柿霜を原料とした食品の製法

【課題】主にブドウ糖の結晶を主成分とする、干し柿の表面に析出している白い粉の柿霜の結晶化方法を提供する。
【解決手段】表面に柿霜が析出している冷凍または常温の干し柿を４０℃〜５０℃の湯に３分間浸漬する。干し柿１ｋｇに対して熱湯１リットルとする。この溶液を４０〜５０℃に保ち、湯に干し柿表面の柿霜が溶出して、それを弱火で約３時間、糖度８０度まで煮詰め、２ｍｍのメッシュを通す。この際、バットまたは型に流し込み、常温で静置して柿霜の結晶ができる。柿霜を洗い流した果実部分は加工用の原料として利用できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は干し柿表面の柿霜を原料とした食品の製法に関する。
【背景技術】
【０００２】
従来の製糖の方法に関する発明には、以下のようなものがあげられる。
これらの発明（特許文献１〜特許文献７）は主にサトウキビやテンサイを原料とした製糖に関するものである。
【０００３】
【特許文献１】特開２００８−０００１３４サトウキビのチップ及び粉末とその製造法並びにサトウキビチップ及び粉末よりの製糖方法
【特許文献２】特開２００５−００６５２０製糖における連続晶析方法及び装置
【特許文献３】特開２００３−０３８０１７サトウキビ梢頭部の識別装置
【特許文献４】特開平１１−２４４０００サトウキビ加工食品とその製造方法
【特許文献５】特開平０７−３０３５００製糖用連続結晶化方法
【特許文献６】特表平１０−５０３６５３精製糖を製造するためのプロセス
【特許文献７】特表平０９−５１１６５１サトウキビから直接砂糖を製造するためのプロセス
【０００４】
また、野菜や果実の果汁から糖分を取る方法としては甘蔗からの精糖に関するものがある。（特許文献８〜特許文献１０）しかし、いずれも圧搾汁や抽出汁を利用しているものである。
【特許文献８】特開２００１−２５８６００甘蔗からの原糖製造方法
【特許文献９】特開２００１−１５７５９９炭酸ソーダの添加による軟化処理を含む限外ろ過処理による甘蔗からの精製糖製造プロセス
【特許文献１０】特開平１１−４２１００顆粒糖製造方法
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００５】
柿の表面の白い粉は柿霜（しそう）と呼ばれ、ブドウ糖を主成分とし、甘味料などとして利用されきた。たとえば「日華子本草」において柿霜は“胃を開き、腸を渋し、痰を消し、渇を止め、吐血を治し心肺を潤し、肺痿、心熱の咳嗽を療じ、声喉を潤し、虫を殺す”とされている。（参考文献１）
しかし、その量は、ごく少量であり、これまで産業ベースにおいて製品化されることはなかった。
【参考文献１】
日華子本草
【０００６】
近年、冷凍保存することにより干し柿の長期保存が可能になったことを受けて、柿霜の利用が季節を限定することなく可能となった。
【０００７】
また、冷凍保存するにあたり、表面の乾燥により、柿霜の量が増加することが経験的に知られている。
【０００８】
そこで、本発明においては、冷凍および常温の干し柿の柿霜部分を原料とした製品をつくることを目的とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【０００９】
以下、本発明の実施の形態を図１に基づいて説明する。
【００１０】
柿霜として結晶化した成分を、効率よく取り出して商品化する工程について説明する。
【００１１】
柿霜を洗い流した干し柿の果実部分はアルコール漬けなど加工品などに利用することができ、原料の有効利用にもつながる。
【００１２】
加工用に用いる冷凍または常温の干し柿を４０℃〜５０℃の湯につける。干し柿１ｋｇに対して湯１リットルとする。
【００１３】
この溶液を４０〜５０℃に保ち、３分間浸漬する。この工程により、湯に干し柿表面の柿霜が溶出する。
【００１４】
溶液の中から、干し柿の果実部分を取り出し、溶液を４０〜５０℃の一定にたもちながら、干し柿を投入し、前項の手順で柿霜を湯の中に溶出させる。
【００１５】
上記の２つの工程を１０回繰り返す。
【００１６】
溶液を弱火で２時間、糖度８０度程度まで煮詰める。この際、底面がこげないように攪拌する。
【００１７】
煮詰める工程は殺菌工程を兼ねている。
【００１８】
煮詰めた後の溶液を２ｍｍのメッシュを通す。
【００１９】
溶液をバットに流し込み、常温で静置することで柿霜が結晶化する。
【００２０】
柿霜を洗い流した干し柿の身の部分は他の加工品に利用可能である。
【００２１】
以上が本発明による柿霜の製造工程である。
【図面の簡単な説明】
【００２２】
【図１】柿霜製造工程図

【特許請求の範囲】
【請求項１】
干し柿表面の柿霜を原料とすることを特徴とする製品
【請求項２】
干し柿表面の柿霜を原料とすることを特徴とする製品の製造方法

【図１】