有機多孔質ポリマー材料及びその合成方法
【課題】本発明は、有機多孔質ポリマー材料及びその合成方法を提供する。
【解決手段】その構造が下記の一般式で表れる有機多孔質ポリマー材料であって、
【化1】
【化2】
ただし、数字1〜10が示す位置は、C、N又はCH、或いはCHにおけるHを置換するメチル、エチル、アミノ、カルボキシル基、メトキシ、ヒドロキシ基、またはエステル基であり、英文a、bが示す位置は、CまたはN+、或いはB−である。
【解決手段】その構造が下記の一般式で表れる有機多孔質ポリマー材料であって、
【化1】
【化2】
ただし、数字1〜10が示す位置は、C、N又はCH、或いはCHにおけるHを置換するメチル、エチル、アミノ、カルボキシル基、メトキシ、ヒドロキシ基、またはエステル基であり、英文a、bが示す位置は、CまたはN+、或いはB−である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機能材料の分野に関し、特に、一連の有機多孔質ポリマー材料及びその合成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
当今世界が直面する最も深刻な問題は、化石燃料を主に使用することによる温室効果ガスの増大に伴う気候温暖化によって日増しに深刻化された自然災害である。現在、世界各国の政府及び企業は、いずれも新規のクリーンエネルギー技術の開発を高度に重視するとともに、国際間のエネルギー利用及び温室効果ガスの排出抑制に関する京都議定書を承認する国もますます多くなっており、どのようにして「エネルギー利用効率を向上するか」と、「環境汚染を低下するか」とが、既に世界各国の高度に注目する課題となっている。
【0003】
今まで燃料電池技術は、21世紀のエネルギー技術分野の核心技術として公認されている。その動作原理は、等温的に燃料と酸化剤に貯蔵された化学エネルギーを電気エネルギーに直接に変換することである。燃料電池は、通常の燃料エンジンに対して、高効率で、ノイズが低く、信頼性が高いとの特徴を有し、特に排出ガスが極めて低いとの特徴を有しているため、現在の第1位で当選されるクリーンで高効率の発電技術としてみなされている。そして、発電所や自動車産業や携帯機器に広く用いられる。燃料電池に関するより詳しい記述は、非特許文献1〜3を参照されたい。
【0004】
多孔質材料は、比較的に大きい比表面積を有しており、燃料とすることが可能な気体又は有機小分子をより多く吸着することができるため、多孔質材料の燃料電池における肝心な材料としての研究は、現在の当該分野における最も重要な研究である。多孔質材料は、孔径が2nm未満の微細孔材料と、孔径が2〜50nmである介在孔材料と、孔径が50nmよりも大きい大孔材料とがある。1995年でオマルヤギ(Omar Yaghi)は確実に実際応用に近い金属−有機配位ポリマーMOF(metal−organic−framework)を合成し(非特許文献4参照)、それらは新規機能性分子材料として、沸石分子ふるいに類似した結晶構造を有するばかりでなく、その構造は設計可能性及びカットアウト可能性も備えており、トポロジー構造の定向設計及び有機官能基の展開によって、ナノサイズの孔路及び孔洞を得ることができ、気体や有機分子の貯蔵面に巨大な応用底力を有するようにする。しかし、MOFの化学安定性が悪い。2005年でオマルヤギ(Omar Yaghi)は軽元素(炭素、水素、酸素、ホウ素)で構築され共有結合により接続された有機骨格多孔質材料COF(covalent organic framework)を報告した(非特許文献5参照)。しかし、化学安定性の問題は確実に解決されていない。
【0005】
従って、有機多孔質ポリマー材料の性能をさらに向上させる必要がある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Hynek等、「Int. J. Hydrogen Energy」、22、No. 6, 601−610 (1997)
【非特許文献2】J. A. Kerres等、「Journal of Membrane Science」、185, 2001、3−27(論文)
【非特許文献3】G. March、「Materials Today」 4、No. 2 (2001), 20−24
【非特許文献4】Nature、1995、(378)、703
【非特許文献5】Science、2005、(310)、1166
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の第1の目的は、その熱安定性及び水熱安定性がよく、そのBET比表面積が超高の有機多孔質ポリマー材料を提供することにある。
【0008】
また、本発明の第2の目的は、高反応効率の有機多孔質ポリマー材料の合成方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記の目的を達成するために、その構造が下記の一般式で表れる有機多孔質ポリマー材料を提供している。
【0010】
【化1】
【0011】
【化2】
【0012】
ただし、数字1〜10が示す位置は、C、N又はCH、或いはCHにおけるHを置換するメチル、エチル、アミノ、カルボキシル基、メトキシ、ヒドロキシ基、またはエステル基であり、英文a、bが示す位置は、CまたはN+、或いはB−である。
【0013】
本発明は、さらに、有機多孔質ポリマー材料の合成方法において、
1:(0〜15):(0〜15)モール比のビス(1,5−シクロオクタジエン)ニッケル、2,2’−ビピリジン及び1,5−シクロオクタジエンをN,N’−ジメチルホルムアミドまたはトルエン溶液に加入し、それを予めに20〜140℃に加熱された油浴におき、触媒を0〜10時間にてエージングさせるステップ1と、
対応モール数の反応モノマーを加入し、反応開始のモノマーの濃度を0.001M〜5Mの間に保持すると共に、反応開始のビス(1,5−シクロオクタジエン)ニッケルとモノマーのモール数の比率を(2〜18):1とするステップ2と、
上記溶液を20〜140℃にて保持し、10分間〜10日間にて反応させてから、反応が停止するステップ3と、
反応系へ濃塩酸を加入して、残りのビス(1,5−シクロオクタジエン)ニッケルを破壊するステップ4と、
水、テトラヒドロフラン及びクロロホルムそれぞれの熱溶液によって、無機塩及び溶解可能な有機物を洗浄除去し、最後の製品を80〜200℃で4〜40時間にて真空乾燥し、有機多孔質ポリマー材料が得られるステップ5とを含む有機多孔質ポリマー材料の合成方法を提供している。
【0014】
そのうち、前記反応は、ヤマモトタイプウルマン(Yamamoto type Ullmann)反応である。
【0015】
本発明は、さらに、有機多孔質ポリマー材料の合成方法において、
1:(1〜15):(0〜15):(0〜15)モール比の塩化ニッケル、臭化ナトリウム、亜鉛末及びトリフェニルホスフィンをN,N’−ジメチルホルムアミドまたはトルエン溶液に加入し、それを予めに20℃〜140℃に加熱された油浴におき、触媒を0〜10時間にてエージングさせるステップ1と、
対応モール数の反応モノマーを加入し、反応開始のモノマーの濃度を0.001M〜5Mの間に保持するステップ2と、
上記溶液を20〜140℃にて保持し、10分間〜10日間にて反応させてから、反応が停止するステップ3と、
反応系へ濃塩酸を加入して、残りの亜鉛末を除去するステップ4と、
水、テトラヒドロフラン及びクロロホルムそれぞれの熱溶液によって、無機塩及び溶解可能な有機物を洗浄除去し、最後の製品を80〜200℃で4〜40時間にて真空乾燥し、有機多孔質ポリマー材料が得られるステップ5とを含む有機多孔質ポリマー材料の合成方法を提供している。
【0016】
そのうち、前記反応は、ウルマンカップリング反応である。
【0017】
本発明は、さらに、有機多孔質ポリマー材料の合成方法において、
開始濃度が0.001M〜5Mであるモノマーと、開始モール濃度はモノマーモール濃度の0.05%〜50%であるPd(PPh3)4とを、N,N’−ジメチルホルムアミドまたはトルエンに加入し、窒素雰囲気で0〜10時間にて混合しミキシングするステップ1と、
開始モール濃度がモノマーモール濃度の4〜200倍であるアルカリ水溶液を反応系に加入するステップ2と、
上記溶液を20〜140℃にて保持し、10分間〜10日間にて反応させてから、反応が停止するステップ3と、
反応系へ希塩酸を加入して、反応系を中性に達させるステップ4と、
水、テトラヒドロフラン及びクロロホルムそれぞれの熱溶液によって、無機塩及び溶解可能な有機物を洗浄除去し、最後の製品を80〜200℃で4〜40時間にて真空乾燥し、有機多孔質ポリマー材料が得られるステップ5とを含む有機多孔質ポリマー材料の合成方法を提供している。
【0018】
そのうち、前記反応は、鈴木カップリング反応である。
【0019】
そのうち、ステップ5は、さらに、
その都度10〜100ミリリットルの50〜100℃の水を用いて、ポリマーを3〜5回処理して、フィルタするステップ5.1と、
その都度10〜100ミリリットルの20〜70℃のテトラヒドロフランを用いて、ポリマーを3〜5回処理して、フィルタするステップ5.2と、
その都度10〜100ミリリットルの20〜60℃のクロロホルムを用いて、ポリマーを3〜5回処理して、フィルタするステップ5.3と、
ポリマーを80〜200℃の条件で、4〜40時間にて真空処理し、真空度は3〜10mmHgよりも小さく、ポリマーが得られるステップ5.4とを含んでいる。
【0020】
そのうち、ヤマモトタイプウルマン反応とウルマンカップリング反応に用いられるモノマーの一般式は以下の通りである。
【0021】
【化3】
【0022】
【化4】
【0023】
ただし、数字1〜10が示す位置は、C、N又はCH、或いはCHにおけるHを置換するメチル、エチル、アミノ、カルボキシル基、メトキシ、ヒドロキシ基、またはエステル基であり、英文a、bが示す位置は、CまたはN+、或いはB−である。
【0024】
そのうち、鈴木カップリング反応に用いられるモノマーの一般式は以下の通りである。
【0025】
【化5】
【0026】
【化6】
【0027】
ただし、数字1〜10が示す位置は、C、N又はCH、或いはCHにおけるHを置換するメチル、エチル、アミノ、カルボキシル基、メトキシ、ヒドロキシ基、またはエステル基であり、英文a、bが示す位置は、CまたはN+、或いはB−である。
【発明の効果】
【0028】
上記を総じて、本発明にて合成さらる有機多孔質ポリマー材料は、極めて優れた熱安定性や優れた水熱安定性を有し、例えば、発電所、自動車、ワイヤレス電気機器、携帯電話、携帯装置等のエネルギーや電気機器等の分野に広く用いられ、特に、水素等の燃料電池における燃料の担体として、表面面積が大きく、安定性が高くて、高効率で複数回に循環使用することができる。本発明に係る有機多孔質ポリマー材料の合成方法の反応は高効率的である。
【0029】
本発明の特徴及び技術内容は、添付の図面と関連して理解されるこの発明に関する次の詳細な説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1A】図1Aは、本発明に係る超高比表面積を有する多孔質ポリマー材料のダイヤモンド構造ユニットを示す図である。
【図1B】図1Bは、本発明に係る超高比表面積を有する多孔質ポリマー材料のダイヤモンド構造ユニットを示す図である。
【図2A】図2Aは、本発明に係る超高比表面積を有する多孔質ポリマー材料と反応モノマーの赤外スペクトルである。
【図2B】図2Bは、本発明に係る超高比表面積を有する多孔質ポリマー材料と反応モノマーの赤外スペクトルである。
【図3】図3は、本発明に係る超高比表面積を有する多孔質ポリマー材料の熱重量分析図である。
【図4】図4は、本発明に係る超高比表面積を有する多孔質ポリマー材料の透過型電子顕微鏡の図である。
【図5】図5は、本発明に係る超高比表面積を有する多孔質ポリマー材料の窒素吸脱着等温線である。
【図6】図6は、本発明に係る超高比表面積を有する多孔質ポリマー材料のH−K方法による孔径分布図である。
【図7】図7は、本発明に係る超高比表面積を有する多孔質ポリマー材料の水熱処理後の窒素吸脱着等温線である。
【図8】図8は、本発明に係る超高比表面積を有する多孔質ポリマー材料の水熱処理後のH−K方法による孔径分布図である。
【図9A】図9Aは、本発明に係る超高比表面積を有する多孔質ポリマー材料の高圧水素貯蔵等温線である。
【図9B】図9Bは、本発明に係る超高比表面積を有する多孔質ポリマー材料の高圧水素貯蔵等温線である。
【図10】図10は、本発明に係る超高比表面積を有する多孔質ポリマー材料の高圧二酸化炭素吸着等温線である。
【図11】図11は、本発明に係る超高比表面積を有する多孔質ポリマー材料のトルエン吸着等温線である。
【図12】図12は、本発明に係る超高比表面積を有する多孔質ポリマー材料のベンゼン吸着等温線である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明に用いられる技術手段及びその効果をさらに明らかにするために、本発明の実施例について詳しく説明する。
【0032】
本発明の提供している有機多孔質ポリマー材料の一般式は、以下のように表れる。
【0033】
【化7】
【0034】
【化8】
【0035】
ただし、数字1〜10が示す位置は、C、CH又はN、或いはCHにおけるHを置換するメチル、エチル、アミノ、カルボキシル基、メトキシ、ヒドロキシ基、またはカルボキシルメチルであり、英文a、bが示す位置は、CまたはN+、或いはB−である。
【0036】
本発明では、ヤマモトタイプウルマン反応、ウルマン反応、鈴木カップリングの3種類の上記有機多孔質ポリマー材料の合成方法を提供している。これら3種類の方法にていずれも本発明の有機多孔質ポリマー材料を得ることができる。これら3種類の合成方法を適用して得られる有機多孔質ポリマーは、材料の性能上でいくつかの差異有することができるが、これら材料の実用中では、合成方法の異なりによるいずれか応用上の制限はない。
本発明の有機多孔質ポリマー材料の3種類の合成方法を明らかに説明するために、ポリ(p−テトラフェニルシラン)を例として詳しく説明する。
【0037】
ヤマモトタイプウルマン反応によるポリ(p−テトラフェニルシラン)の合成は、以下のような反応式で表現できる。
【0038】
【化9】
【0039】
上記反応に用いられる反応タイプは、ヤマモトタイプウルマンカップリング反応であり、その用いられる触媒は、ビス(1,5−シクロオクタジエン)ニッケル、2,2’−ビピリジン、1,5−シクロオクタジエン系である。
【0040】
この合成方法は、
1:(0〜15):(0〜15)モール比のビス(1,5−シクロオクタジエン)ニッケル、2,2’−ビピリジン及び1,5−シクロオクタジエンをN,N’−ジメチルホルムアミドまたはトルエン溶液に加入し、それを予めに20〜140℃に加熱された油浴におき、触媒を0〜10時間にてエージングさせるステップ1と、
対応モール数のp−テトラブロモテトラフェニルシランを加入し、反応開始のp−テトラブロモテトラフェニルシランの濃度を0.001M〜5Mの間に保持すると共に、反応開始のビス(1,5−シクロオクタジエン)ニッケルとモノマーのモール数の比率を(2〜18):1とするステップ2と、
上記溶液を20〜140℃にて保持し、10分間〜10日間にて反応させてから、反応が停止するステップ3と、
反応系へ濃塩酸を加入して、残りのビス(1,5−シクロオクタジエン)ニッケルを除去するステップ4と、
水、テトラヒドロフラン及びクロロホルムそれぞれの熱溶液によって、無機塩及び溶解可能な有機物を洗浄除去し、最後の製品を80〜200℃で4〜40時間にて真空乾燥して、有機多孔質ポリマー材料が得られるステップ5とを含んでいる。
【0041】
また、ステップ5は、
その都度10〜100ミリリットルの50〜100℃の水を用いて、ポリマーを3〜5回処理して、フィルタするステップ5.1と、
その都度10〜100ミリリットルの20〜70℃のテトラヒドロフランを用いて、ポリマーを3〜5回処理して、フィルタするステップ5.2と、
その都度10〜100ミリリットルの20〜60℃のクロロホルムを用いて、ポリマーを3〜5回処理して、フィルタするステップ5.3と、
ポリマーを80〜200℃の条件で、4〜40時間にて真空処理し、真空度は3〜10mmHgよりも小さく、ポリマーが得られるステップ5.4とを含んでいる。
【0042】
ウルマン反応によるポリ(p−テトラフェニルシラン)の合成は、以下の反応式で表現される。
【0043】
【化10】
【0044】
反応の際に用いられる反応タイプは、ウルマン反応であり、具体的に、用いられる触媒は、亜鉛末、塩化ニッケル、臭化ナトリウム、トリフェニルホスフィン系である。
【0045】
また、合成方法は、
1:(1〜15):(0〜15):(0〜15)モール比の塩化ニッケル、臭化ナトリウム、亜鉛末及びトリフェニルホスフィンをN,N’−ジメチルホルムアミドまたはトルエン溶液に加入し、それを予めに20℃〜140℃に加熱された油浴におき、触媒を0〜10時間にてエージングさせるステップ1と、
対応モール数のp−テトラブロモテトラフェニルシランを加入し、反応開始のp−テトラブロモテトラフェニルシランの濃度を0.001M〜5Mの間に保持するステップ2と、
上記溶液を20〜140℃にて保持し、10分間〜10日間にて反応させてから、反応が停止するステップ3と、
反応系へ濃塩酸を加入して、残りの亜鉛末を除去するステップ4と、
水、テトラヒドロフラン及びクロロホルムそれぞれの熱溶液によって、無機塩及び溶解可能な有機物を洗浄除去し、最後の製品を80〜200℃で4〜40時間にて真空乾燥し、有機多孔質ポリマー材料を得るステップ5とを含んでいる。
【0046】
また、ステップ5は、
その都度10〜100ミリリットルの50〜100℃の水を用いて、ポリマーを3〜5回処理して、フィルタするステップ5.1と、
その都度10〜100ミリリットルの20〜70℃のテトラヒドロフランを用いて、ポリマーを3〜5回処理して、フィルタするステップ5.2と、
その都度10〜100ミリリットルの20〜60℃のクロロホルムを用いて、ポリマーを3〜5回処理して、フィルタするステップ5.3と、
ポリマーを80〜200℃の条件で、4〜40時間にて真空処理し、真空度は3〜10mmHgよりも小さく、ポリマーが得られるステップ5.4とを含んでいる。
【0047】
鈴木カップリング反応によるポリ(p−テトラフェニルシラン)の合成は、以下の反応式で表現される。
【0048】
【化11】
【0049】
反応の際に用いられる反応タイプは、鈴木カップリング反応であり、具体的に、用いられる触媒は、Pd(PPh3)4、アルカリ水系である。
【0050】
また、合成方法は、
開始濃度が0.001M〜5Mであるモノマーと、開始モール濃度はモノマーモール濃度の0.05%〜50%であるPd(PPh3)4とを、N,N’−ジメチルホルムアミドまたはトルエンに加入し、窒素雰囲気で0〜10時間にて混合しミキシングするステップ1と、
開始モール濃度がモノマーモール濃度の4〜200倍であるアルカリ水溶液を反応系に加入するステップ2と、
上記溶液を20〜140℃にて保持し、10分間〜10日間にて反応させてから、反応が停止するステップ3と、
反応系へ希塩酸を加入して、反応系を中性に達させるステップ4と、
水、テトラヒドロフラン及びクロロホルムそれぞれの熱溶液によって、無機塩及び溶解可能な有機物を洗浄除去し、最後の製品を80〜200℃で4〜40時間にて真空乾燥して、有機多孔質ポリマー材料が得られるステップ5とを含んでいる。
【0051】
また、ステップ5は、
その都度10〜100ミリリットルの50〜100℃の水を用いて、ポリマーを3〜5回処理して、フィルタするステップ5.1と、
その都度10〜100ミリリットルの20〜70℃のテトラヒドロフランを用いて、ポリマーを3〜5回処理して、フィルタするステップ5.2と、
その都度10〜100ミリリットルの20〜60℃のクロロホルムを用いて、ポリマーを3〜5回処理して、フィルタするステップ5.3と、
ポリマーを80〜200℃の条件で、4〜40時間にて真空処理し、真空度は3〜10 mmHgよりも小さく、ポリマーが得られるステップ5.4とを含んでいる。
【0052】
本発明の有機多孔質ポリマー材料の3種類の合成方法をより全面的に説明するために、以下に5種類の異なるタイプのモノマーを用いて合成可能な代表的化合物及びその3種類に対する合成方法作についてさらに詳しく説明する。次の5種類に対するモノマー構造の一般式で現れる置換基R1、R2、R3、R4は、ベンゼン、ナフタレン、ビフェニル、ピリジン、ピリダジン、トリアジン、テトラジン、ペンタジン、ヘキサジン又は1−フェニルピリジニウムである。置換基には、いずれか位置に1つないし複数の置換基を有することができ、置換基は、メチル、エチル、アミノ、カルボキシル基、メトキシ、ヒドロキシ基、或エステル基等でもよい。置換基の接続方式は、いずれか位置の接続でもよい。本発明に係るイオン型ポリマーはいずれも対応するカウンタイオン対を有しており、最終の材料を電気中性にする。
【0053】
1.テトラアリールアルカンモノマーであって、その一般式は、
【0054】
【化12】
【0055】
であり、合成可能な代表的化合物は、ポリテトラビフェニルメタンであり、その構造式は、
【0056】
【化13】
【0057】
である。
【0058】
前者の2種類の方法(ヤマモトタイプウルマン反応、ウルマン反応)について、反応するモノマーは、
【0059】
【化14】
【0060】
である。
【0061】
3番目の方法(鈴木カップリング反応)について、反応するモノマーは、
【0062】
【化15】
【0063】
である。
【0064】
2.テトラアリールシリコンモノマーであって、その一般式は、
【0065】
【化16】
【0066】
であり、合成可能な代表的化合物は、ポリテトラフェニルシランであり、その構造式は、
【0067】
【化17】
【0068】
である。
【0069】
前者の2種類の方法(ヤマモトタイプウルマン反応、ウルマン反応)について、反応するモノマーは、
【0070】
【化18】
【0071】
である。
【0072】
3番目の方法(鈴木カップリング反応)について、反応するモノマーは、
【0073】
【化19】
【0074】
である。
【0075】
3.テトラアリール第4級アンモニウム塩モノマーであって、その一般式は、
【0076】
【化20】
【0077】
であり、合成可能な代表的化合物は、ポリ−4−フェニル−第4級アンモニウム塩であり、その構造式は、
【0078】
【化21】
【0079】
である。
【0080】
前者の2種類の方法(ヤマモトタイプウルマン反応、ウルマン反応)について、反応するモノマーは、
【0081】
【化22】
【0082】
である。
【0083】
3番目の方法(鈴木カップリング反応)について、反応するモノマーは、
【0084】
【化23】
【0085】
である。
【0086】
4.テトラアリールホスホニウム塩モノマーであって、その一般式は、
【0087】
【化24】
【0088】
であり、合成可能な代表的化合物は、ポリ−4−フェニル−ホスホニウム塩であり、その構造式は、
【0089】
【化25】
【0090】
である。
【0091】
前者の2種類の方法(ヤマモトタイプウルマン反応、ウルマン反応)について、反応するモノマーは、
【0092】
【化26】
【0093】
である。
【0094】
3番目の方法(鈴木カップリング反応)について、反応するモノマーは、
【0095】
【化27】
【0096】
である。
【0097】
5.テトラアリールホウ素塩モノマーであって、その一般式は、
【0098】
【化28】
【0099】
であり、合成可能な代表的化合物は、ポリ−4−フェニル−ホウ素塩であり、その構造式は、
【0100】
【化29】
【0101】
である。
【0102】
前者の2種類の方法(ヤマモトタイプウルマン反応、ウルマン反応)について、反応するモノマーは、
【0103】
【化30】
【0104】
である。
【0105】
3番目の方法(鈴木カップリング反応)について、反応するモノマーは、
【0106】
【化31】
【0107】
である。
【0108】
次に、ヤマモトタイプウルマンカップリング反応にてポリテトラフェニルメタンを合成する例について詳しく説明する。
【0109】
図1A及び図1Bに示すように、ダイヤモンド構造ユニットを示す図であり、設計して合成されたポリマーは、ダイヤモンドの炭素原子をビフェニルにより接続して形成された超高比表面積を有する多孔質ポリマー材料として見ることができる。ポリテトラフェニルメタンについて、その分子式は(C(Ph)4)nであり、その構造式は、
【0110】
【化32】
【0111】
である。
【0112】
反応過程は、次の反応式で表現することができる。
【0113】
【化33】
【0114】
本発明のポリテトラフェニルメタンの合成方法は、
等物質量のビス(1,5−シクロオクタジエン)ニッケル、2,2−ビピリジン及び1,5−シクロオクタジエンをN,N−ジメチルホルムアミド又はトルエン溶液に加入し、それを20℃〜140℃に予熱された油浴に置き、触媒を0.5〜3時間にエージングするステップ1と、
対応モール数のp−ブロモテトラフェニルメタン又はp−ヨードテトラフェニルメタンのN,N−ジメチルホルムアミド又はトルエン溶液を加入して、反応物の濃度を0.001M〜5Mの間に保持させると共に、ビス(1,5−シクロオクタジエン)ニッケルとハロゲン原子の比率値を0.6〜1.5の間に保たせるステップ2と、
上記溶液を温度を保持して、10分間〜5日にて反応させてから、反応が停止するステップ3と、
反応系へ濃塩酸を加入し、残りのビス(1,5−シクロオクタジエン)ニッケルを破壊するステップ4と、
無機塩及び溶解可能な有機物を、水、テトラヒドロフラン及びクロロホルムそれぞれの熱溶液を用いて洗浄除去し、最後の製品を80℃〜200℃で4〜40時間にて真空乾燥させて、ポリマー:ポリテトラフェニルメタンが得られるステップ5とを含む。
【0115】
次のポリテトラフェニルメタンを合成する具体的な方法は、以下のステップを採用する。
【0116】
(1)1gのビス(1,5−シクロオクタジエン)ニッケル、0.568gの2,2−ビピリジン及び0.4mLの1,5−シクロオクタジエンを、1mLのN,N−ジメチルホルムアミド溶液に加入し、それを60℃に予熱された油浴に置いて、触媒を0.5〜3時間にてエージングさせる。
【0117】
(2)続いて、0.2Mのp−ブロモテトラフェニルメタンのN,N−ジメチルホルムアミド3mLを、その温度で60時間にて反応させてから、反応が停止する。
【0118】
(3)反応系へ濃塩酸を加入して、過剰の1,5−シクロオクタジエンニッケルを破壊し、フィルタリングしてレモンイエローの沈殿物が得られる。
【0119】
(4)無機塩及び溶解可能な有機物を100mLの水、100mLのテトラヒドロフラン及び100mLのクロロホルムそれぞれの熱溶液を用いて洗浄除去する。
【0120】
(5)最終の製品を80〜200℃で10〜40時間にて真空乾燥(真空度10〜3mmHg未満)して、ポリマーが得られ、その収率は76%である。
【0121】
図2A及び図2Bに示すように、本発明の方法を用いて、p−ブロモテトラフェニルメタンから、ヤマモトタイプウルマンカップリング反応により製造された多孔質ポリマー材料のポリテトラフェニルメタンと反応モノマーの赤外線スペクトル比較図であり、その中、図2Aは、製造された多孔質ポリマー材料と反応モノマーの4000cm−1から400cm−1までの赤外線フルスペクトル比較図であり、図2Bは、製造された多孔質ポリマー材料と反応モノマーの1600cm−1から400cm−1までの赤外線スペクトル比較拡大図である。図中の実線は反応モノマーの赤外線スペクトラムであり、点線は製造された多孔質ポリマー材料の赤外線スペクトラムであり、赤外線スペクトラムに標記された512cm−1及び532cm−1はC−Br特徴的吸収ピークであり、重合反応後の対応位置のC−Br特徴的吸収ピークは明らかに消失され、重合反応が非常に徹底して行なってしまうことを証明している。
【0122】
図3に示すように、本発明の方法を用いて、p−ブロモテトラフェニルメタンから、ヤマモトタイプウルマンカップリング反応により得られた多孔質ポリマー材料の熱重量図であり、熱重量の検討によって、ポリマーの5%質量が420℃で失重され、合成された多孔質ポリマー材料が優れた安定性を有していることを示す。
【0123】
図4に示すように、本発明の方法を用いて、p−ブロモテトラフェニルメタンから、ヤマモトタイプウルマンカップリング反応により得られた多孔質ポリマー材料の透過型電子顕微鏡図であり、透射図によって、合成された多孔質ポリマー材料の孔構造を明らかに観察することができるが、順序的構造は有していない。
【0124】
ステップ(5)で得られた製品の77K、0〜1atmで測定された窒素ガスの吸着等温線はI−型等温線であり、図5に示すように、本発明の方法を用いて、p−ブロモテトラフェニルメタンから、ヤマモトタイプウルマンカップリング反応により得られた多孔質ポリマー材料の窒素吸脱着等温線であり、実点は吸着曲線であり、空点は脱着曲線であり、窒素吸脱着等温線によって、得られた多孔質ポリマー材料のBET比表面積は5600m2/gに達する。
【0125】
図6に示すように、本発明の方法を用いて、p−ブロモテトラフェニルメタンから、ヤマモトタイプウルマンカップリング反応により得られた多孔質ポリマー材料をH−K方法に従って算出した孔径分布図であり、多孔質ポリマー材料の孔径は1nm程度に分布されている。
【0126】
図7に示すように、本発明の方法を用いて、p−ブロモテトラフェニルメタンから、ヤマモトタイプウルマンカップリング反応により得られた多孔質ポリマー材料を水熱処理後の窒素吸脱着等温線であり、実点は吸着曲線であり、空点は脱着曲線であり、多孔質ポリマー材料は100℃の水で7日にて処理された後に、窒素ガス吸着曲線は基本的に変化しなく、多孔質ポリマー材料が良好な水熱安定性を備えていることを示す。
【0127】
図8に示すように、本発明の方法を用いて、p−ブロモテトラフェニルメタンから、ヤマモトタイプウルマンカップリング反応により得られた多孔質ポリマー材料を水熱処理後のH−K方法に従って算出した孔径分布図であり、多孔質ポリマー材料は水熱処理後に、その孔径分布は依然として1nm程度である。
【0128】
ステップ(5)で得られた製品の30K〜290K、0〜50barで測定された水素ガス吸着等温線は、図9A及び図9Bに示すように、本発明の方法を用いて、p−ブロモテトラフェニルメタンから、ヤマモトタイプウルマンカップリング反応により得られた多孔質ポリマー材料の高圧貯蔵水素ガスの吸着等温線であり、図9A及び図9Bでは、異なる温度での水素ガス吸着等温線を与え、実験の時に選択した温度は、30K、77K、87K、100K、150K、250K、290Kがあり、水素ガス吸着力は、温度の低下によって著しく増加する。40bar、77Kの時に、重量%として水素ガス吸着量は6.8%に達し、現在の水素ガス貯蔵において性能が最もよい材料である。
【0129】
ステップ(5)で得られた製品の30K〜290K、0〜42barで測定された二酸化炭素の吸着等温線は、図10に示すように、本発明の方法を用いて、p−ブロモテトラフェニルメタンから、ヤマモトタイプウルマンカップリング反応により得られた多孔質ポリマー材料の高圧貯蔵二酸化炭素の吸着等温線であり、41bar、77Kの時に、重量%として二酸化炭素吸着量は129.6%に達し、現在の二酸化炭素貯蔵において性能が比較的に優れた材料の1つである。
【0130】
ステップ(5)で得られた製品を25℃の時、0〜トルエン飽和蒸気圧で測定したトルエン吸着等温線は、図11に示すように、本発明の方法を用いて、p−ブロモテトラフェニルメタンから、ヤマモトタイプウルマンカップリング反応により得られた多孔質ポリマー材料のトルエンの吸着等温線であり、図11は、トルエン圧力に対する材料の吸着したトルエンの質量と材料自身の質量との比の図である。トルエンの飽和蒸気圧に近づきまた室温で、材料の吸着したトルエンの質量と材料自身の質量との比は135.68%に達することができる。
【0131】
ステップ(5)で得られた製品を25℃の時、0〜ベンゼン飽和蒸気圧で測定したベンゼン吸着等温線は、図12に示すように、本発明の方法を用いて、p−ブロモテトラフェニルメタンから、ヤマモトタイプウルマンカップリング反応により得られた多孔質ポリマー材料のベンゼンの吸着等温線であり、図12は、ベンゼン圧力に対する材料の吸着したベンゼンの質量と材料自身の質量との比の図であり、ベンゼンの飽和蒸気圧に近づきまた室温で、材料の吸着したベンゼンの質量と材料自身の質量との比は130.55%に達することができる。
【0132】
本発明に係る超高比表面積を有する多孔質ポリマー材料であるポリテトラフェニルメタンの気体貯蔵における応用として、水素ガスの貯蔵に用いることができる。その水素ガスの貯蔵は、以下のステップを含む。
【0133】
(1)活性化後に得られた多孔質ポリマー材料を、80〜200℃の条件で、通常のオイルポンプで4〜40時間にて真空処理し、真空度を10〜3mmHg未満にさせる。
【0134】
(2)290K〜30K、1〜50bar圧力で、上記材料に対して水素ガス貯蔵能力のテストを行なう。
【0135】
本発明に係る超高比表面積を有する多孔質ポリマー材料の気体貯蔵における応用として、二酸化炭素の貯蔵にも用いることができる。その二酸化炭素の貯蔵は、以下のステップを含む。
【0136】
(1)活性化後に得られた多孔質ポリマー材料を、80〜200℃の条件で、通常のオイルポンプで4〜40時間にて真空処理する。
【0137】
(2)25℃、1〜42bar圧力で、上記材料に対して二酸化炭素貯蔵能力のテストを行なう。
【0138】
本発明に係る超高比表面積を有する多孔質ポリマー材料であるポリテトラフェニルメタンの液体吸着における応用として、トルエンの吸着に用いることができる。そのトルエンの吸着は、以下のステップを含む。
【0139】
(1)活性化後に得られた多孔質ポリマー材料を、80〜200℃の条件で、通常のオイルポンプで4〜40時間にて真空処理する。
【0140】
(2)25℃、1〜42bar圧力で、上記材料に対してトルエン吸着力のテストを行なう。
【0141】
本発明に係る超高比表面積を有する多孔質ポリマー材料であるポリテトラフェニルメタンの液体吸着面における応用として、ベンゼンの吸着にも用いることができる。そのベンゼンの吸着面の応用として、以下のステップを含むことを特徴とする。
【0142】
(1)活性化後に得られた多孔質ポリマー材料を、80〜200℃の条件で、通常のオイルポンプで4〜24時間にて真空処理する。
【0143】
(2)25℃、0〜1bar圧力で、上記材料に対してベンゼン吸着力のテストを行なう。
【0144】
本発明の製造されたポリテトラフェニルメタンは、四面体構造を有し且つリジットなテトラフェニルメタンを多孔質材料の原始構造とし、ヤマモトタイプウルマンカップリング反応を採用して、p−ブロモテトラフェニルメタン自身の重合によって超高比表面積を有する多孔質ポリマー材料を製造している。合成された多孔質ポリマー材料は、著しい多孔性と良好な安定性を有し、幅広い応用への先行きが期待される。このポリマー材料は多孔質材料に属しているため、気体貯蔵に用いることができ、特に、水素ガス貯蔵及び二酸化炭素貯蔵に用いられると共に、トルエンやベンゼンの吸着を含む液体吸着剤として用いることができる。高圧低温の水素貯蔵の研究から、この多孔質ポリマー材料は40bar、77Kの時に重量%で6.8%に達し、現在において公知の水素貯蔵材料として最もよいものであることが分かり、二酸化炭素の高圧貯蔵の研究では、41bar、室温で重量%は129.6%に達し、現在の二酸化炭素貯蔵において性能が比較的に優れた材料の1つのであることが分かる。それと同時に、この材料は、ベンゼンとトルエンの液体吸着においても優れた性能を表現しており、トルエンの飽和蒸気圧及び室温で、重量%で算出すると135.68%に達することができ、濃度で算出すると14.74mmol/gになり、ベンゼンの飽和蒸気圧と室温で、質量%で算出すると130.55%に達することができ、濃度で算出すると16.81mmol/gになる。本発明のポリマーは、多孔質ポリマー材料の製造に新しい構想を与えている。また、本発明の材料は現在に報告されている最高比表面積を有する材料であり、気体貯蔵の面だけではなく液体吸着の面においても優れた性能を表現している。
【0145】
次に、他の実施例に基づいて本発明の製造方法をさらに説明する。
【実施例】
【0146】
(実施例1)
(1)1gの ビス(1,5−シクロオクタジエン)ニッケル、0.568gの2, 2’−ビピリジン及び0.4mLの1,5−シクロオクタジエンを、1mLのN, N’−ジメチルホルムアミドの溶液に加入し、それを50℃に予熱された油浴に置いて、触媒を0.5時間にてエージングさせる。
【0147】
(2)続いて、0.2Mのp−ブロモテトラフェニルメタンのN,N−ジメチルホルムアミド3mLを、その温度で60時間にて反応させてから、反応が停止する。
【0148】
(3)反応系へ濃塩酸を加入して、過剰の1,5−シクロオクタジエンニッケルを破壊し、フィルタリングしてレモンイエローの沈殿物が得られる。
【0149】
(4)無機塩及び溶解可能な有機物を100mLの水、100mLのテトラヒドロフラン及び100mLのクロロホルムそれぞれの熱溶液を用いて洗浄除去する。
【0150】
(5)最終の製品を80〜200℃で10〜40時間にて真空乾燥(真空度3〜10mmHg未満)して、ポリマーが得られ、その収率は76%である。
【0151】
(実施例2)
実施例1のステップ(1)における混合溶液をステンレス鋼の真空反応器に移行させ、反応温度を90℃に変化し、他の条件を変化させなくて、実施例1に記載のと同じ材料が得られる。
【0152】
(実施例3)
実施例1のステップ(2)における反応モノマーをp−ヨードテトラフェニルメタンに変換し、他の条件を変化させなくて、実施例1に記載のと同じ材料が得られ、その収率は84%である。
【0153】
(実施例4)
実施例1のステップ(1)に2,2’−ビピリジン及び0.4 mLの1,5−シクロオクタジエンを加入しなく、他の条件を変化させなくて、実施例1に記載のと同じ材料が得られる。
【0154】
(実施例5)
実施例1のステップ(1)における反応溶液をトルエンに変更し、他の条件を変化させなくて、実施例1に記載のと同じ材料が得られる。
【0155】
(実施例6)
実施例1のステップ(1)における反応溶液をN、N’−ジメチルアセトアミドに変換し、他の条件を変化させなくて、実施例1に記載のと同じ材料が得られる。
【0156】
(実施例7)
実施例1のステップ(1)における反応溶液をN−メチルピロリドンに変換し、他の条件を変化させなくて、実施例1に記載のと同じ材料が得られる。
【0157】
(実施例8)
実施例1のステップ(1)における反応溶液をベンゼンに変換し、他の条件を変化させなくて、実施例1に記載のと同じ材料が得られる。
【0158】
(実施例9)
実施例1のステップ(1)における触媒のエージング時間を10時間に長くし、他の条件を変化させなくて、実施例1に記載のと同じ材料が得られる。
【0159】
(実施例10)
(1)6.52gのp−テトラブロモテトラフェニルシラン、5.1gのp−四ほう酸テトラフェニルシラン、0.1gのPd(PPh3)4を1 LのN,N’−ジメチルホルムアミドに溶解させ、窒素雰囲気で1時間にて混合しミキシングする。
【0160】
(2)100 mLの1M炭酸カリウムの水溶液を反応系に加入する。
【0161】
(3)上記混合液を3日間にて還流反応させた後、反応が停止する。
【0162】
(4)反応系へ希塩酸を加入して、反応系を中性に達させる。
【0163】
(5)無機塩及び溶解可能な有機物を100mLの水、100mLのテトラヒドロフラン及び100mLのクロロホルムそれぞれの熱溶液を用いて洗浄除去する。
【0164】
(6)最終の製品を80〜200℃で10〜40時間にて真空乾燥(真空度3〜10mmHg未満)して、ポリマーが得られ、その収率は58%である。
【0165】
(実施例11)
実施例10のステップ(3)における混合溶液をステンレス鋼の真空反応器に移行させ、反応温度を100℃に変化し、他の条件を変化させなくて、実施例10に記載のと同じ材料が得られる。
【0166】
(実施例12)
実施例10のステップ(1)におけるp−テトラブロモテトラフェニルシランをp−テトラヨードテトラフェニルシランに変換し、他の条件を変化させなくて、実施例10に記載のと同じ材料が得られ、その収率は76%である。
【0167】
(実施例13)
実施例10のステップ(1)における反応溶液をトルエンに変換し、他の条件を変化させなくて、実施例10に記載のと同じ材料が得られる。
【0168】
(実施例14)
実施例10のステップ(1)における反応溶液をN、N’−ジメチルアセトアミドに変換し、他の条件を変化させなくて、実施例10に記載のと同じ材料が得られる。
【0169】
(実施例15)
実施例10のステップ(1)における反応溶液をN−メチルピロリドンに変換し、他の条件を変化させなくて、実施例10に記載のと同じ材料が得られる。
【0170】
(実施例16)
実施例10のステップ(1)における反応溶液をベンゼンに変換し、他の条件を変化させなくて、実施例10に記載のと同じ材料が得られる。
【0171】
(実施例17)
(1)0.09gの塩化ニッケル、0.1gの臭化ナトリウム、6.5gの亜鉛末及び1.05gのトリフェニルホスフィンを、N,N’−ジメチルホルムアミドに加入し、それを60℃に予熱された油浴に置いて、触媒を3時間にてエージングさせる。
【0172】
(2)6.5gのp−テトラブロモテトラフェニルシランを加入する。
【0173】
(3)上記溶液を140℃に保持し、3日間にて反応させた後、反応を停止する。
【0174】
(4)反応系へ希塩酸を加入し、余りの亜鉛末を除去する。
【0175】
(5)無機塩及び溶解可能な有機物を100mLの水、100mLのテトラヒドロフラン及び100mLのクロロホルムそれぞれの熱溶液を用いて洗浄除去する。
【0176】
(6)最終の製品を80〜200℃で10〜40時間にて真空乾燥(真空度3〜10mmHg未満)して、ポリマーが得られ、その収率は62%である。
【0177】
(実施例18)
実施例17のステップ(3)における混合溶液をステンレス鋼の真空反応器に移行させ、反応温度を90℃に変化し、他の条件を変化させなくて、実施例17に記載のと同じ材料が得られる。
【0178】
(実施例19)
実施例17のステップ(2)におけるp−テトラブロモテトラフェニルシランをp−テトラヨードテトラフェニルシランに変換し、他の条件を変化させなくて、実施例17に記載のと同じ材料が得られ、その収率は81%である。
【0179】
(実施例20)
実施例17のステップ(1)における反応溶液をトルエンに変換し、他の条件を変化させなくて、実施例17に記載のと同じ材料が得られる。
【0180】
(実施例21)
実施例17のステップ(1)における反応溶液をN、N’−ジメチルアセトアミドに変換し、他の条件を変化させなくて、実施例17に記載のと同じ材料が得られる。
【0181】
(実施例22)
実施例17のステップ(1)における反応溶液をN−メチルピロリドンに変換し、他の条件を変化させなくて、実施例17に記載のと同じ材料が得られる。
【0182】
(実施例23)
実施例17のステップ(1)における反応溶液をベンゼンに変換し、他の条件を変化させなくて、実施例17に記載のと同じ材料が得られる。
上記を総じて、本発明の合成された有機多孔質ポリマー材料は、極めて優れた熱安定性及び優れた水熱安定性を有しており、エネルギー、電気機器等の分野、例えば、発電所、自動車、ワイヤレス電気機器、携帯電話、携帯装置で幅広く用いられ、特に、水素等の燃料電池の燃料の担体として、表面面積が大きく、安定性が高く、高効率的に複数回に循環して使用できる。既存の材料と比較すると、この材料は、水素燃料電池を実用上に有用なものとさせることができる。本発明の有機多孔質ポリマー材料の合成方法の反応は高効率である。
【0183】
以上のように、この分野の当業者にとって、本発明の技術案及び技術構想に従ってその他の様々な変更や変形を行なうことができ、これら全ての変更及び変形はいずれも本発明の添付する権利請求の保護範囲に属することは言うまでもない。
【技術分野】
【0001】
本発明は、機能材料の分野に関し、特に、一連の有機多孔質ポリマー材料及びその合成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
当今世界が直面する最も深刻な問題は、化石燃料を主に使用することによる温室効果ガスの増大に伴う気候温暖化によって日増しに深刻化された自然災害である。現在、世界各国の政府及び企業は、いずれも新規のクリーンエネルギー技術の開発を高度に重視するとともに、国際間のエネルギー利用及び温室効果ガスの排出抑制に関する京都議定書を承認する国もますます多くなっており、どのようにして「エネルギー利用効率を向上するか」と、「環境汚染を低下するか」とが、既に世界各国の高度に注目する課題となっている。
【0003】
今まで燃料電池技術は、21世紀のエネルギー技術分野の核心技術として公認されている。その動作原理は、等温的に燃料と酸化剤に貯蔵された化学エネルギーを電気エネルギーに直接に変換することである。燃料電池は、通常の燃料エンジンに対して、高効率で、ノイズが低く、信頼性が高いとの特徴を有し、特に排出ガスが極めて低いとの特徴を有しているため、現在の第1位で当選されるクリーンで高効率の発電技術としてみなされている。そして、発電所や自動車産業や携帯機器に広く用いられる。燃料電池に関するより詳しい記述は、非特許文献1〜3を参照されたい。
【0004】
多孔質材料は、比較的に大きい比表面積を有しており、燃料とすることが可能な気体又は有機小分子をより多く吸着することができるため、多孔質材料の燃料電池における肝心な材料としての研究は、現在の当該分野における最も重要な研究である。多孔質材料は、孔径が2nm未満の微細孔材料と、孔径が2〜50nmである介在孔材料と、孔径が50nmよりも大きい大孔材料とがある。1995年でオマルヤギ(Omar Yaghi)は確実に実際応用に近い金属−有機配位ポリマーMOF(metal−organic−framework)を合成し(非特許文献4参照)、それらは新規機能性分子材料として、沸石分子ふるいに類似した結晶構造を有するばかりでなく、その構造は設計可能性及びカットアウト可能性も備えており、トポロジー構造の定向設計及び有機官能基の展開によって、ナノサイズの孔路及び孔洞を得ることができ、気体や有機分子の貯蔵面に巨大な応用底力を有するようにする。しかし、MOFの化学安定性が悪い。2005年でオマルヤギ(Omar Yaghi)は軽元素(炭素、水素、酸素、ホウ素)で構築され共有結合により接続された有機骨格多孔質材料COF(covalent organic framework)を報告した(非特許文献5参照)。しかし、化学安定性の問題は確実に解決されていない。
【0005】
従って、有機多孔質ポリマー材料の性能をさらに向上させる必要がある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Hynek等、「Int. J. Hydrogen Energy」、22、No. 6, 601−610 (1997)
【非特許文献2】J. A. Kerres等、「Journal of Membrane Science」、185, 2001、3−27(論文)
【非特許文献3】G. March、「Materials Today」 4、No. 2 (2001), 20−24
【非特許文献4】Nature、1995、(378)、703
【非特許文献5】Science、2005、(310)、1166
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の第1の目的は、その熱安定性及び水熱安定性がよく、そのBET比表面積が超高の有機多孔質ポリマー材料を提供することにある。
【0008】
また、本発明の第2の目的は、高反応効率の有機多孔質ポリマー材料の合成方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記の目的を達成するために、その構造が下記の一般式で表れる有機多孔質ポリマー材料を提供している。
【0010】
【化1】
【0011】
【化2】
【0012】
ただし、数字1〜10が示す位置は、C、N又はCH、或いはCHにおけるHを置換するメチル、エチル、アミノ、カルボキシル基、メトキシ、ヒドロキシ基、またはエステル基であり、英文a、bが示す位置は、CまたはN+、或いはB−である。
【0013】
本発明は、さらに、有機多孔質ポリマー材料の合成方法において、
1:(0〜15):(0〜15)モール比のビス(1,5−シクロオクタジエン)ニッケル、2,2’−ビピリジン及び1,5−シクロオクタジエンをN,N’−ジメチルホルムアミドまたはトルエン溶液に加入し、それを予めに20〜140℃に加熱された油浴におき、触媒を0〜10時間にてエージングさせるステップ1と、
対応モール数の反応モノマーを加入し、反応開始のモノマーの濃度を0.001M〜5Mの間に保持すると共に、反応開始のビス(1,5−シクロオクタジエン)ニッケルとモノマーのモール数の比率を(2〜18):1とするステップ2と、
上記溶液を20〜140℃にて保持し、10分間〜10日間にて反応させてから、反応が停止するステップ3と、
反応系へ濃塩酸を加入して、残りのビス(1,5−シクロオクタジエン)ニッケルを破壊するステップ4と、
水、テトラヒドロフラン及びクロロホルムそれぞれの熱溶液によって、無機塩及び溶解可能な有機物を洗浄除去し、最後の製品を80〜200℃で4〜40時間にて真空乾燥し、有機多孔質ポリマー材料が得られるステップ5とを含む有機多孔質ポリマー材料の合成方法を提供している。
【0014】
そのうち、前記反応は、ヤマモトタイプウルマン(Yamamoto type Ullmann)反応である。
【0015】
本発明は、さらに、有機多孔質ポリマー材料の合成方法において、
1:(1〜15):(0〜15):(0〜15)モール比の塩化ニッケル、臭化ナトリウム、亜鉛末及びトリフェニルホスフィンをN,N’−ジメチルホルムアミドまたはトルエン溶液に加入し、それを予めに20℃〜140℃に加熱された油浴におき、触媒を0〜10時間にてエージングさせるステップ1と、
対応モール数の反応モノマーを加入し、反応開始のモノマーの濃度を0.001M〜5Mの間に保持するステップ2と、
上記溶液を20〜140℃にて保持し、10分間〜10日間にて反応させてから、反応が停止するステップ3と、
反応系へ濃塩酸を加入して、残りの亜鉛末を除去するステップ4と、
水、テトラヒドロフラン及びクロロホルムそれぞれの熱溶液によって、無機塩及び溶解可能な有機物を洗浄除去し、最後の製品を80〜200℃で4〜40時間にて真空乾燥し、有機多孔質ポリマー材料が得られるステップ5とを含む有機多孔質ポリマー材料の合成方法を提供している。
【0016】
そのうち、前記反応は、ウルマンカップリング反応である。
【0017】
本発明は、さらに、有機多孔質ポリマー材料の合成方法において、
開始濃度が0.001M〜5Mであるモノマーと、開始モール濃度はモノマーモール濃度の0.05%〜50%であるPd(PPh3)4とを、N,N’−ジメチルホルムアミドまたはトルエンに加入し、窒素雰囲気で0〜10時間にて混合しミキシングするステップ1と、
開始モール濃度がモノマーモール濃度の4〜200倍であるアルカリ水溶液を反応系に加入するステップ2と、
上記溶液を20〜140℃にて保持し、10分間〜10日間にて反応させてから、反応が停止するステップ3と、
反応系へ希塩酸を加入して、反応系を中性に達させるステップ4と、
水、テトラヒドロフラン及びクロロホルムそれぞれの熱溶液によって、無機塩及び溶解可能な有機物を洗浄除去し、最後の製品を80〜200℃で4〜40時間にて真空乾燥し、有機多孔質ポリマー材料が得られるステップ5とを含む有機多孔質ポリマー材料の合成方法を提供している。
【0018】
そのうち、前記反応は、鈴木カップリング反応である。
【0019】
そのうち、ステップ5は、さらに、
その都度10〜100ミリリットルの50〜100℃の水を用いて、ポリマーを3〜5回処理して、フィルタするステップ5.1と、
その都度10〜100ミリリットルの20〜70℃のテトラヒドロフランを用いて、ポリマーを3〜5回処理して、フィルタするステップ5.2と、
その都度10〜100ミリリットルの20〜60℃のクロロホルムを用いて、ポリマーを3〜5回処理して、フィルタするステップ5.3と、
ポリマーを80〜200℃の条件で、4〜40時間にて真空処理し、真空度は3〜10mmHgよりも小さく、ポリマーが得られるステップ5.4とを含んでいる。
【0020】
そのうち、ヤマモトタイプウルマン反応とウルマンカップリング反応に用いられるモノマーの一般式は以下の通りである。
【0021】
【化3】
【0022】
【化4】
【0023】
ただし、数字1〜10が示す位置は、C、N又はCH、或いはCHにおけるHを置換するメチル、エチル、アミノ、カルボキシル基、メトキシ、ヒドロキシ基、またはエステル基であり、英文a、bが示す位置は、CまたはN+、或いはB−である。
【0024】
そのうち、鈴木カップリング反応に用いられるモノマーの一般式は以下の通りである。
【0025】
【化5】
【0026】
【化6】
【0027】
ただし、数字1〜10が示す位置は、C、N又はCH、或いはCHにおけるHを置換するメチル、エチル、アミノ、カルボキシル基、メトキシ、ヒドロキシ基、またはエステル基であり、英文a、bが示す位置は、CまたはN+、或いはB−である。
【発明の効果】
【0028】
上記を総じて、本発明にて合成さらる有機多孔質ポリマー材料は、極めて優れた熱安定性や優れた水熱安定性を有し、例えば、発電所、自動車、ワイヤレス電気機器、携帯電話、携帯装置等のエネルギーや電気機器等の分野に広く用いられ、特に、水素等の燃料電池における燃料の担体として、表面面積が大きく、安定性が高くて、高効率で複数回に循環使用することができる。本発明に係る有機多孔質ポリマー材料の合成方法の反応は高効率的である。
【0029】
本発明の特徴及び技術内容は、添付の図面と関連して理解されるこの発明に関する次の詳細な説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1A】図1Aは、本発明に係る超高比表面積を有する多孔質ポリマー材料のダイヤモンド構造ユニットを示す図である。
【図1B】図1Bは、本発明に係る超高比表面積を有する多孔質ポリマー材料のダイヤモンド構造ユニットを示す図である。
【図2A】図2Aは、本発明に係る超高比表面積を有する多孔質ポリマー材料と反応モノマーの赤外スペクトルである。
【図2B】図2Bは、本発明に係る超高比表面積を有する多孔質ポリマー材料と反応モノマーの赤外スペクトルである。
【図3】図3は、本発明に係る超高比表面積を有する多孔質ポリマー材料の熱重量分析図である。
【図4】図4は、本発明に係る超高比表面積を有する多孔質ポリマー材料の透過型電子顕微鏡の図である。
【図5】図5は、本発明に係る超高比表面積を有する多孔質ポリマー材料の窒素吸脱着等温線である。
【図6】図6は、本発明に係る超高比表面積を有する多孔質ポリマー材料のH−K方法による孔径分布図である。
【図7】図7は、本発明に係る超高比表面積を有する多孔質ポリマー材料の水熱処理後の窒素吸脱着等温線である。
【図8】図8は、本発明に係る超高比表面積を有する多孔質ポリマー材料の水熱処理後のH−K方法による孔径分布図である。
【図9A】図9Aは、本発明に係る超高比表面積を有する多孔質ポリマー材料の高圧水素貯蔵等温線である。
【図9B】図9Bは、本発明に係る超高比表面積を有する多孔質ポリマー材料の高圧水素貯蔵等温線である。
【図10】図10は、本発明に係る超高比表面積を有する多孔質ポリマー材料の高圧二酸化炭素吸着等温線である。
【図11】図11は、本発明に係る超高比表面積を有する多孔質ポリマー材料のトルエン吸着等温線である。
【図12】図12は、本発明に係る超高比表面積を有する多孔質ポリマー材料のベンゼン吸着等温線である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明に用いられる技術手段及びその効果をさらに明らかにするために、本発明の実施例について詳しく説明する。
【0032】
本発明の提供している有機多孔質ポリマー材料の一般式は、以下のように表れる。
【0033】
【化7】
【0034】
【化8】
【0035】
ただし、数字1〜10が示す位置は、C、CH又はN、或いはCHにおけるHを置換するメチル、エチル、アミノ、カルボキシル基、メトキシ、ヒドロキシ基、またはカルボキシルメチルであり、英文a、bが示す位置は、CまたはN+、或いはB−である。
【0036】
本発明では、ヤマモトタイプウルマン反応、ウルマン反応、鈴木カップリングの3種類の上記有機多孔質ポリマー材料の合成方法を提供している。これら3種類の方法にていずれも本発明の有機多孔質ポリマー材料を得ることができる。これら3種類の合成方法を適用して得られる有機多孔質ポリマーは、材料の性能上でいくつかの差異有することができるが、これら材料の実用中では、合成方法の異なりによるいずれか応用上の制限はない。
本発明の有機多孔質ポリマー材料の3種類の合成方法を明らかに説明するために、ポリ(p−テトラフェニルシラン)を例として詳しく説明する。
【0037】
ヤマモトタイプウルマン反応によるポリ(p−テトラフェニルシラン)の合成は、以下のような反応式で表現できる。
【0038】
【化9】
【0039】
上記反応に用いられる反応タイプは、ヤマモトタイプウルマンカップリング反応であり、その用いられる触媒は、ビス(1,5−シクロオクタジエン)ニッケル、2,2’−ビピリジン、1,5−シクロオクタジエン系である。
【0040】
この合成方法は、
1:(0〜15):(0〜15)モール比のビス(1,5−シクロオクタジエン)ニッケル、2,2’−ビピリジン及び1,5−シクロオクタジエンをN,N’−ジメチルホルムアミドまたはトルエン溶液に加入し、それを予めに20〜140℃に加熱された油浴におき、触媒を0〜10時間にてエージングさせるステップ1と、
対応モール数のp−テトラブロモテトラフェニルシランを加入し、反応開始のp−テトラブロモテトラフェニルシランの濃度を0.001M〜5Mの間に保持すると共に、反応開始のビス(1,5−シクロオクタジエン)ニッケルとモノマーのモール数の比率を(2〜18):1とするステップ2と、
上記溶液を20〜140℃にて保持し、10分間〜10日間にて反応させてから、反応が停止するステップ3と、
反応系へ濃塩酸を加入して、残りのビス(1,5−シクロオクタジエン)ニッケルを除去するステップ4と、
水、テトラヒドロフラン及びクロロホルムそれぞれの熱溶液によって、無機塩及び溶解可能な有機物を洗浄除去し、最後の製品を80〜200℃で4〜40時間にて真空乾燥して、有機多孔質ポリマー材料が得られるステップ5とを含んでいる。
【0041】
また、ステップ5は、
その都度10〜100ミリリットルの50〜100℃の水を用いて、ポリマーを3〜5回処理して、フィルタするステップ5.1と、
その都度10〜100ミリリットルの20〜70℃のテトラヒドロフランを用いて、ポリマーを3〜5回処理して、フィルタするステップ5.2と、
その都度10〜100ミリリットルの20〜60℃のクロロホルムを用いて、ポリマーを3〜5回処理して、フィルタするステップ5.3と、
ポリマーを80〜200℃の条件で、4〜40時間にて真空処理し、真空度は3〜10mmHgよりも小さく、ポリマーが得られるステップ5.4とを含んでいる。
【0042】
ウルマン反応によるポリ(p−テトラフェニルシラン)の合成は、以下の反応式で表現される。
【0043】
【化10】
【0044】
反応の際に用いられる反応タイプは、ウルマン反応であり、具体的に、用いられる触媒は、亜鉛末、塩化ニッケル、臭化ナトリウム、トリフェニルホスフィン系である。
【0045】
また、合成方法は、
1:(1〜15):(0〜15):(0〜15)モール比の塩化ニッケル、臭化ナトリウム、亜鉛末及びトリフェニルホスフィンをN,N’−ジメチルホルムアミドまたはトルエン溶液に加入し、それを予めに20℃〜140℃に加熱された油浴におき、触媒を0〜10時間にてエージングさせるステップ1と、
対応モール数のp−テトラブロモテトラフェニルシランを加入し、反応開始のp−テトラブロモテトラフェニルシランの濃度を0.001M〜5Mの間に保持するステップ2と、
上記溶液を20〜140℃にて保持し、10分間〜10日間にて反応させてから、反応が停止するステップ3と、
反応系へ濃塩酸を加入して、残りの亜鉛末を除去するステップ4と、
水、テトラヒドロフラン及びクロロホルムそれぞれの熱溶液によって、無機塩及び溶解可能な有機物を洗浄除去し、最後の製品を80〜200℃で4〜40時間にて真空乾燥し、有機多孔質ポリマー材料を得るステップ5とを含んでいる。
【0046】
また、ステップ5は、
その都度10〜100ミリリットルの50〜100℃の水を用いて、ポリマーを3〜5回処理して、フィルタするステップ5.1と、
その都度10〜100ミリリットルの20〜70℃のテトラヒドロフランを用いて、ポリマーを3〜5回処理して、フィルタするステップ5.2と、
その都度10〜100ミリリットルの20〜60℃のクロロホルムを用いて、ポリマーを3〜5回処理して、フィルタするステップ5.3と、
ポリマーを80〜200℃の条件で、4〜40時間にて真空処理し、真空度は3〜10mmHgよりも小さく、ポリマーが得られるステップ5.4とを含んでいる。
【0047】
鈴木カップリング反応によるポリ(p−テトラフェニルシラン)の合成は、以下の反応式で表現される。
【0048】
【化11】
【0049】
反応の際に用いられる反応タイプは、鈴木カップリング反応であり、具体的に、用いられる触媒は、Pd(PPh3)4、アルカリ水系である。
【0050】
また、合成方法は、
開始濃度が0.001M〜5Mであるモノマーと、開始モール濃度はモノマーモール濃度の0.05%〜50%であるPd(PPh3)4とを、N,N’−ジメチルホルムアミドまたはトルエンに加入し、窒素雰囲気で0〜10時間にて混合しミキシングするステップ1と、
開始モール濃度がモノマーモール濃度の4〜200倍であるアルカリ水溶液を反応系に加入するステップ2と、
上記溶液を20〜140℃にて保持し、10分間〜10日間にて反応させてから、反応が停止するステップ3と、
反応系へ希塩酸を加入して、反応系を中性に達させるステップ4と、
水、テトラヒドロフラン及びクロロホルムそれぞれの熱溶液によって、無機塩及び溶解可能な有機物を洗浄除去し、最後の製品を80〜200℃で4〜40時間にて真空乾燥して、有機多孔質ポリマー材料が得られるステップ5とを含んでいる。
【0051】
また、ステップ5は、
その都度10〜100ミリリットルの50〜100℃の水を用いて、ポリマーを3〜5回処理して、フィルタするステップ5.1と、
その都度10〜100ミリリットルの20〜70℃のテトラヒドロフランを用いて、ポリマーを3〜5回処理して、フィルタするステップ5.2と、
その都度10〜100ミリリットルの20〜60℃のクロロホルムを用いて、ポリマーを3〜5回処理して、フィルタするステップ5.3と、
ポリマーを80〜200℃の条件で、4〜40時間にて真空処理し、真空度は3〜10 mmHgよりも小さく、ポリマーが得られるステップ5.4とを含んでいる。
【0052】
本発明の有機多孔質ポリマー材料の3種類の合成方法をより全面的に説明するために、以下に5種類の異なるタイプのモノマーを用いて合成可能な代表的化合物及びその3種類に対する合成方法作についてさらに詳しく説明する。次の5種類に対するモノマー構造の一般式で現れる置換基R1、R2、R3、R4は、ベンゼン、ナフタレン、ビフェニル、ピリジン、ピリダジン、トリアジン、テトラジン、ペンタジン、ヘキサジン又は1−フェニルピリジニウムである。置換基には、いずれか位置に1つないし複数の置換基を有することができ、置換基は、メチル、エチル、アミノ、カルボキシル基、メトキシ、ヒドロキシ基、或エステル基等でもよい。置換基の接続方式は、いずれか位置の接続でもよい。本発明に係るイオン型ポリマーはいずれも対応するカウンタイオン対を有しており、最終の材料を電気中性にする。
【0053】
1.テトラアリールアルカンモノマーであって、その一般式は、
【0054】
【化12】
【0055】
であり、合成可能な代表的化合物は、ポリテトラビフェニルメタンであり、その構造式は、
【0056】
【化13】
【0057】
である。
【0058】
前者の2種類の方法(ヤマモトタイプウルマン反応、ウルマン反応)について、反応するモノマーは、
【0059】
【化14】
【0060】
である。
【0061】
3番目の方法(鈴木カップリング反応)について、反応するモノマーは、
【0062】
【化15】
【0063】
である。
【0064】
2.テトラアリールシリコンモノマーであって、その一般式は、
【0065】
【化16】
【0066】
であり、合成可能な代表的化合物は、ポリテトラフェニルシランであり、その構造式は、
【0067】
【化17】
【0068】
である。
【0069】
前者の2種類の方法(ヤマモトタイプウルマン反応、ウルマン反応)について、反応するモノマーは、
【0070】
【化18】
【0071】
である。
【0072】
3番目の方法(鈴木カップリング反応)について、反応するモノマーは、
【0073】
【化19】
【0074】
である。
【0075】
3.テトラアリール第4級アンモニウム塩モノマーであって、その一般式は、
【0076】
【化20】
【0077】
であり、合成可能な代表的化合物は、ポリ−4−フェニル−第4級アンモニウム塩であり、その構造式は、
【0078】
【化21】
【0079】
である。
【0080】
前者の2種類の方法(ヤマモトタイプウルマン反応、ウルマン反応)について、反応するモノマーは、
【0081】
【化22】
【0082】
である。
【0083】
3番目の方法(鈴木カップリング反応)について、反応するモノマーは、
【0084】
【化23】
【0085】
である。
【0086】
4.テトラアリールホスホニウム塩モノマーであって、その一般式は、
【0087】
【化24】
【0088】
であり、合成可能な代表的化合物は、ポリ−4−フェニル−ホスホニウム塩であり、その構造式は、
【0089】
【化25】
【0090】
である。
【0091】
前者の2種類の方法(ヤマモトタイプウルマン反応、ウルマン反応)について、反応するモノマーは、
【0092】
【化26】
【0093】
である。
【0094】
3番目の方法(鈴木カップリング反応)について、反応するモノマーは、
【0095】
【化27】
【0096】
である。
【0097】
5.テトラアリールホウ素塩モノマーであって、その一般式は、
【0098】
【化28】
【0099】
であり、合成可能な代表的化合物は、ポリ−4−フェニル−ホウ素塩であり、その構造式は、
【0100】
【化29】
【0101】
である。
【0102】
前者の2種類の方法(ヤマモトタイプウルマン反応、ウルマン反応)について、反応するモノマーは、
【0103】
【化30】
【0104】
である。
【0105】
3番目の方法(鈴木カップリング反応)について、反応するモノマーは、
【0106】
【化31】
【0107】
である。
【0108】
次に、ヤマモトタイプウルマンカップリング反応にてポリテトラフェニルメタンを合成する例について詳しく説明する。
【0109】
図1A及び図1Bに示すように、ダイヤモンド構造ユニットを示す図であり、設計して合成されたポリマーは、ダイヤモンドの炭素原子をビフェニルにより接続して形成された超高比表面積を有する多孔質ポリマー材料として見ることができる。ポリテトラフェニルメタンについて、その分子式は(C(Ph)4)nであり、その構造式は、
【0110】
【化32】
【0111】
である。
【0112】
反応過程は、次の反応式で表現することができる。
【0113】
【化33】
【0114】
本発明のポリテトラフェニルメタンの合成方法は、
等物質量のビス(1,5−シクロオクタジエン)ニッケル、2,2−ビピリジン及び1,5−シクロオクタジエンをN,N−ジメチルホルムアミド又はトルエン溶液に加入し、それを20℃〜140℃に予熱された油浴に置き、触媒を0.5〜3時間にエージングするステップ1と、
対応モール数のp−ブロモテトラフェニルメタン又はp−ヨードテトラフェニルメタンのN,N−ジメチルホルムアミド又はトルエン溶液を加入して、反応物の濃度を0.001M〜5Mの間に保持させると共に、ビス(1,5−シクロオクタジエン)ニッケルとハロゲン原子の比率値を0.6〜1.5の間に保たせるステップ2と、
上記溶液を温度を保持して、10分間〜5日にて反応させてから、反応が停止するステップ3と、
反応系へ濃塩酸を加入し、残りのビス(1,5−シクロオクタジエン)ニッケルを破壊するステップ4と、
無機塩及び溶解可能な有機物を、水、テトラヒドロフラン及びクロロホルムそれぞれの熱溶液を用いて洗浄除去し、最後の製品を80℃〜200℃で4〜40時間にて真空乾燥させて、ポリマー:ポリテトラフェニルメタンが得られるステップ5とを含む。
【0115】
次のポリテトラフェニルメタンを合成する具体的な方法は、以下のステップを採用する。
【0116】
(1)1gのビス(1,5−シクロオクタジエン)ニッケル、0.568gの2,2−ビピリジン及び0.4mLの1,5−シクロオクタジエンを、1mLのN,N−ジメチルホルムアミド溶液に加入し、それを60℃に予熱された油浴に置いて、触媒を0.5〜3時間にてエージングさせる。
【0117】
(2)続いて、0.2Mのp−ブロモテトラフェニルメタンのN,N−ジメチルホルムアミド3mLを、その温度で60時間にて反応させてから、反応が停止する。
【0118】
(3)反応系へ濃塩酸を加入して、過剰の1,5−シクロオクタジエンニッケルを破壊し、フィルタリングしてレモンイエローの沈殿物が得られる。
【0119】
(4)無機塩及び溶解可能な有機物を100mLの水、100mLのテトラヒドロフラン及び100mLのクロロホルムそれぞれの熱溶液を用いて洗浄除去する。
【0120】
(5)最終の製品を80〜200℃で10〜40時間にて真空乾燥(真空度10〜3mmHg未満)して、ポリマーが得られ、その収率は76%である。
【0121】
図2A及び図2Bに示すように、本発明の方法を用いて、p−ブロモテトラフェニルメタンから、ヤマモトタイプウルマンカップリング反応により製造された多孔質ポリマー材料のポリテトラフェニルメタンと反応モノマーの赤外線スペクトル比較図であり、その中、図2Aは、製造された多孔質ポリマー材料と反応モノマーの4000cm−1から400cm−1までの赤外線フルスペクトル比較図であり、図2Bは、製造された多孔質ポリマー材料と反応モノマーの1600cm−1から400cm−1までの赤外線スペクトル比較拡大図である。図中の実線は反応モノマーの赤外線スペクトラムであり、点線は製造された多孔質ポリマー材料の赤外線スペクトラムであり、赤外線スペクトラムに標記された512cm−1及び532cm−1はC−Br特徴的吸収ピークであり、重合反応後の対応位置のC−Br特徴的吸収ピークは明らかに消失され、重合反応が非常に徹底して行なってしまうことを証明している。
【0122】
図3に示すように、本発明の方法を用いて、p−ブロモテトラフェニルメタンから、ヤマモトタイプウルマンカップリング反応により得られた多孔質ポリマー材料の熱重量図であり、熱重量の検討によって、ポリマーの5%質量が420℃で失重され、合成された多孔質ポリマー材料が優れた安定性を有していることを示す。
【0123】
図4に示すように、本発明の方法を用いて、p−ブロモテトラフェニルメタンから、ヤマモトタイプウルマンカップリング反応により得られた多孔質ポリマー材料の透過型電子顕微鏡図であり、透射図によって、合成された多孔質ポリマー材料の孔構造を明らかに観察することができるが、順序的構造は有していない。
【0124】
ステップ(5)で得られた製品の77K、0〜1atmで測定された窒素ガスの吸着等温線はI−型等温線であり、図5に示すように、本発明の方法を用いて、p−ブロモテトラフェニルメタンから、ヤマモトタイプウルマンカップリング反応により得られた多孔質ポリマー材料の窒素吸脱着等温線であり、実点は吸着曲線であり、空点は脱着曲線であり、窒素吸脱着等温線によって、得られた多孔質ポリマー材料のBET比表面積は5600m2/gに達する。
【0125】
図6に示すように、本発明の方法を用いて、p−ブロモテトラフェニルメタンから、ヤマモトタイプウルマンカップリング反応により得られた多孔質ポリマー材料をH−K方法に従って算出した孔径分布図であり、多孔質ポリマー材料の孔径は1nm程度に分布されている。
【0126】
図7に示すように、本発明の方法を用いて、p−ブロモテトラフェニルメタンから、ヤマモトタイプウルマンカップリング反応により得られた多孔質ポリマー材料を水熱処理後の窒素吸脱着等温線であり、実点は吸着曲線であり、空点は脱着曲線であり、多孔質ポリマー材料は100℃の水で7日にて処理された後に、窒素ガス吸着曲線は基本的に変化しなく、多孔質ポリマー材料が良好な水熱安定性を備えていることを示す。
【0127】
図8に示すように、本発明の方法を用いて、p−ブロモテトラフェニルメタンから、ヤマモトタイプウルマンカップリング反応により得られた多孔質ポリマー材料を水熱処理後のH−K方法に従って算出した孔径分布図であり、多孔質ポリマー材料は水熱処理後に、その孔径分布は依然として1nm程度である。
【0128】
ステップ(5)で得られた製品の30K〜290K、0〜50barで測定された水素ガス吸着等温線は、図9A及び図9Bに示すように、本発明の方法を用いて、p−ブロモテトラフェニルメタンから、ヤマモトタイプウルマンカップリング反応により得られた多孔質ポリマー材料の高圧貯蔵水素ガスの吸着等温線であり、図9A及び図9Bでは、異なる温度での水素ガス吸着等温線を与え、実験の時に選択した温度は、30K、77K、87K、100K、150K、250K、290Kがあり、水素ガス吸着力は、温度の低下によって著しく増加する。40bar、77Kの時に、重量%として水素ガス吸着量は6.8%に達し、現在の水素ガス貯蔵において性能が最もよい材料である。
【0129】
ステップ(5)で得られた製品の30K〜290K、0〜42barで測定された二酸化炭素の吸着等温線は、図10に示すように、本発明の方法を用いて、p−ブロモテトラフェニルメタンから、ヤマモトタイプウルマンカップリング反応により得られた多孔質ポリマー材料の高圧貯蔵二酸化炭素の吸着等温線であり、41bar、77Kの時に、重量%として二酸化炭素吸着量は129.6%に達し、現在の二酸化炭素貯蔵において性能が比較的に優れた材料の1つである。
【0130】
ステップ(5)で得られた製品を25℃の時、0〜トルエン飽和蒸気圧で測定したトルエン吸着等温線は、図11に示すように、本発明の方法を用いて、p−ブロモテトラフェニルメタンから、ヤマモトタイプウルマンカップリング反応により得られた多孔質ポリマー材料のトルエンの吸着等温線であり、図11は、トルエン圧力に対する材料の吸着したトルエンの質量と材料自身の質量との比の図である。トルエンの飽和蒸気圧に近づきまた室温で、材料の吸着したトルエンの質量と材料自身の質量との比は135.68%に達することができる。
【0131】
ステップ(5)で得られた製品を25℃の時、0〜ベンゼン飽和蒸気圧で測定したベンゼン吸着等温線は、図12に示すように、本発明の方法を用いて、p−ブロモテトラフェニルメタンから、ヤマモトタイプウルマンカップリング反応により得られた多孔質ポリマー材料のベンゼンの吸着等温線であり、図12は、ベンゼン圧力に対する材料の吸着したベンゼンの質量と材料自身の質量との比の図であり、ベンゼンの飽和蒸気圧に近づきまた室温で、材料の吸着したベンゼンの質量と材料自身の質量との比は130.55%に達することができる。
【0132】
本発明に係る超高比表面積を有する多孔質ポリマー材料であるポリテトラフェニルメタンの気体貯蔵における応用として、水素ガスの貯蔵に用いることができる。その水素ガスの貯蔵は、以下のステップを含む。
【0133】
(1)活性化後に得られた多孔質ポリマー材料を、80〜200℃の条件で、通常のオイルポンプで4〜40時間にて真空処理し、真空度を10〜3mmHg未満にさせる。
【0134】
(2)290K〜30K、1〜50bar圧力で、上記材料に対して水素ガス貯蔵能力のテストを行なう。
【0135】
本発明に係る超高比表面積を有する多孔質ポリマー材料の気体貯蔵における応用として、二酸化炭素の貯蔵にも用いることができる。その二酸化炭素の貯蔵は、以下のステップを含む。
【0136】
(1)活性化後に得られた多孔質ポリマー材料を、80〜200℃の条件で、通常のオイルポンプで4〜40時間にて真空処理する。
【0137】
(2)25℃、1〜42bar圧力で、上記材料に対して二酸化炭素貯蔵能力のテストを行なう。
【0138】
本発明に係る超高比表面積を有する多孔質ポリマー材料であるポリテトラフェニルメタンの液体吸着における応用として、トルエンの吸着に用いることができる。そのトルエンの吸着は、以下のステップを含む。
【0139】
(1)活性化後に得られた多孔質ポリマー材料を、80〜200℃の条件で、通常のオイルポンプで4〜40時間にて真空処理する。
【0140】
(2)25℃、1〜42bar圧力で、上記材料に対してトルエン吸着力のテストを行なう。
【0141】
本発明に係る超高比表面積を有する多孔質ポリマー材料であるポリテトラフェニルメタンの液体吸着面における応用として、ベンゼンの吸着にも用いることができる。そのベンゼンの吸着面の応用として、以下のステップを含むことを特徴とする。
【0142】
(1)活性化後に得られた多孔質ポリマー材料を、80〜200℃の条件で、通常のオイルポンプで4〜24時間にて真空処理する。
【0143】
(2)25℃、0〜1bar圧力で、上記材料に対してベンゼン吸着力のテストを行なう。
【0144】
本発明の製造されたポリテトラフェニルメタンは、四面体構造を有し且つリジットなテトラフェニルメタンを多孔質材料の原始構造とし、ヤマモトタイプウルマンカップリング反応を採用して、p−ブロモテトラフェニルメタン自身の重合によって超高比表面積を有する多孔質ポリマー材料を製造している。合成された多孔質ポリマー材料は、著しい多孔性と良好な安定性を有し、幅広い応用への先行きが期待される。このポリマー材料は多孔質材料に属しているため、気体貯蔵に用いることができ、特に、水素ガス貯蔵及び二酸化炭素貯蔵に用いられると共に、トルエンやベンゼンの吸着を含む液体吸着剤として用いることができる。高圧低温の水素貯蔵の研究から、この多孔質ポリマー材料は40bar、77Kの時に重量%で6.8%に達し、現在において公知の水素貯蔵材料として最もよいものであることが分かり、二酸化炭素の高圧貯蔵の研究では、41bar、室温で重量%は129.6%に達し、現在の二酸化炭素貯蔵において性能が比較的に優れた材料の1つのであることが分かる。それと同時に、この材料は、ベンゼンとトルエンの液体吸着においても優れた性能を表現しており、トルエンの飽和蒸気圧及び室温で、重量%で算出すると135.68%に達することができ、濃度で算出すると14.74mmol/gになり、ベンゼンの飽和蒸気圧と室温で、質量%で算出すると130.55%に達することができ、濃度で算出すると16.81mmol/gになる。本発明のポリマーは、多孔質ポリマー材料の製造に新しい構想を与えている。また、本発明の材料は現在に報告されている最高比表面積を有する材料であり、気体貯蔵の面だけではなく液体吸着の面においても優れた性能を表現している。
【0145】
次に、他の実施例に基づいて本発明の製造方法をさらに説明する。
【実施例】
【0146】
(実施例1)
(1)1gの ビス(1,5−シクロオクタジエン)ニッケル、0.568gの2, 2’−ビピリジン及び0.4mLの1,5−シクロオクタジエンを、1mLのN, N’−ジメチルホルムアミドの溶液に加入し、それを50℃に予熱された油浴に置いて、触媒を0.5時間にてエージングさせる。
【0147】
(2)続いて、0.2Mのp−ブロモテトラフェニルメタンのN,N−ジメチルホルムアミド3mLを、その温度で60時間にて反応させてから、反応が停止する。
【0148】
(3)反応系へ濃塩酸を加入して、過剰の1,5−シクロオクタジエンニッケルを破壊し、フィルタリングしてレモンイエローの沈殿物が得られる。
【0149】
(4)無機塩及び溶解可能な有機物を100mLの水、100mLのテトラヒドロフラン及び100mLのクロロホルムそれぞれの熱溶液を用いて洗浄除去する。
【0150】
(5)最終の製品を80〜200℃で10〜40時間にて真空乾燥(真空度3〜10mmHg未満)して、ポリマーが得られ、その収率は76%である。
【0151】
(実施例2)
実施例1のステップ(1)における混合溶液をステンレス鋼の真空反応器に移行させ、反応温度を90℃に変化し、他の条件を変化させなくて、実施例1に記載のと同じ材料が得られる。
【0152】
(実施例3)
実施例1のステップ(2)における反応モノマーをp−ヨードテトラフェニルメタンに変換し、他の条件を変化させなくて、実施例1に記載のと同じ材料が得られ、その収率は84%である。
【0153】
(実施例4)
実施例1のステップ(1)に2,2’−ビピリジン及び0.4 mLの1,5−シクロオクタジエンを加入しなく、他の条件を変化させなくて、実施例1に記載のと同じ材料が得られる。
【0154】
(実施例5)
実施例1のステップ(1)における反応溶液をトルエンに変更し、他の条件を変化させなくて、実施例1に記載のと同じ材料が得られる。
【0155】
(実施例6)
実施例1のステップ(1)における反応溶液をN、N’−ジメチルアセトアミドに変換し、他の条件を変化させなくて、実施例1に記載のと同じ材料が得られる。
【0156】
(実施例7)
実施例1のステップ(1)における反応溶液をN−メチルピロリドンに変換し、他の条件を変化させなくて、実施例1に記載のと同じ材料が得られる。
【0157】
(実施例8)
実施例1のステップ(1)における反応溶液をベンゼンに変換し、他の条件を変化させなくて、実施例1に記載のと同じ材料が得られる。
【0158】
(実施例9)
実施例1のステップ(1)における触媒のエージング時間を10時間に長くし、他の条件を変化させなくて、実施例1に記載のと同じ材料が得られる。
【0159】
(実施例10)
(1)6.52gのp−テトラブロモテトラフェニルシラン、5.1gのp−四ほう酸テトラフェニルシラン、0.1gのPd(PPh3)4を1 LのN,N’−ジメチルホルムアミドに溶解させ、窒素雰囲気で1時間にて混合しミキシングする。
【0160】
(2)100 mLの1M炭酸カリウムの水溶液を反応系に加入する。
【0161】
(3)上記混合液を3日間にて還流反応させた後、反応が停止する。
【0162】
(4)反応系へ希塩酸を加入して、反応系を中性に達させる。
【0163】
(5)無機塩及び溶解可能な有機物を100mLの水、100mLのテトラヒドロフラン及び100mLのクロロホルムそれぞれの熱溶液を用いて洗浄除去する。
【0164】
(6)最終の製品を80〜200℃で10〜40時間にて真空乾燥(真空度3〜10mmHg未満)して、ポリマーが得られ、その収率は58%である。
【0165】
(実施例11)
実施例10のステップ(3)における混合溶液をステンレス鋼の真空反応器に移行させ、反応温度を100℃に変化し、他の条件を変化させなくて、実施例10に記載のと同じ材料が得られる。
【0166】
(実施例12)
実施例10のステップ(1)におけるp−テトラブロモテトラフェニルシランをp−テトラヨードテトラフェニルシランに変換し、他の条件を変化させなくて、実施例10に記載のと同じ材料が得られ、その収率は76%である。
【0167】
(実施例13)
実施例10のステップ(1)における反応溶液をトルエンに変換し、他の条件を変化させなくて、実施例10に記載のと同じ材料が得られる。
【0168】
(実施例14)
実施例10のステップ(1)における反応溶液をN、N’−ジメチルアセトアミドに変換し、他の条件を変化させなくて、実施例10に記載のと同じ材料が得られる。
【0169】
(実施例15)
実施例10のステップ(1)における反応溶液をN−メチルピロリドンに変換し、他の条件を変化させなくて、実施例10に記載のと同じ材料が得られる。
【0170】
(実施例16)
実施例10のステップ(1)における反応溶液をベンゼンに変換し、他の条件を変化させなくて、実施例10に記載のと同じ材料が得られる。
【0171】
(実施例17)
(1)0.09gの塩化ニッケル、0.1gの臭化ナトリウム、6.5gの亜鉛末及び1.05gのトリフェニルホスフィンを、N,N’−ジメチルホルムアミドに加入し、それを60℃に予熱された油浴に置いて、触媒を3時間にてエージングさせる。
【0172】
(2)6.5gのp−テトラブロモテトラフェニルシランを加入する。
【0173】
(3)上記溶液を140℃に保持し、3日間にて反応させた後、反応を停止する。
【0174】
(4)反応系へ希塩酸を加入し、余りの亜鉛末を除去する。
【0175】
(5)無機塩及び溶解可能な有機物を100mLの水、100mLのテトラヒドロフラン及び100mLのクロロホルムそれぞれの熱溶液を用いて洗浄除去する。
【0176】
(6)最終の製品を80〜200℃で10〜40時間にて真空乾燥(真空度3〜10mmHg未満)して、ポリマーが得られ、その収率は62%である。
【0177】
(実施例18)
実施例17のステップ(3)における混合溶液をステンレス鋼の真空反応器に移行させ、反応温度を90℃に変化し、他の条件を変化させなくて、実施例17に記載のと同じ材料が得られる。
【0178】
(実施例19)
実施例17のステップ(2)におけるp−テトラブロモテトラフェニルシランをp−テトラヨードテトラフェニルシランに変換し、他の条件を変化させなくて、実施例17に記載のと同じ材料が得られ、その収率は81%である。
【0179】
(実施例20)
実施例17のステップ(1)における反応溶液をトルエンに変換し、他の条件を変化させなくて、実施例17に記載のと同じ材料が得られる。
【0180】
(実施例21)
実施例17のステップ(1)における反応溶液をN、N’−ジメチルアセトアミドに変換し、他の条件を変化させなくて、実施例17に記載のと同じ材料が得られる。
【0181】
(実施例22)
実施例17のステップ(1)における反応溶液をN−メチルピロリドンに変換し、他の条件を変化させなくて、実施例17に記載のと同じ材料が得られる。
【0182】
(実施例23)
実施例17のステップ(1)における反応溶液をベンゼンに変換し、他の条件を変化させなくて、実施例17に記載のと同じ材料が得られる。
上記を総じて、本発明の合成された有機多孔質ポリマー材料は、極めて優れた熱安定性及び優れた水熱安定性を有しており、エネルギー、電気機器等の分野、例えば、発電所、自動車、ワイヤレス電気機器、携帯電話、携帯装置で幅広く用いられ、特に、水素等の燃料電池の燃料の担体として、表面面積が大きく、安定性が高く、高効率的に複数回に循環して使用できる。既存の材料と比較すると、この材料は、水素燃料電池を実用上に有用なものとさせることができる。本発明の有機多孔質ポリマー材料の合成方法の反応は高効率である。
【0183】
以上のように、この分野の当業者にとって、本発明の技術案及び技術構想に従ってその他の様々な変更や変形を行なうことができ、これら全ての変更及び変形はいずれも本発明の添付する権利請求の保護範囲に属することは言うまでもない。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
その構造が下記の一般式で表れる有機多孔質ポリマー材料であって、
【化1】
【化2】
ただし、数字1〜10が示す位置は、C、N又はCH、或いはCHにおけるHを置換するメチル、エチル、アミノ、カルボキシル基、メトキシ、ヒドロキシ基、またはエステル基であり、英文a、bが示す位置は、CまたはN+、或いはB−であることを特徴とする有機多孔質ポリマー材料。
【請求項2】
請求項1に記載の有機多孔質ポリマー材料の合成方法において、
1:(0〜15):(0〜15)モール比のビス(1,5−シクロオクタジエン)ニッケル、2,2’−ビピリジン及び1,5−シクロオクタジエンをN,N’−ジメチルホルムアミドまたはトルエン溶液に加入し、それを予めに20〜140℃に加熱された油浴におき、触媒を0〜10時間にてエージングさせるステップ1と、
対応モール数の反応モノマーを加入し、反応開始のモノマーの濃度を0.001M〜5Mの間に保持すると共に、反応開始のビス(1,5−シクロオクタジエン)ニッケルとモノマーのモール数の比率を(2〜18):1とするステップ2と、
上記溶液を20〜140℃に保持し、10分間〜10日間にて反応させてから、反応が停止するステップ3と、
反応系へ濃塩酸を加入して、残りのビス(1,5−シクロオクタジエン)ニッケルを破壊するステップ4と、
水、テトラヒドロフラン及びクロロホルムそれぞれの熱溶液によって、無機塩及び溶解可能な有機物を洗浄除去し、最後の製品を80〜200℃で4〜40時間にて真空乾燥して、有機多孔質ポリマー材料が得られるステップ5とを含むことを特徴とする有機多孔質ポリマー材料の合成方法。
【請求項3】
前記反応は、ヤマモトタイプウルマン反応であることを特徴とする請求項2に記載の有機多孔質ポリマー材料の合成方法。
【請求項4】
ステップ5は、さらに、
その都度10〜100ミリリットルの50〜100℃の水を用いて、ポリマーを3〜5回処理して、フィルタするステップ5.1と、
その都度10〜100ミリリットルの20〜70℃のテトラヒドロフランを用いて、ポリマーを3〜5回処理して、フィルタするステップ5.2と、
その都度10〜100ミリリットルの20〜60℃のクロロホルムを用いて、ポリマーを3〜5回処理して、フィルタするステップ5.3と、
ポリマーを80〜200℃の条件で、4〜40時間にて真空処理し、真空度は3〜10mmHgよりも小さく、ポリマーが得られるステップ5.4とを含んでいることを特徴とする請求項2に記載の有機多孔質ポリマー材料の合成方法。
【請求項5】
前記モノマーの一般式は以下の通りであり、
【化3】
【化4】
ただし、数字1〜10が示す位置は、C、N又はCH、或いはCHにおけるHを置換するメチル、エチル、アミノ、カルボキシル基、メトキシ、ヒドロキシ基、またはエステル基であり、英文a、bが示す位置は、CまたはN+、或いはB−であることを特徴とする請求項2に記載の有機多孔質ポリマー材料の合成方法。
【請求項6】
請求項1に記載の有機多孔質ポリマー材料の合成方法において、
1:(1〜15):(0〜15):(0〜15)モール比の塩化ニッケル、臭化ナトリウム、亜鉛末及びトリフェニルホスフィンをN,N’−ジメチルホルムアミドまたはトルエン溶液に加入し、それを予めに20℃〜140℃に加熱された油浴におき、触媒を0〜10時間にてエージングさせるステップ1と、
対応モール数の反応モノマーを加入し、反応開始のモノマーの濃度を0.001M〜5Mの間に保持するステップ2と、
上記溶液を20〜140℃にて保持し、10分間〜10日間にて反応させてから、反応が停止するステップ3と、
反応系へ濃塩酸を加入して、残りの亜鉛末を除去するステップ4と、
水、テトラヒドロフラン及びクロロホルムそれぞれの熱溶液によって、無機塩及び溶解可能な有機物を洗浄除去し、最後の製品を80〜200℃で4〜40時間にて真空乾燥して、有機多孔質ポリマー材料が得られるステップ5とを含むことを特徴とする有機多孔質ポリマー材料の合成方法。
【請求項7】
前記反応は、ウルマンカップリング反応であることを特徴とする請求項6に記載の有機多孔質ポリマー材料の合成方法。
【請求項8】
ステップ5は、さらに、
その都度10〜100ミリリットルの50〜100℃の水を用いて、ポリマーを3〜5回処理して、フィルタするステップ5.1と、
その都度10〜100ミリリットルの20〜70℃のテトラヒドロフランを用いて、ポリマーを3〜5回処理して、フィルタするステップ5.2と、
その都度10〜100ミリリットルの20〜60℃のクロロホルムを用いて、ポリマーを3〜5回処理して、フィルタするステップ5.3と、
ポリマーを80〜200℃の条件で、4〜40時間にて真空処理し、真空度は3〜10mmHgよりも小さく、ポリマーが得られるステップ5.4とを含んでいることを特徴とする請求項6に記載の有機多孔質ポリマー材料の合成方法。
【請求項9】
前記モノマーの一般式は以下の通りであり、
【化5】
【化6】
ただし、数字1〜10が示す位置は、C、N又はCH、或いはCHにおけるHを置換するメチル、エチル、アミノ、カルボキシル基、メトキシ、ヒドロキシ基、またはエステル基であり、英文a、bが示す位置は、CまたはN+、或いはB−であることを特徴とする請求項6に記載の有機多孔質ポリマー材料の合成方法。
【請求項10】
請求項1に記載の有機多孔質ポリマー材料の合成方法において、
開始濃度が0.001M〜5Mであるモノマーと、開始モール濃度はモノマーモール濃度の0.05%〜50%であるPd(PPh3)4とを、N,N’−ジメチルホルムアミドまたはトルエンに加入し、窒素雰囲気で0〜10時間にて混合しミキシングするステップ1と、
開始モール濃度がモノマーモール濃度の4〜200倍であるアルカリ水溶液を反応系に加入するステップ2と、
上記溶液を20〜140℃にて保持し、10分間〜10日間にて反応させてから、反応が停止するステップ3と、
反応系へ希塩酸を加入して、反応系を中性に達させるステップ4と、
水、テトラヒドロフラン及びクロロホルムそれぞれの熱溶液によって、無機塩及び溶解可能な有機物を洗浄除去し、最後の製品を80〜200℃で4〜40時間にて真空乾燥して、有機多孔質ポリマー材料が得られるステップ5とを含むことを特徴とする有機多孔質ポリマー材料の合成方法。
【請求項11】
前記反応は、鈴木カップリング反応であることを特徴とする請求項10に記載の有機多孔質ポリマー材料の合成方法。
【請求項12】
ステップ5は、さらに、
その都度10〜100ミリリットルの50〜100℃の水を用いて、ポリマーを3〜5回処理して、フィルタするステップ5.1と、
その都度10〜100ミリリットルの20〜70℃のテトラヒドロフランを用いて、ポリマーを3〜5回処理して、フィルタするステップ5.2と、
その都度10〜100ミリリットルの20〜60℃のクロロホルムを用いて、ポリマーを3〜5回処理して、フィルタするステップ5.3と、
ポリマーを80〜200℃の条件で、4〜40時間にて真空処理し、真空度は3〜10mmHgよりも小さく、ポリマーが得られるステップ5.4とを含んでいることを特徴とする請求項10に記載の有機多孔質ポリマー材料の合成方法。
【請求項13】
前記モノマーの一般式は以下の通りであり、
【化7】
【化8】
ただし、数字1〜10が示す位置は、C、N又はCH、或いはCHにおけるHを置換するメチル、エチル、アミノ、カルボキシル基、メトキシ、ヒドロキシ基、またはエステル基であり、英文a、bが示す位置は、CまたはN+、或いはB−であることを特徴とする請求項10に記載の有機多孔質ポリマー材料の合成方法。
【請求項1】
その構造が下記の一般式で表れる有機多孔質ポリマー材料であって、
【化1】
【化2】
ただし、数字1〜10が示す位置は、C、N又はCH、或いはCHにおけるHを置換するメチル、エチル、アミノ、カルボキシル基、メトキシ、ヒドロキシ基、またはエステル基であり、英文a、bが示す位置は、CまたはN+、或いはB−であることを特徴とする有機多孔質ポリマー材料。
【請求項2】
請求項1に記載の有機多孔質ポリマー材料の合成方法において、
1:(0〜15):(0〜15)モール比のビス(1,5−シクロオクタジエン)ニッケル、2,2’−ビピリジン及び1,5−シクロオクタジエンをN,N’−ジメチルホルムアミドまたはトルエン溶液に加入し、それを予めに20〜140℃に加熱された油浴におき、触媒を0〜10時間にてエージングさせるステップ1と、
対応モール数の反応モノマーを加入し、反応開始のモノマーの濃度を0.001M〜5Mの間に保持すると共に、反応開始のビス(1,5−シクロオクタジエン)ニッケルとモノマーのモール数の比率を(2〜18):1とするステップ2と、
上記溶液を20〜140℃に保持し、10分間〜10日間にて反応させてから、反応が停止するステップ3と、
反応系へ濃塩酸を加入して、残りのビス(1,5−シクロオクタジエン)ニッケルを破壊するステップ4と、
水、テトラヒドロフラン及びクロロホルムそれぞれの熱溶液によって、無機塩及び溶解可能な有機物を洗浄除去し、最後の製品を80〜200℃で4〜40時間にて真空乾燥して、有機多孔質ポリマー材料が得られるステップ5とを含むことを特徴とする有機多孔質ポリマー材料の合成方法。
【請求項3】
前記反応は、ヤマモトタイプウルマン反応であることを特徴とする請求項2に記載の有機多孔質ポリマー材料の合成方法。
【請求項4】
ステップ5は、さらに、
その都度10〜100ミリリットルの50〜100℃の水を用いて、ポリマーを3〜5回処理して、フィルタするステップ5.1と、
その都度10〜100ミリリットルの20〜70℃のテトラヒドロフランを用いて、ポリマーを3〜5回処理して、フィルタするステップ5.2と、
その都度10〜100ミリリットルの20〜60℃のクロロホルムを用いて、ポリマーを3〜5回処理して、フィルタするステップ5.3と、
ポリマーを80〜200℃の条件で、4〜40時間にて真空処理し、真空度は3〜10mmHgよりも小さく、ポリマーが得られるステップ5.4とを含んでいることを特徴とする請求項2に記載の有機多孔質ポリマー材料の合成方法。
【請求項5】
前記モノマーの一般式は以下の通りであり、
【化3】
【化4】
ただし、数字1〜10が示す位置は、C、N又はCH、或いはCHにおけるHを置換するメチル、エチル、アミノ、カルボキシル基、メトキシ、ヒドロキシ基、またはエステル基であり、英文a、bが示す位置は、CまたはN+、或いはB−であることを特徴とする請求項2に記載の有機多孔質ポリマー材料の合成方法。
【請求項6】
請求項1に記載の有機多孔質ポリマー材料の合成方法において、
1:(1〜15):(0〜15):(0〜15)モール比の塩化ニッケル、臭化ナトリウム、亜鉛末及びトリフェニルホスフィンをN,N’−ジメチルホルムアミドまたはトルエン溶液に加入し、それを予めに20℃〜140℃に加熱された油浴におき、触媒を0〜10時間にてエージングさせるステップ1と、
対応モール数の反応モノマーを加入し、反応開始のモノマーの濃度を0.001M〜5Mの間に保持するステップ2と、
上記溶液を20〜140℃にて保持し、10分間〜10日間にて反応させてから、反応が停止するステップ3と、
反応系へ濃塩酸を加入して、残りの亜鉛末を除去するステップ4と、
水、テトラヒドロフラン及びクロロホルムそれぞれの熱溶液によって、無機塩及び溶解可能な有機物を洗浄除去し、最後の製品を80〜200℃で4〜40時間にて真空乾燥して、有機多孔質ポリマー材料が得られるステップ5とを含むことを特徴とする有機多孔質ポリマー材料の合成方法。
【請求項7】
前記反応は、ウルマンカップリング反応であることを特徴とする請求項6に記載の有機多孔質ポリマー材料の合成方法。
【請求項8】
ステップ5は、さらに、
その都度10〜100ミリリットルの50〜100℃の水を用いて、ポリマーを3〜5回処理して、フィルタするステップ5.1と、
その都度10〜100ミリリットルの20〜70℃のテトラヒドロフランを用いて、ポリマーを3〜5回処理して、フィルタするステップ5.2と、
その都度10〜100ミリリットルの20〜60℃のクロロホルムを用いて、ポリマーを3〜5回処理して、フィルタするステップ5.3と、
ポリマーを80〜200℃の条件で、4〜40時間にて真空処理し、真空度は3〜10mmHgよりも小さく、ポリマーが得られるステップ5.4とを含んでいることを特徴とする請求項6に記載の有機多孔質ポリマー材料の合成方法。
【請求項9】
前記モノマーの一般式は以下の通りであり、
【化5】
【化6】
ただし、数字1〜10が示す位置は、C、N又はCH、或いはCHにおけるHを置換するメチル、エチル、アミノ、カルボキシル基、メトキシ、ヒドロキシ基、またはエステル基であり、英文a、bが示す位置は、CまたはN+、或いはB−であることを特徴とする請求項6に記載の有機多孔質ポリマー材料の合成方法。
【請求項10】
請求項1に記載の有機多孔質ポリマー材料の合成方法において、
開始濃度が0.001M〜5Mであるモノマーと、開始モール濃度はモノマーモール濃度の0.05%〜50%であるPd(PPh3)4とを、N,N’−ジメチルホルムアミドまたはトルエンに加入し、窒素雰囲気で0〜10時間にて混合しミキシングするステップ1と、
開始モール濃度がモノマーモール濃度の4〜200倍であるアルカリ水溶液を反応系に加入するステップ2と、
上記溶液を20〜140℃にて保持し、10分間〜10日間にて反応させてから、反応が停止するステップ3と、
反応系へ希塩酸を加入して、反応系を中性に達させるステップ4と、
水、テトラヒドロフラン及びクロロホルムそれぞれの熱溶液によって、無機塩及び溶解可能な有機物を洗浄除去し、最後の製品を80〜200℃で4〜40時間にて真空乾燥して、有機多孔質ポリマー材料が得られるステップ5とを含むことを特徴とする有機多孔質ポリマー材料の合成方法。
【請求項11】
前記反応は、鈴木カップリング反応であることを特徴とする請求項10に記載の有機多孔質ポリマー材料の合成方法。
【請求項12】
ステップ5は、さらに、
その都度10〜100ミリリットルの50〜100℃の水を用いて、ポリマーを3〜5回処理して、フィルタするステップ5.1と、
その都度10〜100ミリリットルの20〜70℃のテトラヒドロフランを用いて、ポリマーを3〜5回処理して、フィルタするステップ5.2と、
その都度10〜100ミリリットルの20〜60℃のクロロホルムを用いて、ポリマーを3〜5回処理して、フィルタするステップ5.3と、
ポリマーを80〜200℃の条件で、4〜40時間にて真空処理し、真空度は3〜10mmHgよりも小さく、ポリマーが得られるステップ5.4とを含んでいることを特徴とする請求項10に記載の有機多孔質ポリマー材料の合成方法。
【請求項13】
前記モノマーの一般式は以下の通りであり、
【化7】
【化8】
ただし、数字1〜10が示す位置は、C、N又はCH、或いはCHにおけるHを置換するメチル、エチル、アミノ、カルボキシル基、メトキシ、ヒドロキシ基、またはエステル基であり、英文a、bが示す位置は、CまたはN+、或いはB−であることを特徴とする請求項10に記載の有機多孔質ポリマー材料の合成方法。
【図1A】
【図1B】
【図2A】
【図2B】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図10】
【図11】
【図12】
【図1B】
【図2A】
【図2B】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図10】
【図11】
【図12】
【公表番号】特表2011−523434(P2011−523434A)
【公表日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−520316(P2011−520316)
【出願日】平成21年11月11日(2009.11.11)
【国際出願番号】PCT/CN2009/074899
【国際公開番号】WO2011/000187
【国際公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【出願人】(510176835)シェン ツェン ポアマット テクノロジー カンパニー リミテッド (1)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年11月11日(2009.11.11)
【国際出願番号】PCT/CN2009/074899
【国際公開番号】WO2011/000187
【国際公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【出願人】(510176835)シェン ツェン ポアマット テクノロジー カンパニー リミテッド (1)
【Fターム(参考)】
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