説明

校正情報処理装置、校正情報処理方法、プログラム及び電子校正システム

【課題】複数の入力モードを適切に使い分けることで校正作業の効率を向上可能な校正情報処理装置、校正情報処理方法、プログラム及び電子校正システムを提供する。
【解決手段】指定された関心領域140内の画像の特性に応じて、複数の入力モード(「テキスト」、「ペン」、「色情報」及び「音声」入力モード)の中から少なくとも1つの入力モードを選択する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、注釈情報の種類がそれぞれ異なる複数の入力モードを用いて、校正画像に対し複数種類の注釈情報を付与可能な校正情報処理装置、並びにこの装置を用いた校正情報処理方法、プログラム及び電子校正システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近時、印刷分野において、印刷会社等の製作側で作成された校正データや、発注会社等の出版企画側での修正指示情報を、地理的に離れた各担当者に通信回線を経由して送受信することで、色校正紙の遣り取りを省略するリモートプルーフを実現する電子校正システムが普及しつつある。そして、この電子校正システムに、表示部、タッチパネル及び録音再生機構を組み込んだ携帯可能な情報処理装置を導入することで、一層の利便性が図られるものと期待される。
【0003】
例えば、特許文献1及び2には、音声入力により注釈情報を付与する技術がそれぞれ提案されている。このとき、ユーザは、自らの手(指)を動かす必要がなく、且つ、筆記やタイプの場合と比べて、多くの情報量を短時間で入力可能であるという利点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−6188号公報
【特許文献2】特開2002−358532号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、日本語に関し、同音異義語の誤り(漢字の使用誤り)を指摘する場合、音声では発音の差異を区別できないため、指示内容が的確に伝わらない。一方、筆記(画像入力)やタイプ(テキスト入力)により文字を直接入力することで、指示内容を的確に伝達できる。このように、注釈情報の種類が異なる各入力モードの優劣は、画像の特性及び指示内容に応じて異なってくる。
【0006】
しかしながら、特許文献1及び2に記載された装置及び方法では、複数の入力モードを使い分けることが困難であった。また、複数の入力モードを使い分けようとしても、モードの選択自体に時間を要するため効率的ではなかった。
【0007】
本発明は上記した問題を解決するためになされたもので、複数の入力モードを適切に使い分けることで校正作業の効率を向上可能な校正情報処理装置、校正情報処理方法、プログラム及び電子校正システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、注釈情報の種類がそれぞれ異なる複数の入力モードを用いて、校正画像に対し複数種類の注釈情報を付与可能な校正情報処理装置に関する。
【0009】
前記校正画像における画像領域内の関心領域を指定する関心領域指定部と、前記関心領域指定部により指定された前記関心領域内の画像の特性に応じて、前記複数の入力モードの中から少なくとも1つの入力モードを選択するモード選択部とを有することを特徴とする。
【0010】
このように、指定された関心領域内の画像の特性に応じて、複数の入力モードの中から少なくとも1つの入力モードを選択するようにしたので、複数の入力モードを適切に使い分けることが可能であり、その結果、校正作業の効率を向上できる。
【0011】
また、前記モード選択部により少なくとも2つの入力モードが選択された場合、ユーザによる操作に応じて1つの入力モードを決定する入力モード決定部をさらに有することが好ましい。
【0012】
さらに、前記複数の入力モードでは、音声情報、テキスト情報、画像情報及び色情報のうちの少なくとも2種類の注釈情報を入力可能であることが好ましい。
【0013】
さらに、前記画像の特性は、所定の算出手法に従った画像特徴量であることが好ましい。
【0014】
本発明に係る校正情報処理方法は、注釈情報の種類がそれぞれ異なる複数の入力モードを用いて、校正画像に対し複数種類の注釈情報を付与可能な装置を用いた方法であって、前記校正画像における画像領域内の関心領域を指定する指定ステップと、指定された前記関心領域内の画像の特性に応じて、前記複数の入力モードの中から少なくとも1つの入力モードを選択する選択ステップとを備えることを特徴とする。
【0015】
本発明に係るプログラムは、注釈情報の種類がそれぞれ異なる複数の入力モードを用いて、校正画像に対し複数種類の注釈情報を付与可能な装置を、前記校正画像における画像領域内の関心領域を指定する関心領域指定部、前記関心領域指定部により指定された前記関心領域内の画像の特性に応じて、前記複数の入力モードの中から少なくとも1つの入力モードを選択するモード選択部として機能させることを特徴とする。
【0016】
本発明に係る電子校正システムは、上記したいずれかの、少なくとも1つの校正情報処理装置と、前記校正情報処理装置と相互に通信可能であって前記校正画像を表す校正データ及び前記注釈情報を記憶可能なサーバ装置とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る校正情報処理装置、校正情報処理方法、プログラム及び電子校正システムによれば、指定された関心領域内の画像の特性に応じて、複数の入力モードの中から少なくとも1つの入力モードを選択するようにしたので、複数の入力モードを適切に使い分けることが可能であり、その結果、校正作業の効率を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本実施の形態に係る電子校正システムとしての印刷物生産システムの全体構成図である。
【図2】図1に示す印刷会社内のシステム構成図である。
【図3】図1に示す情報処理装置の機能ブロック図である。
【図4】図1に示す印刷物生産システムを用いた印刷物生産工程を説明するフローチャートである。
【図5】図4のステップS5における、情報処理装置の動作説明に供されるフローチャートである。
【図6】図6A及び図6Bは、校正画像に対して注釈情報を付与する際の画面遷移を表す概略説明図である。
【図7】図7A及び図7Bは、校正画像に対して注釈情報を付与する際の画面遷移を表す概略説明図である。
【図8】アイコンの別の配置例を表す概略説明図である。
【図9】注釈情報が付与された校正画像を閲覧する際の画面遷移を表す概略説明図である。
【図10】図10A及び図10Bは、注釈情報が付与された校正画像を閲覧する際の画面遷移を表す概略説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に係る校正情報処理方法について、これを実施する校正情報処理装置及び電子校正システムとの関係において好適な実施形態を挙げ、添付の図面を参照して説明する。
【0020】
図1は、本実施の形態に係る印刷物生産システム10(電子校正システム)の全体構成を示している。
【0021】
この印刷物生産システム10は、校正者等が所属する広告代理店又はクライアント(会社)等の印刷物の発注会社12と、デザイナ等が所属する制作会社14と、印刷オペレータ等が所属する印刷会社16との間で、LAN(Local Area Network)或いはWAN(Wide Area Network)等のネットワーク18を介して構築されたシステムである。各プレーヤーの構成は、本図に限定されるものではなく、例えば、制作会社14と印刷会社16とが同一の会社等とされることもある。
【0022】
発注会社12内には、ネットワーク18とLAN20との間の接続を中継する機器であるゲートウェイ22と、印刷会社16側から送信された校正データを基に校正を行うための校正者端末24と、校正者端末24から送信された校正データに基づいてプルーフ26を印刷するプリンタ28と、発注会社12内に構築される無線LANの中継機器である無線LANルータ30と、無線LANルータ30を介して校正データ等を取得可能な2台の情報処理装置32a、32b(校正情報処理装置)とが配置されている。
【0023】
なお、本明細書では、初校、再校、再々校、及び校了の際に発生する印刷用データを総称して「校正データ」という。
【0024】
制作会社14内には、ネットワーク18とLAN34との間の接続を中継する機器であるゲートウェイ36と、印刷会社16側から送信された校正データを基に校正を行うためのデザイナ端末38と、デザイナ端末38から送信された校正データに基づいてプルーフ40を印刷するプリンタ41と、制作会社14内に構築される無線LANの中継機器である無線LANルータ42と、無線LANルータ42を介して校正データ等を取得可能な1台の情報処理装置44(校正情報処理装置)とが配置されている。
【0025】
図2は、図1に示す印刷会社16内のシステム構成図である。
【0026】
印刷会社16内には、ネットワーク18とLAN50との間の接続を中継する機器であるゲートウェイ52と、LAN20、34を含む外部ネットワークに属する各端末からネットワーク18を介してアクセス可能なリモートサーバ54(サーバ装置)と、印刷に要する各種作業を行うためのオペレータ端末56と、リモートサーバ54から送信された校正データ(又は製版データ)に基づいてラスタライズ処理や色変換処理等の各画像処理を実行するRIP装置58と、RIP装置58から送信された処理済みの校正データに基づいてプルーフ60を印刷可能であるDDCP(Direct Digital Color Proofing)62と、図示しない刷版を装着して印刷物64を印刷可能であるオフセット印刷機66とが配置されている。
【0027】
リモートサーバ54は、印刷物生産システム10におけるワークフロー管理の中核をなす装置である。リモートサーバ54は、校正者端末24、デザイナ端末38、及び情報処理装置32a、32b、44にネットワーク18を介してそれぞれ接続される。一方、リモートサーバ54は、LAN50を介して、オペレータ端末56及びRIP装置58に接続される。
【0028】
本実施の形態において、リモートサーバ54は、各端末、各ユーザ、又は各ジョブにおいて実行可能なタスク権限を管理する権限管理サーバ68としての機能と、素材データ、校正データ、製版データ及びこれらに付随する各種データファイルの格納・転送を司るファイルサーバ70としての機能と、各工程の開始・終了等の所定のタイミングで通知メールを生成・配信するメールサーバ72としての機能とを担う。
【0029】
権限管理サーバ68は、印刷物生産システム10の運用に関する各種設定を登録し、その登録情報に従って本システムを運用させる。登録情報には、ファイルサーバ70へのアクセス権限、ファイルサーバ70に保存された各種データの読出し/書込み権限、メールサーバ72からの通知メールの送信先等が含まれる。具体例として、後述する電子校正に関して、校正画像を閲覧する権限、校正画像に注釈情報を付与する権限、校正データを修正・更新する権限、校了の承認権限等が、各担当者に割り当てられる。
【0030】
ファイルサーバ70は、権限管理サーバ68での登録情報に従って、印刷物64の生産に必要な各種データファイルを保存、更新、削除等する。各種データファイルには、制作会社14からの素材データ、校正データ、製版データ、ジョブチケット{例えば、JDF(Job Definition Format)ファイル}、ICC(International Color Consortium)プロファイル、色見本データ等が含まれる。
【0031】
メールサーバ72は、権限管理サーバ68での登録情報に従って、通知メールを所定の端末(ユーザ)に対して適時に送信する。送信タイミングとして、例えば、入稿の通知、プリフライト処理の実行通知、校正開始/終了の旨の通知、承認の通知、校正完了の通知等が挙げられる。この通知により、各担当者は、各工程の進捗状況を適時に確認できる。
【0032】
RIP装置58は、少なくとも1つの印刷機に対する印刷処理サーバとして機能する。図2例では、RIP装置58には、DDCP62と、オフセット印刷機66とが電気的に接続されている。この場合、RIP装置58は、ページ記述言語で記述された校了データを各印刷機に応じた網点データに変換し、前記網点データをDDCP62(又はオフセット印刷機66)に供給する。
【0033】
DDCP62は、RIP装置58から供給された網点データに基づいてプルーフ60を印刷する。プルーファとして、DDCP62に代替して、インクジェットカラープルーファ、低解像度のカラーレーザプリンタ(電子写真方式)やインクジェットプリンタ等を用いてもよい。
【0034】
オフセット印刷機66は、RIP装置58から供給された網点データに基づいて印刷物64を印刷する。なお、オフセット印刷機66に代替して、ダイレクト印刷のためのデジタル印刷機を設けてもよい。デジタル印刷機としては、インクジェットカラープルーファやカラーレーザプリンタ(電子写真方式)等を用いてもよい。
【0035】
図1及び図2に示すように、クライアント装置としての校正者端末24、デザイナ端末38、及びオペレータ端末56は、CPU、ROM、RAM等を備える本体部24a、38a、56aと、表示部24b、38b、56bと、ポインティングデバイス・キーボード等からなる入力部24c、38c、56cをそれぞれ備えている。
【0036】
本実施の形態では、クライアント装置として、タッチペン74(又はユーザの指先)を用いて筆記入力が可能である情報処理装置32a、32b、44を適用している。
【0037】
図3は、図1に示す情報処理装置32aの機能ブロックである。CPU等からなる制御部(不図示)は、ROM、RAM等の記録媒体(不図示)に格納されたプログラムを読み出し実行することで、これらの機能を実現可能である。なお、情報処理装置32b、44についても、図3と同様の構成であるとする。
【0038】
情報処理装置32aは、外部装置からの電気信号を送受信する通信部80と、通信部80から受信された校正データに対して表示に適した各種信号処理を施す画像信号処理部82と、画像信号処理部82により信号処理された校正データから表示制御信号を生成する表示制御部84と、表示制御部84により生成された表示制御信号に基づいて画像(校正画像や注釈情報を含む。)を表示する表示部86と、タッチペン74と表示部86との接触部位を検出することで筆記入力する筆記入力部88と、筆記入力部88からの筆記入力の特徴に基づいて筆記情報(ユーザの指示や入力内容を含む。)を解釈する筆記情報解釈部90と、筆記情報解釈部90により解釈された筆記情報に応じた図形、アイコン等の表示用画像を作成する画像作成部92と、筆記情報解釈部90により解釈された筆記情報等を格納するデータ格納部94と、注釈情報としての音声情報を入出力等する音声情報処理部96と、複数の入力モードの中から少なくとも1つの入力モード(以下、推奨モードという場合がある。)を選択するモード選択部98とを備える。
【0039】
ここで、注釈情報には、文字、図形、記号、模様、色彩又はこれらを組み合わせた画像情報、ASCII等の文字コードを組み合わせたテキスト情報のみならず、音声情報、色情報、映像情報等が含まれる。本実施の形態では、テキスト入力モード、ペン入力モード、色情報入力モード、及び音声入力モードの4つの入力モードが用意されている。入力モードの数はこれに限定されることなく、音声情報、テキスト情報、画像情報及び色情報のうちの少なくとも2種類の注釈情報を入力可能であればよい。
【0040】
画像信号処理部82は、画像の拡縮処理、トリム処理、ガンマ変換処理、ICCプロファイルによるカラーマッチング処理、画像のエンコード処理・デコード処理等を含む信号処理を適宜行う。
【0041】
表示部86は、カラー表示可能な表示モジュールであり、液晶パネル、有機EL(Electro-Luminescence)、無機ELパネル等で構成されてもよい。筆記入力部88は、表示部86を介して直接入力可能なタッチパネル検出器である。検出方式としては、抵抗膜方式、静電容量方式、赤外線方式、電磁誘導方式、静電結合方式等を含む種々の方式を用いてもよい。
【0042】
筆記情報解釈部90は、校正画像122(図6A参照)における画像領域内の関心領域140(同図参照)を指定する関心領域指定部100と、文字情報をテキスト形式で入力するテキスト入力部102(第1の入力部)と、文字情報を画像形式で入力する画像入力部103(第2の入力部)と、指定色に関する情報を入力する指定色入力部104(第3の入力部)と、モード選択部98により選択された入力モードの中から1つの入力モードを決定する入力モード決定部106とを備える。
【0043】
データ格納部94は、RAM等のメモリで構成されている。データ格納部94は、校正画像122を表す校正データを格納する校正画像格納部108と、注釈情報データ及びその一時データを格納する注釈情報格納部110とを備える。
【0044】
音声情報処理部96は、外部からの音声を電気的な信号(以下、音声信号という。)として入力する音声信号入力部112(第4の入力部;いわゆるマイクユニット)と、取得された音声信号を外部に出力する音声信号出力部114(いわゆるスピーカユニット)とを備える。マイク(マイクロフォン)の方式として、コンデンサマイク、エレクトレットコンデンサマイクを含む静電型マイク、圧電マイク、カーボンマイク、骨伝導マイク、動電型マイク等を含む種々の方式を適用できる。スピーカの方式として、振動板を振動させて音波を出力するダイナミック型を含む種々の方式を適用できる。なお、マイク(及び/又はスピーカ)は、図示しない接続端子を介して外付け可能に構成されてもよい。
【0045】
モード選択部98は、入力モードを少なくとも1つ選択する機能の他、関心領域指定部100により指定された関心領域140内の画像の特徴を解析する関心領域解析部116をさらに備える。
【0046】
本実施の形態に係る印刷物生産システム10は以上のように構成される。続いて、印刷物64を生産するワークフロー及び印刷物生産システム10の動作について、図4及び図5を参照しながら説明する。
【0047】
先ず、印刷会社16に所属する印刷オペレータは、入稿された素材データを編集してDTP処理を行う(ステップS1)。DTP処理に先立ち、制作会社14に属するデザイナは、デザイナ端末38を用いて、印刷物64のコンテンツに相当する素材データを作成する。入稿権限を有するデザイナによる送信指示に応じて、デザイナ端末38は、ファイルサーバ70(リモートサーバ54)を送信先に指定して前記素材データを送信する。そうすると、ファイルサーバ70は、LAN34、ゲートウェイ36、ネットワーク18、及びゲートウェイ52を介して、素材データを受信して記憶する。
【0048】
そして、印刷オペレータは、オペレータ端末56を用いて、素材データの入手、プリフライト処理、及び組版等の必要な作業を行う。このとき、オペレータ端末56は、LAN50を介して、ファイルサーバ70から(に)データファイルを適宜受信(送信)してもよい。
【0049】
次いで、ユーザとしての校正者は、メールサーバ72(リモートサーバ54)から、校正作業の依頼の旨の通知メールを受け取る(ステップS2)。ここで、校正者は、発注会社12、制作会社14、印刷会社16のいずれに属してもよい。本実施の形態では、例えば、発注会社12側の校正者による校正作業について例示するが、この形態に限られない。例えば、校正者端末24(本体部24a)は、ネットワーク18、ゲートウェイ22、LAN20を介して、メールサーバ72からの通知メールを受信する。
【0050】
次いで、校正者は、ファイルサーバ70から校正データ(初校)をダウンロードし、校正データの確認を行う(ステップS3)。例えば、校正者端末24(本体部24a)は、ネットワーク18等を介して印刷会社16から校正データを取得し、プリンタ28での印刷に適した所定の信号処理を施す。そして、プリンタ28は、信号処理済みの印刷データを取得し、該印刷データに基づいてプルーフ26を印刷する。そして、校正者は、プルーフ26を観察し、種々の校正作業を行う。
【0051】
次いで、校正者は、校正データに対して修正が必要か否かを判断する(ステップS4)。修正が必要であると判断した場合、校正者は、デザイナに対して修正指示を行う(ステップS5)。本実施の形態に係る電子校正システムでは、情報処理装置32a等を用いて付与された注釈情報(アノテーション)をファイルサーバ70に登録することで、校正画像を閲覧する権限を有するデザイナは、修正指示の内容を閲覧可能となる。例えば、校正者から、ページの内容を承認しない旨の指示をリモートサーバ54側に送信すると、メールサーバ72は、デザイナに通知メールを送信する。
【0052】
以下、ステップS5における情報処理装置32aの動作(具体的には、注釈情報の付与)について、図5のフローチャート及び図3の機能ブロック図を参照しながら詳細に説明する。
【0053】
先ず、情報処理装置32aは、校正者による所定の操作に応じて、注釈モードに移行する(ステップS51)。校正データのダウンロード指示に応じて、通信部80は、印刷会社16からの校正データを受信する。そして、画像信号処理部82は、校正データに対して、表示部86への表示に適した所望の信号処理を施す。そして、表示制御部84は、信号処理された校正データから表示制御信号を生成し、該表示制御信号に基づいて表示部86(表示画面120上)に校正画像122を表示させる。
【0054】
図6A及び図6Bは、校正画像122に対して注釈情報を付与する際の画面遷移を表す概略説明図である。
【0055】
表示部86の表示画面120には、校正画像122(本図では、正面視の女性の顔画像)が略全面に表示されている。また、表示画面120の左下隅部には、校正画像122に重畳して、アイコン124が表示されている。このアイコン124は、タッチの回数に応じて編集モードを切り替える第1アイコン126と、筆記モード・消しゴムモードに切り替える第2アイコン128と、校正作業の終了・設定の保存を指示する第3アイコン130とから構成される。例えば、校正者による所定の操作、例えば、第1アイコン126を所定の回数だけタッチすることで、注釈モード(ここでは、[AUTO]と表記された自動選択モード)が選択される。また、第2アイコン128を所定の回数だけタッチすることで、筆記モードが選択される。
【0056】
なお、タッチペン74(又はユーザの指先)によるタッチ操作に応じて、表示部86の表示内容が適時に更新される。この機能は、筆記入力部88による検出処理、筆記情報解釈部90による筆記情報の解釈処理、画像作成部92による画像の作成・更新処理、表示制御部84による表示制御、及び表示部86による更新表示を経ることで実現される。
【0057】
次いで、校正者による所定の操作に応じて、関心領域指定部100は、関心領域140を指定する(ステップS52)。具体的には、図6Aに示すように、校正者は、タッチペン74を用いて、表示画面120上の開始位置132をタッチした状態で、破線で示す軌跡134に沿って終了位置136まで表示画面120をなぞる。そうすると、表示画面120の中央左方部には、校正画像122に重畳して、軌跡134を対角線とする矩形枠138が表示される。ここで、矩形枠138で囲まれた画像領域は、修正指示を行おうとする関心領域140に相当する。
【0058】
筆記情報解釈部90は、筆記入力部88から検出された入力内容と、現在指定されている各種モード(注釈モード及び筆記モード)との組合せから、関心領域140を抽出したものと解釈する。
【0059】
次いで、関心領域解析部116は、関心領域140内の画像を解析する(ステップS53)。具体的には、関心領域解析部116は、ステップS52で指定された関心領域140内の画像(又は付随する各種情報)に対して解析処理を施すことで、画像の特性、具体的には、所定の算出手法に従った画像特徴量及び/又は画像の属性を取得する。ここで、画像特徴量には、空間周波数特性、色の分布、色の統計値(具体的には、平均値、標準偏差、分散等)、オブジェクトとの相関性(テンプレート画像との一致度)が含まれる。また、画像の属性には、ドキュメント、CG、イラスト、写真(更には、人物画、風景画等)等を含む画像の種類や、ジョブチケット等の付帯情報が含まれる。
【0060】
図6A例において、校正画像122の被写体の女性が黄色人種である場合、関心領域140内(顔部)に略黄色の肌色が多く分布している。この場合、関心領域解析部116は、関心領域140内において色の均一性が高い、という解析結果を得る。
【0061】
次いで、モード選択部98は、複数の入力モードの中から推奨モードを少なくとも1つ選択する(ステップS54)。具体的には、モード選択部98は、ステップS53での「色の均一性が高い」旨の解析結果に基づいて、「関心領域140に付与しようとする注釈情報は、『色の修正指示』に関する情報である。」と推定する。そして、モード選択部98は、色の修正指示に適した入力モード、すなわち推奨モードとして、例えば「色情報」及び「音声」入力モードを選択する。なお、モード選択部98により選択される推奨モードの数は、複数であってもよいし1つであってもよい。複数の場合は校正者にとって選択肢が増加するという観点で好ましく、1つの場合は校正者による選択操作が不要になるという観点で好ましい。
【0062】
次いで、表示制御部84は、ステップS54で選択された推奨モードの種類を表示画面120上に表示させる(ステップS55)。
【0063】
図6B例では、ウィンドウ142(表示画面120の中央下部)が、校正画像122上に重ねて表示されている。ウィンドウ142には、カラーパッチの形状を模擬したモードアイコン144と、マイクの形態を模擬したモードアイコン146とがそれぞれ配置されている。
【0064】
次いで、筆記情報解釈部90は、入力モードの決定指示を受け付けたか否かを判別する(ステップS56)。具体的には、筆記情報解釈部90は、モードアイコン144、146のタッチ操作があったか否かを判別する。タッチ操作がなかったと判別された場合は、上記したタッチ操作を受け付けるまでステップS56に留まる。一方、タッチ操作があったと判別された場合、次のステップ(S57)に進む。
【0065】
次いで、入力モード決定部106は、校正者による操作に応じて、関心領域140に付与する注釈情報の入力モードを決定する(ステップS57)。具体的には、入力モード決定部106は、モードアイコン144(図6B参照)がタッチされた場合に「色情報」入力モードに決定し、モードアイコン146(同図参照)がタッチされた場合に「音声」入力モードに決定する。
【0066】
次いで、ステップS57で決定された入力モードに応じて、情報処理装置32aは、注釈情報を入力する(ステップS58)。「色情報」入力モードの場合、指定色入力部104は、筆記入力部88を介して、注釈情報としての色情報を入力する。「音声」入力モードの場合、音声信号入力部112を介して、注釈情報としての音声信号を入力する。
【0067】
次いで、筆記情報解釈部90は、設定保存の指示を受け付けたか否かを判別する(ステップS59)。具体的には、筆記情報解釈部90は、第3アイコン130のタッチ操作があったか否かを判別する。タッチ操作がなかったと判別された場合、ステップS52に戻って、以下、ステップS52〜S58を繰り返す。
【0068】
一方、タッチ操作があったと判別された場合、情報処理装置32aは、注釈情報をリモートサーバ54側に送信する(ステップS60)。具体的には、注釈情報格納部110は、校正画像122における関心領域140の位置・サイズ情報のみならず、色情報(又は音声信号)をも注釈情報データとして一時的に格納する。
【0069】
そして、情報処理装置32aは、通信部80を介して、注釈情報データを所定の宛先(リモートサーバ54)に送信する。そして、リモートサーバ54は、無線LANルータ30、LAN20、ゲートウェイ22、ネットワーク18、及びゲートウェイ52を介して、注釈情報データを受信する。そして、ファイルサーバ70は、この注釈情報データを校正データに対応付けて記憶する。
【0070】
このようにして、校正者は、修正指示を電子的に行う(ステップS5)。
【0071】
ところで、修正指示の入力方法は、図6A及び図6B例に限られることなく、校正画像122の属性、関心領域140の指定範囲、校正者の嗜好等に応じて種々の形態を採り得る。
【0072】
図7A及び図7Bは、校正画像148に対して注釈情報を付与する際の画面遷移を表す概略説明図である。
【0073】
表示部86の表示画面120には、図6A等とは異なる校正画像148(本図では、雑誌のページ画像)が略全面に表示されている。ここで、矩形枠150で囲まれた関心領域152が指定されたとする(ステップS52)。本図では、関心領域152内に、白色(背景部)及び黒色(文字部)の2色が多く分布している。この場合、関心領域解析部116は、関心領域152内において文字情報が多く含まれている、という解析結果を得る(ステップS53)。
【0074】
そして、モード選択部98は、「関心領域152に付与しようとする注釈情報は、『文字の修正指示』に関する情報である。」と推定する。そして、モード選択部98は、文字の修正指示に適した入力モード、すなわち推奨モードとして、例えば「テキスト」及び「ペン」入力モードを選択する(ステップS54)。
【0075】
その結果、図7Bに示すように、ウィンドウ154(表示画面120の中央下部)が、校正画像148上に重ねて表示される(ステップS55)。ウィンドウ154には、「A」の文字が表記されたモードアイコン156と、タッチペン74の形態を模擬したモードアイコン158とがそれぞれ配置されている。
【0076】
この場合、モードアイコン156のタッチ操作に応じて「テキスト」入力モードに決定され、あるいは、モードアイコン158のタッチ操作に応じて「ペン」入力モードに決定される(ステップS56、S57)。「テキスト」入力モードの場合、テキスト入力部102は、筆記入力部88を介して、注釈情報としてのテキスト情報を入力する(ステップS58)。「ペン」入力モードの場合、画像入力部103は、筆記入力部88を介して、注釈情報としての画像情報を入力する(同)。
【0077】
また、上記した方法を用いて、入力モードの種類を自動的に決定してもよいし、作業者の操作により手動で決定してもよい。例えば、図8に示すように、第1アイコン126を適宜タッチすることで、自動選択モード(AUTO)以外の所望の入力モードを適宜呼び出してもよい。また、アイコン124と併せて、筆記入力での各種指示内容を選択可能である筆記メニュー160(表示画面120の右下隅部)を配置してもよい。
【0078】
図4に戻って、制作会社14に所属するデザイナは、メールサーバ72から、色の修正指示があった旨の通知メールを受け取る(ステップS6)。例えば、デザイナ端末38(本体部38a)は、ネットワーク18、ゲートウェイ36、LAN34を介して、メールサーバ72からの通知メールを受信する。
【0079】
次いで、デザイナは、校正データの修正を行う(ステップS7)。校正データを注釈情報と併せて閲覧し、校正者からの修正の指示内容を確認する。校正画像122を閲覧するために、デザイナ端末38又は情報処理装置44のいずれを用いてもよい。例えば、情報処理装置44を用いて閲覧する場合について説明する。
【0080】
図9に示すように、校正画像122の関心領域140に対応する位置に、矩形枠138(図6A参照)と同じ位置及びサイズである破線状の矩形枠162が表示されている。矩形枠162の右上部には、三角形状のマーク164が表示されている。このマーク164のタッチ操作に応じて、図10A及び図10Bに示すように、関心領域140の右側に、校正者からの修正の指示内容を表す注釈画像166(又は操作画像172)が表示される。
【0081】
図10Aは、「色情報」入力モードで付与された注釈情報を表す注釈画像166の表示例である。
【0082】
注釈画像166は、指定色に着色されたカラーパッチ168と、該カラーパッチ168の下方に配置された色情報欄170とからなる。色情報欄170には、修正色(カラーパッチ168の表示色)に関する色情報が併せて表記されている。本図例では、RGB色値が表示されているが、これに限定されることなく、三刺激値XYZ、均等色空間上の色値L等のデバイス非依存データ、CMYK値等のデバイス依存データ、あるいは色見本の製造業者名、番号等であってもよい。
【0083】
デザイナは、この色情報欄170を参照しながら、デザイナ端末38を用いて、校正データの色修正を行う。この指示方法によれば、「顔の赤みを僅かに消して下さい。」等の抽象的な指示よりも具体的であるので、デザイナは、指示内容を容易に把握できる。
【0084】
図10Bは、「音声」入力モードで付与された注釈情報を音声で再現するための操作画像172の表示例である。
【0085】
操作画像172は、音声信号出力部114からの音量の大きさを可視化する音量ゲージ174と、音声Vの再生・停止を指示可能なボタン176とからなる。これにより、音声信号出力部114から出力される音声Vを制御できる。
【0086】
デザイナは、この音声Vを参照しながら、デザイナ端末38を用いて、校正データの色修正を行う。この指示方法によれば、校正者は、単なる指示のみならず情報量が多い傾向がある意向・意見等をも併せて伝達できる。
【0087】
また、マーク178(図10A及び図10B参照)のタッチ操作に応じて、注釈画像166(又は操作画像172)は非表示になり、図9に示す表示画面120に遷移する。このように、注釈画像166(又は操作画像172)の表示/非表示を切り替え可能に構成することで、必要に応じた選択的な表示が可能である。校正画像122上に複数の修正指示が存在する場合、作業者にとって便宜である。
【0088】
このようにして、デザイナ端末38は、色が修正された校正データ(再校データ)を作成し、リモートサーバ54側に送信する。そうすると、リモートサーバ54は、無線LANルータ42、LAN34、ゲートウェイ36、ネットワーク18、及びゲートウェイ52を介して再校データを受信する。そして、ファイルサーバ70は、この再校データを記憶する。
【0089】
デザイナによる色修正が完了した場合、ステップS2に戻って、校正者は、リモートサーバ54(メールサーバ72)から、通知メールを受け取る(ステップS2)。
【0090】
以下、同様に、ステップS2〜S7を繰り返し、校正作業(再校、再々校)を行う。修正の必要がないと判断すると(すなわち、関与する全校正者がページの内容を承認する旨の指示をリモートサーバ54側に通知した場合)、ファイルサーバ70は、最後に更新された校正データを校了データとして記憶する。例えば、校了データの保存をトリガとして、印刷会社16に所属する印刷オペレータは、メールサーバ72から通知メールを受け取る(ステップS8)。オペレータ端末56(本体部56a)は、LAN50を介して、メールサーバ72からの通知メールを受信する。
【0091】
次いで、印刷会社16に所属する印刷オペレータは、校了データに基づいて、印刷物64の生産を行う(ステップS9)。具体的には、印刷オペレータは、DDCP62にプルーフ60を印刷させ、校正を行う。その後、刷版を作成し、オフセット印刷機66を用いて印刷物64を生産する。
【0092】
以上のように、指定された関心領域140、152内の画像の特性に応じて、複数の入力モード(テキスト入力部102、画像入力部103、指定色入力部104、及び音声信号入力部112を介した入力モード)の中から少なくとも1つの入力モードを選択するようにしたので、複数の入力モードを適切に使い分けることが可能であり、その結果、校正作業の効率を向上できる。
【0093】
なお、この発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、この発明の主旨を逸脱しない範囲で自由に変更できることは勿論である。
【0094】
例えば、本実施の形態に係るクライアント装置(情報処理装置32a等)は、本体部、表示部及び入力部が一体に構成されているが、複数の機器(例えば、校正者端末24における、本体部24a、表示部24b及び入力部24c)で構成されても本発明を適用できる。
【符号の説明】
【0095】
10…印刷物生産システム 24…校正者端末
32a、32b、44…情報処理装置 38…デザイナ端末
54…リモートサーバ 56…オペレータ端末
64…印刷物 70…ファイルサーバ
80…通信部 84…表示制御部
86…表示部 88…筆記入力部
90…筆記情報解釈部 92…画像作成部
98…モード選択部 100…関心領域指定部
102…テキスト入力部 103…画像入力部
104…指定色入力部 106…入力モード決定部
112…音声信号入力部 114…音声情報出力部
116…関心領域解析部 120…表示画面
122、148…校正画像 140、152…関心領域
142、154…ウィンドウ
144、146、156、158…モードアイコン
166…注釈画像 172…操作画像

【特許請求の範囲】
【請求項1】
注釈情報の種類がそれぞれ異なる複数の入力モードを用いて、校正画像に対し複数種類の注釈情報を付与可能な校正情報処理装置であって、
前記校正画像における画像領域内の関心領域を指定する関心領域指定部と、
前記関心領域指定部により指定された前記関心領域内の画像の特性に応じて、前記複数の入力モードの中から少なくとも1つの入力モードを選択するモード選択部と
を有することを特徴とする校正情報処理装置。
【請求項2】
請求項1記載の校正情報処理装置において、
前記モード選択部により少なくとも2つの入力モードが選択された場合、ユーザによる操作に応じて1つの入力モードを決定する入力モード決定部をさらに有することを特徴とする校正情報処理装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の校正情報処理装置において、
前記複数の入力モードでは、音声情報、テキスト情報、画像情報及び色情報のうちの少なくとも2種類の注釈情報を入力可能であることを特徴とする校正情報処理装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の校正情報処理装置において、
前記画像の特性は、所定の算出手法に従った画像特徴量であることを特徴とする校正情報処理装置。
【請求項5】
注釈情報の種類がそれぞれ異なる複数の入力モードを用いて、校正画像に対し複数種類の注釈情報を付与可能な装置を用いた校正情報処理方法であって、
前記校正画像における画像領域内の関心領域を指定する指定ステップと、
指定された前記関心領域内の画像の特性に応じて、前記複数の入力モードの中から少なくとも1つの入力モードを選択する選択ステップと
を備えることを特徴とする校正情報処理方法。
【請求項6】
注釈情報の種類がそれぞれ異なる複数の入力モードを用いて、校正画像に対し複数種類の注釈情報を付与可能な装置を、
前記校正画像における画像領域内の関心領域を指定する関心領域指定部、
前記関心領域指定部により指定された前記関心領域内の画像の特性に応じて、前記複数の入力モードの中から少なくとも1つの入力モードを選択するモード選択部
として機能させることを特徴とするプログラム。
【請求項7】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の少なくとも1つの校正情報処理装置と、前記校正情報処理装置と相互に通信可能であって前記校正画像を表す校正データ及び前記注釈情報を記憶可能なサーバ装置とを有することを特徴とする電子校正システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−221393(P2012−221393A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−88891(P2011−88891)
【出願日】平成23年4月13日(2011.4.13)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】