説明

根菜収穫機

【課題】根菜類がコンテナ台に載置されるコンテナに落下する際に該根菜類の損傷や破損等を可及的に防止しつつ、該コンテナ全体に亘って該根菜類を安定的に集積させ得る根菜収穫機を提供する。
【解決手段】走行機台10と、挟持搬送機構70と、運転席50と、コンテナ台600と、選別コンベア機構800と、損傷防止体用アクチュエータ710の作動によって設置位置が変更可能とされた損傷防止体700と、集積状態検出装置900と、制御装置101とを備えた根菜収穫機100において、制御装置101は、集積状態検出装置900からの検出値に基づき、損傷防止体用アクチュエータ710を制御して損傷防止体700の設置位置を変更する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人参や大根等の根菜類を収穫する根菜収穫機に関する。
【背景技術】
【0002】
人参や大根等の根菜類を収穫する根菜収穫機として、例えば、走行機台における車輌幅方向一方側の前方に配設された茎葉引き起こし機構の下方で振動刃を土壌中に挿入して、土壌中より根菜類を掘り起こすと共に該掘り起こされた根菜類を該茎葉引き起こし機構にて引き起こし、該引き起こされた根菜類の茎葉を、茎葉引き起こし機構の後方に配設された挟持搬送機構にて挟持して車輌後方且つ斜め上方に引き上げ、該引き上げられた根菜類を選別コンベア機構にてコンテナ台に載置されるコンテナへ向けて搬送すると共に、該選別コンベア機構から該コンテナに落下させて該根菜類を該コンテナに収容する根菜収穫機は、従来から公知となっている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
しかしながら、このような根菜収穫機では、根菜類が前記選別コンベア機構から前記コンテナ台に載置されるコンテナに落下する際、例えば、コンテナが空の状態や少量の根菜類しか収容されていない状態で該コンテナに落下する場合のように該根菜類の落下経路が長いと、それだけ、該根菜類がコンテナの底面や既に該コンテナに収容された他の根菜類に衝突する際の落下速度(即ち運動エネルギー)が大きくなる為、該衝突の際の衝撃によって、該コンテナに落下した根菜類や他の根菜類が損傷を受けたり、破損したりすることがある。
【0004】
又、収穫作業終了後等において、根菜類が収容されたコンテナに他のコンテナが積み上げられるような場合には、該積み上げたコンテナの良好な安定性を確保するといった観点から、コンテナに収容された根菜類が該コンテナ内で均等に集積されていることが望まれる。ところが、従来の根菜収穫機では、選別コンベア機構からコンテナに落下した根菜類は相互の摩擦抵抗によって、通常は山状に集積される為、該コンテナに収容された根菜類が該コンテナ内で均等になるように均す作業が別途必要になる。
【特許文献1】特開平9−262019号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、前記従来技術に鑑みなされたものであり、根菜類がコンテナ台に載置されるコンテナに落下する際に該根菜類の損傷や破損等を可及的に防止しつつ、該コンテナ全体に亘って該根菜類を安定的に集積させ得る根菜収穫機の提供を、目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、前記課題を解決するため、走行機台と、根菜類の茎葉を挟持して車輌後方且つ斜め上方に引き上げるように車輌幅方向一方側に配設された挟持搬送機構と、前記走行機台における車輌幅方向他方側の前方に配設された運転席と、前記運転席の後方に配設されたコンテナ台と、前記挟持搬送機構の搬送終端部の下方に搬送始端部が位置するように車輌幅方向に沿って配設された選別コンベア機構であって、前記挟持搬送機構から供給される根菜類を車輌幅方向他方側へ向けて搬送する選別コンベア機構と、前記選別コンベア機構から前記コンテナ台に載置されるコンテナに落下する根菜類の落下経路に介挿可能な損傷防止体であって、損傷防止体用アクチュエータの作動によって設置位置が変更可能とされた損傷防止体と、該コンテナに収容される根菜類の集積状態を検出する集積状態検出装置と、制御装置とを備え、前記制御装置は、前記集積状態検出装置からの検出値に基づき、前記損傷防止体用アクチュエータを制御して前記損傷防止体の設置位置を変更するように構成されていることを特徴とする根菜収穫機を提供する。
【0007】
なお、本発明に係る根菜収穫機に用い得るコンテナには、一般的なコンテナの他、柔軟性を有するフレキシブルコンテナ等も含む。
【0008】
前記損傷防止体は、前記選別コンベア機構から前記コンテナ台に載置されるコンテナに落下する根菜類の落下経路を遮るように介挿されてもよい。
【0009】
好ましくは、前記損傷防止体は、前記選別コンベア機構から投入される根菜類と衝突する遮断面が該選別コンベア機構の搬送終端部を向いた状態で傾斜するように構成される。
又、好ましくは、前記損傷防止体は、上方に開く凹状とされる。
【0010】
好ましくは、前記損傷防止体は、前記損傷防止体用アクチュエータによって車輌前後方向に沿った枢支軸線回りに昇降回動可能とされる。この場合、前記損傷防止体は、背面視において上方に開く凹状とされていてもよい。
このように、前記損傷防止体が前記損傷防止体用アクチュエータによって車輌前後方向に沿った枢支軸線回りに昇降回動可能とされる場合、前記制御装置は、前記集積状態検出装置からの検出値に基づき、前記根菜類集積体の高さが所定の第1高さ以下であると判断した場合には前記損傷防止体が前記落下経路に介挿された介挿位置に位置し、且つ、前記根菜類集積体の高さが前記第1高さを超えたと判断した場合には前記損傷防止体が前記枢支軸線回り上方へ回動するように、前記損傷防止体用アクチュエータを作動させることができる。
さらに、前記損傷防止体が、前記枢支軸線回り上方への回動によって、コンテナの根菜類を収容するコンテナ収容空間から退避した退避位置に配設されるように構成されてもよい。
【0011】
又、本発明に係る根菜収穫機において、前記選別コンベア機構は、選別コンベア用アクチュエータの作動によって前記コンテナ台に載置されるコンテナに対する相対位置が水平方向に沿って変更可能とされている場合を例示できる。好ましくは、前記選別コンベア機構からコンテナに落下する根菜類が該コンテナ内で略均等に集積されるように、該選別コンベア機構を水平方向に沿って位置変更する。
例えば、前記制御装置は、前記集積状態検出装置からの検出値に基づき、前記根菜類集積体の高さが所定の第2高さ以下であると判断した場合には前記選別コンベア機構の搬送終端部が該コンテナの根菜類を収容するコンテナ収容空間上の所定位置に位置し、且つ、前記根菜類集積体の高さが前記第2高さを超えたと判断した場合には前記選別コンベア機構の搬送終端部が前記コンテナ収容空間上の前記所定位置とは異なる位置に移動するように、前記選別コンベア用アクチュエータを作動させることができる。
【0012】
好ましくは、前記選別コンベア機構は、前記選別コンベア用アクチュエータの作動によって車輌幅方向に沿って移動可能とされる。
このように、前記選別コンベア機構が前記選別コンベア用アクチュエータの作動によって車輌幅方向に沿って移動可能とされる場合、前記制御装置は、前記集積状態検出装置からの検出値に基づき、前記根菜類集積体の高さが所定の第2高さ以下であると判断した場合には前記選別コンベア機構の搬送終端部が前記コンテナ収容空間の車輌幅方向他方側上に位置し、且つ、前記根菜類集積体の高さが前記第2高さを超えたと判断した場合には前記選別コンベア機構の搬送終端部が前記コンテナ収容空間の車輌幅方向一方側上に移動するように、前記選別コンベア用アクチュエータを作動させてもよい。
【0013】
又、前記損傷防止体が前記損傷防止体用アクチュエータによって車輌前後方向に沿った枢支軸線回りに昇降回動可能とされる場合であって、前記選別コンベア機構が前記選別コンベア用アクチュエータの作動によって車輌幅方向に沿って移動可能とされる場合において、前記制御装置は、前記集積状態検出装置からの検出値に基づき、前記コンテナ台に載置されるコンテナ内に集積される根菜類集積体の高さが所定の第1高さ以下、且つ、前記根菜類集積体の高さが所定の第2高さ以下であると判断した場合には前記損傷防止体が前記落下経路に介挿された介挿位置に位置するように前記損傷防止体用アクチュエータを作動させると共に、前記選別コンベア機構の搬送終端部が前記コンテナ収容空間の車輌幅方向他方側上に位置するように前記選別コンベア用アクチュエータを作動させる第1制御を行い、前記第1制御状態において、前記集積状態検出装置からの検出値に基づき、前記根菜類集積体の高さが前記第1高さを超えたと判断した場合に前記損傷防止体が上方へ回動するように前記損傷防止体用アクチュエータを作動させる第2制御を行い、前記第2制御状態において、前記集積状態検出装置からの検出値に基づき、前記根菜類集積体の高さが前記第2高さを超えたと判断した場合に前記選別コンベア機構の搬送終端部が前記コンテナ収容空間の車輌幅方向一方側上へ移動するように前記選別コンベア用アクチュエータを作動させる第3制御を行ってもよい。
【0014】
さらに前記制御装置は、前記第3制御状態において、前記集積状態検出装置からの検出値に基づき、前記根菜類集積体の高さが所定の第3高さを超えたと判断した場合に前記選別コンベア機構の搬送を停止するように構成されていてもよい。なお、前記選別コンベア機構の搬送の停止に加えて、その他の一連の収穫機構(例えば、掘り起こし機構、茎葉引き起こし機構及び挟持搬送機構等)の駆動を停止するように構成されてもよい。
【0015】
前記集積状態検出装置は、前記コンテナ台に載置されるコンテナ内に集積される根菜類集積体の高さを検出するように構成されていてもよい。
【0016】
なお、前記集積状態検出装置が前記第1高さ、前記第2高さ及び前記第3高さのうち少なくとも二つの高さを検出する場合、該集積状態検出装置は、前記少なくとも二つの高さを検出する一の検出装置で構成されていてもよいし、前記少なくとも二つの高さをそれぞれ検出する少なくとも二つの検出装置で構成されていてもよい。
又、前記根菜類集積体の前記第1高さ及び前記第2高さは、同じになるように設定されてもよいし、異なるように設定されてもよい。
又、前記第1高さ及び前記第2高さが同じ場合、前記制御装置は、前記第3制御状態において、前記集積状態検出装置からの検出値に基づき、前記根菜類集積体の高さが前記第1高さ及び前記第2高さを少しでも超えたと判断した場合に前記選別コンベア機構の搬送を停止するように構成されていることが好ましい。又、前記第1高さ及び前記第2高さが異なる場合、前記制御装置は、前記第3制御状態において、前記集積状態検出装置からの検出値に基づき、前記根菜類集積体の高さが前記第1高さ及び前記第2高さのうち高い方の高さを少しでも超えたと判断した場合に前記選別コンベア機構の搬送を停止するように構成されていることが好ましい。なお、前記選別コンベア機構の搬送の停止に加えて、その他の一連の収穫機構(例えば、掘り起こし機構、茎葉引き起こし機構及び挟持搬送機構等)の駆動を停止するように構成されてもよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る根菜収穫機によると、前記損傷防止体を備えることにより、前記選別コンベア機構からコンテナ内に落下する根菜類の損傷を有効に防止することができる。
即ち、前記選別コンベア機構から前記コンテナ台に載置されるコンテナ内に投入される根菜類は、前記損傷防止体によってワンクッションされた状態で、前記コンテナ内に収容される。
従って、前記根菜類が直接前記コンテナ内に投入される場合に比して、該根菜類の落下速度(即ち運動エネルギー)を低減化させることができ、これにより、該根菜類が損傷を受けたり、破損したりすることを有効に抑制することができる。
【0018】
特に、コンテナが空の状態や少量の根菜類しか収容されていない状態で該コンテナに根菜類が落下する場合のように該根菜類の落下経路が長い場合においては、前記損傷防止体によって、前記根菜類に付加される衝撃をより効果的に低減化することができる。
又、前記制御装置が、前記集積状態検出装置からの検出値に基づき、前記損傷防止体用アクチュエータを制御して前記損傷防止体の設置位置を変更するように構成されているので、コンテナに落下した根菜類の損傷や破損等を有効に防止しつつ、該コンテナ全体に亘って該根菜類を安定的に集積させることができる。
【0019】
又、前記損傷防止体が、前記選別コンベア機構から投入される根菜類と衝突する遮断面が該選別コンベア機構の搬送終端部を向いた状態で傾斜するように構成される場合には 、該遮断面に衝突した根菜類が該遮断面と接触しつつ落下する(例えば、該遮断面を滑り落ちたり、転がり落ちたりする)ことになり、該根菜類への衝撃が緩和されると共に、該遮断面との間に生じる摩擦抵抗によって、該根菜類の落下速度がより低減される。
【0020】
前記損傷防止体が前記損傷防止体用アクチュエータによって車輌前後方向に沿った枢支軸線回りに昇降回動可能とされ、前記集積状態検出装置が前記コンテナ台に載置されるコンテナ内に集積される根菜類集積体の高さを検出するように構成されており、前記制御装置が、前記集積状態検出装置からの検出値に基づき、前記根菜類集積体の高さが所定の第1高さ以下であると判断した場合には前記損傷防止体が前記落下経路に介挿された介挿位置に位置し、且つ、前記根菜類集積体の高さが前記第1高さを超えたと判断した場合には前記損傷防止体が前記枢支軸線回り上方へ回動するように、前記損傷防止体用アクチュエータを作動させる場合には、前記選別コンベア機構から前記コンテナに根菜類を投入させる際に、該根菜類の損傷を有効に防止しつつ、自動的に該根菜類を前記コンテナ内において略均等に集積させ得るように収容することができる。
【0021】
前記選別コンベア機構が選別コンベア用アクチュエータの作動によって前記コンテナ台に載置されるコンテナに対する相対位置が水平方向に沿って変更可能とされており、前記制御装置が、前記集積状態検出装置からの検出値に基づき、前記根菜類集積体の高さが所定の第2高さ以下であると判断した場合には前記選別コンベア機構の搬送終端部が該コンテナの根菜類を収容するコンテナ収容空間上の所定位置に位置し、且つ、前記根菜類集積体の高さが前記第2高さを超えたと判断した場合には前記選別コンベア機構の搬送終端部が前記コンテナ収容空間上の前記所定位置とは異なる位置に移動するように、前記選別コンベア用アクチュエータを作動させる場合には、前記選別コンベア機構から前記コンテナに根菜類を投入させる際に、自動的に該根菜類を前記コンテナ内において略均等に集積させ得るように収容することができる。
【0022】
前記選別コンベア機構が前記選別コンベア用アクチュエータの作動によって車輌幅方向に沿って移動可能とされており、前記制御装置が、前記集積状態検出装置からの検出値に基づき、前記コンテナ台に載置されるコンテナ内に集積される根菜類集積体の高さが所定の第1高さ以下、且つ、前記根菜類集積体の高さが所定の第2高さ以下であると判断した場合には前記損傷防止体が前記落下経路に介挿された介挿位置に位置するように前記損傷防止体用アクチュエータを作動させると共に、前記選別コンベア機構の搬送終端部が前記コンテナ収容空間の車輌幅方向他方側上に位置するように前記選別コンベア用アクチュエータを作動させる第1制御を行い、前記第1制御状態において、前記集積状態検出装置からの検出値に基づき、前記根菜類集積体の高さが前記第1位置を超えたと判断した場合に前記損傷防止体が上方へ回動するように前記損傷防止体用アクチュエータを作動させる第2制御を行い、前記第2制御状態において、前記集積状態検出装置からの検出値に基づき、前記根菜類集積体の高さが前記第2高さ位置を超えたと判断した場合に前記選別コンベア機構の搬送終端部が前記コンテナ収容空間の車輌幅方向一方側上へ移動するように前記選別コンベア用アクチュエータを作動させる第3制御を行う場合には、前記選別コンベア機構から前記コンテナに根菜類を投入させる際に、前記損傷防止体にて該根菜類の損傷を有効に防止しつつ、前記損傷防止体及び前記選別コンベア機構にて自動的に該根菜類を前記コンテナ内において略均等に集積させ得るように収容することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明に係る根菜収穫機の好ましい実施の形態について、添付図面を参照しつつ説明する。図1は本発明の実施に係る根菜収穫機100の概略構成を示す平面図であり、図2は同側面図であり、図3は同背面図である。図4は図3に示す状態においてステップ台650が背面視においてコンテナ台600に載置されるコンテナCとオーバーラップしない格納位置に位置されている状態を示す図であり、又、図5は図3に示す状態において選別コンベア機構800が前進位置に位置し且つ損傷防止体700が根菜類の落下経路に介挿された介挿位置に位置している状態を示す図である。
【0024】
図1乃至図3に示す根菜収穫機100は、走行機台10における車輌幅方向(図2及び図3中X方向)一方側(本実施形態では進行方向(図1及び図2中矢印Y1方向)に向かって左側、以下単に左側という)の前方に根菜類を掘取り、車輌後方(図1及び図2中矢印Y2方向)へ搬送し、茎葉部分を切除する機構と、その根部をコンテナCに収容する機構が配設されている。即ち、この根菜収穫機100は、水平方向に沿って配置された前記走行機台10における車輌幅方向X一方側(左側)の前方において掘り起こし機構20、茎葉引き起こし機構30及びゲージ輪34が配設されており、又前記走行機台10における車輌幅方向X他方側(本実施形態では進行方向Y1に向かって右側、以下単に右側という)の前方上部には、前記運転席50が配設されている。
【0025】
前記運転席50は、前記走行機台10における車輌幅方向X他方側(右側)の前方に配設されており、前部にフロントコラム51が配設され、該フロントコラム51に操向操作を行うハンドル52が突設され、該ハンドル52の近傍には図示を省略した各種変速レバー、クラッチレバー等が設けられている。前記フロントコラム51の側部には、サイドコラム53が立設され、このサイドコラム53上に、後述する昇降装置90の昇降操作を行う第1から第3操作レバー54,55,56が突設されている。前記運転席50の下方には、エンジンEが設けられていて、このエンジンEの後方に前記コンテナ台600が配設されている。
【0026】
前記茎葉引き起こし機構30の後方には、挟持搬送機構70が配設されており、又、この挟持搬送機構70の搬送終端部70aの下方には、搬送始端部800aが位置するように選別コンベア機構800が車輌幅方向Xに沿って配設されている。
【0027】
この根菜収穫機100では、前記走行機台10の左側前方の前記掘り起こし機構20にて土壌中に植立する根菜類の根部を浮き上がらせ、該浮き上がった根菜類の茎葉部を前記茎葉引き起こし機構30にて前記挟持搬送機構70に向けて引き起こし、該引き起こされた根菜類の茎葉部を前記挟持搬送機構70にて後方Y2斜め上方に引き上げ、該引き上げられた根菜類を、前記選別コンベア機構800にて前記運転席50の後側の前記コンテナ台600に載置されるコンテナCに向けて横送りし、さらに該横送りされた根菜類を、前記選別コンベア機構800の搬送終端部800bから該コンテナCに落下させて該根菜類を該コンテナCに収容するようにしている。
【0028】
以下に図1乃至図3に示す根菜収穫機100の具体的構成について説明する。前記走行機台10は、下方にクローラ式走行装置11を具備しており、該走行機台10に前記掘り起こし機構20、前記茎葉引き起こし機構30、前記挟持搬送機構70や前記選別コンベア機構800等の各種構成機構が支持されている。
【0029】
前記掘り起こし機構20は、振動刃21を有しており、この振動刃31が土壌中に侵入して土壌を振動させることで、土壌中の根菜類の根部を浮き上がらせて掘り上げるものである。具体的には、前記掘り起こし機構20は、前記走行機台10の前端の上方と下方にそれぞれ車輌幅方向Xに沿って回動支点軸22,23が横設されていて、この回動支点軸22,23に上リンク24及び下リンク25の後部がそれぞれ枢支され、前記上リンク24及び前記下リンク25の前部が該リンク24,25が平行リンクを形成するように前記振動刃21に枢結されている。又、前記上リンク24の後部と前記回動支点軸22との間には偏心カム(図示省略)が介装され、前記回動支点軸22がクラッチ、ベルト(図示省略)を介してエンジンEの出力プーリー(図示省略)から駆動されることで、前記振動刃21が振動駆動され、これにより土壌中の根菜類の根部の下方より土が振動して、該根部が浮き上がるようになり、そうすると根菜類を容易に引き抜くことができるようになる。
【0030】
前記茎葉引き起こし機構30は、前記走行機台10における車輌幅方向X一方側(左側)の前方に配設されており、土壌中における根菜類の茎葉を車輌幅方向X両側から挟持して前記挟持搬送機構70に向けて引き起こす左右一対の引き起こしベルト30L,30Rと、前記一対の引き起こしベルト30L,30Rの土壌側をそれぞれ巻き掛ける左右一対の第1引き起こしプーリー31L,31Rと、前記一対の引き起こしベルト30L,30Rの土壌側とは反対側をそれぞれ巻き掛ける左右一対の第2引き起こしプーリー32L,32Rとを有している。
【0031】
前記一対の引き起こしベルト30L,30Rは、それぞれ、上下のベルトが2本1組になっており、いずれも外周面に周方向に沿って等間隔に配設された複数のタイン30aがベルト外周面から外方へ突出した無端ベルトからなっている。図1に示すように、前記一対の第1引き起こしプーリー31L,31Rは、それぞれ、前記茎葉引き起こし機構30の下部に側面が対向するように所定の間隔をおいて配設されており、又、前記一対の第2引き起こしプーリー32L,32Rは、それぞれ、前記茎葉引き起こし機構30の上部に側面が対向するように所定の間隔をおいて配設されており、前記一対の引き起こしベルト30L,30Rが土壌側でそれぞれ前記第1引き起こしプーリー31L,31Rに巻き掛けられ、土壌側とは反対側でそれぞれ前記第2引き起こしプーリー32L,32Rに巻き掛けられている。これにより、前記一対の引き起こしベルト30L,30Rは、土壌中における根菜類の茎葉を前記タイン30aを介して車輌幅方向X両側から挟持して前記挟持搬送機構70に向けて引き起こすことができる。又、前記ゲージ輪34は、根菜類の葉部の挟持位置を調節するものであり、前記掘り起こし機構20に設けられている。
【0032】
前記運転席50の後方に配設された前記コンテナ台600は、図1に示すように、車輌幅方向X一方側(左側)に位置する第1コンテナ台610と、車輌幅方向X他方側(右側)に位置する第2コンテナ台620とを有していて、前記第2コンテナ台620は、前記第1コンテナ台610と同一平面上に位置する基準姿勢と、前記第1コンテナ台610に対して車輌前後方向(図1及び図2中Y方向)に沿った軸線回り上方側へ揺動された折れ姿勢とをとり得るように構成されている。これにより、前記コンテナ台600の車輌幅方向Xのコンパクト化を実現できる。
【0033】
さらに説明すると、前記第2コンテナ台620は、前記第1コンテナ台610に、車輌前後方向Yに沿って並設された2個の蝶番630を介して前記基準姿勢と前記折れ姿勢とをとり得るように該方向Yに沿った軸線回りに回動自在に設けられている。
本実施形態において、前記コンテナ台600は、前記第2コンテナ台620が前記基準姿勢をとっているときに、該コンテナ台600に載置されるコンテナCを車輌前後方向Yに関し該コンテナ台600の後方から搬入搬出するように構成されている。
そして、前記コンテナ台600の車輌幅方向X両端部及び車輌前後方向Yの前端部には、該端部から外方への移動を防止する部材が設けられている。
具体的には、前記第1コンテナ台610の車輌幅方向X一方側(左側)端部及び車輌前後方向Yの前端部並びに前記第2コンテナ台620のに車輌幅方向X他方側(右側)端部には、該端部から外方への移動を防止する部材であって、該コンテナ台600のコンテナ載置面600’から上方に延びる突出部材601が設けられている。そして、本実施形態では、前記第1コンテナ台610のコンテナCが搬入搬出される車輌前後方向Yの後端部が開放されている。
【0034】
本実施形態では、前記第1コンテナ台610は、さらに、第1フレーム640aと第2フレーム640bと第3フレーム640cとを備えている。又、前記第1コンテナ台610は、さらに、屋根部材を備えている。
前記第1から第3フレーム640a〜640cは、前記第1コンテナ台610に立設されている。
又、前記屋根部材660は、前記第1から第3フレーム640a〜640cに支持されている。なお、前記屋根部材660は、前記走行機台10に支持された左右一対の補助フレーム660a,660bにも支持されている。
【0035】
車輌前後方向Yに関し前記コンテナ台600の後方にはステップ台650が配設されている。
このように前記根菜収穫機100によれば、前記ステップ台650が車輌前後方向Yに関し前記コンテナ台600の後方に配設されているので、選別者は、前記コンテナ台600の車輌前後方向Y後方で作業性良好に選別作業を行うことができる。又、本実施の形態では、車輌前後方向Yに関し前記ステップ台650の後方に後述するステップ台用手すり654が設けられるが、該ステップ台用手すり654が設けられない場合には、該根菜収穫機100の後方から該ステップ台650へのスムーズな乗降が可能となる。
本実施の形態では、前記ステップ台650は、前記第1コンテナ台610と幅方向に関し略同一長さを有している。
【0036】
又、本実施の形態において、前記ステップ台650は、車輌前後方向Yに沿った枢支軸P1線回り昇降回動可能に支持されている。さらに言えば、前記ステップ台650は、車輌幅方向X両端部のうちの一方側(左側)端部を中心として、車輌前後方向Yに沿った枢支軸P1線回り昇降回動可能に支持されている。
具体的には、前記ステップ台650は、前記第1フレーム640aの下部に車輌前後方向Yに沿って配設された枢支軸P1線回り回動自在に支持されており、人為操作の指示(例えば、操作スイッチのオン/オフ操作)によるステップ台用アクチュエータ651(本実施形態では、ステップ台昇降用油圧シリンダ)の作動によって昇降回動できるように構成されている。
なお、前記ステップ台650は、前記したようなステップ台用アクチュエータ651によることなく、手動によって昇降回動可能とされるものであってもよい。
【0037】
そして、本実施形態では、前記ステップ台650は、前記昇降回動によって、選別作業を行う作業位置と、該ステップ台650を格納する格納位置とをとり得るように構成されている。この構成では、選別作業時に前記ステップ台650を前記作業位置に位置させ、非選別作業時に前記ステップ台650を前記格納位置に位置させることができる。これにより、選別作業時においては、コンテナCの後方に作業スペースを形成しつつ、非選別作業時においては、車輌前後方向Yに関し前記コンテナ台600後方に自由空間を有効に確保できる。
【0038】
好ましくは、前記格納位置は、背面視において前記コンテナ台600に載置されるコンテナCとオーバーラップしないような位置(図4参照)とされ得る。
こうすることで、非選別作業時において、車輌前後方向Yに関し前記コンテナ台600後方における空間を有効に確保できることに加え、前記コンテナ台650に載置されるコンテナCを車輌前後方向Yに関し該コンテナ台600の後方から搬入搬出することができる。
即ち、該コンテナ搬入搬出作業の際に、前記ステップ台650を前記格納位置に格納することで、該ステップ台650に干渉することなく、該コンテナCを搬入搬出できる。これにより、該コンテナ搬入搬出作業をスムーズに行うことができる。
【0039】
既述したように、前記コンテナ台600の車輌前後方向Y後端部には、該後端部から後方への移動を防止する部材が設けられておらず、該後端部が開放されている。これにより、コンテナCを車輌前後方向Yに関し前記コンテナ台600の後方から容易に搬入搬出することができる。又、本実施形態では、前記ステップ台650は、前記作業位置に位置する際に、前記コンテナ台600との間に、前記コンテナ台600に載置されるコンテナCの後方への移動を防止する段差R(図2及び図3参照)が生じるように(具体的にはステップ台650のステップ面650’が前記コンテナ台600のコンテナ載置面600’よりも上方に位置するように)構成されている。従って、前記コンテナ台600の前記後端部の開放によってコンテナCの搬入搬出作業の容易化を図ることができると共に、前記段差Rによって前記コンテナ台600に載置されるコンテナCの後方への移動を防止することができる。
【0040】
又、前記ステップ台650は、さらに補助ステップ653を備えている。
前記補助ステップ653は、選別者が乗降可能な乗降姿勢と、前記ステップ台650に対して車輌前後方向Yに沿った枢支軸P2線回り上方側へ揺動された折れ姿勢とをとり得るように構成されている。これにより、前記補助ステップ653を使用しないときには、該補助ステップ653を前記ステップ台650の車輌幅方向X他方側(右側)端部に密着させることができ、車輌幅方向Xのコンパクト化を実現できる。
例えば、前記補助ステップ653は、前記ステップ台650の車輌幅方向X他方側(右側)端部に配設され得る。本実施の形態においては補助ステップ653は、車輌前後方向Y両端部において、上方に延びるように立設された前後一対の揺動部材653a,653aを備えている。そして、該一対の揺動部材653a,653aが該ステップ台650の該端部に設けられた支持部650aに車輌前後方向Yに沿った枢支軸P2線回り回動可能に支持されており、これにより、前記補助ステップ653で前記乗降姿勢と前記折れ姿勢とをとり得るようになっている。
【0041】
前記ステップ台650は、さらにステップ台用手すり654を備えている。
前記ステップ台用手すり654は、前記ステップ台650の前記格納位置への回動に伴って、折り畳み収納可能とされている。
これにより、前記ステップ台650を前記格納位置に位置させたときに、前記ステップ台用手すり654を折り畳み収納でき(図4参照)、従って、前記ステップ台用手すり654のコンパクト化が可能となる。
前記ステップ台用手すり654は、前記ステップ台650の車輌前後方向Y後端部に配設されている。前記ステップ台用手すり654は、さらに、前記ステップ台650の車輌幅方向X一方側(左側)端部にも配設されている。
【0042】
本実施の形態では、前記ステップ台用手すり654は、平面視L字状に屈曲した棒状の第1手すり部材654aと、背面視L字状に屈曲した棒状の左右一対の第2手すり部材654b,654cと、前記第1手すり部材654aに立設された第3手すり部材654dとを備えている。
さらに具体的には、前記第1手すり部材654aは、基端部654a’が前記挟持搬送機構70の搬送終端部下方の車輌本体部分から車輌前後方向Yに沿って延びており、該車輌本体部分に車輌前後方向Yに沿った軸線回りに回動自在とされていて、先端部654a”に向かう途中で車輌幅方向X他方側(右側)に向けて略直角に屈曲している。
前記左右一対の第2手すり部材654b,654cは、それぞれ、基端部654b’,654c’が前記ステップ台650の車輌前後方向Y後端部且つ車輌幅方向X一方側部分及び他方側部分から上方に延びており、該一方側部分及び他方側部分に車輌前後方向Yに沿った軸線回りに回動自在に配設されていて、先端部654b”,654c”に向かう途中で車輌幅方向X一方側(左側)に向けて略直角に屈曲している。
前記第3手すり部材654dは、一端部654d’が前記第1手すり部材654aの屈曲部近傍から上方に延びると共に、他端部654d”が前記第1手すり部材654aの先端部654a”から上方に延びており、延出部の途中で両者が連結するようにそれぞれ車輌幅方向X他方側及び一方側に向けて略直角に屈曲している。
前記一方側の第2手すり部材654bの先端部654b”は、前記第3手すり部材654dの一端部654d’を車輌前後方向Yに沿った軸線回りに回動自在に支持しており、前記他方側の第2手すり部材654cの先端部654c”は、前記第3手すり部材654dの他端部654d”を車輌前後方向Yに沿った軸線回りに回動自在に支持している。
【0043】
前記挟持搬送機構70は、図2に示すように、車輌幅方向X一方側(左側)且つ前記茎葉引き起こし機構30の後方に配設されており、前記茎葉引き起こし機構30によって引き起こされた根菜類の茎葉を挟持して車輌後方Y2且つ斜め上方に引き上げるように、且つ、車輌幅方向Xに沿った軸線回りに上下に回動して、引き上げ高さを変更したり、持ち上げたりできるように構成されている。
本実施形態では、前記挟持搬送機構70は、後部において下方へ延設したコンベア支持フレーム71の下部が前記走行機台10より上方へ突出した支持体72の上部に車輌幅方向Xに沿った上下回動軸72a線回り回動自在に支持されている。
【0044】
この挟持搬送機構70は、図1に示すように、車輌前後方向Yに沿って平行に且つ前低後高に傾斜して配置されるように後部下面が前記コンベア支持フレーム71によって支持された搬送フレーム73aと、前記搬送フレーム73aの車輌前後方向Y前部に支持された左右一対の第1搬送プーリー74L,74Rと、前記搬送フレーム73aの車輌前後方向Y後部に支持された左右一対の第2搬送プーリー75L,75Rと、前記茎葉引き起こし機構30側が前記一対の搬送ベルト73L,73Rにそれぞれ巻き掛けられ且つ前記茎葉引き起こし機構30側とは反対側が前記一対の搬送ベルト73L,73Rにそれぞれ巻き掛けられる左右一対の搬送ベルト73L,73Rであって、車輌幅方向X両側から根菜類を挟持して車輌後方Y2且つ斜め上方に向けて搬送する左右一対の搬送ベルト73L,73Rを有している。
【0045】
前記一対の第1搬送プーリー74L,74Rは、図1に示すように、それぞれ、前記挟持搬送機構70の前部に側面が対向するよう所定の間隔をおいて配設されており、又、前記一対の第2搬送プーリー75L,75Rは、それぞれ、前記挟持搬送機構70の後部に側面が対向するよう所定の間隔をおいて配設されている。前記一対の搬送ベルト73L,73Rは無端ベルトかなり、前記茎葉引き起こし機構30側でそれぞれ前記第1搬送プーリー74L,74Rに巻き掛けられ、前記茎葉引き起こし機構30側とは反対側でそれぞれ前記第2引き起こしプーリー75L,75Rに巻き掛けられ、さらに前記第1搬送プーリー74L,74Rと前記第2引き起こしプーリー75L,75Rとの間において複数のガイドプーリー76が設けられている。これにより、前記一対の搬送ベルト73L,73Rは、前記茎葉引き起こし機構30によって引き起こされた根菜類の茎葉を挟持して車輌後方Y2且つ斜め上方に引き上げることができる。
【0046】
又、前記挟持搬送機構70の搬送終端部近傍には前記搬送ベルト73L,73Rにて搬送される根菜類の茎葉部を切断するカッター79aが配置されており、搬送中途部分から後部の下面には、左右一対の搬送ベルト(図示省略)を巻回した補助搬送コンベア77が設けられており、該補助搬送コンベア77の搬送終端部下方には、根菜類の根部を前記選別コンベア機構800に導くガイド部材77aが設けられている。これにより、前記搬送ベルト73L,73Rにて搬送されてきた根菜類が所定の位置でカッター79aによって切断され、茎葉部側は前記搬送ベルト73L,73Rにてさらに搬送されて、該搬送ベルト73L,73Rの後方に設けられた茎葉排出ガイド73bから、該茎葉排出ガイド73bの下方に配置された茎葉排出シュート73cを介して圃場面に落下される。一方、根部側は前記補助搬送コンベア77にて搬送された後、前記ガイド部材77aによって前記選別コンベア機構800に案内される。
【0047】
前記選別コンベア機構800は、前記挟持搬送機構70から供給される根菜類を車輌幅方向X一方側(左側)から他方側(右側)へ向けて搬送するように構成されている。
例えば、前記選別コンベア機構800は、根菜類を搬送しつつ該根菜類に付着した土を落とすように構成され得る。本実施の形態では、軸線が車輌前後方向Yに沿うように車輌幅方向Xに所定の間隔をおいて並設された左右一対のプーリー81と、該一対のプーリー81に巻き掛けられた幅広の搬送ベルト82とを備えている。
なお、根菜類の選別作業の際には、根菜収穫機を操作する作業者とは別に選別者が配備され得る。
【0048】
前記昇降装置90は、図2に示すように、掘り起こし機構昇降装置91、茎葉引き起こし機構昇降装置92及び挟持搬送機構昇降装置93を備えている。なお、前記昇降装置91、92及び93は、本実施形態では、いずれも油圧シリンダーからなる昇降シリンダーである。
【0049】
前記掘り起こし機構昇降シリンダー91は、前記走行機台10上に固設された支持部材12に車輌幅方向Xに沿う第1回動軸P3回り回動自在に設けられていて、シリンダーロッド部91aが前記下リンク25に、該下リンク25の後端部から前記支点軸23を基準にして上方に延設されたアーム25aを介して第2回動軸P4回り回動自在に連結されている。この昇降シリンダー91は前記第1操作レバー54を操作することで作動するようになっている。これにより、前記第1操作レバー54の操作により、前記掘り起こし機構20の前記振動刃21(ひいては前記掘り起こし機構20に設けられた前記ゲージ輪34)を上下動させることができ、これにより土壌中への侵入深さを調節することができる。
【0050】
前記茎葉引き起こし機構昇降シリンダー92は、前記下リンク25に車輌幅方向Xに沿う第3回動軸P5回り回動自在に設けられていて、シリンダーロッド部92aが、回動リンク部材920の第1リンク921に車輌幅方向Xに沿う第4回動軸P6回り回動自在に連結されている。なお、前記回動リンク部材920は、車輌幅方向Xに沿う第5回動軸P7回りに互いに回動自在とされた第1及び第2リンク921,922からなり、前記第1リンク921の一端部921aが前記走行機台10上の前記支持部材12に、前記第2リンク922の他端部922aが前記茎葉引き起こし機構30の上部にそれぞれ車輌幅方向Xに沿う第6及び第7回動軸P8,P9回り回動自在に設けられている。この昇降シリンダー92は前記第2操作レバー55を操作することで作動するようになっている。これにより、前記第2操作レバー55の操作により、前記茎葉引き起こし機構30を上下動させることができる。
【0051】
前記挟持搬送機構昇降シリンダー93は、前記挟持搬送機構70において上方に延設された茎葉排出ガイド73bを介して第8回動軸P10回り回動自在に設けられていて、シリンダーロッド部93aが、前記回動リンク部材920の第5回動軸P7に回動自在に連結されている。この昇降シリンダー93は前記第3操作レバー56を操作することで作動するようになっている。これにより、前記第3操作レバー56の操作により、前記挟持搬送機構70の搬送始端部側を上下動させることができる。
【0052】
このように構成された昇降装置90において、前記掘り起こし機構昇降シリンダー91によって前記掘り起こし機構20を上下動させることで、それに連動して前記茎葉引き起こし機構30及び前記挟持搬送機構70を上下動させることができるし、また、前記掘り起こし機構昇降シリンダー91による前記掘り起こし機構20の上下動に拘わらず、前記茎葉引き起こし機構昇降シリンダー92と前記挟持搬送機構昇降シリンダー93とによって前記茎葉引き起こし機構30と前記挟持搬送機構70との相対位置を任意に変更することができる。例えば、前記茎葉引き起こし機構30の上下位置を大きく変えないで、前記茎葉引き起こし機構30の上下位置を変更することができる。
【0053】
この根菜収穫機100では、根菜類(例えば人参)を収穫するにあたり、作業者によって前記第1から第3操作レバー54〜56が操作されることで前記掘り起こし機構20(ひいては前記ゲージ輪34)、前記茎葉引き起こし機構30及び前記挟持搬送機構70が所望の上下位置に設定され、そのあと収穫作業が開始される。
【0054】
収穫作業が開始されると、前記走行装置11が走行され、機体が大根列に沿って進行しつつ前記掘り起こし機構20の前記振動刃21によって大根の根部が浮き上がり、前記茎葉引き起こし機構30において、土壌側の前記一対の第1引き起こしプーリー31L,31Rに巻き掛けられた前記一対の引き起こしベルト30L,30Rによって根菜類の茎葉部が車輌幅方向X両側から挟持されて前記挟持搬送機構70に向けて引き起こされ、さらに、前記挟持搬送機構70において、前記茎葉引き起こし機構30側の前記第1搬送プーリー74L,74Rに巻き掛けられた前記一対の搬送ベルト73L,73Rによって根菜類の茎葉部が車輌幅方向X両側から挟持されて該根菜類の根部と共に車輌後方Y2且つ斜め上方に向けて搬送され、そのあと搬送途中に設けられた前記カッター79aにより茎葉部が切断される。
【0055】
図1及び図2に示す前記カッター79aによって切断された根菜類の茎葉部は、そのまま前記挟持搬送機構70に搬送されて、前記茎葉排出ガイド73bから前記茎葉排出シュート73cを介して圃場面に落下される。一方、根菜類の根部は前記補助搬送コンベア77にて搬送された後、前記ガイド部材77aを介して前記選別コンベア機構800に案内される。
【0056】
前記選別コンベア機構800では、前記ガイド部材77aにて案内された根菜類の根部が前記搬送ベルト82上で搬送されつつ該根部に付着した土が落とされる。このとき、前記選別者によって根菜類の選別作業が行われ、該選別された根菜類の根部が順次前記コンテナCに落下され、該コンテナ内に収容される。根菜類の根部が収容されたコンテナCを空のコンテナCに入れ換える際や収穫作業が全て終了した際にはコンテナCの積み降ろし作業、さらには根菜類が収容されたコンテナCに他のコンテナが積み上げられる積み上げ作業が行われる。
【0057】
前記根菜収穫機100は、さらに、前記選別コンベア機構800から前記コンテナ台600に載置されるコンテナCに投入される根菜類の落下経路内に配設される損傷防止体700を備えている。
前記損傷防止体700は、図5に示すように、前記選別コンベア機構800の搬送終端部800bとその下方の該コンテナCの底面との間に位置し得るように構成されている。
斯かる損傷防止体700を備えることにより、前記選別コンベア機構800の搬送終端部800bから前記コンテナC内に落下する根菜類の損傷を有効に防止することができる。
【0058】
即ち、前記選別コンベア機構800から前記コンテナ台600に載置されるコンテナC内に投入される根菜類は、前記損傷防止体700によってワンクッションされた状態で、前記コンテナC内に収容される。
従って、前記根菜類が直接前記コンテナC内に投入される場合に比して、該根菜類の落下速度(即ち運動エネルギー)を低減化させることができ、これにより、該根菜類が損傷を受けたり、破損したりすることを有効に抑制することができる。
【0059】
特に、前記コンテナCが空の状態や少量の根菜類しか収容されていない状態で該コンテナCに根菜類が落下する場合のように該根菜類の落下経路が長い場合においては、前記損傷防止体700によって、前記根菜類に付加される衝撃をより効果的に低減化することができる。
【0060】
好ましくは、前記損傷防止体700は、図5に示すように、前記選別コンベア機構800から投入される根菜類と衝突する遮断面700aが該選別コンベア機構800の搬送終端部800bを向いた状態で傾斜するように構成され得る。
斯かる遮断面700aを備えることにより、該遮断面700aに衝突した根菜類が該遮断面700aと接触しつつ落下する(例えば、該遮断面700aを滑り落ちたり、転がり落ちたりする)ことになり、該根菜類への衝撃が緩和されると共に、該遮断面700aとの間に生じる摩擦抵抗によって、該根菜類の落下速度がより低減される。
【0061】
好ましくは、前記損傷防止体700(本実施形態では、前記遮断面700a)は、上方に開く凹状とされる。斯かる構成を備えることにより、前記根菜類への衝撃をより低減化させることができる。
なお、前記損傷防止体700は、根菜類への衝撃をさらに緩和するという観点から、弾力性を有する材料で形成されていてもよいし、根菜類の落下速度をさらに低減させるという観点から、少なくとも表面が摩擦抵抗の大きい材料で形成されていてもよい。
【0062】
好ましくは、前記損傷防止体700は、位置変更可能とされる。例えば、前記損傷防止体700は、根菜類が該コンテナC内で略均等に集積されるように、位置変更され得る。
本実施形態では、前記根菜収穫機100は、損傷防止体用アクチュエータ710(本実施形態では損傷防止体用油圧シリンダ)を備えており、前記損傷防止体700は、人為操作又は自動制御に基づく前記損傷防止体用アクチュエータ710の作動によって、設置位置が変更され得るようになっている。
なお、当然ながら、前記損傷防止体700を手動によって位置変更可能とすることも可能である。
【0063】
前記根菜収穫機100は、さらに、前記損傷防止体700が前記走行機台10に対して昇降し得るように、該損傷防止体700を揺動可能に支持するリンク機構720を備えている。
【0064】
本実施の形態においては、前記リンク機構720は、図5に示すように、前記損傷防止体700を車輌前後方向Yに沿った枢支軸P11回り揺動可能に支持している。
詳しくは、前記損傷防止体700は、前記リンク機構720によって、前記枢支軸P11回りに、前記落下経路に介挿された介挿位置(図5参照)と、前記落下経路から退避された退避位置(図3参照)とをとり得るようになっている。
本実施の形態においては、前記退避位置は、コンテナCの収容空間から退避した位置(例えば、該コンテナCの上端よりも上方に位置する最上方位置)とされている。
【0065】
具体的には、前記リンク機構720は、基端部721’が走行機台10(図示の形態においては、前記第2フレーム640b)に前記枢支軸P11回り揺動可能に連結され且つ先端部721”が前記損傷防止体700が車輌前後方向Yに沿った枢支軸P12回りに回動自在に連結される第1リンクアーム721を有している。なお、前記枢支軸P12は、前記損傷防止体700の基端部700’に設けられている。
そして、前記損傷防止体用油圧シリンダ710が、前記第1リンクアーム721を前記枢支軸P11回りに揺動させるように、固定部材710’が前記走行機台10に連結され且つ可動部材710”が前記第1リンクアーム721に連結されている。
【0066】
好ましくは、前記リンク機構720は、前記第1リンクアーム721に加えて、基端部722’が走行機台10(図示の形態においては、前記第2フレーム640b)に車輌前後方向Yに沿った枢支軸P13回り揺動可能に連結された第2リンクアーム722と、一端部723’が前記枢支軸P12に相対回転不能に連結され且つ他端部723”が前記第2リンクアーム722の自由端部722”の車輌前後方向Yに沿った枢支軸P14に該枢支軸P14回りに揺動可能に連結される第3リンクアーム723とを備えることができる。
【0067】
斯かる好ましい形態においては、前記損傷防止体700は、基端部700’が前記第3リンクアーム723に相対移動不能に支持されるようになっている。
即ち、斯かる構成により、前記損傷防止体700を退避位置から介挿位置に位置させるべく、前記第1リンクアーム721を前記枢支軸P11回りに下方へ回動させる際に、前記損傷防止体700が前記枢支軸P12回りに前記選別コンベア機構800に近接する方向へ回動することになり、これにより、前記損傷防止体700を前記コンテナC内に深く突入させることができる。
さらに、斯かる構成によれば、前記損傷防止体用アクチュエータ710によって前記損傷防止体700を介挿位置に位置させている際において、該損傷防止体700が前記枢支軸P12回りに若干揺動可能となる。
つまり、介挿位置に位置された前記損傷防止体700に前記選別コンベア機構800から投入される根菜類が衝突する際に、該損傷防止体700が枢支軸P12回りに揺動し、これにより、根菜類に付加される衝撃力を緩和させ得ることができる。
【0068】
好ましくは、前記選別コンベア機構800は、位置変更可能とされる。
本実施の形態においては、前記選別コンベア機構800は、搬送方向終端部800bが車輌幅方向Xに沿って位置変更可能となるように構成されている。これにより、該選別コンベア機構800のコンテナCに対する相対位置を任意に設定できるので、選別者の作業性が良好なものとなる。又、例えば、コンテナCが、可倒壁を有するものである場合には、該コンテナCの可倒壁を倒したり、起こしたりする際に有利となる。
前記根菜収穫機100は、具体的には、前記選別コンベア機構800を駆動する選別コンベア用アクチュエータ810(本実施形態では電動モータ)と、前記選別コンベア機構800を車輌幅方向Xに沿って往復動する移動機構820とを備えており、前記選別コンベア機構800は、人為操作又は自動制御に基づく前記選別コンベア用アクチュエータ810の作動によって、車輌幅方向Xに沿って位置変更されるようになっている。
なお、当然ながら、前記選別コンベア機構800を手動によって位置変更可能とすることも可能である。
【0069】
前記根菜収穫機100は、さらに、前記コンテナ台600に載置されるコンテナC内の根菜類の集積状態に応じて、前記損傷防止体700の設置位置、及び/又は、前記選別コンベア機構800の設置位置が自動的に変更されるように構成されている。
具体的には、前記根菜収穫機100は、集積状態検出装置900と、該集積状態検出装置900の検出値の検出信号に基づき前記損傷防止体用アクチュエータ710及び前記選別コンベア用アクチュエータ810の作動制御を司る制御装置101とを備えている。
【0070】
図6に、前記制御装置101の概略ブロック図を示す。又、図7に、前記損傷防止体700の設置位置が変更される状態を背面から視た模式的状態遷移図を示し、図8に、前記選別コンベア機構800のコンテナCに対する相対位置が変更される状態を背面から視た模式的状態遷移図を示し、図9に、前記損傷防止体700及び前記選別コンベア機構800の双方の設置位置が複合的に変更される状態を背面から視た模式的状態遷移図を示す。
【0071】
前記制御装置101は、図6に示すように、前記集積状態検出装置900からの信号を入力して、前記損傷防止体用アクチュエータ710、前記選別コンベア用アクチュエータ810、前記選別コンベア機構800及びその他の一連の収穫機構(ここでは前記掘り起こし機構20、前記茎葉引き起こし機構30及び前記挟持搬送機構70)へ制御信号を出力するように構成されている。
具体的には、該制御装置101は、前記集積状態検出装置900から入力される信号に基づいて演算処理を実行する制御演算手段を含む中央処理装置(CPU)102と、制御プログラム等を格納したり、各種演算式に関する所定のデータ等を記憶する前記ROM103と、前記CPU102の演算中に生成されるデータを一時的に保持するRAM104とを備えている。
【0072】
斯かる構成の前記制御装置101は、入力系が前記集積状態検出装置900に電気的に接続されると共に、出力系が前記損傷防止体用アクチュエータ710、前記選別コンベア用アクチュエータ810、前記選別コンベア機構800、前記掘り起こし機構20、前記茎葉引き起こし機構30及び前記挟持搬送機構70に電気的に接続されている。
【0073】
前記集積状態検出装置900は、前記コンテナ台600に載置されるコンテナC内に集積された根菜類集積体Qの高さを検出するように構成される。この集積状態検出装置900は、前記根菜類集積体Qの高さを検出できるものであれば、非接触型のセンサであっても、接触型のセンサであってもよい。
なお、前記集積状態検出装置900は、前記根菜類集積体Qの高さの代わりに、該根菜類集積体Qの重量を検出するように構成されていてもよい。この場合、前記制御装置101は、前記根菜類集積体Qの外形状(即ち、集積される根菜類集積体の安息角)に基づき、該根菜類集積体Qの重量から該根菜類集積体Qの高さを算出するように構成され得る。即ち、前記ROM103に、前記根菜類集積体Qの総重量と高さとの対応関係を示す関係式やテーブルマップを予め記憶させておくことができる。
【0074】
本実施の形態においては、前記集積状態検出装置900は、超音波センサを有している。該超音波センサは、例えば、図1〜図3に示されるように、前記コンテナCの上方に位置するように、前記屋根部材600の下面に配置される。
【0075】
まず、前記制御装置101が、前記集積状態検出装置900の検出信号に基づき前記損傷防止体用アクチュエータ710の自動制御を行う場合について、説明する。
根菜類Tの収穫を開始する際には、前記制御装置101は、前記損傷防止体700が介挿位置に位置するように、前記損傷防止体用アクチュエータ710を作動させる。そして、この状態において、根菜類Tの収穫及び選別作業を行い(図7(a)参照)、前記制御装置101は、前記集積状態検出装置900により根菜類集積体Qの高さが所定の第1高さh1に到達したことを検出すると(図7(b)参照)、前記制御装置101は、前記損傷防止体用アクチュエータ710を作動させて前記損傷防止体700を介挿位置から退避位置に位置させる(図7(c))。
斯かる制御を行うことにより、前記選別コンベア機構800から前記コンテナCに根菜類Tを投入させる際に、該根菜類Tの損傷を有効に防止しつつ、自動的に該根菜類Tを前記コンテナC内において略均等に集積させ得るように収容することができる。
【0076】
さらに、前記損傷防止体700を介挿位置から退避位置に移動させることによって、前記根菜類集積体Qの高さがh1より低くなると、前記制御装置101は、再び、前記損傷防止体700が介挿位置に位置するように前記損傷防止体用アクチュエータ710を作動制御させ得る。
なお、この際、前記コンテナC内には根菜類Tが所定高さ収容されている為、前記制御装置101は、前記損傷防止体700が前記コンテナ内の根菜類集積体Qに干渉しない範囲で、該損傷防止体700を介挿位置に位置させる。
即ち、前記制御装置101は、前記集積状態検出装置900によって検出される図7(c)の状態の根菜類集積体Qの高さに基づく制御量で、前記損傷防止体用アクチュエータ710を作動させる。
斯かる制御を行うことにより、前記コンテナCの上端位置まで、根菜類Tを略均等に集積させることができる。
【0077】
次に、前記制御装置101が、前記集積状態検出装置900の検出信号に基づき前記選別コンベア用アクチュエータ810の自動制御を行う場合について、説明する。
根菜類Tの収穫を開始する際には、前記制御装置101は、前記選別コンベア機構800の搬送方向終端部800bが前記コンテナ収容空間Sの車輌幅方向X他方側(右側)上に位置するように、前記選別コンベア用アクチュエータ810を作動させる。そして、この状態において、根菜類Tの収穫及び選別作業を行い、前記制御装置101は、前記集積状態検出装置900により根菜類集積体Qの高さが所定の第2高さh2に到達したことを検出すると(図8(a)参照)、前記制御装置101は、前記選別コンベア機構800の搬送方向終端部800bが前記コンテナ収容空間Sの車輌幅方向X一方側(左側)上に位置するように、前記選別コンベア用アクチュエータ810を作動させる(図8(b)参照)。
【0078】
そして、根菜類TのコンテナCに対する相対的な投入位置を徐々に車輌幅方向X一方側(左側)に移行させ、前記根菜類集積体Qを前記コンベア収容空間Sの車輌幅方向X一方側(左側)に集積する(図8(c))。なお、この際、前記コンテナC内には根菜類Tが所定高さ収容されている為、投入される根菜類Tや既に収容された根菜類Tへの損傷等の影響は少ない。
斯かる制御を行うことにより、前記選別コンベア機構800から前記コンテナCに根菜類Tを投入させる際に、自動的に該根菜類Tを前記コンテナC内において略均等に集積させ得るように収容することができる。
なお、前記第1高さh1及び前記第2高さh2は、異なるように設定されていてもよいが、ここでは前記第1高さh1及び前記第2高さh2が同じになるように設定されている。
【0079】
次に、前記制御装置101が、前記集積状態検出装置900の検出信号に基づき前記損傷防止体用アクチュエータ710及び前記選別用アクチュエータ810の双方を複合的に自動制御を行う場合について、説明する。
根菜類Tの収穫を開始する際には、前記制御装置101は、前記損傷防止体700が介挿位置に位置するように、前記損傷防止体用アクチュエータ710を作動させると共に、前記選別コンベア機構800の搬送方向終端部800bが前記コンテナ収容空間Sの車輌幅方向X他方側(右側)上に位置するように、前記選別コンベア用アクチュエータ810を作動させる。そして、この状態において、根菜類Tの収穫及び選別作業を行い(図9(a)参照)、前記制御装置101は、前記集積状態検出装置900により根菜類集積体Qの高さが所定の第1高さh1に到達したことを検出すると(図9(b)参照)、前記制御装置101は、前記損傷防止体用アクチュエータ710を作動させて前記損傷防止体700を介挿位置から退避位置に位置させる(図9(c))。
【0080】
前記損傷防止体700を介挿位置から退避位置に移動させることによって、前記根菜類集積体Qの高さがh1より低くなると、前記制御装置101は、再び、前記損傷防止体700が介挿位置に位置するように前記損傷防止体用アクチュエータ710を作動制御させ得る。
次に、前記制御装置101は、前記集積状態検出装置900により根菜類集積体Qの高さが所定の第2高さh2に到達したことを検出すると(図9(d)参照)、前記制御装置101は、前記選別コンベア機構800の搬送方向終端部800bが前記コンテナ収容空間Sの車輌幅方向X一方側(左側)上に位置するように、前記選別コンベア用アクチュエータ810を作動させる(図9(e))。
【0081】
そして、根菜類TのコンテナCに対する相対的な投入位置を徐々に車輌幅方向X一方側(左側)に移行させ、前記根菜類集積体Qを前記コンベア収容空間Sの車輌幅方向X一方側(左側)に集積する(図9(f)参照)。なお、この際、前記コンテナC内には根菜類Tが所定高さ収容されている為、投入される根菜類Tや既に収容された根菜類Tへの損傷等の影響は少ない。
斯かる制御を行うことにより、前記選別コンベア機構700から前記コンテナCに根菜類Tを投入させる際に、前記損傷防止体700にて該根菜類Tの損傷を有効に防止しつつ、前記損傷防止体700及び前記選別コンベア機構800にて自動的に該根菜類Tを前記コンテナC内において略均等に集積させ得るように収容することができる。
【0082】
次に、前記制御装置101は、前記集積状態検出装置900により根菜類集積体Qの高さが所定の第3高さh3(図9(f)参照)に到達したことを検出すると、前記制御装置101は、前記選別コンベア機構800の搬送を停止させる。本実施の形態では、前記選別コンベア機構800に加えて、前記掘り起こし機構20、前記茎葉引き起こし機構30及び前記挟持搬送機構70の駆動も停止させる。
なお、前記制御装置101は、前記第3制御状態において、前記集積状態検出装置900からの検出値に基づき、前記根菜類集積体Qの高さが前記第1高さh1及び前記第2高さh2を少しでも超えたと判断した場合に前記選別コンベア機構の搬送を停止するように構成されていることが好ましい。
又、前記第3高さh3は、コンテナCの根菜類Tを収容する制限容量に対応する高さとして設定されていることが好ましい。これにより、例えば、根菜類Tが収容されたコンテナCに他のコンテナが積み上げられる積み上げ作業において、該積み上げたコンテナの良好な安定性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】図1は、本発明の実施に係る根菜収穫機の概略構成を示す平面図である。
【図2】図2は、本発明の実施に係る根菜収穫機の概略構成を示す側面図である。
【図3】図3は、本発明の実施に係る根菜収穫機の概略構成を示す背面図である。
【図4】図4は、図3に示す状態においてステップ台が背面視においてコンテナ台に載置されるコンテナとオーバーラップしない格納位置に位置されている状態を示す図である。
【図5】図5は、図3に示す状態において選別コンベア機構が前進位置に位置し且つ損傷防止体が根菜類の落下経路に介挿された介挿位置に位置している状態を示す図である。
【図6】図6は、本発明の実施に係る根菜収穫機に備えられた制御装置の概略ブロック図である。
【図7】図7は、損傷防止体の設置位置が変更される状態を背面から視た模式的状態遷移図である。
【図8】図8は、選別コンベア機構のコンテナに対する相対位置が変更される状態を背面から視た模式的状態遷移図である。
【図9】図9は、損傷防止体及び選別コンベア機構の双方の設置位置が複合的に変更される状態を背面から視た模式的状態遷移図である。
【符号の説明】
【0084】
10…走行機台 30…茎葉引き起こし機構 50…運転席 70…挟持搬送機構
70a…挟持搬送機構の搬送終端部 100…根菜収穫機 101…制御装置
600…コンテナ台 650…ステップ台 700…損傷防止体
710…損傷防止体用アクチュエータ 800…選別コンベア機構
800a…選別コンベア機構の搬送始端部 810…選別コンベア用アクチュエータ
900…集積状態検出装置 C…コンテナ h1…根菜類集積体の第1高さ
h2…根菜類集積体の第2高さ R…段差 X…車輌幅方向 Y…車輌前後方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行機台と、
根菜類の茎葉を挟持して車輌後方且つ斜め上方に引き上げるように車輌幅方向一方側に配設された挟持搬送機構と、
前記走行機台における車輌幅方向他方側の前方に配設された運転席と、
前記運転席の後方に配設されたコンテナ台と、
前記挟持搬送機構の搬送終端部の下方に搬送始端部が位置するように車輌幅方向に沿って配設された選別コンベア機構であって、前記挟持搬送機構から供給される根菜類を車輌幅方向他方側へ向けて搬送する選別コンベア機構と、
前記選別コンベア機構から前記コンテナ台に載置されるコンテナに落下する根菜類の落下経路に介挿可能な損傷防止体であって、損傷防止体用アクチュエータの作動によって設置位置が変更可能とされた損傷防止体と、
該コンテナに収容される根菜類の集積状態を検出する集積状態検出装置と、
制御装置とを備え、
前記制御装置は、前記集積状態検出装置からの検出値に基づき、前記損傷防止体用アクチュエータを制御して前記損傷防止体の設置位置を変更するように構成されていることを特徴とする根菜収穫機。
【請求項2】
前記損傷防止体は、前記損傷防止体用アクチュエータによって車輌前後方向に沿った枢支軸線回りに昇降回動可能とされ、
前記集積状態検出装置は、前記コンテナ台に載置されるコンテナ内に集積される根菜類集積体の高さを検出するように構成されており、
前記制御装置は、前記集積状態検出装置からの検出値に基づき、前記根菜類集積体の高さが所定の第1高さ以下であると判断した場合には前記損傷防止体が前記落下経路に介挿された介挿位置に位置し、且つ、前記根菜類集積体の高さが前記第1高さを超えたと判断した場合には前記損傷防止体が前記枢支軸線回り上方へ回動するように、前記損傷防止体用アクチュエータを作動させることを特徴とする請求項1に記載の根菜収穫機。
【請求項3】
前記選別コンベア機構は、選別コンベア用アクチュエータの作動によって前記コンテナ台に載置されるコンテナに対する相対位置が水平方向に沿って変更可能とされており、
前記制御装置は、前記集積状態検出装置からの検出値に基づき、前記根菜類集積体の高さが所定の第2高さ以下であると判断した場合には前記選別コンベア機構の搬送終端部が該コンテナの根菜類を収容するコンテナ収容空間上の所定位置に位置し、且つ、前記根菜類集積体の高さが前記第2高さを超えたと判断した場合には前記選別コンベア機構の搬送終端部が前記コンテナ収容空間上の前記所定位置とは異なる位置に移動するように、前記選別コンベア用アクチュエータを作動させることを特徴とする請求項2に記載の根菜収穫機。
【請求項4】
前記選別コンベア機構は、前記選別コンベア用アクチュエータの作動によって車輌幅方向に沿って移動可能とされており、
前記制御装置は、
前記集積状態検出装置からの検出値に基づき、前記コンテナ台に載置されるコンテナ内に集積される根菜類集積体の高さが所定の第1高さ以下、且つ、前記根菜類集積体の高さが所定の第2高さ以下であると判断した場合には前記損傷防止体が前記落下経路に介挿された介挿位置に位置するように前記損傷防止体用アクチュエータを作動させると共に、前記選別コンベア機構の搬送終端部が前記コンテナ収容空間の車輌幅方向他方側上に位置するように前記選別コンベア用アクチュエータを作動させる第1制御を行い、
前記第1制御状態において、前記集積状態検出装置からの検出値に基づき、前記根菜類集積体の高さが前記第1位置を超えたと判断した場合に前記損傷防止体が上方へ回動するように前記損傷防止体用アクチュエータを作動させる第2制御を行い、
前記第2制御状態において、前記集積状態検出装置からの検出値に基づき、前記根菜類集積体の高さが前記第2高さ位置を超えたと判断した場合に前記選別コンベア機構の搬送終端部が前記コンテナ収容空間の車輌幅方向一方側上へ移動するように前記選別コンベア用アクチュエータを作動させる第3制御を行うことを特徴とする請求項3に記載の根菜収穫機。
【請求項5】
前記制御装置は、前記第3制御状態において、前記集積状態検出装置からの検出値に基づき、前記根菜類集積体の高さが所定の第3高さを超えたと判断した場合に前記選別コンベア機構の搬送を停止するように構成されていることを特徴とする請求項4に記載の根菜収穫機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−202405(P2007−202405A)
【公開日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−21275(P2006−21275)
【出願日】平成18年1月30日(2006.1.30)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【出願人】(504352788)オサダ農機株式会社 (10)
【Fターム(参考)】