説明

条件付きフォーマットのための動的閾値

【課題】可変フォーマットを使用してセル範囲をフォーマッティングするコンピュータに実装される方法を提供すること。
【解決手段】概して、本発明の実施形態は、セル範囲に適用されるべき可変フォーマッティングルールが発生する場合に、動的閾値および動的閾値の値を使用する能力を提供する。動的閾値には、“最も高い値”、“中間の値”、“最も低い値”、“ナンバー”、“パーセント”、“パーセンタイル”および“数式”を含むがこれらに限られない。動的閾値を使用する場合、動的閾値の値は選択されたセル範囲に含まれた値に基づいて決定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、条件付きフォーマットのための動的閾値に関する。
【背景技術】
【0002】
データ可視化技術は、データのユーザが、スキャンしてすばやく大量の情報を理解するのを可能にする。そのような技術は、さらに例外や他の興味のあるデータについてユーザの注意を喚起する際の支援となり得る。可視化ツールには、収集し、要約し、および/またはデータを重要な形、色、パターンに変形する図、グラフ、リポートが含まれる。ソースのより近くでは、データの可視化には、スプレッドシートにおける条件付きフォーマットの使用が含まれる(スプレッドシートは生データの容器としてよく利用される)。
【0003】
条件付きのフォーマットは、ユーザが、置かれたデータの外観を修正し、個々のスプレッドシートまたはセルの内容(またはいくつかの他の決定条件)に基づくテーブルセルを変更するのを可能にした。図1は、スプレッドシートにおける条件付きでフォーマットされた従来技術のセル範囲101を示す。ここで、セルA1は、デフォルトあるいはフォーマットされていないバージョンのセルの例である。セルA2は第1の条件でフォーマットされたセルの例であり、セルA4は第2の条件でフォーマットされたセルの例である。セルA2とA4は、セルに関連付けられた条件に基づいて新たなフォーマッティングを自動的に受け取る。
【0004】
図2は、値が一定範囲内にあることを条件とするフォーマットが選択されている、従来技術のダイアログ201を示す。各セル内に含まれた値が一定の範囲(条件1では10から20、条件2では15から30)にあるものと評価されるとき、2つの条件は特定の様式でフォーマットセルをここに与える(そしてセルの範囲101に適用する)。条件付きフォーマットで使用される条件は、2つの可能なブール出力(真または偽)に限られる。条件が真の評価で与えられると、フォーマットは適用される。条件が偽の評価で与えられると、フォーマットは適用されない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ダイアログ201は、有用な、特定の利用可能なフォーマット(例えば、フォント、セルの色、網掛け)として制限され得る条件付きフォーマッティングを表している。さらに、所与のセル範囲は、確かにわずかに3つの条件(TRUEと評価される場合たった1つの可能なフォーマットのみそれぞれ提供する)ではあるが、適用することができる条件付きフォーマットの最大数が適用される。加えて、評価に使用される閾値の値は固定されている。これらの制限は、条件付きでフォーマットされたセルが分析および報告ツールとしてそれらのポテンシャルを完全に発揮することを妨げる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この概要は、詳細な説明でさらに説明されるいくつかの概念を簡潔な形式で紹介するために提供される。この概要は、クレーム主題の重要な特色または本質的な特徴を特定することを意図しておらず、クレーム主題の範囲を決定するための助けとして用いられることも意図していない。
【0007】
概して、本発明の実施形態は、セルの範囲に適用される可変フォーマッティングルールが発生するとき、動的閾値と動的閾値の値を利用する能力を提供する。一態様によれば、セル範囲を可変フォーマッティングするための動的閾値の値を決定するためのコンピュータが実行可能なコンポーネントを含むコンピュータ読取可能媒体を提供する。コンピュータ読取可能媒体は、可変フォーマット命令コンポーネント、閾値タイプコンポーネント、および動的閾値の値コンポーネントを含む。可変フォーマット命令コンポーネントは、セル範囲に適用される可変フォーマットを保持し、閾値タイプコンポーネントは動的閾値の値を使用する可変フォーマット内に含まれた閾値タイプを識別する。以下に説明されるように、動的閾値の値を使用する閾値タイプは、最も高い値、最も低い値、中間の値、パーセンタイル、パーセント、および数式を含むがこれらに限られない。動的閾値の値コンポーネントは、動的閾値の値として使用されるべき値を決定する。その値は、複数のセル(セル範囲のあるいはセル範囲の外のセル)に含まれた値から決定される。
【0008】
別の態様によれば、動的閾値の値を決定するための方法が提供される。その方法は、動的閾値の値が決定されるべきセル範囲を識別すること、および閾値タイプ要求と一致する値を識別するためにセル範囲に含まれた値を評価することを含む。識別された値は、閾値タイプのための動的閾値の値として選択される。
【0009】
さらに別の態様によれば、可変フォーマットを使用してセル範囲をフォーマッティングするコンピュータに実装される方法を提供する。コンピュータに実装される方法は、セル範囲に適用されるべき可変フォーマットを定義することを含む。定義された可変フォーマットは、閾値タイプを備えた閾値点を含む。さらに、閾値タイプは、閾値タイプの値として動的閾値の値を使用する。動的閾値の値は、閾値タイプおよびセル範囲に含まれた値に基づいて決定される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】スプレッドシート内の条件付きでフォーマットされたセル範囲の従来技術の例を示す図である。
【図2】条件付きでフォーマットされたセルについてのダイアログの従来技術の例を示す図である。
【図3A】本発明の1つまたは複数の実施形態による、色スケールのスタイルの可変フォーマッティングを使用してフォーマットされたセル範囲を示す図である。
【図3B】本発明の1つまたは複数の実施形態による、図3Aのための可変フォーマッティングパラメータをユーザが指定し得る入力ダイアログを示す図である。
【図4A】本発明の1つまたは複数の実施形態による、データバーのスタイルの可変フォーマッティングを使用してフォーマットされたセル範囲を示す図である。
【図4B】本発明の1つまたは複数の実施形態による、図4Aのための可変フォーマッティングパラメータをユーザが指定し得る入力ダイアログを示す図である。
【図5A】本発明の1つまたは複数の実施形態による、アイコンのスタイルの可変フォーマッティングを使用してフォーマットされたセル範囲を示す図である。
【図5B】本発明の1つまたは複数の実施形態による、図5Aのための可変フォーマッティングパラメータをユーザが指定し得る入力ダイアログを示す図である。
【図6A】本発明の1つまたは複数の実施形態による、色スケールのスタイルの可変フォーマッティングの別方式を使用してフォーマットされたセル範囲を示す図である。
【図6B】本発明の1つまたは複数の実施形態による、図6Aのための可変フォーマッティングパラメータをユーザが指定し得る入力ダイアログを示す図である。
【図7】本発明の1つまたは複数の実施形態による、セル範囲に可変フォーマットを適用するための方法を示すフロー図である。
【図8】本発明の1つまたは複数の実施形態による、セル範囲に動的閾値を適用するための動的閾値評価ルーチンのフロー図である。
【図9】本発明の1つまたは複数の実施形態による、閾値の値として動的な値を利用する、動的閾値を評価するための動的閾値タイプ評価サブルーチンのフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
フォーマットは、決定的な結果として真(TRUE)と偽(FALSE)だけを使って評価される必要はない。代わりに、適用されたセルフォーマットは、関連した値(例えば、セル自身の値)によって変更することができ、ユーザにとってより重要となり得るさらなるフォーマットを提供することができる。フォーマットは、セル範囲に適用することができ、フォーマットの値は、その範囲内の各セルについて決定され、フォーマットの値に基づいてフォーマットの1つまたは複数の態様が変化する。たとえば、セルの中の値が増加するのに応じて、背景色または陰影が調整されたり、またはデータバーのサイズが成長したり、またはセル内のアイコンの選択が変わったりする。加えて、フォーマットの値は、セル範囲に含まれた値の評価または数式の評価に基づいて決定されるので、それ自身が動的となり得る。
【0012】
図3Aは、色スケールスタイルの可変フォーマッティングを使用してフォーマットされたセル範囲301を示す。3つの出力フォーマット(すなわち、3つの条件、1条件1フォーマットに対応)に制限されているのではなく、セルは別個のセルフォーマットをいくつでも生み出せる可変フォーマットが適用されている。範囲301内のセルは、最低から最高までの指定された値を持つ。ここで、各セルに含まれた値は、各セルに適用されるべき背景装飾(background fill)を決定するのに使用される。この例では、3つのハッチングの密度は、2つの終点と1つの中間点について指定される。介在するハッチングは、間に減少している値について計算される。当該範囲内の終点の値は、A1とA15のセル内に保持される。各セルについての背景装飾は、濃いハッチング(A1)から中間の濃さのハッチング(A8)、薄い濃さのハッチング(A15)へと並んでいる。セルA2乃至A7は、濃いハッチングと中間の濃さのハッチングの間でリニアに濃さが変化するように適用された背景ハッチングを持つ。セルA9乃至A14は、中間の濃さのハッチングと薄い濃さハッチングの間でリニアに濃さが変化するように適用された背景ハッチングを持つ。
【0013】
ハッチングを使用する背景装飾について本明細書で実施例が提供されるのと併せて、本発明の1つまたは複数の実施形態に従って、背景装飾のいかなるタイプおよびフォーマットが適用可能である。たとえば、背景装飾は色の陰影変化を使用して適用できる。一例において、背景装飾として、最も低い値に赤色、中間の値に黄色、最も高い値に緑色が割り当てられる。それらの範囲の間に入る値を持つすべてのセルが、セルのそれぞれの値に基づいた背景装飾としてこれらの色の陰影変化が割り当てられる。
【0014】
図3Bは、セル範囲301について可変フォーマットのパラメータをユーザが指定できる可変フォーマット入力ダイアログ302を示す。入力ダイアログ302は、より大きなダイアログの一部を表すものでもよい。可変フォーマットを作成する場合、ユーザはセル範囲301を最初に選択し得る。そして、ユーザは、可変フォーマット入力ダイアログ302を表示させて、適用される可変フォーマットを要求または命令できる。ユーザは、フォーマットのスタイル303、ここでは“3色スケール(3−Color Scale)”、を選択できる。スタイル303が選択されると、ユーザは、適用される可変フォーマットのパラメータを適切な入力ボックスによって指定できる。
【0015】
3色スケールに関し、ユーザは、セル範囲のセルにフォーマットを割り当てるために使用される閾値タイプを入力ボックスで指定できる。これは、“最小”305A,“中間”305B、“最大”305Cの各閾値点についてのタイププルダウン305使用して決定される。最小のタイププルダウン305Aは、“最も低い値”、”ナンバー”、“パーセント”、“パーセンタイル”および“数式”を含むがこれらに限られない閾値タイプの選択肢を提供し得る。中間のタイププルダウン305Bは、“中間の値”、”ナンバー”、“パーセント”、“パーセンタイル”および“数式”を含むがこれらに限られない閾値タイプの選択肢を提供し得る。最大のタイププルダウン305Cは、“最も高い値”、”ナンバー”、“パーセント”、“パーセンタイル”および“数式”を含むがこれらに限られない閾値タイプの選択肢を提供し得る。
【0016】
“最小”の閾値点でのみ使用可能な“最も低い値”について、システムは、選択されたセル範囲の値のすべてを評価し、最も低い値を、最小についての閾値の値として動的に選択する。“最大”の閾値点でのみ使用可能な“最も高い値”について、システムは評価し、セル範囲に含まれる最も高い値を、最大についての閾値の値として動的に選択する。同様に、“中間”の閾値点でのみ使用可能な“中間の値”について、システムは評価し、セル範囲に含まれる中間の値を、中間点についての閾値の値として動的に選択する。閾値の値の動的な選択については、図8と図9を参照しつつ、より詳細に説明する。
【0017】
“ナンバー”に関し、ユーザはセル範囲の評価において使用される閾値の値を実際に割り当てる。ユーザが、”ナンバー”を選択する場合、彼または彼女はプルダウンの下の入力ボックスに関連する閾値の値を入れる。ユーザが3つの列すべてについて“ナンバー”を選択すると、入力された値の確認−たとえば、最小の値が中間の値より小さく、同様に中間の値が最大の値より小さいことを保証するため−が行われ得る。
【0018】
“パーセント”に関し、ユーザはセル範囲の背景装飾に関連するパーセントを入力できる。あるいは、システムが、閾値点および選択されたセル範囲に含まれる値に基づいてパーセントの値を算出してもよい。パーセントの値は、選択されたセルの範囲での最小値と最大値の間のデルタ内の点に対応する。システムは、閾値点について算出パーセントを決定するため、および選択されたセル範囲に適用する背景装飾を決定するために、セル範囲内のすべての値を評価できる。たとえば、選択されたセル範囲の値が0から200の場合、“25%”の値は、値50に対応する。仮にこれが最小の閾値点と評価されると、50は算出された最小の閾値の値となり、50より小さい値を持つすべてのセルは最小に振り分けられて同じ背景装飾が割り当てられる。
【0019】
“パーセンタイル”は、値の範囲内のパーセンテージを決定していないという点で“パーセント”とは異なる。むしろ、「パーセンタイル」は、セルに含まれた値のセットを調査し、それらを整理し、それらのパーセンタイルを決定するために、整理された値のセット内のそれらの順序または位置を使用する。10個の整理されたセルのセットでは、40パーセンタイルはそのセルの中に含まれる値にかかわらず常に4番目のセルとなるであろう。ユーザが“パーセンタイル”を選択し40を入力した場合、40パーセンタイルのセルはそれに関連する色が割り当てられるだろう。これに代えて、システムが、閾値点および選択されたセル範囲に含まれた値に基づいて動的にパーセンタイルの値を算出してもよい。システムは、セル範囲内のすべての値を評価し、それらを整理し、考慮されている閾値点に基づいて値を算出するため整理された値のセット内の順序または位置を使用してもよい。たとえば、10個の整理されたセルがある場合、5番目のセルは常に50パーセンタイルとなるだろう。評価されている閾値点が中間点の場合、5番目のセルの値、すなわち50パーセンタイルが、算出された閾値の値となるだろう。
【0020】
最後に、“数式”は、ユーザが値の入力ボックス307に数式を入力できる。多くの場合、セルをフォーマッティングするのに使用する値は、セルの中の値とまったく同じである。しかしながら、数式は、値が閾値の値として使用されるのを決定するために評価される。セルの値は決定された閾値の値と比較され、セルは比較結果に応じてフォーマットされる。ユーザは、閾値の値に到達するため、関数、セル参照(範囲内または選択されたセルの範囲の外)、演算子などを使用して数式を構築できる。上述したように、ユーザが特定のフォーマットとセル範囲を関連付けることを可能にする、他のタイプの値やアルゴリズムが使用できる。
【0021】
タイプ305が3つの閾値点に関してそれぞれ選択されると、閾値の値307が評価または入力され、背景装飾が選択され、選択されたセル範囲にそれを適用する可変フォーマット命令でユーザは相互に作用させることができる。命令を受け取る前に、システムは、最小の値が中間の値より小さいこと、中間の値が最大の値より小さいことを保証するために、入力された値を確認してもよい。このような確認は、一つまたは複数の閾値の値として使用される数式のようにその値が直ちに分からない場合には後になるまで不可能かもしれない。
【0022】
閾値の値がすべて同じタイプの場合(数式を除く)、システムは、最小の値が中間の値より小さいこと、中間の値が最大の値より小さいことを確認してもよい。閾値の値のタイプが混ざっているあるいはすべて数式の場合、システムは、最小の値が中間の値より小さいこと、中間の値が最大の値より小さいことを保証するための確認をしなくてもよい。しかしながら、選択されたセル範囲への背景装飾の適用のため条件が評価され、最小の値が中間の値よりも大きい、あるいは最小の値が最大の値よりも大きい、あるいは中間の値が最大の値よりも大きいという事象にシステムが直面した場合、システムは、昇順に閾値の値を再調整してもよい。たとえば、閾値の値が、動的で、最小の値、中間の値、最大の値がそれぞれ、500、10、50と評価されると、システムは、10を最小の値、50を中間の値、500を最大の値として、値を再調整してもよい。各閾値点と関連付けられた背景装飾は、それに従って再調整されてもよいし、されなくてもよい。
【0023】
さらに、2つ以上の動的閾値の値が同じ値に評価される場合、当該値を含むセルに適用されるより高い閾値点と関連付けられた背景装飾が指定され得る。あるいは、システムがユーザに通知し、ユーザが閾値の値を変更しおよび/または適用される背景装飾を指定するようにしてもよい。
【0024】
可変フォーマットが適用されると、選択されたセル範囲の値に変更が施され、または数式閾値の場合には、閾値評価に基づいたどんな他のセルに対しても、いくつかの実施形態で更新されるべきフォーマッティングが生じる。値が、新たな“最も低い値”になるように変化する場合には、すべてのフォーマッティングは動的に最適に調整され得る。同様に追加のセルがセル範囲に挿入される場合には、システムが評価し、セル範囲に適用される背景装飾をことによると調整する、パーセンテージ、パーセンタイル、数式などを変更してもよい。
【0025】
図4Aは、データバースタイルの可変フォーマッティングを使用してフォーマットされたセル範囲401を示す。データバーはセル内に描くことができ、範囲の中でより大きい値やより小さい値を表示して、ユーザにとっての視覚的手がかりを提供することができる。各セル内のデータバーは、セル内の値とセル範囲に適用された閾値に基づき決定された長さをもつ。たとえば、セルA1およびA11には、値6と値4にそれぞれ対応する最も短いバーが入っている。セルA4およびA13には、値25と値28にそれぞれ対応する最も長いバーが入っている。ここで示されるデータバーは斜めのハッチングで表示されているが、塗りつぶしバー、模様付きバーなど他のタイプのデータバーで表示してもよい。
【0026】
さらに、ここでは水平なデータバーについて説明したが、セルに対するフォーマットの値に従って修正された態様をそれぞれ備えた、他のタイプの動的な修正されたセル内形状が使用できる。例としては、自動調節スライスを使ったパイや、垂直データバーなどを含み得る。さらに、バーのハッチング密度を同じフォーマットの値に基づいて変更したり、またはことによればバーの長さを決定するために使用されたものから異なるフォーマットの値(例えば数式)を使用したりして、データバーは上述したバックグラウンドフォーマッティングを組み合わせてもよい。
【0027】
図4Bは、セル範囲401についての可変フォーマットのパラメータをユーザが指定できる入力ダイアログ402を示す。ここで、データバーは、2つの閾値“最も短いバー”および“最も長いバー”を提供する、セル範囲401についてのフォーマットスタイル403として選択される。ダイアログ402では、閾値を評価するときに使用されるフォーマットタイプ405および値407を、ユーザが設定することができる。さらに、ダイアログでは、バーの色もしくはハッチング密度409を、ユーザがマニュアルで設定できる。ダイアログ302と同様に、可変フォーマット命令が入力されると、なんらかの形式の入力確認が実行される。
【0028】
図5Aは、アイコンスタイルの可変フォーマッティングを使用してフォーマットされたセル範囲501を示す。アイコンは、セル範囲501に関連付けられた値の範囲のサブセットに関連付けてもよい。アイコンは、3、4、5またはそれ以上のグループにしてもよい。ここでは、プログラムモジュールによって、パイアイコン(pie icons)が割り当てられた閾値の値に基づいてセル範囲501内の個々のセルに挿入されている。
【0029】
図5Bは、セル範囲501についての可変フォーマットの閾値の値をユーザが指定できる入力ダイアログ502を示す。セル範囲501について選択されたフォーマットスタイル503はアイコンセット(Icon Sets)であり、ユーザがアイコンセットを選択し、値の範囲507と評価タイプ505をアイコンのそれぞれについて適用するのを可能にする。セット内の各アイコンについて、ユーザは、比較演算子(たとえば、>、≧、<、≦)を割り当て、“ナンバー”、“パーセント”、“パーセンタイル”または“数式”の比較タイプを選択することができる。この方式で、ユーザは各アイコンに閾値の値の範囲を割り当て、プログラムモジュールは閾値の値に基づいて選択されたセル範囲を評価し、適切なセル内アイコンを表示できる。ダイアログのその他の部分は、ユーザが、アイコンスタイルを変更し511、アイコンの順序を反転し513、セルの値を隠して決定されたアイコンのみを表示する515、のを可能にする。上述したように、評価タイプ505が“パーセント”または“パーセンタイル”に選択される場合、システムはセルを評価し、選択された値として算出された閾値の値を提供することができる。
【0030】
図6Aは、2色スケールのスタイルの可変フォーマッティングを使用してフォーマットされたセル範囲601を示す。示された2色スケールは、中間ポイントの閾値が提供されない点を除いて、3色スケールと同じ方式で機能する。図6Bは、セル範囲601についての可変フォーマットのパラメータをユーザが指定できる入力ダイアログ602を示す。このダイアログも、3色スケールについて説明されたダイアログ302と同様に機能し、異なるのは中間ポイントの入力がない点である。
【0031】
図7は、セル範囲に可変フォーマットを適用するための方法を示すフローチャートである。最初に、ステップ701で、セル範囲の選択を受け取る。次に、ステップ702で、可変フォーマット命令を受け取る。ダイアログ302、402、502、および602は、可変フォーマット命令に関連するパラメータ、閾値点および閾値タイプを設定するのに使用され得るビジュアルインターフェースの例を示している。ブロック703で、ダイアログで選択された閾値点および閾値タイプについて、動的閾値の値が決定される。動的閾値の値の決定については、図8および図9に関連してより詳細に説明される。ステップ704で、適用された可変フォーマットに基づいてセル範囲が評価される。セルが評価されると、ブロック705によって示されるように、評価に基づきフォーマットの種類からフォーマットを選択することによって、各セルにフォーマッティングが適用可能となる。ステップ706で、フォーマットの値における変更あるいはセル範囲に対する他の変更が、セルフォーマットに更新を要求し得る。
【0032】
図8は、本発明の1つまたは複数の実施形態による、動的閾値および動的閾値の値の評価についての動的閾値評価ルーチンのフロー図である。ルーチン800は、ブロック801で開始し、ブロック803でセル範囲の選択を受け取る。ブロック805で、選択されたセル範囲に適用される可変フォーマッティング命令の1つの閾値点についての閾値タイプが決定される。上述したように、閾値タイプは、ナンバー、パーセント、パーセンタイル、最も高い値、最も低い値、中間の値、および数式が可能であるが、これらに限られない。判断ブロック807で、閾値タイプが“数式”かどうかが判断される。判断ブロック807で閾値タイプが“数式”と判断された場合、閾値の値を決定するのに評価される数式を、ユーザが入力するのを可能にする数式入力ダイアログが提供される。受け取る数式はいかなるタイプの数式も可能で、選択されたセル範囲に含まれるセル、セル範囲の外のセル、またはそのあらゆる組み合わせのセル、に含まれた値を使用できる。一の実施形態において、いくつかのインスタンスでは数式で使用するための値を提供するために使用されるべきセルにまだデータが入らないので、数式はユーザによって要求されるまで確認や評価がされない。
【0033】
判断ブロック807に戻り、閾値タイプが“数式”ではないと判断された場合、判断ブロック811で、閾値タイプが数式以外の動的閾値タイプであるかどうかが判断される。判断ブロック811で閾値タイプが動的であると判断された場合、ルーチン800は、サブルーチンブロック815によって示され、図9に関連してより詳細に説明される動的閾値決定サブルーチンへと進む。判断ブロック811で閾値タイプが動的ではないと判断された場合には、ブロック813で、閾値の値についての値をユーザから受け取る。
【0034】
ブロック813で値を受け取った後、あるいは動的閾値決定サブルーチン815が完了した後、判断ブロック817で、選択されたセル範囲について評価されるべき追加の閾値がないかどうかを判断する。判断ブロック817で評価されるべき追加の閾値があると判断された場合には、ルーチン800はブロック805に戻り、続けられる。判断ブロック817で、閾値の値が決定されるべき追加の閾値はないと判断されると、ブロック819で、選択されたセルは閾値に基づいて評価され、閾値の値が決定される。各閾値点に関連付けられた背景装飾はそれぞれの選択されたセルに評価に基づいて適用される。ブロック821で、適用された表示がユーザに対しグラフィカルに映し出される。ルーチン800はブロック823で終了する。
【0035】
図9は、本発明の1つまたは複数の実施形態による、動的閾値について閾値の値を決定するための動的閾値タイプ決定サブルーチンのフロー図である。ルーチン900はブロック901で開始し、判断ブロック903で、動的閾値のタイプが“最も低い値”、“最も高い値”または“中間の値”であるかどうかの決定が行われる。判断ブロック903で、閾値タイプが“最も高い値”、“中間の値”または“最も低い値”と判断された場合、ブロック905で、選択されたセルが、適切な値を含んでいるセルを識別するために評価される。たとえば、選択された閾値タイプが“最も低い値”の場合、システムは、最も低い値を含んでいるセルを識別するために選択されたセルのそれぞれを評価する。同様に、閾値タイプが“中間の値”または“最高の値”の場合、システムは、中間の値または最高の値を含んでいるセルを識別するために、選択されたセルに含んでいる値から、それぞれに、選択されたセルを評価する。
【0036】
判断ブロック903で、閾値タイプが“最も低い値”、“最も高い値”、“中間の値”のいずれでもないと判断された場合、動的閾値タイプは“パーセント”または“パーセンタイル”のいずれかとなる。判断ブロック907で、閾値の値として、算出されたパーセントあるいはパーセンタイルが提供されることになっているかどうかが判断される。判断ブロック907で、算出されたパーセントまたはパーセンタイルの値が閾値の値として提供されることになっていない場合、ブロック909で、ユーザから閾値の値を受け取る。判断ブロック907で、算出されたパーセントまたはパーセンタイルが提供されることになっている場合、ブロック911で、考慮されている閾値点が決定される。上述のように、閾値点は選択されたフォーマットスタイルに従う。たとえば、ユーザが“3色スケール”のフォーマットスタイル(たとえば図4Bを参照)を選択する場合、“最小”、“中間”および“最大”の3つの閾値点が存在する。
【0037】
判断ブロック913で、閾値点についての閾値タイプが“パーセント”であるかどうかが判断される。閾値タイプが“パーセント”ではない場合、閾値タイプは“パーセンタイル”であり、ブロック915で、選択されたセルは値に従って整理される。ブロック917で、閾値点についてパーセンタイルの値を適切に識別するために、選択されたセルが評価される。たとえば、閾値点が“最小”の場合、システムは、選択されたセルの値について20パーセンタイルの値を識別できる。この例において、10個の選択されたセルがある場合、2番目のセルに含まれている値が20パーセンタイルとなる。同様に、閾値点が“最大”の場合、システムは算出された値として80パーセンタイルの値を識別できる。同様に、”中間“の閾値点について、システムは50パーセンタイルの値を識別できる。
【0038】
判断ブロック913で、閾値タイプが”パーセント“と判断された場合には、ブロック919で、選択された閾値点についてパーセントの値を算出するために選択されたセルが評価される。たとえば、閾値点が”最小“の場合、システムは、算出された閾値の値として25%の値を決定できる。このケイスにおいて選択されたセルの範囲が0から200であった場合、25%の値は50である。閾値点が”中間“の場合、システムは算出された閾値の値として50%の値を識別できる。同様に、閾値点が”最大“の場合、システムは算出された閾値の値として75%の値を識別できる。
【0039】
動的閾値の値がブロック905、917または919で算出された後、またはブロック909で受け取った後、ブロック921で、それらの値が閾値点についての閾値の値として適用される。ブロック923で、サブルーチン900は、動的閾値評価ルーチン800(図8)に戻る。
【0040】
上述したように、動的閾値の値は、選択されたセルのセル値の変更に応答して、または選択されたセルの範囲の変更に応答して、自動的に変わり得る。たとえば、ユーザは、新たな値が範囲についての新たな最も低い値となるようにセル内の値を変更できる。最も低い値の閾値タイプを含むセル群に可変フォーマッティングが適用された場合、対応する閾値の値がセル範囲に含まれた新たな最も低い値に動的に調整される。さらに、動的閾値の値の調整に応答して、選択されたセルの評価は更新され、フォーマッティングが新たな動的閾値の値に基づいてセル範囲に適用される。
【0041】
図8を再び参照すると、選択されたセル範囲のセル値への変更を受け取ったことに応答して、または選択されたセルの数の変更を受け取ったことに応答して、変更を含んだセル範囲についてのルーチン800がブロック805で開始する。そのルーチンはブロック823で完了するまで続き、それによって動的閾値の値が動的に調整され、グラフィックな表示結果が更新される。
【0042】
実例となる実施形態が図示され説明されたが、発明の精神および範囲から逸脱することなく、様々な変更をそこに行なうことが可能であることが理解されるであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
セル範囲を可変フォーマッティングするための動的閾値の値の決定についてコンピュータが実行可能なコンポーネントを備えたコンピュータ読取可能な媒体であって、
前記セル範囲(301)に適用するための可変フォーマットを保持する可変フォーマット命令コンポーネント(307,702)と、
動的閾値の値を使用する閾値タイプを識別する閾値タイプコンポーネント(305、805)と、
動的閾値の値として使用するための値を決定するための動的閾値の値コンポーネントであって、前記値は複数のセルに含まれた値から決定されるコンポーネントと
を備えることを特徴とするコンピュータ読取可能な媒体。
【請求項2】
前記動的閾値の値は、前期選択された閾値タイプおよび前記値の比較に基づいた複数のデータセルに含まれた値を評価することによって決定されることを特徴とする請求項1記載のコンピュータ読取可能な媒体。
【請求項3】
動的閾値の値を使用する前記閾値タイプは、最も低い値の閾値タイプ(305A)であり、前記動的閾値の値は前記複数のセル(301)に含まれた最も低い値に決定されることを特徴とする請求項1記載のコンピュータ読取可能な媒体。
【請求項4】
動的閾値の値を使用する前記閾値タイプは、最も高い値の閾値タイプ(305C)であり、前記動的閾値の値は前記複数のセル(301)に含まれた最も高い値に決定されることを特徴とする請求項1記載のコンピュータ読取可能な媒体。
【請求項5】
動的閾値の値を使用する前記閾値タイプは、中間の値の閾値タイプであり、前記動的閾値の値は前記複数のセル(301)に含まれた中間の値に決定されることを特徴とする請求項1記載のコンピュータ読取可能な媒体。
【請求項6】
動的閾値の値を使用する前記閾値タイプは、パーセントの閾値タイプ(305B)であり、前記動的閾値の値は前記複数のセルの最小の値と前記複数のセル(301)の最大の値の間のデルタ値に決定されることを特徴とする請求項1記載のコンピュータ読取可能な媒体。
【請求項7】
動的閾値の値を使用する前記閾値タイプは、パーセンタイルの値の閾値タイプ(405)であり、
前記動的閾値の値は、前記複数のデータセルから選択された値に決定され、前記複数のデータセル(301)に含まれた値のパーセンタイルである
ことを特徴とする請求項1記載のコンピュータ読取可能な媒体。
【請求項8】
動的閾値の値を使用する前記閾値のタイプは、関数の閾値タイプであり、
前記動的閾値の値は、提供された関数の演算に基づいて決定され、前記関数は前記複数のデータセル(301)からの値を使用する
ことを特徴とする請求項1記載のコンピュータ読取可能な媒体。
【請求項9】
前記複数のセルは、前記セル範囲とは異なることを特徴とする請求項8記載のコンピュータ読取可能な媒体。
【請求項10】
動的閾値の値を決定するための方法であって、
動的閾値の値が決定されるべきセル範囲(301)を識別するステップと、
閾値タイプの要求(305、307)と一致する値を識別するため前記セル範囲に含まれた値を評価するステップと、
前記閾値タイプ(305)について動的閾値タイプ(307)として識別された値を選択するステップと
を含む方法。
【請求項11】
前記動的閾値の値は、前記セル範囲(301)に含まれた値における変更に応答して決定されることを特徴とする請求項10記載の方法
【請求項12】
前記動的閾値の値は、前記セル範囲(301)に含まれたセルの数における変更に応答して決定されることを特徴とする請求項10記載の方法
【請求項13】
前記動的閾値の値は、前記セル範囲(301)に適用されるべき可変フォーマット(302)を評価するときに使用されることを特徴とする請求項10記載の方法。
【請求項14】
フォーマット(303)は、前記動的閾値の値と比較された前記セル範囲に含まれた値に基づいて、前記セル範囲に含まれた複数のセルに適用されることを特徴とする請求項10記載の方法。
【請求項15】
動的閾値の値に基づいて、フォーマッティング(303)が複数の前記セル範囲に適用されることを特徴とする請求項10記載の方法。
【請求項16】
可変フォーマット(302)を使用するセル範囲(301)をフォーマッティングするためのコンピュータに実装される方法であって、
セル範囲(301)に適用されるべき可変フォーマット(302)を定義するステップであって、前記可変フォーマット(302)は閾値タイプ(305)を備えた閾値点を含むステップと、
前記閾値タイプについての値として動的閾値の値(307)を決定するステップと
を含むことを特徴とするコンピュータに実装される方法。
【請求項17】
前記動的閾値の値は、前記セル範囲に含まれた値に基づいて決定されることを特徴とする請求項16記載のコンピュータに実装される方法。
【請求項18】
前記動的閾値の値は、前記閾値タイプに基づいてさらに決定されることを特徴とする請求項17記載のコンピュータに実装される方法。
【請求項19】
前記可変フォーマットは、前記動的閾値の値および閾値タイプに基づいて前記セル範囲に含まれた前記値を評価し、前記評価の背景装飾表示を適用することを特徴とする請求項16記載のコンピュータに実装される方法。
【請求項20】
前記動的閾値の値は、前記セル範囲における変更に応答して、または前記セル範囲に含まれた値における変更に応答して自動的に更新され得ることを特徴とする請求項16記載のコンピュータに実装される方法。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−108957(P2012−108957A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−44087(P2012−44087)
【出願日】平成24年2月29日(2012.2.29)
【分割の表示】特願2008−556365(P2008−556365)の分割
【原出願日】平成19年2月13日(2007.2.13)
【出願人】(500046438)マイクロソフト コーポレーション (3,165)
【Fターム(参考)】