説明

板材両面印刷装置

【課題】板材の表裏両面に艤装品等の取付情報を含めた情報を正確な位置関係で印刷できる板材両面印刷装置を提供する。
【解決手段】鋼板27を印刷領域39へ搬送する縦送りコンベア3と、印刷領域39の側部に設定された反転領域55と印刷領域39との間で、鋼板27を選択的に搬送する横送りコンベア5と、印刷領域39の反転領域55側に鋼板27に対して選択的に係合可能に設けられ、鋼板27の辺141の位置を規制する内側倣いローラ群11と、印刷領域39の幅方向で内側倣いローラ群11とは反対側に設けられ、鋼板27の辺141の位置を規制する外側倣いパネル群13と、反転領域55に設置され、鋼板27を辺141の回りに回転し、表裏反転させる反転装置9と、印刷領域39に存在する鋼板27に所定の情報を印刷する印刷装置7と、が備えられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、板材両面印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
船舶の建造は、船体を形成する船殻工事と艤装品を取り付ける艤装工事とに大別される。船殻工事は、鋼板(板材)を所定形状に切断し、必要に応じて曲げあるいは穿孔加工をした後、互いを溶接等によって接合してブロックを造り上げる。多数のブロックは、ドック(船渠)または船台の上で電気溶接して船のかたち(船体)に仕上げられる。船の形になると進水され、船体は水上に浮かべられる。
進水後に、艤装品である各機器、部材等を船体に取付・据付する艤装工事が行われる。
なお、艤装工事では、工期短縮や工程削減を目的に、進水前の段階で先行して船内配管や居住設備の多くがあらかじめブロックに作り付けられる先行艤装が行われている。
【0003】
ブロックあるいは船体への艤装品の取付工事を正確にかつ容易に行うために、鋼板の段階で鋼板の加工用情報に加えて艤装品の種類、取付位置、取付方法等の情報を表示しておくことが行われている。
この表示を効率的に行うものとして、鋼板に印字を行う鋼板印刷装置が種々提案されている。
鋼板印刷装置としては、固定された印刷装置の下を搬送される鋼板に印刷するもの、停止している鋼板の上を印刷装置が走行しながら印刷するもの、あるいは、特許文献1に示されるように、搬送される鋼板に対し、印刷装置が同期して走行しつつ鋼板に印刷するもの等、種々の形式が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−010142号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、艤装品は当該鋼板の表裏両面に取り付けられることが多々あり、取付工程において両面に印刷することが望まれていた。しかし、従来の鋼板印刷装置は、鋼板の上面、すなわち、片面に印刷するものであるため、この要求を満足することができなかった。
また、表裏両面に印刷を施す場合、表裏両面に取り付けられる艤装品の位置関係がずれないように正確に印刷することが要求される。
【0006】
本発明は、上記点に鑑み、板材の表裏両面に艤装品等の取付情報を含めた情報を正確な位置関係で印刷できる板材両面印刷装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は以下の手段を採用する。
すなわち、本発明の一態様は、板材を印刷領域へ搬送する第1の搬送装置と、前記印刷領域の側部に設定された反転領域と前記印刷領域との間で、前記板材を選択的に搬送する第2の搬送装置と、前記印刷領域の前記反転領域側に前記板材に対して選択的に係合可能に設けられ、前記板材の一辺の位置を規制する第1の規制部材と、前記印刷領域の幅方向で前記第1の規制部材とは反対側に設けられ、前記板材の一辺の位置を規制する第2の規制部材と、前記反転領域に設置され、前記板材を前記板材の前記反転領域側の辺の回りに回転し、表裏反転させる反転装置と、前記印刷領域に存在する前記板材に所定の情報を印刷する印刷装置と、が備えられている板材両面印刷装置である。
【0008】
本発明によれば、板材は第1の搬送装置によって印刷領域内に搬送される。第1の規制部材が板材と係合する状態とされる。この状態で印刷領域に搬入された板材は、第2の搬送装置によって反転領域側に向けて搬送される。これにより、板材は、印刷領域の反転領域側に設けられた第1の規制部材に押し付けられるので、第1の規制部材によって板材における反転領域側の一辺の位置が規制される。この状態で、印刷装置は板材の一辺を基準として所定の情報を板材の一面に印刷する。
板材の両面に印刷する場合には、第1の規制部材を板材に対し係合しないようにし、第2の搬送装置によって板材を反転領域内に搬送する。反転領域に搬入された板材は、反転装置によって反転領域側の一辺の回りに回転し、表裏反転させられる。すなわち、板材は他面が上になるとともに搬入時における反転領域側の一辺が印刷領域側に位置することになる。
【0009】
第2の規制部材が板材と係合する状態とされる。この状態で板材は第2の搬送装置によって印刷領域側に向けて搬送される。これにより、板材は、印刷領域の幅方向で第1の規制部材とは反対側に設けられた第2の規制部材に押し付けられるので、第2の規制部材によって板材における先の印刷時における反転領域側の一辺の位置が規制される。この状態で、印刷装置は板材の一辺を基準として所定の情報を板材の他面に印刷する。
このようにして、板材は両面に所定の情報を印刷することができる。
両面印刷を行う場合、印刷領域の両側にある第1の規制部材および第2の規制部材によって一面および他面の印刷時の基準位置となる辺を規制する間に、反転装置によって反転領域側の一辺の回りに回転し、表裏反転させられるので、第1の規制部材および第2の規制部材は板材の同じ一辺の位置を規制することができる。このように、両面の印刷において同じ一辺を基準として印刷されるので、両面に印刷される情報は正確な位置関係で印刷することができる。
【0010】
上記態様では、前記第1の搬送装置は、間隔を空けて設置された複数のローラによって構成されたローラコンベアとされ、前記第2の搬送装置は、周回駆動される無端状のチェーンを有し、上下動可能に設置された複数のチェーンコンベアを備えている構成としてもよい。
【0011】
このようにすると、第2の搬送装置を形成するチェーンコンベアが、第1の搬送装置を形成するローラの間に配置することができる。これにより、第1の搬送装置と第2の搬送装置とが干渉しないようにすることが容易にできる。
【0012】
上記構成では、前記チェーンの荷重支持部には、回転自在なフリーローラが備えられていることが望ましい。
【0013】
このようにすると、板材を規制部材に押し付ける際に、チェーンコンベアから板材に作用する力が過度にかかる事を抑えられるので、板材に傷をつけることを抑制できる。
【0014】
上記構成では、前記第2の搬送装置には、前記板材を支持する回転自在な支持ローラが備えられていることが望ましい。
【0015】
このように、回転自在な支持ローラが板材を支持するので、チェーンコンベアによって支持する荷重が小さくできる。チェーンコンベアによって支持する荷重が小さくできるので、板材に作用する力を小さくできる。
【0016】
上記態様では、前記反転装置は、前記板材の移動方向に延在するように配置され、前記印刷領域の反対側端部を軸線として上下方向に揺動可能に支持された少なくとも1個の第1のアーム部材と、該第1のアーム部材を揺動させる第1の駆動部材と、前記第1のアーム部材に対し前記印刷領域の反対側に、前記板材の移動方向に延在するように配置され、前記印刷領域側端部を軸線として上下方向に揺動可能に支持された少なくとも1個の第2のアーム部材と、該第2のアーム部材を揺動させる第2の駆動部材と、を備えていてもよい。
【0017】
反転領域に搬入された板材は、第1のアーム部材によって第1の規制部材で規制された一辺が搬入方向へ移動することが制限されるように支持される。この状態で、第1のアーム部材は第1の駆動部材によって印刷領域の反対側端部を軸線として上方向に揺動される。このとき、第2のアーム部材は、第2の駆動部材によって印刷領域側端部を軸線として上方向にその軸線を越えて揺動され、第1のアーム部材とによって板材を挟持するようにされる。
この状態で、第1のアーム部材がその軸線を越えるように第1のアーム部材および第2のアーム部材は同期して揺動される。これにより、板材の加重は第2のアーム部材によって下方への移動を制限されるように支持されることになる。第1のアーム部材は第1の駆動部材によって反対側に揺動され、元の略水平位置に戻される。第2のアーム部材は、板材を支持したまま元の略水平位置に戻される。これにより、板材は安全かつ確実に搬入時の反転領域側の一辺の回りに回転し、表裏反転させられる。
【0018】
上記態様では、前記印刷領域に搬入される前記板材を特定する特定情報を検出する特定情報検出手段と、該特定情報検出手段が検出した特定情報に基づいて前記板材に印刷する印刷情報を前記印刷装置に送る印刷内容指示手段と、前記板材の所定位置を検出する複数の位置検出手段と、が備えられていてもよい。
【0019】
特定情報検出手段は、搬入される板材に表示された特定情報、たとえば、部品名、部品記号を表す情報を検出し、印刷内容指示手段へ送信する。印刷内容指示手段は、この特定情報に基づいて板材を特定し、特定された板材に印刷する印刷情報を印刷装置に送る。印刷装置は、送られた印刷情報に基づいて板材に所定のシーケンスによって印刷する。
板材の所定位置を検出する複数の位置検出手段は、たとえば、板材が印刷領域に搬入されたこと、板材が第1の規制部材あるいは第2の規制部材に規制されたこと、および反転装置の反転位置に至ったことを検出する。このようにすると、板材の位置に対応して第1の搬送装置、第2の搬送装置、第1の規制部材、第2の規制部材、印刷装置および反転装置を動作させるタイミングが検出できるので、これらの動作を自動化することができる。
このように、板材に特定情報を表示することによって、板材に必要に応じて両面を含む印刷を自動的に行うことができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、印刷領域の側部に反転装置が設けられているので、板材の両面に所定の情報を印刷することができる。
印刷領域の両側にある第1の規制部材および第2の規制部材によって一面および他面の印刷時の基準位置となる一辺を規制する間に、反転装置によって反転領域側の一辺の回りに回転し、表裏反転させられるので、両面の印刷において同じ一辺を基準として印刷でき、両面に印刷される情報を正確な位置関係で印刷することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施形態にかかる鋼板両面印刷装置の全体概略構成を示す平面図である。
【図2】本発明の一実施形態にかかる第1横送りコンベアの平面図である。
【図3】図2のX−X断面図である。
【図4】本発明の一実施形態にかかるチェーンの一部を示す正面図である。
【図5】本発明の一実施形態にかかる第2横送りコンベアの平面図である。
【図6】図5のY視図である。
【図7】本発明の一実施形態にかかる反転部材の平面図である。
【図8】本発明の一実施形態にかかる反転部材の正面図である。
【図9】本発明の一実施形態にかかる反転部材の反転動作の一部を示す正面図である。
【図10】本発明の一実施形態にかかる反転部材の反転動作の一部を示す正面図である。
【図11】本発明の一実施形態にかかる鋼板両面印刷装置の作動状況の一部を示す部分平面図である。
【図12】本発明の一実施形態にかかる鋼板両面印刷装置の作動状況の一部を示す部分平面図である。
【図13】本発明の一実施形態にかかる鋼板両面印刷装置の作動状況の一部を示す部分平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の一実施形態にかかる鋼板両面印刷装置(板材両面印刷装置)1について図1〜図13を参照して説明する。
図1は、本実施形態にかかる鋼板両面印刷装置1の全体概略構成を示す平面図である。
鋼板両面印刷装置1には、縦送りコンベア(第1の搬送装置)3と、横送りコンベア(第2の搬送装置)5と、印刷装置7と、反転装置9と、内側倣いローラ群(第1の規制部材)11と、外側倣いパネル群(第2の規制部材)13と、バーコードリーダ(特定情報検出手段)15と、印刷情報取得用パソコン(印刷内容指示手段)17と、が備えられている。
【0023】
縦送りコンベア3は、屋外23から屋内25に亘って配置されている複数のローラ19によって構成されたローラコンベアである。ローラ19は、たとえば、径165.2mmで長さが略4600mmとされ、搬送方向21に沿って所定のピッチ、たとえば、500mmで略44mに亘って配置されている。ローラ19は図示しない駆動手段によって回転駆動される。
ローラ19は、ピッチよりも小さい径であるので、ローラ19間には、間隔が空けられていることになる。
【0024】
縦送りコンベア3の側部には、鋼板(板材)27を仮置きする仮置場29が備えられている。縦送りコンベア3の海31側には、運搬船から鋼板27の荷揚げを行う水切り場33が備えられている。
運搬船を含む水切り場33、仮置場29および屋外23に位置する縦送りコンベア3の範囲でマグネットによって鋼板27の搬送、載置等の取扱いを行える屋外マグネットクレーン35が備えられている。
【0025】
運搬船で搬送される鋼板27には、一般に鋼板番号等の鋼板27を特定する特定情報が表示されている。屋外マグネットクレーン35が鋼板27を荷揚げし、たとえば、仮置場29に仮置きしたときに、この特定情報である鋼板番号に対応するバーコードが鋼板27に貼付される。
【0026】
縦送りコンベア3における屋内25へ入った位置には、鋼板乾燥装置37が備えられている。鋼板乾燥装置37は、縦送りコンベア3で搬送される鋼板27に熱風を吹きかけ、水分を除去、すなわち、乾燥するものである。吹きかけられる熱風の温度は、たとえば、常温から350℃までの範囲で状況によって選択されるように構成されている。
鋼板乾燥装置37は、たとえば、縦送りコンベア3の中途に設けられた鋼板感知センサ38によって鋼板27が検知されると、鋼板27が進入してくると判断して設定された温度の熱風を吹きかけるようにされている。
鋼板感知センサ38としては、たとえば、磁気感知式のセンサが用いられる。
なお、鋼板感知センサ38としては、公知のセンサを用いることができ、屋外使用が可能なものであれば、特にそのセンサを限定するものではない。
【0027】
バーコードリーダ15は、鋼板乾燥装置37の搬送方向21の下流側に設置されている。バーコードリーダ15としては、たとえば、可視光半導体レーザを用いる長距離レーザタイプが用いられる。
バーコードリーダ15には、鋼板27の存在を検知する鋼板感知センサが付属されていてもよい。鋼板感知センサとしては、たとえば、照射されたレーザの反射光量を測定するCMOSレーザセンサが用いられる。
なお、バーコードリーダ15および鋼板感知センサとしては、公知のセンサを用いることができ、特にそのセンサを限定するものではない。
【0028】
屋内25に位置する縦送りコンベア3には、図1に示されるように印刷領域39が設定されている。印刷領域39は、印刷する鋼板27の大きさに対応して設定される。
印刷領域39の両側には、印刷領域39の全長よりも長い範囲に亘り、搬送方向に延在するようにレール41が施設されている。
印刷装置7は、このレールにそって移動するようにされている。印刷装置7は、ドット印字方式であり、搬送方向に略直交する方向(以下、幅方向43という。)にインクを噴射する複数、たとえば、29個の印字ヘッド(図示省略)が間隔を空けて並んで取り付けられている。各印字ヘッドは、幅方向に移動可能とされている。印刷装置7には制御部45が備えられている。
【0029】
屋内25の縦送りコンベア3に近い場所に、鋼板27への印刷等を管理する管理室47が備えられている。
印刷情報取得用パソコン17は、管理室47内に設置されている。印刷情報取得用パソコン17は、バーコードリーダ15が読み取ったバーコード、すなわち、鋼板番号情報を受け取る。印刷情報取得用パソコン17は、受け取った鋼板番号に基づいて鋼板番号毎に印刷情報を保管している図示しない設計サーバーから受け取った鋼板番号の鋼板27に印刷されるべき印刷情報を取得し、印刷装置7の制御部45に送信するように構成されている。
【0030】
印刷領域39の入口部分に、鋼板27の有無を検出する鋼板感知センサ49が備えられている。鋼板感知センサ49が鋼板27を検知しなくなると、鋼板27が印刷領域39に進入したと判定できる。
鋼板感知センサ49としては、たとえば、照射されたレーザの反射光量を測定するCMOSレーザセンサが用いられる。
なお、鋼板感知センサ49としては、公知のセンサを用いることができ、特にそのセンサを限定するものではない。
【0031】
印刷情報を受け取った制御部45は、鋼板27が印刷領域39に入ったことを検知した後、印刷情報と鋼板27の印刷エリアとを考慮して印刷動作を調整するようにされている。
制御部45は、印刷装置7の搬送方向21への移動速度と同期して各印字ヘッドのインク噴射動作、幅方向43への移動速度および位置を制御して所定の印刷を行うようにされている。
なお、印刷装置7としては、公知の構成を用いることができ、特にその構成を限定するものではない。
【0032】
印刷領域39の側部に反転領域55が設けられている。
内側倣いローラ群11は、印刷領域39の反転領域55側に配置されている。内側倣いローラ群11は、軸線が上下方向(図1の紙面に直交する方向)に延在する円筒形状をした複数の内側倣いローラ51を備えている。
各内側倣いローラ51の軸線中心は、幅方向43の位置が略同一とされている。各内側倣いローラ51は、ローラ19と略同位置に、ローラ19の上端位置よりも上方に位置するように固定して設置されている。
【0033】
外側倣いパネル群13は、印刷領域39の反転領域55側と反対側に配置されている。外側倣いパネル群13は、軸線が上下方向(図1の紙面に直交する方向)に延在する角形状をした複数の外側倣いパネル53を備えている。
各外側倣いパネル53の軸線中心は、幅方向43の位置が略同一とされている。各外側倣いパネル53は、後述する第1横送りコンベア57の側部に配置され、第1横送りコンベア57と一体的に上下方向に移動するように設置されている。外側倣いパネル53は、第1横送りコンベア57よりも上方へ突出するように取り付けられている。
【0034】
横送りコンベア5には、印刷領域39のローラ19の間に幅方向43に延在するように設置されている複数の第1横送りコンベア(チェーンコンベア)57と反転領域55に幅方向43に延在するように設置されている複数の第2横送りコンベア(チェーンコンベア)59とが備えられている。
図2は、第1横送りコンベア57の平面図である。図3は、図2のX−X断面図である。
第1横送りコンベア57には、第1チェーン支持部61と、第1チェーン63と、第1駆動スプロケット65と、第1従動スプロケット67と、第1駆動モータ69とが備えられている。
【0035】
第1チェーン支持部61は、略矩形断面をした中空の柱状体である。第1チェーン支持部61は、幅方向43に延在し、上下方向に移動可能にされている。第1チェーン支持部61の上面には、略全長に亘り第1チェーン63を案内する第1チェーンガイド71が取り付けられている。
第1駆動スプロケット65は、第1チェーン支持部61の反転領域55側の端部に突出するように取り付けられている。第1駆動スプロケット65は、第1駆動モータ69によって回転駆動されるように構成されている。
第1従動スプロケット67は、第1チェーン支持部61の第1駆動スプロケット65とは反対側の端部に突出するように取り付けられている。
【0036】
第1チェーン63は、周回するように第1駆動スプロケット65と第1従動スプロケット67とに掛け渡されている。図3に示されるように、第1チェーン63の上方通路は、第1チェーン支持部61の上部を通り、下方通路は第1チェーン支持部61の内部空間を通っている。第1チェーン63は、第1チェーン支持部61の上部を通る際、第1チェーンガイド71によって搬送方向21の動きを制限されるとともに下方への移動を抑制されている。
第1チェーン63は、図4に示されるように、プレート73の中央部が外側に延び、そこに自由に回転する第1フリーローラ75が取り付けられている。
なお、第1チェーン63は、第1フリーローラ75を備えていないものとしてもよい。
【0037】
第1チェーン支持部61は、図示しない駆動源によって上下方向に移動させられる。第1チェーン支持部61は、第1フリーローラ75の上端位置がローラ19の上端位置よりも下方位置から内側倣いローラ51の上端位置よりも上方位置までの間に、位置するようにされている。
縦送りコンベア3、言いかえるとローラ19が鋼板27を搬送しているときには、第1チェーン支持部61は第1フリーローラ75の上端位置がローラ19の上端位置よりも下方に位置させられている。この位置から第1チェーン支持部61が上方に移動し、第1フリーローラ75の上端位置がローラ19の上端位置よりも上方になると、ローラ19に替わり第1フリーローラ75が鋼板27を支持することになる。
【0038】
このとき、第1フリーローラ75の位置によって第1フリーローラ75に支持された鋼板27が内側倣いローラ51と係合する、すなわち、内側倣いローラ51に当て込むことができる状態になる。また、外側倣いパネル53は第1横送りコンベア57よりも上方に突出して設けられているので、第1フリーローラ75に支持された鋼板27が外側倣いパネル53と係合する、すなわち、外側倣いパネル53に当て込むことができる状態である。
言い換えると、第1横送りコンベア57の上下方向の移動によって、内側倣いローラ51は鋼板27に係合する状態と、鋼板27と係合しない状態と、になる。すなわち、内側倣いローラ51は鋼板27に選択的に係合可能に設けられている。
【0039】
第1チェーン支持部61の反転領域55側の端部分における両側面には、それぞれ略矩形断面をした中空の柱状体である一対の第1支持部材77が、搬送方向21に沿って延在するように固定して取り付けられている。各第1支持部材77の先端上部には、搬送方向21に沿う軸線回りに自由に回転する第1サイドローラ(支持ローラ)79が取り付けられている。第1サイドローラ79の上端位置は、第1フリーローラ75の上端位置と略同一位置とされている。
【0040】
図5は、第2横送りコンベア59の平面図である。図6は、図5のY視図である。
複数の第2横送りコンベア59は、間隔を空けて反転領域55の略全域をカバーするように設置されている。
第2横送りコンベア59には、第2チェーン支持部81と、第2チェーン83と、第2駆動スプロケット85と、第2従動スプロケット87と、第2駆動モータ89と、第2チェーンガイド91と、補助ローラ93と、が備えられている。
なお、第1横送りコンベア57と第2横送りコンベア59との間隔が小さくされている場合には、補助ローラ93を備えなくてもよい。
【0041】
第2チェーン支持部81は、第1チェーン支持部61と基本的構成は略同じである。第2チェーン支持部81は、第1チェーン支持部61の長さの略2倍の長さとされている。
第2駆動スプロケット85は、第2チェーン支持部81における印刷領域39と反対側の端部に突出するように取り付けられ、第2駆動モータ89によって回転駆動される。
第2従動スプロケット87は、第2チェーン支持部81の印刷領域39側の端部に突出するように取り付けられている。
第2チェーン83は、周回するように第2駆動スプロケット85と第2従動スプロケット87とに掛け渡されている。第2チェーン83は、第1チェーン63と長さが異なるだけで、他の構成は基本的に同じであり、外周部に第2フリーローラ95を備えている。
【0042】
第2チェーン支持部81の印刷領域39側の端部には、その両側面に側板97が取り付けられている。補助ローラ93は、側板97に揺動可能に取り付けられた支持部材99の先端部に、搬送方向21に沿う軸線回りに回転自在に取り付けられている。
支持部材99が油圧シリンダ101によって揺動されることによって、補助ローラ93は図6の実線位置で示す投入位置と、二点鎖線で示す待機位置との間を移動する。
投入位置における補助ローラ93の上端位置は、第2フリーローラ95の上端位置と略同一位置とされている。
【0043】
第2チェーン支持部81は、図示しない駆動源によって上下方向に移動させられる。第2チェーン支持部81が上方位置に移動したとき、第2フリーローラ95の上端位置はローラ19および後述する第1アーム部材(第1のアーム部材)111の上端位置よりも上側に位置するようにされている。
第2チェーン支持部81の両側面には、第1支持部材77と同じ構成をした一対の第2支持部材103が、第2チェーン支持部81の略全長に亘り間隔を空けて複数対取り付けられている。各第2支持部材103の先端上部には、搬送方向21に沿う軸線回りに自由に回転する第2サイドローラ(支持ローラ)105が取り付けられている。第2サイドローラ105の上端位置は、第2フリーローラ95の上端位置と略同一位置とされている。
【0044】
反転装置9には、第2横送りコンベア59の間に幅方向43に延在するように設置されている複数の反転部材107が備えられている。
図7は、反転部材107の平面図である。図8は、反転部材107の正面図である。
反転部材107には、アーム支持部材109と、第1アーム部材111と、第2アーム部材(第2のアーム部材)113と、第1アーム駆動部材(第1の駆動部材)115と、第2アーム駆動部材(第2の駆動部材)117とが備えられている。
【0045】
アーム支持部材109は、反転領域55の略全幅に亘り幅方向43に延在するように基礎に固定されて設置されている。
第1アーム部材111および第2アーム部材113は、略矩形断面をした棒状体である。第1アーム部材111および第2アーム部材113は、アーム支持部材109の上部に、長手方向に隣り合って配置されている。言い換えると、第1アーム部材111は、アーム支持部材109の印刷領域39側に配置され、第2アーム部材113はアーム支持部材109の印刷領域39の反対側に配置されている。
【0046】
アーム支持部材109の長手方向略中央位置には、それぞれ軸線が搬送方向21に延在する第1支持軸119および第2支持軸121が隣り合って対向するように取り付けられている。
第1アーム部材111の印刷領域39の反対側端部は、第1支持軸119に揺動可能に取り付けられている。第2アーム部材113の印刷領域39側端部は、第2支持軸121に揺動可能に取り付けられている。
【0047】
第1アーム部材111における第1支持軸119の近傍位置には、鋼板27の移動を防止する第1ストッパ123が備えられている。第2アーム部材113における第2支持軸121の近傍位置には、鋼板27の移動を防止する第2ストッパ125が備えられている。
なお、鋼板の移動は、第1ストッパ123および第2ストッパ125に代えて、たとえば、電磁石等適宜手段によって防止するようにしてもよい。
【0048】
第1アーム駆動部材115および第2アーム駆動部材117は、スクリュージャッキ方式を用いている。
第1アーム駆動部材115は、第1モータ127の出力軸(図示省略)に取り付けたウォームギア(図示省略)と、第1本体129に回転可能に取り付けられたウォームホイール(図示省略)と、このウォームホイールの中心部に形成された雌ネジ部に螺合する第1ネジ軸131とを備えている。
第2アーム駆動部材117は、第2モータ133の出力軸(図示省略)に取り付けたウォームギア(図示省略)と、第2本体135に回転可能に取り付けられたウォームホイール(図示省略)と、このウォームホイールの中心部に形成された雌ネジ部に螺合する第2ネジ軸137とを備えている。
【0049】
第1アーム駆動部材115および第2アーム駆動部材117は、アーム支持部材109の下方に取り付けられている。
第1アーム駆動部材115および第2アーム駆動部材117は、第1本体129および第2本体135の中間部分が基礎に揺動可能に取り付けられている。
第1ネジ軸131の先端部は、第1アーム部材111に揺動可能に取り付けられている。
第2ネジ軸137の先端部は、第2アーム部材113に揺動可能に取り付けられている。
【0050】
なお、第1アーム駆動部材115および第2アーム駆動部材117は、隣り合う複数の第1アーム部材111および第2アーム部材113に対して1個設けるようにしてもよい。このようにすると制御対象の数が減少するので、動作の制御が簡単になる。
また、第1アーム駆動部材115および第2アーム駆動部材117としては、公知の構成を用いることができ、特にその構成を限定するものではない。
反転領域55を含む屋内25の領域においてマグネットによって鋼板27の搬送、載置等の取扱いを行える屋内マグネットクレーン139が備えられている。
【0051】
以上のように構成された鋼板両面印刷装置1の動作について説明する。
鋼板27は、屋外マグネットクレーン35によって運搬船から荷揚げされ、仮置場29に荷揚げされる。鋼板27に表示された、たとえば、鋼板番号に対応するバーコードが鋼板27に貼付される。
仮置場29に載置された1枚の鋼板27が、図1に示されるように屋外マグネットクレーン35によって屋外23に位置する縦送りコンベア3の上に載置される。
【0052】
鋼板27が縦送りコンベア3に載置されると、縦送りコンベア3のローラ19が回転され、鋼板27を搬送方向21に搬送する。
鋼板感知センサ38が鋼板27の先頭を感知すると、鋼板乾燥装置37を作動させる。縦送りコンベア3によって継続して搬送される鋼板27は、屋外23から屋内25に入り、鋼板乾燥装置37を通過する。この際、鋼板乾燥装置37が予め設定された温度の熱風を吹きかけ、鋼板27に付着した水分を除去し、乾燥する。
【0053】
バーコードリーダ15は、通過する鋼板27に貼付されたバーコードを読み取る。読み取られたバーコードの内容、すなわち、鋼板番号は、印刷情報取得用パソコン17に送られる。
印刷情報取得用パソコン17は、受け取った鋼板番号に基づいて鋼板番号毎に印刷情報を保管している図示しない設計サーバーから当該鋼板番号の鋼板27に印刷されるべき印刷情報を取得し、印刷装置7の制御部45に送信する。
【0054】
鋼板感知センサ49が、搬送されている鋼板27を感知した後、感知しなくなると、鋼板27が印刷領域39に進入したと判断し、縦送りコンベア3は停止される。
このとき、鋼板27は、印刷領域39内で図1に示されるような位置に停止する。
第1横送りコンベア57の第1チェーン支持部61が上方へ移動させられ、鋼板27は、ローラ19に替わり複数の第1フリーローラ75によって支持される。
【0055】
第1チェーン支持部61が、上部に移動し、第1フリーローラ75に支持された鋼板27が内側倣いローラ51に当て込まれる位置になると、第1チェーン支持部61の上昇を止める。次いで、第1駆動モータ69が作動し、第1チェーン63を上部通路が反転領域55側に移動するように駆動する。これに伴い複数の第1フリーローラ75によって支持された鋼板27は反転領域55側に移動し、鋼板27の反転領域55側の辺141(一辺)が内側倣いローラ51に当て込まれる。
鋼板27が、内側倣いローラ51に当接すると、反転領域55側への移動を阻止されるので、内側倣いローラ群11によって辺141の位置が規制される。
【0056】
鋼板27を搬送する第1チェーン63の荷重支持部は第1フリーローラ75とされているので、第1横送りコンベア57が鋼板27に作用させる力を小さくすることができる。これにより、第1横送りコンベア57が鋼板27の表面に傷をつけることを抑制できる。
制御部45は、第1横送りコンベア57が予め設定された時間作動すると、鋼板27の辺141が内側倣いローラ51に十分当て込まれたと判断する。すなわち、内側倣いローラ群11による位置の規制が終了したと判断し、印刷工程に入る。
なお、鋼板27が内側倣いローラ群11による位置規制された状態を検出するセンサを設けて、印刷工程に入るタイミングを判断するようにしてもよい。
【0057】
印刷工程では、制御部45は、印刷装置7をレール41に沿って移動させ、鋼板27の形状を特定する。制御部45は、鋼板の形状に基づいて印刷する印刷エリアを設定する。制御部45は、この印刷エリアに対応して印刷情報取得用パソコン17から取得した印刷情報を考慮して印刷動作を調整する。
制御部45は、印刷装置7をレール41に沿って移動させ、鋼板27の一面に印刷する。制御部45は、印刷装置7の搬送方向21への移動速度と同期して各印字ヘッドのインク噴射動作、幅方向43への移動速度および位置を制御して所定の印刷を行う。
【0058】
片面に印刷するだけの鋼板27は、反転領域55の奥側に搬送される。
すなわち、第1横送りコンベア57が、さらに上昇し、第1フリーローラ75で支持された鋼板27が内側倣いローラ51と係合しない最大高さまで上昇し、同時に第2横送りコンベア59が上方位置に上昇され、補助ローラ93が投入位置に設定される。
この状態で、第1横送りコンベア57および第2横送りコンベア59を作動する。鋼板27は、第1横送りコンベア57から第2横送りコンベア59に受け渡され、反転領域55へ搬入される。補助ローラ93が、第1横送りコンベア57との間に存在しているので、たとえば、幅方向43の長さが短い鋼板27であっても隙間から落下することなく確実に第1横送りコンベア57から第2横送りコンベア59へ鋼板27を受け渡すことができる。
鋼板27は反転領域55の奥側へ搬入され、屋内マグネットクレーン139によって次工程へ搬送される。
【0059】
反転領域55では、鋼板27を搬送する第2チェーン83の荷重支持部は第2フリーローラ95とされているので、第2横送りコンベア59が鋼板27に作用させる力を小さくすることができる。これにより、第2横送りコンベア59が鋼板27の表面に傷をつけることを抑制できる。
さらに、鋼板27は、回転自在な複数の第2サイドローラ105によって支持されているので、第2横送りコンベア59によって支持する荷重が小さくできる。第2横送りコンベア59によって支持する荷重が小さくできると、第2横送りコンベア59から鋼板27に作用する力が小さくできるので、鋼板27が傷つくことをさらに抑制できる。
【0060】
鋼板27の両面に印刷する場合、鋼板27は上述の片面印刷の場合と同様にして反転領域55へ搬入される。
鋼板27の辺141が第1ストッパ123より手前の位置に至った時点で、第2横送りコンベア59は停止される。第2横送りコンベア59は、下方に移動され、鋼板27は複数の第1アーム部材111によって図8、12の実線位置に支持される。
鋼板27の反転は以下のように所定のシーケンスによって行われる。
第1アーム駆動部材115の第1モータ127および第2アーム駆動部材117の第2モータ133が作動され、第1ネジ軸131および第2ネジ軸137が伸長する。
【0061】
第1ネジ軸131および第2ネジ軸137が伸長すると、第1アーム部材111および第2アーム部材113は、それぞれ第1支持軸119あるいは第2支持軸121を軸線中心として上方へ揺動する。
第1アーム部材111が第1支持軸119を中心として傾斜すると、鋼板27は第1ストッパ123によって位置を規制される。第1アーム部材111のアーム支持部材109に対する傾斜角が鋭角である、たとえば、図9の段階で、第2アーム部材113は、その先端部が第2支持軸121を越えて第1アーム部材111側に揺動され、鋼板27を第1アーム部材111と共同して挟持する。
【0062】
この状態で、同期して第1ネジ軸131は伸長し、第2ネジ軸137は短縮すると、図10に示されるように第1アーム部材111は、その先端部が第1支持軸119を越えて第2アーム部材113側に揺動される。第2アーム部材113は、第1アーム部材111よりも下方に位置するので、鋼板27は第2アーム部材113によって支持されることになる。
この状態から第1ネジ軸131および第2ネジ軸137が短縮され、第1アーム部材111および第2アーム部材113がそれぞれ図8に示されるように元の略水平位置に戻ると、鋼板27は辺141が印刷領域39側に位置するように反転される。
このように、鋼板27は安全かつ確実に搬入時の反転領域55側の辺141の回りに半回転し、表裏反転させられる。
【0063】
補助ローラ93が投入位置に設定された第2横送りコンベア59および第1横送りコンベア57が上方位置に上昇される。
鋼板27は、複数の第2フリーローラ95および第2サイドローラ105によって支持される。
【0064】
この状態で、第1駆動モータ69および第2駆動モータ89を、印刷領域39から反転装置9側へ送る際に駆動させた際と逆方向に回転させると、第1横送りコンベア57および第2横送りコンベア59が作動し、鋼板27は印刷領域39側へ搬送される。鋼板27は、第2横送りコンベア59から第1横送りコンベア57に受け渡され、印刷領域39へ搬入される。
印刷領域39に搬入された鋼板27は、第1横送りコンベア57によってさらに搬送され、辺141が外側倣いパネル53に当て込まれる。
鋼板27が外側倣いパネル53に当接すると、移動を阻止されるので、外側倣いパネル群13によって辺141の位置が規制される。
【0065】
印刷エリア39に入り、一定時間を過ぎると鋼板27は図13に示される位置となり、制御部45は、外側倣いパネル群13による位置の規制が終了したと判断し、印刷工程に入る。
印刷工程では、制御部45は、再度印刷装置7をレール41に沿って移動させ、鋼板27の形状を特定し、鋼板の形状に基づいて印刷する印刷エリアを設定する。制御部45は、この印刷エリアに対応して印刷情報取得用パソコン17から取得した印刷情報を考慮して印刷動作を調整する。
制御部45は、印刷装置7をレール41に沿って移動させつつ、印刷装置7の搬送方向21への移動速度と同期して各印字ヘッドのインク噴射動作、幅方向43への移動速度および位置を制御して鋼板27の他面に印刷する。
【0066】
印刷が完了すると、第1駆動モータ69および第2駆動モータ89を反転装置9側から印刷領域39へ送る際に駆動させた際と逆方向に回転させる。第1横送りコンベア57および第2横送りコンベア59が作動すると、鋼板27は反転領域55側へ搬送される。鋼板27は、第1横送りコンベア57から第2横送りコンベア59に受け渡され、反転領域55の奥側へ搬入される。奥側へ搬送された鋼板27は屋内マグネットクレーン139によって次工程へ搬送される。
【0067】
このように、印刷領域39の側部に鋼板27を反転できる反転装置9を備えているので、鋼板27の両面に印刷をおこなうことができる。
鋼板27の所定位置を検出する複数の検出手段を備えているので、鋼板27の位置に対応して縦送りコンベア3、横送りコンベア5、内側倣いローラ群11、外側倣いパネル群13、印刷装置7および反転装置9を動作させるタイミングが検出できる。これにより、鋼板27への印刷動作を自動化することができる。
鋼板27の一面および他面の印刷が、ともに辺141を基準として行われるので、両面に印刷される情報は正確な位置関係で印刷することができる。
これにより、ブロックあるいは船体への艤装品の取付工事を正確にかつ容易に行うことができる。
【0068】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において適宜変更することができる。
たとえば、第1の規制部材および第2の規制部材として、本実施形態では内側倣いローラ群11および外側倣いパネル群13のように点状に規制するようにしているが、板状、棒状の規制部材としてもよい。板状あるいは棒状の場合、印刷領域39の全長に亘り連続的に規制するものであってもよい。
内側倣いローラ51および外側倣いパネル53の形状は、断面形状が円状、楕円状あるいは矩形等の任意の多角形状とされてもよい。
また、内側倣いローラ51は、上下方向に移動可能に取り付けられ、上下方向の移動によって鋼板27と選択的に係合するようにしてもよい。外側倣いパネル53は、固定して取り付けるようにしてもよい。
【0069】
さらに、内側倣いローラ51および外側倣いパネル53の搬送方向21における設置位置は、ローラ19と同じ位置に限らず、相対的にずれた位置としてもよい。
また、鋼板27の縦送りコンベア3から第1横送りコンベア57への支持替えの際、第1横送りコンベア57を上昇させるようにしているが、縦送りコンベア3の印刷領域39にあるローラ19を下降させるようにしてもよい。
また、反転装置9は、上述の構成に限定されるものではなく、鋼板27を表裏反転できるものであれば適宜構成のものが用いられる。
【符号の説明】
【0070】
1 鋼板両面印刷装置
3 縦送りコンベア
5 横送りコンベア
7 印刷装置
9 反転装置
11 内側倣いローラ群
13 外側倣いパネル群
15 バーコードリーダ
17 印刷情報取得用パソコン
19 ローラ
27 鋼板
38 鋼板感知センサ
39 印刷領域
49 鋼板感知センサ
55 反転領域
57 第1横送りコンベア
59 第2横送りコンベア
63 第1チェーン
75 第1フリーローラ
79 第1サイドローラ
83 第2チェーン
95 第2フリーローラ
105 第2サイドローラ
111 第1アーム部材
113 第2アーム部材
115 第1アーム駆動部材
117 第2アーム駆動部材
141 辺


【特許請求の範囲】
【請求項1】
板材を印刷領域へ搬送する第1の搬送装置と、
前記印刷領域の側部に設定された反転領域と前記印刷領域との間で、前記板材を選択的に搬送する第2の搬送装置と、
前記印刷領域の前記反転領域側に前記板材に対して選択的に係合可能に設けられ、前記板材の一辺の位置を規制する第1の規制部材と、
前記印刷領域の幅方向で前記第1の規制部材とは反対側に設けられ、前記板材の一辺の位置を規制する第2の規制部材と、
前記反転領域に設置され、前記板材を前記板材の前記反転領域側の辺の回りに回転し、表裏反転させる反転装置と、
前記印刷領域に存在する前記板材に所定の情報を印刷する印刷装置と、が備えられている板材両面印刷装置。
【請求項2】
前記第1の搬送装置は、間隔を空けて設置された複数のローラによって構成されたローラコンベアとされ、
前記第2の搬送装置は、周回駆動される無端状のチェーンを有し、上下動可能に設置された複数のチェーンコンベアを備えている請求項1に記載の板材両面印刷装置。
【請求項3】
前記チェーンの荷重支持部には、回転自在なフリーローラが備えられている請求項2に記載の板材両面印刷装置。
【請求項4】
前記第2の搬送装置には、前記板材を支持する回転自在な支持ローラが備えられている請求項2または3に記載の板材両面印刷装置。
【請求項5】
前記反転装置は、
前記板材の移動方向に延在するように配置され、前記印刷領域の反対側端部を軸線として上下方向に揺動可能に支持された少なくとも1個の第1のアーム部材と、
該第1のアーム部材を揺動させる第1の駆動部材と、
前記第1のアーム部材に対し前記印刷領域の反対側に、前記板材の移動方向に延在するように配置され、前記印刷領域側端部を軸線として上下方向に揺動可能に支持された少なくとも1個の第2のアーム部材と、
該第2のアーム部材を揺動させる第2の駆動部材と、
を備えている請求項1から4のいずれか1項に記載の板材両面印刷装置。
【請求項6】
前記印刷領域に搬入される前記板材を特定する特定情報を検出する特定情報検出手段と、
該特定情報検出手段が検出した特定情報に基づいて前記板材に印刷する印刷情報を前記印刷装置に送る印刷内容指示手段と、
前記板材の所定位置を検出する複数の位置検出手段と、が備えられている請求項1から4のいずれか1項に記載の板材両面印刷装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−116540(P2011−116540A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−277745(P2009−277745)
【出願日】平成21年12月7日(2009.12.7)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】