有機銀錯体化合物及びこれを用いた薄膜形成方法
本発明は、化学式1で表される1つ以上の銀化合物と、化学式2または化学式3で表される1つ以上のアンモニウムカーボネート系化合物とを反応して得られる銀錯体化合物及びこれの製造方法に関するものである。
[化学式1]
[化学式2]
[化学式3]
[化学式1]
[化学式2]
[化学式3]
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、銀化合物とアンモニウムカーボネート系化合物とを反応して得られる有機銀錯体化合物及びこれの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
Ullmann's Encyclopedia of Ind. Chem., Vol. A24, 107(1993)では、銀(silver)は、貴金属であって、酸化され難く、電気及び熱伝導度に優れており、触媒及び抗菌作用などを有しているため、銀及び銀化合物は、合金、メッキ、医薬、写真、電気電子、繊維、洗剤、家電など、産業全般に広く使用されると記述されている。また、銀化合物は、有機物及び高分子合成に触媒として使用することができて、特に、最近は、電気電子部品回路で鉛使用の規制及び低抵抗金属配線、印刷回路基板(PCB)、軟性回路基板(FPC)、無線認識タグ(RFID)用アンテナ、そしてプラズマディスプレイ(PDP)、液晶ディスプレイ(TFT-LCD)、有機発光ダイオード(OLED)、フレキシブルディスプレイ、及び有機薄膜トランジスタ(OTFT)などのような新しい分野で、金属パターンを必要とするか、電極として使用するなど、銀に対する関心が高まっている。銀を使用する場合、大部分粉末やバインダと溶剤が含まれたペースト状として直接使用するか、硝酸銀のような銀化合物を水溶液または有機溶媒上で他の化合物と反応して、ナノ粒子を含む多様な形態の銀及び有機銀化合物を製造して使用している。このような有機銀化合物は、化学蒸着(CVD)、プラズマ蒸着、スパッタリング、電気メッキ、露光(photolithography)、電子線(electron beam)、レーザーなど、多様な方法により金属パターンを形成させるのに使用されている。
【0003】
有機銀化合物の中で、錯体化合物(Organic Silver Complexes)の配位子として一般に最もよく知られているものは、カルボキシル酸(Prog. Inorg. Chem., 10, p233 (1968))であって、銀を含む金属カルボキシレート錯体は、一般に光に敏感で、有機溶媒で溶解度が低く(J. Chem. Soc.,(A)., p514(1971)、米国特許第5,534,312号(1996. 7. 9))、分解温度が高いため、製造上の容易さにもかかわらず、応用に限界がある。このような問題点を解決するために、J. Inorg. Nucl. Chem., 40, p1599(1978), Ang. Chem., Int. Ed. Engl., 31, p770(1992), Eur. J. Solid State Inorg. Chem., 32, p25(1995), J. Chem. Cryst., 26, p99(1996), Chem. Vapor Deposition, 7, 111(2001), Chem. Mater., 16, 2021(2004)、米国特許第5,705,661号(1998.1.6)、大韓民国特許公開公報第2003−0085357号(2003.11.5)では、様々な方法が提案されているが、例えば、カルボキシル酸の中でアルキル鎖が長い化合物を使用するか、アミン化合物やホスフィン化合物などを含ませる方法などが挙げられる。しかしながら、今まで、銀から誘導される化合物の誘導体は限定されており、しかも、これらは安定性及び溶解性が欠如しているか、金属へのパターンを形成するには分解温度が高く分解速度が遅いという短所がある。
【0004】
したがって、本発明者らは、このような問題点を解決するために鋭意研究した結果、本発明に到達した。即ち、本発明は、様々な反応条件を通じて、安定性及び溶媒に対する溶解性に優れており、薄膜形成が容易であって、容易に金属パターン形成が可能であり、また、低い温度で分解され、銀金属の薄膜または粉末の形成が非常に容易な、多様な構造を有する新規な有機銀錯体化合物及びこれらの製造方法を提供する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、銀化合物とアンモニウムカーボネート系化合物とを反応して誘導される新規な有機銀錯体化合物及びこれの製造方法を提供することにある。
【0006】
本発明の他の目的は、安定性及び溶解性に優れており、薄膜形成が容易な新規な有機銀錯体化合物及びこれの製造方法を提供することにある。
【0007】
本発明のもう一つの目的は、低い温度で分解され、高純度の金属薄膜の形成が可能な、新規な有機銀錯体化合物及びこれの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、本発明者らは鋭意研究した結果、下記化学式1で表される銀化合物と、下記化学式2または化学式3で表されるアンモニウムカーボネート系化合物とを反応して、新規な有機銀錯体化合物及びこれの製造方法を発明した。
[化学式1]
[化学式2]
[化学式3]
【0009】
上記化学式1において、nは、1〜4の整数であり、Xは、酸素、硫黄、ハロゲン、シアノ、シアネート、カーボネート、ニトレート、ニトライト、サルフェート、ホスフェート、チオシアネート、クロレート、パークロレート、テトラフルオロボレート、アセチルアセトネート、カルボキシレートなどであって、具体的に例えば、酸化銀、チオシアネート化銀、硫化銀、塩化銀、シアン化銀、シアネート化銀、炭酸銀、硝酸銀、亜硝酸銀、硫酸銀、燐酸銀、過塩素酸銀、四フッ素ボレート化銀、アセチルアセトネート化銀、酢酸銀、乳酸銀、シュウ酸銀、及びその誘導体などが挙げられるが、これに限定されるものではなく、本発明では、酸化銀や炭酸銀を使用することが反応性や後処理面で好ましい。
【0010】
また、化学式2または化学式3において、R1、R2、R3、R4、R5及びR6は、お互い同一または相異なっており、これらは、それぞれ水素、炭素水1〜30個の脂肪族や脂環族アルキル基またはアリル基やこれらの混合であるアラルキル基、官能基が置換されたアルキル基及びアリル基と、ヘテロ環化合物と高分子化合物、及びその誘導体などが挙げられるが、これに限定されるものではない。具体的に例えば、水素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、アミル、ヘキシル、エチルヘキシル、ヘプチル、オクチル、イソオクチル、ノニル、デシル、ドデシル、ヘキサデシル、オクタデシル、ドコデシル、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、アリル、ヒドロキシ、メトキシ、メトキシエチル、メトキシプロピル、シアノエチル、エトキシ、ブトキシ、ヘキシルオキシ、メトキシエトキシエチル、メトキシエトキシエトキシエチル、ヘキサメチレンイミン、モルホリン、ピペリジン、ピペラジン、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、トリエチレンジアミン、ピロール、イミダゾール、ピリジン、カルボキシメチル、トリメトキシシリルプロピル、トリエトキシシリルプロピル、フェニル、メトキシフェニル、シアノフェニル、フェノキシ、トリル、ベンジル、及びその誘導体、そして、ポリアリルアミンやポリエチレンアミンのような高分子化合物、及びそれらの誘導体などが挙げられるが、これに限定されるものではない。化合物として具体的に例えば、アンモニウムカーボネート、アンモニウムバイカーボネート、エチルアンモニウムエチルカーボネート、イソプロピルアンモニウムイソプロピルカーボネート、イソプロピルアンモニウムバイカーボネート、n−ブチルアンモニウムn−ブチルカーボネート、イソブチルアンモニウムイソブチルカーボネート、t−ブチルアンモニウム t−ブチルカボネート、t−ブチルアンモニウムバイカーボネート、2−エチルヘキシルアンモニウム 2−エチルヘキシルカーボネート、2−エチルヘキシルアンモニウムバイカーボネート、2−メトキシエチルアンモニウム 2−メトキシエチルカーボネート、2−メトキシエチルアンモニウムバイカーボネート、2−シアノエチルアンモニウム 2−シアノエチルカーボネート、2−シアノエチルアンモニウムバイカーボネート、オクタデシルアンモニウムオクタデシルカーボネート、ジブチルアンモニウムジブチルカーボネート、ジオクタデシルアンモニウムジオクタデシルカーボネート、ジオクタデシルアンモニウムバイカーボネート、メチルデシルアンモニウムメチルデシルカーボネート、ヘキサメチレンイミンアンモニウムヘキサメチレンイミンカーボネート、モルホリンアンモニウムモルホリンカーボネート、ベンジルアンモニウムベンジルカーボネート、トリエトキシシリルプロピルアンモニウムトリエトキシシリルプロピルカーボネート、ピリジウムバイカーボネート、トリエチレンジアミニウムイソプロピルカーボネート、トリエチレンジアミニウムバイカーボネート、及びその誘導体などが挙げられる。
【0011】
このようなアンモニウムカーボネート系化合物の種類及び製造方法は、特に制限する必要はない。例えば、米国特許第4,542,214号(1985.9.17)では、1次アミン、2次アミン、3次アミン、または少なくとも1つ以上のこれらの混合物と二酸化炭素及び水から製造できると記述しており、アミン1モル当り0.5モルを使用すると、アンモニウムカーボネート系化合物が、そして1モル以上の場合は、アンモニウムバイカーボネート系化合物を得ることができる。この際、常圧または加圧状態で特別な溶媒を使用せずに直接製造するか、溶媒を使用する場合、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノールのようなアルコール類、エチレングリコール、グリセリンのようなグリコール類、エチルアセテート、ブチルアセテート、カルビトールアセテートのようなアセテート類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンのようなエーテル類、メチルエチルケトン、アセトンのようなケトン類、ヘキサン、ヘプタンのような炭化水素系、ベンゼン、トルエンのような芳香族、そしてクロロホルムやメチレンクロライド、カーボンテトラクロライドのようなハロゲン置換溶媒などが挙げられて、二酸化炭素は、気相状態でバブリング(bubbling)するか、固体相ドライアイスを使用し、超臨界(supercritical)状態でも反応することができる。本発明で使用されるアンモニウムカーボネート誘導体の製造には、上記の方法の他にも、最終物質の構造が同一であれば、公知の如何なる方法を使用してもよい。即ち、製造のための溶媒、反応温度、濃度または触媒などを特に限定する必要はなく、製造収率にも影響しない。
【0012】
このように製造されたアンモニウムカーボネート系化合物と銀化合物とを反応して、有機銀錯体化合物を製造することができる。例えば、化学式1に示したような少なくとも一つ以上の銀化合物と、化学式2または化学式3に示したような少なくとも一つ以上のアンモニウムカーボネート誘導体とを、窒素雰囲気の常圧または加圧状態で、溶媒を使用せずに直接反応するか、溶媒を使用する場合、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノールのようなアルコール類、エチレングリコール、グリセリンのようなグリコール類、エチルアセテート、ブチルアセテート、カルビトールアセテートのようなアセテート類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンのようなエーテル類、メチルエチルケトン、アセトンのようなケトン類、ヘキサン、ヘプタンのような炭化水素系、ベンゼン、トルエンのような芳香族、そしてクロロホルムやメチレンクロライド、カーボンテトラクロライドのようなハロゲン置換溶媒などを使用することができる。しかしながら、本発明の有機銀錯体化合物の製造方法は、特に制限する必要はない。即ち、最終物質の構造が同一であれば、公知の如何なる方法を使用してもよい。例えば、製造のための溶媒、反応温度、濃度または触媒の使用有無などを特に限定する必要はなく、製造収率にも影響しない。本発明で製造された有機銀錯体化合物は、本発明の特徴であるメタノールのようなアルコール類、エチルアセテートのようなエステル類、テトラヒドロフランのようなエーテル類溶媒など、上記の本発明の有機銀錯体化合物を製造する溶媒を含む多様な溶媒によく溶けて、塗布やプリンティング工程に容易に適用可能であり、また、保管などの安定性においても、非常に安定した溶液を形成して、3ヶ月以上安定的に溶液状態に保管可能であって、その製造を確認できるように、FT−IR、1H NMR、13C NMR、元素分析などで構造分析が可能であり、熱分析(TGA及びDSC)による分解挙動及び銀含量測定も行うことができた。
【0013】
また、本発明の有機銀錯体化合物溶液をガラス、シリコンウェハ、ポリエステルやポリイミドのような高分子フィルム、紙などのような基板にコーティングして薄膜を製造するか、直接プリンティングすることができる。薄膜製造及びプリンティング方法としては、それぞれスピンコーティング、ロールコーティング、スプレーコーティング、ディップコーティング、フローコーティングと、インクジェットプリンティング、オフセットプリンティング、スクリーンプリンティング、グラビアプリンティング、フレキソプリンティングなどが可能である。
【0014】
このようにして得られた薄膜を酸化または還元処理や熱処理するか、有機銀錯体化合物を、化学蒸着(CVD)、プラズマ蒸着、スパッタリング、電気メッキ、リソ工程(lithography)、電子線、レーザー処理を通じて、金属または金属酸化物パターンを形成させるのにも利用することができる。上記の熱処理は、通常の不活性雰囲気下で熱処理することもできるが、必要に応じて、空気中、または水素と空気中、または他の不活性ガスとの混合ガスでも熱処理が可能である。
【0015】
以下、実施例を通じて本発明を詳細に説明するが、本発明がこれらの実施例に限定されるものではない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
(実施例1)
酸化銀と2−エチルヘキシルアンモニウム2−エチルヘキシルカーボネートとの反応
攪拌器付き50mlのシュレンク(Schlenk)フラスコに、粘性のある液体の2−エチルヘキシルアンモニウム2−エチルヘキシルカーボネート3.72g(11.61ミリモル)を10mlのメタノールに溶解させた後、酸化銀1.0g(4.31ミリモル)を添加した。前記反応溶液は、黒色懸濁液(Slurry)で反応が進行されるにつれて、だんだん透明な色に変わることが観察されて、2時間が経った後には、完全に無色透明な溶液に変わって、錯化合物が生成されたことが分かった。この溶液を0.45ミクロンのメンブランフィルタ(membrane filter)を使用してフィルタし、反応しない酸化銀粒子を除去して、真空下で溶媒を全て除去すると、白色の固体が得られるが、これを乾燥した後、重量を測定した結果、銀錯体化物4.02g(収率:85.2%)が得られた。融点は、55〜57℃(DSC:57.34℃)であって、熱分析(TGA)結果、130℃以下で大部分分解が完了され、銀金属が残り、銀含量は、21.43重量%であった。
1H NMR(CD3OD, ppm), 0.87-0.99(m, -CH3) 1.31-1.47(m, -CH2, -CH-), 2.69-2.70, 3.01-3.02(d, -NCH2), 4.90(s, -NH2), 13C NMR(CD3OD, ppm), 165.00, 47.70, 44.25, 31.73, 30.90, 24.73, 24.29, 14.68, 11.16
【0017】
(実施例2)
酸化銀と2−エチルヘキシルアンモニウムバイカーボネートとの反応
攪拌器付き50mlのシュレンク(Schlenk)フラスコに、粘性のある液体の2−エチルヘキシルアンモニウムバイカーボネート4.86g(25.37ミリモル)を10mlのメタノールに溶解させた後、酸化銀1.0g(4.31ミリモル)を添加した。前記反応溶液は、黒色懸濁液(Slurry)で反応が進行されるにつれて、だんだん透明な色に変わることが観察されて、2時間が経った後には、完全に無色透明な溶液に変わって、錯化合物が生成されたことが分かった。この溶液を0.45ミクロンのメンブランフィルタ(membrane filter)を使用してフィルタした後、真空下で溶媒を全て除去すると、白色の固体が得られるが、これを乾燥した後、重量を測定した結果、銀錯体化物4.33g(収率:73.9%)が得られた。融点は、56〜57℃(DSC:57.66℃)であって、熱分析(TGA)結果、130℃以下で大部分分解が完了され、銀金属が残り、銀含量は、21.48重量%であった。
1H NMR(CD3OD, ppm), 0.93-1.08(m, -CH3) 1.31-1.64(m, -CH2, -CH-), 2.93-2.94, 3.25-3.26(d, -NCH2), 5.13(s, -NH2), 13C NMR(CD3OD, ppm), 165.56, 47.73, 44.23, 31.713, 30.08, 24.72, 24.28, 14.69, 11.1
【0018】
(実施例3)
酸化銀とイソプロピルアンモニウムイソプロピルカーボネートとの反応
攪拌器付き50mlのシュレンク(Schlenk)フラスコに、イソプロピルアンモニウムイソプロピルカーボネート2.01g(11.18ミリモル)を10mlのメタノールに溶解させた後、酸化銀1.0g(4.31ミリモル)を添加した。前記反応溶液は、黒色懸濁液(Slurry)で反応が進行されるにつれて、だんだん透明な色に変わることが観察されて、2時間が経った後には、完全に無色透明な溶液に変わって、錯化合物が生成されたことが分かった。この溶液を0.45ミクロンのメンブランフィルタ(membrane filter)を使用してフィルタした後、真空下で溶媒を全て除去すると、白色の固体が得られるが、これを乾燥した後、重量を測定した結果、銀錯体化物2.41g(収率:80.2%)が得られた。熱分析(TGA)結果、130℃以下で大部分分解が完了され、銀金属が残って、銀含量は、38.6重量%であった。
【0019】
(実施例4)
炭酸銀とイソプロピルアンモニウムイソプロピルカーボネートとの反応
攪拌器付き50mlのシュレンク(Schlenk)フラスコに、イソプロピルアンモニウムイソプロピルカーボネート2.07g(11.52ミリモル)を10mlのメタノールに溶解させた後、炭酸銀1.0g(3.60ミリモル)を添加した。前記反応溶液は、黄色懸濁液(Slurry)で反応が進行されるにつれて、だんだん透明な色に変わることが観察されて、6時間が経った後には、完全に無色の透明な溶液に変わって、錯化合物が生成されたことが分かった。この溶液を0.45ミクロンのメンブランフィルタ(membrane filter)を使用してフィルタした後、真空下で溶媒を全て除去すると、白色の固体が得られるが、これを乾燥した後、重量を測定した結果、銀錯体化物2.42g(収率:78.8%)が得られた。熱分析(TGA)結果、130℃以下で大部分分解が完了され、銀金属が残って、銀含量は、32.23重量%であった。
【0020】
(実施例5)
炭酸銀と2−エチルヘキシルアンモニウム2−エチルヘキシルカーボネートとの反応
攪拌器付き50mlのシュレンク(Schlenk)フラスコに、粘性のある液体の2−エチルヘキシルアンモニウム2−エチルヘキシルカーボネート3.46g(14.4ミリモル)を10mlのメタノールに溶解させた後、酸化銀1.0g(3.6ミリモル)を添加した。前記反応溶液は、黄色懸濁液(Slurry)で反応が進行されるにつれて、だんだん透明な色に変わることが観察されて、6時間が経った後には、完全に黄色の透明な溶液に変わって、錯化合物が生成されたことが分かった。この溶液を0.45ミクロンのメンブランフィルタ(membrane filter)を使用してフィルタした後、真空下で溶媒を全て除去すると、白色の固体が得られるが、これを乾燥した後、重量を測定した結果、銀錯体化物4.15g(収率:93.04%)が得られた。熱分析(TGA)の結果、130℃以下で大部分分解が完了され、銀金属が残って、銀含量は、18.79重量%であった。
【0021】
(実施例6)
酸化銀とイソプロピルアンモニウムバイカーボネートとの反応
攪拌器付き50mlのシュレンク(Schlenk)フラスコに、イソプロピルアンモニウムバイカーボネート(融点:53〜54℃)2.97g(24.51ミリモル)を10mlのメタノールに溶解させた後、酸化銀1.0g(4.31ミリモル)を添加した。前記反応溶液は、黒色懸濁液(Slurry)で反応が進行されるにつれて、だんだん透明な色に変わることが観察されて、2時間が経った後には、完全に無色の透明な溶液に変わって、錯化合物が生成されたことが分かった。この溶液を0.45ミクロンのメンブランフィルタ(membrane filter)を使用してフィルタした後、真空下で溶媒を全て除去すると、白色の固体が得られるが、これを乾燥した後、重量を測定した結果、銀錯体化物2.41g(収率:60.7%)が得られた。融点は、68〜70℃(DSC:70.49℃)であって、熱分析(TGA)結果、130℃以下で大部分分解が完了され、銀金属が残り、銀含量は、38.58重量%であった。
【0022】
(実施例7)
酸化銀とアンモニウムカーボネートとの反応
攪拌器付き250mlのシュレンク(Schlenk)フラスコに、アンモニウムカーボネート8.26g(86ミリモル)とイソプロピルアミン15gとを50mlのメタノールに溶解させた後、酸化銀10.0g(43.1ミリモル)を添加した。前記反応溶液は、黒色懸濁液(Slurry)で反応が進行されるにつれて、だんだん透明な色に変わることが観察されて、2時間が経った後には、完全に無色の透明な溶液に変わって、錯化合物が生成されたことが分かった。この溶液を0.45ミクロンのメンブランフィルタ(membrane filter)を使用してフィルタした後、真空下で溶媒を全て除去すると、白色の固体が得られるが、これを乾燥した後、重量を測定した結果、銀錯体化物28.38g(収率:85.5%)が得られた。融点(DSC)は、63.38℃であって、熱分析(TGA)の結果、130℃以下で大部分分解が完了され、銀金属が残り、銀含量は、46.3重量%であった。
【0023】
(実施例8)
炭酸銀とアンモニウムカーボネートとの反応
攪拌器付き250mlのシュレンク(Schlenk)フラスコに、アンモニウムカーボネート4.13g(43ミリモル)とイソプロピルアミン15g(0.25モル)とを50mlのメタノールに溶解させた後、炭酸銀11.88g(43.1ミリモル)を添加した。前記反応溶液は、黄色懸濁液(Slurry)で反応が進行されるにつれて、だんだん透明な色に変わることが観察されて、6時間が経った後には、完全に無色の透明な溶液に変わって、錯化合物が生成されたことが分かった。この溶液を0.45ミクロンのメンブランフィルタ(membrane filter)を使用してフィルタした後、真空下で溶媒を全て除去すると、白色の固体が得られるが、これを乾燥した後、重量を測定した結果、銀錯体化物26.71g(収率:85.9%)が得られた。熱分析(TGA)の結果、130℃以下で大部分分解が完了され、銀金属が残り、銀含量は、47.8重量%であった。
【0024】
(実施例9)
酸化銀とアンモニウムバイカーボネートとの反応
攪拌器付き250mlのシュレンク(Schlenk)フラスコに、アンモニウムカーボネート6.8g(86ミリモル)とイソプロピルアミン15g(0.25モル)とを50mlのメタノールに溶解させた後、酸化銀10.0g(43.1ミリモル)を添加した。前記反応溶液は、黒色懸濁液(Slurry)で反応が進行されるにつれて、だんだん透明な色に変わることが観察されて、3時間が経った後には、完全に無色の透明な溶液に変わって、錯化合物が生成されたことが分かった。この溶液を0.45ミクロンのメンブランフィルタ(membrane filter)を使用してフィルタした後、真空下で溶媒を全て除去すると、白色の固体が得られるが、これを乾燥した後、重量を測定した結果、銀錯体化物26.55g(収率:83.5%)が得られた。熱分析(TGA)の結果、130℃以下で大部分分解が完了され、銀金属が残り、銀含量は、46.8重量%であった。
【0025】
(実施例10)
炭酸銀とアンモニウムバイカーボネートとの反応
攪拌器付き250mlのシュレンク(Schlenk)フラスコに、アンモニウムバイカーボネート3.4g(43ミリモル)とイソプロピルアミン15g(0.25モル)とを50mlのメタノールに溶解させた後、炭酸銀11.88g(43.1ミリモル)を添加した。前記反応溶液は、黄色懸濁液(Slurry)で反応が進行されるにつれて、だんだん透明な色に変わることが観察されて、6時間が経った後には、完全に無色の透明な溶液に変わって、錯化合物が生成されたことが分かった。この溶液を0.45ミクロンのメンブランフィルタ(membrane filter)を使用してフィルタした後、真空下で溶媒を全て除去すると、白色の固体が得られるが、これを乾燥した後、重量を測定した結果、銀錯体化物26.20g(収率:86.2%)が得られた。熱分析(TGA)の結果、130℃以下で大部分分解が完了され、銀金属が残り、銀含量は、48.2重量%であった。
【0026】
(実施例11)
酸化銀と2−メトキシエチルアンモニウムバイカーボネートとの反応
攪拌器付き50mlのシュレンク(Schlenk)フラスコに、粘性のある液体の2−メトキシエチルアンモニウムバイカーボネート3.24g(23.65ミリモル)を10mlのメタノールに溶解させた後、酸化銀1.0g(4.31ミリモル)を添加した。前記反応溶液は、黒色懸濁液(Slurry)で反応が進行されるにつれて、だんだん透明な色に変わることが観察されて、2時間が経った後には、完全に黄色の透明な溶液に変わって、錯化合物が生成されたことが分かった。この溶液を0.45ミクロンのメンブランフィルタ(membrane filter)を使用してフィルタした後、真空下で溶媒を全て除去すると、黄色の粘性のある液体が得られるが、これを乾燥した後、重量を測定した結果、銀錯体化物3.01g(収率:70.75%)が得られた。熱分析(TGA)の結果、130℃以下で大部分分解が完了され、銀金属が残り、銀含量は、31.08重量%であった。
【0027】
(実施例12)
炭酸銀と2−メトキシエチルアンモニウムバイカーボネートとの反応
攪拌器付き50mlのシュレンク(Schlenk)フラスコに、粘性のある液体の2−メトキシエチルアンモニウムバイカーボネート3.78g(27.54ミリモル)を10mlのメタノールに溶解させた後、炭酸銀1.0g(3.60ミリモル)を添加した。前記反応溶液は、黄色懸濁液(Slurry)で反応が進行されるにつれて、だんだん透明な色に変わることが観察されて、2時間が経った後には、完全に黄色の透明な溶液に変わって、錯化合物が生成されたことが分かった。この溶液を0.45ミクロンのメンブランフィルタ(membrane filter)を使用してフィルタした後、真空下で溶媒を全て除去すると、黄色の粘性のある液体が得られるが、これを乾燥した後、重量を測定した結果、銀錯体化物3.28g(収率:68.61%)が得られた。熱分析(TGA)の結果、130℃以下で大部分分解が完了され、銀金属が残り、銀含量は、23.78重量%であった。
【0028】
(実施例13)
酸化銀とオクチルアンモニウムバイカーボネートとの反応
攪拌器付き50mlのシュレンク(Schlenk)フラスコに、白色の固体であるオクチルアンモニウムバイカーボネート3.07g(24.73ミリモル)を10mlのメタノールに溶解させた後、酸化銀1.0g(4.31ミリモル)を添加した。前記反応溶液は、黒色懸濁液(Slurry)で反応が進行されるにつれて、だんだん透明な色に変わることが観察されて、2時間が経った後には、完全に無色の透明な溶液に変わって、錯化合物が生成されたことが分かった。この溶液を0.45ミクロンのメンブランフィルタ(membrane filter)を使用してフィルタした後、真空下で溶媒を全て除去すると、白色の固体が得られるが、これを乾燥した後、重量を測定した結果、銀錯体化物3.81g(収率:93.61%)が得られた。熱分析(TGA)の結果、130℃以下で大部分分解が完了され、銀金属が残り、銀含量は、24.40重量%であった。
【0029】
(実施例14)
酸化銀とイソブチルアンモニウムバイカーボネートとの反応
攪拌器付き50mlのシュレンク(Schlenk)フラスコに、白色の固体であるイソブチルアンモニウムバイカーボネート3.20g(23.65ミリモル)を10mlのメタノールに溶解させた後、酸化銀1.0g(4.31ミリモル)を添加した。前記反応溶液は、黒色懸濁液(Slurry)で反応が進行されるにつれて、だんだん透明な色に変わることが観察されて、2時間が経った後には、完全に無色の透明な溶液に変わって、錯化合物が生成されたことが分かった。この溶液を0.45ミクロンのメンブランフィルタ(membrane filter)を使用してフィルタした後、真空下で溶媒を全て除去すると、白色の固体が得られるが、これを乾燥した後、重量を測定した結果、銀錯体化物3.21g(収率:76.42%)が得られた。熱分析(TGA)の結果、130℃以下で大部分分解が完了され、銀金属が残り、銀含量は、28.97重量%であった。
【0030】
(実施例15)
酸化銀とn−ブチルアンモニウムバイカーボネートとの反応
攪拌器付き50mlのシュレンク(Schlenk)フラスコに、粘性のあるn−ブチルアンモニウムバイカーボネート3.20g(23.65ミリモル)を10mlのメタノールに溶解させた後、酸化銀1.0g(4.31ミリモル)を添加した。前記反応溶液は、黒色懸濁液(Slurry)で反応が進行されるにつれて、だんだん透明な色に変わることが観察されて、6時間が経った後には、完全に無色の透明な溶液に変わって、錯化合物が生成されたことが分かった。この溶液を0.45ミクロンのメンブランフィルタ(membrane filter)を使用してフィルタした後、真空下で溶媒を全て除去すると、白色の固体が得られるが、これを乾燥した後、重量を測定した結果、銀錯体化物3.49g(収率:83.09%)が得られた。熱分析(TGA)の結果、130℃以下で大部分分解が完了され、銀金属が残り、銀含量は、26.72重量%であった。
【0031】
(実施例16)
酸化銀とモルホリンアンモニウムバイカーボネートとの反応
攪拌器付き50mlのシュレンク(Schlenk)フラスコに、白色の固体であるモルホリンアンモニウムバイカーボネート3.53g(23.65ミリモル)を10mlのメタノールに溶解させた後、酸化銀1.0g(4.31ミリモル)を添加した。前記反応溶液は、黒色懸濁液(Slurry)で反応が進行されるにつれて、だんだん透明な色に変わることが観察されて、2時間が経った後には、完全に黄色の透明な溶液に変わって、錯化合物が生成されたことが分かった。この溶液を0.45ミクロンのメンブランフィルタ(membrane filter)を使用してフィルタした後、真空下で溶媒を全て除去すると、白色の固体が得られるが、これを乾燥した後、重量を測定した結果、銀錯体化物3.16g(収率:69.75%)が得られた。熱分析(TGA)の結果、130℃以下で大部分分解が完了され、銀金属が残り、銀含量は、29.49重量%であった。
【0032】
(実施例17)
酸化銀と2−エチルヘキシルアンモニウム2−エチルヘキシルカーボネートとの反応
前記実施例1の2−エチルヘキシルアンモニウム2−エチルヘキシルカーボネートをテトラヒドロフラン(THF)に溶解させて、同様な方法により実験を行った。
攪拌器付き50mlのシュレンク(Schlenk)フラスコに、粘性のある液体の2−エチルヘキシルアンモニウム2−エチルヘキシルカーボネート4.13g(12.90ミリモル)を10mlのテトラヒドロフラン(THF)に溶解させた後、酸化銀1.0g(4.31ミリモル)を添加した。前記反応溶液は、黒色懸濁液(Slurry)で反応が進行されるにつれて、だんだん透明な色に変わることが観察されて、2時間が経った後には、完全に黄色の透明な溶液に変わって、錯化合物が生成されたことが分かった。この溶液を0.45ミクロンのメンブランフィルタ(membrane filter)を使用してフィルタした後、真空下で溶媒を全て除去すると、白色の固体が得られるが、これを乾燥した後、重量を測定した結果、銀錯体化物4.05g(収率:78.84%)が得られた。熱分析(TGA)の結果、130℃以下で大部分分解が完了され、銀金属が残り、銀含量は、22.96重量%であった。
【0033】
(実施例18)
酸化銀と2−エチルヘキシルアンモニウム2−エチルヘキシルカーボネートとの反応
前記実施例1の2−エチルヘキシルアンモニウム2−エチルヘキシルカーボネートをエチルアセテートに溶解させて、同様な方法により実験を行った。
攪拌器付き50mlのシュレンク(Schlenk)フラスコに、粘性のある液体の2−エチルヘキシルアンモニウム2−エチルヘキシルカーボネート4.13g(12.90ミリモル)を10mlのエチルアセテートに溶解させた後、酸化銀1.0g(4.31ミリモル)を添加した。前記反応溶液は、黒色懸濁液(Slurry)で反応が進行されるにつれて、だんだん透明な色に変わることが観察されて、2時間が経った後には、完全に無色の透明な溶液に変わって、錯化合物が生成されたことが分かった。この溶液を0.45ミクロンのメンブランフィルタ(membrane filter)を使用してフィルタした後、真空下で溶媒を全て除去すると、白色の固体が得られるが、これを乾燥した後、重量を測定した結果、銀錯体化物3.96g(収率:77.19%)が得られた。熱分析(TGA)の結果、130℃以下で大部分分解が完了され、銀金属が残り、銀含量は、23.48重量%であった。
【0034】
(実施例19)
酸化銀と2−エチルヘキシルアンモニウム2−エチルヘキシルカーボネートとの反応
前記実施例1の2−エチルヘキシルアンモニウム2−エチルヘキシルカーボネートを、溶媒を使用せずに、同様な方法により実験を行った。
攪拌器付き50mlのシュレンク(Schlenk)フラスコに、粘性のある液体の2−エチルヘキシルアンモニウム2−エチルヘキシルカーボネート4.13g(12.90ミリモル)と酸化銀1.0g(4.31ミリモル)を添加した。前記反応溶液は、黒色懸濁液(Slurry)で反応が進行されるにつれて、だんだん透明な色に変わることが観察されて、2時間が経った後には、完全に黄色の透明な溶液に変わって、錯化合物が生成されたことが分かった。この溶液を0.45ミクロンのメンブランフィルタ(membrane filter)を使用してフィルタした後、真空下に放置すると、白色の固体が得られるが、これを乾燥した後、重量を測定した結果、銀錯体化物3.96g(収率:77.19%)が得られた。熱分析(TGA)の結果、130℃以下で大部分分解が完了され、銀金属が残り、銀含量は、23.48重量%であった。
【0035】
(実施例20)
酸化銀とアミノエチルアンモニウムカーボネートとの反応
攪拌器付き50mlのシュレンク(Schlenk)フラスコに、白色の固体であるアミノエチルアンモニウムカーボネート2.35g(12.90ミリモル)を10mlのメタノールに溶解させた後、酸化銀1.0g(4.31ミリモル)を添加した。前記反応溶液は、黒色懸濁液(Slurry)で反応が進行されるにつれて、だんだん透明な色に変わることが観察されて、2時間が経った後には、完全に無色の透明な溶液に変わって、錯化合物が生成されたことが分かった。この溶液を0.45ミクロンのメンブランフィルタ(membrane filter)を使用してフィルタした後、真空下で溶媒を全て除去すると、黒色の粘性のある液体が得られるが、これを乾燥した後、重量を測定した結果、銀錯体化物2.42g(収率:72.23%)が得られた。熱分析(TGA)の結果、130℃以下で大部分分解が完了され、銀金属が残り、銀含量は、38.45重量%であった。
【0036】
(実施例21)
酸化銀と2−エチルヘキシルアンモニウム2−エチルヘキシルカーボネートとアミノエチルアンモニウムアミノエチルカーボネートとの反応
攪拌器付き50mlのシュレンク(Schlenk)フラスコに、6:1モル比率の2−エチルヘキシルアンモニウム2−エチルヘキシルカーバメートとアミノエチルアンモニウムアミノエチルカーバメート3.87g(12.9ミリモル)を10mlのメタノールに溶解させた後、酸化銀1.0g(4.31ミリモル)を添加した。前記反応溶液は、黒色懸濁液(Slurry)で反応が進行されるにつれて、だんだん透明な色に変わることが観察されて、2時間が経った後には、完全に無色の透明な溶液に変わって、錯化合物が生成されたことが分かった。この溶液を0.45ミクロンのメンブランフィルタ(membrane filter)を使用してフィルタした後、真空下で溶媒を全て除去すると、オレンジ色の粘性のある液体が得られるが、これを乾燥した後、重量を測定した結果、銀錯体化物3.05g(収率:78.85%)が得られた。熱分析(TGA)の結果、130℃以下で大部分分解が完了され、銀金属が残り、銀含量は、30.41重量%であった。
【0037】
(実施例22)
硫酸銀と2−エチルヘキシルアンモニウム2−エチルヘキシルカーボネートとの反応
攪拌器付き50mlのシュレンク(Schlenk)フラスコに、粘性のある液体の2−エチルヘキシルアンモニウム2−エチルヘキシルカーボネート3.07g(9.60ミリモル)を10mlのメタノールに溶解させた後、硫酸銀1.0g(3.2ミリモル)を添加した。前記反応溶液は、白色の懸濁液(Slurry)で反応が進行されるにつれて、だんだん透明な色に変わることが観察されて、2時間が経った後には、完全に透明な溶液に変わって、錯化合物が生成されたことが分かった。この溶液を0.45ミクロンのメンブランフィルタ(membrane filter)を使用してフィルタした後、真空下で溶媒を全て除去すると、白色の固体が得られるが、これをエチルアセテートで再結晶して乾燥した後、重量を測定した結果、銀錯体化物3.55g(収率:87.2%)が得られた。熱分析(TGA)の結果、130℃以下で大部分分解が完了され、銀金属が残り、銀含量は、19.52重量%であった。
【0038】
(実施例23)
硝酸銀と2−エチルヘキシルアンモニウム2−エチルヘキシルカーボネートとの反応
攪拌器付き50mlのシュレンク(Schlenk)フラスコに、粘性のある液体の2−エチルヘキシルアンモニウム2−エチルヘキシルカーボネート2.84g(8.86ミリモル)を10mlのメタノールに溶解させた後、硝酸銀1.0g(5.9ミリモル)を添加した。前記反応溶液は、白色の懸濁液(Slurry)で反応が進行されるにつれて、だんだん透明な色に変わることが観察されて、2時間が経った後には、完全に透明な溶液に変わって、錯化合物が生成されたことが分かった。この溶液を0.45ミクロンのメンブランフィルタ(membrane filter)を使用してフィルタした後、真空下で溶媒を全て除去すると、白色の固体が得られるが、これをエチルアセテートで再結晶して乾燥した後、重量を測定した結果、銀錯体化物3.12g(収率:81.34%)が得られた。熱分析(TGA)の結果、130℃以下で大部分分解が完了され、銀金属が残り、銀含量は、19.88重量%であった。
【0039】
(実施例24)
シアン化銀と2−エチルヘキシルアンモニウム2−エチルヘキシルカーボネートとの反応
攪拌器付き50mlのシュレンク(Schlenk)フラスコに、粘性のある液体の2−エチルヘキシルアンモニウム2−エチルヘキシルカーボネート3.59g(11.20ミリモル)を10mlのジメチルスルホオキシド(DMSO)に溶解させた後、シアン化銀1.0g(7.5ミリモル)を添加した。前記反応溶液は、白色の懸濁液(Slurry)で反応が進行されるにつれて、だんだん透明な色に変わることが観察されて、2時間が経った後には、完全に透明な溶液に変わって、錯化合物が生成されたことが分かった。この溶液を0.45ミクロンのメンブランフィルタ(membrane filter)を使用してフィルタした後、真空下で溶媒を全て除去すると、白色の固体が得られるが、これをエチルアセテートで再結晶して乾燥した後、重量を測定した結果、銀錯体化物3.93g(収率:85.62%)が得られた。熱分析(TGA)の結果、130℃以下で大部分分解が完了され、銀金属が残り、銀含量は、20.37重量%であった。
【0040】
(実施例25)
実施例1で合成した銀錯体化合物4gを2−ヘキシルアルコール5gに溶かした後、500cpsとなるように粘度を調整して、320メッシュ(mesh)のパターニングされたシルクスクリーンで、コーティング処理された紙(インクテック社製、製品名:ITP20HPGまたはITP20SPH)上にパターニングした後、100℃で5分間、そして130℃で10分間熱処理し、伝導度が400〜500mΩ/□の金属パターンを得た。
【0041】
(実施例26)
実施例2で合成した銀錯体化合物4gをブチルアルコール10gに溶かした後、13cpsとなるように粘度を調整し、インクジェットプリンターを利用して、PETフィルム上にパターニングを1回した。パターニングした後、80℃で5分間、そして130℃で10分間熱処理し、伝導度が200〜300mΩ/□の金属パターンを得た。
【0042】
本発明により、化学式1の銀化合物と、化学式2または化学式3のアンモニウムカーボネート系化合物とを反応して誘導された可溶性の有機銀錯体化合物が提供された。
【0043】
前記材料は、前記TGA結果から分かるように、非常に低い温度で容易に分解され、純粋な金属薄膜または粉末を形成するため、多様な形態の銀金属膜の形成が可能であり、また、高真空下で蒸着し、非常に薄い薄膜の形成も可能であることが分かり、メッキ、医薬、写真、電気電子、繊維、洗剤、家電製品と有機物、及び高分子合成に触媒として使用するか、銀粉末、ペースト、ナノ粒子の製造に利用することができて、特に、低抵抗金属配線、印刷回路基板(PCB)、軟性回路基板(FPC)、無線認識タグ(RFID)用アンテナ、そしてプラズマディスプレイ(PDP)、液晶ディスプレイ(TFT-LCD)、有機発光ダイオード(OLED)、フレキシブルディスプレイ、及び有機薄膜トランジスタ(OTFT)などのような分野で、電極や化学蒸着(CVD)、プラズマ蒸着、スパッタリング、電気メッキ、リソ工程(photolithography)、電子線(electron beam)、レーザーなど、多様な方法により金属パターンを形成させる時、前駆体(precursor)材料として使用することができる。また、本発明の有機銀錯体化合物溶液をガラス、シリコンウェハ、ポリエステルやポリイミドのような高分子フィルム、紙などのような基板にスピンコーティング、ロールコーティング、スプレーコーティング、ディップコーティング、フローコーティングと、インクジェットプリンティング、オフセットプリンティング、スクリーンプリンティング、グラビアプリンティング、フレキソプリンティングした後、酸化または還元処理や熱処理して、金属または金属酸化物パターンを形成させるのにも利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】実施例1の銀錯体化合物の1H NMRスペクトルである。
【図2】実施例2の銀錯体化合物の1H NMRスペクトルである。
【図3】実施例1の銀錯体化合物の13C NMRスペクトルである。
【図4】実施例2の銀錯体化合物の13C NMRスペクトルである。
【図5】実施例1の銀錯体化合物のIRスペクトルである。
【図6】実施例2の銀錯体化合物のIRスペクトルである。
【図7】実施例1の銀錯体化合物のTGA熱分解曲線(thermogram)である。
【図8】実施例2の銀錯体化合物のTGA熱分解曲線(thermogram)である。
【図9】実施例1の銀錯体化合物のDSC熱分解曲線(thermogram)である。
【図10】実施例2の銀錯体化合物のDSC熱分解曲線(thermogram)である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、銀化合物とアンモニウムカーボネート系化合物とを反応して得られる有機銀錯体化合物及びこれの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
Ullmann's Encyclopedia of Ind. Chem., Vol. A24, 107(1993)では、銀(silver)は、貴金属であって、酸化され難く、電気及び熱伝導度に優れており、触媒及び抗菌作用などを有しているため、銀及び銀化合物は、合金、メッキ、医薬、写真、電気電子、繊維、洗剤、家電など、産業全般に広く使用されると記述されている。また、銀化合物は、有機物及び高分子合成に触媒として使用することができて、特に、最近は、電気電子部品回路で鉛使用の規制及び低抵抗金属配線、印刷回路基板(PCB)、軟性回路基板(FPC)、無線認識タグ(RFID)用アンテナ、そしてプラズマディスプレイ(PDP)、液晶ディスプレイ(TFT-LCD)、有機発光ダイオード(OLED)、フレキシブルディスプレイ、及び有機薄膜トランジスタ(OTFT)などのような新しい分野で、金属パターンを必要とするか、電極として使用するなど、銀に対する関心が高まっている。銀を使用する場合、大部分粉末やバインダと溶剤が含まれたペースト状として直接使用するか、硝酸銀のような銀化合物を水溶液または有機溶媒上で他の化合物と反応して、ナノ粒子を含む多様な形態の銀及び有機銀化合物を製造して使用している。このような有機銀化合物は、化学蒸着(CVD)、プラズマ蒸着、スパッタリング、電気メッキ、露光(photolithography)、電子線(electron beam)、レーザーなど、多様な方法により金属パターンを形成させるのに使用されている。
【0003】
有機銀化合物の中で、錯体化合物(Organic Silver Complexes)の配位子として一般に最もよく知られているものは、カルボキシル酸(Prog. Inorg. Chem., 10, p233 (1968))であって、銀を含む金属カルボキシレート錯体は、一般に光に敏感で、有機溶媒で溶解度が低く(J. Chem. Soc.,(A)., p514(1971)、米国特許第5,534,312号(1996. 7. 9))、分解温度が高いため、製造上の容易さにもかかわらず、応用に限界がある。このような問題点を解決するために、J. Inorg. Nucl. Chem., 40, p1599(1978), Ang. Chem., Int. Ed. Engl., 31, p770(1992), Eur. J. Solid State Inorg. Chem., 32, p25(1995), J. Chem. Cryst., 26, p99(1996), Chem. Vapor Deposition, 7, 111(2001), Chem. Mater., 16, 2021(2004)、米国特許第5,705,661号(1998.1.6)、大韓民国特許公開公報第2003−0085357号(2003.11.5)では、様々な方法が提案されているが、例えば、カルボキシル酸の中でアルキル鎖が長い化合物を使用するか、アミン化合物やホスフィン化合物などを含ませる方法などが挙げられる。しかしながら、今まで、銀から誘導される化合物の誘導体は限定されており、しかも、これらは安定性及び溶解性が欠如しているか、金属へのパターンを形成するには分解温度が高く分解速度が遅いという短所がある。
【0004】
したがって、本発明者らは、このような問題点を解決するために鋭意研究した結果、本発明に到達した。即ち、本発明は、様々な反応条件を通じて、安定性及び溶媒に対する溶解性に優れており、薄膜形成が容易であって、容易に金属パターン形成が可能であり、また、低い温度で分解され、銀金属の薄膜または粉末の形成が非常に容易な、多様な構造を有する新規な有機銀錯体化合物及びこれらの製造方法を提供する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、銀化合物とアンモニウムカーボネート系化合物とを反応して誘導される新規な有機銀錯体化合物及びこれの製造方法を提供することにある。
【0006】
本発明の他の目的は、安定性及び溶解性に優れており、薄膜形成が容易な新規な有機銀錯体化合物及びこれの製造方法を提供することにある。
【0007】
本発明のもう一つの目的は、低い温度で分解され、高純度の金属薄膜の形成が可能な、新規な有機銀錯体化合物及びこれの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、本発明者らは鋭意研究した結果、下記化学式1で表される銀化合物と、下記化学式2または化学式3で表されるアンモニウムカーボネート系化合物とを反応して、新規な有機銀錯体化合物及びこれの製造方法を発明した。
[化学式1]
[化学式2]
[化学式3]
【0009】
上記化学式1において、nは、1〜4の整数であり、Xは、酸素、硫黄、ハロゲン、シアノ、シアネート、カーボネート、ニトレート、ニトライト、サルフェート、ホスフェート、チオシアネート、クロレート、パークロレート、テトラフルオロボレート、アセチルアセトネート、カルボキシレートなどであって、具体的に例えば、酸化銀、チオシアネート化銀、硫化銀、塩化銀、シアン化銀、シアネート化銀、炭酸銀、硝酸銀、亜硝酸銀、硫酸銀、燐酸銀、過塩素酸銀、四フッ素ボレート化銀、アセチルアセトネート化銀、酢酸銀、乳酸銀、シュウ酸銀、及びその誘導体などが挙げられるが、これに限定されるものではなく、本発明では、酸化銀や炭酸銀を使用することが反応性や後処理面で好ましい。
【0010】
また、化学式2または化学式3において、R1、R2、R3、R4、R5及びR6は、お互い同一または相異なっており、これらは、それぞれ水素、炭素水1〜30個の脂肪族や脂環族アルキル基またはアリル基やこれらの混合であるアラルキル基、官能基が置換されたアルキル基及びアリル基と、ヘテロ環化合物と高分子化合物、及びその誘導体などが挙げられるが、これに限定されるものではない。具体的に例えば、水素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、アミル、ヘキシル、エチルヘキシル、ヘプチル、オクチル、イソオクチル、ノニル、デシル、ドデシル、ヘキサデシル、オクタデシル、ドコデシル、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、アリル、ヒドロキシ、メトキシ、メトキシエチル、メトキシプロピル、シアノエチル、エトキシ、ブトキシ、ヘキシルオキシ、メトキシエトキシエチル、メトキシエトキシエトキシエチル、ヘキサメチレンイミン、モルホリン、ピペリジン、ピペラジン、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、トリエチレンジアミン、ピロール、イミダゾール、ピリジン、カルボキシメチル、トリメトキシシリルプロピル、トリエトキシシリルプロピル、フェニル、メトキシフェニル、シアノフェニル、フェノキシ、トリル、ベンジル、及びその誘導体、そして、ポリアリルアミンやポリエチレンアミンのような高分子化合物、及びそれらの誘導体などが挙げられるが、これに限定されるものではない。化合物として具体的に例えば、アンモニウムカーボネート、アンモニウムバイカーボネート、エチルアンモニウムエチルカーボネート、イソプロピルアンモニウムイソプロピルカーボネート、イソプロピルアンモニウムバイカーボネート、n−ブチルアンモニウムn−ブチルカーボネート、イソブチルアンモニウムイソブチルカーボネート、t−ブチルアンモニウム t−ブチルカボネート、t−ブチルアンモニウムバイカーボネート、2−エチルヘキシルアンモニウム 2−エチルヘキシルカーボネート、2−エチルヘキシルアンモニウムバイカーボネート、2−メトキシエチルアンモニウム 2−メトキシエチルカーボネート、2−メトキシエチルアンモニウムバイカーボネート、2−シアノエチルアンモニウム 2−シアノエチルカーボネート、2−シアノエチルアンモニウムバイカーボネート、オクタデシルアンモニウムオクタデシルカーボネート、ジブチルアンモニウムジブチルカーボネート、ジオクタデシルアンモニウムジオクタデシルカーボネート、ジオクタデシルアンモニウムバイカーボネート、メチルデシルアンモニウムメチルデシルカーボネート、ヘキサメチレンイミンアンモニウムヘキサメチレンイミンカーボネート、モルホリンアンモニウムモルホリンカーボネート、ベンジルアンモニウムベンジルカーボネート、トリエトキシシリルプロピルアンモニウムトリエトキシシリルプロピルカーボネート、ピリジウムバイカーボネート、トリエチレンジアミニウムイソプロピルカーボネート、トリエチレンジアミニウムバイカーボネート、及びその誘導体などが挙げられる。
【0011】
このようなアンモニウムカーボネート系化合物の種類及び製造方法は、特に制限する必要はない。例えば、米国特許第4,542,214号(1985.9.17)では、1次アミン、2次アミン、3次アミン、または少なくとも1つ以上のこれらの混合物と二酸化炭素及び水から製造できると記述しており、アミン1モル当り0.5モルを使用すると、アンモニウムカーボネート系化合物が、そして1モル以上の場合は、アンモニウムバイカーボネート系化合物を得ることができる。この際、常圧または加圧状態で特別な溶媒を使用せずに直接製造するか、溶媒を使用する場合、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノールのようなアルコール類、エチレングリコール、グリセリンのようなグリコール類、エチルアセテート、ブチルアセテート、カルビトールアセテートのようなアセテート類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンのようなエーテル類、メチルエチルケトン、アセトンのようなケトン類、ヘキサン、ヘプタンのような炭化水素系、ベンゼン、トルエンのような芳香族、そしてクロロホルムやメチレンクロライド、カーボンテトラクロライドのようなハロゲン置換溶媒などが挙げられて、二酸化炭素は、気相状態でバブリング(bubbling)するか、固体相ドライアイスを使用し、超臨界(supercritical)状態でも反応することができる。本発明で使用されるアンモニウムカーボネート誘導体の製造には、上記の方法の他にも、最終物質の構造が同一であれば、公知の如何なる方法を使用してもよい。即ち、製造のための溶媒、反応温度、濃度または触媒などを特に限定する必要はなく、製造収率にも影響しない。
【0012】
このように製造されたアンモニウムカーボネート系化合物と銀化合物とを反応して、有機銀錯体化合物を製造することができる。例えば、化学式1に示したような少なくとも一つ以上の銀化合物と、化学式2または化学式3に示したような少なくとも一つ以上のアンモニウムカーボネート誘導体とを、窒素雰囲気の常圧または加圧状態で、溶媒を使用せずに直接反応するか、溶媒を使用する場合、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノールのようなアルコール類、エチレングリコール、グリセリンのようなグリコール類、エチルアセテート、ブチルアセテート、カルビトールアセテートのようなアセテート類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンのようなエーテル類、メチルエチルケトン、アセトンのようなケトン類、ヘキサン、ヘプタンのような炭化水素系、ベンゼン、トルエンのような芳香族、そしてクロロホルムやメチレンクロライド、カーボンテトラクロライドのようなハロゲン置換溶媒などを使用することができる。しかしながら、本発明の有機銀錯体化合物の製造方法は、特に制限する必要はない。即ち、最終物質の構造が同一であれば、公知の如何なる方法を使用してもよい。例えば、製造のための溶媒、反応温度、濃度または触媒の使用有無などを特に限定する必要はなく、製造収率にも影響しない。本発明で製造された有機銀錯体化合物は、本発明の特徴であるメタノールのようなアルコール類、エチルアセテートのようなエステル類、テトラヒドロフランのようなエーテル類溶媒など、上記の本発明の有機銀錯体化合物を製造する溶媒を含む多様な溶媒によく溶けて、塗布やプリンティング工程に容易に適用可能であり、また、保管などの安定性においても、非常に安定した溶液を形成して、3ヶ月以上安定的に溶液状態に保管可能であって、その製造を確認できるように、FT−IR、1H NMR、13C NMR、元素分析などで構造分析が可能であり、熱分析(TGA及びDSC)による分解挙動及び銀含量測定も行うことができた。
【0013】
また、本発明の有機銀錯体化合物溶液をガラス、シリコンウェハ、ポリエステルやポリイミドのような高分子フィルム、紙などのような基板にコーティングして薄膜を製造するか、直接プリンティングすることができる。薄膜製造及びプリンティング方法としては、それぞれスピンコーティング、ロールコーティング、スプレーコーティング、ディップコーティング、フローコーティングと、インクジェットプリンティング、オフセットプリンティング、スクリーンプリンティング、グラビアプリンティング、フレキソプリンティングなどが可能である。
【0014】
このようにして得られた薄膜を酸化または還元処理や熱処理するか、有機銀錯体化合物を、化学蒸着(CVD)、プラズマ蒸着、スパッタリング、電気メッキ、リソ工程(lithography)、電子線、レーザー処理を通じて、金属または金属酸化物パターンを形成させるのにも利用することができる。上記の熱処理は、通常の不活性雰囲気下で熱処理することもできるが、必要に応じて、空気中、または水素と空気中、または他の不活性ガスとの混合ガスでも熱処理が可能である。
【0015】
以下、実施例を通じて本発明を詳細に説明するが、本発明がこれらの実施例に限定されるものではない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
(実施例1)
酸化銀と2−エチルヘキシルアンモニウム2−エチルヘキシルカーボネートとの反応
攪拌器付き50mlのシュレンク(Schlenk)フラスコに、粘性のある液体の2−エチルヘキシルアンモニウム2−エチルヘキシルカーボネート3.72g(11.61ミリモル)を10mlのメタノールに溶解させた後、酸化銀1.0g(4.31ミリモル)を添加した。前記反応溶液は、黒色懸濁液(Slurry)で反応が進行されるにつれて、だんだん透明な色に変わることが観察されて、2時間が経った後には、完全に無色透明な溶液に変わって、錯化合物が生成されたことが分かった。この溶液を0.45ミクロンのメンブランフィルタ(membrane filter)を使用してフィルタし、反応しない酸化銀粒子を除去して、真空下で溶媒を全て除去すると、白色の固体が得られるが、これを乾燥した後、重量を測定した結果、銀錯体化物4.02g(収率:85.2%)が得られた。融点は、55〜57℃(DSC:57.34℃)であって、熱分析(TGA)結果、130℃以下で大部分分解が完了され、銀金属が残り、銀含量は、21.43重量%であった。
1H NMR(CD3OD, ppm), 0.87-0.99(m, -CH3) 1.31-1.47(m, -CH2, -CH-), 2.69-2.70, 3.01-3.02(d, -NCH2), 4.90(s, -NH2), 13C NMR(CD3OD, ppm), 165.00, 47.70, 44.25, 31.73, 30.90, 24.73, 24.29, 14.68, 11.16
【0017】
(実施例2)
酸化銀と2−エチルヘキシルアンモニウムバイカーボネートとの反応
攪拌器付き50mlのシュレンク(Schlenk)フラスコに、粘性のある液体の2−エチルヘキシルアンモニウムバイカーボネート4.86g(25.37ミリモル)を10mlのメタノールに溶解させた後、酸化銀1.0g(4.31ミリモル)を添加した。前記反応溶液は、黒色懸濁液(Slurry)で反応が進行されるにつれて、だんだん透明な色に変わることが観察されて、2時間が経った後には、完全に無色透明な溶液に変わって、錯化合物が生成されたことが分かった。この溶液を0.45ミクロンのメンブランフィルタ(membrane filter)を使用してフィルタした後、真空下で溶媒を全て除去すると、白色の固体が得られるが、これを乾燥した後、重量を測定した結果、銀錯体化物4.33g(収率:73.9%)が得られた。融点は、56〜57℃(DSC:57.66℃)であって、熱分析(TGA)結果、130℃以下で大部分分解が完了され、銀金属が残り、銀含量は、21.48重量%であった。
1H NMR(CD3OD, ppm), 0.93-1.08(m, -CH3) 1.31-1.64(m, -CH2, -CH-), 2.93-2.94, 3.25-3.26(d, -NCH2), 5.13(s, -NH2), 13C NMR(CD3OD, ppm), 165.56, 47.73, 44.23, 31.713, 30.08, 24.72, 24.28, 14.69, 11.1
【0018】
(実施例3)
酸化銀とイソプロピルアンモニウムイソプロピルカーボネートとの反応
攪拌器付き50mlのシュレンク(Schlenk)フラスコに、イソプロピルアンモニウムイソプロピルカーボネート2.01g(11.18ミリモル)を10mlのメタノールに溶解させた後、酸化銀1.0g(4.31ミリモル)を添加した。前記反応溶液は、黒色懸濁液(Slurry)で反応が進行されるにつれて、だんだん透明な色に変わることが観察されて、2時間が経った後には、完全に無色透明な溶液に変わって、錯化合物が生成されたことが分かった。この溶液を0.45ミクロンのメンブランフィルタ(membrane filter)を使用してフィルタした後、真空下で溶媒を全て除去すると、白色の固体が得られるが、これを乾燥した後、重量を測定した結果、銀錯体化物2.41g(収率:80.2%)が得られた。熱分析(TGA)結果、130℃以下で大部分分解が完了され、銀金属が残って、銀含量は、38.6重量%であった。
【0019】
(実施例4)
炭酸銀とイソプロピルアンモニウムイソプロピルカーボネートとの反応
攪拌器付き50mlのシュレンク(Schlenk)フラスコに、イソプロピルアンモニウムイソプロピルカーボネート2.07g(11.52ミリモル)を10mlのメタノールに溶解させた後、炭酸銀1.0g(3.60ミリモル)を添加した。前記反応溶液は、黄色懸濁液(Slurry)で反応が進行されるにつれて、だんだん透明な色に変わることが観察されて、6時間が経った後には、完全に無色の透明な溶液に変わって、錯化合物が生成されたことが分かった。この溶液を0.45ミクロンのメンブランフィルタ(membrane filter)を使用してフィルタした後、真空下で溶媒を全て除去すると、白色の固体が得られるが、これを乾燥した後、重量を測定した結果、銀錯体化物2.42g(収率:78.8%)が得られた。熱分析(TGA)結果、130℃以下で大部分分解が完了され、銀金属が残って、銀含量は、32.23重量%であった。
【0020】
(実施例5)
炭酸銀と2−エチルヘキシルアンモニウム2−エチルヘキシルカーボネートとの反応
攪拌器付き50mlのシュレンク(Schlenk)フラスコに、粘性のある液体の2−エチルヘキシルアンモニウム2−エチルヘキシルカーボネート3.46g(14.4ミリモル)を10mlのメタノールに溶解させた後、酸化銀1.0g(3.6ミリモル)を添加した。前記反応溶液は、黄色懸濁液(Slurry)で反応が進行されるにつれて、だんだん透明な色に変わることが観察されて、6時間が経った後には、完全に黄色の透明な溶液に変わって、錯化合物が生成されたことが分かった。この溶液を0.45ミクロンのメンブランフィルタ(membrane filter)を使用してフィルタした後、真空下で溶媒を全て除去すると、白色の固体が得られるが、これを乾燥した後、重量を測定した結果、銀錯体化物4.15g(収率:93.04%)が得られた。熱分析(TGA)の結果、130℃以下で大部分分解が完了され、銀金属が残って、銀含量は、18.79重量%であった。
【0021】
(実施例6)
酸化銀とイソプロピルアンモニウムバイカーボネートとの反応
攪拌器付き50mlのシュレンク(Schlenk)フラスコに、イソプロピルアンモニウムバイカーボネート(融点:53〜54℃)2.97g(24.51ミリモル)を10mlのメタノールに溶解させた後、酸化銀1.0g(4.31ミリモル)を添加した。前記反応溶液は、黒色懸濁液(Slurry)で反応が進行されるにつれて、だんだん透明な色に変わることが観察されて、2時間が経った後には、完全に無色の透明な溶液に変わって、錯化合物が生成されたことが分かった。この溶液を0.45ミクロンのメンブランフィルタ(membrane filter)を使用してフィルタした後、真空下で溶媒を全て除去すると、白色の固体が得られるが、これを乾燥した後、重量を測定した結果、銀錯体化物2.41g(収率:60.7%)が得られた。融点は、68〜70℃(DSC:70.49℃)であって、熱分析(TGA)結果、130℃以下で大部分分解が完了され、銀金属が残り、銀含量は、38.58重量%であった。
【0022】
(実施例7)
酸化銀とアンモニウムカーボネートとの反応
攪拌器付き250mlのシュレンク(Schlenk)フラスコに、アンモニウムカーボネート8.26g(86ミリモル)とイソプロピルアミン15gとを50mlのメタノールに溶解させた後、酸化銀10.0g(43.1ミリモル)を添加した。前記反応溶液は、黒色懸濁液(Slurry)で反応が進行されるにつれて、だんだん透明な色に変わることが観察されて、2時間が経った後には、完全に無色の透明な溶液に変わって、錯化合物が生成されたことが分かった。この溶液を0.45ミクロンのメンブランフィルタ(membrane filter)を使用してフィルタした後、真空下で溶媒を全て除去すると、白色の固体が得られるが、これを乾燥した後、重量を測定した結果、銀錯体化物28.38g(収率:85.5%)が得られた。融点(DSC)は、63.38℃であって、熱分析(TGA)の結果、130℃以下で大部分分解が完了され、銀金属が残り、銀含量は、46.3重量%であった。
【0023】
(実施例8)
炭酸銀とアンモニウムカーボネートとの反応
攪拌器付き250mlのシュレンク(Schlenk)フラスコに、アンモニウムカーボネート4.13g(43ミリモル)とイソプロピルアミン15g(0.25モル)とを50mlのメタノールに溶解させた後、炭酸銀11.88g(43.1ミリモル)を添加した。前記反応溶液は、黄色懸濁液(Slurry)で反応が進行されるにつれて、だんだん透明な色に変わることが観察されて、6時間が経った後には、完全に無色の透明な溶液に変わって、錯化合物が生成されたことが分かった。この溶液を0.45ミクロンのメンブランフィルタ(membrane filter)を使用してフィルタした後、真空下で溶媒を全て除去すると、白色の固体が得られるが、これを乾燥した後、重量を測定した結果、銀錯体化物26.71g(収率:85.9%)が得られた。熱分析(TGA)の結果、130℃以下で大部分分解が完了され、銀金属が残り、銀含量は、47.8重量%であった。
【0024】
(実施例9)
酸化銀とアンモニウムバイカーボネートとの反応
攪拌器付き250mlのシュレンク(Schlenk)フラスコに、アンモニウムカーボネート6.8g(86ミリモル)とイソプロピルアミン15g(0.25モル)とを50mlのメタノールに溶解させた後、酸化銀10.0g(43.1ミリモル)を添加した。前記反応溶液は、黒色懸濁液(Slurry)で反応が進行されるにつれて、だんだん透明な色に変わることが観察されて、3時間が経った後には、完全に無色の透明な溶液に変わって、錯化合物が生成されたことが分かった。この溶液を0.45ミクロンのメンブランフィルタ(membrane filter)を使用してフィルタした後、真空下で溶媒を全て除去すると、白色の固体が得られるが、これを乾燥した後、重量を測定した結果、銀錯体化物26.55g(収率:83.5%)が得られた。熱分析(TGA)の結果、130℃以下で大部分分解が完了され、銀金属が残り、銀含量は、46.8重量%であった。
【0025】
(実施例10)
炭酸銀とアンモニウムバイカーボネートとの反応
攪拌器付き250mlのシュレンク(Schlenk)フラスコに、アンモニウムバイカーボネート3.4g(43ミリモル)とイソプロピルアミン15g(0.25モル)とを50mlのメタノールに溶解させた後、炭酸銀11.88g(43.1ミリモル)を添加した。前記反応溶液は、黄色懸濁液(Slurry)で反応が進行されるにつれて、だんだん透明な色に変わることが観察されて、6時間が経った後には、完全に無色の透明な溶液に変わって、錯化合物が生成されたことが分かった。この溶液を0.45ミクロンのメンブランフィルタ(membrane filter)を使用してフィルタした後、真空下で溶媒を全て除去すると、白色の固体が得られるが、これを乾燥した後、重量を測定した結果、銀錯体化物26.20g(収率:86.2%)が得られた。熱分析(TGA)の結果、130℃以下で大部分分解が完了され、銀金属が残り、銀含量は、48.2重量%であった。
【0026】
(実施例11)
酸化銀と2−メトキシエチルアンモニウムバイカーボネートとの反応
攪拌器付き50mlのシュレンク(Schlenk)フラスコに、粘性のある液体の2−メトキシエチルアンモニウムバイカーボネート3.24g(23.65ミリモル)を10mlのメタノールに溶解させた後、酸化銀1.0g(4.31ミリモル)を添加した。前記反応溶液は、黒色懸濁液(Slurry)で反応が進行されるにつれて、だんだん透明な色に変わることが観察されて、2時間が経った後には、完全に黄色の透明な溶液に変わって、錯化合物が生成されたことが分かった。この溶液を0.45ミクロンのメンブランフィルタ(membrane filter)を使用してフィルタした後、真空下で溶媒を全て除去すると、黄色の粘性のある液体が得られるが、これを乾燥した後、重量を測定した結果、銀錯体化物3.01g(収率:70.75%)が得られた。熱分析(TGA)の結果、130℃以下で大部分分解が完了され、銀金属が残り、銀含量は、31.08重量%であった。
【0027】
(実施例12)
炭酸銀と2−メトキシエチルアンモニウムバイカーボネートとの反応
攪拌器付き50mlのシュレンク(Schlenk)フラスコに、粘性のある液体の2−メトキシエチルアンモニウムバイカーボネート3.78g(27.54ミリモル)を10mlのメタノールに溶解させた後、炭酸銀1.0g(3.60ミリモル)を添加した。前記反応溶液は、黄色懸濁液(Slurry)で反応が進行されるにつれて、だんだん透明な色に変わることが観察されて、2時間が経った後には、完全に黄色の透明な溶液に変わって、錯化合物が生成されたことが分かった。この溶液を0.45ミクロンのメンブランフィルタ(membrane filter)を使用してフィルタした後、真空下で溶媒を全て除去すると、黄色の粘性のある液体が得られるが、これを乾燥した後、重量を測定した結果、銀錯体化物3.28g(収率:68.61%)が得られた。熱分析(TGA)の結果、130℃以下で大部分分解が完了され、銀金属が残り、銀含量は、23.78重量%であった。
【0028】
(実施例13)
酸化銀とオクチルアンモニウムバイカーボネートとの反応
攪拌器付き50mlのシュレンク(Schlenk)フラスコに、白色の固体であるオクチルアンモニウムバイカーボネート3.07g(24.73ミリモル)を10mlのメタノールに溶解させた後、酸化銀1.0g(4.31ミリモル)を添加した。前記反応溶液は、黒色懸濁液(Slurry)で反応が進行されるにつれて、だんだん透明な色に変わることが観察されて、2時間が経った後には、完全に無色の透明な溶液に変わって、錯化合物が生成されたことが分かった。この溶液を0.45ミクロンのメンブランフィルタ(membrane filter)を使用してフィルタした後、真空下で溶媒を全て除去すると、白色の固体が得られるが、これを乾燥した後、重量を測定した結果、銀錯体化物3.81g(収率:93.61%)が得られた。熱分析(TGA)の結果、130℃以下で大部分分解が完了され、銀金属が残り、銀含量は、24.40重量%であった。
【0029】
(実施例14)
酸化銀とイソブチルアンモニウムバイカーボネートとの反応
攪拌器付き50mlのシュレンク(Schlenk)フラスコに、白色の固体であるイソブチルアンモニウムバイカーボネート3.20g(23.65ミリモル)を10mlのメタノールに溶解させた後、酸化銀1.0g(4.31ミリモル)を添加した。前記反応溶液は、黒色懸濁液(Slurry)で反応が進行されるにつれて、だんだん透明な色に変わることが観察されて、2時間が経った後には、完全に無色の透明な溶液に変わって、錯化合物が生成されたことが分かった。この溶液を0.45ミクロンのメンブランフィルタ(membrane filter)を使用してフィルタした後、真空下で溶媒を全て除去すると、白色の固体が得られるが、これを乾燥した後、重量を測定した結果、銀錯体化物3.21g(収率:76.42%)が得られた。熱分析(TGA)の結果、130℃以下で大部分分解が完了され、銀金属が残り、銀含量は、28.97重量%であった。
【0030】
(実施例15)
酸化銀とn−ブチルアンモニウムバイカーボネートとの反応
攪拌器付き50mlのシュレンク(Schlenk)フラスコに、粘性のあるn−ブチルアンモニウムバイカーボネート3.20g(23.65ミリモル)を10mlのメタノールに溶解させた後、酸化銀1.0g(4.31ミリモル)を添加した。前記反応溶液は、黒色懸濁液(Slurry)で反応が進行されるにつれて、だんだん透明な色に変わることが観察されて、6時間が経った後には、完全に無色の透明な溶液に変わって、錯化合物が生成されたことが分かった。この溶液を0.45ミクロンのメンブランフィルタ(membrane filter)を使用してフィルタした後、真空下で溶媒を全て除去すると、白色の固体が得られるが、これを乾燥した後、重量を測定した結果、銀錯体化物3.49g(収率:83.09%)が得られた。熱分析(TGA)の結果、130℃以下で大部分分解が完了され、銀金属が残り、銀含量は、26.72重量%であった。
【0031】
(実施例16)
酸化銀とモルホリンアンモニウムバイカーボネートとの反応
攪拌器付き50mlのシュレンク(Schlenk)フラスコに、白色の固体であるモルホリンアンモニウムバイカーボネート3.53g(23.65ミリモル)を10mlのメタノールに溶解させた後、酸化銀1.0g(4.31ミリモル)を添加した。前記反応溶液は、黒色懸濁液(Slurry)で反応が進行されるにつれて、だんだん透明な色に変わることが観察されて、2時間が経った後には、完全に黄色の透明な溶液に変わって、錯化合物が生成されたことが分かった。この溶液を0.45ミクロンのメンブランフィルタ(membrane filter)を使用してフィルタした後、真空下で溶媒を全て除去すると、白色の固体が得られるが、これを乾燥した後、重量を測定した結果、銀錯体化物3.16g(収率:69.75%)が得られた。熱分析(TGA)の結果、130℃以下で大部分分解が完了され、銀金属が残り、銀含量は、29.49重量%であった。
【0032】
(実施例17)
酸化銀と2−エチルヘキシルアンモニウム2−エチルヘキシルカーボネートとの反応
前記実施例1の2−エチルヘキシルアンモニウム2−エチルヘキシルカーボネートをテトラヒドロフラン(THF)に溶解させて、同様な方法により実験を行った。
攪拌器付き50mlのシュレンク(Schlenk)フラスコに、粘性のある液体の2−エチルヘキシルアンモニウム2−エチルヘキシルカーボネート4.13g(12.90ミリモル)を10mlのテトラヒドロフラン(THF)に溶解させた後、酸化銀1.0g(4.31ミリモル)を添加した。前記反応溶液は、黒色懸濁液(Slurry)で反応が進行されるにつれて、だんだん透明な色に変わることが観察されて、2時間が経った後には、完全に黄色の透明な溶液に変わって、錯化合物が生成されたことが分かった。この溶液を0.45ミクロンのメンブランフィルタ(membrane filter)を使用してフィルタした後、真空下で溶媒を全て除去すると、白色の固体が得られるが、これを乾燥した後、重量を測定した結果、銀錯体化物4.05g(収率:78.84%)が得られた。熱分析(TGA)の結果、130℃以下で大部分分解が完了され、銀金属が残り、銀含量は、22.96重量%であった。
【0033】
(実施例18)
酸化銀と2−エチルヘキシルアンモニウム2−エチルヘキシルカーボネートとの反応
前記実施例1の2−エチルヘキシルアンモニウム2−エチルヘキシルカーボネートをエチルアセテートに溶解させて、同様な方法により実験を行った。
攪拌器付き50mlのシュレンク(Schlenk)フラスコに、粘性のある液体の2−エチルヘキシルアンモニウム2−エチルヘキシルカーボネート4.13g(12.90ミリモル)を10mlのエチルアセテートに溶解させた後、酸化銀1.0g(4.31ミリモル)を添加した。前記反応溶液は、黒色懸濁液(Slurry)で反応が進行されるにつれて、だんだん透明な色に変わることが観察されて、2時間が経った後には、完全に無色の透明な溶液に変わって、錯化合物が生成されたことが分かった。この溶液を0.45ミクロンのメンブランフィルタ(membrane filter)を使用してフィルタした後、真空下で溶媒を全て除去すると、白色の固体が得られるが、これを乾燥した後、重量を測定した結果、銀錯体化物3.96g(収率:77.19%)が得られた。熱分析(TGA)の結果、130℃以下で大部分分解が完了され、銀金属が残り、銀含量は、23.48重量%であった。
【0034】
(実施例19)
酸化銀と2−エチルヘキシルアンモニウム2−エチルヘキシルカーボネートとの反応
前記実施例1の2−エチルヘキシルアンモニウム2−エチルヘキシルカーボネートを、溶媒を使用せずに、同様な方法により実験を行った。
攪拌器付き50mlのシュレンク(Schlenk)フラスコに、粘性のある液体の2−エチルヘキシルアンモニウム2−エチルヘキシルカーボネート4.13g(12.90ミリモル)と酸化銀1.0g(4.31ミリモル)を添加した。前記反応溶液は、黒色懸濁液(Slurry)で反応が進行されるにつれて、だんだん透明な色に変わることが観察されて、2時間が経った後には、完全に黄色の透明な溶液に変わって、錯化合物が生成されたことが分かった。この溶液を0.45ミクロンのメンブランフィルタ(membrane filter)を使用してフィルタした後、真空下に放置すると、白色の固体が得られるが、これを乾燥した後、重量を測定した結果、銀錯体化物3.96g(収率:77.19%)が得られた。熱分析(TGA)の結果、130℃以下で大部分分解が完了され、銀金属が残り、銀含量は、23.48重量%であった。
【0035】
(実施例20)
酸化銀とアミノエチルアンモニウムカーボネートとの反応
攪拌器付き50mlのシュレンク(Schlenk)フラスコに、白色の固体であるアミノエチルアンモニウムカーボネート2.35g(12.90ミリモル)を10mlのメタノールに溶解させた後、酸化銀1.0g(4.31ミリモル)を添加した。前記反応溶液は、黒色懸濁液(Slurry)で反応が進行されるにつれて、だんだん透明な色に変わることが観察されて、2時間が経った後には、完全に無色の透明な溶液に変わって、錯化合物が生成されたことが分かった。この溶液を0.45ミクロンのメンブランフィルタ(membrane filter)を使用してフィルタした後、真空下で溶媒を全て除去すると、黒色の粘性のある液体が得られるが、これを乾燥した後、重量を測定した結果、銀錯体化物2.42g(収率:72.23%)が得られた。熱分析(TGA)の結果、130℃以下で大部分分解が完了され、銀金属が残り、銀含量は、38.45重量%であった。
【0036】
(実施例21)
酸化銀と2−エチルヘキシルアンモニウム2−エチルヘキシルカーボネートとアミノエチルアンモニウムアミノエチルカーボネートとの反応
攪拌器付き50mlのシュレンク(Schlenk)フラスコに、6:1モル比率の2−エチルヘキシルアンモニウム2−エチルヘキシルカーバメートとアミノエチルアンモニウムアミノエチルカーバメート3.87g(12.9ミリモル)を10mlのメタノールに溶解させた後、酸化銀1.0g(4.31ミリモル)を添加した。前記反応溶液は、黒色懸濁液(Slurry)で反応が進行されるにつれて、だんだん透明な色に変わることが観察されて、2時間が経った後には、完全に無色の透明な溶液に変わって、錯化合物が生成されたことが分かった。この溶液を0.45ミクロンのメンブランフィルタ(membrane filter)を使用してフィルタした後、真空下で溶媒を全て除去すると、オレンジ色の粘性のある液体が得られるが、これを乾燥した後、重量を測定した結果、銀錯体化物3.05g(収率:78.85%)が得られた。熱分析(TGA)の結果、130℃以下で大部分分解が完了され、銀金属が残り、銀含量は、30.41重量%であった。
【0037】
(実施例22)
硫酸銀と2−エチルヘキシルアンモニウム2−エチルヘキシルカーボネートとの反応
攪拌器付き50mlのシュレンク(Schlenk)フラスコに、粘性のある液体の2−エチルヘキシルアンモニウム2−エチルヘキシルカーボネート3.07g(9.60ミリモル)を10mlのメタノールに溶解させた後、硫酸銀1.0g(3.2ミリモル)を添加した。前記反応溶液は、白色の懸濁液(Slurry)で反応が進行されるにつれて、だんだん透明な色に変わることが観察されて、2時間が経った後には、完全に透明な溶液に変わって、錯化合物が生成されたことが分かった。この溶液を0.45ミクロンのメンブランフィルタ(membrane filter)を使用してフィルタした後、真空下で溶媒を全て除去すると、白色の固体が得られるが、これをエチルアセテートで再結晶して乾燥した後、重量を測定した結果、銀錯体化物3.55g(収率:87.2%)が得られた。熱分析(TGA)の結果、130℃以下で大部分分解が完了され、銀金属が残り、銀含量は、19.52重量%であった。
【0038】
(実施例23)
硝酸銀と2−エチルヘキシルアンモニウム2−エチルヘキシルカーボネートとの反応
攪拌器付き50mlのシュレンク(Schlenk)フラスコに、粘性のある液体の2−エチルヘキシルアンモニウム2−エチルヘキシルカーボネート2.84g(8.86ミリモル)を10mlのメタノールに溶解させた後、硝酸銀1.0g(5.9ミリモル)を添加した。前記反応溶液は、白色の懸濁液(Slurry)で反応が進行されるにつれて、だんだん透明な色に変わることが観察されて、2時間が経った後には、完全に透明な溶液に変わって、錯化合物が生成されたことが分かった。この溶液を0.45ミクロンのメンブランフィルタ(membrane filter)を使用してフィルタした後、真空下で溶媒を全て除去すると、白色の固体が得られるが、これをエチルアセテートで再結晶して乾燥した後、重量を測定した結果、銀錯体化物3.12g(収率:81.34%)が得られた。熱分析(TGA)の結果、130℃以下で大部分分解が完了され、銀金属が残り、銀含量は、19.88重量%であった。
【0039】
(実施例24)
シアン化銀と2−エチルヘキシルアンモニウム2−エチルヘキシルカーボネートとの反応
攪拌器付き50mlのシュレンク(Schlenk)フラスコに、粘性のある液体の2−エチルヘキシルアンモニウム2−エチルヘキシルカーボネート3.59g(11.20ミリモル)を10mlのジメチルスルホオキシド(DMSO)に溶解させた後、シアン化銀1.0g(7.5ミリモル)を添加した。前記反応溶液は、白色の懸濁液(Slurry)で反応が進行されるにつれて、だんだん透明な色に変わることが観察されて、2時間が経った後には、完全に透明な溶液に変わって、錯化合物が生成されたことが分かった。この溶液を0.45ミクロンのメンブランフィルタ(membrane filter)を使用してフィルタした後、真空下で溶媒を全て除去すると、白色の固体が得られるが、これをエチルアセテートで再結晶して乾燥した後、重量を測定した結果、銀錯体化物3.93g(収率:85.62%)が得られた。熱分析(TGA)の結果、130℃以下で大部分分解が完了され、銀金属が残り、銀含量は、20.37重量%であった。
【0040】
(実施例25)
実施例1で合成した銀錯体化合物4gを2−ヘキシルアルコール5gに溶かした後、500cpsとなるように粘度を調整して、320メッシュ(mesh)のパターニングされたシルクスクリーンで、コーティング処理された紙(インクテック社製、製品名:ITP20HPGまたはITP20SPH)上にパターニングした後、100℃で5分間、そして130℃で10分間熱処理し、伝導度が400〜500mΩ/□の金属パターンを得た。
【0041】
(実施例26)
実施例2で合成した銀錯体化合物4gをブチルアルコール10gに溶かした後、13cpsとなるように粘度を調整し、インクジェットプリンターを利用して、PETフィルム上にパターニングを1回した。パターニングした後、80℃で5分間、そして130℃で10分間熱処理し、伝導度が200〜300mΩ/□の金属パターンを得た。
【0042】
本発明により、化学式1の銀化合物と、化学式2または化学式3のアンモニウムカーボネート系化合物とを反応して誘導された可溶性の有機銀錯体化合物が提供された。
【0043】
前記材料は、前記TGA結果から分かるように、非常に低い温度で容易に分解され、純粋な金属薄膜または粉末を形成するため、多様な形態の銀金属膜の形成が可能であり、また、高真空下で蒸着し、非常に薄い薄膜の形成も可能であることが分かり、メッキ、医薬、写真、電気電子、繊維、洗剤、家電製品と有機物、及び高分子合成に触媒として使用するか、銀粉末、ペースト、ナノ粒子の製造に利用することができて、特に、低抵抗金属配線、印刷回路基板(PCB)、軟性回路基板(FPC)、無線認識タグ(RFID)用アンテナ、そしてプラズマディスプレイ(PDP)、液晶ディスプレイ(TFT-LCD)、有機発光ダイオード(OLED)、フレキシブルディスプレイ、及び有機薄膜トランジスタ(OTFT)などのような分野で、電極や化学蒸着(CVD)、プラズマ蒸着、スパッタリング、電気メッキ、リソ工程(photolithography)、電子線(electron beam)、レーザーなど、多様な方法により金属パターンを形成させる時、前駆体(precursor)材料として使用することができる。また、本発明の有機銀錯体化合物溶液をガラス、シリコンウェハ、ポリエステルやポリイミドのような高分子フィルム、紙などのような基板にスピンコーティング、ロールコーティング、スプレーコーティング、ディップコーティング、フローコーティングと、インクジェットプリンティング、オフセットプリンティング、スクリーンプリンティング、グラビアプリンティング、フレキソプリンティングした後、酸化または還元処理や熱処理して、金属または金属酸化物パターンを形成させるのにも利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】実施例1の銀錯体化合物の1H NMRスペクトルである。
【図2】実施例2の銀錯体化合物の1H NMRスペクトルである。
【図3】実施例1の銀錯体化合物の13C NMRスペクトルである。
【図4】実施例2の銀錯体化合物の13C NMRスペクトルである。
【図5】実施例1の銀錯体化合物のIRスペクトルである。
【図6】実施例2の銀錯体化合物のIRスペクトルである。
【図7】実施例1の銀錯体化合物のTGA熱分解曲線(thermogram)である。
【図8】実施例2の銀錯体化合物のTGA熱分解曲線(thermogram)である。
【図9】実施例1の銀錯体化合物のDSC熱分解曲線(thermogram)である。
【図10】実施例2の銀錯体化合物のDSC熱分解曲線(thermogram)である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式1の1つ以上の銀化合物と、下記化学式2または化学式3の1つ以上のアンモニウムカーボネート系化合物とを反応して得られる銀錯体化合物。
[化学式1]
(上記式で、nは、1〜4の整数であり、Xは、酸素、硫黄、ハロゲン、シアノ、シアネート、カーボネート、ニトレート、ニトライト、サルフェート、ホスフェート、チオシアネート、クロレート、パークロレート、テトラフルオロボレート、アセチルアセトネート、カルボキシレート、及びそれらの誘導体から選択される置換基である)
[化学式2]
[化学式3]
(上記式で、R1、R2、R3、R4、R5及びR6は、お互い同一または相異なっており、それぞれ水素、炭素水1〜30個の脂肪族や脂環族アルキル基またはアリル基やアラルキル基、官能基が置換されたアルキル基及びアリル基とヘテロ環化合物基と高分子化合物基、及びそれらの誘導体から選択される置換基である)
【請求項2】
銀化合物は、酸化銀、チオシアネート化銀、シアン化銀、シアネート化銀、炭酸銀、硝酸銀、亜硝酸銀、硫酸銀、燐酸銀、過塩素酸銀、四フッ素ボレート化銀、アセチルアセトネート化銀、酢酸銀、乳酸銀、シュウ酸銀、及びその誘導体から選択されるいずれか1つ以上のものであることを特徴とする、請求項1に記載の銀錯体化合物。
【請求項3】
R1、R2、R3、R4及びR5は、互いに独立的に、水素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、アミル、ヘキシル、エチルヘキシル、ヘプチル、オクチル、イソオクチル、ノニル、デシル、ドデシル、ヘキサデシル、オクタデシル、ドコデシル、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、アリル、ヒドロキシ、メトキシ、メトキシエチル、メトキシプロピル、シアノエチル、エトキシ、ブトキシ、ヘキシルオキシ、メトキシエトキシエチル、メトキシエトキシエトキシエチル、ヘキサメチレンイミン、モルホリン、ピペリジン、ピペラジン、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、トリエチレンジアミン、ピロール、イミダゾール、ピリジン、カルボキシメチル、トリメトキシシリルプロピル、トリエトキシシリルプロピル、フェニル、メトキシフェニル、シアノフェニル、フェノキシ、トリル、ベンジル、ポリアリルアミン、ポリエチレンアミン、及びそれらの誘導体から選択されることを特徴とする、請求項1に記載の銀錯体化合物。
【請求項4】
アンモニウムカーボネート系化合物は、アンモニウムカーボネート、アンモニウムバイカーボネート、エチルアンモニウムエチルカーボネート、イソプロピルアンモニウムイソプロピルカーボネート、イソプロピルアンモニウムバイカーボネート、n−ブチルアンモニウムn−ブチルカーボネート、イソブチルアンモニウムイソブチルカーボネート、t−ブチルアンモニウム t−ブチルカボネート、t−ブチルアンモニウムバイカーボネート、2−エチルヘキシルアンモニウム 2−エチルヘキシルカーボネート、2−エチルヘキシルアンモニウムバイカーボネート、2−メトキシエチルアンモニウム 2−メトキシエチルカーボネート、2−メトキシエチルアンモニウムバイカーボネート、2−シアノエチルアンモニウム 2−シアノエチルカーボネート、2−シアノエチルアンモニウムバイカーボネート、オクタデシルアンモニウムオクタデシルカーボネート、ジブチルアンモニウムジブチルカーボネート、ジオクタデシルアンモニウムジオクタデシルカーボネート、ジオクタデシルアンモニウムバイカーボネート、メチルデシルアンモニウムメチルデシルカーボネート、ヘキサメチレンイミンアンモニウムヘキサメチレンイミンカーボネート、モルホリンアンモニウムモルホリンカーボネート、ベンジルアンモニウムベンジルカーボネート、トリエトキシシリルプロピルアンモニウムトリエトキシシリルプロピルカーボネート、ピリジウムバイカーボネート、トリエチレンジアミニウムイソプロピルカーボネート、トリエチレンジアミニウムバイカーボネート、及びその誘導体から選択されることを特徴とする、請求項1に記載の銀錯体化合物。
【請求項5】
Xが酸素またはカーボネートである銀化合物またはその混合物であることを特徴とする、請求項1に記載の銀錯体化合物。
【請求項6】
請求項1乃至5から選択されるいずれか一項の銀錯体化合物を用いて薄膜を形成した後、酸化処理、還元処理、熱処理、化学蒸着、プラズマ蒸着、スパッタリング、電気メッキ、リソ工程、電子線、またはレーザー処理を施して、金属または金属酸化物膜を形成する方法。
【請求項7】
前記薄膜は、基板上に塗布して形成することを特徴とする、請求項6に記載の金属または金属酸化物膜を形成する方法。
【請求項8】
前記基板は、ガラス、シリコン、ポリエステル、ポリイミド、紙から選択されることを特徴とする、請求項7に記載の金属または金属酸化物膜を形成する方法。
【請求項9】
前記熱処理は、空気、窒素、アルゴン、水素、またはこれらの混合ガスで進行させることを特徴とする、請求項6に記載の金属または金属酸化物膜を形成する方法。
【請求項10】
前記塗布は、スピンコーティング、ロールコーティング、スプレーコーティング、ディップコーティング、フローコーティングにより塗布することを特徴とする、請求項6乃至9のいずれか一項に記載の金属または金属酸化物膜を形成する方法。
【請求項11】
前記塗布は、インクジェットプリンティング、オフセットプリンティング、スクリーンプリンティング、グラビアプリンティング、フレキソプリンティングから選択されるプリンティング方法によるものであることを特徴とする、請求項6乃至9のいずれか一項に記載の金属または金属酸化物膜を形成する方法。
【請求項12】
前記銀錯体化合物を用いた塗布は、銀錯体化合物を、アルコール、グリコール、アセテート、エーテル、ケトン、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、ハロゲン化炭化水素溶媒に溶解して製造した銀錯体化合物溶液を利用することを特徴とする、請求項6に記載の金属または金属酸化物膜を形成する方法。
【請求項13】
前記溶媒がメタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、エチレングリコール、グリセリン、エチルアセテート、ブチルアセテート、カルビトールアセテート、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、メチルエチルケトン、アセトン、ヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、クロロホルム、メチレンクロライド、カーボンテトラクロライドから選択されるいずれか1つ以上であることを特徴とする、請求項12に記載の金属または金属酸化物膜を形成する方法。
【請求項14】
請求項1乃至6の銀錯体化合物をアルコール、グリコール、アセテート、エーテル、ケトン、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、ハロゲン化炭化水素溶媒に溶解して製造した銀錯体化合物溶液。
【請求項15】
前記溶媒がメタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、エチレングリコール、グリセリン、エチルアセテート、ブチルアセテート、カルビトールアセテート、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、メチルエチルケトン、アセトン、ヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、クロロホルム、メチレンクロライド、カーボンテトラクロライドから選択されるいずれか1つ以上であることを特徴とする、請求項14に記載の銀錯体化合物溶液。
【請求項16】
請求項1の1つ以上の化学式1の銀化合物と、1つ以上の化学式2または化学式3のアンモニウムカーボネート系化合物とを、溶媒の存在下で、常温で反応して、前記請求項1〜6の銀錯体化合物を製造する方法。
【請求項17】
前記溶媒は、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、エチレングリコール、グリセリン、エチルアセテート、ブチルアセテート、カルビトールアセテート、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、メチルエチルケトン、アセトン、ヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、クロロホルム、メチレンクロライド、カーボンテトラクロライドから選択されるいずれか1つ以上であることを特徴とする、請求項16に記載の銀錯体化合物の製造方法。
【請求項1】
下記化学式1の1つ以上の銀化合物と、下記化学式2または化学式3の1つ以上のアンモニウムカーボネート系化合物とを反応して得られる銀錯体化合物。
[化学式1]
(上記式で、nは、1〜4の整数であり、Xは、酸素、硫黄、ハロゲン、シアノ、シアネート、カーボネート、ニトレート、ニトライト、サルフェート、ホスフェート、チオシアネート、クロレート、パークロレート、テトラフルオロボレート、アセチルアセトネート、カルボキシレート、及びそれらの誘導体から選択される置換基である)
[化学式2]
[化学式3]
(上記式で、R1、R2、R3、R4、R5及びR6は、お互い同一または相異なっており、それぞれ水素、炭素水1〜30個の脂肪族や脂環族アルキル基またはアリル基やアラルキル基、官能基が置換されたアルキル基及びアリル基とヘテロ環化合物基と高分子化合物基、及びそれらの誘導体から選択される置換基である)
【請求項2】
銀化合物は、酸化銀、チオシアネート化銀、シアン化銀、シアネート化銀、炭酸銀、硝酸銀、亜硝酸銀、硫酸銀、燐酸銀、過塩素酸銀、四フッ素ボレート化銀、アセチルアセトネート化銀、酢酸銀、乳酸銀、シュウ酸銀、及びその誘導体から選択されるいずれか1つ以上のものであることを特徴とする、請求項1に記載の銀錯体化合物。
【請求項3】
R1、R2、R3、R4及びR5は、互いに独立的に、水素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、アミル、ヘキシル、エチルヘキシル、ヘプチル、オクチル、イソオクチル、ノニル、デシル、ドデシル、ヘキサデシル、オクタデシル、ドコデシル、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、アリル、ヒドロキシ、メトキシ、メトキシエチル、メトキシプロピル、シアノエチル、エトキシ、ブトキシ、ヘキシルオキシ、メトキシエトキシエチル、メトキシエトキシエトキシエチル、ヘキサメチレンイミン、モルホリン、ピペリジン、ピペラジン、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、トリエチレンジアミン、ピロール、イミダゾール、ピリジン、カルボキシメチル、トリメトキシシリルプロピル、トリエトキシシリルプロピル、フェニル、メトキシフェニル、シアノフェニル、フェノキシ、トリル、ベンジル、ポリアリルアミン、ポリエチレンアミン、及びそれらの誘導体から選択されることを特徴とする、請求項1に記載の銀錯体化合物。
【請求項4】
アンモニウムカーボネート系化合物は、アンモニウムカーボネート、アンモニウムバイカーボネート、エチルアンモニウムエチルカーボネート、イソプロピルアンモニウムイソプロピルカーボネート、イソプロピルアンモニウムバイカーボネート、n−ブチルアンモニウムn−ブチルカーボネート、イソブチルアンモニウムイソブチルカーボネート、t−ブチルアンモニウム t−ブチルカボネート、t−ブチルアンモニウムバイカーボネート、2−エチルヘキシルアンモニウム 2−エチルヘキシルカーボネート、2−エチルヘキシルアンモニウムバイカーボネート、2−メトキシエチルアンモニウム 2−メトキシエチルカーボネート、2−メトキシエチルアンモニウムバイカーボネート、2−シアノエチルアンモニウム 2−シアノエチルカーボネート、2−シアノエチルアンモニウムバイカーボネート、オクタデシルアンモニウムオクタデシルカーボネート、ジブチルアンモニウムジブチルカーボネート、ジオクタデシルアンモニウムジオクタデシルカーボネート、ジオクタデシルアンモニウムバイカーボネート、メチルデシルアンモニウムメチルデシルカーボネート、ヘキサメチレンイミンアンモニウムヘキサメチレンイミンカーボネート、モルホリンアンモニウムモルホリンカーボネート、ベンジルアンモニウムベンジルカーボネート、トリエトキシシリルプロピルアンモニウムトリエトキシシリルプロピルカーボネート、ピリジウムバイカーボネート、トリエチレンジアミニウムイソプロピルカーボネート、トリエチレンジアミニウムバイカーボネート、及びその誘導体から選択されることを特徴とする、請求項1に記載の銀錯体化合物。
【請求項5】
Xが酸素またはカーボネートである銀化合物またはその混合物であることを特徴とする、請求項1に記載の銀錯体化合物。
【請求項6】
請求項1乃至5から選択されるいずれか一項の銀錯体化合物を用いて薄膜を形成した後、酸化処理、還元処理、熱処理、化学蒸着、プラズマ蒸着、スパッタリング、電気メッキ、リソ工程、電子線、またはレーザー処理を施して、金属または金属酸化物膜を形成する方法。
【請求項7】
前記薄膜は、基板上に塗布して形成することを特徴とする、請求項6に記載の金属または金属酸化物膜を形成する方法。
【請求項8】
前記基板は、ガラス、シリコン、ポリエステル、ポリイミド、紙から選択されることを特徴とする、請求項7に記載の金属または金属酸化物膜を形成する方法。
【請求項9】
前記熱処理は、空気、窒素、アルゴン、水素、またはこれらの混合ガスで進行させることを特徴とする、請求項6に記載の金属または金属酸化物膜を形成する方法。
【請求項10】
前記塗布は、スピンコーティング、ロールコーティング、スプレーコーティング、ディップコーティング、フローコーティングにより塗布することを特徴とする、請求項6乃至9のいずれか一項に記載の金属または金属酸化物膜を形成する方法。
【請求項11】
前記塗布は、インクジェットプリンティング、オフセットプリンティング、スクリーンプリンティング、グラビアプリンティング、フレキソプリンティングから選択されるプリンティング方法によるものであることを特徴とする、請求項6乃至9のいずれか一項に記載の金属または金属酸化物膜を形成する方法。
【請求項12】
前記銀錯体化合物を用いた塗布は、銀錯体化合物を、アルコール、グリコール、アセテート、エーテル、ケトン、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、ハロゲン化炭化水素溶媒に溶解して製造した銀錯体化合物溶液を利用することを特徴とする、請求項6に記載の金属または金属酸化物膜を形成する方法。
【請求項13】
前記溶媒がメタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、エチレングリコール、グリセリン、エチルアセテート、ブチルアセテート、カルビトールアセテート、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、メチルエチルケトン、アセトン、ヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、クロロホルム、メチレンクロライド、カーボンテトラクロライドから選択されるいずれか1つ以上であることを特徴とする、請求項12に記載の金属または金属酸化物膜を形成する方法。
【請求項14】
請求項1乃至6の銀錯体化合物をアルコール、グリコール、アセテート、エーテル、ケトン、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、ハロゲン化炭化水素溶媒に溶解して製造した銀錯体化合物溶液。
【請求項15】
前記溶媒がメタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、エチレングリコール、グリセリン、エチルアセテート、ブチルアセテート、カルビトールアセテート、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、メチルエチルケトン、アセトン、ヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、クロロホルム、メチレンクロライド、カーボンテトラクロライドから選択されるいずれか1つ以上であることを特徴とする、請求項14に記載の銀錯体化合物溶液。
【請求項16】
請求項1の1つ以上の化学式1の銀化合物と、1つ以上の化学式2または化学式3のアンモニウムカーボネート系化合物とを、溶媒の存在下で、常温で反応して、前記請求項1〜6の銀錯体化合物を製造する方法。
【請求項17】
前記溶媒は、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、エチレングリコール、グリセリン、エチルアセテート、ブチルアセテート、カルビトールアセテート、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、メチルエチルケトン、アセトン、ヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、クロロホルム、メチレンクロライド、カーボンテトラクロライドから選択されるいずれか1つ以上であることを特徴とする、請求項16に記載の銀錯体化合物の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公表番号】特表2008−530001(P2008−530001A)
【公表日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−554024(P2007−554024)
【出願日】平成18年2月7日(2006.2.7)
【国際出願番号】PCT/KR2006/000451
【国際公開番号】WO2006/083153
【国際公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【出願人】(505335441)インクテック カンパニー リミテッド (19)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年2月7日(2006.2.7)
【国際出願番号】PCT/KR2006/000451
【国際公開番号】WO2006/083153
【国際公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【出願人】(505335441)インクテック カンパニー リミテッド (19)
【Fターム(参考)】
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