説明

架橋された溶融成形品を生産するための方法

架橋された溶融成形品は、成形後の外部熱または湿気の使用を必要としない方法によって製造され、該方法は、A.1.1つまたは複数の官能性末端基を含有するオルガノポリシロキサン、および2.シラングラフト化またはシラン共重合化ポリオレフィンの架橋性混合物を形成するステップと、B.混合物を溶融成形し、部分的に架橋するステップと、C.溶融成形品を冷却し、架橋を継続するステップとを含む。架橋は、触媒を溶融成形前もしくはその最中に混合物に添加することによって、または溶融成形品に添加することによって促進される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権
本願は、その内容全体が参照によって本明細書に組み込まれる2009年9月16日出願の米国特許出願第61/242,857号の優先権を主張するものである。
【0002】
本発明は、架橋された溶融成形品に関する。一態様では、本発明は、架橋された溶融成形品を生産するための方法に関し、別の態様では、本発明は、2つ以上の官能性末端基を含有するオルガノポリシロキサンを使用して物品を架橋する方法に関する。さらに別の態様では、本発明は、成形後の外部熱または湿気の使用を必要とすることなく架橋を達成する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
耐熱性ワイヤーおよびケーブルコーティング、ならびに成形部品および付属品などの架橋性物品の製造において使用される組成物は、一般に、最終的な成形後に架橋を必要とする。当技術分野では様々な架橋方法が実施されており、そのうちの2つ、すなわちペルオキシド架橋および湿気硬化(後者は、通常はシラングラフト化または共重合化ポリオレフィンを使用する)が広範に使用されている。
【0004】
湿気硬化系は、広範な溶融温度以内で加工することができるという利点を有するが、架橋は物品への外部湿気の拡散に頼るため、一般には薄肉構成物に限定される。ペルオキシド硬化組成物は、厚肉構成物、例えば中電圧(MV)ケーブル絶縁体および成形されたケーブル付属品にとって好ましい。これらの硬化性化合物は、物品を形成する前の早計の架橋(スコーチ)を回避するために、ペルオキシドの分解温度未満の温度で加工する必要がある。物品が形成されたら、それをペルオキシドの分解温度まで均一に加熱し、次いで所望の架橋レベルを達成するのに必要な時間にわたってその温度で維持する必要がある。これにより、物品壁部を介する伝熱不足が原因となり、かかる物品の生産速度が低く保たれることがある。さらに、物品が冷却されると、ペルオキシドの分解は無視できるレベルに減速し、したがって任意の著しい架橋が終了する。スコーチと長い加熱時間および硬化時間とが組み合わさると(金型内の硬化時間であれ、連続加硫チューブ内の滞留時間であれ)、製造サイクルが長くなり、したがって生産性(時間当たりの単位)が低下するという問題が生じる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
一実施形態では、本発明は、以下のステップを含む、架橋された溶融成形品を製造する方法である。
A.1.2つ以上の官能性末端基を含有するオルガノポリシロキサン、および
2.シラングラフト化またはシラン共重合化ポリオレフィン
を含む架橋性混合物を形成するステップと、
B.その混合物を物品に溶融成形し、部分的に架橋するステップと、
C.溶融成形品を冷却し、架橋を継続するステップ。
この方法は、成形後の外部熱および/または湿気の使用を必要としないが、所望に応じてそのいずれかまたは両方を使用することができる。架橋は、触媒を溶融成形前もしくはその最中に混合物に添加することによって、または溶融成形品に添加することによって(例えば、物品が多層構成物内の層である場合には、隣接している層から拡散させることによって)促進することができる。驚くべきことに、これらの構成要素を含有する混合物のコンパウンディングによって、安定な熱可塑性組成物が生成され、これは溶融加工によって物品に成形し、部分的に架橋することができるが、周囲条件における保存の際には、外部湿気または加熱を必要とすることなく完全に架橋される。かかるブレンドの形態は、顕微鏡的な尺度では、物理的な(未反応の)シロキサン/ポリオレフィンブレンドまたは物理的な、すなわちシロキサンおよびシラングラフト化ポリオレフィンの未反応ブレンドのいずれかと比較して、シリコーン相とポリオレフィン相の間のより高い適合性を示す。
【0006】
本発明の方法は、従来の湿気硬化で必要とされる外部湿気の拡散への依存を排除するものである。本発明の方法は、高電圧および中電圧ケーブル絶縁体、ワイヤーおよびケーブルの成形されたエラストマーコネクタおよび付属品、ならびに成形された自動車用の耐熱性部品などの、厚肉(0.2ミリメートル(mm)超(>0.2)、より一般的には>0.5ミリメートル、さらにより一般的には>1ミリメートル)の架橋された構成物の製造に特に有用である。射出成形部品の場合、金型内での射出後に一度物品が形成されると、その組成物は、硬化のための追加の加熱時間または保持時間が不要となる。むしろ、熱可塑性の射出成形操作に一般に見られるように、その物品を冷却して生強度を達成し、所望の形状を保持することができる。金型から取り出したら、金型の外で硬化ステップを継続して、完全な硬化を達成する。この手法は、製造サイクル時間を改善し、より高い生産性(時間当たりの単位)を達成する。
【0007】
一実施形態では、ヒドロキシル末端化シリコーンは、アルコキシシラン(またはシラノール)と反応し、アルコキシシラン(またはシラノール)がポリオレフィンまたは他のポリマーにグラフトされる。かかるグラフト化ポリマーの調製方法は周知である。例えば、ビニルトリメトキシシラン(VTMS)は、ペルオキシドを使用してポリエチレンにグラフトすることができる。また、The Dow Chemical Companyから入手可能なVTMSとエチレンのコポリマーであるSI−LINK(商標)などの、反応器を用いる様々なコポリマーが入手可能である。
【0008】
ヒドロキシル末端基を有するシリコーンポリマーは、容易に利用可能である。これらのシリコーンとグラフト化アルコキシシランまたはシラノールとの直接反応は、以下を含む興味深い範囲の手法を提供する。
A.直接反応を介する架橋(ネットワーク形成のためには高レベルで、または長鎖分岐による溶融強度の強化のためには低レベルのカップリングで)、
B.架橋ネットワークを形成しない条件下での操作(例えば、モノヒドロキシルシリコーン、または非常に低レベルのジヒドロキシシリコーンまたはポリマーへの低いグラフトレベルの使用)による、シリコーン官能化ポリオレフィンの形成;官能化後に適量のSiORがその系内に残存する場合、その後の湿気架橋が可能となる、
C.シラングラフト化ポリオレフィンを、グラフト化シランを含有していないポリオレフィンの存在下で動的に架橋して、シリコーン媒介性架橋反応を使用して熱可塑性の加硫物(TPV)を作製することができる。
【0009】
一実施形態では、本発明は、以下のステップを含む、架橋された溶融成形品を製造する方法である。
A.1.2つ以上の官能性末端基を含有するオルガノポリシロキサン、
2.ポリオレフィン、
3.シラン、および
4.ペルオキシド
を含む架橋性混合物を形成するステップと、
B.シランをポリオレフィンにグラフトし、シラングラフト化ポリオレフィンを部分的に架橋するのに十分な条件で、その混合物を物品に溶融成形するステップと、
C.その物品を冷却し、架橋を継続するステップ。
この実施形態は、ポリオレフィンのシラングラフト化と混合物の架橋の開始とを組み合わせて、単一ステップにするものである。
【0010】
一実施形態では、本発明は、以下のステップを含む、架橋された溶融成形品を製造する方法である。
1.シラングラフト化ポリオレフィンを調製するステップと、
2.シラングラフト化ポリオレフィンをヒドロキシル末端化ポリジメチルシロキサンと混合するステップと、
3.混合物を保存物品に溶融成形するステップと、
4.その保存物品を最終物品に溶融成形する第2の溶融成形操作に、該保存物品を導入するステップと、
5.第2の溶融成形操作の最中またはその後に、架橋触媒を導入するステップと、
6.第2の溶融成形操作からの最終物品を冷却し、架橋するステップ。
この実施形態は、混合物を形成するステップを、溶融成形ステップおよび架橋ステップと分離することができ、したがってこの方法は異なる空間および時間で実施することができる。保存物品は、一般にペレットであり、これは再溶融され、任意選択により架橋触媒と混合されて、成形または押し出された最終物品を形成する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】ENGAGEプラストマーおよびヒドロキシル末端化ポリジメチルシロキサン(PDMS)で反応的に修飾されたENGAGEプラストマーの動的機械分析(DMA)からのデータを示すグラフである。
【図2】2つの半導体層の間に挟まれた厚肉絶縁層を含む成形電気コネクタの横断面の概略図である。
【図3】図2の絶縁層のDMAを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
反対が示されず文脈から暗黙でない限り、または当技術分野の慣習により、すべての部およびパーセントは重量に基づき、すべての試験方法は本開示の出願日時点で最新のものである。米国特許実務の目的のために、任意の参照特許、特許出願または刊行物の内容は、特に合成技術の開示、定義(本開示で具体的に提供されている任意の定義と矛盾しない程度に)、および当技術分野で一般的な知識に関して、それらの全体が参照によって組み込まれる(またはその等価な米国版が、参照によってそのように組み込まれる)。
【0013】
本開示の数値範囲は近似であり、したがって、別段指定されない限りその範囲外の値を含み得る。数値範囲は、小さい方の値および大きい方の値を含みすべての値を1単位ずつ含むが、小さい方の任意の値および大きい方の任意の値の間の少なくとも2つの単位は別々である。一例として、例えば分子量、粘度、メルトインデックスなどの組成上、物理上または他の特性が100〜1,000である場合、100、101、102などのすべての個々の値および100〜144、155〜170、197〜200などの下位の範囲が、明確に列挙されているものとする。1未満の値を含有するか、または1を超える小数(例えば、1.1、1.5等)を含有する範囲について、1単位は、必要に応じて0.0001、0.001、0.01または0.1であるとみなされる。10未満の1桁数値を含有する範囲(例えば、1〜5)について、1単位は、一般に0.1とみなされる。これらは、具体的に企図されるものの単なる例であり、列挙されている下限値と上限値の間の数値のあらゆる可能な組合せが本開示に明確に記載されているとみなすべきである。数値範囲は、本開示においては、中でも組成物の構成要素の量および様々な方法パラメータについて提供される。
【0014】
「ケーブル」および類似の用語は、保護用絶縁体、ジャケットまたはシース内の少なくとも1つのワイヤーまたは光ファイバーを意味する。一般にケーブルは、一般に共通の保護用絶縁体、ジャケットまたはシース内に一緒になって結合した2つ以上のワイヤーまたは光ファイバーである。ジャケット内の個々のワイヤーまたは繊維は、むき出しであっても、カバーされていても、絶縁されていてもよい。組合せのケーブルは、電気的なワイヤーおよび光ファイバーの両方を含有することができる。ケーブル等は、低電圧、中電圧および高電圧適用に合わせて設計することができる。一般的なケーブルの設計は、米国特許第5,246,783号、同第6,496,629号および同第6,714,707号に例示されている。
【0015】
「ポリマー」は、同種異種に関わらずモノマーを反応させる(すなわち重合する)ことによって調製された化合物を意味する。したがってポリマーという総称は、通常1種類のみのモノマーから調製されたポリマーを指すために使用される用語「ホモポリマー」、および以下に定義する用語「インターポリマー」を包含する。
【0016】
「インターポリマー」および「コポリマー」は、少なくとも2つの異なる種類のモノマーの重合によって調製されたポリマーを意味する。これらの一般用語は、従来のコポリマー、すなわち2つの異なる種類のモノマーから調製されたポリマーと、3つ以上の異なる種類のモノマーから調製されたポリマー、例えば、ターポリマー、テトラポリマー等の両方を含む。
【0017】
「エチレンポリマー」、「ポリエチレン」および類似の用語は、エチレン由来の単位を含有するポリマーを意味する。エチレンポリマーは、一般に、エチレン由来の単位を少なくとも50モルパーセント(mol%)含む。
【0018】
「エチレン−ビニルシランポリマー」および類似の用語は、シラン官能基を含むエチレンポリマーを意味する。シラン官能基は、エチレンをビニルシラン、例えばビニルトリアルコキシシランコモノマーと重合するか、または例えば米国特許第3,646,155号もしくは同第6,048,935号に記載の通り、かかるコモノマーをエチレンポリマー主鎖上にグラフトすることによって得ることができる。
【0019】
「ブレンド」、「ポリマーブレンド」および類似の用語は、2つ以上のポリマーのブレンドを意味する。かかるブレンドは、混和性であってもそうでなくてもよい。かかるブレンドは、相分離していてもそうでなくてもよい。かかるブレンドは、透過電子分光法、光散乱、X線散乱および当技術分野で公知の任意の他の方法によって決定される通り、1つまたは複数のドメイン構成(configuration)を含有していてもそうでなくてもよい。
【0020】
「組成物」および類似の用語は、2つ以上の構成要素の混合物またはブレンドを意味する。例えば、シラングラフト化エチレンポリマーの調製の状況下では、組成物は、少なくとも1つのエチレンポリマー、少なくとも1つのビニルシランおよび少なくとも1つのフリーラジカル開始剤を含み得る。ケーブルシースまたは他の製造物品の調製の状況下では、組成物は、エチレン−ビニルシランコポリマー、触媒硬化系、および滑沢剤、充填剤、抗酸化剤などの任意の所望の添加剤を含み得る。
【0021】
「周囲条件」および類似の用語は、物品の周りの領域または環境の温度、圧力および湿度を意味する。一般的なオフィスビルまたは実験室の周囲条件には、23℃の温度および大気圧が含まれる。
【0022】
「触媒量」は、エチレン−ビニルシランポリマーの架橋を、検出可能なレベルまで、好ましくは商業的に許容されるレベルまで促進するのに必要な触媒の量を意味する。
【0023】
「架橋された」、「硬化した」および類似の用語は、ある物品に成形される前または成形された後のポリマーが、架橋を誘発する処理にかけられているか、または曝露されており、90重量パーセント以下のキシレンまたはデカレン抽出可能物を有する(すなわち、ゲル含量が10重量パーセント以上である)ことを意味する。
【0024】
「架橋性」、「硬化性」および類似の用語は、ある物品に成形される前または成形された後のポリマーが、硬化または架橋されておらず、実質的な架橋を誘発する処理にかけられるかまたは曝露される(例えば水への曝露)際に実質的な架橋を引き起こすまたは促進することになる添加剤(複数可)または官能基を含んでいるにもかかわらず、未だかかる処理にかけられていないか、または曝露されていないことを意味する。
【0025】
「溶融成形された」および類似の用語は、溶融状態のときに金型内で、またはダイを介して加工された結果として構成を得た、熱可塑性組成物から製造された物品を指す。溶融成形品は、その構成の完全性を維持するために、少なくとも部分的に架橋されていてもよい。溶融成形品には、ワイヤーおよびケーブルシース、圧縮成形および射出成形された部品、シート、テープ、リボン等が含まれる。
【0026】
エチレンポリマー
本発明の実施において使用されるポリエチレン、すなわち共重合化シラン官能基を含有するか、または後にシランによりグラフトされるポリエチレンは、従来のポリエチレン重合技術、例えば、高圧、チーグラー−ナッタ、メタロセンまたは幾何拘束型(constrained geometry)触媒作用を使用して生産することができる。一実施形態では、ポリエチレンは、高圧法を使用して生成される。別の実施形態では、ポリエチレンは、モノ−もしくはビス−シクロペンタジエニル、インデニル、またはフルオレニル遷移金属(好ましくは第4属)触媒または幾何拘束型触媒(CGC)を、活性化因子と組み合わせて使用して、溶液、スラリーまたは気相重合法で生成される。触媒は、好ましくはモノ−シクロペンタジエニル、モノ−インデニルまたはモノ−フルオレニルCGCである。溶液法が好ましい。米国特許第5,064,802号、WO93/19104およびWO95/00526は、幾何拘束型金属錯体およびそれらの調製方法を開示している。金属錯体を含有する様々に置換されているインデニルは、WO95/14024およびWO98/49212において教示されている。
【0027】
一般に、重合化は、チーグラー−ナッタまたはKaminsky−Sinn型重合化反応について当技術分野で周知の条件、すなわち0〜250℃、好ましくは30〜200℃の温度および大気圧〜10,000気圧(1013メガパスカル(MPa))の圧力で達成することができる。所望に応じて、懸濁液、溶液、スラリー、気相、固体状態の粉末重合または他の方法条件を使用することもできる。触媒は担持されていてもそうでなくてもよく、担持体の組成は、広範に変わり得る。シリカ、アルミナまたはポリマー(特にポリ(テトラフルオロエチレン)またはポリオレフィン)は、代表的な担持体であり、望ましくは、担持体は気相重合法で触媒が使用される場合に用いられる。担持体は、好ましくは、触媒を(金属に対して)1:100,000〜1:10、より好ましくは1:50,000〜1:20、最も好ましくは1:10,000〜1:30の範囲内の重合比で担持するのに十分な量で使用される。ほとんどの重合反応では、使用される触媒と重合可能な化合物のモル比は、10−12:1〜10−1:1、より好ましくは10−9:1〜10−5:1である。
【0028】
不活性な液体は、重合に適した溶媒として働く。その例には、イソブタン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタンおよびその混合物などの直鎖および分岐鎖炭化水素;シクロヘキサン、シクロヘプタン、メチルシクロヘキサン、メチルシクロヘプタンおよびその混合物などの環式および脂環式炭化水素;全フッ素置換されたC4〜10アルカンなどの全フッ素置換された炭化水素;ならびにベンゼン、トルエン、キシレンおよびエチルベンゼンなどの芳香族およびアルキル置換芳香族化合物が含まれる。
【0029】
本発明の実施において有用なエチレンポリマーには、インターポリマーの重量に対して約15wt%、好ましくは少なくとも約20wt%、さらにより好ましくは少なくとも約25wt%のα−オレフィン含量を有する、エチレン/α−オレフィンインターポリマーが含まれる。これらのインターポリマーは、一般に、インターポリマーの重量に対して約50wt%未満、好ましくは約45wt%未満、より好ましくは約40wt%未満、さらにより好ましくは約35wt%未満のα−オレフィン含量を有する。α−オレフィン含量は、13C核磁気共鳴(NMR)分光法によって、Randall(Rev. Macromol. Chem. Phys.、C29(2&3))に記載の手順を使用して測定される。一般に、インターポリマーのα−オレフィン含量が多いほど、インターポリマーの密度が低くなり、非晶質度が高くなるが、このことは、保護用絶縁層にとって望ましい物理特性および化学特性をもたらすことになる。
【0030】
α−オレフィンは、好ましくはC3〜20直鎖、分岐または環式α−オレフィンである。C3〜20α−オレフィンの例には、プロペン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセンおよび1−オクタデセンが含まれる。α−オレフィンは、シクロヘキサンまたはシクロペンタンなどの環式構造を含有することもでき、したがって3−シクロヘキシル−1−プロペン(アリルシクロヘキサン)およびビニルシクロヘキサンなどのα−オレフィンが得られる。α−オレフィンという用語は、本発明の目的により従来の意味ではないが、ノルボルネンおよび関連のオレフィン、特に5−エチリデン−2−ノルボルネンなどの特定の環式オレフィンをα−オレフィンとし、前述のα−オレフィンのいくつかまたはすべての代わりに使用することができる。同様に、スチレンおよびその関連のオレフィン(例えば、α−メチルスチレン等)も、本発明の目的に合ったα−オレフィンである。例示的なエチレンポリマーには、エチレン/プロピレン、エチレン/ブテン、エチレン/1−ヘキセン、エチレン/1−オクテン、エチレン/スチレン等が含まれる。例示的なターポリマーには、エチレン/プロピレン/1−オクテン、エチレン/プロピレン/ブテン、エチレン/ブテン/1−オクテン、エチレン/プロピレン/ジエンモノマー(EPDM)およびエチレン/ブテン/スチレンが含まれる。コポリマーは、ランダムまたはブロックであってよい。
【0031】
本発明の実施において使用されるエチレンポリマーは、単独で使用することができ、または1つもしくは複数の他のエチレンポリマーと組み合わせて、例えば、モノマー組成および含量、触媒による調製方法などによって互いに異なっている2つ以上のエチレンポリマーのブレンドで使用することができる。エチレンポリマーが2つ以上のエチレンポリマーのブレンドである場合、エチレンポリマーは、反応器内または反応器後の任意の方法によってブレンドすることができる。反応器内ブレンド法は、反応器後のブレンド法よりも好ましく、反応器内ブレンド法では、直列接続された複数の反応器を使用する方法が好ましい。これらの反応器は、同じ触媒を入れて、異なる条件、例えば異なる反応物濃度、温度、圧力等で操作することができ、または同じ条件で異なる触媒を入れて操作することができる。
【0032】
高圧法を用いて製造されるエチレンポリマーの例には、(それに限定されるものではないが)低密度ポリエチレン(LDPE)、エチレンシラン反応器コポリマー(The Dow Chemical Companyから製造されているSiLINK(登録商標)など)、エチレン酢酸ビニルコポリマー(EVA)、エチレンエチルアクリレートコポリマー(EEA)、およびエチレンシランアクリレートターポリマーが含まれる。
【0033】
シラン官能基によってグラフトすることができるエチレンポリマーの例には、超低密度ポリエチレン(VLDPE)(例えば、The Dow Chemical Companyによって製造されているFLEXOMER(登録商標)エチレン/1−ヘキセンポリエチレン)、均一に分岐した線状エチレン/α−オレフィンコポリマー(例えば、Mitsui Petrochemicals Company LimitedのTAFMER(登録商標)およびExxon Chemical CompanyのEXACT(登録商標))、均一に分岐した実質的に線状のエチレン/α−オレフィンポリマー(例えば、The Dow Chemical Companyから入手可能なAFFINITY(登録商標)およびENGAGE(登録商標)ポリエチレン)、およびエチレンブロックコポリマー(例えば、The Dow Chemical Companyから入手可能なINFUSE(登録商標)ポリエチレン)が含まれる。より好ましいエチレンポリマーは、均一に分岐した線状および実質的に線状のエチレンコポリマーである。実質的に線状のエチレンコポリマーが特に好ましく、これらは米国特許第5,272,236号、同第5,278,272号および同第5,986,028号に、より完全に記載されている。
【0034】
シラン官能基
有効にエチレンと共重合し、またはエチレンポリマーにグラフトしそれを架橋する任意のシランを、本発明の実施において使用することができ、次式によって記載のものがその一例である。
【0035】
【化1】

式中、Rは、水素原子またはメチル基であり;xおよびyは、0または1であり、但しxが1である場合、yは1であり;mおよびnは、独立に、1〜12(端数を含む)、好ましくは1〜4の整数であり、各R’’は、独立に、1〜12個の炭素原子を有するアルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、ブトキシ)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ)、アラルオキシ基(例えば、ベンジルオキシ)、1〜12個の炭素原子を有する脂肪族アシルオキシ基(例えば、ホルミルオキシ、アセチルオキシ、プロパノイルオキシ)、アミノ基もしくは置換アミノ基(アルキルアミノ、アリールアミノ)、または1〜6個(端数を含む)の炭素原子を有する低級アルキル基などの加水分解性有機基であり、但し、3つのR基のうち1つ以下はアルキルである。かかるシランは、高圧法などの反応器内でエチレンと共重合することができる。かかるシランは、成形または成形操作の前またはその最中に適量の有機ペルオキシドを使用することによって、適切なエチレンポリマーにグラフトすることもできる。熱および光安定剤、顔料などの追加の成分も、調合物に含まれ得る。架橋を生成する方法の相は、一般に「硬化相」と呼ばれ、その方法自体は、一般に「硬化」と呼ばれる。また、メルカプトプロピルトリアルコキシシランなど、フリーラジカル法を介してポリマーの不飽和に添加されるシランが含まれる。
【0036】
適切なシランには、ビニル、アリル、イソプロペニル、ブテニル、シクロヘキセニルまたはγ−(メタ)アクリルオキシアリル基などのエチレン性不飽和ヒドロカルビル基、および例えば、ヒドロカルビルオキシ、ヒドロカルボニルオキシまたはヒドロカルビルアミノ基などの加水分解性基を含む不飽和シランが含まれる。加水分解性基の例には、メトキシ、エトキシ、ホルミルオキシ、アセトキシ、プロプリオニルオキシ(proprionyloxy)、およびアルキルまたはアリールアミノ基が含まれる。好ましいシランは、ポリマー上にグラフトすることができ、または反応器内で他のモノマー(エチレンおよびアクリレートなど)と共重合することができる不飽和アルコキシシランである。これらのシランおよびそれらの調製方法は、Meverdenらの米国特許第5,266,627号に、より完全に記載されている。ビニルトリメトキシシラン(VTMS)、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−(メタ)アクリルオキシプロピルトリメトキシシランおよびこれらのシランの混合物は、本発明における使用に好ましいシラン架橋剤である。充填剤が存在する場合、架橋剤は、好ましくはビニルトリアルコキシシランを含む。
【0037】
本発明の実施において使用されるシラン架橋剤の量は、ポリマー、シランの性質、加工または反応器条件、グラフトまたは共重合効率、最終用途、および類似の因子に応じて広範に変わり得るが、一般に少なくとも0.5重量パーセント、好ましくは少なくとも0.7重量パーセントが使用される。利便性および経済性を考慮すると、これらの2つによって本発明の実施において使用されるシラン架橋剤の最大量が主に制限されるが、シラン架橋剤の最大量は、一般に5重量パーセントを超えず、好ましくは3重量パーセントを超えない。
【0038】
シラン架橋剤は、任意の従来の方法によって、一般にフリーラジカル開始剤、例えばペルオキシドおよびアゾ化合物の存在下で、または電離放射線等によってポリマーにグラフトされる。ペルオキシド開始剤、例えば、ジクミルペルオキシド、ジ−tert−ブチルペルオキシド、t−ブチル過安息香酸、ベンゾイルペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、t−ブチルペルオクトエート、メチルエチルケトンペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン、ラウリルペルオキシド、およびtert−ブチルペルアセテートのいずれか1つなどの有機開始剤が好ましい。適切なアゾ化合物は、2,2−アゾビスイソブチロニトリルである。開始剤の量は変わり得るが、一般に、樹脂100(phr)当たり少なくとも0.04、好ましくは少なくとも0.06部の量で存在する。一般に開始剤は、0.15wt.%を超えず、好ましくは約0.10phrを超えない。シラン架橋剤と開始剤の重量比も広範に変わり得るが、架橋剤:開始剤の一般的な重量比は、10:1〜500:1、好ましくは18:1〜250:1である。樹脂100当たりの部またはphrで使用される場合、「樹脂」はオレフィン性ポリマーを意味する。
【0039】
シラン架橋剤をポリオレフィンポリマーにグラフトするために、任意の従来の方法を使用することができるが、ある好ましい方法は、Buss混練機などの反応器押出機の第1段階で、その2つを開始剤とブレンドするものである。グラフト条件は変わり得るが、溶融温度は、滞留時間および開始剤の半減期に応じて、一般に160〜260℃、好ましくは190〜230℃である。
【0040】
ビニルトリアルコキシシラン架橋剤とエチレンおよび他のモノマーとの共重合は、エチレンホモポリマーならびに酢酸ビニルおよびアクリレートとのコポリマーの製造に使用される高圧反応器内で実施することができる。
【0041】
官能性末端基を有する多官能性オルガノポリシロキサン
本発明の方法において有用な官能性末端基を含有するオリゴマーは、2〜100,000またはそれを超える単位の式RSiOを含み、式中、各Rは独立に、1〜12個の炭素原子を含むアルキル基、2〜約12個の炭素原子を含むアルケニル基、アリール、および1〜約12個の炭素原子を含むフッ素置換アルキル基からなる群から選択される。基Rは、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、ドデシル、ビニル、アリル、フェニル、ナフチル、トリルおよび3,3,3−トリフルオロプロピルであってよい。好ましいのは、各基Rがメチルの場合である。
【0042】
一実施形態では、1または複数の官能性末端基を含有するオルガノポリシロキサンは、少なくとも2つのヒドロキシル末端基を含有するヒドロキシル末端化ポリジメチルシロキサンである。かかるポリジメチルシロキサンは、例えば、Gelest,Inc.からシラノール末端化ポリジメチルシロキサンとして市販されている。しかし、グラフト化シランと反応することができる他の末端基を有するポリジメチルシロキサン、例えばアミン末端基を有するポリジメチルシロキサン等を使用することもできる。さらにポリシロキサンは、湿気架橋性ポリシロキサンであってよい。好ましい実施形態では、ポリジメチルシロキサンは、式
【0043】
【化2】

のものであり、式中、Meはメチルであり、nは2〜100,000またはそれを超える範囲であり、好ましくは10〜400の範囲、より好ましくは20〜120の範囲である。適切な多官能性オルガノポリシロキサンの例は、Gelest Corp.のシラノール末端化ポリジメチルシロキサンDMS−15(Mn2,000〜3,500、粘度45〜85センチストーク、−OHレベル0.9〜1.2%)、およびDow Corning Corp.のSilanol Fluid 1−3563(粘度55〜90センチストーク、−OHレベル1〜1.7%)である。いくつかの実施形態では、多官能性オルガノポリシロキサンは、Me−SiO3/2またはSiO4/2基(シリコーン化学の技術者にはTまたはQ基として公知)によって付与されるものなどの分岐を含む。
【0044】
本発明の実施において使用される多官能性オルガノポリシロキサンの量は、ポリマー、シラン、多官能性オルガノポリシロキサンの性質、加工または反応器条件、最終用途、および類似の因子に応じて広範に変わり得るが、一般に少なくとも0.5重量パーセント、好ましくは少なくとも2重量パーセントが使用される。利便性および経済性の考慮は、本発明の実施において使用される多官能性オルガノポリシロキサンの最大量に対する主な制限の2つであり、一般に多官能性オルガノポリシロキサンの最大量は、20重量パーセントを超えず、好ましくは10重量パーセントを超えない。
【0045】
架橋触媒
架橋触媒は、ルイスおよびブレンステッド酸および塩基を含む。ルイス酸は、ルイス塩基から電子対を受け取ることができる化学種である。ルイス塩基は、電子対をルイス酸に供与することができる化学種である。本発明の実施において使用され得るルイス酸には、ジラウリン酸ジブチルスズ(DBTDL)、オレイン酸ジメチルヒドロキシスズ、マレイン酸ジオクチルスズ、マレイン酸ジ−n−ブチルスズ、二酢酸ジブチルスズ、ジオクタン酸ジブチルスズ、酢酸第一スズ、オクタン酸第一スズなどのカルボン酸スズ、ならびにナフテン酸鉛、カプリル酸亜鉛およびナフテン酸コバルトなどの様々な他の有機金属化合物が含まれる。DBTDLが好ましいルイス酸である。本発明の実施において使用され得るルイス塩基には、それに限定されるものではないが、第一級、第二級および第三級アミンが含まれる。これらの触媒は、一般に、湿気硬化適用に使用される。
【0046】
ブレンステッド酸は、水素イオン(プロトン)を喪失し、またはブレンステッド塩基に供与することができる化学種である。ブレンステッド塩基は、ブレンステッド酸から水素イオンを獲得し、または受け取ることができる化学種である。本発明の実施において使用され得るブレンステッド酸には、スルホン酸が含まれる。
【0047】
本発明の実施において使用される架橋触媒の最小量は、触媒量である。一般にこの量は、エチレン−ビニルシランポリマーおよび触媒の混合重量の少なくとも0.01重量パーセント、好ましくは少なくとも0.02重量パーセント、より好ましくは少なくとも0.03重量パーセント(wt%)である。エチレンポリマーにおける架橋触媒の最大量に対する制限は、経済性および実用性(例えば収穫逓減)のみによって付与されるが、一般に全般的な最大量は、エチレンポリマーおよび縮合触媒の混合重量の5wt%未満、好ましくは3wt%未満、より好ましくは2wt%未満を構成する。
【0048】
充填剤および添加剤
架橋された物品、例えばケーブル絶縁層もしくは保護用ジャケット、射出成形されたエラストマーコネクタ等、または他の製造物品、例えばシール、ガスケット、靴底等を生成する組成物は、充填されていても充填されていなくてもよい。充填されている場合、存在する充填剤の量は、好ましくは、シラン架橋されたエチレンポリマーの電気および/または機械特性を許容されないほど大きく分解し得る量を超えるべきではない。一般に、存在する充填剤の量は、ポリマーの重量に対して2〜80重量パーセント、好ましくは5〜70重量パーセント(wt%)である。代表的な充填剤には、カオリン粘土、水酸化マグネシウム、シリカ、炭酸カルシウムおよびカーボンブラックが含まれる。充填剤は、難燃特性を有していても有していなくてもよい。充填剤が存在する本発明の好ましい一実施形態では、充填剤は、その充填剤が別の方法でシラン硬化反応と干渉するおそれがある傾向をすべて予防または遅延する材料でコーティングされる。ステアリン酸は、かかる充填剤コーティングの一例である。充填剤および触媒は、任意の望ましくない相互反応および反応を回避するように選択され、この選択は当業者に周知である。
【0049】
本発明の組成物はまた、例えば抗酸化剤(例えば、Ciba Specialty Chemicalsの登録商標であるIRGANOX(商標)1010などの、例えばヒンダードフェノール)、亜リン酸塩(例えば、Ciba Specialty Chemicalsの登録商標であるIRGAFOS(商標)168)、UV安定剤、粘着添加剤(cling additive)、光安定剤(ヒンダードアミンなど)、可塑剤(ジオクチルフタレートまたはエポキシ化大豆油など)、スコーチ阻害剤、離型剤、粘着付与剤(炭化水素粘着付与剤など)、ワックス(ポリエチレンワックスなど)、加工助剤(油、ステアリン酸などの有機酸、有機酸の金属塩など)、油増量剤(パラフィン油および鉱油など)、着色剤または顔料などの添加剤を、それらが本発明の組成物の所望の物理特性または機械特性を妨げない程度まで含有することができる。これらの添加剤は、当技術分野で公知の量で使用される。
【0050】
液体ポリマー改質剤
一実施形態では、本方法は、架橋された溶融成形品の製造プロセス中に、液体ポリマー改質剤を添加するステップを含む。「液体ポリマー改質剤」は、本明細書で使用される場合、官能化されていない可塑剤(NFP)である。本明細書で使用される場合、「NFP」は炭化水素液体であり、これは、水酸化物、アリールおよび置換アリール、ハロゲン、アルコキシ、カルボキシレート、エステル、炭素不飽和、アクリレート、酸素、窒素、ならびにカルボキシルから選択される官能基をかなりの程度(appreciable extent)まで含まない。「かなりの程度」とは、これらの基を含むこれらの基および化合物が、NFPに意図的には添加されず、いくつかの実施形態において仮に存在する場合には、NFPの5重量パーセント未満で存在し、またはNFPの重量に対して4、3、2、1、0.7、0.5、0.3、0.1、0.05、0.01もしくは0.001wt%未満で存在することを意味する。
【0051】
一実施形態では、芳香族部分(その分子が、ベンゼン、ナフタレン、フェナントレン、アントラセン等に特徴的な環構造を有する任意の化合物を含む)は、NFPには実質的に含まれない。別の実施形態では、ナフテン部分(その分子が、ベンゼン、ナフタレン、フェナントレン、アントラセン等を水素化することによって生成されるような飽和環構造を有する任意の化合物を含む)は、NFPには実質的に含まれない。「実質的に含まれない」とは、これらの化合物が組成物に意図的には添加されず、仮に存在する場合には、NFPの0.5wt%未満、好ましくは0.1wt重量%未満で存在する。
【0052】
別の実施形態では、NFPは、オレフィン性不飽和をかなりの程度含有しない。「かなりの程度のオレフィン性不飽和」とは、オレフィン結合に含まれる炭素が、NFPの炭素の総数の10%未満、好ましくは8%、6%、4%、2%、1%、0.7%、0.5%、0.3%、0.1%、0.05%、0.01%または0.001%未満を占めることを意味する。いくつかの実施形態では、オレフィン結合に含まれるNFPの炭素率(%)は、NFPの炭素原子の総数の0.001〜10%、好ましくは0.01〜5%、好ましくは0.1〜2%、より好ましくは0.1〜1%である。
【0053】
一実施形態では、液体ポリマー改質剤は、フタレートを含まない水素化C〜C12ポリ−α−オレフィンであるNFPである。フタレートを含まない水素化C〜C12ポリ−α−オレフィンは、天然では不活性であり、鉱油、ホワイトオイルおよびパラフィン系油などの従来の改質剤ほど架橋性混合物の硬化化学に影響を及ぼさない。同様に、本発明の液体ポリマー改質剤は、例えば、抗酸化剤化学、充填剤化学、接着化学などの他の化学にも影響を及ぼさない。
【0054】
さらに、本発明の液体ポリマー改質剤は、高い耐久性、ポリエチレンおよびエチレンコポリマーとの良好な適合性を有し、分子量分布(Mw/MnまたはMWD)が狭い。結果として、本発明の液体ポリマー改質剤を用いる適用は、高い硬化効率、改善された可撓性および靱性、ならびに容易な加工を含む所望の特性の驚くべき組合せを有する。かかる適用は、優れた表面特性および並外れた経時的な特性の保存を示す。
【0055】
適切な液体ポリマー改質剤の非限定的な例は、Elevast R−150などの商標Elevastで販売されているポリマー改質剤である。Elevastポリマー改質剤は、テキサス州ヒューストンのExxonMobil Chemical Companyから入手可能である。
【0056】
液体ポリマー改質剤は、有利には、架橋溶融成形品における油増量剤(パラフィン油および/または鉱油)の代替になる。油増量剤を伴う同じ架橋溶融成形品と比較して、本発明の液体ポリマー改質剤を含有する架橋された溶融成形品は、改善された柔らかさ(すなわち、低いショアA硬度値)、高い可撓性(すなわち、M100の増大)、高い伸長性、高い弾性、および改善された加工性(低粘度)を予想外に示し、これらはすべて、架橋された溶融成形品の絶縁体力を低減することはない。油増量剤は、得られる架橋生成物の絶縁耐力を低減することから、先の液体ポリマー改質剤による物理的な改善は、従来の油増量剤を考慮すると驚くべき予想外の改善である。本発明の液体ポリマー改質剤を含有し、先の物理的な改善を示す(絶縁耐力を喪失しない)架橋された溶融成形品の非限定的な適用には、ワイヤーおよびケーブル、ならびに良好な誘電特性が必要とされる他の適用が含まれる。
【0057】
液体ポリマー改質剤は、生産方法の様々なステップの最中に添加することができる。一実施形態では、液体ポリマー改質剤は、(1)オルガノポリシロキサン(2つ以上のヒドロキシル末端基を有する)および(2)シラングラフト化またはシラン共重合化ポリオレフィンからなる架橋性混合物に添加される。その後、この架橋性混合物は溶融成形され、部分的に架橋され、冷却され、周囲条件に曝露される際にさらに架橋される。
【0058】
一実施形態では、液体ポリマー改質剤は、(1)2つ以上のヒドロキシル末端基を含有するオルガノポリシロキサン、(2)ポリオレフィン、(3)シラン、および(4)ペルオキシドからなる架橋性混合物に添加される。その後、架橋性混合物は溶融成形され、部分的に架橋され、冷却され、周囲条件に曝露されるときにさらに架橋される。
【0059】
一実施形態では、液体ポリマー改質剤は、架橋触媒と共に添加される。シラングラフト化ポリオレフィンを調製し、それにヒドロキシル末端化ポリジメチルシロキサンを添加する。混合物は、保存物品に溶融成形される。保存物品は、第2の溶融成形操作に導入され、そこで保存物品は最終物品に溶融成形される。この方法は、第2の溶融成形操作中またはその後に、架橋触媒および液体ポリマー改質剤を導入するステップを含む。この方法はさらに、第2の溶融成形操作からの最終物品を冷却し、架橋するステップを含む。
【0060】
コンパウンディング/作製
シラン官能化エチレンポリマー、多官能性オルガノポリシロキサン、もしあれば触媒、ならびに充填剤および添加剤のコンパウンディングは、当業者に公知の標準手段によって実施することができる。コンパウンディング装置の例は、バンバリーまたはBolling密閉型ミキサーなどの密閉型バッチミキサーである。あるいは、Farrel連続ミキサー、WernerおよびPfleiderer2軸ミキサー、またはBuss連続混練押出機などの単軸または2軸連続ミキサーを使用することができる。利用するミキサーの種類およびミキサーの操作条件は、粘度、体積抵抗率および押出成形表面の平滑度などの組成物の特性に影響を及ぼす。
【0061】
組成物の構成要素は、一般に、混合物を完全に均質化するのに十分であるが、材料をゲル化するには満たない温度および時間で混合される。触媒は、一般にエチレン−ビニルシランポリマーに添加されるが、もしあれば添加剤の前、それと同時またはその後に添加することができる。一般に、構成要素は、溶融混合装置内で一緒に混合される。次いで、混合物は最終物品に成形される。コンパウンディングおよび物品作製の温度は、エチレン−ビニルシランポリマーの融点を超え、約250℃未満にすべきである。
【0062】
いくつかの実施形態では、触媒および添加剤のいずれかまたはその両方は、予め混合したマスターバッチとして添加される。かかるマスターバッチは、一般に、触媒および/または添加剤を不活性なプラスチック樹脂、例えば低密度ポリエチレンに分散させることによって形成される。マスターバッチは、好都合には溶融コンパウンディング法によって形成される。
【0063】
一実施形態では、構成要素、例えば充填剤内に存在するまたはそれに関連する湿気から生じ得る潜在的なスコーチを低減または排除するために、構成要素の1つもしくは複数はコンパウンディング前に乾燥され、または構成要素の混合物はコンパウンディング後に乾燥される。一実施形態では、架橋性シリコーンによって修飾されたポリオレフィン混合物は、保存期間を延長するために架橋触媒なしに調製され、架橋触媒は、溶融成形品の調製における最終ステップとして添加される。
【0064】
製造物品
一実施形態では、本発明の組成物は、公知の量および公知の方法(例えば、米国特許第5,246,783号および同第4,144,202号に記載の装置および方法を用いる)で、シースまたは絶縁層としてケーブルに適用することができる。一般に、組成物は、ケーブルコーティングダイを備えた反応器−押出機内で調製され、組成物の構成要素が調合された後、組成物は、ケーブルがダイを介して引き出されるときに該ケーブル上に押し出される。硬化は、反応器−押出機内で開始することができる。
【0065】
本発明の利益の1つは、成形品が後成形を必要としないこと、例えば離型し、または成形ダイを通過させた後に、硬化条件、例えば水浴または「サウナ」などの外部供給源による周囲温度を超える温度および/または湿気を必要としないことである。必須ではなく、または好ましくはないが、成形品は、高温および外部湿気のいずれかまたはその両方に曝露することができ、高温の場合、その温度は一般に、物品が所望の架橋度を達するような時間にわたって周囲温度からポリマーの融点未満までとする。任意の成形後の硬化温度は、0℃を超えるべきである。
【0066】
本発明のポリマー組成物から調製することができる他の製造物品には、繊維、リボン、シート、テープ、管、パイプ、隙間充填材、シール、ガスケット、ホース、発泡体、フットウェアおよびベローズが含まれる。これらの物品は、公知の装置および技術を使用して製造することができる。
【0067】
本開示の非限定的な実施形態を、以下に提供する。
【0068】
E1.架橋された溶融成形品の製造方法が提供される。該方法は、
A.1.2つ以上の官能性末端基を含有するオルガノポリシロキサン、および
2.シラングラフト化またはシラン共重合化ポリオレフィン
を含む架橋性混合物を形成するステップと、
B.混合物を物品に溶融成形し、部分的に架橋するステップと、
C.溶融成形品を冷却し、架橋を継続するステップと
を含む。
【0069】
E2.架橋触媒が、溶融成形前もしくはその最中に混合物に添加され、または溶融成形品に添加される、E1の方法。E3.オルガノポリシロキサンの官能性末端基の少なくとも1つがヒドロキシル基である、E1〜E2のいずれかの方法。E4.架橋性混合物が液体ポリマー改質剤を含む、E1〜E3のいずれかの方法。E5.ポリオレフィンがポリエチレンである、E1〜E4のいずれかの方法。E6.触媒が、ルイスまたはブレンステッド酸または塩基である、E1〜E5のいずれかの方法。E7.架橋性混合物が、混合物の重量に対して、
A.0.5〜20wt%のオルガノポリシロキサン、および
B.0.01〜0.2wt%の触媒
を含む、E1〜E6のいずれかの方法。
【0070】
E8.架橋性混合物が、充填剤、可塑剤、スコーチ遅延剤および湿気供給源の少なくとも1つをさらに含む、E1〜E7のいずれかの方法。E9.架橋性混合物または混合物の構成要素の少なくとも1つが、架橋性混合物を溶融成形する前に乾燥条件に曝される、E1〜E8のいずれかの方法。E10.オルガノポリシロキサンおよび触媒の少なくとも1つが、混合物を溶融成形する前に、ポリオレフィンの溶融温度未満の温度でシラングラフト化またはシラン共重合化ポリオレフィンに少なくとも一部浸漬される、E1〜E9のいずれかの方法。
【0071】
架橋された溶融成形品の別の製造方法が提供され(E11)、該方法は、
A.1.1つまたは複数の官能性末端基を含有するオルガノポリシロキサン、
2.ポリオレフィン、
3.シラン、および
4.ペルオキシド
を含む架橋性混合物を形成するステップと、
B.シランをポリオレフィンにグラフトし、シラングラフト化ポリオレフィンを部分的に架橋するのに十分な条件で、混合物を物品に溶融成形するステップと、
C.物品を冷却し、架橋を継続するステップと
を含む。
【0072】
E12.架橋性混合物が液体ポリマー改質剤を含む、E11の方法。
【0073】
架橋された溶融成形品の別の製造方法が提供され(E13)、該方法は、
1.シラングラフト化ポリオレフィンを調製するステップと、
2.シラングラフト化ポリオレフィンをヒドロキシ末端化ポリジメチルシロキサンと混合するステップと、
3.混合物を保存物品に溶融成形するステップと、
4.その保存物品を、最終物品に溶融成形する第2の溶融成形操作に導入するステップと、
5.第2の溶融成形操作の最中またはその後に、架橋触媒を導入するステップと、
6.第2の溶融成形操作からの最終物品を冷却し、架橋するステップと
を含む。
【0074】
E14.架橋触媒と共に液体ポリマー改質剤を導入するステップを含む、E13の方法。
【0075】
E15.混合物が成形によって溶融成形される、E1〜E14のいずれかの方法。
【0076】
E16.混合物が押出成形によって溶融成形される、E1〜E14のいずれかの方法。
【0077】
E17.E1〜E14のいずれかの方法によって製造される厚肉物品。
【0078】
E18.E1〜E14のいずれかの方法によって製造される絶縁層を含む電力ケーブル。
【0079】
E19.E1〜E14のいずれかの方法によって製造される絶縁層を含む電力ケーブル付属品または成形コネクタ。
【0080】
本発明を、以下の実施例によってより完全に記載する。別段示されない限り、すべての部および百分率は重量によるものとする。
【実施例】
【0081】
〔実施例1〕
表1は、いくつかの組成物の評価を報告するものである。この実験では、ENGAGE(商標)8200プラストマー(5MI、密度0.870、固体ペレットのエチレン−オクテンコポリマー)を使用する。ポリマーペレットを40℃で2時間加熱し、次いでVTMSおよびLUPEROX 101ペルオキシド(Arkemaから入手可能な2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン)の混合物と共に回転ブレンドし、ペレットが乾燥するのが見えるまで、瓶ローラーを使用してガラス瓶内に浸漬させたままにする。
【0082】
VTMSをポリマーにグラフトするために、ブラベンダーバッチミキサー(250グラム)を使用する。コンパウンディングを190℃で15分間実施する。グラフト化ポリマーを室温で加圧してプラークにし、その後の実験のためにポリジメチルシロキサン(PDMS)と共にホイルバッグに入れて封止する。
【0083】
ブラベンダーミキサー(45cc)を使用して、グラフト化樹脂、シラノール末端化PDMSおよび触媒をコンパウンドする。コンパウンディングは、以下の通り150℃の硬化温度で実施した。まず、ミキサーにVTMSグラフト化ENGAGE 8200を入れ、流動体にし、1分当たり45回転(rpm)で2分間混合する。シラノール末端化PDMS(Gelest DMS−S15)を、約3分間かけて徐々に添加し、添加が完了した後、ブレンドを45rpmで2分間さらに混合する。次いで、触媒(DBTDL、スルホン酸またはその混合物)を添加し、45rpmで15分間混合する。得られる化合物が熱可塑性である場合、すなわち著しい架橋が目に見えない場合には、ミキサーから除去した直後にそれを加圧して50ミル(約1.3mm)のプラークにし、封止したアルミニウムホイルバッグ内で、終夜25℃で保存する。
【0084】
次いで試料を切断して、熱間クリープ分析(200℃のオーブン、15分)により硬化について分析する。次いで負荷20N/mmでの伸長率(%)を測定する。適切な架橋の一般的基準は、100%以下(≦100%)の伸張である。測定は、三部の試料により得る。
【0085】
【表1】

【0086】
表1の熱間クリープ試験の結果によって示される通り、ベース樹脂(試料A、対照)またはシラングラフト化樹脂(試料B)へのPDMSの添加では、所望の架橋が得られない。さらに、従来の湿気硬化を表す比較例(試料F)も、外部湿気に曝露せずに(コンパウンディングの最中または保存バッグ内に捕捉されていた湿気を除く)終夜保存した後、熱間クリープ試験に失敗した。OH末端化PDMSをグラフト化樹脂に添加し、さらに触媒と反応させた本発明の試料DおよびEでは、ミキサー内でのコンパウンディングステップ中、すぐに有効な架橋が得られ(試料D)、または形成物品(例えば、プラーク)に成形され得る熱可塑性の化合物が生成され、封止バッグ内で終夜保存した場合には、試料Eによって示される通り均質な架橋が得られた。これは望ましい結果である。
【0087】
データはまた、均質に混合して、外部湿気への曝露を必要とすることなく成形部品または中電圧および高電圧ケーブルコーティングなどの厚肉物品に望ましい、優れた架橋を示す熱可塑性材料を生成することができる組成物の設計が可能であることを示している。
【0088】
架橋のさらなる確認として、試料Eの組成物を別の実験で反復し、生成した試料を−150℃〜200℃の温度掃引でDMA分析にかける。図のデータが示す通り、反応によって修飾されたPDMS−ENGAGEブレンドの係数は、ENGAGE 8200ベース樹脂(融点約70℃)と比較して、融点を超えるプラトーを示すが、このことはベース樹脂と比較して温度抵抗性が良好であることを示している。
【0089】
電子顕微鏡は、大幅に改善された相適合性を示している。例えば試料Eは、いくらかのシリコーンドメインが微細に分散した主に単一の均一相を示している。それとは対照的に、試験した他の組成物(試料AおよびC)は、ポリオレフィンマトリックス内に液滴として目に見える明確な大きなシリコーンのドメインを含有する、高度に非混和性の系に典型的な形態を示している。
【0090】
〔実施例2〕
表2に示したデータは、3%シラノール末端化ポリジメチルシロキサン(OH−PDMS)の存在下で2%VTMSを用いてグラフトしたLLDPE樹脂(0.7MI、密度0.920g/cm)と、OH−PDMSなしに同じ条件下でグラフトした対照試料を比較するものである。まず、両方の材料を乾燥させ、次いでスズ触媒の存在下でワイヤー(124ミルワイヤーO.D.、30ミル壁厚)上に押し出す。絶縁体を取り出し、周囲条件(23℃および相対湿度70%)で16時間硬化させ、次いで熱間クリープ試験(200℃、15分、15N/m)にかける。結果は、比較組成物が100%の熱間クリープ伸長および10%の熱硬化標的に達しないことを示している。それとは対照的に、本発明の組成物は実際に、熱間クリープおよび熱硬化試験に合格する。データは、本発明によって周囲条件で急速な硬化速度が達成されたことを実証している。
【0091】
【表2】

【0092】
〔実施例3〕
この実施例のデータセットは、成形部品から採取した試料によって得る。成形部品10(図2)は、OH−PDMSの存在下でビニルトリメトキシシランを用いてグラフトしたエラストマー樹脂系から製造した絶縁層11を含む。成形部品10は、絶縁層11を挟む外部半導電層(12)および内部半導電層(13)を含む35KVプロトタイプコネクタである。絶縁層11は本発明の組成物を含む。まず、半導電層を別個に成形し、第1の成形ステップでペルオキシドにより硬化させ、次いで第2の金型に一緒に搭載し、そこで絶縁層をその間に射出する。絶縁化合物は、スズ触媒のマスターバッチと予め混合し、完全に熱可塑性の方式で射出を実施し、部品を冷却時に離型する(実施する試験に応じて1〜5分の成形時間)。内部半導電層13は約4mmの厚さであり、絶縁体の大部分を、両端部方向を除いて被覆する。外部半導電層12は約3.5mmの厚さであり、絶縁層全体を被覆し、すなわち外部への曝露部分がなく、絶縁層11はそれ自体が約11.6mmの厚さである。部品を成形工場から受け取ったらそれを切断し、DMA試験のために絶縁層の中心部分から3種類の試料を採取する。すべての試料は1.9mmの厚さである。絶縁層の外縁部から始めて、試料1は層の内側約3mmであり、試料2は層の内側約5mmであり、試料3は層の内側約7mmである。部品を、試験前に普通の輸送および実験室の保存条件下で処理し、すなわち特別な加熱または湿気に曝露はしない。図3のDMAデータは、試料のそれぞれについて、融点を超える温度においてプラトー係数を示し、または換言すれば材料の完全な硬化を示している。
【0093】
本発明を、先行の具体的な実施形態によって特に詳細に説明してきたが、この詳細は主に例示することを目的とする。当業者は、以下の特許請求の範囲に記載の本発明の精神および範囲から逸脱することなく、多くの変更および改変を加えることができる。
【符号の説明】
【0094】
10 成形部品
11 絶縁層
12 外部半導電層
13 内部半導電層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
A.1.2つ以上の官能性末端基を含有するオルガノポリシロキサン、および
2.シラングラフト化またはシラン共重合化ポリオレフィン
を含む架橋性混合物を形成するステップと、
B.混合物を物品に溶融成形し、部分的に架橋するステップと、
C.溶融成形品を冷却し、架橋を継続するステップと
を含む、架橋された溶融成形品を製造する方法。
【請求項2】
架橋触媒が、溶融成形の前もしくはその最中に混合物に添加されるか、溶融成形品に添加される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
オルガノポリシロキサンの官能性末端基の少なくとも1つがヒドロキシル基である、請求項1から2のいずれかに記載の方法。
【請求項4】
架橋性混合物が、液体ポリマー改質剤を含む、請求項1から3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
ポリオレフィンが、ポリエチレンである、請求項1から4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
触媒が、ルイスまたはブレンステッド酸または塩基である、請求項1から5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
架橋性混合物が、混合物の重量に対して、
A.0.5〜20wt%のオルガノポリシロキサン、および
B.0.01〜0.2wt%の触媒
を含む、請求項1から6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
架橋性混合物が、充填剤、可塑剤、スコーチ遅延剤および湿気供給源の少なくとも1つをさらに含む、請求項1から7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
架橋性混合物または混合物の構成要素の少なくとも1つが、架橋性混合物を溶融成形する前に乾燥条件に曝される、請求項1から8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
オルガノポリシロキサンおよび触媒の少なくとも1つが、混合物を溶融成形する前に、ポリオレフィンの溶融温度未満の温度でシラングラフト化またはシラン共重合化ポリオレフィンに少なくとも一部浸漬される、請求項1から9のいずれかに記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2013−505331(P2013−505331A)
【公表日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−529826(P2012−529826)
【出願日】平成22年9月14日(2010.9.14)
【国際出願番号】PCT/US2010/048720
【国際公開番号】WO2011/034836
【国際公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【出願人】(591123001)ユニオン カーバイド ケミカルズ アンド プラスティックス テクノロジー エルエルシー (85)
【Fターム(参考)】