説明

来場者の場内での広範囲の移動を促進するクイズシステム

【課題】来場者の場内での広範囲の移動を促進する。
【解決手段】会場の複数の位置に複数のアクセスポイント装置(AP装置)が設けられる。複数のAP装置にサーバ装置が接続される。ユーザが、無線通信可能な携帯型の情報処理端末(ユーザ端末)を持って会場内を移動する。サーバ装置は、複数のAP装置に対応した複数のクイズを出題するためのソフトウェア(クイズラリーソフト)を有しており、ユーザ端末にクイズラリーソフトを配信する。ユーザ端末は、クイズラリーソフトを実行することにより、いずれのAP装置の通信圏にもユーザ端末が入っていないときには、複数のクイズのうちの少なくともユーザが未解答のクイズを出題せず、一方、複数のAP装置のうちの或るAP装置の通信圏に入ったときに、複数のクイズのうちの或るアクセスポイント装置に対応したクイズを出題する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、来場者の場内での広範囲の移動を促進する新規な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、商品やサービスのキャンペーンを行う会場への来場者の数を増加させることが可能な技術は知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−048428号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
会場の種類として、例えば、学習施設がある。学習施設には、一般に、学習対象に関する情報が書かれた展示物(例えば、写真や文字)や、学習対象に関する知識を深める体験のための設備などがある。
【0005】
学習施設の目的の一つとして、学習対象に関する知識を来場者に提供することにある。このため、学習施設内を広範囲に(例えばくまなく)移動してもらうことが望ましい。
【0006】
しかし、特許文献1には、来場者を増やすための一つの方法が開示されているが、来場者に場内を広範囲に移動してもらうための方法は開示も示唆もされていない。
【0007】
そこで、本発明の目的は、来場者の場内での広範囲の移動を促進することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
会場の複数の位置に複数のアクセスポイント装置(AP装置)が設けられる。複数のAP装置にサーバ装置が接続される。ユーザが、無線通信可能な携帯型の情報処理端末(以下、ユーザ端末)を持って会場内を移動する。サーバ装置は、複数のAP装置に対応した複数のクイズを出題するためのソフトウェア(クイズラリーソフト)を有しており、ユーザ端末にクイズラリーソフトを配信する。ユーザ端末は、クイズラリーソフトを受信して記憶する。ユーザ端末は、記憶したクイズラリーソフトを実行することにより、いずれのAP装置の通信圏にもユーザ端末が入っていないときには、複数のクイズのうちの少なくともユーザが未解答のクイズを出題せず、一方、複数のAP装置のうちの或るAP装置の通信圏に入ったときに、複数のクイズのうちの或るアクセスポイント装置に対応したクイズを出題する。
【0009】
会場は、屋内か屋外であるかを問わない。本発明は、学習施設、博物館或いは美術館といった様々な会場に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施例1に係る学習支援システムを示す。
【図2】ユーザ端末111の構成を示す。
【図3】クイズラリーサーバ113の構成を示す。
【図4】ユーザ管理情報251の構成を示す。
【図5】実施例1で行われる処理の流れの全体を示す。
【図6】クイズラリーソフト231の配信の流れを示す。
【図7】アンケート(属性)の流れを示す。
【図8】アンケート(属性)の流れにおける、ユーザ端末111での表示を示す。
【図9】クイズラリーにおける、ユーザ端末111での表示を示す。
【図10】クイズラリーの流れを示す。
【図11】クイズラリーにおける、ユーザ端末111での表示を示す。
【図12】アンケート(感想)の流れにおける、ユーザ端末111での表示を示す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、会場が学習施設であり、且つ、学習施設内での学習を支援することを例に採り、本発明の一実施例を説明する。
【実施例1】
【0012】
本実施例の概要は、次の通りである。すなわち、来場者(以下、ユーザ)が、WiFi通信可能な携帯型の情報処理端末(以下、ユーザ端末)を持ちながら場内を移動する。学習施設内の適所に、アクセスポイント(以下、AP)装置が設けられており、AP装置の通信圏内にユーザが進入すると、ユーザ端末上で、学習対象に関するクイズが出題される。AP装置毎に、異なるクイズが出題される。全てのクイズに正解すると、ユーザに特典が付与される。つまり、本実施例では、ユーザは、全てのクイズを解くためには、学習施設に設けられている全てのAP装置の通信圏内に入る必要があり、そのために、学習施設内を広範囲に移動する必要がある。広範囲の移動により、学習施設内の様々な展示物を多くのユーザに見てもらう機会が増え、また、クイズに正解すれば、学習対象に関する知識を増やすことができ、以って、学習施設の意義を十分に達成することができる。
【0013】
以下、本実施例を詳細に説明する。
【0014】
図1は、本発明の実施例1に係る学習支援システムを示す。
【0015】
学習施設100が、幾つかのゾーン105に区切られている(同図には、学習施設100の複数のフロアのうちの1つのフロアのみを示している)。ゾーン105毎に、AP装置101及びネットワーク接続装置103が設けられている。1つのゾーン105に設けられるAP装置101の数は、1つに限られない。
【0016】
AP装置101は、APとして機能する無線通信装置(例えば無線LANルータ)であり、ネットワーク接続装置103に接続されている。
【0017】
ネットワーク接続装置103は、通信ネットワーク(例えばインターネット)102に接続されおり、通信ネットワーク102を介した通信のための装置(例えばモデム)である。
【0018】
学習施設100が、入口ホール122を有する。入口ホール122に、無線通信ステーション107が設けられている。無線通信ステーション107は、AP装置の一種であるが、AP装置101よりも通信圏が広い無線通信装置である。無線通信ステーション107は、通信ネットワーク102に接続されている。
【0019】
ユーザは、ユーザ端末111を持つ。ユーザ端末111は、前述したように、WiFi通信可能な携帯型の情報処理端末(例えば、ニンテンドーDS(登録商標))である。例えば、ユーザ端末111は、上画面303と下画面305とを有し、少なくとも下画面305が、タッチパネル式で情報の入出力が可能である。ユーザは、タッチペン151を用いて、ユーザ端末111を操作する。
【0020】
通信ネットワーク102に、クイズラリーサーバ113が接続されている。クイズラリーサーバ113は、クイズラリーに関するサービスを提供する装置である。本実施例で言う「クイズラリー」とは、複数のクイズを順次に解いていくことである。
【0021】
図2は、ユーザ端末111の構成を示す。
【0022】
ユーザ端末111は、上画面303と、下画面306と、表示コントローラ301と、入力装置315と、WiFiインターフェース315と、メモリ313と、プロセッサ311とを有する。なお、本実施例におけるユーザ端末111は2画面を有するが、画面の数は、1つでも良いし、あるいは、3つ以上でも良い。
【0023】
表示コントローラ301は、上画面303及び下画面306を介した表示を制御したり、下画面306のどこがタッチペン151にどのように触れられたかをプロセッサ311に伝えたりする。
【0024】
入力装置315は、下画面306に対する入力の系統とは異なる入力系統であり、例えば、図1に示したAボタン、Bボタン及び十字ボタンを含んでいる。
【0025】
WiFiインターフェース315は、WiFi通信(無線LAN通信)を行うための通信インターフェース装置である。WiFiインターフェース315を介して、ソフトウェアをダウンロードすることが可能である。
【0026】
メモリ313は、ダウンロードされたソフトウェア(コンピュータプログラム)を記憶する記憶資源である。
【0027】
プロセッサ311は、メモリ313に記憶されているソフトウェアを実行する。
【0028】
図3は、クイズラリーサーバ113の構成を示す。
【0029】
クイズラリーサーバ113は、通信インターフェース装置(I/F)205と、記憶装置207と、メモリ203と、プロセッサ201とを有する。
【0030】
I/F205は、通信ネットワーク102を介して通信を行うための装置である。
【0031】
記憶装置207は、図示の通りクイズラリーサーバ113に内蔵されていても良いし、クイズラリーサーバ113に接続された外部の装置であっても良い。記憶装置207は、クイズラリーソフト231及びユーザ管理情報251を記憶する。
【0032】
クイズラリーソフト231は、ユーザ端末111にダウンロードされるソフトウェアである。クイズラリーソフト231は、進行制御部235とクイズデータ237とを含む。進行制御部235は、クイズの進行を制御する機能である。クイズデータ237は、クイズに関するデータであり、例えば、複数のクイズ(以下、クイズ1〜5の5つのクイズとする)を表すデータと、クイズ毎の正解を表すデータとを含む。ユーザ端末111内のプロセッサ311がクイズラリーソフト231を実行することにより、そのプロセッサ311が進行制御部235を有することになる。
【0033】
ユーザ管理情報251は、各ユーザに関する情報である。ユーザ管理情報251は、具体的には、例えば、図4に示すように、ユーザ毎に、下記の情報を有する。
(*)MAC(Media Access Control)アドレス401。MACアドレス401は、ユーザ端末111のMACアドレスを表す情報である。
(*)属性402。属性402は、ユーザの属性を表す情報である。属性としては、性別、学年(或いは年齢)、住まい(住所)、所有者、誰と来ているか等、様々な種類の属性を採用することができる。
(*)クイズ結果403。クイズ結果403は、クイズラリーの結果を表す情報である。具体的には、クイズ結果403は、クイズ毎に、クイズ番号、順番及びミス回数を表す情報を含む。クイズ結果403によれば、どのクイズが何番目に何回のミスを経て解かれたかがわかる。本実施例では、クイズ番号とゾーン番号が一致している。つまり、クイズ番号からゾーンを一意に特定することができる。このため、ユーザがどのような順序で学習施設100を移動したかもわかる。更に、ミス回数から、クイズのユーザにとっての難易度もわかる。
(*)ラリー後アンケート回答404。クイズラリー終了後のアンケートに対する回答を表す情報である。
【0034】
メモリ203は、クイズ制御ソフトウェア211を記憶する記憶資源である。クイズ制御ソフトウェア211は、各ユーザについてクイズラリーの進行を制御するためのコンピュータプログラムである。クイズ制御ソフトウェア211は、ソフト配信部221、アンケート部222及びクイズ制御部22を有する。ソフト配信部221は、クイズラリーソフト231を提供する機能である。アンケート部222は、アンケートを行う機能である。クイズ制御部223は、クイズを解くための権利を付与する機能である。
【0035】
プロセッサ201は、クイズ制御ソフトウェア211を実行する。これにより、プロセッサ201が、前述した機能221〜223を有することになる。
【0036】
以下、本実施例で行われる処理の流れを説明する。なお、以下、説明を分かり易くするために、処理の主体を、前述した機能235、221、222又は223とすることがあるが、その処理は、実際には、プロセッサ311又は201によって行われる。
【0037】
図5は、本実施例で行われる処理の流れの全体を示す。
【0038】
入口ホール102にて、クイズラリーソフト231の配信(ステップS1)、クイズラリーソフト231の起動(S2)、及び、アンケート(属性)(S3)が行われる。
【0039】
その後、ユーザが、複数のゾーン105を移動しながら、クイズラリーを行う(S4)。
【0040】
最後に、最後にクイズに正解したときにいたゾーン105にて、クイズラリーの感想のアンケートが行われ(S5)、その後に、クイズラリーソフト231が終了される(例えばユーザ端末111の電源OFF)(S6)。
【0041】
以下、各ステップを詳細に説明する。
【0042】
<S1:クイズラリーソフト231の配信>。
【0043】
図6は、クイズラリーソフト231の配信の流れを示す。
【0044】
ユーザ端末111のプロセッサ(以下、ユーザプロセッサ)311が、WiFiインターフェース315及び無線通信ステーション107を介して、クイズラリーサーバ113に、ユーザ端末111のMACアドレスを送信する(S701)。
【0045】
サーバ113がユーザ端末111からMACアドレスを受信した場合、ソフト配信部221が、ユーザ管理情報251にレコード(行)を追加し、そのレコードに、受信したMACアドレスを登録する(S702)。
【0046】
そして、ソフト配信部221は、クイズラリーソフト231を、MACアドレスの送信元のユーザ端末111に配信する(S703)。
【0047】
<S2:クイズラリーソフト231の起動>。
【0048】
ユーザは、タッチペン151を使用して、図6のS703でユーザ端末111にダウンロードされたクイズラリーソフト231を起動する。これにより、ユーザプロセッサ311によってクイズラリーソフト231が実行される。
【0049】
<S3:アンケート(属性)>。
【0050】
図7は、アンケート(属性)の流れを示す。
【0051】
ユーザ端末111において、進行制御部235(クイズラリーソフト231の実行によりユーザプロセッサ311に提供される機能)が、属性情報の入力を受け付ける(S801)。具体的には、例えば、進行制御部235は、上画面303及び下画面305に、図8(A)に示すような情報を表示する。下画面305に対するスクロール操作に応答して、進行制御部235は、下画面305に、図8(B)及び図8(C)に示す情報を表示する。
【0052】
進行制御部235が、「つぎへ」ボタン901(図8(C)参照)が押された場合(S802)、情報が未入力の属性項目があるか否かを判断する(S803)。
【0053】
未入力の属性項目が有れば(S803:YES)、進行制御部235は、「まだ答えてないものがあるよ」というメッセージ(図8(C)を表示し、再度、属性情報の入力を受け付ける。
【0054】
一方、未入力の属性項目が無ければ(S803:NO)、進行制御部235は、ユーザ端末111のMACアドレスと、入力された属性情報とを、クイズラリーサーバ113に送信する(S804)。クイズラリーサーバ113がMACアドレス及び属性情報を受信し、アンケート部222が、ユーザ管理情報251における、そのMACアドレスを有するレコードに、その属性情報を登録する(S805)。
【0055】
<S4:クイズラリー>。
【0056】
S803:NOの場合、クイズラリーを開始することができる。例えば、ユーザ端末111において、進行制御部235が、図9(A)に示す画面表示を行う。「はじめる」ボタン1101が押されたときが、クイズラリーの開始となる。
【0057】
進行制御部235は、上画面303に、学習施設101の内部マップ(各フロアのマップ)を表示する(図9(B)参照)。内部マップを表すデータは、クイズデータ237に含まれている。
【0058】
また、通信制御部235は、どのゾーンにクイズが残っていてどのゾーンのクイズに解答済み(どこのクイズをクリアしたか)を表す情報も表示する。図9(B)によれば、クイズ1〜5のうち、クイズ4は既にクリアしており、クイズ1〜3及び5が未だクリアされていないことがわかる。各クイズについて、クリアしたか否かを表す情報を、通信制御部235が、ユーザ端末111内のメモリ313に設定する。これにより、通信制御部235は、どのクイズがクリアされておりどのクイズがクリアされていないかを特定し、特定されたことを表す情報を表示することができる。
【0059】
また、通信制御部235は、図9(B)に示すように、「ここでクイズをさがす!」ボタン1103を下画面305に表示する。このボタン1103が押されたときに、通信制御部235は、AP装置101の通信圏内であるか否かを判断する。具体的には、例えば、通信制御部235は、AP装置101からのビーコンを検出できるかどうかを判断する。ビーコンを検出できれば、ユーザ端末111の現在位置が、AP装置101の通信圏内ということであり、ビーコンを検出できなければ、AP装置101の通信圏外ということである。ユーザは、AP装置101の通信圏を見つけるために、ユーザ端末111を持って各ゾーン105内を広く移動し、任意の位置で、「ここでクイズをさがす!」ボタン1103を押すことで、自分がAP装置101の通信圏内にいるかどうかを確認する。AP装置101の通信圏内にいれば、現在位置するゾーンに対応したクイズが出題される。クイズに正解すれば、クリアとなる。全てのクイズをクリアしたら、クイズラリーの終了となる。
【0060】
図10は、クイズラリーの流れを示す。
【0061】
クイズラリーが開始された後、ユーザ任意の位置で、前述した「ここでクイズをさがす!」ボタン1103が押される(S1001)。それに応答して、進行制御部235が、AP装置101からのビーコンを検出できるか否かを判断する(S1002)。
【0062】
ビーコンを検出できなければ(S1002:NO)、進行制御部235は、ユーザにリトライを指示する(S1003)。具体的には、例えば、下画面305に、図11(E)に示す表示を行う。「もどる」ボタンが押された場合、進行制御部235は、図10(B)に示した表示(「ここでクイズをさがす!」ボタン1103を含んだ表示)を行う。
【0063】
ビーコンを検出できた場合(S1002:YES)、進行制御部235は、MACアドレスをクイズラリーサーバ113に送信する(S1004)。
【0064】
クイズラリーサーバ113において、クイズ制御部223が、MACアドレスが経由したAP装置101の識別情報(例えばIPアドレス)を特定し、特定した識別情報を用いて、そのAP装置101がどのゾーンに設置されているかを特定する。例えば、記憶装置207が、どのAP装置101がどのゾーンに設置されているかを表す情報(以下、AP/ゾーン対応情報)を記憶しており、クイズ制御部223は、AP装置101の識別情報を用いて、AP/ゾーン対応情報から、そのAP装置101がどのゾーンに設置されているかを特定する。そして、クイズ制御部223は、特定したゾーンに対応したクイズの解答権を表す情報(以下、解答権利情報)を、MACアドレスの送信元のユーザ端末111に送信する(S1005)。解答権利情報は、例えば、クイズ1〜5のうちのどのクイズの出題を許可するかを表す情報を含む。
【0065】
ユーザ端末111が解答権利情報を受信し、進行制御部235が、その解答権利情報が許可するクイズをクイズデータ237から特定する。そして、進行制御部235は、特定されたクイズを出題(表示)し(S1006)、解答を待つ(S1007)。図11(A)は、クイズ1の出題を示す。上画面303に、クイズ1の問題が表示され、下画面305に、クイズ1の解答の選択肢が表示される。
【0066】
いずれかの選択肢が選択された場合(押された場合)、進行制御部235が、その選択肢が正解の選択肢か否かを判断する(S1008)。正解か否かは、クイズデータ237から特定することができる(サーバ113に問い合わせることで特定されても良い)。
【0067】
不正解の場合(S1008:NO)、進行制御部235は、例えば図11(B)に示すように、不正解であるため再度解答することをユーザに促すメッセージを表示し、且つ、不正解の選択肢の表示態様を変更して(例えば選択肢をグレーで塗りつぶして)、再度、解答の入力を待つ。
【0068】
正解の場合(S1008:YES)、進行制御部235は、例えば図11(C)に示すように、正解したことを表すメッセージと、クイズの解答に関する解説と、「他のクイズをさがす」ボタン1201とを表示する。「他のクイズをさがす」ボタン1201が押されたときに、図9のS1009が行われる。また、進行制御部235は、どのクイズに正解したかを表す情報をメモリ313に設定する。
【0069】
すなわち、進行制御部235は、解答結果情報をクイズラリーサーバ113に送信する(S1009)。解答結果情報は、例えば、正解したクイズの番号、何番目に正解したクイズであるか、及び、ミスした回数(不正解の選択肢の数)を表す情報を含む。
【0070】
クイズラリーサーバ113が解答結果情報を受信し、クイズ制御部223が、解答結果情報をユーザ管理情報251に登録する(S1010)。これにより、S1004で送信されたMACアドレスに対応するクイズ結果403が更新される。
【0071】
また、進行制御部235は、S1008:YESの場合、例えばメモリ313に設定されている、どのクイズに正解したかを表す情報を基に、クイズ1〜5の全てに正解したかどうかを判断する(S1011)。
【0072】
まだ未正解のクイズがあれば(S1011:NO)、例えば、進行制御部235は、図10(B)に示したような表示を行う。その後、再度、S1001が行われることになる。
【0073】
クイズ1〜5の全てに正解していれば(S1011:YES)、進行制御部235は、クイズ1〜5の全てに正解したこと(つまりクイズラリーにクリアしたこと)を意味するメッセージを表示する。例えば、例えば、図11(D)に示したような表示が行われる。「アンケートにこたえる」ボタン1205が押されたときに、図5のS4:アンケート(感想)の開始となる。
【0074】
<S5:アンケート(感想)>。
【0075】
図11(D)に示した「アンケートにこたえる」ボタン1205が押されたとき、進行制御部235が、感想に関する幾つかの質問を表示する(図12(A)参照)。質問を表すデータは、予めクイズデータ237に含まれているが、「アンケートにこたえる」ボタン1205が押されたときにサーバ113からダウンロードされても良い。ユーザは、全ての質問について回答し、「つぎへ」ボタン1301を押す(図12(B)参照)。未入力の項目があれば、図12(B)に示すように、未入力がある旨のメッセージが表示され、未入力の項目が無ければ、所定の情報が表示される。所定の情報は、電源OFFの指示であっても良いし、学習施設100のスタッフに見せて特典をもらうための情報であっても良い。
【0076】
たとえば、所定のボタン(例えば「つぎへ」ボタン1301)が押されたときに、進行制御部235が、感想に関する回答の結果を表す情報(以下、感想回答情報)をクイズラリーサーバ113に送信する。サーバ113において、アンケート部222が、感想回答情報をアンケート回答404としてユーザ管理情報251に登録する。
【0077】
<S6:クイズラリーソフト231の終了>。
【0078】
ユーザは、ユーザ端末111の電源をターンオフする。これにより、クイズラリーソフト231の終了となる。具体的には、例えば、メモリ313からクイズラリーソフト231が消去される。
【0079】
以上、本実施例によれば、ユーザは、全てのクイズを解くために、学習施設100に設けられている全てのAP装置101の通信圏内に入る必要があり、そのために、学習施設100内を広範囲に移動する必要がある。広範囲の移動により、学習施設100内の様々な展示物を多くのユーザに見てもらう機会が増え、また、クイズに正解すれば、学習対象に関する知識を増やすことができ、以って、学習施設100の意義を十分に達成することができる。
【0080】
なお、クイズラリーの最中に(つまり全てのクイズが正解されないうちに)、ユーザ端末111の電源がターンオフされることもある。この場合、メモリ313からクイズラリーソフト231が消去されてしまうので、ユーザは、再度、クイズラリーソフト231をダウンロードする必要がある。再ダウンロード後のクイズラリーの開始時点の状況として、下記のいずれかが採用されて良い。
(*)電源OFFの前にクイズ1〜5のどれを正解していたかに関わらず、クイズ1〜5の全てが未解答として開始される。
(*)クイズラリーソフト231が起動したときに、進行制御部235が、ユーザ端末111のMACアドレスとどのクイズが正解されていたかの問合せとをクイズラリーサーバ113に送信する。MACアドレス及び問合せをクイズラリーサーバ113が受信する。クイズ制御ソフトウェア211は、その問合せに応答して、受信したMACアドレスに対応したクイズ結果403をユーザ管理情報251から特定する。クイズ制御ソフトウェア211は、特定されたクイズ結果403のうち、正解したクイズの番号をユーザ端末111に通知する。ユーザ端末111がクイズ番号を受信し、進行制御部235が、そのクイズ番号をメモリ313に設定する。進行制御部235は、正解したクイズの番号を基に、表示を制御する。例えば、正解したクイズ番号として、1、3、4があった場合には、進行制御部235は、クイズ1、3及び4がクリアされているという表示を行う。
【0081】
また、全てのクイズを表すデータが予めダウンロードされることに代えて、AP装置101の通信圏内に入ったときに、そのAP装置101がいるゾーン105に対応したクイズを表すデータが配信されても良い。しかし、同一のAP装置101を介して同時に通信できるユーザ端末111の数には限りがあるので、1つの通信をなるべく短くするべく、上記実施例のように、全てのクイズを予めダウンロードしておき、AP装置101の通信圏内では、クイズの出題を許可するための解答権利情報という、クイズのデータよりも小サイズのデータをダウンロードする方が好ましい。
【実施例2】
【0082】
以下、本発明の実施例2を説明する。その際、実施例1との相違点を主に説明し、実施例1との共通点については説明を省略或いは簡略する(これは、後の実施例3についても同様である)。
【0083】
学習施設100に複数回訪れるユーザも存在し得る。しかし、出題されるクイズが毎回同じでは、ユーザに提供する知識も変わらないし、ユーザの楽しみが増えない。
【0084】
そこで、本実施例では、同一のユーザに出題されるクイズが、或る回と別の回で異なる。
【0085】
それは、例えば、次のような方法で実現することが期待できる。
【0086】
記憶装置207が、多数のクイズのデータを記憶する。多数のクイズは、ゾーン毎に分類されており、且つ、各ゾーンについて、複数のカテゴリに予め分類されている。カテゴリとしては、性別に関するカテゴリ(男、女)、誰と一緒に来場したかに関するカテゴリ(例えば、親、友人)、年齢に関するカテゴリ(例えば、学年、職業)、正答率に関するカテゴリ(例えば、10%未満、10%以上30%未満など)など、種々の観点で設けることができる。クイズ制御ソフトウェア211が、任意のタイミングで、ユーザに出題するクイズを決定し、そのクイズを表すデータを、そのユーザが持つユーザ端末111に送信する。具体例として、例えば、下記(具体例1)〜(具体例3)のうちの少なくとも1つを採用することができる。
(具体例1)進行制御部235がダウンロードされる。その後、属性情報が登録されたとき、属性情報にマッチする所定数のクイズを、クイズのカテゴリを基に決定し、決定した所定数のクイズを表すデータを、ユーザ端末111に送信する。
(具体例2)クイズ制御ソフトウェア211は、クイズ結果403における「順番」を基に、送信するクイズのデータを決定する。例えば、クイズ1に正解した次にクイズ2が出題されるケースと、クイズ3に正解した次にクイズ2が出題されるケースでは、クイズ2として出題されるクイズは異なる。つまり、ユーザがどのような順序でクイズを解いてきたかに応じて、出題されるクイズが異なる。この場合、例えば、予め、解くべきクイズの数よりも多くの数のクイズがユーザ端末111にダウンロードされて、進行制御部235又はクイズ制御ソフトウェア211が、クイズを正解した順序を基に、次に出題するクイズを決定しても良い。或いは、例えば、クイズ制御ソフトウェア211が、どのAP装置101を介してユーザ端末111と通信するかに応じて、これまでクイズに正解した順序を基に、そのユーザ端末111に出題するクイズを決定し、決定したクイズを表すデータをそのユーザ端末111に送信しても良い。
(具体例3)クイズ制御ソフトウェア211は、クイズのカテゴリとアンケート回答404とを基に、その回答404に対応するMACアドレスを有するユーザ端末111に次回に提供するクイズ(今回出題したクイズと異なるクイズ)を決定して良い。次回の来場の際には、そのユーザ端末111に、決定されたクイズが配信されて良い。
【0087】
なお、配信される複数のクイズは、多数のクイズの中からクイズ制御ソフトウェア211がランダムで決定した複数のクイズ(多数のクイズの中から無作為に選択された複数のクイズ)であっても良い。
【実施例3】
【0088】
実施例3では、AP装置101の位置が、一定時間(例えば、1時間、1週間など)毎の等の適当なタイミングで変更される。これにより、学習施設100に複数回訪れたとしても、或る回と別の回では、クイズが出題される位置が異なっている可能性があるので、違った楽しみ方ができる。
【0089】
また、実施例3では、AP装置101の通信圏の広さが、一定時間(例えば、1時間、1週間など)毎の等の適当なタイミングで変更される。この実施例では、AP装置は、それの通信圏の広さを変更できるタイプの装置である。これについては、例えば、下記の(具体例1)及び(具体例2)のうちの少なくとも1つを採用することができる。
(具体例1)例えば、ゾーンと優先度との関係を表す情報(以下、ゾーン優先度情報)が記憶装置207に記憶される(ゾーンに代えて、別種の対象(例えば展示物)と優先度との関係を表す情報であっても良い)。優先度が高いゾーンは、じっくり見てもらいたいゾーンである。クイズ制御ソフトウェア211又は管理者が、ゾーン優先度情報を基に、第1のゾーンにあるAP装置の通信圏よりも、第1のゾーンよりも優先度の高い第2のゾーンにあるAP装置の通信圏を広くする。
(具体例2)例えば、学習施設100内でのユーザ端末111の位置情報が定期的に検出され、検出された位置情報と検出したときの日時を表す日時情報とのセットを含んだ情報(以下、ユーザ行動履歴情報)が記憶装置207に格納される。各ユーザのユーザ行動履歴情報から、各ゾーンの混雑状況の推移がわかる。クイズ制御ソフトウェア211又は管理者が、各ゾーンの混雑状況の推移を基に、AP装置101の通信圏を調節する。例えば、或る基準よりも混雑するゾーンにあるAP装置の通信圏は、広くすることで、同時刻にそのゾーンに多くのユーザがいてしまうような状況を緩和する。また、例えば、或る基準よりも混雑しないゾーンにあるAP装置の通信圏は、狭くすることで、クイズ探したのめにそのゾーン内を移動するのに要する時間が増えるようにする。
【0090】
上述した本発明の幾つかの実施例は、本発明の説明のための例示であり、本発明の範囲をそれらの実施例にのみ限定する趣旨ではない。本発明は、その要旨を逸脱することなく、その他の様々な態様でも実施することができる。
【0091】
例えば、実施例1〜3のうちの少なくとも二以上を組み合わせることもできる。
【0092】
また、例えば、クイズラリーの開始前にユーザの識別情報が入力されても良い。ユーザ管理情報251は、ユーザ毎に、ユーザの識別情報、MACアドレス、属性情報などを有してもよい。
【0093】
また、WiFiに限らず、他種の無線通信(例えば近距離型無線通信)が採用されても良い。
【0094】
また、進行制御部235は、AP装置101の通信圏内にユーザ端末111がいるか否かに関わらず、複数のクイズのうち、解答済みクイズを、出題しても良い。
【符号の説明】
【0095】
111…ユーザ端末 113…クイズラリーサーバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
会場の複数の位置に設けられた複数のアクセスポイント装置と、
前記複数のアクセスポイント装置に接続されたサーバ装置と、
無線通信可能な携帯型の情報処理端末であってユーザが前記会場内で持つ端末であるユーザ端末と
を備え、
前記サーバ装置は、前記複数のアクセスポイント装置に対応した複数のクイズを出題するためのソフトウェアであるクイズラリーソフトを有しており、前記ユーザ端末に前記クイズラリーソフトを配信し、
前記ユーザ端末は、前記クイズラリーソフトを受信して記憶し、
前記ユーザ端末は、記憶した前記クイズラリーソフトを実行することにより、
(A)いずれのアクセスポイント装置の通信圏にも前記ユーザ端末が入っていないときには、前記複数のクイズのうちの少なくとも前記ユーザが未解答のクイズを出題せず、
(B)前記複数のアクセスポイント装置のうちの或るアクセスポイント装置の通信圏に入ったときに、前記複数のクイズのうちの前記或るアクセスポイント装置に対応したクイズを出題する、
クイズシステム。
【請求項2】
請求項1記載のクイズシステムであって、
前記配信されるクイズラリーソフトは、前記複数のクイズを有しており、
前記(B)において、
(b1)前記ユーザ端末が、前記ユーザ端末が前記或るアクセスポイント装置の通信圏に入ったときに、前記或るアクセスポイント装置を介して前記サーバにアクセスし、
(b2)前記サーバが、前記或るアクセスポイント装置に対応したクイズを解答する権利を表す情報である解答権利情報を、前記或るアクセスポイント装置を介して、前記ユーザ端末に送信し、
(b3)前記ユーザ端末が、前記解答権利情報を受信し、前記解答権利情報が表すクイズを出題し、
前記解答権利情報が表すクイズが、前記複数のクイズのうちの前記或るアクセスポイント装置に対応したクイズである、
クイズシステム。
【請求項3】
請求項1又は2記載のクイズシステムであって、
前記サーバ装置が、下記の(1)乃至(3)の少なくとも1つを基に、多数のクイズの中から前記ユーザ端末用の複数のクイズを決定する、
(1)前記ユーザの属性に関する情報、
(2)前記ユーザによる複数のクイズの解答順序、
(3)前記複数のクイズの解答後のアンケートに対する回答を表す情報、
クイズシステム。
【請求項4】
請求項1乃至3のうちのいずれか1項に記載のクイズシステムであって、
前記サーバ装置が、下記の(1)又は(2)を基に、各アクセスポイント装置の通信圏の広さを制御する、
(1)前記会場における複数の対象の優先度と、どの対象にどのアクセスポイント装置があるか、
(2)前記会場における各ゾーンの混雑状況の推移と、どのゾーンにどのアクセスポイント装置があるか、
クイズシステム。
【請求項5】
会場の複数の位置に設けられた複数のアクセスポイント装置に接続されているサーバ装置が、無線通信可能な携帯型の情報処理端末であってユーザが前記会場内で持つ端末であるユーザ端末に、前記複数のアクセスポイント装置に対応した複数のクイズを出題するためのソフトウェアであるクイズラリーソフトを配信し、
前記ユーザ端末は、前記クイズラリーソフトを受信して記憶し、
前記ユーザ端末は、記憶した前記クイズラリーソフトを実行することにより、
(A)いずれのアクセスポイント装置の通信圏にも前記ユーザ端末が入っていないときには、前記複数のクイズのうちの少なくとも前記ユーザが未解答のクイズを出題せず、
(B)前記複数のアクセスポイント装置のうちの或るアクセスポイント装置の通信圏に入ったときに、前記複数のクイズのうちの前記或るアクセスポイント装置に対応したクイズを出題する、
ことにより、来場者の場内での広範囲の移動を促進する方法。
【請求項6】
無線通信可能な携帯型の情報処理端末であってユーザが前記会場内で持つ端末であるユーザ端末に、会場の複数の位置に設けられた複数のアクセスポイント装置に対応した複数のクイズを出題するためのソフトウェアであるクイズラリーソフトを配信し、
前記複数のアクセスポイント装置のうちの或るアクセスポイント装置を介して前記ユーザ端末からアクセスされたとき、前記或るアクセスポイント装置に対応したクイズを解答する権利を表す情報である解答権利情報を、前記或るアクセスポイント装置を介して、前記ユーザ端末に送信する、
ことをコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラム。
【請求項7】
会場の複数の位置に設けられた複数のアクセスポイント装置のいずれのアクセスポイント装置とも無線通信可能な携帯型の情報処理端末であってユーザが前記会場内で持つ端末であるユーザ端末、で実行されるコンピュータプログラムであって、
いずれのアクセスポイント装置の通信圏にも前記ユーザ端末が入っていないときには、複数のクイズのうちの少なくとも前記ユーザが未解答のクイズを出題せず、
前記複数のアクセスポイント装置のうちの或るアクセスポイント装置の通信圏に入ったときに、前記複数のクイズのうちの前記或るアクセスポイント装置に対応したクイズを出題する、
ことを前記ユーザ端末に実行させるコンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−186922(P2011−186922A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−53339(P2010−53339)
【出願日】平成22年3月10日(2010.3.10)
【出願人】(000155469)株式会社野村総合研究所 (1,067)