説明

核磁気共鳴画像法

マンガン造影剤又はその薬学的に許容される塩が前もって投与された個体の心筋中の細胞内マンガン量の測定方法であって、当該個体をMRI手法に供して画像のシグナル強度(SI)又はより好ましくは当該心筋全体にわたる縦緩和速度R1を評価することを含む方法。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本発明は、核磁気共鳴画像法(MRI)に関し、特に、マンガン造影剤を用い、組織のバイアビリティ/機能を段階付けされたレベルで測定し、それにより心臓リモデリングを検出するMRIの方法及び使用に関する。
【0002】
アテローム性動脈硬化症、血栓症及び/又は動脈閉塞を原因とする虚血性心疾患(IHD)はいまだに西側諸国において死因の大半を占めている。IHDに関連する最も一般的な命にかかわる可能性のある事象は、急性心筋梗塞(AMI)、AMIの際の又はそれに続く不整脈及び心不全である。
【0003】
近年、AMIの治療は大幅に改善し、薬剤による迅速な血管再生及び/又は経皮的な治療介入が利用可能であるので現在多くの個体がAMIを克服している。しかし残念ながら、このような治療を受ける相当数の個体は、たとえ小梗塞を有する個体であっても、後に、死亡率及び罹患率が高い左心室のリモデリング及び心不全を発症する。リモデリングとは、梗塞した(現在瘢痕巣がある)部位において、隣接する境界帯おいて、及び心室全体にわたって異なる度合いでの、構造的、代謝的及び機能的な変化を共に包含する。これらの不均一性の変化は、個体を生命に危険性のある不整脈及び心臓のポンプ機能の不全(すなわち心不全)の双方に罹患させやすくする。したがって、薬理学的であれ外科的であれ致命的な事象が起こる前に必要な処置を行うことができるように心筋のリモデリングを同定及びモニタリングする方法が必要とされている。
【0004】
心筋のリモデリングの検出方法を開発する際の克服すべき大きな困難は、心筋パーフュージョン(perfusion)と心筋バイアビリティ(viability)とを区別することである。細胞レベルでは、バイアビリティには、妨害されていない酸化的代謝を維持するのに十分な心筋血流が必要であり、したがってバイアビリティは本質的にパーフュージョンと結びついている。しかしこれに反して、自然に又は血管再生治療により再開した冠動脈は非生存(non-viable/非バイアブルな)組織の領域に血流を供給する可能性があるためパーフュージョンは必ずしもバイアビリティを示すものではない。したがってパーフュージョンを検出する方法の有用性は心臓リモデリングを同定又はモニタリングすることにおいては限定的である。
【0005】
パーフュージョンは、例えば、Gd−DTPA又はGd−DTPA−BMAなどの静脈注射される細胞外Gd含有造影剤の高速ボーラストラッキングMRIにより評価され得る。しかしながら、バイアビリティの測定は梗塞組織中のGd系造影剤の蓄積に依存し、造影剤の最初の投与後10〜20分間待機しそしてMRIを繰り返すことによってのみ可視化することができる。この技術の重大な欠点は、死亡している又は機能していない組織が映し出されるということである。したがって生存(viable/バイアブルな)心筋についてのデータは間接的にしか得られない。
【0006】
マンガン増強MRIは心筋を撮像するために用いることができる別の技術である。この技術は、マンガンイオンがCa2+チャンネルを介して細胞に入りこれにより生細胞に蓄積するという事実に基づいている。蓄積されたマンガンは画像中における信号強度(SI)の増加をもたらす。より重要なことには、蓄積したマンガンはまた縦緩和時間(T1)の減少をもたらし、結果としてマンガン欠損細胞に対するこれらの細胞の縦緩和速度、すなわちR1(R1=1/T1)の増加をもたらす。マンガンによるR1増大の要因は強力なタンパク結合にある。したがってMRIにより壊死組織に対する生組織の画像を撮ることができる。
【0007】
例えばWO99/01162は、心筋虚血の検出のための、特にMRIによって梗塞組織からバイアブルな心筋組織を区別するための種々のマンガン錯体の使用を記載している。バイアブルな組織を同定するため、マンガン錯体が身体に投与され、3〜6時間の期間内に身体はMRIによって撮像される。バイアブルな細胞はマンガン錯体を取り込むが、梗塞組織ではマンガンはパーフュージョンにより梗塞組織を通り速やかに分配されるが細胞には保持されないと仮定される。投与後3〜6時間遅れて撮像を開始するのはしたがって、マンガンが事実上非バイアブルな組織から一掃され、それによりバイアブルな細胞とのコントラストが検出され得るということを確実にするために特別に設計されている。
【0008】
したがってWO99/001162に記載の方法ではバイアブルな組織と梗塞組織とを区別することが可能である。しかしながらこの方法は造影剤の投与に続いて3〜6時間の待機期間そして撮像の開始を必要とし、このため患者及び医療時間の面から犠牲が大きい。さらに、異なるレベルのバイアビリティ又は機能を評価するための手段が提供されていない。言いかえれば、WO99/001162の方法によっては、組織は単にバイアブルか非バイアブルか(すなわち「イエス」又は「ノー」)を分類することができるのみであり、定量的で段階付けされたバイアビリティの現象として分類されるものではない。US2002/0090341には類似の関連する開示がある。
【0009】
WO2006/028379には心筋バイアビリティを評価するための磁気共鳴法が開示されており、ここではT1及びT2の相関性ならびに細胞内及び細胞外の水区画の水拡散は別々に検出される。この方法は本質的には公知のバイアビリティの評価方法(例えばWO99/01162に記載)を実施するための改良された手段である。先と同様に、この結果は単純なバイアビリティをイエス/ノーで表し、定量的な段階付けされたバイアビリティの現象を表すものではない。
【発明の概要】
【0010】
基本的なイエス/ノーの結論が示される単純なバイアビリティと心臓リモデリングの診断につながる段階付けされたバイアビリティとは臨床的な概念として明確な違いがある。虚血性心疾患における単純なバイアビリティは、生命に関わる急性心筋梗塞(AMI)の症状の発現の際に心筋組織の生存する能力(すなわち、生きているか死んでいるか)を意味する。
【0011】
対照的に、心臓リモデリングとは、AMI後に左心室の壁面の全体にわたって(及び心臓全体を通して)起こる分化した代償性変化、すなわちバイアブルな組織の局所的消失ひいては局所機能の消失による代償性変化であると説明できる。
【0012】
AMI後の病的な心臓は、死亡細胞、生存しているがほとんど機能していない(ダウンレギュレートされた)細胞、正常細胞、及び他の細胞の機能消失又は障害を償うための過常細胞が混在する不均一性を特徴とする。典型的には、最も遠い領域(以下の実施例における水平断面(transaxial)スライスの反対側)は正常よりも厚くなり(遠心性肥大)かつより強く収縮する。これは、正常な心臓機能を保証するものではなく不均一性を示しかつ総合的なポンプ機能の漸進的な消失を伴う心不全の発症を予兆する状況又は症状である真性(true)リモデリングを表わす。さらに、リモデリングはまた心臓の電気生理的な変化に関係し致死性の不整脈と相関する可能性がある。
【0013】
理論に制限される事を望まないが、AMIを原因とするリモデリングは心室全体(すなわち、梗塞の外側ならびに中間領域及び遠隔領域のいずれも含む)で起こるプロセスであると考えられる。
【0014】
AMIのすぐ後に梗塞及び梗塞周囲領域と遠隔領域との間に比較的大きなR1勾配を示す患者は、後の段階で生命を脅かすうっ血性心不全及び不整脈を発症する危険性が高い。このような患者は積極的な薬理学的治療を受けるべきである。例えば、Mn増強及びR1評価を伴う検査を繰り返すことはしたがってリモデリング過程をモニタリングする新規の手法(モダリティ)である。このような方法は2つの重要な医学的な課題を解決するはずである。すなわち、誰がうっ血性心不全を発症して誰が発症しないか、及び誰が薬剤又は血管再生(PCI、冠状動脈バイパス手術)による治療に応答するかを予測することである。
【0015】
心臓リモデリングに対応しやすくするために、当該部位での変化を経時的にモニタリングできるよう心筋バイアビリティ/機能をより速やかに測定できるようにする技術が必要とされる。さらに、従来技術により示される単なるイエス/ノーとう結論ではなく、異なるレベルのバイアビリティ/機能を区別できる技術が必要とされる。これは特にMRIレジメンにおけるマンガン系造影剤の使用により達成することができるということが意外にも分かった。
【0016】
N,N’−ビス−(ピリドキサール−5−ホスフェート)−エチレンジアミン−N,N’−二酢酸のマンガン(II)キレート(MnDPDP)はMRIで用いる周知の造影剤である。身体に投与されたMnDPDPは図1に示されるように2つの様式で血漿中で代謝される。第1の経路では、MnDPDPは血漿中のZnとの金属交換反応を起こし、Ca2+チャンネルを介して細胞により速やかに取り込まれるMn2+イオンを放出する。第2の経路では、MnDPDPはその一リン酸誘導体であるMnDPMP及びその非リン酸誘導体であるMnPLEDへの血漿ホスファターゼによる酵素分解を起こすと考えられる。次いでこれらのバイオマーカーは、そのままの分子として細胞に入りかつ/又は上記のように金属交換反応を起こしてCa2+チャンネルを介して細胞に入ることができるMn2+イオンを放出する可能性がある。
【0017】
健康な心筋細胞の蓄積速度は「ジャーナル・オブ・マグネチックリゾナンスイメージング(J. Magnetic Resonance Imaging)」(2006年、24:1047〜1055)において研究されている。この研究では、健康な個体は5分間又は30分間にわたりMnDPDPを点滴され、細胞のマンガン蓄積又は濃度について続いてMRIが行われた。この研究では、MnDPDPを5分間点滴すると初期には迅速なMn2+濃度増加があり後期にはより緩やかなMn2+濃度増加があるという時間に対するマンガンの組織中濃度に関する二相曲線が得られるが、30分間の点滴ではMn2+濃度は定常的に増加したと報告されている。しかしながら蓄積したマンガンの合計量は一定であった。このグラフを図2に示す。
【0018】
本発明は、MnDPDPなどのマンガン造影剤が不健康な個体に投与されると、瘢痕タンパク質(例えばコラーゲン)を含む非バイアブルな組織はMnDPDPの注入後短時間の間迅速にMn2+を取り込む又は結合する(前記二相曲線の初期のような)がその後取り込みを止めるという驚くべき知見に基づく。したがってマンガンの存在によりバイアブルな細胞と非バイアブルな細胞とを区別することができる。より有意には、細胞内マンガン量はバイアビリティ(すなわち機能)の定量的測度を提供する。細胞内に存在するマンガンの量はMRIにより測定されるシグナル強度(SI)及びR1値に本質的に比例するということが示されているので、SI及び/又はR1の測定は細胞内のマンガン及び組織バイアビリティ/機能の定量的測度を提供するために使用することができる。これは心臓リモデリングを検出するのに特に有用である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
したがって第1の態様から見た場合本発明は、マンガン造影剤又はその薬学的に許容される塩が前もって投与された個体の心筋中の細胞内マンガン量の測定方法であって、この個体をMRI手法に供して画像のシグナル強度(SI)、又はより好ましくはこの心筋全体にわたる縦緩和速度R1を評価することを含む方法を提供する。
【0020】
したがってさらなる態様から見た場合本発明は、マンガン造影剤又はその薬学的に許容される塩が前もって投与された個体における心筋組織バイアビリティ/機能の測定方法であって、この個体をMRI手法に供してこの個体の心筋中の細胞内マンガン量を、好ましくは上記方法により測定することを含む方法を提供する。
【0021】
別の角度から見た場合本発明は、個体における心筋組織バイアビリティ/機能の測定方法を提供し、この方法は:
(i)マンガン造影剤又はその薬学的に許容される塩をこの個体に投与すること、及び
(ii)この個体をMRI手法に供してこれによりこの個体の心筋中の細胞内マンガン量を、好ましくは上記方法により測定することを含む。
【0022】
さらに見方を変えると本発明は、個体における心筋組織バイアビリティ/機能の測定方法で使用される組成物の製造におけるマンガン造影剤又はその薬学的に許容される塩の使用を提供し、この方法は:
(i)マンガン造影剤又はその薬学的に許容される塩をこの個体に投与すること、及び
(ii)この個体をMRI手法に供してこれによりこの個体の心筋中の細胞内マンガン量を好ましくは上記方法により測定することを含む。
【0023】
さらに見方を変えると本発明は、個体における心臓リモデリングの検出方法を提供し、この方法は:
(i)マンガン造影剤又はその薬学的に許容される塩をこの個体に投与すること、及び
(ii)この個体をMRI手法に供してこれにより、好ましくはこの個体の心筋中の細胞内マンガン量を測定することにより(例えば、画像のシグナル強度(SI)又はより好ましくはこの心筋全体にわたる縦緩和速度R1を評価することによって)心筋組織バイアビリティ/機能を測定することを含む。
【0024】
見方を変えると本発明は、個体における心臓リモデリングの検出方法で用いる組成物の製造におけるマンガン造影剤又はその薬学的に許容される塩の使用を提供し、この方法は:
(i)マンガン造影剤又はその薬学的に許容される塩をこの個体に投与すること、及び
(ii)この個体をMRI手法に供してこれにより、好ましくはこの個体の心筋中の細胞内マンガン量を測定することにより(例えば、画像のシグナル強度(SI)又はより好ましくはこの心筋全体にわたる縦緩和速度R1を評価することによって)心筋組織バイアビリティ/機能を測定することを含む。
【0025】
別の態様から見ると本発明は、個体における心筋組織バイアビリティ/機能の測定方法で用いるマンガン造影剤又はその薬学的に許容される塩を提供し、この方法は:
(i)マンガン造影剤又はその薬学的に許容される塩をこの個体に投与すること、及び
(ii)この個体をMRI手法に供してこれによりこの個体の心筋中の細胞内マンガン量を好ましくは上記方法により測定することを含む。
【0026】
別の態様から見ると、本発明は個体における心臓リモデリングの検出方法で用いるマンガン造影剤又はその薬学的に許容される塩を提供し、この方法は:
(i)マンガン造影剤又はその薬学的に許容される塩をこの個体に投与すること、及び
(ii)この個体をMRI手法に供してこれにより、好ましくはこの個体の心筋中の細胞内マンガン量を測定することにより(例えば、画像のシグナル強度(SI)又はより好ましくはこの心筋全体にわたる縦緩和速度R1を評価することによって)心筋組織バイアビリティ/機能を測定することを含む。
【0027】
心臓リモデリングの検出に関する本発明の好ましい方法及び使用は、ステップ(iii)をさらに含む;
(iii)ステップ(i)及び(ii)を繰り返し、心筋組織バイアビリティ/機能に何らかの変化が起きたかどうか評価すること。ステップ(iii)は、治療の期間(例えば、日、週、月)後に任意で行なわれてもよい。
【0028】
「マンガンの量を測定する」なる語により、定量的又は半定量的尺度(例えば、定量的尺度)の値は存在する細胞内マンガン量に基づくということが意味される。言いかえれば、尺度で段階付けされた値は存在するマンガンの量に起因する。したがってこの語は、単に存在するか存在しないかという結論が出る測定は包含しない。したがって得られた値は、組織バイアビリティ/機能の確率及びひいては心臓リモデリングの存在と相関し得る。
【0029】
「組織バイアビリティ」なる語により、組織が正常に生存しかつ機能する確率が意味される。したがって厳密には「組織バイアビリティ」なる語は、本明細書では単純なイエス/ノーという結論に対応するのではなくむしろ問題となる組織が機能するかどうかの段階付けされた評価に対応する。したがって見方を変えると「組織バイアビリティ」なる語は、「組織機能」すなわち組織が正常に生存しかつ機能する確率を意味すると考えられてもよい。
【0030】
「心臓リモデリング」なる語により、傷害(特に左心室に対する)後の心臓の大きさ、形状、代謝及び機能の変化が意味される。
【0031】
「マンガン造影剤」なる語により、本明細書では少なくとも1個のマンガン原子又はイオンを含む薬剤が意味される。
【0032】
MRIにおけるマンガン造影剤の使用は特許及び科学文献において周知である(例えば、WO99/01162に記載、その内容は参照により本書に援用される)。そこに記載の全てのマンガン造影剤及びそれらの薬学的に許容される塩類は本明細書に記載の使用ならびに方法に適している。
【0033】
マンガン造影剤は、イオン錯体又はより好ましくは非イオン錯体の形態であってもよい。本発明の使用及び方法で特に好ましいものは、1種以上の担体分子に結合されていてもよいマンガンキレート錯体である。
【0034】
特に好ましい造影剤は除放性のマンガン造影剤である。この造影剤は生体内投与後に暫くの間(例えば、造影剤が血管内系に達するまで)その構造内にマンガンを保持する。好ましいマンガンイオン放出キレート錯体は、生体内で解離して心臓を通る流路上でマンガンイオンを放出するものである。都合良くはマンガンキレートは107〜1025、より好ましくは109〜1024、さらにより好ましくは1010〜1023、例えば1012〜1022までの範囲のKa値を有していてもよい。
【0035】
マンガンイオンに適切な広範囲のキレート剤(chelants)及び高分子結合キレート剤が提案されている。ジピリドキシル系キレート剤(chelating agents)は、例えば、MRI造影剤として用いられることが記載されている。ジピリドキシルキレート剤とのマンガン(II)キレートは、本発明の使用及び方法に関して特に好ましい。
【0036】
本発明の使用及び方法に好ましいものは、式Iの化合物のマンガンキレート及びその塩である。
【0037】
【化1】

【0038】
[式I中、
1はそれぞれ独立して、水素又は−CH2COR5を表し;
5は、ヒドロキシ、ヒドロキシル化されていてもよいアルコキシ、アミノ又はアルキルアミドを表し;
2はそれぞれ独立して、基XYR6を表し;
Xは、結合手、又は基R7により置換されていてもよいC1-3アルキレンもしくはオキソアルキレン基を表し;
Yは、結合手、酸素原子又は基NR6を表し;
6は、水素原子、水酸基、基COOR8、基OP(O)(OR8)R7、基OP(O)(OM)R7、あるいはCOOR8、CONR82、NR82、OR8、=NR8、=O、OP(O)(OR8)R7、OP(O)(OM)R7及びOSO3Mから選ばれる1種以上の基により置換されていてもよいアルキル、アルケニル、シクロアルキル、アリール又はアラルキル基であり;
7は、OM、ヒドロキシ、ヒドロキシル化されていてもよくアルコキシル化されていてもよいアルキル又はアミノアルキル基であり;
8は、水素原子、又はヒドロキシル化されていてもよくアルコキシル化されていてもよいアルキル基であり;
Mは、水素原子、あるいは1当量の生理的に許容されるカチオン、例えば、アルカリもしくはアルカリ土類カチオン(例えば、Na+)、アンモニウムイオン又は有機アミンカチオン、例えば、メグルミンイオンであり;
3は、C1-8アルキレン基、好ましくはC1-6、例えば、C2-4アルキレン基、1,2−シクロアルキレン基又は1,2−アリーレン基を表し;かつ
4はそれぞれ独立して、水素又はC1-3アルキルを表わす。]
【0039】
本明細書では、「アルキル」及び「アルキレン」なる語は、直鎖及び分岐鎖、飽和及び不飽和のいずれの炭化水素も包含する。「1,2−シクロアルキレン」なる語は、5〜8個の炭素原子を有するシス及びトランスシクロアルキレン基ならびにアルキル置換シクロアルキレン基のいずれも包含する。「1,2−アリーレン」なる語は、6〜10個の炭素原子を有するフェニル及びナフチル基ならびにこれらのアルキル置換誘導体を包含する。
【0040】
別段の定めがない限り、アルキル、アルキレン又はアルケニル部分はいずれも、好都合には1〜20個、好ましくは1〜8個、より好ましくは1〜6個、特に好ましくは1〜4個の炭素原子を含んでいてもよい。
【0041】
シクロアルキル、アリール及びアラルキル部分は、好都合には3〜18個、好ましくは5〜12個、特に好ましくは5〜8個の環原子を含んでいてもよい。フェニル又はナフチル基を含むアリール部分が好ましい。アラルキル基としては、フェニルC1-3アルキル、特にベンジルが好ましい。
【0042】
基が水酸基により場合により置換されていてもよい場合、これはモノ置換又は多置換であってもよく、多置換の場合、アルコキシ及び/又はヒドロキシ置換基はアルコキシ置換基に結合されていてもよい。
【0043】
本発明の使用及び方法に関して特に好ましいものは、式IIの化合物のマンガンキレート及びその塩である。
【0044】
【化2】

【0045】
[式II中、
1はそれぞれ独立して、水素又は−CH2COR5を表し;
5は、ヒドロキシ、ヒドロキシル化されていてもよいアルコキシ、アミノ又はアルキルアミドを表し;
2はそれぞれ独立して、ヒドロキシル、COOR8、CONR82、NR82、OR8、=NR8、=O、OP(O)(OR8)R7、OP(O)(OM)R7及びOSO3Mから選ばれる1種以上の基により置換されているアルキル基(例えば、C1-6アルキル基)を表し;
7は、OM、ヒドロキシ、ヒドロキシル化されていてもよくアルコキシル化されていてもよいアルキル又はアミノアルキル基であり;
8は、水素原子、又はヒドロキシル化されていてもよくアルコキシル化されていてもよいアルキル基であり;
Mは、水素原子、あるいは1当量の生理的に許容されるカチオン、例えば、アルカリもしくはアルカリ土類カチオン(例えば、Na+)、アンモニウムイオン又は有機アミンカチオン、例えば、メグルミンイオンであり;
3は、C1-8アルキレン基、好ましくはC1-6、例えば、C2-4アルキレン基を表し;かつ
4はそれぞれ独立して、水素又はC1-3アルキルを表わす。]
【0046】
式IIでは、R5は好ましくはヒドロキシである。好ましくは基R1はそれぞれ、R5がヒドロキシである−CH2COR5を表わす。
【0047】
式IIのさらに好ましい化合物では、R3は好ましくはエチレン(すなわち−CH2CH2−)である。
【0048】
さらに好ましい化合物ではR4はそれぞれ、C1-3アルキル、特にメチルである。
【0049】
式IIの化合物は、2個のピリジル環上に同一又は異なるR2基を有していてもよく、これらは環上の同一又は異なる位置で結合していてもよい。しかしながら、置換は5及び6位、最も具体的には6位(すなわち、水酸基に対してパラ位)にあることが特に好ましい。R2基が同一であり同様の場所に位置する(例えば6,6’)化合物が特に好ましい。
【0050】
式IIの化合物では、R2は好ましくはC1-4(例えば、C1-2)アルキル基である。より好ましくは、R2はC1である。R2上の好ましい置換基は、ヒドロキシル、OP(O)(OR8)R7及びOP(O)(OM)R7である。R7は好ましくは、水酸基又はOMである。R8は好ましくは水素である。
【0051】
特に好ましい基R2の識別名としては、CH2OP(O)(OM)OM、CH2OP(O)(OM)OH、CH2OP(O)(OH)2又はCH2OH基が挙げられる。
【0052】
3がエチレンでありR2が上記のいずれかの識別名を有する式IIの化合物が特に好ましい。
【0053】
本発明の方法に用いる特に好ましいものは、N,N’−ビス−(ピリドキサール−5−ホスフェート)−エチレンジアミン−N,N’−二酢酸のマンガン(II)キレート(MnDPDP)である。MnDPDPはまた、マンガン(II)N,N’−ジピリドキシル−エチレンジアミン−N,N’−ジアセテート−5,5’−ビス(ホスフェート)として及びマンガホジピル三ナトリウムとして知られている。
【0054】
本発明の方法に用いる好ましいものはまた、N,N’−ジピリドキシル−エチレンジアミン−N,N’−二酢酸のマンガン(II)キレート(MnPLED)である。MnPLEDはまた、マンガン(II)N,N−ジピリドキシル−エチレンジアミン−N,N’−ジアセテートとしても知られている。
【0055】
N−ピリドキシル,N’−(ピリドキシル−5−ホスフェート)−エチレンジアミン−N−N’−二酢酸のマンガン(II)キレート(MnDPMP)もまた好ましい。MnDPMPはまた、マンガン(II)N,N’−ジピリドキシル−エチレンジアミン−N,N’−ジアセテート−5−ホスフェートとして知られている。
【0056】
上記のように、本発明の方法及び使用は、バイアブルな心筋組織及び非バイアブルな心筋組織のいずれもMnDPDPなどのマンガン造影剤の投与後短時間はマンガンを取り込む一方で、バイアブルな細胞のみが経時的にマンガンイオンの取り込みを続けるという知見に基づく。したがって、造影剤の投与に続く一定時間後に細胞に存在するマンガンの最終的な量は、細胞バイアビリティ/機能のレベルの測度を提供する。
【0057】
最も驚くべき知見としては、MnDPDPならびにその代謝産物であるMnDPMP及びMnPLEDは全て心筋中のMn2+イオンの蓄積をもたらす一方でその様式は非常に異なっている。これは、生体組織及び壊死組織はいずれも初期の金属交換反応により作成されたMn2+を取り込むが、バイアブルな細胞のみがMnDPMP又はMnPLEDの形態のあるいはこれら薬剤の遅延した金属交換反応により生成されたMn2+を取り込む可能性があるからだと考えられる。
【0058】
MnDPMP及びMnPLEDはしたがって、組織バイアビリティ/機能の最も正確な測定を促すと考えられる。これらの薬剤が使用されると、壊死組織においてあったとしても非常に少量のマンガンの取り込みしか起こらないと考えられ、したがって最高水準のコントラストを得ることができる。MnDPMP及びMnPLEDはしたがって本発明の使用及び方法における好ましい造影剤である。MnPLEDよりも高い水溶解性を有するのでMnDPMPが特に好ましい。
【0059】
錯体化した金属イオンによりキレートの不安定水素がすべて置換されていない場合であっても、キレートの生体許容性及び/又は溶解性は、無機及び/又は有機塩基又はアミノ酸の生理学的に生体適合性のカチオンで残存する不安定水素原子を置換することにより増加させることができる。適切な無機カチオンの例としては、Li+、K+、Na+及び特にCa2+が挙げられる。適切な有機カチオンとしては、アンモニウム、置換アンモニウム、エタノールアミン、ジエタノールアミン、モルホリン、グルカミン、N,N−ジメチルグルカミン、リジン、アルギニン又はオルニチンが挙げられる。
【0060】
本発明の方法で用いる化合物は、市販されていてもよいし(例えばGEヘルスケア社より)、又は当該技術分野において公知の手法により調製されていてもよい。ポリアミノポリカルボン酸系キレート剤の適切な調製方法は、EP−A−299795、EP−A−71564、DE−A−3401052、EP−A−203962及びEP−A−436579に記載されている。
【0061】
ジピリドキシル化合物を調製する際に、式Iの化合物を得るために化合物PLEDは出発物質として使用され従来の手法を使用して適宜誘導体化されてもよい。式Iの化合物の適切な調製方法は、例えば、EP−A−290047に記載されている。あるいは式Iの化合物は、タリアフェロ(Taliaferro)(「インオーガニックケミストリー(Inorg. Chem.)」23:1183〜1192、1984年)により記載されたPLEDの作成手法に従って対応するピリドキサール化合物をアルキレンジアミンと反応させることにより調製されてもよい。
【0062】
本発明に従って用いるマンガンキレートは、当該技術分野において公知の従来の手法により形成されてもよい。一般に、このような方法は、金属酸化物又は金属塩(例えば、硝酸塩、塩化物又は硫酸塩)を水又はメタノール、エタノールもしくはイソプロパノールなどの低級アルコールに溶解又は懸濁することを伴う。この溶液又は懸濁液に、水又は低級アルコール中の等モル量のキレート剤が加えられ、必要であれば適度に又は沸点まで加熱しながら反応が完了するまでこの混合物を撹拌する。形成したキレート塩が使用される溶媒に不溶の場合、反応生成物はろ過により単離される。可溶な場合、反応生成物は例えば噴霧乾燥又は凍結乾燥により蒸発乾固されて単離される。
【0063】
得られるキレート中にリン酸基などの酸性基がいまだに存在する場合、無機及び/又は有機塩基又はアミノ酸(これらは生理的に許容されるカチオンを形成する)と反応させて酸性のキレート塩を中性のキレート塩に変換してこれらを単離することが有利である。キレート剤のカルボン酸基及びリン酸基もまたカルボン酸エステル及びリン酸エステルの調製のためエステル化により中和され得る。このようなエステルは当該技術分野において公知の従来の手法に従って対応するアルコールから調製することができる。適切なエステルの例としては、1〜18個の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖アルコールのエステル、1〜18個の炭素原子を有する(好ましくは1〜6個の炭素を有する)一価及び多価アルキルアミノアルコール(例えば、セリノール又はジエタノールアミン)、ならびに1〜18個の炭素原子を有する多価アルコール(例えば、エチレングリコール又はグリセロール)が挙げられる。
【0064】
金属キレートが全体として電荷を有する場合、この金属キレートは好都合には生理的に許容される対イオン、例えば、アンモニウム、置換アンモニウム、アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属(例えばカルシウム)カチオン又は無機もしくは有機酸に由来するアニオンとの塩の形態で使用されることになる。この点で、メグルミン塩が特に好ましい。
【0065】
本発明の方法及び使用では、好ましくは造影剤は従来の方法で、例えば、1種以上の生理的に許容される担体又は希釈剤と共に医薬組成物へ処方される。本発明の方法及び使用のための好ましい組成物は、そのままで、あるいは生理的に許容される担体媒体(例えば注射剤用水)に懸濁又は希釈後、注射又は点滴に適した形態である。したがって、造影剤は粉末、溶液、懸濁液及び分散液など形態であってもよいが、生理的に許容される担体中であるのが一般的に好ましい。
【0066】
本発明の使用及び方法で使用される組成物(例えば静脈用注射液)は無菌で、生理的に許容されない薬剤を含まないのがよく、かつ好ましくは投与時の刺激又は他の副作用を最小限にするために低オスモル濃度を有するのがよく、したがって造影剤は好ましくは等張又はわずかに高張であるのがよい。したがって適切な担体又は希釈剤としては、非経口液の投与に関して通常使用される水性のベヒクル、例えば、生食水注射液、リンガー液、デキストロース注射液、デキストロースと生食水との注射液、乳酸加リンガー液、ならびにレミントン薬学、第15版、イーストン:マックパブリッシング社、1405、1412及び1461、1487ページ(1975年)や国民医薬品集XIV、第14版、ワシントン:米国薬剤師会(1975年)に記載のその他の溶液が挙げられる。
【0067】
造影剤は当業者に周知の方法で投与用に処方されてもよい。例えば、上記化合物は、任意に薬学的に許容される賦形剤を加えて水性媒体中で懸濁又は溶解されてもよく、得られた溶液又は懸濁液は次いで殺菌される。製剤用助剤(例えば、安定剤、酸化防止剤、浸透圧調整剤、緩衝剤、pH調整剤、防腐剤、抗菌剤など)及び/又は添加剤が包含され得る。適切な添加剤の代表例としては、生理学的に生体適合性の緩衝剤(例えば、DTPA又はDTPAビスアミド)、カルシウムキレート錯体(例えば、カルシウムDTPA塩、カルシウムDTPA−ビスアミド塩又はNaCaDTPAビスアミド)あるいはカルシウム又はナトリウム塩(例えば、塩化カルシウム、アスコルビン酸カルシウム、グルコン酸カルシウム又は乳酸カルシウム)の添加(例えば、1〜50モルパーセント)が挙げられる。
【0068】
心筋細胞におけるカルシウムチャネルによる効果的な取り込みのために、マンガンは好ましくはMn2+状態にある。Mn3+への酸化を阻害するため、本発明の使用及び方法で使用される組成物は、好ましくは酸化防止剤(例えば、アスコルビン酸又は還元糖)を含むことになる。
【0069】
MRIに用いる組成物における本発明の化合物の濃度は、化合物の性質、組成物の性質、及び実施される撮像の種類を含むいくつかの要素に応じて異なることになる。しかしながら好ましくは、0.001〜1mmol/ml、より好ましくは0.005〜0.1mmol/ml、さらにより好ましくは0.01〜0.05mmol/mlの範囲の濃度であり、例えば、約0.01mmol/mlの化合物が使用される。
【0070】
本発明の方法及び使用に適用される適切な組成物は市販されていてもよい。MnDPDPの溶液は、例えば、商品名テスラスカン(Teslascan)としてGEヘルスケア社から入手可能である。
【0071】
本発明の方法及び使用では、臨床的に許容される投与量のマンガンが使用される。好都合には、上記の化合物は、0.5〜40μmol/体重1kg、好ましくは、1〜20μmol/体重1kg、さらに好ましくは、2〜12μmol/体重1kg、例えば、約5〜10μmol/体重1kgの投与量で投与されてもよい。好ましくは前記化合物は全身血管系へのボーラス注射又は点滴により投与される。好ましくは点滴である。
【0072】
本発明の好ましい方法及び使用では、前記マンガン造影剤は短時間、例えば、1〜30分、より好ましくは2〜20分、さらにより好ましくは5〜10分以内で投与される。したがって好ましい投与速度は、0.01〜1ml/kg/分、より好ましくは0.02〜0.5ml/kg/分の範囲である。このような投与速度は従来の送達装置を使用して容易に達成可能である。
【0073】
個体への前記マンガン造影剤の投与は、MRIに用いる磁場の外側で行われてもよいし、磁場の内側で行われてもよい。しかしながら一般的には、投与は磁場の外側で行われるのが好ましい。
【0074】
MRIに用いる磁場の外側で投与が行われる場合、MRIは好ましくはその後0.5〜6時間、好ましくは1〜4時間、(例えば1.5〜3時間)以内に行われる。MRIに用いる磁場の内側で投与が行われる場合、MRIはその前、最中及び/又は後に間欠的に行われる(例えば好ましくはその後30〜60分以内)。
【0075】
本発明の方法及び使用では、SI及び/又はR1測定は、細胞のバイアビリティ/機能の定量的測度を提供するために好ましく使用される。SI及びR1測定はMRIに関する文献に詳細に記載されているが、出願人の知る限り、細胞のバイアビリティ/機能の段階付けされた又は定量的な測度に関する、ひいては心臓リモデリングに関する方法の先行文献は存在しなかった。これは現在では本明細書に記載する細胞内造影剤の使用により達成することができる。以下に記載される実施例から明らかになるように、R1の変化はマンガン造影剤なしでは少ししか検知できないが、マンガンを用いると大幅に増強される。
【0076】
したがって本発明の方法及び使用では、心筋のバイアビリティ/機能の定量的測度は好ましくは心筋中の細胞内マンガン量を測定することにより(例えば、MRIのSIを測定することにより又はR1を測定することにより)評価される。本発明の好ましい方法では、細胞内マンガン量はR1を測定することにより評価される。特に、撮像されるのは心臓の左心室である。より具体的には、本発明は左心室の全体にわたる区別されたMn取り込み及びR1変化を検出することを可能にし、その結果は心臓リモデリングの有無に相関する。
【0077】
本発明の特に好ましい方法又は使用では、心筋は多数の貫壁性セクター(例えば、5〜50、より好ましくは約10〜30セクター、さらにより好ましくは24セクター)に分けられる。あるいは、関心領域(ROI)は心筋の異なる層から選択されてもよい。いずれの手法もR1の複合分布プロットの作成を可能にし、これにより撮像された画素における磁化された水プロトンの区別された分布が示される。
【0078】
参照用SI及び/又はR1は、好ましくは各セクター又は層に関して造影剤なしで測定される。マンガン造影剤の投与中及び/又はそれに続いて、各セクター又は層に関してのSI測定は経時的(例えば、1〜30秒毎、より好ましくは5〜20秒毎、さらに好ましくは約10秒毎)に何度も行われる。撮像は好ましくはこのように20分〜2時間、好ましくは30分〜1時間(例えば、約45分間)継続される。したがって合計100〜500回(例えば、250〜400回)の測定が選択された心筋ひいては各セクター又は層のスライスに対して行われ得る。あるいは、より広い間隔(例えば、30〜45分間にわたり5〜10分間隔で)で画像を作成こともできる。いずれの手法でもMn2+取り込みの連続的又は半連続的測定が可能になる。
【0079】
AMI後数週間から数か月の間隔で検査を繰り返すことにより、リモデリングの過程及び/又は治療に対するリモデリング過程の応答を追跡できる。
【0080】
本発明による好ましい方法又は使用では、上記のように測定されたSI測定値はそれぞれシグナル方程式(1)にフィッティングされてR1の推定値が得られる:
【0081】
【数1】

【0082】
この方程式において、Sはシグナル強度であり、Ωは、受信機利得、機器の状態及びT2*減衰(使用される短いTEでの定数)に依存する定数であり、M0は十分に緩和した縦磁化であり、αは使用されるRFパルスの角度であり、TIはα−RFパルス鎖(pulse chain)の開始に対して測定された反転時間であり、nはK空間の中心までのαパルスの数であり、TRはパルス鎖における2つのαパルス間の時間的間隔であり、aは
【0083】
【数2】

【0084】
であり、かつbは
【0085】
【数3】

【0086】
である。従来のフィッティング手法(例えば、シンプレックスサーチ法及び最小2乗費用関数)のいずれも使用することができる。好ましくはフィッティングによりR1及びΩM0に関する値が得られる。次いで、例えば、各段階でのR1ならびにΔR1(1時間後のR1値から参照用R1値を引いたもの)を決定するために参照用SI測定値及び最終のSI測定値の両方に関して、各セクターの個別の値が計算されてもよい。最終のR1値は、バイアビリティ/機能の測度を提供し、好ましくはR1マップとしてプロットされる。いくつかのマップが、心臓リモデリングをモニタリングするためにある期間にわたって(例えば2週〜6か月)ある患者に関して作成されてもよい。
【0087】
本発明のいくつかの好ましい方法及び使用では、ΔR1値は関心領域(ROI)を同定するために分析される。典型的には、ROIは梗塞の発生が疑われる領域をカバーすることになる。次いで好ましくは、ある期間にわたって測定されたSIはそれらROIに対して抽出され、経時的R1変化に変換される。これはROIがバイアブルな組織を含むかどうかを確認するために使用されてもよい。
【0088】
本発明の方法及び使用で用いるMRIは、従来のMRI装置を使用して行なわれてもよい。変換法又は飽和法(特に当該技術分野で公知のルックロッカーMRI法に基づく変換法)が好ましくは使用される。
【0089】
本発明の方法及び使用は任意の個体に使用されてもよい。「個体」なる語は、本明細書では任意のヒト又は非ヒトを意味する。本発明の方法及び使用が適用される好ましい個体はヒトである。前記方法及び使用はAMIを患ったことのない個体に用いられてもよいが、特に好ましい個体は過去にAMIを患ったものである。本発明の方法及び使用はこのような個体において心臓リモデリングを検出するために使用されてもよい。
【0090】
本発明の方法を、特定の限定的でない実施形態及び添付の図を特に参照する実施例によってさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】図1は、生体内でのMnDPDPの仮定的な代謝性分解を示す。
【図2】図2は、健康な個体におけるテスラスカン((a)5分間にわたる及び(b)30分間にわたる5μmol/kg)の投与後の心筋(黒色)及び血液(灰色)中のシグナル強度(SI)の変化を示す。
【図3】図3は、十分に発達した梗塞を有する患者における血液(点線)、心筋梗塞の疑いのある領域(灰色の線)及び遠隔領域(黒色の線)からの経時的R1変化を示す。
【図4】図4は、梗塞の発症時点でのPCIによる治療が心筋救済をもたらした患者における血液(点線)、梗塞の疑いのある領域(灰色の線)及び遠隔領域(黒色の線)からの経時的R1変化を示す。
【図5】図5は、PCIによる治療を受けているが十分に発達した梗塞を有する患者からの短軸スライスのR1マップを示す。
【図6】図6は、梗塞の発症時点でのPCIによる治療が心筋救済をもたらした患者からの短軸スライスのR1マップを示す。
【実施例】
【0092】
実施例
核磁気共鳴画像法
急性心筋梗塞(AMI)の発症を伴う急性の冠状動脈症状の発現から3〜12週後に10人の患者にMR検査を行なった。患者は全員AMIのために入院した直後に経皮的冠動脈インターベンション(PCI)により血管再生治療を受けた。
【0093】
検査は、Siemens Magnetom Symphony 1.5 Tesla scanner with Quantum gradients(ソフトウェアバージョン:Syngo 2002B、VA21B、勾配強度:30mT/m)上で行われた。記録は全身用フェーズドアレイサーフェスコイルを用いて行った。心電図(ECG)シグナルは心拍数モニタリング及びシーケンストリガリングのために使用された。
【0094】
定常状態自由歳差運動(true−FISP)シネ短軸スライスは、心室の長さをカバーするように作成された。スライスはそれぞれ呼吸を一回止める間に得られた(スライス厚:8ミリメートル、スライス間隔:10ミリメートル)。低下した壁運動及び収縮期壁肥厚の兆候を示す短軸シネ画像の検査に基づいて、増強したコントラストの撮像のため各患者において1つのスライスが選ばれた。この関心スライス(SOI)からのスライス位置パラメータは複製されて残りのMRI検査にわたって使用された。
【0095】
SOIにおける造影前の心筋及び血液のR1測定は、後に増加する反転時間(TI)で反転回復(IR)ターボFLASH(fast low-angle shot)シーケンスを使用して一連の20枚の画像を通して実施された。このシーケンスは、非選択的180度の反転パルス、続いてαパルス間において生成されるグラジエントエコーを有する反復的なローアングルスライス選択αパルスから成る超高速FLASHシーケンスを使用した。使用した反転時間は90〜5000ミリ秒までにわたった。パラメータ設定は次のとおりであった。帯域幅:1000Hz/ピクセル、エコー間隔(TR):1.9ミリ秒、TE:1.06ミリ秒、撮影視野:380mm、スライス厚:8mm、αフリップ角:12度、及びフェーズパーシャルフーリエ(phase partial Fourier):6/8。
【0096】
最初のR1測定の後、MRスキャナは、固定反転時間は400ミリ秒としたがR1測定に使用したのと同様のパラメータ設定で一連のIR画像を記録するように設定された。
【0097】
10枚の参照用画像の撮影後に、患者には5分間にわたる末梢静脈内点滴として体重1kg当たり5μmolのMnDPDP(テスラスカン(登録商標)、アマシャム社)が0.01mmol/ml溶液で投与された。合計300〜350枚のIR画像が40〜45分間にわたって得られた。これらの一連の点滴全体にわたって、個々の画像間で7〜8秒の時間間隔が維持された。
【0098】
次いで、梗塞領域の視覚化のために画像化が行われた。2種のT1強調心電図同期セグメント化シーケンスが試された。すなわちIRターボFLASHシーケンス及び位相感受性再構成の可能性を有するIR true−FISPシーケンスである。いずれの場合も、個人にあわせた反転時間が心拍数及び息を止める能力に応じて使用された。
【0099】
最後に、造影剤点滴開始1時間後に、20枚のIRターボFLASH画像から成る2度目のR1測定を5分間にわたって実施した。
【0100】
1分析
1測定に関する画像はMatlabバージョン6.5(マスワークス社(MathWorks)、米国)で記述されたソフトウェアを使用して分析され、LV壁の内縁及び外縁は1つ1つのスライスに手入力された。輪郭が描かれた心筋は次いで24個のセクターに分けられた。シグナル強度は各セクターについて別々に抽出され分析された。シグナル方程式をセクターからのデータにフッティングし、R1の推定値を得た。
【0101】
【数4】

【0102】
この方程式において、Sはシグナル強度であり、Ωは、受信機利得、機器の状態及びT2*減衰(使用される短いTEでの定数)に依存する定数であり、M0は十分に緩和した縦磁化であり、αは使用されるRFパルスの角度であり、TIはα−RFパルス鎖の開始に対して測定された反転時間であり、nはk空間の中心までのαパルスの数であり、TRはパルス鎖における2つのαパルス間の時間的間隔であり、aは
【0103】
【数5】

【0104】
であり、かつbは
【0105】
【数6】

【0106】
である。フィッティングは2種の変数、すなわちR1、及びΩとM0との積を用いて行った。これらの2種の変数は、シンプレックスサーチ法及び最小2乗費用関数を使用して最適化された。
【0107】
参照用R1測定値及び1時間後の測定値の両方に関して、24個のセクターのそれぞれの個別のR1値が計算された。各セクターのΔR1値は、1時間後のR1値から参照値を引いたものとして計算された。
【0108】
経時的R1変化
造影剤点滴に続く経時的なR1の変化は、各患者の参照用R1測定値と患者の一連の点滴とを組み合わせることにより作成された。画像は、Matlabで記述されたソフトウェアにおいてまとめて分析された。ΔR1値に基づいて、2つの小さなROI(大きさは5〜8ピクセル)がLV壁の中央に描画された。あるROIは梗塞と考えられる領域の中心に配置され、あるROIは異なる冠状動脈と連結する遠隔領域中に配置された。第3のROIはLVキャビティーの血液中に配置され、LVの内径のほぼ半分の直径が与えられた。ROIはそれぞれ1つ目の画像中に描画され、R1測定の全画像を通してそして一連の点滴を通して複写された。ROIは次いで呼吸運動のため手作業で調整された。シグナル強度が抽出され、方程式1によって造影前R1測定がなされた。推測されるΩとM0との積は、次いで方程式1により点滴後のシグナル強度の変化を経時的なR1の変化に変換するために使用された。
【0109】
結果
点滴及び点滴後MRI動態学
図3及び図4は、10人の患者のうちの2人の経時的R1測定の結果を示す。図3は、PCIで治療されたがいまだに既往歴により、また現在ではT1強調MRIにより確認される完全な梗塞を患う患者から得られた結果を示す。テスラスカンの点滴中(0〜5分)に、遠隔でありバイアブルな領域だけでなく梗塞領域にも初期のMn取り込みがあり、点滴後は梗塞領域においてではなく遠隔領域において後期のMn取り込みがある。梗塞領域において後期の取り込みが無いことは、それがバイアブルな心筋細胞のない瘢痕組織を含んでいることを示す。
【0110】
対照的に、図4は梗塞の発症後にはるかに早くPCIによる治療を受けた患者から得られた結果を示す。この患者では早期のインターベンションは、臨床的指標により、また現在ではT1強調MRIにより確認される心筋救済をもたらした。テスラスカンの点滴中(0〜5分)に、初期及び後期のMn取り込みの両方を含む同様の取り込みプロファイルが以前に危険性のあった場所(梗塞領域)及び遠隔領域の両方で観察された。これは全ての細胞がバイアブルであることを示す。
【0111】
上記患者2人におけるこれらの所見は、Mn2+イオン取り込みには2段階あり、異なるマンガン薬剤が原因であったことを示す。すなわち点滴の5分間の期間中に起こる初期の取り込みは母物質であるMnDPDPから起こり、後期の取り込みは、MnDPDPのその2種類の代謝産物であるMnDPMP及びMnPLEDへの変換後の点滴後の期間に起こった。意外にも、この所見はMnDPDPでの初期の取り込みは心筋のバイアビリティとパーフュージョンとを意味するが、後期の取り込みは特にバイアビリティを意味するということを示す。したがってMnDPDPは、バイアビリティ及びパーフュージョンのマーカーである一方で、MnDPMP及びMnPLEDは純粋なバイアビリティのマーカーである。
【0112】
短軸スライスのR1マッピング
上記と同一の患者2人に関して、以前に梗塞が発達した又は疑いのあった領域をカバーする心臓の短軸スライスにおけるR1マップが作成され、図5及び図6に示されている。これらは、本発明の使用及び方法により、より一層段階付けされたデータを得ることができることを示す。テスラスカンの点滴前は、セクター間でR1値の違いはほとんど何も観察することができないが、その45分後にはより一層著しい不均一性が現われる。
【0113】
持続性の心筋梗塞後欠損がある患者において(図5)、1つ目のMR背景画像中では、R1は梗塞領域と遠隔領域とでは0.80s-1及び0.95s-1、すなわちR1の差は〜0.15s-1である。マンガン増強MR画像中では、R1はそれぞれ0.95s-1及び1.35s-1、すなわちR1の差は〜0.40s-1である。この結果は、遠隔領域による後期のマンガン取り込みによって説明され得る。しかしながら、意外にもそして重要なことには、梗塞領域(0.95s-1)から、境界領域(1.10s-1)まで、次いで大きな中間領域(1.20s-1)まで、そして最後に遠隔で大部分の領域(1.35s-1)まで漸進的な差がある。
【0114】
心筋救済のあった患者において(図6)、造影剤の前後での貫壁性セクター間ではほとんど何も違いはない。したがって均一性が維持され、Mn点滴後の正常な心筋で予想されるように〜0.40s-1のR1の平均上昇がある。セクター間の変動は〜0.05から0.10s-1以内である。
【0115】
1マッピングからのこれらの結果は、十分に発達したAMIからの回復時の組織弛緩における、したがって組織のMn取り込み/保持における検出可能な局所的変化を示す。これは梗塞後の心臓リモデリングと一致しており、ここでは生存する心臓細胞の全体数及び/又はこれら細胞の機能の状態のいずれかを反映する細胞内の常磁性のMnイオンを用いて初めて実証された。
【0116】
持続性梗塞及び瘢痕組織を有する患者においてR1の知見は、減少したLV駆出率(EF)(49%)と一致しており顕在的なHFの発生を遅延させるための治療の必要性を示した。左心室のリモデリングの兆候がなく正常なLV駆出率(EF)(71%)の他の患者においては、そのような特別な療法の必要性はなかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マンガン造影剤又はその薬学的に許容される塩が前もって投与された個体の心筋中の細胞内マンガン量の測定方法であって、前記個体をMRI手法に供して画像のシグナル強度(SI)を評価することを含む方法。
【請求項2】
個体における心臓リモデリングの検出方法に用いるマンガン造影剤又はその薬学的に許容される塩であって、前記方法が、
(i)マンガン造影剤又はその薬学的に許容される塩を前記個体に投与すること、及び、
(ii)前記個体をMRI手法に供してこれにより前記個体の心筋中の細胞内マンガン量を測定することにより心筋組織バイアビリティ/機能を測定することを含む、マンガン造影剤又はその薬学的に許容される塩。
【請求項3】
個体における心臓リモデリングの検出方法であって、
(i)マンガン造影剤又はその薬学的に許容される塩を前記個体に投与すること、及び、
(ii)前記個体をMRI手法に供してこれにより前記個体の心筋中の細胞内マンガン量を測定することにより心筋組織バイアビリティ/機能を測定することを含む方法。
【請求項4】
前記個体の心筋中の細胞内マンガン量が、画像のシグナル強度(SI)により評価される、請求項2又は3に記載の方法又は造影剤。
【請求項5】
前記個体の心筋中の細胞内マンガン量が前記心筋全体にわたる縦緩和速度R1により評価される、先行する請求項のいずれかに記載の方法又は造影剤。
【請求項6】
下記ステップ(iii)をさらに含む、請求項2〜5に記載の方法又は造影剤;
(iii)ステップ(i)及び(ii)を繰り返し、心筋組織バイアビリティ/機能に何らかの変化が起きたかどうか評価すること。
【請求項7】
マンガン造影剤又はその薬学的に許容される塩が前もって投与された個体における心筋組織バイアビリティ/機能の測定方法であって、前記個体の心筋中の細胞内マンガン量を測定するために前記個体をMRI手法に供することを含む方法。
【請求項8】
個体における心筋組織バイアビリティ/機能の測定方法であって、
(i)マンガン造影剤又はその薬学的に許容される塩を前記個体に投与すること、及び、
(ii)前記個体をMRI手法に供してこれにより前記個体の心筋中の細胞内マンガン量を測定することを含む方法。
【請求項9】
個体における心筋組織バイアビリティ/機能の測定方法に用いるマンガン造影剤又はその薬学的に許容される塩であって、前記方法が、
(i)マンガン造影剤又はその薬学的に許容される塩を前記個体に投与すること、及び、
(ii)前記個体をMRI手法に供してこれにより前記個体の心筋中の細胞内マンガン量を測定することを含む、マンガン造影剤又はその薬学的に許容される塩。
【請求項10】
前記マンガン造影剤が、マンガンイオン放出キレートである、先行する請求項のいずれかに記載の方法又は造影剤。
【請求項11】
前記マンガンイオン放出キレートが、107〜1025、より好ましくは109〜1024、さらにより好ましくは1010〜1023、例えば1012〜1022までの範囲のKa値を有する、請求項10に記載の方法又は造影剤。
【請求項12】
前記キレートがジピリドキシル化合物である、請求項10又は11に記載の方法又は造影剤。
【請求項13】
マンガンキレートが式IIの化合物及びその塩である、請求項10又は11に記載の方法又は造影剤。
【化1】

[式II中、
1は、それぞれ独立して、水素又は−CH2COR5を表し;
5は、ヒドロキシ、ヒドロキシル化されていてもよいアルコキシ、アミノ又はアルキルアミドを表し;
2は、それぞれ独立して、ヒドロキシル、COOR8、CONR82、NR82、OR8、=NR8、=O、OP(O)(OR8)R7、OP(O)(OM)R7及びOSO3Mから選ばれる1種以上の基により置換されているアルキル基(例えば、C1-6アルキル基)を表し;
7は、OM、ヒドロキシ、ヒドロキシル化されていてもよくアルコキシル化されていてもよいアルキル又はアミノアルキル基であり;
8は、水素原子、又はヒドロキシル化されていてもよくアルコキシル化されていてもよいアルキル基であり;
Mは、水素原子あるいは1当量の生理的に許容されるカチオン、例えば、アルカリもしくはアルカリ土類カチオン(例えば、Na+)、アンモニウムイオン又は有機アミンカチオン、例えば、メグルミンイオンであり;
3は、C1-8アルキレン基、好ましくはC1-6、例えば、C2-4アルキレン基を表し;かつ
4は、それぞれ独立して、水素又はC1-3アルキルを表わす。]
【請求項14】
前記マンガン造影剤が、MnDPDP、MnDPMP及びMnPLEDから選ばれる、請求項1〜13のいずれか1項に記載の方法又は造影剤。
【請求項15】
前記マンガン造影剤が、MnDPMP及びMnPLEDから選ばれる、請求項1〜13のいずれか1項に記載の方法又は造影剤。
【請求項16】
前記マンガン造影剤が、MnDPDPである、請求項1〜13のいずれか1項に記載の方法又は造影剤。
【請求項17】
前記マンガン造影剤が、0.5〜40μmol/体重1kg、好ましくは1〜20μmol/体重1kg、さらに好ましくは2〜10μmol/体重1kgの投与量で投与される、先行する請求項のいずれかに記載の方法又は造影剤。
【請求項18】
前記マンガン造影剤が、1〜30分、好ましくは2〜20分(例えば、約5〜10分)にわたって静脈内点滴により投与される、先行する請求項のいずれかに記載の方法又は造影剤。
【請求項19】
前記マンガン造影剤の投与が前記MRI手法に用いる磁場の外側で行われ、かつMRIがその後0.5〜6時間、好ましくは1〜4時間、例えば1.5〜3時間以内に行われる、請求項18に記載の方法又は造影剤。
【請求項20】
前記マンガン造影剤の投与が前記MRI手法に用いる磁場の内側で行われ、かつMRIがその前、最中及び/又は後に間欠的に行われる(例えば、好ましくはその後30〜60分の期間)、請求項18に記載の方法又は造影剤。
【請求項21】
前記細胞内マンガンの量がR1を測定することにより評価される、先行する請求項のいずれかに記載の方法又は造影剤。
【請求項22】
前記R1値が前記個体によるマンガン取り込みの動態学的プロットに加工される、請求項21に記載の方法又は造影剤。
【請求項23】
前記R1値が前記個体の心筋の画像化されたスライスにおける貫壁性セクター又は層の分布プロット又はR1マップに加工される、請求項21に記載の方法又は造影剤。
【請求項24】
前記個体が過去にAMIを患ったことがある、先行する請求項のいずれかに記載の方法又は造影剤。
【請求項25】
個体における心臓リモデリングの検出方法で用いる組成物の製造におけるマンガン造影剤又はその薬学的に許容される塩の使用であり、前記方法が、
(i)マンガン造影剤又はその薬学的に許容される塩を前記個体に投与すること、及び、
(ii)前記個体をMRI手法に供してこれにより好ましくは前記個体の心筋中の細胞内マンガン量を測定することにより(例えば、画像のシグナル強度(SI)又はより好ましくは前記心筋全体にわたる縦緩和速度R1を評価することにより)心筋組織バイアビリティ/機能を測定することを含む、使用。
【請求項26】
個体における心筋組織バイアビリティ/機能の測定方法で用いる組成物の製造におけるマンガン造影剤又はその薬学的に許容される塩の使用であって、前記方法が、
(i)マンガン造影剤又はその薬学的に許容される塩を前記個体に投与すること、及び、
(ii)前記個体をMRI手法に供してこれにより前記個体の心筋中の細胞内マンガン量を測定することを含む、使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2010−516666(P2010−516666A)
【公表日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−545999(P2009−545999)
【出願日】平成20年1月18日(2008.1.18)
【国際出願番号】PCT/GB2008/000191
【国際公開番号】WO2008/087445
【国際公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【出願人】(509203142)
【出願人】(509203153)
【出願人】(509203094)
【出願人】(509203164)
【Fターム(参考)】