染毛色の予測方法
【課題】複数の染毛剤の混合使用による染毛後の髪色を簡便かつ的確に予測できるようにする手段を提供する。
【解決手段】(1)複数の異なる色調の毛髪を、一定濃度の混合使用する一の染毛剤で染毛し、その染毛前および染毛後の毛髪色をRGB系の色情報とし、これから該染毛剤の原毛と染色毛の色調変化の関係式を、R値、G値およびB値について求める工程、(2)他の染毛剤の原毛と染色毛の色調変化の関係式を、R値、G値およびB値について求める工程、(3)混合染毛後のR波長の予測色素濃度式を導く工程、(4)混合染毛後のG波長の予測色素濃度式およびB波長の予測色素濃度式を導く工程、(5)混合染毛後の予測R値式を導く工程、(6)混合染毛後の予測G値式および予測B値式を導く工程、(7)予測R値、予測G値および予測B値を求める工程、(8)混合染毛後の予想染毛色を表示する工程を含む、複数の染毛剤の混合使用による染毛色の予測方法。
【解決手段】(1)複数の異なる色調の毛髪を、一定濃度の混合使用する一の染毛剤で染毛し、その染毛前および染毛後の毛髪色をRGB系の色情報とし、これから該染毛剤の原毛と染色毛の色調変化の関係式を、R値、G値およびB値について求める工程、(2)他の染毛剤の原毛と染色毛の色調変化の関係式を、R値、G値およびB値について求める工程、(3)混合染毛後のR波長の予測色素濃度式を導く工程、(4)混合染毛後のG波長の予測色素濃度式およびB波長の予測色素濃度式を導く工程、(5)混合染毛後の予測R値式を導く工程、(6)混合染毛後の予測G値式および予測B値式を導く工程、(7)予測R値、予測G値および予測B値を求める工程、(8)混合染毛後の予想染毛色を表示する工程を含む、複数の染毛剤の混合使用による染毛色の予測方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、染毛剤による染毛色の予測方法に関する。さらに詳しくは、複数の染毛剤を混合して染毛する場合において、染毛剤を実際に使用することなく、染毛後の毛髪の染毛色を簡便に予測することを可能とする染毛色の予測方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ヘアカラーやヘアマニキュアなどの染毛剤を用いて、毛髪を所望の色に染毛する、「おしゃれ染め」や「毛髪のカラーリング」が広く行われている。この染毛剤による仕上がり後の髪色については、染毛剤の包装容器等に表示された染毛後の色見本や、店頭に置かれた染毛後の毛束見本色により使用者に知らされることが一般的であった。そして、使用者も、これらの表示内容等を頼りにして、自己の染毛後の髪色を判断していた。しかしながら、染毛後の髪色は、染毛剤自体が有する色だけで決定されるわけではなく、染毛前の髪色の影響をも受けてしまうため、染毛剤の色見本等だけをもとにして、染毛後の髪色を判断することは困難であるという問題があった。
【0003】
このような問題を解決するため、本出願人は、既に、被験者の毛髪の色を測定してその色情報を得、この色情報を、予め複数の毛髪を所定の染毛剤で染毛し、染毛前および染毛後の毛髪の色を測定することにより導かれた染毛前後の色情報の変化の関係式に代入することにより、被験者の染毛後の毛髪色情報を予測し、これを表示することを特徴とする染毛剤の染毛状態予測方法を提案している(特許文献1参照)。この方法によれば、1種類の染毛剤について、被験者が実際に使用しなくても、当該染毛剤を使用した場合の毛髪の染毛状態を簡便に予想することが可能である。
【0004】
一方、染毛剤を1種類のみならず2種類あるいは3種類以上混合して使用すれば、その組み合わせや混合割合によって、極めて多様な毛髪色とすることが可能であるため、このような複数の染毛剤の混合使用による染毛色を簡便に予想できれば非常に有用である。しかしながら、上記した方法では、複数の染毛剤を混合使用する場合には、実際に混合することなくその染毛色を予想することはできなかった。
【0005】
【特許文献1】特開2004−144569号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、複数の染毛剤の混合使用による染毛後の毛髪色を簡便かつ的確に予測できるようにする手段の提供が求められていた。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意検討した結果、混合使用する各染毛剤について、RGB表色系を用い、RGB値それぞれの染毛前後の色調変化の関係式を得て、RGBの各波長域における色素濃度を表す式を導くことによって、これから所定の割合により複数の染毛剤を混合使用して染毛した後のRGB値を予測することができることを見出し、本発明を完成するに到った。
【0008】
すなわち、本発明は、
次の工程(1)ないし(8)
(1)複数の異なる色調の毛髪を、一定濃度の混合使用する一の染毛剤で染毛し、そ
の染毛前および染毛後の毛髪色をRGB系の色情報とし、これから当該染毛剤の原
毛と染色毛の色調変化の関係式を、R値、G値およびB値について求める工程、
(2)上記(1)の工程を、混合使用する他の染毛剤についても繰り返し、他の染毛
剤の原毛と染色毛の色調変化の関係式を、R値、G値およびB値について求める工
程、
(3)混合使用する一の染毛剤についてのR値の色調変化の関係式で255を割った
値の常用対数値と、他の染毛剤についてのR値の色調変化の関係式で255を割っ
た値の常用対数値とを求め、これら各染毛剤についての常用対数値に、各染毛剤の
混合割合を掛け、この混合割合を掛けた常用対数値を加え合わせて混合染毛後のR
波長の予測色素濃度式(DR)を導く工程、
(4)上記工程(1)および(2)で求めたG値およびB値の色調変化の関係式につ
いて、工程(3)を繰り返し、混合染毛後のG波長の予測色素濃度式(DG)およ
びB波長の予測色素濃度式(DB)を導く工程、
(5)10を上記工程(3)で得られたR波長の予測色素濃度式(DR)によりべき
乗した値で255を割って混合染毛後の予測R値式(SR)を導く工程、
(6)上記工程(4)で求めたG波長の予測色素濃度式(DG)およびB波長の予測
色素濃度式(DB)について、工程(5)を繰り返し、混合染毛後の予測G値式(S
G)および予測B値式(SB)を導く工程、
(7)各染毛剤の混合割合と、染毛対象毛髪の実測R値、実測G値および実測B値を、
上記工程(5)および(6)で得た予測R値式(SR)、予測G値式(SG)および
予測B値式(SB)に代入し、予測R値、予測G値および予測B値を求める工程、
(8)上記工程(7)で得た予測R値、予測G値および予測B値に基づき、混合染毛
後の予想染毛色を表示する工程
を含む、複数の染毛剤の混合使用による染毛色の予測方法である。
【発明の効果】
【0009】
本発明の染毛色の予測方法を用いれば、複数の染毛剤を混合使用して染毛する場合において、被験者が実際にこれらの染毛剤を使用しなくても、染毛後の毛髪色を簡便に予想することができるものである。
【0010】
また、本発明は、被験者の毛髪を実際に染毛することなく、所望の色に染毛するために必要な染毛剤の組み合わせおよびその混合割合を的確に選択するための指標とすることができるものである。
【0011】
従って、本発明の染毛色の予測方法は、複数の染毛剤を所定の割合で混合使用して染毛した毛髪色の状態を予測する手段として、化粧品店等の店頭や美容院において有利に使用することができるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の複数の染毛剤の混合使用による染毛色の予測方法は、上記のとおり8つの工程を含むものである。以下、各工程について説明する。
【0013】
まず本発明の工程(1)は、複数の異なる色調の毛髪を、一定濃度の混合使用する一の染毛剤で染毛し、その染毛前および染毛後の毛髪色をRGB系の色情報とし、これから当該染毛剤の原毛と染色毛の色調変化の関係式を、R値、G値およびB値について求める工程である。
【0014】
上記色調変化の関係式を求めるために、まず、複数の異なる色調の毛髪試料を用意し、それぞれの毛髪試料について、混合使用する複数の染毛剤のうちの一つで染毛する前の毛髪(原毛)と後の毛髪(染色毛)の毛髪色を測定することにより色情報を得る必要がある。
【0015】
この色情報を得るために用いる毛髪試料としては、その外観から判断できる範囲において、ある程度同種とみなせる範囲ごとに収集することが好ましい。例えば、若い一般的な日本人を対象とする場合は、外観上黒ないし濃茶と判断できる毛髪を毛髪試料として収集することが好ましい。これに対し、白髪や染毛処理あるいは脱色処理をした毛髪では、染毛後の変化が、髪色が黒ないしは濃茶であるものと比べ異なるので、これらは別個の毛髪試料とすることが好ましい。
【0016】
また、染毛剤の染まり易さは、毛髪の太さや、直毛かくせ毛であるか等の髪質によっても異なることが多いので、毛髪試料の収集にあたっては、これらの髪状態についても、ある程度同種とみなせる状態のものを収集し、色情報を得ることが好ましい。
【0017】
このような毛髪試料を、2〜4種類、好ましくは、3〜4種類用いることにより、十分な精度の色調変化の関係式を得ることができる。
【0018】
毛髪試料の染毛にあたっては、各試料に対する染毛剤の濃度は一定にする必要がある。また、その他の染色条件を共通にして実施することが好ましいことはいうまでもなく、染毛剤の使用量および染毛時間等の条件についても、使用する染毛剤を用いる際の標準的なものとすることが好ましい。
【0019】
上記毛髪試料またはこれを染毛したものから色情報を得るには、常法に従って、例えば、白色光を毛髪試料に照射し、反射光を分光して各波長の強度を測定して各色の情報を得る方法、または分光した光を照射し、反射光強度を測定して各色の情報を得る方法などを用いた装置により毛髪色を測定すればよく、例えば、携帯型分光測色計(CM−503d:ミノルタ(株)製)等の市販される装置を用いて毛髪色を測定して色情報を得ればよい。この毛髪色測定に当たっての色情報の表示様式は、RGB系のほか、最終的にRGB系に変換できるものであればよく、例えば、XYZ系、Lab系、CMYK系等の表色系を使用することができる。このようなRGB系以外の表色系の場合は常法によりRGB系の色情報に変換すればよく、例えば、Lab系の色情報の場合は、CIE(国際照明委員会)にて定義された変換式を用いRGB系の色情報に変換することができる。
【0020】
このようにして得られたRGB系の色情報の階調数は、毛髪色を画像表示手段等によって適切に表現できるようにするため256階調を使用する。
【0021】
以上のようにして得られた、混合使用する染毛剤のうちの一つの染毛剤によって染毛した染毛前および染毛後の各毛髪試料のRGB系の色情報を用いて、R値、G値およびB値のそれぞれについて、原毛(染毛前の毛髪試料)と染色毛(染毛後の毛髪試料)の色調変化の関係式を求める。
【0022】
この色調変化の関係式は、各試料毎にR値、G値およびB値のそれぞれについて、原毛のものをx軸(横軸)、染色毛のものをy軸(縦軸)として表示し、その相関式として求めることができる。
【0023】
より具体的には、R値、G値およびB値のそれぞれについて、各試料毎にxy座標上に原毛の値と染色毛の値を示す点をプロットする。このプロットされた点は、一定の直線または曲線にそって分布するので、この直線または曲線を示す式を原毛と染色毛の色調変化の関係式(相関式)とすることができるのである。
【0024】
工程(2)は、上記(1)の工程を、混合使用する他の染毛剤についても繰り返し、他の染毛剤の原毛と染色毛の色調変化の関係式を、R値、G値およびB値について求める工程である。このようにして、混合使用する全ての染毛剤に対して、R値、G値およびB値のそれぞれについて色調変化の関係式を求める。
【0025】
工程(3)は、混合使用する一の染毛剤についてのR値の色調変化の関係式で255を割った値の常用対数値と、他の染毛剤についてのR値の色調変化の関係式で255を割った値の常用対数値とを求め、これら各染毛剤についての常用対数値に、各染毛剤の混合割合を掛け、この混合割合を掛けた常用対数値を加え合わせて混合染毛後のR波長の予測色素濃度式(DR)を導く工程である。
【0026】
このR波長の予測色素濃度式(DR)は次のようにして導かれる。すなわち、染毛剤の発色具合は毛髪内の色素量に比例することから、毛髪内の色素濃度から予測可能である。一般に拡散光を使用した物体色計測において、物体内の色素濃度は以下の関係が知られており、ある波長について、I0を光源強度、Iを反射光強度とすると濃度Dは、
【数1】
と表すことができる。
【0027】
上記式(1)において、I0は256階調(0〜255)の最大値であることから、R値の予測色素濃度DRは、
【数2】
と表される。
【0028】
上記工程(1)で得られた一の染毛剤についてのR値の色調変化の関係式は、あるR値を有する原毛を当該染毛剤によって染毛したR値を表すから、上記式(2)中のIに当該関係式を代入すれば、この染毛剤による染毛後のR波長における色素濃度が求められる。このように、混合使用する一の染毛剤についてのR値の色調変化の関係式で255を割った値の常用対数値を求めることにより、当該染毛剤を使用した染色毛のR波長における色素濃度を得ることができる。同様にして、混合使用する他の染毛剤のそれぞれについても、工程(2)で得られたR値の色調変化の関係式で255を割った値の常用対数値を求めることによって、他の染毛剤を単独で使用した染色毛のR波長における色素濃度が求められる。
【0029】
このようにして得られた各染毛剤についての対数値(R波長の色素濃度)に、各染毛剤の混合割合を掛け、これらを加え合わせることによって、複数の染毛剤の混合使用による染色毛のR波長における色素濃度を求めることができる。例えば2種類の染毛剤1および染毛剤2をx:yの割合で混合使用する場合において、各染毛剤の単独使用による染色毛のR波長における色素濃度をDr1、Dr2とすると、混合染毛後の染色毛のR波長における色素濃度DRは
【数3】
として導くことができる。
【0030】
同様にして3種類以上の染毛剤による混合染毛後の染色毛についてのR波長の色素濃度を求めることができる。例えば、3種類の染毛剤1ないし3をx:y:zで混合染毛する場合において、各染毛剤の単独使用による染色毛のR波長の色素濃度をDr1、Dr2、Dr3とすると、混合染毛後の染色毛のR波長における色素濃度DRは、
【数4】
として導くことができる。
【0031】
工程(4)は、上記工程(1)および(2)で求めたG値およびB値の色調変化の関係式について、工程(3)を繰り返し、混合染毛後のG波長の予測色素濃度式(DG)およびB波長の予測色素濃度式(DB)を導く工程である。このようにして、RGBの各波長における、混合染毛後の予測色素濃度式を求める。
【0032】
工程(5)は、10を上記工程(3)で得られたR波長の予測色素濃度式(DR)によりべき乗した値で255を割って混合染毛後の予測R値式(SR)を導く工程である。
【0033】
上記工程(3)で得られた複数の染毛剤による混合染毛後のR波長の予測色素濃度式(DR)から、混合染毛後の予測R値式を求めることができる。すなわち、予測R値をSRとすると、2種類の染毛剤を混合使用する場合、上記式(2)および(3)より
【数5】
となる。これより、
【数6】
となり、2種類の染毛剤の混合染毛による予測R値式が得られる。
【0034】
同様にして3種類以上の染毛剤の混合使用による予測R値式を求めることもできる。すなわち、3種類の場合には、上記式(2)および(4)より
【数7】
となる。これより、
【数8】
として、3種類の染毛剤の混合染毛による予測R値式が得られる。このように、10をR波長の予測色素濃度式(DR)によりべき乗した値で255を割ることによって、複数の染毛剤の混合染毛による予測R値式が導出される。
【0035】
工程(6)は、上記工程(4)で求めたG波長の予測色素濃度式(DG)およびB波長の予測色素濃度式(DB)について、工程(5)を繰り返し、混合染毛後の予測G値式(SG)および予測B値式(SB)を導く工程である。このようにして、R値、G値およびB値のすべてについて混合染毛後の予測式を導出する。
【0036】
工程(7)は、各染毛剤の混合割合と、染毛対象毛髪の実測R値、実測G値および実測B値を、上記工程(5)および(6)で得た予測R値式(SR)、予測G値式(SG)および予測B値式(SB)に代入し、予測R値、予測G値および予測B値を求める工程である。この工程において、被験者が複数の染毛剤を所定の割合で混合して染毛した後の毛髪色のRGB値の予測値は、次のようにして得ることができる。
【0037】
まず、染毛対象毛髪の毛髪色の測定を行う。この測定は、上記した毛髪試料の色情報の取得と同じようにRGB系のほか、種々の表色系を用いて行うことができる。
【0038】
この毛髪色の測定により得られた色情報は、RGB系以外の表色系による色情報の場合であればRGB系に変換され、RGB256階調色値として表される。この染毛対象毛髪の実測R値、実測G値および実測B値ならびに各染毛剤の混合割合を、上記工程(5)および(6)で得られた予測R値式、予測G値式および予測B値式に代入することによって、混合染毛後の毛髪のRGB値の予測値としての計算値が得られる。
【0039】
工程(8)は、上記工程(7)で得た予測R値、予測G値および予測B値に基づき、混合染毛後の予想染毛色を表示する工程である。この工程において、工程(7)により得られた予測R値、予測G値および予測B値により表示される色が、複数の染毛剤を所定の割合で混合使用することによって被験者の毛髪を染毛した予想染毛色となるのである。
【0040】
また、この予想染毛色は、種々の画像表示手段、例えば、カラー液晶、カラーモニター等の画像表示手段を用いることによって色表示することができ、被験者は、かかる色表示から、複数の染毛剤の混合使用による仕上がり状態を予測することが可能となる。
【実施例】
【0041】
次に実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に何ら制約されるものではない。
【0042】
実 施 例 1
2種類の染毛剤の混合使用による染毛色の予測を行った。
( 色情報の取得 )
下記の仕様の毛束3種類を携帯型分光測色計(CM−503d:ミノルタ製)のSCEモード(正反射光除去)を用いてL*a*b*値を測定し染毛前の毛束(原毛)の色情報を取得した。
【0043】
( 毛束の仕様 )
色 :黒、茶系2種、白色の計4種類
太 さ :約0.5〜1μm
長 さ :約15cm
髪質等 :直毛
【0044】
次に、染毛剤としてコレストン パーフェクト8/44(色:紫系:ウエラジャパン(株)製;以下、「8/44」と略記することがある)、酸化剤としてウエロキソン パーフェクト6%(ウエラジャパン(株)製)を用いて以下の染色条件で染毛した後、染毛前と同様にL*a*b*値を測定し染毛後の毛束(染色毛)の色情報を取得した。なお、色情報はn=6で確認した。
【0045】
( 染色条件 )
毛束1gに対して、染毛剤2g酸化剤2gを混合した後、毛束に塗布し室温(約25℃)に40分放置した。その後シャンプーを用いて流水中で約1分間洗浄して染色毛とした。
【0046】
得られた原毛と染色毛の色情報データを、CIE(国際照明委員会)にて定義された変換式を用いRGB256階調色値に変換し、原毛及び染色毛の色情報の変換値をそれぞれ横軸、縦軸にプロットして色情報の関係を求めた。コレストン パーフェクト8/44のR値、G値、B値に関する結果を図1〜図3に示す。また、これらの結果から、原毛と染色毛の関係を示す近似式として下記式(9)〜(11)を導いた。
【0047】
R44=0.5996R+6.2874 (9)
G44=0.1799G+7.0046 (10)
B44=0.098B+17.525 (11)
【0048】
上記式中、R、G、Bは原毛のRGB値を、R44、G44、B44はコレストン パーフェクト8/44を用いて染毛した染色毛のRGB値を示す。
【0049】
つぎに他の染毛剤として、コレストン パーフェクト8/00(色:アッシュ系:ウエラジャパン(株)製;以下、「8/00」と略記することがある)を用いて、コレストンパーフェクト8/44と同様にして、得られた原毛および染色毛のRGB256階調色値をプロットした。その結果を図4〜6に示す。またこれから原毛と染色毛の関係を示す近似式として下記式(12)〜(14)を得た。
【0050】
R00=0.2787R−3.9798 (12)
G00=0.1654G+9.3136 (13)
B00=0.1835B+17.16 (14)
【0051】
上記式中、R、G、Bは原毛のRGB値を、R00、G00、B00はコレストン パーフェクト8/00を用いて染毛した染色毛のRGB値を示す。
【0052】
( 混合染毛後の予測色素濃度式の導出 )
混合染毛後のR波長の予測色素濃度をDRとすると、式(3)、(9)、(12)から
【数9】
となる。
【0053】
同様に、G波長の予測色素濃度をDG、B波長の予測色素濃度をDBとすると式(3)、(10)〜(11)、(13)〜(14)から、
【数10】
【数11】
となる。
【0054】
( 混合染毛後の予測R値式、予測G値式および予測B値式の導出 )
複数の染毛剤による混合染毛後の予測R値をSRとすると、式(6)および(15)より、
【数12】
となり、コレストン パーフェクト8/44および8/00をx:yの割合で混合使用した場合の染毛後の予測R値式を得ることができる。
【0055】
同様にして混合染毛後の予測G値および予測B値をSG、SBとすると、式(6)、(16)〜(17)より
【数13】
【数14】
となり、予測G値式および予測B値式が導かれる。
【0056】
( 混合染毛後の予測RGB値と実測RGB値との比較 )
コレストン パーフェクト8/44および8/00の混合割合を8/44:8/00=1:3、8/44:8/00=1:1、8/44:8/00=3:1として、それぞれの混合割合と染毛前の毛束(原毛)の実測RGB値とを、上記で得られた混合染毛後の予測R値式、予測G値式および予測B値式(式(18)〜(20))に代入し、予測R値、予測G値および予測B値を求めた。また、この毛束を、上記混合割合により混合し、上記した染色条件で実際に染毛し、その後上記の色情報取得方法により取得した色情報を変換して染色毛の実測RGB値を得た。原毛の実測RGB値と染色毛の予測RGB値及び実測RGB値を下表に示す。
【0057】
【表1】
【0058】
この結果より、本発明方法によって得られる複数の染毛剤による混合染毛後の染色毛の予測値と実際に混合染毛した毛髪の実測値は非常に相関が高いものであることが明らかとなった。
【0059】
実 施 例 2
3種類の染毛剤の混合使用による染毛色の予測を行った。
( 色情報の取得 )
下記の仕様の毛束3種類を携帯型分光測色計(CM−503d:ミノルタ製)のSCEモード(正反射光除去)を用いてL*a*b*値を測定し染毛前の(原毛)の色情報を取得した。
【0060】
( 毛束の仕様 )
色 :黒、茶系2種、白色の計4種類
太 さ :約0.5〜1μm
長 さ :約15cm
髪質等 :直毛
【0061】
次に、染毛剤としてコレストン パーフェクト8/6(色:紫系:ウエラジャパン(株)製;以下「8/6」と略記することがある)、酸化剤としてウエロキソン パーフェクト6%(ウエラジャパン(株)製)を用いて以下の染色条件で染毛した後、染毛前と同様にしてL*a*b*値を測定し染毛後(染色毛)の色情報を取得した。なお、色情報はn=6で確認した。
【0062】
( 染色条件 )
毛束1gに対して、染色剤2g酸化剤2gを混合した後、毛束に塗布し室温(約25℃)に40分放置した。その後シャンプーを用いて流水中で約1分間洗浄して染色毛とした。
【0063】
得られた原毛と染色毛の色情報データを、CIE(国際照明委員会)にて定義された変換式を用いRGB256階調色値に変換し、原毛及び染色毛の色情報の変換値をそれぞれ横軸、縦軸にプロットして色情報の関係を求めた。コレストン パーフェクト8/6のR値、G値及びB値に関する結果を図7〜9にそれぞれ示す。また、これらの結果から、原毛と染色毛の色調変化の関係を示す近似式として下記式(21)〜(23)を導いた。
【0064】
R6=0.4206R+8.8837 (21)
G6=0.2216G+17.439 (22)
B6=0.3086B+20.321 (23)
【0065】
上記式中、R、G、Bは染色前の毛髪のRGB値を、R6、G6、B6はコレストン パーフェクト8/6を用いて染色した毛髪のRGB値を示す。
【0066】
つぎにその他の染毛剤として、コレストン パーフェクト8/11(色:アッシュ系;以下「8/11」と略記することがある)及び8/33(色:ブラウン系;以下「8/33」と略記することがある)(共にウエラジャパン(株)製)を用いて、上記のコレストン パーフェクト8/6と同様にして、それぞれの染毛剤について得られた原毛および染色毛のRGB256階調色値をプロットして色情報の関係を求めた。コレストン パーフェクト8/11に関する結果を図10〜12に、8/33に関する結果を図13〜15に示す。またこれらから、原毛と染色毛の色調変化の関係を示す近似式として下記式(24)〜(29)を導いた。
【0067】
R11=0.4999R+10.032 (24)
G11=0.5737G+9.8594 (25)
B11=0.7122B+6.0347 (26)
R33=0.5340R+2.1814 (27)
G33=0.3972G+5.1177 (28)
B33=0.2813B+15.813 (29)
【0068】
上記式中、R、G、Bは染色前の毛髪のRGB値を、R11、G11、B11はコレストン パーフェクト8/11を、R33、G33、B33はコレストン パーフェクト8/33を用いて染色した毛髪のRGB値を示す。
【0069】
( 混合染毛後の予測色素濃度式の導出 )
混合染毛後のR波長の色素濃度をDRとすると、式(4)、(21)、(24)および(27)より、
【数15】
となり、R波長の予測色素濃度式が得られる。
【0070】
同様に、混合染毛後のG波長の色素濃度をDG、B波長の色素濃度をDBとすると、式(4)、(22)〜(23)、(25)〜(26)、(28)〜(29)より
【数16】
【数17】
となり、G波長およびB波長の予測色素濃度式が得られる。
【0071】
( 混合染毛後の予測R値式、予測G値式および予測B値式の導出 )
複数の染毛剤による混合染毛後の予測R値をSRとすると、式(8)および(30)より、
【数18】
となりコレストン パーフェクト8/6、8/11および8/33をx:y:zの割合で混合染毛した染色毛の予測R値式を得ることができる。
【0072】
同様にして混合染毛後の予測G値および予測B値をSG、SBとすると、式(8)、(31)、(32)より
【数19】
となり、予測G値式および予測B値式を得ることができる。
【数20】
【0073】
( 混合染毛後の予測RGB値 )
コレストン パーフェクト8/6、8/11および8/33の3種類の染毛剤の混合割合を8/6:8/11:8/33=1:1:1、8/6:8/11:8/33=2:1:1、8/6:8/11:8/33=1:2:1、8/6:8/11:8/33=1:1:2として、それぞれの混合割合と染毛前の毛束(原毛)の実測RGB値とを、上記で得られた混合染毛後の予測R値式、予測G値式および予測B値式(式(33)〜(35))に代入し、染色毛の予測RGB値を求めた。原毛の実測RGB値と染色毛の予測RGB値を下記表2に示す。
【0074】
【表2】
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明の染毛色の予測方法は、使用者が実際に染毛剤を使用しなくても、複数の染毛剤を所定の割合で使用した場合における毛髪色を簡便に予想することができるものである。
【0076】
したがって、本発明方法は、使用者が所望の色に染毛するために必要な染毛剤の組み合わせやその混合割合を的確に選択するための指標とすることができるものであり、化粧品店等の店頭や美容院において有用なものである。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】実施例1において8/44の原毛と染色毛のR値の関係を示したグラフ である。
【図2】実施例1において8/44の原毛と染色毛のG値の関係を示したグラフ である。
【図3】実施例1において8/44の原毛と染色毛のB値の関係を示したグラフ である。
【図4】実施例1において8/00の原毛と染色毛のR値の関係を示したグラフ である。
【図5】実施例1において8/00の原毛と染色毛のG値の関係を示したグラフ である。
【図6】実施例1において8/00の原毛と染色毛のB値の関係を示したグラフ である。
【図7】実施例2において8/6の原毛と染色毛のR値の関係を示したグラフで ある。
【図8】実施例2において8/6の原毛と染色毛のG値の関係を示したグラフで ある。
【図9】実施例2において8/6の原毛と染色毛のB値の関係を示したグラフで ある。
【図10】実施例2において8/11の原毛と染色毛のR値の関係を示したグラ フである。
【図11】実施例2において8/11の原毛と染色毛のG値の関係を示したグラ フである。
【図12】実施例2において8/11の原毛と染色毛のB値の関係を示したグラ フである。
【図13】実施例2において8/33の原毛と染色毛のR値の関係を示したグラ フである。
【図14】実施例2において8/33の原毛と染色毛のG値の関係を示したグラ フである。
【図15】実施例2において8/33の原毛と染色毛のB値の関係を示したグラ フである。 以 上
【技術分野】
【0001】
本発明は、染毛剤による染毛色の予測方法に関する。さらに詳しくは、複数の染毛剤を混合して染毛する場合において、染毛剤を実際に使用することなく、染毛後の毛髪の染毛色を簡便に予測することを可能とする染毛色の予測方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ヘアカラーやヘアマニキュアなどの染毛剤を用いて、毛髪を所望の色に染毛する、「おしゃれ染め」や「毛髪のカラーリング」が広く行われている。この染毛剤による仕上がり後の髪色については、染毛剤の包装容器等に表示された染毛後の色見本や、店頭に置かれた染毛後の毛束見本色により使用者に知らされることが一般的であった。そして、使用者も、これらの表示内容等を頼りにして、自己の染毛後の髪色を判断していた。しかしながら、染毛後の髪色は、染毛剤自体が有する色だけで決定されるわけではなく、染毛前の髪色の影響をも受けてしまうため、染毛剤の色見本等だけをもとにして、染毛後の髪色を判断することは困難であるという問題があった。
【0003】
このような問題を解決するため、本出願人は、既に、被験者の毛髪の色を測定してその色情報を得、この色情報を、予め複数の毛髪を所定の染毛剤で染毛し、染毛前および染毛後の毛髪の色を測定することにより導かれた染毛前後の色情報の変化の関係式に代入することにより、被験者の染毛後の毛髪色情報を予測し、これを表示することを特徴とする染毛剤の染毛状態予測方法を提案している(特許文献1参照)。この方法によれば、1種類の染毛剤について、被験者が実際に使用しなくても、当該染毛剤を使用した場合の毛髪の染毛状態を簡便に予想することが可能である。
【0004】
一方、染毛剤を1種類のみならず2種類あるいは3種類以上混合して使用すれば、その組み合わせや混合割合によって、極めて多様な毛髪色とすることが可能であるため、このような複数の染毛剤の混合使用による染毛色を簡便に予想できれば非常に有用である。しかしながら、上記した方法では、複数の染毛剤を混合使用する場合には、実際に混合することなくその染毛色を予想することはできなかった。
【0005】
【特許文献1】特開2004−144569号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、複数の染毛剤の混合使用による染毛後の毛髪色を簡便かつ的確に予測できるようにする手段の提供が求められていた。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意検討した結果、混合使用する各染毛剤について、RGB表色系を用い、RGB値それぞれの染毛前後の色調変化の関係式を得て、RGBの各波長域における色素濃度を表す式を導くことによって、これから所定の割合により複数の染毛剤を混合使用して染毛した後のRGB値を予測することができることを見出し、本発明を完成するに到った。
【0008】
すなわち、本発明は、
次の工程(1)ないし(8)
(1)複数の異なる色調の毛髪を、一定濃度の混合使用する一の染毛剤で染毛し、そ
の染毛前および染毛後の毛髪色をRGB系の色情報とし、これから当該染毛剤の原
毛と染色毛の色調変化の関係式を、R値、G値およびB値について求める工程、
(2)上記(1)の工程を、混合使用する他の染毛剤についても繰り返し、他の染毛
剤の原毛と染色毛の色調変化の関係式を、R値、G値およびB値について求める工
程、
(3)混合使用する一の染毛剤についてのR値の色調変化の関係式で255を割った
値の常用対数値と、他の染毛剤についてのR値の色調変化の関係式で255を割っ
た値の常用対数値とを求め、これら各染毛剤についての常用対数値に、各染毛剤の
混合割合を掛け、この混合割合を掛けた常用対数値を加え合わせて混合染毛後のR
波長の予測色素濃度式(DR)を導く工程、
(4)上記工程(1)および(2)で求めたG値およびB値の色調変化の関係式につ
いて、工程(3)を繰り返し、混合染毛後のG波長の予測色素濃度式(DG)およ
びB波長の予測色素濃度式(DB)を導く工程、
(5)10を上記工程(3)で得られたR波長の予測色素濃度式(DR)によりべき
乗した値で255を割って混合染毛後の予測R値式(SR)を導く工程、
(6)上記工程(4)で求めたG波長の予測色素濃度式(DG)およびB波長の予測
色素濃度式(DB)について、工程(5)を繰り返し、混合染毛後の予測G値式(S
G)および予測B値式(SB)を導く工程、
(7)各染毛剤の混合割合と、染毛対象毛髪の実測R値、実測G値および実測B値を、
上記工程(5)および(6)で得た予測R値式(SR)、予測G値式(SG)および
予測B値式(SB)に代入し、予測R値、予測G値および予測B値を求める工程、
(8)上記工程(7)で得た予測R値、予測G値および予測B値に基づき、混合染毛
後の予想染毛色を表示する工程
を含む、複数の染毛剤の混合使用による染毛色の予測方法である。
【発明の効果】
【0009】
本発明の染毛色の予測方法を用いれば、複数の染毛剤を混合使用して染毛する場合において、被験者が実際にこれらの染毛剤を使用しなくても、染毛後の毛髪色を簡便に予想することができるものである。
【0010】
また、本発明は、被験者の毛髪を実際に染毛することなく、所望の色に染毛するために必要な染毛剤の組み合わせおよびその混合割合を的確に選択するための指標とすることができるものである。
【0011】
従って、本発明の染毛色の予測方法は、複数の染毛剤を所定の割合で混合使用して染毛した毛髪色の状態を予測する手段として、化粧品店等の店頭や美容院において有利に使用することができるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の複数の染毛剤の混合使用による染毛色の予測方法は、上記のとおり8つの工程を含むものである。以下、各工程について説明する。
【0013】
まず本発明の工程(1)は、複数の異なる色調の毛髪を、一定濃度の混合使用する一の染毛剤で染毛し、その染毛前および染毛後の毛髪色をRGB系の色情報とし、これから当該染毛剤の原毛と染色毛の色調変化の関係式を、R値、G値およびB値について求める工程である。
【0014】
上記色調変化の関係式を求めるために、まず、複数の異なる色調の毛髪試料を用意し、それぞれの毛髪試料について、混合使用する複数の染毛剤のうちの一つで染毛する前の毛髪(原毛)と後の毛髪(染色毛)の毛髪色を測定することにより色情報を得る必要がある。
【0015】
この色情報を得るために用いる毛髪試料としては、その外観から判断できる範囲において、ある程度同種とみなせる範囲ごとに収集することが好ましい。例えば、若い一般的な日本人を対象とする場合は、外観上黒ないし濃茶と判断できる毛髪を毛髪試料として収集することが好ましい。これに対し、白髪や染毛処理あるいは脱色処理をした毛髪では、染毛後の変化が、髪色が黒ないしは濃茶であるものと比べ異なるので、これらは別個の毛髪試料とすることが好ましい。
【0016】
また、染毛剤の染まり易さは、毛髪の太さや、直毛かくせ毛であるか等の髪質によっても異なることが多いので、毛髪試料の収集にあたっては、これらの髪状態についても、ある程度同種とみなせる状態のものを収集し、色情報を得ることが好ましい。
【0017】
このような毛髪試料を、2〜4種類、好ましくは、3〜4種類用いることにより、十分な精度の色調変化の関係式を得ることができる。
【0018】
毛髪試料の染毛にあたっては、各試料に対する染毛剤の濃度は一定にする必要がある。また、その他の染色条件を共通にして実施することが好ましいことはいうまでもなく、染毛剤の使用量および染毛時間等の条件についても、使用する染毛剤を用いる際の標準的なものとすることが好ましい。
【0019】
上記毛髪試料またはこれを染毛したものから色情報を得るには、常法に従って、例えば、白色光を毛髪試料に照射し、反射光を分光して各波長の強度を測定して各色の情報を得る方法、または分光した光を照射し、反射光強度を測定して各色の情報を得る方法などを用いた装置により毛髪色を測定すればよく、例えば、携帯型分光測色計(CM−503d:ミノルタ(株)製)等の市販される装置を用いて毛髪色を測定して色情報を得ればよい。この毛髪色測定に当たっての色情報の表示様式は、RGB系のほか、最終的にRGB系に変換できるものであればよく、例えば、XYZ系、Lab系、CMYK系等の表色系を使用することができる。このようなRGB系以外の表色系の場合は常法によりRGB系の色情報に変換すればよく、例えば、Lab系の色情報の場合は、CIE(国際照明委員会)にて定義された変換式を用いRGB系の色情報に変換することができる。
【0020】
このようにして得られたRGB系の色情報の階調数は、毛髪色を画像表示手段等によって適切に表現できるようにするため256階調を使用する。
【0021】
以上のようにして得られた、混合使用する染毛剤のうちの一つの染毛剤によって染毛した染毛前および染毛後の各毛髪試料のRGB系の色情報を用いて、R値、G値およびB値のそれぞれについて、原毛(染毛前の毛髪試料)と染色毛(染毛後の毛髪試料)の色調変化の関係式を求める。
【0022】
この色調変化の関係式は、各試料毎にR値、G値およびB値のそれぞれについて、原毛のものをx軸(横軸)、染色毛のものをy軸(縦軸)として表示し、その相関式として求めることができる。
【0023】
より具体的には、R値、G値およびB値のそれぞれについて、各試料毎にxy座標上に原毛の値と染色毛の値を示す点をプロットする。このプロットされた点は、一定の直線または曲線にそって分布するので、この直線または曲線を示す式を原毛と染色毛の色調変化の関係式(相関式)とすることができるのである。
【0024】
工程(2)は、上記(1)の工程を、混合使用する他の染毛剤についても繰り返し、他の染毛剤の原毛と染色毛の色調変化の関係式を、R値、G値およびB値について求める工程である。このようにして、混合使用する全ての染毛剤に対して、R値、G値およびB値のそれぞれについて色調変化の関係式を求める。
【0025】
工程(3)は、混合使用する一の染毛剤についてのR値の色調変化の関係式で255を割った値の常用対数値と、他の染毛剤についてのR値の色調変化の関係式で255を割った値の常用対数値とを求め、これら各染毛剤についての常用対数値に、各染毛剤の混合割合を掛け、この混合割合を掛けた常用対数値を加え合わせて混合染毛後のR波長の予測色素濃度式(DR)を導く工程である。
【0026】
このR波長の予測色素濃度式(DR)は次のようにして導かれる。すなわち、染毛剤の発色具合は毛髪内の色素量に比例することから、毛髪内の色素濃度から予測可能である。一般に拡散光を使用した物体色計測において、物体内の色素濃度は以下の関係が知られており、ある波長について、I0を光源強度、Iを反射光強度とすると濃度Dは、
【数1】
と表すことができる。
【0027】
上記式(1)において、I0は256階調(0〜255)の最大値であることから、R値の予測色素濃度DRは、
【数2】
と表される。
【0028】
上記工程(1)で得られた一の染毛剤についてのR値の色調変化の関係式は、あるR値を有する原毛を当該染毛剤によって染毛したR値を表すから、上記式(2)中のIに当該関係式を代入すれば、この染毛剤による染毛後のR波長における色素濃度が求められる。このように、混合使用する一の染毛剤についてのR値の色調変化の関係式で255を割った値の常用対数値を求めることにより、当該染毛剤を使用した染色毛のR波長における色素濃度を得ることができる。同様にして、混合使用する他の染毛剤のそれぞれについても、工程(2)で得られたR値の色調変化の関係式で255を割った値の常用対数値を求めることによって、他の染毛剤を単独で使用した染色毛のR波長における色素濃度が求められる。
【0029】
このようにして得られた各染毛剤についての対数値(R波長の色素濃度)に、各染毛剤の混合割合を掛け、これらを加え合わせることによって、複数の染毛剤の混合使用による染色毛のR波長における色素濃度を求めることができる。例えば2種類の染毛剤1および染毛剤2をx:yの割合で混合使用する場合において、各染毛剤の単独使用による染色毛のR波長における色素濃度をDr1、Dr2とすると、混合染毛後の染色毛のR波長における色素濃度DRは
【数3】
として導くことができる。
【0030】
同様にして3種類以上の染毛剤による混合染毛後の染色毛についてのR波長の色素濃度を求めることができる。例えば、3種類の染毛剤1ないし3をx:y:zで混合染毛する場合において、各染毛剤の単独使用による染色毛のR波長の色素濃度をDr1、Dr2、Dr3とすると、混合染毛後の染色毛のR波長における色素濃度DRは、
【数4】
として導くことができる。
【0031】
工程(4)は、上記工程(1)および(2)で求めたG値およびB値の色調変化の関係式について、工程(3)を繰り返し、混合染毛後のG波長の予測色素濃度式(DG)およびB波長の予測色素濃度式(DB)を導く工程である。このようにして、RGBの各波長における、混合染毛後の予測色素濃度式を求める。
【0032】
工程(5)は、10を上記工程(3)で得られたR波長の予測色素濃度式(DR)によりべき乗した値で255を割って混合染毛後の予測R値式(SR)を導く工程である。
【0033】
上記工程(3)で得られた複数の染毛剤による混合染毛後のR波長の予測色素濃度式(DR)から、混合染毛後の予測R値式を求めることができる。すなわち、予測R値をSRとすると、2種類の染毛剤を混合使用する場合、上記式(2)および(3)より
【数5】
となる。これより、
【数6】
となり、2種類の染毛剤の混合染毛による予測R値式が得られる。
【0034】
同様にして3種類以上の染毛剤の混合使用による予測R値式を求めることもできる。すなわち、3種類の場合には、上記式(2)および(4)より
【数7】
となる。これより、
【数8】
として、3種類の染毛剤の混合染毛による予測R値式が得られる。このように、10をR波長の予測色素濃度式(DR)によりべき乗した値で255を割ることによって、複数の染毛剤の混合染毛による予測R値式が導出される。
【0035】
工程(6)は、上記工程(4)で求めたG波長の予測色素濃度式(DG)およびB波長の予測色素濃度式(DB)について、工程(5)を繰り返し、混合染毛後の予測G値式(SG)および予測B値式(SB)を導く工程である。このようにして、R値、G値およびB値のすべてについて混合染毛後の予測式を導出する。
【0036】
工程(7)は、各染毛剤の混合割合と、染毛対象毛髪の実測R値、実測G値および実測B値を、上記工程(5)および(6)で得た予測R値式(SR)、予測G値式(SG)および予測B値式(SB)に代入し、予測R値、予測G値および予測B値を求める工程である。この工程において、被験者が複数の染毛剤を所定の割合で混合して染毛した後の毛髪色のRGB値の予測値は、次のようにして得ることができる。
【0037】
まず、染毛対象毛髪の毛髪色の測定を行う。この測定は、上記した毛髪試料の色情報の取得と同じようにRGB系のほか、種々の表色系を用いて行うことができる。
【0038】
この毛髪色の測定により得られた色情報は、RGB系以外の表色系による色情報の場合であればRGB系に変換され、RGB256階調色値として表される。この染毛対象毛髪の実測R値、実測G値および実測B値ならびに各染毛剤の混合割合を、上記工程(5)および(6)で得られた予測R値式、予測G値式および予測B値式に代入することによって、混合染毛後の毛髪のRGB値の予測値としての計算値が得られる。
【0039】
工程(8)は、上記工程(7)で得た予測R値、予測G値および予測B値に基づき、混合染毛後の予想染毛色を表示する工程である。この工程において、工程(7)により得られた予測R値、予測G値および予測B値により表示される色が、複数の染毛剤を所定の割合で混合使用することによって被験者の毛髪を染毛した予想染毛色となるのである。
【0040】
また、この予想染毛色は、種々の画像表示手段、例えば、カラー液晶、カラーモニター等の画像表示手段を用いることによって色表示することができ、被験者は、かかる色表示から、複数の染毛剤の混合使用による仕上がり状態を予測することが可能となる。
【実施例】
【0041】
次に実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に何ら制約されるものではない。
【0042】
実 施 例 1
2種類の染毛剤の混合使用による染毛色の予測を行った。
( 色情報の取得 )
下記の仕様の毛束3種類を携帯型分光測色計(CM−503d:ミノルタ製)のSCEモード(正反射光除去)を用いてL*a*b*値を測定し染毛前の毛束(原毛)の色情報を取得した。
【0043】
( 毛束の仕様 )
色 :黒、茶系2種、白色の計4種類
太 さ :約0.5〜1μm
長 さ :約15cm
髪質等 :直毛
【0044】
次に、染毛剤としてコレストン パーフェクト8/44(色:紫系:ウエラジャパン(株)製;以下、「8/44」と略記することがある)、酸化剤としてウエロキソン パーフェクト6%(ウエラジャパン(株)製)を用いて以下の染色条件で染毛した後、染毛前と同様にL*a*b*値を測定し染毛後の毛束(染色毛)の色情報を取得した。なお、色情報はn=6で確認した。
【0045】
( 染色条件 )
毛束1gに対して、染毛剤2g酸化剤2gを混合した後、毛束に塗布し室温(約25℃)に40分放置した。その後シャンプーを用いて流水中で約1分間洗浄して染色毛とした。
【0046】
得られた原毛と染色毛の色情報データを、CIE(国際照明委員会)にて定義された変換式を用いRGB256階調色値に変換し、原毛及び染色毛の色情報の変換値をそれぞれ横軸、縦軸にプロットして色情報の関係を求めた。コレストン パーフェクト8/44のR値、G値、B値に関する結果を図1〜図3に示す。また、これらの結果から、原毛と染色毛の関係を示す近似式として下記式(9)〜(11)を導いた。
【0047】
R44=0.5996R+6.2874 (9)
G44=0.1799G+7.0046 (10)
B44=0.098B+17.525 (11)
【0048】
上記式中、R、G、Bは原毛のRGB値を、R44、G44、B44はコレストン パーフェクト8/44を用いて染毛した染色毛のRGB値を示す。
【0049】
つぎに他の染毛剤として、コレストン パーフェクト8/00(色:アッシュ系:ウエラジャパン(株)製;以下、「8/00」と略記することがある)を用いて、コレストンパーフェクト8/44と同様にして、得られた原毛および染色毛のRGB256階調色値をプロットした。その結果を図4〜6に示す。またこれから原毛と染色毛の関係を示す近似式として下記式(12)〜(14)を得た。
【0050】
R00=0.2787R−3.9798 (12)
G00=0.1654G+9.3136 (13)
B00=0.1835B+17.16 (14)
【0051】
上記式中、R、G、Bは原毛のRGB値を、R00、G00、B00はコレストン パーフェクト8/00を用いて染毛した染色毛のRGB値を示す。
【0052】
( 混合染毛後の予測色素濃度式の導出 )
混合染毛後のR波長の予測色素濃度をDRとすると、式(3)、(9)、(12)から
【数9】
となる。
【0053】
同様に、G波長の予測色素濃度をDG、B波長の予測色素濃度をDBとすると式(3)、(10)〜(11)、(13)〜(14)から、
【数10】
【数11】
となる。
【0054】
( 混合染毛後の予測R値式、予測G値式および予測B値式の導出 )
複数の染毛剤による混合染毛後の予測R値をSRとすると、式(6)および(15)より、
【数12】
となり、コレストン パーフェクト8/44および8/00をx:yの割合で混合使用した場合の染毛後の予測R値式を得ることができる。
【0055】
同様にして混合染毛後の予測G値および予測B値をSG、SBとすると、式(6)、(16)〜(17)より
【数13】
【数14】
となり、予測G値式および予測B値式が導かれる。
【0056】
( 混合染毛後の予測RGB値と実測RGB値との比較 )
コレストン パーフェクト8/44および8/00の混合割合を8/44:8/00=1:3、8/44:8/00=1:1、8/44:8/00=3:1として、それぞれの混合割合と染毛前の毛束(原毛)の実測RGB値とを、上記で得られた混合染毛後の予測R値式、予測G値式および予測B値式(式(18)〜(20))に代入し、予測R値、予測G値および予測B値を求めた。また、この毛束を、上記混合割合により混合し、上記した染色条件で実際に染毛し、その後上記の色情報取得方法により取得した色情報を変換して染色毛の実測RGB値を得た。原毛の実測RGB値と染色毛の予測RGB値及び実測RGB値を下表に示す。
【0057】
【表1】
【0058】
この結果より、本発明方法によって得られる複数の染毛剤による混合染毛後の染色毛の予測値と実際に混合染毛した毛髪の実測値は非常に相関が高いものであることが明らかとなった。
【0059】
実 施 例 2
3種類の染毛剤の混合使用による染毛色の予測を行った。
( 色情報の取得 )
下記の仕様の毛束3種類を携帯型分光測色計(CM−503d:ミノルタ製)のSCEモード(正反射光除去)を用いてL*a*b*値を測定し染毛前の(原毛)の色情報を取得した。
【0060】
( 毛束の仕様 )
色 :黒、茶系2種、白色の計4種類
太 さ :約0.5〜1μm
長 さ :約15cm
髪質等 :直毛
【0061】
次に、染毛剤としてコレストン パーフェクト8/6(色:紫系:ウエラジャパン(株)製;以下「8/6」と略記することがある)、酸化剤としてウエロキソン パーフェクト6%(ウエラジャパン(株)製)を用いて以下の染色条件で染毛した後、染毛前と同様にしてL*a*b*値を測定し染毛後(染色毛)の色情報を取得した。なお、色情報はn=6で確認した。
【0062】
( 染色条件 )
毛束1gに対して、染色剤2g酸化剤2gを混合した後、毛束に塗布し室温(約25℃)に40分放置した。その後シャンプーを用いて流水中で約1分間洗浄して染色毛とした。
【0063】
得られた原毛と染色毛の色情報データを、CIE(国際照明委員会)にて定義された変換式を用いRGB256階調色値に変換し、原毛及び染色毛の色情報の変換値をそれぞれ横軸、縦軸にプロットして色情報の関係を求めた。コレストン パーフェクト8/6のR値、G値及びB値に関する結果を図7〜9にそれぞれ示す。また、これらの結果から、原毛と染色毛の色調変化の関係を示す近似式として下記式(21)〜(23)を導いた。
【0064】
R6=0.4206R+8.8837 (21)
G6=0.2216G+17.439 (22)
B6=0.3086B+20.321 (23)
【0065】
上記式中、R、G、Bは染色前の毛髪のRGB値を、R6、G6、B6はコレストン パーフェクト8/6を用いて染色した毛髪のRGB値を示す。
【0066】
つぎにその他の染毛剤として、コレストン パーフェクト8/11(色:アッシュ系;以下「8/11」と略記することがある)及び8/33(色:ブラウン系;以下「8/33」と略記することがある)(共にウエラジャパン(株)製)を用いて、上記のコレストン パーフェクト8/6と同様にして、それぞれの染毛剤について得られた原毛および染色毛のRGB256階調色値をプロットして色情報の関係を求めた。コレストン パーフェクト8/11に関する結果を図10〜12に、8/33に関する結果を図13〜15に示す。またこれらから、原毛と染色毛の色調変化の関係を示す近似式として下記式(24)〜(29)を導いた。
【0067】
R11=0.4999R+10.032 (24)
G11=0.5737G+9.8594 (25)
B11=0.7122B+6.0347 (26)
R33=0.5340R+2.1814 (27)
G33=0.3972G+5.1177 (28)
B33=0.2813B+15.813 (29)
【0068】
上記式中、R、G、Bは染色前の毛髪のRGB値を、R11、G11、B11はコレストン パーフェクト8/11を、R33、G33、B33はコレストン パーフェクト8/33を用いて染色した毛髪のRGB値を示す。
【0069】
( 混合染毛後の予測色素濃度式の導出 )
混合染毛後のR波長の色素濃度をDRとすると、式(4)、(21)、(24)および(27)より、
【数15】
となり、R波長の予測色素濃度式が得られる。
【0070】
同様に、混合染毛後のG波長の色素濃度をDG、B波長の色素濃度をDBとすると、式(4)、(22)〜(23)、(25)〜(26)、(28)〜(29)より
【数16】
【数17】
となり、G波長およびB波長の予測色素濃度式が得られる。
【0071】
( 混合染毛後の予測R値式、予測G値式および予測B値式の導出 )
複数の染毛剤による混合染毛後の予測R値をSRとすると、式(8)および(30)より、
【数18】
となりコレストン パーフェクト8/6、8/11および8/33をx:y:zの割合で混合染毛した染色毛の予測R値式を得ることができる。
【0072】
同様にして混合染毛後の予測G値および予測B値をSG、SBとすると、式(8)、(31)、(32)より
【数19】
となり、予測G値式および予測B値式を得ることができる。
【数20】
【0073】
( 混合染毛後の予測RGB値 )
コレストン パーフェクト8/6、8/11および8/33の3種類の染毛剤の混合割合を8/6:8/11:8/33=1:1:1、8/6:8/11:8/33=2:1:1、8/6:8/11:8/33=1:2:1、8/6:8/11:8/33=1:1:2として、それぞれの混合割合と染毛前の毛束(原毛)の実測RGB値とを、上記で得られた混合染毛後の予測R値式、予測G値式および予測B値式(式(33)〜(35))に代入し、染色毛の予測RGB値を求めた。原毛の実測RGB値と染色毛の予測RGB値を下記表2に示す。
【0074】
【表2】
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明の染毛色の予測方法は、使用者が実際に染毛剤を使用しなくても、複数の染毛剤を所定の割合で使用した場合における毛髪色を簡便に予想することができるものである。
【0076】
したがって、本発明方法は、使用者が所望の色に染毛するために必要な染毛剤の組み合わせやその混合割合を的確に選択するための指標とすることができるものであり、化粧品店等の店頭や美容院において有用なものである。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】実施例1において8/44の原毛と染色毛のR値の関係を示したグラフ である。
【図2】実施例1において8/44の原毛と染色毛のG値の関係を示したグラフ である。
【図3】実施例1において8/44の原毛と染色毛のB値の関係を示したグラフ である。
【図4】実施例1において8/00の原毛と染色毛のR値の関係を示したグラフ である。
【図5】実施例1において8/00の原毛と染色毛のG値の関係を示したグラフ である。
【図6】実施例1において8/00の原毛と染色毛のB値の関係を示したグラフ である。
【図7】実施例2において8/6の原毛と染色毛のR値の関係を示したグラフで ある。
【図8】実施例2において8/6の原毛と染色毛のG値の関係を示したグラフで ある。
【図9】実施例2において8/6の原毛と染色毛のB値の関係を示したグラフで ある。
【図10】実施例2において8/11の原毛と染色毛のR値の関係を示したグラ フである。
【図11】実施例2において8/11の原毛と染色毛のG値の関係を示したグラ フである。
【図12】実施例2において8/11の原毛と染色毛のB値の関係を示したグラ フである。
【図13】実施例2において8/33の原毛と染色毛のR値の関係を示したグラ フである。
【図14】実施例2において8/33の原毛と染色毛のG値の関係を示したグラ フである。
【図15】実施例2において8/33の原毛と染色毛のB値の関係を示したグラ フである。 以 上
【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の工程(1)ないし(8)
(1)複数の異なる色調の毛髪を、一定濃度の混合使用する一の染毛剤で染毛し、そ
の染毛前および染毛後の毛髪色をRGB系の色情報とし、これから当該染毛剤の原
毛と染色毛の色調変化の関係式を、R値、G値およびB値について求める工程、
(2)上記(1)の工程を、混合使用する他の染毛剤についても繰り返し、他の染毛
剤の原毛と染色毛の色調変化の関係式を、R値、G値およびB値について求める工
程、
(3)混合使用する一の染毛剤についてのR値の色調変化の関係式で255を割った
値の常用対数値と、他の染毛剤についてのR値の色調変化の関係式で255を割っ
た値の常用対数値とを求め、これら各染毛剤についての常用対数値に、各染毛剤の
混合割合を掛け、この混合割合を掛けた常用対数値を加え合わせて混合染毛後のR
波長の予測色素濃度式(DR)を導く工程、
(4)上記工程(1)および(2)で求めたG値およびB値の色調変化の関係式につ
いて、工程(3)を繰り返し、混合染毛後のG波長の予測色素濃度式(DG)およ
びB波長の予測色素濃度式(DB)を導く工程、
(5)10を上記工程(3)で得られたR波長の予測色素濃度式(DR)によりべき
乗した値で255を割って混合染毛後の予測R値式(SR)を導く工程、
(6)上記工程(4)で求めたG波長の予測色素濃度式(DG)およびB波長の予測
色素濃度式(DB)について、工程(5)を繰り返し、混合染毛後の予測G値式(S
G)および予測B値式(SB)を導く工程、
(7)各染毛剤の混合割合と、染毛対象毛髪の実測R値、実測G値および実測B値を、
上記工程(5)および(6)で得た予測R値式(SR)、予測G値式(SG)および
予測B値式(SB)に代入し、予測R値、予測G値および予測B値を求める工程、
(8)上記工程(7)で得た予測R値、予測G値および予測B値に基づき、混合染毛
後の予想染毛色を表示する工程
を含む、複数の染毛剤の混合使用による染毛色の予測方法。
【請求項2】
他の染毛剤が、1種である請求項第1項記載の染毛色の予測方法。
【請求項3】
他の染毛剤が、2種以上である請求項第1項記載の染毛色の予測方法。
【請求項4】
複数の異なる色調の毛髪として、2ないし4種類の毛髪を使用する請求項第1項ないし第3項の何れかの項記載の染毛色の予測方法。
【請求項5】
予想染毛色の表示を画像表示方法により行う請求項第1項ないし第4項の何れかの項記載の染毛色の予測方法。
【請求項1】
次の工程(1)ないし(8)
(1)複数の異なる色調の毛髪を、一定濃度の混合使用する一の染毛剤で染毛し、そ
の染毛前および染毛後の毛髪色をRGB系の色情報とし、これから当該染毛剤の原
毛と染色毛の色調変化の関係式を、R値、G値およびB値について求める工程、
(2)上記(1)の工程を、混合使用する他の染毛剤についても繰り返し、他の染毛
剤の原毛と染色毛の色調変化の関係式を、R値、G値およびB値について求める工
程、
(3)混合使用する一の染毛剤についてのR値の色調変化の関係式で255を割った
値の常用対数値と、他の染毛剤についてのR値の色調変化の関係式で255を割っ
た値の常用対数値とを求め、これら各染毛剤についての常用対数値に、各染毛剤の
混合割合を掛け、この混合割合を掛けた常用対数値を加え合わせて混合染毛後のR
波長の予測色素濃度式(DR)を導く工程、
(4)上記工程(1)および(2)で求めたG値およびB値の色調変化の関係式につ
いて、工程(3)を繰り返し、混合染毛後のG波長の予測色素濃度式(DG)およ
びB波長の予測色素濃度式(DB)を導く工程、
(5)10を上記工程(3)で得られたR波長の予測色素濃度式(DR)によりべき
乗した値で255を割って混合染毛後の予測R値式(SR)を導く工程、
(6)上記工程(4)で求めたG波長の予測色素濃度式(DG)およびB波長の予測
色素濃度式(DB)について、工程(5)を繰り返し、混合染毛後の予測G値式(S
G)および予測B値式(SB)を導く工程、
(7)各染毛剤の混合割合と、染毛対象毛髪の実測R値、実測G値および実測B値を、
上記工程(5)および(6)で得た予測R値式(SR)、予測G値式(SG)および
予測B値式(SB)に代入し、予測R値、予測G値および予測B値を求める工程、
(8)上記工程(7)で得た予測R値、予測G値および予測B値に基づき、混合染毛
後の予想染毛色を表示する工程
を含む、複数の染毛剤の混合使用による染毛色の予測方法。
【請求項2】
他の染毛剤が、1種である請求項第1項記載の染毛色の予測方法。
【請求項3】
他の染毛剤が、2種以上である請求項第1項記載の染毛色の予測方法。
【請求項4】
複数の異なる色調の毛髪として、2ないし4種類の毛髪を使用する請求項第1項ないし第3項の何れかの項記載の染毛色の予測方法。
【請求項5】
予想染毛色の表示を画像表示方法により行う請求項第1項ないし第4項の何れかの項記載の染毛色の予測方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2007−212140(P2007−212140A)
【公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−29123(P2006−29123)
【出願日】平成18年2月7日(2006.2.7)
【出願人】(000145862)株式会社コーセー (734)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年2月7日(2006.2.7)
【出願人】(000145862)株式会社コーセー (734)
【Fターム(参考)】
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