説明

木製食品容器の脱臭・脱色の処理方法

【課題】杉芯部の赤身の木材から得られた食品容器において、容器内に食品の水分の調節が出来るようにする薄型組み立て及び、板状の木製食器用板に関するものである。食品を加工して食する木製の容器として環境にやさしい組み立てしてできる食品容器にて、木材の木臭、着色が発生しなく、食品を充填できる木製食品容器及び木製板製造方法を提供する。
【解決手段】木材から得られた薄型組み立てと蒲鉾板の食品容器において杉芯部の赤身の木材から得られた食品容器に、水蒸気を流通させながら処理した後、木製食品容器の脱臭・脱色の処理方法で、水蒸気による流通は90℃〜150℃の温度の水蒸気で、流動させながら10秒から15時間で処理して、送風しながら温度を下げることで食品用の薄型組み立て杉の木製容器と魚肉すり身を載せる蒲鉾板である木製食品容器が製造できた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、木製の食品容器において、杉芯部の赤身の木材の特有な臭いと色をなくして、食品の水分の調整が出来るようにする木製食器用板に関するものである。特に食品を加工して食する容器として環境にやさしい薄型の組み立て、あるいは板状の食品容器にて、臭いと着色が発生して、杉芯部の赤身の木材の特有な臭い、あるいは色が加工食品に移る懸念があった。杉芯部の赤身の木材を食品に使用する木製食品容器に製造加工することに係るものである。
【背景技術】
【0002】
杉芯部の赤身の木材を使用した食品用の木製品は、蒲鉾板、薄板の容器などとして使用されている。しかし本来の木臭と着色を持って採用に限定されている。また杉の場合には外側の白い部分しか使用されていない。木質の導管に臭い成分を持っているので、その排出に水蒸気処理などにて解決しようとしている(特許文献1〜3参照)。また蒲鉾板の場合には白部分しか使用されていなく、赤色部分の場合には食品に着色して使用が難しかった。この杉芯部の赤身の木材の利用の解決が、輸入材の減少への対策、国産材の活性化、ひいては地球温暖化防止にも貢献するものであり、杉の利用において要望が高かった。
【0003】
さらに食品を木製の容器に充填した商品は、電子レンジなどで加熱処理して食するときに、水分不足になったり、ぱさぱさしたり、また水滴が出て、ベトベトして食感を悪くすることもある。軽食などに薄板の組み立て食器が発明されているが(特許文献4〜5参照)、前記の問題を解決しているものではなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−50409号公報
【特許文献2】特開平6−238618号公報
【特許文献3】特開2003−240032号公報
【特許文献4】特開2000−103013号公報
【特許文献5】特開2006−188244号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、安価に入手できる杉間伐材の芯部の赤身の木材を使用した木製の食品容器、たとえば蒲鉾板、木製トレー、組み立て食器などにおいて、使用する杉木材の赤色の着色と特有な臭いを持っている。その薄板を食品の包装に使用するとその色と臭いが付いて、食品に着色し、食品の価値がなくなってくる。また加工した食品を樹脂、紙などの容器に詰めて食する場合に、食品の水分の調整が必要であって、ベタついたり、パサパサ状態になる場合がある。木製の食品容器内に食品の水分の調節が出来るようにする薄型組み立て、あるいは板状の杉材を使用した木製食器用板に関するものである。
【0006】
木製食品容器は、食品の水分が多い場合には、木質が水分を吸収して、また水分不足の場合には木質から調整するために、食する場合に適切な加工食品で食することができる。特に食品を加工して食する薄型組み立て木製の容器として、また板の上に魚肉すり身の原料を盛り付けた蒲鉾板として、環境にやさしい組み立て、あるいは木板としてできる食品容器にて、木材の木臭が発生しなく、使用した杉木材の特有な臭いあるいは色が加工食品に移らず、水分調節が可能な木製食品容器を提供されることが望まれている。今回は食品を充填できる杉芯部の赤身の木材から得られた木製食品容器が提供できることのできる木製板を製造することを目的にした。
【課題を解決するための手段】
【0007】
杉芯部の赤身の木材から得られた食品容器において、木製食品容器における杉芯部の赤身の脱臭・脱色に対して、90℃〜150℃の温度の水蒸気を、木製食品容器の容積1L当たり1L/分〜100L/分の流速で流動させながら、10秒から20時間流通させる木製食品容器の脱臭・脱色の処理方法である。
【0008】
杉芯部の赤身の木材から得られた食品容器は、厚さ1mm〜20mm、幅30mm〜300mmであって、杉の木材芯部で赤色を呈しているものを使用して製造する。
杉芯部の赤身の木材から得られた食品容器は、杉木材の内部に水分として3〜10重量%を含有している木製食品容器の脱臭・脱色の処理方法である。
【0009】
さらに詳しくは、杉芯部の赤身の木材から得られた食品容器において、木製食品容器における材料の脱臭・脱色に対して、水蒸気を流通させながら処理した後、自然乾燥させた木製食品容器の脱臭・脱色の処理方法である。水蒸気による流通は90℃〜150℃の温度の水蒸気で、流動させながら10秒から20時間で処理する。好ましくは100℃〜130℃の温度で30秒から15時間で処理することである。
【0010】
水蒸気の流通は杉芯部の赤身の木製食品容器の容積1L当たり1L/分〜100L/分の流速で処理する木製食品容器の脱臭・脱色の処理方法である。好ましくは5L/分〜80L/分である。
【0011】
本発明は、杉芯部の赤身の木材から得られた食品容器は厚さ1mm〜20mm、幅30mm〜300mmであって、厚さ1.5mm〜10mm、幅35〜200mmが好ましい。また木質として杉芯部の赤身の木材から製造されたものが使用される。
【発明の効果】
【0012】
木製の食品容器において、使用する杉芯部の赤身の木材の特有な臭いをなくして、その薄板を食品の包装に、また食品を載せた木板として使用しても、その臭いや色がつかず、食品の特有な匂いをもたらせた。本来の杉芯部の木材が持つ着色がなくなって、木製容器によって食品の食感価値が向上した。また加工した食品を詰めて食する場合に、電子レンジでの加熱で食品の水分の調整ができて、容器内の食品のベタつき、パサパサ状態もなくなった。
【0013】
容器内に食品の水分の調節が出来るような薄型組み立て木製食器用板、あるいは魚肉のすり身を載せた木板として蒲鉾板ができるようになった。食品の水分不足の場合には木質から調整するために、食する場合に適切な加工食品で食することができた。

【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】杉板の状態図
【図2】杉板の脱臭・脱色の為の流通状態の説明図
【図3】杉板の脱臭・脱色のスチーム処理の状態図
【図4】杉薄板容器の分解図、A:側面板、B:蓋、C:底板
【図5】杉薄板容器の組立図 A:組立図、B:組立における蓋の状態図
【図6】杉薄板トレーの平面図(A)と側面図(B)
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明においては、木製の食品容器において、使用する杉芯部の木材の特有な臭いと着色をなくして、その薄板を食品の包装に、また食品を載せた木板として使用しても、その臭いがつかず、食品の特有な匂いをもたらせた。本来の木材が持つヤニの臭いがなくなって、木製容器によって食品の食感価値が向上した。また加工した食品を詰めて食する場合に、電子レンジでの加熱で食品の水分の調整ができる。特に薄板を食品の包装容器、あるいはかまぼこ板を水蒸気による流通は90℃〜150℃の温度の水蒸気で、流動させながら10秒から20時間で加熱処理する。以下本発明を図示の実施の形態に基づき説明する。
【実施例1】
【0016】
次に、本発明の実施例を図面に従って説明する。
図1に示すように、加工すべき板の素材である厚さ13mm、幅300mm、長さ2000mmの杉の赤色部分の板を、通気性を持たせた状態に重ねた状態で、120℃の水蒸気によって10時間処理した。
【0017】
図1に示すような通常の蒲鉾板の加工時に120℃での水蒸気による加熱を行った。なお加熱する場合には、水蒸気での加圧時において120℃程度の範囲の温度で10時間水蒸気によって加熱処理した。水蒸気の処理を止めて、これを風通しの良い所に置いた。
上記得られた杉の赤色部分の板の処理温度を徐々に低下して、30〜50℃の温度で20時間かけて処理した。
【0018】
得られた板に魚肉のすり身を載せて、板付き蒲鉾とした場合、杉芯部の木材の木質特有の臭いもなく、さらに蒲鉾に赤色が着色していなかった。また杉の板自身も5月保存しても変化していなかった。
【実施例2】
【0019】
次に、本発明の実施例として杉の薄板を食品の包装容器の図面に従って説明する。
図5に示すように、加工すべき薄板を食品の包装容器の板の素材である厚さ2mm、幅50mm、長さ200mmの杉板((図4)を、通気性を持たせた状態に重ねた状態で、120℃の水蒸気によって30秒間処理した。
【0020】
図6に示すような木製薄板を食品の包装容器の加工時に120℃での水蒸気による加熱を行った。なお加熱する場合には、水蒸気での加圧時において120℃程度の範囲の温度で30秒間水蒸気によって加熱処理した。この水蒸気加熱が終了すると、水蒸気の処理を止めた。
【0021】
上記得られた薄板を食品の包装容器の板は、徐々に低下して、30〜50℃温度で10時間かけ、温風により処理させた。
【0022】
得られた杉の薄板を食品の包装の板を図5のように組み立てて、容積50mlであって、鰻ご飯を詰めた場合、うなぎの飯の食品に杉芯部の木材の木質特有の臭いもなかった。
【実施例3】
【0023】
次に、本発明の実施例として杉の赤色部分の薄板を食品の包装容器の図面に従って説明する。
図5に示すように、加工すべき薄板を食品の包装容器の板の素材である厚さ2mm、幅50mm、長さ200mmの杉板(図4)を、通気性を持たせた状態に重ねた状態で、120℃の水蒸気によって30秒間処理した。
【0024】
図6に示すような杉の木製薄板を食品の包装容器の加工時に120℃での水蒸気による加熱を行った。なお加熱する場合には、水蒸気での加圧時において120℃程度の範囲の温度で30秒間水蒸気によって加熱処理した。この水蒸気加熱が終了すると、水蒸気の処理を止めて、徐々に温度を下げた。
【0025】
上記得られた薄板を食品の包装容器の板を30〜50℃の温度で10時間かけ、送風により処理した。
【0026】
得られた杉の薄板を食品の包装の板を図7のように組み立てて、容積50mlであって、鶏飯を詰めた場合、鶏飯の食品に木質特有の臭いもなかった。
「比較例1」
【0027】
図1に示すように、加工すべき蒲鉾板の素材である、杉板を載せた状態で水蒸気によって水蒸気処理を行わなかった。
図1に示すような蒲鉾板を加工した時、水蒸気の処理をせずに、乾燥温度を100℃から60℃まで行った。
【0028】
この板を乾燥機で100℃から徐々に低下して60℃で10時間かけた。得られた蒲鉾板に魚肉のすり身を載せて、板付きかまぼことした場合、木質特有の臭いがあった。
「比較例2」
【0029】
図1に示すように、加工すべき蒲鉾板の素材例えば杉の板を載せた状態で130℃の水蒸気による処理を行わなかった。
図1に示すような蒲鉾板の加工時に100℃の熱風による加熱を行った。この熱風での加熱が終了すると、送風の処理を止めて、徐々に温度を下げて100℃から60℃までで乾燥した。
【0030】
上記得られた蒲鉾板に魚肉のすり身を載せて蒲鉾を調製した。
得られたかまぼこ板にかまぼこを載せて、板付き蒲鉾とした場合、蒲鉾内に木質の臭いが生じた。
【符号の説明】
【0031】
1.蒲鉾用杉板
2.木目
3.導管
5.蒸射管
6.リン木
7.蒲鉾用の杉板
8.送風ファン
10.薄板容器の側面板
11.薄板容器の底板の雌部
12.薄板容器の側面板の組み立ての雄部
13.薄板容器の側面板の組み立ての雌部
14.薄板容器の蓋板
15.薄板容器のふたの取り出し切欠
16.薄板容器の底板
17.薄板容器の底板の組立用雄部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
杉芯部の赤身の木材から得られた食品容器において、木製食品容器における杉芯部の赤身の脱臭・脱色に対して、90℃〜150℃の温度の水蒸気を、木製食品容器の容積1L当たり1L/分〜100L/分の流速で流動させながら、10秒から20時間流通させることを特徴とする木製食品容器の脱臭・脱色の処理方法
【請求項2】
杉芯部の赤身の木材から得られた食品容器は、厚さ1mm〜20mm、幅30mm〜300mmであって、杉の木材芯部で赤色を呈しているものを使用して製造する事を特徴とする請求項1に記載の木製食品容器の脱臭・脱色の処理方法
【請求項3】
請求項1において、杉芯部の赤身の木材から得られた食品容器は、杉木材の内部に水分として3〜10重量%を含有していることを特徴とする請求項1に記載の木製食品容器の脱臭・脱色の処理方法


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−120373(P2010−120373A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−175468(P2009−175468)
【出願日】平成21年7月28日(2009.7.28)
【出願人】(306029604)株式会社高瀬文夫商店 (2)
【出願人】(598095123)株式会社大川鉄工 (4)
【Fターム(参考)】