根菜収穫機
【課題】玉葱を圃場Ｇからピックアップする第１コンベヤ装置と、玉葱を第１コンベヤ装置から受け継いで走行機体に搬送する第２コンベヤ装置とが備えられた玉葱収穫機において、第１コンベヤ装置の対地追従性を向上させる。
【手段】第１コンベヤ装置７は第２コンベヤ装置８の下端部に相対回動可能に連結されている。第１コンベヤ装置７は、第２コンベヤ装置８に対する相対姿勢が変わることにより、ゲージホイール１７が接地した状態が保持されている。第２コンベヤ装置８には、当該第２コンベヤ装置８の対地高さを検知するための接地ローラ７３とセンサ７９，８０とが設けられている。第２コンベヤ装置８の対地高さが所定の範囲に維持されることにより、第１コンベヤ装置７はゲージホイール１７を圃場Ｇに接地させつつ回動可能な状態に保持されている。
【手段】第１コンベヤ装置７は第２コンベヤ装置８の下端部に相対回動可能に連結されている。第１コンベヤ装置７は、第２コンベヤ装置８に対する相対姿勢が変わることにより、ゲージホイール１７が接地した状態が保持されている。第２コンベヤ装置８には、当該第２コンベヤ装置８の対地高さを検知するための接地ローラ７３とセンサ７９，８０とが設けられている。第２コンベヤ装置８の対地高さが所定の範囲に維持されることにより、第１コンベヤ装置７はゲージホイール１７を圃場Ｇに接地させつつ回動可能な状態に保持されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、例えば玉葱収穫機のように圃場から根菜を掬い上げて収穫する根菜収穫機に関するものである。
【背景技術】
【０００２】
根菜収穫機として玉葱収穫機があり、その構成の例が例えば特許文献１に開示されている。すなわちこの玉葱収穫機は、大きな要素として、エンジンを搭載すると共に運転席を備えたクローラ走行方式の走行機体と、玉葱を圃場から拾い上げる（掬いあげる）第１コンベヤ装置（拾上げコンベヤ装置）と、第１コンベヤ装置から玉葱を受け継いで走行機体に搬送する第２コンベヤ装置（持ち上げコンベヤ装置）とを備えてている。第２コンベヤ装置は側面視で後傾した姿勢で走行機体に連結されており、第１コンベヤ装置はその後部を中心にして上下回動するように第２コンベヤ装置の下端部に連結されている。
【０００３】
走行機体には、茎葉分離コンベヤ、小玉抜コンベヤ、選別コンベヤ等の選別処理用コンベヤが配置されている。玉葱がこれら処理用コンベヤでの移送途次において、土砂や小石や茎葉が落下すると共に、小玉や傷付き玉や腐敗玉等が除去され、規格玉だけがコンテナに収納される。
【０００４】
第２コンベヤ装置はその上部を中心にして回動するように走行機体に連結されており、第１油圧シリンダによって傾斜姿勢を変えることにより、下端が地面に近接した状態（下降状態）から下端が地面から大きく離れた状態（上昇状態）とに変化する。第２コンベヤ装置は路上走行では上昇しており、作業状態では下降している。なお、特許文献１では、第２コンベヤ装置はその上端寄りの部分を中心にして屈曲する構成になっている。
【０００５】
第１コンベヤ装置はその後部を中心にして回動するように第２コンベヤ装置の下部に連結されており、第２油圧シリンダによって回動操作できるようになっている。作業状態では第１コンベヤはその先端部が圃場に部分的に食い込んでおり、路上走行時には全体を上に持ち上げた姿勢になっている。
【０００６】
更に、第１コンベヤ装置の前端には圃場面に当たる左右一対のゲージホイールが配置されており、ゲージホイールにより、第１コンベヤの前端と圃場との相対的な高さが一定に保持されている（或いは、圃場の凹凸に追従して第１コンベヤの前端の高さが自動調節されている。）。
【０００７】
既述のとおり第１コンベヤの回動操作は第２油圧シリンダによって行われるが、作業状態では第２油圧シリンダはピストンロッドが自由に摺動し得るフリー状態になっている。従って、第１コンベヤ装置は第２コンベヤ装置に対して相対的に自由回動する状態になっており、第１コンベヤ装置は、第２コンベヤ装置に対する姿勢が自由に変わることにより、ゲージホイールが圃場に接地して第１コンベヤ装置を支持した状態が保持されている（換言すると、第１コンベヤ装置の前端が圃場に対して所定の高さに保持されている。）。
【特許文献１】２００１−３４６４２３号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００８】
既述のとおり、第１コンベヤ装置は、第２コンベヤ装置に対する相対的な姿勢が変わることにより、前端部の高さが圃場の凹凸に追従するようになっている。ところが、第２コンベヤ装置に対して第１コンベヤ装置が姿勢変化し得る範囲（第１コンベヤ装置と第２コンベヤ装置とが成す夾角の範囲）にはおのずと限界がある。すなわち、第１コンベヤ装置は、第１油圧シリンダが伸縮できる範囲内でしか第２コンベヤ装置に対して回動することはできない。
【０００９】
このため、例えば走行機体が前上がりになったり逆に前下がりになったりといように走行機体の側面視での姿勢が大きく変わると、第１コンベヤ装置の前端を圃場の凹凸に的確に追従させることができなくなったり、第１コンベヤ装置から第２コンベヤ装置への玉葱のスムースな移し替えが阻害されたりといった不具合の発生が懸念される。
【００１０】
具体的に述べると、
ａ）例えば走行機体が過度に後ろ下がり姿勢になることで第２コンベヤ装置の下端が圃場から上がり過ぎると、第１コンベヤ装置はその前端部が所定高さに下がる前に下向き回動不能（前倒し不能）になってしまい、第１コンベヤ装置に浮き現象が生じて玉葱を掬い上げできなくなる（或いは掬い残しがでる）、
ｂ）例えば走行機体が過度に前下がり姿勢になることで第２コンベヤ装置の下端が圃場に近づき過ぎる（下がり過ぎる）と、第１コンベヤ装置が過度に圃場に圧接した状態でありながら前端部を上昇させるように起こし回動させることができず、このため第１コンベヤ装置が圃場に突っ込み状態になってしまう、
ｃ）走行機体が過度に前傾した状態で第１コンベヤ装置のゲージホイールが対地追従することで第１コンベヤ装置と第２コンベヤ装置との夾角が小さくなり、その結果、第２コンベヤ装置の後傾角度が小さくなって玉葱が持ち上げられずに転がり落ちてしまう、
といった不具合が懸念される。
【００１１】
本願発明は、このような現状を改善した根菜収穫機を提供せんとするものである。
【課題を解決するための手段】
【００１２】
本願発明の根菜収穫機は、エンジンを搭載すると共に運転席が備えられた走行機体と、前記走行機体の進行方向前方において圃場の根菜を掬い上げる第１コンベヤ装置と、前記第１コンベヤ装置から根菜を受け継いで走行機体に移送する第２コンベヤ装置とを備えている。更に、前記第１コンベヤ装置は圃場面からの高さを変え得る状態で走行機体に連結されている一方、前記第２コンベヤ装置は、側面視において第２コンベヤ装置に対して相対回動し得るようにその後部が第２コンベヤの下部に連結されており、更に、前記第１コンベヤの先端部には圃場に接地する回転自在なゲージホイールが配置されており、第２コンベヤ装置に対する第１コンベヤ装置の相対姿勢を変えることでゲージホイールの接地状態が保持されるようになっている。
【００１３】
そして、請求項１の発明は、上記の構成において、「前記第２コンベヤ装置又はこれに取り付いた部材に、圃場に対する第２コンベヤ装置の高さを検知する高さ検知手段が設けられており、第２コンベヤ装置が圃場から所定高さ以上に高くなったことを高さ検知手段が検知すると第２コンベヤ装置を下降させ、第２コンベヤ装置が圃場から所定高さ以下に低くなったことを高さ検知手段が検知すると第２コンベヤ装置を上昇させる、というように高さ検知手段に基づいて第２コンベヤ装置の高さが制御される」という特徴を有している。
【００１４】
請求項２の発明は、請求項１において、前記高さ検知手段は圃場に当たった状態で転動し得る接地ローラを備えており、接地ローラが圃場に当たった状態が保持されるように第２コンベヤの高さが調節されている。
【００１５】
請求項３の発明は、請求項２において、前記接地ローラは、側面視で前傾姿勢に配置されたアームの下端部に回転自在に取付けられており、前記アームはその上部を中心にして回動するように前記第２コンベヤ装置又はこれに取付けた部材に連結されており、アームの回動によって第２コンベヤ装置の高さを検知するようになっている。また、請求項４の発明は、請求項１又は３において、前記接地ローラは、圃場面のうち前記ゲージホイールの走行跡（ワダチ後）の部分に接地するように配置されている。
【００１６】
なお、本願発明でいう「高さを検知」とは、第２コンベヤ装置の圃場面に対する高さ寸法の絶対値を検出するという意味ではなく（その意味を含め得る）、作業状態での第２コンベヤ装置の下降下限と下降上限との範囲を検知するという意味である。
【発明の効果】
【００１７】
根菜収穫機において、第１コンベヤ装置は、第２コンベヤ装置と成す夾角が変化することでゲージホイールを圃場の凹凸に追従させているのであるが、ゲージホイールを圃場に追従させた状態で第１コンベヤ装置の回動を許容させるためには、第１コンベヤ装置はその後端部を中心にして前端が上下動し得る状態になっていなければならず、そのためには、第１コンベヤ装置の後端は圃場からある程度の高さの範囲になければならない。
【００１８】
そして、第１コンベヤ装置の後端部は第２コンベヤ装置の下端部に連結されているから、第１コンベヤ装置の後端部は第２コンベヤ装置の下端部と一緒に上下動するのであるが、本願発明では、作業状態において、走行機体の姿勢や圃場の状態に関係なく第２コンベヤ装置の下端は圃場面から所定の高さの範囲に保持されるため、第１コンベヤ装置の後端部の高さを圃場面から所定の高さの範囲に保持されて低くなり過ぎたり高くなり過ぎたりすることはない。
【００１９】
従って、本願発明では、第１コンベヤ装置はゲージホイールが圃場の凹凸に追従して上下動する状態に保持されている。その結果、第１コンベヤ装置の浮き現象や圃場突っ込み現象を防止して的確な収穫作業を実現できる。また、第１コンベヤ装置の対地姿勢が過度に変化することを防止できるため、根菜の掬いあげのムラも無くすことができ、更に、第１コンベヤ装置と第２コンベヤ装置との相対角度がおおよそ一定に保たれるため、第１コンベヤ装置から第２コンベヤ装置への根菜の移し替えもスムースに行われる。
【００２０】
第２コンベヤ装置の高さ検知手段は様々に具体化できるが、請求項２のように接地ローラを備えた構成を採用すると、接地ローラは圃場の凹凸にスムースに追従し得るため、第２コンベヤ装置の高さの調節を正確に行える利点がある。特に請求項３の構成を採用すると、アームの回動支点が接地ローラよりも前進方向前方に位置することにより、アームが圃場面の凹凸に追従してスムースに回動するため、第２コンベヤ装置の高さ調節がより一層確実かつスムースになって好適である。
【００２１】
圃場面には細かい凹凸や軟硬があるが、高さ検知手段が圃場の状態に過度に反応するのは好ましくない。この点、請求項４の構成を採用すると、接地ローラはゲージホイールによって均されると共に適度に固められた部分を走行するため、接地ローラが過敏に昇降したり沈み込んだりすることが防止又は著しく抑制される。このため、圃場のおおまかな状態に追従して第２コンベヤ装置の昇降調節が的確に行われる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００２２】
以下、本願発明を玉葱収穫機に適用した実施形態を図面に基づいて詳述する。図１は全体の側面図、図２は概略平面図、図３は略前半部の側面図、図４は更に前部の側面図、図５は図４の拡大図でかつ要部の側面図、図６は図５のVI−VI視断面図、図７は図６の VII-VII視断面図である。なお、以下の説明で方向を示すために前後左右の文言を使用するが、この前後左右は玉葱収穫機の前進方向を向いた状態を基準にしている。
【００２３】
(1).玉葱収穫機の概略
玉葱収穫機は左右のクローラ２で走行する走行機体１を備えており、走行機体１のうち左右クローラ２で挟まれた部分の前半部には、エンジン４やミッション５等を内蔵したエンジン部３が配置されている。走行機体１の前部のうちエンジン部３の右横部には、ハンドルや操作レバー類が配置された運転席（操縦部）６を設けている。
【００２４】
玉葱収穫機には、更に、圃場Ｇの玉葱を掬い上げる（拾い上げる又は掻き上げると表現することもできる）第１コンベヤ装置７と、第１コンベヤ装置７から玉葱を受け継いで走行機体１に搬送する第２コンベヤ装置８とが備えられている。第２コンベヤ装置８は、側面視で下端が前に位置して上端が後ろに位置した後傾姿勢であり、かつ、平面視で後半部が走行機体１と部分的に重なる状態に配置されている。
【００２５】
第２コンベヤ装置８は、その大部分を構成する主部８ａと、上部を構成して主部８ａよりも寝た姿勢の補助部８ｂとから成っており、主部８ａと補助部８ｂとは互いに屈曲し得る状態に中間連結軸９で連結されている。従って、第２コンベヤ装置８は全体としてくの字状の形態になっている。主部８ａの下端部は左右のリフトアーム１０を介して走行機体１に連結されており、他方、補助部８ｂの後端（上端）は上連結軸１１によって走行機体１に回動可能に連結されている。
【００２６】
リフトアーム１０の後端部と走行機体１とは第２油圧シリンダ１２で連結されている。従って、第２油圧シリンダ１２が伸縮することによって第２コンベヤ装置８は後傾角度が変化し、これにより、第２コンベヤ装置８は地面（圃場面Ｇや路面）に対して昇降する（対地高さが変化する）。なお、第２コンベヤ装置８は、その上端は走行機体１に連結されているので全体が昇降するとは言えないが、地面との関係では昇降している。
【００２７】
第１コンベヤ装置７は、その後部を中心にして前部が上下動するように第２コンベヤ装置８の下端部に後部連結軸１３で連結されており、かつ、第２コンベヤ装置８に対する相対姿勢を変化させ得るように第１油圧シリンダ３２で連結されている。
【００２８】
更に、第１コンベヤ装置７は、玉葱を圃場Ｇから縁切りする掘取刃１４、玉葱を圃場Ｇから掬い上げる拾い上げ拾上コンベヤ１５、圃場Ｇの玉葱を拾上コンベヤ１５の上面に強制移動させる掻込コンベヤ１６、圃場Ｇ面に回転自在に当たっているゲージホイール１７、を備えている。掻込コンベヤ１６は、拾上コンベヤ１５の上面に重なるようにして周回する多数枚の掻込羽根１６ａを有している。なお、第１コンベヤ装置７はピックアップ装置と呼び換えることも可能である。
【００２９】
走行機体１に配置したエンジ部３は山形ボンネット１８を備えており、山形ボンネット１８の上方でかつ第２コンベヤ装置８の後端部（上端部）下方には、茎葉分離コンベヤ１９が配置されている。茎葉分離コンベヤ１９は水平に対して後傾した姿勢であり、玉葱は第２コンベヤ装置８から茎葉分離コンベヤ１９に移行し、茎葉分離コンベヤ１９の箇所で作業員によって茎葉が切り取られる。
【００３０】
図２に簡単に示すように、走行機体１の後端には後ろ向きに延びるフォーク２０ａを有するフォークリフト２０が昇降自在及び水平回動自在に装備されており、フォークリフト２０には収穫物集積用のコンテナ２１が搭載されている。フォークリフト２０によってコンテナ２１を圃場Ｇから持ち上げたり圃場Ｇに降ろしたりすることができる。走行機体１の後半部には上面開放の貯留箱２２が配置されている。貯留箱２２は内部が十字形の隔壁２３で仕切られており、このため、貯留箱２２は４つの受箱２４に区分されている。
【００３１】
図１及び図２に符号２６で示すのは選別コンベヤであり、この選別コンベヤ２６は、茎葉分離コンベヤ１９の後側から貯留箱２２の上方を通過してコンテナ２１に向かうように後部をやや高くした傾斜姿勢に配置されている。符号２７で示すのは、選別コンベヤ２６の左右外側部から下方の後部左右受箱２４に延設されたシュートである。選別コンベヤ２６の左右外側には、選別作業者を搭乗させるための左右の作業用ステップ２８が横方向に張り出す状態で設けられている。
【００３２】
図２に示す符号２９は、運転席６と反対側に位置した作業用ステップ２８に設けたはしごを示している。符号３０で示すのは、茎葉分離コンベヤ１９と選別コンベヤ２６の間に配置された小玉抜コンベヤである。
【００３３】
ゲージホイール１７を圃場Ｇに接地させた状態で走行機体１を前進させると、圃場Ｇの玉葱は、掘取刃９と掻込コンベヤ１６とを介して拾上コンベヤ１５に拾上げられ、拾上げられた玉葱は拾上コンベヤ１５を経て順次、第２コンベヤ装置８、茎葉分離コンベヤ１９、小玉抜コンベヤ３０、選別コンベヤ装置２０に搬送され、規格品は選別コンベヤ２６の終端からコンテナ２１に積み込まれる。
【００３４】
圃場Ｇの玉葱と一緒に土砂や茎葉類が拾上コンベヤ１５に拾上げられるが、土砂類は拾上コンベヤ１５及び第２コンベヤ装置８で搬送される途中で抜落ちて圃場Ｇに戻る。茎葉類の多くは第２コンベヤ装置８を経て玉葱と一緒に茎葉分離コンベヤ１９に移行する。茎葉分離コンベヤ１９はその上面が前進するように周回しているが、後傾姿勢であるため、玉葱は茎葉分離コンベヤ１９を転がり落ちて小玉抜コンベヤ３０に移行する。
【００３５】
他方、茎葉類は柔らかくて長いため摩擦によって茎葉分離コンベヤ１９に止まって前送りされ、茎葉分離コンベヤ１９の前端から下方のボンネット１８の前下がり傾斜面上に落下し、ボンネット１８の前下がり傾斜面上に滑落して走行機体１の前側から圃場Ｇに落ちる。
【００３６】
規格サイズ以下の小玉の玉葱は小玉抜コンベヤ３０から下方に抜け落ちて、ボンネット１８の後下がり傾斜面上に落下し、下方の前部左右受箱２４に収集される。規格サイズ以上の玉葱は小玉抜コンベヤ３０で選別コンベヤ２６に送られててコンテナ２１に溜められる。そして、規格サイズ以上の玉葱が選別コンベヤ装置２０で搬送される過程で、作業用ステップ２８に載った作業者によって傷付玉や腐敗玉等の不良品が除去され、不良品は放出シュート２１を介して下方の後部左右受箱２４に落とされて収集される。
【００３７】
このようにして、規格サイズ以上でかつ傷や腐りのない良品の玉葱だけが選別コンベヤ２６からコンテナ２１に積込まれる。コンテナ２１を挟んだ左右両側には、均平作業用ステップ３１が設けられている。コンテナ２１に溜まっている玉葱群は、均平作業用ステップ３１に載った作業者によって上面が平になるように均される。
【００３８】
既述のように、コンテナ２１の玉葱が所定量になるとコンテナは圃場Ｇに降ろされ、次の空コンテナ２１が積み込まれる。なお、フォークリフト２０は油圧シリンダで駆動されるが、詳細は省略する。
【００３９】
(2).第第２コンベヤ装置の構造
次に、本願発明の要部が組み込まれている第１コンベヤ装置７及び第２コンベヤ装置８とを詳述する。まず、第２コンベヤ装置８の構造から説明する。
【００４０】
第２コンベヤ装置８は、主部８ａの構成要素である左右の主第２側枠３３と、補助部８ｂの構成要素である左右の副第２側枠３４とを備えており、主第２側枠３３の上端部と副第２側枠３４の前端部とは既述した中間連結軸９によって相対回動可能に連結されており、副第２側枠３４の後端は既述した上連結軸１１によって走行機体１に相対回動可能に連結されている。
【００４１】
エンジン部３の左右外側にはガードフレーム３５が立設されており、このガードフレーム３５の上に左右のトップフレーム３６を立設しており、第２コンベヤ装置８を構成する補助第２側枠３４は、上連結軸１１によってトップフレーム３６の上端部に回動可能に連結（枢支）されている。左右の主第２側枠３３の下部に前記リフトアーム１０の前端部が連結されている。
【００４２】
また、第２コンベヤ装置８は、主要要素として搬送用の第２コンベヤ３７を備えているが、この第２コンベヤ３７は、主第２側枠３３の下端部を繋ぐ下連結軸３８に設けた下スプロケット３９と、前記中間連結軸９と同軸に設けた中間スプロケット４０と、前記上連結軸１１と同軸に設けた上スプロケット４１とに巻き掛けている。また、前記中間スプロケット３９の近傍には、第２コンベヤ３７を行きと戻りが平行になるように保持するためのアイドルスプロケット４２を設けている。アイドルスプロケット４２は主第２側枠３３に取付けられている。
【００４３】
第２コンベヤ３７は、例えば、網状のベルト体に多数の横長樋状バケット３７ａを適宜間隔で取付けた形式になっている。なお、第２コンベヤ３７は持ち上げコンベヤや中継コンベヤと呼び変えることも可能である。
【００４４】
第２コンベヤ装置８を構成する片側（前進方向を向いた左側）の主第２側枠３３の下端部に、スイッチレバー４３を有する補助リミットスイッチ４４が取付けられている一方、第１コンベヤ装置７を構成する片側の第１側枠３７には、前記補助リミットスイッチ４４のスイッチレバー４３に当たり得る操作ピン４５が横向きに突設されている。
【００４５】
拾上コンベヤ１５を略水平姿勢で地面からある程度の高さ（設定高さ）に上昇させると操作ピン４５がスイッチレバー４３に当たって、補助ミットスイッチ４４はオフ状態に保持される。拾上コンベヤ１５を設定高さ以下に下降させると、操作ピン４５がスイッチレバー４３から離れて補助リミットスイッチ４４がオン状態に保持される。従って、拾上コンベヤ装置１１の高さが設定高さ以上か以下かが補助リミットスイッチ４４で検出される。
【００４６】
前記第１油圧シリンダ３２は単動形であり、油圧ポンプから電磁弁を介して圧油がピストンロッドの送りポートと戻しポートとに供給される。詳細は省略するが、油圧ポンプと第２油圧シリンダ１２とを繋ぐ油圧回路には、補助リミットスィッチのＯＮ・ＯＦＦによって作動が入り・切りされるフローティング機構を設けている。このフローティング機構により、第１コンベヤ装置７を地面から所定高さに保持する態様と、第１コンベヤ装置７を所定高さよりも高く上昇させる態様と、第２油圧シリンダ１２の圧力を開放して圃場Ｇの凹凸に追従させる態様、の３つの態様を選択できる（詳細は既述の特許文献１に開示されている。）。
【００４７】
(3).第１コンベヤ装置の構造
次に、第１コンベヤ装置７の構造を説明する。例えば図４に示すように、第１コンベヤ装置７は左右の第１側枠（側板）４７を備えており、この第１側枠４７に掘取刃９と拾上コンベヤ１５とが取付けられている。拾上コンベヤ１５は例えば網状のベルト方式になっている。掘取刃９は第１側枠４７に固定されており、他方、拾上コンベヤ１５は側枠４７に対して、前後連結軸４８，１３及びこれらに回転自在に設けた前後スプロケット４９，５０を介して周回自在に取付けられている。
【００４８】
第１コンベヤ装置７を構成する左右の第１側枠４７は、拾上コンベヤ１５の後部連結軸１３によって第２主側枠３３に相対回動可能に連結されている。また、第１コンベヤ装置７の後部スプロケット５０が固定された回転軸と第２コンベヤ装置８の下スプロケット３９が固定された回転軸とには、伝動スプロケットを介して伝動チェン５１が巻き掛けられている。従って、拾上コンベヤ１５は第２コンベヤ３７によって駆動される。
【００４９】
左右の第１側枠４７の後部はそれぞれ上向きに突出しており、左右の第１側枠４７の後部上端と左右の第２主側枠３３とにそれぞれ第１油圧シリンダ３２が相対可能に連結されている。正確に述べると、第１油圧シリンダ３２の後端は主第２側枠３３にピンで相対回動可能に連結されており、第１油圧シリンダ３２におけるピストンロッド３２ａの前端は第１側枠４７の後部上端にピンで相対回動可能に連結されている。
【００５０】
従って、第１油圧シリンダ３２を伸縮駆動することにより、第１コンベヤ装置７は前倒れしたり起きたりというように第２コンベヤ装置８に対して相対回動する（第１コンベヤ装置７が昇降すると言い換えてもよい。）。
【００５１】
左右の側枠４７の外側には前向きに延びる左右の支持フレーム５２が配置されている。支持フレーム５２は、その後端部を中心にして上下回動し得るように第１側枠４７に軸で連結されており、かつ、支持フレーム５２の先端に、ブラケット５２ａを介してゲージホイール１７が回転自在に取付けられている。
【００５２】
図４に一点差線で示すように、左右の支持フレーム５２の前寄り部位には上向きのブラケット５３が固定されており、左右のブラケット５３に横杆５４が固定されている。横杆５４の左右両端部には側面視後傾姿勢のアーム５５がその後端を中心に回動し得るようにそれぞれ連結されており、左右アーム５５の上下中途部と左右の第１側枠４７とが連結杆５６で相対回動可能に連結されている。更に、左右アーム５８の下端と支持フレーム５２とは、前後方向に延びる第３油圧シリンダ５７を介して相対回動可能に連結されている。
【００５３】
従って、第３油圧シリンダ５７が伸縮すると、アーム５５と連結杆５６との回動を介して支持フレーム５２が回動し、その結果、ゲージホイール１７が第１側枠４７に対して昇降する。すなわち、第３油圧シリンダ５７の伸縮によってゲージホイール１７と拾上コンベヤ１５との相対的な高さが変化するのであり、これによって拾上コンベヤ１５の先端部の対地高さを調節できる。
【００５４】
掻込コンベヤ１６は、チェン等の無体帯に多数の掻き込み羽根１６ａを取付けた構造になっており、前後のスプロケット５８ａ，５８ｂによって周回する。リアスプロケット５８ｂは、左右第１側枠４７の上向き後部にリア回転軸５９を介して回転自在に取付けられており、フロントスプロケット５８ａは、第１主側枠４７の前部に突設したブラケット６０にフロント軸を介して取付けられている。掻込コンベヤ１６のリア回転軸５９には、拾上コンベヤ１５の後部連結軸１３の箇所から伝動チェン６１及びアイドルスプロケットを介して動力が伝達されている。
【００５５】
第１コンベヤ装置７及び第２コンベヤ装置８への動力伝達機構は図３に大まかに示されている。すなわち、エンジン４の出力軸の回転は変速ケース６２の出力軸であるＰＴＯ軸６３に伝達され、このＰＴＯ軸６３から複数のチェン６４，６５を介して第２コンベヤ装置８の上スプロケット４１に伝達される。第１コンベヤ装置７の動力が第２コンベヤ３７を介して行われることは既に述べた。
【００５６】
(4).第２コンベヤ装置の高さ規制手段
図３に全体を示して図４に一部を示すように、第２コンベヤ装置８における主第２側枠３３のうち運転席６に近い側の第２側枠３３には、作業状態で第２コンベヤ装置８の主部８ａの下降をロックしたりロック解除したりできるレバー６７やストッパー６８が設けられている。
【００５７】
すなわち、平坦な圃場Ｇで機体が前後に傾いていない状態では、第２コンベヤ装置８を地面から所定高さ（約１００ミリ前後の高さ）に保持してそれ以下に下降するのを規制するものであり、ストッパー６８で第２コンベヤ装置８の下降が阻止され、レバー６７により、ストッパー６８が機能する状態と機能しない状態とに切り替えられる。
【００５８】
ストッパー６８は、主第２側枠３３の下部外面のうちリフトアーム１０の上側部分に前後方向の軸回りに回動自在に取付けられており、かつ、内面が主第２側枠３３の外面に当接した下向き姿勢となる作用位置にコイルばね６９で付勢されている。ストッパー６８が下向き姿勢のときは、ストッパー６８がリフトアーム１０の上面に当たることにより、第２コンベヤ装置８は設定高さ以下に下降しない通常作業位置に保持される。
【００５９】
レバー６７を例えば上向きに回動させると、ワイヤー７０の引っ張りによってストッパー６８は横向き姿勢となり、その結果、第２コンベヤ装置８は通常作業位置よりも下方に下降させ得る。本願発明では、一般に、ストッパー６８が機能していな規制解除モードに適用される（すなわち、第２コンベヤ装置８は通常作業位置を境にした上下に昇降できる。）。
【００６０】
図５，図６に明示するように、本願発明の特徴の具体例として、左右リフトアーム１０のうち片方（両方でもよい）のリフトアーム１０の前端部に、アーム７２を介して接地ローラ７３が回転自在に取付けられていると共に、アーム７２の回動によってＯＮ・ＯＦＦするセンサ７４が取付けられている。アーム７２は前から後ろに向けて低くなるように側面視で前傾した姿勢になっており、リフトアーム１０に固着したブラケット７５に上端部がピン７６で連結されている。接地ローラ７３は、圃場Ｇのうちゲージホイール１７で踏まれた後（図２に符号７７で示す）を転動するように設定されている。
【００６１】
アーム７２は前傾姿勢が保持されるように吊り具７８が連結されている。吊り具７８は第２コンベヤ装置８を地面上に高く上昇させたときにアーム７２が鉛直姿勢まで回動しないように規制するものであり、通常の作業状態ではいずれの方向にも回動する状態が保持されている。
【００６２】
センサ７４はアーム７２の回動によって第２コンベヤ装置８の対地高さを検知するものであるが、具体的な検知態様として本実施形態では、図５（Ｂ）に示すように、それぞれ回動式接触子７９ａ，８０ａを有する第１リミットスィッチ７９，第２リミットスィッチ８０が使用されている。
【００６３】
接地ローラ７３が圃場Ｇに当たるとアーム７２に設けたドグ部７２ａが第１リミットスィッチ７９の接触子７９ａに当たることで第１リミットスィッチ７９がＯＮ（通電状態）になり、第２コンベヤ装置８が下限位置（危険高さ）まで下降するとドグ部７２ａが第２リミットスィッチ８０の接触子８０ａに当たって第２リミットスィッチ８０はＯＮになる。
【００６４】
従って、作業モードにおいて、両リミットスィッチ７９，８０がＯＦＦになると第２コンベヤ装置８が下降するように第２油圧シリンダ１２を駆動し、両リミットスィッチ７９，８０がＯＮになったら第２コンベヤ装置８が上昇する、というように第２油圧シリンダ１２を駆動するように両リミットスィッチ７９，８０と第２油圧シリンダ１２を制御装置で関連付けることにより、第２コンベヤ装置８は所定の範囲の対地高さに保持される（言うまでもないが、この状態では第１リミットスィッチ７９はＯＮで第２リミットスィッチ８０がＯＦＦになっている。）。
【００６５】
このように第２コンベヤ装置８の対地高さが高過ぎず低過ぎない高さであるため、第１コンベヤ装置７はゲージホイール１７が圃場Ｇに適度の接地圧で当たった状態を保持しつつ上下いずれの方向に回動することが許容されている。その結果、圃場Ｇに凹凸があっても第１コンベヤ装置７の対地追従性が確保されるのである。第１リミットスィッチ７９と第２リミットスィッチ８０とがＯＮ・ＯＦＦする具体的な高さは、第１コンベヤ装置７が第２コンベヤ装置８に対して相対回動し得る範囲に応じて定めたらよい。例えば、第２コンベヤ装置８の対地高さを５０〜１５０ｍｍ程度の範囲に保持することができる。
【００６６】
なお、両リミットスィッチ７９，８０が小刻みにＯＮ・ＯＦＦするのは好ましくないので、例えば両リミットスィッチ７９，８０がＯＦＦの状態から第２コンベヤ装置８を下降させる場合であると、第１リミットスィッチ７９がＯＮになった後も若干下降を続けるように第２油圧シリンダ１２を制御するといよううに、第２油圧シリンダ１２の駆動停止を遅延させるのが好ましい。
【００６７】
本実施形態では接地ローラ７３をリフトアーム１０に設けているが、リフトアーム１０の先端部は第２コンベヤ装置８と一緒に上下動するので、第２コンベヤ装置８の高さを検知する上で実際上の問題はない。勿論、接地ローラ７３を第２主側枠３３に取付けてもよい。
【００６８】
(5).その他
本願発明は上記の実施形態の他にも様々の態様に具体化できる。例えば接地ローラ７３を使用することに代えて、接地体として橇状のものを使用することも可能である。また、アームを使用せずに、接地ローラをガイド体に上下動可能に取り付けることも可能である。
【００６９】
また、接地ローラ等の接地体の昇降動を電気信号に変えるセンサとしては、リミットスィッチの他に、ロータリー式又はリニア式のエンコーダ、光電スイッチ、各種の近接スイッチ、ポテンショメータなどの各種のものを使用可能である。センサ類を使用せずに、第２油圧シリンダへの圧油の送りを切り替えるバルブを第２コンベヤ装置に設けて、アーム等によってバルブを直接に切り替えることも可能である。
【００７０】
更に本願発明の適用対象は玉葱収穫機に限られるものではなく、例えばじゃがいも収穫機等の芋類収穫機、人参収穫機などの各種の根菜収穫機に適用できる（なお、本願発明では落花生収穫機も根菜収穫機に含まれる）。
【図面の簡単な説明】
【００７１】
【図１】根菜収穫機の一例である玉葱収穫機の全体の側面図である。
【図２】玉葱収穫機の概略平面図である。
【図３】玉葱収穫機の略前半部の側面図である。
【図４】玉葱収穫機の前部の側面図である。
【図５】図４の拡大図でかつ要部の側面図である。
【図６】図５のVI−VI視断面図である。
【図７】図６の VII-VII視断面図である。
【００７２】
１ 走行機体
４ エンジン
６ 運転席
７ 第１コンベヤ装置
８ 第２コンベヤ装置
１４ 掘取刃 １５ 拾上コンベヤ
１６ 掻込コンベヤ
１７ ゲージホイール
３７ 第２コンベヤ
７２ アーム
７２ａ ドグ部
７３ 接地ローラ
７９，８０ リミットスィッチ
【技術分野】
【０００１】
本発明は、例えば玉葱収穫機のように圃場から根菜を掬い上げて収穫する根菜収穫機に関するものである。
【背景技術】
【０００２】
根菜収穫機として玉葱収穫機があり、その構成の例が例えば特許文献１に開示されている。すなわちこの玉葱収穫機は、大きな要素として、エンジンを搭載すると共に運転席を備えたクローラ走行方式の走行機体と、玉葱を圃場から拾い上げる（掬いあげる）第１コンベヤ装置（拾上げコンベヤ装置）と、第１コンベヤ装置から玉葱を受け継いで走行機体に搬送する第２コンベヤ装置（持ち上げコンベヤ装置）とを備えてている。第２コンベヤ装置は側面視で後傾した姿勢で走行機体に連結されており、第１コンベヤ装置はその後部を中心にして上下回動するように第２コンベヤ装置の下端部に連結されている。
【０００３】
走行機体には、茎葉分離コンベヤ、小玉抜コンベヤ、選別コンベヤ等の選別処理用コンベヤが配置されている。玉葱がこれら処理用コンベヤでの移送途次において、土砂や小石や茎葉が落下すると共に、小玉や傷付き玉や腐敗玉等が除去され、規格玉だけがコンテナに収納される。
【０００４】
第２コンベヤ装置はその上部を中心にして回動するように走行機体に連結されており、第１油圧シリンダによって傾斜姿勢を変えることにより、下端が地面に近接した状態（下降状態）から下端が地面から大きく離れた状態（上昇状態）とに変化する。第２コンベヤ装置は路上走行では上昇しており、作業状態では下降している。なお、特許文献１では、第２コンベヤ装置はその上端寄りの部分を中心にして屈曲する構成になっている。
【０００５】
第１コンベヤ装置はその後部を中心にして回動するように第２コンベヤ装置の下部に連結されており、第２油圧シリンダによって回動操作できるようになっている。作業状態では第１コンベヤはその先端部が圃場に部分的に食い込んでおり、路上走行時には全体を上に持ち上げた姿勢になっている。
【０００６】
更に、第１コンベヤ装置の前端には圃場面に当たる左右一対のゲージホイールが配置されており、ゲージホイールにより、第１コンベヤの前端と圃場との相対的な高さが一定に保持されている（或いは、圃場の凹凸に追従して第１コンベヤの前端の高さが自動調節されている。）。
【０００７】
既述のとおり第１コンベヤの回動操作は第２油圧シリンダによって行われるが、作業状態では第２油圧シリンダはピストンロッドが自由に摺動し得るフリー状態になっている。従って、第１コンベヤ装置は第２コンベヤ装置に対して相対的に自由回動する状態になっており、第１コンベヤ装置は、第２コンベヤ装置に対する姿勢が自由に変わることにより、ゲージホイールが圃場に接地して第１コンベヤ装置を支持した状態が保持されている（換言すると、第１コンベヤ装置の前端が圃場に対して所定の高さに保持されている。）。
【特許文献１】２００１−３４６４２３号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００８】
既述のとおり、第１コンベヤ装置は、第２コンベヤ装置に対する相対的な姿勢が変わることにより、前端部の高さが圃場の凹凸に追従するようになっている。ところが、第２コンベヤ装置に対して第１コンベヤ装置が姿勢変化し得る範囲（第１コンベヤ装置と第２コンベヤ装置とが成す夾角の範囲）にはおのずと限界がある。すなわち、第１コンベヤ装置は、第１油圧シリンダが伸縮できる範囲内でしか第２コンベヤ装置に対して回動することはできない。
【０００９】
このため、例えば走行機体が前上がりになったり逆に前下がりになったりといように走行機体の側面視での姿勢が大きく変わると、第１コンベヤ装置の前端を圃場の凹凸に的確に追従させることができなくなったり、第１コンベヤ装置から第２コンベヤ装置への玉葱のスムースな移し替えが阻害されたりといった不具合の発生が懸念される。
【００１０】
具体的に述べると、
ａ）例えば走行機体が過度に後ろ下がり姿勢になることで第２コンベヤ装置の下端が圃場から上がり過ぎると、第１コンベヤ装置はその前端部が所定高さに下がる前に下向き回動不能（前倒し不能）になってしまい、第１コンベヤ装置に浮き現象が生じて玉葱を掬い上げできなくなる（或いは掬い残しがでる）、
ｂ）例えば走行機体が過度に前下がり姿勢になることで第２コンベヤ装置の下端が圃場に近づき過ぎる（下がり過ぎる）と、第１コンベヤ装置が過度に圃場に圧接した状態でありながら前端部を上昇させるように起こし回動させることができず、このため第１コンベヤ装置が圃場に突っ込み状態になってしまう、
ｃ）走行機体が過度に前傾した状態で第１コンベヤ装置のゲージホイールが対地追従することで第１コンベヤ装置と第２コンベヤ装置との夾角が小さくなり、その結果、第２コンベヤ装置の後傾角度が小さくなって玉葱が持ち上げられずに転がり落ちてしまう、
といった不具合が懸念される。
【００１１】
本願発明は、このような現状を改善した根菜収穫機を提供せんとするものである。
【課題を解決するための手段】
【００１２】
本願発明の根菜収穫機は、エンジンを搭載すると共に運転席が備えられた走行機体と、前記走行機体の進行方向前方において圃場の根菜を掬い上げる第１コンベヤ装置と、前記第１コンベヤ装置から根菜を受け継いで走行機体に移送する第２コンベヤ装置とを備えている。更に、前記第１コンベヤ装置は圃場面からの高さを変え得る状態で走行機体に連結されている一方、前記第２コンベヤ装置は、側面視において第２コンベヤ装置に対して相対回動し得るようにその後部が第２コンベヤの下部に連結されており、更に、前記第１コンベヤの先端部には圃場に接地する回転自在なゲージホイールが配置されており、第２コンベヤ装置に対する第１コンベヤ装置の相対姿勢を変えることでゲージホイールの接地状態が保持されるようになっている。
【００１３】
そして、請求項１の発明は、上記の構成において、「前記第２コンベヤ装置又はこれに取り付いた部材に、圃場に対する第２コンベヤ装置の高さを検知する高さ検知手段が設けられており、第２コンベヤ装置が圃場から所定高さ以上に高くなったことを高さ検知手段が検知すると第２コンベヤ装置を下降させ、第２コンベヤ装置が圃場から所定高さ以下に低くなったことを高さ検知手段が検知すると第２コンベヤ装置を上昇させる、というように高さ検知手段に基づいて第２コンベヤ装置の高さが制御される」という特徴を有している。
【００１４】
請求項２の発明は、請求項１において、前記高さ検知手段は圃場に当たった状態で転動し得る接地ローラを備えており、接地ローラが圃場に当たった状態が保持されるように第２コンベヤの高さが調節されている。
【００１５】
請求項３の発明は、請求項２において、前記接地ローラは、側面視で前傾姿勢に配置されたアームの下端部に回転自在に取付けられており、前記アームはその上部を中心にして回動するように前記第２コンベヤ装置又はこれに取付けた部材に連結されており、アームの回動によって第２コンベヤ装置の高さを検知するようになっている。また、請求項４の発明は、請求項１又は３において、前記接地ローラは、圃場面のうち前記ゲージホイールの走行跡（ワダチ後）の部分に接地するように配置されている。
【００１６】
なお、本願発明でいう「高さを検知」とは、第２コンベヤ装置の圃場面に対する高さ寸法の絶対値を検出するという意味ではなく（その意味を含め得る）、作業状態での第２コンベヤ装置の下降下限と下降上限との範囲を検知するという意味である。
【発明の効果】
【００１７】
根菜収穫機において、第１コンベヤ装置は、第２コンベヤ装置と成す夾角が変化することでゲージホイールを圃場の凹凸に追従させているのであるが、ゲージホイールを圃場に追従させた状態で第１コンベヤ装置の回動を許容させるためには、第１コンベヤ装置はその後端部を中心にして前端が上下動し得る状態になっていなければならず、そのためには、第１コンベヤ装置の後端は圃場からある程度の高さの範囲になければならない。
【００１８】
そして、第１コンベヤ装置の後端部は第２コンベヤ装置の下端部に連結されているから、第１コンベヤ装置の後端部は第２コンベヤ装置の下端部と一緒に上下動するのであるが、本願発明では、作業状態において、走行機体の姿勢や圃場の状態に関係なく第２コンベヤ装置の下端は圃場面から所定の高さの範囲に保持されるため、第１コンベヤ装置の後端部の高さを圃場面から所定の高さの範囲に保持されて低くなり過ぎたり高くなり過ぎたりすることはない。
【００１９】
従って、本願発明では、第１コンベヤ装置はゲージホイールが圃場の凹凸に追従して上下動する状態に保持されている。その結果、第１コンベヤ装置の浮き現象や圃場突っ込み現象を防止して的確な収穫作業を実現できる。また、第１コンベヤ装置の対地姿勢が過度に変化することを防止できるため、根菜の掬いあげのムラも無くすことができ、更に、第１コンベヤ装置と第２コンベヤ装置との相対角度がおおよそ一定に保たれるため、第１コンベヤ装置から第２コンベヤ装置への根菜の移し替えもスムースに行われる。
【００２０】
第２コンベヤ装置の高さ検知手段は様々に具体化できるが、請求項２のように接地ローラを備えた構成を採用すると、接地ローラは圃場の凹凸にスムースに追従し得るため、第２コンベヤ装置の高さの調節を正確に行える利点がある。特に請求項３の構成を採用すると、アームの回動支点が接地ローラよりも前進方向前方に位置することにより、アームが圃場面の凹凸に追従してスムースに回動するため、第２コンベヤ装置の高さ調節がより一層確実かつスムースになって好適である。
【００２１】
圃場面には細かい凹凸や軟硬があるが、高さ検知手段が圃場の状態に過度に反応するのは好ましくない。この点、請求項４の構成を採用すると、接地ローラはゲージホイールによって均されると共に適度に固められた部分を走行するため、接地ローラが過敏に昇降したり沈み込んだりすることが防止又は著しく抑制される。このため、圃場のおおまかな状態に追従して第２コンベヤ装置の昇降調節が的確に行われる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００２２】
以下、本願発明を玉葱収穫機に適用した実施形態を図面に基づいて詳述する。図１は全体の側面図、図２は概略平面図、図３は略前半部の側面図、図４は更に前部の側面図、図５は図４の拡大図でかつ要部の側面図、図６は図５のVI−VI視断面図、図７は図６の VII-VII視断面図である。なお、以下の説明で方向を示すために前後左右の文言を使用するが、この前後左右は玉葱収穫機の前進方向を向いた状態を基準にしている。
【００２３】
(1).玉葱収穫機の概略
玉葱収穫機は左右のクローラ２で走行する走行機体１を備えており、走行機体１のうち左右クローラ２で挟まれた部分の前半部には、エンジン４やミッション５等を内蔵したエンジン部３が配置されている。走行機体１の前部のうちエンジン部３の右横部には、ハンドルや操作レバー類が配置された運転席（操縦部）６を設けている。
【００２４】
玉葱収穫機には、更に、圃場Ｇの玉葱を掬い上げる（拾い上げる又は掻き上げると表現することもできる）第１コンベヤ装置７と、第１コンベヤ装置７から玉葱を受け継いで走行機体１に搬送する第２コンベヤ装置８とが備えられている。第２コンベヤ装置８は、側面視で下端が前に位置して上端が後ろに位置した後傾姿勢であり、かつ、平面視で後半部が走行機体１と部分的に重なる状態に配置されている。
【００２５】
第２コンベヤ装置８は、その大部分を構成する主部８ａと、上部を構成して主部８ａよりも寝た姿勢の補助部８ｂとから成っており、主部８ａと補助部８ｂとは互いに屈曲し得る状態に中間連結軸９で連結されている。従って、第２コンベヤ装置８は全体としてくの字状の形態になっている。主部８ａの下端部は左右のリフトアーム１０を介して走行機体１に連結されており、他方、補助部８ｂの後端（上端）は上連結軸１１によって走行機体１に回動可能に連結されている。
【００２６】
リフトアーム１０の後端部と走行機体１とは第２油圧シリンダ１２で連結されている。従って、第２油圧シリンダ１２が伸縮することによって第２コンベヤ装置８は後傾角度が変化し、これにより、第２コンベヤ装置８は地面（圃場面Ｇや路面）に対して昇降する（対地高さが変化する）。なお、第２コンベヤ装置８は、その上端は走行機体１に連結されているので全体が昇降するとは言えないが、地面との関係では昇降している。
【００２７】
第１コンベヤ装置７は、その後部を中心にして前部が上下動するように第２コンベヤ装置８の下端部に後部連結軸１３で連結されており、かつ、第２コンベヤ装置８に対する相対姿勢を変化させ得るように第１油圧シリンダ３２で連結されている。
【００２８】
更に、第１コンベヤ装置７は、玉葱を圃場Ｇから縁切りする掘取刃１４、玉葱を圃場Ｇから掬い上げる拾い上げ拾上コンベヤ１５、圃場Ｇの玉葱を拾上コンベヤ１５の上面に強制移動させる掻込コンベヤ１６、圃場Ｇ面に回転自在に当たっているゲージホイール１７、を備えている。掻込コンベヤ１６は、拾上コンベヤ１５の上面に重なるようにして周回する多数枚の掻込羽根１６ａを有している。なお、第１コンベヤ装置７はピックアップ装置と呼び換えることも可能である。
【００２９】
走行機体１に配置したエンジ部３は山形ボンネット１８を備えており、山形ボンネット１８の上方でかつ第２コンベヤ装置８の後端部（上端部）下方には、茎葉分離コンベヤ１９が配置されている。茎葉分離コンベヤ１９は水平に対して後傾した姿勢であり、玉葱は第２コンベヤ装置８から茎葉分離コンベヤ１９に移行し、茎葉分離コンベヤ１９の箇所で作業員によって茎葉が切り取られる。
【００３０】
図２に簡単に示すように、走行機体１の後端には後ろ向きに延びるフォーク２０ａを有するフォークリフト２０が昇降自在及び水平回動自在に装備されており、フォークリフト２０には収穫物集積用のコンテナ２１が搭載されている。フォークリフト２０によってコンテナ２１を圃場Ｇから持ち上げたり圃場Ｇに降ろしたりすることができる。走行機体１の後半部には上面開放の貯留箱２２が配置されている。貯留箱２２は内部が十字形の隔壁２３で仕切られており、このため、貯留箱２２は４つの受箱２４に区分されている。
【００３１】
図１及び図２に符号２６で示すのは選別コンベヤであり、この選別コンベヤ２６は、茎葉分離コンベヤ１９の後側から貯留箱２２の上方を通過してコンテナ２１に向かうように後部をやや高くした傾斜姿勢に配置されている。符号２７で示すのは、選別コンベヤ２６の左右外側部から下方の後部左右受箱２４に延設されたシュートである。選別コンベヤ２６の左右外側には、選別作業者を搭乗させるための左右の作業用ステップ２８が横方向に張り出す状態で設けられている。
【００３２】
図２に示す符号２９は、運転席６と反対側に位置した作業用ステップ２８に設けたはしごを示している。符号３０で示すのは、茎葉分離コンベヤ１９と選別コンベヤ２６の間に配置された小玉抜コンベヤである。
【００３３】
ゲージホイール１７を圃場Ｇに接地させた状態で走行機体１を前進させると、圃場Ｇの玉葱は、掘取刃９と掻込コンベヤ１６とを介して拾上コンベヤ１５に拾上げられ、拾上げられた玉葱は拾上コンベヤ１５を経て順次、第２コンベヤ装置８、茎葉分離コンベヤ１９、小玉抜コンベヤ３０、選別コンベヤ装置２０に搬送され、規格品は選別コンベヤ２６の終端からコンテナ２１に積み込まれる。
【００３４】
圃場Ｇの玉葱と一緒に土砂や茎葉類が拾上コンベヤ１５に拾上げられるが、土砂類は拾上コンベヤ１５及び第２コンベヤ装置８で搬送される途中で抜落ちて圃場Ｇに戻る。茎葉類の多くは第２コンベヤ装置８を経て玉葱と一緒に茎葉分離コンベヤ１９に移行する。茎葉分離コンベヤ１９はその上面が前進するように周回しているが、後傾姿勢であるため、玉葱は茎葉分離コンベヤ１９を転がり落ちて小玉抜コンベヤ３０に移行する。
【００３５】
他方、茎葉類は柔らかくて長いため摩擦によって茎葉分離コンベヤ１９に止まって前送りされ、茎葉分離コンベヤ１９の前端から下方のボンネット１８の前下がり傾斜面上に落下し、ボンネット１８の前下がり傾斜面上に滑落して走行機体１の前側から圃場Ｇに落ちる。
【００３６】
規格サイズ以下の小玉の玉葱は小玉抜コンベヤ３０から下方に抜け落ちて、ボンネット１８の後下がり傾斜面上に落下し、下方の前部左右受箱２４に収集される。規格サイズ以上の玉葱は小玉抜コンベヤ３０で選別コンベヤ２６に送られててコンテナ２１に溜められる。そして、規格サイズ以上の玉葱が選別コンベヤ装置２０で搬送される過程で、作業用ステップ２８に載った作業者によって傷付玉や腐敗玉等の不良品が除去され、不良品は放出シュート２１を介して下方の後部左右受箱２４に落とされて収集される。
【００３７】
このようにして、規格サイズ以上でかつ傷や腐りのない良品の玉葱だけが選別コンベヤ２６からコンテナ２１に積込まれる。コンテナ２１を挟んだ左右両側には、均平作業用ステップ３１が設けられている。コンテナ２１に溜まっている玉葱群は、均平作業用ステップ３１に載った作業者によって上面が平になるように均される。
【００３８】
既述のように、コンテナ２１の玉葱が所定量になるとコンテナは圃場Ｇに降ろされ、次の空コンテナ２１が積み込まれる。なお、フォークリフト２０は油圧シリンダで駆動されるが、詳細は省略する。
【００３９】
(2).第第２コンベヤ装置の構造
次に、本願発明の要部が組み込まれている第１コンベヤ装置７及び第２コンベヤ装置８とを詳述する。まず、第２コンベヤ装置８の構造から説明する。
【００４０】
第２コンベヤ装置８は、主部８ａの構成要素である左右の主第２側枠３３と、補助部８ｂの構成要素である左右の副第２側枠３４とを備えており、主第２側枠３３の上端部と副第２側枠３４の前端部とは既述した中間連結軸９によって相対回動可能に連結されており、副第２側枠３４の後端は既述した上連結軸１１によって走行機体１に相対回動可能に連結されている。
【００４１】
エンジン部３の左右外側にはガードフレーム３５が立設されており、このガードフレーム３５の上に左右のトップフレーム３６を立設しており、第２コンベヤ装置８を構成する補助第２側枠３４は、上連結軸１１によってトップフレーム３６の上端部に回動可能に連結（枢支）されている。左右の主第２側枠３３の下部に前記リフトアーム１０の前端部が連結されている。
【００４２】
また、第２コンベヤ装置８は、主要要素として搬送用の第２コンベヤ３７を備えているが、この第２コンベヤ３７は、主第２側枠３３の下端部を繋ぐ下連結軸３８に設けた下スプロケット３９と、前記中間連結軸９と同軸に設けた中間スプロケット４０と、前記上連結軸１１と同軸に設けた上スプロケット４１とに巻き掛けている。また、前記中間スプロケット３９の近傍には、第２コンベヤ３７を行きと戻りが平行になるように保持するためのアイドルスプロケット４２を設けている。アイドルスプロケット４２は主第２側枠３３に取付けられている。
【００４３】
第２コンベヤ３７は、例えば、網状のベルト体に多数の横長樋状バケット３７ａを適宜間隔で取付けた形式になっている。なお、第２コンベヤ３７は持ち上げコンベヤや中継コンベヤと呼び変えることも可能である。
【００４４】
第２コンベヤ装置８を構成する片側（前進方向を向いた左側）の主第２側枠３３の下端部に、スイッチレバー４３を有する補助リミットスイッチ４４が取付けられている一方、第１コンベヤ装置７を構成する片側の第１側枠３７には、前記補助リミットスイッチ４４のスイッチレバー４３に当たり得る操作ピン４５が横向きに突設されている。
【００４５】
拾上コンベヤ１５を略水平姿勢で地面からある程度の高さ（設定高さ）に上昇させると操作ピン４５がスイッチレバー４３に当たって、補助ミットスイッチ４４はオフ状態に保持される。拾上コンベヤ１５を設定高さ以下に下降させると、操作ピン４５がスイッチレバー４３から離れて補助リミットスイッチ４４がオン状態に保持される。従って、拾上コンベヤ装置１１の高さが設定高さ以上か以下かが補助リミットスイッチ４４で検出される。
【００４６】
前記第１油圧シリンダ３２は単動形であり、油圧ポンプから電磁弁を介して圧油がピストンロッドの送りポートと戻しポートとに供給される。詳細は省略するが、油圧ポンプと第２油圧シリンダ１２とを繋ぐ油圧回路には、補助リミットスィッチのＯＮ・ＯＦＦによって作動が入り・切りされるフローティング機構を設けている。このフローティング機構により、第１コンベヤ装置７を地面から所定高さに保持する態様と、第１コンベヤ装置７を所定高さよりも高く上昇させる態様と、第２油圧シリンダ１２の圧力を開放して圃場Ｇの凹凸に追従させる態様、の３つの態様を選択できる（詳細は既述の特許文献１に開示されている。）。
【００４７】
(3).第１コンベヤ装置の構造
次に、第１コンベヤ装置７の構造を説明する。例えば図４に示すように、第１コンベヤ装置７は左右の第１側枠（側板）４７を備えており、この第１側枠４７に掘取刃９と拾上コンベヤ１５とが取付けられている。拾上コンベヤ１５は例えば網状のベルト方式になっている。掘取刃９は第１側枠４７に固定されており、他方、拾上コンベヤ１５は側枠４７に対して、前後連結軸４８，１３及びこれらに回転自在に設けた前後スプロケット４９，５０を介して周回自在に取付けられている。
【００４８】
第１コンベヤ装置７を構成する左右の第１側枠４７は、拾上コンベヤ１５の後部連結軸１３によって第２主側枠３３に相対回動可能に連結されている。また、第１コンベヤ装置７の後部スプロケット５０が固定された回転軸と第２コンベヤ装置８の下スプロケット３９が固定された回転軸とには、伝動スプロケットを介して伝動チェン５１が巻き掛けられている。従って、拾上コンベヤ１５は第２コンベヤ３７によって駆動される。
【００４９】
左右の第１側枠４７の後部はそれぞれ上向きに突出しており、左右の第１側枠４７の後部上端と左右の第２主側枠３３とにそれぞれ第１油圧シリンダ３２が相対可能に連結されている。正確に述べると、第１油圧シリンダ３２の後端は主第２側枠３３にピンで相対回動可能に連結されており、第１油圧シリンダ３２におけるピストンロッド３２ａの前端は第１側枠４７の後部上端にピンで相対回動可能に連結されている。
【００５０】
従って、第１油圧シリンダ３２を伸縮駆動することにより、第１コンベヤ装置７は前倒れしたり起きたりというように第２コンベヤ装置８に対して相対回動する（第１コンベヤ装置７が昇降すると言い換えてもよい。）。
【００５１】
左右の側枠４７の外側には前向きに延びる左右の支持フレーム５２が配置されている。支持フレーム５２は、その後端部を中心にして上下回動し得るように第１側枠４７に軸で連結されており、かつ、支持フレーム５２の先端に、ブラケット５２ａを介してゲージホイール１７が回転自在に取付けられている。
【００５２】
図４に一点差線で示すように、左右の支持フレーム５２の前寄り部位には上向きのブラケット５３が固定されており、左右のブラケット５３に横杆５４が固定されている。横杆５４の左右両端部には側面視後傾姿勢のアーム５５がその後端を中心に回動し得るようにそれぞれ連結されており、左右アーム５５の上下中途部と左右の第１側枠４７とが連結杆５６で相対回動可能に連結されている。更に、左右アーム５８の下端と支持フレーム５２とは、前後方向に延びる第３油圧シリンダ５７を介して相対回動可能に連結されている。
【００５３】
従って、第３油圧シリンダ５７が伸縮すると、アーム５５と連結杆５６との回動を介して支持フレーム５２が回動し、その結果、ゲージホイール１７が第１側枠４７に対して昇降する。すなわち、第３油圧シリンダ５７の伸縮によってゲージホイール１７と拾上コンベヤ１５との相対的な高さが変化するのであり、これによって拾上コンベヤ１５の先端部の対地高さを調節できる。
【００５４】
掻込コンベヤ１６は、チェン等の無体帯に多数の掻き込み羽根１６ａを取付けた構造になっており、前後のスプロケット５８ａ，５８ｂによって周回する。リアスプロケット５８ｂは、左右第１側枠４７の上向き後部にリア回転軸５９を介して回転自在に取付けられており、フロントスプロケット５８ａは、第１主側枠４７の前部に突設したブラケット６０にフロント軸を介して取付けられている。掻込コンベヤ１６のリア回転軸５９には、拾上コンベヤ１５の後部連結軸１３の箇所から伝動チェン６１及びアイドルスプロケットを介して動力が伝達されている。
【００５５】
第１コンベヤ装置７及び第２コンベヤ装置８への動力伝達機構は図３に大まかに示されている。すなわち、エンジン４の出力軸の回転は変速ケース６２の出力軸であるＰＴＯ軸６３に伝達され、このＰＴＯ軸６３から複数のチェン６４，６５を介して第２コンベヤ装置８の上スプロケット４１に伝達される。第１コンベヤ装置７の動力が第２コンベヤ３７を介して行われることは既に述べた。
【００５６】
(4).第２コンベヤ装置の高さ規制手段
図３に全体を示して図４に一部を示すように、第２コンベヤ装置８における主第２側枠３３のうち運転席６に近い側の第２側枠３３には、作業状態で第２コンベヤ装置８の主部８ａの下降をロックしたりロック解除したりできるレバー６７やストッパー６８が設けられている。
【００５７】
すなわち、平坦な圃場Ｇで機体が前後に傾いていない状態では、第２コンベヤ装置８を地面から所定高さ（約１００ミリ前後の高さ）に保持してそれ以下に下降するのを規制するものであり、ストッパー６８で第２コンベヤ装置８の下降が阻止され、レバー６７により、ストッパー６８が機能する状態と機能しない状態とに切り替えられる。
【００５８】
ストッパー６８は、主第２側枠３３の下部外面のうちリフトアーム１０の上側部分に前後方向の軸回りに回動自在に取付けられており、かつ、内面が主第２側枠３３の外面に当接した下向き姿勢となる作用位置にコイルばね６９で付勢されている。ストッパー６８が下向き姿勢のときは、ストッパー６８がリフトアーム１０の上面に当たることにより、第２コンベヤ装置８は設定高さ以下に下降しない通常作業位置に保持される。
【００５９】
レバー６７を例えば上向きに回動させると、ワイヤー７０の引っ張りによってストッパー６８は横向き姿勢となり、その結果、第２コンベヤ装置８は通常作業位置よりも下方に下降させ得る。本願発明では、一般に、ストッパー６８が機能していな規制解除モードに適用される（すなわち、第２コンベヤ装置８は通常作業位置を境にした上下に昇降できる。）。
【００６０】
図５，図６に明示するように、本願発明の特徴の具体例として、左右リフトアーム１０のうち片方（両方でもよい）のリフトアーム１０の前端部に、アーム７２を介して接地ローラ７３が回転自在に取付けられていると共に、アーム７２の回動によってＯＮ・ＯＦＦするセンサ７４が取付けられている。アーム７２は前から後ろに向けて低くなるように側面視で前傾した姿勢になっており、リフトアーム１０に固着したブラケット７５に上端部がピン７６で連結されている。接地ローラ７３は、圃場Ｇのうちゲージホイール１７で踏まれた後（図２に符号７７で示す）を転動するように設定されている。
【００６１】
アーム７２は前傾姿勢が保持されるように吊り具７８が連結されている。吊り具７８は第２コンベヤ装置８を地面上に高く上昇させたときにアーム７２が鉛直姿勢まで回動しないように規制するものであり、通常の作業状態ではいずれの方向にも回動する状態が保持されている。
【００６２】
センサ７４はアーム７２の回動によって第２コンベヤ装置８の対地高さを検知するものであるが、具体的な検知態様として本実施形態では、図５（Ｂ）に示すように、それぞれ回動式接触子７９ａ，８０ａを有する第１リミットスィッチ７９，第２リミットスィッチ８０が使用されている。
【００６３】
接地ローラ７３が圃場Ｇに当たるとアーム７２に設けたドグ部７２ａが第１リミットスィッチ７９の接触子７９ａに当たることで第１リミットスィッチ７９がＯＮ（通電状態）になり、第２コンベヤ装置８が下限位置（危険高さ）まで下降するとドグ部７２ａが第２リミットスィッチ８０の接触子８０ａに当たって第２リミットスィッチ８０はＯＮになる。
【００６４】
従って、作業モードにおいて、両リミットスィッチ７９，８０がＯＦＦになると第２コンベヤ装置８が下降するように第２油圧シリンダ１２を駆動し、両リミットスィッチ７９，８０がＯＮになったら第２コンベヤ装置８が上昇する、というように第２油圧シリンダ１２を駆動するように両リミットスィッチ７９，８０と第２油圧シリンダ１２を制御装置で関連付けることにより、第２コンベヤ装置８は所定の範囲の対地高さに保持される（言うまでもないが、この状態では第１リミットスィッチ７９はＯＮで第２リミットスィッチ８０がＯＦＦになっている。）。
【００６５】
このように第２コンベヤ装置８の対地高さが高過ぎず低過ぎない高さであるため、第１コンベヤ装置７はゲージホイール１７が圃場Ｇに適度の接地圧で当たった状態を保持しつつ上下いずれの方向に回動することが許容されている。その結果、圃場Ｇに凹凸があっても第１コンベヤ装置７の対地追従性が確保されるのである。第１リミットスィッチ７９と第２リミットスィッチ８０とがＯＮ・ＯＦＦする具体的な高さは、第１コンベヤ装置７が第２コンベヤ装置８に対して相対回動し得る範囲に応じて定めたらよい。例えば、第２コンベヤ装置８の対地高さを５０〜１５０ｍｍ程度の範囲に保持することができる。
【００６６】
なお、両リミットスィッチ７９，８０が小刻みにＯＮ・ＯＦＦするのは好ましくないので、例えば両リミットスィッチ７９，８０がＯＦＦの状態から第２コンベヤ装置８を下降させる場合であると、第１リミットスィッチ７９がＯＮになった後も若干下降を続けるように第２油圧シリンダ１２を制御するといよううに、第２油圧シリンダ１２の駆動停止を遅延させるのが好ましい。
【００６７】
本実施形態では接地ローラ７３をリフトアーム１０に設けているが、リフトアーム１０の先端部は第２コンベヤ装置８と一緒に上下動するので、第２コンベヤ装置８の高さを検知する上で実際上の問題はない。勿論、接地ローラ７３を第２主側枠３３に取付けてもよい。
【００６８】
(5).その他
本願発明は上記の実施形態の他にも様々の態様に具体化できる。例えば接地ローラ７３を使用することに代えて、接地体として橇状のものを使用することも可能である。また、アームを使用せずに、接地ローラをガイド体に上下動可能に取り付けることも可能である。
【００６９】
また、接地ローラ等の接地体の昇降動を電気信号に変えるセンサとしては、リミットスィッチの他に、ロータリー式又はリニア式のエンコーダ、光電スイッチ、各種の近接スイッチ、ポテンショメータなどの各種のものを使用可能である。センサ類を使用せずに、第２油圧シリンダへの圧油の送りを切り替えるバルブを第２コンベヤ装置に設けて、アーム等によってバルブを直接に切り替えることも可能である。
【００７０】
更に本願発明の適用対象は玉葱収穫機に限られるものではなく、例えばじゃがいも収穫機等の芋類収穫機、人参収穫機などの各種の根菜収穫機に適用できる（なお、本願発明では落花生収穫機も根菜収穫機に含まれる）。
【図面の簡単な説明】
【００７１】
【図１】根菜収穫機の一例である玉葱収穫機の全体の側面図である。
【図２】玉葱収穫機の概略平面図である。
【図３】玉葱収穫機の略前半部の側面図である。
【図４】玉葱収穫機の前部の側面図である。
【図５】図４の拡大図でかつ要部の側面図である。
【図６】図５のVI−VI視断面図である。
【図７】図６の VII-VII視断面図である。
【００７２】
１ 走行機体
４ エンジン
６ 運転席
７ 第１コンベヤ装置
８ 第２コンベヤ装置
１４ 掘取刃 １５ 拾上コンベヤ
１６ 掻込コンベヤ
１７ ゲージホイール
３７ 第２コンベヤ
７２ アーム
７２ａ ドグ部
７３ 接地ローラ
７９，８０ リミットスィッチ
【特許請求の範囲】
【請求項１】
エンジンを搭載すると共に運転席が備えられた走行機体と、前記走行機体の進行方向前方において圃場の根菜を掬い上げる第１コンベヤ装置と、前記第１コンベヤ装置から根菜を受け継いで走行機体に移送する第２コンベヤ装置とを備えており、
前記第１コンベヤ装置は圃場面からの高さを変え得る状態で走行機体に連結されている一方、前記第２コンベヤ装置は、側面視において第２コンベヤ装置に対して相対回動し得るようにその後部が第２コンベヤの下部に連結されており、更に、前記第１コンベヤの先端部には圃場に接地する回転自在なゲージホイールが配置されており、第２コンベヤ装置に対する第１コンベヤ装置の相対姿勢を変えることでゲージホイールの接地状態が保持されるようになっている、
という根菜収穫機であって、
前記第２コンベヤ装置又はこれに取り付いた部材に、圃場に対する第２コンベヤ装置の高さを検知する高さ検知手段が設けられており、第２コンベヤ装置が圃場から所定高さ以上に高くなったことを高さ検知手段が検知すると第２コンベヤ装置を下降させ、第２コンベヤ装置が圃場から所定高さ以下に低くなったことを高さ検知手段が検知すると第２コンベヤ装置を上昇させる、というように高さ検知手段に基づいて第２コンベヤ装置の高さが制御される、
根菜収穫機。
【請求項２】
前記高さ検知手段は圃場に当たった状態で転動し得る接地ローラを備えており、接地ローラが圃場に当たった状態が保持されるように第２コンベヤの高さが調節されている、
請求項１に記載した根菜収穫機。
【請求項３】
前記接地ローラは、側面視で前傾姿勢に配置されたアームの下端部に回転自在に取付けられており、前記アームはその上部を中心にして回動するように前記第２コンベヤ装置又はこれに取付けた部材に連結されており、アームの回動によって第２コンベヤ装置の高さを検知するようになっている、
請求項２に記載した根菜収穫機。
【請求項４】
前記接地ローラは、圃場面のうち前記ゲージホイールの走行跡の部分に接地するように配置されている、
請求項２又は３に記載した根菜収穫機。
【請求項１】
エンジンを搭載すると共に運転席が備えられた走行機体と、前記走行機体の進行方向前方において圃場の根菜を掬い上げる第１コンベヤ装置と、前記第１コンベヤ装置から根菜を受け継いで走行機体に移送する第２コンベヤ装置とを備えており、
前記第１コンベヤ装置は圃場面からの高さを変え得る状態で走行機体に連結されている一方、前記第２コンベヤ装置は、側面視において第２コンベヤ装置に対して相対回動し得るようにその後部が第２コンベヤの下部に連結されており、更に、前記第１コンベヤの先端部には圃場に接地する回転自在なゲージホイールが配置されており、第２コンベヤ装置に対する第１コンベヤ装置の相対姿勢を変えることでゲージホイールの接地状態が保持されるようになっている、
という根菜収穫機であって、
前記第２コンベヤ装置又はこれに取り付いた部材に、圃場に対する第２コンベヤ装置の高さを検知する高さ検知手段が設けられており、第２コンベヤ装置が圃場から所定高さ以上に高くなったことを高さ検知手段が検知すると第２コンベヤ装置を下降させ、第２コンベヤ装置が圃場から所定高さ以下に低くなったことを高さ検知手段が検知すると第２コンベヤ装置を上昇させる、というように高さ検知手段に基づいて第２コンベヤ装置の高さが制御される、
根菜収穫機。
【請求項２】
前記高さ検知手段は圃場に当たった状態で転動し得る接地ローラを備えており、接地ローラが圃場に当たった状態が保持されるように第２コンベヤの高さが調節されている、
請求項１に記載した根菜収穫機。
【請求項３】
前記接地ローラは、側面視で前傾姿勢に配置されたアームの下端部に回転自在に取付けられており、前記アームはその上部を中心にして回動するように前記第２コンベヤ装置又はこれに取付けた部材に連結されており、アームの回動によって第２コンベヤ装置の高さを検知するようになっている、
請求項２に記載した根菜収穫機。
【請求項４】
前記接地ローラは、圃場面のうち前記ゲージホイールの走行跡の部分に接地するように配置されている、
請求項２又は３に記載した根菜収穫機。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【公開番号】特開２００８−２７１８４０（Ｐ２００８−２７１８４０Ａ）
【公開日】平成２０年１１月１３日（２００８．１１．１３）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００７−１１８７５０（Ｐ２００７−１１８７５０）
【出願日】平成１９年４月２７日（２００７．４．２７）
【出願人】（０００００６７８１）ヤンマー株式会社 (3,810)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２０年１１月１３日（２００８．１１．１３）
【国際特許分類】
【出願日】平成１９年４月２７日（２００７．４．２７）
【出願人】（０００００６７８１）ヤンマー株式会社 (3,810)
【Ｆターム（参考）】
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