説明

柱部材の防食ライニング方法

【課題】型枠の設置、撤去作業を軽労化するとともに、所定形状の防食ライニングを容易に形成できる柱部材の防食ライニング方法を提供する。
【解決手段】グラウト材Gを保持可能で透水性を有する繊維シート2を鋼管杭13の外周面に巻付けるように配置し、繊維シート2の外周を囲むようにワイヤメッシュ体7を配置し、繊維シート2とワイヤメッシュ体7の上端部および下端部のうち、少なくとも下端部を、ベルト状の締付け部材10で鋼管杭13に締付け固定して型枠ユニット1を取付け、繊維シート2の下端部の注入口6aからグラウト材Gを注入して、上端部のエア抜き口6bからエアを抜きつつ、繊維シート2と鋼管杭13とのすき間にグラウト材Gを充填し、グラウト材Gを充填した繊維シート2の外周面をワイヤメッシュ体7で保持した状態にして、グラウト材Gを固化させて防食ライニングを形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、柱部材の防食ライニング方法に関し、さらに詳しくは、型枠の設置および撤去作業を軽労化するとともに、所定形状の防食ライニングを容易に形成できる柱部材の防食ライニング方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
桟橋等を支える鋼管杭では、常に浸水状態になる海中部は、外部からの酸素の供給が遮断されるので腐食の進行が抑制される。一方、海面の干満によって気中での乾燥状態と海中での浸水状態とを繰返す干満帯は、腐食が著しく促進される。このような問題を解決するため、干満帯およびその上方に位置する飛沫帯を、コンクリート等からなる防食ライニングにより被覆し、この範囲への酸素の供給を遮断して鋼管杭の腐食を防止する方法が知られている。
【0003】
防食ライニングを施工する場合には、施工対象の柱部材の外周に足場を組んで、柱部材を囲むように金属等からなる型枠を設置し、その後、柱部材と型枠とのすき間にコンクリート等のグラウト材を充填する。このような従来方法では、型枠を所定位置に設置するために、柱部材の表面に型枠の下端部を支持する受けアングル部材を溶接等によって取付けるようにしていた。受けアングル部材を取付ける位置は、海中になるため、非常に煩雑な取付け作業が必要になるという問題があった。また、重量物である多数の型枠を設置および撤去しなければならないため、多大な労力が必要であった。
【0004】
型枠を軽量化して作業負担を軽減する方策としては、織布や不織布等の繊維シートを型枠部材として用いることが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この提案は、防食ライニングを施工する場合ではなく、単純にコンクリートを打設する場合に適用するものであるが、このような繊維シートを防食ライニングを施工する際に利用することも考えられる。
【0005】
しかしながら、従来の型枠に比して剛性が低い繊維シートでは、グラウト材を充填した際に、グラウト材の重さに耐えきれずに膨出(はらみ)が生じ、所定形状の防食ライニングを形成できないという問題が生じる。そこで、シート厚さを増大したり、補強材を付加したり、特許文献1で提案されているように多数の筒状体を連結して剛性を向上させようとすれば、軽量化の効果が失われるという問題があった。また、繊維シートの剛性を単純に向上させると、取扱い性も低下するとともに、充填したグラウト材に沿って容易に変位(移動)しなくなるため、充填作業が困難になるという問題があった。
【特許文献1】特開平8−4284号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、型枠の設置および撤去作業を軽労化するとともに、所定形状の防食ライニングを容易に形成できる柱部材の防食ライニング方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため本発明の柱部材の防食ライニング方法は、柱部材の外周を囲むように型枠を設置し、この型枠と柱部材とのすき間にグラウト材を充填して柱部材の外周面を被覆する防食ライニングを形成する柱部材の防食ライニング方法において、前記型枠として、グラウト材を保持可能な透水性を有する繊維シートと、筒状に形成されるワイヤメッシュ体とを備えた型枠ユニットを使用し、この繊維シートを柱部材の外周面に巻付けるように配置するとともに、この繊維シートの外周を囲むように前記ワイヤメッシュ体を配置して、配置した繊維シートおよびワイヤメッシュ体の上端部および下端部を柱部材に対して所定位置に固定し、これらの上端部および下端部のうち、少なくとも下端部は、ベルト状の締付け部材によって締付け固定し、この固定した繊維シートに設けた注入口からグラウト材を注入して、繊維シートの上端部からエアを抜きつつ、繊維シートと柱部材とのすき間にグラウト材を充填し、グラウト材を充填した繊維シートの外周面をワイヤメッシュ体により保持した状態にして、グラウト材を固化させて防食ライニングを形成することを特徴とするものである。
【0008】
ここで、前記繊維シートおよびワイヤメッシュ体の上端部を、ベルト状の締付け部材によって締付け固定することもできる。前記グラウト材を注入する前に、ワイヤメッシュ体の上端部と下端部の間の外周面にベルト状の締め付け部材を巻付けることもできる。前記ワイヤメッシュ体の上端部および下端部を、予め段差状に縮径した形状にしておくこともできる。防食ライニングを形成した後にワイヤメッシュ体を取外して、繰り返して防食ライニングを形成する際に用いることもできる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、型枠として、グラウト材を保持可能な透水性を有する繊維シートと、筒状に形成されるワイヤメッシュ体とを備えた型枠ユニットを使用するので、従来の型枠に比して軽量にすることができる。そして、繊維シートを柱部材の外周面に巻付けるように配置するとともに、この繊維シートの外周を囲むようにワイヤメッシュ体を配置して、配置した繊維シートおよびワイヤメッシュ体の上端部および下端部を柱部材に対して所定位置に固定し、これらの上端部および下端部のうち、少なくとも下端部は、ベルト状の締付け部材によって締付け固定するので、繊維シートおよびワイヤメッシュ体の下端部が水中に位置していても、複雑な固定作業は不要になる。
【0010】
そして、柱部材に固定した繊維シートの下端部に設けた注入口からグラウト材を注入して、この繊維シートの上端部からエアを抜きつつ、繊維シートと柱部材とのすき間にグラウト材を充填し、グラウト材を充填した繊維シートの外周面をワイヤメッシュ体により保持した状態にして、グラウト材を固化させて防食ライニングを形成するので、グラウト材を充填した繊維シートがグラウト材の重さによって過度に膨出することが防止できる。
【0011】
防食ライニングを形成した後は、型枠ユニットを取付けたままにすることができる。或いは、ワイヤメッシュ体だけを取外すことができる。ワイヤメッシュ体は、軽量であるとともに、下端部は締付け部材の締付け固定を解除すればよいので、下端部が水中に位置していても、複雑な解除作業は不要になる。
【0012】
このように本発明によれば、型枠ユニットの設置および撤去の作業負担が軽減できるとともに、柱部材の外周面に所定形状の防食ライニングを容易に形成することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の柱部材の防食ライニング方法を、図に示した実施形態に基づいて説明する。
【0014】
桟橋などの構造物では、図1に例示するように、海中から海上に立設されて上部工14を支える鋼管杭13などの柱部材の干満帯および飛沫帯に対して、型枠を用いて防食ライニングを形成することがある。本発明を実施する際には、型枠として図1に例示するような型枠ユニット1を用いる。この型枠ユニット1は、グラウト材Gを保持することができ、透水性を有する繊維シート2と、筒状に形成されるワイヤメッシュ体7とを備えている。
【0015】
繊維シート2はセメントミルク、モルタル、コンクリート等のグラウト材Gを保持可能であるとともに、透水性を有する材質からなっている。いわゆるジオテキスタイルと呼ばれる土木等の用途に使用される高分子材料からなる織布や不織布、編物等を、繊維シート2の素材として用いることができる。例えば、高強力ポリエステル繊維シートを用いる。
【0016】
繊維シート2は、図2に例示するように平面状であり、筒状に形成した際に対向する両端部に、互いを接合する接合部3を有している。互いの接合部3を接合することにより、図3に例示するように筒状を維持できるようになっている。接合部3としては、例えば、面ファスナーを用いることができる。面ファスナーを用いる場合には、筒状に形成した繊維シート2の周方向に対して高い接合強度(せん断接合強度)を有する仕様を選定する。より強い接合力が必要な場合は、面ファスナーに替えて結束紐、或いは、面ファスナーと結束紐とを併用する。
【0017】
繊維シート2は、筒状に形成した際に上端部および下端部になる位置に、貫通孔5を有している。この貫通孔5には、注入口6a、エア抜き口6bが取付けられる。
【0018】
筒状に形成した際の繊維シート2の上端部および下端部は縮径した状態になることが好ましい。そこで、この実施形態では、繊維シート2の上端部および下端部をやや短くして、筒状に形成した際に、収縮部4が形成できるようになっている。
【0019】
繊維シート2の厚さは、例えば、0.3mm以上3.0mm以下にする。繊維シート2の材質にもよるが、シート厚が0.3mm未満であると強度が不十分になり易く、3.0mm超ではシート剛性が高くなり過ぎるとともに重量が増大して、取扱い性が低下するためである。
【0020】
ワイヤメッシュ体7は、図4、図5に例示するように、多数のワイヤ8を交差させて筒状に形成されている。ワイヤ8は、一般的な材質(鋼材等)であればよく、特別な材質を用いなくてもよい。
【0021】
ワイヤメッシュ体7は、鋼管杭13を挿通させることなく、鋼管杭13の外周を囲むことができるように筒状に形成する必要がある。そこで、実施形態では、筒状体を筒軸に沿って分割した分割体7aを、結束ワイヤなどの結束部材9によって結合することによって筒状に形成できるようにしている。分割体7aの数は、実施形態に示した2つに限定されるものではない。
【0022】
ワイヤメッシュ体7は、分割体7aで構成するだけではなく、シート状のワイヤメッシュを筒状に形成して、筒状にした際に対向する両端部を結束部材9によって結合するように構成することもできる。
【0023】
ワイヤメッシュ体7は、その上端部および下端部を、予め段差状に縮径した形状にして、縮径部8aを設けることが好ましい。この縮径部8aとそれ以外の部分の半径方向の寸法差Dは、形成する防食ライニングの厚さに基づいて設定される。
【0024】
ワイヤ8の外径は、例えば、1.0mm以上5.0mm以下にする。ワイヤ8の材質にもよるが、ワイヤ外径が1.0mm未満であると変形し易くなり、5.0mm超ではワイヤメッシュ体7の重量が増大して取扱い性が低下するためである。
【0025】
ワイヤ8により形成されるメッシュの大きさは、ワイヤメッシュ体7の軽量化と、充填したグラウト材Gの形状保持性能等を考慮して決定され、例えば、25cm〜900cm程度にする。
【0026】
この型枠ユニット1を用いて、鋼管杭13の干満帯および飛沫帯に防食ライニングを形成する手順を図6、図7に基づいて説明する。
【0027】
まず、図6に例示するように、鋼管杭13の対象領域の外周面に、繊維シート2を巻付けるように配置するとともに、この繊維シート2の外周を囲むようにワイヤメッシュ体7を配置する。この際に、繊維シート2は両端部の接合部3を接合して筒状に形成し、ワイヤメッシュ体7は、分割体7aどうしを結合して筒状に形成する。繊維シート2は、鋼管杭13の外周面との間にグラウト材Gを充填するすき間を確保するように巻付けられる。
【0028】
上部工14が邪魔になって鋼管杭13の上端部に対して、防食ライニングを形成できない場合には、予め、この領域の鋼管杭13の外周面に弾性コーティング材12を塗布しておく。そして、繊維シート2およびワイヤメッシュ体7の上端部を、弾性コーティング材12にオーバーラップするように配置する。
【0029】
繊維シート2とワイヤメッシュ体7とは、別々に鋼管杭13の外周に配置することもできるが、予め、ワイヤメッシュ体7(分割体7a)の内周面に沿わせるように繊維シート2を取付けておき、両者を一体化した状態で鋼管杭13の外周を囲むように配置することもできる。この場合、例えば、繊維シート2に固定紐11を縫付けておき、ワイヤメッシュ体7のワイヤ8の交差部に固定紐11を結び付ける。
【0030】
鋼管杭13の外周に配置した繊維シート2およびワイヤメッシュ体7の上端部および下端部は、鋼管杭13に対して所定位置に固定するが、これらの上端部および下端部のうち、少なくとも下端部は、ベルト状の締付け部材10によって締付け固定する。締付け部材10としては、荷造り等に用いるラッシングベルトや、環状体を周方向に分割した分割体を、環状に組み付けてボルト等で締付けるように構成した部材等を利用することができる。
【0031】
型枠ユニット1の鋼管杭13に対する固定手段として、ベルト状の締付け部材10を用いるので、繊維シート2およびワイヤメッシュ体7の下端部が水中に位置していても、複雑な固定作業が不要になる。この実施形態では、繊維シート2およびワイヤメッシュ体7の上端部についても、ベルト状の締付け部材10によって鋼管杭13に締付け固定しているので、固定作業を一層、軽労化することができる。
【0032】
鋼管杭13の外周に配置した筒状の繊維シート2の上端部(収縮部4)は、ワイヤメッシュ体7の上端よりも上方に突出させ、繊維シート2の下端部(収縮部4)は、ワイヤメッシュ体7の下端よりも下方に突出させるとよい。そして、ワイヤメッシュ体7の上端および下端から突出した繊維シート2の上端部および下端部を、ベルト状の締付け部材10により締付け固定することで、繊維シート2を鋼管杭13に強固に固定することができる。ワイヤメッシュ体7については、上端部および下端部の縮径部8aを、ベルト状の締付け部材10によって鋼管杭13に締付け固定する。
【0033】
ワイヤメッシュ体7の上端部と下端部の間の外周面には、必要に応じて、ベルト状の締め付け部材10を巻付ける。この締付け部材10は、後述するように、充填したグラウト材Gの膨出(はらみ)を規制するように機能する。グラウト材Gの膨出を規制する締付け部材10の本数は、特に限定されない。
【0034】
次いで、図7に例示するように、鋼管杭13に固定した繊維シート3の下端部に設けた注入口6aからグラウト材Gを注入する。この際に、繊維シート2の内部の空気Aが、上端部に設けられたエア抜き口6bを通じて抜かれつつ、繊維シート2の内周面と鋼管杭13の外周面とのすき間にグラウト材Gが充填される。グラウト材Gの充填が完了したか否かは、エア抜き口6bの内部を覗くことによって確認できる。
【0035】
尚、通常のグラウト材Gを使用する場合は、水中自由落下すると分離するので、この実施形態のように注入口6aを、筒状に形成した繊維シート2の下端部に設けるが、水中不分離性のグラウト材Gを使用する場合は、水中自由落下が可能であるので、注入口6aは繊維シート2の下端部に限らず、任意の位置に設けることができる。
【0036】
本発明では、ワイヤメッシュ体7を用いるので、繊維シート2を過度に厚くする必要がなく、柔軟性を損なうほど、繊維シートSの剛性が高くならない。したがって、充填されたグラウト材Gによって繊維シート2が柔軟に変位するので、充填作業が困難になることがない。
【0037】
このようにしてグラウト材Gが充填された筒状の繊維シート2の外周面は、ワイヤメッシュ体7により保持された状態になる。そのため、グラウト材Gの形状は、大きく変形することなくワイヤメッシュ体7によって維持される。この状態で、充填したグラウト材Gが固化することにより、図1に例示するように、固化したグラウト材Gからなる防食ライニングが形成される。したがって、ワイヤメッシュ体7の縮径部8aとそれ以外の部分の半径方向の寸法差Dを適切に設定することで、所定どおりの形状(厚さ)の防食ライニングを形成することができる。
【0038】
繊維シート2は透水性を有しているので、グラウト材Gの注入前に繊維シート2の内部に溜まっていた水分は、グラウト材Gを注入することによって、繊維シート2を通じて外部に排出される。また、充填したグラウト材Gに含有していた水分や余分な空気も、繊維シート2を通じて外部に排出されるので、緻密な防食ライニングを形成することが可能になる。
【0039】
成形する防食ライニングの厚さが大きい等の場合は、繊維シート2の内部に充填したグラウト材Gの重さによって、ワイヤメッシュ体7が過度に膨出する危険があるが、このような場合は、ワイヤメッシュ体7の上端部と下端部の間の外周面に巻付けた締付け部材10によって膨出を防止することができる。ワイヤメッシュ体7は、剛性体であるワイヤ8で構成されているので、膨出を規制する締付け部材10を巻付けると、締付け部材10の面積に比べて広範囲の膨出を防止することができる。
【0040】
防食ライニングを形成した後は、型枠ユニット1を取付けたままにすることができる。或いは、ワイヤメッシュ体7だけを取外すことができる。ワイヤメッシュ体7は、軽量であるとともに、下端部が水中に位置していても、下端部を締付け固定している締付け部材10の固定を解除すればよいので、複雑な解除作業は不要になる。この実施形態では、ワイヤメッシュ体7の上端部についても、ベルト状の締付け部材10によって鋼管杭13に締付け固定しているので、ワイヤメッシュ体7の取外し作業を一層、軽労化することができる。
【0041】
このように本発明によれば、型枠として用いる型枠ユニット1の設置および撤去の作業負担を軽減することができる。また、鋼管杭13の外周面に所定形状の防食ライニングを容易に形成することが可能になる。
【0042】
防食ライニングを形成した後にワイヤメッシュ体7を取外す場合には、取外したワイヤメッシュ体7を、繰り返して防食ライニングを形成する際に用いることができる。したがって、省資源の観点から優れた施工方法となる。
【0043】
本発明では、鋼管杭13の外周に配置した繊維シート2およびワイヤメッシュ体7の下端部は、水中に位置するので、固定および解除作業が容易なベルト状締付け部材10を用いるが、繊維シート2およびワイヤメッシュ体7の上端部は、ベルト状の締付け部材10とは異なる固定手段を用いて鋼管杭13に固定することもできる。
【0044】
例えば、鋼管杭13の上端で支持されている上部工14の下面にセラミックインサートを埋め込み、プラスチックボルトにより、固定部材を固定する。そして、この固定部材と上部工14の下面との間に、筒状に形成した繊維シート2の上端部を挟んで繊維シート2の上端部を固定する。ワイヤメッシュ体7の上端部は、固定部材に係止させたり、或いは、ベルト状の締付け部材10によって締付け固定してもよい。この固定構造では、鋼管杭13に対して繊維シート2をより強固に固定することができる。
【0045】
本発明は、既設の鋼管杭13だけでなく、新設の鋼管杭13に対して防食ライニングを形成する場合にも適用することができる。また、鋼管杭13だけでなく、その他の柱部材に対して防食ライニングを形成する場合に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明により形成した柱部材の防食ライニングの半断面正面図である。
【図2】繊維シートを例示する平面図である。
【図3】筒状に形成した繊維シートを例示する正面図である。
【図4】分割体を接合してワイヤメッシュ体を形成する工程を例示する説明図である。
【図5】ワイヤメッシュ体を例示する平面図である。
【図6】グラウト材を注入する前の型枠ユニットの内部を例示する縦断面図である。
【図7】グラウト材を充填した後の型枠ユニットの内部を例示する縦断面図である。
【符号の説明】
【0047】
1 型枠ユニット
2 繊維シート
3 接合部
4 収縮部
5 貫通孔
6a 注入口
6b エア抜き口
7 ワイヤメッシュ体
7a 分割体
8 ワイヤ
8a 縮径部
9 結合部材
10 ベルト状の締付け部材
11 固定紐
12 弾性コーティング材
13 鋼管杭
14 上部工
G グラウト材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
柱部材の外周を囲むように型枠を設置し、この型枠と柱部材とのすき間にグラウト材を充填して柱部材の外周面を被覆する防食ライニングを形成する柱部材の防食ライニング方法において、前記型枠として、グラウト材を保持可能で透水性を有する繊維シートと、筒状に形成されるワイヤメッシュ体とを備えた型枠ユニットを使用し、この繊維シートを柱部材の外周面に巻付けるように配置するとともに、この繊維シートの外周を囲むように前記ワイヤメッシュ体を配置して、配置した繊維シートおよびワイヤメッシュ体の上端部および下端部を柱部材に対して所定位置に固定し、これらの上端部および下端部のうち、少なくとも下端部は、ベルト状の締付け部材によって締付け固定し、この固定した繊維シートに設けた注入口からグラウト材を注入して、繊維シートの上端部からエアを抜きつつ、繊維シートと柱部材とのすき間にグラウト材を充填し、グラウト材を充填した繊維シートの外周面をワイヤメッシュ体により保持した状態にして、グラウト材を固化させて防食ライニングを形成する柱部材の防食ライニング方法。
【請求項2】
前記繊維シートおよびワイヤメッシュ体の上端部を、ベルト状の締付け部材によって締付け固定する請求項1に記載の柱部材の防食ライニング方法。
【請求項3】
前記グラウト材を注入する前に、ワイヤメッシュ体の上端部と下端部の間の外周面にベルト状の締め付け部材を巻付ける請求項1または2に記載の柱部材の防食ライニング方法。
【請求項4】
前記ワイヤメッシュ体の上端部および下端部を、予め段差状に縮径した形状にしておく請求項1〜3のいずれかに記載の柱部材の防食ライニング方法。
【請求項5】
防食ライニングを形成した後にワイヤメッシュ体を取外し、繰り返して防食ライニングを形成する際に用いる請求項1〜4のいずれかに記載の柱部材の防食ライニング方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−59687(P2010−59687A)
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−226424(P2008−226424)
【出願日】平成20年9月3日(2008.9.3)
【出願人】(504139662)国立大学法人名古屋大学 (996)
【出願人】(000219406)東亜建設工業株式会社 (177)