及び/又は貨物によってもたらされた汚染をろ過するために、フィルター(20)が前記変換可能なタンク(6,6.1,6.2)の出口に設けられていることを特徴とする航空機。
【請求項4】
請求項2に記載の航空機であって、
前記変換可能なタンク(6,6.1,6.2)は、燃料又は酸素供給剤を保持するための可撓性を有するパウチ(29)と、前記パウチ(29)を含むためのコンテナ(31)と、を備え、
前記コンテナ(31)は、前記パウチ(29)が折り畳まれると、前記キャビンの前記延在部を形成することを特徴とする航空機。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の航空機であって、
前記隔壁(10)は、前記パウチ内の燃料によって作用された圧力に耐えることができるように、補強されていることを特徴とする航空機。
【請求項6】
請求項4又は5に記載の航空機であって、
可撓性を有する補強構成要素(38)が、蜘蛛の巣の形態で、前記パウチを囲んでいることを特徴とする航空機。
【請求項7】
請求項2〜6のいずれか一項に記載の航空機であって、
前記変換可能なタンク(6,6.1,6.2)は、
乗客を搭乗する、且つ乗客を降機するために、及び/又は貨物を積み込むために、胴体に形成された少なくとも1つのハッチ(12)と、
少なくとも1つの緊急脱出口(16)と、
前記キャビン(4)との連通ハッチ(18)と、
残留燃料を排出するための排出手段(14)と、を備えていることを特徴とする航空機。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の航空機であって、
前記変換可能なタンク(6,6.1,6.2)と前記キャビン(4)との間の連通ハッチ(18)は、前記パウチ(29)内に含有された燃料によって作用された力の下で、前記キャビン(4)の方向にタンクにおける前記隔壁(10)に対して支持するように意図されたその外側コンテナに、ショルダー(34)を備えていることを特徴とする航空機。
【請求項9】
請求項2〜8のいずれか一項に記載の航空機であって、
前記変換可能なタンク(6,6.1,6.2)は、乗客が歩くことができる、且つ/又は前記貨物が格納されることができる床(24)を備えていることを特徴とする航空機。
【請求項10】
請求項2〜9のいずれか一項に記載の航空機であって、
前記変換可能なタンク(6,6.1,6.2)は、取付手段(25)を備え、
前記変換可能なタンク(6,6.1,6.2)が、前記変換可能なタンク(6,6.1,6.2)の前記側部に隠されたキャビン延在部及び/又は供給要素に変換される場合に、膨脹されるように意図された供給要素及び/又は膨脹可能な供給手段(26)を固着していることを特徴とする航空機。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか一項に記載の航空機であって、
排気循環システム(33)は、前記キャビンと前記キャビン延在部との間に設けられていることを特徴とする航空機。
【請求項12】
請求項11に記載の航空機であって、
前記排気再循環システムは、前記キャビン延在部の側に膨脹可能なダクトを備えていることを特徴とする航空機。
【請求項13】
請求項1〜12に記載の航空機であって、
前記航空機は、飛行機を形成していることを特徴とする航空機。
【請求項14】
請求項13に記載の航空機であって、
前記変換可能なタンク(6)及び前記普通のタンク(8)は、前記航空機の長手方向(X)における前記キャビンの両側に配置されていることを特徴とする航空機。
【請求項15】
請求項13に記載の航空機であって、
前記変換可能なタンク(6.1,6.2)及び前記普通のタンク(8.1,8.2)は、前記航空機の翼及び前記航空機の側壁に部分的に配置され、
前記変換可能なタンク(6.1,6.2)が前記航空機の前記側壁に配置されていることを特徴とする航空機。
【請求項16】
請求項1〜12のいずれか一項に記載の航空機であって、
前記航空機は、宇宙機を形成していることを特徴とする航空機。
【請求項17】
請求項16に記載の航空機であって、
前記推進システムの使用可能な部分は、前記燃焼チャンバー(42)であり、
該燃焼チャンバー(42)は、スロート(46)の閉鎖によって、前記宇宙機の打ち上げ方向において、前記キャビン(4)の船尾に配置されていることを特徴とする航空機。
【請求項18】
請求項17に記載の航空機であって、
前記燃焼チャンバー(42)がキャビン延在部に変換される場合に、前記燃焼チャンバー(42)の壁を覆うように意図された薄膜(48)を備えていることを特徴とする航空機。
【請求項19】
請求項18に記載の航空機であって、
前記薄膜(48)は、空気式ソース(52)によって展開されていることを特徴とする航空機。
【請求項20】
少なくとも2つのタンクを備えている航空機のキャビンを延在する方法であって、
前記航空機の離陸前に、地上で、前記少なくとも2つのタンクのうちの1つのタンクを収容領域に変換するステップを備えていることを特徴とする方法。
【請求項21】
請求項20に記載の航空機のキャビンを延在する方法であって、
前記ステップ中に、座席が設けられたプラットホームが前記タンク内に固定されることを特徴とする方法。
【請求項22】
航空機の推進システムの一部に前記航空機のキャビンを延在するための方法であって、
前記航空機は、乗客、及び/又は貨物を収容するためのキャビンと、前記推進システムと、を含んでいる胴体を有し、
前記方法は、飛行中に前記推進システムの前記一部の変換のためのステップを備えていることを特徴とする方法。
【請求項23】
請求項22に記載の前記航空機のキャビンを延在するための方法であって、
前記推進システムは、少なくとも2つのタンクを備え、
前記方法は、
a) 前記少なくとも2つのタンクのうち1つのタンクがほとんど空になる場合に、前記タンクを排出するステップと、
b) 供給要素を設置するステップと、
を備えていることを特徴とする方法。
【請求項24】
請求項23に記載の前記航空機のキャビンを延在するための方法であって、
前記ステップa)とステップb)との間に、燃料又は酸素供給剤を含んだ可撓性を有するパウチを折り畳むステップを備えていることを特徴とする方法。
【請求項25】
請求項22に記載の航空機のキャビンを延在するための方法であって、
前記推進システムは、燃焼チャンバーを備え、
前記方法は、
a’) 前記航空機の外側の環境から前記燃焼チャンバーを隔離するために、スロートを閉鎖するステップと、
b’) 前記燃焼チャンバー内の環境を設定しているステップと、
を備えていることを特徴とする方法。
【請求項26】
請求項25に記載の航空機のキャビンを延在するための方法であって、
前記ステップa’)とステップb’)との間に、前記燃焼チャンバーの内側を覆うための薄膜を展開するステップであって、前記環境がこの薄膜の内側に設定されているステップを、を備えていることを特徴とする方法。
【請求項1】
乗客及び/又は貨物を収容するためのキャビン(4)と、推進システムと、を含んでいる胴体(2)を備えている航空機であって、
前記推進システムは、少なくとも1つのタンク(6)及び/又は燃焼チャンバー(42)を備え、
前記推進システムの一部が、乗客及び/又は貨物を収容するための前記キャビン(4)の延在部として使用されることができ、
前記推進システムの前記一部が、前記キャビン(4)に隣接して位置し、隔壁(10)によって前記キャビンから分離されていることを特徴とする航空機。
【請求項2】
請求項1に記載の航空機であって、
前記推進システムは、少なくとも2つのタンク(6、8、6.1、6.2、8.1、8.2)、変換可能なタンク(6,6.1,6.2)及び普通のタンク(8、8.1,8.2)を備え、前記キャビン(4)の延在部が前記変換可能なタンク(6,6.1,6.2)を含んでいることを特徴とする航空機。
【請求項3】
請求項2に記載の航空機であって、
前記変換可能なタンク(6,6.1,6.2)内の乗客及び/又は貨物によってもたらされた汚染をろ過するために、フィルター(20)が前記変換可能なタンク(6,6.1,6.2)の出口に設けられていることを特徴とする航空機。
【請求項4】
請求項2に記載の航空機であって、
前記変換可能なタンク(6,6.1,6.2)は、燃料又は酸素供給剤を保持するための可撓性を有するパウチ(29)と、前記パウチ(29)を含むためのコンテナ(31)と、を備え、
前記コンテナ(31)は、前記パウチ(29)が折り畳まれると、前記キャビンの前記延在部を形成することを特徴とする航空機。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の航空機であって、
前記隔壁(10)は、前記パウチ内の燃料によって作用された圧力に耐えることができるように、補強されていることを特徴とする航空機。
【請求項6】
請求項4又は5に記載の航空機であって、
可撓性を有する補強構成要素(38)が、蜘蛛の巣の形態で、前記パウチを囲んでいることを特徴とする航空機。
【請求項7】
請求項2〜6のいずれか一項に記載の航空機であって、
前記変換可能なタンク(6,6.1,6.2)は、
乗客を搭乗する、且つ乗客を降機するために、及び/又は貨物を積み込むために、胴体に形成された少なくとも1つのハッチ(12)と、
少なくとも1つの緊急脱出口(16)と、
前記キャビン(4)との連通ハッチ(18)と、
残留燃料を排出するための排出手段(14)と、を備えていることを特徴とする航空機。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の航空機であって、
前記変換可能なタンク(6,6.1,6.2)と前記キャビン(4)との間の連通ハッチ(18)は、前記パウチ(29)内に含有された燃料によって作用された力の下で、前記キャビン(4)の方向にタンクにおける前記隔壁(10)に対して支持するように意図されたその外側コンテナに、ショルダー(34)を備えていることを特徴とする航空機。
【請求項9】
請求項2〜8のいずれか一項に記載の航空機であって、
前記変換可能なタンク(6,6.1,6.2)は、乗客が歩くことができる、且つ/又は前記貨物が格納されることができる床(24)を備えていることを特徴とする航空機。
【請求項10】
請求項2〜9のいずれか一項に記載の航空機であって、
前記変換可能なタンク(6,6.1,6.2)は、取付手段(25)を備え、
前記変換可能なタンク(6,6.1,6.2)が、前記変換可能なタンク(6,6.1,6.2)の前記側部に隠されたキャビン延在部及び/又は供給要素に変換される場合に、膨脹されるように意図された供給要素及び/又は膨脹可能な供給手段(26)を固着していることを特徴とする航空機。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか一項に記載の航空機であって、
排気循環システム(33)は、前記キャビンと前記キャビン延在部との間に設けられていることを特徴とする航空機。
【請求項12】
請求項11に記載の航空機であって、
前記排気再循環システムは、前記キャビン延在部の側に膨脹可能なダクトを備えていることを特徴とする航空機。
【請求項13】
請求項1〜12に記載の航空機であって、
前記航空機は、飛行機を形成していることを特徴とする航空機。
【請求項14】
請求項13に記載の航空機であって、
前記変換可能なタンク(6)及び前記普通のタンク(8)は、前記航空機の長手方向(X)における前記キャビンの両側に配置されていることを特徴とする航空機。
【請求項15】
請求項13に記載の航空機であって、
前記変換可能なタンク(6.1,6.2)及び前記普通のタンク(8.1,8.2)は、前記航空機の翼及び前記航空機の側壁に部分的に配置され、
前記変換可能なタンク(6.1,6.2)が前記航空機の前記側壁に配置されていることを特徴とする航空機。
【請求項16】
請求項1〜12のいずれか一項に記載の航空機であって、
前記航空機は、宇宙機を形成していることを特徴とする航空機。
【請求項17】
請求項16に記載の航空機であって、
前記推進システムの使用可能な部分は、前記燃焼チャンバー(42)であり、
該燃焼チャンバー(42)は、スロート(46)の閉鎖によって、前記宇宙機の打ち上げ方向において、前記キャビン(4)の船尾に配置されていることを特徴とする航空機。
【請求項18】
請求項17に記載の航空機であって、
前記燃焼チャンバー(42)がキャビン延在部に変換される場合に、前記燃焼チャンバー(42)の壁を覆うように意図された薄膜(48)を備えていることを特徴とする航空機。
【請求項19】
請求項18に記載の航空機であって、
前記薄膜(48)は、空気式ソース(52)によって展開されていることを特徴とする航空機。
【請求項20】
少なくとも2つのタンクを備えている航空機のキャビンを延在する方法であって、
前記航空機の離陸前に、地上で、前記少なくとも2つのタンクのうちの1つのタンクを収容領域に変換するステップを備えていることを特徴とする方法。
【請求項21】
請求項20に記載の航空機のキャビンを延在する方法であって、
前記ステップ中に、座席が設けられたプラットホームが前記タンク内に固定されることを特徴とする方法。
【請求項22】
航空機の推進システムの一部に前記航空機のキャビンを延在するための方法であって、
前記航空機は、乗客、及び/又は貨物を収容するためのキャビンと、前記推進システムと、を含んでいる胴体を有し、
前記方法は、飛行中に前記推進システムの前記一部の変換のためのステップを備えていることを特徴とする方法。
【請求項23】
請求項22に記載の前記航空機のキャビンを延在するための方法であって、
前記推進システムは、少なくとも2つのタンクを備え、
前記方法は、
a) 前記少なくとも2つのタンクのうち1つのタンクがほとんど空になる場合に、前記タンクを排出するステップと、
b) 供給要素を設置するステップと、
を備えていることを特徴とする方法。
【請求項24】
請求項23に記載の前記航空機のキャビンを延在するための方法であって、
前記ステップa)とステップb)との間に、燃料又は酸素供給剤を含んだ可撓性を有するパウチを折り畳むステップを備えていることを特徴とする方法。
【請求項25】
請求項22に記載の航空機のキャビンを延在するための方法であって、
前記推進システムは、燃焼チャンバーを備え、
前記方法は、
a’) 前記航空機の外側の環境から前記燃焼チャンバーを隔離するために、スロートを閉鎖するステップと、
b’) 前記燃焼チャンバー内の環境を設定しているステップと、
を備えていることを特徴とする方法。
【請求項26】
請求項25に記載の航空機のキャビンを延在するための方法であって、
前記ステップa’)とステップb’)との間に、前記燃焼チャンバーの内側を覆うための薄膜を展開するステップであって、前記環境がこの薄膜の内側に設定されているステップを、を備えていることを特徴とする方法。
【図4A】居住容積がコックピットに制限された場合に、且つ居住容積がタンク内に延在された場合に本発明による宇宙機の内側の略図である。
【図5A】図4A及び図4Bにおけるタンクに適合された隔壁の正面図である。
【図5B】図4A及び図4Bにおけるタンクに適合された隔壁の正面である。
【図6】図4A及び図4Bにおけるタンクに適合された補強材の正面である。
【図7】本発明による航空機のために適合された排気循環システムの、概略的な長手方向断面図である。
【図8】本発明の他の実施形態の、概略的な長手方向断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0048】
同一の参照符号は、同じ機能を有する部分を示すために、異なる実施形態において使用される。
【0049】
本発明におけるタンクによって、燃料及び/又は液体状、固体状、又は気体状の酸素供給剤を格納するための場所を意味し、例えば、ケロシン、又は亜酸化窒素、液体メタン、又は液体酸素である場合がある。
【0050】
図1において、第1の実施形態は、本発明による航空機を示すことができ、該航空機は、その内部にキャビン4又は乗員室が配置される胴体2と、少なくとも2つの燃料タンク6,8を備えている。
【0051】
第1の燃料タンク6は、変換可能なタンクと称され、第2の燃料タンク8は、普通のタンク(plain tank)を示されるであろう。
【0052】
この実施形態において、航空機は、液体水素とともに機能する推進システムを保持している飛行機であり、より一般的には、“クリーンな”燃料によって推進される飛行機である。本発明において、クリーンな燃料又は酸素供給剤によって、その消費後に形跡をとどめない、且つ液体酸素、亜酸化窒素、又は液体水素などの、人間にとって有毒ではない、燃料又は酸素供給剤を意味する。
【0053】
推進システムは、少なくとも2つのタンクを備える。
【0054】
液体水素によって推進される飛行機のために、胴体2の長手方向Xにおいて、燃料タンクをキャビン4の両側に配置させることが規定される。この極低温の燃料が、炭化水素ベースの燃料より低い密度を有するので、飛行機の全体の性能レベルを最適化するように、該極低温の燃料は、密封された加圧タンク内に含有されなければならない。極低温の燃料の低い密度は、ケロシン用のタンクより大きいサイズの、大きいタンクを必要とする。極低温の推進剤又は亜酸化窒素の高い圧力はまた、構造的な観点から効率的なタンクを必要とする。高い圧力下で大きな体積を含有するためのより有利な形状は、球形状又は円柱形状である。飛行機の水素用タンク又はメタン用タンクは、翼ではなく、胴体内に位置される。また、球形状又は円柱形状のタンクは、タンクの表面領域がその体積と比較して減少されるので、断熱に対してより効果的である。
【0055】
キャビン4は、壁10によって変換可能なタンク6から分離されている。
【0056】
変換可能なタンク6は、胴体2の一部によって形成された周囲の壁9によって軸方向に境界を定められる。
【0057】
本発明によれば、この壁9において、ハッチタイプの外側からの少なくとも1つのアクセス手段12が規定されている。
【0058】
このハッチ12は、乗客の搭乗及び降機を可能にするための小さなサイズであってもよく、又は、貨物の荷積み及び荷揚げを可能にするための大きなサイズであってよく、又は、飛行機の座席容量を増加するために、座席が設けられた全体のプラットホームの設置又は取り外しを可能にする大きなサイズであってもよい。示された例において、ハッチ12は、大きなサイズであり、より小さいサイズのハッチを備えている。
【0059】
ハッチ12と胴体2との間で任意の燃料漏れを防止するために、ハッチ12に燃料検査手段(Fuel-proof means)(図示せず)が設けられる。
【0060】
ハッチが小さいサイズである場合に、ハッチは、タンクに制限された影響を与える。一方、大きなサイズの開口部とともに、これは、タンクの機械抵抗にその影響を低減するように適合されなければならない。
【0061】
このタンク内の任意の残留燃料を完全に排出するために、変換可能なタンク6の少なくとも1つの排出手段14が規定されている。この除去手段(purge mean)14は、バルブであり、例えば、変換可能なタンク6の内側をタンク8の内側に接続するバルブであり、又は変換可能なタンク6の内側を外側の環境に接続するバルブである場合がある。
【0062】
追加のキャビンとして使用されるように意図された変換可能なタンク6に対して、緊急脱出手段16は、飛行機から乗客の迅速な避難を可能にするために、変換可能なタンクの境界を定める胴体の全体部分の至るところに分散されて設けられている。ハッチ12のために以前に記載されたような密封手段はまた、それらの避難ドア16に設けられている。それらは、それらのアクセス手段16のみが例外的な使用を有するので、より単純な構造である場合があり、緊急脱出ドアのそれぞれの使用後に、それらの密封手段を変更することが規定されている場合がある。
【0063】
それらの緊急脱出手段は、乗客の素早く、安全な避難を可能にするために、周知のタイプの脱出スライド(escape slide)及び/又は脱出手段を備える。
【0064】
図示された例において、それらの避難ドアは、合計で3つであり、ハッチ12はまた、緊急の場合における非常脱出口を形成している、しかしながら、それらの使用が例外的な場合に制限されているので、それらの構造は、例えば、各飛行機で機能するように意図されたハッチ12の構造より複雑ではない。
【0065】
本発明によれば、特に変換可能なタンクが追加のキャビン空間として使用されるように意図された場合に、変換可能なタンク6から乗員室4を分離している壁10におけるアクセスハッチ18が規定される。それ故に、変換可能なタンク6が空である場合に、乗客は、変換可能なタンクによって形成された追加の空間にアクセスするように、このハッチ18を見なすことができる。
【0066】
有利には、フィルター20はまた、格納空間又は収容空間としての変換可能なタンク6の使用を通じて、任意の汚染を集めるように、エンジンの方向における変換可能なタンク6の燃料排出バルブに設けられ、汚染は、非常に完全な洗浄でさえ、取り除くことができない。
【0067】
有利には、床24はまた、格納のため、又は乗客の移動のために設けられている。飛行機のタンクは、任意の平坦な底部を有することなく、効率的に管状形状である。床24は、変換可能なタンク6に事前設置されており、変換可能なタンク6の内部容積を、2つの容積、1つの上部容積と1つの下部容積とに分割し、連通手段は、燃料が流れることを可能にするように、2つの容積の間に設けられている。
【0068】
変換可能なタンク6はまた、格納空間又は設備空間として、装備されることできるような手段を備える。
【0069】
変換可能なタンク6が地上で、追加のキャビン空間に変換される場合に、すなわち、航空機が短距離の飛行のために意図され、且つ変換可能なタンク6が、それ故に、燃料タンク1として使用されることはない場合に、その結果として、変換可能なタンク6の内部は、追加の座席の取付を可能にするための手段を備え、例えば、座席がプラットホーム(図示せず)に取り付けられ、該プラットホームは、大型のハッチ12を介して飛行機内に直接的に積み込まれ、床24に固着されている。
【0070】
長距離の飛行のために意図される飛行機に関して、変換可能なタンクは、飛行の開始時に燃料で満たされ、初めに空になるタンクがこのタンクである場合に、燃料供給は、その後に普通のタンク8から得られる。変換可能なタンク6が空になる場合に、変換可能なタンク6は、飛行中に、例えば、乗客のための睡眠空間(sleeping space)としての乗客のための追加の収容空間に、変換されることができる。
【0071】
変換可能なタンク6の供給部は、変換可能なタンク6が空になる場合に変換可能なタンク6内に採用され、且つ設置される航空機内のいずれかに格納された部分を使用して実行されることができる。しかしながら、この解決方法は、供給要素の保持及び固着を必要とするので、比較的限定的である。同様に、それらの要素は、実質的に使用可能な容積を手に入れ、本発明を不利にさせる。この実施形態において、ラグタイプの迅速な固着手段25及び供給手段は、変換可能なタンク6の床24及び壁に設けられ、変換可能なタンク6を変換するために必要とされる変換時間を低減する。
【0072】
図2A及び図2Bに示されるような特に有利な方法において、例えば、変換可能なタンク6の内部壁のために並べられている膨脹可能な供給要素26、座席及び/又は寝台、を使用することが規定されている。それらの要素は、その結果、変換可能なタンク6の壁及び床24内に組み込まれ、変換可能なタンク6が空である場合に展開される。
それらの供給要素は、以下の利点を有している。
‐ それらは、軽量である。
‐ それらは、収縮された状態において、実際には容積がなく、それによって、変換可能なタンク6内の最大燃料格納空間を提供する。
‐ それらは、素早く展開される、又は収縮されることができ、収容空間及び燃料タンクの両方として迅速且つ容易に変換可能なタンクを変換させる。
【0073】
図2Aにおいて、膨脹可能な供給部は、収縮され、図2Bにおいて、膨脹可能な要素は、展開される。
【0074】
本発明とともに得られる空間における節約の例は、以下に付与されるであろう。
【0075】
変換可能なタンク6は、約10トンの重量に対応する150m3の液体水素を含有することができる。短距離の飛行を遂行している航空機におけるこの容積は、変換可能なタンクが使用されていないため、例えば、以前に記載したような座席プラットホームによって、追加の乗客を収容するように装備されたその床を有することができる。平均して、プラットホームが使用される場合に、乗客につき200kg及び3m3が提供される。その結果、乗客数における増加は50人であり、500人の乗客を通常運搬する飛行機のための容量において、10%の増加に対応する。航空機の収益性は、それ故に著しく増加される。
【0076】
説明は、変換可能なタンク6の飛行中の変換を付与させるであろう。
【0077】
2つのタンク6、8は、燃料で満たされ、乗客はキャビン4内に腰を下ろしている。
【0078】
航空機が離陸し、変換可能なタンク6における燃料を消費する。
【0079】
飛行中の所定の時間で、変換可能なタンク6内に最初に含有された全ての燃料は、実際に使い切られる。燃料は、次いで普通のタンク8によって供給される。
【0080】
変換可能なタンク6は、その結果、手段14によって排出されることができる。
【0081】
次に、変換可能なタンク6の内側は、乗客を収容するために装備されることができる。この装備は、飛行機のどこかに格納された機器を手動で取り付けるによって、又は自動的に膨脹することによって実行されることができる。
【0082】
変換可能なタンク6は、次いで、乗客によって占有されることができる追加のキャビン空間を形成する。
【0083】
タンクへの変換のために、必要とされる全てのものは、機器を取り外す、又は機器を収縮する、及びキャビンと変換可能なタンク6との間の連通ドアを密封して閉鎖することである。図3には、本発明による飛行機の実施形態の変形実施形態が見られ、燃料タンク8.1、8.2、6.1、6.2は、翼50に配置され、胴体2の内側に飛行機の側壁部に部分的に配置される。胴体の内側の部分6.1、6.2は、前述のように、使用可能な、追加の空間に変換されることができる。
【0084】
タンク6及びタンク8の両方が変換可能であり、変換されるべきタンクの選択が必要性に応じてなされることが規定されている。
【0085】
図4A及び図4Bにおいて、本発明の第2の実施形態が見られ、該第2の実施形態は、宇宙機に適用されるが、旅客機又は貨物輸送機に適用されてもよい。
【0086】
記載された実施形態において、宇宙機は、液体亜酸化窒素及びHTPB燃料(末端水酸基ポリブタジエン)からなる酸素供給剤を使用してハイブリッド推進手段を備える。
【0087】
酸素供給剤のタンクは、ちょうどコックピット4の船尾に配置される。燃料燃焼チャンバーは、図示されていない。
【0088】
本発明によれば、交換可能なタンク6は、コンテナ31内に配置され、燃料を含有し、外側の環境から燃料を隔離するように、密封された薄膜30から形成された可撓性を有するパウチである。
【0089】
このパウチ30は、コンテナ31の内壁を覆う。パウチ29が空になる場合、例えば、図4Bに図示されるようなコンテナの内部容積を開放するように、パウチの内側に容積を設置することによって、パウチは、折り畳まれる。
【0090】
液体の亜酸化窒素は、外界温度で格納されることができ、それ故に、使用された薄膜30は、任意の断熱特性が設けられることを必要としない。
【0091】
しかしながら、薄膜30が200℃の温度で晒される実質的な圧力のおかげで、有利には、薄膜の機械的な補強材が規定されている。
【0092】
実施形態の第1の例において、コンテナ31の壁は、この圧力に耐えるように十分な機械的特性を有する。
【0093】
特に、コックピットと変換可能なタンク6との間の分離隔壁10が規定され、この分離隔壁10は、この圧力に耐えるために十分な機械的特性を有し、薄膜30は、図5A及び図5Bに図示されるように壁10に対して支持される。隔壁10の特性を有する隔壁10’はまた、燃料タンクの他端の境界を定めるように設けられる。胴体に関して、これは、一般的に、外側の力を考慮するそのような圧力に耐えるように設計される。
【0094】
図5A及び図5Bに図示された例において、変更可能なタンク6の内側へのアクセスは、パウチが燃料で満たされる場合にハッチ18を介して閉鎖され、該ハッチ18は、その外側周囲の全体に亘ってショルダー34を備え、隔壁10の通路内に取り付けられ、それによって、薄膜30を支持するように、閉鎖された平坦な壁を形成するように通路の縁部に対して支持する。
【0095】
パウチ29が空になる場合に、ハッチ18に対して作用される任意の力がもはや存在せず、薄膜30とともに取り除かれる。
【0096】
この例において、ハッチ18は、薄膜30に接続される。しかしながら、ハッチ18が図4Bに図示されるようなヒンジを介して隔壁10に接続されることが規定される。
【0097】
推進剤を含有するタンクは、航空機の軌道からの離脱のために、軌道上の航空機に設けられる。それ故に、それらのタンクは、満たされており、変換のために利用可能ではない。軌道からの離脱用の推進剤のためのタンクは、それ故に、タンクが空になるとすぐに、メインタンクの使用を可能にするように、打ち上げのためのメインタンクから分離されるように設けられている。
【0098】
図6において、実施形態の他の例は、補強材が、コンテナ31の形態ではなく、パウチ29を囲んでいる可撓性を有する蜘蛛の巣38の形態であることが理解されることができる。
【0099】
前記補強材は、図5A及び図5Bで示される隔壁とともに、燃焼に使用されることができる。
【0100】
エアーリザーバー40はまた、空のコンテナによって形成された追加の空間を、人間の占有のために適するように設けられる。
【0101】
この追加の空間の内部供給部のために、予め設置された機器は使用されることができ、それらは、圧力に耐えるように設計されている。
【0102】
薄膜が第1の実施形態として設けられていない場合に、予め設置された機器は、それらの機器が、保護パネルを超えて浸透することができる液体燃料又は酸素供給剤によって劣化されることができないように、設計される。
【0103】
図2A及び図2Bに関連して記載されるように、最も有利には、衝撃を減衰し、乗客への怪我を避けることができる膨脹可能な機器の使用がまた、規定されている。
【0104】
また、それらの装備は、非常に迅速であり、特に、軌道に乗らない宇宙機のために有利であり、重力の期間が、100kmの高度と160kmの高度との間の飛行のための通常、3〜5秒である。取り付けられることを必要とする機器は、不利には、短い設置時間を付与される。
【0105】
例えば、図7に図示されるような、排気再循環システム33が設けられ、排気再循環システム33はまた、本来のキャビン4から追加のキャビンに空気を運ぶための膨脹可能なダクトを備えることができる。
【0106】
パウチは、バルブ32を介して又は燃焼チャンバーに酸素供給剤を運ぶ推進システムのバルブを介して、航空機の内側(1気圧)と外側(真空)との間の圧力差のおかげで、自然に空になる。
【0107】
窓はまた、変換可能なタンク6に設けられることができる。
【0108】
変換可能なタンクの一部を形成するコンテナは、宇宙機の外側で活動を実施するために、気密通路として使用されることができる。この目的のために、必要とされる全てのものは、居住区画4と変換可能なタンク6との間のアクセス(ハッチ18)を閉鎖すること、バルブ又はポンプによって圧力を調節すること、及び外側に向けてハッチ12を開くことである。それ故に、この空間は、タンク及び空気ロックの二重の機能を実施し、宇宙機の全重量を軽減することを可能にする。
【0109】
変換可能なタンクの変換は、いま記載されるであろう。
【0110】
宇宙機の打ち上げ後、変換可能なタンク6は空になり、次いで、変換可能なタンク6は、追加の収容空間に変換されることができる。
【0111】
この目的のために、パウチ29は、任意の残留燃料又は残留酸素供給剤を取り除くように排出される。
【0112】
次いで、パウチ29は、例えば、真空ポンプ又は宇宙における自然な真空によって、パウチ29の内側を真空に設定することによって、折り畳まれる。生活適正環境は、決定された圧力下で排気循環システムを使用して、コンテナ31内に設定される。
【0113】
次いで、薄膜30を受容するコンテナ31の内部空間は、収容領域としての使用のために利用可能である。
【0114】
図8は、ロケットに適用された本発明の第3の実施形態を図示し、該ロケットは、燃焼チャンバー42を備え固定燃料及び/又は酸素供給剤を有する推進システムを備えており、ハッチ49は、コックピット4の側に燃焼チャンバー42の底部に設けられ、コックピット4から燃焼チャンバー42の内部へのアクセスを可能にする。
【0115】
燃料は、燃焼チャンバー42内で燃焼され、スロート46及び排気ノズル44を介して排出ガスとともに排気される。この燃焼チャンバー42は、次いで、ハッチ49を介してアクセス可能なスロート46を単に閉鎖することによって、船員のための収容空間に変換させることができる。
【0116】
有利には、薄膜48が燃焼チャンバーの内部表面を覆い、有利には、該薄膜48がコックピット内から展開されることができることが規定されている。薄膜48は、次いで、燃焼チャンバー内で生み出された熱から保護される。薄膜は、船員を任意の不燃堆積物(combustion residues)から遮蔽し、且つロケットのキャビン内の環境の汚染を防止し、この薄膜は、薄膜48の内部容積に接続されるエアーリザーバー52によって、展開される。薄膜48の内側のアクセス(図示せず)がまた、設けられる。
【0117】
酸素供給剤用のタンクは、ハイブリッドHTPD/亜酸化窒素システムのための宇宙機内のいずれかに配置されることができる。固体燃料システムとともに、酸素供給剤及び燃料は、ラバーマトリックス(rubber matrix)におけるチャンバー内ですでに混合され、それ故に使用のために準備されている。
【0118】
収容空間の容積におけるこの増加を通じて、船員の快適性は、限定された空間の不快適性を減少することによって、実質的に改善される。
【0119】
HTPBを有する燃焼チャンバー及び亜酸化窒素のタンクが存在する場合に、タンクはまた、キャビン空間の延在部として使用されることができる。固体推進剤によって推進される従来のロケットには、タンクが存在せず、推進剤は、燃焼チャンバー内に位置する。
【0120】
本発明は、短距離の飛行で運搬能力を増加するために、複数のタンクのうちの1つのタンクが取り除かれた飛行機と比較して、推進システムとタンクとの接続が変更されていないので、より迅速で、より容易な変換を可能にする利点を有する。さらに、組み込まれたタンクの構造は、取り外し可能なタンクの構造より効率的であり、それ故に、飛行機が軽量になり、且つより少ない燃料を消費する。
【0121】
第2の実施形態は、燃料としてケロシンを有する飛行機に、有利に適用され、乗客及び貨物から隔離することが所望される。しかしながら、タンクは、液体水素又は任意の他の“クリーンな”燃料を含有するためのパウチが設けられて使用されることができ、特に、ハッチに対するより少ない密封の制約を可能にする。
【符号の説明】
【0122】
2 胴体
4 キャビン
6 変換可能なタンク(第1の燃料タンク)
6.1 燃料タンク
6.2 燃料タンク
8 普通のタンク(第2の燃料タンク)
8.1 燃料タンク
8.2 燃料タンク
9 周囲の壁
10 壁(分離隔壁)
12 アクセス手段(ハッチ)
14 排出手段
16 緊急脱出手段
18 アクセスハッチ
20 フィルター
24 床
25 固着手段
26 装備品手段
29 パウチ
30 薄膜
31 コンテナ
34 ショルダー
38 蜘蛛の巣状の補強材
40 エアーリザーバー
42 燃焼チャンバー
44 排気ノズル
46 スロート
48 薄膜
49 ハッチ
50 翼
52 エアーリザーバー
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【図7】
【図8】
【図5A】図4A及び図4Bにおけるタンクに適合された隔壁の正面図である。
【図5B】図4A及び図4Bにおけるタンクに適合された隔壁の正面である。
【図6】図4A及び図4Bにおけるタンクに適合された補強材の正面である。
【図7】本発明による航空機のために適合された排気循環システムの、概略的な長手方向断面図である。
【図8】本発明の他の実施形態の、概略的な長手方向断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0048】
同一の参照符号は、同じ機能を有する部分を示すために、異なる実施形態において使用される。
【0049】
本発明におけるタンクによって、燃料及び/又は液体状、固体状、又は気体状の酸素供給剤を格納するための場所を意味し、例えば、ケロシン、又は亜酸化窒素、液体メタン、又は液体酸素である場合がある。
【0050】
図1において、第1の実施形態は、本発明による航空機を示すことができ、該航空機は、その内部にキャビン4又は乗員室が配置される胴体2と、少なくとも2つの燃料タンク6,8を備えている。
【0051】
第1の燃料タンク6は、変換可能なタンクと称され、第2の燃料タンク8は、普通のタンク(plain tank)を示されるであろう。
【0052】
この実施形態において、航空機は、液体水素とともに機能する推進システムを保持している飛行機であり、より一般的には、“クリーンな”燃料によって推進される飛行機である。本発明において、クリーンな燃料又は酸素供給剤によって、その消費後に形跡をとどめない、且つ液体酸素、亜酸化窒素、又は液体水素などの、人間にとって有毒ではない、燃料又は酸素供給剤を意味する。
【0053】
推進システムは、少なくとも2つのタンクを備える。
【0054】
液体水素によって推進される飛行機のために、胴体2の長手方向Xにおいて、燃料タンクをキャビン4の両側に配置させることが規定される。この極低温の燃料が、炭化水素ベースの燃料より低い密度を有するので、飛行機の全体の性能レベルを最適化するように、該極低温の燃料は、密封された加圧タンク内に含有されなければならない。極低温の燃料の低い密度は、ケロシン用のタンクより大きいサイズの、大きいタンクを必要とする。極低温の推進剤又は亜酸化窒素の高い圧力はまた、構造的な観点から効率的なタンクを必要とする。高い圧力下で大きな体積を含有するためのより有利な形状は、球形状又は円柱形状である。飛行機の水素用タンク又はメタン用タンクは、翼ではなく、胴体内に位置される。また、球形状又は円柱形状のタンクは、タンクの表面領域がその体積と比較して減少されるので、断熱に対してより効果的である。
【0055】
キャビン4は、壁10によって変換可能なタンク6から分離されている。
【0056】
変換可能なタンク6は、胴体2の一部によって形成された周囲の壁9によって軸方向に境界を定められる。
【0057】
本発明によれば、この壁9において、ハッチタイプの外側からの少なくとも1つのアクセス手段12が規定されている。
【0058】
このハッチ12は、乗客の搭乗及び降機を可能にするための小さなサイズであってもよく、又は、貨物の荷積み及び荷揚げを可能にするための大きなサイズであってよく、又は、飛行機の座席容量を増加するために、座席が設けられた全体のプラットホームの設置又は取り外しを可能にする大きなサイズであってもよい。示された例において、ハッチ12は、大きなサイズであり、より小さいサイズのハッチを備えている。
【0059】
ハッチ12と胴体2との間で任意の燃料漏れを防止するために、ハッチ12に燃料検査手段(Fuel-proof means)(図示せず)が設けられる。
【0060】
ハッチが小さいサイズである場合に、ハッチは、タンクに制限された影響を与える。一方、大きなサイズの開口部とともに、これは、タンクの機械抵抗にその影響を低減するように適合されなければならない。
【0061】
このタンク内の任意の残留燃料を完全に排出するために、変換可能なタンク6の少なくとも1つの排出手段14が規定されている。この除去手段(purge mean)14は、バルブであり、例えば、変換可能なタンク6の内側をタンク8の内側に接続するバルブであり、又は変換可能なタンク6の内側を外側の環境に接続するバルブである場合がある。
【0062】
追加のキャビンとして使用されるように意図された変換可能なタンク6に対して、緊急脱出手段16は、飛行機から乗客の迅速な避難を可能にするために、変換可能なタンクの境界を定める胴体の全体部分の至るところに分散されて設けられている。ハッチ12のために以前に記載されたような密封手段はまた、それらの避難ドア16に設けられている。それらは、それらのアクセス手段16のみが例外的な使用を有するので、より単純な構造である場合があり、緊急脱出ドアのそれぞれの使用後に、それらの密封手段を変更することが規定されている場合がある。
【0063】
それらの緊急脱出手段は、乗客の素早く、安全な避難を可能にするために、周知のタイプの脱出スライド(escape slide)及び/又は脱出手段を備える。
【0064】
図示された例において、それらの避難ドアは、合計で3つであり、ハッチ12はまた、緊急の場合における非常脱出口を形成している、しかしながら、それらの使用が例外的な場合に制限されているので、それらの構造は、例えば、各飛行機で機能するように意図されたハッチ12の構造より複雑ではない。
【0065】
本発明によれば、特に変換可能なタンクが追加のキャビン空間として使用されるように意図された場合に、変換可能なタンク6から乗員室4を分離している壁10におけるアクセスハッチ18が規定される。それ故に、変換可能なタンク6が空である場合に、乗客は、変換可能なタンクによって形成された追加の空間にアクセスするように、このハッチ18を見なすことができる。
【0066】
有利には、フィルター20はまた、格納空間又は収容空間としての変換可能なタンク6の使用を通じて、任意の汚染を集めるように、エンジンの方向における変換可能なタンク6の燃料排出バルブに設けられ、汚染は、非常に完全な洗浄でさえ、取り除くことができない。
【0067】
有利には、床24はまた、格納のため、又は乗客の移動のために設けられている。飛行機のタンクは、任意の平坦な底部を有することなく、効率的に管状形状である。床24は、変換可能なタンク6に事前設置されており、変換可能なタンク6の内部容積を、2つの容積、1つの上部容積と1つの下部容積とに分割し、連通手段は、燃料が流れることを可能にするように、2つの容積の間に設けられている。
【0068】
変換可能なタンク6はまた、格納空間又は設備空間として、装備されることできるような手段を備える。
【0069】
変換可能なタンク6が地上で、追加のキャビン空間に変換される場合に、すなわち、航空機が短距離の飛行のために意図され、且つ変換可能なタンク6が、それ故に、燃料タンク1として使用されることはない場合に、その結果として、変換可能なタンク6の内部は、追加の座席の取付を可能にするための手段を備え、例えば、座席がプラットホーム(図示せず)に取り付けられ、該プラットホームは、大型のハッチ12を介して飛行機内に直接的に積み込まれ、床24に固着されている。
【0070】
長距離の飛行のために意図される飛行機に関して、変換可能なタンクは、飛行の開始時に燃料で満たされ、初めに空になるタンクがこのタンクである場合に、燃料供給は、その後に普通のタンク8から得られる。変換可能なタンク6が空になる場合に、変換可能なタンク6は、飛行中に、例えば、乗客のための睡眠空間(sleeping space)としての乗客のための追加の収容空間に、変換されることができる。
【0071】
変換可能なタンク6の供給部は、変換可能なタンク6が空になる場合に変換可能なタンク6内に採用され、且つ設置される航空機内のいずれかに格納された部分を使用して実行されることができる。しかしながら、この解決方法は、供給要素の保持及び固着を必要とするので、比較的限定的である。同様に、それらの要素は、実質的に使用可能な容積を手に入れ、本発明を不利にさせる。この実施形態において、ラグタイプの迅速な固着手段25及び供給手段は、変換可能なタンク6の床24及び壁に設けられ、変換可能なタンク6を変換するために必要とされる変換時間を低減する。
【0072】
図2A及び図2Bに示されるような特に有利な方法において、例えば、変換可能なタンク6の内部壁のために並べられている膨脹可能な供給要素26、座席及び/又は寝台、を使用することが規定されている。それらの要素は、その結果、変換可能なタンク6の壁及び床24内に組み込まれ、変換可能なタンク6が空である場合に展開される。
それらの供給要素は、以下の利点を有している。
‐ それらは、軽量である。
‐ それらは、収縮された状態において、実際には容積がなく、それによって、変換可能なタンク6内の最大燃料格納空間を提供する。
‐ それらは、素早く展開される、又は収縮されることができ、収容空間及び燃料タンクの両方として迅速且つ容易に変換可能なタンクを変換させる。
【0073】
図2Aにおいて、膨脹可能な供給部は、収縮され、図2Bにおいて、膨脹可能な要素は、展開される。
【0074】
本発明とともに得られる空間における節約の例は、以下に付与されるであろう。
【0075】
変換可能なタンク6は、約10トンの重量に対応する150m3の液体水素を含有することができる。短距離の飛行を遂行している航空機におけるこの容積は、変換可能なタンクが使用されていないため、例えば、以前に記載したような座席プラットホームによって、追加の乗客を収容するように装備されたその床を有することができる。平均して、プラットホームが使用される場合に、乗客につき200kg及び3m3が提供される。その結果、乗客数における増加は50人であり、500人の乗客を通常運搬する飛行機のための容量において、10%の増加に対応する。航空機の収益性は、それ故に著しく増加される。
【0076】
説明は、変換可能なタンク6の飛行中の変換を付与させるであろう。
【0077】
2つのタンク6、8は、燃料で満たされ、乗客はキャビン4内に腰を下ろしている。
【0078】
航空機が離陸し、変換可能なタンク6における燃料を消費する。
【0079】
飛行中の所定の時間で、変換可能なタンク6内に最初に含有された全ての燃料は、実際に使い切られる。燃料は、次いで普通のタンク8によって供給される。
【0080】
変換可能なタンク6は、その結果、手段14によって排出されることができる。
【0081】
次に、変換可能なタンク6の内側は、乗客を収容するために装備されることができる。この装備は、飛行機のどこかに格納された機器を手動で取り付けるによって、又は自動的に膨脹することによって実行されることができる。
【0082】
変換可能なタンク6は、次いで、乗客によって占有されることができる追加のキャビン空間を形成する。
【0083】
タンクへの変換のために、必要とされる全てのものは、機器を取り外す、又は機器を収縮する、及びキャビンと変換可能なタンク6との間の連通ドアを密封して閉鎖することである。図3には、本発明による飛行機の実施形態の変形実施形態が見られ、燃料タンク8.1、8.2、6.1、6.2は、翼50に配置され、胴体2の内側に飛行機の側壁部に部分的に配置される。胴体の内側の部分6.1、6.2は、前述のように、使用可能な、追加の空間に変換されることができる。
【0084】
タンク6及びタンク8の両方が変換可能であり、変換されるべきタンクの選択が必要性に応じてなされることが規定されている。
【0085】
図4A及び図4Bにおいて、本発明の第2の実施形態が見られ、該第2の実施形態は、宇宙機に適用されるが、旅客機又は貨物輸送機に適用されてもよい。
【0086】
記載された実施形態において、宇宙機は、液体亜酸化窒素及びHTPB燃料(末端水酸基ポリブタジエン)からなる酸素供給剤を使用してハイブリッド推進手段を備える。
【0087】
酸素供給剤のタンクは、ちょうどコックピット4の船尾に配置される。燃料燃焼チャンバーは、図示されていない。
【0088】
本発明によれば、交換可能なタンク6は、コンテナ31内に配置され、燃料を含有し、外側の環境から燃料を隔離するように、密封された薄膜30から形成された可撓性を有するパウチである。
【0089】
このパウチ30は、コンテナ31の内壁を覆う。パウチ29が空になる場合、例えば、図4Bに図示されるようなコンテナの内部容積を開放するように、パウチの内側に容積を設置することによって、パウチは、折り畳まれる。
【0090】
液体の亜酸化窒素は、外界温度で格納されることができ、それ故に、使用された薄膜30は、任意の断熱特性が設けられることを必要としない。
【0091】
しかしながら、薄膜30が200℃の温度で晒される実質的な圧力のおかげで、有利には、薄膜の機械的な補強材が規定されている。
【0092】
実施形態の第1の例において、コンテナ31の壁は、この圧力に耐えるように十分な機械的特性を有する。
【0093】
特に、コックピットと変換可能なタンク6との間の分離隔壁10が規定され、この分離隔壁10は、この圧力に耐えるために十分な機械的特性を有し、薄膜30は、図5A及び図5Bに図示されるように壁10に対して支持される。隔壁10の特性を有する隔壁10’はまた、燃料タンクの他端の境界を定めるように設けられる。胴体に関して、これは、一般的に、外側の力を考慮するそのような圧力に耐えるように設計される。
【0094】
図5A及び図5Bに図示された例において、変更可能なタンク6の内側へのアクセスは、パウチが燃料で満たされる場合にハッチ18を介して閉鎖され、該ハッチ18は、その外側周囲の全体に亘ってショルダー34を備え、隔壁10の通路内に取り付けられ、それによって、薄膜30を支持するように、閉鎖された平坦な壁を形成するように通路の縁部に対して支持する。
【0095】
パウチ29が空になる場合に、ハッチ18に対して作用される任意の力がもはや存在せず、薄膜30とともに取り除かれる。
【0096】
この例において、ハッチ18は、薄膜30に接続される。しかしながら、ハッチ18が図4Bに図示されるようなヒンジを介して隔壁10に接続されることが規定される。
【0097】
推進剤を含有するタンクは、航空機の軌道からの離脱のために、軌道上の航空機に設けられる。それ故に、それらのタンクは、満たされており、変換のために利用可能ではない。軌道からの離脱用の推進剤のためのタンクは、それ故に、タンクが空になるとすぐに、メインタンクの使用を可能にするように、打ち上げのためのメインタンクから分離されるように設けられている。
【0098】
図6において、実施形態の他の例は、補強材が、コンテナ31の形態ではなく、パウチ29を囲んでいる可撓性を有する蜘蛛の巣38の形態であることが理解されることができる。
【0099】
前記補強材は、図5A及び図5Bで示される隔壁とともに、燃焼に使用されることができる。
【0100】
エアーリザーバー40はまた、空のコンテナによって形成された追加の空間を、人間の占有のために適するように設けられる。
【0101】
この追加の空間の内部供給部のために、予め設置された機器は使用されることができ、それらは、圧力に耐えるように設計されている。
【0102】
薄膜が第1の実施形態として設けられていない場合に、予め設置された機器は、それらの機器が、保護パネルを超えて浸透することができる液体燃料又は酸素供給剤によって劣化されることができないように、設計される。
【0103】
図2A及び図2Bに関連して記載されるように、最も有利には、衝撃を減衰し、乗客への怪我を避けることができる膨脹可能な機器の使用がまた、規定されている。
【0104】
また、それらの装備は、非常に迅速であり、特に、軌道に乗らない宇宙機のために有利であり、重力の期間が、100kmの高度と160kmの高度との間の飛行のための通常、3〜5秒である。取り付けられることを必要とする機器は、不利には、短い設置時間を付与される。
【0105】
例えば、図7に図示されるような、排気再循環システム33が設けられ、排気再循環システム33はまた、本来のキャビン4から追加のキャビンに空気を運ぶための膨脹可能なダクトを備えることができる。
【0106】
パウチは、バルブ32を介して又は燃焼チャンバーに酸素供給剤を運ぶ推進システムのバルブを介して、航空機の内側(1気圧)と外側(真空)との間の圧力差のおかげで、自然に空になる。
【0107】
窓はまた、変換可能なタンク6に設けられることができる。
【0108】
変換可能なタンクの一部を形成するコンテナは、宇宙機の外側で活動を実施するために、気密通路として使用されることができる。この目的のために、必要とされる全てのものは、居住区画4と変換可能なタンク6との間のアクセス(ハッチ18)を閉鎖すること、バルブ又はポンプによって圧力を調節すること、及び外側に向けてハッチ12を開くことである。それ故に、この空間は、タンク及び空気ロックの二重の機能を実施し、宇宙機の全重量を軽減することを可能にする。
【0109】
変換可能なタンクの変換は、いま記載されるであろう。
【0110】
宇宙機の打ち上げ後、変換可能なタンク6は空になり、次いで、変換可能なタンク6は、追加の収容空間に変換されることができる。
【0111】
この目的のために、パウチ29は、任意の残留燃料又は残留酸素供給剤を取り除くように排出される。
【0112】
次いで、パウチ29は、例えば、真空ポンプ又は宇宙における自然な真空によって、パウチ29の内側を真空に設定することによって、折り畳まれる。生活適正環境は、決定された圧力下で排気循環システムを使用して、コンテナ31内に設定される。
【0113】
次いで、薄膜30を受容するコンテナ31の内部空間は、収容領域としての使用のために利用可能である。
【0114】
図8は、ロケットに適用された本発明の第3の実施形態を図示し、該ロケットは、燃焼チャンバー42を備え固定燃料及び/又は酸素供給剤を有する推進システムを備えており、ハッチ49は、コックピット4の側に燃焼チャンバー42の底部に設けられ、コックピット4から燃焼チャンバー42の内部へのアクセスを可能にする。
【0115】
燃料は、燃焼チャンバー42内で燃焼され、スロート46及び排気ノズル44を介して排出ガスとともに排気される。この燃焼チャンバー42は、次いで、ハッチ49を介してアクセス可能なスロート46を単に閉鎖することによって、船員のための収容空間に変換させることができる。
【0116】
有利には、薄膜48が燃焼チャンバーの内部表面を覆い、有利には、該薄膜48がコックピット内から展開されることができることが規定されている。薄膜48は、次いで、燃焼チャンバー内で生み出された熱から保護される。薄膜は、船員を任意の不燃堆積物(combustion residues)から遮蔽し、且つロケットのキャビン内の環境の汚染を防止し、この薄膜は、薄膜48の内部容積に接続されるエアーリザーバー52によって、展開される。薄膜48の内側のアクセス(図示せず)がまた、設けられる。
【0117】
酸素供給剤用のタンクは、ハイブリッドHTPD/亜酸化窒素システムのための宇宙機内のいずれかに配置されることができる。固体燃料システムとともに、酸素供給剤及び燃料は、ラバーマトリックス(rubber matrix)におけるチャンバー内ですでに混合され、それ故に使用のために準備されている。
【0118】
収容空間の容積におけるこの増加を通じて、船員の快適性は、限定された空間の不快適性を減少することによって、実質的に改善される。
【0119】
HTPBを有する燃焼チャンバー及び亜酸化窒素のタンクが存在する場合に、タンクはまた、キャビン空間の延在部として使用されることができる。固体推進剤によって推進される従来のロケットには、タンクが存在せず、推進剤は、燃焼チャンバー内に位置する。
【0120】
本発明は、短距離の飛行で運搬能力を増加するために、複数のタンクのうちの1つのタンクが取り除かれた飛行機と比較して、推進システムとタンクとの接続が変更されていないので、より迅速で、より容易な変換を可能にする利点を有する。さらに、組み込まれたタンクの構造は、取り外し可能なタンクの構造より効率的であり、それ故に、飛行機が軽量になり、且つより少ない燃料を消費する。
【0121】
第2の実施形態は、燃料としてケロシンを有する飛行機に、有利に適用され、乗客及び貨物から隔離することが所望される。しかしながら、タンクは、液体水素又は任意の他の“クリーンな”燃料を含有するためのパウチが設けられて使用されることができ、特に、ハッチに対するより少ない密封の制約を可能にする。
【符号の説明】
【0122】
2 胴体
4 キャビン
6 変換可能なタンク(第1の燃料タンク)
6.1 燃料タンク
6.2 燃料タンク
8 普通のタンク(第2の燃料タンク)
8.1 燃料タンク
8.2 燃料タンク
9 周囲の壁
10 壁(分離隔壁)
12 アクセス手段(ハッチ)
14 排出手段
16 緊急脱出手段
18 アクセスハッチ
20 フィルター
24 床
25 固着手段
26 装備品手段
29 パウチ
30 薄膜
31 コンテナ
34 ショルダー
38 蜘蛛の巣状の補強材
40 エアーリザーバー
42 燃焼チャンバー
44 排気ノズル
46 スロート
48 薄膜
49 ハッチ
50 翼
52 エアーリザーバー
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【図7】
【図8】
【公表番号】特表2010−500946(P2010−500946A)
【公表日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−524197(P2009−524197)
【出願日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際出願番号】PCT/EP2007/058534
【国際公開番号】WO2008/022965
【国際公開日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【出願人】(506131134)
【公表日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際出願番号】PCT/EP2007/058534
【国際公開番号】WO2008/022965
【国際公開日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【出願人】(506131134)
[ Back to top ]