架空線点検装置
【課題】傾斜した架空線に沿って自走が容易な架空線点検装置を提供する。
【解決手段】架空線点検装置100は、一対の移動フレーム20・30とこれらの移動フレーム20・30の間に配置された中間フレーム40を備える。一対の移動フレーム20・30は、架空線Wの中心に向かって架空線Wの外周を等圧に把持するチャック装置10をそれぞれ有する。中間フレーム40は、架空線Wを軌道として転動する一対の車輪40a・40aを有する。架空線点検装置100は、中間フレーム40に対して、一対の移動フレーム20・30を架空線Wの軸方向に進退させる第1の平行移動手段110を備える。一対のチャック装置10・10が架空線Wを把持又は解放する動作と一対の移動フレーム20・30が伸縮する動作とを繰り返すことにより、架空線Wに沿って移動できる。
【解決手段】架空線点検装置100は、一対の移動フレーム20・30とこれらの移動フレーム20・30の間に配置された中間フレーム40を備える。一対の移動フレーム20・30は、架空線Wの中心に向かって架空線Wの外周を等圧に把持するチャック装置10をそれぞれ有する。中間フレーム40は、架空線Wを軌道として転動する一対の車輪40a・40aを有する。架空線点検装置100は、中間フレーム40に対して、一対の移動フレーム20・30を架空線Wの軸方向に進退させる第1の平行移動手段110を備える。一対のチャック装置10・10が架空線Wを把持又は解放する動作と一対の移動フレーム20・30が伸縮する動作とを繰り返すことにより、架空線Wに沿って移動できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、架空線点検装置に関する。特に、OPGW(Optical fiber composite overhead ground wire:光ファイバ複合架空地線)などの架空線の損傷状況を点検する装置であって、架空線に沿って自走する架空線点検装置の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
OPGWは、架空地線の内部に光ファイバを収納している。光ファイバは、雷や交流電磁界の影響を受けずに通信が可能であり、光ファイバを架空地線に収納することによって、既存の送電線網を利用して、大容量の通信回線網を構築できるという利点がある。OPGWは、このような利点があることから、国内外の電力会社に広く利用されている。
【0003】
例えば、OPGWは、多芯光ファイバユニットをアルミ管に挿通し、更に、このアルミ管をアルミ覆鋼線で覆っている。そして、アルミ管又はアルミ覆鋼線に損傷が発生すると、これに起因して、光通信に障害がでる心配がある。したがって、電力会社では、自走式の架空線点検装置などを用いて、OPGWの損傷を定期的又は不定期に点検している。
【0004】
このような自走式の架空線点検装置としては、安定性が良好であり、かつ、架空線上の障害物が大きい場合にも走行可能であり、更に、この装置の搬入及び搬出に障害とならないようにコンパクトな退避装置を備えた架空線点検装置が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
特許文献1による架空線点検装置は、一対の走行ローラが架空地線や電力線などの架空線を走行することにより、送配電線路に架設する架空線の損傷状況を遠隔操作により点検して撮影している。走行ローラの下部には、走行ローラと共に架空線を挟持して転動可能な押さえローラを配設している。この押さえローラは、積雪防止用ダンパ(障害物)の上を通過するときには、ダンパとの干渉を避けるために、架空線から一時的に退避可能な退避装置に連結している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−242476号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1による架空線点検装置は、一対の走行ローラが架空線に懸架され、これらの走行ローラが架空線上を摩擦転動することによって、架空線に沿って自走するように構成している。このため、急角度に傾斜した架空線に沿って、架空線点検装置を走行することが困難であるという問題がある。
【0008】
一方、走行ローラと押さえローラとの挟持力を強くすれば、架空線点検装置を傾斜した架空線に沿って走行することがあるいは可能となるが、架空線を損傷しかねないという問題がある。架空線を損傷することなく、傾斜した架空線に沿って走行(自走)が容易な架空線点検装置が求められている。
【0009】
又、特許文献1による架空線点検装置は、架空線を上側又は下側から撮影するCCDカメラを備えており、映像機器で記録された架空線の映像を観察することにより、架空線の損傷状況を点検できる、としている。
【0010】
しかし、特許文献1による架空線点検装置は、架空線の観察方向が限定又は制約されており、架空線の全体(全周囲)を点検することを困難としている、という問題がある。架空線の全周囲を点検可能な架空線点検装置が求められている。そして、以上のことが本発明の課題といってよい。
【0011】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、傾斜した架空線に沿って自走が容易であり、かつ、架空線の全周囲を点検可能な架空線点検装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは、架空線の中心に向かって架空線を等圧的に把持するチャック装置を備える一対の移動フレーム、これらの移動フレームの間に配置されて架空線上を転動する車輪を備える中間フレーム、及び中間フレームに対して少なくとも一方の移動フレームを架空線の軸方向に進退させる平行移動手段とで架空線点検装置を構成し、一方の移動フレームが架空線を把持しているときは、他方の移動フレームが架空線を解放して、一対の移動フレームを相対的に離れる方向に移動させ、他方の移動フレームが架空線を把持しているときは、一方の移動フレームが架空線を解放して、一対の移動フレームを相対的に近づく方向に移動させ、これらの動作を繰り返すことにより、架空線を損傷することなく、傾斜した架空線に沿って自走が容易なことを見出し、これに基づいて、以下のような新たな架空線点検装置を発明するに至った。
【0013】
(1)本発明による架空線点検装置は、架空線をその外周方向から導入可能な第1切り欠き部を設ける第1円形開口を有し、この第1円形開口の中心に架空線が位置するように、架空線の中心に向かって架空線の外周を等圧に把持するチャック装置を有する一対の移動フレームと、これらの移動フレームの間に配置されて架空線を軌道として転動する車輪を有する中間フレームと、この中間フレームと一対の前記移動フレームとを連結し、前記中間フレームに対して少なくとも一方の前記移動フレームを架空線の軸方向に進退させる平行移動手段と、を備え、一方の前記チャック装置が架空線を把持しているときは、他方の前記チャック装置が架空線を解放して、前記平行移動手段が一対の前記移動フレームを相対的に離れる方向に移動させ、他方の前記チャック装置が架空線を把持しているときは、一方の前記チャック装置が架空線を解放して、前記平行移動手段が一対の前記移動フレームを相対的に近づく方向に移動させ、一対の前記チャック装置が架空線を把持又は解放する動作と一対の前記移動フレームが伸縮する動作とを繰り返すことにより、架空線に沿って移動する。
【0014】
(2)前記チャック装置は、前記第1円形開口を中心部に設け、前記移動フレームの中央部に回動可能に保持される回転リングと、前記移動フレームに保持され、前記回転リングを回動させる第1モータと、前記回転リングの回動運動に連動して前記第1円形開口の口径を縮径可能な帯板状の複数の揺動爪と、を備え、前記移動フレームは、前記チャック装置を装着して架空線の軸方向に移動可能な基板を備え、この基板は、前記第1切り欠き部に連通して架空線をその外周方向から導入可能な第1開口と、前記回転リングの周囲に等間隔に配置され、前記揺動爪の基端部を回動可能に連結する前記揺動爪と同数の軸ピンと、を有し、前記回転リングは、前記第1円形開口の周囲に等間隔に形成される前記揺動爪と同数の第1カム溝を有し、前記揺動爪は、前記第1カム溝に案内されて従動する従動ピンを有し、前記回転リングを一方の方向に回動すると、複数の前記揺動爪の先端部側縁が架空線を把持するように閉じ、前記回転リングを他方の方向に回動すると、複数の前記揺動爪の先端部側縁が架空線を解放するように開くことが好ましい。
【0015】
(3)前記平行移動手段は、前記中間フレームの中央部に回動可能に保持される回転板と、前記中間フレームに保持され、前記回転板を回動させる第2モータと、一対の前記移動フレームに向かうように相反する向きに配置され、前記回転板に設けた複数の第2カム溝に従動して、当該回転板の遠心方向のみに進退運動が許容される複数の移動ロッドと、一端部が前記移動ロッドの先端部に回動可能に連結し、他端部が前記移動フレームに回動可能に連結し、前記中間フレームから前記移動フレームに向かって下り傾斜すると共に、前記移動フレームの中心から放射状に配置された前記移動ロッドと同数の連結棒と、を含み、前記回転板は、架空線をその外周方向から導入可能な第2切り欠き部と、この第2切り欠き部に連通して中心部が前記第1円形開口と同軸上に位置する第2円形開口と、を含み、前記中間フレームは、前記第2切り欠き部に連通して架空線をその外周方向から導入可能な第2開口を含み、前記回転板を一方の方向に回動すると、複数の前記移動ロッドが中心部に移動すると共に、複数の前記連結棒の開き角を縮小して、一対の前記移動フレームを相対的に離れる方向に移動させ、前記回転板を他方の方向に回動すると、複数の前記移動ロッドが遠心方向に移動すると共に、複数の前記連結棒の開き角を拡大して、一対の前記移動フレームを相対的に近づく方向に移動させてもよい。
【0016】
(4)前記平行移動手段は、一方の端部にクレビス形の第1支持部を設ける本体、及びこの本体の他方の端部から進退し、先端部にクレビス形の第2支持部を設けるピストンロッドで構成する複数の電動シリンダと、一対の前記移動フレームに向かうように相反する向きに前記中間フレームに配置され、前記本体の第1支持部と回動可能に連結する第1連結部材であって、前記中間フレームの中心部から等しい距離で放射状に配置された第1連結部材と、前記移動フレームから突出して配置され、前記ピストンロッドの第2支持部と回動可能に連結する第2連結部材であって、前記移動フレームの中心部から等しい距離で放射状に前記移動フレームから突出して配置された第2連結部材と、を含み、前記中間フレームは、架空線をその外周方向から導入可能な第3切り欠き部と、この第3切り欠き部に連通して中心部が前記第1円形開口と同軸上に位置する第3円形開口と、を含み、複数の前記ピストンロッドを一斉に進出すると、一対の前記移動フレームを相対的に離れる方向に移動させ、複数の前記ピストンロッドを一斉に後退すると、一対の前記移動フレームを相対的に近づく方向に移動させてもよい。
【0017】
(5)前記平行移動手段は、前記中間フレームの端部に保持された第3モータと、前記第3モータの出力軸に連結されたボールねじと、一方の前記移動フレームの端部に保持され、前記ボールねじと連結するボールブッシュと、中間部が前記中間フレームに固定され、一方の端部が前記ボールねじと平行に延びて、一方の前記移動フレームをスライド可能に案内し、他方の端部が他方の前記移動フレームを支持する複数のスライド軸と、を含み、前記中間フレームは、架空線をその外周方向から導入可能な第4切り欠き部と、この第4切り欠き部に連通して中心部が前記第1円形開口と同軸上に位置する第4円形開口と、を含み、前記ボールねじを一方の方向に回転すると、一対の前記移動フレームを相対的に離れる方向に移動させ、前記ボールねじを一方の方向に回転すると、一対の前記移動フレームを相対的に近づく方向に移動させてもよい。
【0018】
(6)一方の前記移動フレームは、前記中間フレームと反対側に突出するように配置されると共に、架空線の全外周を検査可能に架空線の回りに等間隔に配置された三つ以上のカメラを備えることが好ましい。
【発明の効果】
【0019】
本発明による架空線点検装置は、架空線を等圧的に把持するチャック装置を備える一対の移動フレーム、これらの移動フレームの間に配置されて架空線上を転動する車輪を備える中間フレーム、及び中間フレームに対して少なくとも一方の移動フレームを架空線の軸方向に進退させる平行移動手段とで構成し、一方の移動フレームが架空線を把持しているときは、他方の移動フレームが架空線を解放して、一対の移動フレームを相対的に離れる方向に移動させ、他方の移動フレームが架空線を把持しているときは、一方の移動フレームが架空線を解放して、一対の移動フレームを相対的に近づく方向に移動させ、これらの動作を繰り返すことにより、架空線を損傷することなく、傾斜した架空線に沿って自走が容易である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の第1実施形態による架空線点検装置の構成を示す正面図である。
【図2】図1のA矢視図であり、一方の移動フレームに配置されたチャック装置に設けた複数の揺動爪が開いた状態図である。
【図3】図2のA−A矢視断面図である。
【図4】図2のB−B矢視断面図である。
【図5】図1のA矢視図であり、一方の移動フレームに配置されたチャック装置に設けた複数の揺動爪が閉じた状態図である。
【図6】図5のC−C矢視断面図である。
【図7】第1実施形態による架空線点検装置に備わる一方の移動フレームの平面図である。
【図8】図1のB矢視図であり、一方の移動フレームに配置されたチャック装置に設けた複数の揺動爪が開いた状態図である。
【図9】図1のB矢視図であり、他方の移動フレームに配置されたチャック装置に設けた複数の揺動爪が開いた状態図である。
【図10】図9のA−A矢視断面図である。
【図11】第1実施形態による架空線点検装置に備わる中間フレームの縦断面図である。
【図12】第1実施形態による架空線点検装置に備わる中間フレームの左側面図であり、複数の移動ロッドが遠心方向に移動した状態図である。
【図13】第1実施形態による架空線点検装置に備わる中間フレームの左側面図であり、複数の移動ロッドが中心部に移動した状態図である。
【図14】本発明の第2実施形態による架空線点検装置の構成を示す正面図である。
【図15】第2実施形態による架空線点検装置に備わる電動シリンダの正面図であり、ピストンロッドが後退した状態図である。
【図16】第2実施形態による架空線点検装置に備わる中間フレームの左側面図である。
【図17】本発明の第3実施形態による架空線点検装置の構成を示す正面図である。
【図18】図17の略右半分を拡大した正面図である。
【図19】図17の略左半分を拡大した正面図である。
【図20】図17のA矢視図であり、一方の移動フレームに配置されたチャック装置に設けた複数の揺動爪が開いた状態図である。
【図21】図17のA矢視図であり、一方の移動フレームに配置されたチャック装置に設けた複数の揺動爪が閉じた状態図である。
【図22】第3実施形態による架空線点検装置に備わる一方の移動フレームの平面図である。
【図23】図17のB矢視図であり、一方の移動フレームに配置されたチャック装置に設けた複数の揺動爪が開いた状態図である。
【図24】第3実施形態による架空線点検装置に備わる中間フレームの右側面図である。
【図25】図17のX−X矢視断面図であり、他方の移動フレームに配置されたチャック装置に設けた複数の揺動爪が開いた状態図である。
【図26】図17のC矢視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照して本発明を実施するための形態を説明する。
[第1実施形態]
[架空線点検装置の構成]
(架空線点検装置の概略構成)
最初に、本発明の第1実施形態による架空線点検装置の構成を説明する。図1は、本発明の第1実施形態による架空線点検装置の構成を示す正面図である。
【0022】
図1を参照すると、本発明の第1実施形態による架空線点検装置100は、一対の移動フレーム20・30とこれらの移動フレーム20・30の間に配置された中間フレーム40を備えている。一対の移動フレーム20・30は、架空線Wの中心に向かって架空線Wの外周を等圧に把持するチャック装置10をそれぞれ有している。
【0023】
図1を参照すると、一方の移動フレーム20は、所定の板厚を有する基板2bにチャック装置10を装着している。同様に、他方の移動フレーム30は、所定の板厚を有する基板3bにチャック装置10を装着している。一方の移動フレーム20と他方の移動フレーム30とは、同様に構成しているが、チャック装置10の向きを変えて配置している。
【0024】
図1を参照すると、中間フレーム40は、架空線Wを軌道として転動する一対の車輪40a・40aを有している。これらの車輪40a・40aは、相反する向きに配置され、中間フレーム40から突出するように保持されている。
【0025】
図1を参照すると、架空線点検装置100は、中間フレーム40に対して、一対の移動フレーム20・30を架空線Wの軸方向に進退させる第1の平行移動手段110を備えている。第1の平行移動手段110は、中間フレーム40と一方の移動フレーム20を連結する三つの連結棒42を含み、中間フレーム40と他方の移動フレーム30を連結する三つの連結棒42を含んでいる。なお、図1では、120度に等角に配置された三つの連結棒42の内、二つの連結棒42・42を180度に開角して図示している。
【0026】
(チャック装置の構成)
次に、本発明の実施形態によるチャック装置の構成を説明する。図2は、図1のA矢視図であり、一方の移動フレームに配置されたチャック装置に設けた複数の揺動爪が開いた状態図である。
【0027】
図3は、図2のA−A矢視断面図である。図4は、図2のB−B矢視断面図である。図5は、図1のA矢視図であり、一方の移動フレームに配置されたチャック装置に設けた複数の揺動爪が閉じた状態図である。
【0028】
図2から図5を参照すると、チャック装置10は、回転リング11、第1モータ1m、及び帯板状の三つの揺動爪12を備えている。回転リング11は、架空線Wをその外周方向から導入可能な第1切り欠き部11aを設ける第1円形開口11bを有している。一方、基板2bは、架空線Wをその外周方向から導入可能な第1開口21aを有している。そして、第1開口21aは、第1切り欠き部11aに連通できる。
【0029】
図2から図5を参照すると、基板2bの中央部には、円形の開口2hを設けている。そして、開口2hに嵌合するように、回転リング11を基板2bに取り付けている。回転リング11の外周には、V字状の溝11vを形成している(図3及び図4参照)。一方、開口2hの周囲には、三つのローラ1rを配置している。
【0030】
図4を参照すると、ローラ1rは、回転リング11の溝11vに嵌合するように、中央部を鋭角に突出している。又、これらのローラ1rは、回転リング11の回転中心がぶれないように、等角に三点支持している。このように、回転リング11は、スラスト方向(軸方向)及びラジアル方向(円周方向)に移動しないように、基板2bに回動可能に保持されている。
【0031】
図2から図5を参照すると、回転リング11は、基板2bから突出した部分に外歯11gを形成している。中間歯車1gは、その支持軸が基板2bに固定されている。中間歯車1gは、外歯11gに噛み合っている。又、中間歯車1gは、第1モータ1mの出力軸に取り付けられた歯車11mに噛み合っている。第1モータ1mを駆動すると、回転リング11を回動できる。なお、第1モータ1mの本体は、ハウジング1hを介して、基板2bに保持されている。
【0032】
図2から図5を参照すると、基板2bは、回転リング11の周囲に、等間隔に三つの頭部付きの軸ピン12pを配置している。軸ピン12pは、揺動爪12の基端部を回動可能に連結している。回転リング11は、第1円形開口11bの周囲に、等間隔に三つの第1カム溝11cを形成している。一方、揺動爪12は、第1カム溝11cに案内されて従動する従動ピン12qを突出している。
【0033】
図2に示された状態から、第1モータ1mを駆動して、回転リング11を一方の方向に回転すると、三つの揺動爪12の先端部端縁が中心部に向かって閉じ、第1円形開口11bの口径を縮径できる。そして、三つの揺動爪12の先端部端縁が架空線Wを等圧で把持できる(図5参照)。
【0034】
一方、図5に示された状態から、第1モータ1mを駆動して、回転リング11を他方の方向に回転すると、三つの揺動爪12の先端部端縁が外周方向に向かって開き、第1円形開口11bの口径を拡径できる。そして、三つの揺動爪12の先端部端縁が架空線Wを解放できる(図2参照)。
【0035】
(架空線点検装置の構成)
次に、チャック装置10の構成を補足しながら、架空線点検装置100の構成を説明する。図6は、図5のC−C矢視断面図である。図7は、第1実施形態による架空線点検装置に備わる一方の移動フレームの平面図である。
【0036】
図8は、図1のB矢視図であり、一方の移動フレームに配置されたチャック装置に設けた複数の揺動爪が開いた状態図である。図9は、図1のB矢視図であり、他方の移動フレームに配置されたチャック装置に設けた複数の揺動爪が開いた状態図である。図10は、図9のA−A矢視断面図である。
【0037】
図5から図7を参照すると、一方の移動フレーム20は、三つの第2連結部材23を備えている。第2連結部材23は、一方の端部が基板2bに固定されている。又、第2連結部材23は、他方の端部が二股に分かれて、回転リング11から離間するように突出している。そして、第2連結部材23の他方の端部は、連結棒42の他端部と回動可能に連結している、三つの第2連結部材23は、それらの回転中心(連結点)が回転リング11の中心部から等しい距離で放射状に配置されている。
【0038】
同様に、図9及び図10を参照すると、他方の移動フレーム30は、三つの第2連結部材23を備えている。第2連結部材23は、一方の端部が基板3bに固定されている。又、第2連結部材23は、他方の端部が二股に分かれて、回転リング11から離間するように突出している。そして、第2連結部材23の他方の端部は、連結棒42の他端部と回動可能に連結している、三つの第2連結部材23は、それらの回転中心(連結点)が回転リング11の中心部から等しい距離で放射状に配置されている(図1参照)。
【0039】
図9及び図10を参照すると、基板3bは、三本の支柱32を架空線Wが延びる方向に立設している。これらの支柱32の先端には、台座板33を固定している。台座板33は、架空線Wを導入できるように、一部が二股に分岐している。そして、台座板33には、三つのCCDカメラ34を放射状に等間隔に配置している。このように、他方の移動フレーム30には、三つのCCDカメラ34を取り付けているので、架空線Wの全外周を検査できる。なお、図1では、支柱32、台座板33、及びCCDカメラ34の図示を省略している。
【0040】
又、一方の移動フレーム20の基板2bと他方の移動フレーム20の基板3bとは、実質的に同じものであるが、基板3bには、三つのCCDカメラ34を取り付けている点が異なっている。又、基板3bに設けた第1開口31aが基板2bに設けた第1開口21aと略同じ方角を向くように、基板3bと基板2bとを相対配置している。
【0041】
(中間フレームの構成)
次に、中間フレーム40の構成を説明する。図11は、第1実施形態による架空線点検装置に備わる中間フレームの縦断面図である。図12は、第1実施形態による架空線点検装置に備わる中間フレームの左側面図であり、複数の移動ロッドが遠心方向に移動した状態図である。図13は、第1実施形態による架空線点検装置に備わる中間フレームの左側面図であり、複数の移動ロッドが中心部に移動した状態図である。
【0042】
図11から図13を参照すると、中間フレーム40は、基板4b、回転板41、及び第2モータ2mを備えている。回転板41は、架空線Wをその外周方向から導入可能な第2切り欠き部41aを設けている。又、回転板41は、第2切り欠き部41aに連通して、中心部が第1円形開口11bと同軸上に位置する第2円形開口41bを設けている(図2及び図9参照)。一方、基板4bは、架空線Wをその外周方向から導入可能な第2開口42aを有している。そして、第2開口42aは、第2切り欠き部41aに連通できる。
【0043】
図11から図13を参照すると、基板4bの中央部には、円形の開口4hを設けている。そして、開口4hに嵌合するように、回転板41を基板4bに取り付けている。開口2hの周囲には、回転板41の外周に転動する三つのローラ4rを内装している。
【0044】
図11から図13を参照すると、三つのローラ4rは、回転板41の回転中心がぶれないように、等角に三点支持している。又、回転板41は、その外縁の両面が一組のベアリング40r・40rで転動可能に挟持されている。ベアリング40rは、基板4bに片持ち支持されている。又、これらのベアリング40rは、回転板41が傾斜しないように、等角に三点支持している。このように、回転板41は、スラスト方向及びラジアル方向に移動しないように、基板4bに回動可能に保持されている。
【0045】
図11から図13を参照すると、回転板41は、基板4bから突出した部分に外歯41gを形成している。中間歯車14は、その支持軸が基板4bに固定されている。中間歯車4gは、外歯41gに噛み合っている。又、中間歯車4gは、第2モータ2mの出力軸に取り付けられた歯車42mに噛み合っている。第2モータ2mを駆動すると、回転板41を回動できる。なお、第2モータ2mの本体は、ハウジング42hを介して、基板4bに保持されている。
【0046】
図1及び図11から図13を参照すると、中間フレーム40は、一方の移動フレーム20に向かって配置された三つの移動ロッド43を備えている。又、中間フレーム40は、他方の移動フレーム30に向かって配置された三つの移動ロッド43を備えている。つまり、中間フレーム40は、一対の移動フレーム20・30に向かうように相反する向きに配置された一組の移動ロッド43・43を三組、備えている。
【0047】
図11から図13を参照すると、一組の移動ロッド43・43は、それらの基端部が従動棒44の両端部44a・44aに固定されている。従動棒44の一方の端部は、スライド軸45とスライド可能に連結している。したがって、従動棒44は、直線運動のみが許容されている。なお、一組の移動ロッド43・43は、三つのスライド軸45と略平行に配置されている。
【0048】
図11から図13を参照すると、三つのスライド軸45は、遠心方向に向かうように、等角に放射状に配置している。これらのスライド軸45の基端部は、リング板45aに固定されている。又、これらのスライド軸45の先端部は、支持金具45bを介して、基板4bに支持されている。なお、リング板45aの一部は、第2切り欠き部41a及び第2開口42aと同じ方向に開口している。
【0049】
図11から図13を参照すると、回転板41は、第2円形開口41bの周囲に、等間隔に三つの第2カム溝41cを形成している。一方、従動棒44の中間部は、第2カム溝41cに案内されて移動できる。
【0050】
図12に示された状態から、第2モータ2mを駆動して、回転板41を一方の方向に回転すると、三つの従動棒44を回転板41の中心部に向かって移動できる(図13参照)。つまり、三組の移動ロッド43・43を回転板41の中心部に向かって移動できる。
【0051】
一方、図13に示された状態から、第2モータ2mを駆動して、回転板41を他方の方向に回転すると、三つの従動棒44を遠心方向に向かって移動できる(図12参照)。つまり、三組の移動ロッド43・43を遠心方向に向かって移動できる。
【0052】
図1又は図6及び図11を参照すると、一方の移動フレーム20に向かって配置された移動ロッド43は、その先端部が連結棒42の一端部に回転可能に連結している。なお、この連結棒42の他端部は、一方の移動フレーム20に回転可能に連結している。
【0053】
同様に、図1又は図6及び図11を参照すると、他方の移動フレーム20に向かって配置された移動ロッド43は、その先端部が連結棒42の一端部に回転可能に連結している。なお、この連結棒42の他端部は、他方の移動フレーム30に回転可能に連結している。
【0054】
図1又は図6及び図11を参照すると、中間フレーム40と一方の移動フレーム20とを連結する三つの連結棒42は、中間フレーム40から一方の移動フレーム20に向かって下り傾斜している。同様に、中間フレーム40と他方の移動フレーム30とを連結する三つの連結棒42は、中間フレーム40から他方の移動フレーム30に向かって下り傾斜している。
【0055】
図1又は図6及び図11を参照して、回転板41を一方の方向に回動すると、複数の移動ロッド43が中心部に移動すると共に、複数の連結棒42の開き角を角度βから角度αに縮小する。そして、一対の移動フレーム20・30を相対的に離れる方向に移動させることができる。
【0056】
一方、図1又は図6及び図11を参照して、回転板41を他方の方向に回動すると、複数の移動ロッド43が遠心方向に移動すると共に、複数の連結棒42の開き角を角度αから角度βに拡大する。そして、一対の移動フレーム20・30を相対的に近づく方向に移動させることができる。
【0057】
図11から図13を参照すると、基板4bの両側面には、一対のサポート46・46を固定している。これらのサポート46・46は、一対の移動フレーム20・30に向かって突出するように配置している。又、これらのサポート46・46の両端部には、一対のステイ47・47を固定している。そして、これらのステイ47・47に車輪40aを取り付けている。
【0058】
[架空線点検装置の作用]
次に、第1実施形態による架空線点検装置100の動作を説明しながら、架空線点検装置100の作用及び効果を説明する。
【0059】
図1を参照すると、中間フレーム40の下部には、架空線点検装置100の姿勢を安定させるためのバランサ(図示せず)を支持しておくことが好ましく、一対の第1モータ1m、及び第2モータ2m(図11参照)を駆動するバッテリ及び駆動回路(いずれも図示せず)をこのバランサに搭載しておくことが好ましい。又、このバランサには、地上から架空線点検装置100を運転操作が可能な通信設備を設けてことが好ましい。
【0060】
図1を参照して、架空線点検装置100で架空線Wを点検するに当たっては、予め、架空線点検装置100を架空線Wに装着する。この場合、図2及び図9を参照して、チャック装置10に設けた第1開口21a・31aが第1切り欠き部11aに連通した状態で、架空線Wを第1円形開口11bに挿通しておく。
【0061】
又、図12を参照して、中間フレーム40に設けた第2開口42aが第2切り欠き部41aに連通した状態で、架空線Wを第2円形開口41bに挿通しておく。そして、一対の車輪40a・車輪40aを架空線Wに懸架した状態で、架空線点検装置100を走行することができる。
【0062】
最初に、図1を参照して、一対の移動フレーム20・30を最も近づけた状態(Lmin)で、一方の移動フレーム20に設けたチャック装置10の第1円形開口11bを閉じて、架空線Wを把持しておく(図2及び図5参照)。又、他方の移動フレーム30に設けたチャック装置10の第1円形開口11bを開き、架空線Wを解放しておく(図9参照)。
【0063】
次に、図1及び図13を参照して、回転板41を一方の方向に回動すると、三つの移動ロッド43が中心部に移動すると共に、三つの連結棒42の開き角を角度βから角度αに縮小して、一対の移動フレーム20・30を相対的に離れる方向に移動させる。この場合、一方の移動フレーム20は、架空線Wを把持しているので、架空線Wに対して、他方の移動フレーム30及び中間フレーム40が進行方向S1に移動する。又、この場合、他方の移動フレーム30は、第1円形開口11bが大きく開口しているので、架空線Wに接触することが防止される(図9参照)。そして、この間、三つのCCDカメラ34で架空線Wの全外周を検査する(図9及び図10参照)。
【0064】
次に、図1を参照して、一対の移動フレーム20・30が最も離れた状態(Lmax)で、他方の移動フレーム30に設けたチャック装置10の第1円形開口11bを閉じて、架空線Wを把持しておく(図9参照)。又、一方の移動フレーム20に設けたチャック装置10の第1円形開口11bを開き、架空線Wを解放しておく(図2参照)。
【0065】
次に、図1及び図12を参照して、回転板41を他方の方向に回動すると、三つの移動ロッド43が遠心方向に移動すると共に、三つの連結棒42の開き角を角度αから角度βに拡大して、一対の移動フレーム20・30を相対的に近づく方向に移動させる。この場合、他方の移動フレーム30は、架空線Wを把持しているので、架空線Wに対して、一方の移動フレーム20及び中間フレーム40が進行方向S1に移動する。又、この場合、一方の移動フレーム20は、第1円形開口11bが大きく開口しているので、架空線Wに接触することが防止される(図2参照)。以下、架空線Wの終端までこれらの動作を繰り返しながら、架空線点検装置100を間欠的に進行させる。
【0066】
このように、架空線点検装置100は、一対のチャック装置10・10が架空線Wを把持又は解放する動作と一対の移動フレーム20・30が伸縮する動作とを繰り返すことにより、架空線Wに沿って移動することができる。
【0067】
実施形態による架空線点検装置100は、チャック装置10が架空線Wの外周を等圧に把持しているので、従来のように、架空線Wへの挟持力を強くすることなく、架空線Wを確実に把持できる。したがって、実施形態による架空線点検装置100は、架空線Wを損傷することなく、傾斜した架空線Wに沿って走行(自走)が容易であるというメリットがある。
【0068】
[第2実施形態]
[架空線点検装置の構成]
次に、本発明の第2実施形態による架空線点検装置の構成を説明する。図14は、本発明の第2実施形態による架空線点検装置の構成を示す正面図である。
【0069】
又、図15は、第2実施形態による架空線点検装置に備わる電動シリンダの正面図であり、ピストンロッドが後退した状態図である。図16は、第2実施形態による架空線点検装置に備わる中間フレームの左側面図である。なお、第1実施形態で使用した符号と同じ符号を有する構成品は、その作用を同一とするので、以下の説明では、割愛する場合がある。
【0070】
図14を参照すると、本発明の第2実施形態による架空線点検装置200は、一対の移動フレーム20・30とこれらの移動フレーム20・30の間に配置された中間フレーム50を備えている。
【0071】
図14を参照すると、架空線点検装置200は、中間フレーム50に対して、一対の移動フレーム20・30を架空線Wの軸方向に進退させる第2の平行移動手段210を備えている。第2の平行移動手段210は、中間フレーム50と一方の移動フレーム20を連結する三つの電動シリンダ5を含み、中間フレーム50と他方の移動フレーム30を連結する三つの電動シリンダ5を含んでいる。なお、図14では、120度に等角に配置された三つの電動シリンダ5の内、二つの電動シリンダ5・5を180度に開角して図示している。
【0072】
図14及び図15を参照すると、電動シリンダ5は、筒状の本体51と本体51の他方の端部から進退するピストンロッド52で構成している。例えば、電動シリンダ5は、市販品を用いることができる。本体51は、モータとボールねじ(いずれも図示せず)を内蔵している。そして、このモータを一方の方向に回転すると、ピストンロッド52を進出でき、このモータを他方の方向に回転すると、ピストンロッド52を後退できる。
【0073】
図14及び図15を参照すると、本体51は、その端部にクレビス形の第1支持部51aを設けている。又、ピストンロッド52は、その先端部にクレビス形の第2支持部52aを設けている。
【0074】
図14から図16を参照すると、中間フレーム50は、基板5b及び複数の円柱状の第1連結部材5cを備えている。基板5bは、架空線Wをその外周方向から導入可能な第3切り欠き部51bを設けている。又、基板5bは、第3切り欠き部51bに連通して、中心部が第1円形開口11bと同軸上に位置する第3円形開口5hを設けている(図2及び図9参照)。
【0075】
図14から図16を参照すると、中間フレーム50は、一方の移動フレーム20に向かって配置された三つの第1連結部材5cを備えている。又、中間フレーム50は、他方の移動フレーム30に向かって配置された三つの第1連結部材5cを備えている。つまり、中間フレーム50は、一対の移動フレーム20・30に向かうように相反する向きに配置された一組の第1連結部材5c・5cを三組、備えている。
【0076】
図14から図16を参照すると、一組の第1連結部材5c・5cは、それらの基端部が基板5bの両面に固定されている。一組の第1連結部材5c・5cの先端部は、第1支持部51aと回転可能に連結している。三つの第1連結部材5cは、基板5bの中心部から等しい距離で放射状に配置されている。三つの電動シリンダ5は、それらの先端部が中心部に向かって閉じる、又は中心部から遠心方向に開く運動のみが許容されている。
【0077】
図14から図16を参照すると、一方の移動フレーム20の第2連結部材23は、ピストンロッド52の第2支持部52aと回動可能に連結している。同様に、他方の移動フレーム30の第2連結部材23は、ピストンロッド52の第2支持部52aと回動可能に連結している。
【0078】
図14から図16を参照して、一方の移動フレーム20に連結する三つのピストンロッド52を同期して一斉に進出すると、中間フレーム50に対して、一方の移動フレーム20を離れる方向に移動できる。一方、一方の移動フレーム20に連結する三つのピストンロッド52を同期して一斉に後退すると、中間フレーム50に対して、一方の移動フレーム20を近づく方向に移動できる。この場合、一方の移動フレーム20は、架空線Wに沿って平行移動できる。
【0079】
同様に、図14から図16を参照して、他方の移動フレーム30に連結する三つのピストンロッド52を同期して一斉に進出すると、中間フレーム50に対して、他方の移動フレーム30を離れる方向に移動できる。一方、他方の移動フレーム30に連結する三つのピストンロッド52を同期して一斉に後退すると、中間フレーム50に対して、他方の移動フレーム30を近づく方向に移動できる。この場合、他方の移動フレーム30は、架空線Wに沿って平行移動できる。
【0080】
図14から図16を参照すると、基板5bに開口した第3円形開口5hの両翼には、一対のサポート56・56を固定している。これらのサポート56・56は、一対の移動フレーム20・30に向かって突出するように配置している。又、これらのサポート56・56の両端部には、一対のステイ57・57を固定している。そして、これらのステイ57・57に車輪40aを取り付けている。
【0081】
[架空線点検装置の作用]
次に、第2実施形態による架空線点検装置200の動作を説明しながら、架空線点検装置200の作用及び効果を説明する。
【0082】
図14を参照すると、中間フレーム50の下部には、架空線点検装置200の姿勢を安定させるためのバランサ(図示せず)を支持しておくことが好ましく、一対の第1モータ1m、及び第2モータ2m(図11参照)を駆動するバッテリ及び駆動回路(いずれも図示せず)をこのバランサに搭載しておくことが好ましい。又、このバランサには、地上から架空線点検装置200を運転操作が可能な通信設備を設けてことが好ましい。
【0083】
図14を参照して、架空線点検装置200で架空線Wを点検するに当たっては、予め、架空線点検装置200を架空線Wに装着する。この場合、図2及び図9を参照して、チャック装置10に設けた第1開口21a・31aが第1切り欠き部11aに連通した状態で、架空線Wを第1円形開口11bに挿通しておく。
【0084】
又、図16を参照して、第3切り欠き部51bを介して、架空線Wを中間フレーム50に設けた第3円形開口5hに挿通しておく。そして、一対の車輪40a・車輪40aを架空線Wに懸架した状態で、架空線点検装置200を走行することができる。
【0085】
最初に、図14を参照して、一対の移動フレーム20・30を最も近づけた状態(Lmin)で、一方の移動フレーム20に設けたチャック装置10の第1円形開口11bを閉じて、架空線Wを把持しておく(図5参照)。又、他方の移動フレーム30に設けたチャック装置10の第1円形開口11bを開き、架空線Wを解放しておく(図9参照)。
【0086】
次に、図14及び図15を参照して、一方の移動フレーム20に向かって配置された三つのピストンロッド52を一斉に進出すると共に、他方の移動フレーム30に向かって配置された三つのピストンロッド52を一斉に進出させる。そして、一対の移動フレーム20・30を相対的に離れる方向に移動させる。この場合、一方の移動フレーム20は、架空線Wを把持しているので、架空線Wに対して、他方の移動フレーム30及び中間フレーム50が進行方向S1に移動する。又、この場合、他方の移動フレーム30は、第1円形開口11bが大きく開口しているので、架空線Wに接触することが防止される(図9参照)。そして、この間、三つのCCDカメラ34で架空線Wの全外周を検査する(図9及び図10参照)。
【0087】
次に、図14を参照して、一対の移動フレーム20・30が最も離れた状態(Lmax)で、他方の移動フレーム30に設けたチャック装置10の第1円形開口11bを閉じて、架空線Wを把持しておく(図9参照)。又、一方の移動フレーム20に設けたチャック装置10の第1円形開口11bを開き、架空線Wを解放しておく(図2参照)。
【0088】
次に、図14及び図15を参照して、一方の移動フレーム20に向かって配置された三つのピストンロッド52を一斉に後退すると共に、他方の移動フレーム30に向かって配置された三つのピストンロッド52を一斉に後退させる。そして、一対の移動フレーム20・30を相対的に離れる方向に移動させる。この場合、他方の移動フレーム30は、架空線Wを把持しているので、架空線Wに対して、一方の移動フレーム20及び中間フレーム50が進行方向S1に移動する。又、この場合、一方の移動フレーム20は、第1円形開口11bが大きく開口しているので、架空線Wに接触することが防止される(図9参照)。以下、架空線Wの終端までこれらの動作を繰り返しながら、架空線点検装置200を間欠的に進行させる。
【0089】
このように、架空線点検装置200は、一対のチャック装置10・10が架空線Wを把持又は解放する動作と一対の移動フレーム20・30が伸縮する動作とを繰り返すことにより、架空線Wに沿って移動することができる。
【0090】
第2実施形態による架空線点検装置200は、第1実施形態による架空線点検装置100と同様の効果を奏するが、第2の平行移動手段210は、第1の平行移動手段110と比べて、構成が簡易であり、一回当たりの進行距離(ストローク)が大きいというメリットがある。
【0091】
[第3実施形態]
[架空線点検装置の構成]
次に、本発明の第3実施形態による架空線点検装置の構成を説明する。図17は、本発明の第3実施形態による架空線点検装置の構成を示す正面図である。
【0092】
又、図18は、図17の略右半分を拡大した正面図である。図19は、図17の略左半分を拡大した正面図である。図20は、図17のA矢視図であり、一方の移動フレームに配置されたチャック装置に設けた複数の揺動爪が開いた状態図である。図21は、図17のA矢視図であり、一方の移動フレームに配置されたチャック装置に設けた複数の揺動爪が閉じた状態図である。
【0093】
図22は、第3実施形態による架空線点検装置に備わる一方の移動フレームの平面図である。図23は、図17のB矢視図であり、一方の移動フレームに配置されたチャック装置に設けた複数の揺動爪が開いた状態図である。
【0094】
図24は、第3実施形態による架空線点検装置に備わる中間フレームの右側面図である。図25は、図17のX−X矢視断面図であり、他方の移動フレームに配置されたチャック装置に設けた複数の揺動爪が開いた状態図である。図26は、図17のC矢視図である。
【0095】
なお、第1実施形態及び第2実施形態で使用した符号と同じ符号を有する構成品は、その作用を同一とするので、以下の説明では、割愛する場合がある。
【0096】
図17を参照すると、本発明の第3実施形態による架空線点検装置300は、一対の移動フレーム60・70とこれらの移動フレーム60・70の間に配置された中間フレーム80を備えている。一対の移動フレーム60・70は、架空線Wの中心に向かって架空線Wの外周を等圧に把持するチャック装置10をそれぞれ有している。
【0097】
図17を参照すると、一方の移動フレーム60は、所定の板厚を有する基板6bにチャック装置10を装着している。同様に、他方の移動フレーム70は、所定の板厚を有する基板7bにチャック装置10を装着している。一方の移動フレーム60と他方の移動フレーム70とは、チャック装置10を同様に構成しているが、チャック装置10の向きを同じにしている。又、一方の移動フレーム60は、中間フレーム80に対して移動可能であり、他方の移動フレーム70は、中間フレーム80と一体に移動する。
【0098】
図17を参照すると、中間フレーム80は、架空線Wを軌道として転動する一対の車輪40a・40aを有している。これらの車輪40a・40aは、相反する向きに配置され、中間フレーム80から突出するように保持されている。
【0099】
図17を参照すると、架空線点検装置300は、中間フレーム80に対して、一方の移動フレーム60を架空線Wの軸方向に進退させる第3の平行移動手段310を備えている。第3の平行移動手段310は、中間フレーム80の端部に保持された第3モータ3m、第3モータ3mの出力軸に連結されたボールねじ3s、ボールねじ3sと連結するボールブッシュ3vを含み、一方の移動フレーム60をスライド可能に支持する二つのスライド軸3p・3pを含んでいる。
【0100】
図17から図19及び図24を参照すると、第3モータ3mは、その本体がハウジング81hを介して、一方の移動フレーム60の基板8bの端部に保持されている。又、ハウジング81hの内部では、第3モータ3mの出力軸がボールねじ3sの一方の端部と連結している。又、一方のスライド軸3pの中間部は、ハウジング82hを介して基板8bの端部に固定されている。同様に、他方のスライド軸3pの中間部は、ハウジング83hを介して基板8bの端部に固定されている。
【0101】
図17から図19及び図23を参照すると、ボールブッシュ3vは、一方の移動フレーム60の基板6bの端部に保持されている。又、一方の移動フレーム60は、二つのリニアモーションベアリング(以下、LMBと略称する)3mb・3mbを備えている。LMB3mbは、スライド軸3pとスライド可能に連結している。一方のLMB3mbは、ハウジング62hに内装されている。ハウジング62hは、基板8bに固定されている。同様に、他方のLMB3mbは、ハウジング63hに内装されている。ハウジング63hは、基板6bに固定されている。
【0102】
図17及び図18を参照して、第3モータ3mを一方の方向に回転すると、二つのスライド軸3p・3pに案内されて、一方の移動フレーム60は、中間フレーム80から離れる方向に平行移動する。一方、第3モータ3mを他方の方向に回転すると、二つのスライド軸3p・3pに案内されて、一方の移動フレーム60は、中間フレーム80に近づく方向に平行移動する。
【0103】
図17及び図18を参照すると、二つのスライド軸3p・3p及びボールねじ3sの他方の端部には、それぞれストップ部材63・64を取り付けており、一方の移動フレーム60の脱落を防止できる。ストップ部材63は、二つのスライド軸3p・3pの軸間距離を維持する機能も有している。
【0104】
図24を参照すると、中間フレーム80は、基板8bを備えている。基板8bは、架空線Wをその外周方向から導入可能な第4切り欠き部81bを設けている。又、基板8bは、第4切り欠き部81bに連通して、中心部が第1円形開口11bと同軸上に位置する第3円形開口8hを設けている(図20及び図25参照)。なお、図20のA−A矢視断面は、図3が相当し、図20のB−矢視断面は、図4が相当している。
【0105】
図17及び図19又は図25及び図26を参照すると、他方の移動フレーム70は、基板7bを備えている。一方のスライド軸3pの端部は、ハウジング73hを介して、基板7bに固定されている。同様に、他方のスライド軸3pの端部は、ハウジング73hを介して、基板7bに固定されている。更に、支柱7pは、一方の端部が基板8bに固定され(図18及び図24参照)、他方の端部が基板7bに固定されている(図25参照)。そして、基板8bと基板7bとは、それらの平面が略平行になるように結合している。
【0106】
図17及び図18又は図25及び図26を参照すると、基板7bは、三本の支柱72を架空線Wが延びる方向に立設している。これらの支柱72の先端には、台座板73を固定している。台座板73は、架空線Wを導入できるように、一部が二股に分岐している。そして、台座板73には、三つのCCDカメラ74を放射状に等間隔に配置している。このように、他方の移動フレーム70には、三つのCCDカメラ74を取り付けているので、架空線Wの全外周を検査できる。
【0107】
なお、一方の移動フレーム60の基板6bと他方の移動フレーム70の基板7bとは、実質的に同じものであるが、基板6bには、ボールブッシュ3vを取り付け、基板7bには、三つのCCDカメラ74を取り付けている点が異なっている。
【0108】
図17から図19及び図24を参照すると、基板8bには、L形チャンネル状のサポート86を固定している。サポート86は、一対の移動フレーム60・70に向かって突出するように配置している。そして、サポート86の両端部には、一対の車輪40a・40aを取り付けている。
【0109】
[架空線点検装置の作用]
次に、第3実施形態による架空線点検装置300の動作を説明しながら、架空線点検装置300の作用及び効果を説明する。
【0110】
図17を参照すると、中間フレーム80の下部には、架空線点検装置300の姿勢を安定させるためのバランサ(図示せず)を支持しておくことが好ましく、一対の第1モータ1m、及び第3モータ3mを駆動するバッテリ及び駆動回路(いずれも図示せず)をこのバランサに搭載しておくことが好ましい。又、このバランサには、地上から架空線点検装置300を運転操作が可能な通信設備を設けてことが好ましい。
【0111】
図17を参照して、架空線点検装置300で架空線Wを点検するに当たっては、予め、架空線点検装置300を架空線Wに装着する。この場合、図20及び図25を参照して、チャック装置10に設けた第3開口61a・71aが第1切り欠き部11aに連通した状態で、架空線Wを第1円形開口11bに挿通しておく。
【0112】
又、図24を参照して、第4切り欠き部81bを介して、架空線Wを中間フレーム80に設けた第3円形開口8hに挿通しておく。そして、一対の車輪40a・車輪40aを架空線Wに懸架した状態で(図17参照)、架空線点検装置300を走行することができる。
【0113】
最初に、図17を参照して、一対の移動フレーム60を中間フレーム80に最も近づけた状態で、一方の移動フレーム60に設けたチャック装置10の第1円形開口11bを閉じて、架空線Wを把持しておく(図21参照)。又、他方の移動フレーム70に設けたチャック装置10の第1円形開口11bを開き、架空線Wを解放しておく(図25参照)。
【0114】
次に、図17及び図18を参照して、第3モータ3mを一方の方向に回転して、一方の移動フレーム60を中間フレーム80から離れる方向に移動させる(図中、矢印S2の方向)。この場合、一方の移動フレーム60は、架空線Wを把持しているので、架空線Wに対して、他方の移動フレーム70及び中間フレーム80が進行方向S1に一体となって移動する。又、この場合、他方の移動フレーム70は、第1円形開口11bが大きく開口しているので、架空線Wに接触することが防止される(図19参照)。そして、この間、三つのCCDカメラ74で架空線Wの全外周を検査する(図19及び図26参照)。
【0115】
次に、図17を参照して、一対の移動フレーム60・70が最も離れた状態で、他方の移動フレーム70に設けたチャック装置10の第1円形開口11bを閉じて、架空線Wを把持しておく(図21参照)。又、一方の移動フレーム60に設けたチャック装置10の第1円形開口11bを開き、架空線Wを解放しておく(図20参照)。
【0116】
次に、図17及び図18を参照して、第3モータ3mを他方の方向に回転して、一方の移動フレーム60を中間フレーム80に近づく方向に移動させる(図中、矢印S1の方向)。この場合、他方の移動フレーム70は、架空線Wを把持しているので、架空線Wに対して、一方の移動フレーム60が進行方向S1に移動する。又、この場合、一方の移動フレーム60は、第1円形開口11bが大きく開口しているので、架空線Wに接触することが防止される(図20参照)。以下、架空線Wの終端までこれらの動作を繰り返しながら、架空線点検装置300を間欠的に進行させる。
【0117】
このように、架空線点検装置300は、一対のチャック装置10・10が架空線Wを把持又は解放する動作と一対の移動フレーム60・70が伸縮する動作とを繰り返すことにより、架空線Wに沿って移動することができる。
【0118】
第3実施形態による架空線点検装置300は、第1及び第2実施形態による架空線点検装置100・200と同様の効果を奏するが、第3の平行移動手段310は、第1の平行移動手段110と比べて、構成が簡易であり、一回当たりの進行距離(ストローク)を可変できるというメリットがある。
【0119】
本発明は、架空線を損傷することなく、傾斜した架空線に沿って自走が容易な架空線点検装置を開示したが、本発明による架空線点検装置のステップ・バイ・ステップ走行を応用すれば、例えば、プラントの円筒や配管などを垂直登坂する自走式のロボットも実現できると考えられる。
【符号の説明】
【0120】
10 チャック装置
11a 第1切り欠き部
11b 第1円形開口
20 移動フレーム(一方の移動フレーム)
30 移動フレーム(他方の移動フレーム)
40 中間フレーム
40a 車輪
42 連結棒(第1の平行移動手段)
100 架空線点検装置
110 平行移動手段(第1の平行移動手段)
W 架空線
【技術分野】
【0001】
本発明は、架空線点検装置に関する。特に、OPGW(Optical fiber composite overhead ground wire:光ファイバ複合架空地線)などの架空線の損傷状況を点検する装置であって、架空線に沿って自走する架空線点検装置の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
OPGWは、架空地線の内部に光ファイバを収納している。光ファイバは、雷や交流電磁界の影響を受けずに通信が可能であり、光ファイバを架空地線に収納することによって、既存の送電線網を利用して、大容量の通信回線網を構築できるという利点がある。OPGWは、このような利点があることから、国内外の電力会社に広く利用されている。
【0003】
例えば、OPGWは、多芯光ファイバユニットをアルミ管に挿通し、更に、このアルミ管をアルミ覆鋼線で覆っている。そして、アルミ管又はアルミ覆鋼線に損傷が発生すると、これに起因して、光通信に障害がでる心配がある。したがって、電力会社では、自走式の架空線点検装置などを用いて、OPGWの損傷を定期的又は不定期に点検している。
【0004】
このような自走式の架空線点検装置としては、安定性が良好であり、かつ、架空線上の障害物が大きい場合にも走行可能であり、更に、この装置の搬入及び搬出に障害とならないようにコンパクトな退避装置を備えた架空線点検装置が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
特許文献1による架空線点検装置は、一対の走行ローラが架空地線や電力線などの架空線を走行することにより、送配電線路に架設する架空線の損傷状況を遠隔操作により点検して撮影している。走行ローラの下部には、走行ローラと共に架空線を挟持して転動可能な押さえローラを配設している。この押さえローラは、積雪防止用ダンパ(障害物)の上を通過するときには、ダンパとの干渉を避けるために、架空線から一時的に退避可能な退避装置に連結している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−242476号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1による架空線点検装置は、一対の走行ローラが架空線に懸架され、これらの走行ローラが架空線上を摩擦転動することによって、架空線に沿って自走するように構成している。このため、急角度に傾斜した架空線に沿って、架空線点検装置を走行することが困難であるという問題がある。
【0008】
一方、走行ローラと押さえローラとの挟持力を強くすれば、架空線点検装置を傾斜した架空線に沿って走行することがあるいは可能となるが、架空線を損傷しかねないという問題がある。架空線を損傷することなく、傾斜した架空線に沿って走行(自走)が容易な架空線点検装置が求められている。
【0009】
又、特許文献1による架空線点検装置は、架空線を上側又は下側から撮影するCCDカメラを備えており、映像機器で記録された架空線の映像を観察することにより、架空線の損傷状況を点検できる、としている。
【0010】
しかし、特許文献1による架空線点検装置は、架空線の観察方向が限定又は制約されており、架空線の全体(全周囲)を点検することを困難としている、という問題がある。架空線の全周囲を点検可能な架空線点検装置が求められている。そして、以上のことが本発明の課題といってよい。
【0011】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、傾斜した架空線に沿って自走が容易であり、かつ、架空線の全周囲を点検可能な架空線点検装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは、架空線の中心に向かって架空線を等圧的に把持するチャック装置を備える一対の移動フレーム、これらの移動フレームの間に配置されて架空線上を転動する車輪を備える中間フレーム、及び中間フレームに対して少なくとも一方の移動フレームを架空線の軸方向に進退させる平行移動手段とで架空線点検装置を構成し、一方の移動フレームが架空線を把持しているときは、他方の移動フレームが架空線を解放して、一対の移動フレームを相対的に離れる方向に移動させ、他方の移動フレームが架空線を把持しているときは、一方の移動フレームが架空線を解放して、一対の移動フレームを相対的に近づく方向に移動させ、これらの動作を繰り返すことにより、架空線を損傷することなく、傾斜した架空線に沿って自走が容易なことを見出し、これに基づいて、以下のような新たな架空線点検装置を発明するに至った。
【0013】
(1)本発明による架空線点検装置は、架空線をその外周方向から導入可能な第1切り欠き部を設ける第1円形開口を有し、この第1円形開口の中心に架空線が位置するように、架空線の中心に向かって架空線の外周を等圧に把持するチャック装置を有する一対の移動フレームと、これらの移動フレームの間に配置されて架空線を軌道として転動する車輪を有する中間フレームと、この中間フレームと一対の前記移動フレームとを連結し、前記中間フレームに対して少なくとも一方の前記移動フレームを架空線の軸方向に進退させる平行移動手段と、を備え、一方の前記チャック装置が架空線を把持しているときは、他方の前記チャック装置が架空線を解放して、前記平行移動手段が一対の前記移動フレームを相対的に離れる方向に移動させ、他方の前記チャック装置が架空線を把持しているときは、一方の前記チャック装置が架空線を解放して、前記平行移動手段が一対の前記移動フレームを相対的に近づく方向に移動させ、一対の前記チャック装置が架空線を把持又は解放する動作と一対の前記移動フレームが伸縮する動作とを繰り返すことにより、架空線に沿って移動する。
【0014】
(2)前記チャック装置は、前記第1円形開口を中心部に設け、前記移動フレームの中央部に回動可能に保持される回転リングと、前記移動フレームに保持され、前記回転リングを回動させる第1モータと、前記回転リングの回動運動に連動して前記第1円形開口の口径を縮径可能な帯板状の複数の揺動爪と、を備え、前記移動フレームは、前記チャック装置を装着して架空線の軸方向に移動可能な基板を備え、この基板は、前記第1切り欠き部に連通して架空線をその外周方向から導入可能な第1開口と、前記回転リングの周囲に等間隔に配置され、前記揺動爪の基端部を回動可能に連結する前記揺動爪と同数の軸ピンと、を有し、前記回転リングは、前記第1円形開口の周囲に等間隔に形成される前記揺動爪と同数の第1カム溝を有し、前記揺動爪は、前記第1カム溝に案内されて従動する従動ピンを有し、前記回転リングを一方の方向に回動すると、複数の前記揺動爪の先端部側縁が架空線を把持するように閉じ、前記回転リングを他方の方向に回動すると、複数の前記揺動爪の先端部側縁が架空線を解放するように開くことが好ましい。
【0015】
(3)前記平行移動手段は、前記中間フレームの中央部に回動可能に保持される回転板と、前記中間フレームに保持され、前記回転板を回動させる第2モータと、一対の前記移動フレームに向かうように相反する向きに配置され、前記回転板に設けた複数の第2カム溝に従動して、当該回転板の遠心方向のみに進退運動が許容される複数の移動ロッドと、一端部が前記移動ロッドの先端部に回動可能に連結し、他端部が前記移動フレームに回動可能に連結し、前記中間フレームから前記移動フレームに向かって下り傾斜すると共に、前記移動フレームの中心から放射状に配置された前記移動ロッドと同数の連結棒と、を含み、前記回転板は、架空線をその外周方向から導入可能な第2切り欠き部と、この第2切り欠き部に連通して中心部が前記第1円形開口と同軸上に位置する第2円形開口と、を含み、前記中間フレームは、前記第2切り欠き部に連通して架空線をその外周方向から導入可能な第2開口を含み、前記回転板を一方の方向に回動すると、複数の前記移動ロッドが中心部に移動すると共に、複数の前記連結棒の開き角を縮小して、一対の前記移動フレームを相対的に離れる方向に移動させ、前記回転板を他方の方向に回動すると、複数の前記移動ロッドが遠心方向に移動すると共に、複数の前記連結棒の開き角を拡大して、一対の前記移動フレームを相対的に近づく方向に移動させてもよい。
【0016】
(4)前記平行移動手段は、一方の端部にクレビス形の第1支持部を設ける本体、及びこの本体の他方の端部から進退し、先端部にクレビス形の第2支持部を設けるピストンロッドで構成する複数の電動シリンダと、一対の前記移動フレームに向かうように相反する向きに前記中間フレームに配置され、前記本体の第1支持部と回動可能に連結する第1連結部材であって、前記中間フレームの中心部から等しい距離で放射状に配置された第1連結部材と、前記移動フレームから突出して配置され、前記ピストンロッドの第2支持部と回動可能に連結する第2連結部材であって、前記移動フレームの中心部から等しい距離で放射状に前記移動フレームから突出して配置された第2連結部材と、を含み、前記中間フレームは、架空線をその外周方向から導入可能な第3切り欠き部と、この第3切り欠き部に連通して中心部が前記第1円形開口と同軸上に位置する第3円形開口と、を含み、複数の前記ピストンロッドを一斉に進出すると、一対の前記移動フレームを相対的に離れる方向に移動させ、複数の前記ピストンロッドを一斉に後退すると、一対の前記移動フレームを相対的に近づく方向に移動させてもよい。
【0017】
(5)前記平行移動手段は、前記中間フレームの端部に保持された第3モータと、前記第3モータの出力軸に連結されたボールねじと、一方の前記移動フレームの端部に保持され、前記ボールねじと連結するボールブッシュと、中間部が前記中間フレームに固定され、一方の端部が前記ボールねじと平行に延びて、一方の前記移動フレームをスライド可能に案内し、他方の端部が他方の前記移動フレームを支持する複数のスライド軸と、を含み、前記中間フレームは、架空線をその外周方向から導入可能な第4切り欠き部と、この第4切り欠き部に連通して中心部が前記第1円形開口と同軸上に位置する第4円形開口と、を含み、前記ボールねじを一方の方向に回転すると、一対の前記移動フレームを相対的に離れる方向に移動させ、前記ボールねじを一方の方向に回転すると、一対の前記移動フレームを相対的に近づく方向に移動させてもよい。
【0018】
(6)一方の前記移動フレームは、前記中間フレームと反対側に突出するように配置されると共に、架空線の全外周を検査可能に架空線の回りに等間隔に配置された三つ以上のカメラを備えることが好ましい。
【発明の効果】
【0019】
本発明による架空線点検装置は、架空線を等圧的に把持するチャック装置を備える一対の移動フレーム、これらの移動フレームの間に配置されて架空線上を転動する車輪を備える中間フレーム、及び中間フレームに対して少なくとも一方の移動フレームを架空線の軸方向に進退させる平行移動手段とで構成し、一方の移動フレームが架空線を把持しているときは、他方の移動フレームが架空線を解放して、一対の移動フレームを相対的に離れる方向に移動させ、他方の移動フレームが架空線を把持しているときは、一方の移動フレームが架空線を解放して、一対の移動フレームを相対的に近づく方向に移動させ、これらの動作を繰り返すことにより、架空線を損傷することなく、傾斜した架空線に沿って自走が容易である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の第1実施形態による架空線点検装置の構成を示す正面図である。
【図2】図1のA矢視図であり、一方の移動フレームに配置されたチャック装置に設けた複数の揺動爪が開いた状態図である。
【図3】図2のA−A矢視断面図である。
【図4】図2のB−B矢視断面図である。
【図5】図1のA矢視図であり、一方の移動フレームに配置されたチャック装置に設けた複数の揺動爪が閉じた状態図である。
【図6】図5のC−C矢視断面図である。
【図7】第1実施形態による架空線点検装置に備わる一方の移動フレームの平面図である。
【図8】図1のB矢視図であり、一方の移動フレームに配置されたチャック装置に設けた複数の揺動爪が開いた状態図である。
【図9】図1のB矢視図であり、他方の移動フレームに配置されたチャック装置に設けた複数の揺動爪が開いた状態図である。
【図10】図9のA−A矢視断面図である。
【図11】第1実施形態による架空線点検装置に備わる中間フレームの縦断面図である。
【図12】第1実施形態による架空線点検装置に備わる中間フレームの左側面図であり、複数の移動ロッドが遠心方向に移動した状態図である。
【図13】第1実施形態による架空線点検装置に備わる中間フレームの左側面図であり、複数の移動ロッドが中心部に移動した状態図である。
【図14】本発明の第2実施形態による架空線点検装置の構成を示す正面図である。
【図15】第2実施形態による架空線点検装置に備わる電動シリンダの正面図であり、ピストンロッドが後退した状態図である。
【図16】第2実施形態による架空線点検装置に備わる中間フレームの左側面図である。
【図17】本発明の第3実施形態による架空線点検装置の構成を示す正面図である。
【図18】図17の略右半分を拡大した正面図である。
【図19】図17の略左半分を拡大した正面図である。
【図20】図17のA矢視図であり、一方の移動フレームに配置されたチャック装置に設けた複数の揺動爪が開いた状態図である。
【図21】図17のA矢視図であり、一方の移動フレームに配置されたチャック装置に設けた複数の揺動爪が閉じた状態図である。
【図22】第3実施形態による架空線点検装置に備わる一方の移動フレームの平面図である。
【図23】図17のB矢視図であり、一方の移動フレームに配置されたチャック装置に設けた複数の揺動爪が開いた状態図である。
【図24】第3実施形態による架空線点検装置に備わる中間フレームの右側面図である。
【図25】図17のX−X矢視断面図であり、他方の移動フレームに配置されたチャック装置に設けた複数の揺動爪が開いた状態図である。
【図26】図17のC矢視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照して本発明を実施するための形態を説明する。
[第1実施形態]
[架空線点検装置の構成]
(架空線点検装置の概略構成)
最初に、本発明の第1実施形態による架空線点検装置の構成を説明する。図1は、本発明の第1実施形態による架空線点検装置の構成を示す正面図である。
【0022】
図1を参照すると、本発明の第1実施形態による架空線点検装置100は、一対の移動フレーム20・30とこれらの移動フレーム20・30の間に配置された中間フレーム40を備えている。一対の移動フレーム20・30は、架空線Wの中心に向かって架空線Wの外周を等圧に把持するチャック装置10をそれぞれ有している。
【0023】
図1を参照すると、一方の移動フレーム20は、所定の板厚を有する基板2bにチャック装置10を装着している。同様に、他方の移動フレーム30は、所定の板厚を有する基板3bにチャック装置10を装着している。一方の移動フレーム20と他方の移動フレーム30とは、同様に構成しているが、チャック装置10の向きを変えて配置している。
【0024】
図1を参照すると、中間フレーム40は、架空線Wを軌道として転動する一対の車輪40a・40aを有している。これらの車輪40a・40aは、相反する向きに配置され、中間フレーム40から突出するように保持されている。
【0025】
図1を参照すると、架空線点検装置100は、中間フレーム40に対して、一対の移動フレーム20・30を架空線Wの軸方向に進退させる第1の平行移動手段110を備えている。第1の平行移動手段110は、中間フレーム40と一方の移動フレーム20を連結する三つの連結棒42を含み、中間フレーム40と他方の移動フレーム30を連結する三つの連結棒42を含んでいる。なお、図1では、120度に等角に配置された三つの連結棒42の内、二つの連結棒42・42を180度に開角して図示している。
【0026】
(チャック装置の構成)
次に、本発明の実施形態によるチャック装置の構成を説明する。図2は、図1のA矢視図であり、一方の移動フレームに配置されたチャック装置に設けた複数の揺動爪が開いた状態図である。
【0027】
図3は、図2のA−A矢視断面図である。図4は、図2のB−B矢視断面図である。図5は、図1のA矢視図であり、一方の移動フレームに配置されたチャック装置に設けた複数の揺動爪が閉じた状態図である。
【0028】
図2から図5を参照すると、チャック装置10は、回転リング11、第1モータ1m、及び帯板状の三つの揺動爪12を備えている。回転リング11は、架空線Wをその外周方向から導入可能な第1切り欠き部11aを設ける第1円形開口11bを有している。一方、基板2bは、架空線Wをその外周方向から導入可能な第1開口21aを有している。そして、第1開口21aは、第1切り欠き部11aに連通できる。
【0029】
図2から図5を参照すると、基板2bの中央部には、円形の開口2hを設けている。そして、開口2hに嵌合するように、回転リング11を基板2bに取り付けている。回転リング11の外周には、V字状の溝11vを形成している(図3及び図4参照)。一方、開口2hの周囲には、三つのローラ1rを配置している。
【0030】
図4を参照すると、ローラ1rは、回転リング11の溝11vに嵌合するように、中央部を鋭角に突出している。又、これらのローラ1rは、回転リング11の回転中心がぶれないように、等角に三点支持している。このように、回転リング11は、スラスト方向(軸方向)及びラジアル方向(円周方向)に移動しないように、基板2bに回動可能に保持されている。
【0031】
図2から図5を参照すると、回転リング11は、基板2bから突出した部分に外歯11gを形成している。中間歯車1gは、その支持軸が基板2bに固定されている。中間歯車1gは、外歯11gに噛み合っている。又、中間歯車1gは、第1モータ1mの出力軸に取り付けられた歯車11mに噛み合っている。第1モータ1mを駆動すると、回転リング11を回動できる。なお、第1モータ1mの本体は、ハウジング1hを介して、基板2bに保持されている。
【0032】
図2から図5を参照すると、基板2bは、回転リング11の周囲に、等間隔に三つの頭部付きの軸ピン12pを配置している。軸ピン12pは、揺動爪12の基端部を回動可能に連結している。回転リング11は、第1円形開口11bの周囲に、等間隔に三つの第1カム溝11cを形成している。一方、揺動爪12は、第1カム溝11cに案内されて従動する従動ピン12qを突出している。
【0033】
図2に示された状態から、第1モータ1mを駆動して、回転リング11を一方の方向に回転すると、三つの揺動爪12の先端部端縁が中心部に向かって閉じ、第1円形開口11bの口径を縮径できる。そして、三つの揺動爪12の先端部端縁が架空線Wを等圧で把持できる(図5参照)。
【0034】
一方、図5に示された状態から、第1モータ1mを駆動して、回転リング11を他方の方向に回転すると、三つの揺動爪12の先端部端縁が外周方向に向かって開き、第1円形開口11bの口径を拡径できる。そして、三つの揺動爪12の先端部端縁が架空線Wを解放できる(図2参照)。
【0035】
(架空線点検装置の構成)
次に、チャック装置10の構成を補足しながら、架空線点検装置100の構成を説明する。図6は、図5のC−C矢視断面図である。図7は、第1実施形態による架空線点検装置に備わる一方の移動フレームの平面図である。
【0036】
図8は、図1のB矢視図であり、一方の移動フレームに配置されたチャック装置に設けた複数の揺動爪が開いた状態図である。図9は、図1のB矢視図であり、他方の移動フレームに配置されたチャック装置に設けた複数の揺動爪が開いた状態図である。図10は、図9のA−A矢視断面図である。
【0037】
図5から図7を参照すると、一方の移動フレーム20は、三つの第2連結部材23を備えている。第2連結部材23は、一方の端部が基板2bに固定されている。又、第2連結部材23は、他方の端部が二股に分かれて、回転リング11から離間するように突出している。そして、第2連結部材23の他方の端部は、連結棒42の他端部と回動可能に連結している、三つの第2連結部材23は、それらの回転中心(連結点)が回転リング11の中心部から等しい距離で放射状に配置されている。
【0038】
同様に、図9及び図10を参照すると、他方の移動フレーム30は、三つの第2連結部材23を備えている。第2連結部材23は、一方の端部が基板3bに固定されている。又、第2連結部材23は、他方の端部が二股に分かれて、回転リング11から離間するように突出している。そして、第2連結部材23の他方の端部は、連結棒42の他端部と回動可能に連結している、三つの第2連結部材23は、それらの回転中心(連結点)が回転リング11の中心部から等しい距離で放射状に配置されている(図1参照)。
【0039】
図9及び図10を参照すると、基板3bは、三本の支柱32を架空線Wが延びる方向に立設している。これらの支柱32の先端には、台座板33を固定している。台座板33は、架空線Wを導入できるように、一部が二股に分岐している。そして、台座板33には、三つのCCDカメラ34を放射状に等間隔に配置している。このように、他方の移動フレーム30には、三つのCCDカメラ34を取り付けているので、架空線Wの全外周を検査できる。なお、図1では、支柱32、台座板33、及びCCDカメラ34の図示を省略している。
【0040】
又、一方の移動フレーム20の基板2bと他方の移動フレーム20の基板3bとは、実質的に同じものであるが、基板3bには、三つのCCDカメラ34を取り付けている点が異なっている。又、基板3bに設けた第1開口31aが基板2bに設けた第1開口21aと略同じ方角を向くように、基板3bと基板2bとを相対配置している。
【0041】
(中間フレームの構成)
次に、中間フレーム40の構成を説明する。図11は、第1実施形態による架空線点検装置に備わる中間フレームの縦断面図である。図12は、第1実施形態による架空線点検装置に備わる中間フレームの左側面図であり、複数の移動ロッドが遠心方向に移動した状態図である。図13は、第1実施形態による架空線点検装置に備わる中間フレームの左側面図であり、複数の移動ロッドが中心部に移動した状態図である。
【0042】
図11から図13を参照すると、中間フレーム40は、基板4b、回転板41、及び第2モータ2mを備えている。回転板41は、架空線Wをその外周方向から導入可能な第2切り欠き部41aを設けている。又、回転板41は、第2切り欠き部41aに連通して、中心部が第1円形開口11bと同軸上に位置する第2円形開口41bを設けている(図2及び図9参照)。一方、基板4bは、架空線Wをその外周方向から導入可能な第2開口42aを有している。そして、第2開口42aは、第2切り欠き部41aに連通できる。
【0043】
図11から図13を参照すると、基板4bの中央部には、円形の開口4hを設けている。そして、開口4hに嵌合するように、回転板41を基板4bに取り付けている。開口2hの周囲には、回転板41の外周に転動する三つのローラ4rを内装している。
【0044】
図11から図13を参照すると、三つのローラ4rは、回転板41の回転中心がぶれないように、等角に三点支持している。又、回転板41は、その外縁の両面が一組のベアリング40r・40rで転動可能に挟持されている。ベアリング40rは、基板4bに片持ち支持されている。又、これらのベアリング40rは、回転板41が傾斜しないように、等角に三点支持している。このように、回転板41は、スラスト方向及びラジアル方向に移動しないように、基板4bに回動可能に保持されている。
【0045】
図11から図13を参照すると、回転板41は、基板4bから突出した部分に外歯41gを形成している。中間歯車14は、その支持軸が基板4bに固定されている。中間歯車4gは、外歯41gに噛み合っている。又、中間歯車4gは、第2モータ2mの出力軸に取り付けられた歯車42mに噛み合っている。第2モータ2mを駆動すると、回転板41を回動できる。なお、第2モータ2mの本体は、ハウジング42hを介して、基板4bに保持されている。
【0046】
図1及び図11から図13を参照すると、中間フレーム40は、一方の移動フレーム20に向かって配置された三つの移動ロッド43を備えている。又、中間フレーム40は、他方の移動フレーム30に向かって配置された三つの移動ロッド43を備えている。つまり、中間フレーム40は、一対の移動フレーム20・30に向かうように相反する向きに配置された一組の移動ロッド43・43を三組、備えている。
【0047】
図11から図13を参照すると、一組の移動ロッド43・43は、それらの基端部が従動棒44の両端部44a・44aに固定されている。従動棒44の一方の端部は、スライド軸45とスライド可能に連結している。したがって、従動棒44は、直線運動のみが許容されている。なお、一組の移動ロッド43・43は、三つのスライド軸45と略平行に配置されている。
【0048】
図11から図13を参照すると、三つのスライド軸45は、遠心方向に向かうように、等角に放射状に配置している。これらのスライド軸45の基端部は、リング板45aに固定されている。又、これらのスライド軸45の先端部は、支持金具45bを介して、基板4bに支持されている。なお、リング板45aの一部は、第2切り欠き部41a及び第2開口42aと同じ方向に開口している。
【0049】
図11から図13を参照すると、回転板41は、第2円形開口41bの周囲に、等間隔に三つの第2カム溝41cを形成している。一方、従動棒44の中間部は、第2カム溝41cに案内されて移動できる。
【0050】
図12に示された状態から、第2モータ2mを駆動して、回転板41を一方の方向に回転すると、三つの従動棒44を回転板41の中心部に向かって移動できる(図13参照)。つまり、三組の移動ロッド43・43を回転板41の中心部に向かって移動できる。
【0051】
一方、図13に示された状態から、第2モータ2mを駆動して、回転板41を他方の方向に回転すると、三つの従動棒44を遠心方向に向かって移動できる(図12参照)。つまり、三組の移動ロッド43・43を遠心方向に向かって移動できる。
【0052】
図1又は図6及び図11を参照すると、一方の移動フレーム20に向かって配置された移動ロッド43は、その先端部が連結棒42の一端部に回転可能に連結している。なお、この連結棒42の他端部は、一方の移動フレーム20に回転可能に連結している。
【0053】
同様に、図1又は図6及び図11を参照すると、他方の移動フレーム20に向かって配置された移動ロッド43は、その先端部が連結棒42の一端部に回転可能に連結している。なお、この連結棒42の他端部は、他方の移動フレーム30に回転可能に連結している。
【0054】
図1又は図6及び図11を参照すると、中間フレーム40と一方の移動フレーム20とを連結する三つの連結棒42は、中間フレーム40から一方の移動フレーム20に向かって下り傾斜している。同様に、中間フレーム40と他方の移動フレーム30とを連結する三つの連結棒42は、中間フレーム40から他方の移動フレーム30に向かって下り傾斜している。
【0055】
図1又は図6及び図11を参照して、回転板41を一方の方向に回動すると、複数の移動ロッド43が中心部に移動すると共に、複数の連結棒42の開き角を角度βから角度αに縮小する。そして、一対の移動フレーム20・30を相対的に離れる方向に移動させることができる。
【0056】
一方、図1又は図6及び図11を参照して、回転板41を他方の方向に回動すると、複数の移動ロッド43が遠心方向に移動すると共に、複数の連結棒42の開き角を角度αから角度βに拡大する。そして、一対の移動フレーム20・30を相対的に近づく方向に移動させることができる。
【0057】
図11から図13を参照すると、基板4bの両側面には、一対のサポート46・46を固定している。これらのサポート46・46は、一対の移動フレーム20・30に向かって突出するように配置している。又、これらのサポート46・46の両端部には、一対のステイ47・47を固定している。そして、これらのステイ47・47に車輪40aを取り付けている。
【0058】
[架空線点検装置の作用]
次に、第1実施形態による架空線点検装置100の動作を説明しながら、架空線点検装置100の作用及び効果を説明する。
【0059】
図1を参照すると、中間フレーム40の下部には、架空線点検装置100の姿勢を安定させるためのバランサ(図示せず)を支持しておくことが好ましく、一対の第1モータ1m、及び第2モータ2m(図11参照)を駆動するバッテリ及び駆動回路(いずれも図示せず)をこのバランサに搭載しておくことが好ましい。又、このバランサには、地上から架空線点検装置100を運転操作が可能な通信設備を設けてことが好ましい。
【0060】
図1を参照して、架空線点検装置100で架空線Wを点検するに当たっては、予め、架空線点検装置100を架空線Wに装着する。この場合、図2及び図9を参照して、チャック装置10に設けた第1開口21a・31aが第1切り欠き部11aに連通した状態で、架空線Wを第1円形開口11bに挿通しておく。
【0061】
又、図12を参照して、中間フレーム40に設けた第2開口42aが第2切り欠き部41aに連通した状態で、架空線Wを第2円形開口41bに挿通しておく。そして、一対の車輪40a・車輪40aを架空線Wに懸架した状態で、架空線点検装置100を走行することができる。
【0062】
最初に、図1を参照して、一対の移動フレーム20・30を最も近づけた状態(Lmin)で、一方の移動フレーム20に設けたチャック装置10の第1円形開口11bを閉じて、架空線Wを把持しておく(図2及び図5参照)。又、他方の移動フレーム30に設けたチャック装置10の第1円形開口11bを開き、架空線Wを解放しておく(図9参照)。
【0063】
次に、図1及び図13を参照して、回転板41を一方の方向に回動すると、三つの移動ロッド43が中心部に移動すると共に、三つの連結棒42の開き角を角度βから角度αに縮小して、一対の移動フレーム20・30を相対的に離れる方向に移動させる。この場合、一方の移動フレーム20は、架空線Wを把持しているので、架空線Wに対して、他方の移動フレーム30及び中間フレーム40が進行方向S1に移動する。又、この場合、他方の移動フレーム30は、第1円形開口11bが大きく開口しているので、架空線Wに接触することが防止される(図9参照)。そして、この間、三つのCCDカメラ34で架空線Wの全外周を検査する(図9及び図10参照)。
【0064】
次に、図1を参照して、一対の移動フレーム20・30が最も離れた状態(Lmax)で、他方の移動フレーム30に設けたチャック装置10の第1円形開口11bを閉じて、架空線Wを把持しておく(図9参照)。又、一方の移動フレーム20に設けたチャック装置10の第1円形開口11bを開き、架空線Wを解放しておく(図2参照)。
【0065】
次に、図1及び図12を参照して、回転板41を他方の方向に回動すると、三つの移動ロッド43が遠心方向に移動すると共に、三つの連結棒42の開き角を角度αから角度βに拡大して、一対の移動フレーム20・30を相対的に近づく方向に移動させる。この場合、他方の移動フレーム30は、架空線Wを把持しているので、架空線Wに対して、一方の移動フレーム20及び中間フレーム40が進行方向S1に移動する。又、この場合、一方の移動フレーム20は、第1円形開口11bが大きく開口しているので、架空線Wに接触することが防止される(図2参照)。以下、架空線Wの終端までこれらの動作を繰り返しながら、架空線点検装置100を間欠的に進行させる。
【0066】
このように、架空線点検装置100は、一対のチャック装置10・10が架空線Wを把持又は解放する動作と一対の移動フレーム20・30が伸縮する動作とを繰り返すことにより、架空線Wに沿って移動することができる。
【0067】
実施形態による架空線点検装置100は、チャック装置10が架空線Wの外周を等圧に把持しているので、従来のように、架空線Wへの挟持力を強くすることなく、架空線Wを確実に把持できる。したがって、実施形態による架空線点検装置100は、架空線Wを損傷することなく、傾斜した架空線Wに沿って走行(自走)が容易であるというメリットがある。
【0068】
[第2実施形態]
[架空線点検装置の構成]
次に、本発明の第2実施形態による架空線点検装置の構成を説明する。図14は、本発明の第2実施形態による架空線点検装置の構成を示す正面図である。
【0069】
又、図15は、第2実施形態による架空線点検装置に備わる電動シリンダの正面図であり、ピストンロッドが後退した状態図である。図16は、第2実施形態による架空線点検装置に備わる中間フレームの左側面図である。なお、第1実施形態で使用した符号と同じ符号を有する構成品は、その作用を同一とするので、以下の説明では、割愛する場合がある。
【0070】
図14を参照すると、本発明の第2実施形態による架空線点検装置200は、一対の移動フレーム20・30とこれらの移動フレーム20・30の間に配置された中間フレーム50を備えている。
【0071】
図14を参照すると、架空線点検装置200は、中間フレーム50に対して、一対の移動フレーム20・30を架空線Wの軸方向に進退させる第2の平行移動手段210を備えている。第2の平行移動手段210は、中間フレーム50と一方の移動フレーム20を連結する三つの電動シリンダ5を含み、中間フレーム50と他方の移動フレーム30を連結する三つの電動シリンダ5を含んでいる。なお、図14では、120度に等角に配置された三つの電動シリンダ5の内、二つの電動シリンダ5・5を180度に開角して図示している。
【0072】
図14及び図15を参照すると、電動シリンダ5は、筒状の本体51と本体51の他方の端部から進退するピストンロッド52で構成している。例えば、電動シリンダ5は、市販品を用いることができる。本体51は、モータとボールねじ(いずれも図示せず)を内蔵している。そして、このモータを一方の方向に回転すると、ピストンロッド52を進出でき、このモータを他方の方向に回転すると、ピストンロッド52を後退できる。
【0073】
図14及び図15を参照すると、本体51は、その端部にクレビス形の第1支持部51aを設けている。又、ピストンロッド52は、その先端部にクレビス形の第2支持部52aを設けている。
【0074】
図14から図16を参照すると、中間フレーム50は、基板5b及び複数の円柱状の第1連結部材5cを備えている。基板5bは、架空線Wをその外周方向から導入可能な第3切り欠き部51bを設けている。又、基板5bは、第3切り欠き部51bに連通して、中心部が第1円形開口11bと同軸上に位置する第3円形開口5hを設けている(図2及び図9参照)。
【0075】
図14から図16を参照すると、中間フレーム50は、一方の移動フレーム20に向かって配置された三つの第1連結部材5cを備えている。又、中間フレーム50は、他方の移動フレーム30に向かって配置された三つの第1連結部材5cを備えている。つまり、中間フレーム50は、一対の移動フレーム20・30に向かうように相反する向きに配置された一組の第1連結部材5c・5cを三組、備えている。
【0076】
図14から図16を参照すると、一組の第1連結部材5c・5cは、それらの基端部が基板5bの両面に固定されている。一組の第1連結部材5c・5cの先端部は、第1支持部51aと回転可能に連結している。三つの第1連結部材5cは、基板5bの中心部から等しい距離で放射状に配置されている。三つの電動シリンダ5は、それらの先端部が中心部に向かって閉じる、又は中心部から遠心方向に開く運動のみが許容されている。
【0077】
図14から図16を参照すると、一方の移動フレーム20の第2連結部材23は、ピストンロッド52の第2支持部52aと回動可能に連結している。同様に、他方の移動フレーム30の第2連結部材23は、ピストンロッド52の第2支持部52aと回動可能に連結している。
【0078】
図14から図16を参照して、一方の移動フレーム20に連結する三つのピストンロッド52を同期して一斉に進出すると、中間フレーム50に対して、一方の移動フレーム20を離れる方向に移動できる。一方、一方の移動フレーム20に連結する三つのピストンロッド52を同期して一斉に後退すると、中間フレーム50に対して、一方の移動フレーム20を近づく方向に移動できる。この場合、一方の移動フレーム20は、架空線Wに沿って平行移動できる。
【0079】
同様に、図14から図16を参照して、他方の移動フレーム30に連結する三つのピストンロッド52を同期して一斉に進出すると、中間フレーム50に対して、他方の移動フレーム30を離れる方向に移動できる。一方、他方の移動フレーム30に連結する三つのピストンロッド52を同期して一斉に後退すると、中間フレーム50に対して、他方の移動フレーム30を近づく方向に移動できる。この場合、他方の移動フレーム30は、架空線Wに沿って平行移動できる。
【0080】
図14から図16を参照すると、基板5bに開口した第3円形開口5hの両翼には、一対のサポート56・56を固定している。これらのサポート56・56は、一対の移動フレーム20・30に向かって突出するように配置している。又、これらのサポート56・56の両端部には、一対のステイ57・57を固定している。そして、これらのステイ57・57に車輪40aを取り付けている。
【0081】
[架空線点検装置の作用]
次に、第2実施形態による架空線点検装置200の動作を説明しながら、架空線点検装置200の作用及び効果を説明する。
【0082】
図14を参照すると、中間フレーム50の下部には、架空線点検装置200の姿勢を安定させるためのバランサ(図示せず)を支持しておくことが好ましく、一対の第1モータ1m、及び第2モータ2m(図11参照)を駆動するバッテリ及び駆動回路(いずれも図示せず)をこのバランサに搭載しておくことが好ましい。又、このバランサには、地上から架空線点検装置200を運転操作が可能な通信設備を設けてことが好ましい。
【0083】
図14を参照して、架空線点検装置200で架空線Wを点検するに当たっては、予め、架空線点検装置200を架空線Wに装着する。この場合、図2及び図9を参照して、チャック装置10に設けた第1開口21a・31aが第1切り欠き部11aに連通した状態で、架空線Wを第1円形開口11bに挿通しておく。
【0084】
又、図16を参照して、第3切り欠き部51bを介して、架空線Wを中間フレーム50に設けた第3円形開口5hに挿通しておく。そして、一対の車輪40a・車輪40aを架空線Wに懸架した状態で、架空線点検装置200を走行することができる。
【0085】
最初に、図14を参照して、一対の移動フレーム20・30を最も近づけた状態(Lmin)で、一方の移動フレーム20に設けたチャック装置10の第1円形開口11bを閉じて、架空線Wを把持しておく(図5参照)。又、他方の移動フレーム30に設けたチャック装置10の第1円形開口11bを開き、架空線Wを解放しておく(図9参照)。
【0086】
次に、図14及び図15を参照して、一方の移動フレーム20に向かって配置された三つのピストンロッド52を一斉に進出すると共に、他方の移動フレーム30に向かって配置された三つのピストンロッド52を一斉に進出させる。そして、一対の移動フレーム20・30を相対的に離れる方向に移動させる。この場合、一方の移動フレーム20は、架空線Wを把持しているので、架空線Wに対して、他方の移動フレーム30及び中間フレーム50が進行方向S1に移動する。又、この場合、他方の移動フレーム30は、第1円形開口11bが大きく開口しているので、架空線Wに接触することが防止される(図9参照)。そして、この間、三つのCCDカメラ34で架空線Wの全外周を検査する(図9及び図10参照)。
【0087】
次に、図14を参照して、一対の移動フレーム20・30が最も離れた状態(Lmax)で、他方の移動フレーム30に設けたチャック装置10の第1円形開口11bを閉じて、架空線Wを把持しておく(図9参照)。又、一方の移動フレーム20に設けたチャック装置10の第1円形開口11bを開き、架空線Wを解放しておく(図2参照)。
【0088】
次に、図14及び図15を参照して、一方の移動フレーム20に向かって配置された三つのピストンロッド52を一斉に後退すると共に、他方の移動フレーム30に向かって配置された三つのピストンロッド52を一斉に後退させる。そして、一対の移動フレーム20・30を相対的に離れる方向に移動させる。この場合、他方の移動フレーム30は、架空線Wを把持しているので、架空線Wに対して、一方の移動フレーム20及び中間フレーム50が進行方向S1に移動する。又、この場合、一方の移動フレーム20は、第1円形開口11bが大きく開口しているので、架空線Wに接触することが防止される(図9参照)。以下、架空線Wの終端までこれらの動作を繰り返しながら、架空線点検装置200を間欠的に進行させる。
【0089】
このように、架空線点検装置200は、一対のチャック装置10・10が架空線Wを把持又は解放する動作と一対の移動フレーム20・30が伸縮する動作とを繰り返すことにより、架空線Wに沿って移動することができる。
【0090】
第2実施形態による架空線点検装置200は、第1実施形態による架空線点検装置100と同様の効果を奏するが、第2の平行移動手段210は、第1の平行移動手段110と比べて、構成が簡易であり、一回当たりの進行距離(ストローク)が大きいというメリットがある。
【0091】
[第3実施形態]
[架空線点検装置の構成]
次に、本発明の第3実施形態による架空線点検装置の構成を説明する。図17は、本発明の第3実施形態による架空線点検装置の構成を示す正面図である。
【0092】
又、図18は、図17の略右半分を拡大した正面図である。図19は、図17の略左半分を拡大した正面図である。図20は、図17のA矢視図であり、一方の移動フレームに配置されたチャック装置に設けた複数の揺動爪が開いた状態図である。図21は、図17のA矢視図であり、一方の移動フレームに配置されたチャック装置に設けた複数の揺動爪が閉じた状態図である。
【0093】
図22は、第3実施形態による架空線点検装置に備わる一方の移動フレームの平面図である。図23は、図17のB矢視図であり、一方の移動フレームに配置されたチャック装置に設けた複数の揺動爪が開いた状態図である。
【0094】
図24は、第3実施形態による架空線点検装置に備わる中間フレームの右側面図である。図25は、図17のX−X矢視断面図であり、他方の移動フレームに配置されたチャック装置に設けた複数の揺動爪が開いた状態図である。図26は、図17のC矢視図である。
【0095】
なお、第1実施形態及び第2実施形態で使用した符号と同じ符号を有する構成品は、その作用を同一とするので、以下の説明では、割愛する場合がある。
【0096】
図17を参照すると、本発明の第3実施形態による架空線点検装置300は、一対の移動フレーム60・70とこれらの移動フレーム60・70の間に配置された中間フレーム80を備えている。一対の移動フレーム60・70は、架空線Wの中心に向かって架空線Wの外周を等圧に把持するチャック装置10をそれぞれ有している。
【0097】
図17を参照すると、一方の移動フレーム60は、所定の板厚を有する基板6bにチャック装置10を装着している。同様に、他方の移動フレーム70は、所定の板厚を有する基板7bにチャック装置10を装着している。一方の移動フレーム60と他方の移動フレーム70とは、チャック装置10を同様に構成しているが、チャック装置10の向きを同じにしている。又、一方の移動フレーム60は、中間フレーム80に対して移動可能であり、他方の移動フレーム70は、中間フレーム80と一体に移動する。
【0098】
図17を参照すると、中間フレーム80は、架空線Wを軌道として転動する一対の車輪40a・40aを有している。これらの車輪40a・40aは、相反する向きに配置され、中間フレーム80から突出するように保持されている。
【0099】
図17を参照すると、架空線点検装置300は、中間フレーム80に対して、一方の移動フレーム60を架空線Wの軸方向に進退させる第3の平行移動手段310を備えている。第3の平行移動手段310は、中間フレーム80の端部に保持された第3モータ3m、第3モータ3mの出力軸に連結されたボールねじ3s、ボールねじ3sと連結するボールブッシュ3vを含み、一方の移動フレーム60をスライド可能に支持する二つのスライド軸3p・3pを含んでいる。
【0100】
図17から図19及び図24を参照すると、第3モータ3mは、その本体がハウジング81hを介して、一方の移動フレーム60の基板8bの端部に保持されている。又、ハウジング81hの内部では、第3モータ3mの出力軸がボールねじ3sの一方の端部と連結している。又、一方のスライド軸3pの中間部は、ハウジング82hを介して基板8bの端部に固定されている。同様に、他方のスライド軸3pの中間部は、ハウジング83hを介して基板8bの端部に固定されている。
【0101】
図17から図19及び図23を参照すると、ボールブッシュ3vは、一方の移動フレーム60の基板6bの端部に保持されている。又、一方の移動フレーム60は、二つのリニアモーションベアリング(以下、LMBと略称する)3mb・3mbを備えている。LMB3mbは、スライド軸3pとスライド可能に連結している。一方のLMB3mbは、ハウジング62hに内装されている。ハウジング62hは、基板8bに固定されている。同様に、他方のLMB3mbは、ハウジング63hに内装されている。ハウジング63hは、基板6bに固定されている。
【0102】
図17及び図18を参照して、第3モータ3mを一方の方向に回転すると、二つのスライド軸3p・3pに案内されて、一方の移動フレーム60は、中間フレーム80から離れる方向に平行移動する。一方、第3モータ3mを他方の方向に回転すると、二つのスライド軸3p・3pに案内されて、一方の移動フレーム60は、中間フレーム80に近づく方向に平行移動する。
【0103】
図17及び図18を参照すると、二つのスライド軸3p・3p及びボールねじ3sの他方の端部には、それぞれストップ部材63・64を取り付けており、一方の移動フレーム60の脱落を防止できる。ストップ部材63は、二つのスライド軸3p・3pの軸間距離を維持する機能も有している。
【0104】
図24を参照すると、中間フレーム80は、基板8bを備えている。基板8bは、架空線Wをその外周方向から導入可能な第4切り欠き部81bを設けている。又、基板8bは、第4切り欠き部81bに連通して、中心部が第1円形開口11bと同軸上に位置する第3円形開口8hを設けている(図20及び図25参照)。なお、図20のA−A矢視断面は、図3が相当し、図20のB−矢視断面は、図4が相当している。
【0105】
図17及び図19又は図25及び図26を参照すると、他方の移動フレーム70は、基板7bを備えている。一方のスライド軸3pの端部は、ハウジング73hを介して、基板7bに固定されている。同様に、他方のスライド軸3pの端部は、ハウジング73hを介して、基板7bに固定されている。更に、支柱7pは、一方の端部が基板8bに固定され(図18及び図24参照)、他方の端部が基板7bに固定されている(図25参照)。そして、基板8bと基板7bとは、それらの平面が略平行になるように結合している。
【0106】
図17及び図18又は図25及び図26を参照すると、基板7bは、三本の支柱72を架空線Wが延びる方向に立設している。これらの支柱72の先端には、台座板73を固定している。台座板73は、架空線Wを導入できるように、一部が二股に分岐している。そして、台座板73には、三つのCCDカメラ74を放射状に等間隔に配置している。このように、他方の移動フレーム70には、三つのCCDカメラ74を取り付けているので、架空線Wの全外周を検査できる。
【0107】
なお、一方の移動フレーム60の基板6bと他方の移動フレーム70の基板7bとは、実質的に同じものであるが、基板6bには、ボールブッシュ3vを取り付け、基板7bには、三つのCCDカメラ74を取り付けている点が異なっている。
【0108】
図17から図19及び図24を参照すると、基板8bには、L形チャンネル状のサポート86を固定している。サポート86は、一対の移動フレーム60・70に向かって突出するように配置している。そして、サポート86の両端部には、一対の車輪40a・40aを取り付けている。
【0109】
[架空線点検装置の作用]
次に、第3実施形態による架空線点検装置300の動作を説明しながら、架空線点検装置300の作用及び効果を説明する。
【0110】
図17を参照すると、中間フレーム80の下部には、架空線点検装置300の姿勢を安定させるためのバランサ(図示せず)を支持しておくことが好ましく、一対の第1モータ1m、及び第3モータ3mを駆動するバッテリ及び駆動回路(いずれも図示せず)をこのバランサに搭載しておくことが好ましい。又、このバランサには、地上から架空線点検装置300を運転操作が可能な通信設備を設けてことが好ましい。
【0111】
図17を参照して、架空線点検装置300で架空線Wを点検するに当たっては、予め、架空線点検装置300を架空線Wに装着する。この場合、図20及び図25を参照して、チャック装置10に設けた第3開口61a・71aが第1切り欠き部11aに連通した状態で、架空線Wを第1円形開口11bに挿通しておく。
【0112】
又、図24を参照して、第4切り欠き部81bを介して、架空線Wを中間フレーム80に設けた第3円形開口8hに挿通しておく。そして、一対の車輪40a・車輪40aを架空線Wに懸架した状態で(図17参照)、架空線点検装置300を走行することができる。
【0113】
最初に、図17を参照して、一対の移動フレーム60を中間フレーム80に最も近づけた状態で、一方の移動フレーム60に設けたチャック装置10の第1円形開口11bを閉じて、架空線Wを把持しておく(図21参照)。又、他方の移動フレーム70に設けたチャック装置10の第1円形開口11bを開き、架空線Wを解放しておく(図25参照)。
【0114】
次に、図17及び図18を参照して、第3モータ3mを一方の方向に回転して、一方の移動フレーム60を中間フレーム80から離れる方向に移動させる(図中、矢印S2の方向)。この場合、一方の移動フレーム60は、架空線Wを把持しているので、架空線Wに対して、他方の移動フレーム70及び中間フレーム80が進行方向S1に一体となって移動する。又、この場合、他方の移動フレーム70は、第1円形開口11bが大きく開口しているので、架空線Wに接触することが防止される(図19参照)。そして、この間、三つのCCDカメラ74で架空線Wの全外周を検査する(図19及び図26参照)。
【0115】
次に、図17を参照して、一対の移動フレーム60・70が最も離れた状態で、他方の移動フレーム70に設けたチャック装置10の第1円形開口11bを閉じて、架空線Wを把持しておく(図21参照)。又、一方の移動フレーム60に設けたチャック装置10の第1円形開口11bを開き、架空線Wを解放しておく(図20参照)。
【0116】
次に、図17及び図18を参照して、第3モータ3mを他方の方向に回転して、一方の移動フレーム60を中間フレーム80に近づく方向に移動させる(図中、矢印S1の方向)。この場合、他方の移動フレーム70は、架空線Wを把持しているので、架空線Wに対して、一方の移動フレーム60が進行方向S1に移動する。又、この場合、一方の移動フレーム60は、第1円形開口11bが大きく開口しているので、架空線Wに接触することが防止される(図20参照)。以下、架空線Wの終端までこれらの動作を繰り返しながら、架空線点検装置300を間欠的に進行させる。
【0117】
このように、架空線点検装置300は、一対のチャック装置10・10が架空線Wを把持又は解放する動作と一対の移動フレーム60・70が伸縮する動作とを繰り返すことにより、架空線Wに沿って移動することができる。
【0118】
第3実施形態による架空線点検装置300は、第1及び第2実施形態による架空線点検装置100・200と同様の効果を奏するが、第3の平行移動手段310は、第1の平行移動手段110と比べて、構成が簡易であり、一回当たりの進行距離(ストローク)を可変できるというメリットがある。
【0119】
本発明は、架空線を損傷することなく、傾斜した架空線に沿って自走が容易な架空線点検装置を開示したが、本発明による架空線点検装置のステップ・バイ・ステップ走行を応用すれば、例えば、プラントの円筒や配管などを垂直登坂する自走式のロボットも実現できると考えられる。
【符号の説明】
【0120】
10 チャック装置
11a 第1切り欠き部
11b 第1円形開口
20 移動フレーム(一方の移動フレーム)
30 移動フレーム(他方の移動フレーム)
40 中間フレーム
40a 車輪
42 連結棒(第1の平行移動手段)
100 架空線点検装置
110 平行移動手段(第1の平行移動手段)
W 架空線
【特許請求の範囲】
【請求項1】
架空線をその外周方向から導入可能な第1切り欠き部を設ける第1円形開口を有し、この第1円形開口の中心に架空線が位置するように、架空線の中心に向かって架空線の外周を等圧に把持するチャック装置を有する一対の移動フレームと、
これらの移動フレームの間に配置されて架空線を軌道として転動する車輪を有する中間フレームと、
この中間フレームと一対の前記移動フレームとを連結し、前記中間フレームに対して少なくとも一方の前記移動フレームを架空線の軸方向に進退させる平行移動手段と、を備え、
一方の前記チャック装置が架空線を把持しているときは、他方の前記チャック装置が架空線を解放して、前記平行移動手段が一対の前記移動フレームを相対的に離れる方向に移動させ、他方の前記チャック装置が架空線を把持しているときは、一方の前記チャック装置が架空線を解放して、前記平行移動手段が一対の前記移動フレームを相対的に近づく方向に移動させ、一対の前記チャック装置が架空線を把持又は解放する動作と一対の前記移動フレームが伸縮する動作とを繰り返すことにより、架空線に沿って移動する架空線点検装置。
【請求項2】
前記チャック装置は、
前記第1円形開口を中心部に設け、前記移動フレームの中央部に回動可能に保持される回転リングと、
前記移動フレームに保持され、前記回転リングを回動させる第1モータと、
前記回転リングの回動運動に連動して前記第1円形開口の口径を縮径可能な帯板状の複数の揺動爪と、を備え、
前記移動フレームは、前記チャック装置を装着して架空線の軸方向に移動可能な基板を備え、
この基板は、
前記第1切り欠き部に連通して架空線をその外周方向から導入可能な第1開口と、
前記回転リングの周囲に等間隔に配置され、前記揺動爪の基端部を回動可能に連結する前記揺動爪と同数の軸ピンと、を有し、
前記回転リングは、前記第1円形開口の周囲に等間隔に形成される前記揺動爪と同数の第1カム溝を有し、
前記揺動爪は、前記第1カム溝に案内されて従動する従動ピンを有し、
前記回転リングを一方の方向に回動すると、複数の前記揺動爪の先端部側縁が架空線を把持するように閉じ、
前記回転リングを他方の方向に回動すると、複数の前記揺動爪の先端部側縁が架空線を解放するように開く請求項1記載の架空線点検装置。
【請求項3】
前記平行移動手段は、
前記中間フレームの中央部に回動可能に保持される回転板と、
前記中間フレームに保持され、前記回転板を回動させる第2モータと、
一対の前記移動フレームに向かうように相反する向きに配置され、前記回転板に設けた複数の第2カム溝に従動して、当該回転板の遠心方向のみに進退運動が許容される複数の移動ロッドと、
一端部が前記移動ロッドの先端部に回動可能に連結し、他端部が前記移動フレームに回動可能に連結し、前記中間フレームから前記移動フレームに向かって下り傾斜すると共に、前記移動フレームの中心から放射状に配置された前記移動ロッドと同数の連結棒と、を含み、
前記回転板は、
架空線をその外周方向から導入可能な第2切り欠き部と、
この第2切り欠き部に連通して中心部が前記第1円形開口と同軸上に位置する第2円形開口と、を含み、
前記中間フレームは、前記第2切り欠き部に連通して架空線をその外周方向から導入可能な第2開口を含み、
前記回転板を一方の方向に回動すると、複数の前記移動ロッドが中心部に移動すると共に、複数の前記連結棒の開き角を縮小して、一対の前記移動フレームを相対的に離れる方向に移動させ、
前記回転板を他方の方向に回動すると、複数の前記移動ロッドが遠心方向に移動すると共に、複数の前記連結棒の開き角を拡大して、一対の前記移動フレームを相対的に近づく方向に移動させる請求項1又は2記載の架空線点検装置。
【請求項4】
前記平行移動手段は、
一方の端部にクレビス形の第1支持部を設ける本体、及びこの本体の他方の端部から進退し、先端部にクレビス形の第2支持部を設けるピストンロッドで構成する複数の電動シリンダと、
一対の前記移動フレームに向かうように相反する向きに前記中間フレームに配置され、前記本体の第1支持部と回動可能に連結する第1連結部材であって、前記中間フレームの中心部から等しい距離で放射状に配置された第1連結部材と、
前記移動フレームから突出して配置され、前記ピストンロッドの第2支持部と回動可能に連結する第2連結部材であって、前記移動フレームの中心部から等しい距離で放射状に前記移動フレームから突出して配置された第2連結部材と、を含み、
前記中間フレームは、架空線をその外周方向から導入可能な第3切り欠き部と、
この第3切り欠き部に連通して中心部が前記第1円形開口と同軸上に位置する第3円形開口と、を含み、
複数の前記ピストンロッドを一斉に進出すると、一対の前記移動フレームを相対的に離れる方向に移動させ、
複数の前記ピストンロッドを一斉に後退すると、一対の前記移動フレームを相対的に近づく方向に移動させる請求項1又は2記載の架空線点検装置。
【請求項5】
前記平行移動手段は、
前記中間フレームの端部に保持された第3モータと、
前記第3モータの出力軸に連結されたボールねじと、
一方の前記移動フレームの端部に保持され、前記ボールねじと連結するボールブッシュと、
中間部が前記中間フレームに固定され、一方の端部が前記ボールねじと平行に延びて、一方の前記移動フレームをスライド可能に案内し、他方の端部が他方の前記移動フレームを支持する複数のスライド軸と、を含み、
前記中間フレームは、架空線をその外周方向から導入可能な第4切り欠き部と、
この第4切り欠き部に連通して中心部が前記第1円形開口と同軸上に位置する第4円形開口と、を含み、
前記ボールねじを一方の方向に回転すると、一対の前記移動フレームを相対的に離れる方向に移動させ、
前記ボールねじを一方の方向に回転すると、一対の前記移動フレームを相対的に近づく方向に移動させる請求項1又は2記載の架空線点検装置。
【請求項6】
他方の前記移動フレームは、前記中間フレームと反対側に突出するように配置されると共に、架空線の全外周を検査可能に架空線の回りに等間隔に配置された三つ以上のカメラを備える請求項1から5のいずれかに記載の架空線点検装置。
【請求項1】
架空線をその外周方向から導入可能な第1切り欠き部を設ける第1円形開口を有し、この第1円形開口の中心に架空線が位置するように、架空線の中心に向かって架空線の外周を等圧に把持するチャック装置を有する一対の移動フレームと、
これらの移動フレームの間に配置されて架空線を軌道として転動する車輪を有する中間フレームと、
この中間フレームと一対の前記移動フレームとを連結し、前記中間フレームに対して少なくとも一方の前記移動フレームを架空線の軸方向に進退させる平行移動手段と、を備え、
一方の前記チャック装置が架空線を把持しているときは、他方の前記チャック装置が架空線を解放して、前記平行移動手段が一対の前記移動フレームを相対的に離れる方向に移動させ、他方の前記チャック装置が架空線を把持しているときは、一方の前記チャック装置が架空線を解放して、前記平行移動手段が一対の前記移動フレームを相対的に近づく方向に移動させ、一対の前記チャック装置が架空線を把持又は解放する動作と一対の前記移動フレームが伸縮する動作とを繰り返すことにより、架空線に沿って移動する架空線点検装置。
【請求項2】
前記チャック装置は、
前記第1円形開口を中心部に設け、前記移動フレームの中央部に回動可能に保持される回転リングと、
前記移動フレームに保持され、前記回転リングを回動させる第1モータと、
前記回転リングの回動運動に連動して前記第1円形開口の口径を縮径可能な帯板状の複数の揺動爪と、を備え、
前記移動フレームは、前記チャック装置を装着して架空線の軸方向に移動可能な基板を備え、
この基板は、
前記第1切り欠き部に連通して架空線をその外周方向から導入可能な第1開口と、
前記回転リングの周囲に等間隔に配置され、前記揺動爪の基端部を回動可能に連結する前記揺動爪と同数の軸ピンと、を有し、
前記回転リングは、前記第1円形開口の周囲に等間隔に形成される前記揺動爪と同数の第1カム溝を有し、
前記揺動爪は、前記第1カム溝に案内されて従動する従動ピンを有し、
前記回転リングを一方の方向に回動すると、複数の前記揺動爪の先端部側縁が架空線を把持するように閉じ、
前記回転リングを他方の方向に回動すると、複数の前記揺動爪の先端部側縁が架空線を解放するように開く請求項1記載の架空線点検装置。
【請求項3】
前記平行移動手段は、
前記中間フレームの中央部に回動可能に保持される回転板と、
前記中間フレームに保持され、前記回転板を回動させる第2モータと、
一対の前記移動フレームに向かうように相反する向きに配置され、前記回転板に設けた複数の第2カム溝に従動して、当該回転板の遠心方向のみに進退運動が許容される複数の移動ロッドと、
一端部が前記移動ロッドの先端部に回動可能に連結し、他端部が前記移動フレームに回動可能に連結し、前記中間フレームから前記移動フレームに向かって下り傾斜すると共に、前記移動フレームの中心から放射状に配置された前記移動ロッドと同数の連結棒と、を含み、
前記回転板は、
架空線をその外周方向から導入可能な第2切り欠き部と、
この第2切り欠き部に連通して中心部が前記第1円形開口と同軸上に位置する第2円形開口と、を含み、
前記中間フレームは、前記第2切り欠き部に連通して架空線をその外周方向から導入可能な第2開口を含み、
前記回転板を一方の方向に回動すると、複数の前記移動ロッドが中心部に移動すると共に、複数の前記連結棒の開き角を縮小して、一対の前記移動フレームを相対的に離れる方向に移動させ、
前記回転板を他方の方向に回動すると、複数の前記移動ロッドが遠心方向に移動すると共に、複数の前記連結棒の開き角を拡大して、一対の前記移動フレームを相対的に近づく方向に移動させる請求項1又は2記載の架空線点検装置。
【請求項4】
前記平行移動手段は、
一方の端部にクレビス形の第1支持部を設ける本体、及びこの本体の他方の端部から進退し、先端部にクレビス形の第2支持部を設けるピストンロッドで構成する複数の電動シリンダと、
一対の前記移動フレームに向かうように相反する向きに前記中間フレームに配置され、前記本体の第1支持部と回動可能に連結する第1連結部材であって、前記中間フレームの中心部から等しい距離で放射状に配置された第1連結部材と、
前記移動フレームから突出して配置され、前記ピストンロッドの第2支持部と回動可能に連結する第2連結部材であって、前記移動フレームの中心部から等しい距離で放射状に前記移動フレームから突出して配置された第2連結部材と、を含み、
前記中間フレームは、架空線をその外周方向から導入可能な第3切り欠き部と、
この第3切り欠き部に連通して中心部が前記第1円形開口と同軸上に位置する第3円形開口と、を含み、
複数の前記ピストンロッドを一斉に進出すると、一対の前記移動フレームを相対的に離れる方向に移動させ、
複数の前記ピストンロッドを一斉に後退すると、一対の前記移動フレームを相対的に近づく方向に移動させる請求項1又は2記載の架空線点検装置。
【請求項5】
前記平行移動手段は、
前記中間フレームの端部に保持された第3モータと、
前記第3モータの出力軸に連結されたボールねじと、
一方の前記移動フレームの端部に保持され、前記ボールねじと連結するボールブッシュと、
中間部が前記中間フレームに固定され、一方の端部が前記ボールねじと平行に延びて、一方の前記移動フレームをスライド可能に案内し、他方の端部が他方の前記移動フレームを支持する複数のスライド軸と、を含み、
前記中間フレームは、架空線をその外周方向から導入可能な第4切り欠き部と、
この第4切り欠き部に連通して中心部が前記第1円形開口と同軸上に位置する第4円形開口と、を含み、
前記ボールねじを一方の方向に回転すると、一対の前記移動フレームを相対的に離れる方向に移動させ、
前記ボールねじを一方の方向に回転すると、一対の前記移動フレームを相対的に近づく方向に移動させる請求項1又は2記載の架空線点検装置。
【請求項6】
他方の前記移動フレームは、前記中間フレームと反対側に突出するように配置されると共に、架空線の全外周を検査可能に架空線の回りに等間隔に配置された三つ以上のカメラを備える請求項1から5のいずれかに記載の架空線点検装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【公開番号】特開2012−161119(P2012−161119A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−17241(P2011−17241)
【出願日】平成23年1月28日(2011.1.28)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【出願人】(503320061)株式会社エネルギア・コミュニケーションズ (92)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年1月28日(2011.1.28)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【出願人】(503320061)株式会社エネルギア・コミュニケーションズ (92)
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