説明

核医学診断装置、医用画像処理装置および医用画像診断装置

【課題】多核種同時計数の可能な核医学診断装置において、散乱補正精度を向上させること。
【解決手段】核医学診断装置は、ガンマ線を検出するガンマ線検出部と、ガンマ線検出部からの出力に基づいて第1の核種に対応する第1のエネルギーウインドウに含まれるエネルギーを有するガンマ線の第1の計数分布データと、第2の核種に対応する第2のエネルギーウインドウに含まれるエネルギーを有するガンマ線の第2の計数分布データとを発生する計数分布データ発生部と、被検体に関する放射線の減弱係数分布を記憶する記憶部と、減弱係数分布と第1の計数分布データとに基づいて、減弱補正が行われた第1の画像データを再構成する再構成部と、第1の画像データと減弱係数分布とに基づいて第2のエネルギーウインドウに含まれるエネルギーを有する第1の核種に由来する第1の散乱線の計数分布を発生する散乱線計数分布発生部と、第1の散乱線の計数分布に基づいて第2の計数分布データに関して散乱補正を行う散乱補正部と、を具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、散乱線を補正する核医学診断装置、医用画像処理装置および医用画像診断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
核医学診断装置の一つである単光子放出断層撮影(Single Photon Emission Computed Tomography:以下SPECTと呼ぶ)装置を用いた撮影において、異なるエネルギーを有するガンマ線をそれぞれ放出する複数の核種を被検体に投与し、これら複数の核種それぞれに対応したSPECT画像を同時に得ることがある。高エネルギー核種に由来する散乱線が、低いエネルギーを有するガンマ線(以下散乱線と呼ぶ)となる。このとき、散乱線を検出したガンマ線検出部からの出力が、当該ガンマ線に比べて低いエネルギーのガンマ線を放出する核種(以下低エネルギー核種と呼ぶ)に対応するエネルギーウインドウに混入することがある。散乱線の混入によって、低エネルギー核種のSPECT画像には、コントラストの低下、定量性の低下などが生じる。この散乱線の混入を低減させるために、従来、散乱線の元になるガンマ線を放出する核種(以下高エネルギー核種と呼ぶ)の存在量を低エネルギー核種に比べて少なくする手法や、予め波高弁別器に設定された補正用のエネルギーウインドウに含まれるエネルギーを有するガンマ線の計数分布に基づいて、散乱線の混入量を推定し除去する手法を一般的に用いている。
【0003】
しかしながら、高エネルギー核種の存在量を少なくすることは、検出器の感度の低下を招き画質を低下させる。感度の低下は計数分布データを収集する時間を長くすることである程度抑えることができるが、収集時間の延長は、被検体及び術者にとって負担である。また、散乱線の混入量を推定することは、数理的なファントムによって計算された投影データを解析することによって決定された係数を用いるので、術者にとって煩雑な操作であり大きな負担である。さらに、この混入量の評価は主観的なスコアによって判定されるため、補正の精度を示すパラメータが得られない問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第2065295号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】M.Nakamura,Y.Nomura,“Feasible of Simultaneous Stress Tc-99m Sestamibi/Rest Tl-201 Dual-Isotope Myocardial Perfusion SPECT in the Detection of Coronary Artery Disease”,J Nucl Med, 1999,Vol.40,p.895-903
【非特許文献2】L.A.Sheep, Y.Vardi,“Maximum Likehood Reconstruction for Emission Tomography”,IEEE Transaction on Medical Imaging, 1982 October,Vol.MI-1, No.2, p.113-122
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、多核種同時計数の可能な核医学診断装置において、散乱補正精度を向上させることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、被検体内から放出されるガンマ線を検出するガンマ線検出部と、前記ガンマ線検出部を前記被検体の周りに回転自在に支持する支持機構と、前記ガンマ線検出部からの出力に基づいて、第1の核種に対応する第1のエネルギーウインドウに含まれるエネルギーを有するガンマ線の第1の計数分布データと、第2の核種に対応する第2のエネルギーウインドウに含まれるエネルギーを有するガンマ線の第2の計数分布データとを発生する計数分布データ発生部と、前記被検体に関する放射線の減弱係数分布を記憶する記憶部と、前記記憶された減弱係数分布と前記第1の計数分布データとに基づいて、減弱補正が行われた第1の画像データを再構成する再構成部と、前記再構成された第1の画像データと前記減弱係数分布とに基づいて、前記第2のエネルギーウインドウに含まれるエネルギーを有する前記第1の核種に由来する第1の散乱線の計数分布を発生する散乱線計数分布発生部と、前記発生された第1の散乱線の計数分布に基づいて、前記第2の計数分布データに関して散乱補正を行う散乱補正部と、を具備することを特徴とする核医学診断装置である。
【0008】
請求項3に記載の発明は、被検体内から放出されるガンマ線を検出するガンマ線検出部と、前記ガンマ線検出部を前記被検体の周りに回転自在に支持する支持機構と、前記ガンマ線検出部からの出力に基づいて、第1の核種に対応する第1のエネルギーウインドウに含まれるエネルギーを有するガンマ線の第1の計数分布データと、前記第1のエネルギーウインドウと第2の核種に対応する第2のエネルギーウインドウとの間の第3のエネルギーウインドウに含まれるエネルギーを有するガンマ線の第3の計数分布データとを発生する計数分布データ発生部と、前記被検体に関する放射線の減弱係数分布を記憶する記憶部と、前記記憶された減弱係数分布と前記第1の計数分布データとに基づいて、減弱補正が行われた第1の画像データを再構成する再構成部と、前記再構成された第1の画像データと前記減弱係数分布とに基づいて、前記第3のエネルギーウインドウに含まれるエネルギーを有する前記第1の核種に由来する第2の散乱線の計数分布を発生する散乱線計数分布発生部と、前記第2の散乱線の計数分布と前記第3の計数分布データとに基づいて、散乱補正の精度を示すパラメータを計算する散乱補正精度計算部と、を具備することを特徴とする核医学診断装置である。
【0009】
請求項5に記載の発明は、被検体に関する放射線の減弱係数分布と、第1の核種に対応する第1のエネルギーウインドウに含まれるエネルギーを有するガンマ線の第1の計数分布データと、第2の核種に対応する第2のエネルギーウインドウに含まれるエネルギーを有するガンマ線の第2の計数分布データとを記憶する記憶部と、前記記憶された減弱係数分布と前記第1の計数分布データとに基づいて、減弱補正が行われた第1の画像データを再構成する再構成部と、前記再構成された第1の画像データと前記減弱係数分布とに基づいて、前記第2のエネルギーウインドウに含まれるエネルギーを有する前記第1の核種に由来する第1の散乱線の計数分布を発生する散乱線計数分布発生部と、前記発生された第1の散乱線の計数分布に基づいて、前記第2の計数分布データに関して散乱補正を行う散乱補正部と、を具備することを特徴とする医用画像処理装置である。
【0010】
請求項7に記載の発明は、被検体に関する放射線の減弱係数分布と、第1の核種に対応する第1のエネルギーウインドウに含まれるエネルギーを有するガンマ線の第1の計数分布データと、前記第1のエネルギーウインドウと第2の核種に対応する第2のエネルギーウインドウとの間における第3のエネルギーウインドウに含まれるエネルギーを有するガンマ線の第3の計数分布データとを記憶する記憶部と、前記記憶された減弱係数分布と前記第1の計数分布データとに基づいて、減弱補正が行われた第1の画像データを再構成する再構成部と、前記再構成された第1の画像データと前記減弱係数分布とに基づいて、前記第3のエネルギーウインドウに含まれるエネルギーを有する前記第1の核種に由来する第2の散乱線の計数分布を発生する散乱線計数分布発生部と、前記第2の散乱線の計数分布と前記第3の計数分布データとに基づいて、散乱補正の精度を示すパラメータを計算する散乱補正精度計算部と、を具備することを特徴とする医用画像処理装置である。
【0011】
請求項9に記載の発明は、透過型コンピュータ断層撮影装置と核医学診断装置とを有する医用画像診断装置において、前記透過型コンピュータ断層撮影装置は、放射線を発生する放射線発生部と、前記放射線発生部から発生され、被検体を透過した放射線を検出する放射線検出部と、前記放射線検出部からの出力に基づいて、前記被検体に関する減弱係数分布を発生する減弱係数分布発生部とを具備し、前記核医学診断装置は、前記被検体内から放出されるガンマ線を検出するガンマ線検出部と、前記ガンマ線検出部を前記被検体の周りに回転自在に支持する支持機構と、前記ガンマ線検出部からの出力に基づいて、第1の核種に対応する第1のエネルギーウインドウに含まれるエネルギーを有するガンマ線の第1の計数分布データと、第2の核種に対応する第2のエネルギーウインドウに含まれるエネルギーを有するガンマ線の第2の計数分布データとを発生する計数分布データ発生部と、前記減弱係数分布と前記第1の計数分布データとに基づいて、減弱補正が行われた第1の画像データを再構成する再構成部と、前記再構成された第1の画像データと前記減弱係数分布とに基づいて、前記第2のエネルギーウインドウに含まれるエネルギーを有する前記第1の核種に由来する第1の散乱線の計数分布を発生する散乱線計数分布発生部と、前記発生された第1の散乱線の計数分布に基づいて、前記第2の計数分布データに関して散乱補正を行う散乱補正部と、を具備することを特徴とする医用画像診断装置である。
【0012】
請求項11に記載の発明は、透過型コンピュータ断層撮影装置と核医学診断装置とを有する医用画像診断装置において、前記透過型コンピュータ断層撮影装置は、放射線を発生する放射線発生部と、前記放射線発生部から発生され、被検体を透過した放射線を検出する放射線検出部と、前記放射線検出部からの出力に基づいて、前記被検体に関する減弱係数分布を発生する減弱係数分布発生部とを具備し、前記核医学診断装置は、前記被検体内から放出されるガンマ線を検出するガンマ線検出部と、前記ガンマ線検出部を前記被検体の周りに回転自在に支持する支持機構と、前記ガンマ線検出部からの出力に基づいて、第1の核種に対応する第1のエネルギーウインドウに含まれるエネルギーを有するガンマ線の第1の計数分布データと、前記第1のエネルギーウインドウと第2の核種に対応する第2のエネルギーウインドウとの間の第3のエネルギーウインドウに含まれるエネルギーを有するガンマ線の第3の計数分布データとを発生する計数分布データ発生部と、前記減弱係数分布と前記第1の計数分布データとに基づいて、減弱補正が行われた第1の画像データを再構成する再構成部と、前記再構成された第1の画像データと前記減弱係数分布とに基づいて、前記第3のエネルギーウインドウに含まれるエネルギーを有する前記第1の核種に由来する第2の散乱線の計数分布を発生する散乱線計数分布発生部と、前記第2の散乱線の計数分布と前記第3の計数分布データとに基づいて、散乱補正の精度を示すパラメータを計算する散乱補正精度計算部と、を具備することを特徴とする医用画像診断装置である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、多核種同時計数の可能な核医学診断装置において、散乱補正精度を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、本発明の第1の実施形態におけるSPECT/CTの外観を示す図である。
【図2】図2は、図1のSPECT/CTの構成を示す図である。
【図3】図3は、第1の実施形態において、第1の散乱線の計数分布に基づいて、第2の計数分布データに関して散乱補正を行う手順を示すフローチャートである。
【図4】図4は、第1の核種と第2の核種とによるエネルギースペクトラムとエネルギーウインドウとの一例を示す図である。
【図5】図5は、図3のフローチャートの概要を示す概要図である。
【図6】図6は、第2の実施形態におけるSPECT/CTの構成を示す図である。
【図7】図7は、第2の実施形態において、散乱補正の精度を示すパラメータを発生する手順を示すフローチャートである。
【図8】図8は、散乱補正の精度を示すパラメータを計算するために、第1の核種と第2の核種とによるエネルギースペクトラム上に、第1乃至第3のエネルギーウインドウを設定した一例を示す図である。
【図9】図9は、散乱補正の精度を示すパラメータの計算を説明するための説明図ある。
【図10】図10は、図7のフローチャートの概要を示す概要図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の第1の実施形態を図面に従って説明する。なお、以下の説明において、略同一の機能及び構成を有する構成要素については、同一符号を付し、重複説明は必要な場合にのみ行う。
(第1の実施形態)
本実施形態は、典型的には透過型(トランスミッション)コンピュータ断層撮影(Computed Tomography:以下CTと呼ぶ)装置と核医学診断装置とを有するSPECT/CT、被検体の減弱係数分布を記憶した核医学診断装置に適用可能である。しかし、医用画像診断装置として、SPECT/CTではなく、陽電子放出コンピュータ断層撮影(Positron Emission Computed Tomography:以下PETと呼ぶ)装置とX線CT装置との複合装置(以下PET/CTと呼ぶ)、または、被検体の減弱係数分布を記憶した核医学診断装置(SPECT装置またはPET装置)単体に本実施形態を適用することも可能である。また、被検体の減弱係数分布を得るためにガンマ線線源(例えばガンマ線発生部)とガンマ線検出部とを対向させて、核医学診断装置に組み込んだ装置であってもよい。ここでは、典型的なSPECT/CTを例に説明する。
【0016】
以下、説明の簡略化のために、高エネルギー核種(以下第1の核種と呼ぶ)と低エネルギー核種(以下第2の核種と呼ぶ)の2種類の核種が、被検体に投与されるものとして説明する。なお、被検体に投与される核種は、2種類に限定されない。すなわち、被検体に投与される核種は、ガンマ線の計数のピークに対応した当該ガンマ線のエネルギー(以下ピークエネルギーと呼ぶ)の異なる3種以上の核種でもよい。また、複数のピークエネルギーを有するガンマ線を放出する1種類の核種が、被検体に投与されてもよい。
【0017】
図1は、本実施形態に係るSPECT/CT1の外観を示す図である。図1に示すように、SPECT/CT1は、寝台3、天板5、SPECTガントリ7、CTガントリ9、データ処理装置15、画像処理装置21を有する。
【0018】
寝台3は、被検体Pが載置される略長方形の形状を有する天板5と、天板5を長手方向、横手方向、上下方向に個々に移動可能に支持する図示していない天板支持機構とを有する。
【0019】
SPECTガントリ7は、天板5が送り込まれる略円筒形状である中空部11を有する。
【0020】
CTガントリ9は、天板5が送り込まれる略円筒形状である中空部13を有する。中空部11の中心線111と中空部13の中心線113とが略一致するように、SPECTガントリ7とCTガントリ9とは配置される。
【0021】
図2は本実施形態に係るSPECT/CT1の構成を示す図である。同図に示すように、本SPECT/CT1は、SPECT装置2とX線CT装置14とを有する。SPECT装置2は、SPECTガントリ7を有する。X線CT装置14は、CTガントリ9を有する。
【0022】
CTガントリ9は、中空部13を挟んで向かい合うようにX線発生部10とX線検出部12とを有する。X線発生部10はX線を発生する。X線検出部12は、X線発生部10から発生され、被検体Pを透過したX線を検出し、検出されたX線のエネルギーに応じた電気信号を発生する。X線発生部10とX線検出部12とは、中空部13周りに回転しながらX線照射とX線検出とが同期して、繰り返されるように制御される。
【0023】
SPECTガントリ7は、ガンマ線を検出するガンマ線検出部8を有する。支持機構6は、ガンマ線検出部8を被検体の周りに回転自在に支持する。支持機構6は、ガンマ線検出部8を制御部47の制御のもとで、被検体Pの周りを所定の微小角度ごとに回転と停止を繰り返す。停止期間にガンマ線検出部8は、被検体Pに投与された第1の核種と第2の核種とから放出されるガンマ線を検出し、検出されたガンマ線のエネルギーに応じた波高値を有する電気信号を発生する。なお、ガンマ線検出部8は、中空部11周りに沿ってリング状に配列されてもよい。ガンマ線検出部8がリング状に配列されたとき、支持機構6は、コリメータを被検体の周りに回転自在に支持する。
【0024】
データ処理装置15は、計数分布データ発生部17と減弱係数分布発生部19とを有する。
【0025】
減弱係数分布発生部19は、CTガントリ9により多方向から収集された投影データに基づいて、減弱係数分布(被検体Pに関する減弱係数の3次元空間分布を示すボリュームデータ)を再構成する。減弱係数分布発生部19は、再構成された減弱係数分布に基づいて、断面変換(MultiPlanar Reconstruction:以下MPR変換と呼ぶ)により、ガンマ線検出部8に垂直な被検体Pの断面の減弱係数分布(以下断面減弱係数分布と呼ぶ)を発生する。
【0026】
計数分布データ発生部17は、図示していない波高弁別器を有している。波高弁別器は、ピークエネルギーに従って予め設定された波高値を上下限とした範囲(以下エネルギーウインドウと呼ぶ)によって、ガンマ線検出部8から出力された波高値を有する電気信号を弁別する。エネルギーウインドウは、例えば、それぞれの核種から放出されるガンマ線のピークエネルギーとTEW(Triple Energy Window)法とに従ってそれぞれ決定される。以下、第1の核種に固有のピークエネルギーを中心として所定幅に広がるエネルギーウインドウを第1のエネルギーウインドウと呼び、第2の核種に固有のピークエネルギーを中心とした所定幅に広がるエネルギーウインドウを第2のエネルギーウインドウと呼ぶ。なお、エネルギーウインドウの中心に対応するエネルギーやウインドウ幅は、入力装置43を介して、ユーザにより適宜変更可能である。計数分布データ発生部17は、弁別された電気信号を、ガンマ線検出部8に入射したガンマ線の位置ごとに、所定期間継続的に計数し、ガンマ線の計数の分布データを発生する。
【0027】
計数分布データ発生部17は、波高弁別器に設定された第1のエネルギーウインドウに含まれるエネルギーを有するガンマ線の計数の分布データ(以下高エネルギーSPECTデータと呼ぶ)をTEW法により補正(散乱補正)し、補正された計数の分布データ(以下第1の計数分布データと呼ぶ)を、微小角度ごとに発生する。計数分布データ発生部17は、波高弁別器に設定された第2のエネルギーウインドウに含まれるエネルギーを有するガンマ線の計数の分布データ(以下第2の計数分布データと呼ぶ)を、微小角度ごとに発生する。なお、上記第1のエネルギーウインドウに含まれるエネルギーを有するガンマ線の計数の分布データに対する補正は、TEW法に限定されるものではない。
【0028】
TEW法とは、核種固有のピークエネルギーを中心としたメインエネルギーウインドウの両側に新たなサブエネルギーウインドウを設定し、設定された両側のサブエネルギーウインドウに含まれるエネルギーを有するガンマ線の計数に基づいて、メインエネルギーウインドウに含まれる散乱線数を推定し、メインウインドウの計数値から推定された散乱線数を除去する方法である。
【0029】
画像処理装置21は、再構成部23、散乱線計数分布発生部25、散乱補正部27、合成部31、表示部33、インターフェース部41、入力装置43、記憶部45、制御部47を有している。加えて画像処理装置21には、ネットワークや心電計などが、インターフェース部41を介して接続されてもよい。
【0030】
再構成部23は、断面減弱係数分布と第1の計数分布データとに基づいて、減弱補正を行いながら、被検体P内の第1の核種の空間的な濃度分布を表すSPECT画像データ(以下第1の画像データと呼ぶ)を再構成する。再構成される第1の画像データは、ボリュームデータである。減弱補正を行いながらSPECT画像を再構成する方法(減弱補正が組み込まれた再構成方法)として、例えば、逐次近似法である最大推定期待値最大化(Maximum Likelihood-Expectation Maximization:以下ML−EM)法や、ML−EM法を高速化したOS−EM(Ordered Subsets-Expectation Maximization)法などがある。これらの方法は、測定された計数分布データがポアソン分布に従っているとの仮定のもとで、統計学的手法によって、確率的に最も可能性の高い断層像である被検体内の核種の空間的分布を推定する方法である。再構成部23は、以下で説明する散乱補正部27により散乱補正が行われた第2の計数分布データに基づいて、被検体P内の第2の核種の空間的な濃度分布を表すSPECT画像データ(以下第2の散乱補正画像データと呼ぶ)を再構成する。
【0031】
散乱線計数分布発生部25は、再構成部23で発生された第1の画像データと減弱係数分布とに基づいて、第2のエネルギーウインドウに含まれるエネルギーを有する第1の核種に由来する散乱線の計数分布(以下第1の散乱線の係数分布と呼ぶ)を、上記微小角度ごとに発生する。具体的には、第1の散乱線の計数分布は、モンテカルロシミュレーション(Monte Carlo simulation:以下MCSと呼ぶ)により出力される。MCSとは、乱数を用いて実行されるモンテカルロ法に基づくシミュレーションである。MCSに用いられるコードとして、例えばEGS(Electron Gamma Shower)やGEANT(GEometry ANd Tracking)などがある。EGSとは、任意の元素、化合物あるいは混合物中の電子、陽電子あるいは光子の輸送を扱うことができるMCSのコードである。GEANTとは、任意の元素、化合物あるいは混合物中の電子、陽電子あるいは光子、中性子、重荷電粒子の輸送を扱うことができるMCSのコードである。
【0032】
散乱補正部27は、散乱線計数分布発生部25で発生された第1の散乱線の計数分布に基づいて、第2の計数分布データを上記微小角度ごとに散乱補正を行う。
【0033】
合成部31は、第2の散乱補正画像データに、第1の画像データを合成する。
【0034】
表示部33は、合成部31で合成された画像を表示する。なお、表示部33は、第2の散乱補正画像データと第1の画像データとを表示してもよい。
【0035】
インターフェース部41は、入力装置43、ネットワーク、図示していない外部記憶装置および心電計等に関するインターフェースである。本SPECT/CT1によって得られた医用画像等のデータや解析結果等は、インターフェース部41によって、ネットワークを介して他の装置に転送可能である。
【0036】
入力装置43は、インターフェース部41に接続されユーザからの各種指示・命令・情報・選択・設定を本SPECT/CT1に取り込む。入力装置43は、図示しないが、関心領域の設定などを行うためのトラックボール、スイッチボタン、マウス、キーボード等を有する。入力装置43は、表示画面上に表示されるカーソルの座標を検出し、検出した座標を制御部47に出力する。なお、入力装置43は、表示画面を覆うように設けられたタッチパネルでもよい。この場合、入力装置43は、電磁誘導式、電磁歪式、感圧式等の座標読み取り原理でタッチ指示された座標を検出し、検出した座標を制御部47に出力する。
【0037】
記憶部45は、本SPECT/CT1の制御プログラム、散乱線の計数分布を計算するためのプログラム(例えば、EGS4やGEANT4)、TEW法を実行するためのプログラム、OS−EM法を実行するためのプログラム、様々な核種に対応するエネルギーウインドウ(例えば、第1のエネルギーウインドウや第2のエネルギーウインドウ)、第1の計数分布データ、第2の計数分布データ、第1の画像データ、第2の散乱補正画像データ、発生された第1の散乱線の計数分布等を格納する。
【0038】
制御部47は、画像処理装置21の中枢として機能する。制御部47は、図示しないCPUと記憶回路とを備える。制御部47は、インターフェース部41を介して入力装置43から送られてくるユーザの指示や画像処理の条件などの情報を一時的に記憶した後、これらの情報に基づいて、第1および第2の計数分布データの収集や第1の画像データおよび第2の散乱補正画像データの表示に関する制御などを行う。制御部47は、所定の画像発生・表示等を実行するための制御プログラムを、記憶部45から読み出して自身が有するメモリ上に展開し、各種処理に関する演算・処理等を実行する。
【0039】
(混入散乱線補正機能)
混入散乱線補正機能とは、第1の核種に由来するガンマ線であって、第2のエネルギーウインドウに混入する散乱線に関する第1の散乱線の計数分布をモンテカルロシミュレーションによって推定し、当該第1の散乱線の計数分布を用いて、第2の計数分布データを補正する機能である。以下、混入散乱線補正機能に従う処理(以下混入散乱線補正処理と呼ぶ)を説明する。混入散乱線補正処理では、MCSのコードとして、EGS4を用いることとする。なお、MCSのコードとして、GEANT4などを用いることも可能である。
【0040】
図3は、混入散乱線補正処理の手順を示すフローチャートである。
被検体に対するX線CTスキャンおよびSPECTスキャンに先立って、ユーザは、入力装置43にて患者情報の入力、発生されるX線の条件、検出されるX線およびガンマ線のデータ収集条件の設定や更新を行う。これらの設定や更新は、記憶部45に保存される。これらの入力/選択/設定が終了したならば、制御部47が、X線CTスキャンおよびSPECTスキャンを行う。X線CTスキャンにより多方向から収集された投影データに基づいて、被検体Pに関する減弱係数分布が再構成される(ステップSa1)。再構成された減弱係数分布に基づいて、MPR変換により断面減弱係数分布が発生される。
【0041】
SPECTスキャンにより、被検体Pに投与された第1の核種および第2の核種から放出されたガンマ線が、微小角度ごとに検出される(ステップSa2)。以下説明を具体的に行うために、第1の核種としてTc−99m(過テクネチウム酸ナトリウム)、第2の核種としてTl−201(塩化タリウム)を一例として用いる。Tc−99mのピークエネルギーは140keVであり、Tl−201のピークエネルギーは71keVである。また、SPECT装置2のエネルギー分解能は、上記ピークエネルギーそれぞれに対して10%であるとする。
【0042】
ガンマ線が検出される(ステップSa2)と、当該ガンマ線のエネルギーに応じた波高値を有する電気信号が発生される。発生された電気信号は、波高弁別器に出力される。
【0043】
波高弁別器には、被検体Pに投与された核種に対応した以下で説明するエネルギーウインドウが、記憶部45から読み出され、予め設定される。Tc−99mに関するエネルギーウインドウ(第1のエネルギーウインドウ)は、Tc−99mのピークエネルギー(140keV)に対して±10%(±14keV)の幅(126keV〜154keV)で設定される。Tl−201に関するエネルギーウインドウ(第2のエネルギーウインドウ)は、Tl−201のピークエネルギー(71keV)に対して±10%(±7keV)の幅(64keV〜78keV)で設定される。126keV〜154keVのエネルギーウインドウには、Tc−99mのピークエネルギーである140keVのガンマ線の散乱線による計数が混入している。この散乱線に由来する計数を除去するために、TEW法が用いられる。TEW法に用いられる第1のエネルギーウインドウの両側に設定されるサブエネルギーウインドウの幅は、一例として、TEW法を適用するピークエネルギーに対して±7%であるとする。従って、サブエネルギーウインドウの幅は、116keV〜126keVと154keV〜164keVである。
【0044】
図4は、Tc−99mとTl−201とによるエネルギースペクトラムとエネルギーウインドウとの一例を示す図である。図4における横軸は、検出されたガンマ線の波高値に対応したエネルギーである。縦軸は、検出されたガンマ線による計数である。HPは、Tc−99mに関するピークエネルギー(140keV)である。LPは、Tl−201に関するピークエネルギー(71keV)である。
【0045】
図4における111および112は、Tc−99mのピークエネルギー(140keV)に対する±10%(±14keV)の幅を示している。破線1stは、126keV〜154keVで設定されるTc−99mに関するエネルギーウインドウ(第1のエネルギーウインドウ)を示している。211および212は、サブエネルギーウインドウの幅(116keV〜126keVと154keV〜164keV)である。311および312は、Tl−201のピークエネルギー(71keV)に対する±10%(±7keV)の幅を示している。破線2ndは、64keV〜78keVで設定されるTl−201に関するエネルギーウインドウ(第2のエネルギーウインドウ)を示している。
【0046】
図4におけるREMは、TEW法によって除去される140keVのガンマ線による散乱線に由来する計数の分布を表している。1点鎖線HRIは、Tc−99mに由来するガンマ線による計数分布を示している。点線LRIは、Tl−201に由来するガンマ線による計数分布を示している。実線は、HRIとLRIとの和である。mixは、2ndの範囲に含まれるTc−99mに由来するガンマ線(HRI)の計数の分布を示している。
【0047】
Tc−99mに関する第1の計数分布データは、Tc−99mのエネルギーウインドウ(126keV〜154keV)に含まれる計数からREMに含まれる計数を減算することによって、微小角度ごとに発生される。Tl−201に関する第2の計数分布データは、Tl−201のエネルギーウインドウ(64keV〜78keV)に含まれるエネルギーを有するガンマ線の計数に基づいて、微小角度ごとに発生される(ステップSa3)。
【0048】
MPR変換により発生された断面減弱係数分布と第1の計数分布データとに基づいて、減弱補正を含めてOS−EM法により第1の画像データ(高エネルギーSPECT定量画像)が再構成される(ステップSa4)。減弱補正とは、放射線が物体を通過するとき、放射線量の減少による計数の誤差を含む計数分布を、減弱係数分布に基づいて補正することをいう。具体的には、被検体P内で放出されたガンマ線のエネルギーは、被検体P内を透過する際に被検体Pによりコンプトン散乱し、光電効果により減弱される。この減弱したガンマ線の個数は、減弱係数分布により計算される。減弱されたガンマ線の個数を、第1の計数分布データにおける計数値に加えることで、計測される計数分布が補正される。なお、定量画像とは、TEW法による散乱補正とOS−EM法による減弱補正とが行われた画像を意味している。
【0049】
以下OS−EM法について具体的に説明する。まず、微小角度ごとに得られた第1の計数分布データによる計数分布データセットを、予め設定されたサブセット(部分集合)に分割する。以下、一例として、第1の計数分布データが、被検体Pの周囲360°に対して15°ずつ等角度で取得された場合について説明する。計数分布データセットは、24個の第1の計数分布データを有する。24個の計数分布データセットに対して、サブセットの数が4個と設定された場合、ひとつのサブセットに含まれる第1の計数分布データの数は、60°ごとの6個となる。なお、サブセットの数は、入力装置43を介してユーザにより変更可能である。
【0050】
OS−EM法を簡略に説明するために、2種の通し番号を用いる。第1の通し番号jは、再構成される画像における画素の座標(以下再構成画素座標と呼ぶ)として付与される番号である。再構成画素座標jに付与される番号は、1から再構成される画素の総数mまで(1≦j≦m)の自然数のいずれかである。第2の通し番号iは、ガンマ線検出部8における検出素子に付与されるものである。以下、第2の通し番号iについて説明する。いま、説明を簡単にするため、第1の計数分布データは、横手方向に1次元状に配列された複数の検出素子を有するガンマ線検出部8からの出力に基づいて発生されたものとする。検出素子それぞれは、第1の計数分布データにおける計数それぞれと対応している。ひとつのサブセットに含まれる第1の計数分布データそれぞれは、被検体Pに対する角度が異なるため、それぞれ異なる検出素子からの出力に基づいて、発生されたものとみなす。これにより、第2の通し番号iは、ひとつのサブセットに含まれる6個の第1の計数分布データにおける計数それぞれに対応した検出素子に対して付与される番号である。検出素子iに付与される番号は、1からサブセットに含まれる検出素子の総数nまで(1≦i≦n)の自然数のいずれかである。
【0051】
次に、再構成画素座標jに対応する第1の核種から放出されたガンマ線に相当する光子数に対する検出素子iに到達する光子数の割合(以下検出確率と呼ぶ)が、再構成画素座標jと検出素子iとに対応付けて計算される。検出確率は、検出素子iと再構成画素座標jとの位置関係、再構成画素座標jから放出された光子数に対する検出素子iに到達するまでに減弱された光子数の割合(以下減弱割合と呼ぶ)等で決定される。減弱割合は、減弱係数分布により決定される。続いて、再構成画素座標jに対する再構成される初期の画像の画素値(以下初期画素値と呼ぶ)が、設定される。設定される初期画素値は、任意であり、例えば全画素値を「1」としてもよい。なお、設定される初期画素値は、入力装置43を介してユーザにより変更可能である。
【0052】
上記設定の後、サブセットに含まれる第1の計数分布データに基づいて、以下の計算が検出素子iごとに実行される。はじめに、再構成画素座標jに対してバックプロジェクション(back-projection)される計数データ(以下逆投影計数データと呼ぶ)が、検出素子iに対応した第1の計数分布データの計数と検出確率との積により計算される。次に、検出素子iにフォワードプロジェクション(forward-projection)される計数データ(以下投影計数データと呼ぶ)が、初期画素値と検出確率との積を第1の通し番号jについて1からmまでの和をとることにより計算される。以上の計算結果から、逆投影計数データに対する投影計数データの比(以下計数データ比と呼ぶ)が計算される。
【0053】
計算された計数データ比が、第2の通し番号iについて1からnまで加算される。加算された計数データ比が、第2の通し番号iについて1からnまでの検出確率に関する和で除される。除された値に再構成画素座標jを有する初期画素値を乗じた値を、再構成画素座標jに対応した再構成される画像の初期画素値に対する新たな画素値とする。
【0054】
以上の計算が、全ての初期画素値について行われる。全ての初期画素値について新たな画素値が計算されると、新たな画素値を初期画素値として更新する。上記計算に用いられたサブセットと異なるサブセットに含まれる第1の計数分布データと、更新された初期画素値とを用いて、上記計算が繰り返される。
【0055】
すべてのサブセットについて、上記計算が実行されると、予め設定された繰り返し回数に応じて、さらに上記計算が繰り返される。なお、繰り返し回数は、入力装置43を介して、ユーザにより変更可能である。この繰り返し計算の結果、第1の画像データが再構成される。なお、ガンマ線検出部8が長手方向と横手方向との2次元方向に配列された検出素子から構成される場合、長手方向の検出素子の数に対応した再構成される第1の画像データが発生される。再構成された第1の画像データに基づいて、第1のボリュームデータが発生される。
【0056】
発生された第1のボリュームデータと減弱係数分布とが、MCSのコードであるEGS4へ読み込まれる。第1のボリュームデータは、Tc−99mから放出されるガンマ線の線源の空間分布を示している。被検体Pに関する減弱係数分布は、被検体P内を透過する放射線に関する減弱係数の分布を示している。減弱係数は、放出されたガンマ線が被検体P内を散乱せずに透過できる距離(以下平均自由行程と呼ぶ)を決定する確率密度分布に対応している。確率密度分布における確率は、モンテカルロ法により発生される乱数により決定される。決定された確率により、当該ガンマ線の平均自由行程が決定される。
【0057】
放出されたガンマ線に関する被検体P内での散乱の発生は、散乱が発生する確率を示す散乱断面積によって決定される。散乱断面積は、モンテカルロ法により発生される乱数により決定される。決定された散乱断面積に基づいて、当該ガンマ線に関する散乱の発生の有無が決定される。
【0058】
散乱されたガンマ線に関する散乱される方向は、クライン−仁科の微分断面積に対応する散乱角度の確率密度分布により決定される。散乱角度の確率密度分布における確率は、モンテカルロ法により発生される乱数により決定される。決定された確率により、当該ガンマ線の散乱される方向が決定される。
【0059】
決定された平均自由行程、散乱の発生の有無、散乱角度により、Tl−201のエネルギーウインドウ(64keV〜78keV)に含まれるエネルギーを有するTc−99mに由来する散乱線(以下第1の散乱線と呼ぶ)の計数分布が、上記微小角度ごとに出力される(ステップSa5)。例えば、第1の散乱線の計数は、例えば図4におけるmixで示されている。
【0060】
上記微小角度ごとに第2の計数分布データから第1の散乱線の計数分布を減算することで、第2の計数分布データに混入するTc−99mに由来する散乱線による計数を除去できる。このようにして、第2の計数分布データに対する散乱補正が行われる。(ステップSa6)。ステップSa6における処理は、図4の2ndの範囲における実線からmixを減算する処理である。補正された2ndにおける計数は、2ndの範囲における点線であるLRIで示されている。
【0061】
微小角度ごとに散乱補正された第2の計数分布データを用いて、第2の散乱補正画像データが再構成される(ステップSa7)。図5は、図3の本混入散乱線補正機能におけるフローチャートの概要を示す概要図である。図5における楕円は、取得されるデータもしくは発生されるデータを示している。図5における長方形は、処理を示している。図5における2重楕円は、本混入散乱線補正機能の結果得られるデータを示している。
【0062】
(第1の変形例)
本変形例と第1の実施形態との相違点を以下で説明する。第1の実施形態では、MCSによって発生された第1の散乱線の計数分布に基づいて、第2の計数分布データに関して散乱補正が行われる。本変形例では、まず、再構成部23で、第1の散乱線の計数分布に基づいて第1の散乱線の画像データと、第2の計数分布データに基づいて第2の画像データとが再構成される。次に、散乱補正部27で、再構成された第1の散乱線の画像データに基づいて、第2の画像データに関して散乱補正が行われる。
【0063】
第1の実施形態と本変形例とにおける構成要素について、異なる処理が行われる構成要素について説明する。
【0064】
再構成部23は、第2の計数分布データに基づいて第2の画像データと、第1の散乱線の計数分布に基づいて第1の散乱線の画像データとを再構成する。
【0065】
散乱補正部27は、第1の散乱線の画像データに基づいて、第2の画像データに関して散乱補正を行う。
【0066】
合成部31は、散乱補正が行われた第2の画像データに第1の画像データを合成する。
【0067】
表示部33は、合成部31で合成された画像を表示する。なお、表示部33は、第1の画像データと散乱補正が行われた第2の画像データ(以下散乱補正画像データと呼ぶ)とを表示してもよい。
【0068】
(混入散乱線補正機能)
本変形例における混入散乱線補正機能について、図3を参照しながら第1の実施形態と異なる機能について説明する。
【0069】
ステップSa5の後、第1の散乱線の計数分布データに基づいて第1の散乱線の画像データと、第2の計数分布データに基づいて第2の画像データとが再構成される。続いて、再構成された第2の画像データから、第1の散乱線の画像データを画素ごとに減算することによって、散乱補正が行われた散乱補正画像データが発生される。
【0070】
以上に述べた構成によれば、以下の効果を得ることができる。
本医用画像診断装置の第1の実施形態によれば、定量的な第1の画像データと減弱係数分布とに基づいたモンテカルロシミュレーションによって、第2のエネルギーウインドウに混入する第1の散乱線の計数分布を発生させる。続いて、第2の計数分布データから第1の散乱線の計数分布を減算することで、第2の計数分布データに混入する散乱線による計数を補正することができる。
【0071】
本医用画像診断装置の第1の変形例によれば、第1の散乱線の計数分布に基づいて第1の散乱線の画像データと、第2の計数分布データに基づいて第2の画像データとが再構成される。続いて、再構成された第1の散乱線の画像データに基づいて、第2の画像データに関して散乱補正が行われる。
【0072】
散乱線による計数の補正に用いられる第1の散乱線の計数分布は、定量的な第1の画像データと実測された減弱係数分布とに基づいたシミュレーションの結果であるため、従来と比べて精度が高くなる。これらのことから、混入する散乱線による計数の補正の精度は向上する。加えて、従来に比べて煩雑な操作が不要となり検査時間が短縮されるため、術者および被検体にとっての負担が軽減される。
【0073】
なお、本実施形態の技術的思想で実現される核医学診断装置は、例えば、図2の2点鎖線内の構成要素を有する。このとき、混入散乱線補正機能における処理は、図3におけるステップSa1を削除したステップSa2からステップSa7までの処理となる。また、本実施形態で実現される医用画像処理装置は、例えば、図2における点線内の構成要素を有する。このとき、混入散乱線補正機能における処理は、図3におけるステップSa1とステップSa2とを削除したステップSa3からステップSa7までの処理となる。
【0074】
(第2の実施形態)
第1の実施形態との相違は、第2の計数分布データに関する散乱補正の精度を示すパラメータ(以下散乱補正精度パラメータと呼ぶ)を計算することである。用いられるMCSのコードは、EGS4に限定されることはなく、例えばGEANT4などのEGS4以外のMCSのコードを用いることも可能である。以下に説明する第2の実施形態において、上述した第1の実施形態と同じ処理を行う構成要素については同符号を付してその詳細な説明は基本的に省略し、第1の実施形態と異なる処理を行う構成要素についてのみ説明する。なお、必要に応じて、第1の実施形態と重複する構成要素及び処理、図中の記号などを適宜説明する。
【0075】
図6は、本実施形態に係るSPECT/CT1の構成を示す図である。
計数分布データ発生部17における波高弁別器には、第1のエネルギーウインドウと第2のエネルギーウインドウとの間に、散乱補正精度パラメータを計算するために第3のエネルギーウインドウが設定される。計数分布データ発生部17は、波高弁別器により設定された第3のエネルギーウインドウに含まれるエネルギーを有するガンマ線の計数の分布データ(以下第3の計数分布データと呼ぶ)を、微小角度ごとに発生する。
【0076】
散乱線計数分布発生部25は、第1の画像データ(高エネルギーSPECT定量画像)と減弱係数分布とに基づいて、第3のエネルギーウインドウに含まれるエネルギーを有する第1の核種(以下Tc−99mとする)に由来する第2の散乱線の計数分布を、微小角度ごとに発生する。
【0077】
散乱補正精度計算部29は、計数分布データ発生部17で発生された第3の計数分布データと、散乱線計数分布発生部25で発生された第2の散乱線の計数分布とに基づいて、散乱補正精度パラメータを計算する。定量的な散乱補正精度パラメータは、例えば、平均2乗誤差の平方根(Root Mean Squared Error:以下RMSEと呼ぶ)や平均2乗誤差(Mean Squared Error:以下MSEと呼ぶ)などを用いて計算される。本実施形態では、RMSEを用いる。
【0078】
表示部33は、散乱補正精度パラメータを表示する。
【0079】
記憶部45は、散乱補正精度パラメータを計算するためのプログラム、第3のエネルギーウインドウ、第3の計数分布データ、第2の散乱線の計数分布等を格納する。
【0080】
(散乱補正精度パラメータ計算機能)
散乱補正精度パラメータ計算機能とは、第3の計数分布データと第2の散乱線の計数分布とに基づいて、散乱補正精度パラメータを計算する機能である。以下、散乱補正精度パラメータ計算機能に従う処理(以下補正精度パラメータ計算処理と呼ぶ)を説明する。補正精度パラメータ計算処理では、第1の実施形態と同じMCSのコード(EGS4)を使用するものとする。
【0081】
図7は、散乱補正精度パラメータを発生する手順を示すフローチャートである。
第1の実施形態に関するフローチャートである図3と異なる処理であるステップSb3からステップSb5までの処理を以下で説明する。
【0082】
ガンマ線が検出される(ステップSa2)と、当該ガンマ線のエネルギーに応じた波高値を有する電気信号が発生される。発生された電気信号は、波高弁別器に出力される。
【0083】
波高弁別器には、以下で説明する第3のエネルギーウインドウが、第1のエネルギーウインドウと第2のエネルギーウインドウとの間に設定される。具体的には、第3のエネルギーウインドウは、記憶部45で記憶されたエネルギーウインドウから、被検体に投与された複数の核種に対応するエネルギーウインドウや当該複数の核種のピークエネルギーと対応づけて読み出され、波高弁別器に設定される。第3のエネルギーウインドウは、第1の核種から放出されるガンマ線の散乱線のみが存在するエネルギーの範囲である。本実施形態における第3のエネルギーウインドウは、一例として、100keV〜120keVで設定されるものとする。なお、第3のエネルギーウインドウは、入力装置43を介して、ユーザにより適宜設定および変更可能である。
【0084】
図8は、第1の核種であるTc−99mと第2の核種であるTl−201とによるエネルギースペクトラム上に、第1乃至第3のエネルギーウインドウを設定した一例を示す図である。破線1stは、126keV〜154keVで設定されるTc−99mに関するエネルギーウインドウ(第1のエネルギーウインドウ)を示している。破線2ndは、64keV〜78keVで設定されるTl−201に関するエネルギーウインドウ(第2のエネルギーウインドウ)を示している。破線3rdは、100keV〜120keVで設定されるエネルギーウインドウ(第3のエネルギーウインドウ)を示している。
【0085】
第1の核種に対応する第1の計数分布データは、第1の実施形態における混入散乱線補正機能と同様に、微小角度ごとに発生される。第3の計数分布データは、第3のエネルギーウインドウ(100keV〜120keV)に含まれるエネルギーを有するガンマ線の計数に基づいて、微小角度ごとに発生される(ステップSb3)。
【0086】
第1の画像データに基づいて発生された第1のボリュームデータと減弱係数分布とが、MCSのコードであるEGS4へ読み込まれる。第1のボリュームデータは、被検体内におけるTc−99mから放出されるガンマ線の線源の空間分布を示している。被検体Pに関する減弱係数分布は、被検体P内を透過するガンマ線に関する減弱係数の分布を示している。EGS4は、読み込んだ第1のボリュームデータと減弱係数分布とに基づいて、第3のエネルギーウインドウ(100keV〜120keV)に含まれるエネルギーを有するTc−99mに由来する散乱線の計数分布(以下第2の散乱線の計数分布と呼ぶ)を、上記微小角度ごとに出力する(ステップSb4)。
【0087】
第2の散乱線の計数分布と第3の計数分布データとに基づいて、上記微小角度ごとにRMSEを計算する。微小角度ごとに計算されたRMSEを微小角度の総数で除することによって、散乱補正精度パラメータが計算される(ステップSb5)。RMSEは、具体的には以下のように計算される。はじめに、第2の散乱線の計数分布と第3の計数分布データとにおける同一座標(被検体に対する同一な位置)を有する計数どうしが差分される。続いて、差分された値が2乗(以下2乗誤差と呼ぶ)される。全ての同一座標にわたる2乗誤差が加算される。加算された値が、第2の散乱線の計数分布もしくは第3の計数分布データのいずれか一方の座標の総数で除される。除された値について平方根が計算される。なお、散乱補正精度パラメータは、所定の角度における第2の散乱線の計数分布と第3の計数分布データとに基づいて、RMSEを計算することも可能である。
【0088】
図9は、RMSEの計算を説明するための説明図ある。(a)は、第2の散乱線の計数分布を表すデータである。(b)は、第3の計数分布データである。(a)、(b)ともに、被検体に対する同一な位置で発生された計数分布であり、座標の総数をNとする。AおよびBは、それぞれの計数分布データにおける値(計数)である。kは、座標を識別するための副指数である。同一座標を有する計数どうしを差分することとは、Ak−Bkのことである。差分された値を2乗することとは、(Ak−Bk)^2のことである。2乗された値を全ての座標について加算することとは、Σ_(k=1〜N)((Ak−Bk)^2)のことである。加算された値を座標の総数Nで除することとは、Σ_(k=1〜N)((Ak−Bk)^2)/Nのことである。除された値について平方根を計算することとは、(Σ_(i=1〜N)((Ak−Bk)^2)/N)^(1/2)のことである。このような計算が、微小角度ごとに行われる。
【0089】
なお、このように計算された散乱補正精度パラメータは、第1の実施形態の合成部31にて、表示部33で表示される画像に合成されてもよい。
【0090】
図10は、図7の本散乱補正精度パラメータ計算機能におけるフローチャートの概要を示す概要図である。図10における楕円は、取得されるデータもしくは発生されるデータを示している。図10における長方形は、処理を示している。図10における2重楕円は、本散乱補正精度パラメータ計算機能の結果、得られる散乱補正精度パラメータを示している。
【0091】
(第2の変形例)
本変形例と第1の実施形態との相違点を以下で説明する。第2の実施形態では、MCSによって発生された第2の散乱線の計数分布と実測による第3の計数分布データとに基づいて、散乱補正精度パラメータが計算される。本変形例では、まず、再構成部23で、第2の散乱線の計数分布に基づいて第2の散乱線の画像データと、第3の計数分布データに基づいて第3の画像データとが再構成される。次に、散乱補正精度計算部29で、再構成された第2の散乱線の画像データと第3の画像データに基づいて、散乱補正精度パラメータが計算される。
【0092】
第2の実施形態と本変形例とにおける構成要素について、異なる処理が行われる構成要素について説明する。
【0093】
再構成部23は、第3の計数分布データに基づいて第3の画像データと、第2の散乱線の計数分布に基づいて第2の散乱線の画像データとを再構成する。
【0094】
散乱補正精度計算部29は、第2の散乱線の画像データと第3の画像データとに基づいて、散乱補正精度パラメータを計算する。
【0095】
(散乱補正精度パラメータ計算機能)
本変形例における散乱補正精度パラメータ計算機能について、図7を参照しながら第2の実施形態と異なる機能について説明する。
【0096】
ステップSb4の後、第2の散乱線の計数分布データに基づいて第2の散乱線の画像データと、第3の計数分布データに基づいて第3の画像データとが再構成される。再構成された第2の散乱線の画像データと第3の画像データとにおける同一座標を有する画素値を用いて、RMSEが計算される。計算されたRMSEを散乱補正精度パラメータとする。
【0097】
以上に述べた構成によれば、以下の効果を得ることができる。
本医用画像診断装置の第2の実施形態によれば、定量的な第1の画像データと減弱係数分布とに基づいたモンテカルロシミュレーションによって、第3のエネルギーウインドウに混入する第2の散乱線の計数分布を発生させる。続いて、第3のエネルギーウインドウに対応する第3の計数分布データが発生される。第2の散乱線の計数分布と第3の計数分布データとに基づいて、散乱補正精度パラメータが計算される。
【0098】
本医用画像診断装置の第2の変形例によれば、第2の散乱線の計数分布に基づいて第2の散乱線の画像データと、第3の計数分布データに基づいて第3の画像データとが再構成される。続いて、再構成された第2の散乱線の画像データと第3の画像データに基づいて、散乱補正精度パラメータが計算される。
【0099】
散乱線による計数の補正に用いられる第1の散乱線の計数分布は、定量的な第1の画像データと実測された減弱係数分布とに基づいたシミュレーションの結果であるため、従来と比べて精度が高くなる。これらのことから、散乱補正精度パラメータが、定量的かつ客観的に提供できる。加えて、散乱補正精度パラメータを計算する処理は、ユーザの操作なしに実行されるので、ユーザに対する負担が軽減される。
【0100】
なお、本実施形態の技術的思想で実現される核医学診断装置は、例えば、図6の2点鎖線内の構成要素を有する。このとき、散乱補正精度パラメータ計算機能における処理は、図7におけるステップSa1を削除したステップSa2からステップSb5までの処理となる。また、本実施形態の技術的思想で実現される医用画像処理装置は、例えば図6における点線内の構成要素を有する。このとき、散乱補正精度パラメータ計算機能における処理は、図7におけるステップSa1とステップSa2とを削除したステップSb3からステップSb5までの処理となる。
【0101】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0102】
本発明は、核医学診断装置、X線CT装置と核医学診断装置との複合装置(SPECT/CT、PET/CT)、医用画像処理装置について、複数核種もしくは複数のピークエネルギーを有する核種を用いて核医学検査を行う分野に利用可能性がある。
【符号の説明】
【0103】
1…SPECT/CT、2…SPECT装置、3…寝台、5…天板、6…支持機構、7…SPECTガントリ、8…ガンマ線検出部、9…CTガントリ、10…X線発生部、11…中空部、12…X線検出部、13…中空部、14…X線CT装置、15…データ処理装置、17…計数分布データ発生部、19…減弱係数分布発生部、21…画像処理装置、23…再構成部、25…散乱線計数分布発生部、27…散乱補正部、29…散乱補正精度計算部、31…合成部、33…表示部、41…インターフェース部、43…入力装置、45…記憶部、47…制御部、111…中空部11の中心線、113…中空部13の中心線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体内から放出されるガンマ線を検出するガンマ線検出部と、
前記ガンマ線検出部を前記被検体の周りに回転自在に支持する支持機構と、
前記ガンマ線検出部からの出力に基づいて、第1の核種に対応する第1のエネルギーウインドウに含まれるエネルギーを有するガンマ線の第1の計数分布データと、第2の核種に対応する第2のエネルギーウインドウに含まれるエネルギーを有するガンマ線の第2の計数分布データとを発生する計数分布データ発生部と、
前記被検体に関する放射線の減弱係数分布を記憶する記憶部と、
前記記憶された減弱係数分布と前記第1の計数分布データとに基づいて、減弱補正が行われた第1の画像データを再構成する再構成部と、
前記再構成された第1の画像データと前記減弱係数分布とに基づいて、前記第2のエネルギーウインドウに含まれるエネルギーを有する前記第1の核種に由来する第1の散乱線の計数分布を発生する散乱線計数分布発生部と、
前記発生された第1の散乱線の計数分布に基づいて、前記第2の計数分布データに関して散乱補正を行う散乱補正部と、
を具備することを特徴とする核医学診断装置。
【請求項2】
前記再構成部は、前記第2の計数分布データに基づいて第2の画像データと、前記第1の散乱線の計数分布に基づいて第1の散乱線の画像データとを再構成し、
散乱補正部は、前記第1の散乱線の画像データに基づいて、前記第2の画像データに関して散乱補正を行うこと、
を特徴とする請求項1記載の核医学診断装置。
【請求項3】
被検体内から放出されるガンマ線を検出するガンマ線検出部と、
前記ガンマ線検出部を前記被検体の周りに回転自在に支持する支持機構と、
前記ガンマ線検出部からの出力に基づいて、第1の核種に対応する第1のエネルギーウインドウに含まれるエネルギーを有するガンマ線の第1の計数分布データと、前記第1のエネルギーウインドウと第2の核種に対応する第2のエネルギーウインドウとの間の第3のエネルギーウインドウに含まれるエネルギーを有するガンマ線の第3の計数分布データとを発生する計数分布データ発生部と、
前記被検体に関する放射線の減弱係数分布を記憶する記憶部と、
前記記憶された減弱係数分布と前記第1の計数分布データとに基づいて、減弱補正が行われた第1の画像データを再構成する再構成部と、
前記再構成された第1の画像データと前記減弱係数分布とに基づいて、前記第3のエネルギーウインドウに含まれるエネルギーを有する前記第1の核種に由来する第2の散乱線の計数分布を発生する散乱線計数分布発生部と、
前記第2の散乱線の計数分布と前記第3の計数分布データとに基づいて、散乱補正の精度を示すパラメータを計算する散乱補正精度計算部と、
を具備することを特徴とする核医学診断装置。
【請求項4】
前記再構成部は、前記第3の計数分布データに基づいて第3の画像データと、前記第2の散乱線の計数分布に基づいて第2の散乱線の画像データとを再構成し、
散乱補正精度計算部は、前記第2の散乱線の画像データと前記第3の画像データとに基づいて、散乱補正の精度を示すパラメータを計算すること、
を特徴とする請求項3記載の核医学診断装置。
【請求項5】
被検体に関する放射線の減弱係数分布と、第1の核種に対応する第1のエネルギーウインドウに含まれるエネルギーを有するガンマ線の第1の計数分布データと、第2の核種に対応する第2のエネルギーウインドウに含まれるエネルギーを有するガンマ線の第2の計数分布データとを記憶する記憶部と、
前記記憶された減弱係数分布と前記第1の計数分布データとに基づいて、減弱補正が行われた第1の画像データを再構成する再構成部と、
前記再構成された第1の画像データと前記減弱係数分布とに基づいて、前記第2のエネルギーウインドウに含まれるエネルギーを有する前記第1の核種に由来する第1の散乱線の計数分布を発生する散乱線計数分布発生部と、
前記発生された第1の散乱線の計数分布に基づいて、前記第2の計数分布データに関して散乱補正を行う散乱補正部と、
を具備することを特徴とする医用画像処理装置。
【請求項6】
前記再構成部は、前記第2の計数分布データに基づいて第2の画像データと、前記第1の散乱線の計数分布に基づいて第1の散乱線の画像データとを再構成し、
散乱補正部は、前記第1の散乱線の画像データに基づいて、前記第2の画像データに関して散乱補正を行うこと、
を特徴とする請求項5記載の医用画像処理装置。
【請求項7】
被検体に関する放射線の減弱係数分布と、第1の核種に対応する第1のエネルギーウインドウに含まれるエネルギーを有するガンマ線の第1の計数分布データと、前記第1のエネルギーウインドウと第2の核種に対応する第2のエネルギーウインドウとの間における第3のエネルギーウインドウに含まれるエネルギーを有するガンマ線の第3の計数分布データとを記憶する記憶部と、
前記記憶された減弱係数分布と前記第1の計数分布データとに基づいて、減弱補正が行われた第1の画像データを再構成する再構成部と、
前記再構成された第1の画像データと前記減弱係数分布とに基づいて、前記第3のエネルギーウインドウに含まれるエネルギーを有する前記第1の核種に由来する第2の散乱線の計数分布を発生する散乱線計数分布発生部と、
前記第2の散乱線の計数分布と前記第3の計数分布データとに基づいて、散乱補正の精度を示すパラメータを計算する散乱補正精度計算部と、
を具備することを特徴とする医用画像処理装置。
【請求項8】
前記再構成部は、前記第3の計数分布データに基づいて第3の画像データと、前記第2の散乱線の計数分布に基づいて第2の散乱線の画像データとを再構成し、
散乱補正精度計算部は、前記第2の散乱線の画像データと前記第3の画像データとに基づいて、散乱補正の精度を示すパラメータを計算すること、
を特徴とする請求項7記載の医用画像処理装置。
【請求項9】
透過型コンピュータ断層撮影装置と核医学診断装置とを有する医用画像診断装置において、
前記透過型コンピュータ断層撮影装置は、
放射線を発生する放射線発生部と、
前記放射線発生部から発生され、被検体を透過した放射線を検出する放射線検出部と、
前記放射線検出部からの出力に基づいて、前記被検体に関する減弱係数分布を発生する減弱係数分布発生部とを具備し、
前記核医学診断装置は、
前記被検体内から放出されるガンマ線を検出するガンマ線検出部と、
前記ガンマ線検出部を前記被検体の周りに回転自在に支持する支持機構と、
前記ガンマ線検出部からの出力に基づいて、第1の核種に対応する第1のエネルギーウインドウに含まれるエネルギーを有するガンマ線の第1の計数分布データと、第2の核種に対応する第2のエネルギーウインドウに含まれるエネルギーを有するガンマ線の第2の計数分布データとを発生する計数分布データ発生部と、
前記減弱係数分布と前記第1の計数分布データとに基づいて、減弱補正が行われた第1の画像データを再構成する再構成部と、
前記再構成された第1の画像データと前記減弱係数分布とに基づいて、前記第2のエネルギーウインドウに含まれるエネルギーを有する前記第1の核種に由来する第1の散乱線の計数分布を発生する散乱線計数分布発生部と、
前記発生された第1の散乱線の計数分布に基づいて、前記第2の計数分布データに関して散乱補正を行う散乱補正部と、
を具備することを特徴とする医用画像診断装置。
【請求項10】
前記再構成部は、前記第2の計数分布データに基づいて第2の画像データと、前記第1の散乱線の計数分布に基づいて第1の散乱線の画像データとを再構成し、
散乱補正部は、前記第1の散乱線の画像データに基づいて、前記第2の画像データに関して散乱補正を行うこと、
を特徴とする請求項7記載の医用画像診断装置。
【請求項11】
透過型コンピュータ断層撮影装置と核医学診断装置とを有する医用画像診断装置において、
前記透過型コンピュータ断層撮影装置は、
放射線を発生する放射線発生部と、
前記放射線発生部から発生され、被検体を透過した放射線を検出する放射線検出部と、
前記放射線検出部からの出力に基づいて、前記被検体に関する減弱係数分布を発生する減弱係数分布発生部とを具備し、
前記核医学診断装置は、
前記被検体内から放出されるガンマ線を検出するガンマ線検出部と、
前記ガンマ線検出部を前記被検体の周りに回転自在に支持する支持機構と、
前記ガンマ線検出部からの出力に基づいて、第1の核種に対応する第1のエネルギーウインドウに含まれるエネルギーを有するガンマ線の第1の計数分布データと、前記第1のエネルギーウインドウと第2の核種に対応する第2のエネルギーウインドウとの間の第3のエネルギーウインドウに含まれるエネルギーを有するガンマ線の第3の計数分布データとを発生する計数分布データ発生部と、
前記減弱係数分布と前記第1の計数分布データとに基づいて、減弱補正が行われた第1の画像データを再構成する再構成部と、
前記再構成された第1の画像データと前記減弱係数分布とに基づいて、前記第3のエネルギーウインドウに含まれるエネルギーを有する前記第1の核種に由来する第2の散乱線の計数分布を発生する散乱線計数分布発生部と、
前記第2の散乱線の計数分布と前記第3の計数分布データとに基づいて、散乱補正の精度を示すパラメータを計算する散乱補正精度計算部と、
を具備することを特徴とする医用画像診断装置。
【請求項12】
前記再構成部は、前記第3の計数分布データに基づいて第3の画像データと、前記第2の散乱線の計数分布に基づいて第2の散乱線の画像データとを再構成し、
散乱補正精度計算部は、前記第2の散乱線の画像データと前記第3の画像データとに基づいて、散乱補正の精度を示すパラメータを計算すること、
を特徴とする請求項11記載の医用画像診断装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2011−220719(P2011−220719A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−87205(P2010−87205)
【出願日】平成22年4月5日(2010.4.5)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】