説明

有害生物防除剤組成物

【課題】 有害生物防除活性成分の結晶化速度が減少した組成物、および該組成物を利用した結晶化速度の減少方法の提供。
【解決手段】 a)1種またはそれより多くの有害生物防除剤;および(b)(1)親油性特性を有する重合体、および(2)親油性および親水性の両方の特性を有する重合体;から選ばれた6.9〜9.0の溶解度パラメーターを有する1種またはそれより多くの油溶性重合体を含み、かつ各有害生物防除剤は、(1)重合体を造る単量体;(2)重合体とほぼ同じ比率の単量体単位組成のオリゴマー;(3)重合体;および(4)重合体および有機溶媒の溶液から成る群の少なくとも1種に可溶である、組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有害生物防除剤組成物であって、成分の少なくとも1種が組成物中の有害生物防除活性成分の結晶化速度を減少させる重合体物質である前記組成物に関する。また、本発明は、有害生物防除活性成分の結晶化速度を減少させる方法に関する。
【0002】
有害生物防除活性成分の配合において、主な困難の一つは活性成分を非結晶質形態に維持することである。例えば、結晶質活性成分の存在は、ある種のタイプの配合物の調製をより多く困難にする。なぜなら、結晶質構造は活性成分を適切に配合するために減少させなければならないからである。微粉砕、磨砕、または溶剤に溶解するような結晶質活性成分の結晶構造を減少させる方法は、しばしば費用がかかり、そして時間を消費する。また、活性成分が配合物から結晶化するので、ある種の有害生物防除剤配合物はある種の活性成分を使用して調製することができない。また、いくつかの活性成分の効力は、活性成分が結晶状態において存在しているときに減少することが観察された。それ故、活性成分の結晶化速度が減少された有害生物防除剤組成物に対する要求が引き続き存在する。
【0003】
米国特許第3,131,119号には、油系の中にジチオカルバミン酸の水不溶性金属塩を分散させるのに有効な親水性基および親油性基のバランスを有する有機溶媒可溶性の重合体が開示されている。それらの重合体は、非極性−極性のバランス中に親油性部分および親水性部分の両方を有しており、7.7〜8.3の溶解度パラメーターを有している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者は、そのような重合体および広範囲の溶解度パラメーターを有する関連重合体が、多くの有害生物防除活性成分の結晶化速度を減少させるのに驚異的に有効であることを見出した。活性成分または活性成分の配合物に0.01〜40重量%の重合体を添加することによりそのような減少が示された。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明により、(a)1種またはそれより多くの有害生物防除剤および(b)0.01重量%から40重量%の、1種またはそれより多くの油溶性重合体を含み、前記重合
体は、6.9〜9.0の溶解度パラメーターを有し、かつ親油性の特性または親油性および親水性の両方の特性のいずれかを有し、そして前記有害生物防除剤は、(1)重合体を造る単量体;(2)重合体とほぼ同じ比率の単量体単位組成のオリゴマー;(3)重合体、および(4)重合体および有機溶媒の溶液;の少なくとも1種に可溶である、有害生物防除剤組成物が提供される。
【0006】
第2の態様においては、本発明により、1種またはそれより多くの有害生物防除剤と、6.9〜9.0の溶解度パラメーターを有し、親油性または親油性と親水性との両方の部分のいずれかを有している1種またはそれより多くの油溶性重合体の0.01〜40重量%とを十分に混合することを含む、有害生物防除剤の結晶化速度を減少させる方法が提供される。
【0007】
他の態様においては、本発明により、有害生物、有害生物の食物源、または有害生物の生育環境に、(a)1種またはそれより多くの有害生物防除剤および(b)組成物の全重量に関して、少なくとも1種のモノエチレン性不飽和重合性単量体から誘導された1種またはそれより多くの油溶性重合体の0.01〜40重量%を含み、前記重合体は、6.9〜9.0の溶解度パラメーターを有し、かつ親油性の特性または親油性および親水性の両方の特性のいずれかを有し、そして前記有害生物防除剤は、(1)重合体を造る単量体;(2)重合体とほぼ同じ比率の単量体単位組成のオリゴマー;(3)重合体、および(4)重合体および有機溶媒の溶液:の少なくとも1種に可溶である、組成物を適用することを含む、有害生物の防除方法が提供される。
【発明の効果】
【0008】
本発明の重合体は、存在する具体的な活性成分に応じて、組成物の約0.01〜約40%の濃度において効果を奏する。典型的には、それらは、組成物の0.01〜5%のレベルにおいて活性成分の結晶化速度を減少させる。最適の条件下では、それらは、組成物の0.01〜2%のレベルにおいて大きな効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0009】
用語「有害生物防除剤」および用語「活性成分」は、虫、雑草、菌、および関連生物体を包含する有害生物を軽減することを意図する化学薬剤を意味する。本発明の組成物の有害生物防除剤は、純粋な活性成分、原体グレード(technical grade)の活性成分、すなわち、典型的な製造プロセス中で造られた濃度の活性成分、または農作物栽培上許容できる1種またはそれ以上の担体と配合された活性成分の形態であることができる。用語「農作物栽培上許容できる担体」は、活性成分の効果を弱めることなしに、水、油の中の組成物または粉剤のような有害生物を防除するために使用される配合物の中の組成物の活性成分の分散を助けるために使用することができる物質であって、かつそれ自体が土壌、装置、所望の植物、または農作物栽培上の環境に有意な悪影響を有していないすべての物質を意味する。所望により、また、界面活性剤、安定剤、消泡剤および抗ドリフト剤(antidrift agents)のようなアジュバンドを配合物の中に組み入れてもよい。有害生物防除剤は、組成物の0.01〜99.9重量%を構成することができる。有害生物防除剤が純粋な活性成分または原体グレートの活性成分の形態であるときは、活性成分の割合をできるだけ高いレベルにおいて維持することが望ましい。配合するときは、有害生物防除剤は、好ましくは、有害生物防除剤組成物の5〜90重量%を構成する。好ましくは、有害生物防除剤は、組成物が溶媒を含んでいるときに、室温においてまたは有害生物防除剤および重合体が一緒にされる温度において、そのような有機溶媒に1重量%より大きい溶解度を有する。好ましくは、有害生物防除剤は約150℃より低い融点を有しており、または融点が150℃より高い場合には、その融点において安定である。水溶性塩である有害生物防除剤は、本発明の重合体と安定な組成物を生成しない。
【0010】
ある種の用途のためには、2種またはそれより多くの有害生物防除剤を、本発明の組成物を含む配合物に組み入れることができ、それにより、有害生物防除剤を別々の組成物において適用する場合よりも、全有害生物防除剤適用量が減少することをはじめとする、さらなる利益および効果が提供される。有害生物防除剤の混合物が使用されるときは、組成物中のそれぞれの相対割合は、処理すべき有害生物および選ばれた重合体の効果に関係し、相対的な効力および各有害生物防除剤の所望の適用速度に依存する。当業者は、有害生物防除剤の混合物は、1種の有害生物防除剤を単独で使用するよりも、より広い活性スペクトルのような利益を提供できることを認めるであろう。
【0011】
本発明の組成物に使用することができる有害生物防除剤の例には次の物質が包含される:(1)殺菌剤、例えば、(a)ニトロフェノール誘導体、例えばジノキャップ(dinocap)、ビナパクリル(binapacryl)、および2−sec−ブチル−4,6−ジニトロフェニル イソプロピル カルボネート;(b)ヘテロ環式構造体、例えばキャプタン(captan)、フォルペット(folpet)、グリオジン(glyodine)、ジチアノン(dithianon)、チオキノックス(thioquinox)、ベノミル(benomyl)、チアベンダゾール(thiabendazole)、ビノロゾリン(vinolozolin)、イプロジオン(iprodione)、プロシミドン(procymidone)、トリアジメノール(triadimenol)、トリアジメホン(triadimefon)、ビテルタノール(bitertanol)、フルオロイミド、トリアリモール(triarimol)、シクロヘクシミド(cycloheximide)、エチリモール(ethirimol)、ドデモルフ(dodemorph)、ジメトモルフ(dimethomorph)、チフルザミド(thifluzamide)、およびキノメチオネート(quinomethionate);(c)種々なハロゲン化殺菌剤、例えば、クロラニル、ジクロン、クロロネブ、ジクロラン、およびポリクロロニトロベンゼン;(d)殺菌性抗生物質、例えばグリセオフルビン(griseofulvin)、カスガマイシン、およびストレプトマイシン;(e)種々な殺菌剤、例えば、ジフェニルスルホン、ドジン(dodine)、メトキシル、1−チオシアノ−2,4−ジニトロベンゼン、1−フェニルチオセミカルバジド、チオファネート−メチル(thiophanate−methyl)、およびシモキサニル(cymoxanil);およびアシルアラニン、例えばフララキシル(furalaxyl)、シプロフラム(cyprofuram)、オフレース(ofurace)、ベナラキシル(benalaxyl)、およびオキサジキシル(oxadixyl);フラジナム(fluazinam)、フルメトバー(flumetover)、フェニルベンズアミド誘導体、例えばEP578586A1に開示されているフェニルベンズアミド誘導体、アミノ酸誘導体、例えばEP550788A1に開示されているバリン誘導体、メトキシアクリレート、例えばメチル(E)−2−(2−(6−(2−シアノフェノキシ)ピリミジン−4−イルオキシ)フェニル)−3−メトキシアクリレート;ベンゾ(1,2,3)チアジアゾール−7−カルボチオイック酸S−メチルエステル:プロパモカルブ(propamocarb);イマザリル(imazalil);カルベンダジム(carbendazim);マイクロブタニル(myclobutanil);フェンブコナゾール(fenbuconazole);トリデモルフ(tridemorph);ピラゾホス(pyrazophos);フェナリモール(fenarimol);フェンピクロニル(fenpiclonil);およびピリメタニル(pyrimethanil);(2)除草剤、例えば、(a)カルボン酸誘導体、たとえば安息香酸類およびそれらの塩が包含される;フェノキシおよびフェニル置換カルボン酸およびそれらの塩;およびトリクロロ酢酸およびそれらの塩;(b)カルバミン誘導体、エチル N,N−ジ(n−プロピル)チオカルバメートおよびプロンアミド(pronamide)が包含される;(c)置換尿素類、(d)置換トリアジン類、(e)ジフェニルエーテル誘導体、例えばオキシフルオルフェン(oxyfluorfen)およびフルオログリコフェン(fluoroglycofen)、(f)アニリド類例えばプロパニル(propanil)、(g)オキシフェノキシ除草剤、(h)ウラシル類(i)ニトリル類、および(j)他の有機除草剤、例えばジチオピル(dithiopyr)およびチアゾピル(thiazopyr);および(3)殺虫剤、アセフェート(acephate)、アルジカルブ(aldicarb)、アルファ−シペルメトリン(alpha−cypermethrin)、アジンホス−メチル(azinphos−methyl)、ビナパクリル(binapacryl)、ブプロフェジン(buprofezin)、カルバリール(carbaryl)、カルボフラン(carbofuran)、クロロピリフォス(chlorpyrifos)、クロフェンテジン(clofentezine)、シヘキサチン(cyhexatin)、シペルメトリン(cypermethrin)、デルタメトリン(deltamethrin)、ジコフォール(dicofol)、ジフルベンズロン(diflubenzuron)、ジメトエート(dimethoate)、ジノキャップ(dinocap)、エンドスルファン(endosulfan)、エンドチオン(endothion)、エスフェンバレレート(esfenvalerate)、エチオフェンカルブ(ethiofencarb)、エチオン(ethion)、エトエート−メチル(ethoate−methyl)、エトプロップ(ethoprop)、フェンブタチン−オキシド(fenbutatin−oxide)、フェノキシカルブ(fenoxycarb)、フェンスルホチオン(fensulfothion)、フルシクロクスロン(flucycloxuron)、フルフェノクスロン(flufenoxuron)、フォスメチラン(fosmethilan)、ヘキシチアゾックス(hexythiazox)、メタミドフォス(methamidophos)、メチダチオン(methidathion)、メチオカルブ(methiocarb)、メトミル(methomyl)、メチルパラチオン(methyl parathion)、メキサカルベート(mexacarbate)、オキサミル(oxamyl)、ペルメトリン(permethrin)、フォサロン(phosalone)、フォスメット(phosmet)、プロメカルブ(promecarb)、ピリダベン(pyridaben)、レスメトリン(resmethrin)、ロテノン(rotenone)、テブフェノジト(tebufenozide)、チオジカルブ(thiodicarb)、トリアザメート(triazamate)、およびバミドチオン(vamidothion)が包含される。
【0012】
本発明の組成物に使用される重合体は、単独重合体または共重合体のいずれでもよく、これらには、グラフト、ブロック、スター、ランダム、および可変組成(variable composition)の重合体が包含され、それらは、有機溶媒または植物油、鉱物油、または合成油に可溶であり、かつ親油性特性か、または親油性および親水性の両方のいずれかの特性を含んでいる。親油性特性は、平均して8個の炭素原子、好ましくは平均して12個またはそれより多くの炭素原子で24個以下の炭素原子を含有する炭化水素基によって供給されている。重合体は、そのような基の混合物を含んでいてもよいし、また、より少ない炭素原子を有する基を含んでいてもよい。油ベースの系においては、重合体は、好ましくは、平均して8個の炭素原子の基を含む。親水性特性は、エーテル基、カルボニル基、カルボン酸基、カルボン酸エステル基、アルコール基、アミド基およびそれらのチオ類縁体類似物、およびアミノ基によって供給される。アミノおよびアミドの窒素は、第一級、第二級、または第三級であってよい。窒素置換基は、開鎖基(open−chained)または環式基が含まれ、それらには、例えば、アルキル、シクロアルキル、フェニル、ベンジル、アミノアルキル、フェノキシアルキル、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル、アルコキシエトキシエチル、アルコキシプロポキシプロピル、アルコキシポリエトキシエチル、ベンゾキシエトキシエチル、フェノキシポリエトキシエチル、または類似のポリエーテル含有基が含まれる。重合体は、そのような親水性置換基の1個より多くを含むことができる。
【0013】
親油性特性は、有機溶媒または油への重合体の溶解性を確保するのに充分でなければならない。必要とする親水性特性は、主として、有害生物防除剤の性質に依存する。
【0014】
本発明の重合体の親油性特性は、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、マレイン酸、またはイタコン酸のエステル中のメチル、ブチル、へキシル、オクチル、デシル、ラウリル、ミリスチル、セチル、ステアリル、エイコシル、またはテトラコシル基のようなエチレン性不飽和単量体の1種またはそれより多くにより、または少なくとも8個の炭素原子のアルキル基を有するビニルカルボキシレートにより、提供される。しかしながら、具体的活性成分によっては、これらの長鎖エステル自体の重合体または共重合体は、必要とする親油性/親水性または極性のバランスを提供しない場合がある。そのようなケースにおいては、重合性分子の中または共重合体の中のいずれかに、少なくとも1つの極性または親水性の置換基の追加源を存在させ、そのような置換基が必要とする極性のバランスを生じるのに充分な極性があるかまたは充分な割合において存在させなければならない。他の適当なエチレン性不飽和単量体は、ビニル芳香族単量体であり、これらには、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、オルソ−、メタ−、およびパラ−メチルスチレン、エチルビニルベンゼン、ビニルナフタレン、およびビニルキシレンが含まれる。また、ビニル芳香族単量体には、それらの置換誘導体、例えばハロゲン化誘導体、すなわち、フッ素、塩素または臭素のような1種またはそれより多くのハロゲン基を含有するハロゲン化誘導体;およびニトロ、シアノ、アルコキシ、ハロアルキル、カルブアルコキシ、カルボキシ、アミノおよびアルキルアミノ誘導体が含まれる。他の適当なエチレン性不飽和単量体には、エチレン性単量体および置換エチレン性単量体、例えば、α−オレフィン、例えばプロピレン、イソブチレンおよび長鎖アルキルα−オレフィン(例えば、(C10−C20)アルキルα−オレフィン);ビニルアルコールエステル、例えば酢酸ビニルおよびステアリン酸ビニル;ハロゲン化ビニル、例えば塩化ビニル、フッ化ビニル、臭化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニリデンおよび臭化ビニリデン;およびビニルニトリル、例えばアクリロニトリルおよびメタアクリロニトリルが含まれる。
【0015】
アクリル酸誘導体およびメタクリル酸誘導体(以後、“(メタ)アクリル”または“(メタ)アクリレート”または“(メタ)アクリルアミド”と称する)の好ましいものは、アルキル(メタ)アクリレート、置換(メタ)アクリレート、および置換アクリルアミドおよび置換メタクリルアミド単量体である。単量体のそれぞれは、単一の単量体またはアルキル部分において異なった数の炭素原子を有する混合物でもよい。好ましくは単量体は、(C−C24)アルキル(メタ)アクリレート、ヒドロキシ(C−C)アルキル(メタ)アクリレート、ジ(C−C)アルキルアミノ(C−C)アルキル(メタ)アクリレートおよびジ(C−C)アルキルアミノ(C−C)アルキル(メタ)アクリルアミドから成る群から選ばれる。それぞれの単量体のアルキル部分は、直鎖または分枝鎖であってよい。
【0016】
本発明に有用な特に好ましい重合体は、アルキル(メタ)アクリレート単量体の重合から誘導されたポリ(メタ)アクリレートである。アルキル基が1〜6個の炭素原子を含有するアルキル(メタ)アクリレート単量体の例は、メチルメタアクリレート(MMA)、メチルアクリレートおよびエチルアクリレート、プロピルメタクリレート、ブチルメタクリレート(BMA)およびブチルアクリレート(BA)、イソブチルメタクリレート(IBMA)、へキシルおよびシクロヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルアクリレートおよびそれらの組み合わせ物である。アルキル基が7〜15個の炭素原子を含有するアルキル(メタ)アクリレート単量体の例は、2−エチルヘキシルアクリレート(EHA)、2−エチルヘキシルメタクリレート、オクチルメタクリレート、デシルメタクリレート、イソデシルメタクリレート(IDMA、分枝鎖(C10)アルキル異性体混合物に基づいている)、ウンデシルメタクリレート、ドテシルメタクリレート(また、ラウリルメタクリレートとして知られている)、トリデシルメタクリレート、テトラデシルメタクリレート(また、ミリスチルメタクリレートとして知られている)、ペンタデシルメタクリレートおよびそれらの組み合わせ物である。また、有用なものは、ドデシル−ペンタデシルメタクリレート(DPMA)、ドデシル、トリデシル、テトラデシルおよびペンタデシルメタクリレートの直鎖および分枝鎖異性体の混合物;およびラウリル−ミリスチルメタクリレート(LMA)、ドデシルおよびテトラデシルメタクリレートの混合物である。好ましいアルキルメタクリレートは、ラウリル−ミリスチルメタクリレート、ドデシル−ペンタデシルメタクリレートおよびイソデシルメタクリレートである。アルキル基が16〜24個の炭素原子を含有するアルキル(メタ)アクリレート単量体の例は、ヘキサデシルメタクリレート(また、セチルメタクリレートとして知られている)、へプタデシルメタクリレート、オクタデシルメタクリレート(また、ステアリルメタクリレートとして知られている)、ノナデシルメタクリレート、エイコシルメタクリレート、ベヘニルメタクリレートおよびそれらの組み合わせ物である。また、有用なものは、セチル−エイコシルメタクリレート(CEMA)、ヘキサデシル、オクタデシルおよびエイコシルメタクリレートの混合物;およびセチル−ステアリルメタクリレート(SMA)、ヘキサデシルおよびオクタデシルメタクリレートの混合物である。好ましいC16−C24アルキルメタクリレートは、セチル−エイコシルメタクリレートおよびセチル−ステアリルメタクリレートである。
【0017】
前述のC−C24アルキル(メタ)アクリレート単量体は、一般的に、長鎖脂肪族アルコールの原体グレートを使用する標準エステル化の手順によって造られる。これらの市販されているアルコール類は、アルキル基中に10〜15個の炭素原子または16〜20個の炭素原子を含有する種々の鎖長のアルコール類の混合物である。結果的に、本発明の目的のためには、アルキル(メタ)アクリレートは表示された個々のアルキル(メタ)アクリレート生成物だけではなく、表示されたアルキル(メタ)アクリレートを主要量とするアルキル(メタ)アクリレートの混合物も含まれてものと意図される。(メタ)アクリレートエステルを造るのにこれらの市販のアルコール混合物を使用すると、結果として前述のLMA、DPMA、SMAおよびCEMA単量体のタイプが得られる。本発明の方法に有用な好ましい(メタ)アクリル酸誘導体は、メチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、イソデシルメタクリレート、ラウリル−ミリスチルメタクリレート、ドデシル−ペンタデシルメタクリレート、セチル−エイコシルメタクリレートおよびセチル−ステアリルメタクリレートである。
【0018】
本発明の目的のためには、前述の単量体の組み合わせを有する共重合体組成物は、本明細書に記載された方法を使用して造ることができる。例えば、アルキル(メタ)アクリレート単量体およびスチレンのようなビニル芳香族単量体の共重合体;アルキル(メタ)アクリレート単量体およびN,N−ジメチルアミノプロピルメタクリルアミドのような置換(メタ)アクリルアミド単量体の共重合体;アルキル(メタ)アクリレート単量体およびN−ビニルピロリドンのような窒素含有環状化合物に基づいた単量体の共重合体;酢酸ビニルとフマル酸およびその誘導体との共重合体;および(メタ)アクリル酸およびその誘導体とマレイン酸およびその誘導体との共重合体である。
【0019】
有効な極性バランスを有する単独重合体を提供する単量体の例には、N−第三級ドデシルアミノエチルメタクリレートおよび第三級アルキル基がC−C21の基であるN−第三級アルキルアミノエチルメタクリレートが含まれる。
【0020】
これらと同じタイプの単量体も、これらが親油性であろうとまたは親水性であろうと、他の共単量体と共重合体を生成するのに使用される。親水性のバランスを供給するのに有用な典型的な共単量体には、低級アルキルアクリレート、メタクリレート、イタコネート、フマレート、またはマレエートおよび同等のアルキル部分がCを超えない、好ましくはC〜Cである重合性エチレン性不飽和単量体が含まれる。
【0021】
アルキルオキシポリエトキシエチルアクリレートおよびメタクリレートも、極性基を供給する。そのようなエーテルエステル中のアルキルオキシ基は、アルキルアミノ、アルキルチオ、またはアシルオキシ基で置換されていてもよい。同様に、ビニルアセテート、プロピオネート、およびブチレートは、共重合体を生成するための極性エステル基の源である。アミン、アミド、イミド、およびヘテロ環のような窒素含有基も、極性を供給するために使用することができる。この目的のための典型的な共単量体には、ジメチルアミノエチルまたはジメチルアミノプロピルアクリレートまたはメタクリレート、アクリルアミド、メタクリルアミド、ビニルピリジン、例えば2−メチル−5−ビニルピリジン、または4−または2−ビニルピリジン、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、またはN−メチルアクリルアミドが含まれる。同等の極性基は、例えば、N−ビニル−2−ピロリジノン、N−ビニルピペリジノン、N−ビニル−カプロラクタム、および2−ピロリジノニルエチルメタクリレートのようなビニリデン基を提供するラクタムによって供給されることもできる。また、N−ビニルオキサゾリジノンまたはN−(メタクリルオキシルオキシエチル(mathacryloxloxyethyl)オキサゾリニノンのようなオキサゾリジン誘導体を使用してもよい。
【0022】
アルキル基の中に1個またはそれより多くヒドロキシル基を有するアルキルメタクリレート単量体およびアルキルアクリレート単量体の例には、特に、ヒドロキシル基がアルキル基中のb−位置(2−位置)において見出される単量体がある。置換アルキル基が分枝鎖または非分枝鎖の(C−C)アルキルであるヒドロキシアルキルメタクリレート単量体およびアクリレート単量体が好ましい。本発明に使用するために適当なヒドロキシ−アルキルメタクリレートおよびアクリレート単量体の中には、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、1−メチル−2−ヒドロキシエチルメタアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、1−メチル−2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシブチルメタクリレートおよび2−ヒドロキシブチルアクリレートがある。好ましいヒドロキシ−アルキルメタクリレートおよびアクリレート単量体は、HEMA、1−メチル−2−ヒドロキシエチルメタクリレートおよび2−ヒドロキシプロピルメタクリレートである。後の方の2種の単量体の混合物は、一般的に「ヒドロキシプロピルメタクリレート」またはHPMAと称され、これはより好ましいヒドロキシアルキルメタクリレートである。
【0023】
本発明の重合体および共重合体は、重合開始剤、場合により連鎖移動剤の存在下において、溶媒を用いまたは用いないで、適当な単量体を混合することによって造られる。反応は、不活性雰囲気中において、約60〜140℃、更に好ましくは115〜125℃、の温度において、攪拌しながら行う。典型的には、バッチは115〜120℃の重合温度に発熱するであろう。反応は、一般的に、約4〜10時間または所望の重合度に達するまで行う。当業者によって認識されているように、反応の時間および温度は開始剤の選択に依存し、それに従って変えることができる。
【0024】
この重合のために有用な開始剤は、ペルオキシ開始剤、ヒドロペルオキシ開始剤およびアゾ開始剤のような公知のフリーラジカル生成化合物のいずれでもよく、これらには、過酸化アセチル、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウリル、第三級ブチルペルオキシイソブチレート、過酸化カプロイル、クメンヒドロペルオキシド、1,1−ジ(第三級ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリ−メチルシクロヘキサン、アゾビスイソブチロニトリルおよび第三級ブチルペルオクトエートが含まれる。開始剤の濃度は、通常は、単量体の全重量に基づいて0.025〜1重量%、更に好ましくは0.05〜0.25重量%である。また、連鎖移動剤を、重合体の分子量を調節するために重合反応に加えてもよい。使用するときは、好ましい連鎖移動剤は、ラウリル(ドデシル)メルカプタンのようなアルキルメルカプタンであり、約0.1〜約3重量%の濃度において使用される。
【0025】
重合体は、溶媒の存在または不存在において造ることができる。重合中に使用するのに適当であり、かつ乳剤(concentrates)の製造のために適当な溶媒の中には、炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン、および芳香族ナフサのような芳香族炭化水素、二塩化エチレンのような塩素化炭化水素、プロピオン酸エチルまたは酢酸ブチルのようなエステル、N−メチルピロリジノンのようなケトンがあり、石油、植物油および合成油も使用できる。
【0026】
重合後、その結果として得られた重合体溶液は、約20〜100重量%の重合体含有量を有している。重合体は、単離することができ、また直接に使用し、または重合における使用に関して記載したような溶媒で希釈して使用することもでき、または重合体または希釈溶液は乳剤形態で使用することもできる。乳剤形態において使用するときは、重合体の濃度は、追加の希釈剤、例えば、有機溶媒または軽鉱油(light mineral oil)で任意の所望のレベルに調節することができる。乳剤中の重合体の好ましい濃度は、30〜70重量%である。
【0027】
本発明の単独重合体および共重合体は、有機溶媒または油に可溶であり、そして親油性特性または親油性および親水性の両方の特性のいずれかを含有している単独重合体および共重合体として定義することができる。親油性/親水性の特性は、“Solubility of Nonelectrolytes,” 3rd Edition,Reinhold Publishing Corp.,N.Y.(1949)”においてヒルデブランド(Hildebrand)によって記載されているように、溶解度パラメーターδの用語で表現することができる。凝集エネルギー密度の平方根に等しいこの値は、広い種類の溶媒および種々の重合体に関して決められた。例えば、エッチ ビューレル(H.Burell)の“Interchemical Review”,vol.14,No.1,3−16(1995)を参照。溶解度パラメーターは、スモール(Small)の方法、“J.Appl.Chem.”,3,71,(1953)によって概算することができる。溶解度パラメータは、既知のδ値の一連の溶媒における重合体の溶解度から実験的に決めることもできる。共重合体の溶解度パラメータは、重量平均基準でそれぞれの共単量体のタイプの単位についてのδ値に基づいて計算することができる。重合体および共重合体のための典型的な値を表1に示した。
【0028】
【表1】

【0029】
重合体の最大の効果を得るための最適の分子量範囲は、活性成分の性質によって変わる。しかしながら、(ポリ(アルキルメタクリレート)標準を使用するゲル透過クロマトグラフィー(GPC)によって測定)約10,000〜約2,000,000AMUの重量平均分子量(Mw)のものが有用である。15,000〜500,000AMUの分子量を有する重合体は好ましい。更に好ましくは、25,000〜100,000AMUの分子量を有する重合体である。
【0030】
活性成分の結晶化速度を変えるためには、活性成分と重合体との間に大きな相互作用が存在することが重要である。すなわち、活性成分の分子と重合体の分子は、それらが分子レベルにおいて相互に作用するように一緒に均質的に混合されなければならない。これは、種々の条件下で生じるであろう。好ましい条件は、(1)活性成分が重合体を造る単量体に可溶であるとき;または(2)活性成分が重合体とほぼ同じ比率の単量体単位組成を有するダイマー、トリマーを包含するオリゴマーおよび短鎖重合体に可溶であるとき;または(3)活性成分が、特に活性成分が液体であるときに、重合体自体に可溶であるとき;または(4)活性成分および重合体の両方が共溶媒に可溶であるとき、に生じる。
【0031】
更に、活性成分と重合体との混合に影響を及ぼすいくつかの因子があり、それらには、混合温度、他の成分の存在、および攪拌の程度が含まれる。典型的には、混合温度が高いほど、重合体および活性成分はより易動性となる。この高い易動性は混合を促進する。例えば、固体の原体グレードの活性成分は、大抵の重合体とよく混合しない。しかし、その系が原体の融点以上に加熱されるならば、2種の成分はしばしば容易に混合する。活性成分および重合体の両方が可溶である溶媒または混合溶媒のような第三成分が存在すると、活性成分と重合体との間の相分離の中断を助け、混合を改良する。第三成分の量および組成の両方は、最適の結果を達成するように変えることができる。第三成分は多くの物質の混合物であってもよい。第三成分の添加は、活性成分および重合体の混合物を加熱することが、活性成分または重合体のいずれかが有する、熱不安定性の問題のためによい選択でない場合には特に重要である。最後に、混合工程において使用する機械力(攪拌速度およびせん断力)は、混合物の均質性に影響を及ぼす。一般的に、混合工程において使用する攪拌の程度を増加させると、よい混合が得られる。
【0032】
1種より多くの活性成分が組成物中に存在すると、重合体の選択はより難しくなる。なぜなら、1種の活性成分のために最適な重合体は、他の活性成分のためにはよくない選択であるかもしれないからである。しかし、前述の選択基準を使用して、更に最後の組成物中に存在する全活性成分濃度および種々な活性成分の間の比をさらに考慮して、満足できる重合体または異なった重合体の混合物を選定することができる。
【0033】
本発明の組成物は活性成分および重合体だけを含んでいるが、重合体、活性成分、またはそれらの両方を、混合前または混合中のいずれかに溶媒に溶解させることが好ましい。使用するときは、溶媒は、芳香族溶媒、例えばキシレンまたはキシレン混合液、トルエン、ベンゼン、またはアルキルベンゼン;ケトン、例えばシクロヘキサノン、メチルエチルケトン、メチルブチルケトン、またはメチルイソブチルケトン;アルコール、例えばメタノール、プロピレングリコール、またはエチレングリコール;エステル、例えばエチルアセテート、プロピルアセテート、またはブチルアセテート;および他の有機溶媒、例えばジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン、またはN−メチルピロリジノンのいずれか1種または組み合わせ物であるであることができる。溶媒の選択は、選ばれた具体的活性成分および具体的重合体に依存するであろう。例えば、活性成分がケトンに可溶であるならば、適当な重合体は、極性であり、またケトンに可溶である。たとえば、短い側鎖を有するビニルアセテートまたは(メタ)アクリレートのような重合体であるだろう。
【0034】
更に、本発明の多くの組成物は、1種またはそれより多くの界面活性剤の添加により利益を得るであろう。有用な界面活性剤は、ノニオン性、アニオン性、カチオン性、または両性である。
【0035】
活性成分および重合体のすべての組み合わせ物が、活性成分の結晶化速度が減少された組成物を提供するわけではない。しかし、配合における当業者は、前述の選択基準を使用して活性成分−重合体の組み合わせの限定された組を選択することが可能である。
【0036】
農薬用には、本発明の組成物の配合物は、粉剤、粒剤、水和剤(wettable powder)、または高容量液圧スプレー、低容量スプレー、空気ブラスト(air−blast)、および大気スプレーのような通常使用される方法による油ベーススプレーまたは水性スプレーとして適用できる。希釈率および適用割合は、使用する装置のタイプ、所望する適用の方法および回数、有害生物防除剤の適用割合、および防除すべき有害生物に依存する。また、本発明の組成物の配合物または希釈した配合物には、農作物栽培上許容できるアジュバンドを含有させてもよい。そのような助剤には、界面活性剤、分散剤、展着剤、粘着剤、消泡剤、乳化剤、および“McCutheon’s Emulsifiers and Detergents, McCutcheon’s Emulsifiers and Detergents/Functional Materals,and McCutcheon’s Functional Materials”,MC Publishing Company (New Jersey)のMcCutcheon Divisionによって毎年出版されているすべてに記載されている他の類似物質が含まれる。有害生物防除剤の結晶化速度を減少させる1つの利益は、しばしば、重合体の不存在において得ることができる配合物よりも、より高濃度の有害生物防除剤を有する配合物を造ることができることである。
【0037】
また、本発明の組成物は、組成物を適用する前に、肥料または肥料用物質と混合することができる。また、組成物および肥料用物質は、混合装置またブレンド装置内で混合することもでき、または組成物は、肥料と共に粒体配合物に添入することもできる。処理すべき作物および雑草のために適当である肥料の相対割合を使用することができる。本発明の組成物は、通常、肥料用組成物を5〜50%含んでいる。これらの組成物は、所望の植物の早い成長を促し、かつ同時に、有害生物を防除する肥料用物質を提供する。
【0038】
実施例
次の実施例は、本発明のいくつかの態様を例示するために提供される。特にことわりがなければ、すべの百分率は、組成物の全重量に関しての重量%である。
【0039】
次の一般的方法を使用して本発明の組成物を造った。
【0040】
I.溶媒の不存在下における活性成分/重合体混合物の製造
融点においてまたは融点以上において安定である活性成分について、活性成分を重合体の存在において溶融した。次いで、活性成分および重合体をホモジナイザーまたは媒体に高いせん断混合速度に供することができる他の種類の混合装置を使用して1〜5分間攪拌した。必要により、混合物を再加熱した。活性成分/重合体混合物の配合物を以下の標準の配合方法を使用して造った:
【0041】
乳剤(emulsifiable concentrate)用:活性成分/重合体の混合物を適当な有機溶媒および界面活性剤中で攪拌しながら溶解した。
【0042】
水和剤用:活性成分/重合体の混合物を不活性の固体担体上に含浸させ、次いで分散剤、界面活性剤、および消泡剤のような他の成分とブレンドして水和剤のプレミックスを造った。このプレミックスを微粉砕して最終の水和剤を造った。
【0043】
水性フロワブル(aqueous flowable)用:活性成分/重合体の混合物を不活性の固体上に含浸させ、次いで分散剤、界面活性剤、殺生物剤、凍結防止剤、消泡剤、増粘剤、および水のような他の成分とブレンドした。この混合物を微粉砕して最終のフロワブル配合物を造った。
【0044】
水分散性粒体用:噴霧乾燥、パン粒状化(pan granulation)、または押し出しのような標準の粒体製造手順を使用して、水和剤または水性フロワブルから分散性粒体を造った。
【0045】
II.溶媒の存在下における活性成分/重合体の混合物の製造
普通の有機溶媒に1%より大きい溶解度を有する活性成分について、活性成分および重合体を選択した溶媒または混合溶媒に溶解し、そして一緒にした。混合物の加熱は、しばしば、溶解工程を促進させ、かつ活性成分および重合体で高度に飽和された溶液を造るのに役立っている。低融点の活性成分については、まず活性成分を溶融し、次いでそれを選択された溶媒または混合溶媒中の重合体と混合する。活性成分/重合体/溶媒の混合物の配合物を標準の配合方法を使用して次の如く造った:
【0046】
乳剤用:活性成分/重合体/溶媒の混合物を、選定した界面活性剤、消泡剤および他の成分と、攪拌または均質化により混合した。
【0047】
水和剤用、水性フロワブル用、または水分散性粒体用:活性成分および重合体の混合物を蒸発または沈殿によって溶媒から分離し、次いで前述の方法に従って行った。
【0048】
次の実施例は、活性成分の結晶化速度についての重合体の効果を例示している:
【0049】
次のパラメーターは、評価因子である:
(a)結晶化の目視検査:原体をそのまま使用したときは、結晶化速度は、試験物質の色および物理的状態の変化により定量的に評価した。結晶化しない試料は、透明でありかつ流動性であったが、結晶化した物質は、典型的には、不透明な色のついた塊(mass)に変わった。結晶化速度は、この種の変化が発生するために要する時間として記録した。
【0050】
(b)乳剤または有機溶媒溶液中の結晶の測定:乳剤または有機溶液では、結晶の成長を目視で調査し、または結晶を溶液から分離し、秤量した。
【0051】
(c)エマルジョン中の結晶重量の測定:この手順は乳剤配合物の評価についてのみ使用した。342ppmの温水(Army hot water)を用いて乳剤配合物の1%(容量)希釈液を造り、ベンチ上に所定の時間、静置した。次いで、エマルジョン混合物を325メッシュスクリーンを通して注入した。スクリーン上に集められたすべての固体結晶を脱イオン水で洗い、乾燥した。結晶の重量を乾燥重量として測定した。
(d)示差走査熱量分析〔Differential Scanning Calorimety(DSC)〕によって測定された結晶化の程度:この方法は固体試料:有機溶液から沈殿した固体、有機溶媒を蒸発することによって得られた固体および/または多孔質担体上に溶融した原体を含浸させることによって造られた固体粉末の結晶化の程度を決めるために使用した。
【0052】
実施例1
オキシフルオルフェン(oxyfluorfen)原体の結晶化速度の減少
ガラス製バイアル中のオキシフルオルフェン(2−クロロ−1−(3−エトキシ−4−ニトロフェノキシ)−4−トリフルオロメチル−ベンゼン)の原体(72%の活性成分)の試料、20gを100℃において溶融し、次いで25℃に冷却した。原体物質は2時間以内に完全に結晶した。同じ試料を100℃において溶融した。次いで、ポリ−SMAの0.5重量%を加え、その混合物を均質に混合するまで手で振とうし、次いで100℃においてさらに30分間加熱した。この原体物質は24時間結晶しないままであり、次いで、徐々に結晶化し、次の26時間かけて完全に結晶した。
【0053】
実施例2
乳剤配合物からのオキシフルオルフェンの結晶化の減少
重合体の使用により、33%オキシフルオルフェン(純度95%)原体、アルキルベンゼン〔Aromatic200(登録商標)、エクソン化学〕およびN−メチルピロリジノン溶媒およびドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム乳化剤を有する8〜12%エトキシル化ヒマシ油を含有する乳剤(EC)配合物から、水希釈液中において結晶の形成量を大きく減少できた。配合物だけを342ppmの硬水で希釈して2%希釈液を造ったときは、17時間後にオキシフルオルフェンの0.0170gが結晶化した。希釈前に、ポリ−イソデシルメタクリレート(ポリ−IDMA)の0.5%を同じ配合物に添加すると、17時間後に、オキシフルオルフェンの結晶形成量が0.0001gに減少した。
【0054】
実施例3
有機溶剤からのオキシフルオルフェンの結晶化の減少
重合体を使用することにより、普通の有機溶剤または有機物質中へのオキシフルオルフェンの溶解度が増加した。25℃において、かつ重合体の存在なしに、オキシフルオルフェン、50%アルキルベンゼンおよび30%エトキシル化トリシロキサン〔Silwet(登録商標)L−77、Witco Chemical Co.〕を含有する溶液は、最大20%のオキシフルオルフェンを含有することができた。28%CEMA、62%IDMA、10%MMAの重合体を1.0%を添加すると、50%オキシフルオルフェン、29%Aromatic 200および20%Silwet L77を含有する安定な溶液を造ることができた。
【0055】
実施例4
エマルジョンからのテブフェノジト(tebufenozide)の結晶化の減

5%テブフェノジト、60%アルキルベンゼンおよび35%エトキシル化トリシロキサンを含有するEC配合物において、重合体を使用することにより、水希釈液中の結晶形成量を著しく減少できた。そのような配合物を342ppmの硬水で希釈して1%希釈液を造ると、17時間後に、テブフェノジトの0.0532gが結晶化した。希釈前に、28%CEMA、62%IDMA、10%MMAの重合体の0.5%を5%EC配合物中に添加すると、17時間後に、テブフェノジトの結晶形成量は0.0017gに減少した。
【0056】
実施例5
エマルジョンからのフェンブコナゾール(fenbuconazole)の結晶
化の減少
溶媒としてのアルキルベンゼンと、アルキルフェノールエトキシレート〔Sponto(登録商標)232−234、Witco Chemical Co.〕を含むドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム乳化剤、8〜12%を含有する15%フェンブコナゾールEC配合物において、重合体を使用することにより、水希釈液中の結晶形成量を著しく減少できた。そのような15%EC試料を342ppm硬水で希釈して1%希釈液を造ると、17時間後に、フェンブコナゾールの0.0120gが結晶化した。希釈前に、ポリ−SMAの0.5%を同じ15%EC配合物中に添加すると、17時間後に、フェンブコナゾールの結晶形成量は0.0001gに減少した。
【0057】
実施例6
フルオログリコフェン−エチル(fluoroglycofen−ethyl)
の結晶化の減少
重合体を使用することにより、フルオログリコフェン−エチルの原体の結晶化を停止できた。原体グレードのフルオログリコフェン−エチルを80℃において溶融し、次いで25℃に冷却した。原体物質は50時間以内に完全に結晶化した。しかし、同じ原体を28%CEMA、62%IDMA、10%MMAの重合体の0.5%を添加して溶融すると、原体物質は600日間後でさえも結晶化しなかった。
【0058】
類似の方法により、種々の重合体について、これら重合体のフルオログリコフェン−エチル(原体の純度93%)の結晶化時間を減少させる能力を評価した。
【0059】
これの評価を次の表2に示した。
【0060】
【表2】

【0061】
これらのデータは、適当な濃度における重合体の存在は、結晶化の速度を著しく減少させることを示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)1種またはそれより多くの有害生物防除剤;および
(b)(1)親油性特性を有する重合体、および
(2)親油性および親水性の両方の特性を有する重合体;
から選ばれた6.9〜9.0の溶解度パラメーターを有する1種またはそれより多くの油溶性重合体を含み、かつ各有害生物防除剤は、
(1)重合体を造る単量体;
(2)重合体とほぼ同じ比率の単量体単位組成のオリゴマー;
(3)重合体;および
(4)重合体および有機溶媒の溶液
から成る群の少なくとも1種に可溶である、組成物。
【請求項2】
各重合体は、(a)有機溶媒;(b)植物油;(c)鉱物油;および(d)合成油からなる群の1種またはそれより多くに可溶性である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
重合体の分子量が10,000〜2,000,000AMUである、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
有害生物防除剤を、
(1)親油性特性を有する重合体、および
(2)親油性および親水性の両方の特性を有する重合体
から選ばれた6.9〜9.0の溶解度パラメーターを有する1種またはそれより多くの油溶性重合体と十分に混合することを含み、かつ各有害生物防除剤は、
(1)重合体を造る単量体;
(2)重合体とほぼ同じ比率の単量体単位組成のオリゴマー;
(3)重合体;および
(4)重合体および有機溶媒の溶液
から成る群の少なくとも1種に可溶である、有害生物防除剤の結晶化速度を減少させる方法。
【請求項5】
重合体の親油性特性は、
(a)アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、マレイン酸、およびイタコン酸から選ばれた1種またはそれより多くのモノエチレン性不飽和単量体の置換または非置換(C−C24)アルキルエステル;
(b)アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、マレイン酸、およびイタコン酸から選ばれた1種またはそれより多くのモノエチレン性不飽和単量体の置換または非置換(C−C24)アルキルアミド、
c)α−オレフィン、および
d)ビニルアルコールエステル、ビニルハライド、ビニルニトリル、およびビニルカルボキシレート、
から選ばれた単量体単位から誘導される、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
単量体単位は、置換または非置換のアルキルアクリレート、アルキルメタクリレート、アクリルアミド、およびメタクリルアミドの1種またはそれより多くから成る群から選ばれる、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
単量体単位は、(C−C24)アルキルアクリレート、(C−C24)アルキルメタクリレート、ヒドロキシ(C−C)アルキルアクリレート、ヒドロキシ(C−C)アルキルメタクリレート、ジ(C−C)アルキルアミノ(C−C)アルキルアクリレート、ジ(C−C)アルキルアミノ(C−C)アルキルメタクリレート、ジ(C−C)アルキルアミノ(C−C)アルキルアクリルアミド、およびジ(C−C)アルキルアミノ(C−C)アルキルメタクリルアミドの1種またはそれより多く
から成る群から選ばれる、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
重合体の親水性特性は、置換または非置換の(C−C)アルキルエステル、(C−C)アルキルチオエステル、およびアクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、マレイン酸、およびイタコン酸から選ばれた1種またはそれより多くのモノエチレン性不飽和単量体のモノまたはジ(C−C)アルキルアミド;(C−C)カルボキシレートの置換または非置換ビニルエステル;環式エステル、アミド、およびヘテロ環;およびビニル置換アミンの1種またはそれより多くから成る群から選ばれた単量体単位から誘導される、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
単量体単位は、ヒドロキシアルキルアクリレート、ヒドロキシアルキルメタクリレート、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノプロピルアクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノプロピルメタクリレート、アクリルアミド、メタクリルアミド、置換および非置換ビニルピリジン、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−ビニル−2−ピロリジノン、N−ビニルピペリジノン、N−ビニル−カプロラクタム、2−ピロリジノニルエチルメタクリレート、N−ビニルオキサゾリジノンおよびN−(メタクリルオクスロキシエチル)オキサゾリニノンから成る群から選ばれる、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
有害生物防除剤が、
(a)ニトロフェノール誘導体;(2)へテロ環式構造物;(3)種々なハロゲン化殺菌剤;(4)殺菌性抗生物質;(5)フェニルベンズアミド誘導体;(6)アミノ酸誘導体;および(7)メトキシアクリレート;から選ばれた殺菌剤;
(b)(1)カルボン酸誘導体;(2)カルバミン酸誘導体;(3)置換尿素類、(4)置換トリアジン類、(5)ジフェニルエーテル誘導体;(6)アニリド類;(7)オキシフェノキシ除草剤、(8)ウラシル類、および(9)ニトリル類;から選ばれた除草剤;および(c)殺虫剤および殺ダニ剤;
から成る群の1種またはそれより多くから選ばれる、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
請求項1に記載の組成物を、(a)有害生物、(b)有害生物の食物源、および(c)有害生物の生育環境から成る群の1つまたはそれより多くに適用することを含む、有害生物の防除方法。

【公開番号】特開2011−6471(P2011−6471A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−201632(P2010−201632)
【出願日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【分割の表示】特願平10−102436の分割
【原出願日】平成10年4月14日(1998.4.14)
【出願人】(501035309)ダウ アグロサイエンシィズ エルエルシー (197)
【Fターム(参考)】