説明

枯草菌が生成する機能性物質を含む液の利用法

【課題】 化学物質を用いないで、人体に有用な植物の機能性物質を生成する。
【解決手段】 枯植物を水に浸し、水温を20℃〜50℃に保って、酸素が十分に供給されていると、枯植物に宿る枯草菌は旺盛な増殖力で植物の有機物を分解し、水中に多量の機能性物質が生成している液体をつくる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水中に枯植物(とりたて、つみたての植物を含む)を入れ、枯植物に宿る枯草菌が植物の有機物を分解しながら増殖して、水中に機能性物質が生成する現象を利用する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特願2010−217829の発明の名称「枯草菌電池」で、本発明者は、枯植物を入れた水中では経時とともに枯草菌が増殖する過程で、増殖の栄養源としての枯植物中の有機物を分解し、生じた電解質が水中でイオンとなって電離しており、水中に正と負の電極を挿入すると、イオンの働きで発電するので、枯植物中の有機物が存在する限り、発電を続けることを示した。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
枯草菌は食品の納豆にも含まれ、毒素の生産性や人体への寄生性がない安全な菌株である(学会出版センター発行「特異な機能を有する微生物とその応用」P57山根國男著)ので、食品の原料となる食材植物にも宿る枯草菌によって、機能性物質が富んでいる食品をつくることを考えた。
枯植物に宿る枯草菌は増殖する時、枯草菌の一種である納豆菌と同じように、植物の有機物を分解して人体にとって優れた機能性物質を生成する。従って、多くの機能性物質を効率的に生成するために、枯草菌が増殖しやすい環境を保つことが課題である。
【課題を解決するための手段】
【0004】
枯草菌は、枯植物が20℃から50℃の水中にあって、酸素が十分に供給されていることが、良好な増殖条件である。
枯草菌が増殖によって生成する機能性物質には電解質も含まれるので、機能性物質の生成量は、電解質を用いて推察できる。
電解質の生成は、枯植物が入っている水中に正と負の電極を挿入し、電圧と電流を計ることによって分かる。
時間の経過と機能性物質の生成効率を、食品の原料となる次の検体によって調べた。
1.米ヌカ 2.小麦フスマ 3.ソバ粉 4.乾燥大豆 5.ホウレン草
これらの検体(各20g)を図1のような水(水道水、水温36℃)に入れて攪拌し、入れた直後と24時間後に電圧と電流(電流は計器接続直後)を計測した。
計測値は、各3回試行した平均値である。
【0005】
1.米ヌカ 水浸直後 1.13V 8.0mA
24時間後 1.08V 12.0mA
2.小麦フスマ 水浸直後 1.06V 5.8mA
24時間後 1.05V 14.0mA
3.ソバ粉 水浸直後 1.17V 5.8mA
24時間後 1.17V 19.0mA
4.乾燥大豆(粗い粒にする) 水浸直後 1.10V 3.8mA
24時間後 1.16V 23.0mA
5.ホウレン草(5mm位に細断) 水浸直後 1.07V 1.8mA
24時間後 1.12V 13.0mA
【0006】
経時で検体の水中での電流値が大きくなり、電解質が増加することが〔0005〕で示されたことによって、他の機能性物質の増加も推察でき、枯草菌が良好な増殖環境に存在することが、課題を解決するための手段であることが分かった。
【発明の効果】
【0007】
化学物質を関与させず、納豆菌によって栄養価に富む納豆ができるように、枯草菌の増殖作用のみで植物の機能性物質を生成できることが〔0005〕によって示された。
この現象を食品の製造に用いられることを見出したのが、発明の効果である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
枯草菌の増殖作用で生成増量した植物機能性物質が存在する液体を、枯草菌増殖の基になった植物名を付ける。
例えば、枯草菌増殖の基になった植物が米ヌカなら米ヌカ発酵液、小麦フスマなら小麦フスマ発酵液、ソバ粉ならソバ粉発酵液、乾燥大豆なら大豆発酵液、ホウレン草ならホウレン草発酵液、等々と名付ける。そして例えば、
1.うどん、きしめん等小麦を原料として乾麺をつくる時に使う水を、小麦フスマ発酵 液にすることにより、機能性物質分が多い乾麺ができる。
2.ソバの乾麺をつくるのに、ソバ粉発酵液を用いると、機能性物質分が多いソバの乾 麺ができる。
3.納豆の原料大豆を煮るのに、大豆発酵液を用いると、機能性物質分が豊かな納豆が できる。
4.餃子の皮をつくる時、小麦粉のつなぎに小麦フスマ発酵液を用いると、機能性物質 分が多い餃子の皮ができる。
5.ソバつゆにソバ粉発酵液、ホウレン草発酵液を用いると、機能性物質分が多いソバ つゆができる。
6.商品にならないクズ大豆で大豆発酵液をつくると、機能性物質分が豊かな大豆ジュ ースができる。
以上のように、食品製造に使う水に枯草菌増殖によって機能性物質が増えた植物発酵液を用いることにより、栄養分が多い食品をつくることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】 枯植物を水中に入れ、枯植物に宿る枯草菌が植物の有機物を栄養源として増殖し、水中に電解質や機能性物質が生成していることを検証する装置の縦断面図。
【符号の説明】
【0010】
1 正極(炭素:φ5mm×100mm長)
2 負極(亜鉛:φ5mm×100mm長、又は巾5mm×厚1mm×100mm長)
3 枯植物を入れた水

【特許請求の範囲】
【請求項1】
枯植物が20℃から50℃の水中にあって、酸素が十分に供給されていると、枯植物に宿る枯草菌は、植物の有機物を旺盛な増殖力で分解しながら無機物とし、水中には電解質ができてイオンとなって電離するとともに、人体に有用な機能性物質が生成している液体ができる。食品原料の食材植物も枯植物であり、枯草菌が宿っている。
液体中の電解質と他の機能性物質は、枯草菌の増殖条件が満されていると、その生成量が多い。
この液体を精製して、栄養価に富んだ食品を製造することに用いる方法。

【図1】
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【公開番号】特開2012−105626(P2012−105626A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−270860(P2010−270860)
【出願日】平成22年11月17日(2010.11.17)
【出願人】(594183967)有限会社新日本社 (12)
【Fターム(参考)】