説明

核燃料棒の評価方法

【課題】燃料棒に関わる制約を計算する方法を提供する。
【解決手段】設計アプリケーション、最適化アプリケーション、実施許諾アプリケーション及び/又は監視アプリケーションを動作させるために、ピンノーダル照射及びピンノーダル出力を利用して、制約を獲得し、各燃料集合体における燃料棒平均照射及び燃料棒平均出力(kW/ft)を計算し、計算された燃料棒平均照射及び燃料棒平均出力(kW/ft)からマップを展開する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、原子炉における燃料棒平均基準を計算する方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
原子力発電所を稼動させるときには、設計基準である事故に対する放射能汚染結果を評価するため設けられている規制委員会指針に従わなければならない。この規制委員会指針は、原子炉運転の実施許諾を受ける者に対して、代替発生源(Alternative Source Terms;AST)の受け入れ可能な適用について;関連する解析及び評価の範囲・性質及び文書化について;解析される危険に対する影響に関わる考慮すべき事項;並びに提出書類の内容に関わる指針を与える。指針は、許容しうるASTを確定し、合衆国原子力規制委員会(NRC)により許容できると判定される可能性がある他のASTの重要な属性を識別する。また、指針は、許容されたASTに関連して使用するための許容しうる放射能解析のための 仮定を識別する。NRCは、それらの指針を、10 CFR Part 50文書、特に、放射性核種の組成、核種の大きさ、化学的形態及び物理的形態、並びにそれらの放射性核種の放出のタイミングにより特徴付けられるAST方法論を記述する10 CFR 50.67に負託する。AST方法論の一部として、原子炉の炉心における核分裂生成物の貯留量及び格納容器への放出の可用性は、現在認可されている燃料と共に使用することが許容可能であると判定されてもよい。それらの値は、解析の不確実性を考慮するためのマージンを含めた安全マージンとの間に一貫性を有するか否かを判定するために評価される。安全マージンとは、技術仕様に含まれる特定の値若しくは限界(NRCの認可なしには変更できない)と、想定事故若しくは過渡期初期条件若しくは想定安全システムの応答時間などといった他の値との積である。一例として、54,000MWD/MTU(ウラニウム1メートルトン(metric ton)当たりのメガワット−日)を超える照射に対して、最大線出力密度(maximum linear heat generation rate)がピーク燃料棒平均出力(peak rod average power)で6.3kW/ft(1フィート当たりキロワット)を超えない場合には、例えば、62,000MWD/MTUまでのピーク照射を有する燃料に対する核分裂生成物貯留量の割合を評価してもよい。換言すると、AST方法論の基礎は、許容基準を簡略化するであろう(すなわち、ピーク燃料棒平均照射(peak rod average exposure)が54,000MWD/MTUを超える場合、燃料棒の平均線出力密度は、6.3kW/ftを超えることができない)。更に、核分裂生成ガス放出の計算は、認可された方法論を使用して実行されるべきであり、合衆国NRCは、ケースバイケースでかかる方法論を考慮する。しかし、現在のAST方法論は、設計段階、最適化段階、実施許諾段階及び/又は監視段階の間の基準の遵守を示す方法を持たない。それは、現在の方法論が、「制約」を直接計算できないからである。換言すると、燃料棒の基準を獲得するためには、設計段階、最適化段階、実施許諾段階及び/又は監視段階の中には含まれないデータを操作することが必要になり、それは、長い時間と労力を要するプロセスになるであろう。更に、基準を判定するために、控え目な仮定が採用されてもよいが、この手続きでは、不正確な基準が提供されてしまい、原子炉の運転に悪影響が及びかねない。
【特許文献1】米国特許第5,636,328号公報
【発明の開示】
【0003】
本発明は、各燃料集合体における制約を計算する系統的方式を定義するための方法及びシステムを提供する。更に、本発明の実施形態は、(軸方向で)重み付けられたノーダル量(nodal quantities)の平均化に基づいて、普遍的に、融通性をもって設計アプリケーション、最適化アプリケーション、実施許諾アプリケーション及び/又は監視アプリケーションに対する方法を採用する。更に、本発明の実施形態は、ある特定の一連の方法論に従属しない。
【0004】
本発明の実施形態は、制約を計算し、使用する方法を提供し、方法は、少なくとも、制約を獲得するために、ピンノーダル照射及びピンノーダル出力を利用する工程と、各燃料集合体における燃料棒平均照射及び燃料棒平均出力(kW/ft)を計算する工程と、計算された燃料棒平均照射及び燃料棒平均出力(kW/ft)から炉心マップを展開する工程と、展開されたマップを出力する工程とを含む。
【0005】
他の実施形態は、各軸方向燃料ノードにおけるピンノーダル照射を計算することにより、燃料棒平均照射及び燃料棒平均出力(kW/ft)を計算する方法を提供する。
【0006】
他の実施形態は、各軸方向燃料ノードにおけるピンノーダル出力を計算することにより、燃料棒平均照射及び燃料棒平均出力(kW/ft)を計算する方法を提供する。
【0007】
他の実施形態は、ピンノーダル照射の重み係数を更に提供する。
【0008】
他の実施形態は、総ノーダル重み及びピンノーダル重みのうちの一方を重み係数として提供する。
【0009】
他の実施形態は、2次元(2D)マップとして炉心マップを提供する。
【0010】
更に別の実施形態においては、燃料棒平均照射の判定により2D炉心マップを展開する。
【0011】
更に別の実施形態においては、燃料棒平均出力(kW/ft)の判定により2D炉心マップを展開する。
【0012】
更に別の実施形態においては、ピーク燃料棒平均照射の判定により2D炉心マップを展開する。
【0013】
更に別の実施形態においては、ピーク燃料棒平均出力(kW/ft)の判定により2D炉心マップを展開する。
【0014】
更に別の実施形態においては、2D炉心マップは、ピーク燃料棒平均出力(kW/ft)とAST考慮事項の限界との比により展開される。
【0015】
他の実施形態は、選択された燃料集合体における燃料棒平均照射及び燃料棒平均出力(kW/ft)の計算を実行する。
【0016】
他の実施形態は、出力される生成マップの編集を更に実行する。
【0017】
本発明の実施形態は、原子炉における燃料棒に関わる制約を計算し、使用する方法を提供し、方法は、少なくとも、制約を獲得するために、ピンノーダル照射及びピンノーダル出力を利用する工程と、各燃料集合体における燃料棒平均照射及び燃料棒平均出力(kW/ft)を計算する工程と、計算された燃料棒平均照射及び燃料棒平均出力(kW/ft)から2次元(2D)炉心マップを展開する工程と、展開された2Dマップを出力する工程と、出力された生成2Dマップを編集する工程とを含む。
【0018】
本発明の上記の特徴及び利点並びにその他の特徴及び利点は、本発明による方法及びシステムの様々な実施形態の以下の詳細な説明の中に記載されるか、又は以下の詳細な説明から明らかである。
【0019】
添付の図面を参照して、実施形態を詳細に説明することにより、本発明は、更に明らかになるであろう。図面中、同一の手続きは、同一の図中符号により示される。それらは、単に例として示され、本発明の実施形態を限定するものではない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下の説明は、エンドユーザでの適用実行として動作可能である本発明の現時点で好ましい一実施形態に関する。しかし、本発明は、特定のコンピュータシステム又は特定の環境に限定されない。化学プロセスシミュレーションシステム及び機械プロセスシミュレーションシステム、加圧水型軽水炉シミュレーションシステム、沸騰水型軽水炉シミュレーションシステムなどを含めた多重制御‐可変クリティカル工業/科学プロセス又はシステムの管理及び/又は最適化を要求する環境に、本発明のシステム及び方法を有利に適用できることは、当業者には理解されるであろう。更に、本発明は、例えば、設計アプリケーション、最適化アプリケーション、実施許諾アプリケーション及び/又は監視アプリケーションに使用されるUNIX(登録商標)、LINUX(登録商標)、Macintosh(登録商標)、Windows(登録商標)、Next Step(登録商標)、Open VMS(登録商標)などを含めた多様な異なるコンピュータソフトウェアプラットフォームにおいて実現されてもよい。尚、コンピュータソフトウェアプラットフォームは、上記の種類に限定されない。従って、以下の実施形態の説明は、単なる例示であり、限定ではない。
【0021】
本発明の実施形態は、運転中の原子炉のサイクルの設計、実施許諾及び/又は監視の段階に関連して、制約を計算し、使用する方法を提供する。オフサイト線量計算及び放射能汚染結果に関する合衆国原子力規制委員会(NRC)基準が、制約の基礎になってもよい。現在の方法は、制約を直接計算しないため、基準の遵守を示す手段を有さない。方法は、原子炉動作を監視するために使用される設計、最適化、実施許諾及び/又は炉心監視システムに使用されるコンピュータコード(すなわち、炉心シミュレータ)を含んでもよいことを理解すべきである。一実施形態として、制約は、ピーク燃料棒平均照射及びその線出力密度(通常、kW/ftにより示される)に関してもよい。更に、制約は、ピーク燃料棒平均線出力密度に関してもよく、これは、必ずしも、ピーク平均照射を伴う燃料棒にはない。一実施形態においては、沸騰水型軽水炉(BWR)の場合、1つの燃料集合体は、10×10本もの燃料棒を有する。その中で、平均化は、炉心シミュレータモデルにより識別される軸方向ノード(例えば、ゾーン)にわたって実行される。典型的なBWR燃料集合体は、例えば、25の軸方向ノードを有する。従って、本発明は、各燃料集合体において、ピーク平均照射及びピーク線出力密度(kW/ft)を有する燃料棒、並びにピークkW/ft及びピーク照射を有する燃料棒を計算する系統的方法を定義する。加えて、本発明は、設計アプリケーション、最適化アプリケーション、実施許諾アプリケーション及び/又は監視アプリケーションに対する方法を採用する。従って、本発明は、何らかの特定の一連の方法論に従うのではなく、重み付けされた(軸方向の)ノーダル量の平均化に基づいて、普遍的に、融通性をもって制約を規定する能力を提供する。
【0022】
以下の説明を通して、「ピンノーダル」(pin nodal)とは、1つの軸方向ノードにおける燃料棒の一部分を表すことを理解すべきである。
【0023】
更に、「線出力密度(linear heat generation rate)」(kW/ft)は、「出力」とも呼ばれることを理解すべきである。
【0024】
図1は、本発明の一実施形態に従って燃料棒ピーク基準を計算する方法を示すフローチャートである。図1に示されるように、制御手順は、S100で始まり、S200へ進む。S200では、ピン照射及びピン出力の再構成を実行するための既定のプロセスを利用する。この既定プロセスは、各燃料集合体における燃料棒平均照射及び燃料棒平均出力(kW/ft)などの基準を判定するために使用される既存の明確に定義されたプロセス(例えば、ピン照射再構成及びピン出力再構成)であってもよい。事前定義済みプロセスは、使用される一連の方法に対して特有のプロセスであってもよいことを理解すべきである。次に、S300において、制御手順は、燃料棒平均照射及び燃料棒平均出力(kW/ft)を計算する。特に、計算は、(a)ピーク燃料棒平均照射、(b)その燃料棒の燃料棒平均出力(kW/ft)、(c)ピーク燃料棒平均出力(kW/ft)及び、(d)その燃料棒の燃料棒平均照射を判定してもよい。燃料棒平均の計算は、集合体における燃料棒ごとの軸方向平均化により実行されてもよい。計算は、制約を利用し、ここで説明されるアルゴリズムとして実現することにより実行されてもよい。燃料棒平均照射及び燃料棒平均出力(kW/ft)が計算されたならば、S400へ進み、燃料棒平均照射限界及び燃料棒平均出力(kW/ft)限界を入力する。それらの限界は、ASTとして形成されてもよい。AST方法論の基礎は、ピーク燃料棒平均照射とピーク燃料棒平均出力(kW/ft)の双方の限界に基づいて、基準を公式化してもよい。例えば、ピーク燃料棒平均照射が54,000MWD/MTUを超える場合、この燃料棒の平均線出力密度は、6.3kW/ftを超えることができない。次に、S500では、2次元(2D)炉心マップを獲得するために、全ての燃料集合体に対する出力生成を展開する。2Dマップは、制約を直接及び/又は間接的に計算するために使用されてもよい。2Dマップは、a)ピーク燃料棒平均照射、b)その燃料棒の燃料棒平均出力(kW/ft)、c)ピーク燃料棒平均出力(kW/ft)及びd)その燃料棒の燃料棒平均照射から生成されてもよい。制御手順は、選択された集合体における燃料棒平均照射及び燃料棒平均出力(kW/ft)のマップを生成するというオプションを有してもよいことを理解すべきである。S600においては、制御手順は、出力生成を編集し、マッピングする。マップは、その後の処理に使用されるべき出力データとして利用可能であってもよい。例えば、設計段階の間、問題の大きさ及び程度(すなわち、数本の燃料棒に限られた「局所的」問題であるのか、又は多数の燃料棒に分散された「広域的」問題であるのか)を判定するために、選択された集合体における2Dマップを更に処理することに関心が注がれる場合もある。
【0025】
図2は、本発明の一実施形態に従った燃料棒平均基準の計算を詳細に示すフローチャートである。図2に示されるように、制御手順S300は、少なくとも、各軸方向燃料ノードにおけるピンノーダル照射を計算し(S310)、ピンノーダル出力を計算する(S320)ことにより、基準を計算する。一実施形態として、計算される「ピンノーダル」は、軸方向ノードにおける燃料棒の一部であってもよく、燃料は、いくつかの軸方向ノードに及んでいてもよい。S310で、制御手順がピンノーダル照射を計算している場合、S311へ進み、ピン照射を平均する。平均は、燃料棒のエネルギーを保存するための重み係数によって、ピンノーダル照射を平均することにより求められてもよい。次に、S312においては、制御手順は、重み係数がノーダル重みに基づくか、又はピン重みに基づくかを判定する。重み係数がノーダル重みに基づく場合、S313(オプション1)へ進み、ノーダルの意味で燃料棒エネルギーを保存する。「ノーダルの意味」とは、重み係数が、そのノードにおける関心の有る全ての重み(total weight of interest)であることを意味してもよい。例えば、照射がMWD/MTU換算である場合、関心重み(total weight of interest)は、未燃焼燃料におけるウラニウムの重量である。重み係数がピン重みに基づく場合には、S314(オプション2)へ進むが、これは、燃料棒エネルギーを保存するには的確である。この例の場合、ピン照射は、ノード全体ではなく、例えば、ピンのみにおけるウラニウムの重量に関する。従って、燃料棒平均照射は、オプション1又はオプション2のいずれかで採用されればよい。
【0026】
S320で、制御手順がピンノーダル出力(kW/ft)を計算している場合、S321へ進み、ピン出力を平均する。平均は、集合体の燃料棒ごとの軸方向平均を平均することにより実現されてもよい。これにより、燃料棒の範囲全体にわたる平均出力(kW/ft)の推定値が得られる。
【0027】
図3は、本発明の一実施形態に従った出力基準の展開及び生成を詳細に示すフローチャートである。図3に示されるように、制御手順S500は、全ての燃料集合体を出力するための2次元(2D)マップを展開して生成する。生成出力は、ピーク燃料棒平均照射を判定し(S510)、ピーク燃料棒平均出力(kW/ft)を判定し(S520)、ピーク燃料棒平均出力(kW/ft)とその限界との比を判定し(S530)、選択された集合体における燃料棒平均照射及び燃料棒平均出力(kW/ft)を判定する(S540)ことにより獲得されてもよい。制御手順がピーク燃料棒平均照射を展開することを判定する場合(S510)、S511へ進み、S510における燃料棒の燃料棒平均出力(kW/ft)を展開する。従って、S512においては、S510における燃料棒に対して、2D炉心マップが生成される。
【0028】
制御手順がピーク燃料棒平均出力(kW/ft)を展開することを判定する場合(S520)には、S521へ進み、S520における燃料棒の燃料棒平均照射を展開する。従って、S522においては、S520における燃料棒に対して、2D炉心マップが生成される。
【0029】
制御手順がピーク燃料棒平均出力(kW/ft)とその限界との比を展開することを判定する場合、S530へ進む。S530で、限界に対する比を表すマップが実行される。燃料棒平均照射がASTの照射限界を超える場所のみが、0より大きい数を有する(そうでない場所では、0になる)。このようなマップは、燃料棒平均照射が、ある値(例えば、54,000MWD/MTU)を超えるときにのみ、ピーク燃料棒平均出力(kW/ft)(例えば、6.3kW/ft)に対して効力を発揮するAST基準により駆動されてもよい。従って、S531においては、S530における燃料棒に対して、2D炉心マップが生成される。
【0030】
制御手順が、選択された集合体のみにおける燃料棒平均照射及び燃料棒平均出力(kW/ft)を展開することを判定する場合には、S540へ進む。一実施形態として、選択された10×10燃料棒集合体における燃料棒平均照射及び燃料棒平均出力(kW/ft)の10×10 2Dマップが出力されてもよい。設計段階の間、このレベルの詳細に対する情報は不可欠であり、その場合、問題の大きさ及び程度(すなわち、数本の燃料棒に限定された「局所的」問題であるのか、又は多数の燃料棒全体にわたる「広域的」問題であるのか)を判定するために、選択された集合体における2Dマップを更に処理することに関心が注がれることもある。
【0031】
既に確立され、適切に定義されたプロセスの一部として、集合体の1つの軸方向ノードの中で、燃料棒ごとに、ピンノーダル照射及びピンノーダル出力(kW/ft)が計算されてもよい。それらのデータセットは、PINEXPO(IROD,JROD,KC)及びPINKWFT(IROD,JROD,KC)として識別される。尚、IROD及びJRODは、1から、N×N燃料棒集合体の最大数であるNまでの範囲である。PINEXPO及びPINKWFTの集合体従属性は省略されてもよいことを理解すべきである。先に説明したように、PINEXPO及びPINKWFTを判定するプロセスは、使用される一連の方法に対して特有のプロセスであってもよい。本発明は、N×Nまでを含めて、全ての燃料棒に対して、各燃料集合体における燃料棒平均照射及び燃料棒平均出力(kW/ft)を求めるために、既に利用可能なデータ(例えば、ピンノーダル照射及びピンノーダル出力(kW/ft))を利用することを扱ってもよい。集合体中の燃料棒ごとに軸方向平均化を実行することにより、燃料棒平均量が得られてもよい。
【0032】
燃料棒平均照射APINEXPO(IROD,JROD)を計算するための一実施形態は、次のようにして得られるであろう。
【0033】
【数1】

【0034】
式中、MKCは、軸方向ノードの総数である。燃料棒平均照射APINEXPO(IROD, JROD)は、ピンノーダル照射の軸方向(ノードごとの)重み付けとして求められてもよい。従って、燃料棒平均照射(MWD/MTU)を求めるために、ノーダル質量WTNODE(KC)は、重み付けパラメータ(ウラニウムのメートルトン単位‐MTU)として使用されてもよく、集合体重み付けノーダルセンスで、燃料棒の総エネルギー(MWD‐メガワット‐日単位)をほぼ保存できるであろう。炉心減損中、原子炉燃料が燃焼する間、燃料照射の追跡は、通常、ノーダルベースであり、ピンノーダルベースではないため、この方法を採用することは妥当であろう。
【0035】
関数δ(KC)は次のように定義される。
【0036】
PINEXPO(IROD,JROD,KC)>0.0の場合には、δ(KC)=1.0
PINEXPO(IROD,JROD,KC)£0.0の場合には、δ(KC)=0.0
これは、軸方向平均化が、燃料棒が実際に存在しているノードのみを含むことを保証するであろう。これは、特に、活動中の炉心の最上部に完全には届かない部分的長さの燃料棒に適する。
【0037】
上記のAPINEXPOの特徴付けは、「公称」定義であってもよいことを理解すべきである。
【0038】
別の実施形態においては、ピンノーダル質量WTPIN(KC)は、APINEXPOの「代替」定義を表現するために、重み付けパラメータとして使用されてもよい。例えば、
【0039】
【数2】

【0040】
この方法は、燃料ピン重みを容易に追跡可能である場合及び/又は燃料照射追跡がピンノーダルベースである場合に特に適切であろう。この方法は、モデル化及び燃料棒平均照射の定義に更なる詳細を追加することを理解すべきである。
【0041】
燃料棒平均出力(kW/ft)APINKWFT(IROD, JROD)を計算するための一実施形態は、次のようにして得られるであろう。
【0042】
【数3】


【0043】
式中、DELTAZ(KC)は、ノードKCの軸方向ノード長さであり、関数d(KC)は、公称APINEXPOに使用された関数に類似する。例えば、
PINKWFT(IROD,JROD,KC)>0.0の場合には、δ(KC)=1.0
PINKWFT(IROD,JROD,KC)£0.0の場合には、δ(KC)=0.0
APINEXPO及びPINKWFTに関する上記の式は、燃料棒平均照射及び燃料棒平均出力(kW/ft)を計算する。更に、各集合体におけるN×N燃料棒の最大値を判定することで、ピーク燃料棒平均照射、その燃料棒の燃料棒平均出力(kW/ft)、ピーク燃料棒平均出力(kW/ft)及びその燃料棒の燃料棒平均照射が計算される。制約データが利用可能になったならば、2Dマップの展開は、設計ツール、最適化ツール、実施許諾ツール及び/又は監視ツールにおいて更に使用するために、そのデータを利用可能にするような簡明なプロセスである。
【0044】
本発明の実施形態は、各燃料集合体における制約を計算する系統的方法を定義してもよい。更に、本発明の実施形態は、重み付き(軸方向)ノーダル量の平均化に基づいて、設計アプリケーション、最適化アプリケーション、実施許諾アプリケーション及び/又は監視アプリケーションを普遍的で、融通性に優れた方式で動作させるための方法を採用してもよい。更に、本発明の実施形態は、何らかの特定の一連の方法論には従属しない。
【0045】
以上、本発明を説明したが、本発明を様々な態様で変形できることは明らかであろう。そのような変形は、本発明の趣旨の範囲からの逸脱とみなされるべきではなく、当業者には明らかであると思われるそのような変形の全ては、添付の特許請求の範囲の範囲内に含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の一実施形態に従って燃料棒ピーク基準を計算する方法を示したフローチャートである。
【図2】本発明の一実施形態に従った燃料棒平均基準の計算を詳細に示したフローチャートである。
【図3】本発明の一実施形態に従った出力の展開及び生成を詳細に示したフローチャートである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料集合体における制約を計算して使用する方法において、
ピンノーダル照射及びピンノーダル出力を用いて前記制約を獲得する工程と;
各燃料集合体における燃料棒平均照射及び燃料棒平均出力(kW/ft)を計算する工程と;
前記計算された燃料棒平均照射及び前記計算された燃料棒平均出力(kW/ft)から、炉心マップを展開する工程と;
前記展開されたマップを出力する工程とを具備する評価方法。
【請求項2】
前記燃料棒平均照射及び前記燃料棒平均出力(kW/ft)の計算は、各軸方向燃料ノードにおけるピンノーダル照射を計算することにより実行される請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記燃料棒平均照射及び前記燃料棒平均出力(kW/ft)の計算は、各軸方向燃料ノードにおけるピンノーダル出力を計算することにより実行される請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記燃料棒平均照射の計算は、前記ピンノーダル照射の重み係数を求めることを更に含む請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記炉心マップは、2次元(2D)である請求項1記載の方法。
【請求項6】
原子炉における燃料棒に関わる制約を計算し、使用する核燃料棒の評価方法において、
前記制約を獲得するために、ピンノーダル照射及びピンノーダル出力を利用する工程と;
各燃料集合体における燃料棒平均照射及び燃料棒平均出力(kW/ft)を計算する工程と;
前記計算された燃料棒平均照射及び前記計算された燃料棒平均出力(kW/ft)から、2次元(2D)炉心マップを展開する工程と;
前記展開されたマップを出力する工程と;
前記出力された生成2Dマップを編集する工程とを具備する評価方法。
【請求項7】
前記燃料棒平均照射及び前記燃料棒平均出力(kW/ft)の計算は、各軸方向燃料ノードにおけるピンノーダル照射を計算することにより実行される請求項6記載の方法。
【請求項8】
前記燃料棒平均照射及び前記燃料棒平均出力(kW/ft)の計算は、各軸方向燃料ノードにおけるピンノーダル出力を計算することにより実行される請求項6記載の方法。
【請求項9】
燃料棒平均照射限界及び燃料棒平均出力(kW/ft)限界を入力することを更に含む請求項6記載の方法。
【請求項10】
前記燃料棒平均照射を判定することは、前記2D炉心マップを展開する請求項6記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2006−177962(P2006−177962A)
【公開日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−369831(P2005−369831)
【出願日】平成17年12月22日(2005.12.22)
【出願人】(301068310)グローバル・ニュークリア・フュエル・アメリカズ・エルエルシー (56)
【Fターム(参考)】