説明

架線余長部処理用アダプタ及びこれを用いた架線余長部処理方法

【課題】架線の余長処理を行うにあたり、熟練した技能がなくても余長部をループ状に巻くことが容易に行え、また、余長部を処理した後に他作業の支障にならないようにする架線余長部処理用アダプタを提供する。
【解決手段】電柱2に近接して固定された支持金物6とこの支持金物6に取り付けられてこの支持金物6から下方に延びるU字型の余長処理金物7とを有する余長処理具に、電柱間に架設されるケーブルの余長部を整理して取り付けるために架線余長部処理用アダプタ10を用いる。このアダプタ10は、余長処理金物7の内側に挿通されて架線の余長部が巻回される筒状部11と、この筒状部11の一方の開口端周縁に設けられて余長処理金物7に側方から当接するつば部12と、前記つば部の前記筒状部が設けられた側と同じ側に設けられると共に前記筒状部の下方に設けられて余長処理金物7の底部を着脱可能に係止させる突出片13とを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、柱上で電線や光ケーブル等の架線の余長部を処理するために用いられる架線余長部処理用アダプタとこれを用いた架線余長部処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電柱に設置されている電線や光ケーブル等の架線は、将来の電柱の支障移設等に備えて、所定距離毎に10m程度の余長部が設けられており、従来においては、この余長部を処理するために、柱上において余長部をループ状に巻く等の作業が行われている。より具体的には、例えば、下記する特許文献1に示されるような余長分支持金具を用いて余長部を処理する方法や、特許文献2に示されるような余長処理具を用いて余長部を処理する方法等が考えられている。
【0003】
このうち、前者は、電柱にほぼ水平方向で且つメッセンジャーワイヤの架線方向と直交する方向に固定された腕材に光ファイバケーブル余長分支持金具を上下方向に取り付け、この光ファイバケーブル余長分支持金具の垂直フレームの下部に光ファイバケーブルの余長分を支持する弧状の光ファイバケーブル余長分支持部材を設け、この光ファイバケーブル余長分支持部材に、光ファイバケーブルの余長分を環状に数回巻いてループ状に形成した上でテープ等によって固定するようにしたものである。
【0004】
また、後者は、電柱に近接して設けられた支持金物と、該支持金物に取り付けられた余長処理金物と、該余長処理金物に前記支持金物から等距離に取り付けられた第1および第2の余長受け部とを具備し、かつ、第1および第2の余長受け部が、余長処理金物を貫通させるための貫通孔が形成された環状部および末端が該環状部の側面に固定されるとともに先端が上方を向くように曲げられた棒状部から構成された第1および第2の本体をそれぞれ備える光ケーブル余長処理具を用い、前記支持金物が光ケーブルの敷設方向に沿うように、光ケーブル余長処理具を支持物に取り付け、第1および第2の余長受け部の棒状部に光ケーブルの余長部を引っ掛けながら該光ケーブルの余長部を巻いていくようにしたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−311315号公報
【特許文献2】特開2008−26376号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前者の構成においては、光ファイバケーブル余長分支持部材の径に合わせてケーブルの余長部をループ状に巻いて固定するので、光ファイバケーブル余長分支持部材の径と巻いたケーブルの輪の径とが異なっていれば、ケーブルを巻き直す必要があるため熟練を要し、また、柱上での作業になるため、高所作業車上で2人がかりでケーブルを手で持って巻き上げる等の作業が必要となり、非常に労力を要するものであった。
【0007】
また、後者の構成においては、第1及び第2の余長受け部にケーブル余長部を掛けながら整理することができるので作業は容易になるが、ケーブル余長受け部がケーブルの施設方向と直角方向に常時突出した状態になるため、柱上での他作業において邪魔になる等の不都合があり、また、ケーブル余長部を余長処理具に取り付けるための部品点数も多くなる不都合がある。
【0008】
本発明は上述した不都合に鑑みてなされたものであり、架線の余長処理を行うにあたり、熟練した技能がなくても余長部をループ状に巻くことが容易に行え、また、余長部を処理した後に余長処理具から除去することで他作業の支障にならないようにすることができる架線余長部処理用アダプタと、これを用いたケーブル余長処理方法を提供することを主たる課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を達成するために、本発明に係る架線余長部処理用アダプタは、柱状体に近接して固定されたU字型の余長処理金物に前記柱状体間に架設される架線の余長部を整理して取り付ける場合に用いられるものであって、前記余長処理金物の内側に挿通されて前記架線の余長部が巻回される筒状部と、この筒状部の一方の開口端周縁に設けられて前記余長処理金物に側方から当接するつば部と、前記つば部の前記筒状部が設けられた側と同じ側に設けられると共に前記筒状部の下方に設けられて前記余長処理金物の底部を着脱可能に係止させる突出片とを具備することを特徴としている。
【0010】
したがって、架線余長部処理用アダプタの筒状部を余長処理金物の内側を挿通させて余長処理金物の底部を突出片に係止させれば、架線余長部処理用アダプタが余長処理金物に係止されて保持される。そして、この状態で、架線の余長部を筒状部に掛けて仮置きすれば、巻回される余長部を常時保持する必要がなくなり、また、巻回される余長部が筒状部の外表面に沿って垂れ下がることになるので、きれいな環状形状に整えることが可能となる。
【0011】
そして、巻回された余長部を余長処理金物に紐等で括り付けると共に、架線余長部処理用アダプタを取り外せば、余長処理金物には架線の余長部だけが固定された状態となる。
【0012】
ここで、筒状部には、つば部にかけてスリットを形成するようにするとよい。このようなスリットが設けられると、架線の余長部が筒状部に巻回された後に、架線余長部処理用アダプタを外さなくても、このスリットを介して紐等を挿入して巻回された余長部を余長処理金物に括り付けることが可能となる。
【0013】
また、架線の余長部が特に接触する筒状部の上部外周面には、スベリ止め部を設けることが望ましい。
さらに、筒状部に巻回した余長部の脱落を防止するために、筒状部のつば部が設けられた側と反対側の開口端周縁を径方向外側に拡げることが望ましい。
【0014】
以上のような構成の余長架線余長部処理用アダプタを用いて、柱状体に架設された架線の余長部を余長ケーブル保持具に取り付ける余長処理方法としては、前記架線余長部処理用アダプタの筒状部を前記余長処理金物の内側に挿通させると共に前記つば部に設けられた突出片に前記余長処理金物の底部を係止させて前記架線余長部処理用アダプタを前記余長処理金物に取り付ける工程と、前記架線の余長部の一部を、前記筒状部を内包するように形成された上方の輪とそれより下方に形成された下方の輪とを描くように8字状にして、前記下方の輪を前記上方の輪に重ねるように折り返して前記筒状部の周囲に巻回する作業を前記余長部の前記筒状部に巻回されていない部分が許容できる程度に短くなるまで繰り返す工程と、前記筒状部に巻回された部分を整えて前記余長処理金物に固定すると共に前記架線余長部処理用アダプタを取り外す工程とを具備するとよい。
【0015】
したがって、このような余長処理方法を採用すれば、架線余長部処理用アダプタの筒状部に架線を仮置きしつつ筒状部に巻回させることができ、また、筒状部の外径を目安に余長部を巻くことができるので、容易にかつ綺麗に余長部を処理することが可能となる。また、筒状部に巻回される余長部は、余長部の一部を8字状にして、下方の輪を上方の輪に重ねるように折り返して筒状部の周囲に巻回されるので、後日に巻回された余長部を解いた場合でも余長部に撚りがかかる不都合を低減することが可能となる。
【発明の効果】
【0016】
以上述べたように、柱状体に架設された架線の余長部を柱状体に近接して固定されたU字型の余長処理金物に整理して取り付けるに当たり、余長処理金物の内側に挿通されて架線の余長部が巻回される筒状部と、この筒状部の一方の開口端周縁に設けられて余長処理金物に側方から当接するつば部と、このつば部の前記筒状部が設けられた側と同じ側に設けられると共に前記筒状部の下方に設けられて余長処理金物の底部を着脱可能に係止させる突出片とを具備する架線余長部処理用アダプタを用いることで、余長部の整理が格別な技能を有していなくても容易に行え、また、余長部を綺麗に整理することが可能となる。
【0017】
また、余長処理後に、余長処理金物から架線余長部処理用アダプタを取り外して架線の余長部のみを余長処理金物に取り付けることができるので、余長処理具に多くの部品を取り付けておく必要がなく、他作業の邪魔にならないシンプルな処理構造となり、また外観を綺麗に仕上げることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は、本発明に係るU字型の余長処理金物を用いた余長処理具を示す図であり、(a)はその正面図であり、(b)はその側面図である。
【図2】図2は、本発明に係る架線余長部処理用アダプタを示す図であり、(a)はその正面図、(b)はその側面図、(c)は(b)のA−A線で切断した断面図である。
【図3】図3は、U字型の余長処理金物に架線余長部処理用アダプタを取り付けた状態を示す図であり、(a)はその正面図、(b)はその側面図である。
【図4】図4は、架線の余長部を処理する工程を説明する図である。
【図5】図5は、架線の余長部を処理する工程を説明する図であり、図4の工程の続きを示す。
【図6】図6は、架線余長部処理用アダプタの他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に係る実施形態を図面を用いて説明する。
【0020】
この例においては、電柱の腕金に取り付けられた余長処理具に光ファイバケーブルの余長部を整理して取り付ける場合が示されている。
余長処理具1は、図1に示されるように、電柱2に取り付けられた腕金3にボルト等によって固定された支持金物6と、この支持金物6に取り付けられてこの支持金物6から下方に延びるU字型の余長処理金物7とによって構成されている。
【0021】
この例において、支持金物6は、中空の角材によって構成され、電柱間に架設されるメッセンジャーワイヤ4に沿って取り付けられている光ファイバケーブル(以下、ケーブル5という)の架設方向とほぼ同方向に延びるように中央部を腕金3の下面にボルト止めされている。また、余長処理金物7は、支持金物6の両端部に下方から挿入されてナット留めされた対をなす垂下部7aと、これら垂下部7aの下部を連続的に繋げて形成された底部7bとを有して構成され、この例では、U字状に曲げられた金属棒により一体的に形成されている。
そして、この余長処理金物7には、ケーブル5の余長部5aを取り付ける際に利用される図2に示されるような架線余長部処理用アダプタ10が着脱自在に取り付けられる。
【0022】
架線余長部処理用アダプタ10は、その全体が合成樹脂等の軽量かつ硬質の材料によって一体的に成形されており、前記U字状の余長処理金物7の内側に挿通されてケーブル5の余長部5aが巻回される筒状部11と、この筒状部11の一方の開口端周縁に設けられて前記余長処理金物7に対して側方から当接するつば部12と、筒状部11の下方においてつば部12に設けられると共に、つば部12の前記筒状部11が設けられた側と同じ側に設けられて余長処理金物7の底部7bを着脱可能に係止させるための突出片13とを有して構成されている。
【0023】
この突出片13は、つば部12から筒状部11の軸方向に沿って突設され、その先端部を下方へ向けて屈曲させた断面L字状に形成され、つば部12との間に形成される溝部13aに余長処理金物7の底部7bを嵌め入れることによって係止するようにしている。また、この例において突出片13は、筒状部11の下端から所定の角度範囲に亘って周方向に弧状に形成されている。
【0024】
筒状部11は、余長処理金物7の底部7bの内径(対をなす垂下部7aの間隔)よりも小さい外径を有すると共に、光ケーブルの最小曲げ径よりも大きい径に形成されており、軸方向寸法が、約10mほどの余長部5aが十分に巻回できる程度の長さに設定されている。
【0025】
また、つば部12は、余長処理金物7の底部7bの径(対をなす垂下部7aの間隔)よりも大きな径に形成され、上部の2ヶ所には、余長処理金物7の垂下部7aに括りつけるための取付ワイヤ15が付設されている。
【0026】
さらに、筒状部11には、その軸方向中程からつば部12にかけて複数のスリット16が形成されている。この例において、夫々のスリット16は、筒状部11の中程からつば部12にかけて軸方向に延設されると共に筒状部11の開口部分からつば部12の中程にかけて径方向に延設されたL字状に形成されている。
尚、スリット16は、筒状部11の上側半分の部分に形成されており、この例では、約45度の間隔で計5箇所に形成されている。
【0027】
そして、このような架線余長部処理用アダプタ10は、図3に示されるように、筒状部11を余長処理金物7の内側(対をなす垂下部7aの間)に挿通させ、つば部12を余長処理金物7に側方から当接させると共に、筒状部11の下部に設けられた突出片13とつば部12との間に前記余長処理金物7の底部7bを着脱可能に係止させ、その上で、つば部12の上部に設けられた取付ワイヤ15を余長処理金物7の垂下部7aに括り付けることにより、余長処理金物7に着脱自在に取り付けられる。
【0028】
次に、以上の架線余長部処理用アダプタ10を用いてケーブル5の余長部5aを余長処理金物7に取り付ける工程を説明すると、まず、図4(a)に示されるように、余長部5aが設けられている柱上の腕金3に、支持金物6をケーブル5の架設方向と同方向を向くように取り付け、この支持金物6を介してU字型の余長処理金物7を下方へ延ばすように取り付ける。そして、図3にも示したように、架線余長部処理用アダプタ10の筒状部11をこの余長処理金物7の内側(対をなす垂下部7aの間)に通すと共に突出片13に余長処理金物7の底部7aを係止させて(突出片13によってつば部12との間に形成される溝部13aに余長処理金物7の底部7aを嵌め入れるようにして)、架線余長部処理用アダプタ10を余長処理金物7に係止させ、また、つば部12の上部に取り付けられた取付ワイヤ15を余長処理金物7の垂下部7aに括りつけて、架線余長部処理用アダプタ10を余長処理金物7に保持固定する。
【0029】
その後、図4(b)に示されるように、ケーブル5の余長部5aを架線余長部処理用アダプタ10の筒状部11の外周を回すように仮置きしつつ、ケーブル5の余長部5aの一部を、筒状部11を内包するように形成された上方の輪とそれより下方に形成された下方の輪とを描くように8字状にし、その後、図4(c)に示されるように、下方の輪を上方の輪に重ねるように折り返して筒状部11の周囲に巻回させる。その際、ケーブル余長は必ずしも余長処理金物7の整数倍の長さとはならないため、巻かれるケーブルの輪の径が異なってくる。このため、余長処理金物7の底部7bの径を狙って余長部5aの輪を形成しつつ、余長部の輪の径のばらつきを吸収できるように、筒状部11の周囲に余長部5aの輪を幾分弛ませた状態にして巻回する。
【0030】
このような作業を、図5(a),(b)に示されるように、筒状部11に巻回されていない余長部5aの部分がなくなるまで、又は、許容できる程度に短くなるまで繰り返し、余長部全体が筒状部11に巻回された後に、全体の輪を整えて、その上で、スリット16から紐を挿入して筒状部11に巻回されたケーブルを束ねる。特に、架線余長部処理用アダプタ10の左右両端部においては、スリット16から挿入された紐によりケーブルを束ねると同時に余長処理金物7に括りつける。
【0031】
その後、垂下部7aに取り付けた取付ワイヤ15を外して架線余長部処理用アダプタ10を余長処理金物7から取り外す。これにより、ケーブルの余長部5aは、スリットを介して取り付けられた紐により余長処理金物7に括りつけられているので、そのまま脱落せずに余長処理金物7に固定された状態が維持され、必要に応じて巻かれた余長部5aの下部をスパイラルチューブ等で整えることにより処理作業は終了する。
【0032】
したがって、上述の構成によれば、ケーブル5の余長部5aをU字型の余長処理金物7に整理して取り付けるにあたり、余長処理金物7に架線余長部処理用アダプタ10を取り付け、この架線余長部処理用アダプタ10の筒状部11の外面にケーブル5の余長部5aを掛けて仮置きしつつ処理することができるので、作業者はケープル5の余長部5aの重量を常時支える必要がなく、作業がし易いものとなる。
【0033】
また、架線余長部処理用アダプタ10は、ケーブル5の余長部5aを余長処理金物7に取り付ける際にのみ余長処理金物7に取り付けられ、余長部5aを余長処理金物7に括りつけた後に除去されるので、後において柱上で作業するような場合に邪魔になることがなくなる。しかも、まとめられたケーブル5の余長部5aは、余長処理金物7に沿って括りつけられているので、架線余長部処理用アダプタ10を除去した後においても、ケーブル5の余長部5aが余長処理金物7から大きく張り出すことがなくなり、外観形状もシンプルなものとなる。
【0034】
さらに、上述の構成においては、筒状部11の径を余長部5aが取り付けられる余長処理金物7の底部7bの径よりも小さくして余長部5aを筒状部11の径よりも大きい径で筒状部11の周囲に巻回できるようにしたので、余長部5aの巻き径のばらつきを吸収することができると共に余長部5aの巻き径の調整が容易となる。また、余長処理金物7に架線余長部処理用アダプタ10を取り付けた状態で筒状部11に巻回された余長部5aをスリット16を介して紐で束ねて余長処理金物7に括りつけることができるので、余長部を支えながら作業する必要もなくなり、また、架線余長部処理用アダプタ10を外しても余長部5aのループ状態が崩れることもなくなる。
【0035】
さらにまた、上述の構成においては、ケーブル5を架線余長部処理用アダプタ10を利用して8字状にした後に、下側の輪を上側の輪に重ね合わせるような巻回方法を採用しているので、ケーブル5の余長部5aに撚りがかかる不都合を低減することが可能となり、また、余長処理金物7との固定状態を解いてケーブル出しをする場合においては、前記架線余長部処理用アダプタ10を余長部の輪に挿入しつつ前述のように余長処理金物7に取り付け、余長処理金物7との固定状態を解いた後に必要な分だけケーブルを出していけばよく、ケーブル出しが終わった後は、巻回部分の残りを再び紐で余長処理金物7に括りつけて架線余長部処理用アダプタ10を取り外せばよい。このため、余長部5aを新たに巻き直す必要もなくなる。
【0036】
尚、上述した架線余長部処理用アダプタ10は、適宜改良して用いることが可能であり、例えば、図6(a)に示されるように、筒状部11の外周面の上半分に、ケーブル5の余長部5aとの摩擦抵抗を大きくするために、例えば合成ゴム等からなるシート材を筒状部11の外周面に貼着してスベリ止め部20を形成するようにしてもよい。このような構成を採用すれば、筒状部11に巻回されたケーブル5の余長部5aが筒状部11の外表面を滑って外れやすくなる不都合を低減することが可能となる。
【0037】
また、図6(b)に示されるように、筒状部11のつば部12が設けられている側と反対側の開口端周縁に、径方向外側に拡がる脱落防止用突部21を設けるようにしてもよい。このような構成を採用すれば、筒状部11に巻回されたケーブルが多くなっても、ケーブルが脱落防止用突部21により筒状部11から脱落することがなくなる。
【0038】
尚、上述の例においては、架線として光ケーブルを用いた例を示したが、電線などの余長部を処理するために上述の構成を採用してもよく、また、柱状体として電柱である場合を示したが、ポールその他の柱状体で構成される場合に、上述した構成をそのまま採用することも可能である。
【符号の説明】
【0039】
1 余長処理具
2 電柱
3 腕金
5 ケーブル
5a 余長部
6 支持金物
7 余長処理金物
10 架線余長部処理用アダプタ
11 筒状部
12 つば部
13 突出片
16 スリット
20 スベリ止め部
21 脱落防止用突部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
柱状体に近接して固定されたU字型の余長処理金物に前記柱状体間に架設される架線の余長部を整理して取り付ける場合に用いられる架線余長部処理用アダプタであって、
前記余長処理金物の内側に挿通されて前記架線の余長部が巻回される筒状部と、この筒状部の一方の開口端周縁に設けられて前記余長処理金物に側方から当接するつば部と、前記つば部の前記筒状部が設けられた側と同じ側に設けられると共に前記筒状部の下方に設けられて前記余長処理金物の底部を着脱可能に係止させる突出片とを具備することを特徴とする架線余長部処理用アダプタ。
【請求項2】
前記筒状部には、前記つば部にかけてスリットが形成されていることを特徴とする請求項1記載の架線余長部処理用アダプタ。
【請求項3】
前記筒状部の上部外周面には、スベリ止め部が設けられていることを特徴とする請求項1記載の架線余長部処理用アダプタ。
【請求項4】
前記筒状部の前記つば部が設けられた側と反対側の開口端周縁は、径方向外側に拡がっていることを特徴とする請求項1記載の架線余長部処理用アダプタ。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載の架線余長部処理用アダプタを用いて、柱状体に架設された架線の余長部を前記余長処理金物に取り付ける架線余長部処理方法であって、
前記架線余長部処理用アダプタの筒状部を前記余長処理金物の内側に挿通させると共に前記つば部に設けられた突出片に前記余長処理金物の底部を係止させて前記架線余長部処理用アダプタを前記余長処理金物に取り付ける工程と、
前記架線の余長部の一部を、前記筒状部を内包するように形成された上方の輪とそれより下方に形成された下方の輪とを描くように8字状にして、前記下方の輪を前記上方の輪に重ねるように折り返して前記筒状部の周囲に巻回する作業を前記余長部の前記筒状部に巻回されていない部分が許容できる程度に短くなるまで繰り返す工程と、
前記筒状部に巻回された部分を整えて前記余長処理金物に固定すると共に前記架線余長部処理用アダプタを取り外す工程と
を具備することを特徴とする架線余長部処理方法。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2010−252602(P2010−252602A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−101945(P2009−101945)
【出願日】平成21年4月20日(2009.4.20)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【Fターム(参考)】