染毛用具
【課題】ブラシ部を有する染毛用具において、毛髪の根元も含めて毛髪全体に染毛剤を容易に塗布できるようにし、また、櫛歯列を形成した成型体にブラシ毛を直接的に植毛できるようにする。
【解決手段】染毛用具1Aが、ブラシ毛31の植毛部32の列と、該植毛部32の列に並設された櫛歯33の列からなるブラシ部30Aを有する。ブラシ部30Aのブラシ毛31の高さを櫛歯33の高さよりも高くする。
【解決手段】染毛用具1Aが、ブラシ毛31の植毛部32の列と、該植毛部32の列に並設された櫛歯33の列からなるブラシ部30Aを有する。ブラシ部30Aのブラシ毛31の高さを櫛歯33の高さよりも高くする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブラシ毛の植毛部列からなるブラシ部を有する染毛用具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、図15に示すように、板状の把持部10の一端に、該把持部10と一体に樹脂成型された櫛部20と、ブラシ毛31が植毛されたブラシ部30とを有し、他端にテール部40を有する染毛用櫛1Xが知られている。図16は、このブラシ部30の模式的側面図(a)と上面図(b)である。かかる染毛用櫛1Xにおいて、ブラシ部30は、毛先に染毛剤を付着させて毛髪に塗布するため、また、染毛剤が第1剤と第2剤からなる二剤式のものである場合には、予め第1剤と第2剤を混合するためにも使用される。櫛部20は、毛髪に塗布した染毛剤を毛髪全体にいきわたらせるために使用される。テール部40は、毛髪を分け、染毛剤を塗布する毛髪の部位を表面に露出させるために使用される(特許文献1参照)。
【0003】
しかしながら、染毛用櫛1Xにおいて、ブラシ部30を毛髪に押し付けると、図17のようにブラシ部30のブラシ毛31がばらけたり、ブラシ毛31の先端がカールする。そのため、ブラシ部30で毛髪をといた場合に、図18(a)に示すように、ブラシ毛31が専ら頭の表面だけをなでるので、毛髪Hの根元への染毛剤Aの塗布が難しくなり、また同図(b)に示すようにブラシ部30を頭に押し付けると、ブラシ毛31がねてしまい、毛髪Hの根元への染毛剤Aの塗布が一層難しくなる。
【0004】
一方、染毛用櫛において、染毛剤を頭皮に付着させることなく、染毛作業をスムーズに行えるようにするため、櫛部の少なくとも一方の側部に、櫛部の櫛歯の長さよりも短い長さの毛からなるブラシ部を並設することが提案されている(特許文献2参照)。この染毛用櫛によれば、櫛歯とブラシ毛との段差部分に染毛剤が保持されるので、頭の表面に染毛剤を塗布することが容易となる。しかしながら、毛髪の根元への塗布性は改善されない。
【0005】
なお、染毛剤の吐出孔を有する櫛歯をブラシ部に並設させた櫛体を有する染毛用具に関しては、櫛体に、その櫛歯よりも長尺のブラシ毛からなるブラシ体を、櫛歯とブラシ毛の植毛部とが一列になるように着脱自在に被着させ、吐出孔から注出した染毛剤の周囲への飛び散り等を防止すること(特許文献3参照)や、吐出孔を有する櫛歯を配列させた櫛体の一方又は両方の側面の基部を覆うように、その櫛歯よりも短尺の刷毛を配列し、それにより櫛歯あるいは刷毛と毛髪との接触点を増し、毛髪全体への染毛剤の塗布を速やかに行えるようにすること(特許文献4参照)が提案されている。
【0006】
しかしながら、これらの染毛用具は、ブラシ体を、櫛体と別部材として形成し、櫛体に被着させるので、製品コストが高くなる。これに対しては、櫛体の櫛歯の間隙に、直接的にブラシ毛を植毛することが考えられるが、植毛部と櫛歯を一列にすると、櫛歯がじゃまとなって植毛することができない。また、ブラシ毛が櫛歯よりも短尺の場合には、前述と同様に、毛髪の根元への染毛剤の塗布性を改善することができない。
【0007】
【特許文献1】特開平10−71020号公報
【特許文献2】実開平6−41602号公報
【特許文献3】特開2002−65338号公報、段落0016、段落0017、段落0020、図1、図2
【特許文献4】特開平9−313243号公報、段落0018、段落0020、図1、図2
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
これに対し、本発明は、ブラシ部を有する染毛用具において、毛髪の根元への塗布を容易に行えるように、ブラシ毛の植毛部列と櫛歯列とを組合せ、かつブラシ毛を個々の櫛歯間に直接的に植毛できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、ブラシ部を有する染毛用具において、ブラシ毛の植毛部列と櫛歯列とを並設させ、ブラシ毛の高さを櫛歯の高さよりも高くすると、櫛歯列からブラシ毛の植毛部列の方にブラシ部を動かして毛髪をといた場合にブラシ毛がばらけることを抑制し、ブラシ毛の弾性を活かして塗布作業を行えること、また、櫛歯によって毛髪の根元に染毛剤を送りこみ、それをブラシ毛で広げることにより、頭の表面だけでなく、毛髪の根元まで、染毛剤を均一に塗布できること、さらに、ブラシ毛の植毛部と櫛歯とを一列にすることなく、ブラシ毛の植毛部列と櫛歯列とを並設することにより、櫛歯間にブラシ毛を直接に植毛できることを見出した。
【0010】
即ち、本発明は、ブラシ毛の植毛部列と、該植毛部列に並設された櫛歯列からなるブラシ部を有し、該ブラシ部のブラシ毛の高さが櫛歯の高さよりも高い染毛用具を提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明の染毛用具によれば、ブラシ部において、ブラシ毛の植毛部列と櫛歯列とが並設し、ブラシ毛の高さが櫛歯の高さよりも高いので、毛髪の根元も含めて毛髪全体に染毛剤を容易に塗布することができ、また、ブラシ毛を櫛歯列を形成した成型体に直接的に植毛することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面を参照しつつ本発明を詳細に説明する。なお、各図中、同一符号は同一又は同等の構成要素を表している。
【0013】
図1は、本発明の一実施例の染毛用具1Aの側面図、図2はそのブラシ部付近の斜視図、図3はそのブラシ部の模式的側面図と上面図である。
【0014】
この染毛用具1Aは、板状の把持部10の一端に、該把持部10と一体に樹脂成型された櫛部20と、ブラシ毛31の植毛部32の列からなるブラシ部30Aとを有し、他端にテール部40を有する点では図15の染毛用櫛1Xと同様であるが、ブラシ部30Aにおいて、ブラシ毛31の植毛部列に、ブラシ毛31よりも高さの低い櫛歯33の櫛歯列が並設されている点が異なっている。また、ブラシ毛31の植毛部32と櫛歯33とは千鳥配列になっている。
【0015】
したがって、この染毛用具1Aは、櫛部20、把持部10、テール部40、及びブラシ部30Aの櫛歯33を一体的に樹脂成型した後、その樹脂成型品のブラシ部30Aに直接的にブラシ毛31を植毛することにより製造することができる。
【0016】
このブラシ部30Aは、二剤式染毛剤の第1剤と第2剤の混合や、染毛剤の毛髪への塗布に使用されるが、ブラシ毛31が櫛歯33よりも長いために、剤の混合を容易に行うことができる。
【0017】
また、染毛剤Aを毛髪Hに塗布する際に、図4(a)に矢印で示すように、櫛歯33からブラシ毛31の植毛部32の方にブラシ部30Aを動かすと、櫛歯33によって毛髪Hを梳くことができる。このとき、ブラシ毛31が染毛剤Aを頭皮方向に押え付けるので毛髪Hの根元に染毛剤Aが送り込まれ易くなり、さらに染毛剤Aをブラシ毛31がその弾性を活かして広げるので、毛髪Hの根元も含めて毛髪全体に染毛剤Aを均一に塗布することができる。なお、図4(b)に矢印で示すように、ブラシ毛31から櫛歯33の方にブラシ部30Aを動かすと、ブラシ毛31が染毛剤Aを頭皮方向に押さえ付ける力が分散するために毛髪Hの根元への塗布性が低下するので、このブラシ部30Aの使用時には、同図(a)に矢印で示すように、櫛歯33からブラシ毛31の方にブラシ部30Aを動かすことが好ましい。
【0018】
また、このブラシ部30Aは、櫛歯33からブラシ毛31の方にブラシ部30Aを動かす場合にブラシ部30Aを頭皮に押し付けても、図5に示すように、ブラシ毛31がばらけることを櫛歯33によって抑制することができ、さらに、図4(a)に示すように、ブラシ毛31の頭皮に対する角度を染毛剤Aの塗布に適した角度に維持することができる。したがって、染毛剤Aの塗布性が向上する。
【0019】
ここで、ブラシ毛31は、成形直後の曲げ弾性率8〜13×106Paのポリアミド樹脂等の素材から形成し、直径0.2〜0.3mm、長さL1 15〜25mmとすることが好ましい。
【0020】
また、櫛歯33は、直径1〜3mm、長さL2 10〜20mmとすることが好ましい。
【0021】
図6は、異なる本発明の態様の染毛用具のブラシ部の模式的側面図と上面図である。この染毛用具は、前述の染毛用具1Aに対して、ブラシ部30Bにおいて、ブラシ毛31の植毛部32の列の両側に櫛歯33の列が設けられており、この植毛部32と櫛歯33とが千鳥配列になっている点が異なっている。
【0022】
このように、ブラシ毛31の植毛部32の列の両側に櫛歯33の列を設けることにより、染毛剤の塗布時に、図7に示す左右いずれの矢印方向にブラシ部30Bを動かしても、染毛剤Aの毛髪Hの根元への塗布性を向上させることができる。
【0023】
図8は、ブラシ部30Cにおいて、櫛歯33の列の両側にブラシ毛31の植毛部32の列を設けた本発明の染毛用具のブラシ部30Cの模式図である。この態様によっても、図6の態様のブラシ部30Bと同様の効果を得ることができる。
【0024】
この他、本発明においてブラシ部は種々の態様をとることができる。例えば、ブラシ毛31の植毛部32と櫛歯33とは千鳥配列に限られず、図9のブラシ部30Dのように、染毛剤の塗布時にブラシ部30Dを動かす方向(図9(b)の上下方向)に、植毛部32と櫛歯33とが重ならないようにしてもよく、反対に、図10のブラシ部30Eのように、図10(b)の上下方向で植毛部32と櫛歯33とが重なるようにしてもよい。
【0025】
また、図11のブラシ部30Fのように、櫛歯33に対して、ブラシ毛31の植毛部32を連続的に配列してもよい。
【0026】
図12のブラシ部30Gのように、ブラシ毛31の植毛部32の列に櫛歯33の列を部分的に並設(髪の毛をすく方向)させてもよい。これにより、ブラシ部30Gのブラシ毛31の植毛部32と櫛歯33が並設する部分を全体染に使用して毛髪Hの根元への塗布性を向上させ、また、ブラシ部30Gの先端の植毛部32が多い部分(図12では櫛歯33の列が設けられてない部分)で、二剤式染毛剤の第1剤と第2剤を容易に混合することが可能となる(混合性)。更に、この先端部分にのみ二剤式染毛剤の混合液を付けることで部分染に使用してもよい。
【0027】
また、図13のブラシ部30Hのように、櫛歯列を形成する個々の櫛歯33の先端部の包絡線(図中、破線で示す)に、頭の外形に適合するように曲率をもたせて、塗布性をより向上させてもよい。
【0028】
本発明の染毛用具は、ブラシ部において、ブラシ毛の植毛部列と櫛歯列とを並設させ、かつブラシ部のブラシ毛の高さを櫛歯列の櫛歯の高さよりも高くする限り、種々の態様をとることができる。例えば、図1に示した染毛用具1Aでは、櫛部20、ブラシ部30A、把持部10及びテール部40が一体に形成されているが、図14に示す染毛用具1Bのように、櫛部20及びブラシ部30A側と、テール部40側とを別部材に構成し、これらが把持部10で着脱自在に嵌合するようにしてもよい。
【0029】
また、図1に示した染毛用具1Aにおいて、櫛部20やテール部40を省略してもよい。
【0030】
さらに、ブラシ部の櫛歯に染毛剤の吐出路を形成すると共に、染毛剤の吐出孔を形成し、その吐出路を、染毛剤を収容した容器と連通させ、容器内の染毛剤が櫛歯から吐出されるようにしてもよい(特許文献3、特許文献4参照)。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の染毛用具の側面図である。
【図2】本発明の染毛用具のブラシ部付近の斜視図である。
【図3】本発明の染毛用具のブラシ部の模式的側面図(a)と上面図(b)である。
【図4】本発明の染毛用具の作用の説明図である。
【図5】本発明の染毛用具の作用の説明図である。
【図6】本発明の染毛用具のブラシ部の模式的側面図(a)と上面図(b)である。
【図7】本発明の染毛用具の作用の説明図である。
【図8】本発明の染毛用具のブラシ部の模式的側面図(a)と上面図(b)である。
【図9】本発明の染毛用具のブラシ部の模式的側面図(a)と上面図(b)である。
【図10】本発明の染毛用具のブラシ部の模式的側面図(a)と上面図(b)である。
【図11】本発明の染毛用具のブラシ部の模式的側面図(a)と上面図(b)である。
【図12】本発明の染毛用具のブラシ部の模式的側面図(a)と上面図(b)である。
【図13】本発明の染毛用具のブラシ部の模式的側面図(a)と上面図(b)である。
【図14】本発明の染毛用具の側面図である。
【図15】従来の染毛用櫛の側面図である。
【図16】従来の染毛用櫛のブラシ部の模式的側面図(a)と上面図(b)である。
【図17】従来の染毛用櫛の使用時のブラシ部の側面図である。
【図18】従来の染毛用櫛のブラシ部の作用の説明図である。
【符号の説明】
【0032】
1A、1B 染毛用具
10 把持部
20 櫛部
30A、30B、30C、30D、30E、30F、30G、30H ブラシ部
31 ブラシ毛
32 植毛部
33 櫛歯
40 テール部
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブラシ毛の植毛部列からなるブラシ部を有する染毛用具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、図15に示すように、板状の把持部10の一端に、該把持部10と一体に樹脂成型された櫛部20と、ブラシ毛31が植毛されたブラシ部30とを有し、他端にテール部40を有する染毛用櫛1Xが知られている。図16は、このブラシ部30の模式的側面図(a)と上面図(b)である。かかる染毛用櫛1Xにおいて、ブラシ部30は、毛先に染毛剤を付着させて毛髪に塗布するため、また、染毛剤が第1剤と第2剤からなる二剤式のものである場合には、予め第1剤と第2剤を混合するためにも使用される。櫛部20は、毛髪に塗布した染毛剤を毛髪全体にいきわたらせるために使用される。テール部40は、毛髪を分け、染毛剤を塗布する毛髪の部位を表面に露出させるために使用される(特許文献1参照)。
【0003】
しかしながら、染毛用櫛1Xにおいて、ブラシ部30を毛髪に押し付けると、図17のようにブラシ部30のブラシ毛31がばらけたり、ブラシ毛31の先端がカールする。そのため、ブラシ部30で毛髪をといた場合に、図18(a)に示すように、ブラシ毛31が専ら頭の表面だけをなでるので、毛髪Hの根元への染毛剤Aの塗布が難しくなり、また同図(b)に示すようにブラシ部30を頭に押し付けると、ブラシ毛31がねてしまい、毛髪Hの根元への染毛剤Aの塗布が一層難しくなる。
【0004】
一方、染毛用櫛において、染毛剤を頭皮に付着させることなく、染毛作業をスムーズに行えるようにするため、櫛部の少なくとも一方の側部に、櫛部の櫛歯の長さよりも短い長さの毛からなるブラシ部を並設することが提案されている(特許文献2参照)。この染毛用櫛によれば、櫛歯とブラシ毛との段差部分に染毛剤が保持されるので、頭の表面に染毛剤を塗布することが容易となる。しかしながら、毛髪の根元への塗布性は改善されない。
【0005】
なお、染毛剤の吐出孔を有する櫛歯をブラシ部に並設させた櫛体を有する染毛用具に関しては、櫛体に、その櫛歯よりも長尺のブラシ毛からなるブラシ体を、櫛歯とブラシ毛の植毛部とが一列になるように着脱自在に被着させ、吐出孔から注出した染毛剤の周囲への飛び散り等を防止すること(特許文献3参照)や、吐出孔を有する櫛歯を配列させた櫛体の一方又は両方の側面の基部を覆うように、その櫛歯よりも短尺の刷毛を配列し、それにより櫛歯あるいは刷毛と毛髪との接触点を増し、毛髪全体への染毛剤の塗布を速やかに行えるようにすること(特許文献4参照)が提案されている。
【0006】
しかしながら、これらの染毛用具は、ブラシ体を、櫛体と別部材として形成し、櫛体に被着させるので、製品コストが高くなる。これに対しては、櫛体の櫛歯の間隙に、直接的にブラシ毛を植毛することが考えられるが、植毛部と櫛歯を一列にすると、櫛歯がじゃまとなって植毛することができない。また、ブラシ毛が櫛歯よりも短尺の場合には、前述と同様に、毛髪の根元への染毛剤の塗布性を改善することができない。
【0007】
【特許文献1】特開平10−71020号公報
【特許文献2】実開平6−41602号公報
【特許文献3】特開2002−65338号公報、段落0016、段落0017、段落0020、図1、図2
【特許文献4】特開平9−313243号公報、段落0018、段落0020、図1、図2
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
これに対し、本発明は、ブラシ部を有する染毛用具において、毛髪の根元への塗布を容易に行えるように、ブラシ毛の植毛部列と櫛歯列とを組合せ、かつブラシ毛を個々の櫛歯間に直接的に植毛できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、ブラシ部を有する染毛用具において、ブラシ毛の植毛部列と櫛歯列とを並設させ、ブラシ毛の高さを櫛歯の高さよりも高くすると、櫛歯列からブラシ毛の植毛部列の方にブラシ部を動かして毛髪をといた場合にブラシ毛がばらけることを抑制し、ブラシ毛の弾性を活かして塗布作業を行えること、また、櫛歯によって毛髪の根元に染毛剤を送りこみ、それをブラシ毛で広げることにより、頭の表面だけでなく、毛髪の根元まで、染毛剤を均一に塗布できること、さらに、ブラシ毛の植毛部と櫛歯とを一列にすることなく、ブラシ毛の植毛部列と櫛歯列とを並設することにより、櫛歯間にブラシ毛を直接に植毛できることを見出した。
【0010】
即ち、本発明は、ブラシ毛の植毛部列と、該植毛部列に並設された櫛歯列からなるブラシ部を有し、該ブラシ部のブラシ毛の高さが櫛歯の高さよりも高い染毛用具を提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明の染毛用具によれば、ブラシ部において、ブラシ毛の植毛部列と櫛歯列とが並設し、ブラシ毛の高さが櫛歯の高さよりも高いので、毛髪の根元も含めて毛髪全体に染毛剤を容易に塗布することができ、また、ブラシ毛を櫛歯列を形成した成型体に直接的に植毛することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面を参照しつつ本発明を詳細に説明する。なお、各図中、同一符号は同一又は同等の構成要素を表している。
【0013】
図1は、本発明の一実施例の染毛用具1Aの側面図、図2はそのブラシ部付近の斜視図、図3はそのブラシ部の模式的側面図と上面図である。
【0014】
この染毛用具1Aは、板状の把持部10の一端に、該把持部10と一体に樹脂成型された櫛部20と、ブラシ毛31の植毛部32の列からなるブラシ部30Aとを有し、他端にテール部40を有する点では図15の染毛用櫛1Xと同様であるが、ブラシ部30Aにおいて、ブラシ毛31の植毛部列に、ブラシ毛31よりも高さの低い櫛歯33の櫛歯列が並設されている点が異なっている。また、ブラシ毛31の植毛部32と櫛歯33とは千鳥配列になっている。
【0015】
したがって、この染毛用具1Aは、櫛部20、把持部10、テール部40、及びブラシ部30Aの櫛歯33を一体的に樹脂成型した後、その樹脂成型品のブラシ部30Aに直接的にブラシ毛31を植毛することにより製造することができる。
【0016】
このブラシ部30Aは、二剤式染毛剤の第1剤と第2剤の混合や、染毛剤の毛髪への塗布に使用されるが、ブラシ毛31が櫛歯33よりも長いために、剤の混合を容易に行うことができる。
【0017】
また、染毛剤Aを毛髪Hに塗布する際に、図4(a)に矢印で示すように、櫛歯33からブラシ毛31の植毛部32の方にブラシ部30Aを動かすと、櫛歯33によって毛髪Hを梳くことができる。このとき、ブラシ毛31が染毛剤Aを頭皮方向に押え付けるので毛髪Hの根元に染毛剤Aが送り込まれ易くなり、さらに染毛剤Aをブラシ毛31がその弾性を活かして広げるので、毛髪Hの根元も含めて毛髪全体に染毛剤Aを均一に塗布することができる。なお、図4(b)に矢印で示すように、ブラシ毛31から櫛歯33の方にブラシ部30Aを動かすと、ブラシ毛31が染毛剤Aを頭皮方向に押さえ付ける力が分散するために毛髪Hの根元への塗布性が低下するので、このブラシ部30Aの使用時には、同図(a)に矢印で示すように、櫛歯33からブラシ毛31の方にブラシ部30Aを動かすことが好ましい。
【0018】
また、このブラシ部30Aは、櫛歯33からブラシ毛31の方にブラシ部30Aを動かす場合にブラシ部30Aを頭皮に押し付けても、図5に示すように、ブラシ毛31がばらけることを櫛歯33によって抑制することができ、さらに、図4(a)に示すように、ブラシ毛31の頭皮に対する角度を染毛剤Aの塗布に適した角度に維持することができる。したがって、染毛剤Aの塗布性が向上する。
【0019】
ここで、ブラシ毛31は、成形直後の曲げ弾性率8〜13×106Paのポリアミド樹脂等の素材から形成し、直径0.2〜0.3mm、長さL1 15〜25mmとすることが好ましい。
【0020】
また、櫛歯33は、直径1〜3mm、長さL2 10〜20mmとすることが好ましい。
【0021】
図6は、異なる本発明の態様の染毛用具のブラシ部の模式的側面図と上面図である。この染毛用具は、前述の染毛用具1Aに対して、ブラシ部30Bにおいて、ブラシ毛31の植毛部32の列の両側に櫛歯33の列が設けられており、この植毛部32と櫛歯33とが千鳥配列になっている点が異なっている。
【0022】
このように、ブラシ毛31の植毛部32の列の両側に櫛歯33の列を設けることにより、染毛剤の塗布時に、図7に示す左右いずれの矢印方向にブラシ部30Bを動かしても、染毛剤Aの毛髪Hの根元への塗布性を向上させることができる。
【0023】
図8は、ブラシ部30Cにおいて、櫛歯33の列の両側にブラシ毛31の植毛部32の列を設けた本発明の染毛用具のブラシ部30Cの模式図である。この態様によっても、図6の態様のブラシ部30Bと同様の効果を得ることができる。
【0024】
この他、本発明においてブラシ部は種々の態様をとることができる。例えば、ブラシ毛31の植毛部32と櫛歯33とは千鳥配列に限られず、図9のブラシ部30Dのように、染毛剤の塗布時にブラシ部30Dを動かす方向(図9(b)の上下方向)に、植毛部32と櫛歯33とが重ならないようにしてもよく、反対に、図10のブラシ部30Eのように、図10(b)の上下方向で植毛部32と櫛歯33とが重なるようにしてもよい。
【0025】
また、図11のブラシ部30Fのように、櫛歯33に対して、ブラシ毛31の植毛部32を連続的に配列してもよい。
【0026】
図12のブラシ部30Gのように、ブラシ毛31の植毛部32の列に櫛歯33の列を部分的に並設(髪の毛をすく方向)させてもよい。これにより、ブラシ部30Gのブラシ毛31の植毛部32と櫛歯33が並設する部分を全体染に使用して毛髪Hの根元への塗布性を向上させ、また、ブラシ部30Gの先端の植毛部32が多い部分(図12では櫛歯33の列が設けられてない部分)で、二剤式染毛剤の第1剤と第2剤を容易に混合することが可能となる(混合性)。更に、この先端部分にのみ二剤式染毛剤の混合液を付けることで部分染に使用してもよい。
【0027】
また、図13のブラシ部30Hのように、櫛歯列を形成する個々の櫛歯33の先端部の包絡線(図中、破線で示す)に、頭の外形に適合するように曲率をもたせて、塗布性をより向上させてもよい。
【0028】
本発明の染毛用具は、ブラシ部において、ブラシ毛の植毛部列と櫛歯列とを並設させ、かつブラシ部のブラシ毛の高さを櫛歯列の櫛歯の高さよりも高くする限り、種々の態様をとることができる。例えば、図1に示した染毛用具1Aでは、櫛部20、ブラシ部30A、把持部10及びテール部40が一体に形成されているが、図14に示す染毛用具1Bのように、櫛部20及びブラシ部30A側と、テール部40側とを別部材に構成し、これらが把持部10で着脱自在に嵌合するようにしてもよい。
【0029】
また、図1に示した染毛用具1Aにおいて、櫛部20やテール部40を省略してもよい。
【0030】
さらに、ブラシ部の櫛歯に染毛剤の吐出路を形成すると共に、染毛剤の吐出孔を形成し、その吐出路を、染毛剤を収容した容器と連通させ、容器内の染毛剤が櫛歯から吐出されるようにしてもよい(特許文献3、特許文献4参照)。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の染毛用具の側面図である。
【図2】本発明の染毛用具のブラシ部付近の斜視図である。
【図3】本発明の染毛用具のブラシ部の模式的側面図(a)と上面図(b)である。
【図4】本発明の染毛用具の作用の説明図である。
【図5】本発明の染毛用具の作用の説明図である。
【図6】本発明の染毛用具のブラシ部の模式的側面図(a)と上面図(b)である。
【図7】本発明の染毛用具の作用の説明図である。
【図8】本発明の染毛用具のブラシ部の模式的側面図(a)と上面図(b)である。
【図9】本発明の染毛用具のブラシ部の模式的側面図(a)と上面図(b)である。
【図10】本発明の染毛用具のブラシ部の模式的側面図(a)と上面図(b)である。
【図11】本発明の染毛用具のブラシ部の模式的側面図(a)と上面図(b)である。
【図12】本発明の染毛用具のブラシ部の模式的側面図(a)と上面図(b)である。
【図13】本発明の染毛用具のブラシ部の模式的側面図(a)と上面図(b)である。
【図14】本発明の染毛用具の側面図である。
【図15】従来の染毛用櫛の側面図である。
【図16】従来の染毛用櫛のブラシ部の模式的側面図(a)と上面図(b)である。
【図17】従来の染毛用櫛の使用時のブラシ部の側面図である。
【図18】従来の染毛用櫛のブラシ部の作用の説明図である。
【符号の説明】
【0032】
1A、1B 染毛用具
10 把持部
20 櫛部
30A、30B、30C、30D、30E、30F、30G、30H ブラシ部
31 ブラシ毛
32 植毛部
33 櫛歯
40 テール部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
丸棒状の櫛歯の櫛歯列とブラシ毛の植毛部列からなるブラシ部を有し、該ブラシ部において、植毛部列と櫛歯列とが並設し、ブラシ毛の高さが櫛歯の高さよりも高い染毛用具を、該染毛用具の櫛歯列から植毛部列方向に動かすことにより毛髪に染毛剤を塗布する方法。
【請求項1】
丸棒状の櫛歯の櫛歯列とブラシ毛の植毛部列からなるブラシ部を有し、該ブラシ部において、植毛部列と櫛歯列とが並設し、ブラシ毛の高さが櫛歯の高さよりも高い染毛用具を、該染毛用具の櫛歯列から植毛部列方向に動かすことにより毛髪に染毛剤を塗布する方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2008−178716(P2008−178716A)
【公開日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−97611(P2008−97611)
【出願日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【分割の表示】特願2002−324268(P2002−324268)の分割
【原出願日】平成14年11月7日(2002.11.7)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【分割の表示】特願2002−324268(P2002−324268)の分割
【原出願日】平成14年11月7日(2002.11.7)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】
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