説明

有機性廃棄物等の高温熱処理装置

【課題】 ビール粕等の有機性廃棄物やそれを乾留等して既に得られた炭化物等を原料とし、該原料を高温熱処理して活性炭等の製品を得る場合に、高温熱風や水蒸気等の賦活反応用ガスとの所謂、気固接触が良好に行われて、良質の活性炭等の製品が得られる有機性廃棄物等の高温熱処理装置を提供する。
【解決手段】 一端側から他端側に延びた熱処理室2の一端側に原料供給口3aを設け、他端側に製品排出口4aと排ガス排出口5aを設け、熱処理室に熱風噴出口6を設け、原料攪拌用のパドル7を軸方向に間隔をおいて多数取付けた攪拌軸8を回転可能に設け、パドルは攪拌軸の軸線に対する傾斜角度θを可変に取付け、攪拌軸の内部に水蒸気供給路10を軸方向に延在させて設け、かつ水蒸気噴出ノズル11を軸方向に沿って多数設け、熱処理室はその軸線が水平線となす角度を可変となるように回動自在に支持して設けた構成とした。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ビール粕、コーヒー粕等の食品性廃棄物、或いは廃プラスチック、廃タイヤ等の高分子系廃棄物等の有機性廃棄物等を乾留及び賦活処理でなる熱処理をして、又は、該有機性廃棄物等から得られた炭化物等を賦活処理でなる熱処理をして、活性炭等を得る有機性廃棄物等の高温熱処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来からビール粕、コーヒー粕等の食品性廃棄物、或いは廃プラスチック、廃タイヤ等の高分子系廃棄物等の有機性廃棄物等を乾留及び賦活処理して、又は、該有機性廃棄物等を乾留して既に得られた炭化物を賦活処理して、活性炭を得る、所謂、有機性廃棄物等の高温熱処理装置としては、一般的にロータリキルンが用いられている。例えば、炭化物を賦活して活性炭を得る場合では、軸線をやや傾斜されて軸線回りに回転自在に設けられたロータリキルン本体である円筒回転体に該炭化物がその一端側から内部に送入され、該円筒回転体の該炭化物送入側に設置された燃焼バーナから高温の熱風が発せられると共に、同様に該送入側の該円筒体内部に斜め下方の排出側に向かって設置された水蒸気(賦活反応用ガス)供給ノズルから水蒸気が噴射される。
【0003】送入された炭化物の原料固体は円筒回転体の回転に伴って内面に沿って回転方向上方へ持ち上げられつつ排出側へと移動され、その間に該熱風による高温(例えば800〜950℃)雰囲気下で賦活反応用ガスとしての水蒸気と反応されて〔次の反応式(式1)参照〕微細な細孔が発達され、活性炭として排出側から取り出されて回収される。
【0004】
【化1】
C(炭化物固体)+H2O (水蒸気)= CO (ガス)+ H2 (ガス)・・・式1
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記の反応においては、気固接触をできうる限り、良好に行う必要がある。しかしながら、上記のような高温熱処理装置としてのロータリキルンでは、投入された炭化物固体の表面が更新され難く、そのため、気固接触性が不良となり、物質移動、熱移動が不十分となり、焼きムラが起こっていた。
【0006】一方、上記のような炭化物固体や多種多様な有機性廃棄物を取り扱う場合、上記のようなロータリキルンのように回転円筒体の傾斜角が一定していては、滞留時間は回転数のみで制御しなければならない。しかし、十分な滞留時間を与えようとすると回転数を小さくする必要があり、そうすれば上記したような焼きムラが起こりやすくなるし、また、回転数を大きくすればロータリキルンの長さが長くなり装置が大きくなる。
【0007】本発明は、上記のような問題点に鑑みなされたものであり、有機性廃棄物やそれを乾留等して既に得られた炭化物等を高温熱処理して活性炭等の製品を得る場合に、熱処理装置内で被熱処理物の表面の更新が良好に行われ、水蒸気等の賦活反応用ガスとの所謂、気固接触が良好に行われて、物質移動、熱移動が十分が行われる有機性廃棄物等の高温熱処理装置を得ること等を目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、本発明の有機性廃棄物等の高温熱処理装置は次のような構成にした。
【0009】請求項1として、有機性廃棄物を乾留及び賦活処理し又は該有機性廃棄物等から得られた炭化物等を賦活処理して活性炭等を得る有機性廃棄物等の高温熱処理装置であって、一端側から他端側に延びた熱処理室の該一端側に被熱処理物供給口を設け、該熱処理室の該他端側に熱処理を終えた製品排出口と排ガス排出口を設け、該熱処理室に熱風流入口を設け、被熱処理物攪拌用の攪拌翼を軸方向に間隔をおいて多数取付けた攪拌軸を該熱処理室の内部で該一端側から他端側に延在させて回転可能に設け、該攪拌翼は該攪拌軸に被熱処理物を攪拌し反製品排出口側へ向かわせる方向に向けて取付けると共に攪拌軸の軸線に対する傾斜角度を可変に取付け、該攪拌軸の内部に賦活反応用ガス供給路を該攪拌軸の軸方向に延在させて設け、該攪拌軸に該供給路と連通した賦活反応用ガス噴出ノズルを軸方向に沿って多数設け、該熱処理室はその一端側から他端側に延びる軸線が水平線となす角度を可変となるように回動自在に支持して設け、かつ、該該製品排出口側が原料供給口側よりも低位となるように傾斜させて設けた構成とした。
【0010】このような構成において、ビール粕等の有機性廃棄物等(以下、原料という)は高温熱処理装置の原料(被熱処理物)供給口から熱処理室内に供給され、製品排出口に到達するまでの間において、熱処理室内で回転している攪拌軸に取付けられた多数のパドル等の攪拌翼の回転により原料が強制的に攪拌されて良好に掻き混ぜられ固体表面が随時更新されて、熱処理室に設けた熱風流入口から熱処理室内に流入する高温熱風との接触が均一に行われると共に、攪拌軸に軸方向に沿って多数設けた噴出ノズルから噴出される水蒸気等の賦活反応用ガスとの接触が均一に行われて気固接触が良好に行われることにより、物質移動及び熱移動が促進されて固体の乾留(炭化)作用及び又は賦活反応等の熱処理が全体的に均一に行われ、均質の活性炭等の製品が生成される。生成された活性炭等の製品は熱処理室の他端側の製品排出口から排出される。
【0011】しかして、本発明では、攪拌軸に取付けた多数の攪拌翼は原料が反製品排出口側へ向かうような方向に取付けられ、かつ、熱処理室はその一端側から他端側に延びる方向の軸線が水平線となす角度を可変となるように回動自在に支持して設けられて製品排出口側が原料供給口側よりも低位になるように傾けられて設けられることにより、原料の製品排出口側への送りは重力の作用のみにより行われるものである。
【0012】従って、本発明では、攪拌翼による本来の原料の攪拌作用に加え、原料の反製品排出口側への移動と重力による製品排出口側への移動による原料同士の接触、衝突によっても気固接触性が良好に保たれる一方、熱処理室の傾斜角度を最適化することにより、多種多様な原料に対して最適な滞留時間を制御でき、原料性状に基づいた最適な気固接触性を確保して物質移動、熱移動を促進するように制御することにより、原料を均一に熱処理するようにすることができる。
【0013】そして、また、本発明では、該攪拌翼は攪拌軸に攪拌軸の軸線に対する傾斜角度を変更可能(可変)に設けられていることにより、攪拌翼の傾斜角度を適当な角度に調整することによっても、原料の所望の攪拌状態、反製品排出口側への送り状態、それに伴う熱処理室の当該傾斜設定に伴う重力による製品排出口側への送り状態、を調整して所望の滞留時間を調整設定することができ、該熱処理をその原料の性状に応じて、又は、種類の異なる種々の原料に対して最適な条件で行わせるようにすることができる。
【0014】また、本発明では、原料がこのような熱処理を受ける過程において、原料の攪拌は、前記攪拌翼の回転による攪拌に加えて、賦活反応用ガス噴出口が攪拌翼を取付けた攪拌軸に設けられていることにより該賦活反応用ガス噴出口の周囲には被熱処理物(原料)が存在するので該賦活反応用ガス噴出口から噴出される水蒸気等の賦活反応用ガスの噴出作用によっても該攪拌が助長、促進され、固体表面の更新が良好に行われて該物質移動、熱移動、及び、それに伴う反応が効果的に促進される。
【0015】なお、熱風流入口を例えば断面積が比較的小さい断面円形状の噴出口を多数設けて形成し、該噴出口を例えば熱処理室の下部位置に点在させて設けるなどして、該円形状の熱風噴出口を少なくとも原料が存在し原料と接触する位置の熱処理室に設けるようにすれば、同様に、該熱風噴出口から熱処理室に噴出流入する熱風の噴出作用によっても該原料の攪拌を助長、促進させて固体表面の更新を良好に行わせて該物質移動、及び、熱移動を効果的に促進させることができる。
【0016】ここで、該高温熱処理装置において、例えば原料をビール粕等の有機性廃棄物としてそれを熱処理して活性炭を得る場合には、該ビール粕が高温熱処理装置の原料供給口から熱処理室内部に供給され、まず熱処理室の該原料供給口側寄りの前半部で主として高温熱風の作用により乾留処理されて炭化物が生成され、該炭化物は熱処理室の後半部で引き続いて高温熱風と賦活反応用ガスとしての例えば水蒸気の作用により賦活処理され、活性炭が生成される。
【0017】また、原料を、例えば事前に該ビール粕等の有機性廃棄物を乾留処理等して既に得られている炭化物とする場合には、該炭化物が原料供給口から熱処理室内に供給され熱処理室内で高温熱風と賦活反応用ガスとしての例えば水蒸気の作用によって賦活処理され活性炭が生成される。
【0018】そして、このようにして有機性廃棄物原料を乾留及び賦活処理して、又は、事前に該有機性廃棄物原料等を乾留して既に得ている炭化物などを賦活処理して、活性炭等が得られるが、熱処理室内は1000〜900℃程度の高温になり、攪拌軸の強度が問題となるが、攪拌軸はその内部に賦活反応用ガスの供給路が該攪拌軸の軸方向に延在させて設けられ、それに連通されて攪拌軸に設けられた賦活反応用ガス噴出ノズルから賦活反応用ガスが熱処理室内部に噴出されていることにより、該攪拌軸内部には例えば賦活反応用ガスとして温度が180℃程度の水蒸気が絶えず流通している。このことにより該軸は冷却され、高温反応に十分耐え得る構造とされる。
【0019】また、請求項2のように、攪拌翼を取付けた攪拌軸の回転数を変更可能(可変)に設けた場合は、攪拌翼の回転数を変更することによっても原料の攪拌状態、反製品排出口側への送り状態を調整して、滞留時間を制御することができるので、前記熱処理室の傾斜角度の変更及び攪拌翼の攪拌軸の軸線に対する傾斜角度の変更による調節に加えて、さらに原料の最適な攪拌状態、反製品排出口側への送り状態を調整可能にして、滞留時間を調節でき、その原料のみならず多種多様な原料に対して原料性状に基づいたより最適な気固接触性を確保して物質移動、熱移動を促進して原料を一層均一に熱処理するようにすることができる。
【0020】
【発明の実施の形態】図1は本発明の有機性廃棄物の高温熱処理装置としての活性炭製造装置の実施例に係る縦断正面図、図2は図1のA〜A線矢視断側面図、図3は図2の攪拌軸及び攪拌翼部分の拡大図、図4は図1の攪拌軸への攪拌翼の取付要領を示す部分拡大正面図、図5は図4のB〜B線矢視断側面図であり攪拌翼の取付要領等を示す図である。
【0021】図1〜図5において、高温熱処理装置としての活性炭製造装置1の熱処理室(乾留による炭化反応用及び又は賦活反応用の反応室)2は一端側から他端側に向けて延び側面視断面で底部が半円形とされたU字形の筒状に形成されており、該熱処理室2の内周面(内壁面)は熱処理室の外皮を構成するケーシング2aの内面に内張りされた不定型耐火物等の耐火物2bによって形造られている。このように熱処理室2は内面が耐火物2bが施されて形成されることにより高温から保護される。熱処理室2の該一端側の上部に被熱処理物供給口としての原料供給口3aが設けられ、該他端側の下部に製品排出口4aが設けられている。
【0022】該原料供給口3aには原料供給管3が下端が製品排出口4a側に向かうように傾けられて接続されて取付けられ、また、前記製品排出口4aには製品排出管4が同様に傾斜されて接続されて取付けられている。また、熱処理室2の他端側の上部には排ガス排出口5aが設けられ、該排ガス排出口5aには排ガス排出管5が接続されて取付けられている。熱処理室2の下部(真下)の原料供給口3a寄りには耐火物2bを上下に貫通して多数の熱風噴出口(熱風噴出ノズル)6が穿設されており、該熱風噴出口6は各々、断面が略円形状の噴出口として形成されており、該各々の熱風噴出口6は熱風流入口を構成している。
【0023】該熱処理室2の内部の下部には耐熱鋼でなる攪拌軸8が熱処理室2の該一端側から他端側にかけて延在、横架されて両端をそれぞれケーシング2aの両端にそれぞれ取付けられた軸受け9、9により回転可能に軸承されて設けられている。該攪拌軸8には軸方向にほぼ等間隔で攪拌翼としてのパドル7が攪拌軸8の軸線に対する傾斜角度θを可変として多数設けられ、軸方向に沿った隣り合うパドル7の間には賦活反応用ガスとしての水蒸気の噴出ノズル11が多数設けられている。攪拌軸8は減速機付き電動機16取付け側と反対側の軸受け9部で熱による軸の伸びを吸収できるように取付けられる。
【0024】攪拌軸8の原料供給口3a側の軸端側には回転継ぎ手14が介在されて取付けられ、その軸端は減速機付き電動機16の出力軸と軸継ぎ手によって接続されている。該減速機付き電動機16は熱処理室2の外皮2aに固定された電動機支持台15に載置されて支持されている。前記回転継ぎ手14には水蒸気(賦活反応用ガス)供給管14aが電動機支持台15を上下方向に貫通して取付けられている。
【0025】熱処理室2の下側には、外皮であるケーシング12aの内面に不定型耐火物等の耐火物12bが内張りされて内面を熱風空間として形成された熱風室12が位置されて取付けられており、該熱風室12のケーシング12aは前記熱処理室2のケーシング2aとフランジ接合によって結合されている。前記熱風流入口としての各々の熱風噴出口6は上端を熱処理室2に開口し、下端を熱風室12に開口しており、熱風室12からこの各々の熱風噴出口6を通して熱処理室2内部に熱風が噴出供給される。熱風室12には製品排出口4a寄りの端部に熱風供給口13aが設けられ該熱風供給口13aには熱風供給管13が接続されている。
【0026】一方、正面視で熱処理室2、即ち、ケーシング2aの一端側から他端側に延びる方向の長手方向のほぼ中央位置において(図1参照)、また、側面視でケーシング2aの両外側において(図2参照)、ケーシング2aには水平状に伸びた回動軸21が固着されて取付けられており、該回動軸21の軸端は支柱20に回動自在に軸承されている。該回動軸21の一方側にはピニオン(小歯車)22が軸21と一体に取付けられている。また、該ピニオン22と噛み合わされてギヤ(大歯車)23がそれを一体に取付けた軸を介して該支柱20に連結したブラケットに回転自在に軸承されて(図示せず)取付けられており、該ギヤ23の回動軸の端部にはケーシング2a、12a(熱処理室2、熱風室12)を傾斜させるための回転ハンドル24が取付けられている。これら回動軸21、ピニオン22、ギヤ23及び回転ハンドル24等はケーシング傾斜装置を構成している。
【0027】ケーシング傾斜装置の回転ハンドル24を所望方向に回転させることにより、活性炭製造装置1のケーシング2a、即ち、熱処理室2を図1に示すようにその一端側から他端側に延びる方向の軸線(以下、熱処理室2の長手方向の軸線ということもある)が水平な状態(軸線HL)から0〜90°の範囲で製品排出口側が原料供給口側よりも低くなるように傾ける(軸線DL)ことができる。図1においてHLは熱処理室2の長手方向の軸線が水平状態にある場合を示し、DLは熱処理室の長手方向の軸線が該水平状態にある軸線(水平線)に対して所定角度傾斜された状態を示す。
【0028】ケーシング傾斜装置には図示しないケーシング傾斜固定保持手段が設けられており、熱処理室2の傾斜を所定角度に設定した後、該固定保持手段によって熱処理室2を一定の傾斜角度に固定保持可能とされている。
【0029】該攪拌軸8の内部には、該水蒸気の供給管14a及び回転継ぎ手14の内部と連通させて賦活反応用ガス供給路としての水蒸気供給路10が軸方向に延在して形成されており、製品排出口4a側の端部を封止されて設けられている。この攪拌軸8は耐熱鋼でなるパイプで形成してもよい。そして、攪拌軸8の軸方向に隣り合うパドル7のほぼ中間位置において該攪拌軸8の周囲の表面には該水蒸気供給路10と連通する水蒸気噴出ノズル11が円周4等分位置に設けられて全体として多数取付けられている。
【0030】しかして、この実施例の活性炭製造装置1では、攪拌軸8に軸方向にほぼ等間隔に多数取付けられた攪拌翼としてのパドル7は、攪拌軸8にその全てが原料(被熱処理物)を反製品排出口4a側、即ち、原料供給口3aへ向かわせる方向に向けられて取付けられている。即ち、図示の場合のように攪拌軸8及びパドル7の回転方向が製品排出口4a側から見て時計方向(右回転)である場合に、図1に示すように攪拌軸8の手前に取付けられたパドル7は上端側を原料供給口3a側に所定角度傾かせて、一方、攪拌軸8の後ろ側のパドル7はその逆側方向の上端側が製品排出口4a側に所定角度傾かせて、攪拌軸8に取付けられている。
【0031】そして、各々のパドル7は、図4および図5R>5に詳細を示すように、基部をパドル7の内側中央部に接続固定され外周面に雄ネジを螺設して形成したパドル軸7aが攪拌軸8に直交して挿通され、該パドル軸7aの軸8を挟む両側位置をナット7bで締め付けられることにより、攪拌軸8に取付けられており、これによりパドル7は攪拌軸8の軸線に対する傾斜角度θを可変(変更可能)に取付けられている。
【0032】各々のパドル7は攪拌軸8の軸方向の1ヶ所に1個設けられ、隣り合うパドル7との位相を角度180°ずらして取付けられ、その各々の形状は平板状で、かつ、図3又は図5に示すように軸方向視(側面視)で直径方向に所要の幅を有し、略半円環状(ブーメラン状又はリボン状)に形成されている。
【0033】そして、図2に示すように該パドル7の円弧状の外周縁と熱処理室2の底部の耐火物2aの断面半円形状の内面とは形状をほぼ合致(マッチ)させて形成されており、原料固体の滞留、淀みが極力生じないようにして原料固体が均一に混合攪拌されるように構成されている。
【0034】このような状態でパドル7が設けられることにより、攪拌軸8を回転させることによりパドル7は原料供給口3aからケーシング2内に送入された原料を反製品排出口4a側、即ち、原料供給口3aへ向かわせながら混合して攪拌することができる。そして、そのようにして攪拌される原料をケーシング傾斜装置で製品排出口4a側が原料供給口3a側よりも低位となるように熱処理室2を傾斜させて設定することにより、重力によって製品排出口4a側へ移動させることができる。
【0035】一方、前記熱風供給管13には図示していない熱風送給ダクトが接続され、1000℃程度の高温熱風が該熱風送給ダクトを通して熱風室12に供給される。
【0036】このように構成された活性炭製造装置1の作動を説明する。活性炭製造装置1のケーシング傾斜装置のハンドル24を所定方向に回転させることによってケーシング2a、即ち、熱処理室2を図1の状態の長手方向の軸線が水平な状態(軸線HL)から所定角度傾斜させた状態(軸線DL)として、熱処理室2の長手方向の軸線が水平線に対して所定角度の例えば20°傾けられた状態とし、熱処理室2の製品排出口4a側を原料供給口3a側よりも低位となるように設定する。
【0037】活性炭製造装置1の減速機付き電動機16を駆動して攪拌軸8を図示回転方向に回転させると、攪拌翼としてのパドル7が所定回転数で回転する。この状態で熱風供給管13を通して温度が約1000℃の高温熱風が熱風室12に供給される。この熱風としては例えば熱風炉で発生された熱ガスなど、酸素濃度の低い燃焼ガスなどが使用される。
【0038】該熱風室12に供給された約1000℃の高温熱風は熱処理室2の下部(底部)の原料供給口3a寄りに耐火物2bを上下に貫通して多数設けた熱風流入口としての熱風噴出口6から熱処理室2内に噴出流入される。熱処理室2の下部(底部)は熱風室12が面しているので均等に加熱され熱処理室2内部の水蒸気反応等の高温吸熱反応に必要な高温が効果的に保持される。
【0039】一方、賦活反応用ガスとして例えば10Kg/cm2、180℃のスチーム(水蒸気)が水蒸気供給管14aから回転継ぎ手14を通して攪拌軸8内部の水蒸気供給路10に送られ、さらに軸方向に沿って多数設けられている各々の水蒸気噴出ノズル11から熱処理室2の内部に噴出される。そして、原料が図示しない輸送装置によって原料供給管3に送られて原料供給口3aから熱処理室2内に連続して送給される。
【0040】熱処理室2内に送給された原料は所定の充填率(フルネス)と所定の滞留時間を保った状態で回転しているパドル7の作用で攪拌、混合されると共に反製品排出口側、即ち、原料供給口3a側に向う送り作用が与えられつつ、熱処理室2が製品排出口4a側を原料供給口3a側よりも低位になるように傾斜されて設定されていることにより重力の該傾斜方向の分力により一部の原料は製品排出口4a側に向かって流されて送られる。これによって原料には必要な滞留時間が付与される。
【0041】しかして、原料は、熱処理室2内において製品排出口4aに到達するまでの間において、熱処理室2内で回転している攪拌軸8に取付けられた多数のパドル7の回転により強制的に攪拌されることにより良好に掻き混ぜられて固体表面が随時更新され、熱風室12から熱処理室2底部に原料供給口3a寄りの位置に多数設けた熱風噴出口6から熱処理室2内に噴出流入して熱処理室2内で製品排出口側に位置する排ガス排出口5aへと流れる高温熱風との接触が均一に行われると共に、攪拌軸8に軸方向に沿って多数設けた水蒸気噴出ノズル11から噴出される水蒸気との接触も均一に行われて気固接触が良好に行われることにより、物質移動及び熱移動が促進されて固体の熱処理が全体的に均一にされ、均質の活性炭(製品)が生成される。
【0042】そして、上記のような原料の熱処理は、熱処理室2の傾斜角度をケーシング傾斜装置の回転ハンドル24を回転させて最適化することにより多種多様な原料に対して最適な滞留時間を制御できるので、原料性状に基づいた最適な気固接触性を確保して物質移動、熱移動を促進するように制御することができ、原料を均一に熱処理することができる。熱処理室2の傾斜角度を大きくすれば原料の滞留時間を短く、傾斜角度を小さくすれば原料の滞留時間を長くすることができる。
【0043】そして、また、上記のような熱処理は、パドル7が攪拌軸8の軸線に対する傾斜角度θを変更可能(可変)に設けられていることにより、図4において、パドル7の傾斜角度θを、0(零)°よりも大きく90°よりも小さい範囲で、適当な角度に調整して最適な攪拌状態、反製品排出口側への送り状態を調整して滞留時間を調整することができるため、原料の性状に応じて、又は、種類の異なる種々の原料に対して最適な条件で行わせることができる。
【0044】図4において、攪拌軸8(パドル7)の回転方向を同一として、上記パドル7の傾斜角度θを大きくすれば、即ち、パドル7をより立てれば、攪拌力及び反製品排出口側への送り速度は小さくなり、熱処理室2は製品排出口側が原料供給口側よりも低位となるように傾斜設定されパドル7は原料が反製品排出口側へ向けて移送されるように取付けられて原料は重力の作用のみにより製品排出口側へ送られるため、滞留時間は短くなる。また、逆に、パドル7の傾斜角度θを小さくすれば、即ち、パドル7をより寝せれば、攪拌力及び反製品排出口側への送り速度は大きくなり、滞留時間は長くなる。
【0045】そして、本実施例では、攪拌軸8の軸方向の各位置に取付けたパドル7はその傾斜角度θを該各位置によって変えることにより、熱処理室2内の原料の挙動を調整して熱処理条件を調整するようにすることができる。例えば、原料供給口3a側に位置するパドル7はその傾斜角度θを大きくして反製品排出口側への原料の送り速度を小さくして供給された原料が熱処理室の傾斜による重力の作用で確実に熱処理室2内で製品排出口4a側に送られるように原料の製品排出口4a側への送りを促進させるようにし、製品排出口4a側に位置するパドル7はその傾斜角度θを小さくして原料の反製品排出口側への送り速度を大きくして熱処理室の傾斜による重力の作用によって原料が徒に早く熱処理室2内を通過しないように原料の製品排出口4a側への送りに所要の抵抗を与えるようにして滞留時間を所望のものに調整するようにすることもできる。また、逆に、もし原料供給口3a側での滞留時間が不十分な場合は原料供給口3a側のパドル7の傾斜角度θを小さくして反製品排出口側への原料の送り速度を早くするようにして滞留時間を所望のものに調整することもできる。
【0046】なお、このようなパドル7の攪拌軸8に対する取付傾斜角度θの調整は、攪拌軸8の軸方向の各々の位置に取付けられるパドル7について全て同一の角度とするように調整することもできるし、該軸方向の各々の位置のパドル7について、或いは、軸方向に隣合う所定位置の区間に位置する複数のパドル7毎について、それぞれ角度を変えるようにして調整することにより、原料に対して最適な熱処理条件となるように調整することができる。そして、このようなパドル7の傾斜角度θの調整作業はパドル軸7aに螺合したナット7bを緩めたり締めたりして容易に行うことができる。
【0047】生成された活性炭は熱処理室2の他端側の製品排出口4aを通って製品排出管4から排出される。熱処理により発生される約900℃の排ガスは熱処理室2の上部の空間部(空塔部)で、又は、平らな天井面との接触や衝突によって固体が分離された後、熱処理室2の製品排出口側に設けられた排ガス排出管5から取り出され、図示しない下流位置で集塵作用や熱回収作用等を受け、或いは、適宜の他の設備の燃料用ガスとして再使用される等して処理される。
【0048】また、原料がこのような熱処理を受ける過程において、原料の攪拌は前記パドル7の回転による攪拌に加えて、パドル7を取付けた攪拌軸8には水蒸気噴出ノズル11が軸方向に沿う多数位置でそれぞれ軸周4等分位置に設けられていることにより、また、熱処理室2の原料供給口寄りの下部の真下に熱風噴出口6が設けられていることにより、該噴出ノズル11及び熱風噴出口6が位置する部分の熱処理室2の内面には原料が存在していることにより、該軸方向に沿う多数位置でそれぞれ攪拌軸8の周囲4等分位置に存在した噴出ノズル11から噴出される水蒸気の噴出作用によって、及び、原料供給口寄り位置で多数設けられた該熱風噴出口6から熱処理室2内部に噴出流入される高温熱風の噴出作用によっても原料の攪拌が助長、促進され、固体表面の更新がより促進されて良好に行われて該物質移動、熱移動、及び、それに伴う反応が効果的に促進される。
【0049】なお、本実施例では、熱風噴出口(熱風噴出ノズル)6から熱処理室2内に噴出流入する熱風の流速を原料固体の流動化開始速度以上に保つことにより、原料固体を流動化状態とし伝熱係数を高められるようになされている。
【0050】また、この実施例では、多数のパドル7は攪拌軸8に回転方向に対してその全てを原料が反製品排出口4a側に向かわせるような方向に取付けられており、かつ、熱処理室2がその長手方向の軸線と水平線との成す角度を所定角度傾けられて製品排出口4a側が原料供給口3a側よりも低位となるように傾斜されて設けられていることにより、原料の製品排出口4a側への送りは重力のみにより行われるので、前記パドル7による本来の原料の攪拌作用に加え、原料の反製品排出口4a側への移動と原料の重力による製品排出口4a側への移動による原料同士の接触によっても気固接触性を良好に保てる。
【0051】ここで、この実施例の活性炭製造装置1を用いて原料(活性体前駆体)として有機性廃棄物であるビール粕から活性炭を製造する場合には、例えば水分が10%、比表面積が約0m2/gのビール粕が原料供給管3から熱処理室2内に供給されるとともに、賦活反応用ガスとして例えば10Kg/cm2、180℃の飽和蒸気が水蒸気供給管14aに供給され、さらに約1000℃の高温熱風が熱風供給管13から熱風室12に供給され、該熱風室12から多数の熱風噴出口6を通して熱処理室2内に噴出供給される。
【0052】しかして、熱処理室2内に供給された該ビール粕は、前記パドル7による攪拌作用、反製品排出口側へ向かう作用、及び、熱処理室2の傾斜による製品排出口側への重力による移動作用を被りつつ、また、水蒸気噴出ノズル11から噴出される水蒸気及び熱風噴出口6から噴出される熱風による攪拌作用、さらには原料の反製品排出口側への移動と原料の重力による製品排出口への移動による原料同士の接触作用も加えられて被りつつ、所定の滞留時間を保って気固接触性を良好に保たれて製品排出口側へ送られながら、熱処理室2の該原料供給口側部分では主として該約1000℃の高温熱風(酸素濃度の低い燃焼ガス)による高温度雰囲気により、該ビール粕固体温度が例えば約600℃とされて乾留されて炭化され炭化物が生成される。
【0053】該生成された炭化物は該乾留作用に引き続いて熱処理室2のその後半(下流)部分において該1000℃の高温熱風が温度降下した920〜950℃程度の高温熱風により、及び、該10Kg/cm2、180℃の水蒸気の供給を受けて炭化物は例えば約850℃とされ前記式1で表されるように炭素分と水蒸気が反応(吸熱反応)することにより賦活されて微細な細孔の発達した収率20%(原料無水ベース)、比表面積400m2/gの活性炭が製造される。該活性炭は製品排出口4aを通り製品排出管4から取り出される。このように乾留及び賦活の熱処理が行われた後の排ガスは温度約900℃で排ガス排出管5から排出される。
【0054】なお、このように原料(活性体前駆体)をビール粕等の有機性廃棄物として活性炭を製造する場合には、熱処理室2の該原料供給口側では水蒸気賦活反応は殆ど行われることはないので、熱処理室2内の攪拌軸8の原料供給口側における水蒸気噴出ノズル11は設けなくてもよいか、或いは、その取付け個数を図1等に示したものより少なくしてもよい。
【0055】一方、原料(活性体前駆体)として、例えばビール粕等の有機性廃棄物を既に乾留等して得た炭化物など、既に得られている炭化物からこの実施例の活性炭製造装置1を用いて活性炭を製造する場合には、例えば水分が約0%、比表面積が約8m2/gの炭化物が原料供給管3から熱処理室2内に供給されるとともに、賦活反応用ガスとして例えば10Kg/cm2、180℃の飽和蒸気が水蒸気供給管14aに供給され、さらに約1000℃の高温熱風が熱風供給管13から熱風室12に供給され、該熱風室12から多数の熱風噴出口6を通して熱処理室2内に噴出供給される。
【0056】しかして、熱処理室2内に供給された該炭化物は、前記パドル7による攪拌作用、反製品排出口側へ向かう作用、及び、熱処理室2の傾斜による製品排出口側への重力による移動作用を被りつつ、また、水蒸気噴出ノズル11から噴出される水蒸気及び熱風噴出口6から噴出される熱風による攪拌作用、さらには原料の反製品排出口側への移動と原料の重力による製品排出口への移動による原料同士の接触作用も加えられて被りつつ、所定の滞留時間を保って気固接触性を良好に保たれて製品排出口側へ送られながら、熱処理室2内において該約1000℃の高温熱風(酸素濃度の低い燃焼ガス)及び該10Kg/cm2、180℃の水蒸気の供給を受けて該炭化物温度は例えば約850℃とされ前記式1で表されるように炭素分と水蒸気が反応(吸熱反応)することにより賦活されて微細な細孔の発達した収率80%(炭化物無水ベース)、比表面積400m2/gの活性炭が製造される。該活性炭は製品排出口4aを通り製品排出管4から取り出される。このように乾留及び賦活の熱処理が行われた後の排ガスは温度約900℃で排ガス排出管5から排出される。
【0057】以上のとおり、活性炭製造装置1の熱処理室2の内部は1000〜900℃程度の高温になり、攪拌軸8の強度が問題となるが、攪拌軸8はその内部に賦活反応用ガス供給路としての水蒸気供給路10が軸方向に延在させて設けられ、それに連通されて攪拌軸8に設けられた水蒸気噴出ノズル11から該水蒸気が熱処理室2内部に噴出されていることにより、該攪拌軸8内部には例えば温度が180℃程度の水蒸気が絶えず流通している。このことにより該攪拌軸8は常に冷却され、高温の熱処理室内の攪拌や高温反応に十分耐え得る構造とされる。なお、水蒸気噴出ノズル11から噴出される該水蒸気によって攪拌翼としてのパドル7にも冷却作用が及ぼされる。
【0058】以上の実施例装置においては、攪拌翼7の回転数を固定した場合を示したが、減速機付き電動機16の代わりに、可変速式の減速機付き電動機として攪拌軸8の回転数を可変に設けてパドル7の回転数を可変とすれば、原料の攪拌状態や反製品排出口側への送り状態を調整して滞留時間等を更に緻密に制御することもできる。回転数を大きくすれば原料の攪拌状態はより活発になり、また、原料の反製品排出口側への送り作用がより活発になり重力による原料の製品排出口側への移動力が弱くなり、滞留時間は大きくなる。逆に、回転数を小さくすれば原料の攪拌状態は弱くなると共に原料の反製品排出口側への送り作用が弱まり重力による原料の製品排出口側への移動力が強まり、滞留時間は小さくなる。
【0059】また、以上の実施例では、パドル7は攪拌軸8の軸方向の1か所に1個設け、隣り合うパドルを位相を角度180°ずらして取付けた場合を示したが、図6R>6(A)、(B)及び図7に示すように攪拌軸8の軸方向の1か所に2個以上設ける等してもよい。この場合、パドル7Aは図7に詳細を示すように攪拌軸8に取付けた取付ボス25にパドル軸26をねじ込み、ロックナット27により回り止め固定することにより攪拌軸8に取付ける。
【0060】また、以上の実施例では、賦活反応用ガスとして水蒸気を用いた場合を示したが、賦活反応用ガスとしては炭酸ガス、酸素、その他の酸化ガスも用いることもできる。
【0061】以上の実施例では、被熱処理物としての原料が有機性廃棄物であり、該有機性廃棄物がビール粕である場合について説明したが、本発明では、有機性廃棄物として、コーヒー粕等の食品性廃棄物、或いは廃プラスチック、廃タイヤ等の高分子系廃棄物等であってもよい。また、被熱処理物としての原料が炭化物であり、該炭化物が該有機性廃棄物を乾留して得られたような炭化物である場合を説明したが、木炭等、他の材料を乾留して得られた炭化物であってもよいものである。
【0062】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように本発明は次のような優れた効果を奏する。
【0063】請求項1の構成では、熱処理室内でパドル等の攪拌翼により有機性廃棄物等の被熱処理物を強制攪拌させて固体表面を随時更新させることができるため、高温熱風及び水蒸気等の賦活反応用ガスとの接触を均一に行わせることができる。即ち、熱処理において気固接触を良好に行わせて物質移動及び熱移動を促進し、焼きムラのなくして熱処理を均一に行わせることができる。従って、均質な活性炭等の熱処理製品を得ることができる。
【0064】そして、本発明では、攪拌翼は原料を反製品排出口側へ送る方向に設けられ、かつ、熱処理室を製品排出口側が原料供給口側よりも低位になるように傾斜させて設け、原料の製品排出口側への送りを重力によって行わせるようにしたので、原料の反製品排出口側への移動と原料の重力による製品排出口側への移動による原料同士の衝突、接触により高温熱風及び賦活反応用ガスと原料との気固接触性が良好に保たれると共に、熱処理室の傾斜角度を最適角度に調整、設定することにより、多種多様な原料に対して最適な滞留時間を制御でき、原料性状に基づいた最適な気固接触性を確保して物質移動、熱移動を促進するように制御することにより、原料を均一に熱処理するようにすることができる。
【0065】さらに、また、本発明では、該攪拌翼は攪拌軸に攪拌軸の軸線に対する傾斜角度を変更可能(可変)に設けられていることにより、攪拌翼の傾斜角度を適当な角度に調整することによっても、原料の所望の攪拌状態、反製品排出口側への送り状態、それに伴う熱処理室の当該傾斜設定に伴う重力による製品排出口側への送り状態、を調整して所望の滞留時間を調整設定することができ、該熱処理をその原料の性状に応じて、又は、種類の異なる種々の原料に対して最適な条件で行わせるようにすることができる。
【0066】また、水蒸気等の賦活反応用ガスの噴出ノズルは被熱処理物攪拌翼を取付けた攪拌軸に軸方向に沿って多数設けられていることにより、該攪拌軸及び賦活反応用ガス噴出ノズルが位置する部分には被熱処理物が存在していることにより、該被熱処理物は前記攪拌翼による攪拌に加えて該ノズルから噴出される賦活反応用ガスによる攪拌作用も加えられ、該被熱処理物の固体表面の更新を効果的に行わせることができ、そのことによっても被熱処理物の固体粒子と賦活反応用ガスとの気固接触を良好に促進させることができる。
【0067】なお、熱風流入口を例えば断面円形状の熱風噴出口として多数設けて形成し該多数の熱風噴出口を例えば熱処理室の下部(底部)に位置させて設けるなどして、該多数の熱風噴出口を少なくとも原料が存在し原料と接触する位置の熱処理室に設けるようにすれば、同様に、該熱風噴出口から熱処理室に噴出流入する熱風の噴出作用によっても該原料の攪拌を助長、促進させて固体表面の更新を良好に行わせて該物質移動、及び、熱移動を効果的に促進させることができる。
【0068】そして、熱処理室内は賦活反応等の高温熱処理が行われるため高温熱風により高温とされるが、回転部材である攪拌軸はその内部で軸方向に伸びて延在する賦活反応用ガス供給路を流通している水蒸気等の賦活反応用ガスによって冷却される。また、賦活反応用ガス噴出ノズルから該水蒸気等の賦活反応用ガスが噴出されることにより攪拌軸に取付けた攪拌翼にも該水蒸気等の賦活反応用ガスが接触することにより所望の冷却が行われる。従って、これら回転する部材を高温雰囲気、高温反応にも十分耐え得るように構成することができる。
【0069】さらに、攪拌軸は、攪拌翼の回転駆動手段、賦活反応用ガス供給手段、及び、攪拌軸自体と攪拌翼の冷却手段とを兼ねるので、例えば熱処理室内に別途に攪拌軸、攪拌翼の冷却手段や賦活反応用ガスの供給手段を設ける必要性をなくして、構造を簡素化した装置を構成することができる。
【0070】請求項2の構成では、攪拌翼の回転数を変更することによっても原料の攪拌状態、反製品排出口側への送り状態を調整して滞留時間を制御することができるので、前記熱処理室の傾斜角度の変更及び攪拌翼の攪拌軸への取付傾斜角度の変更による調節に加えて、さらに原料の最適な攪拌状態、反製品排出口側への送り状態を調整可能にして滞留時間を調節でき、その原料のみならず多種多様な原料に対して原料性状に基づいたより最適な気固接触性を確保して物質移動、熱移動を促進して原料を一層均一に熱処理するようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の有機性廃棄物の高温熱処理装置としての活性炭製造装置の実施例に係る縦断正面図である。
【図2】図1のA〜A線矢視断側面図である。
【図3】図2の攪拌軸及び攪拌翼部分の拡大図である。
【図4】図1の攪拌軸へのパドルの取付要領を示す部分拡大正面図である。
【図5】図4のB〜B線矢視断側面図であり、パドルの取付要領を示すものである。
【図6】本発明のパドルの他の実施例を示す図であり、(A)は図1に対応して示す部分正面図、(B)は(A)の右側面図である。
【図7】図6(B)の拡大図である。
【符号の説明】
1 活性炭製造装置(高温熱処理装置)
2 熱処理室
2a ケーシング(外皮)
2b 内張り耐火物
3 原料供給管
3a 原料供給口
4 製品排出管
4a 製品排出口
5 排ガス排出管
5a 排ガス排出口
6 熱風噴出口(熱風流入口)
7、7A パドル(攪拌翼)
7a パドル軸
7b 締め付けナット
8 攪拌軸
10 水蒸気(賦活反応用ガス)供給路
11 水蒸気(賦活反応用ガス)噴出ノズル
12 熱風室
12a ケーシング(外皮)
12b 内張り耐火物
13 熱風供給管
16 減速機付き電動機
20 支持脚(支柱)
21 ケーシング支持回動軸(ケーシング傾斜装置)
22 ピニオン(ケーシング傾斜装置)
23 ギヤ(ケーシング傾斜装置)
24 回転ハンドル(ケーシング傾斜装置)
25 取付ボス
26 パドル軸
27 ロックナット
HL 熱処理室の長手方向の軸線(水平状態にある軸線)
DL 熱処理室の長手方向の軸線(所定角度傾斜されたときの軸線)

【特許請求の範囲】
【請求項1】 有機性廃棄物を乾留及び賦活処理し又は該有機性廃棄物等から得られた炭化物等を賦活処理して活性炭等を得る有機性廃棄物等の高温熱処理装置であって、一端側から他端側に延びた熱処理室の該一端側に被熱処理物供給口を設け、該熱処理室の該他端側に熱処理を終えた製品排出口と排ガス排出口を設け、該熱処理室に熱風流入口を設け、被熱処理物攪拌用の攪拌翼を軸方向に間隔をおいて多数取付けた攪拌軸を該熱処理室の内部で該一端側から他端側に延在させて回転可能に設け、該攪拌翼は該攪拌軸に被熱処理物を攪拌し反製品排出口側へ向かわせる方向に向けて取付けると共に攪拌軸の軸線に対する傾斜角度を可変に取付け、該攪拌軸の内部に賦活反応用ガス供給路を該攪拌軸の軸方向に延在させて設け、該攪拌軸に該供給路と連通した賦活反応用ガス噴出ノズルを軸方向に沿って多数設け、該熱処理室はその一端側から他端側に延びる軸線が水平線となす角度を可変となるように回動自在に支持して設け、かつ、該該製品排出口側が原料供給口側よりも低位となるように傾斜させて設けたことを特徴とする有機性廃棄物等の高温熱処理装置。
【請求項2】 前記攪拌翼を取付けた攪拌軸はその回転数を変更可能に設けたことを特徴とする請求項1の有機性廃棄物等の高温熱処理装置。

【図3】
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【図4】
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【図1】
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【図2】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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