説明

有機薄膜EL素子

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は,面光源等に用いられる有機薄膜EL(エレクトロルミネッセンス)素子の構造に関する。
【0002】
【従来の技術】有機半導体を使った発光素子は,有機蛍光体を対向電極に挟んで構成されており,一方の電極から注入された電子と,もう一方の電極から注入された正孔が,発光層内で再結合するときに発光する。このような素子は,発光体として1963年にM.Pope,H.P.Kallmann等によりアントラセンの単結晶に直流電圧を印加すると発光がおこることが見いだされた。その後,1987年にKODAK社のT.W.Tang等により有機薄膜積層構造を利用した有機薄膜EL素子として発表されている。そして,その後,このモデルを中心に研究開発が活発に行なわれて,現在に至っている。その代表構造を図6に示す。従来の構造は,有機薄膜の積層構造からなる発光層の形成に際して,真空蒸着法等の真空成膜技術を使う必要があったため,設備投資が大きくなり,また,製造工程に難点があり,コストの面でも望ましくなかった。さらに,封止枠を形成し,窒素ガスを封入した構造のために,薄型化の要請に対応できなかった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は,上記の問題点を解決し,生産性,コスト,薄型光源,軽重量光源,自由形状の光源を得ることを課題とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明の請求項1記載の手段は,有機発光体を含む発光層に陽極より正孔を注入し,陰極より電子を注入することにより発光させる有機薄膜EL素子において,前記発光層を陽極材料層及び陰極材料層で挟み込み,その両側に吸湿層,防湿層を配設したことを特徴とする有機薄膜EL素子である。本発明の請求項2記載の手段は,発光層は,陽極側から陰極側に向かって,正孔注入材料層,有機発光体層,電子注入材料層が順に積層されていることを特徴とする請求項1記載の有機薄膜EL素子である。本発明の請求項3記載の手段は,発光層は,正孔注入材料,有機発光体,電子注入材料が混合された層であることを特徴とする請求項1記載の有機薄膜EL素子である。本発明の請求項4記載の手段は,発光層は,陽極側から陰極側に向かって,正孔注入材料の性質を兼ね備えた有機発光体層と電子注入材料層とが順に積層されていることを特徴とする請求項1記載の有機薄膜EL素子である。本発明の請求項5記載の手段は,発光層は,陽極側から陰極側に向かって,正孔注入材料と有機発光体が混合された層と,電子注入材料層とが順に積層されていることを特徴とする請求項1記載の有機薄膜EL素子である。本発明の請求項6記載の手段は,発光層は,陽極側から陰極側に向かって,正孔注入材料層と,電子注入材料の性質を兼ね備えた有機発光体層とが順に積層されていることを特徴とする請求項1記載の有機薄膜EL素子である。本発明の請求項7記載の手段は,発光層は,陽極側から陰極側に向かって,正孔注入材料層と,有機発光体と電子注入材料が混合された層とが順に積層されていることを特徴とする請求項1記載の有機薄膜EL素子である。本発明の請求項8記載の手段は,陰極が,アルミ箔の表面に,仕事関数の小さい金属またはその合金を,発光層と接する面に配したものであることを特徴とする請求項1記載の有機薄膜EL素子である。本発明の請求項9記載の手段は,仕事関数の小さい金属またはその合金が,Mg膜,Mg:Agの合金または積層膜,Mg:Inの合金または積層膜であることを特徴とする請求項8記載の有機薄膜EL素子である。本発明の請求項10記載の手段は,陽極の内側に仕事関数の大きい集電体を配したことを特徴とする請求項1記載の有機薄膜EL素子である。本発明の請求項11記載の手段は,仕事関数の大きい集電体がAu,Te,Pt,Se,CuI,から選ばれた材料であることを特徴とする請求項10記載の有機薄膜EL素子である。本発明の請求項12記載の手段は,集電体の形状が線状,L字状,□型状から選ばれた形状であることを特徴とする請求項10又は請求項11記載の有機薄膜EL素子である。本発明の請求項13記載の手段は,防湿層がポリエステル樹脂フイルム上に水分の透湿防止用バリヤー層を設けたもの又は三フッ化塩化エチレン樹脂フイルムにより形成された請求項1記載の有機薄膜EL素子である。
【0005】以下,従来の図6の有機薄膜EL素子と対比させて,図3に,本発明の有機薄膜EL素子の構造の要部を展開した斜視図として示す。(これは,後記する図4(c)の発光層の構成に対応する)有機発光体層2cと正孔注入材料層3とを積層して発光層とし,正孔注入材料層3側に陽極5を配し,有機発光体層2c側に陰極1を配する。その上下を吸湿フイルム8,8で挟み,さらに,その上下を防湿フイルム9,9で挟み,最後に全体をラミネートして形成されている。上記の構成は,従来技術との比較で説明したが,実際に,パネル化するときは有機発光体層2cと正孔注入材料層3の材料と結合剤とを混ぜて,パネル化することが望ましい。結合剤は,パネル化の方法によっては,使わなくてもよい。
【0006】次に,本発明の構成要素の態様について説明する。本発明の有機薄膜EL素子の発光層2としては,図4にその構造モデルをしめすように,図4(b)が標準的で,図4(a)及び図4(c)がその応用構造である。まず,図4(b)の構造について説明する。ここで,陽極5と陰極1に挟持された発光層2は陽極5側から順に正孔注入材料層3,有機発光体層2b,電子注入材料層4からなる。発光は陽極5から正孔注入材料層3を通過して正孔が有機発光体層2bに入り,陰極1から電子注入材料層4を通過して電子が入り,有機発光体層2b内で正孔と電子との再結合が起きて,有機発光体層2b内の分子を励起させて,その励起エネルギを光として取り出すのである。図4(a)に示す構造の有機発光体層2aは,図4(b)の各層のうち,正孔注入材料と有機発光体との性質を兼ね備えた材料で構成するものであり,図4(c)の有機発光体層2cは,図4(b)の各層のうち,有機発光体と電子注入材料との性質を兼ね備えた材料で構成するものである。また,より発光効率をあげるため,正孔注入材料層3と有機発光体層2及び有機発光体層2と電子注入材料層4との間に,それぞれ正孔障壁層,電子障壁層等を介在させた構造でもよい。さらに,図4(a)に示す有機発光体層2aを,有機発光体と正孔注入材料とを混合することにより構成してもよく,図4(c)に示す有機発光体層2cを,有機発光体と電子注入材料とを混合することにより構成してもよい。また,発光層を,有機発光体,正孔注入材料,電子注入材料が均一に混合されたバルク状の単一層として構成すると,パネル化が容易であり,耐久性を向上させる点で有利である。さらに,パネル化してより一層,実用レベルに近づけるには,正孔注入材料,有機発光体,電子注入材料等が十分に分子歪の発生しない材料,すなわち,分子置換基の相互作用の少ない材料よりなり,また陰極は,仕事関数が小さく,酸化されにくい材料から構成され,更に,熱的及び電気的に材料が劣化されることのない,十分に選択された材料であることが望ましい。その上,パネル内の水分を捕集して,外部からの水分の侵入を防いでパネル化することにより本発明の有機薄膜EL素子が得られ,その使用範囲が更に拡大する。
【0007】以下,本発明の有機薄膜EL素子の各部について説明する。発光層としては,蛍光色素が用いられる。構造によっては,正孔注入材料と電子注入材料の性質を具備した蛍光色素が用いられる。例えば,蛍光染料,蛍光顔料,蛍光増白剤,レーザ用染料,蛍光分析用試薬等があり,以下の条件を満たすものが使われる。
条件;■電界印加時に陽極から正孔を陰極から電子を注入できること。
■注入された電荷を移動させ,正孔と電子とが再結合する場を提供できること。
■発光効率が高いこと。
上記の条件を満足するものとして,正孔を注入し易くするために,発光層のイオン化ポテンシャルは,6.0eV以下であること,また,電子を注入し易くするためには,電子親和力が2.5eV以上であることが望ましい。前述した図4(a)に示すような有機発光体層2aに用いられる正孔注入材料の機能を兼ねる有機発光体としては,ピラゾリン2量体等が挙げられる。また,図4(c)に示すような有機発光体層2cに用いられる電子注入材料の機能を兼ねる有機発光体としては,ペリレン,ナフタレン,クマリン,ビススチリル,ピラジン等が挙げられる。ただし,ここに挙げた材料については同一の材料であっても,有機発光体として使用したり,正孔注入材料あるいは電子注入材料として使用した例が種々学会等で報告されており,適宜,所望のものを選択して用いてもよい。本発明においては,有機発光体,正孔注入材料,電子注入材料を必要に応じて,結合剤と混合したものを,スプレー法,スピンナ法,浸漬塗布法,スクリーン印刷法,ロ−ルコーター法,LB法等で電極上に塗布することができ,真空成膜技術を用いなくてもよい。
【0008】正孔注入材料は,陽極より注入された正孔を有機発光体層に伝達する機能を有するもので,この層を陽極と有機発光体層との間に置くことにより,低い電圧で多くの正孔を有機発光体層に伝達する機能を有する。更に,有機発光体層と正孔注入材料層の界面に存在する電子の障壁により,陰極から有機発光体層に注入された電子は,有機発光体層と正孔注入材料層との界面近傍に蓄積され,発光効率が向上する。この層に用いられる材料は,イオン化ポテンシャルが小さく,電界印加時に10-6〜10-2cm2 /V・Sの移動度をもつものが用いられる。
【0009】電子注入材料は,陰極より注入された電子を有機発光体に伝達する機能を有し,この層を陰極と有機発光体層の間に置くことにより,より低い電界で多くの電子を発光体に注入できる。この電子注入材料としては,電子受容性の物質が用いられるが,電子受容性が大きすぎるものは,有機発光体と錯体を形成したり,有機発光体からエネルギー移動を起こし易いため,このような問題の生じないものを選択する。
【0010】本発明の有機薄膜EL素子の発光機構は,注入発光タイプである。比較の意味で述べると,無機薄膜EL素子及び粉末分散型EL素子は,電界発光タイプである。従って,注入発光タイプは電極から電荷を注入するので,電極の材料選択が難しい。言い換えると,陽極は,仕事関数の大きな金属またはその合金の電気導電性化合物で,イオン化ポテンシャルが高く,電子親和力が小さい材料が最適である。例えば,Au,CuI,SnO2 ,ITO,Pt,Se,Te等である。更に,光透過率の良いものが使われ,ITOが普通一般的に使われる。陰極は,仕事関数の小さな金属(目安として4.0eV以下)またはその合金の電気導電性化合物で,イオン化ポテンシャルが小さく,電子親和力が大きい材料が使われる。例えば,Na,Na−K,Li,Mg,Ca等の I,II族 化合物, Ga,InのIII 族金属(B,Alを除く)が最適である。一般的には,Mgが広く用いることができ,Mgのみでは酸化が早いので,AgまたはCuを3〜15%添加して,酸化を進みにくくした材料が使われる。最適範囲の添加量は,5〜10%である。Inについても同様な効果があり,MgにInを添加したものは,劣化が遅い。また,MgにAgを積層したもの,MgにInを積層したものも使用することができる。この場合に,AgあるいはInの層が発光層と接触するようにしても,仕事関数が小さいため問題はない。
【0011】集電体は,陽極5から有機発光体層(2a,2b,2c)に正孔を注入しやすくするために陽極5の上に形成する。集電体を形成するにあたっては,パネルの面積にもよるが,代表的には,図5に示すように,発光面積が小さい場合には,図5(a)のような線状の集電体6を,発光面積が中程度の場合には,図5(b)のようなL字状の集電体6を,発光面積が大きい場合には,図5(c)のような□型状の集電体6を配設する。集電体6の材質としては,仕事関数の大きい金属,例えば,Au,Te,Pt,Seの他にCuIが用いられ,スパッタリング法,スクリーン印刷法等により形成される。
【0012】吸湿層は,パッケージングされたときの水分を除去する役目を持つ。通常使用するものは,ナイロン6フイルムが用いられる。
【0013】防湿層は,外部からの水分の侵入を防ぐためのフイルムで,通常は三フッ化塩化エチレン樹脂膜またはポリエステル樹脂のフイルム上に水分を通過させないバリヤー層,例えば,シリカ蒸着層や塩化ビニリデンをコートしたものを使うこともできる。すなわち,防湿効果を施したフイルム上に接着剤をコートし,その目的に用いられる。
【0014】
【実施例】以下,図を用いて本発明の実施例を説明する。図1は,本発明の有機薄膜EL素子の実施例を示し,図1(a)はその構造の要部を展開して説明する斜視図,図1(b)はその層構成を説明する模式的な側面図である。また,図2は図1の実施例の製造工程を説明するブロック図である。以下,図2の製造工程の番号に沿って,説明する。発光層2は正孔注入材料と有機発光体と電子注入材料との材料を混合した態様である。
〔陰極の形成〕
(1)Al基板 厚み70μm(硬質),純度99.9%のものを使用する。
(2)陰極1の形成形成条件(スパッタリング法)
DCスパッタリング装置ターゲット 組成比 Mg:Ag=9〜10:1純度99.99%ガス出し 180℃基板温度 100℃スパッタガス圧 3×10-3Torrスパッタ電流 1A背圧 3×10-7Torrスパッタガス Ar(30SCCM)
予め,表面を軽く逆スパッタリングしておき,上記の条件で専用マスクを使って,50〜70nmの膜形成を行う。
(3)切断 上記の(2)で膜形成したものを,使用の大きさに切断する。
〔発光層の形成〕
(4)材料秤量A;材料ポリ(N−ビニルカルバゾール) 1.00重量部(正孔注入材料)
ペリレン 0.13重量部(電子注入材料)
クマリン 0.50重量部(有機発光体)
1,2ジクロロエタン 50.00重量部B;結合剤ポリカーボネート樹脂 50.00重量部1,2−ジクロロエタン 50.00重量部(5)混合ホモジナイザーのカップに(4)の材料Aを20g入れて,2500rpmで混合し,つぎに,(4)の材料Bを20gを追加し,2500rpmで混合する。(混合比 A:B=1:1)
(6)塗布所定サイズのAl基板の上に,(1)〜(3)で形成したMg:Ag=10:1の膜を形成した陰極1上に上記の混合ペーストを数cc滴下し,スピンナで3500rpmで20sec間回転して塗布し,膜厚を40〜70nmとした。
(7)乾燥 120℃,30minで乾燥し,その後冷却する。
(8)電極リード7 T字型リードを作成する。
(9)リード付(8)の電極リード7を固定テープと共にAl基板の裏面側に固定する。
〔陽極の形成〕
(10)陽極570μmのポリエステル樹脂フイルム上に,シート抵抗100Ω/□のITOを形成したものを使用する。光透過率は85〜90%である。
(11)集電体6の形成膜形成条件:上記(10)のITO付きフイルムの内側に,Auにより集電体6を形成する。
DCスパッタリング装置ターゲット Au 純度99.999%ガス出し 150℃基板温度 室温スパッタガス圧 3×10-3Torrスパッタガス Ar(35SCCM)
スパッタ電流 1A(12)切断上記の(11)で膜形成した陽極5を使用の大きさに切断する。
(13)電極リード7 上記(8)と同じ。
(14)リード付 固定テープで電極リード7を所定の位置に取り付ける。
〔封止〕
(15)吸湿フイルム8 厚み100μmのナイロン6フイルムを使用する。
(16)切断 カッタで吸湿フイルム8を所定の寸法に切断する。
(17)防湿フイルム9三フッ化塩化エチレン樹脂フイルムに熱賦活性接着剤をコートした厚み250μm,透湿率40mg/m2 以下のものを使用する。
(18)切断 カッタで防湿フイルム9を所定の寸法に切断する。
(19)乾燥発光層2を塗布した陰極1,集電体6を形成した陽極5,切断した吸湿フイルム8,切断した防湿フイルム9を90℃,約1時間の乾燥を行う。
(20)重ね合わせ乾燥終了後,すばやく乾燥炉から取り出し,発光層2を塗布した陰極1の上に,陽極5の集電体6が形成してある面を内側にして重ね合わせ,次に,切断した吸湿フイルム8を上下に合わせ,最後に防湿フイルム9をその上下に重ね合わせる。
(21)熱圧着前工程で重ね合わせたフイルムコンポーネントを,電磁誘導加熱コイルの間を通過させて,防湿フイルム9に塗布してある接着剤を溶かして熱圧着する。
熱圧着(ラミネート)条件上ロ−ラ温度 130℃下ロ−ラ温度 130〜150℃線圧力 30kg/cm2ロ−ラ速度 10cm/min(22)性能検査 定電流測定法を使って,各パラメータ毎に輝度を測定する。
【0015】上記の構造でパネル化を実施したときの性能として,電流密度10mA/cm2 において,■本発明の有機薄膜EL素子と,■従来の有機薄膜EL素子として,図7に示すように,ガラス基板上に,陽極としてITO膜,正孔注入材料層としてポリ(N−ビニルカルバゾール)膜,有機発光体層としてクマリン膜,電子注入材料層としてペリレン膜,陰極としてMg:Ag膜を,順に真空蒸着法により形成したものの,初期輝度及び500時間経過後の輝度とを対比した結果を表1に示す。
【表1】


電流密度10mA/cm2 ,輝度単位:cd/m2ここで単純に初期輝度を比較した場合,■の従来の有機薄膜EL素子が初期輝度は高いが,長期安定性は■の本発明の実施例が良く,実用性に優れている。
【0016】
【発明の効果】以上のように,本発明によれば,以下のような生産性,コスト,薄型光源,軽重量光源,自由形状の光源等の効果が得られる。更に,具体的に説明すれば,■生産性向上及び低コスト化従来の有機薄膜EL素子の発光層の製造に必要であった真空成膜技術を用いないで,スプレー法,スピンナ法,浸漬塗布法,スクリーン印刷法,ロ−ルコーター法,LB法等を適用できるので,設備投資が少なくてすみ,製造工程も容易である。その結果として,低コスト化が達成でき,その使用範囲の可能性が拡大し,各種のニーズに対応できる。
■均一な面光源従来の光源のように,反射,拡散の対策が不要であり,モジュールに組み込んだ時,よりその効果が大きく現れる。
■薄型光源フイルムを使っているため,総膜厚は1.0mm以下に設定でき,■同様モジュールに組み込んだ時,よりその効果が大きく現れる。
■軽い光源フイルムを使っているため,重量が軽くなり,■同様モジュールに組み込んだ時,よりその効果が大きく現れる。
■形状の自由度が大きい構成材料にフイルムを使っているため,形状の加工がやりやすい。
■専用駆動電源が不要従来の光源のように,専用の電源を必要とせず,発光面積によっては乾電池1本で駆動できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の有機薄膜EL素子の実施例を示し,図1R>1(a)はその構造の要部を展開して説明する斜視図,図1(b)はその層構成を説明する模式的な側面図である。
【図2】本発明の実施例(図1)の製造工程を説明するブロック図である。
【図3】本発明の別の態様の有機薄膜EL素子の構造の要部を展開して説明する斜視図である。
【図4】本発明における発光層の構造モデルの態様を説明する図である。
【図5】本発明の集電体の態様を説明する模式平面図である。
【図6】従来法による有機薄膜EL素子の側面図である。
【図7】従来法による比較例の有機薄膜EL素子の側面図である。
【符号の説明】
1 陰極
2 発光層
2a 有機発光体層
2b 有機発光体層
2c 有機発光体層
3 正孔注入材料層
4 電子注入材料層
5 陽極
6 集電体
7 電極リード
8 吸湿フイルム
9 防湿フイルム
101 陰極
102c 発光層
103 正孔注入層
105 陽極
111 封止枠
112 N2 ガス
113 ガラス

【特許請求の範囲】
【請求項1】 有機発光体を含む発光層に陽極より正孔を注入し,陰極より電子を注入することにより発光させる有機薄膜EL素子において,前記発光層を陽極材料層及び陰極材料層で挟み込み,その両側に吸湿層,防湿層を配設したことを特徴とする有機薄膜EL素子。
【請求項2】 発光層は,陽極側から陰極側に向かって,正孔注入材料層,有機発光体層,電子注入材料層が順に積層されていることを特徴とする請求項1記載の有機薄膜EL素子。
【請求項3】 発光層は,正孔注入材料,有機発光体,電子注入材料が混合された層であることを特徴とする請求項1記載の有機薄膜EL素子。
【請求項4】 発光層は,陽極側から陰極側に向かって,正孔注入材料の性質を兼ね備えた有機発光体層と電子注入材料層とが順に積層されていることを特徴とする請求項1記載の有機薄膜EL素子。
【請求項5】 発光層は,陽極側から陰極側に向かって,正孔注入材料と有機発光体が混合された層と,電子注入材料層とが順に積層されていることを特徴とする請求項1記載の有機薄膜EL素子。
【請求項6】 発光層は,陽極側から陰極側に向かって,正孔注入材料層と,電子注入材料の性質を兼ね備えた有機発光体層とが順に積層されていることを特徴とする請求項1記載の有機薄膜EL素子。
【請求項7】 発光層は,陽極側から陰極側に向かって,正孔注入材料層と,有機発光体と電子注入材料が混合された層とが順に積層されていることを特徴とする請求項1記載の有機薄膜EL素子。
【請求項8】 陰極が,アルミ箔の表面に,仕事関数の小さい金属またはその合金を,発光層と接する面に配したものであることを特徴とする請求項1記載の有機薄膜EL素子。
【請求項9】 仕事関数の小さい金属またはその合金が,Mg膜,Mg:Agの合金または積層膜,Mg:Inの合金または積層膜であることを特徴とする請求項8記載の有機薄膜EL素子。
【請求項10】 陽極の内側に仕事関数の大きい集電体を配したことを特徴とする請求項1記載の有機薄膜EL素子。
【請求項11】 仕事関数の大きい集電体がAu,Te,Pt,Se,CuI,から選ばれた材料であることを特徴とする請求項10記載の有機薄膜EL素子。
【請求項12】 集電体の形状が線状,L字状,□型状から選ばれた形状であることを特徴とする請求項10又は請求項11記載の有機薄膜EL素子。
【請求項13】 防湿層がポリエステル樹脂フイルム上に水分の透湿防止用バリヤー層を設けたもの又は三フッ化塩化エチレン樹脂フイルムにより形成された請求項1記載の有機薄膜EL素子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【特許番号】特許第3254570号(P3254570)
【登録日】平成13年11月30日(2001.11.30)
【発行日】平成14年2月12日(2002.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平5−319270
【出願日】平成5年11月26日(1993.11.26)
【公開番号】特開平7−153571
【公開日】平成7年6月16日(1995.6.16)
【審査請求日】平成12年7月24日(2000.7.24)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【参考文献】
【文献】特開 平2−288188(JP,A)
【文献】特開 平3−37991(JP,A)
【文献】特開 平5−187906(JP,A)
【文献】特開 平5−41281(JP,A)