説明

栄養バランス管理装置及び栄養バランス管理プログラム

【課題】幅広い人にとって扱いが極めて容易であり、的確に栄養バランス管理を行う。
【解決手段】表示手段12と、入力手段11と、所定日数において摂取した食事内容について、食品名または料理名の入力がなされると、対応する食品品目と摂取された既摂取頻度を特定する食品品目特定手段32と、年齢、性別、疾病情報に基づき、所定日数において摂取すべき所定数の食品品目とその要摂取頻度を求める要摂取食品情報取得手段31と、摂取された既摂取頻度と要摂取頻度とを比較し、各食品品目に係る要摂取頻度と既摂取頻度との差を求める差分手段33と、各食品品目に係る要摂取頻度と既摂取頻度との差に基づき、各食品品目に係る既摂取頻度の過不足を、摂取度数に対応するマークを用いて前記表示手段12に表示する表示制御手段34とを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、子供から高齢者まで幅広く食生活改善を行う場合に用いることのできる栄養バランス管理装置及び栄養バランス管理プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
肥満は禁煙に次いで健康障害をもたらす第二の危険因子と言われている。肥満児は、全児童の10%に達しており、これらの肥満児は生活習慣病に移行する例が多いと指摘されている。
【0003】
従来の肥満における食事介入は、専門の指導者がいる条件下において行われている場合が主であり、実行不可能で継続氏し難いなどの理由により極めて限られた効果をもたらすに過ぎないことが報告されている。このため、成人や高齢者の肥満に対しては簡便な食生活改善介入が不可欠であると考えられ、如何にして的確に食生活改善介入を行うかといす問題の解決が求められている。
【0004】
上記のような要請に応えるべく、専門家である栄養士によるカロリー計算もとで、食生活改善が幅広く推奨されている。しかしながら、多くの場合においては、計算が複雑であり、高齢者にとって理解困難であり、糖尿病患者においても殆ど実行されていない現状がある(Satoh A et al. Dietary guidance for older patients with diabetes mellitus and primary caregivers using a Model Nutritional Balance Chart. Jap J Nursing Science, 2008:5:83-89.)。
【0005】
また、インターネットを用いて個人の栄養素摂取量管理を行うシステムとしては、食物の栄養素摂取量を入力して過不足管理するものが知られている(特許文献1参照)。しかしながら、このシステムによると、極めて子細に食物の栄養素を特定してしかも摂取量を登録する作業が求められ、子供から高齢者までが極めて容易に栄養管理を行えるものではない。
【0006】
また、ユーザの疾病や食物摂取情報に基づき、ユーザ希望のメニューに補正を加えて提供するシステムも存在する(特許文献2参照)。しかしながら、上記のシステムにあっても、食物摂取情報等の入力負荷が大きく、子供から高齢者にも利用可能なものとは言えない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上記のような栄養バランス管理装置の現状に鑑みなされたものであり、また、発明者らは、既に視覚的に食生活を改善できる標準バランス表を開発し、肥満児童に適用して、母親と共に食事バランスを正し、肥満の解消をみた実績(Satoh A et al. Dietary guidance for obese children and their families using a Model Nutritional Balance Chart. Jap J Nursing Science, 2007:4:95-102.)に基づき発明を行ったものである。それゆえ、本発明の目的は、肥満児童及び成人、高齢者肥満、糖尿病患者更に拒食症患者に到るまで、幅広い人にとって扱いが極めて容易であり、的確に栄養バランス管理を行うことが可能な栄養バランス管理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る栄養バランス管理装置は、情報を可視表示するための表示手段と、年齢、性別、疾病情報、更に、所定日数において摂取した食事内容について、食品名または料理名を入力するための入力手段と、
入力された食品名または料理名に対応する食品品目と摂取された既摂取頻度を特定する食品品目特定手段と、年齢、性別、疾病情報に基づき、所定日数において摂取すべき所定数の食品品目とその要摂取頻度を求める要摂取食品情報取得手段と、既摂取頻度と各食品品目に係る要摂取頻度とを比較し、各食品品目に係る要摂取頻度と既摂取頻度との差を求める差分手段と、この差分手段により求められた各食品品目に係る要摂取頻度と既摂取頻度との差に基づき、各食品品目に係る既摂取頻度の過不足を、摂取度数に対応するマークを用いて前記表示手段に表示する表示制御手段とを具備することを特徴とする。
【0009】
本発明に係る栄養バランス管理装置では、表示制御手段は、差分手段により求められた各食品品目に係る要摂取頻度と摂取頻度との差に基づき、各食品品目に係る既摂取頻度の過不足を、摂取度数に対応するマークを用いて表示する際に、各食品品目に対応させて摂取済度数と同数のマークを表示し、摂取頻度の過多と不足について表示色を異ならせて表示することを特徴とする。
【0010】
本発明に係る栄養バランス管理装置では、表示制御手段は、差分手段により求められた各食品品目に係る要摂取頻度と既摂取頻度との差に基づき、各食品品目に係る既摂取頻度の過不足を、文字のメッセージとして表示することを特徴とする。
【0011】
本発明に係る栄養バランス管理装置は、差分手段により求められた各食品品目に係る要摂取頻度と既摂取頻度との差に基づき、各食品品目に係る既摂取頻度の過不足を、百分率に換算する換算手段を備え、表示制御手段は、換算手段により換算された百分率によるグラフを表示手段に表示することを特徴とする。
【0012】
本発明に係る栄養バランス管理プログラムは、栄養バランス管理に関する処理を行うコンピュータを、情報を可視表示するための表示手段、年齢、性別、疾病情報、更に、所定日数において摂取した食事内容について、食品名または料理名を入力するための入力手段、前記入力手段により、所定日数において摂取した食事内容について、食品名または料理名の入力がなされると、入力された食品名または料理名に対応する食品品目と摂取された既摂取頻度を特定する食品品目特定手段、年齢、性別、疾病情報に基づき、所定日数において摂取すべき所定数の食品品目とその要摂取頻度を求める要摂取食品情報取得手段、前記食品品目特定手段が特定した既摂取頻度と、前記要摂取食品情報取得手段により求められた各食品品目に係る要摂取頻度とを比較し、各食品品目に係る要摂取頻度と摂取頻度との差を求める差分手段、この差分手段により求められた各食品品目に係る要摂取頻度と既摂取頻度との差に基づき、各食品品目に係る既摂取頻度の過不足を、摂取度数に対応するマークを用いて前記表示手段に表示する表示制御手段として機能させることを特徴とする。
【0013】
本発明に係る栄養バランス管理プログラムは、コンピュータを表示制御手段として、差分手段により求められた各食品品目に係る要摂取頻度と摂取頻度との差に基づき、各食品品目に係る既摂取頻度の過不足を、摂取度数に対応するマークを用いて表示する際に、各食品品目に対応させて摂取済度数と同数のマークを表示し、摂取頻度の過多と不足について表示色を異ならせて表示するように機能させることを特徴とする。
【0014】
本発明に係る栄養バランス管理プログラムは、コンピュータを表示制御手段として、差分手段により求められた各食品品目に係る要摂取頻度と既摂取頻度との差に基づき、各食品品目に係る既摂取頻度の過不足を、文字のメッセージとして表示するように機能させることを特徴とする。
【0015】
本発明に係る栄養バランス管理プログラムは、コンピュータを差分手段により求められた各食品品目に係る要摂取頻度と既摂取頻度との差に基づき、各食品品目に係る既摂取頻度の過不足を、百分率に換算する換算手段として機能させ、コンピュータを表示制御手段として、換算手段により換算された百分率によるグラフを表示手段に表示するように機能させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、所定日数において摂取した食事内容について、食品名または料理名の入力を行うと、入力された食品名または料理名に対応する食品品目と摂取された既摂取頻度が特定され、また、年齢、性別、疾病情報によって所定日数において摂取すべき所定数の食品品目とその要摂取頻度が求められ、上記特定された既摂取頻度と、上記求められた各食品品目に係る要摂取頻度とを比較し、各食品品目に係る要摂取頻度と既摂取頻度との差が求められ、この求められた各食品品目に係る要摂取頻度と既摂取頻度との差に基づき、各食品品目に係る既摂取頻度の過不足を、摂取度数に対応するマークを用いて表示するので、基本的に年齢、性別、疾病情報と、摂取した食品名または料理名を入力するだけで、各食品品目に係る摂取頻度の過不足が摂取度数に対応するマークとして表示され、幅広い人にとって扱いが極めて容易であり、的確に栄養バランス管理を行うことが可能となる。
【0017】
本発明によれば、各食品品目に対応させて摂取済度数と同数のマークを表示し、摂取頻度の過多と不足について表示色を異ならせて表示するので、各食品品目の摂取について過不足が一目瞭然に分かるようになり、幅広い人が容易に栄養バランス管理を行うことが可能となる。
【0018】
本発明によれば、各食品品目に係る既摂取頻度の過不足を、文字のメッセージとして表示するので、メッセージを読んで各食品品目に係る摂取頻度の過不足を理解することができ、便利である。
【0019】
本発明によれば、各食品品目に係る既摂取頻度の過不足を、百分率によるグラフとして表示するので、各食品品目に係る既摂取頻度の過不足をグラフにより直観的に理解することができ、便利である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明に係る栄養バランス管理装置の実施例の構成を示す機能ブロック図。
【図2】本発明に係る栄養バランス管理装置の実施例に用いられる食品対応テーブルの内容について一例を示す図。
【図3】本発明に係る栄養バランス管理装置の実施例に用いられる個人要摂取頻度テーブルの内容について一例を示す図。
【図4】本発明に係る栄養バランス管理装置の実施例に用いられるメッセージリストの内容について一例を示す図。
【図5】本発明に係る栄養バランス管理装置の実施例の動作を説明するためのフローチャート。
【図6】本発明に係る栄養バランス管理装置の実施例の動作を説明するためのフローチャート。
【図7】本発明に係る栄養バランス管理装置の実施例により表示される画像例を示す図。
【図8】本発明に係る栄養バランス管理装置の実施例により表示されるメッセージ例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、添付図面を参照して本発明に係る栄養バランス管理装置及び栄養バランス管理プログラムの実施例を説明する。各図において、同一の構成要素には、同一の符号を付して重複する説明を省略する。図1には、本発明に係る栄養バランス管理装置の実施例の構成が示されている。栄養バランス管理装置は、CPU10にキーボードやマウスなどの入力手段11と、LCDなどの表示手段12と、主メモリ13と外部記憶装置14が、接続されたコンピュータの構成となっている。
【0022】
外部記憶装置14には、食事内容としての食品名または料理名から、栄養バランス管理の対象である食品品目及び摂取頻度を引き出すための図2に示すような食品対応テーブル(データベース)21が備えられている。ここでは、食品品目は、穀類、肉類、魚類、卵、乳製品、豆類、緑黄野菜、淡色野菜、果物類、油類、砂糖の11品目であるが、例示であるため全ての食品品目が表れていない。この食品対応テーブル(データベース)21を用いて、例えば、カレーライスを食べた場合には、穀類の摂取頻度が「3」、肉類の摂取頻度が「1」、魚類、緑黄野菜の摂取頻度が「1」、淡色野菜の摂取頻度が「1」、油類の摂取頻度が「2」と割り出すことができる。
【0023】
また、外部記憶装置14には、年齢、性別、疾病情報により、上記11品目の食品について、所定日数としてここでは三日間に摂取することが必要な摂取頻度情報が対応付された図3に示すような個人要摂取頻度テーブル(データベース)22が備えられている。個人要摂取頻度テーブル22の年齢と性別により区分された領域(上部側領域)Uに記載の摂取頻度は、上記食品対応テーブル21に用いた11品目それぞれの基準頻度に対し、何倍となっているかの値が設定されたものである。個人要摂取頻度テーブル22の疾病情報により区分された領域(下部側領域)Dに記載の摂取頻度は、個人要摂取頻度テーブル22の年齢と性別により区分された摂取頻度を基準として何倍となるかを示す値が設定されている。疾病情報としては、糖尿病、肥満度を挙げているが、これら以外に設けてもよいことは勿論である。この個人要摂取頻度テーブル22は、学童期、成人期、老年期の各期に分けられ、年齢性別を入力すると後の動作説明において述べられているように自動的に対応する区分が割り出され、要摂取頻度が取得されるように用いられる。
【0024】
従って、上記図3の個人要摂取頻度テーブル22から、特定の個人について三日間に摂取することが必要な要摂取頻度は、年齢、性別により区分された摂取頻度の領域の情報を用いて、該当する年齢、性別に対応する要摂取頻度を求め、個人要摂取頻度テーブル22の疾病情報により区分された摂取頻度の該当する疾病対応の要摂取頻度を求め、上記の年齢、性別に対応する要摂取頻度に疾病対応の要摂取頻度を掛けることにより求めることができる。例えば、40歳の女の場合には、食品品目の要摂取頻度はいずれも基準頻度に対して、穀類が16回、肉類が6回、魚類が3回、卵が5回、乳製品が6回、豆類が6回、緑黄野菜が12回、淡色野菜が26回、果物類が5回、油類が12回、砂糖が5回である。この者が、肥満度4であれば、肥満度4に対応する穀類、肉類、魚類、卵、乳製品、豆類、緑黄野菜、淡色野菜、果物類、油類、砂糖の各倍率を、上記40歳の女における摂取頻度に掛ければ良い。
【0025】
CPU10には、要摂取食品情報取得手段31、食品品目特定手段32、差分手段33、表示制御手段34、換算手段35が具備されている。要摂取食品情報取得手段31は、入力手段11から入力される年齢、性別、疾病情報に基づき、所定日数である三日間において摂取すべき所定数の食品品目とその要摂取頻度を求めるものである。
【0026】
食品品目特定手段32は、入力手段11により、所定日数である三日間において摂取した食事内容について、食品名または料理名の入力がなされると、入力された食品名または料理名に対応する食品品目と摂取された既摂取頻度を特定するものである。差分手段33は、上記食品品目特定手段32が特定した食品品目と摂取された既摂取頻度と、上記要摂取食品情報取得手段31により求められた各食品品目に係る要摂取頻度とを比較し、各食品品目に係る要摂取頻度と既摂取頻度との差を求めるものである。
【0027】
表示制御手段34は、差分手段33により求められた各食品品目に係る要摂取頻度と既摂取頻度との差に基づき、各食品品目に係る既摂取頻度の過不足を、摂取度数に対応するマークを用いて表示手段12に表示するものである。ここで、度数は後に説明する食品品目ごとの基準頻度に対応する。表示制御手段34は、差分手段33により求められた各食品品目に係る要摂取頻度と摂取頻度との差に基づき、各食品品目に係る摂取頻度の過不足を、摂取度数に対応するマークを用いて表示する際に、各食品品目に対応させて摂取済度数と同数のマークを表示し、摂取頻度の過多と不足について表示色を異ならせて表示する。
【0028】
また、表示制御手段34は、差分手段33により求められた各食品品目に係る要摂取頻度と既摂取頻度との差に基づき、各食品品目に係る既摂取頻度の過不足を、文字のメッセージとして表示する。摂取過多の場合には、例えば過多25%から50%までの第一段階、50%より過多で100%までの第二段階、100%より過多である第三段階に分けてメッセージが外部記憶装置14に用意されている。例えば図4に示されるように、第一段階のメッセージとしては「○○は控えるように気にかけてください。」、第二段階のメッセージとしては「○○はかなり取りすぎです。」、第三段階のメッセージとしては「○○は取りすぎで、警告のレベルです。」が、メッセージリストとして外部記憶装置14に用意されている。
【0029】
また、摂取不足の場合には、例えば25%から50%までの範囲で不足すると表示する「○○を気にかけて取るようにしてください。」というメッセージと、50%より多く不足すると表示する「○○をがんばって取るようにしてください。」というメッセージが、外部記憶装置14のメッセージリストに用意されている。更に、「○○はこの調子でいいです。」というメッセージが外部記憶装置14のメッセージリストに用意され、±25%未満の過不足の場合にメッセージ表示されるように構成されている。
【0030】
換算手段35は、差分手段33により求められた各食品品目に係る要摂取頻度と摂取頻度との差に基づき、各食品品目に係る摂取頻度の過不足を、百分率に換算するものである。表示制御手段34は、換算手段35により換算された百分率によるグラフを表示手段12に表示するものである。
【0031】
以上の通りに構成された栄養バランス管理装置は、CPU10が外部記憶装置14に記憶され、主メモリ13にロードして実行する図5、図6に示すようなフローチャートに対応する栄養バランス管理プログラムにより動作するので、このフローチャートを参照して動作を説明する。
【0032】
栄養バランス管理装置が起動されると、年齢、性別、疾病情報が入力済みであるか検出し(S11)、入力されていなければ年齢、性別、疾病情報の入力画面を図7の図示しないエリアに表示し(S12)、入力を待つ(S13)。
【0033】
年齢、性別、疾病情報の入力がなされたことがステップS13において検出されると、外部記憶装置14に記憶されている個人要摂取頻度テーブル22を用いて、上記入力された個人に固有の要摂取頻度を求め、個人要摂取頻度情報として記憶しておく(S14)。個人要摂取頻度情報は、11種の食品品目に対応して、基準頻度の何倍であるかを、M1,M2,M3,・・・,M11として記憶されている。なお、M1,M2,M3,・・・,M11は、マークの個数と対応するため、四捨五入などにより整数化しておくものとする。
【0034】
ステップS11においてYESへ分岐した場合、或いは、ステップS14に続いて、1か月中の任意の三日間の食事内容を入力するための画面を図7に示すエリアRに表示し(S15)、入力及びチェック要求を待つ(S16)。ここにチェック要求は、図7に示される画面のチェックボタンの選択操作により行われる。三日間の食事内容(食品名または料理名)が入力されると、食品対応テーブル21を参照して、摂取済食品品目及び既摂取頻度を取得し、保持する(S17)。既摂取頻度は、11種の食品品目に対応して、基準頻度の何倍であるかが、N1,N2,N3,・・・,N11として保持される。また、N1,N2,N3,・・・,N11についても、マークの個数と対応するため、四捨五入などにより整数化しておくものとする。
【0035】
ステップS17に続いて11種の食品品目のそれぞれについて、個人要摂取頻度と既摂取頻度の差分を求める(S18)。つまり、M1とN1,M2とN2,M3とN3,・・・,M11とN11の差分を求める。ステップS18に続いて、Mi(個人要摂取頻度)とNi(既摂取頻度)との大小に基づき、Mi=Niであれば、Mi(Ni)個の白丸印画像を作成し、全てを黒く塗り潰し、Mi>Niであれば、Mi個の白丸印画像を作成し、Ni個を黒く塗り潰し、Mi<Niであれば、Ni個の白丸印画像を作成し、Mi個を黒く塗り潰し、残りを別の色(例えば、赤)で塗り潰し、各食品品目の画像と文字に対応させて表示する(S19)。これによって、丸印の色により各食品品目について摂取の過不足を一目瞭然に知ることができる。
【0036】
更に、各食品品目に個人要摂取頻度に対する既摂取頻度の百分率を算出し(S20)、円グラフを作成して、各食品品目の画像と文字に対応させて表示する(S21)。このようにして、表示された表示例を図7に示す。図7においては、最初の百%までの円グラフを大きく黒色で表示し、摂取過多の場合に、最初の百%を超える部分の円グラフを小さくまた色を変えて(黒色以外で)表示している。この百分率表示により、視覚による直感と数値によって各食品品目について摂取の過不足を理解することができる。
【0037】
また、栄養バランス管理装置は、コメントの表示要求を検出しており(S22)、図7に示される画面中のコメントボタンの選択操作により表示要求がなされると、上記百分率により示される摂取過不足情報を用いて、外部記憶装置14のメッセージリストに用意されているメッセージ中の対応するメッセージを選択して、メッセージ画像を作成し、表示する(S23)。図8は、このメッセージの一例を示している。
【0038】
ステップS24においては、リターン要求やプログラム終了を検出しており(S24、S25)、「戻る」ボタンの操作によりリターン要求が検出されると、前画面の画像(図7)を表示し(S26)、プログラム終了の操作によりエンドとなる。
【0039】
以上のように、本実施例では、年齢、性別、疾病情報、所定日数において摂取した食事内容を入力するだけで、11種の食品品目についての摂取状況を画像によって直感的に把握することができ便利である。また、文字によるメッセージを表示することもでき、食事に対する指針が与えられ、バランスの良い食事を取ることが可能となる。
【0040】
なお、上記実施例では、一か月中の三日分の食事内容を入力することにより、処理が実行されるようにしたが、日数は一例であり、また、一週間中の何日間分の食事内容を入力することにより、処理が実行されるようにしても良いし、一日毎に食事内容を入力することにより、処理が実行されるようにしても良い。更に、図5の画面例において右下側に「月単位」、「週単位」、「日単位」の切換ボタンを用意し、「月単位」の何日間、「週単位」の何日間、「日単位」を切り換えるようにしても良い。
【符号の説明】
【0041】
10 CPU
11 入力手段
12 表示手段
13 主メモリ
14 外部記憶装置
21 食品対応テーブル
22 個人要摂取頻度テーブル
31 要摂取食品情報取得手段
32 食品品目特定手段
33 差分手段
34 表示制御手段
35 換算手段
【先行技術文献】
【特許文献】
【0042】
【特許文献1】特開2002−49696号公報
【特許文献2】特開2003−122854号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報を可視表示するための表示手段と、
年齢、性別、疾病情報、更に、所定日数において摂取した食事内容について、食品名または料理名を入力するための入力手段と、
入力された食品名または料理名に対応する食品品目と摂取された既摂取頻度を特定する食品品目特定手段と、
年齢、性別、疾病情報に基づき、所定日数において摂取すべき所定数の食品品目とその要摂取頻度を求める要摂取食品情報取得手段と、
既摂取頻度と各食品品目に係る要摂取頻度とを比較し、各食品品目に係る要摂取頻度と既摂取頻度との差を求める差分手段と、
この差分手段により求められた各食品品目に係る要摂取頻度と既摂取頻度との差に基づき、各食品品目に係る既摂取頻度の過不足を、摂取度数に対応するマークを用いて前記表示手段に表示する表示制御手段と
を具備することを特徴とする栄養バランス管理装置。
【請求項2】
表示制御手段は、差分手段により求められた各食品品目に係る要摂取頻度と摂取頻度との差に基づき、各食品品目に係る既摂取頻度の過不足を、摂取度数に対応するマークを用いて表示する際に、各食品品目に対応させて摂取済度数と同数のマークを表示し、摂取頻度の過多と不足について表示色を異ならせて表示することを特徴とする請求項2に記載の栄養バランス管理装置。
【請求項3】
表示制御手段は、差分手段により求められた各食品品目に係る要摂取頻度と既摂取頻度との差に基づき、各食品品目に係る既摂取頻度の過不足を、文字のメッセージとして表示することを特徴とする請求項1または2に記載の栄養バランス管理装置。
【請求項4】
差分手段により求められた各食品品目に係る要摂取頻度と既摂取頻度との差に基づき、各食品品目に係る既摂取頻度の過不足を、百分率に換算する換算手段を備え、
表示制御手段は、換算手段により換算された百分率によるグラフを表示手段に表示することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の栄養バランス管理装置。
【請求項5】
栄養バランス管理に関する処理を行うコンピュータを、
情報を可視表示するための表示手段、
年齢、性別、疾病情報、更に、所定日数において摂取した食事内容について、食品名または料理名を入力するための入力手段、
前記入力手段により、所定日数において摂取した食事内容について、食品名または料理名の入力がなされると、入力された食品名または料理名に対応する食品品目と摂取された既摂取頻度を特定する食品品目特定手段、
年齢、性別、疾病情報に基づき、所定日数において摂取すべき所定数の食品品目とその要摂取頻度を求める要摂取食品情報取得手段、
前記食品品目特定手段が特定した既摂取頻度と、前記要摂取食品情報取得手段により求められた各食品品目に係る要摂取頻度とを比較し、各食品品目に係る要摂取頻度と既摂取頻度との差を求める差分手段、
この差分手段により求められた各食品品目に係る要摂取頻度と既摂取頻度との差に基づき、各食品品目に係る既摂取頻度の過不足を、摂取度数に対応するマークを用いて前記表示手段に表示する表示制御手段
として機能させるための栄養バランス管理プログラム。
【請求項6】
コンピュータを表示制御手段として、
差分手段により求められた各食品品目に係る要摂取頻度と摂取頻度との差に基づき、各食品品目に係る既摂取頻度の過不足を、摂取度数に対応するマークを用いて表示する際に、各食品品目に対応させて摂取済度数と同数のマークを表示し、摂取頻度の過多と不足について表示色を異ならせて表示するように機能させることを特徴とする栄養バランス管理プログラム。
【請求項7】
コンピュータを表示制御手段として、差分手段により求められた各食品品目に係る要摂取頻度と既摂取頻度との差に基づき、各食品品目に係る既摂取頻度の過不足を、文字のメッセージとして表示するように機能させることを特徴とする請求項5または6に記載の栄養バランス管理プログラム。
【請求項8】
コンピュータを
差分手段により求められた各食品品目に係る要摂取頻度と既摂取頻度との差に基づき、各食品品目に係る既摂取頻度の過不足を、百分率に換算する換算手段として機能させ、
コンピュータを表示制御手段として、換算手段により換算された百分率によるグラフを表示手段に表示するように機能させることを特徴とする請求項6乃至7のいずれか1項に記載の栄養バランス管理プログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2011−34167(P2011−34167A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−177380(P2009−177380)
【出願日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【出願人】(507144469)学校法人 ノースアジア大学 (1)
【出願人】(505276340)株式会社ユニケア (5)