説明

有価証券取引管理システム及び有価証券取引管理プログラム

【課題】多種類の有価証券に関する取引情報の入力及びそのデータ処理を一元的に実現可能な技術の提供。
【解決手段】有価証券の属性設定用のフォームをディスプレイに表示させる手段と、これを通じて入力された属性情報を個別属性DB20に格納する手段と、有価証券取引に関するデータを登録する際に必要となる複数のデータ項目を標準項目として登録しておく標準項目DB12と、各標準項目の表示特性を設定するためのフォーム48を表示させる手段と、これを通じて入力された設定値を特定の有価証券と関連付けて個別項目DB18に格納する手段と、個別属性DB20に登録された有価証券の選択フォームを表示させる手段と、これを通じて有価証券が選択された場合に、各標準項目に当該有価証券に係る個別項目の設定値を反映させた取引約定入力フォーム64a,64bを生成し、ディスプレイに表示させる手段と、これを通じて入力されたデータを標準項目における入力データとして所定のデータベースに格納する手段とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、有価証券取引管理システム及び有価証券取引管理プログラムに係り、特に、様々な種類の有価証券の取引に対応可能な管理システム及び管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
金融機関等が有価証券の売買取引を行った際には、その都度取引内容をデータベースに格納することが求められるが、有価証券と一口にいっても株式を筆頭に国債や社債等の種類があり、それぞれの商品特性に応じて入力項目や用語が異なるため、これまでは有価証券の種類毎に最適化されたインターフェイスを備えた、専用のアプリケーションプログラムが作成され、販売されてきた。例えば、非特許文献1には、「保険会社に必要な機能/4.商品提供機関として必要な機能/◆商品約定管理システム/GICや投信など、保険会社が取り扱う商品ごとにそれぞれの管理システムが必要です。対象商品の買付・売却が発生した場合に保険会社側でその処理をおこなう機能や、基準価格算定機能などが考えられます。」とある。
このため、一つの金融機関が証券や債券など複数の有価証券取引を行う場合には、それぞれ別個の管理プログラムを用意し、取引対象に応じてこれらを使い分けてきた。
【非特許文献1】INSURANCE NEWS[平成16年9月17日検索] インターネットURL:http://www.hitachi.co.jp/Prod/comp/cyberfront/finance/d_teiki/inews/html/011/topix1.htm
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このため、複数の専用プログラムを導入することによってイニシャルコストやランニングコストが嵩むことはもちろんのこと、それぞれの独特の操作を習得するために時間を要することや、異なるフォーマットのデータに対して別個に集計処理を行うことの非効率性が問題となっていた。
また、昨今ではスワップやオプションといったデリバティブ(派生証券)が多数生まれては次々と消えていく環境にあるため、これまでのように有価証券毎に専用のアプリケーションプログラムを作成していたのでは、時間的に間に合わない状況になってきている。
【0004】
この発明は、上記の問題点を解決するために案出されたものであり、多種類の有価証券に関する取引情報の入力及びそのデータ処理を一元的に実現可能な技術の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するため、請求項1に記載した有価証券取引管理システムは、有価証券の属性を設定するためのフォームをディスプレイに表示させる手段と、上記フォームを通じて入力された属性情報を、固有のコードに関連付けて個別属性記憶手段に格納する手段と、有価証券取引に関するデータを登録する際に必要となる複数のデータ項目を、予め標準項目として登録しておく標準項目記憶手段と、各標準項目の表示特性を設定するためのフォームをディスプレイに表示させる手段と、上記フォームを通じて入力された各標準項目の設定値を、特定の有価証券と関連付けて個別項目記憶手段に格納する手段と、上記個別属性記憶手段に登録された複数の有価証券の中から一つを選択するためのフォームをディスプレイに表示させる手段と、上記フォームを通じて一つの有価証券が選択された場合に、上記の各標準項目に当該有価証券に係る個別項目の設定値を反映させた取引約定入力フォームを生成し、ディスプレイに表示させる手段と、上記取引約定入力フォームを通じて入力されたデータを、標準項目における入力データとして所定の取引関連データベースに格納する手段とを備えたことを特徴としている。
この有価証券取引管理システムを所謂クライアント−サーバ型のシステム構成によって実現する場合、上記「ディスプレイ上に表示させる手段」は、クライアント端末に各種フォームを配信し、クライアント端末のディスプレイ上にこれを表示させるサーバ側の機能を意味する(以下同様)。また、この場合上記「フォームを通じて入力された」や「フォームを通じて…選択された」は、クライアント端末の入力手段によって入力動作や選択動作が実行されることを意味する(以下同様)。
【0006】
請求項2に記載した有価証券取引管理システムは、請求項1のシステムを前提とし、さらに各有価証券の仕訳ルールを設定するためのフォームをディスプレイに表示させる手段と、上記フォームを通じて設定された仕訳ルールを、固有のコードに関連付けて仕訳ルール記憶手段に格納する手段と、上記取引約定入力フォームを通じて仕訳ルールのコードが特定された場合に、この取引約定入力フォームを通じて入力された取引データを、当該仕訳ルールに従って仕訳処理する手段と、仕訳処理の結果データを所定の取引関連データベースに格納する手段とを備えたことを特徴としている。
【0007】
請求項3に記載した有価証券取引管理システムは、請求項1または2のシステムを前提とし、さらに上記取引関連データベース内に蓄積されたデータを集計し、各種レポートファイルを生成するに際し、上記個別項目記憶手段を参照し、標準項目に対して必要な修正を施すことによって各有価証券専用のレポートファイルを生成する手段を備えたことを特徴としている。
【0008】
請求項4に記載した有価証券取引管理システムは、請求項1〜3のシステムを前提とし、さらに特定の標準項目に入力されたデータを元に他の標準項目の値を算出するための導出ルールを設定するフォームをディスプレイに表示させる手段と、このフォームを通じて導出ルールが設定された場合に、これを特定の有価証券に関連付けて上記個別項目記憶手段に格納する手段と、上記取引約定入力フォームを通じて該当の標準項目にデータが入力された場合に、上記導出ルールに従って必要な算出処理を実行する手段と、その算出結果を上記取引約定入力フォームにおける対応の標準項目に挿入させる手段とを備えたことを特徴としている。
【0009】
請求項5に記載した有価証券取引管理システムは、請求項1〜4のシステムを前提とし、さらに特定の標準項目に入力されたデータの適否を判定するためのチェックルールを設定するフォームをディスプレイに表示させる手段と、このフォームを通じてチェックルールが設定された場合に、これを特定の有価証券に関連付けて上記個別項目記憶手段に格納する手段と、上記取引約定入力フォームを通じて該当の項目にデータが入力された場合に、上記チェックルールに従ってその適否を判定する手段と、入力データが不適合な場合にはエラーメッセージをディスプレイに表示させる手段とを備えたことを特徴としている。
【0010】
請求項6に記載した有価証券取引管理プログラムは、コンピュータを、有価証券の属性を設定するためのフォームをディスプレイに表示させる手段、上記フォームを通じて入力された属性情報を、固有のコードに関連付けて個別属性記憶手段に格納する手段、有価証券取引に関するデータを登録する際に必要となる複数のデータ項目を、予め標準項目として登録しておく標準項目記憶手段、各標準項目の表示特性を設定するためのフォームをディスプレイに表示させる手段、上記フォームを通じて入力された各標準項目の設定値を、特定の有価証券と関連付けて個別項目記憶手段に格納する手段、上記個別属性記憶手段に登録された複数の有価証券の中から一つを選択するためのフォームをディスプレイに表示させる手段、上記フォームを通じて一つの有価証券が選択された場合に、上記の各標準項目に当該有価証券に係る個別項目の設定値を反映させた取引約定入力フォームを生成し、ディスプレイに表示させる手段、上記取引約定入力フォームを通じて入力されたデータを、標準項目における入力データとして所定の取引関連データベースに格納する手段として機能させることを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
請求項1の有価証券取引管理システム及び請求項6の有価証券取引管理プログラムによれば、あらゆる有価証券の取引管理に必要なものとして網羅的に用意された各標準項目に対し、有価証券毎にその表示/非表示や表示名、表示位置、表示長といった表示特性を制御するための設定を予め登録しておくことにより、各有価証券に特化させた取引約定入力フォームを生成・表示することが可能となり、単一のシステムまたはプログラムでありながら専用システムあるいは専用プログラムを用いた場合と同様の、良好な操作性を実現することができる。
しかも、上記の各有価証券専用の取引約定入力フォームを通じて入力された取引データは、標準項目における標準フォーマットの入力データとして各種データベースに格納されるため、データの集計処理に際しては各有価証券単位で別個に行う必要がなく、一括処理が可能となる。
【0012】
請求項2の有価証券取引管理システムによれば、各有価証券単位で仕訳ルールを設定できるため、標準項目に基づいた一括処理を前提としつつも、経理上必要となる仕訳処理に関しては、商品特性や法令に応じた柔軟な対応が可能となる。
【0013】
請求項3の有価証券取引管理システムによれば、有価証券取引に基づく各種レポートファイルを生成するに際して個別項目記憶手段内の設定情報が参照されるため、標準項目に基づいた一括処理を前提としつつも、項目名の表記等については各有価証券の独自性が反映されることとなり、専用システムあるいは専用プログラムを用いた場合と同様の見栄えを備えたレポートフィルをユーザに提示することが可能となる。
【0014】
請求項4の有価証券取引管理システムによれば、有価証券単位で必要な標準項目に入力支援のための導出ルールを設定しておくことができるため、標準項目に基づいた共通処理を前提としつつも、各有価証券の特性を反映させた入力支援機能を実現することが可能となる。
【0015】
請求項5の有価証券取引管理システムによれば、有価証券単位で必要な標準項目に入力データの適否を判定するためのチェックルールを設定しておくことができるため、標準項目に基づいた共通処理を前提としつつも、各有価証券の特性を反映させたデータチェック機能を実現することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
図1は、この発明に係る有価証券取引管理システム10を示すブロック図であり、標準項目データベース12と、個別有価証券登録部14と、仕訳ルールデータベース16と、個別項目データベース18と、個別属性データベース20と、取引約定登録部22と、仕訳データベース24と、取引データベース26と、損益残高データベース28と、集計処理部30と、ディスクロデータベース32を備えている。
上記個別有価証券登録部14、取引約定登録部22、及び集計処理部30は、管理サーバ34のCPUが、OS及び専用のアプリケーションプログラムに従って必要な処理を実行することによって実現される。
【0017】
また、上記標準項目データベース12、仕訳ルールデータベース16、個別項目データベース18、個別属性データベース20、仕訳データベース24、取引データベース26、損益残高データベース28、及びディスクロデータベース32は、管理サーバ34のハードディスク内に設けられている。
上記個別属性データベース20内には、商品属性テーブルと、銘柄属性テーブルが設けられている。
【0018】
以下、図2及び図3のフローチャートに従い、ユーザ(金融機関のオペレータ)が新たな有価証券に関する情報をシステム内に登録し、以後このシステム10において当該有価証券に係る取引情報の管理が行えるようにする際の手順について説明する。
まず、ユーザがクライアント端末36から管理サーバ34にアクセスし、サービスメニューの中から「新規有価証券の登録」を選択すると(図2のS10)、個別有価証券登録部14から商品属性登録フォームが送信され(S11)、クライアント端末36のディスプレイに表示される(S12)。
図示は省略したが、この商品属性登録フォームには、証券種別コード、証券種別予備コード、証券名(日本語)、証券名(英語)等の入力項目が設けられており、ユーザは各入力項目に必要なデータを入力した後(S13)、登録ボタンをクリックして新規登録を求める(S14)。
これを受けた管理サーバ34の個別有価証券登録部14は、入力データを個別属性データベース20の商品属性テーブルに追加する(S15)。
【0019】
つぎにユーザは、新しく設定した有価証券に属する各銘柄の属性情報の登録を管理サーバ34に対して求める(S16)。
この結果、個別有価証券登録部14からクライアント端末36に対して銘柄属性登録フォームが送信され(S17)、ディスプレイに表示される(S18)。
図4及び図5はその一例を示すものであり、銘柄属性登録フォーム38、40には、あらゆる有価証券に係る銘柄の属性を定義するのに必要な入力項目が予め設定されている。
これに対しユーザは、当該有価証券に係る個別銘柄を定義するためのデータを必要な属性項目に入力する(S19)。このフォーム38、40中には、有価証券の種類によっては不要な属性項目が含まれているが、その場合にはブランクのまま残される。
上記のフォーム38、40において、銘柄コードや銘柄名、証券種別コード等の属性データを入力したユーザは、更新ボタン42をクリックし、当該銘柄属性の登録を求める(S20)。
これを受けた個別有価証券登録部14は、ユーザが入力した属性データを個別属性データベース20の銘柄属性テーブルに追加する(S21)。
各銘柄属性のデータは、「証券種別コード」によって特定の有価証券と関連付けられている。
【0020】
上記のS19〜S21の処理を繰り返し、必要な銘柄属性の登録を完了したユーザは、管理サーバ34に対して当該有価証券の仕訳ルールの登録を要求する(S22)。
これを受けた個別有価証券登録部14からは、仕訳ルール登録フォームが送信され(S23)、クライアント端末のディスプレイに表示される(図3のS24)。
図6はその一例を示すものであり、仕訳ルール登録フォーム44には、あらゆる有価証券の仕訳処理に必要なデータ項目が用意されている。
これに対しユーザは、当該有価証券の仕訳ルールを特定するためのデータを必要な項目に入力する(S25)。
上記のフォーム44において仕訳ルールコードや使途(メモ)、借方貸方区分(借方計上か貸方計上かの区別)、約定/受渡区分(約定ベースか受渡ベースかの区別)、勘定種別、勘定科目、計算項目明細等のデータを入力したユーザは、更新ボタン46をクリックし、当該仕訳ルールの登録を求める(S26)。
これを受けた個別有価証券登録部14は、ユーザが入力した仕訳ルールを仕訳ルールデータベース16に格納する(S27)。
【0021】
つぎにユーザは、管理サーバ34に対して当該有価証券の個別項目の設定を要求する(S28)。
この結果、個別有価証券登録部14から標準項目リストが送信され(S29)、クライアント端末36のディスプレイに表示される(S30)。
図示は省略したが、この標準項目リストには、標準項目データベース12内に登録されたあらゆる有価証券の取引に対応可能な多数のデータ項目が網羅的に列挙されている。
これに対しユーザは、各データ項目毎に必要な情報を設定していく。
具体的には、ユーザが上記リスト中の特定のデータ項目をクリックして選択すると(S31)、個別有価証券登録部14からクライアント端末36に対し当該データ項目に係る設定フォームが送信され(S32)、ディスプレイに表示される(S33)。
【0022】
図7はその一例を示すものであり、設定フォーム48には項目ID、項目名、表示の有無、表示位置、表示長、入力必須等の設定項目が設けられている。
ここで「項目ID」とは、標準項目データベース12内に登録された各標準項目に固有の識別コードであり、ユーザはプルダウンボタン50をクリックし、表示されるメニュー中から他のIDを選択することで当該項目IDの設定画面を呼び出し、その編集を行うことができる。あるいは、前項目ボタン52、次項目ボタン54をクリックすることによっても、他の項目IDに係る設定フォームを呼び出すことができる。
【0023】
「項目名」は、標準項目データベース12内に登録された各標準項目の仮の名称であり、項目ID:001にはデフォルトで「商品名」の名称が割り振られていることを示している。
これに対しユーザは、必要に応じて異なる名称を設定することができる。例えば、有価証券の種類が株式である場合に商品名を「銘柄」に、また投資信託である場合に「ファンド」に変更することが該当する。
【0024】
「表示の有無」は、後述の取引約定入力画面において当該項目を表示させるか否かを選択する項目であり、ここで「非表示」のラジオボックスにチェックを入れると、取引約定入力画面において表示されなくなる。
また、後述の集計処理においても、「非表示」が設定されたデータ項目は当該有価証券については存在しないものとして取り扱われることとなる。
【0025】
「表示位置」は、取引約定入力画面において当該項目を表示させる場合において、その座標を指定するための項目であり、ユーザはデフォルトの値を修正することによって表示位置を調整することができる。
また、「表示長」は取引約定入力画面に表示される入力フィールドのサイズを特定するための項目であり、ユーザは想定される入力データの長さに応じて加減することができる。
【0026】
「入力必須」は、取引約定入力画面において当該項目が必須の入力項目として設定されるのか否かを指定する項目であり、ユーザが「必須」のラジオボックスにチェックを入れると、未入力の場合には警告のメッセージが表示され、登録が拒否されることとなる。
【0027】
「最大値」は、取引約定入力画面において入力されるデータの最大桁数を指定する項目であり、「最小値」は最小桁数を指定する項目である。
また、「最大値チェック」及び「最小値チェック」の各項目に「あり」が設定されていると、取引約定入力画面を通じて設定値に反する桁数のデータが入力された場合に警告メッセージが表示され、その登録が拒否されることとなる。
入力データの桁数を特に限定する必要がない場合には、「最大値」及び「最小値」の項目をブランクにしておけばよい。
【0028】
「導出ルール」は、取引約定入力画面における入力支援機能を定義する項目であり、ユーザが設定ボタン56をクリックすると、個別有価証券登録部14からクライアント端末36にルール編集画面が送信され、ディスプレイに表示される(図示省略)。
これに対しユーザは、ルール編集画面において当該項目に入力された値と他の項目に入力されるべき値との対応関係をSQL文等を用いて定義する。
また、「チェックルール」は、取引約定入力画面における入力チェック機能を定義する項目であり、ユーザが設定ボタン58をクリックすると、個別有価証券登録部14からクライアント端末36にルール編集画面が送信され、ディスプレイに表示される(図示省略)。
これに対しユーザは、ルール編集画面において当該項目に入力された値の適否を判定するためのロジックをSQL文等を用いて定義する。
【0029】
以上の設定項目は一例であり、実際には他の設定項目が予め設けられており、ユーザは必要な設定項目の値を修正することにより、取引約定入力画面における当該データ項目の表示特性や動作特性をカスタマイズできる。
他の設定項目として、例えば入力方法として打鍵入力を求めるのか、プルダウンメニューから選択させるのかを設定したり、プルダウンメニューの場合にはその選択肢を規定することが挙げられる。
また、IME(日本語入力システム)の入力モードを制御するための項目などもある。
【0030】
以上のようにして、ユーザは標準項目データベース12内に設定された標準データ項目について次々に必要な修正データを入力していき(S34)、全ての設定を終えた段階で画面上の更新ボタン60をクリックし、修正データの登録を要求する(S35)。
これを受けた個別有価証券登録部14は、クライアント端末36から送信された修正データを、証券種別コードに関連付けて個別項目データベース18に追加登録する(S36)。
【0031】
つぎに、図8及び図9のフローチャートに従い、ユーザが有価証券の売買取引に係る具体的なデータをシステム10内に登録する際の手順について説明する。
まずユーザは、クライアント端末62から管理サーバ34にアクセスし、サービスメニューの中から「取引約定の登録」を選択する(図8のS41)。
この結果、管理サーバの取引約定登録部22から有価証券選択フォームが送信され(S42)、クライアント端末62のディスプレイに表示される(S43)。
【0032】
図示は省略したが、この商品選択フォームには個別属性データベース20内の商品属性テーブルに登録されている有価証券の全種類が列挙されており、ユーザはこの中から特定の有価証券、例えば国内投資信託を選択する(S44)。
これを受けた取引約定登録部22は、標準項目データベース12内に設定された標準項目情報と、個別項目データベース18内に設定された国内投資信託の個別項目情報とを参照し、国内投資信託用に特化させた取引約定入力フォームを生成し(S45)、その中の1頁目をクライアント端末62に送信する(S46)。
【0033】
この結果、クライアント端末62のディスプレイに取引約定入力フォームの1頁目が表示される(S47)。
図10はその一例を示すものであり、標準項目データベース12内に登録された各標準項目が、個別項目データベース18内に設定された条件に従って調整された上で、取引約定入力フォーム64a上に表示されている。
例えば、個別項目データベース18内に標準項目の「商品名」を「ファンド」に置き換える旨の設定がなされているため、この取引約定入力フォーム64aにおいては「ファンド」という項目名で表示されている。
各入力フィールドの桁長も、個別項目データベース18内に設定された長さと一致している。
また、各項目の表示位置も、個別項目データベース18内に設定された位置座標と一致している。
さらに、標準項目データベース12内に登録された標準項目の中で、個別項目データベース18において「非表示」と設定されているものについては、この入力フォーム64aにおいて非表示となされている。
【0034】
これに対しユーザは、各項目の入力フィールドに必要なデータを入力していく(S48)。
この際、ある入力項目に導出ルールが設定されている場合、取引約定登録部22によって当該導出ルールに従った入力支援のための計算処理が実行される(S49)。
例えば、「受渡日は約定日の3日後である」という導出ルールが約定日の項目に設定されていた場合、ユーザが約定日にデータを入力し、その入力データが管理サーバ34に送信された時点で取引約定登録部22が3日後の日付を算出し、これを受渡日の入力フィールドに充填させるための電文をクライアント端末62に送信する(S50)。
この結果、受渡日の入力フィールドには自動的に約定日の3日後の日付が入力されることとなり(S51)、ユーザが自ら入力する手間が省ける。
【0035】
ユーザは、取引約定入力フォームの1頁目の入力が済むと確認ボタン66をクリックし、入力データのチェックを要求する(S52)。
これを受けた管理サーバ34の取引約定登録部22は、クライアント端末62から送信された各入力データの適否を判定する(S53)。
まず、ある入力項目についてチェックルールが設定されている場合、取引約定登録部22は当該チェックルールに従い入力データの適否を判定する。例えば、「銘柄コードは半角英数字のみとする」というチェックルールが銘柄コードの項目に設定されているにもかかわらず、その入力フィールドに漢字や全角文字が入力されていた場合、取引約定登録部22はこれを不適合(エラー)と認定し、その旨のメッセージをクライアント端末62に送信する(S54)。
この結果、クライアント端末62のディスプレイにエラーメッセージが表示されるため(S55)、ユーザはこのメッセージに従って入力データの修正を行う(S56)。
また、入力データ長の最大値と最小値が要チェック項目として設定されている場合、この範囲を逸脱する入力データに対しても上記と同様のエラー表示がなされる。
もちろん、入力必須の設定がなされているにもかかわらずブランクのままになっている入力フィールドがある場合にも、取引約定登録部22はクライアント端末62のディスプレイにエラーメッセージを表示させる。
【0036】
入力データが全てのチェックルールに適合している場合、あるいはルールに適った修正が施された場合、図11に示すように、取引約定登録部22から2頁目の入力フォーム64bが送信され(図9のS57)、クライアント端末62のディスプレイに表示される(S58)。
これに対してもユーザは、仕訳ルールコード、数量(額面)、単価、仮換算為替レート、BC換算為替レート等の入力フィールドに該当のデータを入力していく(S59)。
また、S60〜S67において1頁目と同様の処理、すなわち導出ルールに従った入力支援処理、入力データの適否チェック処理が実行される。
【0037】
ユーザによる2頁目の入力フォーム64bに対する適式な入力が完了すると、取引約定登録部22は仕訳ルールデータベース16を参照してユーザが特定した仕訳ルールの設定情報を取得し、ユーザがこれまでに入力したデータにこれを適用して仕訳処理を実行する(S68)。
そして、この仕訳処理の結果を表示するための画面を生成し、クライアント端末62に送信する(S69)。
この結果、図12に示すように、クライアント端末62のディスプレイに仕訳結果確認画面64cが表示される(S70)。
【0038】
この仕訳結果確認画面64cをチェックした結果、問題がないと判断したユーザは更新ボタン70をクリックし、入力データの登録を要求する(S71)。
これを受けた取引約定登録部22は、入力データを取引データベース26に登録すると共に、仕訳結果データを仕訳データベース24に登録する(S72)。
また、取引約定登録部22は、取引データを銘柄別に管理するための損益残高データベース28にも必要な入力データを格納する。
この際、各入力データの項目名やデータ型は、全て標準項目の標準フォーマットのままで各データベースに登録される。
【0039】
上記においては、ユーザが有価証券の種類として「国内投資信託」を選択した場合の例を説明したが、ユーザが「国内株式」を選択した場合には、取引約定登録部22によって株取引に最適化された取引約定入力フォームが生成され、クライアント端末62のディスプレイに表示される。
そして、このフォームを通じて入力されたデータは、最終的には上記と同様、取引データベース26、仕訳データベース24、損益残高データベース28に格納される。
この場合も、各入力データの項目名やデータ型は全て標準フォーマットにて各データベースに登録される。
【0040】
上記のようにして取引データベース26、仕訳データベース24、及び損益残高データベース28に格納された各データに対しては、集計処理部30によって定期的(例えば毎営業日夜間)に基準価格算出、未収計算、残高計算等の集計処理が実行され、経理仕訳帳票、利息配当明細表、取引明細表、残高明細表等の各種レポートファイルが生成される。
集計処理部30によって生成されたレポートファイルは、ディスクロデータベース32内に格納される。
【0041】
上記のように、取引データベース26、仕訳データベース24、及び損益残高データベース28には各有価証券に係るデータが標準フォーマットで格納されているため、この集計処理に際しては全有価証券に関し共通で実行することができ、極めて効率的である。
しかも、集計処理部30は、各種レポートファイルを生成するに際しては個別項目データベース18及び個別属性データベース20を参照し、各有価証券に特有の項目名称や属性情報をレポートの記載内容に反映させる。
この結果、標準フォーマットの標準データに基づいて各種集計処理を実行したにもかかわらず、各有価証券専用のアプリケーションプログラムによって集計処理された場合と同様の品質を備えたレポートファイルをユーザに対して提供することが可能となる。
【0042】
上記の有価証券取引管理システム10にあっては、管理サーバ34とクライアント端末36及びクライアント端末62を備えたクライアント−サーバ型のシステム構成を備えていたが、この発明はこれに限定されるものではなく、パソコン等のコンピュータに専用のアプリケーションプログラムをセットアップすることにより、スタンドアロン型のシステム構成によって実現することも当然に可能である。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】有価証券取引管理システムの機能構成を示すブロック図である。
【図2】新たな有価証券に関する設定情報をシステム内に登録する際の手順を示すフローチャートである。
【図3】新たな有価証券に関する設定情報をシステム内に登録する際の手順を示すフローチャートである。
【図4】銘柄属性登録フォームの一例を示すレイアウト図である。
【図5】銘柄属性登録フォームの一例を示すレイアウト図である。
【図6】仕訳ルール登録フォームの一例を示すレイアウト図である。
【図7】個別項目設定フォームの一例を示すレイアウト図である。
【図8】有価証券の取引に係る具体的なデータをシステムに登録する際の手順を示すフローチャートである。
【図9】有価証券の取引に係る具体的なデータをシステムに登録する際の手順を示すフローチャートである。
【図10】取引約定入力フォームの1頁目を示すレイアウト図である。
【図11】取引約定入力フォームの2頁目を示すレイアウト図である。
【図12】仕訳結果確認画面を示すレイアウト図である。
【符号の説明】
【0044】
10 有価証券取引管理システム
12 標準項目データベース
14 個別有価証券登録部
16 仕訳ルールデータベース
18 個別項目データベース
20 個別属性データベース
22 取引約定登録部
24 仕訳データベース
26 取引データベース
28 損益残高データベース
30 集計処理部
32 ディスクロデータベース
34 管理サーバ
36 クライアント端末
38 銘柄属性登録フォーム
42 更新ボタン
44 仕訳ルール登録フォーム
46 更新ボタン
48 設定フォーム
50 プルダウンボタン
52 前項目ボタン
54 次項目ボタン
56 設定ボタン
58 設定ボタン
60 更新ボタン
62 クライアント端末
64a 取引約定入力フォームの1頁目
64b 取引約定入力フォームの2頁目
64c 仕訳結果確認画面
66 確認ボタン
70 更新ボタン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有価証券の属性を設定するためのフォームをディスプレイに表示させる手段と、
上記フォームを通じて入力された属性情報を、固有のコードに関連付けて個別属性記憶手段に格納する手段と、
有価証券取引に関するデータを登録する際に必要となる複数のデータ項目を、予め標準項目として登録しておく標準項目記憶手段と、
各標準項目の表示特性を設定するためのフォームをディスプレイに表示させる手段と、
上記フォームを通じて入力された各標準項目の設定値を、特定の有価証券と関連付けて個別項目記憶手段に格納する手段と、
上記個別属性記憶手段に登録された複数の有価証券の中から一つを選択するためのフォームをディスプレイに表示させる手段と、
上記フォームを通じて一つの有価証券が選択された場合に、上記の各標準項目に当該有価証券に係る個別項目の設定値を反映させた取引約定入力フォームを生成し、ディスプレイに表示させる手段と、
上記取引約定入力フォームを通じて入力されたデータを、標準項目における入力データとして所定の取引関連データベースに格納する手段と、
を備えたことを特徴とする有価証券取引管理システム。
【請求項2】
各有価証券の仕訳ルールを設定するためのフォームをディスプレイに表示させる手段と、
上記フォームを通じて設定された仕訳ルールを、固有のコードに関連付けて仕訳ルール記憶手段に格納する手段と、
上記取引約定入力フォームを通じて仕訳ルールのコードが特定された場合に、この取引約定入力フォームを通じて入力された取引データを、当該仕訳ルールに従って仕訳処理する手段と、
仕訳処理の結果データを所定の取引関連データベースに格納する手段と、
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の有価証券取引管理システム。
【請求項3】
上記取引関連データベース内に蓄積されたデータを集計し、各種レポートファイルを生成するに際し、上記個別項目記憶手段を参照し、標準項目に対して必要な修正を施すことによって各有価証券専用のレポートファイルを生成する手段を備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の有価証券取引管理システム。
【請求項4】
特定の標準項目に入力されたデータを元に他の標準項目の値を算出するための導出ルールを設定するフォームをディスプレイに表示させる手段と、
このフォームを通じて導出ルールが設定された場合に、これを特定の有価証券に関連付けて上記個別項目記憶手段に格納する手段と、
上記取引約定入力フォームを通じて該当の標準項目にデータが入力された場合に、上記導出ルールに従って必要な算出処理を実行する手段と、
その算出結果を上記取引約定入力フォームにおける対応の標準項目に挿入させる手段と、
を備えたことを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の有価証券取引管理システム。
【請求項5】
特定の標準項目に入力されたデータの適否を判定するためのチェックルールを設定するフォームをディスプレイに表示させる手段と、
このフォームを通じてチェックルールが設定された場合に、これを特定の有価証券に関連付けて上記個別項目記憶手段に格納する手段と、
上記取引約定入力フォームを通じて該当の項目にデータが入力された場合に、上記チェックルールに従ってその適否を判定する手段と、
入力データが不適合な場合にはエラーメッセージをディスプレイに表示させる手段と、
を備えたことを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の有価証券取引管理システム。
【請求項6】
コンピュータを、
有価証券の属性を設定するためのフォームをディスプレイに表示させる手段、
上記フォームを通じて入力された属性情報を、固有のコードに関連付けて個別属性記憶手段に格納する手段、
有価証券取引に関するデータを登録する際に必要となる複数のデータ項目を、予め標準項目として登録しておく標準項目記憶手段、
各標準項目の表示特性を設定するためのフォームをディスプレイに表示させる手段、
上記フォームを通じて入力された各標準項目の設定値を、特定の有価証券と関連付けて個別項目記憶手段に格納する手段、
上記個別属性記憶手段に登録された複数の有価証券の中から一つを選択するためのフォームをディスプレイに表示させる手段、
上記フォームを通じて一つの有価証券が選択された場合に、上記の各標準項目に当該有価証券に係る個別項目の設定値を反映させた取引約定入力フォームを生成し、ディスプレイに表示させる手段、
上記取引約定入力フォームを通じて入力されたデータを、標準項目における入力データとして所定の取引関連データベースに格納する手段、
として機能させることを特徴とする有価証券取引管理プログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate


【公開番号】特開2006−99339(P2006−99339A)
【公開日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−283712(P2004−283712)
【出願日】平成16年9月29日(2004.9.29)
【出願人】(000155469)株式会社野村総合研究所 (1,067)