説明

架空送電線保守用活線工具

【課題】架空送電線鉄塔の、例えば、充電部付近に付着した付着物を除去するに際し、工具の絶縁性を確保して、活線での作業中における電気事故の発生を確実に阻止することができる、架空送電線保守用活線工具を提供する。
【解決手段】本発明は、軸支部を介して開閉可能に形成された一対の挟持アーム部材を、操作棒の先端部に設けた架空送電線保守用活線工具であって、操作棒を電気絶縁性材料を用いて製作している。また、一対の挟持アーム部材は、外装タイプの駆動部により開閉する。さらに、駆動部は、バネにより閉方向に常時付勢されている一対の挟持アーム部材を、該バネの付勢力に抗して開状態にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、架空送電線鉄塔の、例えば、充電部付近に付着している飛来物や営巣等を除去するために使用する、架空送電線保守用活線工具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
架空送電線鉄塔の架空電線、柱上機器、碍子、充電部付近等に、例えば、凧や凧糸、農業用ビニール、洗濯物、枯枝等の飛来物が絡まった状態で付着した場合や、鳥の営巣材が付着した場合、これらの付着物による電気事故の発生を防止するために、通電停止の状態で、これらの付着物の除去作業を行うのが原則である。
【0003】
しかし、通電停止調整に時間を要する場合には、活線の状態でこれらの付着物を除去することが望まれている。
【0004】
このため、従来においては、付着物除去性能を有する既存の工具として、例えば、特許文献1に開示されているように、円筒形の外装と、内部の駆動軸とで工具先端のはさみ部を開閉操作する、高所作業用セイフティハンドなる技術が存在する。
【特許文献1】特許第3657704号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のような従来における技術においては、駆動軸等の絶縁性能が保障されていないことから、活線での作業中に電気事故に繋がる危険性がある。
【0006】
また、工具自体の絶縁性能を目で確認する使用前点検もできないことから、活線での作業に使用することができなかった。
【0007】
そこで、本発明は如上のような従来存した諸事情に鑑み創出されたもので、架空送電線鉄塔の、例えば、充電部付近に付着した付着物を除去するに際し、工具の絶縁性を確保して、活線での作業中における電気事故の発生を確実に阻止することができる、架空送電線保守用活線工具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、軸支部を介して開閉可能に形成された一対の挟持アーム部材を、操作棒の先端部に設けた架空送電線保守用活線工具であって、操作棒を電気絶縁性材料を用いて製作したことで、上述した課題を解決した。
【0009】
また、一対の挟持アーム部材は、外装タイプの駆動部により開閉することで、同じく上述した課題を解決した。
【0010】
さらに、駆動部は、バネにより閉方向に常時付勢されている一対の挟持アーム部材を、該バネの付勢力に抗して開状態にすることで、同じく上述した課題を解決した。
【0011】
また、一対の挟持アーム部材は、操作棒の先端に固着した固定側アーム部材と、該固定側アーム部材に軸支部を介して開閉可能に取り付けた可動側アーム部材とから成り、前記駆動部は、可動側アーム部材に操作レバーを設け、該操作レバーに絶縁チェーンを取り付けて成り、該絶縁チェーンを牽引して、可動側アーム部材を移動させて挟持アーム部材を開状態にすることで、同じく上述した課題を解決した。
【0012】
加えて、一対の挟持アーム部材は、操作棒の先端に固着した固定側アーム部材と、該固定側アーム部材に軸支部を介して開閉可能に取り付けた可動側アーム部材とから成り、前記駆動部は、固定側アーム部材・可動側アーム部材とは別個に操作レバーを設け、固定側アーム部材において、可動側アーム部材の近傍に軸支部を介して操作レバーを回動可能に取り付け、可動側アーム部材の基端側に所定の凸部を設ける一方、操作レバーの軸支部近傍にも所定の凸部を設け、可動側アーム部材の凸部に操作レバーの凸部を係合させると共に、該操作レバーに絶縁チェーンを取り付けて成り、該絶縁チェーンを牽引して、可動側アーム部材を移動させて挟持アーム部材を開状態にすることで、同じく上述した課題を解決した。
【0013】
また、前記絶縁チェーンは、操作棒の基端部側に、前後方向にスライド可能に装着された操作部に連結されていることで、同じく上述した課題を解決した。
【0014】
この他、一対の挟持アーム部材は、操作棒の先端に固着した固定側アーム部材と、該固定側アーム部材に軸支部を介して開閉可能に取り付けた可動側アーム部材とから成り、前記駆動部は、可動側アーム部材に操作レバーを設け、該操作レバーを操作して、可動側アーム部材を移動させて挟持アーム部材を開状態にした後、操作レバーを解放して、バネの付勢力に任せて一対の挟持アーム部材を閉状態にする際に、可動側アーム部材をゆっくりと固定側アーム部材側に移動させるダンパー部を備えていることで、同じく上述した課題を解決した。
【0015】
また、一対の挟持アーム部材は、操作棒の先端に固着した固定側アーム部材と、該固定側アーム部材に軸支部を介して開閉可能に取り付けた可動側アーム部材とから成り、前記駆動部は、固定側アーム部材・可動側アーム部材とは別個に操作レバーを設け、固定側アーム部材において、可動側アーム部材の近傍に軸支部を介して操作レバーを回動可能に取り付け、可動側アーム部材の基端側に所定の凸部を設ける一方、操作レバーの軸支部近傍に所定の凸部を設け、可動側アーム部材の凸部に操作レバーの凸部を係合させることで、該操作レバーを操作して、可動側アーム部材を移動させて挟持アーム部材を開状態にした後、操作レバーを解放して、バネの付勢力に任せて一対の挟持アーム部材を閉状態にする際に、可動側アーム部材をゆっくりと固定側アーム部材側に移動させるダンパー部を備えていることで、同じく上述した課題を解決した。
【0016】
さらに、一対の挟持アーム部材は、操作棒の先端に固着した固定側アーム部材と、該固定側アーム部材に軸支部を介して開閉可能に取り付けた可動側アーム部材とから成り、前記駆動部は、リモコン受信部と、操作棒の基端部側に取り付けたリモコン送信部とを備え、該リモコン送信部からの信号をリモコン受信部で受け、駆動部を駆動させることで、同じく上述した課題を解決した。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、軸支部を介して開閉可能に形成された一対の挟持アーム部材を、操作棒の先端部に設けた架空送電線保守用活線工具であって、操作棒を電気絶縁性材料を用いて製作したことから、操作棒における絶縁性を確保することができる。
【0018】
その結果、架空送電線鉄塔の、例えば、充電部付近に付着した付着物を除去するに際し、操作棒における絶縁性を確保して、活線での作業中における電気事故の発生を確実に阻止して、付着物の除去作業を安全且つ確実に行なうことができる。
【0019】
また、工具の軽量化を実現し、作業員による付着物の除去作業を容易に行なうことができる。
【0020】
そして、一対の挟持アーム部材は、外装タイプの駆動部により開閉するので、従来の技術のように、はさみ部を開閉操作する所定の駆動軸を、円筒形の外装の内部に設ける必要がない。
【0021】
その為、一対の挟持アーム部材を開閉する機構が、操作棒の外側に存在することとなり、工具自体の絶縁性能を目で確認する使用前点検を容易に実施することができる。
【0022】
具体的には、工具自体の絶縁性能を目で確認するだけでなく、工具を手で触ったり、ウエスて゛拭いたりすることで、工具への傷、埃、水分等の付着状態を確認できることから、工具の使用前点検を迅速且つ確実に実施できるのである。
【0023】
また、一対の挟持アーム部材を開閉する機構を、操作棒の内側に設ける必要がないため、スペースの制約を受けることがなく、種々の機構の駆動部を選択することができる。
【0024】
さらに、一対の挟持アーム部材を開閉する機構を、スペースの制約を受けることなく選択できることから、活線工具自体の製造コストを、低く抑えることができる。
【0025】
また、駆動部は、バネにより閉方向に常時付勢されている一対の挟持アーム部材を、該バネの付勢力に抗して開状態にするので、駆動部を解放することにより、
挟持アーム部材が自然に閉じ、この挟持アーム部材による付着物の掴み操作を、誰もが簡単に行うことができる。
【0026】
加えて、一対の挟持アーム部材は、操作棒の先端に固着した固定側アーム部材と、該固定側アーム部材に軸支部を介して開閉可能に取り付けた可動側アーム部材とから成り、前記駆動部は、可動側アーム部材に操作レバーを設け、該操作レバーに絶縁チェーンを取り付けて成ることから、該絶縁チェーンを牽引して、可動側アーム部材を移動させて挟持アーム部材を簡単に開状態にすることができる。
【0027】
その為、工具を構成する操作棒の絶縁性を確実に維持しながら、高所における作業員による付着物の除去作業を容易に行なうことができる。
【0028】
また、一対の挟持アーム部材は、操作棒の先端に固着した固定側アーム部材と、該固定側アーム部材に軸支部を介して開閉可能に取り付けた可動側アーム部材とから成り、前記駆動部は、固定側アーム部材・可動側アーム部材とは別個に操作レバーを設け、固定側アーム部材において、可動側アーム部材の近傍に軸支部を介して操作レバーを回動可能に取り付け、可動側アーム部材の基端側に所定の凸部を設ける一方、操作レバーの軸支部近傍に所定の凸部を設け、可動側アーム部材の凸部に操作レバーの凸部を係合させると共に、該操作レバーに絶縁チェーンを取り付けて成ることから、該絶縁チェーンを牽引して、可動側アーム部材を移動させて挟持アーム部材を簡単に開状態にすることができる。
【0029】
そして、挟持アーム部材を開状態にする際に、絶縁チェーンを直接取り付けている可動側アーム部材を移動させるタイプの工具、また、絶縁チェーンを直接取り付けていない可動側アーム部材を移動させるタイプの工具を適宜選択して、高所における狭い場所での作業員による付着物の除去作業を容易に行なうことができる。
【0030】
また、固定側アーム部材において、可動側アーム部材の近傍に軸支部を介して操作レバーを回動可能に取り付け、可動側アーム部材の基端側に所定の凸部を設ける一方、操作レバーの軸支部近傍に所定の凸部を設け、可動側アーム部材の凸部に操作レバーの凸部を係合させているので、操作レバーに取り付けた絶縁チェーンを牽引することにより、可動側アーム部材を滑らかに移動できる。
【0031】
さらに、前記絶縁チェーンは、操作棒の基端部側に、前後方向にスライド可能に装着された操作部に連結されているので、操作棒を左手で握り、同時に右手で操作部を握ることで、作業員が両手で操作棒をしっかりと支えた状態を維持しながら、右手で操作部を後方に移動させるだけで、一対の挟持アーム部材を簡単に開かせることができる。
【0032】
また、右手の握りを緩めれば操作部が自然に前方に移動することから、一対の挟持アーム部材を簡単に閉じることができる。
【0033】
このように、作業員が両手で操作棒をしっかりと支えた状態で、一対の挟持アーム部材を容易に開閉できるため、高所における狭い場所での作業員による付着物の除去作業を安全に行なうことができる。
【0034】
この他、一対の挟持アーム部材は、操作棒の先端に固着した固定側アーム部材と、該固定側アーム部材に軸支部を介して開閉可能に取り付けた可動側アーム部材とから成り、前記駆動部は、可動側アーム部材に操作レバーを設け、該操作レバーを操作して、可動側アーム部材の先端側を操作レバー側に移動させて、挟持アーム部材を開状態にした後、操作レバーを解放して、バネの付勢力に任せて一対の挟持アーム部材を閉状態にする際に、可動側アーム部材をゆっくりと固定側アーム部材側に移動させるダンパー部を備えているので、操作レバーを解放して可動側アーム部材がゆっくりと閉塞している最中に、操作棒を介して挟持アーム部材を付着物に接近させ、挟持アーム部材により付着物を掴み取ることができる。
【0035】
その為、作業員による活線状態における付着物の除去作業を、危険を伴うことなく容易に行なうことができる。
【0036】
また、一対の挟持アーム部材は、操作棒の先端に固着した固定側アーム部材と、該固定側アーム部材に軸支部を介して開閉可能に取り付けた可動側アーム部材とから成り、前記駆動部は、固定側アーム部材・可動側アーム部材とは別個に操作レバーを設け、固定側アーム部材において、可動側アーム部材の近傍に軸支部を介して操作レバーを回動可能に取り付け、可動側アーム部材の基端側に所定の凸部を設ける一方、操作レバーの軸支部近傍に所定の凸部を設け、可動側アーム部材の凸部に操作レバーの凸部を係合させることで、該操作レバーを操作して、可動側アーム部材を移動させて挟持アーム部材を開状態にした後、操作レバーを解放して、バネの付勢力に任せて一対の挟持アーム部材を閉状態にする際に、可動側アーム部材をゆっくりと固定側アーム部材側に移動させるダンパー部を備えているので、操作レバーを解放して可動側アーム部材がゆっくりと閉塞している最中に、操作棒を介して挟持アーム部材を付着物に接近させ、挟持アーム部材により付着物を容易に掴み取ることができる。
【0037】
そして、挟持アーム部材を開状態にする際に、操作レバーを直接設けている可動側アーム部材を移動させるタイプの工具、また、操作レバーを直接設けていない可動側アーム部材を移動させるタイプの工具を適宜選択して、高所における狭い場所での作業員による付着物の除去作業を容易に行なうことができる。
【0038】
また、固定側アーム部材において、可動側アーム部材の近傍に軸支部を介して操作レバーを回動可能に取り付け、可動側アーム部材の基端側に所定の凸部を設ける一方、操作レバーの軸支部近傍に所定の凸部を設け、可動側アーム部材の凸部に操作レバーの凸部を係合させるので、操作レバーを操作することにより、可動側アーム部材を滑らかに移動できる。
【0039】
さらに、一対の挟持アーム部材は、操作棒の先端に固着した固定側アーム部材と、該固定側アーム部材に軸支部を介して開閉可能に取り付けた可動側アーム部材とから成り、前記駆動部は、リモコン受信部と、操作棒の基端部側に取り付けたリモコン送信部とを備え、該リモコン送信部からの信号をリモコン受信部で受け、駆動部を駆動させることから、一対の挟持アーム部材を、手元でのリモコン送信部による遠隔操作によりワンタッチで開閉できることとなり、高所における狭い場所での作業員による付着物の除去作業を安全に行なうことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
以下に、本発明を実施するための最良の形態を、図面を参照して説明する。
【0041】
本発明に係る架空送電線保守用活線工具は、図1乃至図3に示すように、操作棒1の先端部に、開閉可能に形成された一対の挟持アーム部材2を設けて形成されている。
【0042】
この操作棒1は、強化プラスチック(FRP)またはエポキシ樹脂や、不飽和ポリエステル等の熱硬化性プラスチック等の電気絶縁性材料を用いて製作されている。
【0043】
また、一対の挟持アーム部材2も、同様の電気絶縁性材料を用いて製作されている。尚、一対の挟持アーム部材2の付着物Qを掴む部分は、その付着物Qをしっかりと保持するため、滑り止め用のゴムを貼設している。
【0044】
そして、一対の挟持アーム部材2は、操作棒1の先端部にボルト等によって固定されている。
【0045】
また、一対の挟持アーム部材2は、図5・図6に示すように、固定側アーム部材2Aと、該固定側アーム部材2Aの基端部分に、軸支部4を介して開閉可能に取り付けた可動側アーム部材2Bを備えている。
【0046】
この固定側アーム部材2Aは、その基端部分に矩形板部分を備えている。この矩形板部分は、図5に示すように、細長の矩形状に形成されているアーム部2Aaに連設している幅広の略四角形部分2Abと、アーム部2Aaと略四角形部分2Abの連設部分において側方に突出している略四角形部分2Acとから構成されている。
【0047】
同様に、可動側アーム部材2Bも、その基端部分に矩形板部分を備えている。この矩形板部分は、図6に示すように、細長の矩形状に形成されているアーム部2Baに連設している幅広の略四角形部分2Bbにより構成されている。
【0048】
そして、固定側アーム部材2Aの矩形板部分(2Ab・2Ac)に可動側アーム部材2Bの矩形板部分(2Bb)を当接させて、両板部分を貫通する軸支部4を介して、固定側アーム部材2Aの板部分に可動側アーム部材2Bの板部分を取り付けているのである。
【0049】
この軸支部4としては、通常のステンレスボルトとナットを使用している。
【0050】
また、可動側アーム部材2Bは、図3に示すように、外装タイプの駆動部3により開閉するものである。
【0051】
固定側アーム部材2Aの矩形板部分(2Ab)には、図5に示すように、その縁部分に沿って、略円弧状のガイド長孔5が設けられている。このガイド長孔5は、軸支部4の外側に配置されている。
【0052】
そして、図5・図6に示すように、このガイド長孔5に、可動側アーム部材2Bの矩形板部分(2Bb)の一端側に突設したガイド突起6が係合している。この構成により、可動側アーム部材2Bの軸支部4の廻りにおける開閉移動範囲が規制されているのである。
【0053】
また、図5に示すように、固定側アーム部材2Aのガイド長孔5に沿った終端位置に、固定突起7を設けている。そして、固定側アーム部材2Aの固定突起7と、可動側アーム部材2Bのガイド突起6を、コイルスプリング状のバネ8を介して連結している。このバネ8の構成により、可動側アーム部材2Bを、自律的に閉塞するように付勢させているのである。
【0054】
さらに、図3・図6に示すように、可動側アーム部材2Bの矩形板部分(2Bb)には、横長形状の操作レバー9が設けられている。この操作レバー9は、矩形板部分(2Bb)において、ガイド突起6が存在する端部と反対側の端部に位置している。また、操作レバー9は、可動側アーム部材2Bのアーム部2Baに対して、90度の角度で突出状に設けられおり、複数の取付孔9aを有している。
【0055】
そして、この操作レバー9の取付孔9aのいずれかに、絶縁チェーン10の一端が所定のフックFを介して取り付けられている。この絶縁チェーン10は、強化プラスチック(FRP)またはエポキシ樹脂や、不飽和ポリエステル等の熱硬化性プラスチック等により形成されている。
【0056】
絶縁チェーン10の他端側は、図3に示すように、その中間部分が、垂れ下がり防止用のリング部12に挿入されている。絶縁チェーン10を通過させているリング部12は、操作棒1の途中に取り付けた筒状のジョイント部11の端部に固定されている。
【0057】
また、リング部12を通過した絶縁チェーン10は、図3・図4に示すように、操作棒1の基端部側で前後方向に沿ってスライド可能となるように装着された環状の操作部13に固定されている。
【0058】
具体的には、図4に示すように、操作部13の側面に設けたガイド環13aに絶縁チェーン10を通過させる。そして、ガイド環13aに所定のねじ孔13bを設け、このねじ孔13bに蝶ネジ13cをねじ込んで、ガイド環13aの中に存在する絶縁チェーン10の環内を貫くようにして蝶ネジ13cの先端を通し、ガイド環13aに絶縁チェーン10を固定しているのである。
【0059】
この操作部13を後方側へスライド移動させることにより、図5・図6に示すように、絶縁チェーン10が牽引され、可動側アーム部材2Bが、固定側アーム部材2Aに対して開方向に移動するのである。このとき、可動側アーム部材2Bは、その先端側を、絶縁チェーン10が存在する側に移動させている。
【0060】
また、図3に示すように、操作部13を装着している操作棒1の基端部側には、肩掛けベルト14が取り付けられている。
【0061】
駆動部3の他の例として、図7に示すように、固定側アーム部材2A・可動側アーム部材2Bとは別個に操作レバー9を設け、操作レバー9と可動側アーム部材2Bを連動させても良い。この構成においては、操作レバー9に取り付けた絶縁チェーン10を牽引して、可動側アーム部材2Bの先端側を絶縁チェーン10が存在していない側に移動させて、挟持アーム部材2を開状態にするのである。
【0062】
この固定側アーム部材2Aは、その基端部分に矩形板部分を備えている。この矩形板部分は、図8に示すように、細長の矩形状に形成されているアーム部2Aaに連設している、一部が突出した幅広の略四角形部分2Abにより構成されている。
【0063】
また、可動側アーム部材2Bも、その基端部分に矩形板部分を備えている。この矩形板部分は、図7に示すように、細長の矩形状に形成されているアーム部2Baに連設している若干幅広の略四角形部分2Bbにより構成されている。この略四角形部分2Bbは、アーム部2Baに対して、90度の角度で折曲した状態で設けられている。
【0064】
そして、固定側アーム部材2Aの矩形板部分(2Ab)に可動側アーム部材2Bの矩形板部分(2Bb)を当接させて、両板部分を貫通する軸支部4を介して、固定側アーム部材2Aの板部分に可動側アーム部材2Bの板部分を取り付けているのである。
【0065】
また、可動側アーム部材2Bの略四角形部分2Bbには、図7に示すように、軸支部4の近傍において、所定の凸部15を設けている。
【0066】
この凸部15は、可動側アーム部材2Bの略四角形部分2Bbから突出した状態で設けられている。具体的には、第1凸部15aと第2凸部15bを隣り合うように設け、両凸部15a・15b間に、凹部を形成している。また、凸部15は、アーム部2Baと反対向きに設けられている。
【0067】
この可動側アーム部材2Bの略四角形部分2Bbに隣接して、図7に示すように、固定側アーム部材2Aの矩形板部分(2Ab)に、操作レバー9を取り付けている。
【0068】
この操作レバー9は、横長形状であり、複数の取付孔9aを有している。また、操作レバー9の基端部分には、略円形の固定板部分9bが設けられている。さらに、固定板部分9bの縁部に沿って、複数の凸部16を設けている。
【0069】
この凸部16は、操作レバー9の固定板部分9bから突出した状態で設けられている。具体的には、第1凸部16aと第2凸部16bと第3凸部16cを隣り合うように設け、第1凸部16aと第2凸部16bの間と、第2凸部16bと第3凸部16cの間に、それぞれ凹部を形成している。
【0070】
そして、固定側アーム部材2Aの矩形板部分(2Ab)に操作レバー9の固定板部分9bを当接させて、両板部分を貫通する軸支部40を介して、固定側アーム部材2Aの板部分に操作レバー9を回動可能に取り付けているのである。
【0071】
このとき、可動側アーム部材2Bの略四角形部分2Bbに設けた凸部15に、操作レバー9の固定板部分9bに設けた凸部16が係合した状態となっている。
【0072】
これらの構成により、固定側アーム部材2Aの矩形板部分(2Ab)に可動側アーム部材2Bと操作レバー9が隣り合わせに取り付けられており、アーム部2Baと操作レバー9は、それぞれの軸支部4・40を介して、互いに反対向きに位置している。
【0073】
その為、図7に示す状態において、操作レバー9の先端側に取り付けた絶縁チェーン10を牽引し、軸支部40を介して操作レバー9を操作棒1側に回動させると、互いに係合している可動側アーム部材2Bの凸部15と操作レバー9の凸部16とが一緒に矩形板部分(2Ab)の側方に向けて移動し、可動側アーム部材2Bの先端側を絶縁チェーン10が存在していない側に移動させて、挟持アーム部材2を開状態にするのである。
【0074】
可動側アーム部材2Bの凸部15と操作レバー9の凸部16の具体的な係合状態は、可動側アーム部材2Bが閉じているときは、可動側アーム部材2Bの第1凸部15aが操作レバー9の第1凸部16aと第2凸部16bの間に位置している。また、可動側アーム部材2Bの第2凸部15bは、操作レバー9の第2凸部16bと第3凸部16cの間に位置している。
【0075】
そして、可動側アーム部材2Bが開きはじめるときは、図7に示すように、操作レバー9の第2凸部16bが、可動側アーム部材2Bの第1凸部15aの内側壁に当って、第1凸部15aを矩形板部分(2Ab)の側方に向けて移動させるのである。
【0076】
また、可動側アーム部材2Bが開いていくと、操作レバー9の第3凸部16cが、可動側アーム部材2Bの第2凸部15bの外側壁に当って、第2凸部15bを矩形板部分(2Ab)の側方に向けてさらに移動させるのである。
【0077】
さらに、固定側アーム部材2Aの矩形板部分(2Ab)には、図8に示すように、操作レバー9側の縁部分に沿って、略円弧状のガイド長孔5が設けられている。
【0078】
そして、図7・図8に示すように、このガイド長孔5に、可動側アーム部材2Bの矩形板部分(2Bb)の一端側に突設したガイド突起6が係合している。この構成により、可動側アーム部材2Bの軸支部4の廻りにおける開閉移動範囲が規制されているのである。
【0079】
また、図8に示すように、ガイド長孔5に沿った終端位置に、固定突起7を設けている。そして、固定側アーム部材2Aの固定突起7と、可動側アーム部材2Bのガイド突起6を、コイルスプリング状のバネ8を介して連結している。このバネ8の構成により、可動側アーム部材2Bを、自律的に閉塞するように付勢させているのである。
【0080】
この他、図8に示すように、軸支部4を介した反対側にも、略円弧状のガイド長孔50が設けられている。このガイド長孔50は、ガイド長孔5よりも短く形成されている。
【0081】
また、ガイド長孔50には、可動側アーム部材2Bの矩形板部分(2Bb)に設けたガイド突起60が係合している。
【0082】
そして、ガイド長孔5・50に係合しているガイド突起6・60により、可動側アーム部材2Bの軸支部4の廻りにおける開閉移動範囲が規制されると共に、より安定した状態で可動側アーム部材2Bが開閉できるものとなる。また、全体として、より強固な構造を維持することができる。
【0083】
次に、以上のように構成された本発明の最良の形態について使用、動作の一例を説明する。
【0084】
先ず、作業員は操作棒1の肩掛けベルト14を肩に掛けて鉄塔Pに登り、図1・図2に示すように、左手で操作棒1の略中間を握り、右手で操作部13を握る。
【0085】
尚、図1は、鉄塔Pに付着している飛来物を除去している状態を示し、図2は、鉄塔Pの営巣を除去している状態を示している。
【0086】
この状態で、付着物Qを挟持アーム部材2により掴める位置まで接近してから、操作部13を操作棒1の後方側に移動させると、図5・図6に示すように、操作レバー9の絶縁チェーン10が牽引され、絶縁チェーン10を基端部側に直接取り付けている可動側アーム部材2Bを移動させて挟持アーム部材2を開状態にする。
【0087】
その後、操作部13を操作棒1の前方側に移動させることで、挟持アーム部材2をバネ8の付勢により閉塞させ、付着物Qが挟持アーム部材2により掴み取られる。
【0088】
尚、操作部13を操作棒1の後方側に移動させることで、図7に示すように、可動側アーム部材2Bとは別個に存在する操作レバー9の絶縁チェーン10が牽引され、絶縁チェーン10を基端部側に直接取り付けていない可動側アーム部材2Bを移動させて挟持アーム部材2を開状態にし、その後、操作部13を操作棒1の前方側に移動させることで、挟持アーム部材2をバネ8の付勢により閉塞させ、付着物Qが挟持アーム部材2により掴み取られるものであっても良い。
【0089】
この他、図9乃至図14、図15・図16には、本発明に係る架空送電線保守用活線工具における駆動部3の他の例が示されている。尚、前記した形態における構成と略同じ部分には、同じ符号を付すことにより、その詳細な説明を省略している。
【0090】
図9乃至図12に示す架空送電線保守用活線工具は、一対の挟持アーム部材2において、例えば、油圧式等のダンパー部21を備えているものである。
【0091】
一対の挟持アーム部材2は、図10乃至図12に示すように、固定側アーム部材2Aと、該固定側アーム部材2Aの基端部分に、軸支部4を介して開閉可能に取り付けた可動側アーム部材2Bを備えている。
【0092】
このダンパー部21は、操作レバー9を解放して、バネ8の付勢力に任せて一対の挟持アーム部材2を閉状態にする際に、可動側アーム部材2Bをゆっくりと固定側アーム部材2A側に移動させるものである。
【0093】
工具の基本的な構成は、図5・図6に示すタイプのものと略同じであるが、図10・図11に示すように、固定側アーム部材2Aの矩形板部分(2Ac)にも、略円弧状のガイド長孔50が設けられている。このガイド長孔50は、矩形板部分(2Ab)に設けられているガイド長孔5よりも短く形成されている。
【0094】
また、ガイド長孔50には、可動側アーム部材2Bの矩形板部分(2Bb)の操作レバー9寄りに設けたガイド突起60が係合している。
【0095】
そして、ガイド長孔5・50に係合しているガイド突起6・60により、可動側アーム部材2Bの軸支部4の廻りにおける開閉移動範囲が規制されると共に、より安定した状態で可動側アーム部材2Bが開閉できるものとなる。また、全体として、より強固な構造を維持することができる。
【0096】
さらに、図10・図11に示すように、一対の挟持アーム部材2に取り付けている軸支部4の部分に、ダンパー部21を備えている。
【0097】
このダンパー部21は、固定側アーム部材2Aの矩形板部分(2Ac)に固定されている。また、ダンパー部21は、両ガイド長孔5・50の間に位置している。
【0098】
駆動部3の他の例として、図13・図14に示すように、固定側アーム部材2A・可動側アーム部材2Bとは別個に操作レバー9を設け、操作レバー9と可動側アーム部材2Bを連動させても良い。この構成においては、操作レバー9の回動によって可動側アーム部材2Bを、操作レバー9の回動方向とは反対方向に開かせるようにしている。
【0099】
固定側アーム部材2Aは、その基端部分に矩形板部分を備えている。この矩形板部分は、図14に示すように、細長の矩形状に形成されているアーム部2Aaに連設している幅広の略三角形部分2Abにより構成されている。
【0100】
工具の基本的な構成は、図7に示すタイプのものと略同じであるが、図14に示すように、固定側アーム部材2Aの矩形板部分(2Ab)における可動側アーム部材2B側には、略円弧状のガイド長孔50が設けられている。このガイド長孔50には、可動側アーム部材2Bの矩形板部分(2Bb)に設けたガイド突起60が係合している。
【0101】
また、図14に示すように、固定側アーム部材2Aの矩形板部分(2Ab)における操作レバー9側にも、その縁部分に沿って、略円弧状のガイド長孔5が設けられている。このガイド長孔5は、ガイド長孔50よりも長く形成されている。
【0102】
そして、図14に示すように、このガイド長孔5に、可動側アーム部材2Bの矩形板部分(2Bb)の一端側に突設したガイド突起6が係合している。
【0103】
また、図14に示すように、ガイド長孔5に沿った終端位置に、固定突起7を設けている。そして、固定突起7と、可動側アーム部材2Bのガイド突起6を、コイルスプリング状のバネ8を介して連結している。
【0104】
以下に、本工具を用いた作業の一例を説明する。
【0105】
先ず、作業員は操作棒1の肩掛けベルト14を肩に掛けて鉄塔Pに登る。そして、付着物Qに接近してから、操作レバー9を回動させて、挟持アーム部材2を開状態にする。
【0106】
その後、操作レバー9を解放して、可動側アーム部材2Bがゆっくりと閉じているうちに、挟持アーム部材2を付着物Qに接近させ、付着物Qを掴み取るのである。
【0107】
この他、図15・図16に示す架空送電線保守用活線工具は、固定側アーム部材2Aに対して、可動側アーム部材2Bを開閉駆動させる駆動部3として、ウオームギア機構部22を備えている。
【0108】
固定側アーム部材2Aは、その基端部分に矩形板部分を備えている。この矩形板部分は、図16に示すように、細長の矩形状に形成されているアーム部2Aaに連設している細板部分2Abにより構成されている。
【0109】
また、可動側アーム部材2Bも、その基端部分に矩形板部分を備えている。この矩形板部分は、図16に示すように、細長の矩形状に形成されているアーム部2Baに連設している幅広の略三角形部分2Bbにより構成されている。
【0110】
そして、固定側アーム部材2Aの細板部分2Abに可動側アーム部材2Bの略三角形部分2Bbを当接させて、両板部分を貫通する軸支部4を介して、固定側アーム部材2Aの板部分に可動側アーム部材2Bの板部分を取り付けているのである。
【0111】
ウオームギア機構部22は、図16に示すように、螺旋状の歯部23を設けている棒状体24と、円盤の側面に円弧状の歯部25を設けている円盤体26とを備えている。
【0112】
この円盤体26を、軸支部4の位置において、可動側アーム部材2Bの略三角形部分2Bbに固定する。また、所定の固定具27を介して、棒状体24を操作棒1に沿って取り付ける。このとき、円盤体26の歯部25と棒状体24の歯部23は、係合した状態となっている。
【0113】
また、棒状体24の基端部は、リモコン受信機28を備えたモータ29に接続されている。
【0114】
そして、図15に示すように、ウオームギア機構部22を構成するリモコン受信機28に、操作棒1の基端部側に取り付けたリモコン送信部30から信号を送信し、この信号に基づいてウオームギア機構部22のモータ29を駆動させ、棒状体24の歯部23と円盤体26の歯部25を介して可動側アーム部材2Bを開閉移動させるのである。
【0115】
リモコン送信部30は、例えば、赤外線通信等による駆動用の信号を送るものである。
【0116】
このようなリモコン受信機28を備えたウオームギア機構部22を採用したことから、リモコン送信部30から信号を送信するという簡単な操作により、一対の挟持アーム部材2を滑らかに開閉できるのである。
【0117】
以下に、本工具を用いた作業の一例を説明する。
【0118】
先ず、作業員は操作棒1の肩掛けベルト14を肩に掛けて鉄塔Pに登る。そして、付着物Qに接近する。
【0119】
次に、挟持アーム部材2を付着物Qに近づけ、リモコン送信部30から信号を送信して、ウオームギア機構部22を介して挟持アーム部材2を開状態にする。
【0120】
そして、開いている挟持アーム部材2を付着物Qに宛がい、リモコン送信部30から信号を送信して、ウオームギア機構部22を介して挟持アーム部材2を閉状態にする。
【0121】
この様にして、付着物Qを掴み取るのである。
【0122】
尚、ウオームギア機構部22を採用していることから、閉じている挟持アーム部材2が不意に開くようなことがない。その為、作業員による活線状態における付着物Qの除去作業を、危険を伴うことなく容易に行なうことができるのである。
【産業上の利用可能性】
【0123】
本発明に係る架空送電線保守用活線工具は、架空送電線鉄塔の、例えば、充電部付近に付着している飛来物や営巣等の付着物を除去する他に、感電の危険性のある種々の送電設備等の保守用活線工具として、幅広く利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0124】
【図1】架空送電線保守用活線工具を使用して、鉄塔上の飛来物を除去している状態を示す斜視図である。
【図2】架空送電線保守用活線工具を使用して、鉄塔上の営巣を除去している状態を示す斜視図である。
【図3】絶縁チェーンを用いている架空送電線保守用活線工具の構成を示す斜視図である。
【図4】操作棒における操作部の構成を示す拡大斜視図である。
【図5】操作部を操作棒の後方側へスライド移動させ、絶縁チェーンを牽引することで、可動側アーム部材を絶縁チェーンが存在する側に移動させている状態を示す斜視図である。
【図6】操作部を操作棒の後方側へスライド移動させ、絶縁チェーンを牽引することで、可動側アーム部材を絶縁チェーンが存在する側に移動させている状態を示す斜視図である。
【図7】固定側アーム部材・可動側アーム部材とは別個に操作レバーを設け、操作レバーを可動側アーム部材に連繋させた状態において、操作レバーに取り付けた絶縁チェーンを牽引して、可動側アーム部材を絶縁チェーンが存在していない側に移動させている状態を示す斜視図である。
【図8】固定側アーム部材・可動側アーム部材とは別個に操作レバーを設け、操作レバーを可動側アーム部材に連繋させた状態において、操作レバーに取り付けた絶縁チェーンを牽引して、可動側アーム部材を絶縁チェーンが存在していない側に移動させている状態を示す斜視図である。
【図9】ダンパー部を用いている架空送電線保守用活線工具の構成を示す斜視図である。
【図10】可動側アーム部材が閉じている状態を示す斜視図である。
【図11】可動側アーム部材が開いている状態を示す斜視図である。
【図12】可動側アーム部材が開いている状態を示す斜視図である。
【図13】固定側アーム部材・可動側アーム部材とは別個に操作レバーを設け、操作レバーに一体形成された歯部を、可動側アーム部材の基端側に形成した係合部に噛合させている状態を示す斜視図である。
【図14】操作レバーの回動によって可動側アーム部材を、操作レバーの回動方向とは反対方向に開かせるようにしている状態を示す斜視図である。
【図15】ウオームギア機構部を用いている架空送電線保守用活線工具の構成を示す斜視図である。
【図16】ウオームギア機構部の構成を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0125】
P…鉄塔
Q…付着物
F…フック
1…操作棒
2…挟持アーム部材
2A…固定側アーム部材
2Aa…アーム部
2Ab…略四角形部分
2Ac…略四角形部分
2B…可動側アーム部材
2Ba…アーム部
2Bb…略四角形部分
3…駆動部
4…軸支部
5…ガイド長孔
6…ガイド突起
7…固定突起
8…バネ
9…操作レバー
9a…取付孔
10…絶縁チェーン
11…ジョイント部
12…垂れ下がり防止用のリング部
13…操作部
13a…ガイド環
13b…ねじ孔
13c…蝶ネジ
14…肩掛けベルト
15…凸部
15a…第1凸部
15b…第2凸部
16…凸部
16a…第1凸部
16b…第2凸部
16c…第3凸部
21…ダンパー部
22…ウオームギア機構部
23…歯部
24…棒状体
25…歯部
26…円盤体
27…固定具
28…リモコン受信機
29…モータ
30…リモコン送信部
40…軸支部
50…ガイド長孔
60…ガイド突起

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸支部を介して開閉可能に形成された一対の挟持アーム部材を、操作棒の先端部に設けた架空送電線保守用活線工具であって、操作棒を電気絶縁性材料を用いて製作したことを特徴とする架空送電線保守用活線工具。
【請求項2】
一対の挟持アーム部材は、外装タイプの駆動部により開閉する請求項1に記載の架空送電線保守用活線工具。
【請求項3】
駆動部は、バネにより閉方向に常時付勢されている一対の挟持アーム部材を、該バネの付勢力に抗して開状態にする請求項1または2に記載の架空送電線保守用活線工具。
【請求項4】
一対の挟持アーム部材は、操作棒の先端に固着した固定側アーム部材と、該固定側アーム部材に軸支部を介して開閉可能に取り付けた可動側アーム部材とから成り、前記駆動部は、可動側アーム部材に操作レバーを設け、該操作レバーに絶縁チェーンを取り付けて成り、該絶縁チェーンを牽引して、可動側アーム部材を移動させて挟持アーム部材を開状態にする請求項1乃至3のいずれかに記載の架空送電線保守用活線工具。
【請求項5】
一対の挟持アーム部材は、操作棒の先端に固着した固定側アーム部材と、該固定側アーム部材に軸支部を介して開閉可能に取り付けた可動側アーム部材とから成り、前記駆動部は、固定側アーム部材・可動側アーム部材とは別個に操作レバーを設け、固定側アーム部材において、可動側アーム部材の近傍に軸支部を介して操作レバーを回動可能に取り付け、可動側アーム部材の基端側に所定の凸部を設ける一方、操作レバーの軸支部近傍にも所定の凸部を設け、可動側アーム部材の凸部に操作レバーの凸部を係合させると共に、該操作レバーに絶縁チェーンを取り付けて成り、該絶縁チェーンを牽引して、可動側アーム部材を移動させて挟持アーム部材を開状態にする請求項1乃至3のいずれかに記載の架空送電線保守用活線工具。
【請求項6】
前記絶縁チェーンは、操作棒の基端部側に、前後方向にスライド可能に装着された操作部に連結されている請求項4または5に記載の架空送電線保守用活線工具。
【請求項7】
一対の挟持アーム部材は、操作棒の先端に固着した固定側アーム部材と、該固定側アーム部材に軸支部を介して開閉可能に取り付けた可動側アーム部材とから成り、前記駆動部は、可動側アーム部材に操作レバーを設け、該操作レバーを操作して、可動側アーム部材を移動させて挟持アーム部材を開状態にした後、操作レバーを解放して、バネの付勢力に任せて一対の挟持アーム部材を閉状態にする際に、可動側アーム部材をゆっくりと固定側アーム部材側に移動させるダンパー部を備えている請求項1乃至3のいずれかに記載の架空送電線保守用活線工具。
【請求項8】
一対の挟持アーム部材は、操作棒の先端に固着した固定側アーム部材と、該固定側アーム部材に軸支部を介して開閉可能に取り付けた可動側アーム部材とから成り、前記駆動部は、固定側アーム部材・可動側アーム部材とは別個に操作レバーを設け、固定側アーム部材において、可動側アーム部材の近傍に軸支部を介して操作レバーを回動可能に取り付け、可動側アーム部材の基端側に所定の凸部を設ける一方、操作レバーの軸支部近傍に所定の凸部を設け、可動側アーム部材の凸部に操作レバーの凸部を係合させることで、該操作レバーを操作して、可動側アーム部材を移動させて挟持アーム部材を開状態にした後、操作レバーを解放して、バネの付勢力に任せて一対の挟持アーム部材を閉状態にする際に、可動側アーム部材をゆっくりと固定側アーム部材側に移動させるダンパー部を備えている請求項1乃至3のいずれかに記載の架空送電線保守用活線工具。
【請求項9】
一対の挟持アーム部材は、操作棒の先端に固着した固定側アーム部材と、該固定側アーム部材に軸支部を介して開閉可能に取り付けた可動側アーム部材とから成り、前記駆動部は、リモコン受信部と、操作棒の基端部側に取り付けたリモコン送信部とを備え、該リモコン送信部からの信号をリモコン受信部で受け、駆動部を駆動させる請求項1または2に記載の架空送電線保守用活線工具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2009−100529(P2009−100529A)
【公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−268831(P2007−268831)
【出願日】平成19年10月16日(2007.10.16)
【出願人】(000003687)東京電力株式会社 (2,580)
【出願人】(000220642)東京電設サービス株式会社 (21)