説明

柔軟性多層パネル滅菌アセンブリ

本発明の多層パネル滅菌アセンブリは、バリア性を有する透過性シート材料から形成されたバリアパネルと、折り畳み保護パネルと、少なくとも1つのパネル結合手段とを含む。前記バリアパネルは、第1の端部及び、前記第1の端部の反対側に位置する第2の端部を有する。前記バリアパネルは、前記第1の端部から前記第2の端部までの距離である長さと、前記長さに沿った中間点とを有する。前記中間点により、前記バリアパネルに、物品配置領域と、物品被覆領域とが画定される。前記パネル結合手段は、前記バリアパネルの前記第1の端部と前記中間点との間の所定の位置に配置され、物品配置領域を設定する。折り畳み保護パネルは、前記バリアパネルに隣接配置される。折り畳み保護パネルは、前記バリアパネルに概ね隣接する近位端部、前記近位端部の概ね反対側に位置する遠位端部及び、前記両端部間の距離である長さを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2009年8月6日出願の米国特許仮出願第61/231,796号の優先権を主張するものであり、同仮出願の内容は参照により本明細書に援用されるものとする。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、一般的に、滅菌すべき物品を包んで使用時まで無菌で保管するのに使用される使い捨て式ラップに関する。
【背景技術】
【0003】
ガウン、シーツ、ドレープ、医療器具などの手術または他の無菌手技の間に必要とされる様々な製品は、病院や診療所等の通常業務において日常的に使用される。前記製品が無菌状態で予め包装されていない場合、病院や診療所等は前記製品を使用前に滅菌する必要がある。さらに、前記製品が使い捨て式でなく2回以上使用される場合、前記製品を清浄するかあるいは別の方法によって次回の使用に対応できるように準備する必要がある。いずれにしても、前記製品は使用前に滅菌されていることが必須である。
【0004】
含まれる材料の体積に起因して、その後の使用のために前記製品を滅菌して保存する必要がある場合が多い。したがって、そのような製品を、清浄または洗浄した後に滅菌繊維で包み、その後の使用まで無菌状態で保存する方法が開発されてきた。使い捨て式の滅菌繊維は、一般的に、所定の長方形の形状に切断され、滅菌ラップとして販売されている。
【0005】
従来の使い捨て式滅菌ラップを使用して行う滅菌トレイまたは同様の物品の従来の包装は、多くの場合、包装される物品よりも大幅に大きい面積を有する材料を含み、重ね合わせプライ(overlapping plies)を折り返して滅菌トレイの頂部に集め、互いに結合させるように構成されている。
【0006】
従来の使い捨て式滅菌ラップは、平坦な特徴のない材料シートであり、随意的に、強度または吸収性を向上させるための1または複数の追加的な材料層を含み得る。この平坦な特徴のない構造は、前記平坦な材料シートで物品を包装する作業をする人に対して、物品の包装方法に関する情報やガイダンスは提供しない。
【0007】
従来の使い捨て式滅菌ラップは、多くの場合、安価で比較的不透過性の材料(例えば紙など)から作製される。前記材料の性質は、一般的に、包装されたトレイまたは物品の無菌性を確実にするための折り畳み技術とラッピング構造に対して影響を与える。
【0008】
例えば、Bourne他による米国特許第5,635,134号(特許文献1)には、1または複数の滅菌ラップシート(例えば、2つの別個のシートまたは折り畳んだ1つのシート)からなり、該滅菌ラップシートを折り畳み互いに接合させることによって、物品の二重ラッピングを可能にする互いに重ね合わされた2つの同様なサイズのパネルを形成するように構成された、複数プライ型の滅菌ラップが開示されている。別の例としては、Robert T. Bayerによる米国特許出願公開第2001/0036519号(特許文献2)には、滅菌ラップ材料の単一シートからなり、該単一シートを折り畳むことにより互いに重ね合わせて結合される2つの同様なサイズのパネルを形成するように構成された、2プライ型の滅菌ラップが開示されている。さらなる別の例としては、Stecklein他による米国特許出願公開第2005/0163654号(特許文献3)には、メインパネルと、前記メインパネルよりも小さい第2のパネルとを有する滅菌ラップ材料が開示されている。前記第2のパネルは、前記メインパネルを補強するため及び/または前記メインパネルに追加的な吸収性を提供するためにメインパネル内に完全に含まれるように、前記メインパネルの中央位置に重ね合わされ結合される。
【0009】
一般的に言えば、上記の及び他の例では、従来の使い捨て式滅菌ラップは大型シートであり、一般的に、1つまたは2つの標準的な折り畳み技術を用いてオーバーラッピング材料の大きな広がりを形成するために使用される。滅菌ラップで囲まれた空間の気圧変化によって生じる滅菌ラップの縁部や折り畳まれた部分を通じた浮遊細菌の通過を妨げるための蛇行経路(例えば、同じ方向の少なくとも2つの急カーブ)を形成するために、大量の材料及び複数回の折り畳みが用いられる。すなわち、大量の材料及び複数回の折り畳みは、包装された物品の取り扱いまたは落下による「ベローズ効果」(滅菌された物品を取り囲んでいる滅菌ラップの縁部または折り畳まれた部分を通じた空気の出し入れを生じさせる、急激な体積及び圧力の変化を引き起こし得る)に対処するのに使用される従来の技術である。蛇行経路を用いて滅菌状態を維持するこの原理は、ルイ・パスツール(Louis Pasteur)の蛇行経路原理または理論と呼ばれている。
【0010】
これらの従来技術及び結果として得られる折り畳み構造は、包装の過程中及び包装を解く過程中に材料を過度に操作することが必要となる。トレイまたは同様の物品を素早くかつ確実に包装するためには、経験と或るレベルの技術を必要とする。スケジューリング及びコストの圧力の理由で、いくつかの手技に必要とされる医療機器はすぐに使い回すことが必要とされており、前回の手技の使用から数時間以内に使用するために、必要な処理及び滅菌を行い、再使用できるようにしなければならない。ターンアラウンド(使い回し)時間はさらに短縮する必要があるので、包装の完全性を確実にしながら、物品をより素早く包装することの必要性が高まっている。
【0011】
滅菌前に物品を包装する間、あるいは手術室で滅菌された物品の包装を解く間に起こる過失は、重大な金銭的及び時間的損失をもたらす。不適切に包装されたパッケージは、乱暴な取り扱いや、過剰量の所定の取り扱いによって損傷する可能性が高い。汚染された物品は再滅菌する必要があるため、重要な医療処置を遅らせるおそれがある。一般的な病院は、滅菌ラップ、滅菌ポーチまたは滅菌容器に、毎年約5万米ドルを費やしている。滅菌ラップ、ポーチまたは容器の損傷、あるいは包装または包装を解くことに関連する失敗は、他の滅菌された代用物をすぐに利用することができなければ、物品の再滅菌を必要とする。また、物品の滅菌性に疑念がある場合は、再滅菌を行う必要がある。手術や手技の種類によるが、1回の医療手術を延期すると、最大で8千米ドル高くつく。したがって、数回の失敗によるコストだけで、滅菌ラップ、ポーチまたは容器に費やされる費用のかなりの部分を占めることになる。
【0012】
滅菌ラップ内に包装またはパッケージされた製品は、様々な方法で汚染される。例えば、間違った若しくは過剰な取り扱い、貧弱な貯蔵設備、または不適切な技術によって、土、水蒸気及び細菌がパッケージ内に入り込む。上述したように、パッケージを取り扱うたびに、手による圧迫作用によって、エアロゾルまたはベローズ効果が或る程度で常に発生する。パッケージを、床などの硬い面に落としたときも、パッケージの体積が急激に圧縮されることによりベローズ効果が発生する。パッケージの体積はその後、その体積の全てまたは一部が回復されるが、そのとき、材料の破壊されたシールあるいは小さな割れ目または裂け目を通過して、容易に検出できない細菌が侵入することがある。また、パッケージの開包を正しくない方法で行うと、パッケージの内容物の滅菌性が危険に曝される。
【0013】
例えば、ナイフ切断、摩耗及び穿孔などのラップ損傷の特定のモードがよく知られている。同じくらい一般的な(より一般的ではないかもしれないが)他の損傷モードも存在する。それらには、圧力切断、鉤裂き切断、及び圧力孔形成が含まれる。
【0014】
圧力切断は、ナイフ切断として現れることができるが、さらに詳しく調査すると、切断部の最縁部の周囲の繊維が、互いに「溶接される」かまたは互いにくっつく。切断部の縁部は、触ると硬く感じる。このタイプの切断は、通常は、器具用トレイの底部の周辺または輪郭に沿って生じる。複数のトレイを互いに積層させた場合、器具用トレイの頂部においても生じ得る。圧力切断が生じる典型的な場合は、約9キログラム(20ポンド)のトレイを保管棚の表面において横に引っ張り、トレイの前側端部を持ち上げてトレイの全重量が後側縁部にかかるようにしたときであり得る。これは、ラップをはさみで切断する、つまり、前記材料を2つの硬い固体界面層の間に挟んで前記材料に対してせん断作用が加えて切断するのと同様である。
【0015】
鉤裂きは、切断部の縁部にほつれた繊維がぶら下がったり、個々の繊維が切断部の幅を横切って架かったりする。切断部の縁部は、圧力切断のように粗くもなく硬くもない。大きな鉤裂きは、切断領域の形状が三角形に似ており、三角形の頂点から鉤裂きが始まっている。鉤裂きは、器具用トレイが非常にゆるく包装されている場合、包装されたトレイの縁部に沿って生じ得る。また、このタイプの切断は、包装が非常にゆるく、荒い表面または角部に引っ掛かるおそれがあるトレイの他の領域においても生じる。このタイプの切断は一般的に、使い込まれた古い滅菌カートなどの粗い面を横切って、トレイが引っ張られるかまたは引きずられることに起因する。また、この切断は、トレイのゆるく包装された領域が、物体の角または縁部に引っ掛かった場合に生じ得る。
【0016】
圧力孔は、孔の最縁部の周囲の繊維が「溶接される」かまたは互いにくっついた微小開口として現れ得る。このタイプの孔は、通常は、器具用トレイの底部の周辺に沿って見られる。また、多数の器具用トレイが互いに積み重ねられている場合、圧力孔はトレイの頂部においても現れ得る。圧力孔が形成されるときの典型的な例は、病院の別の場所への搬送中に、トレイをカートや貯蔵棚の縁部の上に落としたときである(たとえ、落下距離が短かったとしても)。
【0017】
従来の使い捨て式滅菌ラップの大型シートを標準的な折り畳み方法で使用すると、圧力切断、鉤裂き、圧力孔及びより一般的に認識されている損傷モード(すなわち、ナイフ切断、摩耗及び穿孔)に対する保護に役立つと一般的に考えられている、折り重ね材料の大きな広がりと、多数の折り畳まれた部分が提供される。したがって、従来の解決策は、より大きな材料シート、より多数の材料シート、互いに異なる材料の大きなシートの組み合わせ、中央に配置される補強または吸収領域、トレイの角部に取り付けられるバンパーまたはパッド、またはそれらの組み合わせを用いることであった。しかし、それらの全ては、包装及び解包の過程の間に過剰量の材料の使用及び操作を必要とするため、作業が困難なものとなり、包装及び解包の過程のスピードが遅くなったり、材料が無駄になったりするおそれがあった。
【0018】
したがって、滅菌すべき物品の包装または準備の作業を簡略化することができる使い易いアセンブリ、パッケージまたはシステムに対する満たされていない要求が存在する。また、滅菌すべき物品の解包の作業を簡略化することができる使い易いパッケージまたはシステムに対する満たされていない要求が存在する。また、これらの要求に加えて、それに包み込まれた物品の滅菌性を損なわせる損傷または破損を減らすかまたはなくすることができる滅菌繊維の構造体、アセンブリまたはシステムに対する満たされていない要求が存在する。すなわち、圧力切断、圧力孔形成、鉤裂きなどの発生を減少させることができ、その上さらに、器具用トレイの滅菌処理に必要とされる滅菌繊維の量を減少させることができ、かつ器具用トレイを包装または被覆するのに必要とされる複雑さ、困難さ及び/または時間を減少させることができる滅菌ラップまたは繊維のアセンブリまたはシステムに対する要求が存在する。また、器具用トレイの滅菌処理に必要とされる滅菌繊維の量を減少させることに対する満たされていない要求が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【特許文献1】米国特許第5,635,134号
【特許文献2】米国特許出願公開第2001/0036519号
【特許文献3】米国特許出願公開第2005/0163654号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0020】
上記の問題は、使い捨て式の柔軟性多層パネル滅菌アセンブリを包含する本発明によって解決される。本発明の使い捨て式の柔軟性多層パネル滅菌アセンブリは、バリア性を有する透過性シート材料を含んでなるバリアパネルと、前記バリアパネルをパッケージの形態に固定するためのパネル結合手段と、折り畳み保護パネルとを含む。前記バリアパネルは、第1の面、前記第1の面の反対側の第2の面、所定の折り線を概ね画定する第1の端部、前記第1の端部の反対側に位置する第2の端部、前記所定の折り線に対して概ね垂直な第1の縁部、前記所定の折り線の概ね反対側に位置する第2の縁部及び、前記所定の折り線に対して概ね垂直な第3の縁部を有する。望ましくは、前記バリアパネルは、前記所定の折り線の概ね反対側に位置し、前記第2の縁部と協働して先端部または頂点を形成する第4の縁部を有する。より望ましくは、前記バリアパネルは、非正方形または非長方形の形状を画定すべく、前記第2の端部が前記第1の端部よりも狭くなるように前記第2の縁部に向かって集まる第4の縁部及び第5の縁部を有する。
【0021】
前記バリアパネルは、前記第1の縁部から前記第3の縁部までの距離である幅及び、前記第1の端部から前記第2の端部までの距離である長さを有する。本発明の一態様では、前記バリアパネルは、前記第1の縁部及び前記第3の縁部の間に存在する前記長さに沿った中間点、前記中間点によって画定され前記中間点及び前記所定の折り線の間に延在する物品配置領域及び、前記中間点によって画定され前記中間点及び前記第2の縁部の間に延在する物品被覆領域を有する。本発明の一態様によれば、物品配置領域の表面積は、バリアパネルの全表面積の約25〜49%であり得る。例えば、物品配置領域の表面積は、バリアパネルの全表面積の約35〜45%であり得る。
【0022】
本発明の多層パネル滅菌アセンブリは、前記所定の折り線と前記バリアパネルの前記中点との間に設けられたパネル結合手段を含む。前記パネル結合手段は、前記バリアパネルの前記第1の縁部または前記第3の縁部またはその近傍に設けられることが望ましい。望ましくは、前記パネル結合手段は、前記バリアパネルの前記第1の縁部及び第3の縁部またはその近傍に設けられ、パッケージを形成すべく前記バリアパネルを滅菌すべき物品の周りに折り畳んだ後に前記バリアパネルを該パネル自体に結合させるのに使用されることが望ましい。本発明の一態様では、前記パネル結合手段は、前記バリアパネルの前記第1及び第3の縁部の極近傍に設けられるか、あるいは、前記バリアパネルの前記第1及び前記第3の縁部から延出するように設けられ得る。前記パネル結合手段は、接着テープ、両面接着テープ、開裂可能な剥離テープ、積層型剥離テープ、粘性材料、フックアンドループ型締結システム、機械型締結システム(これらに限定しないが、留め具(snap)、クリップ、マグネット、留め金(catch)、スロットアンドタブ型締結システム)及びそれらの組み合わせであり得る。本発明の一態様によれば、前記パネル結合手段は、所定の位置で、前記バリアパネルに結合される。この所定の位置は、前記所定の折り線の近傍であり得る。前記パネル結合手段は、前記バリアパネルの前記物品配置領域を設定することができ、かつ、バリアパネルを前記中間点またはその近傍で折り畳んで前記バリアパネルの前記第2の端部を前記第1の端部の近くに持ってきた後に、前記バリアパネルの前記第1及び前記第3の縁部を互いにまたは前記物品被覆領域の一部に結合させることができるように構成され得る。
【0023】
本発明の多層パネル滅菌アセンブリは、前記バリアパネルに隣接配置された折り畳み保護パネルをさらに含む。すなわち、前記折り畳み保護パネルは、前記バリアパネルから延設されていることが望ましい。前記折り畳み保護パネルが別個の材料部品である場合、前記折り畳み保護パネルは前記バリアパネルのすぐ近傍に隣接して設けられることが望ましい。前記折り畳み保護パネルは、前記所定の折り線に概ね隣接する近位端部、前記近位端部の反対側に位置する遠位端部及び、前記近位端部から前記遠位端部まで延在する少なくとも第1の保護パネル縁部及び第2の保護パネル縁部を含む。本発明によれば、前記折り畳み保護パネルは、前記遠位端部に該端部に沿って位置する第3の保護パネル縁部を少なくとも有し得る。前記折り畳み保護パネルは、バリア性を有するように構成され得る。例えば、前記折り畳み保護パネルは、前記バリアパネルと同一の材料から形成され得る。別の例では、前記折り畳み保護パネルは、前記バリアパネルと同一の材料片から形成され得る。
【0024】
本発明の一態様では、前記折り畳み保護パネルは、前記第1の保護パネル縁部から前記第2の保護パネル縁部までの距離である保護パネル幅、前記近位端部から前記遠位端部までの距離である保護パネル長さを有する。また、前記折り畳み保護パネルは、パッケージを形成すべく、前記バリアパネルを前記バリアパネルの中間点またはその近傍で折り返し、前記第2の端部を前記第1の端部の近くに持ってきて、前記第1及び第3の端部を互いにまたは前記物品配置領域に対して結合させた後に、前記折り畳まれたバリアパネルの少なくとも前記第1及び第3の縁部を覆うべく前記所定の折り線またはその近傍で折り返すことができるように構成されている。
【0025】
本発明によれば、前記バリアパネルは、少なくとも1つの通気性不織布材料層を含んで構成され得る。前記通気性不織材料は、スパンボンド極細繊維層、メルトブローン細繊維層及びスパンボンド極細繊維層を含んで構成される積層体であることが望ましい。バリアパネルの透過度は、フレイザー通気度の単位で特徴付けられる、25〜500立方フィート/分(CFM)(0.7〜14.2m/分)の範囲であり得る。例えば、バリアパネルの透過度は、25〜400立方フィート/分(0.7〜11.3m/分)の範囲であり得る。さらなる別の例では、バリアパネルの透過度は、25〜300立方フィート/分(0.7〜8.5m/分)の範囲であり得る。
【0026】
本発明の滅菌アセンブリは、少なくとも1つのプルタブをさらに含む。前記プルタブは、前記バリアパネルと一体的に設けられるか、あるいは前記バリアパネルの第2の端部に取り付けられる。前記プルタブは、前記バリアパネルと同一の材料から作製してもよいし、前記バリアパネルとは異なる1つまたは複数の材料から作製してもよい。前記プルタブは、滅菌された物品を無菌的に解包することを可能にする機能を提供する。すなわち、柔軟性多層パネル滅菌アセンブリに包まれた物品を解包する者は、前記プルタブを使用することによって、存在する滅菌野に手で触れたり、包装を解いてバリアパネルの滅菌物品接触面を広げたりすることを避けることができる。
【0027】
本発明の滅菌アセンブリは、1または複数の別個の補強要素をさらに含み得る。前記補強要素は、滅菌すべき物品を配置する領域を画定する物品配置領域内に配置されることが望ましい。前記補強要素は、繊維ウェブ、不透過性フィルム、透過性または多孔質フィルム、有孔フォルム、発泡体、及びそれらの組み合わせから選択される1または複数の材料層を含み得る。
【0028】
本発明の一態様によれば、滅菌アセンブリは、該アセンブリを折り畳んでパッケージを形成する適切な折り畳み方法の情報を提供する標識(indicia)または説明(instruction)を該アセンブリ上にさらに含む。
【0029】
本発明の一態様では、少なくとも1つのパネル縁部を有するバリア材料シート(例えばバリア繊維)から形成されたバリアパネルを含む使い捨て式の柔軟性多層パネル滅菌アセンブリが提供される。前記バリアパネルは、パッケージを形成すべく、滅菌すべき物品の周りに折り畳まれるように構成される。バリアパネル結合手段は、前記バリアパネルの1または複数のパネル縁部を、滅菌すべき物品の周りで折り畳まれた形態で固定するために前記バリアパネルの一部に設けられる。また、バリアパネルパネル結合手段は、1または複数のパネル縁部を折り畳まれた形態で、かつ剥離力よりもせん断力に対して実質的に大きな耐性を有して固定するように構成される。本発明の多層パネル滅菌アセンブリは、バリアパネルから延設された折り畳み保護パネルをさらに含む。前記折り畳み保護パネルは、前記バリアパネルに隣接する近位端部と、前記近位端部の反対側に位置し前記バリアパネルを折り畳み形態にした後に前記バリアパネルの1または複数の縁部を覆うことができる遠位端部とを有する。
【0030】
前記バリアパネル結合手段は、バリアパネルを滅菌すべき物品の周りに折り畳んでパッケージを形成した後に、バリアパネルを該パネル自体に結合させるのに使用される。前記パネル結合手段は、接着テープ、両面接着テープ、開裂可能な剥離テープ、積層型剥離テープ、粘性材料、フックアンドループ型締結システム、機械型締結システム(これらに限定しないが、留め具(snap)、クリップ、マグネット、留め金(catch)、スロットアンドタブ型締結システム)及びそれらの組み合わせであり得る。
【0031】
本発明のさらなる別の態様は、少なくとも1つのパネル縁部を有するバリア材料シート(例えばバリア繊維)から形成された使い捨て式多層パネル滅菌アセンブリに関する。前記バリアパネルは、パッケージを形成すべく、滅菌すべき物品の周りに折り畳むことができるように構成される。バリアパッケージ結合手段は、バリアパネルの1または複数のパネル縁部を、滅菌すべき物品の周りに折り畳み形態で固定するために、バリアパネルの一部に設けられる。前記バリアパッケージ結合手段は、前記1または複数のパネル縁部を折り畳み形態で固定することができるように構成される。本発明の多層パネル滅菌アセンブリは、前記バリアパネルから延設された折り畳み保護パネルをさらに含む。前記折り畳み保護パネルは、前記バリアパネルに概ね隣接する近位端部と、前記近位端部の反対側に位置し、前記バリアパネルを折り畳み形態にした後に、前記バリアパネルの1または複数の縁部を覆うことができる遠位端部とを有する。本発明の滅菌アセンブリを物品の周りに折り畳んだとき、10未満の積層材料プライが存在する。本発明の滅菌アセンブリを物品の周りに折り畳んだとき、5未満の積層材料プライが存在することが望ましい。
【0032】
本発明の別の実施形態は、バリア性を提供する透過性シート材料を含んでなるバリアパネルを有する多層パネル滅菌アセンブリを包含する。前記バリアパネルは、第1の面、前記第1の面の反対側の第2の面、所定の折り線を概ね画定する第1の端部、前記第1の端部の反対側の第2の端部、前記所定の折り線に対して概ね垂直な第1の縁部、前記所定の折り線に対して概ね平行な第2の縁部、前記所定の折り線に対して概ね垂直な第3の縁部、前記第2の縁部及び前記第3の縁部の間に位置する第4の縁部、及び、前記第1の縁部及び前記第2の縁部の間に位置する第5の縁部を含む。前記バリアパネルは、前記第1の縁部から前記第3の縁部までの距離である第1の幅、前記第4の縁部から前記第5の縁部までの距離である第2の幅、前記第1の端部から前記第2の端部までの距離である長さを有する。また、前記バリアパネルは、前記第1の縁部及び前記第3の縁部の間または前記第4の縁部及び前記第5の縁部の間に存在する前記長さに沿った中間点、前記中間点によって画定され前記中間点及び前記所定の折り線の間に延在する物品配置領域及び、前記中間点によって画定され前記中間点及び前記第2の縁部の間に延在する物品被覆領域を有する。
【0033】
本発明の多層パネル滅菌アセンブリは、前記バリアパネルの前記第2の端部に設けられた少なくとも1つのプルタブと、前記所定の折り線と前記バリアパネルの中点との間における前記第1の縁部または前記第3の縁部またはその近傍に設けられたパネル結合手段とを含む。前記パネル結合手段は、前記バリアパネルの物品配置領域を設定するために、かつ、バリアパネルをその中点またはその近傍で折り返して前記第2の縁部を前記第1の縁部の近くに持ってきた後に、前記バリアパネルの前記第1及び第3の縁部を互いにまたは前記物品被覆領域の一部に結合させることができるように、前記バリアパネルの所定の位置に取り付けられる。
【0034】
本発明の多層パネル滅菌アセンブリは、前記バリアパネルに隣接配置された折り畳み保護パネルをさらに含む。前記折り畳み保護パネルは、前記所定の折り線に概ね隣接する近位端部、前記近位端部の反対側に位置する遠位端部及び、前記近位端部から前記遠位端部まで延在する少なくとも第1の保護パネル縁部及び第2の保護パネル縁部を含む。前記折り畳み保護パネルは、前記第1の保護パネル縁部から前記第2の保護パネル縁部までの距離である保護パネル幅、前記近位端部から前記遠位端部までの距離である保護パネル長さを有する。前記折り畳み保護パネルは、パッケージを形成すべく、前記バリアパネルを前記バリアパネルの中間点またはその近傍で折り返し、前記バリアパネルの前記第2の端部を前記バリアパネルの前記第1の端部の近くに持ってきて、前記バリアパネルの前記第1及び第3の端部を互いにまたは前記物品配置領域に対して結合させた後に、前記折り畳まれたバリアパネルの少なくとも前記第1及び第3の縁部を覆うべく前記所定の折り線またはその近傍で折り返すことができるように構成されている。
【0035】
本発明の上記の及び他の特徴並びに利点は、添付図面を参照しつつ、以下の説明及び特許請求の範囲の記載を読むことによって、当業者により明確になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0036】
本発明は、添付図面を参照しつつ、本発明の詳細な説明を読むことにより、より良く理解できるであろう。添付図面において、同様の参照符号は同様の構成要素を示す。
【0037】
【図1】例示的な従来の滅菌ラップシステムを示す図である。
【図2】例示的な従来の滅菌ラップシステムを示す図である。
【図3】例示的な従来の滅菌ラップシステムを示す図である。
【図4】従来の封筒折り方式を用いて行う、例示的な従来の滅菌ラップシステムの例示的な折り畳み手順を説明するための図である。
【図5】従来の四角折り方式を用いて行う、例示的な従来の滅菌ラップシステムの例示的な折り畳み手順を説明するための図である。
【図6】例示的な使い捨て式多層パネル滅菌アセンブリを示す図である。
【図7A】例示的な使い捨て式多層パネル滅菌アセンブリを示す図である。
【図7B】一体的に設けられたプルタブを有する例示的な使い捨て式多層パネル滅菌アセンブリを示す図である。
【図7C】図7Bの例示的な使い捨て式多層パネル滅菌アセンブリの詳細を強調して示す図である。
【図8A】例示的な使い捨て式多層パネル滅菌アセンブリを示す図である。
【図8B】図8Aの例示的な使い捨て式多層パネル滅菌アセンブリの反対側の面を示す図である。
【図9】例示的な使い捨て式の柔軟性多層パネル滅菌アセンブリの例示的な折り畳み手順を説明するための図である。
【図10】例示的な使い捨て式の柔軟性多層パネル滅菌アセンブリを示す図であり、例示的な補強要素を示している。
【図11】例示的な補強要素を示す。
【図12】例示的な使い捨て式の柔軟性多層パネル滅菌アセンブリの例示的な構成要素の分解斜視図である。
【図13】例示的な使い捨て式の柔軟性多層パネル滅菌アセンブリの例示的な構成要素の分解断面図である。
【図14】従来の封筒折り畳み方法を用いて両方のパネルで同時に包装するのに備えて、従来の滅菌ラップ上に物品が配置された状態を示す図である。
【図15】従来の封筒折り畳み方法を用いて従来の滅菌ラップで物品が包装された状態を示す図である。
【図16】従来の封筒折り畳み方法を用いて各パネルで順次包装するのに備えて、互いに位置をずらして重ね合わせた2つの従来の滅菌ラップのシート上に物品が配置された状態を示す図である。
【図17】図16の物品を従来の滅菌ラップの1つのシートで包装した後、その後の包装に備えて、従来の滅菌ラップの残りのシートの上に物品が配置された状態を示す図である。
【図18】図16の物品を図17の従来の滅菌ラップの残りのシートで包装する第2の包装が完了した状態を示す図である。
【図19】物品を従来の滅菌ラップで包装することによって形成されたパッケージの各領域を示す図である。
【図20】図19の領域を複数のアレイに区分または分割した状態を示す図である。
【図21】例示的な多層パネル滅菌アセンブリ上に物品を配置した状態を示す図である。
【図22】別の例示的な多層パネル滅菌アセンブリ上に物品を配置した状態を示す図である。
【図23】図24の領域を複数のアレイに区分または分割した状態を示す図である。
【図24】図21または図22の物品を例示的な多層パネル滅菌アセンブリで包装することによって形成されたパッケージの各領域を示す図である。
【図25】図20または図23の包装された物品の個々の領域、前記各領域の区分されたアレイ及び、前記アレイ内の試料の位置を示す図である。
【図26】表5のデータ及び情報を表したグラフである。
【図27】表5のデータ及び情報を表した別のグラフである。
【図28】表6のデータ及び情報を表したグラフである。
【図29】表6のデータ及び情報を表した別のグラフである。
【図30】表7のデータ及び情報を表したグラフである。
【図31】表8のデータ及び情報を表したグラフである。
【図32】表9のデータ及び情報を表したグラフである。
【図33】表10のデータ及び情報を表したグラフである。
【図34】表11のデータ及び情報を表したグラフである。
【図35】表12のデータ及び情報を表したグラフである。
【図36】表13のデータ及び情報を表したグラフである。
【図37】表14のデータ及び情報を表したグラフである。
【図38】表15のデータ及び情報を表したグラフである。
【図39】表16のデータ及び情報を表したグラフである。
【図40】表17のデータ及び情報を表したグラフである。
【図41】表18のデータ及び情報を表したグラフである。
【図42】表19のデータ及び情報を表したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0038】
定義
【0039】
本明細書に使用される「使い捨て式」という用語は、1回使用しただけで廃棄される非常に安価で経済的な製品を指す。「使い捨て式」の製品は、一般的に、単回使用を目的としている。「単回使用」なる用語は、1回だけ使用することを意図し、使用後に再使用、再生、貯蔵または修理することを意図しない製品を指す。これらの製品は、汚染または感染の可能性を減少させるという利点を臨床現場に提供する。加えて、これらの製品は、再加工及び再使用するために集めたり組み立てたりする必要がないので、作業の流れを向上させることができる。
【0040】
本明細書に使用される「滅菌アセンブリ」という用語は、滅菌前に、滅菌されていない物品の周りに折り畳まれるまたは前記物品を別の方法で取り囲む、繊維及び/または柔軟性材料を含んでなる柔軟性物品を指す。滅菌アセンブリは、包装、折り畳み、取り扱い、強度、滅菌、滅菌後の貯蔵、及び/または包装を解くかあるいは折り畳みを広げるための利点をもたらす特別な物理的性質、機能特性、及び/または構造を提供する複数のパネル及び/または部分を有する。
【0041】
本明細書において使用される「不織ウェブ」という用語は、個々の細繊維または極細繊維が、規則的な繰り返し形態ではない形態で交絡された構造を有するウェブを指す。不織布ウェブは、従来、例えばメルトブロー法、スパンボンド法、及びボンデッドカーデッドウェブ処理を含むカーディング法などの様々な方法によって形成されてきた。
【0042】
本明細書において使用される「スパンボンドウェブ」という用語は、溶融した熱可塑性プラスチック材料を、スピナレット(紡糸口金)の通常は円形の断面形状を有する複数の微細なキャピラリから細繊維として押し出した後、押し出された細繊維の直径を例えば引出液体を用いるかまたは用いない引き出し延伸機構及び/または他の公知のスパンボンディング機構により急激に縮径させることにより作製される。スパンボンド不織ウェブの作製については、例えば、米国特許第4,340,563号(Appel他)、米国特許第3,692,618号(Dorschner他)、米国特許第3,338,992号(Kinney他)、米国特許第3,341,394号(Kinney他)、米国特許第3,276,944号(Levy)、米国特許第3,502,538号(Peterson)、米国特許第3,502,763号(Hartman)、米国特許第,542,615号(Dobo他)及びカナダ国特許第803,714号(Harmon)に説明されている。
【0043】
本明細書において使用される「メルトブローン繊維」という用語は、溶融した熱可塑性プラスチック材料を、通常は円形の断面形状を有する複数の微細なダイキャピラリから溶融繊維として高速ガス(例えば空気)流の中に押し出し、その流れにより溶融繊維の直径をマイクロ繊維の直径の程度にまで減少させることによって作製した繊維を意味する。その後、メルトブローン繊維は前記高速ガス流によって運ばれて収集面上に堆積し、それにより、ランダムに分散したメルトブローン繊維のウェブが形成される。このメルトブローンプロセスは公知であり、「NRL Report 4364, "Manufacture of Super-Fine Organic Fibers" by V.A. Wendt, E.L. Boone, and C.D. Fluharty」、「NRL Report 5265, "An Improved device for the Formation of Super-Fine Thermoplastic Fibers" by K.D. Lawrence, R.T. Lukas, and J.A. Young」及び1974年11月19日にBuntin他に付与された米国特許第3,849,241号などの様々な特許文献及び出版物に説明されている。
【0044】
本明細書において使用される「超音波結合」という用語は、Bornslaegerに付与された米国特許第4,374,888号に示すように、例えば、超音波ホーンとアンビルローールとの間に繊維を通すことにより行われる処理を意する(前記特許文献の内容は参照により援用されるものとする)。
【0045】
本明細書において使用される「点結合」という用語は、複数の別個の結合点において、1または複数の繊維層を互いに結合させることを意味する。例えば、熱点結合は、一般的に、互いに結合させる繊維布またはウェブを、例えば加熱されたカレンダーローラ及びアンビルローラなどの加熱されたローラアセンブリ間に通す過程を含む。カレンダーローラは一般的に、布全体が全表面で結合されないように特定の方法でパターン付けされており、アンビルローラーは一般的に、平坦である。その結果、カレンダーローラの様々なパターンが、機能的及び/または美観的な理由で開発されてきた。点結合パターンの例の1つは、Henson及びPenningsに付与された米国特許第3,855,046号に教示されているような、約200結合点/平方インチ(31結合点/平方cm)の結合面積を30%有するHansen Penningsすなわち「H&P」パターンである。別の例は、米国デザイン特許第239,566号(Vogt)に示されている。一般的に、結合領域の割合は、積層繊維ウェブの表面積の約5〜30%である。スポット結合は、積層された層を互いに保持すると共に、各層に含まれている細繊維及び/または極細繊維を該繊維の通気性または手触りを損なうことなく互いに結合させることにより、各層に対して完全性を付与する。
【0046】
本発明の詳細な説明
【0047】
図面に示す及び/または本明細書で説明する本発明の様々な実施形態を説明するにおいて、特定の専門用語は明瞭にするために使用される。しかし、本発明は、選択された特定の専門用語に限定されることを意図しておらず、各特定の要素は、同様の機能を達成するために同様の方法で作用する全ての技術的な均等物を包含することを理解されたい。
【0048】
図1を参照すると、物品の簡便な二重包装を可能にする互いに重ね合わされる2つの同様なサイズのパネル14、16を形成すべく、1または複数の滅菌ラップシート12を互いに接合させることにより形成された複数プライ構造を有する例示的な従来の使い捨て式滅菌ラップ10が示されている。1つのシートを折り畳んで複数プライ型構造を構成することもできるが、2つ別個のシートがより一般的に使用される。
【0049】
図2は、Robert T. Bayerによる米国特許出願公開第2001/0036519号(特許文献2)に概して開示されたような例示的な従来の使い捨て式滅菌ラップ20を示す。この従来の使い捨て式滅菌ラップ20は、互いに結合される2つの同様のサイズのパネル24及び26を形成すべく折り畳まれる滅菌ラップ材料の単一シート22から形成された2プライ型滅菌ラップである。
【0050】
図3は、Stecklein他による米国特許出願公開第2005/0163654号(特許文献3)に概して開示されたような従来の使い捨て式滅菌ラップ30のさらなる別の例を示す。この従来の使い捨て式滅菌ラップ30は、第1のパネル(メインパネル)32と、メインパネル32よりも大幅に小さい第2のパネル34とを有する。第2のパネル34は、メインパネル32を補強するため及び/または追加的な吸収性を提供するために、メインパネル32の中央位置36に重ね合わされ結合される。
【0051】
一般的に言えば、これらの例及び他の例では、従来の使い捨て式滅菌ラップの大きなシートは、一般的に、1つまたは2つの標準的な折り畳み技術を用いて包装材料の大きな広がりを形成するために使用される。これらの標準的な技術及び結果として得られる折り畳み構造は、包装する過程中及び包装を解く過程中に過剰量(必要以上に多い量)の材料を折り畳んだり広げたりする必要がある。また、トレイまたは同様の物品を素早くかつ確実に包装するためには、経験と或る最低限のレベルの技能を必要とする。
【0052】
図4A〜図4Eは、従来の滅菌ラップを使用して行う物品の包装の例示的な手順を示す。図4Aに示すように、正方形または略長方形のラップ40を平らに広げ、その中央領域44に被覆対象物品42を、一般的に封筒折り(envelope fold)と呼ばれる方式で、ラップ40の向きに対して概ね斜めとなるように配置する。図4Bを参照して、ラップ40の第1の端部46を、物品42の基部で上側に折り返して、物品42の上側に持ってくる。一般的に言えば、最初の折り畳みで物品を実質的に覆うことができる材料を提供するために、滅菌ラップの面積は十分に大きくあるべきである。折り畳まれた第1の端部46を後側に折り返して、小さな尾部(テイル)48を形成する。この一連の手順を、残りの第2の端部50及び第3の端部52について繰り返す。繰り替えすが、第2の端部50が第3の端部52によって完全にまたは部分的に覆われるように、第2の端部50及び第3の端部52を実質的に覆うことができる材料を提供するために、滅菌ラップの面積は十分に大きくあるべきである。それらの上に第4の端部54を折り重ねた後にテープで留めて、包装されたパッケージが形成される。
【0053】
図5A〜図5Eは、従来の滅菌ラップを使用して行う物品の包装の例示的な手順を示す。図5Aに示すように、正方形または略長方形のラップ60を平らに広げ、その中央領域64に被覆対象物品62を、一般的に四角折り(square fold)と呼ばれる方式で、ラップ60の方向に対して概ね平行になるように配置する。図5Bを参照して、ラップ60の底側端部66を、物品62の基部で上側に折り返して、物品62の上側に持ってくる。一般的に言えば、最初の折り畳みで物品を実質的に覆うことができる材料を提供するために、滅菌ラップの面積は十分に大きくあるべきである。折り畳まれた底側端部66を後側に折り返して、小さな尾部(テイル)68を形成する。この一連の手順を、残りの上側端部70及び左側端部72について繰り返す。繰り替えすが、底側端部70が左側端部72によって完全にまたは部分的に覆われるように、第2の端部70及び左側端部72を実質的に覆うことができる材料を提供するために、滅菌ラップの面積は十分に大きくあるべきである。それらの上に右側端部74を折り重ねた後にテープで留めて、包装されたパッケージが形成される。
【0054】
25.4cm(10インチ)×50.8cm(20インチ)×高さ12.7cm(5インチ)の寸法を有する一般的な滅菌トレイは、一般的に、包装及び滅菌処理のために一辺114.3cm(45インチ)の正方形の滅菌布を必要とする。この大きなサイズは、トレイを準備する者が物品が覆われたことを確信するために、及び滅菌布の一部が下がったままになったり跳ね返ったりしないように、滅菌布の角部をトレイの頂部を越えた位置まで折り返すことができるようにするために必要とされる。一辺114.3cm(45インチ)の正方形の滅菌布の使用は、約4,516平方cm(700平方インチ)の表面積を有するトレイを取り囲むのに約13,064平方cm(2025平方インチ)の材料が使用されることを意味する。言い換えれば、この従来の方法は、1平方インチの手術器具トレイを隅々まで覆うのに、約3平方インチの材料を必要とする。
【0055】
本発明は、一般的に上述した問題を解決する、使い捨て式の多層パネル滅菌アセンブリを包含する。例示的な多層パネル滅菌アセンブリ100が図6に示されている。
【0056】
この多層パネル滅菌アセンブリは、バリア性を有する透過性シート材料104(例えばバリア繊維)を含んでなるバリアパネル102と、バリアパネル102をパッケージ形態に固定するためのパネル結合手段106と、折り畳み保護パネル108とを含む。一般的に言えば、「バリアパネル」は、多層パネル滅菌アセンブリの一部であり、殺菌効果をもたらすために殺菌ガスを透過させることができる十分な透過性を有し、かつ滅菌後に物品を無菌状態に維持することができるバリア性を有する材料から形成されている。バリアパネルはまた、滅菌すべき物品を受容した後に前記物品を包み込んでパッケージを形成することができるように、十分な柔軟性あるいは従応性を有するべきである。一般的に言えば、バリアパネルは、バリア繊維であり得る。「折り畳み保護パネル」は、多層パネル滅菌アセンブリの一部であり、バリアパネルの折り畳まれた縁部の少なくとも一部を覆って保護する材料から形成されている。折り畳み保護パネルは、多層パネル滅菌アセンブリの一番端に位置するパネルまたは部分であり、滅菌すべき物品をバリアパネルで覆うことにより形成されたパッケージ及び、折り畳まれていないまたはラップされていない多層パネル滅菌アセンブリの第1の部分の周りに折り畳まれるかまたはラップされる。
【0057】
バリアパネルは、第1の面110と、第1の面110の反対側の第2の面112と、所定の折り線116に概ね隣接する第1の端部114と、第1の端部114の反対側に位置する第2の端部118と、所定の折り線116に対して概ね垂直な第1の縁部120と、所定の折り線116の概ね反対側に位置する第2の縁部122と、所定の折り線116に対して概ね垂直な第3の縁部124とを有する。「所定の折り線」は、バリアパネルの第1の縁部114によって概ね画定された線または領域である。一般的に言えば、所定の折り線は、バリアパネルと折り畳み保護パネルとの間の境界から、バリアパネル102の中心または中間点に向かってオフセットされている。所定の折り線116は、バリアパネル102の第1の端部114において、滅菌すべき物品を配置するための望ましい位置を設定する。このオフセットは、折り畳みを完了した後に滅菌すべき物品をバリアパネルによって完全に取り囲むことができる十分な量のバリアパネルを提供する役割を果たす。所定の折り線116は、前記境界から約13mm〜51mm(約0.5〜2インチ)オフセットされ得る。所定の折り線116は、約25mm(1インチ)オフセットされることが望ましい。所定の折り線は、シーム(seam)の形態であり得、例えば、ステッチドシーム(stitched seam)、超音波結合シーム、接着結合シーム、熱機械的結合シーム(例えば、バーシールシーム)、またはそれらの組み合わせなどであり得、バリアパネル及び折り畳み保護パネルを形成するために層またはプライを互いに接合させることにより得られるか、あるいはバリアパネル及び折り畳み保護パネルが互いに別個の部材である場合は前記両部材を互いに結合させることにより得られる。代替的に及び/または追加的に、所定の折り線は、印刷することにより形成されるか、熱機械的結合ライン(例えば、バーシール結合ライン)またはパターンまたは他の印を刻印することにより形成されるか、あるいは折り目または他の適切な印により形成される。所定の折り線は、断続的な線または印であり得、バリアパネル上に直接的に形成されるか、あるいは補強要素が存在する場合は補強要素上に形成される。
【0058】
上述したように、所定の折り線116の重要な機能は、包装し最終的には滅菌すべき物品を配置すべき位置を画定するのを助けることである。すなわち、包装し滅菌すべき物品は、所定の折り線の片側にだけ隣接して配置するべきである。後述するが、本発明の他の機能は、所定の折り線のどちら側が物品の配置に適切な側であるかをユーザに知らせることである。所定の折り線116のさらなる別の機能は、滅菌すべき物品の包装中に、ユーザのための境界線、基準線または境界を画定するのを助けることである。すなわち、滅菌すべき物品を包装するときに、バリアパネルの一部を滅菌すべき物品の上側に持ってきたときに、そのパッケージの一部が、所定の折り線116を大幅に超えないようにするべきである。滅菌バリアの中央に物品を配置する従来の滅菌ラップシステムとは対照的に、本発明の多層パネル滅菌アセンブリは、バリアパネルの境界または縁部の近傍に位置する所定の折り線に物品を配置する必要がある。これは、最初はユーザの最初の直観に反するものであり、従来の滅菌ラップシステムと大きく異なる点である。
【0059】
図6のバリアパネル102は正方形の形状を有していることが示されているが、バリアパネル102は長方形でもあり得、望ましくは、非正方形または非長方形を画定する追加的な縁部を有し得る。そのような縁部の部分は、弓型または非線形であってもよい。代替的に及び/または追加的に、第1の縁部120及び第3の縁部124が互いに近づくかまたは遠ざかるようにして前記両縁部が互いに平行でなくなるようにすることにより、台形の形状を有するバリアパネル102を画定することができる。また、互いに反対側に位置する縁部の他の組み合わせが、互いに近づくかまたは遠ざかるようにすることも考えられる。
【0060】
例えば、図7Aを参照して、バリアパネルは、非正方形または非長方形の形状を画定するための第4の縁部126を有し得る。この例示的な形態では、2つの縁部122及び126は所定の折り線116の反対側に位置し、両縁部が互いに交わって頂点を形成している。よって、バリアパネル102は、第1の面110と、第1の面110の反対側の第2の面112と、所定の折り線116を概ね画定する第1の端部114と、第1の端部114の反対側に位置する第2の端部118と、所定の折り線116に対して概ね垂直な第1の縁部120と、所定の折り線116の概ね反対側に位置する第2の縁部122と、所定の折り線116に対して概ね垂直な第3の縁部124と、第2の縁部122及び第3の縁部124の間に位置する第4の縁部126とを有する。
【0061】
図8A及び図8Bを参照して、バリアパネル102は、非正方形または非長方形の形状を画定する第4の縁部126及び第5の縁部128を有し得る。例えば、第4の縁部126及び第5の縁部128は、バリアパネルの第2の端部118がバリアパネルの第1の端部114よりも幅が狭くなるように第2の縁部122に向かって互いに近づく。よって、バリアパネル102は、第1の面110と、第1の面110の反対側の第2の面112と、所定の折り線116を概ね画定する第1の端部114と、第1の端部114の反対側に位置する第2の端部118と、所定の折り線116に対して概ね垂直な第1の縁部120と、所定の折り線116に対して概ね平行な第2の縁部122と、所定の折り線116に対して概ね垂直な第3の縁部124と、第2の縁部122及び第3の縁部124の間に位置する第4の縁部126と、第1の縁部120及び第2の縁部122の間に位置する第5の縁部126とを有する。バリアパネルは、第1の端部114における第1の縁部120から第3の縁部124までの距離である第1の幅W1(例えば、所定の折り線116に沿って測定することが好ましい)と、第4の縁部126から第5の縁部128までの距離である第2の幅W2(第4の縁部126が第2の縁部122と交わる点と第5の縁部128が第2の縁部122と交わる点との間で測定することが好ましい)を有する。また、バリアパネルは、第1の端部114(所定の折り線116の位置)から第2の端部(第2の縁部122の位置)までの距離である長さLを有する。また、バリアパネルは、長さ「L」に沿った、かつ第1の縁部120と第3の縁部124との間(一部の実施形態では第4の縁部126と第5の縁部128との間)に存在する中間点「M」を有する。この中間点Mにより、バリアパネル102に、所定の折り線116から中間点Mへ延在する物品配置領域130と、中間点Mから第2の縁部122まで延在する物品被覆領域132が画定される。当然ながら、縁部を追加すること、縁部が曲線をなしていること、あるいは縁部が曲線部分を含むことも考えられる。
【0062】
図6を再び参照して、バリアパネル102は、第1の縁部120から第3の縁部124までの距離である幅「W」と、第1の端部114から第2の端部118までの距離である長さ「L」とを有し得る。本発明の一態様によれば、バリアパネルは、長さLに沿った、かつ第1の縁部120と第3の縁部124との間に存在する中間点Mを有する。この中間点Mにより、バリアパネル120に、所定の折り線116から中間点Mまで延在する物品配置領域130と、中間点Mから第2の縁部124まで延在する物品被覆領域132とが画定される。一般的に言えば、物品配置領域は、バリアパネルにおける、トレイまたは他の滅菌すべき物品が最初に配置される部分である。滅菌ラップを形成するバリア材料の中央部分にトレイまたは他の滅菌すべき物品を配置する従来の滅菌ラップとは異なり、物品配置領域はバリアパネルの第1の端部と中間点との間に位置する。バリアパネル上のこの非対称的な配置は、直感的なものではない。物品被覆領域は、バリアパネルにおける、物品を物品配置領域に配置した後に物品の上側へ折り畳まれる部分である。
【0063】
本発明の一態様では、図示した様々な形態のバリアパネルは、約30〜127cm(約12〜50インチ)の幅を有し得る。望ましくは、バリアパネルは、約46〜102cm(約18〜40インチ)の幅を有し得る。より望ましくは、バリアパネルは、約51〜76cm(約20〜30インチ)の幅を有し得る。また、バリアパネルは、約18〜127cm(約7〜50インチ)の長さを有し得る。望ましくは、バリアパネルは、約39〜102cm(約15〜40インチ)の長さを有し得る。より望ましくは、バリアパネルは、約64〜76cm(約25〜30インチ)の長さを有し得る。
【0064】
本発明の一態様によれば、物品配置領域130の表面積は、バリアパネル102の全表面積の約25〜49%であり得る。例えば、物品配置領域130の表面積は、バリアパネル102の全表面積の約35〜45%であり得る。物品を適切に被覆するための追加的な表面積を提供するためにはバリアパネルの物品被覆領域は物品配置領域よりも大きくある必要があるので、このことは重要である。
【0065】
本発明の多層パネル滅菌アセンブリ100は、第1の面110上における所定の折り線116とバリアパネルの中間点Mとの間に設けられたパネル結合手段106を含む。パネル結合手段106は、バリアパネルの第1の縁部120及び/または第2の縁部124またはその近傍に設けられることが望ましい。パネル結合手段106は、バリアパネルの第1の縁部120及び第3の縁部124の両方の近傍に図示されているが、両縁部の一方またはその近傍にだけに設けるようにしてもよい。
【0066】
図6、図7A及び図7Bに示すように、パネル結合手段106は、バリアパネルの第1の縁部120及び第3の縁部124から延出するように設けられている。代替的に及び/または追加的に、図8A及び図9Aに示すように、パネル結合手段106は、第1の縁部及び/または第3の縁部の近傍に設けることもできる。パネル結合手段は、1つの大きな要素または複数の別個の要素であり得る。例示的なパネル結合手段には、これらに限定しないが、接着テープ、両面接着テープ、開裂可能な剥離テープ、積層型剥離テープ、粘性材料、フックアンドループ式締結システム、機械型締結システム(これらに限定しないが、留め金(snap)、クリップ、磁石、留め具(catch)、スロットアンドタブなど)、及びそれらの組み合わせが含まれる。例えば、パネル結合手段は、バリアパネルに対して、縫合されるか、超音波結合されるか、熱機械的に結合されるか、接着されるか、あるいは接着結合される少なくとも1つの端部または部分を有する、或る長さを有する1または複数の接着テープであり得る。パネル結合手段は、バリアパネル上に設けられ、バリアパネルの1または複数の縁部をバリアパネル自体に結合させるのに用いられるバリアパネル結合手段であることが望ましい。バリアパネル結合手段は、各面が互いに同じまたは異なる接着または粘着力のレベルを有する両面テープであり得ることが知られている。代替的に及び/または追加的に、パネル結合手段は、分割可能または分離可能な接着材料(例えば、分割可能なテープ、分割可能な積層体、分割可能な発泡体、開裂可能な紙、開裂可能な積層体、開裂可能な発泡体、あるいは他の開裂可能または分割可能な積層体)の間に中央層が挟まれた両面テープ構造を有し得る。例示的な分割可能または開裂可能な材料は、例えば、1997年12月30日にCaudal他に付与された米国特許第5,702,555号、1982年1月12日にFryeに付与された米国特許第4,310,127号、1972年7月11日にSorrellに付与された米国特許第3,675,844号、及び1940年6月25日にHumphnerに付与された米国特許第2,205,956号に開示されている(これらの特許文献の内容は参照により援用されるものとする)。
【0067】
本発明の一態様では、パネル結合手段106は、おむつ、失禁用品及び同様の製品においてよく使用される様々なタイプの接着締結タブまたはテープ留めシステムの形態であり得る。例示的なテープ留めシステムは、例えば、1983年10月18日にLareに付与された米国特許第4,410,325号に見ることができる(この特許文献の内容は参照により援用されるものとする)。このシステムは、物品(例えば、衣服の一部)に結合される第1の端部または部分を有し、かつ折り返して自体の上に重ねることができる接着締結タブまたはテープ留めシステム(ここでは「テープ」と呼ぶ)を用いている。使用時は、前記テープの少なくとも第2の端部または部分において接着面を露出させるために、前記テープは広げられる。前記テープの前記少なくとも第2の端部または部分は、その後、衣服の互いに離間している2つの部分を所望の形態で固定するために物品の別の部分(例えば衣服の第2の部分)に固定される。一般的に言えば、テープパネル結合手段106の第1の端部はバリアパネルの第1の縁部120またはその近傍に固定され、テープパネル結合手段106の第2の端部は前記第1の端部の上に折り返して重ねられる。追加的なパネル結合手段106を、同様の方式で、バリアパネルの第3の縁部124またはその近傍に固定してもよい。使用時は、テープパネル結合手段106は、パネル結合手段106の少なくとも第2の端部において接着面を露出させるために広げられる。バリアパネルの第1の縁部120及び/または第3の縁部124に設けられたパネル結合手段の露出された接着面は、バリアパネルを滅菌すべき物品の周りに折り畳んだ後に、前記第1及び第3の縁部を互いに及び/またはバリアパネルの他の部分に対して固定するのに使用される。このような形態では、随意的な結合領域305が用いられる。例示的な随意的な結合領域305は、図8B及び図9Bに破線で示されている。パネル結合手段として接着または粘着材料を用いる実施形態では、結合領域305は、折り畳まれたバリアパネルが閉じているべきときに「ポン(pop)」と開いたり外れたりしないように強固に結合するための適切な表面を前記接着材料に対して提供する、適用されたフィルム、不織布のより強固に結合された部分、別個の材料部材、コーティングまたは同様のものであり得る。結合領域305は、パネル結合手段をバリアパネルに結合させる適切な位置をユーザに知らせるように構成され得る。このような構造では、結合領域305は、ユーザに知らせるための色、テクスチャ、英数字などの印と組み合わせられるか、あるいは前記色等が含まれ得る。さらに重要なことには、結合領域305は、無菌開口部を維持し、バリア繊維が裂けたり細断されたりすることを避け、かつせん断力及び/または剥離力に対する十分なまたは制御された耐性レベルを提供するために、パネル結合手段106の結合の解除するのに要する力を綿密に制御するため適切な表面を提供するように構成することができる。
【0068】
別の例示的なテープ留めシステムは、例えば、1986年4月29日にRosch他に付与された米国特許第4,585,450号に見ることができる(この特許文献の内容は参照により援用されるものとする)。このシステムは、補助的テープ要素及び主要テープ要素を含む接着締結タブまたはテープ留めシステム(ここでは「テープ」と呼ぶ)を用いる。このテープは、物品(例えば、衣服の一部)に結合された第1の端部または部分を有する。第2の端部または部分は、補助的テープ要素及び主要テープ要素を含む。使用中、主要テープ要素の接着面が露出させられる。主要テープ要素の接着面はその後、前記物品の異なる部分(例えば、衣服の第2の部分)に接着され、それによって、衣服の互いに離間している2つの部分を所望の形態で互いに固定する。主要テープ要素と補助的テープ要素との間の接着結合は、主要テープ要素と補助的テープ要素との間の結合を必要に応じて何度でも確実に解除できるように、主要テープ要素と衣服または物品の第2の部分との間の接着結合よりも弱い強度を有する。
【0069】
一般的に言えば、パネル結合手段106の第1の端部または第1の側部は、バリアパネルの第1の縁部120またはその近傍に固定され、パネル結合手段106の第2の端部または第2の側部は、前記第1の端部の上に折り返して重ねられるか、あるいは剥離要素によって覆われる。追加的なパネル結合手段106は、同様の方法で、バリアパネルの第3の縁部124またはその近傍に固定される。使用時は、パネル結合手段106の主要テープ要素は、パネル結合手段106の少なくとも第2の端部または第2の側部において接着面を露出させるために、折り重ねられた状態または被覆された状態を解除される。主要テープ要素の露出された接着面は、バリアパネルを滅菌すべき物品の周りに折り畳んだ後に、バリアパネルの第1の縁部120及び/または第3の縁部124を互いにまたはバリアパネルの他の部分に対して結合させるのに使用される。このような構造では、主要テープ要素と補助的テープ要素との間の結合を必要に応じて何度でも確実に解除することができるように、主要テープ要素と補助的テープ要素との間の接着結合は、主要テープ要素とバリアパネルにおける接着される部分との間の接着結合よりも弱い強度を有する。一部の態様では、主要テープ要素は、結合領域としての役割を果たす。つまり、バリアパネルを折り畳み形態に固定するために主要テープ要素をバリアパネルに接着した後、主要テープ要素は、主要テープ要素と補助的テープ要素との間の接着結合を解除するのに要する力を細心に制御することができるように適切な面を提供し、それにより、無菌開口部を維持し、バリア繊維が裂けたり細断されたりすることを避け、せん断力及び/または剥離力に対する十分なまたは制御された耐性レベル提供する。別の態様では、滅菌する前に物品を調べるために作業者が包装されたバリアパネルを再び開いた後に、多層パネル滅菌アセンブリを破壊することなくパネル結合手段を再び結合させることを可能にするために、前述したような、あるいは主要テープ要素の形態の結合領域305が用いられる。
【0070】
別の例では、パネル結合手段は、或る長さの布(例えば不織布)であり得、その一端または部分が、バリアパネルに対して縫合されるか、超音波結合されるか、熱機械的結合若しくは接着されるか、あるいは接着結合されており、かつ、その一端及び他端にフックアンドループ型締結システムが設けられている。バリア布自体が、ベルクロ・インダストリーズBV社(Velcro Industries B.V.)製のベルクロ(VELCRO(登録商標)ブランドの締結機構として入手可能なフックアンドループ締結シシテムのループ要素として機能することも考えられる。例えばNestegardに付与された米国特許第5,315,740号に記載されている、低コストループ材料(例えば不織ウェブなど)と係合する小型フックなどの他の例示的なフックシステムも使用され得る。
【0071】
パネル結合手段の様々な要素または部品を、関連する基材層と共に、モールディングや共押し出しなどによって一体的に形成することも考えられる。例えば、フック基材層とフック要素を実質的に同じポリマー材料から共押し出しすることにより、個々のフック要素をフック基材層と同時にかつ一体的に形成することもできる。
【0072】
本発明の一態様では、図6及び図9Aに示すように、バリアパネル102の物品配置領域130を設定するために、または物品配置領域130を物品被覆領域132から区別するために、パネル結合手段106は所定の位置140でバリアパネル102の第1の面110に結合されている。また、所定の位置140に設けられたパネル結合手段106の位置は、ユーザに対して、物品配置領域130内における物品を配置するのに最適な領域を知らせる。これは、本アセンブリ上に設けられた標識、及び/または、本アセンブリ上に設けられたかあるいは本アセンブリに備え付けられ作業場またはラッピングステーションに掲示された説明によって強調され得る。
【0073】
図8A及び図9Aを参照して、パネル結合手段106は、幅よりも大きい長さを有する両面テープであることが望ましい。例えば、パネル結合手段は、その幅の2倍以上の長さを有する両面テープであり得る。別の例では、パネル結合手段は、その幅の4倍〜8倍の長さを有する両面テープであり得る。代替的に及び/または追加的に、パネル結合手段の形態は、第1の縁部120及び第3の縁部124に沿ってまたは前記第1及び第3の縁部の近傍に配置された一連の正方形のテープであり得る。パネル結合手段106における所定の折り線116に最も近い部分は、折り線116から約7.62cm(3インチ)未満の距離で離間していることが望ましい。パネル結合手段106における所定の折り線116に最も近い部分は、折り線116から約5.08cm(2インチ)未満の距離で離間していることが望ましい。例えば、パネル結合手段106における所定の折り線116に最も近い部分は、折り線116から約2.54〜1.27cm(1〜1/2インチ)の距離で離間している。
【0074】
図6を再び参照して、多層パネル滅菌アセンブリ100の折り畳み保護パネル108は、バリアパネル102に隣接配置されている。すなわち、折り畳み保護パネル108は、バリアパネル102に並んで設けられている。一般的に言えば、折り畳み保護パネル108は、任意の適切な材料であり得るが、透過性のシート材料から形成することが望ましい。本発明によれば、折り畳み保護パネルは、所定の折り線116の概ね近傍に位置する近位端部142と、近位端部142の概ね反対側に位置する遠位端部144と、近位端部142から遠位端部144にかけて延在する少なくとも第1の保護パネル縁部146及び第2の保護パネル縁部148を有する。本発明によれば、折り畳み保護パネルは、追加的な縁部を含み得る。例えば、図7Aを参照して、折り畳み保護パネルは、遠位端部144に該端部に沿って位置する少なくとも第3の保護パネル縁部150を含み得る。図8Aを参照して、さらなる別の例では、折り畳み保護パネルは、遠位端部144に該端部に沿って位置する少なくとも第3の保護パネル縁部、第4の保護パネル縁部152及び第5の保護パネル縁部154を含み得る。
【0075】
一般的に言えば、折り畳み保護パネルは、スパンボンド不織材料の軽量積層体、または、スパンボンド不織材料及びメルトブローン不織材料の軽量積層体などの軽量材料であり得る。折り畳み保護パネルは、バリアパネルを形成する材料のように高いレベルのバリア性を提供する必要はない。あるいは、折り畳み保護パネルは、バリア性を有するように構成され得る。例えば、折り畳み保護パネルは、バリアパネルと同じ材料から形成され得る。折り畳み保護パネルは、スパンボンド不織材料の単一層であることが考えられる。
【0076】
本発明の一態様では、折り畳み保護パネルは、第1の保護パネル縁部から第2の保護パネル縁部までの距離までの幅と、近位端部から遠位端部までの距離である長さを有することが望ましい。折り畳み保護パネルは、約30〜127cm(12〜50インチ)の幅を有し得る。望ましくは、折り畳み保護パネルは、約46〜102cm(18〜40インチ)の幅を有し得る。より望ましくは、折り畳み保護パネルは、約51〜76cm(20〜30インチ)の幅を有し得る。また、折り畳み保護パネルは、約15〜76cm(6〜30インチ)の長さを有し得る。望ましくは、折り畳み保護パネルは、約20〜51cm(8〜20インチ)の長さを有し得る。より望ましくは、折り畳み保護パネルは、約30〜38cm(12〜15インチ)の長さを有し得る。
【0077】
使用時は、パネル結合手段106は、バリアパネル102を中間点Mまたはその近傍で折り返してバリアパネルの第2の端部118がバリアパネルの第1の端部114の近くに持ってきた後に、バリアパネルの第1の縁部120及び第3の縁部124を物品被覆領域132の一部に対して結合させるのに使用される。一部の実施形態では、パネル結合手段106は、バリアパネルの第1の縁部120及び第3の縁部124を互いに結合させるのに使用され得る。
【0078】
本発明の一態様では、パネル結合手段がバリアパネルの個々の縁部をバリアパネルの被覆領域または前記縁部自体に結合させるときの接着力または結合力は、バリアパネルを物品の周りに固定し、それにより、滅菌の前後に通常の取り扱いに耐えることができる頑丈なパッケージを形成するのに十分なものであるべきであり、このことは重要である。
【0079】
例示的な構造、特に、パネル結合手段によって十分に高いレベルの係合せん断力が提供される構造では、前記締結係合は、パネル結合手段とそれに結合するバリアパネルの他の部分との間で、約5グラム力(gmf)(約0.012lbf)の最小値以上の剥離力値を提供する。さらなる構造では、前記締結係合は、向上した利点を提供するために、約6〜50mgfの剥離力値を提供する。望ましい構造では、前記締結係合は、パネル結合手段とそれに結合するバリアパネルの他の部分との間で、約10〜30mgfの剥離力値を提供する。より望ましくは、剥離力値は、約15〜20mgfであり得る。一般的に言えば、向上した利益をさらに提供するために、剥離力は、約100mgf以下、望ましくは約75mgf以下であるべきである。剥離力が上記の値を超えた場合、滅菌された物品を無菌状態で収容しているパッケージの包装を解くことは困難になる。
【0080】
パネル結合手段とそれに結合されるバリアパネルの他の部分との間の結合力は、約102mm×25mm(4インチ×1インチ)の寸法を有するパネル結合手段に対して、望ましくは約5000gmfを超えるせん断力値を提供する。一般的に言えば、パネル結合手段とそれに結合するバリアパネルの他の部分との間の結合領域におけるせん断力に対する耐性は、1平方インチあたり約750gmf以上であるべきである。前記せん断力に対する耐性は、約1000gmf/平方インチ以上であることが望ましく、約2000gmf/平方インチ以上であることがより望ましい。前記せん断力に対する耐性は、約2500gmf/平方インチ以上であることがさらにより望ましい。さらなる態様では、前記せん断力に対する耐性は、最大で、約4400gmf/平方インチまたはそれ以上であり得るあるいは、向上した性能を提供するために、前記せん断力に対する耐性は、約3900gmf/平方インチ以下であり、随意的に、約3500gmf/平方インチ以下である。
【0081】
剥離力値は、実施例の節において後述する方法を用いて求めることができる。あるいは、剥離力値は、1991年9月15日に認可され、1991年11月に公表された標準的な手法であるASTM D-5170に従って求めることができる。
【0082】
せん断力値は、実施例の節において後述する方法を用いて求めることができる。あるいは、剥離力値は、1991年9月15日に認可され、1991年11月に公表された標準的な手法であるASTM D-5170に従って求めることができる。試験片は、パネル結合手段とバリアパネルにおける結合される部分とから構成される。試験片の長さ及び幅は、一般的に、剥離力値のための後述する試験を実施するために採用される長さ及び幅に対応する。試験中、試験片は、その長さ方向が、物品の通常使用時に前記物品に使用されるパネル結合手段(例えば、両面テープファスナー)に対してせん断力が加わる方向に対して垂直になるように配置される。試験片の「幅」は、試験片の長さに対して垂直である。すなわち、図8A及び図9Aに示したような幅よりも大きい長さを有する試験片については、せん断力は一般的に、試験片の幅を横切る方向(すなわち、長さに対して垂直な方向)に加えられる。
【0083】
パネル結合手段がバリアパネルの各縁部をバリアパネルの物品被覆領域または前記縁部自体に結合させる接着力または結合力は、本アセンブリを構成するときにパネル結合手段をその下側のバリアパネルに結合させるのに用いられる結合の剥離強度よりも小さくあるべきであることを容易に理解すべきである。例えば、約10cm×2.5cm(約4インチ×1インチ)の寸法を有するパネル結合手段については、前記アセンブリの構成中にパネル結合手段をその下側のバリアパネルに結合させるのに用いられる結合(例えば、接着、機械的、熱機械的、超音波など)の剥離強度は、約400gmfよりも大きくあるべきである。望ましくは、本アセンブリを構成するときにパネル結合手段をその下側のバリアパネルに結合させるのに用いられる結合の剥離強度は、パネル結合手段とバリアパネルとの結合領域において約400gmf/平方インチよりも大きくあるべきである。例えば、前記結合強度は、1000gmf/平方インチよりも大きくあり得、さらには4000gmf/平方インチよりも大きくあり得る。
【0084】
ここで図9A〜9Eを参照すると(そして、図8Aをさらに参照すると)、多層パネル滅菌アセンブリの例示的な折り畳み手順が示されている。図9Aは、バリアパネル102を含んでなる多層パネル滅菌アセンブリ100を示す。このアセンブリは、パッケージ(図9Eに示すようなパッケージ202)を形成すべく、折り畳み保護パネル108及び第1の表面110上のパネル結合手段106と協働して、バリアパネル102を物品200の周りに折り畳むことができる。バリアパネル102は、物品202を接触して覆う柔軟性多層パネル滅菌アセンブリ110の一部である。物品200は、パネル結合手段106によってバリアパネル102の第1の表面110上に概ね画定された物品配置領域130に配置される。
【0085】
図9Bに概して示すように、バリアパネル102の第2の端部118は、バリアパネル102の物品被覆領域132が物品200の上にくるように中間点Mで上側に折り返され、第1の端部114上に重ねられる。図9Bに示すように、第2の端部118におけるバリアパネルの幅は、第1の端部114におけるバリアパネルの幅よりも小さい。このような構成により、第2の端部118を第1の端部114上に折り重ねた後にパネル結合手段106へのアクセスを可能にする第4の縁部126及び第5の縁部128の構造が提供されるので、このような構成は、(図7A及び図7Bに示すようにパネル結合手段106が縁部から外側に延出しているのではなく)図8A及び図9Aに示すようにパネル結合手段106がバリアパネル上に直接的に設けられた場合は重要である。
【0086】
本発明の一部の実施形態では、プルタブまたはテイル300が第2の端部118から延在している。プルタブまたはテイル300は、包装されたパッケージを解いて広げる最初のステップのときに接近可能に配置されている。プルタブまたはテイル300は、バリアパネル102の第2の面112において、バリアパネルの第2の端部118から延在しているか、または第2の端部118に結合されていることが望ましい。図7Bを簡単に参照すると、プルタブまたはテイル300がバリアパネルに一体化された構造が示されている。図7Cは、バリアパネル102の第2の面112上のプルタブまたはテイル300を示している。包装中にプルタブまたはテイル300がバタつかないように及び適切な位置に位置するように、プルタブまたはテイル300の遠位端(すなわち遊離端)は、接着力の弱い接着剤または接着タブまたはステッカーによってバリアパネルに固定されていることが望ましい。
【0087】
図9Cは、(第2の端部118を第1の端部114上に折り重ねた後に)バリアパネル102の第3の縁部124を第2の端部118上に折り重ねた状態を示している。必ずしもスケール通りに示していないが、バリアパネル102の第3の縁部124は、折り畳まれた後は、本アセンブリの中央まで延びていない。
【0088】
図9Dは、バリアパネル102の第1の縁部120を第2の端部118の上に折り重ねた状態を示す。必ずしもスケール通りに示していないが、バリアパネル102の第1の縁部120は、折り畳まれた後は、本アセンブリの中央まで延びていない。したがって、第3の縁部124と第1の縁部120とが一般的に互いに重なり合わないことは明らかである。図4及び図5に概して示すような縁部が互いに重なり合う従来の滅菌ラップとは異なり、バリアパネル102の縁部120及び124は、或る距離を隔てて互いに離間している。この差異は、バリアパネル102の折り畳まれた縁部120及び124を物品の周囲の適所に保持するパネル結合手段106の重要性を強調する。さらに、これらの縁部が概ね露出されるということは、折り畳み保護パネル108の重要性を強調する。
【0089】
ここで図9Eを参照すると、折り畳み保護パネル108を所定の折り線116で折り返し、折り畳み保護パネル108の遠位端部144がバリアパネルの第2の端部の上側に持ってきている。一部の実施形態では、バリアパネル材料における第1の縁部120及び第3の縁部124に隣接する部分が見える。この形態では、バリアパネル102の実際の縁部120及び124は完全に覆われているので、前記パッケージの通常の取り扱い中に、縁部自体が誤まって引っ張られて広げられたり、破れたりすることはない。折り畳み保護パネルは、一般的に、滅菌ラップと共に使用される従来のテープを使用して固定される。折り畳み保護パネルは、バリアパネルを滅菌すべき物品の周りに折り畳んでパッケージを形成した後に、バリアパネルの縁部を覆うことが望ましい。折り畳み保護パネルでバリアパネルの縁部を覆うことにより、作業者が折り畳まれたバリアパネルを過失により開くことを防止する。加えて、折り畳み保護パネルは、バリアパネルの縁部を、鉤裂き、引っ張り、またはパネル結合手段の結合の解除を引き起こし剥離力を前記縁部に付与し得る他の現象から保護する。すなわち、多層パネル滅菌アセンブリのこの構造は、パッケージを形成すべくバリアパネルを滅菌すべき物品の周りに折り畳んだ後に、折り畳み保護パネルによってバリアパネルの露出した縁部を保護する。
【0090】
本発明によれば、バリアパネルは、少なくとも1つの通気性不織布材料層を含んでなる。通気性不織布材料層は、スパンボンド細繊維の層とメルトブローン繊維の層とスパンボンド細繊維の層とから構成される積層体(スパンボンド・メルトブローン・スパンボンド材料とも呼ばれる)であることが望ましい。これらの層を作製する方法は既知であり、本発明の譲受人に譲渡された米国特許第4,041,203号(Brock他)に記載されている(この特許文献の内容は参照により援用されるものとする)。前記特許文献(Brock他)の前記材料は、スパンボンド層、メルトブローン層、スパンボンド層の三層の積層体であり、一般的には、頭文字をとって「SMS」と呼ばれている。SMSの2つの外側層は、ランダムパターンで堆積させ互いに結合させた押出ポリオレフィン繊維または細繊維から作製されたスパンボンド材料である。内側層は、一般的に、スパンボンド層の繊維よりも小径の押出ポリオレフィン繊維から作製されたメルトブローン層である。結果として、メルトブローン層は、その極細繊維構造に起因して、細菌または他の汚染物質の通過を防止するが滅菌物質の通過を可能にする向上したバリア性を提供する。一方で、2つの外側のスパンボンド層は、積層体全体における強度要素の大部分を提供する。前記積層体は、積層体の表面上で実質的に規則的に繰り返されることが好ましい、断続的な結合パターンを用いて作製され得る。前記結合パターンは、前記結合が、積層体の表面積の約5〜50%を占めるように選択される。前記結合パターンは、積層体の表面積の約10〜30%を占めることが望ましい。前記材料の他の組み合わせまたは変形例も考えられる。非限定的な例として、内側層が2つのメルトブローン層を含むようにすることもでき、そのような材料は「SMMS」と呼ばれる。
【0091】
バリアパネルがSMS材料を含んでなるまたはSMS材料が組み込まれた場合、SMS材料の坪量は、約33〜100グラム/平方メートル(gsm)(1〜3オンス/平方ヤード(osy))であり得る。例えば、SMS材料の坪量は、40〜67gsm(1.2〜2osy)であり得る。別の例では、SMS材料の坪量は、47〜60gsm(1.4〜1.8osy)であり得る。前記坪量は、ASTM D3776-07に従って求められる。SMS材料の複数のプライまたは層は、約67〜167gsm(2〜5osy)の範囲の坪量を提供するのに使用され得る。
【0092】
バリアパネルの透過度は、フレイザー通気度の単位で特徴付けられる、25〜500立方フィート/分(CFM)(0.7〜14.2m/分)の範囲であり得る。例えば、バリアパネルの透過度は、50〜400立方フィート/分(1.4〜11.3m/分)の範囲であり得る。さらなる別の例では、バリアパネルの透過度は、100〜300立方フィート/分(2.8〜8.5m/分)の範囲であり得る。水の0.5インチの圧力降下(125Pa)で、材料の1平方フィートの表面を通過する空気の透過度を立方フィート/分の単位で表すフレイザー通気度は、フレイザー・プレシジョン・インスツルメント社(Frazier Precision Instrument Company)から入手可能なフレイザー通気度試験機を用いて測定され、連邦試験方法5450、基準第191A号(Federal Test Method 5450, Standard No. 191A)に従って求められる。バリアパネルが約33〜87gsm(1〜2.6osy)の坪量を有するSMS材料を含んでなるまたはバリアパネルに前記SMS材料が組み込まれた場合、バリアパネルの透過度は、ISO 9237:1995に概ね従って測定すると、約20〜75立方フィート/分(0.6〜2.1m/分)の範囲であり得る(125Paの試験圧力で、38cmのヘッドを用いて、自動化された通気度測定機によって測定した。例示的な通気度測定機は、スイス国のTEXTEST AG社から入手可能なTEXTEST FX 3300である)。SMS材料の複数のプライまたは層を用いて約67〜167gsm(2〜5osy)の範囲の坪量を提供するようにした場合、ISO 9237:1995に概ね従って測定すると、バリアパネルの通気度は、約10〜30立方フィート/分(0.3〜0.8m/分)の範囲であり得る。
【0093】
上述したように、柔軟性多層パネル滅菌アセンブリ100は、バリアパネル102の第2の端部118から延びる少なくとも1つのプルタブ300を含み得る。プルタブ300は、バリアパネルと同一の材料から作製してもよいし、バリアパネルとは異なる1つまたは複数の材料から作製してもよい。プルタブは、柔軟性多層パネル滅菌アセンブリを折り畳むことによって形成されたパッケージの包装を解くときに作業者が把持することができる要素である。作業者がプルタブを掴むことによって、バリアパネルにおける折り畳まれていない物品接触部分により形成された滅菌野を損なうことなく、滅菌すべき物品を収容しているパッケージの包装を解くことができる。プルタブ300は、バリアパネルに取り付けられるか、または、バリアパネルと一体的に設けられる。本発明の一態様では、包装を解く間にプルタブ300に力が加えられたときにバリアパネルの折れや曲がりが減少するかまたはなくなるようにするために、バリアパネルにおけるプルタブ300の縁部と隣接する部分に十分な強度、剛性または支持が提供されるように、バリアパネルは、プルタブ300の縁部またはその近傍と、ステッチドシーム(stitched seam)、超音波シーム、接着結合シーム、熱機械的結合シーム(例えば、バーシールシーム)またはそれらの組み合わせなどのシームを用いて互いに結合される。このことは、包装を解く間に物品の無菌性を維持するために重要である。例えば、図7Bに示した第2の縁部122及び第4の縁部126が部分的にまたは実質的に結合されることによって、前記構造が提供される。別の例では、図8Aに示した第2の縁部126が部分的にまたは実質的に結合されることによって、前記望ましい構造が提供される。さらなる別の例では、図8Aに示した第2の縁部126及び/または第4の縁部126を及び第5の縁部128を部分的にまたは実質的に結合されることによって、前記望ましい構造が提供される。
【0094】
本発明の一実施形態では、本発明の滅菌アセンブリは、物品配置領域に、1つまたは複数の別個の補強要素をさらに含む。前記補強要素は、バリアパネルの補強に加えて、滅菌すべき物品を配置するための領域を設定する。前記補強要素は、繊維ウェブ、不透過性フィルム、透過性または多孔質フィルム、有孔フォルム、発泡体、及びそれらの組み合わせから選択される材料の1つまたは複数の層を含み得る。例えば、繊維ウェブには、織ウェブ及び不織ウェブが含まれ得る。織ウェブには、天然材料、合成材料、またはそれらの混合物が含まれ得る。例えば、天然材料は、綿糸の織物であり得、合成材料は、ポリプロピレン、ポリエステルまたはナイロン糸などの織物であり得る。不織ウェブには、例えば、スパンボンド、メルトブローン、カーデッドウェブ、湿潤形成されたまたはエアレイドされたウェブ、またはそれらの積層体(例えば、スパンボンド/メルトブローン/スパンボンド)が含まれ得る。そのような不織布ウェブには、天然または合成材料またはそれらの混合物が含まれ得る。前記補強要素には、透過性フィルム、不透過性フィルムまたはそれらの積層体から選択される材料の1つまたは複数の層が含まれる。透過性フィルムは、有孔性または微細孔性であり得る。有孔性フィルムは、機械的な孔加工、真空による孔加工、または他の商業的に利用可能な技術によって形成される。微小孔フィルム及び他の同様のフィルムは、米国特許第5,695,868号、米国特許第5,698,481号、米国特許第5,855,999号、及び米国特許第6,277,479号に概して説明されているようにして作製することができる(これらの特許文献の内容は参照により援用されるものとする)。不透過性フィルムは、単層または共押し出しされたものであり得、ポリエチレン、ポリプロピレン、それらのコポリマー、ビニル、金属箔などのフィルム材料から構成することからできる。前記フィルムは、上述した繊維ウェブに積層させてもよいことに留意されたい。
【0095】
補強要素は、バリアパネルにおける別個の領域であり、前記物品がバリアパネル材料に対して力を集中させる可能性のある位置において、バリアパネルが圧力切断、圧力孔形成、裂けなどによって損傷する可能性を減少させるための追加的な材料または処理を含む。補強要素は、バリアパネル材料よりも透過性が低くあるべきであり、適切な滅菌作用及び滅菌ガスの除去を可能にしながらも高温空気流または他の殺菌ガスに対して不透過性でさえあるべきである。フレイザー通気度の単位で特徴付けられるように、滅菌パッケージウェブの通気度が25立方フィート/分(cfm)(0.7m/分)よりも大きいときに、許容可能な滅菌及び滅菌ガスの除去が行われることが分かっている。そのため、滅菌パッケージ全体が適切な通気度(約25cfmよりも高い通気度)を有する限りは、不透過性または滅菌パッケージ材料よりも通気度が低い補強要素材用も許容可能である。不透過性または低透過性の補強要素材料が望ましい場合、滅菌パッケージ全体の透過度は、補強要素により覆われる領域を変えることにより変更することができる。滅菌パッケージウェブは、全体として、少なくとも約25cfmの透過度を維持することが望ましい。
【0096】
補強要素はまた、バリアパネル102の物品配置領域130を画定するように構成され得る。代替的にまたは追加的に、補強要素は、パネル結合手段と協働して、バリアパネル102の物品配置領域130を画定するように構成され得る。例えば、補強要素は、不連続形状の形態で、物品配置領域内に配置され得る。図10Aないし図10Dは、バリアパネル102、パネル結合手段106及び折り畳み保護パネル108から構成され、補強要素302をさらに含む例示的な柔軟性多層パネル滅菌アセンブリ100を示している。
【0097】
図10Aは、バリアパネル102の物品配置領域内における互いに離間した位置に配置された4つの補強要素302を有する柔軟性多層パネル滅菌アセンブリ100を示す。4つの補強要素302は、物品配置領域130内における滅菌トレイまたは同様の物品の角部に対応する位置に配置されている。図10Bは、バリアパネル102の物品配置領域内における、所定の折り線116からそれに概ね対向するバリアパネル102の第4の縁部126及び第5の縁部128まで延在する互いに離間した位置に配置された2つの補強要素302を有する柔軟性多層パネル滅菌アセンブリ100を示す。2つの補強要素302は、物品配置領域130内における滅菌トレイまたは同様の物品の角部に対応する位置に配置されている。図10Cは、バリアパネル102の物品配置領域内で互いに離間して、第1の縁部120及び第3の縁部124またはその近傍に設けられた2つのパネル結合手段106の間の位置に、かつ所定の折り線116と概ね平行に配置された2つの補強要素302を有する柔軟性多層パネル滅菌アセンブリ100を示す。2つの補強要素302は、物品配置領域130内における滅菌トレイまたは同様の物品の角部に対応する位置に配置されている。図10Dは、バリアパネル102及び折り畳み保護パネル108の互いに離間した位置に配置された2つの補強要素302を有する柔軟性多層パネル滅菌アセンブリ100を示す。2つの補強要素302は、折り畳み保護パネル108の遠位端部144からバリアパネル102の第4の端部126及び第5の端部128まで概ね平行な形態で延在する。2つの補強要素302は、物品配置領域130内における滅菌トレイまたは同様の物品の角部に対応する位置に配置されている。図10Aないし図10Dには、バリアパネルの底部から延出するプルタブまたはテイル300が示されていることに留意されたい。この図示は、単に、プルタブまたはテイル300が含まれ得ることを示すことを目的としたものであり、好適な構成を示すものではない。
【0098】
当然ながら、補強要素は、様々な形状、サイズ及び他の形態を有し得る。図11A及び図11Bは、例示的な補強要素302を示す。図11Aは、略三角形の形状を有する補強要素を示す。図11Bは、複数の三角形要素を互いに重ね合わせて構成した例示的な補強要素302を示す。代替的に及び/または追加的に、図11Bに示した補強要素302は、単一の材料片から作製され得る。例えば、H字パターンやX字パターンなどの他の形状または形態も想定される。
【0099】
本発明の一態様では、本発明の使い捨て式の柔軟性多層パネル滅菌アセンブリの構造は、2つの主要材料片に基づいている。ここで図12を参照すると、例示的な使い捨て式の柔軟性多層パネル滅菌アセンブリ100の分解図が示されており、第1の材料層304と第2の材料層306が示されている。この構造では、第1の材料層304及び第2の材料層306が互いに重なり合って、バリアパネル102を画定している。一般的に言えば、前記2つの層は、接着剤、超音波接合、熱機械的接合などによって互いに接合され得る。前記2つの層は、少なくとも2つの縁部またはその近傍において、所定の折り線に沿って、互いに接合されることが望ましい。例えば、前記2つの層は、第1の縁部120及び第3の縁部124に沿って、互いに接合され得る。前記接合は、完全なシームであり得るか、または前記縁部が該縁部の一部またはいくつかの部分だけに沿って部分的に結合され得る。代替的に及び/または追加的に、前記接合は、各縁部の全てまたは一部に沿って断続的または不連続的であり得る。当然ながら、他の縁部も結合され得るか、または前記層がそれらの全面積の全てまたは一部に渡って互いに結合され得る。そして、第1の材料層304及び第2の材料層306が重なり合っていない領域が、折り畳み保護パネル108を形成している。一般的に言えば、第1の材料層304及び第2の材料層306は、互いに同一の材料または互いに異なる材料であり得る。例えば、第1の材料層304は、スパンボンド不織材料、軽量不織積層材料、またはバリアパネルにとって望ましいバリア性(または他の性質)を欠いている材料の単一層または複数層であり得る。第2の材料層306は、第1の材料層304よりも高いレベルのバリア性を有することが望ましい。例えば、第2の材料層306は、SMS材料などの不織繊維の積層体であり得る。第2の材料層306は、第1の材料層304とは異なる色及び/または模様を有し得る。例えば、第1の材料層304は第1の色(例えば青色)、暗い色、またはカラースケールにおける特定の色を有し、第2の材料層306は、無色(例えば白)、第2の色(例えば明るい色)、またはカラースケールにおける前記第1の色に対して対照的な特定の色を有する。
【0100】
図12に概して示すように、使い捨て式の柔軟性多層パネル滅菌アセンブリ100の第1の面110は、第2の材料層306及び第1の材料層304から形成され得、第1の面110の反対側の面である第2の面112は、第1の材料層304から形成され得る。使い捨て式の柔軟性多層パネル滅菌アセンブリ100の第1の面110を第1の材料層304から形成し、第1の面110の反対側の第2の面112を第1の材料層304及び第2の材料層306から形成することも考えられる。また、複数の層の他の組み合わせを用いることも考えられ、例えば、第1の材料層304の寸法に概ね対応する2つの材料層で、第2の材料層306の寸法に対応する中間材料層を挟むかまたは包囲し、第1の面110及び第2の面112が概ね同じ寸法になるようにし、一方の表面において2つの別個の材料層が露出しないようにする(すなわち、第1の材料層304及び第2の材料層306の両方が露出しないようにする)ことも考えられる。
【0101】
第1の材料層304と第2の材料層306との間の色の差異またはコントラストは、バリアパネルのバリア性の損失を示すインジケータとして機能させるのに有用であり得ることが想定される。
【0102】
ここで図13を参照すると、例示的な使い捨て式の柔軟性多層パネル滅菌アセンブリ100の分解断面図が示されており、第1の材料層304及び第2の材料層306が示されている。この形態では、第1の材料層304及び第2の材料層306が互いに重なり合って、バリアパネル102を画定している。そして、第1の材料層304及び第2の材料層306が互いに重ね合っていない領域が、折り畳み保護パネル108を形成している。この断面図は、補強要素302も図示している。補強要素302は、第1の表面110上に存在し得、望ましいことに、パネル結合手段106間にバリアパネル102の物品配置領域130を設定している。代替的に及び/または追加的に、補強要素302は、第1の表面110の反対側の第2の表面112上に配置され得る。
【0103】
滅菌ラップには、裂け、切断、穿刺、孔形成またはその他の破損などを含む様々な種類の損傷が起こり得る。どの損傷も深刻な結果を生じ得る。従来、より一般的な種類の損傷には、従来の滅菌ラップ繊維で包装されるかまたは別の方法で包囲される滅菌トレイまたは他の物品から開始される裂け、孔形成または切断が含まれると考えられてきた。言い換えれば、裂け、切断または穿孔は、滅菌トレイまたは他の物品と滅菌ラップ繊維との界面で始まり、滅菌ラップ繊維の内側から伝搬されて前記材料を貫通し、最終的に破壊すると考えられていた。したがって、滅菌トレイまたは他の物品と滅菌ラップとの間に配置される角部保護材(コーナーガード)及び他の種類の保護材を開発することに多くの努力が費やされてきた。
【0104】
本発明の一態様では、孔または切断部に隣接する繊維が互いに溶融または「溶接」したように現れる種類の圧力孔及び圧力切断は、通常、従来の滅菌ラップ繊維で包装されているかまたは他の方法で取り囲まれている滅菌トレイまたは他の物品よりもむしろ、パッケージ(すなわち、滅菌ラップ繊維で取り囲まれている物品)の外側から伝搬されることが分かっている。本出願人は、バリアパネル102の第2の面112は使い捨て式の柔軟性多層パネル滅菌アセンブリ100における物品(例えば滅菌トレイ)と接触しない部分であり、通常は被覆されたパッケージの外側を形成するので、補強要素302をバリアパネルの第2の面112に配置することにより予期せぬ利点を提供することができることを見出した。圧力穿孔及び圧力切断は包装されたパッケージの外側から伝搬される傾向があることが本願発明者により見出されたので、第2の面112に配置された補強要素302は、圧力穿孔及び圧力切断に対するより効率的な保護を提供する。本願発明者は、特定の作用理論に拘束されることを望まないが、滅菌ラップで包装された物品が十分な力ででこぼこな面に1回または複数回接触したとき、前記でこぼこ面によって力が集中して破壊を引き起こすエネルギーが生成されるので、圧力切断及び圧力穿孔がより頻繁に発生することを見出した。
【0105】
前記接触は、個々の包装された滅菌トレイまたは包装された滅菌トレイのスタック(特に重量が過剰の場合)が、カートまたは他の同様の用具によって運ばれ、前記カート等が突然停止したり(例えば衝突により)、ぶつかったりまたは突然の衝撃を受けたときに頻繁に生じる。他の接触は、包装されたトレイを落としたとき(特にカートの縁部に)、包装されたトレイが滑らかな面を横切って引きずられたり押されたりしたとき、包装されたトレイが硬い面と接触したとき、及び/または、包装されたトレイに過剰な圧力が加えられたときに起こる。例えば、約9キログラム(20ポンド)のトレイを保管棚を横切って引っ張って、トレイの前側端部を持ち上げてトレイの全重量が後側縁部にかかるようにすると、圧力切断が生じ得る。別の例では、病院の別な領域に移動させる間に、包装されたトレイをカートまたは貯蔵棚の縁部の上に落とすと、(落下が短い距離であっても)圧力穿孔が生じ得る。
【0106】
一般的に言えば、補強要素を利用することにより、試験される各バリア材料についての圧力孔の形成を減少させる。定量的に、圧力孔の形成は、試験されるバリア材料並びにバリア材料及び補強要素(コーナーガード)の坪量に応じて、30〜46%減少する。
【0107】
補強要素を比較的低い坪量(例えば、約1osy)のバリア材料と共に用いる場合、低い坪量の補強要素(例えば、約0.1〜1osy)は、バリア材料における圧力孔形成を大幅に減少させる。補強要素の坪量をさらに増加させると(例えば、坪量を約1osyから約2osyへ)、バリア材料における圧力孔形成は減少するが、減少はわずかである。。補強要素の坪量をさらに増加させても(例えば、坪量を約2osyを超える値に)、バリア材料における圧力孔形成は、ほとんど減少しない(たとえあったとしても、わずかである)。
【0108】
本願発明者は、特定の作用理論に拘束されることを意図しないが、バリア材料の外側(すなわち、バリア材料の最外面)に設けられた補強要素によって保護されない比較的「弱い」バリア材料(例えば、比較的低い坪量)は、最終的には、バリア材料の内面(すなわち、滅菌すべき物品と接触する内面)に用いられる補強要素の「強さ」(例えば、比較的高い坪量)の程度にかかわらず、同じ割合で損傷が生じる。
【0109】
補強要素を、中程度の坪量(例えば、約1.8osyの坪量)のバリア材料と共に用いた場合に、バリアパネルの内面(すなわち、滅菌すべき物品と接触する内面)に低い坪量(例えば、約0.1〜1osyの坪量)の補強要素を使用すると、バリア材料における圧力孔の形成を大幅に減少させることができる。内面において補強要素の坪量をさらに増加させても、バリア材料に対するさらなる利益が得られないという同様の「プラトー(plateau)」が存在すると考えられている。
【0110】
比較的軽量の補強要素(〜1osy)の使用は、全ての坪量のバリア材料(1〜2osyの範囲のバリア材料)における圧力孔の形成を減少させる。バリア材料の坪量を増加させると、バリア材料自体の坪量が、補強についての最も重要な要素となり、圧力孔の形成を減少させる。しかし、その場合でも、軽量の補強要素を用いると、補強要素を用いない場合と比較して、試験されるバリア材料の中で最も重いバリア材料(〜2osy)における圧力孔形成を減少させることができる。外挿法は、3osy以上のバリア材料は、1osyの補強要素から利益を受けないことを示唆している。
【0111】
一般的に言えば、この試験の結果は、バリア材料の坪量が増加すると損傷パーセントが減少することを示している。補強要素を、滅菌トレイとバリア材料との間に配置した場合、バリア材料に対して組み合される部品の坪量を増加させると(すなわち、バリア材料の坪量が一定で補強要素の坪量を増加させると)、損傷パーセントは減少するが、対応する坪量を有するバリア材料と比べると、より高い割合で横ばい状態になる。
【0112】
驚くべきことに、補強要素をバリア材料の外側に配置し、(少なくとも滅菌トレイの角部において)補強要素がバリア材料と棚の表面との間に位置するようにした場合、バリア材料に対して組み合される部品の坪量を増加させると(すなわち、バリア材料の坪量は一定で、補強要素の坪量を増加させると)、好ましいことに、同様の坪量を有するバリア材料よりも損傷率が低下する。
【0113】
このことは、従来は滅菌ラップ材料全体の坪量を大きくすることによってのみ提供された圧力切断または圧力孔に対する耐性プロフィールを提供しながら、バリアパネルの坪量を減少させたかまたは少なくとも低いレベルに維持した、滅菌アセンブリを提供すると解釈される。
【0114】

【0115】
以下の例において、使い捨て式の柔軟性多層パネル滅菌アセンブリの性状を評価した。
【0116】
剥離試験手順:使い捨て式の柔軟性多層パネル滅菌アセンブリのパネル結合手段によって与えられる剥離力に対する抵抗を、以下の剥離試験手順を用いて評価した。
【0117】
1.2 この試験は、パネル結合手段を用いて互いに重ねられかつ結合された2つのバリアパネルを分離するために必要な「Z」方向剥離強度(接合強度)を測定することを目的とする。
【0118】
1.3.1 パネル結合手段が、図8A及び図9(A)に示されているように構成された両面テープまたはフックアンドループ型締結システムなどである場合、およそ254×152.4mm(10×6インチ)の2つのバリアパネル試験片を、その中央に(すなわち、縁部から離れて)配置された101.6×25.4mm(4×1インチ)のパネル結合手段の試験片を挟み込むようにして、重ね合わせる。パネル結合手段を係合させている間、試験片上でサンプルの「長さ」方向にローラを3サイクルにわたって転がす。ローラ装置は、重量が4.5ポンド(2.04kg)あり、ローラの周りがゴム被覆されている。適切なローラは、オハイオ州メンターに事業所を持つケムサルタンツ・インターナショナル社(Chemsultants International)から入手可能な部品番号HR-100である。その後、重ね合わせた2つのバリアパネルの互いに隣接する端部(すなわち、重ね合わせたバリアパネルの同じ側の縁部上の2つの端部)を、引張試験機の2つの対向するグリップにそれぞれクランプする。グリップの各端部は、重ね合わせた2つのバリアパネルを結合しているパネル結合手段から少なくとも約13〜19mm(0.5〜0.75インチ)の距離離間させる。2つのグリップが互いから離れるときに2つのバリアパネルを完全に分離するのに必要な平均負荷を測定する。これが試験片の接合強度である。結果はグラム重の単位で表す。この数が大きいほど、織物が、より強く、より良好に接合されたものであることを意味する。
【0119】
1.3.2 パネル結合手段が、図6、図7A及び図7Bに示されているようにバリアパネルの1辺またはその付近から延出するファスナである場合、101.6×25.4mm(4×1インチ)のファスナ試験片の遠位端または遠位部分(すなわち、図6、図7A及び図7Bに示されているようにバリアパネルに結合していない端部または部分)をバリアパネル試験片に結合する。ファスナの近位端または近位部分(すなわち、図6、図7A及び図7Bに示されているようにバリアパネルに予め結合された端部または部分)は結合しない。パネル結合手段を係合させている間、試験片上でサンプルの「長さ」方向にローラを3サイクルにわたって転がす。ローラ装置は、重量が4.5ポンド(2.04kg)あり、ローラの周りがゴム被覆されている。適切なローラは、オハイオ州メンターに事業所を持つケムサルタンツ・インターナショナル社から入手可能な部品番号HR−100である。ファスナ試験片の遠位端部/部分を、バリアパネル試験片から試験片の長さに沿って、約13〜19mm(0.5〜0.75インチ)の距離にわたって、手で分離する。その後、手で分離したバリアパネル試験片部分を引張試験機の1つのグリップにクランプし、次に、手で分離したファスナ試験片部分を引張試験機の他方のグリップにクランプする。2つのグリップが互いから離れるときにファスナの構成部分層をバリアパネルから完全に分離するのに必要な平均負荷を測定する。これが試験片の接合強度である。結果はグラム重の単位で表す。この数が大きいほど、織物が、より強く、より良好に接合されたものであることを意味する。
【0120】
1.4 定義
【0121】
1.4.1 平均負荷:特定の剥離領域すなわち25〜178mmにおいて収集したピークの平均。
【0122】
1.4.2 層間剥離:付着機構の機能停止による材料層の分離。付着強度は、特定の条件下でパネル結合手段によって互いに結合されているバリアパネル同士を分離するのに必要な引張力である。
【0123】
1.4.3 Z方向:材料(すなわちバリアパネル)の平面に対して垂直または直交する方向。
【0124】
1.5 本方法は、MTS社のウィンドウズ(登録商標)用TestWorks(登録商標)ソフトウェアに準拠する。
【0125】
2.1 引張試験機に適切なロードセルがあることを検証する。ロードセルの調整(暖機)に関しては、製造業者の仕様書を参照されたい。
【0126】
2.2 引張試験機に適切なグリップを確実に取り付ける。グリップ及びグリップフェースに盛り上がりがなく、グリップフェースに凹みや他の損傷がないようにする。
【0127】
2.3 グリップを操作するための空気圧を、製造業者の最大負荷仕様を超えて設定しない。
【0128】
2.4 コンピュータのスイッチを入れ、ソフトウェアのメニュー選択に従う。
【0129】
2.5 指示に従って、使用される引張試験機のロードセルを較正する。
【0130】
2.6 引張試験機パラメータが次の仕様に合っていることを検証する。
クロスヘッド速度 305±10mm/分(12±0.4インチ)
ゲージ長 25.4±1mm(1±0.04インチ)
負荷単位 グラム重
フルスケール負荷 10ポンド(4.54kg)のロードセル
試験結果 平均負荷
開始測定値 25.4±1mm(1±0.04インチ)
終了測定値 177.8±1mm(7±0.04インチ)
終点 21.6cm(8.5インチ)
【0131】
3.1 パネル取付具の101.6mm×25.4mm(4インチ×1インチ)の試験片を切断し、ステップ1.3.1またはステップ1.3.2に従って試験を進める。試験片の取扱いは最低限にとどめ、試験片には折り目、しわまたはひだがないものとする。
【0132】
4.1 ステップ1.3.1または1.3.2に従って、グリップに試験片をセットする。
【0133】
4.1.1 互いに接合された試験片の接合部が中央に位置しかつ緩みがないように、一方の試験片の自由端を一方のグリップに、他方の試験片の自由端を他方のグリップに取り付ける。試験片同士が互いに或る角度をなすようにしてクランプしないこと。
【0134】
4.2 クロスヘッドを始動させる。
【0135】
4.3 試験片が完全に分離(すなわち離層)するまで試験を行う。試験片が完全に引き離されるまでは、リターンボタンを押したり別な方法で試験を止めないこと。
【0136】
4.4 平均負荷をグラム重で記録する。
【0137】
4.5 試験片を取り除く。
【0138】
4.6 残りの試験片に対して繰り返す。
【0139】
5.1 試験片の各個別試験に関して、平均負荷を0.1グラム重の位に丸めて報告する。
【0140】
5.2 全試験片の平均を計算し、これをサンプル値として報告する。
【0141】
6.1 引張試験機
コンピュータベースのデータ収集及びフレーム制御システムを備えた定速伸長(CRE)引張試験機
【0142】
6.2 ロードセル
使用される引張試験機に対して適切な型を選択する。ピーク負荷の大部分がロードセルの容量の10%〜90%に収まるようなロードセルを用いる。6.1〜6.2をインストロン社(Instron Corporation, Canton, MA 02021, OR MTS Systems Corporation, Eden Prairie, MN 55344-2290)から調達する。
【0143】
6.3 ロードセル用アダプタ
必要な場合、15.9mm上方
【0144】
6.4 ユニバーサルジョイント
【0145】
6.4.1 任意選択:シンテック社(Sintech)製小型ロードセルスイベル
一方の側が1/4-28 UNC雄スタッド、他方の側が1/4-28UNC雌ねじ、定格75lb
【0146】
6.4.2 任意選択:シンテック社製ユニバーサルロードセルスイベル
一方の側が1/4-28 UNC雄スタッド、他方の側が12.7mm(0.50インチ)雌ソケット、定格300lb
【0147】
6.4.3 任意選択:シンテック社製ロードセルアダプタスイベル
15.88mm(0.625インチ)雄ソケットを12.7mm(0.50インチ)雌ソケットへ、定格300lb
【0148】
6.6 引張試験機のためのコンピュータデータ収集及び制御システム
例:MTS社のウィンドウズ(登録商標)用TestWorks(登録商標)、または同等のもの。
【0149】
6.7 試験マクロ
MTS社のウィンドウズ(登録商標)用TestWorks(登録商標)ソフトウェア・バージョン4.0またはインストロンBluehillソフトウェアとともに使用するためのもの。
【0150】
6.8 グリップ及びフェース
空気圧式
【0151】
6.8.1 上部グリップ及び下部グリップ
サイドアクション手動エアスイッチ(例えば、インストロン社製、部品番号2712-003、または同等のもの)及び
【0152】
6.8.1.1 グリップフェース
25.4×76.2mm(1×3インチ)のフェース、ゴム引きの上部及び下部(例えば、インストロン社製、部品番号2702-035、または同等のもの)あるいは
【0153】
6.8.2.1 標準容量のグリップ及びフェース
上部及び下部−5000グラムの最大負荷のために設計された標準容量のグリップとフェースの組み合わせを用いる。結果がこの限界に近付いたら、被試験材料を観察する。滑りが認められなければ、最大負荷定格90.7kgのインストロン社製グリップ及びフェースを用いる。
【0154】
7.2 実験室条件:制御試験環境を23±2℃及び相対湿度50±5%に維持する。
【0155】
せん断試験手順:使い捨て式の柔軟性多層パネル滅菌アセンブリのパネル結合手段によって与えられるせん断力に対する抵抗を、上記した剥離試験手順と実質的に同じであるが以下の点において相違する試験手順を用いて評価した。
(i)10ポンド(4.54kg)のロードセルの代わりに50ポンド(22.7kg)のロードセルを用いた。i
(ii)ステップ1.3.1において、サンプルを、グリップの進行面に平行に向け、重ね合わせたバリアパネルの互いに対向する端部(すなわち、重ね合わせたバリアパネルの互いに反対側の縁部上の2つの端部)を引張試験機の各グリップにクランプする。
(iii)ステップ1.3.2において、ファスナ試験片の長さに沿って約13〜19mm(0.5〜0.75インチ)の距離にわたって試験片の遠位端部/部分をバリアパネル試験片から手で分離する。サンプルを、グリップの進行面に平行に向ける。その後、バリアパネル試験片の手で分離した部分を引張試験機の或るグリップにクランプし、次に、ファスナ試験片の手で分離した部分を引張試験機の他方のグリップにクランプする。
(iv)平均負荷の代わりに、グリップが互いから離れる際に試験片を完全に分離するのに必要なピーク負荷を測定した。
【0156】
例1 時間動作研究
【0157】
被験者の選択及び試験手順
【0158】
この研究のために、健康管理の経験が全くないかまたは最低限の経験がある57人の個人からなる無作為な集団を選択した。これらの個人に、訓練及び包装/解包試験のために2つのラップの一方を無作為に割り当てた。彼らの選択の必要条件を、病院の中央滅菌部門を以前経験したことのない者に限定した。中央滅菌部門経験者は、外科用ラップを既に使用したことがあるかもしれないので、訓練に関連する試験の基準に合わないであろうというのが、この必要条件の理由である。
【0159】
試験手順に関して、第1の試験は訓練の時間/容易さに関するものであった。或る個人が訓練され、2つの外科用ラップのうちの一方の使用に熟練したと見なされた時点で、その人は、包装/解包試験を受ける対象になった。
【0160】
訓練試験−包装手順を学習するために必要な時間
【0161】
この訓練試験は、被験者が訓練を受けて一方のタイプの滅菌ラップの包装及び解包に習熟する学習曲線及び必要時間を求めるために行った。
【0162】
個人の包装訓練に必要な時間を測定するための試験では、先ず、熟練した訓練者がラップ及び様々なタイプの関連機器の概略説明を行った。訓練者は次にラップの実際の使用方法の詳細な段階的な説明を被験者に行い、どんな質問にも答えた。次のステップでは、最後に1回トレイの包装及び解包について最初から一通り説明してから、被験者が一連の行動を行うようにした。被験者は、指導及びフィードバックを受けてトレイをうまく包装しかつ解包する試行を続けた。間違いを犯すたびに、訓練者によって概説されるように、被験者は最初から過程をやり直した。被験者が、失敗、ステップの欠落及び/または訓練者からのフィードバックなしで5回連続で手術トレイをうまく包装できるようになるまで、訓練者は、助言及び指導を与えた。この時点が試験の終わりを意味した。被験者は、トレイをうまく包装する能力及び習熟度を実証することができた時点で、「熟練」被験者と見なされた。
【0163】
上記したように、各被験者を一方のタイプのラップについて訓練することにより、他方のタイプのラップを使用する経験から得られたかもしれない利点がないようにした。これはまた、2つのサンプル集合間の独立性を維持した。最後に、訓練中に或る特定のラップを4回以上の試行に用いることはなかった。1回の試行が終わる毎に向きを変えるためにキムガード(登録商標)ワンステップ(登録商標)ラップを裏返し、1回の試行が終わる毎に多層パネル滅菌アセンブリに剥離ライナーを貼り直した。
【0164】
包装及び解包時間
【0165】
包装時間を試験するために、多層パネル滅菌アセンブリ及びキムガード(登録商標)ワンステップ(登録商標)ラップの両者を用いてトレイを包装する熟練被験者群を選択した。上記したように、訓練試験中にこれらの被験者を見極めた。
【0166】
包装及び解包時間の試験中、被験者は、次の概略寸法、すなわち、長さ=508mm(20インチ)、幅=266.7mm(10.5インチ)、高さ=88.9mm(3.5インチ)(病院で最も多く使用されるトレイサイズ)を有する単一サイズの手術トレイの包装及び解包を連続して行うよう要求された。各使用(包装及び解包)後にラップを廃棄することにより、使用後にラップに生じ得る配置マークを試験者がうまく利用することを防止した。これにより、試験間の独立性を確保した。時間を計るために、包装過程の開始を、包装テーブルの上でラップが完全に開いており、かつ試験者が手術トレイを手に持っているときとした。包装過程の終了は、トレイが完全に包装されかつテープで留められ、試験者が包装テーブルから一歩離れたときとした。その一方で、解包の開始を、試験者がトレイの包装を解くために初めてラップに触れたときとし、終了を、開いたラップの上でトレイが完全に露出し、試験者が包装テーブルから一歩離れたときとした。
【0167】
包装または解包過程中に被験者が標準過程に従わなかった場合、サンプルを有効であるとは考えず、試験を繰り返した。
【0168】
統計的分析手法
【0169】
2つの試験の各々に対する統計的分析を行うにあたり、両ラップのための包装及び解包並びに人材の訓練にかかる時間は独立しておりかつ正規分布しているものと仮定した。2つの試験の各々を分析するために取った手法は、各ラップに必要な作業時間の平均間の差に関して95%信頼区間を画定することであった。信頼区間は、2つの試験の各々に対する2つの平均時間間の統計的差異があるか否かを示し、もしあれば、その差異がどれほどのものであるかを確定した。
【0170】
2つの試験の各々に対し、キムガード(登録商標)ワンステップ(登録商標)ラップを用いた場合に包装/解包または人材の訓練にかかる時間をμで表し、多層パネル滅菌アセンブリを用いた場合にかかる時間をμで表した。分散はそれぞれσ及びσで表した。この研究では、平均及び分散はともに未知であった。
【0171】
2つの試験の各々に対し、キムガード(登録商標)ワンステップ(登録商標)ラップ及び多層パネル滅菌アセンブリのそれぞれに関して、サンプルサイズn及びnの無作為かつ独立した時間動作研究を行った。サンプル平均時間をxbar及びxbar、サンプル分散をs及びsでそれぞれ表した。μ−μの95%信頼区間を作るために、先ず、次のように合併推定値を計算した。
【0172】
【数1】

【0173】
次に、t統計量及び自由度n+n−2のt分布並びに次の定理を用いて、μ−μの95%,100(1−α)の両側信頼区間を決定した。
【0174】
【数2】

【0175】
この分析から得られた範囲、平均間の差により、上記した2つの試験の各々に必要な作業時間の差が統計的に確認された。
【0176】
サンプルサイズの決定
【0177】
母集団とサンプル平均との特定誤差の初期推定値、独立したサンプル集合の標準偏差、及び初期信頼区間要件の分析に基づき、時間動作試験中における2つの試験のためのサンプルサイズを決定した。この初期解析から、次の統計定理を用いて適切なサンプルサイズを決定した。
【0178】
【数3】

【0179】
n=適切なサンプルサイズ
z=正規分布によって概算することができる帰無仮説下での検定統計量
α=要求される信頼水準、例えば95%
σ=サンプル集合の推定標準偏差
e=規定誤差:|xbar−μ|
【0180】
α及びe値は、2つの試験の各々において各ラップに要求される推定平均作業時間に必要な精度レベルを調節する。95%信頼水準(α)及び±10%誤差(e)は、全試験で用いたサンプルサイズの精度管理の最小許容値であった。
【0181】
包装及び解包の標準手順
キムガード(登録商標)ワンステップ(登録商標)ラッピングの標準手順
この手順は、図4に大まかに図解されている。
ステップ1−包装紙をテーブルの上に置く
ステップ2−器具用トレイを配置する
ステップ3−トレイを完全に覆うように下部を折り重ねる
ステップ4−隅が覆われているかどうか確認する
ステップ5−把持部を折り返す
ステップ6−肘で把持部を適所に保持する
ステップ7−一方の側部を引き寄せる
ステップ8−側部を折る
ステップ9−側部の把持部を折り返す
ステップ10−肘で把持部を保持し、反対側の側部を引き寄せる
ステップ11−側部を折る
ステップ12−反対側の側部の把持部を折り返す
ステップ13−肘で把持部を保持し、上部を掴む
ステップ14−上部を引き寄せて最終フラップ部を作る
ステップ15−最終フラップ部をパッケージ上に持ってくる
ステップ16−パッケージ全体が覆われるように上部の両側部を広げる
ステップ17−ひだを折り込んで開放把持部を作る
ステップ18−テープで固定するステップ1(ひだが折り込まれた最終フラップ部を横切る第1のテープ片)
ステップ19−テープで固定するステップ2(ひだが折り込まれた最終フラップ部を横切る第2のテープ片)
ステップ20−パッケージの幅全体にわたってテープで固定して各側部を密閉するステップ3
完了
【0182】
キムガード(登録商標)ワンステップ(登録商標)の解包の標準手順
ステップ1−各側部上の長いテープを破るステップ1&2(すなわち、包装ステップ20においてパッケージの各側部に貼り付けたテープを破る)
ステップ2−テープを破るステップ3(すなわち、包装ステップ18において折りひだをつけた最終フラップ部を横切って貼り付けたテープを破る)
ステップ3−テープを破るステップ4(すなわち、包装ステップ19において折りひだをつけた最終フラップ部を横切って貼り付けたテープを破る)
ステップ4−開放把持部(すなわち、包装ステップ17で作った把持部)を掴む
ステップ5−把持部を自分の方へ引っ張る
ステップ6−上部層を自分から遠ざかる方向に広げる
ステップ7−側部の把持部(すなわち、包装ステップ12で作った把持部)を掴み、側部に引っ張る
ステップ8−他方の側部の把持部(すなわち、包装ステップ9で作った把持部)を掴み、側部に引っ張る
ステップ9−最終折り返し部の把持部(すなわち、包装ステップ5で作った把持部)を掴む
ステップ10−最終折り返し部を開くように引っ張る
完了
【0183】
多層パネル滅菌アセンブリの解包の標準手順
この手順は、図9に大まかに図解されている。
ステップ1−多層パネル滅菌アセンブリをテーブルの上に置く
ステップ2−器具用トレイを配置する
ステップ3−トレイを完全に覆うように下部を折り重ねる
ステップ4−予め取り付けられているテープ(すなわちパネル結合手段)上の一方の側の露出している接着剤部分から剥離ライナーを取り去る
ステップ5−一方の側部を引き寄せる
ステップ6−側部を折り、予め取り付けられているテープ(すなわちパネル結合手段)で固定する
ステップ7−予め取り付けられているテープ(すなわちパネル結合手段)上の他方の側の露出している接着剤部分から剥離ライナーを取り去る
ステップ8−反対側の側部を引き寄せる
ステップ9−側部を折り、予め取り付けられているテープ(すなわちパネル結合手段)で固定する
ステップ10−最終フラップ部を上部(すなわち折り畳み保護パネル)に引き寄せる
ステップ11−最終フラップ部をパッケージの上に持ってくる
ステップ12−縁部を最終フラップ部の下に折り込む
ステップ13−テープで固定するステップ1(ひだが折り込まれた最終フラップ部を横切る第1のテープ片)
ステップ14−テープで固定するステップ2(ひだが折り込まれた最終フラップ部を横切る第2のテープ片)
完了
【0184】
多層パネル滅菌アセンブリの解包の標準手順
ステップ1−テープを破るステップ1(すなわち、包装ステップ13において折りひだをつけた最終フラップ部を横切って貼り付けたテープを破る)
ステップ2−テープを破るステップ2(すなわち、包装ステップ14において折りひだをつけた最終フラップ部を横切って貼り付けたテープを破る)
ステップ3−上部層(すなわち折り畳み保護パネル)を自分から遠ざかる方向に広げる
ステップ4−両手を使って両側部を掴む
ステップ5−テープ(すなわちパネル結合手段)を剥がして、両側部を広げる
ステップ6−開放把持部(すなわちプルタブ)をラベルにおいて掴む
ステップ7−ラベルを持ち上げる
ステップ8−自分の方へ引っ張る
完了
【0185】
試験結果
【0186】
包装及び解包時間
【0187】
以下のデータは、キムガード(登録商標)ワンステップ(登録商標)ラップ及び多層パネル滅菌アセンブリを用いた包装及び解包時間の試験の統計結果をまとめたものである。
【0188】
【表1A】

【0189】
上にまとめたデータから、キムガード(登録商標)ワンステップ(登録商標)ラップと多層パネル滅菌アセンブリとの平均包装時間の統計的差異を確定した。信頼水準95%で、2つのラップの必要作業時間の実際の差は次の範囲範囲内に収まる:1.06分間≦μ−μ≦1.3分間。この範囲には0が含まれないので、キムガード(登録商標)ワンステップ(登録商標)ラップのための必要包装労働量は多層パネル滅菌アセンブリのための必要包装労働量よりも統計的に多いと推測することができる。
【0190】
【表1B】

【0191】
統計結果
【0192】
上記で収集したデータセットから、キムガード(登録商標)ワンステップ(登録商標)ラップと多層パネル滅菌アセンブリとの平均解包時間の統計的差異を確定した。信頼水準95%で、2つのラップの必要作業時間の実際の差は次の範囲範囲内に収まる:9.5秒間≦μ−μ≦10.9秒間。この範囲には0が含まれないので、キムガード(登録商標)ワンステップ(登録商標)ラップの包装を解くための必要労働量は多層パネル滅菌アセンブリの包装を解くための必要労働量よりも統計的に多いと推測することができる。
【0193】
訓練試験−包装手順を学習するために必要な時間
【0194】
以下のデータは、キムガード(登録商標)ワンステップ(登録商標)ラップ及び多層パネル滅菌アセンブリを用いた訓練時間の試験の統計結果をまとめたものである。
【0195】
【表1C】

【0196】
統計結果
【0197】
上記で収集したデータセットから、キムガード(登録商標)ワンステップ(登録商標)ラップと多層パネル滅菌アセンブリとの平均訓練時間の統計的差異を確定した。信頼水準95%で、2つのラップの必要訓練作業時間の実際の差は次の範囲範囲内に収まる:17.7分間≦μ−μ≦25.5分間。この範囲には0が含まれないので、キムガード(登録商標)ワンステップ(登録商標)ラップのための必要訓練労働量は多層パネル滅菌アセンブリのための必要訓練労働量よりも統計的に多いと推測することができる。
【0198】
結論
【0199】
包装及び解包時間
【0200】
包装
【0201】
キムガード(登録商標)ワンステップ(登録商標)ラップの平均包装時間が1分43秒であり、多層パネル滅菌アセンブリの平均包装時間が32秒であり、2つのラップを比較したとき、試験結果から時間が平均68%減少することが証明される。このように時間の減少が観察されるのは、様々な要因の結果である。多層パネル滅菌アセンブリを用いて手術トレイを包装することで、もう一方に比べて、より単純かつ直感的な技術をユーザに提供する。トレイを包装するために必要とされるのは、より少ない、より単純なステップ及びより少ない接触である。多層パネル滅菌アセンブリは、トレイの最初の正確な配置のための基準線(すなわち所定の折り線)、予め取り付けられている剥離ライナー接着剤、及びより少ない取扱い材料を特徴とする。さらに、キムガード(登録商標)ワンステップ(登録商標)ラップを用いて包装したトレイをテープで密閉するのに平均で18.2秒かかるのに比べて、多層パネル滅菌アセンブリの場合は平均で6.2秒かかる。これは、トレイの上部を(多層パネル滅菌アセンブリを横切って)テープで密閉する必要がないことに起因する。
【0202】
包装過程から最終テープ留め過程が除外される場合(キムガード(登録商標)ワンステップ(登録商標)ラップに関しては包装ステップ18、19及び20を、Smart-Fold(登録商標)パッケージに関しては包装ステップ13及び14を、それぞれ参照のこと)、平均包装時間は、キムガード(登録商標)ワンステップ(登録商標)ラップが1分25秒、多層パネル滅菌アセンブリが26秒である。これは、平均69%の包装時間の減少を表している。
【0203】
包装を解く
【0204】
キムガード(登録商標)ワンステップ(登録商標)ラップは、平均で、包装を解くのに15.8秒かかり、それに比べて多層パネル滅菌アセンブリは5.6秒かかる。この解包時間の減少は、平均64%の時間減少を表している。この減少は、多層パネル滅菌アセンブリの方が、破る必要があるシールテープが少なく(すなわち、キムガード(登録商標)ワンステップ(登録商標)ラップの破壊点が4つであるのに対して2つ)、手順がより単純なので手術トレイと直接接触することなく同時動作が可能になった結果である。
【0205】
訓練−包装手順を学習するために必要な時間
【0206】
トレイを包装及び解包のための適切な標準操作手順に関してエンドユーザを訓練するには、平均で、キムガード(登録商標)ワンステップ(登録商標)ラップには42.4分、多層パネル滅菌アセンブリには20.8分を要する。この51%の時間減少の理由は、上記した包装及び解包仮説において概説した点を同様に反映している。多層パネル滅菌アセンブリの方が、キムガード(登録商標)ワンステップ(登録商標)ラップに比べて、ステップがより直感的で、より単純で、より少なく、構造が人間工学的なので、ユーザは適切な包装及び解包技術をより早く習得することができ、習熟度を実証することができて効果的であった。
【0207】
例2
【0208】
5つの辺すなわち縁部を有する例示的な使い捨て式の柔軟性多層パネル滅菌アセンブリ100を作った。この幾何学形状は図6に大まかに図解されている。多層パネル滅菌アセンブリのバリアパネル102の第2の縁部122は、長さが約914.4mm(約36インチ)である。バリアパネル102の第1の縁部120及び第3の縁部124は、第2の縁部122に垂直であり、各々約88.9mm(約3.5インチ)の長さを有する。折り畳み保護パネル108の第1の縁部146及び第2の縁部148は、各々約482.6mm(約19インチ)の長さを有し、鈍角をなす(必ずしも図6に示した通りではない)。折り畳み保護パネル108の第1の縁部146及び第2の縁部148は、バリアパネル102の長さ914.4mm(36インチ)の底縁部122の真向かいにある。このデザインは、滅菌トレイを物品受容領域130内に置きかつ底縁部122を上に折って折り重ねることによってトレイの上部を覆うとき、約4516cm(約700平方インチ)の表面積を有する典型的な滅菌処理用の滅菌トレイを覆う。
【0209】
2つの予め取り付けられたテープタブの形態をとることができるパネル結合手段106を用いて、バリアパネル102の第1の縁部120及び第3の縁部124をトレイの上部に引き寄せ、次にこれらの縁部を既にトレイの上部に折り重ねられているシートの裏面にテープで留める。これらのタブを用いることにより、滅菌用トレイを用意するときに側部の折り部分を大胆にテープで留める一方でずっと短い長さを用いるデザインが可能になる。さらに、これらのタブを用いることにより、包装過程が楽になり、滅菌処理のためのトレイの準備がより容易かつより迅速になる。トレイを用意する者は、ラップの側部を折り重ねてテープで貼った後、次にラップの上部をトレイの上部に折り重ね、その後、ラップの上隅を内側と外側にひだを折り返してZ折りにし、手術室で無菌で開放するためにラップ上に引張点を作ることができる。
【0210】
このデザインの表面積はわずか812.9cm(1260平方インチ)であり、これはトレイ表面6.45cm(1平方インチ)を覆うためにわずか11.6cm(1.8平方インチ)のバリアパネルしか必要でないことを意味する。特定形状に合わせたデザインは、器具用トレイを包装するのに必要な材料を減らすのに加えて、器具用トレイの表面積6.45cm(1平方インチ)を覆うことが必要な部分にのみ2層の滅菌織物(すなわちバリアパネル)を提供する。2層は、一般に、十分な微生物のバリアを提供するために必要な構造である。従って、滅菌トレイを包装するために用いられる追加の材料表面積は、微生物のバリアとして機能する必要がなく、結果として、単に1層の材料(すなわち折り畳み保護パネル)であってよい。
【0211】
例3
【0212】
従来の包装方式は、連続して1プライの滅菌ラップを用いるかまたは2プライの滅菌ラップ(例えば、キムガード(登録商標)ワンステップ(登録商標)滅菌ラップ)を用いて、標準的なトレイを包む。一般的には、滅菌バリアを維持するために、包装されたパッケージの上部または上方領域において重なりかつ複数の折り部分、プライまたは層を提供する過剰な材料が必要であると考えられる。
【0213】
この例は、多層パネル滅菌アセンブリを用いて包装されるときに、標準的なトレイの上部または上方領域上の材料のプライ、層または折り部分の数が減少することを示している。従来の包装方式を用いて包装される標準的なトレイと比較して、多層パネル滅菌アセンブリは、滅菌バリアを提供するために必要であると一般的に考えられている蛇行経路要件を維持しつつ、上部または上方領域上におけるプライ、層または折り部分がずっと少ない。この例はまた、被包装形態の違いを測定することができる標準的な物品(すなわち、長さ=20インチ(〜510mm)、幅=10.5インチ(〜270mm)、高さ=3.5インチ(〜88mmの概略寸法を有する滅菌トレイ)を含む包装されたパッケージを区分する方法を説明する。
【0214】
従来の滅菌ラッピングは、同じような大きさの2枚の重ね合わされたシートを用いて、封筒折り法(図4を参照)または四角折り法(図5を参照)のいずれかによって、物品を包装する。そのような2枚の重ね合わされたシートは、図1のシートプライ14及び16である。適切なバリア材料は、1プライの滅菌ラップである。表2に、例及びそれらの固有の坪量[単位:オンス/平方ヤード(osy)]及びISO 9237:1995に従って3インチ(7.62cm)径の試験片から測定した圧力差125Paにおけるフレイザー通気度[単位:CFM](試験圧力125Paにおいて、38cmヘッドを用いた自動通気度試験機で測定したもの−例示的な通気度試験機は、スイス国TEXTEST AGから入手可能なTEXTEST FX 3300である)を示す。これらの滅菌ラップは、現在キンバリー・クラーク・コーポレーション(テキサス州ダラス)から販売されている。
【0215】
【表2】

【0216】
これらの従来のラップは、折り畳まれていない滅菌ラップ自体の固有の制限に加えて、通気度(Permeability)を制限する広大な材料の重なり部分を作り出す。重なり合う折り畳み部分には、適切なバリア保護及び所望の蛇行経路の確立を保証するのに必要な分を超えて積み重ねられた積層されたプライ/層のために、相応に重量が加わる。これらの重なり部分は、物品を包装するために用いられる折り畳みパターンによって決まる特定領域に集中しやすい。箱のような物品(例えば手術トレイ)を包装する際には、包装は箱のような形状に倣い、別々の上部領域、下部領域及び側周帯状部領域を画定可能な特定領域として呈する。図19は、上部領域402、下部領域404及び側周帯状部領域406を示している。
【0217】
本発明では、従来のラップ方式においてよく用いられる層またはプライの数である2層または2プライから構成されるバリアパネルを用いることにより、トレイの周りで形状が決められるとき、上部領域402における(i)積層されたプライの数、(ii)材料の量及び(iii)空気流(従って、滅菌ガス、例えば、蒸気やエチレンオキサイドなど)に対する抵抗は、従来の滅菌ラップ方式と比べて、常に減少する。これらの減少は、包装されたトレイの周囲からの包装材料を別々の上部領域、下部領域及び側周帯状部領域に区分しかつこれらの領域を、積層されたプライの通気度、重量及び最大数を表す分析結果の代表値を得るための図25に示されているような後の測定のために標本抽出することによって、示される。そのような代表値から、何らかの補強要素を含めたとしても物品を包装するのに必要な折り部分の数または量及び材料の量を減らす本発明の利点は、フレイザー通気度(通気度,CFM)、3インチ(7.62cm)径の試験片面積当たりの重量(Wgt, gms)、3インチ(7.62cm)径の試験片面積における最大数の積層されたプライの数(Plies)を含む定量化可能な測定値と結び付けられる。本発明の多層パネル滅菌アセンブリと、封筒折り法を用いる従来の滅菌ラップ方式とに対して、上部領域、下部領域及び側周帯状部領域において測定したこれらの測定値を、後で図26〜図42及び表5〜表19に示す。2枚、2層または2プライのバリア材料を従来の滅菌ラップに用い、対応する構造を本発明のバリアパネルに用いることによって、より直接的な比較を行う。
【0218】
定量的測定によって多層パネル滅菌アセンブリとの比較を行う際に、四角折りパターンよりもむしろ封筒折り法を用いて従来の滅菌ラップを従来の滅菌トレイに巻くが、それは、次の2つの理由による。すなわち、(i)封筒折りパターンの方が、はるかに広く用いられており、(ii)四角折りパターンは、本発明と比較するために測定を行う必要なく説明可能かつ定量化可能である材料の重なり部分を作る(封筒折りパターンは、より複雑な重なり部分を作る)。後で示しかつ説明するように、物品の周りの包装材料の上部領域は、包装方式間の差異が最も大きい領域である。下部領域は差異が最も小さく、側周帯状部領域の差異はあまり明瞭ではない。物品は、通常、上部及び下部領域を通って滅菌ガスの放出及びベント(空気置換)を行うように構成され、側周帯状部領域は、中実支持壁である傾向にあるので、上部領域における包装方式間の差異は特に関連がある。さらに、上部領域は、従来の滅菌ラップの縁部が引き寄せられ/一緒に折り畳まれることによって、従来は過剰な重なり合うラップ材料の使用によって排除されると考えられていたバリア材料を貫通する潜在的な開口部または通路を提供する場所である。
【0219】
本発明の多層パネル滅菌アセンブリ及び封筒折り法を用いる従来の包装方式のための重なり合う材料プライまたは層の量/数を扱う前に、以下の考察において、四角折り法を用いる従来の包装方式に関して重なり合う材料プライまたは層の量/数を扱う。全体として図5を参照すると、四角折り法を用いて従来の滅菌トレイまたは他の箱のような物品を包装することによって生じる重なり合う材料プライまたは層の最小量/数は、包装された物品の上部領域における積層されたプライの最小数として決定される。四角折り法に用いられる従来の各滅菌ラップシートに関して、
・最初に或る物品(62)の上で下端部66を折ることで1プライが生じ、
・物品の上で上端部70を折ることで少なくとも1プライが生じ、
・物品の上で左側端部72(下端部及び上端部の折り部分からのプライの寄与がある)を折ることで少なくとも3プライが生じる。
【0220】
このように、四角折り法を用いて別々の各滅菌ラップシートを箱のような物品に巻くと、上部領域402における積層されたプライの数は少なくとも5になる(図19を参照)。この積層されたプライの最小数は、下端部66、上端部70及び左側端部72の折り返しを従来通り考慮せず、包装を完了する右側端部74の折り重ねからの寄与も考慮しない。2枚の滅菌ラップを連続してまたは同時に用いるときには、別々の滅菌ラップシート1枚当たりの積層されたプライのこの最小数5は2倍になり、10プライになる。1枚の滅菌ラップの所与の構造に関して、表2及び表3に記載されている滅菌ラップシートの特性(例えば、坪量及びフレイザー通気度に関する特性)と、積層されたプライまたは層の数とから、最小重量及び積層されたプライを通過する通気度を決定することができる。
【0221】
後で示すように、上部領域における積層されたプライ/層は、四角折り法を用いて2枚の滅菌ラップにより包装する場合はこのように最低でも10であり、2層または2プライから構成されるバリアパネルと、1層または1プライあるいは2層または2プライから構成される折り畳み保護パネルとを有する本発明の場合を上回る。四角折り包装法またはパターンによって提供される下部領域における積層されたプライの数は、封筒折り包装法またはパターンの場合と同じであり、また多層パネル滅菌アセンブリによって下部領域404(図19を参照)に提供される数と同じようなものである。側周帯状部領域406(図19を参照)に関して、四角折りで包装される物品における従来の滅菌ラップ材料の重なりは、上部領域から滅菌後に無菌で広げるために折り畳まれるこれらの折り方式全ての性質を所与として、封筒折りで包装される物品及び多層パネル滅菌アセンブリを用いて包装される物品と同様のプライ積層を生じさせると期待される。
【0222】
図8A、図9及び図13に関して既に説明した本発明の多層パネル滅菌アセンブリの実施形態を用いて本発明による包装の定量化を説明し、特定の代表的な実施形態を、1プライを有する折り畳み保護パネル108が描かれている図21と、2プライを有する折り畳み保護パネル108が描かれている図22とに示す。この例では、これらの実施形態を、封筒折りパターンまたは技術を用いる図14及び図16に示した従来の滅菌ラップ方式と比較する。それゆえ、直接比較するために、従来の滅菌ラップ方式及び多層パネル滅菌アセンブリでは、2層、2プライまたは2枚の材料を用いる。表2に記載したタイプの2プライの滅菌ラップの積層を含む代表的な重ね合わされた滅菌ラップの構造から、下表3に与える通気度値が得られる。
【0223】
【表3】

【0224】
定量化のためのサンプルの包装を、図21及び図22に示した本発明の多層パネル滅菌アセンブリを用いて、図14及び図16に示した従来の封筒折り方式に従って行った。これらのサンプルについては、関連する表及び位置(例えば、上部、下部及び側周帯状部)に対する通気度、重量及び最大プライ数(Plies)のグラフの図面において名前(ラベル)を付けて識別するために表4において特定し、後で、図14〜図18並びに図21、図22及び図24に関して説明する。表4の全てのサンプルで、長さ20インチ×幅10.75インチ×3.5インチ(〜510mm×〜270mm×〜88mm)の概略寸法を有する手術トレイを包装した。
【0225】
【表4】

【0226】
「Hi Wgt」は、KC600及びKC400を互いに重ね合わせた層を示す。「Lo Wgt」は、KC100及びKC 200を互いに重ね合わせた層を示す。
【0227】
Hi Wgt New1及びLo Wgt New1サンプルは、図21に示した2層バリアパネル及び1層折り畳み保護パネル構造を代表したものである。図21には、図10Bに従って配置された2つの補強要素と、1つのプルタブとが示されている。図9に示した手順に従ってこれらのサンプルでそれぞれの手術トレイを包装した。完了した包装を図24に示す。
【0228】
Hi Wgt New2及びLo Wgt New2サンプルは、図22に示した2層バリアパネル及び2プライまたは2層折り畳み保護パネル構造を代表したものである。図22には、図10Bに従って配置された2つの別々の補強要素と、1つのプルタブとが示されている。これらのサンプルの包装は、Hi及びLo Wgt New1サンプルの場合と同じであった。完了した包装を図24に示す。
【0229】
Hi Wgt ONE-STEP及びLo Wgt ONE-STEPサンプルは、図14に示した2層構造を代表したものであり、ここでは互いに重ね合わせられた従来の滅菌ラップシートの縁部が整合している。これらのONE-STEPサンプルのための別の適切な構造は、図1に示されている。図1では、重ね合わされ互いに整合された滅菌ラップシートが結合されている。補強要素もプルタブも存在しない。図4に示した手順に従ってこれらのサンプルでそれぞれの手術トレイを包装した。完了した包装を図15に示す。これらのサンプルに関して、ONE-STEPの省略形として文字「OS」を用いることがある。
【0230】
Hi Wgt Seq及びLo Wgt Seqサンプルは、図16に示した2層構造を代表したものであり、ここでは従来の別々の滅菌ラップシートは互いに整合されておらず、互いに対して約45°オフセットされている。補強要素もプルタブも存在しない。手術トレイを包装するために、図4に示した手順に従って連続して各滅菌ラップシートでトレイを包む。図17は、1枚目の滅菌ラップの包装を、これから手術トレイに包装される2枚目の滅菌ラップとともに示している。両バリアパネルの完了した包装を図18に示す。
【0231】
Hi Wgt及びLo Wgt New1及びNew2サンプルを含む全てのサンプルのための完了した包装は、図19において上部402、下部404、側周帯状部406のラベルによって示されている材料の領域上で、固有の折り部分を形成する。
【0232】
図14は、標準的な滅菌トレイ「T」(概略長さ=20インチ(〜510mm)、幅=10.5インチ(〜270mm)、高さ=3.5インチ(〜88mm))及び包装する前の1枚の互いに接合された2プライの滅菌ラップ(例えば、キムガード(登録商標)ワンステップ(登録商標)滅菌ラップ)を示している。図15は、図4に示した手順に従って包装された後の滅菌トレイを示している。
【0233】
図16は、標準的な滅菌トレイ「T」(概略長さ=20インチ(〜510mm)、幅=10.5インチ(〜270mm)、高さ=3.5インチ(〜88mm))及び包装する前の2枚の1プライの滅菌ラップを示している。図17は、図4に示した手順に従って1枚目の1プライの滅菌ラップシートに包装された後の滅菌トレイを示している。図18は、図4に示した手順に従って2枚目の1プライの滅菌ラップシートに連続して包装された後の滅菌トレイを示している。
【0234】
図19は、上部402、下部404及び側部406を有するパッケージ400を形成するように、共に図4に示した手順に従って、1プライの滅菌ラップを用いて連続して包装されるかまたは互いに接合された2プライの滅菌ラップ(例えば、キムガード(登録商標)ワンステップ(登録商標)滅菌ラップ)を用いて包装された標準的な滅菌トレイ「T」(概略長さ=20インチ(〜510mm)、幅=10.5インチ(〜270mm)、高さ=3.5インチ(〜88mm))を大まかに示している。
【0235】
図20は、包装されたトレイを如何にして複数の区画に分割するかを示している。トレイは、その20インチ(508mm)の長さに沿って5つの長さ方向の列(各長さ方向の列は、長さ約3.5インチないし4インチ(88.9ないし101.6mm)である)に分割される。トレイはまた、3つの幅方向の列(各幅方向の列は、幅約3.5(約88.9mm)インチである)及び1つの高さ方向の列(高さ約3.5インチ(約88.9mm))にも分割される。包装されたトレイの上部402のための3×5アレイと、包装されたトレイの下部404のための別の3×5アレイとがある。包装されたトレイの前部及び後部は、別の1×5アレイに分割され、各側部は、別の1×3アレイに分割される。
【0236】
5つの長さ方向の列には、1から5までの位置番号が割り当てられ、トレイの左側の位置1から始まってトレイの右側の位置5に及ぶ。3つの幅方向の列には、位置場所(すなわち、前、中、後)が割り当てられる。
【0237】
図21は、包装する前の、概ね図8Aに従う、標準的な滅菌トレイ「T」(概略長さ=20インチ(〜510mm)、幅=10.5インチ(〜270mm)、高さ=3.5インチ(〜88mm))及び本発明の多層パネル滅菌アセンブリを示している。バリアパネル102は2プライの材料を有し、折り畳み保護パネル108は1プライの材料を有することに留意されたい。図22は、包装する前の、概ね図8Aに従う、標準的な滅菌トレイ「T」(概略長さ=20インチ(〜510mm)、幅=10.5インチ(〜270mm)、高さ=3.5インチ(〜88mm))及び本発明の多層パネル滅菌アセンブリの別の構造を示している。バリアパネル102は2プライの材料を有し、折り畳み保護パネル108も2プライの材料を含むことに留意されたい。図24は、図9に示した手順に従って包装された後の滅菌トレイを示している。図23は、複数の区画に分割された包装された滅菌トレイを示している。既に図20に示したように、包装されたトレイの上部402のための3×5アレイと、包装されたトレイの下部404のための別の3×5アレイとがある。包装されたトレイの前部及び後部は、別の1×5アレイに分割され、各側部は、別の1×3アレイに分割される。
【0238】
図25には、上部領域402、下部領域404及び側周部領域406が分離されて示されている。そのような分離は、ハサミまたは鋭利なナイフを用いてこれらの領域を分断することによって達成することができるが、例示的な方法では、ガイガー・メディカル・テクノロジーズ社(Geiger Medical Technologies)(カリフォルニア州モナークビーチ)製の電動熱焼灼機器モデル150などの焼灼器を用いてこれらの領域を切り離す。そのような電動焼灼器の使用は、分断された材料の縁部と縁部を融合させるので、各領域402、404及び406は、分断された縁部をテープまたは他の接着剤で接合する必要なく、その後の測定のための試験片の切り離しを簡単にする単一構造を形成する。各分離された領域から、アレイ内のそれぞれの位置に対応する試験片を3インチ(7.62cm)の円形ダイスを用いて切断した。
【0239】
下表5〜表19に、区分化後に上部、下部及び側周帯状部領域から取った3インチ(7.62cm)径の試験片に対する測定値を与える。これらの測定値は、次のように示される。
【0240】
・「」で示されるものを除き、各列位置における2つまたは3つのサンプルに対する通気度、重量及びプライ数の個々の測定値の平均値。例えば、表9のHi Wgt ONE-STEPサンプルの場合、前列1の値4.7(CFM)は、3つのそれぞれの別々の上部サンプルから得られた3つの試験片の平均である。これらの平均値の典型的な標準偏差は、平均値の15%未満であった。表5、表6、表8、表9、表12及び表13中において後に符号「」を付したサンプルラベルは、2つまたは3つのサンプルから得た測定値の平均ではなく1つのサンプルから得た個々の測定値を示す。
【0241】
・「Avg」サンプル値、例えば、Avg Hi Wgt ONE-STEP、Avg Hi Wgt New1は、前列、中列、後列それぞれの平均値の平均である。例えば表9のAvg Hi Wgt ONE-STEPの位置1の値5.1(CFM)は、前列の平均値4.7と、中列の平均値5.4と、後列の平均値5.2との平均である。上部及び下部領域に関しては、そのような報告は、各列において報告されている平均値によって規定される隣接する位置に対する相対方向変化を変化させない。この方向変化の保持は、図26と図27、及び図28と図29をそれぞれ比較することによって示される。図26は、区分された包装材料の下部領域に関して各サンプルの各列(前、中、後)の平均値をグラフに描いており、図27は、同じデータであるが「Avg」サンプル値として表したものをグラフに描いている。図28は、同様に、区分された包装材料の上部領域に関して各サンプルの各列(前、中、後)の平均値をグラフに描いており、図29は、「Avg」サンプル値として表した同じデータをグラフに描いている。データを「Avg」サンプル値として報告することにより、他の包装方式と本発明との差異が視覚的に明らかになる。
【0242】
【表5】

【0243】
【表6】

【0244】
【表7】

【0245】
【表8】

【0246】
【表9】

【0247】
【表10】

【0248】
【表11】

【0249】
【表12】

【0250】
【表13】

【0251】
【表14】

【0252】
【表15】

【0253】
【表16】

【0254】
【表17】

【0255】
【表18】

【0256】
【表19】

【0257】
これらの表から分かるように、本発明の多層パネル滅菌アセンブリは、上部領域402の中央部分において10未満の積層された材料プライを提供する。
【0258】
図26は、下部領域からの3×5アレイから得た全てのHi Wgt包装材料の3インチ(7.62cm)径の試験片の最大プライ数(Plies)の平均値対それらの相対的な列位置を示している。本発明のプライ数は、補強要素が存在することによって位置1及び5において2を超えるものもある。データは、表5に記載されている。位置2、3及び4においてNew1及びNew2サンプルに対して2プライを連続して数えないのは、構造物において任意選択で用いた接着剤によってバリアパネルを互いに連結することに起因する。図35に示されている重量(Wgt)値と表12に記載した重量値の一致により、New1及びNew2サンプルのための2つのバリアパネルの存在が確認される。
【0259】
図27は、最大プライ数が、各Hi Wgtサンプルに対する図26の前列、中列、後列それぞれの平均値の平均であることを示している。これは、表5に記載したサンプルの平均(Avg)データを表している。
【0260】
図28は、Hi Wgt包装材料の上部領域からの3×5アレイから得た3インチ(7.62cm)径の試験片の最大プライ数の平均値対それらの相対的な列位置を示している。位置1及び5における本発明の最大プライ数以外は、封筒折りでの包装の対応する平均値に満たない。データは、表6に記載されている。
【0261】
図29は、最大プライ数が、各Hi Wgtサンプルに対する図28の前列、中列、後列それぞれの平均値の平均であることを示している。これは、表6に記載したサンプルの平均データを表している。図28と図29との比較から、最大プライ数に対する3×5アレイの平均値をそれらの位置に対する列間の平均として表すことがHi Wgt包装材料のための従来の封筒折りと本発明との差異の妥当性を保持することが、視覚的に明らかになる。この図は、図28のように、本発明の上部領域の中央における最大プライ数が10未満の積層されたプライを連続して平均するが、封筒折りの最大プライ数の方が大きいことをはっきりと示している。
【0262】
図30は、上部及び下部領域に関して、最大プライ数が、各Lo Wgtサンプルに対する前列、中列、後列それぞれの平均値の平均であることを示している。このデータは、表7に示されている。この図は、Hi Wgtサンプルのための図29のように、同様に、本発明の上部領域の中央における最大プライ数が10未満の積層されたプライを連続して平均するが、封筒折りの方が上部領域における最大プライ数が大きいことをはっきりと示している。
【0263】
図31及び図33は、Hi Wgt及びLo Wgtサンプルに関して下部領域を通過する通気度が概ね均一であることを示しており、違いは僅かであり、その原因は、New1及びNew2サンプルのための補強パネルの存在(または欠如)と、図35及び図38にそれぞれ示す対応するWgtの変化と、表2から明らかな固有の1プライ通気度及び坪量のばらつきとにある。
【0264】
図32及び図34は、New1及びNew2の上部領域の中央部における通気度が他のサンプルと比べて大きいことを示している。この差は、図29及び図30にそれぞれ示す他のサンプルに対してより少ないNew1及びNew2の最大プライ数と、図37及び図36のそれらの対応する重量値とに起因する。
【0265】
図39〜図42は、最大プライ数と重量寄与との関係と、他のサンプルとは違って、New1及びNew2サンプルの、位置5ないし9及び位置12ないし15における最大プライ数の集中がより大きいこととを示している。
【0266】
例4
【0267】
Dunkelberg H., Schmelz, U., Determination of the Efficacy of Sterile Barrier Systems Against Microbial Challenges During Transport and Storage, Infect. Control Hosp. Epidemiol. 2009;30:179-183に概要が説明されている暴露チャンバ法を用いて、多層パネル滅菌アセンブリの試験を行った。この試験の目的は、現行の滅菌ラップ製品と比較して多層パネル滅菌アセンブリの微生物のバリア効果を判定することであった。各プロトタイプを10回試験した。バリアパネルが2プライのKC200材料で作られているプロトタイプを1組用意した。別の1組のプロトタイプを2プライのKC400材料で作った。これらのプロトタイプは、概ね例2に記載したような寸法を有しており、後述する小トレイサイズのために用いた。後述する大トレイサイズには、比例的に大きくしたプロトタイプを用いた。
【0268】
用いたトレイのサイズは、250mm×240×50mm(小トレイサイズ)及び480mm×24mm×50mm(大トレイサイズ)であった。滅菌前に普通寒天(CASO agar, Oxoid)で満たした耐熱皿(140mm×20mm)をトレイに載せた。大トレイには、培地で満たした2つの皿を用いた。
【0269】
KC 200及びK-C 400キムガード(登録商標)ワンステップ(登録商標)ラップを用い、従来の封筒折り技術を用いて対照サンプルを包装した。対照として、従来滅菌ラップとして用いられていた2重紙シート包装も用いた。1回の試験に対して各プロトタイプの2つの包装されたトレイを用意した。全部で5回試験を行った。包装されたトレイを棚に置き、その後118℃で25分間滅菌(蒸気滅菌)した。
【0270】
暴露チャンバ法を用いて、ラップを、滅菌の約24周期の70hPaの大気圧変化と、約5×10ないし5×10cfu(colony forming units:コロニー形成単位)/mのミクロコッカス・ルテウスの空中浮遊細菌チャレンジとにそれぞれ暴露した。暴露チャンバ内の微生物エアロゾルは、噴霧器によって発生させた。製造業者によって規定されているように、粒子の中位径は3.9μmであった。大気圧変化、温度及び湿度は、電子データロガーにより連続的に監視した。エアサンプラ(インピンジャ)を用いて真空ポンプによって空気のサンプルを連続的に採取し、チャンバ内の平均空中浮遊微生物濃度を決定した。栄養寒天で満たした蓋のない定着プレート(settle plate)5つを対照としてチャンバ内に載置し、表面微生物負荷を検出した。暴露後、試験体を37℃で72時間インキュベートし、その後コロニー成長を調べた。各プロトタイプを10回試験するために5回試験を行う必要であった。微生物バリアの有効性を対数減少値(LRV)及び減少率として表した。試験したプロトタイプ及びキムガード(登録商標)ラップ対照は、インキュベーションの後、普通寒天で満たした皿の上で成長を示さなかった。最終的に滅菌した製品の検討された概念の微生物バリアのLRVの計算値は6.09を超えていたが、これは99.99992%を超える微生物の減少に相当する。
【0271】
暴露チャンバ法を用いて、異なる試験済みの包装材料のプロトタイプ及びキムガード(登録商標)ラップ対照は、滅菌及び空中浮遊細菌への暴露の後で細菌の再汚染を示さなかった。バリア効率は、99.99992%超であった。試験した2重紙シート包装10個のうち6個が再汚染を示した。紙シート包装の結果として、3.90のLRV及び99.987%の微生物の減少が得られた。
【0272】
このように、本発明の例示的な実施形態が本明細書に示されているが、本発明は、当業者にアキラかであるように、様々な代替形態において具体化することができる。本発明の理解を促進し、請求項の記載内容の根拠を提供するために、説明に様々な図面を含めている。図面は、縮尺通りに描かれておらず、本発明の新規な特徴を目立たせるために関連要素が省略されている場合がある。図面に示されている構造及び機能の詳細は、本発明の実施を当業者に教示する目的で与えられるものであり、限定と見なすべきものではない。例えば、左、右、前、後などの方向を表す用語は、本発明の理解を助けるために与えられており、限定と見なすべきものではない。
【0273】
本明細書では本発明の特定の実施形態について説明してきたが、添付の請求項の記載内容の範囲を逸脱することなく説明した実施形態を変更及び修正できることは、当業者には明らかであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
使い捨て式の柔軟性多層パネル滅菌アセンブリであって、
バリア性を有する透過性シート材料を含んでなり、第1の面、前記第1の面の反対側の第2の面、所定の折り線を概ね画定する第1の端部、前記第1の端部の反対側に位置する第2の端部、前記所定の折り線に対して概ね垂直な第1の縁部、前記所定の折り線の概ね反対側に位置する第2の縁部、前記所定の折り線に対して概ね垂直な第3の縁部、前記第1の縁部から前記第3の縁部までの距離である幅、前記第1の端部から前記第2の端部までの距離である長さ、前記第1の縁部及び前記第3の縁部の間に存在する前記長さに沿った中間点、前記中間点によって画定され前記中間点及び前記所定の折り線の間に延在する物品配置領域及び、前記中間点によって画定され前記中間点及び前記第2の縁部の間に延在する物品被覆領域を有するバリアパネルと、
前記バリアパネルの前記所定の折り線及び前記中間点の間における前記第1及び第3の縁部またはその近傍の所定位置に設けられ、前記バリアパネルの前記物品配置領域を設定する、かつ前記バリアパネルを前記中間点またはその近傍で折り返して前記第2の端部を前記第1の端部の近くに持ってきた後に前記第1及び第3の縁部を互いにまたは前記物品被覆領域の一部に結合させるパネル結合手段と、
透過性シート材料を含んでなり、前記バリアパネルに隣接配置され、前記所定の折り線に隣接する近位端部、前記近位端部の反対側に位置する遠位端部、前記近位端部から前記遠位端部まで延在する少なくとも第1の保護パネル縁部及び第2の保護パネル縁部、前記第1の保護パネル縁部から前記第2の保護パネル縁部までの距離である保護パネル幅及び、前記近位端部から前記遠位端部までの距離である保護パネル長さを有し、かつパッケージを形成すべく前記バリアパネルを前記バリアパネルの中間点またはその近傍で折り返して前記第2の端部を前記第1の端部の近くに持ってきて前記第1及び第3の端部を互いにまたは前記物品配置領域に結合させた後に、前記折り畳まれたバリアパネルの少なくとも前記第1及び第3の縁部を覆うべく前記所定の折り線またはその近傍で折り返される折り畳み保護パネルとを含むことを特徴とするアセンブリ。
【請求項2】
請求項1に記載の滅菌アセンブリであって、
前記バリアパネルが第4の縁部をさらに有することを特徴とするアセンブリ。
【請求項3】
請求項2に記載の滅菌アセンブリであって、
前記バリアパネルが第5の縁部をさらに有することを特徴とするアセンブリ。
【請求項4】
請求項1に記載の滅菌アセンブリであって、
前記パネル結合手段が、前記バリアパネルの前記第1及び第3の縁部またはその近傍の両方に設けられたことを特徴とするアセンブリ。
【請求項5】
請求項4に記載の滅菌アセンブリであって、
前記パネル結合手段が、前記バリアパネルの前記第1及び第3の縁部から延出するように設けられたことを特徴とするアセンブリ。
【請求項6】
請求項1に記載の滅菌アセンブリであって、
前記パネル結合手段が、接着テープ、両面接着テープ、粘着性材料、フックアンドループ型締結システム、機械型締結システム、留め具(snap)、クリップ、マグネット、留め金(catch)、スロットアンドタブ型締結システム及びそれらの組み合わせから選択されることを特徴とするアセンブリ。
【請求項7】
請求項1に記載の滅菌アセンブリであって、
バリア性を有する前記透過性シート材料が、少なくとも1つの不織布積層体材料層を含んでなり、
前記不織布積層体材料が、スパンボンド極細繊維層、メルトブローン細繊維層及びスパンボンド極細繊維層を含むことを特徴とするアセンブリ。
【請求項8】
請求項1に記載の滅菌アセンブリであって、
前記バリアパネルの前記第2の端部に設けられた少なくとも1つのプルタブをさらに含むことを特徴とするアセンブリ。
【請求項9】
請求項1に記載の滅菌アセンブリであって、
バリア性を有する前記シート材料の透過度は、フレイザー通気度の単位で特徴付けられる0.7〜14.2m/分(25〜500立方フィート/分)であることを特徴とするアセンブリ。
【請求項10】
請求項1に記載の滅菌アセンブリであって、
前記折り畳み保護パネルが、前記遠位端部に該端部に沿って位置する第3の保護パネル縁部をさらに有することを特徴とするアセンブリ。
【請求項11】
請求項1に記載の滅菌アセンブリであって、
前記折り畳み保護パネルがバリア性を有することを特徴とするアセンブリ。
【請求項12】
請求項1に記載の滅菌アセンブリであって、
前記物品配置領域内に配置される別個の補強要素をさらに含み、前記補強要素によって、滅菌すべき物品を配置する領域を設定するようにしたことを特徴とするアセンブリ。
【請求項13】
請求項12に記載の滅菌アセンブリであって、
前記補強要素が、繊維ウェブ、不透過性フィルム、透過性または多孔性フィルム、有孔フィルム、発泡体、箔、及びそれらの組み合わせから選択される材料の層を含んでなることを特徴とするアセンブリ。
【請求項14】
請求項1に記載の滅菌アセンブリであって、
該アセンブリを折り畳んでパッケージを形成するための適切な折り畳み方法の情報を提供する標識または説明を該アセンブリ上にさらに含むことを特徴とするアセンブリ。
【請求項15】
請求項1に記載の滅菌アセンブリであって、
前記物品配置領域の表面積が、前記バリアパネルの全表面積の約25〜49%であることを特徴とするアセンブリ。
【請求項16】
使い捨て式の柔軟性多層パネル滅菌アセンブリであって、
バリア性を有する透過性シート材料を含んでなり、第1の面、前記第1の面の反対側の第2の面、所定の折り線を概ね画定する第1の端部、前記第1の端部の反対側に位置する第2の端部、前記所定の折り線に対して概ね垂直な第1の縁部、前記所定の折り線に対して概ね平行な第2の縁部、前記所定の折り線に対して垂直な第3の縁部、前記第1の縁部及び前記第2の縁部の間に位置する第4の縁部、前記第3の縁部及び前記第2の縁部の間に位置する第5の縁部、前記第1の縁部から前記第3の縁部までの距離である第1の幅、前記第4の縁部から前記第5の縁部までの距離である第2の幅、前記第1の端部から前記第2の端部までの距離である長さ、前記第1の縁部及び前記第3の縁部の間または前記第4の縁部及び前記第5の縁部の間に存在する前記長さに沿った中間点、前記中間点によって画定され前記中間点及び前記所定の折り線の間に延在する物品配置領域及び、前記中間点によって画定され前記中間点及び前記第2の縁部の間に延在する物品被覆領域を有するバリアパネルと、
前記バリアパネルの前記第2の端部に設けられた少なくとも1つのパネルタブと、
前記バリアパネルの前記所定の折り線及び前記中間点の間における前記第1及び第3の縁部またはその近傍の所定位置に設けられ、前記バリアパネルの前記物品配置領域を設定する、かつ前記バリアパネルを前記中間点またはその近傍で折り返して前記第2の端部を前記第1の端部の近くに持ってきた後に前記第1及び第3の縁部を互いにまたは前記物品被覆領域の一部に結合させるパネル結合手段と、
透過性シート材料を含んでなり、前記バリアパネルに隣接配置され、前記所定の折り線に隣接する近位端部、前記近位端部の反対側に位置する遠位端部、前記近位端部から前記遠位端部まで延在する少なくとも第1の保護パネル縁部及び第2の保護パネル縁部、前記第1の保護パネル縁部から前記第2の保護パネル縁部までの距離である保護パネル幅及び、前記近位端部から前記遠位端部までの距離である保護パネル長さを有し、かつパッケージを形成すべく前記バリアパネルを前記バリアパネルの中間点またはその近傍で折り返して前記第2の端部を前記第1の端部の近くに持ってきて前記第1及び第3の端部を互いにまたは前記物品配置領域に結合させた後に、前記折り畳まれたバリアパネルの少なくとも前記第1及び第3の縁部を覆うべく前記所定の折り線またはその近傍で折り返されるた折り畳み保護パネルとを含むことを特徴とするアセンブリ。
【請求項17】
請求項16に記載の滅菌アセンブリであって、
該アセンブリを折り畳んでパッケージを形成するための適切な折り畳み方法の情報を提供する標識または説明を該アセンブリ上にさらに含むことを特徴とするアセンブリ。
【請求項18】
使い捨て式の柔軟性多層パネル滅菌アセンブリであって、
少なくとも1つのパネル縁部を画定するバリア材料シートを含んでなり、パッケージを形成すべく滅菌すべき物品の周りに折り畳まれるように構成されたバリアパネルと、
前記バリアパネルの一部に設けられ、前記バリアパネルの1つまたは複数のパネル縁部を前記滅菌すべき物品の周りで折り畳まれた形態で、かつ剥離力よりもせん断力に対して実質的に大きな耐性を有して固定することができるように構成されたバリアパネル結合手段と、
前記バリアパネルから延設され、前記バリアパネルに隣接する近位端部及び、前記近位端部の反対側に位置し前記バリアパネルを折り畳み形態にした後に前記バリアパネルの1または複数の縁部を覆う遠位端部を有する、折り畳み保護パネルとを含むことを特徴とするアセンブリ。
【請求項19】
使い捨て式の柔軟性多層パネル滅菌アセンブリであって、
少なくとも1つのパネル縁部を画定するバリア材料シートを含んでなり、パッケージを形成すべく滅菌すべき物品の周りに折り畳まれるバリアパネルと、
前記バリアパネルの一部に設けられ、前記バリアパネルの1つまたは複数のパネル縁部を前記滅菌すべき物品の周りで折り畳まれた形態で固定することができるように構成されたバリアパネル結合手段と、
前記バリアパネルから延設され、前記バリアパネルに概ね隣接する近位端部及び、前記近位端部の反対側に位置し前記バリアパネルを折り畳み形態にした後に前記バリアパネルの1または複数の縁部を覆う遠位端部を有する折り畳み保護パネルとを含み、
該滅菌アセンブリを物品の周りに折り畳んだときに、10層未満の積層された材料プライが存在するように構成されたことを特徴とするアセンブリ。
【請求項20】
請求項19に記載の滅菌アセンブリであって、
該滅菌アセンブリを物品の周りに折り畳んだときに、5未満の積層された材料プライが存在するように構成されたことを特徴とするアセンブリ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【公表番号】特表2013−500816(P2013−500816A)
【公表日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−523424(P2012−523424)
【出願日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際出願番号】PCT/IB2010/053559
【国際公開番号】WO2011/016006
【国際公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【出願人】(504460441)キンバリー クラーク ワールドワイド インコーポレイテッド (396)
【Fターム(参考)】