説明

枝管継手具

【課題】複数の部材を必要とせず、主管の分岐孔に対する取付作業が容易で、且つ十分な強度をもって確実に取り付けることができる枝管継手具の提供を課題とする。
【解決手段】主管の外側壁に設けられた分岐孔に挿着され且つ枝管300を受け入れる円筒状本体200を備え、円筒状本体200には分岐孔の周縁の外側壁に着座する鍔部240と、外側壁に内側から当接する複数の爪片220、230とを設け、鍔部240と爪片220、230とにより外側壁を挟み込むことで円筒状本体200を主管に固定するようにした枝管継手具であって、鍔部240は円筒状本体200の外側壁から張り出すように一体形成し、複数の爪片220、230の少なくとも1つ220を円筒状本体200に回動可能に軸支すると共に、回動された際に爪片220の先端部が円筒状本体200の下端から外側方に張り出して分岐孔周縁に内側から当接するように構成してある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は枝管継手具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、大径の主管に対して枝管を取り付ける場合には、サドル付きソケットを使用したものがあった。
一方、特開2006−105250号公報には、下水本管(2)の開口部(3)の周縁に係止される2つの係止爪(4、5)が設けられた係止部材(6)と、下水本管(2)に装着されるサドル部材(7)と、取付管を接続する接続部材(9)が設けられ、一方の係止爪(4)を枢着ピン(11)で係止部材(6)に枢着して回動可能にした接続支管が提供されている。
また特許第3468427号公報には、本管(1)に分岐孔(4)を設け、その分岐孔(4)に対して掴持部材(21)のL字状の掴持爪(26)を予め折曲、縮径して挿入し、分岐孔(4)の外周面にサドル部(25)を当てがい、拡径用筒部(31)を掴持部材(21)に押し込み、これによって掴持爪(26)を拡径し、係止突条(27)が係止溝(28)に嵌合されて、支管(3)が本管(1)に固定されるようにした合成樹脂製支管が提供されている。
また特開平5−99389号公報には、継手(1)の一端部に差口(2a)を設け、その先端に行くに従って継手内方側に位置するように全体的に湾曲された複数の弾性係止片(2c、2c)を形成し、その係止片(2c、2c)の先端部の外面にかえり(2d、2d)を突設した分岐部接合用継手、取付管及び分岐部接続構造が提供されている。
また特開平4−102792号公報には、受口(1)と差口(2)とを有する支管継手が形成され、差口(2)先端部に本管(A)の接続孔(3)の内壁面に係止するための突起縁(5)と、差口(2)先端部の縮径を容易にするための複数の軸方向切欠き(4)を有し、本管(A)への挿入は差口(2)先端部の縮径を必要とするため縮径ジグ(10)を用いて行い、且つその縮径姿勢を一時的に保持するための縮径保持用リング(6)及びその連結係止部材(12)を解除可能に設けた支管継手が提供されている。
【特許文献1】特開2006−105250号公報
【特許文献2】特許第3468427号公報
【特許文献3】特開平5−99389号公報
【特許文献4】特開平4−102792号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記特許文献1に示す接続支管は、下水本管(2)の開口部(3)の周縁に係止する係止部材(6)の2つの係止爪(4、5)の一方の係止爪を内側に回動させて前記開口部(3)に挿入し、前記2つの係止爪(4、5)を開口部に直角に嵌入させて、前記係止部材(6)の上部にはサドル部材(7)を挿着して定着するようにし、該サドル部材(7)の上部には取付管を接続する接続部材(9)を螺着し、3つの部材を用いて接続支管を取り付けるようにしているので、部材が複数となり、取り付けの面倒さや製作コスト等、またサドル部材(7)と接続部材(9)との部材間の接続強度にも問題があった。
上記特許文献2に示す合成樹脂製支管は、本管(1)の分岐孔(4)に、掴持部材(21)のL字状の掴持爪(26)とサドル部(25)とで掴持して取り付け、拡径用筒部(31)を掴持部材(21)に押し込んで掴持爪(26)を拡径し、係止突条(27)が係止溝(28)に嵌合することで取り付けられるので、前記拡径用筒部(31)がグラつくことで掴持爪(26)とサドル部(25)とが抜脱しやすい問題等があった。
上記特許文献3に示す分岐部接合用継手、取付管及び分岐部接続構造は、継手内に取付管(4)の差口(4a)を挿入することで本管(3)の接続孔(3a)の孔縁部内面側にかえり(2d)を係止させ、継手の差口(2a)とかえり(2d)との間の弾性係止片(2c)に本管(3)の接続孔(3a)の孔縁を嵌着させて接続されるものであるが、かえり(3d)と接続孔(3d)との係止だけで接続されるので強度が弱く、また取付管(4)については管先を継手の差口(2a)と同じ口径に形成した専用管を必要とする問題があった。
上記特許文献4に示す支管継手は、先端部に本管(A)の接続孔(3)の内壁面に係止するための突起縁(5)と、差口(2)先端部の縮径を容易にするための複数の軸方向切欠き(4)とを形成したことで、本管(A)の接続孔(3)に突起縁(5)を弾性係止できるものであるが、差口(2)先端部を縮径する縮径ジグ(10)や、縮径姿勢を一時的に保持するための縮径保持用リング(6)及びその連結係止部材(12)等、挿入の際に必ず部材を必要とする面倒さと、突起縁(5)だけで接続されるので強度が弱い問題があった。
【0004】
そこで本発明は上記従来技術の問題を解決し、複数の部材を必要とすることなく、一体物とし、それによって部品点数を少なくし、また主管の分岐孔に対する取付作業が容易で、且つ十分な強度をもって確実に取り付けることができる枝管継手具の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を達成するための発明の枝管継手具は、主管の外側壁に設けられた分岐孔に挿着され且つ枝管を受け入れる円筒状本体を備え、該円筒状本体には前記主管の分岐孔の周縁の外側壁に着座する鍔部と、主管の分岐孔の周縁の外側壁に内側から当接する複数の爪片とを設け、鍔部と爪片とにより前記外側壁を挟み込むことで前記円筒状本体を主管に固定するようにした枝管継手具であって、
前記鍔部は前記円筒状本体の外側壁から張り出すように一体形成し、前記爪片は複数の爪片の少なくとも1つを前記円筒状本体に回動可能に軸支すると共に、回動された際に爪片の先端部が前記円筒状本体の下端から外側方に張り出して前記分岐孔周縁に内側から当接するように構成してあることを第1の特徴としている。
また本発明の枝管継手具は、上記第1の特徴に加えて、爪片は、円筒状本体の内壁面に設けた凹部に軸支され、枝管が前記円筒状本体に挿入された際に、枝管に押されることで前記凹部に嵌入されて前記円筒状本体の内壁面と面一になるように構成されていることを第2の特徴としている。
また本発明の枝管継手具は、上記第2の特徴に加えて、爪片は、その厚みを円筒状本体の凹部の厚みと同じにしてあることを第3の特徴としている。
また本発明の枝管継手具は、上記第1〜第3の何れかの特徴に加えて、爪片は、その先端部において、主管の内周に沿う円弧形状の爪部を形成してあることを第4の特徴としている。
また本発明の枝管継手具は、上記第2〜第4の何れかの特徴に加えて、爪片には、円筒状本体の内壁面の凹部に爪片を仮止め状態に保持する仮止め手段を設けてあることを第5の特徴としている。
また本発明の枝管継手具は、上記第5の特徴に加えて、仮止め手段は、爪片を円筒状本体の内壁面の凹部へ弾性的に嵌入させるために、爪片に設けられた膨出部からなることを第6の特徴としている。
また本発明の枝管継手具は、上記第1〜第6の何れかの特徴に加えて、円筒状本体には、枝管の受入れ深さを規制する規制段部を形成してあることを第7の特徴としている。
また本発明の枝管継手具は、上記第7の特徴に加えて、爪片には、その背面に規制段部の形状と一致する受圧段部を形成し、枝管が円筒状本体に挿入されてきた際に枝管の挿入圧を受圧するようにしてあることを第8の特徴としている。
【発明の効果】
【0006】
請求項1に記載の枝管継手具によれば、主管の外側壁に設けられた分岐孔に挿着され且つ枝管を受け入れる円筒状本体を備え、該円筒状本体には前記主管の分岐孔の周縁の外側壁に着座する鍔部と、主管の分岐孔の周縁の外側壁に内側から当接する複数の爪片とを設け、鍔部と爪片とにより前記外側壁を挟み込むことで前記円筒状本体を主管に固定するようにした枝管継手具であって、前記鍔部は前記円筒状本体の外側壁から張り出すように一体形成し、前記爪片は複数の爪片の少なくとも1つを前記円筒状本体に回動可能に軸支すると共に、回動された際に爪片の先端部が前記円筒状本体の下端から外側方に張り出して前記分岐孔周縁に内側から当接するように構成してあるので、
枝管継手具が、円筒状本体と該円筒状本体の外側壁に張り出されて一体形成された鍔部と、同じく円筒状本体に設けられた複数の爪片とからなるので、1つの部品で済ますことができる。よって複数の部品をそれぞれ用意することなく、枝管の接続作業を行うことができ、部品点数の軽減効果による製作コストの低減と配管取付作業の効率を高めることができる。
また円筒状本体に設けられる複数の爪片のうち、少なくとも1つについては、これを円筒状本体に回動可能に軸支するようにしているので、この回動可能な爪片を分岐孔の孔心方向に回動させておくことで、円筒状本体を容易に主管の分岐孔に挿入させることができる。よって円筒状本体の主管への取付作業を容易に行うことができる。しかも残りの爪片は円筒状本体に予め固定状態に形成しておいても、円筒状本体の分岐孔への挿入は可能であるので、多数の爪片をあれこれ操作することもなく、取付作業が容易に行える。
そして円筒状本体を主管の分岐孔に挿入した後においては、円筒状本体に軸支させた爪片を回動させることで、その先端部を円筒状本体の下端から外側方に張り出させて分岐孔周縁に内側から当接させることができる。よって取付作業が容易に行える。
また円筒状本体の主管の分岐孔への固定は、鍔部と複数の爪片とによって主管の分岐孔周縁を挟み込むことで行うので、固定を十分強固に且つ確実に、安全に行うことができる。
【0007】
請求項2に記載の枝管継手具によれば、請求項1の構成による作用効果に加えて、爪片は、円筒状本体の内壁面に設けた凹部に軸支され、枝管が前記円筒状本体に挿入された際に、枝管に押されることで前記凹部に嵌入されて前記円筒状本体の内壁面と面一になるように構成されているので、
回動可能とした爪片は、枝管の挿入によって、円筒状本体の内壁面に面一になるまで凹部に嵌入されるので、爪片が枝管の挿入の邪魔になることはなく、枝管のスムーズな挿入を確保することができる。
また爪片は前記枝管の挿入によって凹部に面一になるまで嵌入されることで、爪片の回動が確保され、爪片の先端部の円筒状本体の下端から外側方への十分な張り出しを確保することができる。よって爪片と鍔部とによる主管外側壁の挟み込みを、より確実に行うことが可能となる。
勿論、仮止め手段がなくても、枝管の挿入だけで爪片を張り出し位置まで回動させることができる。
【0008】
請求項3に記載の枝管継手具によれば、請求項2に記載の構成による作用効果に加えて、爪片は、その厚みを円筒状本体の凹部の厚みと同じにしてあるので、
爪片が枝管に押されて円筒状本体の凹部に嵌入された際に、凹部内でガタつくことがない。よって爪片の先端部を分岐孔の周縁の外側壁の内側に安定して、且つ確実に当接させることが可能となる。
【0009】
請求項4に記載の枝管継手具によれば、請求項1〜3の何れかに記載の構成による作用効果に加えて、爪片は、その先端部において、主管の内周に沿う円弧形状の爪部を形成してあるので、
爪片を、その先端部の円弧状の爪部によって、主管の分岐孔の周縁の外側壁の内側にぴったりと当接させることが可能となる。これにより鍔部と爪部とによる挟み込みを確実に、安定して行うことができる。
【0010】
請求項5に記載の枝管継手具によれば、請求項2〜4の何れかに記載の構成による作用効果に加えて、爪片には、円筒状本体の内壁面の凹部に爪片を仮止め状態に保持する仮止め手段を設けてあるので、
円筒状本体を主管の分岐孔に挿入した後、枝管を円筒状本体に挿入するまでの間において、爪片をぶらつかせることなく、回動された位置付近に仮保持させることができる。よって枝管の挿入時に、該枝管をスムーズに挿入させることができる。また枝管が挿入されたときに、爪片をスムーズに最終回動位置まで回動させることができる。よって作業をスムーズに、確実に行うことができる。
【0011】
請求項6に記載の枝管継手具によれば、請求項5に記載の構成による作用効果に加えて、仮止め手段は、爪片を円筒状本体の内壁面の凹部へ弾性的に嵌入させるために、爪片に設けられた膨出部からなるので、
爪片にちょっとした膨出部を設けるだけで、容易に爪片を凹部に弾性的に嵌入して仮止めさせることができる。
【0012】
請求項7に記載の枝管継手具によれば、請求項1〜6の何れかに記載の構成による作用効果に加えて、円筒状本体には、枝管の受入れ深さを規制する規制段部を形成してあるので、
前記枝管の前記主管への貫入を防止することができると共に、枝管を主管に接続させる際の接続深さを正確に定めることができる。
【0013】
請求項8に記載の枝管継手具によれば、請求項7に記載の構成による作用効果に加えて、爪片には、その背面に規制段部の形状と一致する受圧段部を形成し、枝管が円筒状本体に挿入されてきた際に枝管の挿入圧を受圧するようにしてあるので、
挿入されてきた枝管の圧力によって爪片を確実に回動させて、その先端部を主管の分岐孔周縁の外側壁の内側に当接させる方向に位置付けることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下の図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。
図1は本発明の実施形態に係る枝管継手具を示す斜視図、図2は本発明の枝管継手具の下端側である底面図、図3は図2のA−A断面図、図4は図2のB−B断面図、図5は軸支爪片の仮止め状態を示す拡大断面図、図6は軸支爪片の正面図、図7は軸支爪片を示す斜視図、図8は円筒状本体の下端の凹部を示す斜視図である。
【0015】
本発明の枝管継手具は、図3に示す主管100の分岐孔110に対して取り付けられる円筒状本体200からなる。円筒状本体200には図1に示す枝管300が挿入される。これにより主管100に枝管300が接続されることになる。
即ち、円筒状本体200は、前記分岐孔110と枝管300との間を介して接続するための枝管継手具として形成される。
【0016】
円筒状本体200は円筒部210を備え、複数の爪片220、230と、鍔部240を設けている。
円筒状本体200は、その円筒部210の下端に下端開口縁211を設け、該下端開口縁211には外方に張り出す前記爪片220、230を設けている。
また円筒状本体200の円筒部210の下端付近の外側壁に鍔部240を設けている。
また円筒状本体200の円筒部210には、その上端側に枝管300の挿入を受け入れる枝管挿入口212を形成している。
また円筒状本体200の円筒部210の下部の内壁面に凹部213を形成している。該凹部213は円筒部210の下端に向けて開放された凹部とされている。凹部213は厚肉外壁部213a、凹部溝213b、及び一対の軸受孔213cからなる。凹部213には、前記爪片220が軸支される。
また円筒状本体200の円筒部210には、その途中の内周壁に前記枝管300の受入れ深さを規制する規制段部214を形成している。該規制段部214は、枝管300の受入れ深さを規制するための段部である。枝管300を必要以上に挿入させることなく、また枝管300の差し込み不足も防止して、所定の位置に接続させることができる。
【0017】
前記複数の爪片220、230は、本実施形態においては、円筒状本体200の円周方向の2箇所に180度の間隔をもって設けられており、一方の爪片220を回動可能に軸支された軸支爪片220とし、他方の爪片230を固定爪片230としている。
本実施形態では爪片の数は2つとしているが、これに限定されるものではなく、2つ以上の複数を円周の回りに均等に配することができる。なお全ての爪片を固定爪片230にした場合には、円筒状本体200を主管100の分岐孔110に挿入することができなくなる。このため、円筒状本体200を主管100の分岐孔110に挿入することができる程度に、少なくとも1つを軸支爪片220とする。軸支爪片220を1以上いくつ設けるかは限定されない。
また2つの爪片220、230を何れも回動可能なものとして、相互に180度の間隙をもって設けてもよい。この場合には、一対の回動可能な爪片220、230を何れも円筒状本体200内に収納した状態(外側に張り出さない状態)に保持したままで、円筒状本体200を分岐孔110に差し入れることができる。よって爪片220、230が邪魔にならないので、円筒状本体200を分岐孔110の軸心に対して真っ直ぐに、傾くことなく差し入れることができる。このように円筒状本体200を分岐孔110に対して傾くことなく差し入れることができると、該円筒状本体200に設けた鍔部240の下面にブチルゴム等の粘着性接着剤或いはシール材を施している場合においても、作業途中において前記接着剤が不本意なところに接着して作業を難しくすることなく、鍔部240を容易に且つ正確に最終着座位置に着座させることができる。
【0018】
前記固定爪片230は円筒状本体200の円筒部210の下端開口縁211に外向きに張り出した爪部231として一体成形している。爪部231の形状は前記主管100の内周に沿う円弧形状としている。これにより主管100の分岐孔110の周縁の外側壁の内側に沿ってぴったりと当接させることができる。
【0019】
前記軸支爪片220は、前記円筒状本体200の内壁面に形成された凹部213に軸支され、回動可能とされている。
即ち軸支爪片220は、その上部の両側部に設けた軸ピン224で凹部213の上部の両側壁に設けた軸受孔213cに軸支される。
軸支爪片220の先端部(下端部)に、略直角方向に外向きに張り出した爪部221を形成している。この爪部221の形状自体は前記した固定爪片230の形状と同様である。即ち、爪部221の形状は前記主管100の内周に沿う円弧形状としている。これにより主管100の分岐孔110の周縁の外側壁の内側に沿ってぴったりと当接することが可能となる。
軸支爪片220は、枝管300を挿入した際に、該枝管300に押されることで、凹部213内に嵌入されて、円筒状本体200(円筒部210)の内壁面と面一になるように軸支されている。
また軸支爪片220の厚みを凹部213の厚み(深さ)と同じにしている。これによって、軸支爪片220が凹部213に嵌入されたときに、凹部213に過不足なく収容され且つ前記円筒状本体200(円筒部210)の内壁面と面一になる。そしてこの状態で、前記した爪部221が円筒状本体200の下端から外側方に張り出して、分岐孔110周縁の外側壁の内側に丁度当接する構成とされている。軸支爪片220が凹部213に過不足なく収容され且つ面一になることで、軸支爪片220がガタツクことがなくなるので、爪部221が確実に分岐孔110周縁の主管100の外側壁をとらえ、抜けたり外れたりすることが確実に防止される。また軸支爪片220の耐破損強度が十分に向上する。
【0020】
軸支爪片220には仮止め手段として、膨出部222を設けている。膨出部222は、前記爪片220の上部に凹部213に向けて膨出する円弧状の凸状の帯として形成される。この膨出部222に対応して凹部213に凹部溝213bが形成されている。膨出部222が凹部溝213bに少し入った状態で弾性嵌合する。これにより、軸支爪片220が凹部213に仮止めされる。
【0021】
軸支爪片220には、その背面に受圧段部223を形成している。受圧段部223は前記した円筒状本体200の円筒部210の規制段部214の形状と一致するように形成されている。枝管300が前記円筒部210に挿入されてきた際に前記受圧段部223で枝管300の先端を受けることで、挿入圧を受圧して、軸支爪片220を確実に回動させて、軸支爪片220を凹部213に面一に嵌入させ、爪部221を分岐孔110周縁の外側壁の内側に当接させる。
【0022】
前記凹部213は、該凹部213の裏面となる前記円筒部210の外壁を、厚肉外壁部213aとして、凹部213の形状に対応した形で肉厚にすることで形成している。凹部213の部分だけを厚肉外壁部213aとすることで、材料を節約することができる。
【0023】
前記円筒状本体200の円筒部210の下端付近の外側壁に設けられている鍔部240は、円筒部210の側周壁から張り出すように一体形成されている。その鍔部240の形状は、主管100の外側壁の形状に沿うようにサドル形状とされている。これによって鍔部240が分岐孔110の周縁の外側壁にぴったりと接面する状態に着座される。
この鍔部240と前記固定爪片230との間隙に対して、主管100の分岐孔110周縁が丁度入りって込むことになる。また前記軸支爪片220の爪部221が円筒状本体200の下端から外側方に張り出すことで、主管100の分岐孔110周縁が鍔部240と前記軸支爪片220とで挟まれることになる。
【0024】
前記鍔部240の下面(主管100の外側壁に着座する面)には密着性、防水性を向上させるためにシール材を施すことができる。また着座させた際に、接着剤によって接着させることができる。
【0025】
上記のような構成において、枝管300の接合作業を説明する。
まず枝管300を接続する主管100の位置を決めて、ホールソー等により円筒状本体200の下端開口縁211の外径に合う分岐孔110を開ける。
次に、円筒状本体200の軸支爪片220を内側に回動させた状態で、該円筒状本体200を分岐孔110内に差し入れて、鍔部240を分岐孔110の周縁の外側壁に着座させ、挿着を完了する。
更に軸支爪片220を外方に回動させて、仮止め状態にする。
この状態で枝管300の受け入れ態勢が整う。
次に枝管300を円筒状本体200に挿入する。枝管300の先端が前記軸支爪片220に当接して押動し、軸支爪片220を凹部213内に嵌入させる。そして枝管300の先端が軸支爪片220の受圧段部223に達し、更に円筒状本体200の規制段部214に達したところで、枝管300のそれ以上の侵入が停止され、接続が完了する。この時点で、前記軸支爪片220の爪部221が前記分岐孔110周縁に内側から当接する状態となる。これによって、枝管300の配管作業(接続作業)の完了と同時に枝管接続具としての円筒状本体200の装着が完了する。
【0026】
なお、円筒状本体200の円筒部210内壁に接着剤を施して、枝管300を受け入れた状態で両者の接着がなされるようにしてもよい。
また円筒状本体200の円筒部210の内孔にはOリングやその他のゴムリングの取付部を設けて、枝管300との接続の水密性を確保するようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の実施形態に係る枝管継手具の斜視図である。
【図2】本発明の枝管継手具の下端側の底面図である。
【図3】図2のA−A断面図である。
【図4】図2のB−B断面図である。
【図5】軸支爪片の仮止め状態を示す拡大断面図である。
【図6】軸支爪片の正面図である。
【図7】軸支爪片を示す斜視図である。
【図8】円筒状本体の下端の凹部を示す斜視図である
【符号の説明】
【0028】
100 主管
110 分岐孔
200 円筒状本体
210 円筒部
211 下端開口縁
212 枝管挿入口
213 凹部
213a 厚肉外壁部
213b 凹部溝
213c 軸受孔
214 規制段部
220 軸支爪片
221 爪部
222 膨出部
223 受圧段部
224 軸ピン
230 固定爪片
231 爪部
240 鍔部
300 枝管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
主管の外側壁に設けられた分岐孔に挿着され且つ枝管を受け入れる円筒状本体を備え、該円筒状本体には前記主管の分岐孔の周縁の外側壁に着座する鍔部と、主管の分岐孔の周縁の外側壁に内側から当接する複数の爪片とを設け、鍔部と爪片とにより前記外側壁を挟み込むことで前記円筒状本体を主管に固定するようにした枝管継手具であって、
前記鍔部は前記円筒状本体の外側壁から張り出すように一体形成し、前記爪片は複数の爪片の少なくとも1つを前記円筒状本体に回動可能に軸支すると共に、回動された際に爪片の先端部が前記円筒状本体の下端から外側方に張り出して前記分岐孔周縁に内側から当接するように構成してあることを特徴とする枝管継手具。
【請求項2】
爪片は、円筒状本体の内壁面に設けた凹部に軸支され、枝管が前記円筒状本体に挿入された際に、枝管に押されることで前記凹部に嵌入されて前記円筒状本体の内壁面と面一になるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の枝管継手具。
【請求項3】
爪片は、その厚みを円筒状本体の凹部の厚みと同じにしてあることを特徴とする請求項2に記載の枝管継手具。
【請求項4】
爪片は、その先端部において、主管の内周に沿う円弧形状の爪部を形成してあることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の枝管継手具。
【請求項5】
爪片には、円筒状本体の内壁面の凹部に爪片を仮止め状態に保持する仮止め手段を設けてあることを特徴とする請求項2〜4の何れかに記載の枝管継手具。
【請求項6】
仮止め手段は、爪片を円筒状本体の内壁面の凹部へ弾性的に嵌入させるために、爪片に設けられた膨出部からなることを特徴とする請求項5に記載の枝管継手具。
【請求項7】
円筒状本体には、枝管の受入れ深さを規制する規制段部を形成してあることを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載の枝管継手具。
【請求項8】
爪片には、その背面に規制段部の形状と一致する受圧段部を形成し、枝管が円筒状本体に挿入されてきた際に枝管の挿入圧を受圧するようにしてあることを特徴とする請求項7に記載の枝管継手具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−236283(P2009−236283A)
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−86135(P2008−86135)
【出願日】平成20年3月28日(2008.3.28)
【出願人】(000000505)アロン化成株式会社 (317)
【Fターム(参考)】