説明

株価変動イベント情報提供システム及びプログラム

【課題】過去の株価変動イベントを自動的に探知するシステムを提供する。
【解決手段】具体的表現文字列と抽象化タグとの対応関係を登録した辞書データ記憶部22と、記事データを格納する記事データ記憶部20と、記事データ中に含まれる抽象化タグの組合せ、あるいは抽象化タグと特定の文字列との組合せ毎に、抽出すべき文字列を規定した抽出ルールを格納するルールデータ記憶部24と、クライアント端末34から送信された銘柄及びイベントタイプをキーに記事データ記憶部20を検索し、関連する記事データを抽出し、記事データを形態素に分解し、各形態素の中で少なくとも銘柄、イベントタイプ、時期を表す文字列に対して対応の抽象化タグを付与し、各記事データに抽出ルールを適用し、銘柄、イベントタイプ、イベント発生時期からなる株価変動イベント情報を生成し、株価変動イベント情報が記載された検索結果画面をクライアント端末34に送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は株価変動イベント情報提供システム及びプログラムに係り、特に、株価に影響を及ぼす過去のイベントを銘柄毎に探索し、その発生時期や当時の株価情報を提示する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
製品のリコールや企業業績の大幅下方修正等、株価に悪影響を及ぼすイベント(事象)が発生した場合、投資家は当該銘柄を底値で購入するために、今後どこまで株価が下がるのかを見極める必要がある。反対に、画期的な新製品の発売や、子会社の株式公開等、株価に好影響を及ぼすイベントが発生した場合、投資家は当該銘柄を天井値で売却するため、今後どこまで株価が上がるのかを見極める必要がある。
【0003】
このように、比較的大きな株価変動イベントが発生した場合の底値や天井値を占う方法として、過去の類似事象が発生した際の株の値動きを参照し、現在値の適否を判定することが多くの投資家によって実践されている。
例えば、ある自動車メーカーの大規模リコールが発生した際に、同メーカーが10年前にも同様のリコール問題を起こしており、その際には株価が直近ピーク時に比べて最大で30%の下落を示したという事例を参照すれば、「直近ピーク時に比べて20%しか下落していない現在値は底値ではなく、さらに10%程度下がる可能性があるのでは?」と、投資家は推測することができる。あるいは、現在値が直近ピーク時に比べて既に35%も下落している場合には、「現在値は下がり過ぎであり、まもなく5%程度の上昇があるかもしれない」と認識することができる。
【0004】
【非特許文献1】イベントと株価/株と銘柄の特徴インターネットURL:http://www1394.hp.infoseek.co.jp/money/kabumeigara.html 検索日:平成22年3月20日
【非特許文献2】株価イベント分析DP最終版 インターネットURL:http://www.jftc.go.jp/cprc/DP/CPDP-12-J.pdf 検索日:平成22年3月20日
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このように、株価変動イベントが発生した際に、類似する過去の事例を参照することは売買のタイミングを判断する上で極めて有効であるため、投資家はインターネットの検索サイトにおいて「ヤマダ自動車 リコール」のように銘柄名とイベント種別をAND条件で繋いだ検索式を入力し、過去における同種イベントの発生時期を調べ、当時の株価情報を取得することを行っている。
【0006】
しかしながら、インターネット上のWebページに記述された情報の信頼性は玉石混交であり、秩序立って整理もされていないため、投資家は意図する情報が得られるまで辛抱強く検索作業を続ける必要がある。
【0007】
また、首尾よく過去の類似イベントの発生時期を探知できたとしても、当時の株価変動データを個別に取得し、現在の値動きと重ね合わせること自体に多くの手間を要することとなる。
【0008】
また、Webページの記述からではその規模(インパクト=影響度)を推し量ることが難しい場合が多いため、同一銘柄に関して同種のイベントが過去に何度か発生している場合に、どのイベント発生時の値動きを参照すべきかについて迷う事態ともなる。
【0009】
さらに、特定のイベントが株価に与える影響は基本的に万国共通であるため、外国における類似案件を参照できればそれだけ判断材料の幅が広がり、結論の妥当性が増すものと期待できるが、言葉の壁があるため実際には自国の事例の他、せいぜい英語圏における事例しか参照できないという問題があった。
【0010】
この発明は、このような現状を打開するために案出されたものであり、過去における特定種類の株価変動イベントをユーザが極めて容易に探知できるシステムの実現を第1の目的としている。
また、この発明は、探知した過去のイベント発生日前後の株価変動データを自動的に取得し、現在の値動きとの比較を可能とするシステムの実現を第2の目的としている。
また、この発明は、過去における同種イベントの規模を判定する仕組みを設けることにより、現在のイベントの規模に対応したイベントをユーザが選択できるシステムの実現を第3の目的としている。
さらに、この発明は、ユーザの母国語以外の言語で記述された情報からもイベントを抽出することにより、外国において発生した株価変動イベントをも広く参照することを可能とするシステムの実現を第4の目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を達成するため、請求項1に記載した株価変動イベント情報提供システムは、具体的な表現文字列と、その種類を示す抽象化タグとの対応関係を定義した辞書データを格納しておく辞書データ記憶手段と、電子化された記事データを格納しておく記事データ記憶手段と、記事データに含まれる抽象化タグの組合せ、あるいは抽象化タグと特定の文字列との組合せ毎に、株価変動イベント情報の構成要素として抽出すべき文字列を規定した抽出ルールを格納しておく抽出ルール記憶手段と、クライアント端末から、株価変動イベント検索のリクエストが送信された場合に、少なくとも銘柄及びイベントタイプの指定欄が設けられた検索画面を送信し、銘柄及びイベントタイプの指定を促す手段と、クライアント端末から、銘柄及びイベントタイプの指定情報が送信された場合に、この銘柄及びイベントタイプをキーに上記記事データ記憶手段を検索し、関連する記事データを抽出する記事データ抽出手段と、抽出された記事データを形態素に分解する形態素解析手段と、上記辞書データを参照し、各形態素の中で少なくとも銘柄、イベントタイプ、時期を表す文字列に対して、対応の抽象化タグを付与する抽象化手段と、各記事データに上記抽出ルールを適用することにより、少なくとも銘柄を表す文字列、イベントタイプを表す文字列、イベント発生時期を表す文字列を抽出して株価変動イベント情報を生成するイベント情報生成手段と、この株価変動イベント情報が記載された検索結果画面を生成し、クライアント端末に送信する手段を備えたことを特徴としている。
【0012】
また、請求項2に記載した株価変動イベント情報提供システムは、請求項1のシステムであって、さらに、上記辞書データ記憶手段、記事データ記憶手段、抽出ルール記憶手段には複数の言語に係るデータが格納されており、上記記事データ抽出手段が、クライアント端末から送信された銘柄及びイベントタイプを各言語における対応語に変換した後、これらをキーに対応の言語で記述された記事データから関連記事データを抽出する処理を実行し、上記形態素解析手段が、各関連記事データを対応の言語に対応した形態素に分解する処理を実行し、上記抽象化手段が、各言語に対応した抽象化タグを各形態素に付与する処理を実行し、上記イベント情報生成手段が、各記事データに対して対応言語用の抽出ルールを適用して株価変動イベント情報を抽出する処理を実行することを特徴としている。
【0013】
請求項3に記載した株価変動イベント情報提供システムは、請求項1または2のシステムであって、さらに、記事データの数と株価変動イベントの規模との対応関係を定義した規模判定ルールを格納しておく記憶手段と、同一の銘柄及び株価変動イベントに係る記事データが複数存在している場合に、その記事数をカウントする手段と、この記事数を上記規模判定ルールに適用することにより、株価変動イベントの規模を特定する手段とを備え、上記検索結果画面には、各株価変動イベントの規模が併記されることを特徴としている。
【0014】
請求項4に記載した株価変動イベント情報提供システムは、請求項1または2のシステムであって、さらに、同種記事データの時間的分布範囲と株価変動イベントの規模との対応関係を定義した規模判定ルールを格納しておく記憶手段と、同一の銘柄及び株価変動イベントに係る記事データが複数存在している場合に、最初の記事データの報道日と最後の記事データの報道日との間の間隔を算出する手段と、この間隔を上記規模判定ルールに適用することにより、株価変動イベントの規模を特定する手段とを備え、上記検索結果画面には、各株価変動イベントの規模が併記されることを特徴としている。
【0015】
請求項5に記載した株価変動イベント情報提供システムは、請求項1または2のシステムであって、さらに、上記辞書データ記憶手段には、株価変動イベントの規模を表す表現文字列と、その抽象化タグとの対応関係が登録されており、上記抽象化手段が、記事データ中に株価変動イベントの規模を表す表現文字列が存在している場合には、対応の抽象化タグを付与する処理を実行し、上記イベント情報生成手段が、上記抽出ルールに従い規模を表す抽象化タグが付与された文字列をイベント情報の構成要素として抽出する処理を実行し、上記検索結果画面には、各株価変動イベントの規模が併記されることを特徴としている。
【0016】
請求項6に記載した株価変動イベント情報提供システムは、各企業の決算期毎の業績予想データと実績データを格納しておく企業業績データ記憶手段と、クライアント端末から、株価変動イベント検索のリクエストが送信された場合に、少なくとも銘柄及びイベントタイプの指定欄が設けられた検索画面を送信し、銘柄及びイベントタイプの指定を促す手段と、クライアント端末から、銘柄及びイベントタイプとして企業業績の下方修正または上方修正を指定する情報が送信された場合に、当該銘柄に係る決算期毎の業績予想データと実績データを上記企業業績データ記憶手段から抽出する手段と、各決算期における実績データと当期の予想データとの差を算出し、実績データが予想データを上回っている場合には、少なくとも銘柄、業績上方修正のイベントタイプ、イベント発生時期としての決算期を含む株価変動イベント情報を生成すると共に、実績データが予想データを下回っている場合には、少なくとも銘柄、業績下方修正のイベントタイプ、イベント発生時期としての決算期を含む株価変動イベント情報を生成するイベント情報生成手段と、この株価変動イベント情報が記載された検索結果画面を生成し、クライアント端末に送信する手段を備えたことを特徴としている。
【0017】
請求項7に記載した株価変動イベント情報提供システムは、請求項6のシステムであって、さらに、上記企業業績データ記憶手段には複数の言語で記述された複数の国におけるデータが格納されていることを特徴としている。
【0018】
請求項8に記載した株価変動イベント情報提供システムは、請求項6または7のシステムであって、さらに、実績データと予想データとの差の範囲と株価変動イベントの規模との対応関係を定義した規模判定ルールを格納しておく規模判定ルール記憶手段と、この規模判定ルールに決算期毎の業績予想データと実績データとの差を適用することにより、業績下方修正イベントまたは業績上方修正イベントの規模を特定する手段とを備え、上記検索結果画面には、各株価変動イベントの規模が併記されることを特徴としている。
【0019】
請求項9に記載した株価変動イベント情報提供システムは、請求項1〜8のシステムであって、さらに、各銘柄の株価履歴データを格納しておく株価履歴データ記憶手段と、クライアント端末から特定の株価変動イベントに係る株価変動チャートの表示リクエストが送信された場合に、上記株価履歴データ記憶手段から、当該株価変動イベントの発生時期を基点に所定範囲の株価履歴データを抽出する手段と、抽出した株価履歴データに基づいて描かれた株価の時系列変化を表す第1のグラフを含む株価チャートを生成する手段と、この株価チャートが記載された株価チャート表示画面をクライアント端末に送信する手段と、クライアント端末から、比較対象となる株価変動イベントの時期を指定する株価チャートの再表示リクエストが送信された場合に、上記株価履歴データ記憶手段から、当該株価変動イベントの発生時期を基点に所定範囲の株価履歴データを抽出する手段と、抽出した株価履歴データに基づいて描かれた株価の時系列変化を表す第2のグラフと、上記第1のグラフとを、両者のイベント発生時期が重なるように同一グラフ領域に配置させた株価チャートを生成する手段と、この株価チャートが記載された株価チャート表示画面をクライアント端末に送信する手段とを備えたことを特徴としている。
【0020】
請求項10に記載した株価変動イベント情報提供プログラムは、コンピュータを、具体的な表現文字列と、その種類を示す抽象化タグとの対応関係を定義した辞書データを格納しておく辞書データ記憶手段、電子化された記事データを格納しておく記事データ記憶手段、記事データに含まれる抽象化タグの組合せ、あるいは抽象化タグと特定の文字列との組合せ毎に、株価変動イベント情報の構成要素として抽出すべき文字列を規定した抽出ルールを格納しておく抽出ルール記憶手段、クライアント端末から、株価変動イベント検索のリクエストが送信された場合に、少なくとも銘柄及びイベントタイプの指定欄が設けられた検索画面を送信し、銘柄及びイベントタイプの指定を促す手段、クライアント端末から、銘柄及びイベントタイプの指定情報が送信された場合に、この銘柄及びイベントタイプをキーに上記記事データ記憶手段を検索し、関連する記事データを抽出する記事データ抽出手段、抽出された記事データを形態素に分解する形態素解析手段、上記辞書データを参照し、各形態素の中で少なくとも銘柄、イベントタイプ、時期を表す文字列に対して、対応の抽象化タグを付与する抽象化手段、各記事データに上記抽出ルールを適用することにより、少なくとも銘柄を表す文字列、イベントタイプを表す文字列、イベント発生時期を表す文字列を抽出して株価変動イベント情報を生成するイベント情報生成手段、この株価変動イベント情報が記載された検索結果画面を生成し、クライアント端末に送信する手段として機能させることを特徴としている。
【発明の効果】
【0021】
請求項1に記載の株価変動イベント情報提供システム及び請求項10に記載の株価変動イベント情報提供プログラムによれば、ユーザが指定した銘柄及びイベントタイプにマッチする過去の株価変動イベントが電子化された記事データから自動的に抽出され、その発生時期が提示されるため、ユーザは極めて容易に過去の同種イベントを参照可能となる。
【0022】
請求項2に記載の株価変動イベント情報提供システムによれば、複数の言語で記述された記事データからも株価変動イベントが抽出されるため、ユーザは外国において発生した同種イベントをも広く参照可能となる。
【0023】
請求項3に記載の株価変動イベント情報提供システムによれば、同一の株価変動イベントに係る記事データの多寡に応じて当該イベントの規模が判定され、株価変動イベントの属性としてユーザに提示されるため、ユーザは現在生じている同種イベントの規模に相当する過去のイベントを的確に参照可能となる。
【0024】
請求項4に記載の株価変動イベント情報提供システムによれば、同一の株価変動イベントに係る記事データの時間的分布範囲(スパン)の長短に応じて当該イベントの規模が判定され、株価変動イベントの属性としてユーザに提示されるため、ユーザは現在生じている同種イベントの規模に相当する過去のイベントを的確に参照可能となる。
【0025】
請求項5に記載の株価変動イベント情報提供システムによれば、株価変動イベントに係る記事データ中の具体的な記述に基づいて当該イベントの規模が判定され、株価変動イベントの属性としてユーザに提示されるため、ユーザは現在生じている同種イベントの規模に相当する過去のイベントを的確に参照可能となる。
【0026】
請求項6に記載の株価変動イベント情報提供システムによれば、定量データである企業業績データに基づいて、ユーザが指定した銘柄に係る業績下方修正イベントまたは業績上方修正イベントが自動的に抽出され、その発生時期が提示されるため、ユーザは極めて容易に過去の業績修正イベントを参照可能となる。
【0027】
請求項7に記載の株価変動イベント情報提供システムによれば、複数の言語で記述された企業業績データからも業績下方修正イベント及び業績上方修正イベントが生成されるため、ユーザは外国における過去の業績修正イベントをも広く参照可能となる。
【0028】
請求項8に記載の株価変動イベント情報提供システムによれば、企業業績に関する予想データと実績データとの乖離度に応じて業績修正イベントの規模が判定され、株価変動イベントの属性としてユーザに提示されるため、ユーザは現在生じている同種イベントの規模に相当する過去のイベントを的確に参照可能となる。
【0029】
請求項9に記載の株価変動イベント情報提供システムによれば、ユーザが選択した過去の株価変動イベントに関する株価履歴データが自動的に抽出され、これに基づいた株価変動グラフが提示されると共に、ユーザが指定した比較対象イベント(例えば現在イベント)に関する株価変動グラフが生成され、両グラフが重ね合わされた株価変動チャートがユーザに提示されるため、ユーザはこのチャートを参照することにより、現在の株価の妥当性や今後の値動きを推測することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
図1は、この発明に係る株価変動イベント情報提供システム10の機能構成を示すブロック図であり、Webサーバ12と、定性イベント生成部14と、定量イベント生成部16と、チャート生成部18と、記事データ記憶部20と、辞書データ記憶部22と、ルールデータ記憶部24と、企業属性データ記憶部26と、企業業績データ記憶部28と、株価履歴データ記憶部30とから構成されている。
【0031】
定性イベント生成部14、定量イベント生成部16、チャート生成部18は、コンピュータのCPUが、OS及びアプリケーションプログラムに従って必要な処理を実行することによって実現される。
また、記事データ記憶部20、辞書データ記憶部22、ルールデータ記憶部24、企業属性データ記憶部26、企業業績データ記憶部28、株価履歴データ記憶部30は、同コンピュータのハードディスク内に設けられている。
【0032】
Webサーバ12は、インターネット32を介してユーザの操作するクライアント端末34と接続されており、各クライアント端末34から送信されたリクエストに応じて定性イベント生成部14や定量イベント生成部16、チャート生成部18に処理を依頼し、その処理結果を記載した各種画面(Htmlファイル)をクライアント端末34に送信する機能を備えている(詳細は後述)。
クライアント端末34は、Webブラウザプログラムを搭載したPC等よりなる。
【0033】
記事データ記憶部20には、過去数十年分のテキスト化された新聞記事データ及び雑誌記事データが格納されている。
この記事データとしては、日本において発行された日本語の記事に限定されるものではなく、外国において発行された英語、中国語、ドイツ語、フランス語、韓国語等の外国語で記述された記事データが広く用意されている。
【0034】
辞書データ記憶部22には、具体的な表現文字列と、その種類を示す抽象化文字列との対応関係を規定した各種の辞書データが多数登録されている(詳細は後述)。この辞書データも日本語の辞書に限定されるものではなく、英語、中国語、ドイツ語、フランス語、韓国語など、主要な外国語の辞書データが用意されている。
また、辞書データ記憶部22には、イベントの種別を表す文字列と、当該文字列の類義語との対応関係が、各言語単位で多数登録されている(詳細は後述)。
【0035】
ルールデータ記憶部24には、定性イベント抽出ルール、照応解析ルール、イベント規模判定ルール、定量イベント抽出ルールが格納されている(詳細は後述)。
各ルールは、適用条件と処理内容との対応関係が、所定のプログラム言語によって記述されている。
定性イベント抽出ルール、照応解析ルール、イベント規模判定ルール、定量イベント抽出ルールも、各国語毎にそれぞれ多数用意されている。
【0036】
企業属性データ記憶部26には、株式の銘柄企業に係る属性情報(正式名称、略称、上場市場、銘柄コード、業種等)が格納されている(詳細は後述)。
この属性情報も、各国毎に多数格納されている。
【0037】
企業業績データ記憶部28には、各銘柄企業が発表した過去の企業業績データ(売上、営業利益、経常利益等の予想値及びこれらの実績値)が格納されている。
この企業業績データも、各国毎に多数格納されている。
【0038】
株価履歴データ記憶部30には、各銘柄の毎日の株価データが過去数十年分格納されている。
この株価データも日本における株価データに限定されるものではなく、各国の取引所における株価データが用意されている。
【0039】
上記の記事データ、企業属性データ、企業業績データ、株価履歴データについては、システム10の内部に保持する代わりに、必要に応じて外部のデータベースサーバから取得するようにしてもよい。
【0040】
つぎに、図2及び図3のフローチャートに従い、この株価変動イベント情報提供システム10における処理手順を説明する。
まず、クライアント端末34から株価変動イベント検索のリクエストをWebサーバ12が受信すると(S10)、検索画面をクライアント端末34に送信する(S12)。
【0041】
図4は、この株価変動イベント検索画面40を示すものであり、検索条件の入力項目としてイベントタイプ、業種、銘柄、規模が設けられている。
これに対しユーザは、まずイベントタイプのプルダウンメニューを展開し、任意のイベントタイプを選択する。イベントタイプとしては、リコール、ヒット商品、食中毒、業績下方修正、業績上方修正、子会社の株式公開など、株価変動イベントの類型を表す用語が予め複数用意されている。ここでは、「リコール」が選択されたものとする。
【0042】
つぎにユーザは、業種のプルダウンメニューを展開し、任意の業種を選択する。ここでは、「自動車」が選択されたものとする。
つぎにユーザは、銘柄のプルダウンメニューを展開し、任意の銘柄を選択する。この場合、業種としてユーザが「自動車」を選択しているため、プルダウンメニューには自動車の業種属性を備えた銘柄のみがリストアップされている。ここでは、「ヤマダ自動車」が選択されたものとする。
つぎにユーザは、規模のプルダウンメニューを展開し、任意の規模(大、中、小、指定なし)を選択する。ここでは、「指定なし(=全規模)」が選択されたものとする。
【0043】
ユーザが検索条件の設定を完了し、検索ボタン42をクリックすると、設定された検索条件がWebサーバ12に送信される。
これを受けたWebサーバ12は(S14)、ユーザが選択したイベントタイプが定性イベントであるのか、定量イベントであるのかを判断する(S16)。
図4においては、イベントタイプとして定性イベントである「リコール」が選択されているため、Webサーバ12は定性イベント生成部14に検索条件を渡し、定性イベント情報の生成処理を依頼する。
以下、図5のフローチャートに従い、定性イベント生成部14による処理の手順を説明する。
【0044】
まず定性イベント生成部14は、記事データ記憶部20に格納された膨大な記事データの中から、今回の検索条件にマッチする記事データをフィルタリングする(S18-01)。
今回の検索条件は、「イベントタイプ:リコール」、「業種:自動車」、「銘柄:ヤマダ自動車」であるため、定性イベント生成部14はこれらのキーワードを適宜組み合わせて記事データ記憶部20に格納された記事データを検索し、条件にマッチする記事データを抽出する。
【0045】
上記の通り、記事データ記憶部20には各国語の記事データが含まれている。また、図6に示すように、辞書データ記憶部22には、イベントタイプである「リコール」について日本語、英語、中国語等の言語毎に複数の類義語を関連付けた定義データが格納されている。
そこで定性イベント生成部14は、日本語で記述された記事データ群から該当の記事データを抽出する際には、「リコール OR 製品回収 OR 無償回収 OR…」のように日本語の類義語をOR条件で結合させた検索式を用いる。
また定性イベント生成部14は、中国語で記述された記事データ群から該当の記事データを抽出する際には、「回収 OR 徹換 OR…」のように中国語の類義語をOR条件で結合させた検索式を用いる。
他のイベントタイプについても同様である。
【0046】
図示は省略したが、辞書データ記憶部22には、業種である「自動車」についても、各国語毎に自動車の製造販売業に対応する単語が複数登録されている。
また、同じく図示は省略したが、辞書データ記憶部22には、銘柄である「ヤマダ自動車」についても、各国語における表記例が複数パターン登録されている。
【0047】
以上要するに、定性イベント生成部14はユーザが設定した検索条件を各言語単位で対応の類義語に展開した後、それぞれをOR条件で繋いだ検索式を生成し、これを用いて各国語の記事データから対象となるイベント記事とそれ以外の一般記事との大まかな篩い分けを実行することにより、後続処理の効率化を図っている。
【0048】
つぎに定性イベント生成部14は、抽出した各記事データを形態素単位に分解し、品詞を同定する(S18-02)。
つぎに定性イベント生成部14は、辞書データ記憶部22に格納された企業名辞書、イベント辞書、時期表現辞書、社員表現辞書、金額表現辞書等を参照し、対応の形態素について該当の抽象化タグ(メタタグ)を付与する(S18-03)。
【0049】
例えば図7(a)に示すように、あるイベント記事X(記事ID:2002…)の文No.001中に「ヤマダ自動車」という文字列が存在しており、企業名辞書中に「ヤマダ自動車」の文字列が銘柄企業名として登録されているため、定性イベント生成部14は「ヤマダ自動車」の文字列に対して<社名>の抽象化タグを関連付ける。
【0050】
また、同文中に「今月15日」の文字列が存在しており、時期表現辞書中に「今月*日(*はワイルドカード)」の登録例が存在しているため、定性イベント生成部14は「今月15日」の文字列に対して<時期>の抽象化タグを関連付ける。
【0051】
また、同文中に「リコール」の文字列が存在しており、イベント辞書中に「リコール」の登録例が存在しているため、定性イベント生成部14は「リコール」の文字列に対して<イベント>の抽象化タグを関連付ける。
【0052】
また、イベント記事Xの文No.0002に「広報担当者」の文字列が存在しており、社員表現辞書中に「広報担当者」の登録例が存在しているため、定性イベント生成部14は「広報担当者」の文字列に対して<社員>の抽象化タグを関連付ける。
【0053】
つぎに定性イベント生成部14は、記事中に所定の照応詞が含まれている場合に、これを対応の先行詞に置き換える照応解析処理を実行する(S18-04)。
例えば、イベント記事Xの文No.0002には「同社」という文字列が存在し、この「同社」はルールデータ記憶部24に格納された照応解析ルールにおいて照応詞として規定されているため、定性イベント生成部14はこの照応解析ルールに従い、直近の先行文中に含まれる<社名>の抽象化タグが付された文字列である「ヤマダ自動車」を先行詞と認定し、これと置き換える処理を実行する。この結果、「同社」は「ヤマダ自動車<社名>」と置換される。
【0054】
つぎに定性イベント生成部14は、ルールデータ記憶部24内に格納された定性イベント抽出ルールに従い、当該イベント記事からイベントの主体となる企業名(銘柄)を特定する(S18-05)。
例えば、抽出ルールとして「<企業名>の抽象化タグが付された文字列の直後に格助詞『が』または係助詞『は』が接続→<企業名>が付された文字列をイベント主体として特定」が格納されているため、定性イベント生成部14はこれに従い、イベント記事X中の「ヤマダ自動車」をイベント主体と認定する。
【0055】
その他にも、抽出ルールとして「同一文中に『<企業名>の<社員>』、<イベント>及び『発表』の文字列が存在→<企業名>が付された文字列をイベント主体として特定」がルールデータ記憶部24内に格納されていた場合には、以下の文αからイベント主体として「ヤマダ自動車」が認定される。
(文α)ヤマダ自動車<企業名>の公報担当者<社員>は今月15日<時期>、新型オリオンのリコール<イベント>を行うと発表した。
【0056】
つぎに定性イベント生成部14は、ルールデータ記憶部24内に格納された抽出ルールに従い、当該イベント記事からイベント発生日を特定する(S18-06)。
例えば、抽出ルールとして「<時期>の抽象化タグが付された文字列→イベント発生日として特定」が格納されているため、定性イベント生成部14はこれに従い、イベント記事Xから「今月15日」をイベント発生日と認定する。
この際、定性イベント生成部14はイベント記事Xの報道日である2002年3月16日を参照し、「今月」の文字列を具体的な「2002年3月」に置換する。
なお、記事中に時期を表す文字列が存在しない場合、便宜的に「イベント発生日=当該記事の報道日」と認定される。
【0057】
つぎに定性イベント生成部14は、各イベント記事から記事単位イベント情報を生成する(S18-07)。
この記事単位イベント情報は、図7(b)に示すように、記事ID、グループID、イベントタイプ、イベント主体、発生国、発生日のデータ項目を備えている。ただし、グループIDの項目には次の処理において値が充填されるため、この時点ではブランクとなされている。
【0058】
つぎに定性イベント生成部14は、同一のイベントに係るイベント記事同士を一つにまとめるグループ化処理を実行する(S18-08)。
例えば、イベントタイプ、イベント主体、発生日が完全に一致するイベント記事同士については、同じグループに属するものとして、それぞれのグループID項目に同一のグループIDが付与される。
また、発生日に所定範囲内(例えば2日以内)のずれが存在したとしても、イベントタイプ及びイベント主体が一致していれば、同一グループと認定され、同一のグループIDが付与される。
これに対し、イベントタイプ及び発生日が一致したとしても、イベント主体が不一致の場合、比較対象の記事同士が同一グループに属するものと認定されることはない。
【0059】
つぎに定性イベント生成部14は、各イベントグループに属するイベント記事の数をカウントし、これにルールデータ記憶部24に格納された規模判定ルールを適用することにより、当該イベントの規模(インパクト=影響力)を判定する(S18-09)。
例えば、規模判定ルールに「リコールの規模判定基準:記事数10未満→小、10≦記事数<30→中、30≦記事数→大」と規定されており、当該記事グループに属する記事の数が35件であった場合、「規模:大」と判定される。
【0060】
このように、規模の大小を関連記事数の多寡で判定する代わりに、関連記事間における報道日のスパンの長短に基づいて規模を判定することもできる。長期に亘って報道が続いているということは、当該イベントに対する関心の高さや、影響の深刻度を表しているものといえるためである。
例えば、同じグループIDが付与された記事群の中で、最も古い報道日と最も新しい報道日との間の日数をカウントし、この日数が2日未満の場合に「規模:小」、2日以上10日未満の場合に「規模:中」、10日以上の場合に「規模:大」と判定することが該当する。
このためには、記事のスパンに応じて規模を判定するための専用ルールを、ルールデータ記憶部24に予め登録しておく。
【0061】
あるいは、規模の大小を記事中の具体的な記述に基づいて判定することもできる。
例えば、記事中に「今回のリコール<イベント>による損失額は200億円<金額>に上ると推計される。」という文章が存在した場合に、ここから<金額>の抽象化タグが付与された「200億円」を取り出し、これをルールデータ記憶部24に格納された以下の規模判定ルールに当てはめることにより、「規模=大」と認定することが挙げられる。
■リコールの規模判定ルール:金額<1億円→小、1億円≦金額<5億円→中、5億円≦金額→大
【0062】
この前提として、定性イベント生成部14は辞書データ記憶部22内の金額表現辞書を参照し、所定の金額表現に対して<金額>の抽象化タグを付与しておく。
例えば、金額表現辞書に「億円」、「千万円」、「百万円」が金額表現として定義されている場合に、定性イベント生成部14は、これらの文字列と、その直前に配置された算用数字または漢数字を金額を表す文字列と認定し、これらに対して<金額>の抽象化タグを付与する。
【0063】
つぎに定性イベント生成部14は、上記の処理結果に基づいて、定性イベント情報を生成する(S18-10)。
図7(c)は、定性イベント情報の一例を示しており、イベントID、イベントタイプ、銘柄、発生国、発生日、規模のデータ項目を備えている。
【0064】
最後に定性イベント生成部14は、多数生成した定性イベント情報の中から、検索条件にマッチするものを抽出する(S18-11)。
例えば、ユーザが検索条件として「イベント規模:大」を指定していた場合、定性イベント生成部14は規模のデータ項目に「大」が設定された定性イベント情報のみを抽出し、同項目に「中」や「小」が設定された定性イベント情報を破棄する。
【0065】
定性イベント生成部14から定性イベント情報を受け取ったWebサーバ12は、検索結果画面を生成し、クライアント端末34に送信する(図2のS22)。
図8は、この検索結果画面44を示すものであり、2件のイベント情報がリスト表示されている。
ここでユーザが、NO.2のイベント情報のチェックボックスにチェックを入れて詳細閲覧ボタン46をクリックすると、当該イベント情報の詳細閲覧リクエストがWebサーバ12に送信される。
【0066】
これを受けたWebサーバ12は(S24)、当該イベント情報の詳細画面を生成し、クライアント端末34に送信する(S26)。
図示は省略するが、この詳細画面には当該イベント情報生成の基になった記事データのタイトル、ニュースソース、報道日が列記されている。
【0067】
各記事データはクリッカブルに表示されており、記事データ記憶部20内に格納された対応の記事データとリンクされているため、この中の一つをユーザがクリックすると、Webサーバ12を介して記事表示画面がクライアント端末34に送信される。
【0068】
つぎにユーザが、図8の検索結果画面44においてNO.2のイベント情報のチェックボックスにチェックを入れたままチャートボタン47をクリックすると、当該イベント情報の株価チャートの表示リクエストがWebサーバ12に送信される。
【0069】
これを受けたWebサーバ12は(図3のS28)、チャート生成部18にユーザが選択した銘柄、過去イベントの発生国、発生日を渡し、株価チャートの生成処理を依頼する。
これに対しチャート生成部18は、該当国における該当銘柄の過去イベント発生日前後の株価情報(例えば発生日の前後30日分)を株価履歴データ記憶部30から取り出し、株価を時系列に沿ってプロットしたグラフを含む株価チャートを生成する(S30)。
【0070】
チャート生成部18から株価チャートを受け取ったWebサーバ12は、株価チャート表示画面を生成し、クライアント端末34に送信する(S32)。
図9は、この株価チャート表示画面50を示すものであり、縦軸に株価指数が設定され、横軸に時間が設定されたグラフ領域内に、ユーザが選択した過去イベント発生日前後の株価の推移を示す折れ線グラフ51が、一点鎖線で描画されている。
【0071】
ここでユーザが、現在イベント発生日指定欄52において現在イベント発生日として「2010年03月20日」を設定し、現在イベント発生国指定欄53において「日本」を設定した上で再表示ボタン54をクリックすると、Webサーバ12に対して現在イベント発生日及び発生国を指定した株価チャートの再表示リクエストが送信される。
【0072】
これを受けたWebサーバ12は(S34)、チャート生成部18にユーザが選択した銘柄、現在イベントの発生日、発生国を渡し、株価チャートの生成処理を依頼する。
これに対しチャート生成部18は、該当国における現在イベント発生日前後の該当銘柄の株価情報を株価履歴データ記憶部30から取り出し、株価を時系列に沿ってプロットしたグラフを加えた株価チャートを生成する(S36)。
【0073】
チャート生成部18から株価チャートを受け取ったWebサーバ12は、株価チャート表示画面を生成し、クライアント端末34に送信する(S38)。
図10は、この株価チャート表示画面を示すものであり、同一のグラフ領域内に、過去イベント発生日前後の株価の推移を示す一点鎖線の折れ線グラフ51と、現在イベント発生日前後の株価の推移を示す破線の折れ線グラフ55が描画されている。
【0074】
図示の通り、過去株価のグラフ51と現在株価のグラフ55は、それぞれのイベント発生日が重なるように配置されているため、ユーザは同種イベントの発生によって株価がどのように推移したかを一目で比較することが可能となる。
そして、過去のイベント時における株価の底値と現在の株価との間に乖離が存在する場合、ユーザは「現在の株価は過去の事例に比べて下がり過ぎであるため、もう暫くすれば乖離分の値戻しが生じる可能性がある」と判断することができる。
【0075】
ユーザが、図4の株価変動イベント検索画面40において、イベントタイプとして「業績の下方修正」や「業績の上方修正」を選択した場合、Webサーバ12は定量イベントが選択されたものと判定し(図2のS16/定量)、定量イベント生成部16に検索条件(業種、銘柄、規模)を渡して定量イベント情報の生成処理を依頼する。
以下、図11のフローチャートに従い、定量イベント生成部16による処理の手順を説明する。
【0076】
まず定量イベント生成部16は、企業業績データ記憶部28を参照し、検索条件にマッチする業種または銘柄の企業業績データを抽出する(S20-01)。
つぎに定量イベント生成部16は、抽出した企業業績データを解析し、検索条件にマッチするイベントを抽出する(S20-02)。
【0077】
例えば、指定されたイベントタイプが「業績の下方修正」であり、指定された銘柄が「ヤマダ自動車」であった場合、定量イベント生成部16はヤマダ自動車に関する企業業績データを企業業績データ記憶部28から抽出した後、決算期毎に業績項目の予想値に対する実績値の差を算出する。
そして、この差が予め設定された閾値を越えたマイナスの乖離が存在する場合、定量イベント生成部16はその決算期について「業績下方修正」のイベントを認定する。
【0078】
図12(a)は、この企業業績データの一例を示しており、ヤマダ自動車の過去のある決算期において、売上予想20兆円に比べて売上実績が18兆円に止まり、両者間にマイナス2兆円の乖離がみられるため、定量イベント生成部16は業績下方修正のイベントを抽出している。
【0079】
図においては、企業業績を表す指標として売上と営業利益のみが挙げられているが、他の指標(経常利益や純利益等)を用いることもできる。
また、予想値を実績値が所定の閾値を越えて上回った場合、定量イベント生成部16は業績上方修正のイベントを抽出する。
【0080】
つぎに定量イベント生成部16は、当該企業業績データの決算発表日である「1998年5月31日」をイベント発生日と特定する(S20-03)。
【0081】
つぎに定量イベント生成部16は、ルールデータ記憶部24に格納された定量イベントの規模判定ルールに上記の差を当てはめることにより、イベントの規模(大、中、小)を判定する(S20-04)。
この規模判定ルールには、例えば、予想値に対する実績値の比率の範囲毎に、「5%未満→小、5%〜10%未満→中、10%以上→大」のように大、中、小の値が設定されている。
【0082】
最後に定量イベント生成部16は、定量イベント情報を生成する(S20-05)。
図12(b)は、この定量イベント情報の一例を示しており、イベントID、イベントタイプ、銘柄、発生国、発生日、規模のデータ項目を備えている。
【0083】
定量イベント生成部16から定量イベント情報を受け取ったWebサーバ12は、上記と同様、検索結果画面を生成してクライアント端末34に送信する(図2のS22)。
また、クライアント端末34から当該定性イベント情報の詳細閲覧リクエストが送信された場合には、決算データが詳細に記載された詳細画面がWebサーバ12からクライアント端末34に送信される(S24、S26)。
【0084】
また、クライアント端末34から株価チャートの表示リクエストが送信された場合、チャート生成部18は決算日前後の株価履歴データを株価履歴データ記憶部30から取り出して株価チャートを生成し、Webサーバ12から株価チャート表示画面がクライアント端末34に送信される(図3のS28〜32)。
【0085】
さらに、クライアント端末34から現在イベント発生日及び発生国の指定を伴う再表示リクエストが送信された場合、チャート生成部18は該当銘柄に係る現在のイベント発生日前後の株価データを株価履歴データ記憶部30から取り出し、過去と現在の株価変動グラフを重ねた株価チャートを生成し、Webサーバ12から株価チャート表示画面がクライアント端末34に送信される(S34〜38)。
【0086】
上記においては、銘柄単位で過去の株価変動イベントが検索される例を説明したが、図4の株価変動イベント検索画面40において、業種のみを指定し銘柄の指定を外すことにより、ユーザは業種単位で複数の銘柄に係る過去の株価変動イベントを包括的に取得することができる。この場合、検索結果画面44においては同業種に属する複数銘柄の株価変動イベントがリスト表示されることになる。
業種によっては、銘柄が異なっても特定種類のイベント発生に際して同様の値動きを示す場合があり、ユーザは特定銘柄の今後の値動きについてより広い観点から推測することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】この発明に係る株価変動イベント情報提供システムの機能構成を示すブロック図である。
【図2】株価変動イベント情報提供システムにおける処理手順を示すフローチャートである。
【図3】株価変動イベント情報提供システムにおける処理手順を示すフローチャートである。
【図4】株価変動イベント検索画面を示す図である。
【図5】定性イベントの抽出に係る処理手順を示すフローチャートである。
【図6】イベントタイプを表す文字列に対し、言語単位で複数の類義語が定義されている様子を示す概念図である。
【図7】イベント記事から定性イベント情報を抽出する様子を示す説明図である。
【図8】検索結果画面を示す図である。
【図9】過去イベントに係る株価の変動グラフが描かれた株価チャート表示画面を示す図である。
【図10】過去イベント及び現在イベントに係る株価の変動グラフが描かれた株価チャート表示画面を示す図である。
【図11】定量イベントの抽出に係る処理手順を示すフローチャートである。
【図12】企業業績データから定量イベント情報を抽出する様子を示す説明図である。
【符号の説明】
【0088】
10 株価変動イベント情報提供システム
12 Webサーバ
14 定性イベント生成部
16 定量イベント生成部
18 チャート生成部
20 記事データ記憶部
22 辞書データ記憶部
24 ルールデータ記憶部
26 企業属性データ記憶部
28 企業業績データ記憶部
30 株価履歴データ記憶部
32 インターネット
34 クライアント端末
40 株価変動イベント検索画面
42 検索ボタン
44 検索結果画面
46 詳細閲覧ボタン
47 チャートボタン
50 株価チャート表示画面
51 過去株価の折れ線グラフ
52 現在イベント発生日指定欄
53 現在イベント発生国指定欄
54 再表示ボタン
55 現在株価の折れ線グラフ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
具体的な表現文字列と、その種類を示す抽象化タグとの対応関係を定義した辞書データを格納しておく辞書データ記憶手段と、
電子化された記事データを格納しておく記事データ記憶手段と、
記事データに含まれる抽象化タグの組合せ、あるいは抽象化タグと特定の文字列との組合せ毎に、株価変動イベント情報の構成要素として抽出すべき文字列を規定した抽出ルールを格納しておく抽出ルール記憶手段と、
クライアント端末から、株価変動イベント検索のリクエストが送信された場合に、少なくとも銘柄及びイベントタイプの指定欄が設けられた検索画面を送信し、銘柄及びイベントタイプの指定を促す手段と、
クライアント端末から、銘柄及びイベントタイプの指定情報が送信された場合に、この銘柄及びイベントタイプをキーに上記記事データ記憶手段を検索し、関連する記事データを抽出する記事データ抽出手段と、
抽出された記事データを形態素に分解する形態素解析手段と、
上記辞書データを参照し、各形態素の中で少なくとも銘柄、イベントタイプ、時期を表す文字列に対して、対応の抽象化タグを付与する抽象化手段と、
各記事データに上記抽出ルールを適用することにより、少なくとも銘柄を表す文字列、イベントタイプを表す文字列、イベント発生時期を表す文字列を抽出して株価変動イベント情報を生成するイベント情報生成手段と、
この株価変動イベント情報が記載された検索結果画面を生成し、クライアント端末に送信する手段と、
を備えた株価変動イベント情報提供システム。
【請求項2】
上記辞書データ記憶手段、記事データ記憶手段、抽出ルール記憶手段には、複数の言語に係るデータが格納されており、
上記記事データ抽出手段は、クライアント端末から送信された銘柄及びイベントタイプを各言語における対応語に変換した後、これらをキーに対応の言語で記述された記事データから関連記事データを抽出する処理を実行し、
上記形態素解析手段は、各関連記事データを対応の言語に対応した形態素に分解する処理を実行し、
上記抽象化手段は、各言語に対応した抽象化タグを各形態素に付与する処理を実行し、
上記イベント情報生成手段は、各記事データに対して対応言語用の抽出ルールを適用して株価変動イベント情報を抽出する処理を実行することを特徴とする請求項1に記載の株価変動イベント情報提供システム。
【請求項3】
記事データの数と株価変動イベントの規模との対応関係を定義した規模判定ルールを格納しておく記憶手段と、
同一の銘柄及び株価変動イベントに係る記事データが複数存在している場合に、その記事数をカウントする手段と、
この記事数を上記規模判定ルールに適用することにより、株価変動イベントの規模を特定する手段とを備え、
上記検索結果画面には、各株価変動イベントの規模が併記されることを特徴とする請求項1または2に記載の株価変動イベント情報提供システム。
【請求項4】
同種記事データの時間的分布範囲と株価変動イベントの規模との対応関係を定義した規模判定ルールを格納しておく記憶手段と、
同一の銘柄及び株価変動イベントに係る記事データが複数存在している場合に、最初の記事データの報道日と最後の記事データの報道日との間の間隔を算出する手段と、
この間隔を上記規模判定ルールに適用することにより、株価変動イベントの規模を特定する手段とを備え、
上記検索結果画面には、各株価変動イベントの規模が併記されることを特徴とする請求項1または2に記載の株価変動イベント情報提供システム。
【請求項5】
上記辞書データ記憶手段には、株価変動イベントの規模を表す表現文字列と、その抽象化タグとの対応関係が登録されており、
上記抽象化手段は、記事データ中に株価変動イベントの規模を表す表現文字列が存在している場合には、対応の抽象化タグを付与する処理を実行し、
上記イベント情報生成手段は、上記抽出ルールに従い規模を表す抽象化タグが付与された文字列をイベント情報の構成要素として抽出する処理を実行し、
上記検索結果画面には、各株価変動イベントの規模が併記されることを特徴とする請求項1または2に記載の株価変動イベント情報提供システム。
【請求項6】
各企業の決算期毎の業績予想データと実績データを格納しておく企業業績データ記憶手段と、
クライアント端末から、株価変動イベント検索のリクエストが送信された場合に、少なくとも銘柄及びイベントタイプの指定欄が設けられた検索画面を送信し、銘柄及びイベントタイプの指定を促す手段と、
クライアント端末から、銘柄及びイベントタイプとして企業業績の下方修正または上方修正を指定する情報が送信された場合に、当該銘柄に係る決算期毎の業績予想データと実績データを上記企業業績データ記憶手段から抽出する手段と、
各決算期における実績データと当期の予想データとの差を算出し、実績データが予想データを上回っている場合には、少なくとも銘柄、業績上方修正のイベントタイプ、イベント発生時期としての決算期を含む株価変動イベント情報を生成すると共に、実績データが予想データを下回っている場合には、少なくとも銘柄、業績下方修正のイベントタイプ、イベント発生時期としての決算期を含む株価変動イベント情報を生成するイベント情報生成手段と、
この株価変動イベント情報が記載された検索結果画面を生成し、クライアント端末に送信する手段と、
を備えた株価変動イベント情報提供システム。
【請求項7】
上記企業業績データ記憶手段には、複数の言語で記述された複数の国におけるデータが格納されていることを特徴とする請求項6に記載の株価変動イベント情報提供システム。
【請求項8】
実績データと予想データとの差の範囲と株価変動イベントの規模との対応関係を定義した規模判定ルールを格納しておく規模判定ルール記憶手段と、
この規模判定ルールに決算期毎の業績予想データと実績データとの差を適用することにより、業績下方修正イベントまたは業績上方修正イベントの規模を特定する手段とを備え、
上記検索結果画面には、各株価変動イベントの規模が併記されることを特徴とする請求項6または7に記載の株価変動イベント情報提供システム。
【請求項9】
各銘柄の株価履歴データを格納しておく株価履歴データ記憶手段と、
クライアント端末から特定の株価変動イベントに係る株価変動チャートの表示リクエストが送信された場合に、上記株価履歴データ記憶手段から、当該株価変動イベントの発生時期を基点に所定範囲の株価履歴データを抽出する手段と、
抽出した株価履歴データに基づいて描かれた株価の時系列変化を表す第1のグラフを含む株価チャートを生成する手段と、
この株価チャートが記載された株価チャート表示画面をクライアント端末に送信する手段と、
クライアント端末から、比較対象となる株価変動イベントの時期を指定する株価チャートの再表示リクエストが送信された場合に、上記株価履歴データ記憶手段から、当該株価変動イベントの発生時期を基点に所定範囲の株価履歴データを抽出する手段と、
抽出した株価履歴データに基づいて描かれた株価の時系列変化を表す第2のグラフと、上記第1のグラフとを、両者のイベント発生時期が重なるように同一グラフ領域に配置させた株価チャートを生成する手段と、
この株価チャートが記載された株価チャート表示画面をクライアント端末に送信する手段と、
を備えたことを特徴とする請求項1〜8の何れかに記載の株価変動イベント情報提供システム。
【請求項10】
コンピュータを、
具体的な表現文字列と、その種類を示す抽象化タグとの対応関係を定義した辞書データを格納しておく辞書データ記憶手段、
電子化された記事データを格納しておく記事データ記憶手段、
記事データに含まれる抽象化タグの組合せ、あるいは抽象化タグと特定の文字列との組合せ毎に、株価変動イベント情報の構成要素として抽出すべき文字列を規定した抽出ルールを格納しておく抽出ルール記憶手段、
クライアント端末から、株価変動イベント検索のリクエストが送信された場合に、少なくとも銘柄及びイベントタイプの指定欄が設けられた検索画面を送信し、銘柄及びイベントタイプの指定を促す手段、
クライアント端末から、銘柄及びイベントタイプの指定情報が送信された場合に、この銘柄及びイベントタイプをキーに上記記事データ記憶手段を検索し、関連する記事データを抽出する記事データ抽出手段、
抽出された記事データを形態素に分解する形態素解析手段、
上記辞書データを参照し、各形態素の中で少なくとも銘柄、イベントタイプ、時期を表す文字列に対して、対応の抽象化タグを付与する抽象化手段、
各記事データに上記抽出ルールを適用することにより、少なくとも銘柄を表す文字列、イベントタイプを表す文字列、イベント発生時期を表す文字列を抽出して株価変動イベント情報を生成するイベント情報生成手段、
この株価変動イベント情報が記載された検索結果画面を生成し、クライアント端末に送信する手段、
として機能させる株価変動イベント情報提供プログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate


【公開番号】特開2011−204199(P2011−204199A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−73600(P2010−73600)
【出願日】平成22年3月26日(2010.3.26)
【出願人】(000155469)株式会社野村総合研究所 (1,067)