説明

有機ヒドロキシ酸を用いて製造された、非析出性のアルカリ/アルカリ土類金属及びアルミニウム組成物

(i)M(ここでMはアルカリ土類金属又はアルカリ金属を示す)と(ii)アルミニウムと(iii)エチレングリコールと(iv)少なくも3個の炭素原子を有する有機ヒドロキシ酸化合物であって、有機ヒドロキシ酸化合物が8個又はそれ以下の炭素原子を有する場合には、3個未満のカルボン酸基を有する有機ヒドロキシ酸化合物(ここでエチレングリコール:アルミニウムのモル比は少なくとも35:1である)を含んでなる、ポリエステルポリマーを製造するための反応体の重縮合を触媒するのに適当な、安定な触媒溶液。前記ヒドロキシ酸化合物は、モル比M:Alが1:1に近い場合でも、エチレングリコールへのM及びAlの溶解度を増大させる。また、前記組成物の製造方法、ポリエステルポリマーの製造へのその供給及びポリエステルポリマーの製造におけるその使用並びにいくつかの成分を合するか又は前記組成物中にこれらの成分の残基を含ませることによって得られるポリエステルポリマーも提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリエステルポリマーの製造において有用な、アルミニウムベースの組成物、そして更に具体的には、ヒドロキシ酸化合物を添加してエチレングリコールへのアルミニウムの溶解度を増大させた、アルミニウム、アルカリ土類金属又はアルカリ金属及び過剰のエチレングリコールを含む組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
エチレングルコール中のアルカリ土類金属又はアルカリ金属(M)及びアルミニウムから製造された溶液は、時間の経過と共に析出する傾向がある。この問題は、125℃未満の中程度(moderate)の温度において析出が起こり始める、1:1に近いM:Alモル比において特に顕著である。これは、アルミニウム化合物がエチレングリコールには容易に溶解しないためである。溶融相重合(melt phase polymerization)プロセスへの触媒成分の供給は、反応体又はポリマーメルトとのより均一な混合を実現し且つ溶融相プロセスへの一貫した均一な量の所望の触媒の供給を可能にするために、溶解の状態を保持しなければならない。
【0003】
触媒溶液は、ポンプ輸送及び循環の問題の可能性を回避し、移送ラインの汚染及び目詰まりを回避し、且つ供給タンク中で不溶性触媒析出物が沈降しないようにスラリー中で使用される激しい撹拌の必要性をなくすので、触媒スラリーよりも有利である。供給タンク中の析出物は、溶融相製造ラインへの均一量の触媒の供給の問題となる。
【0004】
水酸化リチウムとアルミニウムイソプロポキシドとはエチレングリコールの存在下で合することによって溶液を形成できる。これは、触媒溶液を形成するのに充分な温度まで成分を加熱することによって行うことができる。この反応の温度は通常は125〜160℃の範囲で3〜5時間である。一般に、溶液中のアルミニウム濃度は、周囲室温への混合物の冷却時に析出物又はゲルを形成することなく、3,000ppmを超えることはできない。
【0005】
触媒系をエチレングリコール中で混合する場合、いくつかの条件下では析出物が形成されるおそれがある。触媒溶液を周囲温度まで冷却する場合には析出物が形成されるおそれがある。組成物が冷却時に溶液のままである場合でさえ、溶液は時間の経過と共に(例えばおよそ2日又は3日で)溶液は変化して析出物を形成するおそれがある。所定の流量に設定された供給システムを通して、ポリエステルを製造するための溶融相重合ラインに供給される実際の触媒の量は、析出物が形成される場合には変動し、その結果、一貫性のない製品タイプ又は製品品質につながるであろう。
【0006】
触媒を溶液に保つためには、エチレングリコール/Li/Al触媒組成物は約150℃又はそれ以上の高温であり続けなければならない。高温に保持された触媒溶液には、いくつかの不利な点がある。高温に長時間保持された触媒は、場合によっては触媒失活をもたらす可能性がある。更に、高温で触媒溶液を保持するには、加熱される触媒供給容器へのプラント投資を増加する必要がある。
【0007】
また、触媒組成物中のアルミニウム量が3000ppmを超える場合にも析出物は形成される。溶融相プロセスに供給する溶媒の量を減少できるように高濃度のAlを含む触媒供給源を使用するのが望ましく、触媒を溶液に保持することが必要であるが、これはアルミニウム量の増加につれてより困難となる。
【0008】
触媒は、3000ppm若しくはそれ以上のアルミニウムを用いる場合又は熱溶液を冷却する場合にエチレングリコール中に析出する可能性があるだけでなく、モル比M:Alが1:1に近づくにつれて析出する可能性がある。しかし、約1:1のモル比M:Alが1:1に近づくとポリエステルポリマーの黄色度が最小限に抑えられるので、使用目的によっては約1:1のモル比M:Alが望ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
金属Mへのモル過剰のヒドロキシ酸の添加は、溶液のコストを増大させるので望ましくない。低量のヒドロキシ酸化合物を含む溶液を保持しながら、ヒドロキシ酸に対して化学量論量のM、更にはモル過剰量のMを添加する柔軟性を持続するのが望ましい。触媒組成物は、望ましくは少量のヒドロキシ酸とヒドロキシ酸化合物に対して化学量論大過剰量のエチレングリコールを用いる場合には、有利には、エチレングリコールを単一溶媒とする溶液に比較して、エチレングリコールに対して増加した溶解度を示す。或いは、又は更に、所望ならば、1:1に近いモル比M:Alにおいて、周囲条件を含む広範囲の温度にわたって安定な溶液を製造できるならば同様に望ましいであろう。或いは、又は更に、3000ppm又はそれ以上のAlを用いて、このような溶液を製造して、溶融相重縮合プロセスに供給する溶媒の量を最小限に抑えることができれば特に有利であろう。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、Alを含む触媒金属へのある種の有機ヒドロキシ酸化合物の添加がエチレングリコールへのそれらの溶解度を改善することを見出した。本発明では、
(i)M(ここでMはアルカリ土類金属又はアルカリ金属を示す)と
(ii)アルミニウムと
(iii)エチレングリコールと
(iv)少なくも3個の炭素原子を有するヒドロキシ酸化合物であって、有機ヒドロキシ酸化合物が8個又はそれ以下の炭素原子を有する場合には、3個未満のカルボン酸基を有する有機ヒドロキシ酸化合物
とを一緒にする(ここでエチレングリコール:アルミニウムのモル比は少なくとも35:1である)ことによって得られる組成物を提供する。
【0011】
また、ポリエステルポリマー並びに
(i)M(ここでMはアルカリ土類金属又はアルカリ金属を示す)と
(ii)アルミニウムと
(iii)エチレングリコールと
(iv)少なくも3個の炭素原子を有する有機ヒドロキシ酸化合物であって、有機ヒドロキシ酸化合物が8個又はそれ以下の炭素原子を有する場合には、3個未満のカルボン酸基を有する有機ヒドロキシ酸化合物
とを、エチレングリコール:アルミニウムのモル比を少なくとも35:1で、一緒にすることによって得られる触媒系の残基を含んでなるポリエステルポリマー組成物を提供する。
【0012】
これらの組成物は、ポリエステルポリマーの形成を触媒する(反応速度を増加させる)のに有用である。
【0013】
また、触媒溶液中のアルミニウム量が3000ppmより多い、安定な触媒溶液の別の実施態様を提供する。
【0014】
また、モル比M:Alが0.75:1〜2:1又は0.9:1〜1.5:1の範囲である安定な触媒溶液の一実施態様を提供する。
【0015】
更に、アルミニウム量が3000pmより多く且つモル比M:Alが0.75:1〜2:1の範囲である安定な触媒溶液の一実施態様を提供する。
【0016】
更に、前記実施態様の1つ又は組合せにおいて触媒溶液が周囲条件において撹拌しなくても少なくとも1週間にわたって安定であり続ける実施態様を提供する。
【0017】
更に別の実施態様においては、所望ならば、これらの触媒溶液は、触媒失活又は変色を示さずに少なくとも1週間、高温に保持できる。
【0018】
また、前記組成物の製造方法、ポリエステルポリマーの製造への前記組成物の供給及びポリエステルポリマーの製造における前記組成物の使用並びにこれらの触媒溶液によって得られたポリエステルポリマーを提供する。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明は、以下の発明の詳細な説明を参照することによってより理解し易くなるであろう。
【0020】
また、本明細書及び添付した「特許請求の範囲」中で使用する単数形(a,an,the)は、前後関係からそうでないことが明白に示されていない限り、複数の指示対象を含む。例えば、1種の「ポリマー」、「プレフォーム」、「物品」、「容器」又は「ボトル」の加工又は製造への言及は複数種のポリマー、プレフォーム、物品、容器又はボトルの加工又は製造を含むものとする。
【0021】
「1つの」成分又は「1種の」ポリマーを含む組成物への言及は、それぞれ、名前を挙げたものに加えて他の成分又は他のポリマーを含むものとする。
【0022】
「含んでなる」又は「含む」又は「有する」は、少なくとも名前を挙げた化合物、要素、粒子又は方法工程などは組成物又は物品又は方法に存在しなければならないが、特許請求の範囲において明白に除外されるのでなければ、他の化合物、触媒、材料、粒子、方法工程などの存在は、他のこのような化合物、材料、粒子、方法工程などが名前を挙げたものと同一の機能を有しているとしても、除外しないことを意味する。
【0023】
また、1つ又はそれ以上の方法工程に関する言及は、列挙した工程の組合せの前若しくは後の追加の方法工程又ははっきりと識別されるこれらの工程の間の介在方法工程の存在を排除しないことを理解すべきである。更に、プロセス工程への文字の割り当ては、別個の作業又は工程を識別するための簡便な手段であり、特に断らない限り、列挙したプロセス工程は任意の順序で配列できる。
【0024】
範囲の表示は、その範囲内の全ての整数及び分数を含む。プロセス中の、又は反応混合物の、又はメルトの若しくはメルトに適用される、又はポリマーの若しくはポリマーに適用される温度又は温度範囲の表示は、いかなる場合でも、適用温度、メルト若しくはポリマーの実際温度又は両者が指定温度であるか又は指定範囲内にある場合に制限に適合することを意味する。
【0025】
用語「組成物」は、列記した各成分が組成物中に存在することを意味し、組成物中の全ての成分が結合されていないか又は未反応であるという意味は含まない。組成物は固体又は液体であることができる。組成物中の記載成分は結合していても、未結合でも、反応していても、未反応でもよく、特に断らない限り、任意の酸化状態であることができる。例えば、「アルミニウム」、即ち「Al」、又は「リチウム」、即ち「Li」、の存在の明記はそれぞれ、アルミニウム又はリチウムの原子を意味し、それらが溶液、ポリマー又は組成物中に添加されるにせよ、或いはそれらの中に存在するにせよ、それらがどのような酸化状態、形態学的状態、構造状態又は化学状態を取ることも、このような状態が明白に記載されない限り、意味しない。
【0026】
本明細書中で使用する用語「アルミニウム」又はアルカリ土類金属若しくはアルカリ(例えばリチウム、ナトリウム、カリウム)のような任意の他の金属は原子を意味し、どのような酸化状態も化学状態も意味しない。同様に、「金属」に併せて使用するこれらの用語はいずれも原子を意味し、どのような酸化状態もその化学状態も意味しない。単独で又は用語「金属」又はアルカリ土類金属若しくはアルカリ金属と併せて使用する「アルミニウム」は、塩又はキレート又は錯体として或いは元素として、のような任意の化学状態であってもよいし、特定の酸化状態を有するものとして特に明白に記載されない限り、任意の酸化状態であることができる。しかし、用語「元素として(elemental)」は、ゼロの酸化状態を意味する。
【0027】
報告した金属の量(例えばppm)は、溶液、ポリマー又は物品中に存在する金属原子の量に基づき、化合物又は塩の量として明白に記載されない限り、化合物又は塩の量には基づかない。
【0028】
この明細書の記載全体を通して記載するIt.V.値は、25℃においてフェノール60重量%及び1,1,2,2−テトラクロロエタン40重量%中で測定したインヘレント粘度から計算したものをdL/g単位で示す。ポリマーサンプルは、この溶媒中に0.25g/50mLの濃度で溶解させる。ポリマー溶液の濃度は、Viscotek Modified Differential Viscometerを用いて測定する。示差粘度計(differential viscometer)の動作原理の説明はASTM D5225に記載されている。インヘレント粘度は、測定した溶液粘度(solution viscosity)から計算する。下記式は、これらの溶液粘度測定値と、Ih.V.までの及びIh.V.からIt.V.までのその後の計算値を記載する:
ηinh=[ln(ts/t0)]/C
[式中、ηinh=0.5g/100mL(フェノール60%及び1,1,2,2−テトラクロロエタン40%)のポリマー濃度における25℃でのインヘレント粘度
ln=自然対数
s=毛細管を通るサンプルの流下時間
0=毛細管を通る溶媒ブランクの流下時間
C=溶媒100mL当たりのポリマー(g)の濃度(0.50%)]。
【0029】
極限粘度数(intrinsic viscosity)は、ポリマーの比粘度(specific viscosity)の無限稀釈における極限値である。これは以下の式によって定義される:
ηint=lim(ηsp/C)=lim (ln ηr)/C
C→0 C→0
[式中、ηint=極限粘度数
ηr=相対粘度(relative viscosity)
s/t0
ηsp=比粘度=ηr−1]。
【0030】
計測器の較正は、標準対照材料を三重反復試験し、次いで適当な数式を適用して「許容」Ih.V.値を得ることを含む。較正に用いた3つの値は、0.010の範囲内とし;そうでなければ、この範囲内の3つの連続した結果が得られるまで、問題を解消し且つ標準の試験を繰り返すものとする。
【0031】
較正係数=対照材料の許容Ih.V./三重反復測定値の平均
各サンプルの未修正インヘレント粘度(ηinh)を、以下の式:
ηinh=[ln(P2/KP1)]/C
[式中、P2=毛細管P2中の圧力
1=毛細管P1中の圧力
ln=自然対数
K=ベースラインの読み取り値から得られる粘度定数
C=ポリマーの濃度(溶媒100mL当たりのg)]
を用いて、Viscotek Model Y501 Relative Viscometerから計算する。
【0032】
標準対照材料を用いた較正に基づく修正Ih.V.は以下のように計算する:
修正Ih.V.=計算Ih.V.×較正係数
【0033】
極限粘度数(It.V.又はηint)は、Billmeyer式を用いて以下のように概算できる:
ηint=0.5[e0.5×修正Ih.V.−1]+(0.75×修正Ih.V.)。
【0034】
極限粘度数の概算に関する参考文献(Billmeyer関係式)は、J.Polymer Sci.,4,83−86頁(1949)である。
【0035】
別法として、It.V.は、ASTM D 5225−98に従った濃度で前記溶媒を用いてIVを測定する示差粘度計を使用して測定できる。
【0036】
アルカリ土類金属又はアルカリの重量は、溶融相への添加時に又は完成ポリマー若しくは完成品中の量を検知するための分析技術によって測定又は計算できる。アルカリ金属又はアルカリ土類金属の存在の適当な検知方法には、誘導結合プラズマ発光分析(inductively coupled plasma optical emission spectroscopy)(ICP−OES)がある。アルカリ土類金属若しくはアルカリ金属又はアルミニウム又は燐或いは任意の他の元素又は金属の濃度は、ポリマーの重量に基づいて金属原子のppmとして報告してある。
【0037】
本発明では、
(i)M(ここでMはアルカリ土類金属又はアルカリ金属を示す)と
(ii)アルミニウムと
(iii)エチレングリコールと
(iv)少なくも3個の炭素原子を有する有機ヒドロキシ酸化合物であって、有機ヒドロキシ酸化合物が8個又はそれ以下の炭素原子を有する場合には、3個未満のカルボン酸基を有する有機ヒドロキシ酸化合物
とを合する(ここでエチレングリコール:アルミニウムのモル比は少なくとも35:1である)ことによって得られる組成物を提供する。
【0038】
この組成物はアルミニウムを含む。これらの組成物によって製造されるポリエステルポリマーもアルミニウムを含む。ポリエステルポリマー中のアルミニウムの存在は、アルミニウムの酸化状態に関係なく、任意の適当な分析技術によって検知できる。アルミニウムの存在の適当な検知方法には、誘導結合プラズマ発光分析(ICP−OES)がある。アルミニウムの濃度は、ポリマーの重量に基づいて、金属原子のppmとして報告してある。
【0039】
アルミニウム又はアルカリ土類金属若しくはアルカリ金属の濃度の報告は、ポリマー中のこれらの原子の濃度を意味し、組成物の製造に使用した金属化合物の濃度を意味するのではない。
【0040】
組成物の製造において、アルミニウムは化合物(塩又は錯体を含む)として、或いは単独で又はアルカリ金属若しくはアルカリ土類金属の原子若しくは化合物と組合せて重縮合相中で最終的に触媒として活性であれば、元素状金属して添加できる。
【0041】
本発明の一態様においては、少なくとも1つ又は2つ若しくは3つの有機置換基を有するアルミニウム化合物を組成物の製造に使用する。触媒として適当なアルミニウム化合物の例示としては、式:
Al[OR]a[OR’]b[OR”]c[R”’]d
[式中、R、R’、R”は独立にアルキル基、アリール基、アシル基又は水素であり、R”’はアニオン性基であり、a、b、c、dは独立に0又は正の整数であり、a+b+c+dは3以下であって、好ましくは3に等しい]
を有するものが挙げられる。
【0042】
触媒活性を有するアルミニウム化合物としては、ポリエステルポリマーの製造に使用するもののような、重合反応、特に縮合反応の反応速度(目標It.V.に達する滞留時間の減少として又は1時間での少なくとも0.1dL/gの増加のようなIt.V.の経時的増加として測定できる)を増加できるものが挙げられる。選択される個々のアルミニウム化合物は、(適当には、0.2〜0.4dL/gを始点として280℃及び0.8mmHgにおいて適正に撹拌しながら1時間後に又は任意の望ましい1組の操作条件において1時間後に、実際の操作に望ましい濃度を用いて測定された場合に)好ましくは反応メルトのIt.V.を1時間以内に少なくとも0.2dL/g増加させるのに有効なものである。
【0043】
使用するアルミニウム化合物の具体的なタイプは、望ましくはエチレングリコール中に容易には溶解しないものである。容易には溶解しないか又は不溶であるタイプのアルミニウム化合物は、3000ppmの濃度でエチレングリコールと混合した場合に、撹拌しなければ周囲条件において2日以内に析出するであろう。エチレングリコール中に易溶性の他のアルミニウム化合物も使用でき、本発明の範囲内であるが、それらは高価であるか又は商業的に市販されていないことが多い。従って、本発明は、幅広い選択肢のアルミニウム化合物を用いて(周囲条件でエチレングリコール中に難溶又は不溶であるものさえ)、溶液を製造する柔軟性を提供する。アルミニウム化合物の適当な例としては、アルミニウムのカルボン酸塩、例えば酢酸アルミニウム、安息香酸アルミニウム、乳酸アルミニウム、ラウリン酸アルミニウム、ステアリン酸アルミニウム;アルミニウムアルコレート、例えばアルミニウムエチレート、アルミニウムイソプロピレート、アルミニウムトリn−ブチレート、アルミニウムイソプロポキシド、アルミニウムトリ−tert−ブチレート、モノ−sec−ブトキシアルミニウムジイソプロピレート;及びアルミニウムアルコレートのアルコキシ基がアセト酢酸アルキル又はアセチルアセトンのようなキレート化剤で部分置換又は全置換されたアルミニウムキレート、例えばエチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトリス(エチルアセテート)、アルキルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムモノアセチルアセテートビス(エチルアセトアセテート)、アルミニウムトリス(アセチルアセテート)、アルミニウムアセチルアセトネートが挙げられる。
【0044】
本発明の効果は、エチレングリコール中に難溶又は不溶なアルミニウム化合物の間で特に顕著である。これらの化合物の例としては、アルミニウムの塩基性カルボン酸塩及びアルミニウムアルコレート、例えば酢酸アルミニウム、安息香酸アルミニウム、ラウリン酸アルミニウム、ステアリン酸アルミニウム、アルミニウムアルコレート、例えばアルミニウムエチレート、アルミニウムイソプロピレート、アルミニウムトリn−ブチレート、アルミニウムイソプロポキシド、アルミニウムトリ−tert−ブチレート、モノ−sec−ブトキシアルミニウムジイソプロピレートが挙げられる。一態様において、アルミニウム化合物は酢酸アルミニウム、二酢酸アルミニウム及びアルミニウムイソプロポキシド、特にアルミニウムイソプロポキシドを含む。
【0045】
溶融相重合プロセスに加えるとすぐに重縮合を引き起こす一定量のアルミニウム原子をMと組合せて使用する。ポリマー中に存在するアルミニウム原子の適当な量は、一般的にはポリマーの重量に基づき、少なくとも3ppm又は少なくとも5ppm又は少なくとも7ppm又は少なくとも10ppm又は少なくとも15ppm又は少なくとも20ppm又は少なくとも30ppmであって、約150ppm以下又は約100ppm以下又は約75ppm以下又は約60ppm以下又は30ppm以下又は20ppm以下又は15ppm以下の範囲である。ポリエステルポリマー中のアルミニウム配合量の好ましい範囲及び溶融相重合反応器に供給する組成物中に存在するアルミニウム原子の量は、ポリマー中にポリマーの重量に基づき、5〜60ppmのアルミニウムをもたらすのに有効なものであり、計算ベースで最も好ましい量は、ポリマーの重量に基づき、Alとして7〜20ppmの範囲である。
【0046】
言うまでもなく、溶液組成物は、ポリエステルポリマー中に存在するよりもはるかに高濃度の金属を含むことができ、通常は含むであろう。この組成物は、ポリエステルポリマー中に存在する金属の所望の量に対応する速度で溶融相に供給するか又は計量しならが供給する。組成物は1000ppm以上、又は少なくとも2000ppm、又は3000ppm超、又は少なくとも3500ppm、又は少なくとも4000pm、又は少なくとも5000ppm、又は少なくとも1重量%を含むことができる。使用するアルミニウムの最大量は、周囲条件において所定の溶媒混合物へのその溶解限度以下である。溶融相プロセスに供給する溶媒の量を低減させるように、且つ/又は重縮合反応速度を増加させ、それによって重合時間を短縮すると共に処理量を増加させるために、より多い配合量のアルミニウムを一定流量でポリエステルポリマー製造のための溶融相プロセスに供給できるように、高濃度のアルミニウムが望ましい。
【0047】
一実施態様において、少なくとも3000ppm又は少なくとも3500ppm又は少なくとも4000ppm又は少なくとも10,000ppmのアルミニウムを含む触媒溶液を提供する。この触媒溶液は、10重量%以下又は5重量%以下又は3重量%以下又は2重量%以下の、アルミニウムを含むことができる。
【0048】
アルカリは金属化合物又は有機金蔵化合物として添加できる。アルカリ金属及びアルカリ土類金属としては、(これらに限定するものではないが)Li、Na、K、Rb、Cs、Mg、Ca、Sr、好ましくはLi、Na又はKを含む周期律表の第IA族及び第IIA族の金属が挙げられる。高速が第一の関心事である場合には、Li又はNaが一般に好ましい。色が第一の関心事である場合には、Naが最も好ましい。金属は、対イオンを有する金属化合物(錯体又は塩を含む)として溶融相に添加でき、中でも好ましいのは水酸化物、炭酸塩及びカルボン酸である。
【0049】
アルカリ土類金属又はアルカリの量はAlとの併用で、ポリマーメルトの分子量の増大に有効である。重量に基づく量は、金属の分子量に応じて広範囲に変化するであろう。組成物中のアルカリ土類金属又はアルカリ金属の量は、溶液の重量に基づき、少なくとも100ppm又は少なくとも250ppm又は少なくとも500ppm又は少なくとも700ppm又は少なくとも780ppm又は少なくとも1000ppm又は少なくとも2000ppm又は少なくとも2460ppm又は少なくとも3000ppm又は少なくとも5000ppm又は少なくとも1重量%又は少なくとも2重量%と、約30重量%以下又は約20重量%以下又は15重量%以下又は10重量%以下又は5重量%以下又は2重量%以下又は1重量%以下又は5000ppm以下の間で変化できる。
【0050】
溶融相重合プロセスに供給するアルカリ土類金属又はアルカリ金属の量は、計算に基づき且つポリエステルポリマー組成物の重量に基づき、少なくとも1ppm又は少なくとも2ppm又は少なくとも3ppm又は少なくとも4ppm又は少なくとも5ppmであって、約60ppm以下又は約50ppm以下又は約30ppm以下又は約20ppm以下又は約15ppm以下のアルカリ土類金属又はアルカリ金属を含むポリエステルポリマー組成物の製造に有効であり、ポリエステルポリマー組成物はこのような量のアルカリ土類金属又はアルカリ金属を含む。ポリエステルポリマー中のアルカリ土類金属又はアルカリ金属の個々の量も、金属の分子量によって変化するであろう。
【0051】
アルカリ土類金属又はアルカリ:アルミニウムのモル比(M:Al)は望ましくは少なくとも0.2:1又は少なくとも0.5:1又は少なくとも0.75:1又は少なくとも0.9:1又は少なくとも1:1であって、10:1以下又は2.5:1以下又は2:1以下又は1.8:1以下又は1.6:1以下又は1.5:1以下又は1.4:1以下又は1.25:1以下又は1.1:1以下である。適当な範囲の更なる例としては、0.75:1〜2:1又は0.75:1〜1.8:1又は0.9:1〜1.5:1又は0.9:1〜1.25:1が挙げられる。触媒系の触媒活性を増大させるためには、多数のAl原子を提供するのが望ましい。エチレングリコールは、一般にポリエステルポリマーを製造するための重合プロセスにおいて反応体であるか又はメルトとの相溶性が高いので、これまで種々の溶液及び/又は分散液に共通のキャリヤーであった。多くの形態のアルミニウムがエチレングリコール中に溶解し続けるのは非常に困難であるにもかかわらず、本発明中に記載した有機ヒドロキシ酸を用いれば、より高いアルミニウムレベル及び/又は低温及び/又は1:1に近いモル比M:Alであっても、極めて少ないモル量の可溶化助剤、ヒドロキシ酸化合物を用いて析出の傾向がより低い溶液を提供することが今や可能である。
【0052】
以下に述べる有機ヒドロキシ酸を用いて1:1に近いモル比M:Alを有するはるかに可溶な触媒を得ることできるが、単独の溶媒としてのエチレングリコール中には1:1に近いモル比M:Alを用いて安定な溶液は得られない。この実施態様においては、より可溶な触媒が、0.5:1〜1.8:1又は0.75:1〜1.5:1又は0.9:1〜1.25:1又は0.9:1〜1.1:1の範囲内のモル比M:Alにおいて得られる。本発明者らは、モル比M:Alが3:1及びそれ以上まで増加するとエチレングリコールの溶液はより安定になる傾向があるが、1:1に近いモル比では溶液を周囲条件に冷却すると析出物が形成されやすいことを見出した。一方、乳酸のような有機ヒドロキシ酸の添加は、低モル量のヒドロキシ酸であっても、より低いモル比M:Alを用いてこれらの触媒の溶解性及び安定性を改善する。
【0053】
別の実施態様において、M:ヒドロキシ酸化合物のモル比は少なくとも0.80:1又は少なくとも0.90:1又は少なくとも0.95:1又は少なくとも1:1又は少なくとも1.2:1又は少なくとも1.5:1である。上限量は要求されるのと同程度の量であることができる。一般に、この量は10:1以下又は5:1以下又は3:1以下であろう。より高いM:ヒドロキシ酸のモル比を用いる場合には、ヒドロキシ酸化合物の量は最小である。しかし、ヒドロキシ酸の量は、以下の詳述するようにエチレングリコールへの触媒系の溶解度を改善するのに充分なものでなければならない。
【0054】
本発明において使用する有機ヒドロキシ酸は、アルカリ土類金属若しくはアルカリ金属とアルミニウム金属の組合せを、特に20〜90℃の温度範囲においてより可溶に保つ。一実施態様において、本明細書中に記載した組成物の任意の1種は、少なくとも1週間にわたって周囲条件において(25〜35℃及び約1atmで撹拌せずに)溶解し続ける。
【0055】
有機ヒドロキシ酸化合物は少なくとも1つのヒドロキシル基及び少なくとも1つの−COOH基を有し、且つ少なくとも3個の炭素原子を有し、そしてヒドロキシ酸化合物が8個又はそれ以下の炭素原子(カルボン酸炭素を数に入れる)を有する場合には、3個未満のカルボン酸基を有する。有機ヒドロキシ酸化合物は、エチレングリコールへの触媒系の溶解度を、特にモル比M:Al 3:1未満又は2:1未満又は1.5:1未満において増大させるタイプの化合物である。好ましくは、ヒドロキシ酸化合物は、脂肪族化合物上では互いにα位又はβ位において結合したヒドロキシル基及びカルボン酸基を有し、芳香族又は脂環式化合物上では3個以下の炭素で隔てられている。一実施態様において、ヒドロキシ酸化合物は同一炭素原子に(互いにα位に)共有結合したヒドロキシル基及びカルボン酸基を有する脂肪族化合物である。別の実施態様において、脂肪族ヒドロキシ酸化合物は、カルボン酸基に結合した炭素原子に隣接する炭素原子に(互いにβ位に)結合したヒドロキシル基を有する。脂環式又は芳香族化合物上では、ヒドロキシル基は、カルボン酸基に結合した炭素に直接結合した炭素に結合するか(2個の炭素原子によって隔てられ、βと見なされる)又は第3の炭素原子を経て間接的にカルボン酸基に結合した炭素に結合している(3個の炭素原子によって隔てられる)。好ましくは、有機ヒドロキシ酸化合物は、ヒドロキシ基が−COOH基に結合した同一の炭素(α)に結合するか又は−COOH基に結合した炭素に隣接した炭素(β)に結合したα−又はβ−ヒドロキシカルボン酸である。有機ヒドロキシ酸化合物は炭素数が少なくとも3で48以下又は24以下又は14以下又は10以下又は8以下又は6以下又は4以下である。しかし、ヒドロキシ酸化合物は、炭素数が8又はそれ以下の場合には、1つだけ又は2つのカルボン酸基を有する。ヒドロキシル基及びカルボン酸基は触媒上の同一アルミニウム中心に結合すると考えられる。炭素数8又はそれ以下の短鎖脂肪族分子は好ましくはα炭素又はβ炭素を有し(ヒドロキシル及びカルボキシルが同一炭素原子に結合しているか又はそれらの間に1つの炭素を有する)且つ1つ又は2つのカルボン酸基を有する。例えば、クエン酸、6個の炭素原子及び3個のカルボン酸基を有する短鎖ヒドロキシ酸化合物は、エチレングリコールへの触媒の溶解度を増大させない。更に、炭素原子を2個しか有さない(カルボン酸炭素を数に入れて)ヒドロキシ酸化合物は顕著な利益をもたらさない。ヒドロキシ酸化合物はモノカルボン酸、ジカルボン酸又はトリカルボン酸(炭素数が8を超える場合)、望ましくはモノカルボン酸及びジカルボン酸であることができる。ヒドロキシ酸は1個若しくはそれ以上の芳香族基、脂環式基を有することもできるし、又は脂肪族であることもできる。
【0056】
有用な有機ヒドロキシ酸化合物の具体例は、乳酸、酒石酸、マンデル酸及びサリチル酸である。溶解度を増大させると考えられる他の例としては、1−カルボキシ−2−ヒドロキシナフタレン、1−ヒドロキシ−2−カルボキシナフタレン、2−ヒドロキシイソ酪酸、3−ヒドロキシイソ酪酸、2−ヒドロキシ酪酸、3−ヒドロキシ酪酸、リンゴ酸、2−ヒドロキシシクロヘキサンカルボン酸、2−ヒドロキシイソ吉草酸、2−ヒドロキシ吉草酸及び3−フェニル乳酸が挙げられる。
【0057】
ポリヒドロキシル基以外の官能基がポリヒドロキシル基に加えて溶媒化合物上に存在できる。しかし、溶媒化合物上の反応性官能基はヒドロキシル基及びカルボン酸基だけであるのが望ましい。
【0058】
有機ヒドロキシ酸はエチレングリコールを含む触媒組成物中に添加剤として混合して、エチレングリコールへの触媒系の溶解度を、ヒドロキシ酸化合物を含まないエチレングリコールへの同一触媒系の溶解度に比較して望ましいレベルまで増加させる。有機ヒドロキシ酸溶媒の量は、所望の時間の間、しかし少なくとも1週間の間、望ましくは周囲条件において少なくとも1週間の間、エチレングリコール中にアルミニウム及びアルカリ土類金属又はアルカリ金属を溶解させるのに充分なものである。有機ヒドロキシ酸溶媒は、触媒組成物を含むエチレングリコール中においては可溶化助剤となる。
【0059】
他の希釈剤、溶媒又は液体キャリヤーも所望ならばヒドロキシ酸可溶化剤と合することができる。有機ヒドロキシ酸溶媒の量は一般に、溶液の重量に基づき、少なくとも0.01重量%又は少なくとも0.1重量%又は少なくとも0.5重量%又は少なくとも1重量%から、約5重量%以下又は約4重量%以下又は約3重量%以下又は2重量%以下の範囲である。本発明の触媒溶液は、使用するアルミニウムの量に対して、最少量のエチレングリコールを含む。本発明の触媒溶液は少なくとも35:1又は少なくとも40:1又は少なくとも50:1又は少なくとも75:1又は少なくとも100:1又は少なくとも125:1のエチレングリコール(EG)対アルミニウムのモル比を含む。エチレングリコールの量は、触媒組成物がもはや溶解しなくなり且つ若干量のヒドロキシ酸化合物を必要とする点まで、要望に応じて増加できる。大モル過剰のエチレングリコールを用いることによって、最少量のヒドロキシ酸を使用でき、それによってコストを削減し、ポリマーの性質の変化の可能性を少なくし、且つ重縮合の間にポリマーメルトから又は真空系から除去する量を減少させることができる。
【0060】
M:Al:ヒドロキシ酸のモル比は望ましくは0.2:1:0.2〜10:1:5の範囲である。別の実施態様において、モル量は0.2:1:0:5〜5:1:3の範囲である。別の実施態様において、モル量は0.2:1:0.5〜3:1:2の範囲である。
【0061】
溶液は、エチレングリコール、アルカリ土類金属又はアルカリ塩及びアルミニウム化合物、好ましくは三座アルミニウム化合物を合し、有機ヒドロキシ酸溶媒を加え、そして混合物を20〜150℃又は80〜140℃の範囲の温度において撹拌することによって製造する。ある組成物が溶液であるかを調べるためには、少なくとも1週間にわたって、好ましい実施態様においては周囲条件で、溶液を静止させることによって肉眼で確認できる析出が起こっているかどうか確認するための組成物の測定を行うことができる。別の実施態様において、個々の組成物中のその所定濃度における溶媒への(i)及び(ii)の溶解度は、周囲条件で少なくとも2週間又は少なくとも3週間又は少なくとも4週間、溶液を静置させた場合に肉眼で確認できる析出がないような充分に高いものである。通常、触媒配合物にはわずかな曇り(haze)がある。曇りの量は、エチレングリコール又はアルミニウム化合物中に含まれる水の量に関係する場合が多い。
【0062】
利益及び特徴の1つ又は任意の組合せは、本発明の以下の溶液によって得られる:
A.周囲条件において少なくとも1週間の期間にわたって析出しない安定な溶液;
B.3000ppm超のアルミニウムを含むと同時に、前記Aを満たす溶液;
C.0.75:1から1.25:1に及ぶような、1:1に近いモル比M:Alを含むと同時に、前記Aを満たす溶液;及び
D.100℃より高温に又は145℃より高温に加熱でき、且つ触媒の触媒活性を付与することも溶液を変色させることもなく、少なくとも48時間その温度であり続けることができる溶液。また、本発明では、ポリエステルポリマー及び
(i)M(ここでMはアルカリ土類金属又はアルカリ金属を示す)と
(ii)アルミニウムと
(iii)エチレングリコールと
(iv)少なくも3個の炭素原子を有する有機ヒドロキシ酸化合物であって、有機ヒドロキシ酸化合物が8個又はそれ以下の炭素原子を有する場合には、3個未満のカルボン酸基を有する有機ヒドロキシ酸化合物
とを合する(ここでエチレングリコール:アルミニウムのモル比は少なくとも35:1である)ことによって得られる触媒系を含むポリエステルポリマー組成物を提供する。アルミニウムは、典型的には、前述のように、Mと同様に塩又は化合物の形態で(i)及び(iii)と合する。
【0063】
溶融相において生成されるポリエステルポリマーは燐原子を含む場合がある。燐は溶融相重合プロセスの後期に添加して触媒系を失活又は安定化させることができ、その結果、触媒配合量が高い場合でさえ、それによって製造されるポリマー、ボトルプレフォーム及びボトルの曇りレベルを低下させることができる。ポリエステルポリマーは、ポリマー組成物の重量に基づき、3〜500ppmの範囲の量で燐原子を含むことができる。燐の量は望ましくは、モル比P:M(アルミニウム並びにアルカリ土類金属及びアルカリ金属の全ての金属)が0.2:1〜3:1の範囲内となるような量である。燐原子の典型的な量は、少なくとも3ppm又は少なくとも5ppm又は少なくとも10ppm又は少なくとも50ppm又は少なくとも100ppmであって、500ppm以下又は200ppm以下又は100ppm以下又は50ppm以下又は30ppm以下又は15ppm以下であろう。これらのポリマーの溶液曇り価は、わずか30ntu若しくはそれ以下又は20ntu若しくはそれ以下又は15ntu若しくはそれ以下又は10ntu若しくはそれ以下であることができる。燐の添加による曇りの相対的低下は、燐を用いずに製造された同一ポリマーに比較して、40%若しくはそれ以上又は50%若しくはそれ以上又は60%若しくはそれ以上にもなる。
【0064】
他の触媒金属も所望ならば存在できる。例えば、Mn、Zn、Sb、Co、Ti及びGe触媒をアルミニウム及びアルカリ土類金属又はアルカリ触媒と共に使用できる。好ましくは、ポリエステルポリマーは、有機トナーが好ましいので、溶融相反応にコバルトを添加せずに製造する。チタン触媒を使用できる。チタン触媒は、失活されないならば、ポリエステルメルトのIt.V.を少なくも0.3dL/g増加させる量で添加される化合物である。チタン触媒を使用する場合には、チタン触媒の量は、一般にポリマーの重量に基づき、2〜15ppm又は10ppm以下の範囲である。アンチモン触媒もまた、本発明の触媒系と併用できる。アンチモンの量は20〜250ppmの範囲であることができる。AA発生の問題のため、アンチモンの量は、ポリマーの重量に基づき、125ppm以下であるのが好ましく、溶融相におけるその製造に添加されたアンチモンを含まないポリエステルポリマーを提供するのが好ましい。
【0065】
一実施態様において、ポリエステルポリマーはアルミニウム、アルカリ土類金属又はアルカリ金属を含むが、触媒量のアンチモン触媒も、触媒量のコバルト触媒も、触媒量のチタン触媒も、触媒量のゲルマニウムも、触媒量のTi、Co、Sb若しくはGe系触媒のいずれの組合せも、溶融相における製造の間にポリマーに添加された前記触媒金属(Al及びアルカリ土類金属若しくはアルカリ金属以外の)も、アルミニウム及びアルカリ土類金属若しくはアルカリ金属以外のいずれの触媒金属も含まない。触媒金属は、反応速度を増加させるか又はメルトのIt.V.を、0.2〜0.4dL/gを始点として280℃及び0.8mmHgにおいて1時間後に少なくとも0.1dL/g増加させるならば、触媒活性を有すると言われている。しかし、コバルト又はマンガンのような1種又はそれ以上の金属は、金属で触媒された液相酸化プロセスによって生成されたテレフタル酸組成物と共に不純物として生じるので、十中八九は低レベルで存在すると認識すべきである。溶融相プロセスへの原料供給中に存在する金属不純物は溶融相プロセスに添加した金属であるとは考えられず、それらはいずれにしても触媒有効量では存在しない。
【0066】
「ポリエステルポリマー」は任意の熱可塑性ポリエステルポリマーである。熱可塑性ポリマーは液相(溶融相)にある間は感知できるほどの規則構造を有さず且つ再溶融及び成形品への再造形が可能であるが、液晶ポリマー及び熱硬化性ポリマーは容器を製造するための金型中における伸長又は包装のような目的用途には不適当であるので、本発明の熱可塑性ポリエステルポリマーは液晶ポリマー及び熱硬化性ポリマーとは区別できる。
【0067】
ポリエステルポリマーは望ましくは、ポリマー鎖中のモノマー単位がブロック式で配列されるのではなく、ランダムに配列されるようなランダムポリマーである。ポリエステルポリマーはポリマー鎖中に反復アルキレンアリール単位、例えばアルキレンテレフタレート又はアルキレンナフタレート反復単位を含む。これらの反復単位のより具体的な例としては、エチレンテレフタレート、エチレンナフタレート及びトリメチレンテレフタレートが挙げられる。
【0068】
別の実施態様において、ポリエステルポリマーは、ポリエステルポリマー中のカルボン酸成分残基100モル%及びヒドロキシル成分残基100モル%に基づき、
(i)少なくとも80モル%のテレフタル酸、テレフタル酸誘導体、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸誘導体又はそれらの混合物の残基を含むカルボン酸成分、及び
(ii)少なくとも40モル%又は少なくとも60モル%又は少なくとも80モル%のエチレングリコール又はプロパンジオールの残基を含むヒドロキシル成分
を含む。
【0069】
典型的には、ポリエチレンテレフタレートのようなポリエステルは、エチレングリコールのようなジオールを遊離酸又はそのC1〜C4ジアルキルエステルとしてのジカルボン酸と反応させてエステルモノマー及び/又はオリゴマーを生成し、次いで重縮合させてポリエステルを生成することによって製造する。1つ若しくはそれ以上のカルボン酸基又は1つ若しくはそれ以上のその誘導体を含む1つより多くの化合物をこのプロセスの間に反応させることができる。前記ポリエステル生成物の一部となる1つ若しくはそれ以上のカルボン酸基又は1つ若しくはそれ以上のその誘導体を含む、このプロセスに入る化合物は全て、「カルボン酸成分」を構成する。生成物中に存在する1つ若しくはそれ以上のカルボン酸基又は1つ若しくはそれ以上のその誘導体を含む全ての化合物のモル%は合計100となる。前記ポリエステル生成物中に存在する1つ若しくはそれ以上のカルボン酸基又は1つ若しくはそれ以上のその誘導体を含む1つ若しくはそれ以上の化合物の「残基」は、1つ若しくはそれ以上の前記化合物を1つ又はそれ以上のヒドロキシル基を含む1つ若しくはそれ以上の化合物と縮合させ且つ更に重縮合させて種々の鎖長のポリエステルポリマー鎖を形成した後に前記ポリエステル生成物中に残る、1つ若しくはそれ以上の前記化合物の部分を意味する。
【0070】
1つ若しくはそれ以上のヒドロキシル基又はその誘導体を含む1つより多くの化合物は1つ又はそれ以上のポリエステルポリマー生成物の一部となることができる。1つ若しくはそれ以上の前記ポリエステル生成物の一部となる1つ若しくはそれ以上のヒドロキシル基又はその誘導体を含む、前記プロセスに入る化合物は全て、ヒドロキシル成分を構成する。1つ若しくはそれ以上の前記ポリエステル生成物の一部となる1つ若しくはそれ以上のヒドロキシル基又はその誘導体を含む全ての化合物のモル%は合計100となる。前記ポリエステル生成物の一部となる1つ若しくはそれ以上のヒドロキシル官能性化合物又はその誘導体の「残基」は、1つ若しくはそれ以上の前記化合物を1つ又はそれ以上のカルボン酸基又は1つ若しくはそれ以上のその誘導体を含む1つ若しくはそれ以上の化合物と縮合させ且つ更に重縮合させて種々の鎖長のポリエステルポリマー鎖を形成した後に前記ポリエステル生成物中に残る1つ若しくはそれ以上の前記化合物の部分を意味する。
【0071】
1種若しくはそれ以上の生成物中のヒドロキシル残基及びカルボン酸残基のモル%は、プロトンNMRによって測定できる。
【0072】
別の好ましい実施態様において、ポリエステルポリマーは、ポリエステルポリマー中のカルボン酸成分残基100モル%及びヒドロキシル成分残基100モル%に基づき、
(a)少なくとも90モル%又は少なくとも92モル%又は少なくとも96モル%の、テレフタル酸、テレフタル酸誘導体、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸誘導体又はそれらの混合物、より好ましくはテレフタル酸又はテレフタル酸誘導体の残基を含むカルボン酸成分、及び
(b)少なくとも90モル%又は少なくとも92モル%又は少なくとも96モル%の、エチレングリコール又はプロパンジオール、より好ましくはエチレングリコールの残基を含むヒドロキシル成分
を含む。
【0073】
ポリエステルポリマーの製造中におけるカルボン酸成分とヒドロキシル成分との反応は、所望ならば大過剰の、例えば使用するカルボン酸成分100モル%に対して200モル%までのヒドロキシ成分を使用できるので、前記モル百分率に限定されるものではない。しかし、前記反応によって製造されるポリエステルポリマーは、前記量の芳香族カルボン酸残基及びエチレングリコール残基を含むであろう。
【0074】
テレフタル酸及びナフタレンジカルボン酸の誘導体としては、C1〜C4ジアルキルテレフタレート及びC1〜C4ジアルキルナフタレート、例えばジメチルテレフタレート及びジメチルナフタレートが挙げられる。
【0075】
改質剤は、前記ポリマー中の各成分の総モル%に基づき、40モル%以下又は20モル%以下又は10モル%以下又は8モル%以下又は4モル%以下の量で存在できる。一官能価、三官能価及びそれ以上の官能価の改質剤は好ましくは約8モル%以下又は4モル%以下の量だけ存在する。
【0076】
テレフタル酸、テレフタル酸誘導体、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸誘導体又はそれらの混合物からなる二酸成分の他に、本発明のポリエステルのカルボン酸成分は1種又はそれ以上の追加の改質剤カルボン酸化合物を含むことができる。このような追加の改質剤カルボン酸化合物には、モノカルボン酸化合物、ジカルボン酸化合物及びこれより多くのカルボン酸基を有する化合物がある。例としては、炭素数が好ましくは8〜14の芳香族ジカルボン酸、炭素数が好ましくは4〜12の脂肪族ジカルボン酸又は炭素数が好ましくは8〜12の脂環式ジカルボン酸が挙げられる。酸成分として有用な改質剤ジカルボン酸のより具体的な例は、フタル酸、イソフタル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、シクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸、シクロヘキサン二酢酸、ジフェニル−4,4’−ジカルボン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸などであり、イソフタル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸及びシクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸が最も好ましい。これらの酸の対応する酸無水物、エステル及び酸塩化物の使用も用語「カルボン酸」に含まれることを理解すべきである。また、トリカルボキシル化合物分岐剤及びこれより多くのカルボン酸基を有する化合物も、モノカルボン酸連鎖停止剤と共にポリエステルを改質できる。
【0077】
エチレングリコールを含むヒドロキシル成分の他に、本発明のポリエステルのヒドロキシル成分は、追加の改質剤ポリヒドロキシル化合物、ジオール又はより多くのヒドロキシル基を有する化合物を含むことができる。改質剤ヒドロキシル化合物の例としては、炭素数が好ましくは6〜20の脂環式ジオール及び/又は炭素数が好ましくは3〜20の脂肪族ジオールが挙げられる。このようなジオールのより具体的な例としては、ジエチレングリコール;トリエチレングリコール;1,4−シクロヘキサンジメタノール;プロパン−1,3−ジオール;ブタン−1,4−ジオール;ペンタン−1,5−ジオール;ヘキサン−1,6−ジオール;3−メチルペンタンジオール−(2,4);2−メチルペンタンジオール−(1,4);2,2,4−トリメチルペンタン−ジオール−(1,3);2,5−エチルヘキサンジオール−(1,3);2,2−ジエチルプロパン−ジオール−(1,3);ヘキサンジオール−(1,3);1,4−ジ−(ヒドロキシエトキシ)−ベンゼン;2,2−ビス−(4−ヒドロキシシクロヘキシル)−プロパン;2,4−ジヒドロキシ−1,1,3,3−テトラメチル−シクロブタン;2,2−ビス−(3−ヒドロキシエトキシフェニル)−プロパン;及び2,2−ビス−(4−ヒドロキシプロポキシフェニル)−プロパンが挙げられる。
【0078】
改質剤としては、ポリエステルポリマーは、好ましくはイソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジメタノール及びジエチレングリコールのようなコモノマーを含むことができる。
【0079】
ポリエステル組成物は、ポリアルキレンテレフタレート及び/又はポリアルキレンナフタレートのブレンドを他の熱可塑性ポリマー、例えばポリカーボネート(PC)及びポリアミドと共に含むことができる。ポリエステル組成物は、好ましくは大部分がポリエステルポリマーである、より好ましくは、全熱可塑性ポリマー(充填剤、無機化合物又は粒子、繊維、耐衝撃性改質剤又は不連続相を形成する可能性のある他のポリマーを除外する)の重量に基づき、少なくとも80重量%又は少なくとも95重量%、最も好ましくは100重量%の量でポリエステルポリマーを含む。また、ポリエステルポリマーは充填剤、繊維若しくは耐衝撃性改良剤又は不連続相を形成する他のポリマーを含まないのが好ましい。
【0080】
一実施態様においては、組成物は60重量%未満又は40重量%未満又は20重量%未満又は10重量%未満又は5重量%未満の使用済み再生ポリエステルポリマー(PCR)を含むか、或いはPCRは組成物中に全く存在しない。別の実施態様においては、組成物はPCRをゼロ重量%より多く且つ60重量%以下又は40重量%以下又は20重量%以下又は10重量%以下の量で含む。
【0081】
適当な触媒失活剤及び/又は安定剤として前述した燐化合物の具体例としては、燐酸、ピロ燐酸、亜燐酸、ポリ燐酸、カルボキシホスホン酸、ホスホン酸誘導体、更にそれらの酸性塩及び酸性エステル及び誘導体のそれぞれ、例えば酸性燐酸エステル、例えば燐酸モノエステル及びジエステル並びに非酸性燐酸エステル(例えば燐酸トリエステル)、例えば燐酸トリメチル、燐酸トリエチル、燐酸トリブチル、燐酸トリブトキシエチル、燐酸トリス(2−エチルヘキシル)、オリゴマー燐酸トリエステル、燐酸トリオクチル、燐酸トリフェニル、燐酸トリトリル、(トリス)エチレングリコールホスフェート、ホスホノ酢酸トリエチル、ジメチルメチルホスホネート、テトライソプロピルメチレンジホスホネート、燐酸とエチレングリコール、ジエチレングリコール若しくは2エチルヘキサノールとのモノエステル、ジエステル及びトリエステル、又はそれぞれの混合物が挙げられる。他の例としては、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、燐酸一水素化合物及び燐酸二水素化合物、亜燐酸化合物、ポリマーメルト中に好ましくは可溶なある種の無機燐化合物、ポリ(エチレン)水素ホスフェート、燐酸シリル;サリチル酸メチル、マレイン酸、グリシン又は酒石酸ジブチルのようなヒドロキシ−又はアミノ−置換カルボン酸と組合せて使用される燐化合物が挙げられ、それぞれが金属触媒残基の不活性化に有用である。粒子の溶液又は成形品の曇りは、溶解性の欠如の1つの目安である。可溶性添加剤は、触媒系を失活/可溶化させる傾向が強い。
【0082】
添加できる他の燐化合物には、燐含有酸のアミン塩がある。アミンは環式又は非環式のいずれでもよく、モノマー、オリゴマー又はポリマーであることができ、曇り及び/又は溶解度(溶解度が問題である場合には)を最小限に抑えるように選択すべきである。アミンの有機成分は原則として任意の有機基であることができる。アンモニア及び水酸化アンモニウムのような関連化合物が適当である。
【0083】
多量の燐を添加する場合にはIt.V.損失を最小限に抑えるために、又は中等量又は最適量の燐を添加する場合であっても、起こり得るIt.V.損失を更に最小限に抑えるために、燐化合物を未稀釈で、即ち85%又はそれ以上の燐酸の場合のように更なる稀釈を行わずに添加するのが望ましい。キャリヤーを用いる場合には、キャリヤーは非反応性である、即ちポリマー鎖を破壊することもAA発生速度を増加させることもないのが好ましい。水、アルコール、グリコール及び低分子量PETは、ポリマー鎖を破壊することが知られている。最少量の燐化合物及び関連It.V.損失がわかったら、溶融相プロセスは、失活/安定化前のIt.V.を予想It.V.損失量だけ高くすることによって目標It.V.を達成できるように、実施する。
【0084】
溶融相反応は回分式、半回分式又は連続式で進行する。好ましくは本発明の方法は連続的である。
【0085】
触媒溶液は、少なくとも50%若しくは少なくとも90%のエステル化完了後に、又はエステル化ゾーンと重縮合ゾーンの間で、又は重縮合の開始時点に、又は予備重合の間に添加できる。一実施態様においては、触媒溶液は、エステル化ゾーンと重縮合開始との間に又は重縮合中に又は予備重合の開始時若しくは予備重合中に添加する。
【0086】
別の実施態様においては、触媒溶液は、エステル化完了時までの又は完了後の任意の点(転化率が少なくとも90%)で、ポリエステルメルトのIt.V.が0.3dL/gに達する時点までに、又はメルトのIt.V.が0.2dL/gに達するまでに、より好ましくはエステル化ゾーンから出るオリゴマー混合物に又は重縮合の開始前若しくは開始時に添加する。
【0087】
触媒溶液のモル比が、ポリエステルメルトを重合させるのに溶融相中で望ましいモル比M:Alではない場合には、本発明は、本発明の安定な触媒溶液の流れを溶融相に供給すると同時に、アルカリ土類金属又はアルカリMの別個の流れもまた溶融相プロセスに供給する柔軟性を可能にする。このようにして、0.5:1〜1.5:1の範囲のモル比M:Alを有する安定な触媒溶液を用いてポリマーメルト中における黄色体形成を最小限に抑える一方で、ポリマー中の色体形成がないか又は最優先される場合には製造ライン上のモル比M:Alを、重縮合速度を増加させ且つ滞留時間を短縮するのに望ましい高さに増加させるという柔軟性を保持することによって、同一溶融相重合ライン上で異なる特性を有する種々のポリマーを得るというメリットが得られる。従って、本発明の触媒溶液を、前記の溶融プロセスの任意の点に供給する一方で、必要に応じて、触媒溶液供給点と同一供給点において又はその前後において、好ましくは同一供給点において又はその前においてアルカリ土類金属又はアルカリMの別個の流れを同時に供給して、所望のモル比M:Alを調整することができる。例えばアルカリ土類金属又はアルカリMの流れをエステル化ゾーンに転化率90%の前で又は転化率70%の前で又は転化率50%の前で又は転化率40%の前で又は転化率20%の前で供給する一方で、触媒溶液を、メルトのIt.V.が0.3dL/g未満の場合にはエステル化の転化率90%の点と重合ゾーンとの間に供給することができる。両供給は、ポリエステルポリマー製造のための連続プロセス中で同時に行うことができる。アルカリ土類金属又はアルカリ金属の供給流は、触媒溶液中に使用するのと同一又は異なるアルカリ土類金属又はアルカリ金属であることができる。例えば、Alを含む触媒溶液中ではMはLiであることができ、分割供給流においてはMはNa又はKであることができる。これは、必要に応じて同一溶融相重合ライン又はプロセスに2種又はそれ以上の異なるアルカリ土類金属又はアルカリ金属Mを使用する点で、更にいっそうの柔軟性を可能にする。
【0088】
燐化化合物を溶融相重合プロセスに加える一実施態様において、触媒安定剤は、重縮合過程の後期であって且つ凝固の前に、ポリエステルメルトに添加する。失活剤は、重合縮合反応過程の後期において以下の条件の1つ又はそれ以上が満たされる場合又はその後であって且つポリエステルメルトの凝固前に、ポリエステルメルトに添加する:
a)ポリエステルメルトが少なくとも0.50dL/gのIt.V.に達する;又は
b)ポリエステルメルトに適用された真空がもしあれば、それが開放される;又は
c)ポリエステルメルトが溶融相重合プロセス中に存在する場合には、ポリエステルポリマー製造用の最終反応器の内部に又は最終反応器とポリエステルメルトを切断するためのカッターの前の間に燐化合物を添加する;又は
d)ポリエステルメルトが溶融相重合プロセス中に存在する場合には、ポリエステルメルトの重合時間が少なくとも85%経過した後;又は
e)ポリエステルメルトのIt.V.が凝固時に得られるIt.V.の+/−0.15dl/g以内である;又は
f)ポリエステルメルトの凝固の20分又はそれ以下の範囲内の点。
【0089】
一実施態様においては、失活剤は、ポリエステルメルトが少なくとも0.50dL/g又は少なくとも0.55dL/g又は少なくとも0.60dL/g又は少なくとも0.65dL/g又は少なくとも0.68dL/g又は少なくとも0.70dL/g又は少なくとも0.72dL/g又は少なくとも0.76dL/g又は少なくとも0.78dL/gのIt.V.を獲得した後に、ポリエステルメルトに添加し、最も好ましくは、失活剤をいつ添加するかにかかわらず、溶融相製造から出た、得られたポリマーは少なくとも0.68dL/gのIt.V.を有する。
【0090】
別の実施態様において、失活剤は、重縮合反応を受けるポリエステルメルトから真空を解放している間若しくは解放した後、或いは重縮合ゾーン若しくは反応器中の圧力を300mmHg若しくはそれ以上又は450mmHg若しくはそれ以上又は600mmHg若しくはそれ以上又は大気圧若しくはそれ以上のレベルとした後であって、且つ好ましくはポリエステルメルトが凝固する前に、ポリエステルメルトに添加する。
【0091】
別の実施態様において、失活剤は、最終反応器の最後若しくはその近く又は最終反応器とカッターの前の間の位置において、添加する。例えば、失活剤は、最終重縮合反応器に最終重縮合反応器の出口の近傍の位置で、又は最終重縮合反応器と、メルトを切断用ダイプレートに強制的に通す原動力を提供するギアポンプ若しくは押出機とを直接的若しくは間接的に接続するパイプ(このパイプは、最終重縮合反応器の出口又は底部に向け戻されるか又はその近傍に向けられる)に、又は最終重縮合反応器へのパイプ入口に添加する。
【0092】
更に別の実施態様において、失活剤は、重縮合時間の少なくとも85%又は少なくとも90%又は少なくとも95%又は少なくとも98%又は約100%の経過後にポリエステルメルトに添加する。重縮合時間は、重縮合反応ゾーンの始点と最終重縮合反応器からのポリエステルメルトの出口との間の経過時間として測定する。
【0093】
更なる実施態様において、失活剤は、ポリエステルメルトのIt.V.が凝固時に得られるIt.V.の0.10dL/g以内又は0.05dL/g以内又は0.030dL/g以内又は0.02dL/g以内である場合に、ポリエステルメルトに添加する。
【0094】
更に別の実施態様において、失活剤は、ポリマーメルトの凝固の20分以内又は凝固の10分以内若しくはそれ以下又は凝固の5分以内若しくはそれ以下又は凝固の3分以内若しくはそれ以下の時点でポリエステルメルトに添加する。ポリエステルメルトの凝固は典型的には、メルトをダイプレートに強制的に通して水浴中に入れ且つペレットに切断する際に、又は溶融−成形プロセスにおいてメルトを射出成形して成形品にする際に起こる。
【0095】
更に好ましい実施態様において、本明細書中で明らかにした実施態様のそれぞれは、溶融相プロセスの処理量が定常状態運転でポリエステルポリマー少なくとも1トン/日又は少なくとも50トン/日又は少なくとも100トン/日又は少なくとも200トン/日又は少なくとも300トン/日又は少なくとも400トン/日又は少なくとも500トン/日である連続製造プロセスで行う。
【0096】
0.40dL/gのIt.V.から、少なくとも0.68dL/g〜0.94dL/gの範囲にかけてそれまでのメルトの反応時間は、150分若しくはそれ以下又は120分若しくはそれ以下又は90分若しくはそれ以下又は50分若しくはそれ以下である。目標It.V.は好ましくは、失活/安定化の前には0.84〜0.94dL/gであり、適用する真空は好ましくは0.5〜1.0トルであり、温度は好ましくは275〜285℃である。
【0097】
溶融相プロセスの後期又は終わり近くにおける触媒の安定化又は失活は、アセトアルデヒド(AA)スキャベンジャーの不存在下で、次の溶融加工の間に、AAをそれほど発生しないポリエステル粒子を生じることができる。燐化合物の後期添加によって、Al/アルカリ土類金属若しくはアルカリ触媒系は、触媒失活剤を存在させずに製造したポリエステルポリマーよりも又は後期に燐化合物で同様に失活される従来のアンチモン触媒を用いて製造されたポリエステルよりも、遅いAA発生速度で、ポリエステルポリマーを製造できる。
【0098】
アルミニウム/アルカリ土類金属又はアルカリ系で触媒されたポリエステルメルトへの燐化合物の後期添加により、AAスカベンジャー又は他のAA低下剤の添加を必要とせずに、ウォーターボトル用途に使用するのに充分に低い遊離AAレベル及びAA発生速度を有するポリエステルポリマーを得ることが今や可能である。更に、AA低下剤を存在させなくても低い遊離AAレベル及び低いAA発生速度を共に有するこのタイプのポリマーは、ポリマーを固相重合させる必要なしに、溶融相で高いIt.V.(少なくとも0.68dL/g又は少なくとも0.70dL/g又は少なくとも0.72dL/g又は少なくとも0.74dL/g又は少なくとも0.76dL/g又は少なくとも0.80dL/g又は少なくとも0.84dL/g)まで得ることができる。一部の触媒の組合せ、後期添加に由来するPET中の一部の燐レベル及び一部のウォーターボトル規格には、射出成形プロセスの開始前に遊離AAを2ppm未満に低下させるための簡潔なAAストリッピング処理が必要である。
【0099】
前記組成物を用いて製造されたポリエステルポリマー組成物は、少なくとも20%の結晶化度まで部分結晶化させた場合には、少なくとも70又は少なくとも73又は少なくとも76又は少なくとも79のL*、及び溶融相から得られた少なくとも0.70dL/g又は少なくとも0.72dL/g又は少なくとも0.76dL/gのIt.V.を有する。
【0100】
本発明の粒子は、バルクとして、直接的又は間接的に、輸送コンテナ中に包装し、次いで輸送コンテナを顧客又は販売業者に輸送する。結晶化粒子は、粒子を輸送コンテナ中に包装する前の時点で粒子を固相重合することなく、本明細書中に記載した任意のプロセス実施態様に供するのが好ましい。
【0101】
輸送コンテナは、陸路、海路又は空路での輸送に使用するコンテナである。例えば、鉄道車両、セミ−トラクター・トレイラー・コンテナ、ゲイロード・ボックス、船殻、又は完成ポリエステル粒子を顧客に運搬するのに使用する任意の他のコンテナが挙げられる。顧客は典型的には、プレフォーム又は他の成形品へと粒子を加工する加工業者である。
【0102】
輸送コンテナはポリエステルポリマー粒子のバルクを含む。バルクは少なくとも3m3の体積を占める。好ましい実施態様において、輸送コンテナ中のバルクは少なくとも5m3又は少なくとも10m3の体積を占める。
【0103】
一実施態様においては、溶融相重合において得られた少なくとも0.68dL/g又は0.70dL/g又は0.72dL/g又は0.74dL/g又は0.76dL/gの平均It.V.及び10ppm若しくはそれ以下又は5ppm若しくはそれ以下の残留アセトアルデヒドレベルを有する完成ポリエステルポリマー粒子を提供する。前記粒子はアルミニウムを、ポリマーの重量に基づき、少なくとも3ppm又は少なくとも5ppm又は少なくとも10ppm又は少なくとも15ppm又は少なくとも20ppmの量で含み、ポリマー鎖中に反応した、ポリマー鎖上に末端基として反応した、又はエステル交換によってポリエステルポリマー上に反応した有機ヒドロキシ酸溶媒の残基を更に含む。溶媒は、ポリエステルポリマーが有機ヒドロキシ酸溶媒残基の1つの単位又はランダム反復単位を含むように、溶融相重合の間にポリエステル鎖中に反応させることができる。好ましくは、輸送コンテナ中のポリエステル粒子は、また、少なくとも20%、好ましくは少なくとも30%の結晶化度を有し;粒子は、また、ゼロ以外のレベルのアルカリ土類金属又はアルカリ金属を、ゼロ以外のレベルの燐と共に含む。粒子は望ましくは、輸送コンテナ中に収容する。最も好ましくは、粒子は固相重合させていない。「完成」粒子とは、粒子製造業者が、物品への粒子の加工に使用する成形機に関連するドライヤーホッパー中に又は直接的に成形機にいつでも供給できる状態の粒子の製造に必要な全ての加工条件に供し終えた、粒子製造業者が更なる加工工程を行うことのない、粒子を意味する。
【0104】
本発明の組成物を用いて製造したポリエステルポリマー組成物から形成される適当な物品は、シート、ボトルプレフォーム、飲料ボトルプレフォーム及びそれから製造されるブロー成形ボトルである。
【0105】
本発明をその実施態様の更なる例によって更に例示することができるが、これらの例は単に例示を目的として記載するのであって、本発明の範囲を限定するものではないことがわかるであろう。
【実施例】
【0106】
本発明の組成物は曇り(haziness)を示す場合があるが、析出が起こらない溶液を構成することができる。析出物は、容器の底に沈降した触媒金属微粒子の存在を肉眼で観察し得る場合に形成されたと見なす。
【0107】
例1:ヒドロキシ酸を用いたリチウム−アルミニウム組成物の製造
これらの触媒混合物は、報告した量の水酸化リチウム一水和物、アルミニウムイソプロポキシド、エチレングリコール及び指定したヒドロキシ酸から正の窒素流下で約125℃において3時間の間に製造した。本質的に全ての触媒混合物は、最初に製造した場合には透明であった。次に、触媒を45℃において貯蔵し、それらの溶解性を2週間にわたって観察した。結果を表Iに報告する。
【0108】
【表1】

【0109】
例2:前記触媒を用いたポリエステルの製造
PETポリマーを、前記触媒組成物を用いて0.75〜0.85dL/gに範囲の目標Ih.V.に製造した。このプロセスは、陽圧下及び約265℃におけるテレフタル酸のエステル化から始めた。オリゴマーを単離し、プレポリマー及び重縮合条件に供した。プレポリマー段階の始めに触媒混合物を加えた。ポリマーは全て、同一バッチのオリゴマーから製造した。プレポリマー条件は278℃及び30トルで75分間、重縮合条件は278℃及び4トルとした。重縮合は、所望の溶融粘度が得られるまで進ませた。
【0110】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)M(ここで、Mはアルカリ土類金属又はアルカリ金属を示す)と
(ii)アルミニウムと
(iii)エチレングリコールと
(iv)少なくも3個の炭素原子を有する有機ヒドロキシ酸化合物であって、有機ヒドロキシ酸化合物が8個又はそれ以下の炭素原子を有する場合には、3個未満のカルボン酸基を有する有機ヒドロキシ酸化合物
とを、エチレングリコール:アルミニウムのモル比を、少なくとも35:1で一緒にすることによって得られる組成物。
【請求項2】
前記組成物が、周囲条件において少なくとも1週間、溶液として残留することができる請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記組成物が、周囲条件において少なくとも2週間にわたって溶液として残留することができる請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
エチレングリコール:アルミニウムのモル比が少なくとも50:1である請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
アルミニウムが式:
Al[OR]a[OR’]b[OR”]c[R”’]d
[式中、R、R’、R”は独立にアルキル基、アリール基、アシル基又は水素であり、R”’はアニオン性基であり、a、b、c、dは独立に0又は正の整数であり、a+b+c+dは3以下である]
によって表されるアルミニウム化合物から得られる請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記アルミニウム化合物がアルミニウムのカルボン酸塩又はアルミニウムアルコレートを含む請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
前記アルミニウムのカルボン酸塩がジアセテートモノヒドロキシ化合物若しくはモノアセテートジヒドロキシ化合物又はそれらの混合物を含む請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
前記組成物が、前記組成物の重量に基づき、少なくとも3000ppmのアルミニウムを含む溶液である請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
前記溶液が、前記組成物の重量に基づき、少なくとも1重量%のアルミニウムを含む請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
Mがリチウム、ナトリウム、カリウム又はそれらの組合せを含む請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
前記組成物中のアルカリ土類金属又はアルカリ金属の量が、前記組成物の重量に基づき、少なくとも100ppmである請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
モル比M:Alが少なくとも0.75:1である請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
Al原子の濃度が少なくとも3000ppmであり且つモル比M:Alが0.2:1〜5:1の範囲である請求項1に記載の組成物。
【請求項14】
M:ヒドロキシ酸化合物のモル比が少なくとも0.80:1である請求項1に記載の組成物。
【請求項15】
前記溶液が有機ヒドロキシ酸溶媒を、前記溶液の重量に基づき、0.01〜5重量%の量で含む請求項1に記載の組成物。
【請求項16】
前記溶液が有機ヒドロキシ酸化合物を0.1〜2重量%の範囲の量で含む請求項1に記載の組成物。
【請求項17】
前記有機ヒドロキシ酸化合物が3〜14個の炭素原子を有する請求項1に記載の組成物。
【請求項18】
互いにα位にあるヒドロキシル基及びカルボン酸基を有する有機ヒドロキシ酸化合物を含む請求項1に記載の組成物。
【請求項19】
前記有機ヒドロキシ酸が乳酸、酒石酸、マンデル酸、サリチル酸又はそれらの混合物を含む請求項1に記載の組成物。
【請求項20】
M:Al:ヒドロキシ酸のモル比が0.2:1:0.2〜10:1:5の範囲である請求項1に記載の組成物。
【請求項21】
前記溶液が、溶液を周囲条件で少なくとも3週間にわたって静置させた場合にも、測定した場合に、肉眼では析出が認められないように充分に安定である請求項1に記載の組成物。
【請求項22】
前記溶液が3000ppm又はそれ以上のアルミニウムを含む請求項21に記載の組成物。
【請求項23】
前記溶液が0.75:1〜1.5:1の範囲のM:Alモル比を有する請求項22に記載の組成物。
【請求項24】
MがLi、Na又はそれらの組合せを含む請求項23に記載の組成物。
【請求項25】
M:ヒドロキシ酸化合物のモル比が少なくとも0.90:1である請求項1に記載の組成物。
【請求項26】
触媒系とポリエステルポリマーを含んでなり、前記触媒系が、
(i)M(ここでMはアルカリ土類金属又はアルカリ金属を示す)と
(ii)アルミニウムと
(iii)エチレングリコールと
(iv)少なくも3個の炭素原子を有する有機ヒドロキシ酸化合物であって、有機ヒドロキシ酸化合物が8個又はそれ以下の炭素原子を有する場合には、3個未満のカルボン酸基を有する有機ヒドロキシ酸化合物
とを、エチレングリコール:アルミニウムのモル比を少なくとも35:1で、合することによって得られる、ポリエステルポリマー組成物。
【請求項27】
前記ポリエステルポリマーがポリエチレンテレフタレートポリマーを含む請求項26に記載のポリエステルポリマー組成物。
【請求項28】
Mがリチウム、ナトリウム又はカリウムを含み且つ前記溶液中のAl濃度が少なくとも3000ppmである請求項27に記載のポリエステルポリマー組成物。
【請求項29】
MがLiを含み且つモル比Li:Alが0.75:1〜1.5:1の範囲である請求項26に記載のポリエステルポリマー組成物。
【請求項30】
前記ポリエステルポリマーが、溶融相重合プロセスから得られた、少なくとも0.70dL/gのIt.V.を有する請求項26に記載のポリエステルポリマー組成物。
【請求項31】
請求項26のポリエステルポリマー組成物から得られたボトルプレフォーム。
【請求項32】
請求項26のポリエステルポリマー組成物から得られた飲料ボトル。
【請求項33】
前記組成物が有機ヒドロキシ酸溶媒を、前記溶液の重量に基づき、0.01〜5重量%の量で含む請求項26に記載のポリエステルポリマー組成物。
【請求項34】
MがLiを含み、Alの量が少なくとも3000であり、前記ヒドロキシ酸が3〜14個の炭素原子を含み、ヒドロキシ酸の量が0.01〜5重量%の範囲であり且つM:Al:ヒドロキシ酸のモル比が0.2:1:0.2〜10:1:5の範囲である請求項26に記載のポリエステルポリマー組成物。
【請求項35】
互いにα位にあるヒドロキシル基及びカルボン酸基を有する有機ヒドロキシ酸化合物を含む請求項26に記載のポリエステルポリマー組成物。
【請求項36】
前記有機ヒドロキシ酸化合物が互いにα位にあるヒドロキシル基及びカルボン酸基を有する請求項26に記載のポリエステルポリマー組成物。
【請求項37】
前記有機ヒドロキシ酸が乳酸、酒石酸、マンデル酸、サリチル酸又はそれらの混合物を含む請求項26に記載のポリエステルポリマー組成物。
【請求項38】
前記ヒドロキシ酸が1又は2個のカルボン酸基を有する請求項26に記載のポリエステルポリマー組成物。
【請求項39】
エチレングリコール:アルミニウムのモル比が少なくとも40:1であり且つM:ヒドロキシ酸化合物のモル比が少なくとも0.95:1である請求項26に記載のポリエステルポリマー組成物。
【請求項40】
M:ヒドロキシ酸化合物のモル比が少なくとも0.90:1である請求項26に記載のポリエステルポリマー組成物。
【請求項41】
エチレングリコール:アルミニウムのモル比が少なくとも40:1である請求項26に記載のポリエステルポリマー組成物。
【請求項42】
エチレングリコール:アルミニウムのモル比が少なくとも75:1である請求項26に記載のポリエステルポリマー組成物。
【請求項43】
前記組成物が、周囲条件に静置した場合に少なくとも2週間溶液として残ることができる溶液である請求項26に記載のポリエステルポリマー組成物。
【請求項44】
エチレングリコール:アルミニウムのモル比が少なくとも125:1である請求項26に記載のポリエステルポリマー組成物。
【請求項45】
(i)M(ここでMはアルカリ土類金属又はアルカリ金属を示す)と
(ii)アルミニウムと
(iii)エチレングリコールと
(iv)少なくも3個の炭素原子を有する有機ヒドロキシ酸化合物であって、有機ヒドロキシ酸化合物が8個又はそれ以下の炭素原子を有する場合には、3個未満のカルボン酸基を有する有機ヒドロキシ酸化合物
を含み、エチレングリコール:アルミニウムのモル比が少なくとも35:1である溶液を、ポリエステルポリマーを製造する溶融相重合プロセスに加えることを含んでなるポリエステルポリマー組成物の製造方法。
【請求項46】
前記溶液の添加後、重合時又は重合の実質的完了後に、燐化合物を溶融相重合プロセスに加える請求項45に記載の方法。
【請求項47】
(i)と(ii)の累積量を表す燐P:Mのモル比が0.5:1〜2:1の範囲内である請求項45に記載の方法。
【請求項48】
燐原子の量が3〜50ppmの範囲である請求項45に記載の方法。
【請求項49】
前記ポリマーを、重合反応体にコバルト化合物を添加せずに、製造する請求項45に記載の方法。
【請求項50】
前記ポリマーをチタン触媒の不存在下に製造する請求項45に記載の方法。
【請求項51】
前記ポリエステルポリマーを、前記ポリエステルポリマー中のカルボン酸成分100モル%及びヒドロキシル成分100モル%に基づき、
(i)少なくとも80モル%のテレフタル酸又はテレフタル酸誘導体の残基を含むカルボン酸成分と
(ii)少なくとも80モル%のエチレングリコール又はプロパンジオールの残基を含むヒドロキシル成分
とを反応させることによって得る請求項45に記載の方法。
【請求項52】
前記溶液をエステル化ゾーンに加える請求項45に記載の方法。
【請求項53】
前記溶液をポリエステルポリマーの重縮合の開始時又は重縮合中に加える請求項45に記載の方法。
【請求項54】
前記溶液を、エステル化時若しくはエステル化完了後に、オリゴマー混合物に又はメルトのIt.V.が0.3dL/gに達するまでに、ポリエステルメルトに加える請求項45に記載の方法。
【請求項55】
MがLiを含む請求項45に記載の方法。
【請求項56】
モル比M:Alが0.75:1〜1.5:1の範囲である請求項45に記載の方法。
【請求項57】
Alの濃度が少なくとも3000ppmである請求項45に記載の方法。
【請求項58】
Alの濃度が少なくとも3000ppmであり、ヒドロキシ酸の量が0.01重量%であり、M:Al:ヒドロキシ酸のモル比が0.2:1:0.2〜10:1:5の範囲であり且つヒドロキシ酸が3〜14個の炭素原子を有する請求項45に記載の方法。

【公表番号】特表2009−544800(P2009−544800A)
【公表日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−521756(P2009−521756)
【出願日】平成19年7月13日(2007.7.13)
【国際出願番号】PCT/US2007/016003
【国際公開番号】WO2008/016476
【国際公開日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【出願人】(594055158)イーストマン ケミカル カンパニー (391)
【Fターム(参考)】