枕
【課題】枕において、低コストで簡易な構成であると共に姿勢変化に応じて適切な高さ調整を素早くスムーズにかつ静かに行うと共に、さらに小型化を可能にすること。
【解決手段】下部支持部材2と、下部支持部材に対して略平行状態に配されて使用者の頭部Hが載置される頭部支持部材3と、下部支持部材上に設けられ略平行状態を維持して頭部支持部材を上下動可能に支持する支持機構4とを備え、支持機構が、下端部が下部支持部材に回動可能に連結され上端部が頭部支持部材に回動可能に連結されていると共に下部支持部材から頭部支持部材に向けて傾斜して延在している互いに平行な傾斜部材6A,6Bと、これらを傾斜した方向に倒す荷重に対抗して線材Yを介して傾斜部材を付勢する付勢部材を有する付勢手段7とを備え、ガイド部および付勢部材が、頭部支持部材の他辺側に配された傾斜部材の外面に設置されている。
【解決手段】下部支持部材2と、下部支持部材に対して略平行状態に配されて使用者の頭部Hが載置される頭部支持部材3と、下部支持部材上に設けられ略平行状態を維持して頭部支持部材を上下動可能に支持する支持機構4とを備え、支持機構が、下端部が下部支持部材に回動可能に連結され上端部が頭部支持部材に回動可能に連結されていると共に下部支持部材から頭部支持部材に向けて傾斜して延在している互いに平行な傾斜部材6A,6Bと、これらを傾斜した方向に倒す荷重に対抗して線材Yを介して傾斜部材を付勢する付勢部材を有する付勢手段7とを備え、ガイド部および付勢部材が、頭部支持部材の他辺側に配された傾斜部材の外面に設置されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、寝返りに伴う姿勢変化に対応して、快適な姿勢で安眠可能な枕に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、就寝時に使用者の頭部を支え負荷の少ない安定した姿勢で睡眠状態を得るために種々の枕が提案され使用されている。特に、睡眠時に寝返りを行うことで仰向け姿勢(仰臥)と横向き姿勢(横臥)とを交互に繰り返し姿勢を変化させることに対応して、その高さを変化させる枕が提案されている。例えば、特許文献1には、高さ調節部にかかる荷重に応じて高さ調節部に流体を出し入れして膨張・収縮させることで、高さ調整する枕が提案されている。この枕では、流体の流入・流出を制御するために、流体給入装置及び複数の弁や配管を備えている。
【0003】
また、特許文献2には、頭部の圧力を感知する圧力センサーと該圧力センサーの信号により頭部支持部を上下駆動する機構及び回路とを有した高さ可変式安眠枕が提案されている。この高さ可変式安眠枕では、寝返りにより姿勢変化があった際に生じる頭部による支持部分への圧力変動を圧力センサーで検知することで、圧力信号を回路で処理し駆動機構で頭部支持部を上下させる。
【0004】
さらに、特許文献3には、基台と頭載板との間に筒体による密閉室をつくると共に円錐台形状の定荷重負荷スプリングバネを設けた快眠枕が提案されている。この快眠枕では、仰向け姿勢の場合と横向き姿勢の場合とでかかる荷重の差によって密閉室内の空気を出し入れすると共に円錐台形状の定荷重負荷スプリングバネを伸縮させて高さの調整を行っている。
【0005】
上記特許文献1に記載の枕は、流体を出し入れするために流体給入装置及び複数の弁や配管を装備する必要があると共に流体の流出を防ぐために密閉構造が必須であり、全体に構造が複雑化すると共に製作コストが大幅に増大してしまう不都合があった。また、この枕では、寝返りにより姿勢変化があっても、流体の出し入れに時間がかかり、ゆっくり高さが変化するため、姿勢変化の直後、しばらくの間は不安定で過負荷な姿勢状態となってしまう問題があった。
【0006】
また、上記特許文献2に記載の高さ可変式安眠枕は、圧力センサ、処理回路、機械的な上下駆動機構及び電源等を必要とするため、やはり構造の複雑化及びコストの増大化が著しく、一般に普及可能な価格で提供することが困難である。また、この高さ可変式安眠枕では、多数の構成部品を内蔵するためのスペースが内部に必要であり、枕が大型化すると共に、構成部品が邪魔になって頭部支持部を十分に低い位置に設定することができないという問題があった。
【0007】
さらに、上記特許文献3に記載の快眠枕でも、密閉室及び円錐台形状の定荷重負荷スプリングバネが基台と頭載板との間に設けられているために、これらが邪魔になり頭載板を十分に低くすることができず、適切な低位置に設定できない不都合があった。また、この快眠枕では、上記特許文献1と同様に流体の出し入れを行うため、高さ調整に時間がかかる問題があった。
また、上記各特許文献では、流体の出し入れに伴う音やモータ等の電源及び駆動機構の動作音が少なからず発生し、安眠を妨げる不都合もあった。
【0008】
このため、これらの問題を解決する技術として、特許文献4では、下部支持板と、前記下部支持板に対して略平行状態に配されて使用者の頭部が載置される頭部支持板と、前記下部支持板上に設けられ前記略平行状態を維持して前記頭部支持板を上下動可能に支持する支持板支持機構と、を備え、前記支持板支持機構が、下端部が前記下部支持板に回動可能に連結され上端部が前記頭部支持板に回動可能に連結されていると共に前記下部支持板から前記頭部支持板に向けて傾斜して延在している互いに平行な複数の支持部材と、前記支持部材を前記傾斜した方向に倒す荷重に対抗して直接又は他の部材を介して前記支持部材を付勢する付勢手段とを備えている枕が提案されている。
【0009】
この枕では、支持部材を傾斜した方向に倒す荷重に対抗して直接又は他の部材を介して支持部材を付勢する付勢手段を備えることで、付勢手段の付勢力を横向き姿勢の際にかかる荷重よりも大きく設定すると共に仰向け姿勢の際にかかる荷重よりも小さく設定することで、横向き姿勢では支持部材が倒れず頭部支持板が高い位置で維持されるが、仰向け姿勢に姿勢変化させると荷重増大によって支持部材が倒れ頭部支持板が低い位置となる。すなわち、傾斜した支持部材による頭部支持板の支持構造と所定の付勢力に設定した付勢手段による簡易な構成によって、仰向け姿勢の場合と横向き姿勢の場合との荷重差を利用して、素早くスムーズにかつ異音を発生させることなく頭部支持板の高さを自動的に変えることができる。特に、支持部材が倒れるという動作によるため、頭部支持板が中間的な高さで留まらず、最高位置から最低位置への移動又はその逆の移動を瞬時に素早くスムーズに行うことができる。また、電源や駆動装置等が不要であるため、軽量かつ低コストに作製することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2004−249088号公報(特許請求の範囲、図10、図12)
【特許文献2】特開平6−343540号公報(特許請求の範囲、図1)
【特許文献3】実開平3−35772号公報(実用新案登録請求の範囲、第1図、第2図)
【特許文献4】特開2007−44490号公報(特許請求の範囲、図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上記従来の技術には、以下の課題が残されている。
すなわち、上記特許文献4に記載の枕では、低コストで簡易な構成であると共に姿勢変化に応じて適切な高さ調整を素早くスムーズにかつ静かに行うことができるが、付勢手段のコイルバネやガイドローラ、調整機構などが下部支持板上に設置されており、これらの設置場所を確保するために下部支持板の面積を広くする必要があった。また、付勢力の強弱調整の視覚や触覚等による確認が出来ず、調整も別途調整工具等が必要で不便があった。更に、小さくたためない等、旅行などに携行するのには適さなかった。このため、下部支持板を小面積化して枕全体をさらに小型化し、さらに視覚触覚等による調整機構を備えた、より軽くコンパクトな枕が要望されている。
【0012】
本発明は、前述の課題に鑑みてなされたもので、低コストで簡易な構成であると共に姿勢変化に応じて適切な高さ調整を素早くスムーズにかつ静かに行うことができ、さらに小型軽量にして旅行等の際にはスーツケース等に入れて携行も可能な枕を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、前記課題を解決するために以下の構成を採用した。すなわち、第1の発明の枕は、枠状または板状の下部支持部材と、前記下部支持部材に対して上方に配されて使用者の頭部が載置される枠状または板状の頭部支持部材と、前記下部支持部材上に設けられ、前記頭部支持部材を上下動可能に支持する支持機構とを備え、前記支持機構が、下端部が前記下部支持部材に回動可能に連結され上端部が前記頭部支持部材に回動可能に連結されていると共に前記下部支持部材から前記頭部支持部材に向けて互いに同じ向きに傾斜して延在している複数の傾斜部材と、前記傾斜部材を前記傾斜した方向に倒す荷重に対抗して前記傾斜部材を付勢する付勢手段とを備え、前記付勢手段が、前記頭部支持部材の一辺側の下面または前記頭部支持部材の一辺側に配された前記傾斜部材の上部に一端が取り付けられていると共に前記頭部支持部材と前記下部支持部材との間に斜め下方に向けて張設された線材と、該線材の他端に取り付けられ前記頭部支持部材または前記一辺側に配された前記傾斜部材の上部を前記頭部支持部材に対する前記傾斜部材の傾斜角度よりも小さい傾斜角度で前記線材を介して斜め下方に引っ張る付勢部材と、前記線材の他端側を曲げて前記付勢部材に導くガイド部とを有し、前記ガイド部および前記付勢部材が、前記頭部支持部材の他辺側に配された前記傾斜部材の外面に設置されていることを特徴とする。
【0014】
この枕では、ガイド部および付勢部材が、頭部支持部材の他辺側に配された傾斜部材の外面に設置されているので、下部支持部材にガイド部および付勢部材の設置場所を確保する必要がなく、下部支持部材の面積を最小限にして全体を小型化することができる。また、ワイヤーや紐等の線材によって上記斜め下方に向けて頭部支持部材を引っ張ると共に、傾斜部材に設置された付勢部材にガイド部によって線材が導かれて接続されているので、頭部支持部材と下部支持部材との間に線材だけが配されることで、傾斜部材が倒れた際に付勢部材が邪魔にならず、頭部支持部材を十分低い位置まで移動させることができる。さらに、頭部支持部材の他辺側に配された傾斜部材が、傾斜部材が倒れた際に、頭部支持部材の外側に配される傾斜部材であって、この傾斜部材上にガイド部および付勢部材が設置されているので、上下動の邪魔にならないと共に、使用者の肩部の反対側であるため、使用者の邪魔にもならない。
【0015】
また、第2の発明の枕は、第1の発明において、前記付勢部材に前記線材が複数本取り付けられ、これらの前記線材が互いに前記頭部支持部材に間隔を開けて別々の前記ガイド部を介して前記頭部支持部材と前記下部支持部材との間に張設されていることを特徴とする。この枕では、付勢部材に線材が複数本取り付けられ、これらの線材が互いに頭部支持部材に間隔を開けて別々のガイド部を介して頭部支持部材と下部支持部材との間に張設されているので、複数の線材によって頭部支持部材が複数箇所で斜め下方に引っ張られており、引っ張り力が分散してガイド部の負荷が低減されると共に1本の線材の場合に比べて安定した動作が可能になる。
【0016】
また、第3の発明の枕は、第1または第2の発明において、前記頭部支持部材の他辺側に配された前記傾斜部材に前記ガイド部および前記付勢部材を覆って取り付けられたカバー部材を備えていることを特徴とする。すなわち、この枕では、頭部支持部材の他辺側に配された傾斜部材にガイド部および付勢部材を覆って取り付けられたカバー部材を備えているので、ガイド部および付勢部材を外部に露出させずに保護すると共に、カバー部材が傾斜部材を補強する機能を有し、傾斜部材に加わる応力に対抗して傾斜部材の撓みを抑制することができる。また、このカバー部材は、内部に取り付けられた付勢部材の伸縮時に発する音を外部に漏らさないサイレンサー(消音器)の役割も果たすものである。
【0017】
また、第4の発明の枕は、第1から第3の発明のいずれかにおいて、前記付勢手段が、付勢力の調整機構を前記頭部支持部材の他辺側に配された前記傾斜部材に備えていることを特徴とする。
すなわち、この枕では、付勢力の調整機構も頭部支持部材の他辺側に配された傾斜部材に備えているので、頭部の重量や体格、寝る姿勢等が異なる使用者に対応して付勢力を調整することで使用者毎の個別設定が可能になり、より精度の高い上下動作を得ることができると共に、付勢手段の他の部材と共に調整機構も傾斜部材に設置することで小型化を図ることができる。
【0018】
第5の発明の枕は、第4の発明において、前記調整機構が、前記付勢力の度合いを表示する目盛り部を有していることを特徴とする。
すなわち、この枕では、調整機構が、付勢力の度合いを表示する目盛り部を有しているので、付勢力(引っ張り力)の強さを目盛り部により容易に確認可能になる。特に、頭部支持部材の他辺側に配された傾斜部材の外側に目盛り部が配されており、枕の後方側から容易に確認可能である。
【0019】
第6の発明の枕は、第4または第5の発明において、前記付勢部材が、前記線材の他端に一端が取り付けられたコイルバネであり、前記調整機構が、前記コイルバネの他端が取り付けられ該コイルバネの伸縮方向に進退可能にかつ自転不能に前記傾斜部材に設置された雌ねじ部材と、該雌ねじ部材に螺合していると共に前記コイルバネの伸縮方向に延在し回転可能に前記傾斜部材に支持された雄ねじ部材と、前記雄ねじ部材の他端に取り付けられ前記雄ねじ部材を回転させて前記雌ねじ部材を進退可能なダイヤル部とを備えていることを特徴とする。
すなわち、この枕では、雄ねじ部材の他端に取り付けられたダイヤル部により雄ねじ部材を回転させてコイルバネの他端が取り付けられている雌ねじ部材を進退可能であるので、ダイヤル部を回すだけでコイルバネの伸縮、すなわち付勢力を無段階でかつ微細に調整可能になる。また、調整機構により、ダイヤル部を付勢部材の引っ張り力がゼロになる位置を通過して、線材が完全に弛むまで回し、頭部支持部材と傾斜部材とをともに下部支持部材に最接近させれば、立体構造の枕は、複数部材が折り重なって扁平化し、容積が最少となり、スーツケース等に収納して旅行等に携行できるものとなる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、以下の効果を奏する。すなわち、本発明に係る枕によれば、傾斜部材を上記傾斜した方向に倒す荷重に対抗して付勢する付勢手段を備えているので、簡易かつ低コストな構成で、素早くスムーズにかつ異音を発生させることなく仰向け姿勢と横向き姿勢とで頭部支持部材の高さを自動的に変えることができる。さらに、ガイド部および付勢部材が、頭部支持部材の他辺側に配された傾斜部材の外面に設置されているので、全体をより小型化することができると共に、傾斜部材が倒れた際に付勢部材が邪魔にならず、頭部支持部材を十分低い位置まで移動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明に係る一実施形態の枕において、使用者が横向き姿勢の際の状態を示す一部を破断した側面図である。
【図2】本実施形態の枕において、使用者が仰向け姿勢の際の状態を示す一部を破断した側面図である。
【図3】本実施形態の枕において、収納カバーおよびクッション部を外した状態で一部を破断した平面図である。
【図4】本実施形態の枕を示す背面図である。
【図5】本実施形態の枕において、傾斜部材上の付勢機構を示す断面図である。
【図6】本実施形態の枕において、支持された第1ガイド部を示す上面図である。
【図7】本実施形態の枕において、支持された第1ガイド部の状態を示す要部の側面図である。
【図8】本実施形態の枕において、支持された第1ガイド部の状態を示す要部の正面図である。
【図9】本実施形態の枕において、ストッパー部分を示す要部の断面図である。
【図10】本発明の他の実施例を示す図である。
【図11】本発明の他の実施例を説明するための図である。
【図12】本発明の他の実施例を説明するための図である。
【図13】本発明の他の実施例を説明するための図である。
【図14】本発明の他の実施例を説明するための図である。
【図15】本発明の他の実施例を説明するための図である。
【図16】本発明の他の実施例を示す図である。
【図17】本発明の他の実施例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明に係る枕の一実施形態を、図1から図9を参照しながら説明する。
【0023】
本実施形態の枕1は、図1及び図2に示すように、板状の下部支持部材2と、下部支持部材2に対して上方に略平行状態に配されて使用者の頭部Hが載置される板状の頭部支持部材3と、下部支持部材2上に設けられ前記略平行状態を維持して頭部支持部材3を上下動可能に支持する支持機構4と、頭部支持部材3上に設置されたクッション部5とを備えている。なお、ここで、上記下部支持部材2及び上記頭部支持部材3において、一対の対向する長辺のうち使用者側となる方を一辺側とし、その反対側を他辺側とする。
【0024】
上記支持機構4は、下端部が下部支持部材2に回動可能に連結され上端部が頭部支持部材3に回動可能に連結されていると共に下部支持部材2から頭部支持部材3に向けて互いに同じ向きに傾斜して延在している平行な一対の板状の傾斜部材6A,6Bと、傾斜部材6A,6Bを傾斜した方向に倒す荷重に対抗して傾斜部材6A,6Bを付勢する付勢手段7とを備えている。
上記下部支持部材2及び上記頭部支持部材3は、いずれも約4mmの厚さの極薄板である長方形状とされたポリプロピレン等の硬質プラスチック板材等で構成されている。また、頭部支持部材3上には、より剛性の高い板材で形成された補強板30が接着材、ネジ止めまたはリベット止め等で固定されている。なお、頭部支持部材3のみで十分な強度や剛性が得られる場合は、補強板30は不要である。
【0025】
上記付勢手段7は、頭部支持部材3の一辺側下面のフック3aに一端が取り付けられていると共に頭部支持部材3と下部支持部材2との間に斜め下方に向けて張設された紐またはワイヤー等の線材Yと、該線材Yの他端に取り付けられ頭部支持部材3を頭部支持部材3に対する傾斜部材6A,6Bの傾斜角度θ1よりも小さい傾斜角度θ2で線材Yを介して斜め下方(図1中の矢印A方向)に引っ張る付勢部材8と、線材Yの他端側を曲げて付勢部材8に導くガイドローラであるガイド部9A,9B,9Cとを有している。
【0026】
さらに、ガイド部9A,9B,9Cおよび付勢部材8が、頭部支持部材3の他辺側に配された傾斜部材、すなわち一対の傾斜部材6A,6Bのうち倒れた際に頭部支持部材3の外側に配される一方の傾斜部材6Aの外面に設置されている。
また、付勢手段7は、付勢力の調整機構10を頭部支持部材3の他辺側に配された傾斜部材(一方の傾斜部材)6Aに備えている。なお、一方の傾斜部材6Aには、ガイド部9A,9B,9C、付勢部材8および調整機構10を覆うカバー部材11が設置されている。
【0027】
上記付勢部材8には、線材Yが2本取り付けられ、これらの線材Yが互いに頭部支持部材3の長辺方向に間隔を開けて別々のガイド部9A,9Bを介して頭部支持部材3と下部支持部材2との間に張設されている。
付勢部材8は、線材Yの他端に一端が取り付けられたコイルバネである。上記調整機構10は、付勢部材8の他端が取り付けられ該付勢部材8の伸縮方向に進退可能にかつ自転不能に一方の傾斜部材6Aに設置された雌ねじ部材12と、該雌ねじ部材12に螺合していると共に付勢部材8の伸縮方向に延在し回転可能に一方の傾斜部材6Aに支持された約90mm長の雄ねじ部材13と、雄ねじ部材13の他端に取り付けられ雄ねじ部材13を回転させて雌ねじ部材12を進退可能なダイヤル部14とを備えている。
【0028】
上記クッション部5は、頭部支持部材3および補強板30の一辺側端部を覆うように成形されたクッション材である。すなわち、頭部支持部材3および補強板30と他方の傾斜部材6Bとからなる一辺側の角部をクッション部5で覆うことにより、使用者の首部や肩部などに角部が当接した際に生じる圧迫感や違和感を和らげるようになっている。
上記一対の傾斜部材6A,6Bは、下端部が下部支持部材2に回動可能に連結され上端部が頭部支持部材3に回動可能に連結されていると共に、下部支持部材2から頭部支持部材3に向けて傾斜して延在している互いに平行な一方の傾斜部材6A及び他方の傾斜部材6Bである。
【0029】
上記一方の傾斜部材6A及び他方の傾斜部材6Bは、約4mmの厚さの極薄板であるポリプロピレン等の硬質プラスチック板等で構成され、頭部支持部材3と一体に形成されている。すなわち、これらの一方の傾斜部材6A及び他方の傾斜部材6Bは、頭部支持部材3の一辺側と他辺側とにそれぞれ柔軟な第1折り目部6aを介して回動可能に接続され下部支持部材2に向けて斜め下方に折れ曲がって設けられていると共に、柔軟な第2折り目部6bを介して回動可能に接続された下端固定部6cが下部支持部材2上に固定されている。
【0030】
なお、第1折り目部6aおよび第2折り目部6bは、いずれも下部支持部材2及び頭部支持部材3の長辺と平行に形成されている。また、第1折り目部6aおよび第2折り目部6bは、それぞれアンダーカットされた切れ目部が形成されて、柔軟に折り曲げ可能とされている。
本実施形態の枕1では、付勢手段7で付勢された一対の傾斜部材6A,6Bを互いに頭部支持部材3の一辺側端部と他辺側端部とに所定間隔を開けて並べて設けており、これらによって頭部支持部材3が下部支持部材2上に支持されている。
【0031】
なお、下部支持部材2は、一辺側(使用者側)に枕1が傾かないように、傾斜部材6Bの下部取り付け部分から一辺側に突出させた傾き防止突出部2aを有している。また、枕1に頭部Hを乗せた時、肩が枕1の傾き防止突出部2aに接触しないように、傾き防止突出部2aは中央部を深く円弧状に切り欠いている。
【0032】
上記下端固定部6cは、いずれも接着剤、ネジまたはリベット等で下部支持部材2上に固定されている。
また、一方の傾斜部材6Aの上部および他方の傾斜部材6Bの下部には、頭部支持部材3が必要以上に高くならないように高さの上限を規制すると共に、一方の傾斜部材6Aおよび他方の傾斜部材6Bが傾斜方向と反対の方向に倒れることを防ぐストッパー6dが設けられている。
【0033】
すなわち、枕1の上下動を実現する為、枕1の頭部支持部材3と一体素材で面支柱の役割を持つ一対の傾斜部材6A,6Bを強力に引き起こす力が働くが、この力は一定位置で停止させなければならない。そのためにストッパー6dが必要となる。この逆動用のストッパー6dは、傾斜部材6A,6Bにその効果を有するように切込みを入れて、図2に示すように、仰向き寝(頭部支持部材3が最低の位置)の時は傾斜部材6A,6Bに対して水平になり、図1に示すように、横向き寝(頭部支持部材3が最高の位置)の時は傾斜部材6A,6Bに対し約70度の角度をなし、それ以上に角度が大にならないように機能している。例えば、傾斜部材6Bの下部に設けたストッパー6dは、図9に示すように、第2折り目部6bから外れた上下2箇所に所定幅で水平な切れ目部6mが形成されていると共に、これら上下の切れ目の両端同士を結ぶラインにスリットを設けることで、一定角度範囲内で柔軟に折り曲げ可能とされている。
【0034】
上記一対の線材Yは、その一端が頭部支持部材3の一辺側下面に取り付けられ、他端側は一方の傾斜部材6Aの形成された挿通孔6eを介して一方の傾斜部材6Aの外側に出て、挿通孔6eに設置された一対の第1ガイド部9Aおよび中間ガイド部9Bを介して延在方向を90度方向転換し、一方の傾斜部材6Aの外面に沿って長辺方向に延在され、さらにそれぞれ一方の傾斜部材6Aの一端側に設置された第2ガイド部9Cを介して逆方向に方向転換し、付勢部材8に取り付けられている。
【0035】
上記第1ガイド部9Aは、図6から図8に示すように、挿通孔6e内に配され線材Yをガイドするローラ部9aとローラ部9aの軸部9bを両側で回転自在に支持する一対の軸支持機構とを有している。これらの軸支持機構は、軸部9bが嵌め込まれる一対の逆L字状軸受部6fと、軸部9bの中間の外周面を支持する一対の外周面軸受部6gと、逆L字状軸受部6fの上部に形成された貫通孔6hに差し込まれて軸部9bの先端側の外周面を支持する一対の棒状支持部11aと、軸部9bの両端部に対向した一対の端部規制部6iとで構成されている。棒状支持部11aは、カバー部材11の天面内から突出して一体成形されたものであり、丸棒部分と該丸棒部分に沿って延在した板状部分とから構成されている。すなわち丸棒部分で軸部9bの外周を支持していると共に、板状部分の下端で、逆L字状軸受部6fの上面を支持している。
【0036】
このように第1ガイド部9Aは、ローラ部9aを挿通孔6eに配した状態で軸部9bを逆L字状軸受部6fに嵌め込み、さらにカバー部材11を被せると共に棒状支持部11aの丸棒部分先端を貫通孔6hに差し込むことで、両軸部9bが回転可能に支持される。このように一対の第1ガイド部9Aは、ローラ部9aの回転軸が水平に配されて設置される。また、上記第2ガイド部9Cは、回転軸を一方の傾斜部材6Aに垂直に配して回転可能に一方の傾斜部材6Aに支持されている。
【0037】
コイルバネである付勢部材8は、図3に示すように、一方の傾斜部材6Aの長辺方向に延在して配された引っ張りバネである。
上記調整機構10は、アジャストボルトである雄ねじ部材13の一端側で雄ねじ部材13を挿通させて回転可能に支持し、一方の傾斜部材6A上に一体成形されたねじ支持部6jを備えている。なお、雄ねじ部材13の他方側は、カバー部材11の側面に形成されたスリット11bに挿通されて支持され、カバー部材11の他端側の側面に配されたダイヤル部14に固定されている。
【0038】
トラベラーである雌ねじ部材12は、雄ねじ部材13に螺合していると共に、下端が一方の傾斜部材6Aに設置されたトラベラーガイド15により雄ねじ部材13の延在方向のみに移動を規制され、自転しないように設置されている。すなわち、ダイヤル部14を回動させることで、雄ねじ部材13を回転させ、トラベラーである雌ねじ部材12が雄ねじ部材13上を移動する。これにより、雌ねじ部材12に取り付けられたコイルバネの付勢部材8が伸縮することで、付勢力が調整される。
【0039】
この調整機構10は、雌ねじ部材12を他端側に移動させるほど、コイルバネの付勢部材8が引き延ばされてその付勢力(張力)を強く設定することができると共に初期(無荷重)及び仰向け姿勢時の頭部支持部材3の高さ調整も可能である。なお、付勢手段7の付勢力(張力)は、横向き姿勢の際にかかる荷重よりも大きく設定すると共に仰向け姿勢の際にかかる荷重よりも小さく設定しておく。
【0040】
なお、カバー部材11には、雄ねじ部材13に沿った長孔11cが形成されており、雌ねじ部材12の上部に設けられた位置表示ピン12aが長孔11c内に挿入されている。
また、この長孔11cに沿ってカバー部材11の上面に、図4に示すように、付勢力の度合いを表示する目盛り部Mが形成されている。この目盛り部Mは、調整ポイントを示すドット表示、文字、記号、凸部または溝部等で形成されている。すなわち、ダイヤル部14を回して雌ねじ部材12が移動すると、長孔11c内に見える位置表示ピン12aの位置と対応する目盛り部Mの表示とから、付勢力(張力)の度合いが容易にわかる。
なお、カバー部材11の固定は、複数のリベット16を一方の傾斜部材6Aに一体成形されて立設したリベット用支柱部6kの上部に差し込んで行っている。
【0041】
この枕1は、布等の素材で縫製した収納カバー17で覆われている。この収納カバー17は、上段と下段とに分かれており、上段の部分にはクッション部5が収納されていると共に下段の部分には頭部支持部材3以下の枕本体が収納されている。この収納カバー17は、図4に示すように、上段と下段とがカバー部材11側の後部に設けられた2つの仕切り用ファスナー17aで閉じられ、クッション部5と枕本体とがずれないようになっている。
【0042】
この収納カバー17の前部および後部には、数カ所に面ファスナー18の一方が縫いつけ又は貼り付けられている。そして、これらの面ファスナー18の一方に対応した面ファスナー18の他方が縫いつけ又は貼り付けてある枕カバー19を着脱可能に取り付けて、クッション部5の上部を覆うことで、収納カバー17が汚れることを防止できる。なお、収納カバー17の下段の後部には、目盛り部Mに対応する領域に窓部17bが形成されており、目盛り部Mが外部から見えるようになっている。
また、枕カバー19は、枕の上部から布等で全体を覆い枕の底面でゴム紐等で絞り、枕全体をすっぽり包むような物や、布等を筒状にして枕をこの中に入れ、両端がはみ出した部分を紐などで結ぶなどした物でもよいが、この場合は底部になる部分には滑り止め効果を持つ材料を用いる。また、布等でクッション部を上から多い、下端部に仕込んだゴムや紐などで絞って簡単に抜けないようにした物を使用してもよい。
【0043】
なお、収納カバー17の底部には滑り止め作用を持つ素材を使用している。
また、収納カバー17の両側面には、枕本体内部構造に手など体の一部が入るのを防ぐ防護カバーとしての目的と、枕1が自動上下する際に横向きに寝ている状態の枕1は最も内部容積が多くなっており、この中の温まった空気を、寝返りして枕1が下がる時に一気に外に押し出すため、この空気の流出入を妨げないようにする目的とから、メッシュ構造等の特徴を持った丈夫な素材を使用している。
【0044】
なお、枕1が扁平状に圧縮されている仰向き寝の状態から横向き寝の状態に寝返る時、枕1の内部容積は最少から最大に拡張するために、外部の冷たい空気を一気に中に吸い込み、温まった枕本体の熱を奪い、また逆の動作で横向き寝の間に枕1の内部に溜まった暖かい空気は一気に外部に放出され、ラジエーター効果を果たす。
上記クッション部5は、頭部支持部材3上面の面ファスナー(図示略)に接着することで着脱可能に取り付けられる。このクッション部5は、低反発や高反発のウレタン等(ソバ殻・プラスチックの粒(多数のパイプ片など)の他、様々なクッション材を入れてよい)を内蔵したものであり、頭部Hや肩が柔らかく包まれるようにしている。
【0045】
次に、本実施形態の枕1における使用者の姿勢変化に伴う高さ調整動作について説明する。
まず、使用者が横向き姿勢で寝ている場合、図1に示すように、使用者の頭部Hは肩部によって高い位置になっていると共に肩部が支えになって頭部支持部材3にかかる荷重が少ない。このため、付勢手段7による付勢力(張力)が頭部支持部材3にかかる荷重による一対の傾斜部材6A,6Bを倒そうとする力を上回り、頭部支持部材3の高い位置状態が維持される。
【0046】
次に、使用者が寝返りをして仰向け姿勢になった場合、図2に示すように、使用者の肩部による支持がなくなるため頭部支持部材3にかかる頭部Hによる荷重が増大する。このため、頭部支持部材3にかかる荷重による一対の傾斜部材6A,6Bを倒そうとする力(傾斜角度θ1を小さくしようとする力)が付勢手段7による付勢力(傾斜角度θ1を大きくする方向に働く付勢力)を上回り、一対の傾斜部材6A,6Bが倒れ、頭部支持部材3が下部支持部材2上に極めて近接した最低位置まで下がる。
【0047】
なお、さらに使用者が寝返りをして仰向け姿勢から横向き姿勢になった場合、上記の逆の動作が行われる。すなわち、頭部支持部材3にかかる荷重が低下することにより、付勢手段7による付勢力が一対の傾斜部材6A,6Bを倒そうとする力を上回り、再び一対の傾斜部材6A,6Bを斜め状態の初期位置まで引き起こすことで、頭部支持部材3を初期の最高位置に上げる。なお、通常、寝返りをうって仰向け姿勢から横向き姿勢とする時は、一旦頭部Hを少しだけ無意識のうちに上げ、姿勢を変える動作を行うので、頭部Hを上げた際の荷重の低下に伴って頭部支持部材3が最高位置に移動する。
【0048】
このように一対の傾斜部材6A,6Bによる頭部支持部材3の支持構造と所定の付勢力に設定した付勢手段7による簡易な構成によって、仰向け姿勢の場合と横向き姿勢の場合との荷重差を利用して、素早くスムーズにかつ異音を発生させることなく頭部支持部材3の高さを自動的に変えることができる。特に、一対の傾斜部材6A,6Bが倒れるという動作によるため、頭部支持部材3が中間的な高さで留まらず、最高位置から最低位置への移動又はその逆の移動を瞬時に素早くスムーズに行うことができる。また、電源や駆動装置等が不要であるため、軽量かつ低コストに作製することができる。
【0049】
したがって本実施形態の枕1は、枕本体が極薄で頑丈な素材(頭部支持部材3、下部支持部材2、傾斜部材6A,6Bおよびカバー部材11)で主に構成され、寝返り時に頭の重さを感知し(横向き寝と仰向き寝の時、頭部Hの支点が異なる為、相対的に枕1にかかる負荷が変動)、瞬時にして静かでかつスムーズに上下動することで最適な寝姿勢を保つことができる。
【0050】
なお、枕1を使用する時は、必然的に睡眠時であるが、睡眠時は人間が無意識の世界に遊ぶため、頭部Hが枕1の中心にうまく載っていることは不可能と言えて、常に枕1の頭部搭載領域(クッション部5の上面)の全域にわたって移動している。本実施形態の枕1では、頭部搭載領域のどの位置(端から端まで)に頭部Hが来ても、スムーズに上下し、その本来の役割を果たすだけでなく、複雑な回動でも付勢手段7のガイド部9A,9B,9Cや付勢部材8を傾斜部材6Aに集約して持つ構造は、その強度及び動作能力を常に維持することが可能で、頭部搭載領域に対する頭部Hの位置を気にせず睡眠することができる。
【0051】
また、枕1の上下動構造は、頭部搭載領域面全体を概して水平に上下させるため、仰向き寝(頭部搭載領域面が最低の位置)の時でも、頭部Hが枕1の中に沈み込むことがないため、顔の側面が解放されていて圧迫感を受けることがない。このため、横向きに寝てテレビを見たり、本を読んだり、並んで寝ている相手と顔を見ながら会話する等の時も、その視界を妨げることがない。
【0052】
上述したように、本実施形態の枕1では、ガイド部9A,9B,9Cおよび付勢部材8が、一対の傾斜部材6A,6Bのうち倒れた際に頭部支持部材3の外側に配される一方の傾斜部材6Aの外面に設置されているので、下部支持部材2にガイド部9A,9B,9Cおよび付勢部材8の設置場所を確保する必要がなく、下部支持部材2の面積を最小限にして全体を小型化することができる。また、ワイヤーや紐等の線材Yによって上記斜め下方に向けて頭部支持部材3を引っ張ると共に、傾斜部材6Aに設置された付勢部材8にガイド部9A,9B,9Cによって線材Yが導かれて接続されているので、頭部支持部材3と下部支持部材2との間に線材Yだけが配されることで、傾斜部材6A,6Bが倒れた際に付勢部材8が邪魔にならず、頭部支持部材3を十分低い位置まで移動させることができる。さらに、頭部支持部材3の他辺側に配された傾斜部材6Aが、傾斜部材が倒れた際に、頭部支持部材3の外側に配される傾斜部材6Aであって、この傾斜部材6A上にガイド部9A,9B,9Cおよび付勢部材8が設置されているので、上下動の邪魔にならないと共に、使用者の肩部の反対側であるため、使用者の邪魔にもならない。
【0053】
また、付勢部材8に線材Yが複数本取り付けられ、これらの線材Yが互いに頭部支持部材3の長辺方向に間隔を開けて別々のガイド部9A,9B,9Cを介して頭部支持部材3と下部支持部材2との間に張設されているので、複数の線材Yによって頭部支持部材3が複数箇所で斜め下方に引っ張られており、引っ張り力が分散してガイド部9A,9Bの負荷が低減されると共に1本の線材Yの場合に比べて安定した動作が可能になる。また、線材Yは強度の強いものを使用し、頭部支持部材3の一辺側または傾斜部材6Bの前部長辺(一辺側)の中央部に張設すれば1本でもよい。
【0054】
また、一方の傾斜部材6A(頭部支持部材の他辺側に配された傾斜部材)にガイド部9A,9B,9Cおよび付勢部材8を覆って取り付けられたカバー部材11を備えているので、ガイド部9A,9B,9Cおよび付勢部材8を外部に露出させずに保護すると共に、カバー部材11が傾斜部材6Aを補強する機能を有し、傾斜部材6Aに加わる応力に対対抗して傾斜部材6Aの撓みを抑制することができる。すなわち、カバー部材11は、傾斜部材6Aに剛性を付加する機能を有し、傾斜部材6Aに対して水平方向にかかる応力に対し強力に対抗すると共に、滑車(ガイド部9A)の軸受(逆L字状軸受部6fおよび外周面軸受部6g)が傾斜部材6Aの撓みによりずれることを防止する役割を兼ねている。さらに、カバー部材11は、付勢部材が伸縮時に発する音を外部に漏らさない消音機の役割をも兼務している。
【0055】
さらに、付勢力の調整機構10も一方の傾斜部材6Aに備えているので、頭部Hの重量や体格等が異なる使用者に対応して付勢力を調整することで使用者毎の個別設定が可能になり、より精度の高い上下動作を得ることができると共に、付勢手段7の他の部材と共に調整機構10も傾斜部材6Aに設置することで小型化を図ることができる。
【0056】
なお、バネ動力を線材Yを介して動作させる際に力の方向を変え、複雑な応力に対抗する為に必要な滑車(ガイド部9A,9B,9C)の軸受(逆L字状軸受部6fおよび外周面軸受部6g)も傾斜部材6Aと一体として成型することで、これらを別途まとめたユニット等を枕本体に合体させる必要がないため、軽量化、故障発生率の低減、低コスト及び組み立て安さのメリットを得られる。
【0057】
また、調整機構10が、付勢力の度合いを表示する目盛り部Mを有しているので、付勢力(引っ張り力)の強さを目盛り部Mにより視覚的に確認可能になる。特に、一方の傾斜部材6Aの外側に目盛り部Mが配されており、枕1の後方側から容易に確認可能である。なお、目盛り部Mを溝等の凹凸で形成することで、視覚のみならず触覚でも付勢力を確認可能にしても構わない。
【0058】
すなわち、コイルバネの調整位置は目盛り部Mの視覚ゲージで確認できるが、同時に調整ポイントを示す部分(位置表示ピン12a)は、上記トラベラー(雌ねじ部材12)の上部を細く削りこんで一体となっていて強度も十分なため、指で触ることができる。この位置は、調整機構10を覆っているカバー部材11の上面に溝状または凹部状に刻んで触覚で読めるゲージ(目盛り部M)とし、視覚的に不自由な人が利用する場合や、照明が不十分な場合でもバネ強度(付勢力)の調整が可能になる。
【0059】
また、雄ねじ部材13の他端に取り付けられたダイヤル部14により雄ねじ部材13を回転させることで、コイルバネ(付勢部材8)の他端が取り付けられている雌ねじ部材12を進退可能であるので、ダイヤル部14を回すだけでコイルバネの伸縮、すなわち付勢力を無段階でかつ微細に調整可能になる。
すなわち、コイルバネの調整機構10は、約90mm長の雄ねじ部材13に雌ネジを有する部品(トラベラーの雌ねじ部材12)がネジ山の数だけ雄ねじ部材13の延在方向に自由に且つ微細に移動し、様々な体格、寝姿勢の癖を持ったほとんどの人に、ダイヤル部14を回すだけで容易に適切なバネ強度調整ができる。
【0060】
なお、コイルバネの調整機構10は、ダイヤル部14を回してバネ強度(付勢力)を下げていくと、やがてバネ強度はゼロになり、さらに同方向に回し続けると付勢力を伝達している線材Yをたるませ、枕全体を薄くすることができる。この状態の枕1は、極めて薄くなるため、旅行などの時、スーツケースに入れて携帯することも可能になる。
【0061】
また、上記のように力の伝達手段である線材Yを弛ませて、再度テンションをかけ、バネ強度を働かせるようにする過程で、線材Yがメカボックス(カバー部材11)の中で絡んでトラブルが発生しないように、滑車(ガイド部9A,9B,9C)と線材Yとその接する部分とのギャップは最少となっていて、且つ緩んだ線材Yがどの部分にも引っかからない構造になっている。
なお、コイルバネを付勢部材8として用いるので、繰り返しの使用にも高い耐久性を有すると共に高い付勢力を得ることができる。
【0062】
なお、本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0063】
例えば、上記実施形態では、下部支持部材及び頭部支持部材が平板で形成されているが、枠構造や格子構造によって略板状に形成されたものでも構わない。この場合、枕全体の軽量化が可能になる。
上記実施形態のように付勢部材としてコイルバネを採用することが好ましいが、板状のゴム材、ねじりバネ及びスプリング丁番、定荷重バネ、板バネやゴム紐等の弾性部材を付勢部材として採用しても構わない。
【0064】
また、頭部支持部材が上下するたびに大量の空気が内外を出入りするので、収納カバーの両サイドのメッシュ構造に適当なポケットを設け、このポケットに芳香剤やポプリなどを入れても構わない。この場合、寝返りの度に起こる枕の上下運動によって、枕本体の空気が流出入する度に睡眠中好みの芳香が顔周辺に漂い、やすらぎ効果を生み、良質の睡眠が得られる。
【0065】
上記実施形態では、板状の下部支持部材、頭部支持部材および傾斜部材を採用しているが、複数の棒状部材を枠状や格子枠状に組み立てまたは一体成形して疑似板状にした下部支持部材、頭部支持部材および傾斜部材でも構わない。この場合、板部材よりも軽量化を図ることができる。
また、線材の一端が頭部支持部材の一辺側の下面に接続されているが、頭部支持部材の一辺側に配された傾斜部材の上部に接続しても構わない。
さらに、ガイド部としてガイドローラを採用しているが、線材が良好に滑る凹曲面を有した滑り材などをガイド部に適用しても構わない。
【0066】
次に本発明の他の実施例を図10を参照して説明する。
図10は、仰向け又は俯せの状態から横向けの状態に変わり、枕が付勢力により最高の高さまで立ち上がった際の枕の最高高さを調整する最高高さ調整部100Aと仰向け又は俯せの状態から横向けの状態に変わる際の枕が付勢力によって、立ち上がる際の付勢力を調整する付勢力調整部100Bを一つの回転部材により、調整する構成を示す。
又、図10、図12及び図14は、図3と同様の切断面を備えた一部断面図である。
付勢力調整部100Bは、図3のコイルバネ調整機構10の手動操作を行う為のダイヤル部14を回転部材109と第2減速歯車117等の組み合わせに置き換えたものである。
図10(a)において、101は、カバー部材であり、図3と同様の大きさ、形状、材質を有しているが、最高高さ調整部100A、回転部材109、電池、制御回路等が増えた分だけ大きくなる場合がある。 図10(b)は、図10(a)を正面とした場合の側面部を示し、図10(b)のx1−x1’の一部を切断した面を図10(a)に示している。 図10(d)は、図10(c)を正面とした場合の側面部を示し、図10(d)のx2−x2’の一部を切断した面を図10(c)に示している。
【0067】
102は、第2線材であり、一端が図12の下部支持部材121の上面部にフック125に取り付け固定され、他端は、貫通孔118を介して、カバー部材101内に配置されている端部が収束して、円錐コイルバネ部103の中空内部で先端が収束した端部に挿入され、固定されている。
103は、一端が円錐状の円錐コイルバネ部であり、円錐状の一端には、第2線材102が挿入固定され、他端は、第2調整雌ねじ部105の係止用フック104に係止固定されている。
105は、トラベラーとして働く摺動用の第2調整雌ねじ部であり、一縁部に係止用フック104が接続し、内部には、棒状雄ねじ部106が貫通する部位に雌ねじが形成されている。
106は、棒状雄ねじ部であり、端部は、前記の第2調整雌ねじ部105を停止させる第2規制部(図示せず)が装着され、第2調整雌ねじ部105がそれより端部方向へ移動しないように配置されている。
107は、軸受部であり、ベアリング等で形成され、外郭がケース部材に固定された状態で、中央に棒状雄ねじ部106が接続し、棒状雌ねじ部106の回転を容易にしている。
108は、減速用歯車であり、棒状雌ねじ部106の他端と接続し、回転部材109の軸部に接続したギヤ111と噛合結合する。
【0068】
109は、回転部材であり、DCモータ、ステッピングモータ、等で形成され、回転する軸部113には、ギア111が装着されている。
110は、切り換え部材であり、プラスチック材を円盤体をカバー部材101の内側に配置し、その周辺の一部が、カバー部材101の外側まで及び手動用つまみ112が装着されている。手動用つまみ112に対向する周縁に回転部材109がその周縁を一致する状態で、すなわち、偏芯した状態で固定している。
【0069】
付勢力調整部100Bにおいて、114は、雄ねじ部材であり、一端に、規制部材6jが接続されている。棒状の雄ねじ部材114の他端は、第2軸受部116の内側と接続している。
115は、トラベラーとして働く雌ねじ部材であり、雄ねじ部材114が貫通する部位に雌ねじが形成されている。又、雄ねじ部材115には、線材Yの一端が接続している。
116は、第2軸受部であり、外郭は、カバー部材101に固定され、内部は、棒状の雄ねじ部材114と接続している。
117は、第2減速歯車であり、回転部材109の軸部113に装着されたギヤ111と噛合結合する形状 配置構成を有する。
付勢力調整部100Bは、棒状の雄ねじ部材115の他端方向に接続する第2軸受部116、第2減速歯車117以外の構成は、図3で示すものと同様の構成をとる。
図10は、カバー部材101内部の一部であり、図12、図14に全体を示した。
【0070】
次に、図10で示す実施例の動作を図11から図14を用いて説明する。
最初に、図10(a)で示す様に、最高高さ調整部100Aに、ギヤ111が、噛合結合する状態で説明する。
図11は、最高高さの調整を行う為の動作を説明するための図であって、図10(a)で示す最高高さ調整部100Aにギヤ111が噛合結合するように、手動用つまみ112を回し固定する。 手動用つまみ112を持って切換部材110を回転させると、ギヤ111は、楕円軌道を描いて移動し、減速歯車108と噛み合い結合する。
固定は、切換部材110と、周囲のカバー部材101の凹凸などにより結合構成が予め形成されている。
図11において、図3と同じ構成を示す部分については、同一の符号を付す等して説明を省略する。
第2線材102は、貫通孔118に伸びる途中、ガイド部9Bがあり、ガイド部9Bの2段滑車の内の一つに沿っている状態を示すが、特にその必要はなく、貫通孔118と直線的に接続されていても良く、又新たにガイドローラを設けて、伸張方向を変更するものであっても良い場合もある。
【0071】
図12は、図11を正面図とした場合、その側面を示す。
121は、下部支持部材であり、図1等で示す実施例と同様の形状、構成を有する。下部支持部材121の頭を載置する側には、横寝の際に、図1で示すように下部支持部材121と肩が触れないように切り欠き部121aが形成されているが、この切り欠き部121aを横断するように接触センサー122が接続している。
接触センサー122は、肩が接触すると電流が流れるスイッチ構成が例示され、当該スイッチのオンによって、例えば、後述する様に枕の高さが自動的に調整される等の動作が行われる。
123と124は、出力強弱、又は、高さ調整の為のスイッチであり、例えばメンブレン状の押圧タイプのスイッチが例示されるが特に形状、構成に限定されることはなく、また、設置部位も特定されないが、寝た状態で設定操作する部位へ設置されることが好ましい。
本実施例では、スイッチ123を押すと、枕の最高高さが高くなり、スイッチ124を押すと、低くなる設定とするが、これは一例であり、スイッチの構成等は、適宜選択される。
【0072】
最高高さ調整部100Aの動作を説明する。
回転部材109の軸部113に接続したギヤ111が一方向に回転すると、減速用歯車108を減速的に回転させ、その回転は棒状雄ねじ部106に伝達する。棒状雄ねじ部106と累合する第2調整雌ねじ部105は、ネジの方向に基づいて、一方向へ摺動する。
例えば図12のスイッチ123を押すと第2調整雌ねじ部105が右方向に移動する様に回転部材109が回転し、円錐コイルバネ部103を介して第2線材102は、右方向へ移動する。
第2線材102が右方向へ移動すると、貫通孔118を介して、下部支持部材121と傾斜部材6Aを互いに引き合うこととなることから、傾斜部材6Aは、下部支持部材121方向へ傾斜する状態となり、スイッチ123の押す状態を停止すると、傾斜部材6Aの傾斜は、その位置で停止する。図12(a)で示す高さから、図12(b)で示す高さの状態となる。
逆に、スイッチ124を押すと、回転部材は、逆回転を行い、減速用歯車108を介して棒状雄ねじ部106を逆回転させることで、第2調整雌ねじ部105を逆方向へ移動させる。
第2調整雌ねじ部105が逆方向へ移動すると、第2線材102の下部支持板121を引く力が弱まり、図12(b)の状態の枕が図12(a)の状態に戻る。
図12のスイッチ124の押すことを止めると回転部材109は、回転を止める。
棒状雄ねじ部106と、第2調整雌ねじ部105は、停止した状態を保持することができ、所定の最高高さを調整可能とする。
【0073】
又、最高高さ調整部100Aは、第2線材102を棒状雄ねじ部106上で、第2調整雌ねじ部105を左右に摺動させて、第2線材102の引張と弛みを行うことで、傾斜部材6Aと下部支持板121間の引き合う力に強弱を加えて横寝の際の最高高さを調整するが、仰向け又はうつぶせ寝の際、図2で示すように下部支持板2と上部支持板3は重ね合う様に倒置すると、第2線材102は、弛みを生じる。円錐コイルバネ部103は、図13(a)で示すように通常、横寝の際、伸張した状態となっている様に設定されていることから、俯せ寝及び仰向け寝の際の図2で示す倒置状態では、図13(b)で示す様に円錐コイルバネ部103の伸張状態が解除されて伸縮し、第2線材102の弛みが解消される。
再び横向け寝の状態となると、枕は、付勢手段n付勢力により立ち上がるが、その際、円錐コイルバネ部103を引くことで、図13(a)で示す様に伸びた状態となっている。
このように、円錐コイルバネ部103の伸縮動作により、急激な立ち上がりが解消され、心地良い眠りが可能となる。
【0074】
次に付勢力調整部100Bについて説明する。
付勢力調整部100Bは、上述したように、図3で示すつまみ14の部分を第2軸受部116及び第2減速歯車117を設けた以外は、同じ構成であるので、説明を省略する。
図10で示す手動用つまみ112を持ち図10(b)の状態から(d)の状態になるように回転させる。
切換部材110が回転する際、回転部材109は、偏芯状態で配置されているため、楕円状に移動し、第2減速歯車117と噛み合い接続する。図10(c)で示す状態となる。
次に図15で示すスイッチ123を押すと回転部材109が所定の回転方向へ回転し、第2軸受部116を介して、雄ねじ部材114を一方向へ回転させる。この回転に基づいて雌ねじ部115は、雄ねじ部材114との累合により、例えば右方向へ移動する。
雌ねじ部115が右方向へ移動すると、線材Yを引くため、付勢部材8の付勢力を増加させることで、上部支持板3を回転しながら持ち上げる力が増加することから、図15(a)で示す仰向け及び俯せ寝の枕の状態から図15(b)で示す横向けに寝返る際の枕の状態となる際の付勢力を大きくすると共に、横向け寝の際の頭の重さによる上部支持部材の沈む様な動作を軽減させる。
スイッチ123の押す状態を停止すると、付勢力を維持した状態で、停止する。
【0075】
次にスイッチ124を押す。例えば押し続けることで、回転部材109は、逆回転を行うと共に第2減速歯車117の減速回転により、第2軸受部116を介して棒状の雄ねじ部115は逆方向に回転し、雌ねじ部115は、逆方向へ移動する。
雌ねじ部115の逆方向への摺動により、付勢手段8は、伸縮し、上部支持板3への付勢力が弱まることで、横向け寝に寝返る際の傾斜部材の付勢力が小さくなる。
図10以降で示した、付勢力、最高高さの自動調整は、電池電源によるDCモータの利用が可能であり、しかも、棒状の雄ねじ部材上を雌ねじ部材の摺動移動によるボールネジ構成と同様の構成により、移動状態を保持することができることから、消費電力も低く抑えることができ、電池駆動による長時間の使用が可能となる。
尚、スイッチ123、124の仕様は、最高高さ調整部100Aと付勢力調整部100Bによって、異なるが、予め、スイッチ123を押すと、最高高さ調整部100A状態では、高さが高くなり、付勢力調整部100Bの付勢力が大きくなる様な雌ねじ部と雄ねじ部のネジの方向を調整することが好ましい場合もある。
尚、最高高さ調整部100Aと付勢力調整部100Bを1つのモーター等の回転部材の移動により、切り換えて回転駆動させる構成は、上記実施例に限るものではなく、その他回転部材の摺動移動構成を用いてもよい場合もある。又、最高高さ調整部100Aは、モーター等の回転部材を用いて調整するだけでなく、手動により調整するものであっても良い場合もある。
【0076】
次に図16(a)(b)に他の実施例を示し、説明する。
図16は、図12で示した接触センサー122の出力に基づいて、枕の付勢力、最高の高さを自動調整する為の実施例を示す。
図16において、161は、電池であり、一次電池、2次電池の組み合わせが例示されるが、DCアダプターの利用などを行っても良い場合もある。
162は、緩み検知センサーであり、例えばストレインゲージ等の圧力センサーを用いることができ、貫通孔118の内面に装着され、第2線材102が、横寝の時の張り詰めた状態等の貫通孔118内面を加圧する際の圧力を測定する為のものである。
図16(b)は、図16(a)の貫通孔118付近を拡大した状態を示す図である。
緩み検知センサー162は、制御部の入力部163aと電気リード線163alを介して接続している。
163は、制御部であり、好ましくは、記憶素子、CPUなどを備えている。
制御部163は、緩み検知センサー162で得られる第2線材102によって加えられる圧力に対応する電気信号を受信して、回転部材であるモータ165の回転時間、回転数などの為の信号を出力する。
スイッチ123、及び124も制御部163に接続しており、例えばスイッチがメンブレンスイッチ等で形成される。
164は、モータ165の回転方向や回転数を調整する為の駆動手段であり、図示は、正逆変換構造を省略的に描いたものであって、実際は、トランジスタ、FETの組み合わせによって構成される。回転数の調整は、モータへの電力を調整する回路により行われ、図示はしていないが、一般的な回路が具備されている。
165は、モータであり、電池駆動用のDCモーターであれば足りるが、位置決め機能等を備えたステッピングモータを利用しても良い。
166は、供給電力調整手段であり、モータ165への供給電力の調整を行う手段である。供給電力調整手段166の調整信号入力部は、制御部の制御信号出力端163dと電気リード線163dlを介して接続している。
接触センサー122は、直接回路のオンオフする構成を示したが、別途電源用のスイッチを設け、この接触センサー122の信号を制御用入力信号としても良い場合もある。
実施例で示す枕の動作は、主に横寝及び横寝への寝返りの際に起動する電源スイッチとして接触センサー122を用いている。
167a、167b及び169は、呼吸センサーの送信部と受信部である。
呼吸センサー送信部167a及び受信部167bは、例えば密閉式空気袋内に好ましくは無指向性マイクロフォン、圧力センサ、心拍、心音、呼吸音、その他の振動を検出する検出センサーを挿入し、いびき、呼吸、心拍数、体動、によって生じる空気袋内の空気圧の変化を検出する構成を用いてもよい。その他、心拍、いびき、その他の体動を静電容量変化に変えて電気信号として検出する静電容量型センサ、感圧センサー、体温、呼吸によって変化する皮膚の表面温度を計測するセンサー、呼吸に関連する骨振動を検出するセンサー等も間接的な呼吸センサーとして用いても良い。
呼吸センサ167aと受信部167bは、無線媒体を介して電気的に接続し、受信部167bは、電気リード線163clを介して、制御部163の入力部163cと接続している。
呼吸センサ169は、電気リード線を介して制御部163の入力部163cと接続する。
呼吸センサ送信部167aと受信部167bとの組み合わせおよび呼吸センサー169は、いずれか一方が備わっていれば良く、両方備わっていても良く、制御部163との電気リード線による接続も図16では、共通状態を示したが、別々に設けても良い。
168は、振動手段であり、偏芯モーター、圧電ブザー、送風機、揺動手段、その他、使用者を覚醒又は半覚醒させるための手段が示される。
振動手段168は、制御部163の振動供給出力端163bと電気リード線163blを介して接続している。 振動供給出力端163bは、振動手段168に制御電力を供給するための駆動回路の出力構成を備えている状態を示した。
その他の構成は、図10等に記載されているので、説明を省略した。
【0077】
次に図16の動作を説明する。
切換部材110は、予め付勢力調整部100Bにモータ165が接続された状態とする。
横寝状態の利用者16Mの肩は、接触センサー122を押すことで、回路160Aが閉じ、動作が開始する。
スイッチ123を押すと、制御部163は、駆動手段164に切り換え信号164aを送信して、切り換え動作を行い、供給電力調整手段166で調整された電力をモータ165へ供給する。
モータ165は、供給された調整電力に基づいて回転を行う。
スイッチ124を押すと、制御部163は、駆動手段164へ、切り換え信号164aを行い、今までに接続を切り換えた状態とする。
この状態で、供給電力調整手段166は、調整された電力をモータ165へ供給することで、モータ165は、逆回転を行う。
【0078】
例えば、利用者16Mは、睡眠に入る前に、スイッチ123、124を操作して、枕の最適な高さを設定して、その状態での緩み検知センサー162の出力圧力値を例えば、記憶用スイッチを別途設け、これを押すことによって記憶する。
又は、複数回の調整によって設定された緩み検知センサー162の圧力値を加算平均して、自動的に最適な圧力値を設定しても良い。
実際の睡眠は、体の緊張が、ほぐれるため、実際に枕に係る重さが、変化することから、最適な状態に設定したとしても、実際は、より頭が重くなることから、沈み込む場合が生じる。
この沈み込みを緩み検知センサー162が圧力として検出して、予め設定した圧力データとの差のデータを得る。
このデータが生じた場合、制御部163は、この差の値を解消する為に駆動手段164へ、切り換え信号164aに切り換え信号を出力し、供給電力調整手段166へ調整された電力を供給する。モータ165は、この切り換え信号164aと供給電力に基づいた回転を行う。モータ165の回転は、ギヤ111を介して第2減速歯車117に伝達され、棒状の雄ねじ部材114を回転させることで、雌ねじ部材115を左右に移動させて、付勢力の調整を行い、例えば沈み込んだ場合は、付勢力を強くする為、雌ねじ部材115を右へ摺動させる。緩み検知センサー162から得られる傾斜データと、予め設定された傾斜情報が一致した時点で、制御部163は、制御を停止させて、常に、快適な横寝を実現することを可能とする。
尚、緩み検知センサーは、あくまで一例であり、その他、枕の高さを計測できる構成を用いてもよい場合もある。
【0079】
又、呼吸状態を監視することができるマイクロフォン等で形成され、例えばいびきを検出する呼吸センサー167aを例えば首に巻き付け装着可能な帯状体167a2に固定したものであって、呼吸センサー167aは、電磁波、赤外線等の無線媒体を用いて呼吸信号を送信し、受信部167bで受信して制御部163へ伝達したり、クッション部5に装着した呼吸センサー169を用いて、呼吸状態を制御部163へ呼吸状態を示す電気信号として伝達したりして、呼吸状態をモニターし、無呼吸状態を検出したタイミングで、振動手段168を振動させて、無呼吸状態を報知する手段を設けても良い。呼吸センサー169は、例えば、酸素濃度、耳内等の体温等を検出する為の構成を用いても良く、少なくとも無呼吸状態またはその状態に等しい状態を直接的又は間接的に検出できるものであればよく、特に限定されない。
【0080】
振動手段168は、偏芯モータを回転させたり、圧電ブザーを鳴らす等の手段、その他、睡眠状態の利用者に報知可能な構成をとり得る。報知は、睡眠を覚醒させる程度の振動、音等の刺激を加える場合や、覚醒までいかず、記録データをとり、覚醒後確認できるものであってもよく、目的に応じた報知であれば良い場合もある。
尚、覚醒とまではいかず、半覚醒状態とする場合は、図10で示す最高高さ調整部100Aと付勢力調整部100Bを断続的に動作させたり、周期的に強弱をつけたりするなどして、モーター音による刺激を含み、枕の高さの変化による刺激を与えても良い。
【0081】
上述した無呼吸状態を検出したタイミングは、例えば、睡眠中、無呼吸症候状態を検知し、更に症状が、ある一定の条件を超えた場合、睡眠から覚醒を促す刺激を出力するシステムを備える。
無呼吸症候群は、例えば、文献(Guilleminaul、et.al.“The sleep apnea syndoromes”Annu.Rev.Med.1976,27:465−84)やその他の関連文献で示される様に、1時間に5回以上 又は、7時間以上の睡眠において、30回以上無呼吸状態(10秒以上の呼吸停止)となる場合を示すことができる。
さらには、単位時間当たりの10秒以上の呼吸停止回数が15回以下を軽度、15から30回を中度、30回以上(重傷)として設定し、これら3つの範囲を、それぞれ目的に応じて閾値として選択しても良く、例えば単位時間当たりの10秒以上の呼吸停止回数が30回以上の場合は、刺激を与え、覚醒させる手段を備えても良い。
【0082】
より具体的な構成の一例を図17に示し説明する。
図17において、171は、呼吸センサーであり、図16の167a、167bで示すような無線、有線方式で、制御部へ電気信号を出力する構成を備えている。
呼吸センサー171は、いびきを検出する呼吸センサー171は、外音、寝言、その他の音、低周波振動、心拍、圧力等を検出し電気信号に変えて出力する。呼吸センサーは、例えば、鼻の近傍に装着して、呼吸により変化する熱を検出するダイメデックスセンサー(登録商標)等、市販されているものを用いても良いが、好ましくは、図16で示す首へ装着して呼吸音を検出する構成が示される。
172は、フィルタであり、呼吸センサー171の出力に対し、ここでは、例えば、呼吸の一つとしていびきの周波数帯のみを通過させるローパスフィルタ、バンドパスフィルタからなる。173は、いびき検出手段であり、フィルタ172を通過して得られた信号から、いびき等の呼吸波形が断続性を有する包絡線状を備えているため、例えばピークホールド回路を用いて、そのピーク値を検出して一つのいびきを一つのいびきパルス出力として検出する。
【0083】
174は、いびき間隔測定手段であり、いびきパルスと次のいびきパルスの間隔を測定し、例えば一つのパルスとして出力する手段である。
175は、比較手段であり、コンパレータ、ワンショットマルチバイブレータの組み合わせ等で構成され、いびき間隔測定手段174で得られた差の値(例えばパルス幅で示される)が、閾値設定手段176で予め設定された無呼吸と決定される値(例えばパルス幅で示される)より大きい場合、無呼吸パルスを出力する。
176は、閾値設定手段であり、予め無呼吸と判断される時間幅をパルス幅として備えたパルスを出力するための手段であり、一般的な無呼吸時間幅をもつパルスの他、使用者個々の呼吸間隔を測定して、無呼吸に相当する時間幅を観測測定した値を備えても良い。又、測定前の事前の測定で、通常の呼吸またはいびきの間隔を測定して、加算平均等を施して、個々人の無呼吸を判断する時間幅を備えたパルス出力を設定しても良い。
【0084】
177は、計数手段であり、カウンタ回路等で形成され、比較手段175から出力された無呼吸信号(例えば、パルス出力として)のパルス数をカウントする。
178は、比較判断手段であり、この計数手段177で得られ得る計数データについて、所定の時間間隔で、例えば無呼吸状態が単位時間当たり30回を超えて、一般的な危険レベルになった時、覚醒信号を、振動手段へ所定時間だけ出力する手段の組み合わせ構成を備えても良い。この所定時間間隔は、例えば1時間程度が例示されるが目的に応じて適宜選択される間隔である。また刺激を加える所定時間は、目的に応じて調整されるが、確実に覚醒させる為に、使用者が止めるまで継続的に刺激を出力しても良い。
179は、刺激手段であり、振動、風、揺動、臭い、音、温度等の刺激として成り立つものを出力するものであり、例えば図16で示した振動手段168等出構成される。
図17で示す構成は、パルス回路として組み合わせたものを示したが、これをプログラムにして、コンピュータによるソフトウェア処理としても良い。
【0085】
図17で示す実施例の動作を説明する。
人体の首、耳たぶ、耳孔、その他に装着された呼吸センサー171は、呼吸に関連する生体情報を電気信号として出力する。呼吸センサー171から出力された生体信号は、フィルタ172を介して、いびき信号を抽出し、いびき検出手段173へ出力される。
いびき検出手段173は、生体信号中のピーク値を検出して、これを立ち上がりとするいびきパルスを形成し、いびき間隔測定手段174へ出力する。
いびき間隔測定手段174は、いびきパルスと次のいびきパルスのパルス間隔を一つのパルスとして形成し、このいびき間隔パルス信号は、比較手段175で、閾値設定手段176で、設定された閾値パルスと比較され、例えば、いびき間隔のパルス幅が、閾値パルス幅より長い場合、比較手段175は、無呼吸状態を示すパルスとして出力する。
【0086】
この無呼吸状態を示すパルスは、計数手段177において、いびきを示すパルスの数がカウントされ、計数値を示す出力値が、比較判断手段178に出力される。
比較判断手段178は、予め設定された時間間隔で、いびきパルスの計数されたパルス数が、いわゆる無呼吸症候群と判定されるパルス数を超えるか判定され、超えた時、危険無呼吸状態と判断され、刺激手段179へ、覚醒、半覚醒、の為の振動、風、揺動、臭い、音、温度等のいわゆる刺激を出力する。更に、医者、看護士、等への報知、又はデータとして記録が行われても良い。
本実施例は、横寝を利用者にあった安定した高さに調節維持することで、横寝の際の上気道閉塞を防止し、無理のない姿勢での睡眠を可能とする他、無呼吸症候群の症状を検出し、程度により、睡眠者に覚醒を促したり、医師、看護士に連絡したりする手段を組み合わせることで、快適な睡眠を可能とすると共に、睡眠時無呼吸症候群に対し的確な対応を可能とする。
【符号の説明】
【0087】
1…枕、
2…下部支持部材、
3…頭部支持部材、
4…支持機構、
5…クッション部、
6A,6B…傾斜部材、
7…付勢手段、
1A,9B,9C…ガイド部、
10…調整機構、
11…カバー部材、
H…使用者の頭部、
Y…線材
【技術分野】
【0001】
本発明は、寝返りに伴う姿勢変化に対応して、快適な姿勢で安眠可能な枕に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、就寝時に使用者の頭部を支え負荷の少ない安定した姿勢で睡眠状態を得るために種々の枕が提案され使用されている。特に、睡眠時に寝返りを行うことで仰向け姿勢(仰臥)と横向き姿勢(横臥)とを交互に繰り返し姿勢を変化させることに対応して、その高さを変化させる枕が提案されている。例えば、特許文献1には、高さ調節部にかかる荷重に応じて高さ調節部に流体を出し入れして膨張・収縮させることで、高さ調整する枕が提案されている。この枕では、流体の流入・流出を制御するために、流体給入装置及び複数の弁や配管を備えている。
【0003】
また、特許文献2には、頭部の圧力を感知する圧力センサーと該圧力センサーの信号により頭部支持部を上下駆動する機構及び回路とを有した高さ可変式安眠枕が提案されている。この高さ可変式安眠枕では、寝返りにより姿勢変化があった際に生じる頭部による支持部分への圧力変動を圧力センサーで検知することで、圧力信号を回路で処理し駆動機構で頭部支持部を上下させる。
【0004】
さらに、特許文献3には、基台と頭載板との間に筒体による密閉室をつくると共に円錐台形状の定荷重負荷スプリングバネを設けた快眠枕が提案されている。この快眠枕では、仰向け姿勢の場合と横向き姿勢の場合とでかかる荷重の差によって密閉室内の空気を出し入れすると共に円錐台形状の定荷重負荷スプリングバネを伸縮させて高さの調整を行っている。
【0005】
上記特許文献1に記載の枕は、流体を出し入れするために流体給入装置及び複数の弁や配管を装備する必要があると共に流体の流出を防ぐために密閉構造が必須であり、全体に構造が複雑化すると共に製作コストが大幅に増大してしまう不都合があった。また、この枕では、寝返りにより姿勢変化があっても、流体の出し入れに時間がかかり、ゆっくり高さが変化するため、姿勢変化の直後、しばらくの間は不安定で過負荷な姿勢状態となってしまう問題があった。
【0006】
また、上記特許文献2に記載の高さ可変式安眠枕は、圧力センサ、処理回路、機械的な上下駆動機構及び電源等を必要とするため、やはり構造の複雑化及びコストの増大化が著しく、一般に普及可能な価格で提供することが困難である。また、この高さ可変式安眠枕では、多数の構成部品を内蔵するためのスペースが内部に必要であり、枕が大型化すると共に、構成部品が邪魔になって頭部支持部を十分に低い位置に設定することができないという問題があった。
【0007】
さらに、上記特許文献3に記載の快眠枕でも、密閉室及び円錐台形状の定荷重負荷スプリングバネが基台と頭載板との間に設けられているために、これらが邪魔になり頭載板を十分に低くすることができず、適切な低位置に設定できない不都合があった。また、この快眠枕では、上記特許文献1と同様に流体の出し入れを行うため、高さ調整に時間がかかる問題があった。
また、上記各特許文献では、流体の出し入れに伴う音やモータ等の電源及び駆動機構の動作音が少なからず発生し、安眠を妨げる不都合もあった。
【0008】
このため、これらの問題を解決する技術として、特許文献4では、下部支持板と、前記下部支持板に対して略平行状態に配されて使用者の頭部が載置される頭部支持板と、前記下部支持板上に設けられ前記略平行状態を維持して前記頭部支持板を上下動可能に支持する支持板支持機構と、を備え、前記支持板支持機構が、下端部が前記下部支持板に回動可能に連結され上端部が前記頭部支持板に回動可能に連結されていると共に前記下部支持板から前記頭部支持板に向けて傾斜して延在している互いに平行な複数の支持部材と、前記支持部材を前記傾斜した方向に倒す荷重に対抗して直接又は他の部材を介して前記支持部材を付勢する付勢手段とを備えている枕が提案されている。
【0009】
この枕では、支持部材を傾斜した方向に倒す荷重に対抗して直接又は他の部材を介して支持部材を付勢する付勢手段を備えることで、付勢手段の付勢力を横向き姿勢の際にかかる荷重よりも大きく設定すると共に仰向け姿勢の際にかかる荷重よりも小さく設定することで、横向き姿勢では支持部材が倒れず頭部支持板が高い位置で維持されるが、仰向け姿勢に姿勢変化させると荷重増大によって支持部材が倒れ頭部支持板が低い位置となる。すなわち、傾斜した支持部材による頭部支持板の支持構造と所定の付勢力に設定した付勢手段による簡易な構成によって、仰向け姿勢の場合と横向き姿勢の場合との荷重差を利用して、素早くスムーズにかつ異音を発生させることなく頭部支持板の高さを自動的に変えることができる。特に、支持部材が倒れるという動作によるため、頭部支持板が中間的な高さで留まらず、最高位置から最低位置への移動又はその逆の移動を瞬時に素早くスムーズに行うことができる。また、電源や駆動装置等が不要であるため、軽量かつ低コストに作製することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2004−249088号公報(特許請求の範囲、図10、図12)
【特許文献2】特開平6−343540号公報(特許請求の範囲、図1)
【特許文献3】実開平3−35772号公報(実用新案登録請求の範囲、第1図、第2図)
【特許文献4】特開2007−44490号公報(特許請求の範囲、図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上記従来の技術には、以下の課題が残されている。
すなわち、上記特許文献4に記載の枕では、低コストで簡易な構成であると共に姿勢変化に応じて適切な高さ調整を素早くスムーズにかつ静かに行うことができるが、付勢手段のコイルバネやガイドローラ、調整機構などが下部支持板上に設置されており、これらの設置場所を確保するために下部支持板の面積を広くする必要があった。また、付勢力の強弱調整の視覚や触覚等による確認が出来ず、調整も別途調整工具等が必要で不便があった。更に、小さくたためない等、旅行などに携行するのには適さなかった。このため、下部支持板を小面積化して枕全体をさらに小型化し、さらに視覚触覚等による調整機構を備えた、より軽くコンパクトな枕が要望されている。
【0012】
本発明は、前述の課題に鑑みてなされたもので、低コストで簡易な構成であると共に姿勢変化に応じて適切な高さ調整を素早くスムーズにかつ静かに行うことができ、さらに小型軽量にして旅行等の際にはスーツケース等に入れて携行も可能な枕を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、前記課題を解決するために以下の構成を採用した。すなわち、第1の発明の枕は、枠状または板状の下部支持部材と、前記下部支持部材に対して上方に配されて使用者の頭部が載置される枠状または板状の頭部支持部材と、前記下部支持部材上に設けられ、前記頭部支持部材を上下動可能に支持する支持機構とを備え、前記支持機構が、下端部が前記下部支持部材に回動可能に連結され上端部が前記頭部支持部材に回動可能に連結されていると共に前記下部支持部材から前記頭部支持部材に向けて互いに同じ向きに傾斜して延在している複数の傾斜部材と、前記傾斜部材を前記傾斜した方向に倒す荷重に対抗して前記傾斜部材を付勢する付勢手段とを備え、前記付勢手段が、前記頭部支持部材の一辺側の下面または前記頭部支持部材の一辺側に配された前記傾斜部材の上部に一端が取り付けられていると共に前記頭部支持部材と前記下部支持部材との間に斜め下方に向けて張設された線材と、該線材の他端に取り付けられ前記頭部支持部材または前記一辺側に配された前記傾斜部材の上部を前記頭部支持部材に対する前記傾斜部材の傾斜角度よりも小さい傾斜角度で前記線材を介して斜め下方に引っ張る付勢部材と、前記線材の他端側を曲げて前記付勢部材に導くガイド部とを有し、前記ガイド部および前記付勢部材が、前記頭部支持部材の他辺側に配された前記傾斜部材の外面に設置されていることを特徴とする。
【0014】
この枕では、ガイド部および付勢部材が、頭部支持部材の他辺側に配された傾斜部材の外面に設置されているので、下部支持部材にガイド部および付勢部材の設置場所を確保する必要がなく、下部支持部材の面積を最小限にして全体を小型化することができる。また、ワイヤーや紐等の線材によって上記斜め下方に向けて頭部支持部材を引っ張ると共に、傾斜部材に設置された付勢部材にガイド部によって線材が導かれて接続されているので、頭部支持部材と下部支持部材との間に線材だけが配されることで、傾斜部材が倒れた際に付勢部材が邪魔にならず、頭部支持部材を十分低い位置まで移動させることができる。さらに、頭部支持部材の他辺側に配された傾斜部材が、傾斜部材が倒れた際に、頭部支持部材の外側に配される傾斜部材であって、この傾斜部材上にガイド部および付勢部材が設置されているので、上下動の邪魔にならないと共に、使用者の肩部の反対側であるため、使用者の邪魔にもならない。
【0015】
また、第2の発明の枕は、第1の発明において、前記付勢部材に前記線材が複数本取り付けられ、これらの前記線材が互いに前記頭部支持部材に間隔を開けて別々の前記ガイド部を介して前記頭部支持部材と前記下部支持部材との間に張設されていることを特徴とする。この枕では、付勢部材に線材が複数本取り付けられ、これらの線材が互いに頭部支持部材に間隔を開けて別々のガイド部を介して頭部支持部材と下部支持部材との間に張設されているので、複数の線材によって頭部支持部材が複数箇所で斜め下方に引っ張られており、引っ張り力が分散してガイド部の負荷が低減されると共に1本の線材の場合に比べて安定した動作が可能になる。
【0016】
また、第3の発明の枕は、第1または第2の発明において、前記頭部支持部材の他辺側に配された前記傾斜部材に前記ガイド部および前記付勢部材を覆って取り付けられたカバー部材を備えていることを特徴とする。すなわち、この枕では、頭部支持部材の他辺側に配された傾斜部材にガイド部および付勢部材を覆って取り付けられたカバー部材を備えているので、ガイド部および付勢部材を外部に露出させずに保護すると共に、カバー部材が傾斜部材を補強する機能を有し、傾斜部材に加わる応力に対抗して傾斜部材の撓みを抑制することができる。また、このカバー部材は、内部に取り付けられた付勢部材の伸縮時に発する音を外部に漏らさないサイレンサー(消音器)の役割も果たすものである。
【0017】
また、第4の発明の枕は、第1から第3の発明のいずれかにおいて、前記付勢手段が、付勢力の調整機構を前記頭部支持部材の他辺側に配された前記傾斜部材に備えていることを特徴とする。
すなわち、この枕では、付勢力の調整機構も頭部支持部材の他辺側に配された傾斜部材に備えているので、頭部の重量や体格、寝る姿勢等が異なる使用者に対応して付勢力を調整することで使用者毎の個別設定が可能になり、より精度の高い上下動作を得ることができると共に、付勢手段の他の部材と共に調整機構も傾斜部材に設置することで小型化を図ることができる。
【0018】
第5の発明の枕は、第4の発明において、前記調整機構が、前記付勢力の度合いを表示する目盛り部を有していることを特徴とする。
すなわち、この枕では、調整機構が、付勢力の度合いを表示する目盛り部を有しているので、付勢力(引っ張り力)の強さを目盛り部により容易に確認可能になる。特に、頭部支持部材の他辺側に配された傾斜部材の外側に目盛り部が配されており、枕の後方側から容易に確認可能である。
【0019】
第6の発明の枕は、第4または第5の発明において、前記付勢部材が、前記線材の他端に一端が取り付けられたコイルバネであり、前記調整機構が、前記コイルバネの他端が取り付けられ該コイルバネの伸縮方向に進退可能にかつ自転不能に前記傾斜部材に設置された雌ねじ部材と、該雌ねじ部材に螺合していると共に前記コイルバネの伸縮方向に延在し回転可能に前記傾斜部材に支持された雄ねじ部材と、前記雄ねじ部材の他端に取り付けられ前記雄ねじ部材を回転させて前記雌ねじ部材を進退可能なダイヤル部とを備えていることを特徴とする。
すなわち、この枕では、雄ねじ部材の他端に取り付けられたダイヤル部により雄ねじ部材を回転させてコイルバネの他端が取り付けられている雌ねじ部材を進退可能であるので、ダイヤル部を回すだけでコイルバネの伸縮、すなわち付勢力を無段階でかつ微細に調整可能になる。また、調整機構により、ダイヤル部を付勢部材の引っ張り力がゼロになる位置を通過して、線材が完全に弛むまで回し、頭部支持部材と傾斜部材とをともに下部支持部材に最接近させれば、立体構造の枕は、複数部材が折り重なって扁平化し、容積が最少となり、スーツケース等に収納して旅行等に携行できるものとなる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、以下の効果を奏する。すなわち、本発明に係る枕によれば、傾斜部材を上記傾斜した方向に倒す荷重に対抗して付勢する付勢手段を備えているので、簡易かつ低コストな構成で、素早くスムーズにかつ異音を発生させることなく仰向け姿勢と横向き姿勢とで頭部支持部材の高さを自動的に変えることができる。さらに、ガイド部および付勢部材が、頭部支持部材の他辺側に配された傾斜部材の外面に設置されているので、全体をより小型化することができると共に、傾斜部材が倒れた際に付勢部材が邪魔にならず、頭部支持部材を十分低い位置まで移動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明に係る一実施形態の枕において、使用者が横向き姿勢の際の状態を示す一部を破断した側面図である。
【図2】本実施形態の枕において、使用者が仰向け姿勢の際の状態を示す一部を破断した側面図である。
【図3】本実施形態の枕において、収納カバーおよびクッション部を外した状態で一部を破断した平面図である。
【図4】本実施形態の枕を示す背面図である。
【図5】本実施形態の枕において、傾斜部材上の付勢機構を示す断面図である。
【図6】本実施形態の枕において、支持された第1ガイド部を示す上面図である。
【図7】本実施形態の枕において、支持された第1ガイド部の状態を示す要部の側面図である。
【図8】本実施形態の枕において、支持された第1ガイド部の状態を示す要部の正面図である。
【図9】本実施形態の枕において、ストッパー部分を示す要部の断面図である。
【図10】本発明の他の実施例を示す図である。
【図11】本発明の他の実施例を説明するための図である。
【図12】本発明の他の実施例を説明するための図である。
【図13】本発明の他の実施例を説明するための図である。
【図14】本発明の他の実施例を説明するための図である。
【図15】本発明の他の実施例を説明するための図である。
【図16】本発明の他の実施例を示す図である。
【図17】本発明の他の実施例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明に係る枕の一実施形態を、図1から図9を参照しながら説明する。
【0023】
本実施形態の枕1は、図1及び図2に示すように、板状の下部支持部材2と、下部支持部材2に対して上方に略平行状態に配されて使用者の頭部Hが載置される板状の頭部支持部材3と、下部支持部材2上に設けられ前記略平行状態を維持して頭部支持部材3を上下動可能に支持する支持機構4と、頭部支持部材3上に設置されたクッション部5とを備えている。なお、ここで、上記下部支持部材2及び上記頭部支持部材3において、一対の対向する長辺のうち使用者側となる方を一辺側とし、その反対側を他辺側とする。
【0024】
上記支持機構4は、下端部が下部支持部材2に回動可能に連結され上端部が頭部支持部材3に回動可能に連結されていると共に下部支持部材2から頭部支持部材3に向けて互いに同じ向きに傾斜して延在している平行な一対の板状の傾斜部材6A,6Bと、傾斜部材6A,6Bを傾斜した方向に倒す荷重に対抗して傾斜部材6A,6Bを付勢する付勢手段7とを備えている。
上記下部支持部材2及び上記頭部支持部材3は、いずれも約4mmの厚さの極薄板である長方形状とされたポリプロピレン等の硬質プラスチック板材等で構成されている。また、頭部支持部材3上には、より剛性の高い板材で形成された補強板30が接着材、ネジ止めまたはリベット止め等で固定されている。なお、頭部支持部材3のみで十分な強度や剛性が得られる場合は、補強板30は不要である。
【0025】
上記付勢手段7は、頭部支持部材3の一辺側下面のフック3aに一端が取り付けられていると共に頭部支持部材3と下部支持部材2との間に斜め下方に向けて張設された紐またはワイヤー等の線材Yと、該線材Yの他端に取り付けられ頭部支持部材3を頭部支持部材3に対する傾斜部材6A,6Bの傾斜角度θ1よりも小さい傾斜角度θ2で線材Yを介して斜め下方(図1中の矢印A方向)に引っ張る付勢部材8と、線材Yの他端側を曲げて付勢部材8に導くガイドローラであるガイド部9A,9B,9Cとを有している。
【0026】
さらに、ガイド部9A,9B,9Cおよび付勢部材8が、頭部支持部材3の他辺側に配された傾斜部材、すなわち一対の傾斜部材6A,6Bのうち倒れた際に頭部支持部材3の外側に配される一方の傾斜部材6Aの外面に設置されている。
また、付勢手段7は、付勢力の調整機構10を頭部支持部材3の他辺側に配された傾斜部材(一方の傾斜部材)6Aに備えている。なお、一方の傾斜部材6Aには、ガイド部9A,9B,9C、付勢部材8および調整機構10を覆うカバー部材11が設置されている。
【0027】
上記付勢部材8には、線材Yが2本取り付けられ、これらの線材Yが互いに頭部支持部材3の長辺方向に間隔を開けて別々のガイド部9A,9Bを介して頭部支持部材3と下部支持部材2との間に張設されている。
付勢部材8は、線材Yの他端に一端が取り付けられたコイルバネである。上記調整機構10は、付勢部材8の他端が取り付けられ該付勢部材8の伸縮方向に進退可能にかつ自転不能に一方の傾斜部材6Aに設置された雌ねじ部材12と、該雌ねじ部材12に螺合していると共に付勢部材8の伸縮方向に延在し回転可能に一方の傾斜部材6Aに支持された約90mm長の雄ねじ部材13と、雄ねじ部材13の他端に取り付けられ雄ねじ部材13を回転させて雌ねじ部材12を進退可能なダイヤル部14とを備えている。
【0028】
上記クッション部5は、頭部支持部材3および補強板30の一辺側端部を覆うように成形されたクッション材である。すなわち、頭部支持部材3および補強板30と他方の傾斜部材6Bとからなる一辺側の角部をクッション部5で覆うことにより、使用者の首部や肩部などに角部が当接した際に生じる圧迫感や違和感を和らげるようになっている。
上記一対の傾斜部材6A,6Bは、下端部が下部支持部材2に回動可能に連結され上端部が頭部支持部材3に回動可能に連結されていると共に、下部支持部材2から頭部支持部材3に向けて傾斜して延在している互いに平行な一方の傾斜部材6A及び他方の傾斜部材6Bである。
【0029】
上記一方の傾斜部材6A及び他方の傾斜部材6Bは、約4mmの厚さの極薄板であるポリプロピレン等の硬質プラスチック板等で構成され、頭部支持部材3と一体に形成されている。すなわち、これらの一方の傾斜部材6A及び他方の傾斜部材6Bは、頭部支持部材3の一辺側と他辺側とにそれぞれ柔軟な第1折り目部6aを介して回動可能に接続され下部支持部材2に向けて斜め下方に折れ曲がって設けられていると共に、柔軟な第2折り目部6bを介して回動可能に接続された下端固定部6cが下部支持部材2上に固定されている。
【0030】
なお、第1折り目部6aおよび第2折り目部6bは、いずれも下部支持部材2及び頭部支持部材3の長辺と平行に形成されている。また、第1折り目部6aおよび第2折り目部6bは、それぞれアンダーカットされた切れ目部が形成されて、柔軟に折り曲げ可能とされている。
本実施形態の枕1では、付勢手段7で付勢された一対の傾斜部材6A,6Bを互いに頭部支持部材3の一辺側端部と他辺側端部とに所定間隔を開けて並べて設けており、これらによって頭部支持部材3が下部支持部材2上に支持されている。
【0031】
なお、下部支持部材2は、一辺側(使用者側)に枕1が傾かないように、傾斜部材6Bの下部取り付け部分から一辺側に突出させた傾き防止突出部2aを有している。また、枕1に頭部Hを乗せた時、肩が枕1の傾き防止突出部2aに接触しないように、傾き防止突出部2aは中央部を深く円弧状に切り欠いている。
【0032】
上記下端固定部6cは、いずれも接着剤、ネジまたはリベット等で下部支持部材2上に固定されている。
また、一方の傾斜部材6Aの上部および他方の傾斜部材6Bの下部には、頭部支持部材3が必要以上に高くならないように高さの上限を規制すると共に、一方の傾斜部材6Aおよび他方の傾斜部材6Bが傾斜方向と反対の方向に倒れることを防ぐストッパー6dが設けられている。
【0033】
すなわち、枕1の上下動を実現する為、枕1の頭部支持部材3と一体素材で面支柱の役割を持つ一対の傾斜部材6A,6Bを強力に引き起こす力が働くが、この力は一定位置で停止させなければならない。そのためにストッパー6dが必要となる。この逆動用のストッパー6dは、傾斜部材6A,6Bにその効果を有するように切込みを入れて、図2に示すように、仰向き寝(頭部支持部材3が最低の位置)の時は傾斜部材6A,6Bに対して水平になり、図1に示すように、横向き寝(頭部支持部材3が最高の位置)の時は傾斜部材6A,6Bに対し約70度の角度をなし、それ以上に角度が大にならないように機能している。例えば、傾斜部材6Bの下部に設けたストッパー6dは、図9に示すように、第2折り目部6bから外れた上下2箇所に所定幅で水平な切れ目部6mが形成されていると共に、これら上下の切れ目の両端同士を結ぶラインにスリットを設けることで、一定角度範囲内で柔軟に折り曲げ可能とされている。
【0034】
上記一対の線材Yは、その一端が頭部支持部材3の一辺側下面に取り付けられ、他端側は一方の傾斜部材6Aの形成された挿通孔6eを介して一方の傾斜部材6Aの外側に出て、挿通孔6eに設置された一対の第1ガイド部9Aおよび中間ガイド部9Bを介して延在方向を90度方向転換し、一方の傾斜部材6Aの外面に沿って長辺方向に延在され、さらにそれぞれ一方の傾斜部材6Aの一端側に設置された第2ガイド部9Cを介して逆方向に方向転換し、付勢部材8に取り付けられている。
【0035】
上記第1ガイド部9Aは、図6から図8に示すように、挿通孔6e内に配され線材Yをガイドするローラ部9aとローラ部9aの軸部9bを両側で回転自在に支持する一対の軸支持機構とを有している。これらの軸支持機構は、軸部9bが嵌め込まれる一対の逆L字状軸受部6fと、軸部9bの中間の外周面を支持する一対の外周面軸受部6gと、逆L字状軸受部6fの上部に形成された貫通孔6hに差し込まれて軸部9bの先端側の外周面を支持する一対の棒状支持部11aと、軸部9bの両端部に対向した一対の端部規制部6iとで構成されている。棒状支持部11aは、カバー部材11の天面内から突出して一体成形されたものであり、丸棒部分と該丸棒部分に沿って延在した板状部分とから構成されている。すなわち丸棒部分で軸部9bの外周を支持していると共に、板状部分の下端で、逆L字状軸受部6fの上面を支持している。
【0036】
このように第1ガイド部9Aは、ローラ部9aを挿通孔6eに配した状態で軸部9bを逆L字状軸受部6fに嵌め込み、さらにカバー部材11を被せると共に棒状支持部11aの丸棒部分先端を貫通孔6hに差し込むことで、両軸部9bが回転可能に支持される。このように一対の第1ガイド部9Aは、ローラ部9aの回転軸が水平に配されて設置される。また、上記第2ガイド部9Cは、回転軸を一方の傾斜部材6Aに垂直に配して回転可能に一方の傾斜部材6Aに支持されている。
【0037】
コイルバネである付勢部材8は、図3に示すように、一方の傾斜部材6Aの長辺方向に延在して配された引っ張りバネである。
上記調整機構10は、アジャストボルトである雄ねじ部材13の一端側で雄ねじ部材13を挿通させて回転可能に支持し、一方の傾斜部材6A上に一体成形されたねじ支持部6jを備えている。なお、雄ねじ部材13の他方側は、カバー部材11の側面に形成されたスリット11bに挿通されて支持され、カバー部材11の他端側の側面に配されたダイヤル部14に固定されている。
【0038】
トラベラーである雌ねじ部材12は、雄ねじ部材13に螺合していると共に、下端が一方の傾斜部材6Aに設置されたトラベラーガイド15により雄ねじ部材13の延在方向のみに移動を規制され、自転しないように設置されている。すなわち、ダイヤル部14を回動させることで、雄ねじ部材13を回転させ、トラベラーである雌ねじ部材12が雄ねじ部材13上を移動する。これにより、雌ねじ部材12に取り付けられたコイルバネの付勢部材8が伸縮することで、付勢力が調整される。
【0039】
この調整機構10は、雌ねじ部材12を他端側に移動させるほど、コイルバネの付勢部材8が引き延ばされてその付勢力(張力)を強く設定することができると共に初期(無荷重)及び仰向け姿勢時の頭部支持部材3の高さ調整も可能である。なお、付勢手段7の付勢力(張力)は、横向き姿勢の際にかかる荷重よりも大きく設定すると共に仰向け姿勢の際にかかる荷重よりも小さく設定しておく。
【0040】
なお、カバー部材11には、雄ねじ部材13に沿った長孔11cが形成されており、雌ねじ部材12の上部に設けられた位置表示ピン12aが長孔11c内に挿入されている。
また、この長孔11cに沿ってカバー部材11の上面に、図4に示すように、付勢力の度合いを表示する目盛り部Mが形成されている。この目盛り部Mは、調整ポイントを示すドット表示、文字、記号、凸部または溝部等で形成されている。すなわち、ダイヤル部14を回して雌ねじ部材12が移動すると、長孔11c内に見える位置表示ピン12aの位置と対応する目盛り部Mの表示とから、付勢力(張力)の度合いが容易にわかる。
なお、カバー部材11の固定は、複数のリベット16を一方の傾斜部材6Aに一体成形されて立設したリベット用支柱部6kの上部に差し込んで行っている。
【0041】
この枕1は、布等の素材で縫製した収納カバー17で覆われている。この収納カバー17は、上段と下段とに分かれており、上段の部分にはクッション部5が収納されていると共に下段の部分には頭部支持部材3以下の枕本体が収納されている。この収納カバー17は、図4に示すように、上段と下段とがカバー部材11側の後部に設けられた2つの仕切り用ファスナー17aで閉じられ、クッション部5と枕本体とがずれないようになっている。
【0042】
この収納カバー17の前部および後部には、数カ所に面ファスナー18の一方が縫いつけ又は貼り付けられている。そして、これらの面ファスナー18の一方に対応した面ファスナー18の他方が縫いつけ又は貼り付けてある枕カバー19を着脱可能に取り付けて、クッション部5の上部を覆うことで、収納カバー17が汚れることを防止できる。なお、収納カバー17の下段の後部には、目盛り部Mに対応する領域に窓部17bが形成されており、目盛り部Mが外部から見えるようになっている。
また、枕カバー19は、枕の上部から布等で全体を覆い枕の底面でゴム紐等で絞り、枕全体をすっぽり包むような物や、布等を筒状にして枕をこの中に入れ、両端がはみ出した部分を紐などで結ぶなどした物でもよいが、この場合は底部になる部分には滑り止め効果を持つ材料を用いる。また、布等でクッション部を上から多い、下端部に仕込んだゴムや紐などで絞って簡単に抜けないようにした物を使用してもよい。
【0043】
なお、収納カバー17の底部には滑り止め作用を持つ素材を使用している。
また、収納カバー17の両側面には、枕本体内部構造に手など体の一部が入るのを防ぐ防護カバーとしての目的と、枕1が自動上下する際に横向きに寝ている状態の枕1は最も内部容積が多くなっており、この中の温まった空気を、寝返りして枕1が下がる時に一気に外に押し出すため、この空気の流出入を妨げないようにする目的とから、メッシュ構造等の特徴を持った丈夫な素材を使用している。
【0044】
なお、枕1が扁平状に圧縮されている仰向き寝の状態から横向き寝の状態に寝返る時、枕1の内部容積は最少から最大に拡張するために、外部の冷たい空気を一気に中に吸い込み、温まった枕本体の熱を奪い、また逆の動作で横向き寝の間に枕1の内部に溜まった暖かい空気は一気に外部に放出され、ラジエーター効果を果たす。
上記クッション部5は、頭部支持部材3上面の面ファスナー(図示略)に接着することで着脱可能に取り付けられる。このクッション部5は、低反発や高反発のウレタン等(ソバ殻・プラスチックの粒(多数のパイプ片など)の他、様々なクッション材を入れてよい)を内蔵したものであり、頭部Hや肩が柔らかく包まれるようにしている。
【0045】
次に、本実施形態の枕1における使用者の姿勢変化に伴う高さ調整動作について説明する。
まず、使用者が横向き姿勢で寝ている場合、図1に示すように、使用者の頭部Hは肩部によって高い位置になっていると共に肩部が支えになって頭部支持部材3にかかる荷重が少ない。このため、付勢手段7による付勢力(張力)が頭部支持部材3にかかる荷重による一対の傾斜部材6A,6Bを倒そうとする力を上回り、頭部支持部材3の高い位置状態が維持される。
【0046】
次に、使用者が寝返りをして仰向け姿勢になった場合、図2に示すように、使用者の肩部による支持がなくなるため頭部支持部材3にかかる頭部Hによる荷重が増大する。このため、頭部支持部材3にかかる荷重による一対の傾斜部材6A,6Bを倒そうとする力(傾斜角度θ1を小さくしようとする力)が付勢手段7による付勢力(傾斜角度θ1を大きくする方向に働く付勢力)を上回り、一対の傾斜部材6A,6Bが倒れ、頭部支持部材3が下部支持部材2上に極めて近接した最低位置まで下がる。
【0047】
なお、さらに使用者が寝返りをして仰向け姿勢から横向き姿勢になった場合、上記の逆の動作が行われる。すなわち、頭部支持部材3にかかる荷重が低下することにより、付勢手段7による付勢力が一対の傾斜部材6A,6Bを倒そうとする力を上回り、再び一対の傾斜部材6A,6Bを斜め状態の初期位置まで引き起こすことで、頭部支持部材3を初期の最高位置に上げる。なお、通常、寝返りをうって仰向け姿勢から横向き姿勢とする時は、一旦頭部Hを少しだけ無意識のうちに上げ、姿勢を変える動作を行うので、頭部Hを上げた際の荷重の低下に伴って頭部支持部材3が最高位置に移動する。
【0048】
このように一対の傾斜部材6A,6Bによる頭部支持部材3の支持構造と所定の付勢力に設定した付勢手段7による簡易な構成によって、仰向け姿勢の場合と横向き姿勢の場合との荷重差を利用して、素早くスムーズにかつ異音を発生させることなく頭部支持部材3の高さを自動的に変えることができる。特に、一対の傾斜部材6A,6Bが倒れるという動作によるため、頭部支持部材3が中間的な高さで留まらず、最高位置から最低位置への移動又はその逆の移動を瞬時に素早くスムーズに行うことができる。また、電源や駆動装置等が不要であるため、軽量かつ低コストに作製することができる。
【0049】
したがって本実施形態の枕1は、枕本体が極薄で頑丈な素材(頭部支持部材3、下部支持部材2、傾斜部材6A,6Bおよびカバー部材11)で主に構成され、寝返り時に頭の重さを感知し(横向き寝と仰向き寝の時、頭部Hの支点が異なる為、相対的に枕1にかかる負荷が変動)、瞬時にして静かでかつスムーズに上下動することで最適な寝姿勢を保つことができる。
【0050】
なお、枕1を使用する時は、必然的に睡眠時であるが、睡眠時は人間が無意識の世界に遊ぶため、頭部Hが枕1の中心にうまく載っていることは不可能と言えて、常に枕1の頭部搭載領域(クッション部5の上面)の全域にわたって移動している。本実施形態の枕1では、頭部搭載領域のどの位置(端から端まで)に頭部Hが来ても、スムーズに上下し、その本来の役割を果たすだけでなく、複雑な回動でも付勢手段7のガイド部9A,9B,9Cや付勢部材8を傾斜部材6Aに集約して持つ構造は、その強度及び動作能力を常に維持することが可能で、頭部搭載領域に対する頭部Hの位置を気にせず睡眠することができる。
【0051】
また、枕1の上下動構造は、頭部搭載領域面全体を概して水平に上下させるため、仰向き寝(頭部搭載領域面が最低の位置)の時でも、頭部Hが枕1の中に沈み込むことがないため、顔の側面が解放されていて圧迫感を受けることがない。このため、横向きに寝てテレビを見たり、本を読んだり、並んで寝ている相手と顔を見ながら会話する等の時も、その視界を妨げることがない。
【0052】
上述したように、本実施形態の枕1では、ガイド部9A,9B,9Cおよび付勢部材8が、一対の傾斜部材6A,6Bのうち倒れた際に頭部支持部材3の外側に配される一方の傾斜部材6Aの外面に設置されているので、下部支持部材2にガイド部9A,9B,9Cおよび付勢部材8の設置場所を確保する必要がなく、下部支持部材2の面積を最小限にして全体を小型化することができる。また、ワイヤーや紐等の線材Yによって上記斜め下方に向けて頭部支持部材3を引っ張ると共に、傾斜部材6Aに設置された付勢部材8にガイド部9A,9B,9Cによって線材Yが導かれて接続されているので、頭部支持部材3と下部支持部材2との間に線材Yだけが配されることで、傾斜部材6A,6Bが倒れた際に付勢部材8が邪魔にならず、頭部支持部材3を十分低い位置まで移動させることができる。さらに、頭部支持部材3の他辺側に配された傾斜部材6Aが、傾斜部材が倒れた際に、頭部支持部材3の外側に配される傾斜部材6Aであって、この傾斜部材6A上にガイド部9A,9B,9Cおよび付勢部材8が設置されているので、上下動の邪魔にならないと共に、使用者の肩部の反対側であるため、使用者の邪魔にもならない。
【0053】
また、付勢部材8に線材Yが複数本取り付けられ、これらの線材Yが互いに頭部支持部材3の長辺方向に間隔を開けて別々のガイド部9A,9B,9Cを介して頭部支持部材3と下部支持部材2との間に張設されているので、複数の線材Yによって頭部支持部材3が複数箇所で斜め下方に引っ張られており、引っ張り力が分散してガイド部9A,9Bの負荷が低減されると共に1本の線材Yの場合に比べて安定した動作が可能になる。また、線材Yは強度の強いものを使用し、頭部支持部材3の一辺側または傾斜部材6Bの前部長辺(一辺側)の中央部に張設すれば1本でもよい。
【0054】
また、一方の傾斜部材6A(頭部支持部材の他辺側に配された傾斜部材)にガイド部9A,9B,9Cおよび付勢部材8を覆って取り付けられたカバー部材11を備えているので、ガイド部9A,9B,9Cおよび付勢部材8を外部に露出させずに保護すると共に、カバー部材11が傾斜部材6Aを補強する機能を有し、傾斜部材6Aに加わる応力に対対抗して傾斜部材6Aの撓みを抑制することができる。すなわち、カバー部材11は、傾斜部材6Aに剛性を付加する機能を有し、傾斜部材6Aに対して水平方向にかかる応力に対し強力に対抗すると共に、滑車(ガイド部9A)の軸受(逆L字状軸受部6fおよび外周面軸受部6g)が傾斜部材6Aの撓みによりずれることを防止する役割を兼ねている。さらに、カバー部材11は、付勢部材が伸縮時に発する音を外部に漏らさない消音機の役割をも兼務している。
【0055】
さらに、付勢力の調整機構10も一方の傾斜部材6Aに備えているので、頭部Hの重量や体格等が異なる使用者に対応して付勢力を調整することで使用者毎の個別設定が可能になり、より精度の高い上下動作を得ることができると共に、付勢手段7の他の部材と共に調整機構10も傾斜部材6Aに設置することで小型化を図ることができる。
【0056】
なお、バネ動力を線材Yを介して動作させる際に力の方向を変え、複雑な応力に対抗する為に必要な滑車(ガイド部9A,9B,9C)の軸受(逆L字状軸受部6fおよび外周面軸受部6g)も傾斜部材6Aと一体として成型することで、これらを別途まとめたユニット等を枕本体に合体させる必要がないため、軽量化、故障発生率の低減、低コスト及び組み立て安さのメリットを得られる。
【0057】
また、調整機構10が、付勢力の度合いを表示する目盛り部Mを有しているので、付勢力(引っ張り力)の強さを目盛り部Mにより視覚的に確認可能になる。特に、一方の傾斜部材6Aの外側に目盛り部Mが配されており、枕1の後方側から容易に確認可能である。なお、目盛り部Mを溝等の凹凸で形成することで、視覚のみならず触覚でも付勢力を確認可能にしても構わない。
【0058】
すなわち、コイルバネの調整位置は目盛り部Mの視覚ゲージで確認できるが、同時に調整ポイントを示す部分(位置表示ピン12a)は、上記トラベラー(雌ねじ部材12)の上部を細く削りこんで一体となっていて強度も十分なため、指で触ることができる。この位置は、調整機構10を覆っているカバー部材11の上面に溝状または凹部状に刻んで触覚で読めるゲージ(目盛り部M)とし、視覚的に不自由な人が利用する場合や、照明が不十分な場合でもバネ強度(付勢力)の調整が可能になる。
【0059】
また、雄ねじ部材13の他端に取り付けられたダイヤル部14により雄ねじ部材13を回転させることで、コイルバネ(付勢部材8)の他端が取り付けられている雌ねじ部材12を進退可能であるので、ダイヤル部14を回すだけでコイルバネの伸縮、すなわち付勢力を無段階でかつ微細に調整可能になる。
すなわち、コイルバネの調整機構10は、約90mm長の雄ねじ部材13に雌ネジを有する部品(トラベラーの雌ねじ部材12)がネジ山の数だけ雄ねじ部材13の延在方向に自由に且つ微細に移動し、様々な体格、寝姿勢の癖を持ったほとんどの人に、ダイヤル部14を回すだけで容易に適切なバネ強度調整ができる。
【0060】
なお、コイルバネの調整機構10は、ダイヤル部14を回してバネ強度(付勢力)を下げていくと、やがてバネ強度はゼロになり、さらに同方向に回し続けると付勢力を伝達している線材Yをたるませ、枕全体を薄くすることができる。この状態の枕1は、極めて薄くなるため、旅行などの時、スーツケースに入れて携帯することも可能になる。
【0061】
また、上記のように力の伝達手段である線材Yを弛ませて、再度テンションをかけ、バネ強度を働かせるようにする過程で、線材Yがメカボックス(カバー部材11)の中で絡んでトラブルが発生しないように、滑車(ガイド部9A,9B,9C)と線材Yとその接する部分とのギャップは最少となっていて、且つ緩んだ線材Yがどの部分にも引っかからない構造になっている。
なお、コイルバネを付勢部材8として用いるので、繰り返しの使用にも高い耐久性を有すると共に高い付勢力を得ることができる。
【0062】
なお、本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0063】
例えば、上記実施形態では、下部支持部材及び頭部支持部材が平板で形成されているが、枠構造や格子構造によって略板状に形成されたものでも構わない。この場合、枕全体の軽量化が可能になる。
上記実施形態のように付勢部材としてコイルバネを採用することが好ましいが、板状のゴム材、ねじりバネ及びスプリング丁番、定荷重バネ、板バネやゴム紐等の弾性部材を付勢部材として採用しても構わない。
【0064】
また、頭部支持部材が上下するたびに大量の空気が内外を出入りするので、収納カバーの両サイドのメッシュ構造に適当なポケットを設け、このポケットに芳香剤やポプリなどを入れても構わない。この場合、寝返りの度に起こる枕の上下運動によって、枕本体の空気が流出入する度に睡眠中好みの芳香が顔周辺に漂い、やすらぎ効果を生み、良質の睡眠が得られる。
【0065】
上記実施形態では、板状の下部支持部材、頭部支持部材および傾斜部材を採用しているが、複数の棒状部材を枠状や格子枠状に組み立てまたは一体成形して疑似板状にした下部支持部材、頭部支持部材および傾斜部材でも構わない。この場合、板部材よりも軽量化を図ることができる。
また、線材の一端が頭部支持部材の一辺側の下面に接続されているが、頭部支持部材の一辺側に配された傾斜部材の上部に接続しても構わない。
さらに、ガイド部としてガイドローラを採用しているが、線材が良好に滑る凹曲面を有した滑り材などをガイド部に適用しても構わない。
【0066】
次に本発明の他の実施例を図10を参照して説明する。
図10は、仰向け又は俯せの状態から横向けの状態に変わり、枕が付勢力により最高の高さまで立ち上がった際の枕の最高高さを調整する最高高さ調整部100Aと仰向け又は俯せの状態から横向けの状態に変わる際の枕が付勢力によって、立ち上がる際の付勢力を調整する付勢力調整部100Bを一つの回転部材により、調整する構成を示す。
又、図10、図12及び図14は、図3と同様の切断面を備えた一部断面図である。
付勢力調整部100Bは、図3のコイルバネ調整機構10の手動操作を行う為のダイヤル部14を回転部材109と第2減速歯車117等の組み合わせに置き換えたものである。
図10(a)において、101は、カバー部材であり、図3と同様の大きさ、形状、材質を有しているが、最高高さ調整部100A、回転部材109、電池、制御回路等が増えた分だけ大きくなる場合がある。 図10(b)は、図10(a)を正面とした場合の側面部を示し、図10(b)のx1−x1’の一部を切断した面を図10(a)に示している。 図10(d)は、図10(c)を正面とした場合の側面部を示し、図10(d)のx2−x2’の一部を切断した面を図10(c)に示している。
【0067】
102は、第2線材であり、一端が図12の下部支持部材121の上面部にフック125に取り付け固定され、他端は、貫通孔118を介して、カバー部材101内に配置されている端部が収束して、円錐コイルバネ部103の中空内部で先端が収束した端部に挿入され、固定されている。
103は、一端が円錐状の円錐コイルバネ部であり、円錐状の一端には、第2線材102が挿入固定され、他端は、第2調整雌ねじ部105の係止用フック104に係止固定されている。
105は、トラベラーとして働く摺動用の第2調整雌ねじ部であり、一縁部に係止用フック104が接続し、内部には、棒状雄ねじ部106が貫通する部位に雌ねじが形成されている。
106は、棒状雄ねじ部であり、端部は、前記の第2調整雌ねじ部105を停止させる第2規制部(図示せず)が装着され、第2調整雌ねじ部105がそれより端部方向へ移動しないように配置されている。
107は、軸受部であり、ベアリング等で形成され、外郭がケース部材に固定された状態で、中央に棒状雄ねじ部106が接続し、棒状雌ねじ部106の回転を容易にしている。
108は、減速用歯車であり、棒状雌ねじ部106の他端と接続し、回転部材109の軸部に接続したギヤ111と噛合結合する。
【0068】
109は、回転部材であり、DCモータ、ステッピングモータ、等で形成され、回転する軸部113には、ギア111が装着されている。
110は、切り換え部材であり、プラスチック材を円盤体をカバー部材101の内側に配置し、その周辺の一部が、カバー部材101の外側まで及び手動用つまみ112が装着されている。手動用つまみ112に対向する周縁に回転部材109がその周縁を一致する状態で、すなわち、偏芯した状態で固定している。
【0069】
付勢力調整部100Bにおいて、114は、雄ねじ部材であり、一端に、規制部材6jが接続されている。棒状の雄ねじ部材114の他端は、第2軸受部116の内側と接続している。
115は、トラベラーとして働く雌ねじ部材であり、雄ねじ部材114が貫通する部位に雌ねじが形成されている。又、雄ねじ部材115には、線材Yの一端が接続している。
116は、第2軸受部であり、外郭は、カバー部材101に固定され、内部は、棒状の雄ねじ部材114と接続している。
117は、第2減速歯車であり、回転部材109の軸部113に装着されたギヤ111と噛合結合する形状 配置構成を有する。
付勢力調整部100Bは、棒状の雄ねじ部材115の他端方向に接続する第2軸受部116、第2減速歯車117以外の構成は、図3で示すものと同様の構成をとる。
図10は、カバー部材101内部の一部であり、図12、図14に全体を示した。
【0070】
次に、図10で示す実施例の動作を図11から図14を用いて説明する。
最初に、図10(a)で示す様に、最高高さ調整部100Aに、ギヤ111が、噛合結合する状態で説明する。
図11は、最高高さの調整を行う為の動作を説明するための図であって、図10(a)で示す最高高さ調整部100Aにギヤ111が噛合結合するように、手動用つまみ112を回し固定する。 手動用つまみ112を持って切換部材110を回転させると、ギヤ111は、楕円軌道を描いて移動し、減速歯車108と噛み合い結合する。
固定は、切換部材110と、周囲のカバー部材101の凹凸などにより結合構成が予め形成されている。
図11において、図3と同じ構成を示す部分については、同一の符号を付す等して説明を省略する。
第2線材102は、貫通孔118に伸びる途中、ガイド部9Bがあり、ガイド部9Bの2段滑車の内の一つに沿っている状態を示すが、特にその必要はなく、貫通孔118と直線的に接続されていても良く、又新たにガイドローラを設けて、伸張方向を変更するものであっても良い場合もある。
【0071】
図12は、図11を正面図とした場合、その側面を示す。
121は、下部支持部材であり、図1等で示す実施例と同様の形状、構成を有する。下部支持部材121の頭を載置する側には、横寝の際に、図1で示すように下部支持部材121と肩が触れないように切り欠き部121aが形成されているが、この切り欠き部121aを横断するように接触センサー122が接続している。
接触センサー122は、肩が接触すると電流が流れるスイッチ構成が例示され、当該スイッチのオンによって、例えば、後述する様に枕の高さが自動的に調整される等の動作が行われる。
123と124は、出力強弱、又は、高さ調整の為のスイッチであり、例えばメンブレン状の押圧タイプのスイッチが例示されるが特に形状、構成に限定されることはなく、また、設置部位も特定されないが、寝た状態で設定操作する部位へ設置されることが好ましい。
本実施例では、スイッチ123を押すと、枕の最高高さが高くなり、スイッチ124を押すと、低くなる設定とするが、これは一例であり、スイッチの構成等は、適宜選択される。
【0072】
最高高さ調整部100Aの動作を説明する。
回転部材109の軸部113に接続したギヤ111が一方向に回転すると、減速用歯車108を減速的に回転させ、その回転は棒状雄ねじ部106に伝達する。棒状雄ねじ部106と累合する第2調整雌ねじ部105は、ネジの方向に基づいて、一方向へ摺動する。
例えば図12のスイッチ123を押すと第2調整雌ねじ部105が右方向に移動する様に回転部材109が回転し、円錐コイルバネ部103を介して第2線材102は、右方向へ移動する。
第2線材102が右方向へ移動すると、貫通孔118を介して、下部支持部材121と傾斜部材6Aを互いに引き合うこととなることから、傾斜部材6Aは、下部支持部材121方向へ傾斜する状態となり、スイッチ123の押す状態を停止すると、傾斜部材6Aの傾斜は、その位置で停止する。図12(a)で示す高さから、図12(b)で示す高さの状態となる。
逆に、スイッチ124を押すと、回転部材は、逆回転を行い、減速用歯車108を介して棒状雄ねじ部106を逆回転させることで、第2調整雌ねじ部105を逆方向へ移動させる。
第2調整雌ねじ部105が逆方向へ移動すると、第2線材102の下部支持板121を引く力が弱まり、図12(b)の状態の枕が図12(a)の状態に戻る。
図12のスイッチ124の押すことを止めると回転部材109は、回転を止める。
棒状雄ねじ部106と、第2調整雌ねじ部105は、停止した状態を保持することができ、所定の最高高さを調整可能とする。
【0073】
又、最高高さ調整部100Aは、第2線材102を棒状雄ねじ部106上で、第2調整雌ねじ部105を左右に摺動させて、第2線材102の引張と弛みを行うことで、傾斜部材6Aと下部支持板121間の引き合う力に強弱を加えて横寝の際の最高高さを調整するが、仰向け又はうつぶせ寝の際、図2で示すように下部支持板2と上部支持板3は重ね合う様に倒置すると、第2線材102は、弛みを生じる。円錐コイルバネ部103は、図13(a)で示すように通常、横寝の際、伸張した状態となっている様に設定されていることから、俯せ寝及び仰向け寝の際の図2で示す倒置状態では、図13(b)で示す様に円錐コイルバネ部103の伸張状態が解除されて伸縮し、第2線材102の弛みが解消される。
再び横向け寝の状態となると、枕は、付勢手段n付勢力により立ち上がるが、その際、円錐コイルバネ部103を引くことで、図13(a)で示す様に伸びた状態となっている。
このように、円錐コイルバネ部103の伸縮動作により、急激な立ち上がりが解消され、心地良い眠りが可能となる。
【0074】
次に付勢力調整部100Bについて説明する。
付勢力調整部100Bは、上述したように、図3で示すつまみ14の部分を第2軸受部116及び第2減速歯車117を設けた以外は、同じ構成であるので、説明を省略する。
図10で示す手動用つまみ112を持ち図10(b)の状態から(d)の状態になるように回転させる。
切換部材110が回転する際、回転部材109は、偏芯状態で配置されているため、楕円状に移動し、第2減速歯車117と噛み合い接続する。図10(c)で示す状態となる。
次に図15で示すスイッチ123を押すと回転部材109が所定の回転方向へ回転し、第2軸受部116を介して、雄ねじ部材114を一方向へ回転させる。この回転に基づいて雌ねじ部115は、雄ねじ部材114との累合により、例えば右方向へ移動する。
雌ねじ部115が右方向へ移動すると、線材Yを引くため、付勢部材8の付勢力を増加させることで、上部支持板3を回転しながら持ち上げる力が増加することから、図15(a)で示す仰向け及び俯せ寝の枕の状態から図15(b)で示す横向けに寝返る際の枕の状態となる際の付勢力を大きくすると共に、横向け寝の際の頭の重さによる上部支持部材の沈む様な動作を軽減させる。
スイッチ123の押す状態を停止すると、付勢力を維持した状態で、停止する。
【0075】
次にスイッチ124を押す。例えば押し続けることで、回転部材109は、逆回転を行うと共に第2減速歯車117の減速回転により、第2軸受部116を介して棒状の雄ねじ部115は逆方向に回転し、雌ねじ部115は、逆方向へ移動する。
雌ねじ部115の逆方向への摺動により、付勢手段8は、伸縮し、上部支持板3への付勢力が弱まることで、横向け寝に寝返る際の傾斜部材の付勢力が小さくなる。
図10以降で示した、付勢力、最高高さの自動調整は、電池電源によるDCモータの利用が可能であり、しかも、棒状の雄ねじ部材上を雌ねじ部材の摺動移動によるボールネジ構成と同様の構成により、移動状態を保持することができることから、消費電力も低く抑えることができ、電池駆動による長時間の使用が可能となる。
尚、スイッチ123、124の仕様は、最高高さ調整部100Aと付勢力調整部100Bによって、異なるが、予め、スイッチ123を押すと、最高高さ調整部100A状態では、高さが高くなり、付勢力調整部100Bの付勢力が大きくなる様な雌ねじ部と雄ねじ部のネジの方向を調整することが好ましい場合もある。
尚、最高高さ調整部100Aと付勢力調整部100Bを1つのモーター等の回転部材の移動により、切り換えて回転駆動させる構成は、上記実施例に限るものではなく、その他回転部材の摺動移動構成を用いてもよい場合もある。又、最高高さ調整部100Aは、モーター等の回転部材を用いて調整するだけでなく、手動により調整するものであっても良い場合もある。
【0076】
次に図16(a)(b)に他の実施例を示し、説明する。
図16は、図12で示した接触センサー122の出力に基づいて、枕の付勢力、最高の高さを自動調整する為の実施例を示す。
図16において、161は、電池であり、一次電池、2次電池の組み合わせが例示されるが、DCアダプターの利用などを行っても良い場合もある。
162は、緩み検知センサーであり、例えばストレインゲージ等の圧力センサーを用いることができ、貫通孔118の内面に装着され、第2線材102が、横寝の時の張り詰めた状態等の貫通孔118内面を加圧する際の圧力を測定する為のものである。
図16(b)は、図16(a)の貫通孔118付近を拡大した状態を示す図である。
緩み検知センサー162は、制御部の入力部163aと電気リード線163alを介して接続している。
163は、制御部であり、好ましくは、記憶素子、CPUなどを備えている。
制御部163は、緩み検知センサー162で得られる第2線材102によって加えられる圧力に対応する電気信号を受信して、回転部材であるモータ165の回転時間、回転数などの為の信号を出力する。
スイッチ123、及び124も制御部163に接続しており、例えばスイッチがメンブレンスイッチ等で形成される。
164は、モータ165の回転方向や回転数を調整する為の駆動手段であり、図示は、正逆変換構造を省略的に描いたものであって、実際は、トランジスタ、FETの組み合わせによって構成される。回転数の調整は、モータへの電力を調整する回路により行われ、図示はしていないが、一般的な回路が具備されている。
165は、モータであり、電池駆動用のDCモーターであれば足りるが、位置決め機能等を備えたステッピングモータを利用しても良い。
166は、供給電力調整手段であり、モータ165への供給電力の調整を行う手段である。供給電力調整手段166の調整信号入力部は、制御部の制御信号出力端163dと電気リード線163dlを介して接続している。
接触センサー122は、直接回路のオンオフする構成を示したが、別途電源用のスイッチを設け、この接触センサー122の信号を制御用入力信号としても良い場合もある。
実施例で示す枕の動作は、主に横寝及び横寝への寝返りの際に起動する電源スイッチとして接触センサー122を用いている。
167a、167b及び169は、呼吸センサーの送信部と受信部である。
呼吸センサー送信部167a及び受信部167bは、例えば密閉式空気袋内に好ましくは無指向性マイクロフォン、圧力センサ、心拍、心音、呼吸音、その他の振動を検出する検出センサーを挿入し、いびき、呼吸、心拍数、体動、によって生じる空気袋内の空気圧の変化を検出する構成を用いてもよい。その他、心拍、いびき、その他の体動を静電容量変化に変えて電気信号として検出する静電容量型センサ、感圧センサー、体温、呼吸によって変化する皮膚の表面温度を計測するセンサー、呼吸に関連する骨振動を検出するセンサー等も間接的な呼吸センサーとして用いても良い。
呼吸センサ167aと受信部167bは、無線媒体を介して電気的に接続し、受信部167bは、電気リード線163clを介して、制御部163の入力部163cと接続している。
呼吸センサ169は、電気リード線を介して制御部163の入力部163cと接続する。
呼吸センサ送信部167aと受信部167bとの組み合わせおよび呼吸センサー169は、いずれか一方が備わっていれば良く、両方備わっていても良く、制御部163との電気リード線による接続も図16では、共通状態を示したが、別々に設けても良い。
168は、振動手段であり、偏芯モーター、圧電ブザー、送風機、揺動手段、その他、使用者を覚醒又は半覚醒させるための手段が示される。
振動手段168は、制御部163の振動供給出力端163bと電気リード線163blを介して接続している。 振動供給出力端163bは、振動手段168に制御電力を供給するための駆動回路の出力構成を備えている状態を示した。
その他の構成は、図10等に記載されているので、説明を省略した。
【0077】
次に図16の動作を説明する。
切換部材110は、予め付勢力調整部100Bにモータ165が接続された状態とする。
横寝状態の利用者16Mの肩は、接触センサー122を押すことで、回路160Aが閉じ、動作が開始する。
スイッチ123を押すと、制御部163は、駆動手段164に切り換え信号164aを送信して、切り換え動作を行い、供給電力調整手段166で調整された電力をモータ165へ供給する。
モータ165は、供給された調整電力に基づいて回転を行う。
スイッチ124を押すと、制御部163は、駆動手段164へ、切り換え信号164aを行い、今までに接続を切り換えた状態とする。
この状態で、供給電力調整手段166は、調整された電力をモータ165へ供給することで、モータ165は、逆回転を行う。
【0078】
例えば、利用者16Mは、睡眠に入る前に、スイッチ123、124を操作して、枕の最適な高さを設定して、その状態での緩み検知センサー162の出力圧力値を例えば、記憶用スイッチを別途設け、これを押すことによって記憶する。
又は、複数回の調整によって設定された緩み検知センサー162の圧力値を加算平均して、自動的に最適な圧力値を設定しても良い。
実際の睡眠は、体の緊張が、ほぐれるため、実際に枕に係る重さが、変化することから、最適な状態に設定したとしても、実際は、より頭が重くなることから、沈み込む場合が生じる。
この沈み込みを緩み検知センサー162が圧力として検出して、予め設定した圧力データとの差のデータを得る。
このデータが生じた場合、制御部163は、この差の値を解消する為に駆動手段164へ、切り換え信号164aに切り換え信号を出力し、供給電力調整手段166へ調整された電力を供給する。モータ165は、この切り換え信号164aと供給電力に基づいた回転を行う。モータ165の回転は、ギヤ111を介して第2減速歯車117に伝達され、棒状の雄ねじ部材114を回転させることで、雌ねじ部材115を左右に移動させて、付勢力の調整を行い、例えば沈み込んだ場合は、付勢力を強くする為、雌ねじ部材115を右へ摺動させる。緩み検知センサー162から得られる傾斜データと、予め設定された傾斜情報が一致した時点で、制御部163は、制御を停止させて、常に、快適な横寝を実現することを可能とする。
尚、緩み検知センサーは、あくまで一例であり、その他、枕の高さを計測できる構成を用いてもよい場合もある。
【0079】
又、呼吸状態を監視することができるマイクロフォン等で形成され、例えばいびきを検出する呼吸センサー167aを例えば首に巻き付け装着可能な帯状体167a2に固定したものであって、呼吸センサー167aは、電磁波、赤外線等の無線媒体を用いて呼吸信号を送信し、受信部167bで受信して制御部163へ伝達したり、クッション部5に装着した呼吸センサー169を用いて、呼吸状態を制御部163へ呼吸状態を示す電気信号として伝達したりして、呼吸状態をモニターし、無呼吸状態を検出したタイミングで、振動手段168を振動させて、無呼吸状態を報知する手段を設けても良い。呼吸センサー169は、例えば、酸素濃度、耳内等の体温等を検出する為の構成を用いても良く、少なくとも無呼吸状態またはその状態に等しい状態を直接的又は間接的に検出できるものであればよく、特に限定されない。
【0080】
振動手段168は、偏芯モータを回転させたり、圧電ブザーを鳴らす等の手段、その他、睡眠状態の利用者に報知可能な構成をとり得る。報知は、睡眠を覚醒させる程度の振動、音等の刺激を加える場合や、覚醒までいかず、記録データをとり、覚醒後確認できるものであってもよく、目的に応じた報知であれば良い場合もある。
尚、覚醒とまではいかず、半覚醒状態とする場合は、図10で示す最高高さ調整部100Aと付勢力調整部100Bを断続的に動作させたり、周期的に強弱をつけたりするなどして、モーター音による刺激を含み、枕の高さの変化による刺激を与えても良い。
【0081】
上述した無呼吸状態を検出したタイミングは、例えば、睡眠中、無呼吸症候状態を検知し、更に症状が、ある一定の条件を超えた場合、睡眠から覚醒を促す刺激を出力するシステムを備える。
無呼吸症候群は、例えば、文献(Guilleminaul、et.al.“The sleep apnea syndoromes”Annu.Rev.Med.1976,27:465−84)やその他の関連文献で示される様に、1時間に5回以上 又は、7時間以上の睡眠において、30回以上無呼吸状態(10秒以上の呼吸停止)となる場合を示すことができる。
さらには、単位時間当たりの10秒以上の呼吸停止回数が15回以下を軽度、15から30回を中度、30回以上(重傷)として設定し、これら3つの範囲を、それぞれ目的に応じて閾値として選択しても良く、例えば単位時間当たりの10秒以上の呼吸停止回数が30回以上の場合は、刺激を与え、覚醒させる手段を備えても良い。
【0082】
より具体的な構成の一例を図17に示し説明する。
図17において、171は、呼吸センサーであり、図16の167a、167bで示すような無線、有線方式で、制御部へ電気信号を出力する構成を備えている。
呼吸センサー171は、いびきを検出する呼吸センサー171は、外音、寝言、その他の音、低周波振動、心拍、圧力等を検出し電気信号に変えて出力する。呼吸センサーは、例えば、鼻の近傍に装着して、呼吸により変化する熱を検出するダイメデックスセンサー(登録商標)等、市販されているものを用いても良いが、好ましくは、図16で示す首へ装着して呼吸音を検出する構成が示される。
172は、フィルタであり、呼吸センサー171の出力に対し、ここでは、例えば、呼吸の一つとしていびきの周波数帯のみを通過させるローパスフィルタ、バンドパスフィルタからなる。173は、いびき検出手段であり、フィルタ172を通過して得られた信号から、いびき等の呼吸波形が断続性を有する包絡線状を備えているため、例えばピークホールド回路を用いて、そのピーク値を検出して一つのいびきを一つのいびきパルス出力として検出する。
【0083】
174は、いびき間隔測定手段であり、いびきパルスと次のいびきパルスの間隔を測定し、例えば一つのパルスとして出力する手段である。
175は、比較手段であり、コンパレータ、ワンショットマルチバイブレータの組み合わせ等で構成され、いびき間隔測定手段174で得られた差の値(例えばパルス幅で示される)が、閾値設定手段176で予め設定された無呼吸と決定される値(例えばパルス幅で示される)より大きい場合、無呼吸パルスを出力する。
176は、閾値設定手段であり、予め無呼吸と判断される時間幅をパルス幅として備えたパルスを出力するための手段であり、一般的な無呼吸時間幅をもつパルスの他、使用者個々の呼吸間隔を測定して、無呼吸に相当する時間幅を観測測定した値を備えても良い。又、測定前の事前の測定で、通常の呼吸またはいびきの間隔を測定して、加算平均等を施して、個々人の無呼吸を判断する時間幅を備えたパルス出力を設定しても良い。
【0084】
177は、計数手段であり、カウンタ回路等で形成され、比較手段175から出力された無呼吸信号(例えば、パルス出力として)のパルス数をカウントする。
178は、比較判断手段であり、この計数手段177で得られ得る計数データについて、所定の時間間隔で、例えば無呼吸状態が単位時間当たり30回を超えて、一般的な危険レベルになった時、覚醒信号を、振動手段へ所定時間だけ出力する手段の組み合わせ構成を備えても良い。この所定時間間隔は、例えば1時間程度が例示されるが目的に応じて適宜選択される間隔である。また刺激を加える所定時間は、目的に応じて調整されるが、確実に覚醒させる為に、使用者が止めるまで継続的に刺激を出力しても良い。
179は、刺激手段であり、振動、風、揺動、臭い、音、温度等の刺激として成り立つものを出力するものであり、例えば図16で示した振動手段168等出構成される。
図17で示す構成は、パルス回路として組み合わせたものを示したが、これをプログラムにして、コンピュータによるソフトウェア処理としても良い。
【0085】
図17で示す実施例の動作を説明する。
人体の首、耳たぶ、耳孔、その他に装着された呼吸センサー171は、呼吸に関連する生体情報を電気信号として出力する。呼吸センサー171から出力された生体信号は、フィルタ172を介して、いびき信号を抽出し、いびき検出手段173へ出力される。
いびき検出手段173は、生体信号中のピーク値を検出して、これを立ち上がりとするいびきパルスを形成し、いびき間隔測定手段174へ出力する。
いびき間隔測定手段174は、いびきパルスと次のいびきパルスのパルス間隔を一つのパルスとして形成し、このいびき間隔パルス信号は、比較手段175で、閾値設定手段176で、設定された閾値パルスと比較され、例えば、いびき間隔のパルス幅が、閾値パルス幅より長い場合、比較手段175は、無呼吸状態を示すパルスとして出力する。
【0086】
この無呼吸状態を示すパルスは、計数手段177において、いびきを示すパルスの数がカウントされ、計数値を示す出力値が、比較判断手段178に出力される。
比較判断手段178は、予め設定された時間間隔で、いびきパルスの計数されたパルス数が、いわゆる無呼吸症候群と判定されるパルス数を超えるか判定され、超えた時、危険無呼吸状態と判断され、刺激手段179へ、覚醒、半覚醒、の為の振動、風、揺動、臭い、音、温度等のいわゆる刺激を出力する。更に、医者、看護士、等への報知、又はデータとして記録が行われても良い。
本実施例は、横寝を利用者にあった安定した高さに調節維持することで、横寝の際の上気道閉塞を防止し、無理のない姿勢での睡眠を可能とする他、無呼吸症候群の症状を検出し、程度により、睡眠者に覚醒を促したり、医師、看護士に連絡したりする手段を組み合わせることで、快適な睡眠を可能とすると共に、睡眠時無呼吸症候群に対し的確な対応を可能とする。
【符号の説明】
【0087】
1…枕、
2…下部支持部材、
3…頭部支持部材、
4…支持機構、
5…クッション部、
6A,6B…傾斜部材、
7…付勢手段、
1A,9B,9C…ガイド部、
10…調整機構、
11…カバー部材、
H…使用者の頭部、
Y…線材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
枠状または板状の下部支持部材と、前記下部支持部材に対して上方に配されて使用者の頭部が載置される枠状または板状の頭部支持部材と、前記下部支持部材上に設けられ前記頭部支持部材を上下動可能に支持する支持機構とを備え、
前記支持機構が、下端部が前記下部支持部材に回動可能に連結され上端部が前記頭部支持部材に回動可能に連結されていると共に前記下部支持部材から前記頭部支持部材に向けて互いに同じ向きに傾斜して延在している複数の傾斜部材と、前記傾斜部材を前記傾斜した方向に倒す荷重に対抗して前記傾斜部材を付勢する付勢手段とを備え、前記付勢手段が、前記頭部支持部材の一辺側の下面または前記頭部支持部材の一辺側に配された前記傾斜部材の上部に一端が取り付けられていると共に前記頭部支持部材と前記下部支持部材との間に斜め下方に向けて張設された線材と、該線材の他端に取り付けられ前記頭部支持部材または前記一辺側に配された前記傾斜部材の上部を前記頭部支持部材に対する前記傾斜部材の傾斜角度よりも小さい傾斜角度で前記線材を介して斜め下方に引っ張る付勢部材と、前記線材の他端側を曲げて前記付勢部材に導くガイド部とを有し、前記ガイド部および前記付勢部材が、前記頭部支持部材の他辺側に配された前記傾斜部材の外面に設置されていることを特徴とする枕。
【請求項2】
請求項1に記載の枕において、
前記付勢部材に前記線材が複数本取り付けられ、これらの前記線材が互いに前記頭部支持部材に間隔を開けて別々の前記ガイド部を介して前記頭部支持部材と前記下部支持部材との間に張設されていることを特徴とする枕。
【請求項3】
請求項1または2に記載の枕において、
前記頭部支持部材の他辺側に配された前記傾斜部材に前記ガイド部および前記付勢部材を覆って取り付けられたカバー部材を備えていることを特徴とする枕。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の枕において、前記付勢手段が、付勢力の調整機構を前記頭部支持部材の他辺側に配された前記傾斜部材に備えていることを特徴とする枕。
【請求項5】
請求項4に記載の枕において、
前記調整機構が、前記付勢力の度合いを表示する目盛り部を有していることを特徴とする枕。
【請求項6】
請求項4または5に記載の枕において、
前記付勢部材が、前記線材の他端に一端が取り付けられたコイルバネであり、前記調整機構が、前記コイルバネの他端が取り付けられ該コイルバネの伸縮方向に進退可能にかつ自転不能に前記傾斜部材に設置された雌ねじ部材と、該雌ねじ部材に螺合していると共に前記コイルバネの伸縮方向に延在し回転可能に前記傾斜部材に支持された雄ねじ部材と、前記雄ねじ部材の他端に取り付けられ前記雄ねじ部材を回転させて前記雌ねじ部材を進退可能なダイヤル部とを備えていることを特徴とする枕。
【請求項7】
前記傾斜部と前記下部支持部材間に第2の線材を張設し、前記第2の線材の長さを調整することで、横寝の際の前記下部支持部材と上部支持部材間の最高高さを調節する最高高さ調整手段を備えた請求項1に記載の枕。
【請求項8】
前記最高高さ調整手段と、前記調整機構の調整駆動を回転部材で行う請求項1に記載の枕。
【請求項9】
呼吸センサーにより、無呼吸状態を検出する無呼吸検出手段、前記無呼吸検出手段の検出に基づいて、使用者に刺激を出力する刺激出力手段を含む請求項1に記載の枕。
【請求項1】
枠状または板状の下部支持部材と、前記下部支持部材に対して上方に配されて使用者の頭部が載置される枠状または板状の頭部支持部材と、前記下部支持部材上に設けられ前記頭部支持部材を上下動可能に支持する支持機構とを備え、
前記支持機構が、下端部が前記下部支持部材に回動可能に連結され上端部が前記頭部支持部材に回動可能に連結されていると共に前記下部支持部材から前記頭部支持部材に向けて互いに同じ向きに傾斜して延在している複数の傾斜部材と、前記傾斜部材を前記傾斜した方向に倒す荷重に対抗して前記傾斜部材を付勢する付勢手段とを備え、前記付勢手段が、前記頭部支持部材の一辺側の下面または前記頭部支持部材の一辺側に配された前記傾斜部材の上部に一端が取り付けられていると共に前記頭部支持部材と前記下部支持部材との間に斜め下方に向けて張設された線材と、該線材の他端に取り付けられ前記頭部支持部材または前記一辺側に配された前記傾斜部材の上部を前記頭部支持部材に対する前記傾斜部材の傾斜角度よりも小さい傾斜角度で前記線材を介して斜め下方に引っ張る付勢部材と、前記線材の他端側を曲げて前記付勢部材に導くガイド部とを有し、前記ガイド部および前記付勢部材が、前記頭部支持部材の他辺側に配された前記傾斜部材の外面に設置されていることを特徴とする枕。
【請求項2】
請求項1に記載の枕において、
前記付勢部材に前記線材が複数本取り付けられ、これらの前記線材が互いに前記頭部支持部材に間隔を開けて別々の前記ガイド部を介して前記頭部支持部材と前記下部支持部材との間に張設されていることを特徴とする枕。
【請求項3】
請求項1または2に記載の枕において、
前記頭部支持部材の他辺側に配された前記傾斜部材に前記ガイド部および前記付勢部材を覆って取り付けられたカバー部材を備えていることを特徴とする枕。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の枕において、前記付勢手段が、付勢力の調整機構を前記頭部支持部材の他辺側に配された前記傾斜部材に備えていることを特徴とする枕。
【請求項5】
請求項4に記載の枕において、
前記調整機構が、前記付勢力の度合いを表示する目盛り部を有していることを特徴とする枕。
【請求項6】
請求項4または5に記載の枕において、
前記付勢部材が、前記線材の他端に一端が取り付けられたコイルバネであり、前記調整機構が、前記コイルバネの他端が取り付けられ該コイルバネの伸縮方向に進退可能にかつ自転不能に前記傾斜部材に設置された雌ねじ部材と、該雌ねじ部材に螺合していると共に前記コイルバネの伸縮方向に延在し回転可能に前記傾斜部材に支持された雄ねじ部材と、前記雄ねじ部材の他端に取り付けられ前記雄ねじ部材を回転させて前記雌ねじ部材を進退可能なダイヤル部とを備えていることを特徴とする枕。
【請求項7】
前記傾斜部と前記下部支持部材間に第2の線材を張設し、前記第2の線材の長さを調整することで、横寝の際の前記下部支持部材と上部支持部材間の最高高さを調節する最高高さ調整手段を備えた請求項1に記載の枕。
【請求項8】
前記最高高さ調整手段と、前記調整機構の調整駆動を回転部材で行う請求項1に記載の枕。
【請求項9】
呼吸センサーにより、無呼吸状態を検出する無呼吸検出手段、前記無呼吸検出手段の検出に基づいて、使用者に刺激を出力する刺激出力手段を含む請求項1に記載の枕。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
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【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2012−196454(P2012−196454A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−72378(P2012−72378)
【出願日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【出願人】(510306580)プロフェッサーズ株式会社 (2)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【出願人】(510306580)プロフェッサーズ株式会社 (2)
【Fターム(参考)】
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