説明

有害生物防除組成物

【課題】有害生物に対して、優れた防除効力を有する有害生物防除組成物を提供。
【解決手段】スピネトラムまたはスピノサドの様な含酸素大環状複素環化合物と、2,6−ジクロロ−4−(3,3−ジクロロアリルオキシ)フェニル=3−[5−(トリフルオロメチル)−2−ピリジルオキシ]プロピル=エーテルとを有効成分として含有する組成物は、有害生物の防除において、前記化合物を各々単独で施用した場合に比して、高い効力を発揮することが出来る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有害生物防除組成物等に関するものである。
【背景技術】
【0002】
これまでに、有害生物の防除を目的とした種々の有害生物防除組成物が開発され、実用化されているが、従来の有害生物防除組成物は、必ずしも十分な防除効力を示さない場合もあり、優れた防除効力を有する有害生物防除組成物の開発が今尚求められている。
【特許文献1】国際公開第97/00265号パンフレット
【特許文献2】特開平9−151172号公報
【特許文献3】国際公開第93/09126号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、有害生物に対して優れた防除効力を有する有害生物防除組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者らは、下記式(I)で示される化合物と、2,6−ジクロロ−4−(3,3−ジクロロアリルオキシ)フェニル=3−[5−(トリフルオロメチル)−2−ピリジルオキシ]プロピル=エーテルとを有効成分として含有する有害生物防除組成物が、有害生物の防除において、前記化合物を各々単独で施用した場合に比して、高い効力を発揮し得ることを見出し、本発明に至った。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、有害生物に対して、優れた防除効力を有する有害生物防除組成物等を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明は、
【0007】
1. 式(I)

「式中、A及びBは、各々、独立して、単結合、二重結合、又はエーテル結合を表し、
Rは、式(II)


(ここで、R8及びR9は、各々、独立して、C1−C4アルキル基、C1−C4ハロアルキル基、C1−C4アルカノイル基又は保護されたアミノ基を表す。)
又は、式(III)

(ここで、R10は、C1−C4アルキル基、C1−C4ハロアルキル基、C1−C4アルカノイル基又は保護されたアミノ基を表す。)で示される基を表し、
R1は、水素原子、又は、メチル基を表し、
R2、R3及びR4は、各々、独立して、C1−C4アルキル基、C1−C4ハロアルキル基、C1−C4アルカノイル基、又は、保護されたヒドロキシル基を表し、
R5は、水素原子、C1−C4アルキル基、C1−C4アルキルアミノ基、又は、
式(IV)

(ここで、R11及びR12は、各々、独立して、水素原子、C1−C4アルキル基、又は、C1−C5アルカノイル基を表す。)で示されるアルキルヒドロキシルアミノ基を表し、
R6は、水素原子、又は、メチル基を表し、
R7は、メチル基、又は、エチル基を表す。」
で示される化合物と、
2,6−ジクロロ−4−(3,3−ジクロロアリルオキシ)フェニル=3−[5−(トリフルオロメチル)−2−ピリジルオキシ]プロピル=エーテルとを有効成分として含有することを特徴とする有害生物防除組成物;
2. 式(I)において、
Aが、単結合、又は、二重結合であり、
Bが、二重結合であり、
Rが、式(II)


(式中、R8及びR9が、メチル基である。)で示される基であり、
R2が、メチル基であり、
R3が、メチル基、又はエチル基であり、
R4が、メチル基であり、
R5が、水素原子であり、
R6が、メチル基であり、
R7が、エチル基であることを特徴とする前項1記載の組成物;
3. 式(I)において、
R3が、エチル基であることを特徴とする前項2記載の組成物;
4. 式(I)で示される化合物がスピネトラムであることを特徴とする前項1記載の組成物;
5. 式(I)

「式中、A及びBは、各々、独立して、単結合、二重結合、又は、エーテル結合を表し、
Rは、式(II)

(ここで、R8及びR9は、各々、独立して、C1−C4アルキル基、C1−C4ハロアルキル基、C1−C4アルカノイル基又は保護されたアミノ基を表す。)
又は、式(III)

(ここで、R10は、C1−C4アルキル基、C1−C4ハロアルキル基、C1−C4アルカノイル基又は保護されたアミノ基を表す。)で示される基を表し、
R1は、水素原子、又は、メチル基を表し、
R2、R3及びR4は、各々、独立して、C1−C4アルキル基、C1−C4ハロアルキル基、C1−C4アルカノイル基、又は、保護されたヒドロキシル基を表し、
R5は、水素原子、C1−C4アルキル基、C1−C4アルキルアミノ基、又は、
式(IV)

(ここで、R11及びR12は、各々、独立して、水素原子、C1−C4アルキル基、又は、C1−C5アルカノイル基を表す。)で示されるアルキルヒドロキシルアミノ基を表し、
R6は、水素原子、又は、メチル基を表し、
R7は、メチル基、又は、エチル基を表す。」
で示される有効量の化合物と、
有効量の2,6−ジクロロ−4−(3,3−ジクロロアリルオキシ)フェニル=3−[5−(トリフルオロメチル)−2−ピリジルオキシ]プロピル=エーテルとを、有害生物若しくはその生息場所に施用する工程を有することを特徴とする有害生物の防除方法;
等を提供する。
なお、上記式(I)で示される化合物を「本化合物1」と記すことがある。また、2,6−ジクロロ−4−(3,3−ジクロロアリルオキシ)フェニル=3−[5−(トリフルオロメチル)−2−ピリジルオキシ]プロピル=エーテルを、「本化合物2」と記すことがある。本化合物1と本化合物2とを合わせて「本有効成分」と記すことがある。前項1.に記載された特徴を有する組成物を「本発明組成物」と記すことがある。
【0008】
本化合物1は、国際公開第97/00265号パンフレットに記載される化合物であり、本化合物2(一般名:ピリダリル)は、特開平9−151172号公報に記載される化合物である。
【0009】
化合物1における「C1−C4アルキル基」とは、1−4個の炭素原子を有するアルキル基を意味し、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基が挙げられる。
【0010】
「C1−C4ハロアルキル基」とは、少なくとも1個のハロゲン(例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)で置換された1−4個の炭素原子を有するアルキル基を意味し、例えば、クロロメチル基、ジフルオロメチル基、トリクロロメチル基、トリフルオロメチル基、2-ブロモエチル基、2,2,2-トリフルオロエチル基、1,1,2,2,2-ペンタフルオロエチル基、3,3,3-トリフルオロプロピル基、4,4,4-トリフルオロブチル基が挙げられる。
【0011】
「C1−C4アルカノイル基」とは、1−4個の炭素原子を有するアルカノイル基を意味し、例えば、ホルミル基、アセチル基、2−メチルアセチル基、2,2−ジメチルアセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基等が挙げられる。
【0012】
保護されたヒドロキシル基」とは、保護基により保護されたヒドロキシル基を意味し、保護基としては、T.W.グリーン(T.W.Greene)及びP.G.M.ワッツ(P.G.M.Wuts)著、「有機合成の保護基(Protective Groups in Organic Synthesis)」、第三版、ジョン ウィリー アンド サンズ(John Wiley & Sons、ニューヨーク、1999年およびその引用文献に記載された保護基を例として挙げることができる。
【0013】
「保護されたアミノ基」とは、保護基により保護されたアミノ基を意味し、保護基としては、前記「有機合成の保護基(Protective Groups in Organic Synthesis)」およびその引用文献に記載された保護基を例として挙げることができる。
【0014】
「C1−C4アルキルアミノ基」とは、1−4個の炭素原子を有するアルキルアミノ基を意味し、例えば、メチルアミノ基、エチルアミノ基、プロピルアミノ基、イソプロピルアミノ基、ブチルアミノ基、イソブチルアミノ基、sec−ブチルアミノ基、tert−ブチルアミノ基等が挙げられる。
【0015】
「C1−C5アルカノイル基」とは、1−5個の炭素原子を有するアルカノイル基を意味し、例えば、ホルミル基、アセチル基、2−メチルアセチル基、2,2−ジメチルアセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、ペンタノイル基、2,2−ジメチルプロピオニル基等が挙げられる。
【0016】
本化合物1には、互変異性体、不斉炭素原子及び二重結合に基づく立体異性体(光学異性体、幾何異性体等)等の異性体が存在するが、本発明においては、それらの異性体及びその混合物を含め、全て、式(I)で包含される。
【0017】
式(Ia)

本化合物1は、
(1)上記式(Ia)において、Aが、二重結合であり、
R1が、水素原子であり、
R2が、メチル基である化合物(以下、A1a化合物と記す。)と、
上記式(Ia)において、Aが、二重結合であり、
R1が、メチル基であり、
R2が、メチル基である化合物(以下、A1b化合物と記す。)との混合物、又は、
(2)上記式(Ia)において、Aが、単結合であり、
R1が、水素原子であり、
R2が、エチル基である化合物(以下、B1a化合物と記す。)と、
上記式(Ia)において、Aが、二重結合であり、
Rが、メチル基であり、
R2が、エチル基である化合物(以下、B1b化合物と記す。)との混合物
であってもよく、
特に、A1a化合物とA1b化合物との混合物(1)は、一般名:スピノサドとして知られ、また、B1a化合物とB1b化合物との混合物(2)は、一般名:スピネトラムとして知られている。
【0018】
本発明組成物は、本有効成分のみからなる組成物の形態のみならず、本有効成分と他の材料とを組み合せて調製された製剤、例えば、油剤、乳剤、フロアブル剤、エアゾール剤等の液剤、水和剤、樹脂剤、粒剤、粉剤、毒餌、マイクロカプセル剤の固形剤、煙霧剤、燻煙剤、ULV剤、スポットオン製剤、シャンプー製剤の形態でもあり得る。以下、本有効成分を含有する製剤を本製剤と記すこともある。
【0019】
本製剤は、固体担体、液体担体、ガス状担体等の担体から製剤形態に応じて適宣選択される担体に、本有効成分を担持、溶解、分散等させ、必要に応じて、製剤用補助剤を添加する一般的な方法によって得られる。
【0020】
本製剤中には、本有効成分が、通常0.01〜90重量%、好ましくは0.1〜80重量%含有される。
本有効成分における本化合物1と本化合物2との重量割合は、100:1〜1:100、好ましくは10:1〜1:10である。
【0021】
本製剤に含有され得る固体担体としては、例えば、粘土類(カオリンクレー、珪藻土、合成含水酸化珪素、ベントナイト、ろう石クレ−、酸性白土、タルク等)、セラミック、その他の無機鉱物(セリサイト、石英、硫黄、炭酸カルシウム、水和シリカ等)、活性炭、化学肥料(硫安、燐安、硝安、尿素、塩安等)等の微粉末及び粒状物が挙げられる。
液体担体としては、例えば、水、アルコール類(メタノール、エタノール等)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン等)、芳香族炭化水素類(ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、メチルナフタレン等)、脂肪族炭化水素類(ヘキサン、灯油、軽油等)、脂環式炭化水素類(シクロヘキサン等)、エステル類(酢酸エチル、酢酸ブチル等)、ニトリル類(アセトニトリル、イソブチロニトリル等)、エーテル類(ジイソプロピルエーテル、ジオキサン等)、酸アミド類(N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等)、ハロゲン化炭化水素類(ジクロロメタン、トリクロロエタン、四塩化炭素等)、ジメチルスルホキシド及び植物油(大豆油、綿実油等)等が挙げられる。
ガス状担体としては、例えば、フルオロカーボン、ブタンガス、LPG(液化石油ガス)、ジメチルエーテル及び炭酸ガス等が挙げられる。
【0022】
本製剤に含有され得る製剤用補助剤としては、界面活性剤、固着剤、分散剤、増粘剤、安定剤、酸化防止剤、噴射剤、消泡剤、防錆剤、凍結防止剤、染料・顔料等が挙げられる。例えば、界面活性剤としてアルキル硫酸エステル塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルアリールスルホン酸塩、アルキルアリールエーテル類及びそのポリオキシエチレン化物、ポリエチレングリコールエーテル類、多価アルコールエステル類、並びに糖アルコール誘導体等が挙げられる。
その他、製剤用補助剤としては、例えば、カゼイン、ゼラチン、多糖類(でんぷん、アラビアガム、セルロース誘導体、アルギン酸等)、リグニン誘導体、ベントナイト、糖類、合成水溶性高分子(ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸類等)、PAP(酸性りん酸イソプロピル)、BHT(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール)、BHA(2−tert−ブチル−4−メトキシフェノールと3−tert−ブチル−4−メトキシフェノールとの混合物)、脂肪酸及び脂肪酸エステル等が挙げられる。
本製剤には、上記製剤用補助剤が、通常0.001〜50重量%、好ましくは0.01〜30重量%含有される。
【0023】
エアゾール剤は、例えば、本有効成分を含有する油剤、乳剤、フロアブル剤等の製剤を噴射剤とともにスプレー缶等の噴射機構を有する容器に充填するような方法によって得られる。
【0024】
毒餌は、基材、本有効成分、その他成分を混合する方法によって得られる。
【0025】
毒餌の基材としては、例えば、穀物粉、植物油、糖、結晶セルロース等の餌成分、ジブチルヒドロキシトルエン、ノルジヒドログアイアレチン酸等の酸化防止剤、デヒドロ酢酸等の保存料、トウガラシ粉末等の子どもやペットによる誤食防止剤、チーズ香料、タマネギ香料、ピーナッツオイル等の害虫誘引性香料等が挙げられる。
【0026】
本製剤は、有害生物が生息している植物又は土壌に対して、有害生物防除に有効な量の本有効成分が到達するような方法で施用される。例えば、水和剤、乳剤、フロアブル剤、エアゾール剤、粉剤等の製剤を必要に応じて水または有機溶媒で希釈して有害生物が生息している植物の茎葉に散布する方法、又は該植物の付近の土壌又は有害生物が生息している土壌に散布又は灌注する方法、毒餌又は粒剤を有害生物が生息している植物の付近の土壌又は有害生物が生息している土壌に散布又は灌注する方法等が挙げられる。
【0027】
油剤を希釈する際に用いられる有機溶媒としては、例えば、鉱物油(ナフタレン、ケロシン、ディーゼル油等)、植物油(ダイズ油、綿実油等)が挙げられる。
【0028】
本発明において防除対象となる農業害虫の生息場所としては、例えば、農作物等の植物の茎葉・花・芽・根等や、その周辺の土壌、水辺などが挙げられる。更には森林、放牧地、草地、家屋、畜舎等が挙げられる。
【0029】
本発明の有害生物防除方法は、有効量の本有効成分を有害生物若しくはその生息場所(植物体、土壌、家屋内、動物体等)に施用する工程を有する。本有効成分の本化合物1と本化合物2は、各々独立して施用されても、両者の混合物として施用されてもよい。
本有効成分の施用方法としては、例えば液剤の散布処理、液剤の灌注処理、粉剤の散布処理、粒剤の散布処理、粒剤の土壌混和処理、種子処理、水耕液処理、燻煙処理および蒸散処理等が挙げられる。
液剤の散布処理とは、水溶液または各種溶媒を用いた有効成分を含んだ希釈液等を有害生物自体、植物体表面および植物の周辺の土壌および水辺に散布する処理方法であり、具体的には例えば、茎葉散布処理、花房散布処理、樹幹散布処理、樹冠下又は主幹周辺処理、土壌散布処理、水面散布処理、有人ヘリコプター散布処理、無人ヘリコプター散布処理、飛行機による散布処理等が包含される。
液剤の灌注処理とは、有害生物による摂食等の被害から保護しようとする作物の植物体内部に有効成分を浸透移行させるために、土壌、灌水液、植物体表面、植物体の導管部に有効成分を施用する処理方法であり、具体的には例えば、株元土壌灌注処理、植溝土壌灌注処理、作条灌注処理、全面土壌灌注処理、植物体の道管部への薬液注入処理、薬液ドリップイリゲーション処理、ケミゲーション処理、育苗箱灌注処理、苗床灌注処理、浸根処理等が包含される。
粉剤の散布処理とは、有効成分を含んだ粉剤を植物体表面又は有害生物自体に散布する処理方法であり、具体的には例えば動力散布処理、手動散布処理、航空機散布処理等が包含される。
粒剤の散布および土壌混和処理とは、有害生物による摂食等の被害から保護しようとする作物の植物体内部に根部または植物体表面等から有効成分を浸透移行させるために、植物の周辺の土壌および水辺に有効成分を含有した粒剤を施用する処理方法であり、具体的には例えば、植穴散布処理、植え穴土壌混和処理、株元散布処理、株元土壌混和処理、植溝散布処理、植溝土壌混和処理、作条散布処理、作条土壌混和処理、育苗トレイ散布処理、床土土壌混和処理、覆土培土土壌混和処理、全面土壌散布処理、全面土壌混和処理、水面散布処理、生育期葉面散布処理、花房散布処理等、水面散布処理が包含される。
種子処理とは、有害生物による摂食等の被害から保護しようとする作物の種子、種芋又は球根に直接又はその近傍に有効成分を施用する処理方法であり、具体的には例えば、吹きつけ処理、塗沫処理、浸漬処理、含浸処理、フィルムコート処理、ペレットコート処理が挙げられる。
水耕液処理とは、例えば、有害生物による摂食等の被害から保護しようとする作物の植物体内部に根部等から有効成分を浸透移行させるために、水耕液等に有効成分を添加する処理方法であり、具体的には例えば水耕液混和等が挙げられる。
燻煙および蒸散処理とは、発熱剤・助煙剤を燃焼したり、化学反応および電気等から生じる外部熱源を利用したりもしくは自然拡散を利用して、有効成分を含んだ液剤または担体の有効成分を空気中に拡散させ、有効成分を植物体表面又は有害生物自体に付着させる方法であり、具体的には例えば、燻煙剤処理、加熱蒸散剤処理、樹脂蒸散剤処理等が包含される。
【0030】
本発明の有害生物防除方法では、本有効成分は、下記に挙げられる「作物」等を栽培する農耕地等において、当該「作物」等に対して薬害を与えることなく、当該農耕地の害虫を防除することができる場合がある。
【0031】
「作物」:
農作物;トウモロコシ、イネ、コムギ、オオムギ、ライムギ、エンバク、ソルガム、ワタ、ダイズ、ピーナッツ、ソバ、テンサイ、ナタネ、ヒマワリ、サトウキビ、タバコ等、 野菜;ナス科野菜(ナス、トマト、ピーマン、トウガラシ、ジャガイモ等)、ウリ科野菜(キュウリ、カボチャ、ズッキーニ、スイカ、メロン等)、アブラナ科野菜(ダイコン、カブ、セイヨウワサビ、コールラビ、ハクサイ、キャベツ、カラシナ、ブロッコリー、カリフラワー等)、キク科野菜(ゴボウ、シュンギク、アーティチョーク、レタス等)、ユリ科野菜(ネギ、タマネギ、ニンニク、アスパラガス等)、セリ科野菜(ニンジン、パセリ、セロリ、アメリカボウフウ等)、アカザ科野菜(ホウレンソウ、フダンソウ等)、シソ科野菜(シソ、ミント、バジル等)、イチゴ、サツマイモ、ヤマノイモ、サトイモ等、
花卉;アカンサス、アサガオ、アザレア、アジサイ、アズマイチゲ、アッツザクラ、アネモネ、アマドコロ、アマリリス、アヤメ、アリッサム、アルメリア、アークトチス、エゾギク、エディブル・フラワー、エリカモドキ、オオツルボ、オオバギボウシ、オオハルシャギクオシロイバナ、オトギリソウ属、オニゲシ、オヤマリンドウ、オーレオマルギナータ、カキツバタ、カザグルマ、ガザニア、カサブランカ、カーネーション、カノコユリ、ガーベラ、カランコエ、カルセオラリア、カレープラント、カロライナジャスミン、カンナ、キク、キダチチョウセンアサガオ属、キバナコスモス、ギボウシ、金正日花、ギョリュウバイ、キンセンカ、ギンバイカ、キンレンカ、グラジオラス、クルクマ・シャローム、クレマチス、ケイトウ、コエビソウ、ゴジカ、コスモス、コバギボウシ、コンボルブルス・アルベンシス、サガエギボウシ、サクラソウ、サフラン、サルビア、シクラメン、シバザクラ、シャクヤク、シュウメイギク、シラン、スイートピー、スズラン、スノーフレーク、スベリヒユ、スミレ、セイヨウキンシバイ、セイヨウノコギリソウ、セキチク、ゼフィランサス、テンジクアオイ属、ダイコンソウ属、タマスダレ、ダリア、チトニア、チューリップ、チョコレートコスモス、ツルニチニチソウ、ツルボ属、テンニンカ、ドイツアヤメ、トケイソウ、ナデシコ、ナノハナ、ニチニチソウ、ニリンソウ、ネモフィラ、ネリネ属、ノースポール、ノハナショウブ、バーベナ、ハイビスカス、ハゲイトウ、ハゼラン、ハナショウブ、ハナズオウ、ハナニラ、ハナハマサジ、ハナビシソウ、パンジー、バージニア、ストック、ヒナギク、ヒナゲシ、ヒマラヤユキノシタ、ヒマワリ、ヒヤシンス、ビヨウヤナギ、フウロソウ属、フクシア、フリージア、プリムラ、ホウセンカ、ホオズキ、ボタン、ホトトギス属、マーガレット、マリーゴールド、ミヤコワスレ、ムギワラギク、ムスカリ、ヤマブキ、ユリ、ラナンキュラス、ランタナ、リンドウ、ルピナス属、ロベリア等、
観葉植物;アイビー、アカリファ、アグラオネマ、アジアンタム、アスパラガス、アスプレニウム、アナナス類、アフェランドラ、アロカシア、アンスリウム、インドゴムノキ、ウツボカズラ、ウエクメア、エスキナンサス、エピスシア、オーガスタ、オリヅルラン、ガジュマル、カポック、カラジューム、カラテア、ギヌラ、グズマニア、クテナンテ、ゴムの木、クラッスラ、クロトン、クワズイモ、ゲッキツ、コーヒーノキ、幸福の木・マッサン、コニファー類、コリウス、コルディリーネ、コルムネア、サンスベリア、サンセベリア、サンタンカ、シェフレラ、シッサス、シペラス、シュロチク、シルクジャスミン、シンゴニウム、ストレリチア、スパティフィラム、セネキオ、ゼブリナ、ソテツ、チランジア、ツピダンサス、デイコ、ディジゴセカ、ディフェンバキア、デュランタ、トックリラン、ドラセナ、トラデスカンティア、ネオレゲリア、ネフロレピス、ハートカズラ、ハイビスカス、パキポディウム、パキラ、ポニーテール、ビカクシダ、ピレア、ファッツヘデラ、フィカス・プミラ、フィロデンドロン、ブーゲンビレア、フェニックス、フィットニア、プテリス、ブライダルベール、フリーセア、プレクトランサス、ベゴニア、ペペロニア、ヘリコニア、ベンジャミン(ベンジャミナ)、ポインセチア、ポトス、ホヤマランタ、ミリオンバンブー、ミルクブッシュ、ムラサキオモト、モンステラ、ヤシ類、ユッカ、ランタナ等、
果樹;仁果類(リンゴ、セイヨウナシ、ニホンナシ、カリン、マルメロ等)、核果類(モモ、スモモ、ネクタリン、ウメ、オウトウ、アンズ、プルーン等)、カンキツ類(ウンシュウミカン、オレンジ、レモン、ライム、グレープフルーツ等)、堅果類(クリ、クルミ、ハシバミ、アーモンド、ピスタチオ、カシューナッツ、マカダミアナッツ等)、液果類(ブルーベリー、クランベリー、ブラックベリー、ラズベリー等)、ブドウ、カキ、オリーブ、ビワ、バナナ、コーヒー、ナツメヤシ、ココヤシ等、
果樹以外の樹;チャ、クワ、花木、街路樹(トネリコ、カバノキ、ハナミズキ、ユーカリ、イチョウ、ライラック、カエデ、カシ、ポプラ、ハナズオウ、フウ、プラタナス、ケヤキ、クロベ、モミノキ、ツガ、ネズ、マツ、トウヒ、イチイ)等。
【0032】
上記「作物」には、イソキサフルトール等のHPPD阻害剤、イマゼタピル、チフェンスルフロンメチル等のALS阻害剤、EPSP合成酵素阻害剤、グルタミン合成酵素阻害剤、ブロモキシニル等の除草剤に対する耐性が、古典的な育種法、若しくは遺伝子組換え技術により付与された作物も含まれる。
古典的な育種法により除草剤耐性が付与された「作物」の例として、イマゼタピル等のイミダゾリノン系除草剤耐性のClearfield(登録商標)カノーラ、チフェンスルフロンメチル等のスルホニルウレア系ALS阻害型除草剤耐性のSTSダイズ等がある。
また、遺伝子組換え技術により除草剤耐性が与された「作物」の例として、グリホサートやグルホシネート耐性のトウモロコシ、ダイズ、ワタがあり、RoundupReady(登録商標)およびLibertyLink(登録商標)等の商品名ですでに販売されている。
【0033】
上記「作物」とは、遺伝子組換え技術を用いて、例えば、バチルス属で知られている殺虫性タンパク質を合成する事が可能となった作物も含まれる。
この様な遺伝子組換え植物で発現される毒素として、バチルス・セレウスやバチルス・ポピリエ由来の殺虫性タンパク;バチルス・チューリンゲンシス由来のCry1Ab、Cry1Ac、Cry1F、Cry1Fa2、Cry2Ab、Cry3A、Cry3Bb1またはCry9C等のδ−エンドトキシン、VIP1、VIP2、VIP3またはVIP3A等の殺虫タンパク;線虫由来の殺虫タンパク;さそり毒素、クモ毒素、ハチ毒素または昆虫特異的神経毒素等動物によって産生される毒素;糸状菌類毒素;植物レクチン;アグルチニン;トリプシン阻害剤、セリンプロテアーゼ阻害剤、パタチン、シスタチン、パパイン阻害剤等のプロテアーゼ阻害剤;リシン、トウモロコシ−RIP、アブリン、ルフィン、サポリン、ブリオジン等のリボゾーム不活性化タンパク(RIP);3−ヒドロキシステロイドオキシダーゼ、エクジステロイド−UDP−グルコシルトランスフェラーゼ、コレステロールオキシダーゼ等のステロイド代謝酵素;エクダイソン阻害剤;HMG-COAリダクターゼ;ナトリウムチャネル、カルシウムチャネル阻害剤等のイオンチャネル阻害剤;幼若ホルモンエステラーゼ;利尿ホルモン受容体;スチルベンシンターゼ;ビベンジルシンターゼ;キチナーゼ;グルカナーゼ等が挙げられる。
【0034】
また、この様な遺伝子組換え作物で発現される毒素として、Cry1Ab、Cry1Ac、Cry1F、Cry1Fa2、Cry2Ab、Cry3A、Cry3Bb1およびCry9C等のδ−エンドトキシンタンパク、VIP1、VIP2、VIP3およびVIP3A等の殺虫タンパクのハイブリッド毒素、一部を欠損した毒素、修飾された毒素も含まれる。ハイブリッド毒素は、組換え技術を用いて、これらタンパクの異なるドメインの新しい組み合わせによって作り出される。一部を欠損した毒素としては、アミノ酸配列の一部を欠損したCry1Abが知られている。修飾された毒素は、天然型の毒素のアミノ酸の1つまたは複数が他のアミノ酸に置換されて作り出される。これら毒素の例及びこれら毒素を合成する事ができる組換え植物は、EP-A-0 374 753、WO 93/07278、WO 95/34656、EP-A-0 427 529、EP-A-451 878、WO 03/052073等に記載されている。
これらの組換え植物に含まれる毒素は、特に、甲虫目害虫、双翅目害虫、鱗翅目害虫への耐性を植物へ付与する。
【0035】
また、1つ若しくは複数の殺虫性の害虫抵抗性遺伝子を含み、1つまたは複数の毒素を発現する遺伝子組換え植物は既に知られており、いくつかのものは市販されている。
これら遺伝子組換え植物の例として、YieldGard(登録商標)(Cry1Ab毒素を発現するトウモロコシ品種)、YieldGard Rootworm(登録商標)(Cry3Bb1毒素を発現するトウモロコシ品種)、YieldGard Plus(登録商標)(Cry1AbとCry3Bb1毒素を発現するトウモロコシ品種)、Herculex I(登録商標)(Cry1Fa2毒素とグルホシネートへの耐性を付与する為にホスフィノトリシン N−アサチルトランスフェラーゼ(PAT)を発現するトウモロコシ品種)、NuCOTN33B(登録商標)(Cry1Ac毒素を発現するワタ品種)、Bollgard I(登録商標)(Cry1Ac毒素を発現するワタ品種)、Bollgard II(登録商標)(Cry1AcとCry2Ab毒素とを発現するワタ品種)、VIPCOT(登録商標)(VIP毒素を発現するワタ品種)、NewLeaf(登録商標)(Cry3A毒素を発現するジャガイモ品種)、NatureGard(登録商標)Agrisure(登録商標)GT Advantage(GA21 グリホサート耐性形質)、Agrisure(登録商標) CB Advantage(Bt11コーンボーラー(CB)形質)、Protecta(登録商標)等が挙げられる。
【0036】
上記「作物」とは、遺伝子組換え技術を用いて、選択的な作用を有する抗病原性物質を産生する能力を付与された作物も含まれる。
抗病原性物質の例として、PRタンパク等が知られている(PRPs、EP-A-0 392 225)。このような抗病原性物質とそれを産生する遺伝子組換え植物は、EP-A-0 392 225、WO 95/33818、EP-A-0 353 191等に記載されている。
こうした遺伝子組換え植物で発現される抗病原性物質の例として、例えば、ナトリウムチャネル阻害剤、カルシウムチャネル阻害剤(ウイルスが産生するKP1、KP4、KP6毒素等が知られている。)等のイオンチャネル阻害剤;スチルベンシンターゼ;ビベンジルシンターゼ;キチナーゼ;グルカナーゼ;PRタンパク;ペプチド抗生物質、ヘテロ環を有する抗生物質、植物病害抵抗性に関与するタンパク因子(植物病害抵抗性遺伝子と呼ばれ、WO 03/000906に記載されている。)等の微生物が産生する抗病原性物質等が挙げられる。
【0037】
本発明の有害生物防除方法では、他種の殺虫剤、殺ダニ剤、殺線虫剤、殺菌剤、除草剤、植物ホルモン剤、植物成長調節物質等の有害生物防除剤等、共力剤、薬害軽減剤、色素、肥料、土壌改良剤、動物用飼料等を併用していてもよい。
【0038】
本有効成分、溶媒に溶解した本有効成分等を、ポリプロピレン、ポリエチレン等の樹脂に混錬、表面処理等の方法により担持させ、樹脂剤とすることもできる。樹脂剤は農作物等の植物の近辺に設置することにより有害害虫の生息場所に施用される。
【0039】
本発明において防除対象となる有害生物としては、例えば、以下に示される昆虫、ダニ等の節足動物やセンチュウ等の線形動物が挙げられる。
【0040】
半翅目害虫:ヒメトビウンカ(Laodelphax striatellus)、トビイロウンカ(Nilaparvata lugens)、セジロウンカ(Sogatella furcifera)等のウンカ類、ツマグロヨコバイ(Nephotettix cincticeps)、タイワンツマグロヨコバイ(Nephotettix virescens)等のヨコバイ類、ワタアブラムシ(Aphis gossypii)、モモアカアブラムシ(Myzus persicae)、ミカンミドリアブラムシ(Aphis citricola)、ニセダイコンアブラムシ(Lipaphis pserudobrassicae)、ナシミドリオオアブラムシ(Nippolachnus piri)、コミカンアブラムシ(Toxoptera aurantii)、ミカンクロアブラムシ(Toxoptera ciidius)等のアブラムシ類、アオクサカメムシ(Nezara antennata)、ホソハリカメムシ(Cletus punctiger)、ホソヘリカメムシ(Riptortus clavetus)、チャバネアオカメムシ(Plautia stali)等のカメムシ類、オンシツコナジラミ(Trialeurodes vaporariorum)、タバココナジラミ(Bemisia tabaci)等のコナジラミ類、アカマルカイガラムシ(Aonidiella aurantii)、サンホーゼカイガラムシ(Comstockaspis perniciosa)、シトラススノースケール(Unaspis citri)、クワシロカイガラムシ(Pseudaulacaspis pentagona)、オリーブカタカイガラムシ(Saissetia oleae)、ミカンノカキカイガラムシ(Lepidosaphes beckii)、ルビーロウムシ(Ceroplastes rubens)、イセリヤカイガラムシ(Icerya purchasi)等のカイガラムシ類、グンバイムシ類、キジラミ類等。
【0041】
鱗翅目害虫:ニカメイガ(Chilo suppressalis)、コブノメイガ(Cnaphalocrocis medinalis)、ヨーロピアンコーンボーラー(Ostrinia nubilalis)、ハイマダラノメイガ(Hellulla undalis)、シバツトガ(Parapediasia teterrella)、ワタノメイガ(Notarcha derogata)、ノシメマダラメイガ(Plodia interpunctella)等のメイガ類、ハスモンヨトウ(Spodoptera litura)、アワヨトウ(Pseudaletia separata)、ヨトウガ(Mamestra brassicae)、タマナヤガ(Agrotis ipsilon)、トリコプルシア属、ヘリオティス属、ヘリコベルパ属(オオタバコガ(Helicoverpa armigera)等)等のヤガ類、モンシロチョウ(Pieris rapae)等のシロチョウ類、チャノコカクモンハマキ(Adoxopheys honmai)、リンゴコカクモンハマキ(Adoxopheys orana)等のアドキソフィエス属,ナシヒメシンクイ(Grapholita molesta)、コドリンガ(Cydia pomonella)等のハマキガ類、モモシンクイガ(Carposina niponensis)等のシンクイガ類、ギンモンハモグリガ(Lyonetia prunifoliella)等のハモグリガ類、リマントリア属、ユープロクティス属等のドクガ類、コナガ(Plutella xylostella)等のスガ類、ワタアカミムシ(Pectinophora gossypiella)等のキバガ類、アメリカシロヒトリ(Hyphantria cunea)等のヒトリガ類、イガ(Tinea translucens)、コイガ(Tineola bisselliella)等のヒロズコガ類等。
【0042】
双翅目害虫:アカイエカ(Culex pipiens pallens)、コガタアカイエカ(Culex tritaeniorhynchus)等のイエカ類、ネッタイシマカ(Aedes aegypti)、ヒトスジシマカ(Aedes albopictus)等のエーデス属、シナハマダラカ(Anopheles sinensis)等のハマダラカ類、ユスリカ類、イエバエ(Musca domestica)、オオイエバエ(Muscina stabulans)等のイエバエ類、クロバエ類、ニクバエ類、ヒメイエバエ類、タネバエ(Delia platura)、タマネギバエ(Delia antiqua)等のハナバエ類、マメハモグリバエ(Liriomyza trifolii)等のハモグリバエ類、ミバエ類、ノミバエ類、ショウジョウバエ類、チョウバエ類、ブユ類、アブ類、サシバエ類等。
【0043】
膜翅目害虫:カブラハバチ(Athalia rosae)等のハバチ類、チュウレンジハバチ(Arge pagana)等のミフシハバチ類、キイロスズメバチ(Vespa simillima)、フタモンアシナガバチ(Polites chinensis)等のスズメバチ類、イエヒメアリ(Monomorium pharaonis)等のアリ類、アリガタバチ類等。
【0044】
鞘翅目害虫:ウエスタンコーンルームワーム(Diabrotica virgifera virgifera)、サザンコーンルートワーム(Diabrotica undecimpunctata howardi)等のコーンルートワーム類、ドウガネブイブイ(Anomala cuprea)、ヒメコガネ(Anomala rufocuprea)等のコガネムシ類、メイズウィービル(Sitophilus zeamais)、イネミズゾウムシ(Lissorhoptrus oryzophilus)、アルファルファタコゾウムシ(Hypera pastica)、アズキゾウムシ(Callosobruchuys chienensis)等のゾウムシ類、チャイロコメノゴミムシダマシ(Tenebrio molitor)、コクヌストモドキ(Tribolium castaneum)等のゴミムシダマシ類、ウリハムシ(Aulacophora femoralis)、キスジノミハムシ(Phyllotreta striolata)、コロラドハムシ(Leptinotarsa decemlineata)等のハムシ類、ニジュウヤホシテントウ(Epilachna vigintioctopunctata)等のエピラクナ類、ナガシンクイムシ類、ヒラタキクイムシ(Lyctus brunneus)等のヒラタキクイムシ類、カミキリムシ類、アオバアリガタハネカクシ(Paederus fuscipes)等。
【0045】
ゴキブリ目害虫:チャバネゴキブリ(Blattella germanica)、クロゴキブリ(Periplaneta fuliginosa)、ワモンゴキブリ(Periplaneta americana)、トビイロゴキブリ(Periplaneta brunnea)、トウヨウゴキブリ(Blatta orientalis)等。
アザミウマ目害虫:ミナミキイロアザミウマ(Thrips palmi)、ネギアザミウマ(Thrips tabaci)、ハナアザミウマ(Thrips hawaiiensis)、チャノキイロアザミウマ(Scirtothrips dorsalis)、ヒラズハナアザミウマ(Frankliniella intonsa)、ミカンキイロアザミウマ(Frankliniella occidentalis)、カキクダアザミウマ(Ponticulothrips diospyrosi)等。
【0046】
直翅目害虫:ケラ類、バッタ類等。
隠翅目害虫:ネコノミ(Ctenocephalides felis)、イヌノミ(Ctenocephalides canis)、ヒトノミ(Pulex irritans)等。
シラミ目害虫:アタマジラミ(Pediculus humanus humanus)、コロモジラミ(Pediculus humanus corporis)、ケジラミ (Phthirus pubis)等。
【0047】
等翅目害虫:ヤマトシロアリ(Reticulitermes speratus)、イエシロアリ(Coptotermes formosanus)、アメリカカンザイシロアリ(Incisitermes マイナー)、ダイコクシロアリ(Cryptotermes domesticus)、タイワンシロアリ(Odontotermes formosanus)、コウシュンシロアリ(Neotermes koshunensis)、サツマシロアリ(Glyptotermes satsumensis)、ナカジマシロアリ(Glyptotermes nakajimai)、カタンシロアリ(Glyptotermes fuscus)、コダマシロアリ(Glyptotermes kodamai)、クシモトシロアリ(Glyptotermes kushimensis)、オオシロアリ(Hodotermopsis japonica)、コウシュウイエシロアリ(Coptotermes guangzhoensis)、アマミシロアリ(Reticulitermes miyatakei)、キアシシロアリ(Reticulitermes flaviceps amamianus)、カンモンシロアリ(Reticulitermes SP.)、タカサゴシロアリ(Nasutitermes takasagoensis)、ニトベシロアリ(Pericapriterme nitobei)、ムシャシロアリ(Sinocapritermes mushae)等。
【0048】
ワラジムシ類:ワラジムシ(Porcellio scaber)、ホソワラジムシ(Porcellionides pruinosus)、オカダンゴムシ(Armadillidium vulgare)等。
ムカデ類:トビズムカデ(Scolopendra subspinipes mutilans)、アオズムカデ(Scolopendra subspinipes japonica)、アカズムカデ(Scolopendra subspinipes multidens)、ゲジ(Thereuopoda hilgendorfi)等。
ヤスデ類:ヤケヤスデ(Oxidus gracilis)、オビババヤスデ(Parafontaria laminata laminata)等。
【0049】
ダニ目害虫:ナミハダニ(Tetranychus urticae)、カンザワハダニ(Tetranychus kanzawai)、ミカンハダニ(Panonychus citri)、リンゴハダニ(Panonychus ulmi)、オリゴニカス属等のハダニ類、トマトサビダニ(Aculops lycopersici)、ミカンサビダニ(Aculops pelekassi)、チャノサビダニ(Calacarus carinatus)等のフシダニ類、チャノホコリダニ(Polyphagotarsonemus latus)等のホコリダニ類、ヒメハダニ類、ケナガハダニ類、イエダニ類、マダニ類、コナダニ類、コナヒョウヒダニ(Dermatophagoides farinae)等のヒョウヒダニ類、ミナミツメダニ(Chelacaropsis moorei)等のツメダニ類、ワクモ類等。
【0050】
線虫類:ミナミネグサレセンチュウ(Pratylenchus coffeae)、キタネグサレセンチュウ(Pratylenchus fallax)、チャネグサレセンチュウ(Pratylenchus loosi)、クルミネグサレセンチュウ(Pratylenchus vulnus)等のネグサレセンチュウ類、ダイズシストセンチュウ(Heterodera glycines)、ジャガイモシストセンチュウ(Globodera rostochiensis)等のシストセンチュウ類、キタネコブセンチュウ(Meloidogyne hapla)、サツマイモネコブセンチュウ(Meloidogyne incognita)等のネコブセンチュウ類、イネシンガレセンチュウ(Aphelenchoides besseyi)、イチゴセンチュウ(Aphelenchoides fragarieae)等のアフェレンコイデス類、イシュクセンチュウ類、ワセンチュウ類、ピンセンチュウ類、ロンギドルス類、トリコドルス類等。
【0051】
本発明組成物又はその有効成分を用いて有害生物を防除するために施用する場合、その施用量は、10アールあたり本化合物1と本化合物2との合計量で、通常0.1〜1000g、好ましくは1〜100gである。乳剤、フロアブル剤等は、通常、有効成分濃度が0.1〜500000ppm、好ましくは10〜100000ppmとなるように水で希釈して施用し、粒剤、粉剤等は、通常そのまま施用する。これらの製剤は、有害生物又は有害生物から保護すべき作物等の植物に直接施用してもよく、また、これらの製剤を有害生物が生息する場所に施用することにより、有害生物を防除することもできる。
【0052】
これらの施用量、施用濃度は、いずれも製剤の種類、施用時期、施用場所、施用方法、有害生物の種類、被害程度等の状況によって異なり、上記の範囲にかかわることなく増減させることができ、適宜選択することができる。
【0053】
以下、本発明を製剤例及び試験例により、さらに詳しく説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
【0054】
まず、製剤例を示す。尚、部は重量部を表す。
【0055】
製剤例1
本化合物1としてスピネトラム5部、本化合物2としてピリダリル5部、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル8部、ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム2部及びキシレン80部を均一に混合して乳剤を得る。
【0056】
製剤例2
本化合物1としてスピネトラム4部、本化合物2としてピリダリル20部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム3部、リグニンスルホン酸ナトリウム3部及び珪藻土70部をジェットエアーミルで均一に混合粉砕して水和剤を得る。
【0057】
製剤例3
本化合物1としてスピネトラム0.5部、本化合物2としてピリダリル1部、タルク48.5部及びクレー50部を均一に混合攪拌して粉剤を得る。
【0058】
製剤例4
本化合物1としてスピネトラム1部、本化合物2としてピリダリル4部に、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム5部、ベントナイト30部及びクレー60部を加え、充分攪拌混合する。次いで、この混合物に適量の水を加え、さらに攪拌し、造粒機で製粒し、通風乾燥して粒剤を得る。
【0059】
製剤例5
ポリオキシエチレンスチリルフェニル+エーテルサルフェート5部、1%ザンサンガム水溶液20部、スメクタイト系鉱物3部及び水60部を均一に混合し、ここに、本化合物1としてスピネトラム2部及び本化合物2としてピリダリル10部を加えてよく攪拌した後、サンドミルにて湿式粉砕してフロアブル剤を得る。
【0060】
製剤例6
本化合物1としてスピネトラム0.02部、本化合物2としてピリダリル0.1部をアセトン10部に溶解し、この溶液を動物用固形飼料粉末(飼育繁殖用固形飼料粉末CE−2:日本クレア株式会社製)99.88部に均一に混合した後、アセトンを風乾し、毒餌を得る。
【0061】
製剤例7
本化合物1としてスピネトラム0.1部、本化合物2としてピリダリル0.1部をキシレン5部及びトリクロロエタン5部に溶解し、これを脱臭灯油89.8部に混合して油剤を得る。
【0062】
製剤例8
本化合物1としてスピノサド5部、本化合物2としてピリダリル5部、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル8部、ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム2部及びキシレン80部を均一に混合して乳剤を得る。
【0063】
製剤例9
本化合物1としてスピノサド4部、本化合物2としてピリダリル20部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム3部、リグニンスルホン酸ナトリウム3部及び珪藻土70部をジェットエアーミルで均一に混合粉砕して水和剤を得る。
【0064】
製剤例10
本化合物1としてスピノサド0.5部、本化合物2としてピリダリル1部、タルク48.5部及びクレー50部を均一に混合攪拌して粉剤を得る。
【0065】
製剤例11
本化合物1としてスピノサド1部、本化合物2としてピリダリル4部に、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム5部、ベントナイト30部及びクレー60部を加え、充分攪拌混合する。次いで、この混合物に適量の水を加え、さらに攪拌し、造粒機で製粒し、通風乾燥して粒剤を得る。
【0066】
製剤例12
ポリオキシエチレンスチリルフェニル+エーテルサルフェート5部、1%ザンサンガム水溶液20部、スメクタイト系鉱物3部及び水60部を均一に混合し、ここに、本化合物1としてスピノサド2部及び本化合物2としてピリダリル10部を加えてよく攪拌した後、サンドミルにて湿式粉砕してフロアブル剤を得る。
【0067】
製剤例13
本化合物1としてスピノサド0.02部、本化合物2としてピリダリル0.1部をアセトン10部に溶解し、この溶液を動物用固形飼料粉末(飼育繁殖用固形飼料粉末CE−2:日本クレア株式会社製)99.88部に均一に混合した後、アセトンを風乾し、毒餌を得る。
【0068】
製剤例14
本化合物1としてスピノサド0.1部、本化合物2としてピリダリル0.1部をキシレン5部及びトリクロロエタン5部に溶解し、これを脱臭灯油89.8部に混合して油剤を得る。
【0069】
次に、本発明が有害生物を防除するために有用であることを試験例により示す。尚、2種類の有効成分を混合して施用した際に予想される殺虫(殺卵)率の理論値は、Colbyの計算式に準ずる計算式 E=X+Y−(X×Y/100)により求められた。
X:有効成分AをMppmで処理した際の殺虫率(%)
Y:有効成分BをNppmで処理した際の殺虫率(%)
E:有効成分AをMppm、有効成分BをNppmで処理した際に予想される殺虫率の理論値(%)
この理論値よりも実際の殺虫(殺卵)率が高い場合には、相乗効果があるものと判断される。
【0070】
試験例1
(1)本化合物1であるスピネトラム12部、ポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェートアンモニウム塩とホワイトカーボンを重量比で1:1の割合で吸着させた担体35部及び水53部を混合し、湿式粉砕法で微粉砕することによりスピネトラムの製剤(以下、製剤Aと記すこともある。)を得た。
(2)本化合物2であるピリダリル10部を有効成分として含有するフロアブル製剤(商品名:プレオフロアブル:住友化学株式会社製、以下、製剤Bと記すこともある。)を用いた。
(3)製剤Aを、下記の表1の有効成分濃度になるように、各々を水で希釈して水希釈液を調製し、展着剤(シンダイン:住化武田農薬株式会社)を当該展着剤の添加量が容量にして1/5000となるように加え、本化合物1を含んだ試験用薬剤液を調製した。製剤Bを、下記の表1の有効成分濃度になるように、各々を水で希釈して水希釈液を調製し、展着剤(シンダイン:住化武田農薬株式会社)を当該展着剤の添加量が容量にして1/5000となるように加え、本化合物2を含んだ試験用薬剤液を調製した。
また、製剤A及び製剤Bをそれぞれ水で希釈して得られた水希釈液を、下記の表1の有効成分濃度になるように混合し、さらに展着剤(シンダイン:住化武田農薬株式会社)を当該展着剤の添加量が容量にして1/5000となるように加え、本化合物1と本化合物2とを含んだ試験用薬剤液を調製した。
(4)ポットにキャベツを植え、4葉期まで生育させた。そのキャベツの葉を1枚ずつ切り取り、前述の試験用薬剤液に60秒間浸漬処理した。風乾後、このキャベツの葉を、濾紙を敷いたカップに入れ、そこにハスモンヨトウの4齢幼虫を10頭ずつ放飼した。処理2日後に供試した虫の生死を観察し、下記式によって補正することにより殺虫率を算出した。
その結果を表1に示す。

殺虫率(%)=100×(Mt−Mc)/(100−Mc)
Mt:供試化合物処理区における死虫率(%)
Mc:供試化合物無処理区における死虫率(%)
【0071】
【表1】

【0072】
試験例2
(1)製剤Aを、下記の表2の有効成分濃度になるように、各々を水で希釈して水希釈液を調製し、展着剤(シンダイン:住化武田農薬株式会社)を当該展着剤の添加量が容量にして1/5000となるように加え、本化合物1を含んだ試験用薬剤液を調製した。
製剤Bを、下記の表2の有効成分濃度になるように、各々を水で希釈して水希釈液を調製し、展着剤(シンダイン:住化武田農薬株式会社)を当該展着剤の添加量が容量にして1/5000となるように加え、本化合物2を含んだ試験用薬剤液を調製した。
また、製剤A及び製剤Bをそれぞれ水で希釈して得られた水希釈液を、下記の表2の有効成分濃度になるように混合し、さらに展着剤(シンダイン:住化武田農薬株式会社)を当該展着剤の添加量が容量にして1/5000となるように加え、本化合物1と本化合物2とを含んだ試験用薬剤液を調製した。(2)ポットにキャベツを植え、4葉期まで生育させた。そのキャベツの葉を1枚ずつ切り取り、前述の試験用薬剤液に60秒間浸漬処理した。風乾後、このキャベツの葉を、濾紙を敷いたカップに入れ、そこにハスモンヨトウの4齢幼虫を10頭ずつ放飼した。処理2日後に供試した虫の生死を観察し、下記式によって補正することにより殺虫率を算出した。


殺虫率(%)=100×(Mt−Mc)/(100−Mc)
Mt:供試化合物処理区における死虫率(%)
Mc:供試化合物無処理区における死虫率(%)
【0073】
【表2】

【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明によれば、有害生物に対して、優れた防除効力を有する有害生物防除組成物等を提供することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)

「式中、A及びBは、各々、独立して、単結合、二重結合、又はエーテル結合を表し、
Rは、式(II)


(ここで、R8及びR9は、各々、独立して、C1−C4アルキル基、C1−C4ハロアルキル基、C1−C4アルカノイル基又は保護されたアミノ基を表す。)
又は、式(III)

(ここで、R10は、C1−C4アルキル基、C1−C4ハロアルキル基、C1−C4アルカノイル基又は保護されたアミノ基を表す。)で示される基を表し、
R1は、水素原子、又は、メチル基を表し、
R2、R3及びR4は、各々、独立して、C1−C4アルキル基、C1−C4ハロアルキル基、C1−C4アルカノイル基、又は、保護されたヒドロキシル基を表し、
R5は、水素原子、C1−C4アルキル基、C1−C4アルキルアミノ基、又は、
式(IV)

(ここで、R11及びR12は、各々、独立して、水素原子、C1−C4アルキル基、又は、C1−C5アルカノイル基を表す。)で示されるアルキルヒドロキシルアミノ基を表し、
R6は、水素原子、又は、メチル基を表し、
R7は、メチル基、又は、エチル基を表す。」
で示される化合物と、
2,6−ジクロロ−4−(3,3−ジクロロアリルオキシ)フェニル=3−[5−(トリフルオロメチル)−2−ピリジルオキシ]プロピル=エーテルとを有効成分として含有することを特徴とする有害生物防除組成物。
【請求項2】
式(I)において、
Aが、単結合、又は、二重結合であり、
Bが、二重結合であり、
Rが、式(II)

(式中、R8及びR9が、メチル基である。)で示される基であり、
R2が、メチル基であり、
R3が、メチル基、又は、エチル基であり、
R4が、メチル基であり、
R5が、水素原子であり、
R6が、メチル基であり、
R7が、エチル基であることを特徴とする請求項1記載の組成物。
【請求項3】
式(I)において、
R3が、エチル基であることを特徴とする請求項2記載の組成物。
【請求項4】
式(I)で示される化合物がスピネトラムであることを特徴とする請求項1記載の組成物。
【請求項5】
式(I)

「式中、A及びBは、各々、独立して、単結合、二重結合、又は、エーテル結合を表し、
Rは、式(II)

(ここで、R8及びR9は、各々、独立して、C1−C4アルキル基、C1−C4ハロアルキル基、C1−C4アルカノイル基又は保護されたアミノ基を表す。)
又は、式(III)

(ここで、R10は、C1−C4アルキル基、C1−C4ハロアルキル基、C1−C4アルカノイル基又は保護されたアミノ基を表す。)で示される基を表し、
R1は、水素原子、又は、メチル基を表し、
R2、R3及びR4は、各々、独立して、C1−C4アルキル基、C1−C4ハロアルキル基、C1−C4アルカノイル基、又は、保護されたヒドロキシル基を表し、
R5は、水素原子、C1−C4アルキル基、C1−C4アルキルアミノ基、又は、
式(IV)

(ここで、R11及びR12は、各々、独立して、水素原子、C1−C4アルキル基、又は、C1−C5アルカノイル基を表す。)で示されるアルキルヒドロキシルアミノ基を表し、
R6は、水素原子、又は、メチル基を表し、
R7は、メチル基、又は、エチル基を表す。」
で示される化合物と、
2,6−ジクロロ−4−(3,3−ジクロロアリルオキシ)フェニル=3−[5−(トリフルオロメチル)−2−ピリジルオキシ]プロピル=エーテルとの有効量を、有害生物若しくはその生息場所に施用する工程を有することを特徴とする有害生物の防除方法。

【公開番号】特開2010−1274(P2010−1274A)
【公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−168584(P2008−168584)
【出願日】平成20年6月27日(2008.6.27)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】