説明

架橋モノバクタム中間体の製造方法

cisコンホメーションを有する式(I)[式中、R1は、1−フェニル−C−Cアルキル又は1−ナフチル−C−Cアルキル基(ここで、R1のフェニル又はナフチル残基は、非置換であるか、又は1個以上のC−Cアルコキシ基で置換されており、そしてR1のアルキル部分の2位、3位、及び/又は4位にある炭素原子は、R1のフェニル又はナフチル残基とは独立に、かつ互いに独立に、非置換であるか、又はC−Cアルコキシ及び/又はシリルオキシで置換されているか、あるいは好ましくは非置換であるか、又は炭素原子当たり1個のC−Cアルコキシ基及び/又はシリルオキシ基で置換されている)を表し、そしてR2は、C−Cアルキル基又は非置換若しくは置換ベンジル基を表す]の化合物の製造方法であって、式(II)[式中、R3は、C−Cアルキル基又は非置換若しくは置換ベンジル基を表し、そしてR1及びR2は、式(I)中と同義を有する]の化合物を、0℃以下の温度で液体非プロトン性溶媒中で式(I)の化合物を得るのに充分な時間、塩基で処理する方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、cisコンホメーションを有する式(I):
【0002】
【化1】


[式中、R1及びR2は、本明細書で以下に詳細に定義される意味を有する]で示される化合物の製造、薬学的に有用な架橋モノバクタム化合物(例えば、細菌感染症の処置に特に有用な、EP-A-0,508,234及びWO 2007/065288に記載されるものなど)の合成の中間体としての該化合物の使用、該式(I)のある種の新規な中間体、及び式(I)の化合物の製造のための新規な中間体に関する。
【0003】
セファロスポリン又はペニシリンのような他のβラクタム類とは違って、モノバクタム類は、天然物の発酵から生じるのではなく、完全合成化合物である。
【0004】
モノバクタム類の特定の群である架橋モノバクタム類(例えば、Heinze-Krauss et al., J. Med Chem 1998, 41, 3961 -3971及びC. Hubschwerlen et al., J. Med. Chem., 1998, 41, 3972-3975を参照のこと)は、従来から多数の製造工程及び中間体の保護/脱保護工程を提示し、更には高価な試薬の使用を必要とし、そして多くの工程を必要とするためかなり低い全収率となるプロセスで製造されている。更には、この従来の製造法は、製造の過程で数回のクロマトグラフィー精製工程の実施を必要とする。この製造法は、反応スキーム1に図式的に示され、そしてEP-A-0,073,061及びEP-A-0,508,234、更にはJ. Med. Chem., 1998, 41, 3961-3971に開示されている。
【0005】
【化2】

【0006】
更には、アゼチジノ−1,2−ジヒドロキナゾリン類が得られるオルトベンジル骨格へのイミンの立体選択的分子内[2+2]付加環化は、既に先行技術に記載されている(Journal of Organic Chemistry 2000, 65(22), 7512-7515を参照のこと)。
【0007】
本発明は、新しい知見、即ち、スキーム1に記載された式(I-c)の化合物を包含する、cisコンホメーションを有する式(I):
【0008】
【化3】


[式中、
R1は、1−フェニル−C−Cアルキル又は1−ナフチル−C−Cアルキル基(ここで、R1のフェニル又はナフチル部分は、非置換であるか、又は1個以上のC−Cアルコキシ基で置換されており、そしてR1のアルキル部分の2位、3位、及び/又は4位にある炭素原子は、R1のフェニル又はナフチル部分とは独立に、かつ互いに独立に、非置換であるか、又はC−Cアルコキシ及び/又はシリルオキシで置換されている)を表し、そして
R2は、C−Cアルキル基又は非置換若しくは置換ベンジル基を表す]で示される化合物が、式(II):
【0009】
【化4】


[式中、
R3は、C−Cアルキル基又は非置換若しくは置換ベンジル基を表し、そして
R1及びR2は、上記式(I)中と同義を有する]で示される化合物を、0℃以下の温度で液体非プロトン性溶媒中で式(I)の化合物を得るのに充分な時間、塩基で処理することにより調製できることに基づいている。
【0010】
反応の任意の特定の機序に結びつけようとすることなく、この新しい合成法は正式には、式(II)の化合物のイミン部分の、該化合物内でその場で生成したケテン/エノラート部分との分子内[2+2]付加環化と考えることができよう。
【0011】
【化5】

【0012】
この新規な合成法は、良好な収率を与え、安価で入手容易な出発物質の使用を可能にし、そしてキラルR1部分の場合には、高度に立体選択的かつエナンチオ選択的である。
【0013】
よって1つの態様において、本発明は、前記の製造法に関する。
【0014】
更に別の態様において、本発明は、式(II):
【0015】
【化6】


[式中、
R1は、1−フェニル−C−Cアルキル又は1−ナフチル−C−Cアルキル基(ここで、R1のフェニル又はナフチル部分は、非置換であるか、又は1個以上のC−Cアルコキシ基で置換されており、そしてR1のアルキル部分の2位、3位、及び/又は4位にある炭素原子は、R1のフェニル又はナフチル部分とは独立に、かつ互いに独立に、非置換であるか、又はC−Cアルコキシ及び/又はシリルオキシで置換されている)を表し、そして
R2は、C−Cアルキル基又は非置換若しくは置換ベンジル基を表し、そして
R3は、C−Cアルキル基又は非置換若しくは置換ベンジル基を表す]で示される化合物に関する。
【0016】
R1のアルキル部分の2位、3位、及び/又は4位にある炭素原子は、好ましくは非置換であるか、又は炭素原子当たり1個のC−Cアルコキシ基及び/又はシリルオキシ基で置換されている。
【0017】
前記式(II)の化合物の1つの具体的に好ましい実施態様は、本明細書で以下に定義される式(II-A)の化合物である。
【0018】
前記式(II)の化合物の更に別の具体的に好ましい実施態様は、本明細書で以下に定義される式(II-B)の化合物である。
【0019】
前記式(II)の化合物のまた別の具体的に好ましい実施態様は、本明細書で以下に定義される式(II-C)の化合物である。
【0020】
別の態様において、本発明は、式(I):
【0021】
【化7】


で示される今も新規な化合物から選択される化合物に関する。これらの新規な化合物は、具体的にはcisコンホメーションを有する式(I)[式中、
R1は、1−フェニル−C−Cアルキル又は1−ナフチル−C−Cアルキル基(ここで、R1のフェニル又はナフチル部分は、非置換であるか、又は1個以上のC−Cアルコキシ基で置換されており、そしてR1のアルキル部分の2位、3位、及び/又は4位にある炭素原子は、R1のフェニル又はナフチル部分とは独立に、かつ互いに独立に、非置換であるか、又はC−Cアルコキシ及び/又はシリルオキシで置換されているか、あるいは好ましくは非置換であるか、又は炭素原子当たり1個のC−Cアルコキシ基及び/又はシリルオキシ基で置換されている)、特に、(1S)−1−フェニル−C−Cアルキル基、(1S)−1−ナフチル−C−Cアルキル基、(1R)−1−フェニル−C−Cアルキル基、及び(1R)−1−ナフチル−C−Cアルキル基から選択される基、最も好ましくは(1S)−1−フェニル−エチル及び(1R)−1−フェニル−エチルを表し、そして
R2は、C−Cアルキル基、好ましくはtert−ブチル、又は置換ベンジル基若しくは更に好ましくは非置換ベンジル基を表す]の化合物を包含する。
【0022】
本出願の目的には、「(1S)」又は「(1R)」(「立体記述子」)のような、1−フェニル−C−Cアルキル又は1−ナフチル−C−Cアルキル基のアルキル部分の1位にある原子の立体配置の記述は、該基が分子の残りの部分に結合しているとき、かつその基が更に置換されていないか、又はもし置換されているとしても更に置換されていないと考えられるときの、それぞれの炭素原子の立体配置のことをいう。合成化学の命名法における立体記述子の通常の適用(R.S. Cahn, C.K. Ingold and V. Prelog, Angew. Chem. Internat. Ed. Eng. 5, 385-415, 511 (1966);及びV. Prelog and G. Helmchen, Angew. Chem. Internat. Ed. Eng. 21, 567-583 (1982)を参照のこと)によると、1−フェニル−C−Cアルキル又は1−ナフチル−C−Cアルキル基が、アルコキシ又はシリルオキシで、特に該基のアルキル部分の2位にある炭素原子で更に置換されているならば、下記式:
【0023】
【化8】


[式中、Nは、式(I)又は(II)中のR1に結合している窒素原子を表す]で示される例で分かるように、1位にある炭素原子に結合している原子/基の立体の配列は実質上は変化しないが、この立体記述子は変化することがある。しかし本出願の目的には、置換1−フェニル−C−Cアルキル又は1−ナフチル−C−Cアルキル基R1中の立体記述子「1S」及び「1R」は、対応する非置換1−フェニル−C−Cアルキル又は1−ナフチル−C−Cアルキル基の立体記述子に相当する。
【0024】
更に、「cisコンホメーションを有する式(I):
【0025】
【化9】


で示される化合物」という用語は、本出願の目的には、特に本明細書に後述の式(I-A)、(I-B)及び(I-C)の化合物を意味する。
【0026】
「1−フェニル−C−Cアルキル」及び「1−ナフチル−C−Cアルキル」という用語は、例えば、ベンジル;1−フェニル−エチル;1−フェニル−n−プロピル、及び1−フェニル−n−ブチル、更にはナフチル−メチル基、1−ナフチル−エチル基;1−ナフチル−n−プロピル基、及び1−ナフチル−n−ブチル基(該残基の純粋な又は実質的に純粋な対応するエナンチオマー体、更にはラセミ体を包含する)を包含する。
【0027】
R1のフェニル又はナフチル部分は、非置換であるか、又は特に、例えば、C−Cアルキル(メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル及びtert−ブチルを包含する);若しくはC−Cアルコキシ(特にメトキシ及びエトキシを包含する)のような1個、2個若しくはそれ以上の置換基で置換されている。置換基として好ましいのは、1個又は2個のメチル、エチル、メトキシ及び/又はエトキシ置換基であり、最も好ましいのは、1個又は特に2個のメトキシ置換基である。R1基のアルキル部分の2位、3位、及び/又は4位にある炭素原子は、R1のフェニル又はナフチル部分とは独立に、かつ互いに独立に、非置換であるか、又はC−Cアルコキシ及び/又はシリルオキシで置換されているか、あるいは好ましくは、非置換であるか、又は炭素原子当たり1個のC−Cアルコキシ基及び/又はシリルオキシ基で、好ましくは上記と同義のC−Cアルコキシ基及び/又は例えば、(C−Cアルキル)SiO−基のようなシリルオキシ基、特にトリメチルシリルオキシ若しくはトリエチルシリルオキシで置換されている。「R1のアルキル部分の2位、3位、及び/又は4位にある炭素原子」は、R1としての1−フェニル−C−Cアルキル及び1−ナフチル−C−Cアルキル基の下記式:
【0028】
【化10】


で示される図に描かれるC−Cアルキル基の炭素原子を意味する。
【0029】
「1−フェニル−エチル」という用語は、(1S)−1−フェニル−エチル、(1R)−1−フェニル−エチル及びラセミ体1−フェニル−エチル、即ち、R1が(1S)−1−フェニル−エチル基である対応する化合物と、R1が(1R)−1−フェニル−エチル基である対応する化合物との1:1混合物を包含する。
【0030】
ベンジル及び特に2,4−ジメトキシベンジル及び3,4−ジメトキシベンジル、更には1−フェニル−エチルは、R1基として特に好ましい。
【0031】
R2及びR3の定義中の「C−Cアルキル基」という用語は、既に上述の基又は例えば、n−ペンチル、イソペンチル若しくはn−ヘキシルのような、対応する直鎖及び分岐のアルキル基を包含する。アルキル基R2は、好ましくはtert−ブチルであり、アルキル基R3は、好ましくはエチルである。
【0032】
R2に関して「非置換又は置換ベンジル基」の意味は、特にベンジル自体、並びにベンジル基のフェニル部分が、1個、2個又は3個の上記と同義のC−Cアルキル基又は上記と同義のC−Cアルコキシ基により置換されているベンジル基を包含する。
【0033】
R3に関して「非置換又は置換ベンジル基」の意味は、特にベンジル自体、並びに1個、2個又は3個の上記と同義のC−Cアルキル基又は上記と同義のC−Cアルコキシ基により置換されているベンジルを包含する。
【0034】
本発明の製造法の具体的な実施態様は、特に以下を包含する:
・ 式(I)の化合物の製造方法であって、該化合物が、式(I-A):
【0035】
【化11】


[式中、
R1は、(1S)−1−フェニル−C−Cアルキル又は(1S)−1−ナフチル−C−Cアルキル基(ここで、R1のフェニル又はナフチル部分は、非置換であるか、又は1個以上のC−Cアルコキシ基で置換されており、そしてR1のアルキル部分の2位、3位、及び/又は4位にある炭素原子は、R1のフェニル又はナフチル部分とは独立に、かつ互いに独立に、非置換であるか、又はC−Cアルコキシ及び/又はシリルオキシで置換されているか、あるいは好ましくは、非置換であるか、又は炭素原子当たり1個のC−Cアルコキシ基及び/又はシリルオキシ基で置換されている)を表し、そして
R2は、既に上述された意味を有する]で示される化合物から選択される方法であり、そして式(II-A):
【0036】
【化12】


[式中、
R1は、式(I-A)中と同義を有し;そして
R2及びR3は、既に上述された意味を有する]で示される化合物を、0℃以下の温度で液体非プロトン性溶媒中で式(I-A)の化合物を得るのに充分な時間、塩基で処理する方法;
・ 式(I)の化合物の製造方法であって、該化合物が、式(I-B):
【0037】
【化13】


[式中、
R1は、(1R)−1−フェニル−C−Cアルキル又は(1R)−1−ナフチル−C−Cアルキル基(ここで、R1のフェニル又はナフチル部分は、非置換であるか、又は1個以上のC−Cアルコキシ基で置換されており、そしてR1のアルキル部分の2位、3位、及び/又は4位にある炭素原子は、R1のフェニル又はナフチル部分とは独立に、かつ互いに独立に、非置換であるか、又はC−Cアルコキシ及び/又はシリルオキシで置換されているか、あるいは好ましくは、非置換であるか、又は炭素原子当たり1個のC−Cアルコキシ基及び/又はシリルオキシ基で置換されている)を表し、そして
R2は、既に上述された意味を有する]で示される化合物から選択される方法であり、そして式(II-B):
【0038】
【化14】


[式中、
R1は、式(I-B)中と同義を有し;そして
R2及びR3は、既に上述された意味を有する]で示される化合物を、0℃以下の温度で液体非プロトン性溶媒中で式(I-B)の化合物を得るのに充分な時間、塩基で処理する方法;及び
・ 式(I)の化合物の製造方法であって、該化合物が、cisコンホメーションを有する、式(I)の化合物のラセミ体(I-C):
【0039】
【化15】


[式中、
R1は、ベンジル若しくはナフチルメチル基、又はラセミ体1−フェニル−C−Cアルキル基若しくは1−ナフチル−C−Cアルキル基(ここで、R1のフェニル又はナフチル部分は、非置換であるか、又は1個以上のC−Cアルコキシ基で置換されており、そしてR1のアルキル部分の2位、3位、及び/又は4位にある炭素原子は、R1のフェニル又はナフチル部分とは独立に、かつ互いに独立に、非置換であるか、又はC−Cアルコキシ及び/又はシリルオキシで置換されているか、あるいは好ましくは、非置換であるか、又は炭素原子当たり1個のC−Cアルコキシ基及び/又はシリルオキシ基で置換されている)を表し、そして
R2は、既に上述された意味を有する]から選択される方法であり、そして式(II-C):
【0040】
【化16】


[式中、
R1は、式(I-C)中と同義を有し;そして
R2及びR3は、既に上述された意味を有する]で示される化合物を、0℃以下の温度で液体非プロトン性溶媒中で式(I-C)の化合物を得るのに充分な時間、塩基で処理する方法。
【0041】
前述の製造法において使用される塩基は、好ましくはNaH;リチウムジイソプロピルアミド(LDA);ヘキサメチルジシラジド・リチウム、ナトリウム又はカリウム(LiHMDS;NaHMDS;KHMDS);1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン(DBN)及び1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU)から選択される。幾つかの場合にはまた、上述のような塩基の混合物を使用するのが適切であろう。好ましい塩基は、リチウムジイソプロピルアミド(LDA)、及び特にヘキサメチルジシラジドリチウム(LiHMDS)である。
【0042】
前述の製造法における式(II)の化合物と塩基との反応は、一般に、約0℃以下の温度で、例えば、マイナス78℃〜0℃の温度で行われる。更に好ましくは、本反応は、約マイナス78℃〜マイナス50℃、特にマイナス78℃〜マイナス70℃で行われる。
【0043】
本製造法に使用される非プロトン性溶媒は、反応温度で液体でなければならない。この溶媒は、好ましくはジエチルエーテル;テトラヒドロフラン(THF);tert−ブチルメチルエーテル(TBME);石油エーテル;8個以下の炭素原子の液体アルカン類、8個以下の炭素原子の液体シクロアルカン類、ベンゼン若しくは1個以上のC−Cアルキル基により置換されたベンゼン(例えば、トルエン、キシレン類又はメシチレン類など)又はこれらの混合物から選択される。
【0044】
適切な反応時間は、好ましくは1〜20時間、更に特定して3〜12時間、例えば、5〜10時間の範囲である。もっと長い反応時間も本発明の範囲に含まれる。反応混合物を、場合により撹拌しながら、更に数時間、例えば、1〜10時間およそ室温で保持することができるが、本反応が充分に速いため、この操作は通常必要でない。
【0045】
上述の製造法の好ましい実施態様は、以下の条件の1つ以上、そして特に全ての該条件が適用される変法を包含する:
塩基は、リチウムジイソプロピルアミド(LDA)及びヘキサメチルジシラジドリチウム(LiHMDS)から選択される;
温度は、マイナス78℃〜マイナス70℃である;
溶媒は、テトラヒドロフラン(THF)である;及び/又は
反応時間は、1〜12時間である。
【0046】
別の好ましい態様において、
R1が、(1S)−1−フェニル−エチル、(1R)−1−フェニル−エチル、ラセミ体1−フェニル−エチル、2,4−ジメトキシベンジル及び3,4−ジメトキシベンジルから選択され;
R2が、tert−ブチル及びベンジルから選択され、そして
R3が、C−Cアルキル基、特にエチル、及びベンジルから選択される、式(II)の化合物に、上述の製造法を適用するのが好ましい。
【0047】
式(II)の化合物は、例えば、式(III)の化合物を式(IV)の第1級アミンと反応させることにより入手することができる:
【0048】
【化17】


[式中、R1、R2及びR3は、上記の意味のいずれか1つを有する]。
【0049】
該製造法において、式(III)の化合物は、式(IV)の第1級アミンと、一般にマイナス20℃〜80℃の範囲の温度で、液体非プロトン性溶媒中で、乾燥剤の存在下で、又は該製造法において生成した水を減圧下で共沸除去しながらのいずれかで反応させる。
【0050】
更に好ましくは、以下の条件の1つ以上、そして特に全ての該製造条件が該製造法において使用される:
反応温度は、およそ室温である(これは、例えば、10℃〜35℃、好ましくは20℃〜30℃を意味する);
溶媒は、tert−ブチルメチルエーテル(TBME)、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、塩化メチレン、ジオキサン、C−Cアルカン類、C−Cシクロアルカン類、ベンゼン若しくは1個以上のC−Cアルキル基により置換されたベンゼン類、ホルムアミド、ジメチルホルムアミド(DMF)、1,3−ジメチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2(1H)−ピリミジノン(DMPU)から選択される;及び/又は
乾燥剤は、無水硫酸マグネシウム、無水硫酸ナトリウム及びモレキュラーシーブから選択されるか、あるいは更に好ましくは、該製造法において生成した水は、減圧下で共沸除去される。
【0051】
式(III)の化合物の製造方法の特に好ましい実施態様において、20℃〜30℃の反応温度の使用は、該製造法において生成した水の減圧下での共沸除去と組合せる。
【0052】
式(III)の化合物は、有利には、例えば、式(V):
【0053】
【化18】


[式中、R2及びR3は、式(III)中と同義を有する]で示される対応するアルコール類から、従来から知られているアルコール酸化法(Swern酸化など)により入手することができる。
【0054】
順に式(V)の化合物は、式(VI):
【0055】
【化19】


[式中、R3は、式(V)中と同義を有する]で示される対応するアミノ−アルコール類と、対応するカルボナート、クロロホルマート又は無水物との反応により入手することができる。
【0056】
式(VI)の化合物は、例えば、3−アミノ−プロパノールを対応するハロ酢酸エステル類と反応させることにより入手することができる(例えば、Tetrahedron Letters; 1988; 29(18); 2195-2196を参照のこと)。
【0057】
また、式(II)の化合物が本明細書に記載される方法により得られるとき、これを前もって精製することなく使用することができることも、本発明の式(I)の化合物の製造方法の利点である。
【0058】
式(I)の化合物は、例えば、cisコンホメーションを有する式(A):
【0059】
【化20】


[式中、R2は、式(I)の化合物と同義を有する]で示される化合物を得るために更に処理することができる。
【0060】
該反応に使用される式(I)の化合物のR1基に応じて、異なる方法を該反応に適用することができる。
【0061】
詳しくは、式(I)中のR1が、2,4−ジメトキシベンジル及び3,4−ジメトキシベンジルから選択されるならば、式(I)の化合物は、有利にはこれをペルオキソ硫酸塩又はペルオキソ二硫酸塩と、例えば、アセトニトリル、アセトニトリル/水などのような溶媒中で反応させることにより、式(A)の化合物に変換される。この反応は、更に詳細には、J. Med. Chem. 1998, 41, 3961-3971、特に3968に記載される。
【0062】
好ましくはOxone(登録商標)が、前述の反応のペルオキソ硫酸塩又はペルオキソ二硫酸塩として選択されるが、これは、2KHSO・KHSO・KSOという組成の市販の塩である。
【0063】
式(I)中のR1が、1−フェニル−C−Cアルキル又は1−ナフチル−C−Cアルキル基、特に(1S)−1−フェニル−エチル、(1R)−1−フェニル−エチル及びラセミ体1−フェニル−エチルから選択されるような基であるならば、式(I)の化合物は、有利にはこれをリチウム、カリウム及び好ましくはナトリウムから選択されるアルカリ金属と、液体アンモニア中でC−Cアルコールの存在下で反応させることにより、式(A)の化合物に変換される。この反応は、BIRCH還元として知られている(例えば、R.C. Richards; Tetrahedron Letters; 1989; 30(39); 5239-5242を参照のこと)。
【0064】
好ましくは、式(I)の化合物は、該BIRCH還元において、金属ナトリウムと液体アンモニア中で約マイナス78℃の温度で反応させる。反応時間は、約30分〜数時間、例えば、30分〜3時間の範囲である。
【0065】
式(A)の化合物はまた、例えば、対応する6−スルホン酸化合物又はその塩のようなその誘導体、好ましくは対応するβ−ラクタマーゼインヒビター化合物(特に、(1S,5R)−2−[N−(4−{[(2−アミノ−エチル)アミノ]カルボニルアミノ}フェニル)アミノカルボニル]−7−オキソ−2,6−ジアザ−ビシクロ[3.2.0]ヘプタン−6−スルホン酸又はその塩など)を得るために、更に処理することができる。このプロセスは、一般に以下の反応スキーム2に示される[ここで、PySOは、ピリジン・三酸化硫黄錯体を表し、Pyは、ピリジンを意味し、そしてTFAは、トリフルオロ酢酸を意味する]。
【0066】
【化21】

【0067】
化合物(A-1)のスルホン化と、これに続くBOC保護基の脱離により、化合物(B)が生成するが、これは、例えば、報告されたように達成することができる(J. Med. Chem. 1998, 3961及びJ. Org. Chem. 1982, 5160)。
【0068】
式(A)の化合物中のR2が、非置換又は置換ベンジル基を表すならば、反応スキーム2の中間体化合物(A-1)を得るために、例えば、最初にBOCOの存在下で水素化してもよい。これは、例えば、Tetrahedron Lett. 1988, 2983に記載されている。
【0069】
化合物(B)は次に、所望の化合物(D)を得るために、適切なスクシンイミジル誘導体(C)と反応させてもよい。適切なスクシンイミジル誘導体(C)は、J. Med. Chem. 1998, 3961に記載される手順により合成及び導入することができる。R基の適切な例は、先行技術に、例えば、EP-A-0,508,234、WO 2007/065288などに記載されている。
【0070】
(1S,5R)−2−[N−(4−{[(2−アミノ−エチル)アミノ]カルボニルアミノ}フェニル)アミノカルボニル]−7−オキソ−2,6−ジアザ−ビシクロ[3.2.0]ヘプタン−6−スルホン酸は、WO 2007/065288に化合物(324)として例示されており、その薬学的有用性はそこに生物学的データにより証明されている。よって本発明はまた、式(I)の化合物が、その誘導体、対応する6−スルホン酸化合物又はその塩、特にβ−ラクタマーゼインヒビター化合物(特に、(1S,5R)−2−[N−(4−{[(2−アミノ−エチル)アミノ]カルボニルアミノ}フェニル)アミノカルボニル]−7−オキソ−2,6−ジアザ−ビシクロ[3.2.0]ヘプタン−6−スルホン酸又はその塩など)を得るために更に処理される、上述のような製造法に関する。
【0071】
実施例1
(3−ヒドロキシ−プロピルアミノ)酢酸エチルエステル
3−アミノプロパン−1−オール(154g;2.05mol)を−5℃に冷却した。温度を約5〜10℃に維持しながら、ブロモ酢酸エチル(143.6g;817mmol)を1.5時間かけて滴下により加えた。撹拌を10分間続けた。LC−MSにより、全てのブロモ酢酸エチルが反応したことが分かった。次に水(570ml)を反応混合物に加えた。この水性混合物を酢酸エチル(3×140ml)で3回洗浄した。合わせた有機相を水(2×140ml)で逆抽出した。水相を合わせて、塩化ナトリウム(255g)で飽和させた。この水溶液を塩化メチレン(6×750ml)で抽出した。合わせた有機相を硫酸ナトリウムで乾燥して、溶媒を減圧下で除去した。黄色の油状物を得た(83g;収率63%)。
【0072】
【表1】

【0073】
実施例2
2−[(tert−ブチルオキシカルボニル)−(3−ヒドロキシ−プロピル)−アミノ]酢酸エチルエステル
(3−ヒドロキシ−プロピルアミノ)酢酸エチルエステル(83g;0.515mol)を塩化メチレン(240ml)に2〜5℃で溶解した。BOC無水物(112.5g;0.514mol)をゆっくり加えた。この混合物を2〜5℃で1時間撹拌した。LC−MSにより、全ての出発物質が反応したことが分かった。溶媒を減圧下で30℃で除去した。黄色の油状物を得た(157g;定量的収率)。
【0074】
【表2】

【0075】
実施例3
2−[(tert−ブチルオキシカルボニル)−(3−オキソ−プロピル)−アミノ]酢酸エチルエステル
塩化オキサリル(131.5g;1.03mol)を塩化メチレン(680ml)に溶解した。この混合物を−74℃(内部温度)に冷却して、DMSO(110ml;1.54mol)を滴下により加えた。この混合物を30分間撹拌し、次に塩化メチレン(340ml)中のtert−ブチルオキシカルボニル−(3−ヒドロキシ−プロピル)−アミノ]酢酸エチルエステル(157g;0.515mol)の溶液を20分間かけて滴下により加えた。この混合物を25分間撹拌し、次にトリエチルアミン(384ml;2.75mol)を25分間かけて加えた。この混合物を45分間撹拌し、LC−MSにより、−78℃で全てのアルコールが反応したことが分かった。この反応液が室温まで温まるのを待って、1.5M KHPO水溶液(1.7L)でクエンチした。相を分離した。水相を塩化メチレン(2×400ml)で2回抽出した。有機相を合わせて、水で3回洗浄し、次に食塩水で1回洗浄した。この有機相を硫酸ナトリウムで乾燥して、減圧下で溶媒を留去した。黄色の油状物を得た(150g;定量的収率)。
【0076】
【表3】

【0077】
実施例4
2−{tert−ブチルオキシカルボニル−[3−(1(R)−フェニル−エチルイミノ)−プロピル]−アミノ}酢酸エチルエステル
tert−ブチルオキシカルボニル−(3−オキソ−プロピル)−アミノ]酢酸エチルエステル(59.7g;0.23mol)をシクロヘキサン(600ml)に溶解した。(R)−1−メチルベンジルアミン(26.5g;0.218mol)を10〜13℃で加えた。この混合物を20分間撹拌して、減圧下で溶媒を除去した(水の共沸除去)。この油状残渣(99g;定量的収率)を次の工程に直接使用した。
【0078】
【表4】

【0079】
実施例5
(1S,5R)−7−オキソ−6−(1(R)−フェニル−エチル)−2,6−ジアザ−ビシクロ[3.2.0]ヘプタン−2−カルボン酸tert−ブチルエステル
{tert−ブチルオキシカルボニル−[3−(1(R)−フェニル−エチルイミノ)−プロピル]−アミノ}酢酸エチルエステル(99g;0.23mol)を無水THF(420ml)に溶解した。この混合物を−74℃に冷却して、THF中のLiHMDS溶液(1M溶液、219ml)を1時間かけて滴下により加えた。この冷反応混合物(−74℃)を1.5M KHPO水溶液(820ml)に加えた。浴温を28℃未満に保持しながら、減圧下でTHFを除去した。この水性混合物を酢酸エチルで3回抽出した。合わせた有機相を水及び食塩水で洗浄して、硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧下で溶媒を除去して、黄色の粗油状物を得た(68.7g)。この油状物を塩化メチレンに溶解して、溶離液として塩化メチレンを用いて小さいシリカゲルパッド(33g;厚さ約3cm)で濾過した。橙色の粗油状物61.4gを得た。この油状物をヘプタン/酢酸エチル混合物(136ml;12/1)に室温で溶解して、0℃で所望の化合物が沈殿するのを2日間にわたり待った。黄色の固体を得た(10.7g;収率:14.6%)。
【0080】
【表5】

【0081】
実施例6
(1S,5R)−7−オキソ−2,6−ジアザ−ビシクロ[3.2.0]ヘプタン−2−カルボン酸tert−ブチルエステル
アンモニア(約100ml)を四つ口フラスコ中で−78℃で凝結させた。金属ナトリウム数片(2.3g;0.1mol)を加えた。この反応混合物を−78℃で1時間撹拌した。反応混合物が藍色に変わった。次に無水THF(40ml)に溶解した(1S,5R)−7−オキソ−6−(1(R)−フェニル−エチル)−2,6−ジアザ−ビシクロ[3.2.0]ヘプタン−2−カルボン酸tert−ブチルエステル(10.57g;33.4mmol)及び無水tert−ブタノール(4.4ml)をこの温度で滴下により加えた。LC/MS分析により、添加終了の2分後に反応が完了したことが分かった。固体塩化アンモニウム(10.56g)の添加により反応液をクエンチして、更に30分間−78℃で撹拌した。反応液は無色に変わった。過剰のアンモニアを留去して、残渣を1.5M KHPO水溶液(95ml)に溶解した。この混合物を酢酸エチルで3回抽出した。合わせた有機相を食塩水で洗浄して、硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧下で30℃で溶媒を除去して、残渣をメタノール/水混合物(メタノール48ml及び水80ml)に溶解した。この水相をヘプタンで3回洗浄した。減圧下で35℃でメタノールを除去して、水相を酢酸エチルで3回抽出した。合わせた有機相を食塩水で洗浄して、硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を除去して、粗生成物5.51gを得た。還流させながらこの粗固体を酢酸エチル(17ml)に溶解して、ヘプタン(32ml)を加えた。この混合物を0℃に冷却して、一晩生成物を結晶化させた。結晶を濾別し、ヘプタンで洗浄して乾燥した。無色の結晶を得た(4.46g;収率62.9%)。
【0082】
【表6】


キラルHPLC:ee>99.5%、絶対立体配置はHubschwerlen et al., J. Med. Chem. 1998, 41, 3972-3975により調製された基準試料とのキラルHPLC(カラム:Daicel AD-H)の比較により確認。
【0083】
エナンチオマーの合成:(1R,5S)−7−オキソ−2,6−ジアザ−ビシクロ[3.2.0]ヘプタン−2−カルボン酸tert−ブチルエステル
【0084】
実施例4’
2−{tert−ブチルオキシカルボニル−[3−(1(S)−フェニル−エチルイミノ)−プロピル]−アミノ}酢酸エチルエステル
tert−ブチルオキシカルボニル−(3−オキソ−プロピル)−アミノ]酢酸エチルエステル(28g;0.108mol)をTHF(200ml)に溶解した。(S)−1−メチルベンジルアミン(13.7g;0.108mol)を15℃で加えた。モレキュラーシーブ(4Å;14g)を反応混合物に加えて、この混合物を15℃で2時間撹拌した。この混合物を次の工程に直接使用した。
【0085】
実施例5’
(1R,5S)−7−オキソ−6−(1(S)−フェニル−エチル)−2,6−ジアザ−ビシクロ[3.2.0]ヘプタン−2−カルボン酸tert−ブチルエステル
前記混合物を−78℃に冷却して、THF中のLiHMDS溶液(1M溶液、107ml)を1時間かけて滴下により加えた。この冷反応混合物(−78℃)を1.5M KHPO水溶液(350ml)に加えた。浴温を28℃未満に保持しながら、減圧下でTHFを除去した。この水性混合物を酢酸エチルで3回抽出した。合わせた有機相を水及び食塩水で洗浄して、硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧下で溶媒を除去して、黄色の粗油状物を得た(31.3g)。この油状物をヘキサン/酢酸エチル混合物(215ml;40/3)に60℃で溶解して、5℃で所望の化合物が沈殿するのを3日間にわたり待った。黄色の固体を得た(11.5g;収率:33.8%;HPLC純度:92.4%;de:97.2%)。
【0086】
【表7】

【0087】
実施例6’
(1R,5S)−7−オキソ−2,6−ジアザ−ビシクロ[3.2.0]ヘプタン−2−カルボン酸tert−ブチルエステル
アンモニア(約100ml)を四つ口フラスコ中で−78℃で凝結させた。金属ナトリウム数片(4.1g;0.178mol)を加えた。この反応混合物を−78℃で1時間撹拌した。反応混合物が藍色に変わった。次に無水THF(100ml)に溶解した(1R,5S)−7−オキソ−6−(1(S)−フェニル−エチル)−2,6−ジアザ−ビシクロ[3.2.0]ヘプタン−2−カルボン酸tert−ブチルエステル(10.57g;33.4mmol)及び無水tert−ブタノール(0.5ml)をこの温度で滴下により加えた。LC/MS分析により、添加終了の2分後に反応が完了したことが分かった。固体塩化アンモニウム(10.56g)の添加により反応液をクエンチして、更に30分間−78℃で撹拌した。反応液は無色に変わった。過剰のアンモニアを留去して、残渣を飽和塩化アンモニウム溶液(200ml)に溶解した。この混合物を酢酸エチルで3回抽出した。合わせた有機相を食塩水で洗浄して、硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧下で30℃で溶媒を除去して、残渣をメタノール/水混合物(MeOH 50ml及び水100ml)に溶解した。この水相をヘキサンで3回洗浄した。減圧下で35℃でメタノールを除去して、水相を酢酸エチルで3回抽出した。合わせた有機相を食塩水で洗浄して、硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を除去して、粗生成物4gを得た。還流させながらこの粗固体を酢酸エチル(21ml)に溶解して、ヘキサン(100ml)を加えた。この混合物を0℃に冷却して、一晩生成物を結晶化させた。結晶を濾過し、ヘプタンで洗浄して乾燥した。無色の結晶を得た(2.4g;収率31.3%;HPLC純度:98.8%;キラルHPLC ee:99.45%)。
【0088】
【表8】

【0089】
実施例7
2−[(ベンジルオキシカルボニル)−(3−ヒドロキシ−プロピル)−アミノ]酢酸エチルエステル
(3−ヒドロキシ−プロピルアミノ)酢酸エチルエステルの冷却(5℃)水溶液(750ml)に、重炭酸ナトリウム(125g;1.49mol)を加えた。30分後、クロロギ酸ベンジル(63.5g;372mmol)をゆっくり加えた。この混合物を5℃で2時間撹拌した。次に酢酸エチル(1000ml)をこの混合物に加えた。相を分離した。水相を酢酸エチル(2×500ml)で2回抽出した。合わせた有機相を水(2×500ml)で2回洗浄して食塩水(500ml)で洗浄した。有機相を硫酸マグネシウムで乾燥した。固体を濾別して、減圧下で溶媒を除去した。粗生成物に含まれる不純物(主としてベンジルアルコール)を減圧蒸留により除去した。明黄色の油状物57.5g(収率82.4%;ブロモ酢酸エチルに基づく;実施例1を参照のこと)を得た。
【0090】
【表9】

【0091】
実施例8
2−[(ベンジルオキシカルボニル)−(3−オキソ−プロピル)−アミノ]酢酸エチルエステル
ベンジルオキシカルボニル−(3−ヒドロキシ−プロピル)−アミノ]酢酸エチルエステル(10g;33.9mmol)をDMSO(60ml)に溶解した。トリエチルアミン(30ml;215mmol)を加えた。次にDMSO(60ml)に溶解した三酸化硫黄・ピリジン錯体(16.2g;102mmol)を14℃で加えて、この混合物を3.5時間撹拌した。pH値が5に達するまで、温度を14℃に保持しながら塩酸水溶液(2M)を加えた。次にこの反応混合物を酢酸エチル(3×200ml)で抽出した。合わせた有機相をHCl水溶液(0.5M溶液;2×200ml)で2回洗浄して食塩水(200ml)で洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した。固体を濾別して、減圧下で溶媒を除去した。黄色の油状物としてアルデヒドを得た(9.4g;収率94.6%)。
【0092】
【表10】

【0093】
実施例9
[(1R,5S),(1S,5R)1:1]−6−(2,4−ジメトキシ−ベンジル)−7−オキソ−2,6−ジアザ−ビシクロ[3.2.0]ヘプタン−2−カルボン酸ベンジルエステル
2−[(ベンジルオキシカルボニル)−(3−オキソ−プロピル)−アミノ]酢酸エチルエステル(0.25g;0.85mmol)をジクロロメタン(10ml)に溶解した。無水硫酸マグネシウム(1g)を加えた。この反応混合物を0℃に冷却して、2,4−ジメトキシ−ベンジルアミン(0.143g;0.85mmol)を加え、この混合物を0℃で4時間撹拌した。固体を濾別して、減圧下で溶媒を除去した。無色の油状物0.35g(収率93%)を得た。得られたイミンを次の工程に直接使用した。
【0094】
このイミン(0.175g;0.4mmol)を無水THF(10ml)に溶解した。この反応混合物を−78℃に冷却して、LDA(THF中の2M溶液0.24ml)をゆっくり加えた。この反応混合物を−78℃で10時間撹拌し、次に反応混合物を室温まで温めて一晩撹拌した。次にこの反応混合物を冷水に注ぎ入れ、酢酸エチルで抽出した;相を分離した。水相を酢酸エチル(2×10ml)で2回抽出した。合わせた有機相を水(10ml)で洗浄して食塩水で2回(2×10ml)洗浄した。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥した。固体を濾別して、減圧下で溶媒を除去した。粗生成物をシリカゲルのカラムクロマトグラフィー(溶離液:ヘキサン/酢酸エチル、10:1)により精製した。無色のロウ状固体0.045g(収率33%)を得た。
【0095】
【表11】

【0096】
実施例10
2−{ベンジルオキシカルボニル−[3−(1(R)−フェニル−エチルイミノ)−プロピル]−アミノ}酢酸エチルエステル
2−[(ベンジルオキシカルボニル)−(3−オキソ−プロピル)−アミノ]酢酸エチルエステル(0.32g;1.09mmol)をジクロロメタン(10ml)に溶解した。モレキュラーシーブ(2g;3Å)を加えた。この反応混合物を0℃に冷却して、(R)−(+)−1−フェニルエチルアミン(0.132g;1.09mmol)を加え、この混合物を0℃で4時間撹拌した。固体を濾別して、減圧下で溶媒を除去した。明黄色の油状物0.35g(収率93%)を得た。得られたイミンは、次の工程に直接使用した。
【0097】
実施例11
(1S,5R)−7−オキソ−6−(1(R)−フェニル−エチル)−2,6−ジアザ−ビシクロ[3.2.0]ヘプタン−2−カルボン酸ベンジルエステル
2−{ベンジルオキシカルボニル−[3−(1(R)−フェニル−エチルイミノ)−プロピル]−アミノ}酢酸エチルエステル(0.909g;2.29mmol)を無水THF(20ml)に溶解した。この反応混合物を−78℃に冷却して、LDA(THF中の2M溶液1.6ml)をゆっくり加えた。この反応混合物を−78℃で6時間撹拌した。次に、反応混合物を塩化アンモニウム冷飽和水溶液に注ぎ入れ、酢酸エチルで抽出した;相を分離した。水相を酢酸エチル(2×100ml)で2回抽出した。合わせた有機相を水(50ml)で洗浄して食塩水で2回(2×50ml)洗浄した。有機相を硫酸マグネシウムで乾燥した。固体を濾別して、減圧下で溶媒を除去した。粗生成物をシリカゲルのカラムクロマトグラフィー(溶離液:ヘキサン/酢酸エチル、50:1〜10:1)により精製した。無色の黄色の油状物0.418g(収率52%)を得た。
【0098】
【表12】

【0099】
実施例12
(1S,5R)−7−オキソ−6−(1(R)−フェニル−エチル)−2,6−ジアザ−ビシクロ[3.2.0]ヘプタン−2−カルボン酸tert−ブチルエステル
(1S,5R)−7−オキソ−6−(1(R)−フェニル−エチル)−2,6−ジアザ−ビシクロ[3.2.0]ヘプタン−2−カルボン酸ベンジルエステル(500mg;1.43mmol)をエタノール(20ml)に溶解した。パラジウム担持活性炭(5%;150mg)を反応混合物に加えた。次にBOC無水物(370mg;1.71mmol)を加えた。この反応混合物を1barの圧力の水素雰囲気下で4時間撹拌した。パラジウム触媒を濾別した。減圧下で溶媒を除去した。粗生成物をシリカゲルのカラムクロマトグラフィー(溶離液:ヘキサン/酢酸エチル、10:1)により精製した。白色の半固体0.3g(収率66.5%)を得た。
【0100】
【表13】

【0101】
実施例13
本実施例では、本出願の実施例6の生成物をWO 2007/065288に開示された化合物(324)に、即ち、(1S,5R)−2−[N−(4−{[(2−アミノエチル)アミノ]カルボニルアミノ}フェニル)カルバモイル]−7−オキソ−2,6−ジアザビシクロ[3.2.0]ヘプタン−6−スルホン酸(反応スキーム2も参照のこと)に変換する例により、本発明の中間体の更なる処理を例証した。
【0102】
(a) (1S,5R)−7−オキソ−2,6−ジアザビシクロ[3.2.0]ヘプタン−6−スルホン酸(反応スキーム2の化合物(B))の調製:
ピリジン(90mL)中の本出願の実施例6により得られた(1S,5R)−7−オキソ−2,6−ジアザ−ビシクロ[3.2.0]ヘプタン−2−カルボン酸tert−ブチルエステル(反応スキーム2の化合物(A-1))(10.00g、47.11mmol、1.0当量)の溶液を80℃で加熱して、次にPy.SO(22.64g、141.34mmol、3.0当量)を加えた。この反応混合物を80℃で1時間30分間撹拌し、次に0.5M KHPO水溶液(100mL)に注ぎ入れた。この水溶液を次にCHCl(2×100mL)で2回抽出して、得られた合わせた有機層を追加のリン酸溶液(100mL)で逆抽出した。合わせた水相を硫酸水素テトラブチルアンモニウム(16.00g、47.11mmol、1.0当量)で処理して、次にCHCl(3×200mL)で抽出し、NaSOで乾燥することにより、濃縮後に目的の中間体を得た。この中間体をCHCl(240mL)に溶解して、TFA(18.15mL、235.57mmol、5.0当量)を0℃で加えることにより、BOC保護基を脱離した。生じた混合物が室温まで温まるのを待った。室温で24時間撹拌後、更なるTFA(18.15mL、235.57mmol、5.0当量)を加えた。室温で更に24時間撹拌後、反応混合物を濾過することにより、目的の化合物(B)を白色の粉末として得た:8.00g(84%)。
【0103】
【表14】

【0104】
(b) (tert−ブトキシ)−N−{4−[(フルオレン−9−イルメトキシ)カルボニルアミノ]フェニル}カルボキサミドの調製
トリエチルアミン(7.36mL、52.82mmol、1.1当量)を0℃でCHCN(240mL)中のN−BOC−1,4−フェニレンジアミン(10.00g、48.02mmol、1.0当量)の撹拌溶液に加え、続いて9−フルオレニルメチルオキシカルボニルクロリド(14.90g、57.62mmol、1.2当量)を加えた。生じた混合物が室温まで温まるのを待った。室温で4時間撹拌後、この反応混合物を濾過することにより、粗生成物20.60gを白色の粉末として得たが、これを更に精製することなく次の工程に使用した。
【0105】
【表15】

【0106】
(c) N−(4−アミノフェニル)(フルオレン−9−イルメトキシ)カルボキサミドの調製
TFA(55.30mL、717.76mmol、15.0当量)を0℃で、CHCl(900mL)中の(tert−ブトキシ)−N−{4−[(フルオレン−9−イルメトキシ)カルボニルアミノ]フェニル}カルボキサミド(20.60g、47.85mmol、1.0当量)の撹拌溶液に加えた。生じた溶液が室温まで温まるのを待った。室温で一晩撹拌後、反応混合物を乾燥するまで濃縮して、残渣を水中で粉砕した。次にこの混合物を濾過することにより、目的の粗生成物15.80gを白色の粉末として得た。
【0107】
【表16】

【0108】
(d) N−{4−[(2,5−ジオキソアゾリジニルオキシ)カルボニルアミノ]フェニル}(フルオレン−9−イルメトキシ)カルボキサミドの調製
炭酸N,N’−ジスクシンイミジル(16.20g、63.26mmol、1.1当量)を室温でCHCN(1100mL)中のN−(4−アミノフェニル)(フルオレン−9−イルメトキシ)カルボキサミド(20.00g、60.53mmol、1.0当量)の撹拌溶液に加えた。室温で一晩撹拌後、反応混合物を濾過することにより、目的の粗生成物28.50gを白色の粉末として得た。
【0109】
【表17】

【0110】
(e) N−{4−[({2−[(tert−ブトキシ)カルボニルアミノ]エチル}アミノ)カルボニルアミノ]フェニル}(フルオレン−9−イルメトキシ)カルボキサミドの調製
O/CHCN(1/1、v/v、360mL)中のN−{4−[(2,5−ジオキソアゾリジニルオキシ)カルボニルアミノ]フェニル}(フルオレン−9−イルメトキシ)カルボキサミド(16.10g、34.15mmol、1.0当量)の溶液を、室温でNaHCO(2.86g、34.15mmol、1.0当量)及びN−BOC−エチレンジアミン(5.47g、34.15mmol、1.0当量)と反応させた。室温で一晩撹拌後、反応混合物を濾過することにより、目的の粗生成物16.36gを白色の固体として得た。
【0111】
【表18】

【0112】
(f) N−(4−アミノフェニル)({2−[(tert−ブトキシ)カルボニルアミノ]エチル}アミノ)カルボキサミドの調製
ピペリジン(9.68mL、97.75mmol、5.0当量)を室温でDMF(140mL)中のN−{4−[({2−[(tert−ブトキシ)カルボニルアミノ]エチル}アミノ)カルボニルアミノ]フェニル}(フルオレン−9−イルメトキシ)カルボキサミド(10.10g、19.55mmol、1.0当量)の撹拌溶液に加えた。室温で2時間撹拌後、水を反応混合物に加えて沈殿させた。生じた混合物を濾過し、液相を濃縮することにより、目的の生成物6.75gを橙色の油状物として得た:
【0113】
【表19】

【0114】
(g) ({2−[(tert−ブトキシ)カルボニルアミノ]エチル}アミノ)−N−{4−[(2,5−ジオキソアゾリジニルオキシ)カルボニルアミノ]フェニル}カルボキサミドの調製
炭酸N,N’−ジスクシンイミジル(5.49g、21.44mmol、1.1当量)を室温でCHCN(350mL)中のN−(4−アミノフェニル)({2−[(tert−ブトキシ)カルボニルアミノ]エチル}アミノ)カルボキサミド(6.75g、19.49mmol、1.0当量)の撹拌溶液に加えた。室温で一晩撹拌後、反応混合物を濾過することにより、目的の粗生成物9.70gを明褐色の固体として得た。
【0115】
【表20】

【0116】
(h) [(2−アミノエチル)アミノ]−N−{4−[(2,5−ジオキソアゾリジニルオキシ)カルボニルアミノ]フェニル}カルボキサミド(化合物(C-1))の調製
TFA(11.59mL、150.54mmol、5.0当量)を室温でCHCl(165mL)中の({2−[(tert−ブトキシ)カルボニルアミノ]エチル}アミノ)−N−{4−[(2,5−ジオキソアゾリジニルオキシ)カルボニルアミノ]フェニル}カルボキサミド(13.8g、30.11mmol、1.0当量)の撹拌懸濁液に加えた。室温で一晩撹拌後、溶媒を留去して、粗生成物をEtOで粉砕することにより、目的の粗生成物14.2gをベージュ色の固体として、かつトリフルオロ酢酸塩として得た。
【0117】
【表21】

【0118】
(i) (1S,5R)−2−[N−(4−{[(2−アミノエチル)アミノ]カルボニルアミノ}フェニル)カルバモイル]−7−オキソ−2,6−ジアザビシクロ[3.2.0]ヘプタン−6−スルホン酸(化合物(D-1))の調製
(1S,5R)−7−オキソ−2,6−ジアザビシクロ[3.2.0]ヘプタン−6−スルホン酸(反応スキーム2の化合物(B)、2.0g、10.41mmol、1.0当量)をHO(12.5mL)に溶解した。次にCHCN(100mL)を室温でこの溶液に加え、続いてNaHCO(1.57g、18.73mmol、1.8当量)及び[(2−アミノエチル)アミノ]−N−{4−[(2,5−ジオキソアゾリジニルオキシ)カルボニルアミノ]フェニル}カルボキサミド(化合物(C-1))(6.89g、14.57mmol、1.4当量)を加えた。室温で一晩撹拌後、反応混合物を濾過することにより、目的の(1S,5R)−2−[N−(4−{[(2−アミノエチル)アミノ]カルボニルアミノ}フェニル)カルバモイル]−7−オキソ−2,6−ジアザビシクロ[3.2.0]ヘプタン−6−スルホン酸3.27gを白色の固体として得た。
【0119】
【表22】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
cisコンホメーションを有する式(I):
【化22】


[式中、
R1は、1−フェニル−C−Cアルキル又は1−ナフチル−C−Cアルキル基(ここで、R1のフェニル又はナフチル部分は、非置換であるか、又は1個以上のC−Cアルコキシ基で置換されており、そしてR1のアルキル部分の2位、3位、及び/又は4位にある炭素原子は、R1のフェニル又はナフチル部分とは独立に、かつ互いに独立に、非置換であるか、又はC−Cアルコキシ及び/又はシリルオキシで置換されているか、あるいは好ましくは非置換であるか、又は炭素原子当たり1個のC−Cアルコキシ基及び/又はシリルオキシ基で置換されている)を表し、そして
R2は、C−Cアルキル基又は非置換若しくは置換ベンジル基を表す]で示される化合物の製造方法であって、式(II):
【化23】


[式中、
R3は、C−Cアルキル基又は非置換若しくは置換ベンジル基を表し、そして
R1及びR2は、式(I)中と同義である]で示される化合物を、0℃以下の温度で液体非プロトン性溶媒中で式(I)の化合物を得るのに充分な時間、塩基で処理する方法。
【請求項2】
式(I)の化合物の製造のための請求項1に記載の方法であって、該化合物が、式(I-A):
【化24】


[式中、
R1は、(1S)−1−フェニル−C−Cアルキル又は(1S)−1−ナフチル−C−Cアルキル基(ここで、R1のフェニル又はナフチル部分は、非置換であるか、又は1個以上のC−Cアルコキシ基で置換されており、そしてR1のアルキル部分の2位、3位、及び/又は4位にある炭素原子は、R1のフェニル又はナフチル部分とは独立に、かつ互いに独立に、非置換であるか、又はC−Cアルコキシ及び/又はシリルオキシで置換されているか、あるいは好ましくは、非置換であるか、又は炭素原子当たり1個のC−Cアルコキシ基及び/又はシリルオキシ基で置換されている)を表し、そして
R2は、請求項1中と同義を有する]で示される化合物から選択される方法であり、そして式(II-A):
【化25】


[式中、
R1は、式(I-A)中と同義を有し;そして
R2及びR3は、請求項1中と同義を有する]で示される化合物を、0℃以下の温度で液体非プロトン性溶媒中で式(I-A)の化合物を得るのに充分な時間、塩基で処理する方法。
【請求項3】
式(I)の化合物の製造のための請求項1に記載の方法であって、該化合物が、式(I-B):
【化26】


[式中、
R1は、(1R)−1−フェニル−C−Cアルキル又は(1R)−1−ナフチル−C−Cアルキル基(ここで、R1のフェニル又はナフチル部分は、非置換であるか、又は1個以上のC−Cアルコキシ基で置換されており、そしてR1のアルキル部分の2位、3位、及び/又は4位にある炭素原子は、R1のフェニル又はナフチル部分とは独立に、かつ互いに独立に、非置換であるか、又はC−Cアルコキシ及び/又はシリルオキシで置換されているか、あるいは好ましくは、非置換であるか、又は炭素原子当たり1個のC−Cアルコキシ基及び/又はシリルオキシ基で置換されている)を表し、そして
R2は、請求項1中と同義を有する]で示される化合物から選択される方法であり、そして式(II-B):
【化27】


[式中、
R1は、式(I-B)中と同義を有し;そして
R2及びR3は、請求項1中と同義を有する]で示される化合物を、0℃以下の温度で液体非プロトン性溶媒中で式(I-B)の化合物を得るのに充分な時間、塩基で処理する方法。
【請求項4】
式(I)の化合物の製造のための請求項1に記載の方法であって、該化合物が、cisコンホメーションを有する、式(I)の化合物の式(I-C):
【化28】


[式中、
R1は、ベンジル若しくはナフチルメチル基、又はラセミ体1−フェニル−C−Cアルキル基若しくは1−ナフチル−C−Cアルキル基(ここで、R1のフェニル又はナフチル部分は、非置換であるか、又は1個以上のC−Cアルコキシ基で置換されており、そしてR1のアルキル部分の2位、3位、及び/又は4位にある炭素原子は、R1のフェニル又はナフチル部分とは独立に、かつ互いに独立に、非置換であるか、又はC−Cアルコキシ及び/又はシリルオキシで置換されているか、あるいは好ましくは、非置換であるか、又は炭素原子当たり1個のC−Cアルコキシ基及び/又はシリルオキシ基で置換されている)を表し、そして
R2は、請求項1中と同義を有する]で示されるラセミ体から選択される方法であり、そして式(II-C):
【化29】


[式中、
R1は、式(I-C)中と同義を有し;そして
R2及びR3は、請求項1中と同義を有する]で示される化合物を、0℃以下の温度で液体非プロトン性溶媒中で式(I-C)の化合物を得るのに充分な時間、塩基で処理する方法。
【請求項5】
該塩基が、NaH;リチウムジイソプロピルアミド(LDA);ヘキサメチルジシラジド・リチウム、ナトリウム又はカリウム(LiHMDS;NaHMDS;KHMDS);1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン(DBN)及び1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU)から選択される、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
該温度が、マイナス78℃〜0℃である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
該溶媒が、ジエチルエーテル;テトラヒドロフラン(THF);tert−ブチルメチルエーテル(TBME);石油エーテル;8個以下の炭素原子の液体アルカン;8個以下の炭素原子の液体シクロアルカン、ベンゼン又は1個以上のC−Cアルキル基により置換されたベンゼンから選択される、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
反応時間が、1〜20時間である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
以下の条件の1つ以上、そして特に全ての該条件:
該塩基は、リチウムジイソプロピルアミド(LDA)及びヘキサメチルジシラジドリチウム(LiHMDS)から選択される;
該温度は、マイナス78℃〜マイナス70℃である;
該溶媒は、テトラヒドロフラン(THF)である;及び
該反応時間は、1〜12時間である
が適用される、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
R1が、(1S)−1−フェニル−エチル、(1R)−1−フェニル−エチル、ラセミ体1−フェニル−エチル、2,4−ジメトキシベンジル及び3,4−ジメトキシベンジルから選択され;
R2が、tert−ブチル及びベンジルから選択され、そして
R3が、C−Cアルキル基、特にエチル、及びベンジルから選択される、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
式(II)の化合物が、式(III)の化合物を式(IV):
【化30】


[式中、R1、R2及びR3は、請求項1〜4又は10のいずれか1項中と同義である]で示される第1級アミンと反応させることにより得られる、請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
請求項11により得られる式(II)の化合物が、前もって精製することなく式(I)の化合物の製造に使用される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
式(III)の化合物を、式(IV)の第1級アミンと、マイナス20℃〜80℃の温度で、液体非プロトン性溶媒中で、乾燥剤の存在下で、又は該製造法において生成した水を減圧下で共沸除去しながらのいずれかで反応させる、請求項11又は12に記載の方法。
【請求項14】
以下の条件の1つ以上、そして特に全ての該条件:
該温度は、室温、例えば、20℃〜30℃である;
該溶媒は、tert−ブチルメチルエーテル(TBME)、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、塩化メチレン、ジオキサン、C−Cアルカン類、C−Cシクロアルカン類、ベンゼン若しくは1個以上のC−Cアルキル基により置換されたベンゼン、ホルムアミド、ジメチルホルムアミド(DMF)、1,3−ジメチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2(1H)−ピリミジノン(DMPU)から選択される;
該乾燥剤は、無水硫酸マグネシウム、無水硫酸ナトリウム及びモレキュラーシーブから選択されるか、あるいは好ましくは、該製造法において生成した水は、減圧下で共沸除去される
が適用される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
該式(I)の化合物が、中間体であり、そしてcisコンホメーションを有する式(A):
【化31】


[式中、R2は、請求項1又は10に記載の意味の1つを有しており、かつ式(I)の化合物中と同義を有する]で示される化合物を得るために更に処理される、請求項1〜14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
式(I)中のR1が、(1S)−1−フェニル−エチル、(1R)−1−フェニル−エチル及びラセミ体1−フェニル−エチルから選択され、
式(I)中のR3が、請求項1又は10に記載の意味の1つを有しており、そして
R2が、請求項15中と同義を有しており、そして
式(I)の化合物を、リチウム、カリウム及び好ましくはナトリウムから選択されるアルカリ金属と、液体アンモニア中でC−Cアルコールの存在下で反応させる、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
式(I)中のR1が、2,4−ジメトキシベンジル及び3,4−ジメトキシベンジルから選択され、
式(I)中のR3が、請求項1又は10に記載の意味の1つを有しており、そして
R2が、請求項15中と同義を有しており、そして
式(I)の化合物を、ペルオキソ硫酸塩又はペルオキソ二硫酸塩と、例えば、アセトニトリル、アセトニトリル/水などのような溶媒中で反応させる、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
請求項1〜17のいずれか1項により得られる式(I)の化合物又は式(A)の化合物が、その誘導体、特に対応する6−スルホン酸化合物又はその塩、特にβ−ラクタマーゼインヒビター化合物(特に、(1S,5R)−2−[N−(4−{[(2−アミノ−エチル)アミノ]カルボニルアミノ}フェニル)アミノカルボニル]−7−オキソ−2,6−ジアザ−ビシクロ[3.2.0]ヘプタン−6−スルホン酸又はその塩など)を得るために更に処理される、請求項1〜17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
式(II):
【化32】


[式中、
R1は、1−フェニル−C−Cアルキル又は1−ナフチル−C−Cアルキル基(ここで、R1のフェニル又はナフチル部分は、非置換であるか、又は1個以上のC−Cアルコキシ基で置換されており、そしてR1のアルキル部分の2位、3位、及び/又は4位にある炭素原子は、R1のフェニル又はナフチル部分とは独立に、かつ互いに独立に、非置換であるか、又はC−Cアルコキシ及び/又はシリルオキシで置換されているか、あるいは好ましくは非置換であるか、又は炭素原子当たり1個のC−Cアルコキシ基及び/又はシリルオキシ基で置換されている)を表し;
R2は、C−Cアルキル基又は非置換若しくは置換ベンジル基を表し、そして
R3は、C−Cアルキル基又は非置換若しくは置換ベンジル基を表す]で示される化合物。
【請求項20】
請求項2中と同義の式(II-A)を有する、請求項19に記載の化合物。
【請求項21】
請求項3中と同義の式(II-B)を有する、請求項19に記載の化合物。
【請求項22】
請求項4中と同義の式(II-C)を有する、請求項19に記載の化合物。
【請求項23】
cisコンホメーションを有する式(I):
【化33】


[式中、
R1は、1−フェニル−C−Cアルキル又は1−ナフチル−C−Cアルキル基(ここで、R1のフェニル又はナフチル部分は、非置換であるか、又は1個以上のC−Cアルコキシ基で置換されており、そしてR1のアルキル部分の2位、3位、及び/又は4位にある炭素原子は、R1のフェニル又はナフチル部分とは独立に、かつ互いに独立に、非置換であるか、又はC−Cアルコキシ及び/又はシリルオキシで置換されているか、あるいは好ましくは非置換であるか、又は炭素原子当たり1個のC−Cアルコキシ基及び/又はシリルオキシ基で置換されている)を表し、そして
R2は、C−Cアルキル基又は非置換若しくは置換ベンジル基を表す]で示される化合物。
【請求項24】
R1が、(1S)−1−フェニル−C−Cアルキル基、(1S)−1−ナフチル−C−Cアルキル基、(1R)−1−フェニル−C−Cアルキル基、及び(1R)−1−ナフチル−C−Cアルキル基から選択される、請求項23に記載の化合物。
【請求項25】
R1が、(1S)−1−フェニル−エチル及び(1R)−1−フェニル−エチルから選択される、請求項24に記載の化合物。

【公表番号】特表2010−539211(P2010−539211A)
【公表日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−525315(P2010−525315)
【出願日】平成20年9月15日(2008.9.15)
【国際出願番号】PCT/EP2008/062258
【国際公開番号】WO2009/037229
【国際公開日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【出願人】(501241380)バジリア ファルマスーチカ アーゲー (24)
【氏名又は名称原語表記】Basilea Pharmaceutica AG
【Fターム(参考)】